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滝井委員 そうじゃなくて、四十三条の十二を見ますと、明らかに
保険医が悪いことをして
保険医の
登録を取り消したというような場合には、やはり
医療機関が取り消されることになっておる。十六ページにあるのです。「当該
保険医療機関ニ於テ
診療ニ従事スル
保険医又ハ当該
保険薬局ニ於テ調剤ニ従事スル
保険薬剤師が第四十三条ノ六第一項(第五十九条ノ二第七項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム次条ニ於テ之ニ同ジ)ノ
規定ニ違反シタルトキ」こうなっておる。ただし監督しておればいいのですが、この場合も取り消される。従ってそこに勤めておる
医師は全部路頭に迷う。一人だけじゃないのです。ここに私は
医療機関を
指定すべきではないと考える。それは私の
主張なんです。私は
医師の取り消しで足りると思う。Aという
病院で一人の
医師が悪いことをした、その人のためにAが全部取り消されたという場合には大へんだから、その場合には
登録一本でいい。二重
指定にする必要はない。院長が悪いことをすれば院長が首を切られるのである。院長が首を切られることによって、悪いことをした
医者は同時にやめさせる。だから院長一人でよろしい。そうすると、院長が退いて
保険医でなくなると、副院長が院長に上ってくることによって
医療機関はそのままでいける、こういう形になってくると思う。そればかりではなくて、こういう場合がある。これは私は船員保
険課長ともずいぶん議論したのですが、たとえば現在私なんかの経験でも一人の
医師は一人の
患者ばかりを見ない。
病院に行くと、朝何百人という
患者がやってきます。大きな
病院では内科だけでも百人以上も来ます。そうしますと、きょうは私はAという
患者をみる。ところがあすは
高田さんなら
高田さんがAという
患者をまたみる。五人の
医者がいれば五人の
医者にAという
患者のカルテは回されていくのです。そうすると、たまたま私なら私が
診療上の過誤があったとしても、私がやったかどうかわからぬことがある。あるいは夜間の
医師というものは内科の
医師ばかりではない。眼科だったり、外科だったり、耳鼻科だったり、婦人科だったり、みな泊っている。まるきり
関係のない
医師が見て注射をする場合がある。たとえば
自分の専門でない小児科の
患者をみたときに、小児科の専門医ならば強心剤一本やってこれは大丈夫だと思っても、眼科の
医師が
自分の宿直のときにみると、解熱剤も打てば浣腸もやる。そうしますと、それは
過剰診療になってその
医師はばっさりやられてしまう。宿直といういわば職務柄のために、一人の
子供を殺すまいとする親心が
過剰診療までいったために、小児科の
患者をみた眼科の
医師が
登録を取り消された。同時にこの
医療機関は
過剰診療のくせがあるといって
医療機関も取り消されたならば、あと十人の
医師が勤めておったならば、その十人の
医師は路頭に迷わなければならぬことになる。だから、私は二重
指定はナンセンスだと思う。
病院なら
病院の責任治療医というものをはっきりさせなければならぬ。だから、私は院長一人でよろしいと思う。こういう形をとっていけば責任がはっきりしてくる。そうしたら、院長をすぱっと首を切ったらいい。そうするとたとえば
大学病院なんか困るとおっしゃるけれ
ども、公的
医療機関であろうと私的
医療機関であろうと同じことなんです。あなた方は公的
医療機関と私的
医療機関と別にして考えるが、慶応
大学の院長が悪いことをしたら、慶応
大学の院長の首を切ったらいい。そうしますと、院長は辞職をし、同時に悪いことをした
医師も辞職をしなければならない。慶応
大学は大きいから、あなた方は慶応
大学の
医療機関の取り消しは
大学の
教育の必要上から困る、首を切ってはいけない、こうなるにきまっている。要するに一刀両断にやればいいけれ
ども、あなた方は、国立
病院が悪いことをしても国立
病院の
保険医の取り消しはしませんよ。あなた方がそこまでやるのなら、一番先にやり玉に上るのは、赤十字なんか一番先に上ります。公的
医療機関ほど
過剰診療が多い。私は戦争中から
審査員をやっておりますから知っておりますが、公的
医療機関には
大学出たてのインターンなんかやっているのが来ているから、特に
過剰診療をやるのであります。だから、
請求する事務員は、どうして削って無
審査で通すかということが大へんなんです。これを厳重に開業医と同じにやってごらんなさい。公的
医療機関が一番先に
指定医療機関の取り消しになりますよ。これは確実なんです。
大学病院なんか一番先になりますよ。だから千葉医大なんて見てごらんなさい。
声明を発した。こういう
法律が通るならばこれは学問の冒涜である。制限
診療によって
日本の医学は停滞するという
意味の
声明を千葉医大が出している。こういうことに対しておそらく
大学が一番先に
指定医療機関を取り消されます。そういうふうに善意の第三者の
医師に連座していくということをどうして救済するかということが
一つと、いま
一つは今度はそういう工合にして悪いことをして
医療機関が取り消されますと、その付近の
患者をどうして救済するかということなんです。そういう場合には
厚生省が行ってその
医療機関の直営でもしてくれればけっこうだと思いますが、そういう直営する意思があるかどうか。直営でもしなければだめなんです。新しく
医者を連れてくるわけに参りませんから直営してもらわなければなりません。そういうところは考慮して取り消さぬようにすると言うけれ
ども、それでは
法律の前には万民は平等でなければならぬという平等の原則に矛盾してくる。この二点を
一つ御
説明願いたい。