○八田
委員 そこで恕限度の問題をもう一点だけお尋ねいたしたいのですが、これはりビー博士の楽観論に対しまして、
アメリカのマサチューセッツ工科大学の教授を
中心とする原子
科学者のメンバーは、今年の三月初めに、放射性落下物の
影響を遺伝学的に考えまして、それがすでに危険な状態になっておることを指摘しておるわけであります。これはニューヨーク・タイムズ紙上にも掲載されておるのでありますが、ここで私が考えてみたいと思うのは、いろいろな生物には、大体あるきまった頻度で、きまった格好の突然変異というものがずっと出てきておるわけであります。それが何のためにできるかということについては、またはっきりしておりませんけれ
ども、とにかくこういった突然変異がある頻度で、あるきまった格好で、ある生物の中に見られておる。ところがこういった生物に対して放射線を与えると、今まで起ったと同じような突然変異の頻度がふえてくるということは確かであるというふうにいわれておるわけでございます。そこで恕限度をきめていく場合に、初代の突然変異を防止するか、あるいは二代、三代にわたっての突然変異を防護するか、こういうような点から考えて参りますと、この恕限度というものは非常に問題が複雑になって広い幅を持たせなければならぬということになってくるわけでございます。ただ私としては食品衛生の面から考えますると、こういったいろいろな
実験上のこまかい点を一々加えて参りますと、行政上において
判断しかねるような問題が非常に輻湊してくるわけです。そこで私は十センチ、百カウントという線が、少くとも過去の
実験から見てそう間違った線ではない、こういうふうに考えておるわけであります。これについていろいろ学者の方の御
意見を拝聴されまして、正しい線を出していただくことをお願いいたしたいのであります。ただこの問題につきまして、
ビキニの問題で今日騒いでおるわけでありますが、国内においてこれ以上の放射線の
障害を受けている職業というものがあるわけなんです。特に今日のポータブルの
レントゲン発生装置、これは非常に莫大な三百から四百くらいの
レントゲンの散乱線を出しておるということで、今日においてはポータブルの
レントゲン装置を使っておる医師あるいは医療担当者あるいは患者に対する対策というものの方がむしろ大切じゃないか、私はそういうふうに考える。目を外に奪われて、いろいろな学者の
意見を拝聴されることはいいのでありますけれ
ども、ただそれを誇大に行政の中に結びつけていきますと非常な迷惑が起ってくる。足下で、国内において非常な、三百というような大きな放射線量の
被害を受けておる。こういうことに対して
公衆衛生上どういうふうなお考えをお持ちですか。