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1956-03-23 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長代理 理事 中川 俊思君    理事 大坪 保雄君 理事 野澤 清人君    理事 藤本 捨助君 理事 滝井 義高君       今井  耕君    植村 武一君       小川 半次君    加藤鐐五郎君       亀山 孝一君    草野一郎平君       熊谷 憲一君    小島 徹三君       小林  郁君    佐々木秀世君       田中 正巳君    田子 一民君       中村三之丞君    中山 マサ君       林   博君    八田 貞義君       眞崎 勝次君    山崎  巖君       亘  四郎君    阿部 五郎君       井堀 繁雄君    岡本 隆一君       栗原 俊夫君    長谷川 保君       八木 一男君    中原 健次君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 英三君  出席政府委員         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         厚生事務官         (薬務局長)  森本  潔君         厚生事務官         (保険局長)  高田 正巳君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局健康保         険課長)    小沢 辰男君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 三月二十三日  委員荻野豊平君、草野一郎平君、久野忠治君、  仲川房次郎君及び田中正巳辞任につき、その  補欠として山崎巖君、粟山博君、眞崎勝次君、  今井耕君及び林唯義君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員粟山博君及び林唯義辞任につき、その補  欠として草野一郎平君及び田中正巳君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  療術既得権存続に関する請願小牧次生君紹  介)(第一四九九号)  同(田中武夫紹介)(第一五〇〇号)  同(逢澤寛君紹介)(第一五三三号)  同(木下哲紹介)(第一五三四号)  同(有田喜一紹介)(第一五三五号)  同(稻富稜人君紹介)(第一五六〇号)  同外一件(片島港君紹介)(第一五六一号)  同(橋本龍伍紹介)(第一五六二号)  同(遠藤三郎紹介)(第一五六三号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一五六四号)  同(和田博雄紹介)(第一五六五号)  同(保科善四郎紹介)(第一五九五号)  日本赤十字社法改正に関する請願長谷川保  君紹介)(第一五〇一号)  同(渡邊惣藏紹介)(第一五五二号)  国立佐倉療養所付添廃止反対等に関する請願  (小川豊明紹介)(第一五〇二号)  健康保険法改正反対に関する請願長谷川保  君紹介)(第一五〇三号)  同(帆足計紹介)(第一五〇四号)  同(田中織之進君紹介)(第一五〇五号)  同(菊地養輔君紹介)(第一五〇六号)  同(森島守人紹介)(第一五〇七号)  同(北山愛郎紹介)(第一五〇八号)  同(戸叶里子君外一名紹介)(第一五〇九号)  同(長谷川保紹介)(第一五三七号)  同(佐々木更三君紹介)(第一五三八号)  同(菅太郎紹介)(第一五三九号)  同(横錢重吉紹介)(第一五五五号)  同(河野正紹介)(第一五五六号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第一五五七号)  同(石田宥全君紹介)(第一五五八号)  同(加藤清二紹介)(第一五七七号)  同(三輪壽壯紹介)(第一五七八号)  同(細田綱吉紹介)(第一五七九号)  同(辻原弘市君紹介)(第一五八〇号)  同(門司亮紹介)(第一五八一号)  同(青野武一紹介)(第一五八二号)  同(長谷川保紹介)(第一五八三号)  同(大西正道紹介)(第一五八四号)  同(帆足計紹介)(第一五八五号)  同(小川半次紹介)(第一五九六号)  同(伊東岩男紹介)(第一五九七号)  国立療養所付添廃止反対に関する請願(横山  利秋君紹介)(第一五三六号)  台湾出身戦没者遺骨処理に関する請願(田原  春次君紹介)(第一五四〇号)  桜花寮施設拡張費国庫補助に関する請願(高  岡大輔君紹介)(第一五四一号)  村松町の公共施設整備費国庫補助に関する請願  (高岡大輔紹介)(第一五四七号)  元満州開拓民及び青少年義勇隊員処遇改善に  関する請願辻政信紹介)(第一五五三号)  生活保護法最低生活基準額引上げ等に関する  請願渡邊惣藏紹介)(第一五五四号)  健康保険法における被保険者負担反対に関する  請願赤松勇紹介)(第一五五九号)  映画興行の二時間半制限反対に関する請願(五  島虎雄紹介)(第一五六六号)  同(田中武夫紹介)(第一五六七号)  結核回復者の後保護施設費補助に関する請願(  宇都宮徳馬紹介)(第一五九八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出第七八号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第七九号)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)     —————————————
  2. 中川俊思

    中川委員長代理 これより会議を開きます。  都合により私が委員長の職を勤めます。  内閣提出健康保険法等の一部を改する法律案厚生年金保険法の一部改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の三法案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 実は十九日と二十日の質問で明白になっておることは、二十二日か三日には中央社会保険医療協議会でいわゆる四月一日から分業実施暫定案がきまる、こういう御答弁を得ておるのですが、すでに暫定案はできておるということを聞いておるのです。当然これは二十六年以来の審議の経過にかんがみて、すみやかに国会にも出してもらわなければならぬものだと思います。どうしてかと申しますと、予算が参議院ですでに二十七、八日ごろには自然成立をする形になっておりますから、当然これは昭和三十一年度の予算と重要な関係を持つことになります。しかもその暫定案がどういう形をとっておるものかということについても、今後の審議の上に重要な関係を持ってきますので、当然われわれは知っておかなければならぬ、こう思うわけです。そこでこれはあと大臣が来てから、その資料の配付をお願いして質問をさせていただかなければならぬと思いますので、当然これは御用意ができておるだろうと思いますが、お願いしたいと思います。前もってお知らせをいたしておきます。  次に、この前十九日、二十日の質問を通じて、なお明白になっていない一、二の点を先にやらせていただきまして、標準報酬の残りの質問に入っていきたいと思うのですが、まず幸いに薬務局長もお見えになりましたのでお聞きしたい。今まで私たち製薬企業に対する薬品の原価計算及び流通過程等について質疑を申し上げましたが、明白な御答弁が得られておりません。そこで委員長に、当委員会に急速に製薬企業に対する調査の委員会を作っていただくよう要請をいたしておきましたが、これは後刻理事会等で最終的な決定を見ると思います。その前にぜひお聞かせ願いたいのは、バルクラインを九〇%にとったということなんでございますが、どうして九〇%という数字が出てくるのか、これを一つ具体的に御説明を願っておきたいと思います。
  4. 高田正巳

    高田(正)政府委員 ちょっと私からお答えさせていただきます。暫定案国会に御報告して審議をおやりいただくということでございますが、これは答申がございましたならば、大臣が申し上げておりますように御報告をいたしたいと存じております。実は昨日もやりましたのでございますが、本日医療協議会を開催して、目下審議中でございまして、私は本日中には何らかの御答申をいただけるものと期待をいたしております。御答申をいただきましたならば、御報告を申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 それではバルクラインのことはその次に御答弁願いますが、いずれ委員会を開いておれば、公益代表である今井さんの案ができておると思います。従ってこの案を、あなた本委員ですから何も秘密にする必要はないと思うのです。大臣あとで来るまでに、印刷したものがあるはずだと思いますので、さっそく一つお配りを願いたいと思います。それについての質問あとでさせていただきますから、資料をお配り願いたい。
  6. 高田正巳

    高田(正)政府委員 昨日の医療協議会今井試案というものは、これは中立委員試案という形でありますが、それをお出しになりまして御協議を願ったのでございます。ところが若干変更の御希望があったようでございまして、それについて今井さんがまたいろいろ御検討なさいまして、きょうの協議会におかけになるということでございますので、今井試案というものもまだ正確にはまとまっていないという段階でございます。従ってさような中間段階的なものを一々御報告申し上げることも、これは不可能ではございませんけれども医療協議会の一委員のプライベートな案でありますので、しかもそういうふうに変更がございますので、私ども考えとしては、多分本日御答申がいただけると存じますから、御答申がいただけましたならば、早急に当委員会の方に御報告を申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 滝井義高

    滝井委員 すでにこの段階でございますから目睫の間に迫っております。厚生省としても、そうそう諮問機関にばかりたよっておるわけにもいきません。事態が急変して重大な段階に入っておることは御存じの通りです。従っておなた方にはあなた方の腹がなくちゃならぬ。厚生省の腹をきょうは一つ私はとくと聞かせてもらわなければならぬと思うのです。あなた方の方は、答申案ができなかったり、あるいは答申案ができても国会審議が間に合わなければ強行告示をするという発言まですでに一週間前にされておるのです。従ってそういう腹を固められた厚生省なんですから、当然あなた方の腹がなくちゃならぬ。この今井案というものは、この前のあなた方の答弁等から通じて私が推定するならば、おそらくいわゆる今度中央社会保険医療協議会にかけておるあの医療費体系に基く新点数と同じような形をとっておるだろうと思います。私はそれを見ておりませんが、私はこの前に中立委員の話では調剤技術料は五円を主張しておるということを言ったのですが、おそらくそういうところじゃないかとも漏れ聞いておるのです。そうしますと、これはあなた方にはあなた方の腹がなくちゃならぬ。この段階においては、もう医療協議会がどうのこうのということではなくて、この四月一日から分業に突入するためにはこの程度のものでなければ答申案がのめないのだという線が少くともあるはずです。この後に及んでそういうものがないならば、これはもうあなた方には私は厚生行政をまかせることができないし、また社会保険のこの点数についても局長にまかせることができないという結論を下さざるを得ない。なぜならば事態というものがここまで目睫に迫っておるんですよ。あなた方は、健康保険の施行については二十日かかるという言明を局長はされております。いわんや健康保険よりかさらに複雑なこの医療費体系というものは三月の初旬でなければならぬというのがあなた方の今までの基本的な線でございました。それがだんだん押し迫って、もうあと一週間の目睫に迫っておる。この期に及んでまだ厚生省が、諮問機関意見が出てこなければ私たちの腹はきまりませんということでは、これは私たち国会としては許されません。なぜならば昭和二十六年以来私たちがこの問題についてこの委員会にかけた日数と精力とは莫大なものなのです。いかなる重要法案にもまさるだけの精力と頭脳とを、この討議には、この委員会というものは費しているはずです。そういう費した以上、その問題に対する腹がまえ、見通しあるいは結論的なものが、医薬分業を一週間のあとに控えて、厚生当局はないとはもう私は言わせません。だからこれは答申がいかなる形であろうと、もうすでにその答申内容というものは大臣にしても局長にしてもちゃんと腹に入っているわけです。従ってその一つの腹がまえ、こういう方針でいくのだということを——これは向う向うできょう中に出すというのですから勝手にやっているわけですし、だからわれわれもこっちの考えでやってもちっとも差しつかえないと思う、並行してこれはけっこうだと思いますから、一つあなた方の腹がまえを、こういう線でいかなければならぬというあなた方の信念的なところを出していただきたい。これは大臣に御答弁ができませんでしたら局長でかまいませんから、御答弁を願います。
  8. 小林英三

    小林国務大臣 滝井さんの暫定案に対するただいまの御質問は、これは一応そういう御意見も当然かと思います。しかし私は先般来申し上げておりますように、新医療費体系の基本的な問題というものは、これはもうなかなかちっとやそっとではできない問題でございまして、これは近い将来にできることといたしましても、暫定案の問題は二十日前後には必ず御答申を得て、国会にも御報告申し上げるということは申し上げておったのであります。やはり暫定案というものにつきましても、私は医療協議会等におきまして、たとえば今井案にいたしましてもあらゆる方面の協調を得、またこれならば暫定案として当分の間よろしいという案ができまして、それに基いて厚生省といたしましてはこれを検討して、そして国会にも御報告申し上げよう、こういうことでございまして、今も局長が御答弁申し上げておりましたように、今明日のうちにきまろうといたしております。厚生省といたしまして案がありそうなものだというお話もございますが、かりにあったといたしましても、今ここで私どもがこういう案に基いてやるのだということを発表申し上げますことは、せっかく医療協議会においてまとまろうとしている問題にも差しつかえもできることだと思いますし、ここしばらくの間一つ御猶予を願いたいと思っております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 大臣のこの前の御答弁でも、とにかくやはり間に合わなければ強行告示しなければならぬ、こういう御発言があったわけですが、もう間に合いませんよ。これは暫定案といったって四月一日から実施するのですから、四月一日から家族の患者さんはそれに基いて半額払わなければならぬ。本人は五月一日からになるからいいでしょうが、とにかく半額払わなければなりません。末端の薬剤師の諸君歯科医師諸君保険医師諸君にその趣旨を徹底せしめなければなりません、間に合わないのです。大臣はしろうとですからのんきにおかまえになっておりますが、これは間に合わないのです。しかも点数請求が間違っておったらその請求書は付せんがついて本人のもとに全部帰ってきます。医薬分業健康保険と一緒に一カ月お延ばしになるならいい、それなら何も文句はありません、医療協議会でゆっくりやってもらってよろしいが、あなたの方でこれはもう三月の初旬に告示しなければ間に合わぬというお話が今までにあったわけです。私は今井試案がどういうものか存じておりませんが、しかしおそらくあなた方の今までの御答弁を通じて推定してみれば、これはやはり甲地区乙地区とに分けて、現在の十五円刻みの薬というものも違つた形になってくるのでしょう。あるいは処方せんもそれによって違うか同じか、こういうことしか考えられないのです。だれが考えたってそういうことなんです。物と技術とを薬治料において分けたとすれば、医療費体系も同じ形をとらざるを得ない。ただそれが一・七とか二・五とか数字が変るだけです。これはだれが考えたって常識なんです。それ以外に考えようはないのです。そういうものでは今の日本医師会客観情勢というものはのめる情勢じゃないのです。私太鼓判を押してもいいが、のめる情勢じゃない。だからそういうのめる情勢でないものをもう一日、二日待てといって、一体何日待てばいいのです。もう三月の初めからえんえん二十日待ってきた。もうここらあたりで、厚生省はこれでいくのだという厚生省の腹がまえがなければならぬ。具体的に私はそれを、処方せん料を何点にしよう、あるいは薬治料を何点にしようということは聞きません、基本方針を聞いておるのです。少くとも四月一日からいくものについては、薬治料については物と技術厚生省は絶対に分離するのかどうか、あるいは現行点数でいくか、これを私はこの前からお尋ねしておるのです。具体的に処方せん料何点、調剤技術料何点、薬料何点、こういうことを私はお聞きしておるのじゃない。これは医療協議会におまかせしてもいいでしょう。しかし基本的なこと、この期に及んでの厚生省基本方針が、私の言うように現行点数とそして調剤技術料を変えたものだけでいくのか、それともあくまて厚生省方針は物と技術とを変えていく、これを療養担当者がのまなくても強行告示でやっていくのだという、これかどうか、その基本方針を尋ねているのです。あるならば厚生省は言えないはずはないと思うのです。その点を一つ答弁願いたい。
  10. 小林英三

    小林国務大臣 私はこの前の委員会におきましても、今滝井さんから御意見のありましたように、四月二十日前後には何とか一つきめていただくようにということをお願いしてあるのであります。その後医療協議会におきましてもきわめて熱心にこれの答申といいますか、一つ暫定案を作るべく御努力を願っておるのでありまして、しかも一両日のうちにはその見通しもついていくのであります。私はこの際の医療協議会における最後のまとまりということは非常に微妙な点があると思いますので、今秋の方で厚生省の案がどうだこうだということをここで申し上げたくないのであります。しばらくの間御静観をお願い申し上げたいと思います。
  11. 八田貞義

    八田委員 今の滝井委員質問に関連しまして、暫定案について今大臣局長答弁を伺っておりますと、今明日中に医療協議会から暫定案厚生省の方に示される、その上において国会提出して、それから態度をきめる、こういうふうに了解していいのですか。
  12. 小林英三

    小林国務大臣 これは私がたびたび申し上げておりますように、根本的な新医療費体系の問題にいたしましても、あるいは暫定案にいたしましても、私は国会の御意見等につきましては十分に尊重をして耳を傾けるつもりであるのであります。しかし医療協議会の方ででき上りました答申案と申しますか、これにつきましては、厚生省でこれによって暫定的に医薬分業がスタートできるという見通しがつきましたならば、これは国会にも一応御報告申し上げたいと思います。国会決定によってこれを実施するかしないかというような問題につきましては考えていないのでございます。
  13. 八田貞義

    八田委員 その今井試案というものはきのう出されて、そして医療協議会の方で今審議をしておる。これは相当難航をしておるように聞いておるのです。果して答申案として今明日中に出るかどうかさえわからない。今明日中にと、こういうふうに期日を限定されておりますけれども、果して今明日中に出るような見通しのもとにおっしゃっておるのかどうか、その点についてもお伺いいたしたいのとともに、もしも今明日中に出なかった場合、一体どういうふうな対策をされるか、これを一つ伺っておきたい。
  14. 小林英三

    小林国務大臣 協議会の模様につきましては常にわれわれも重大な関心を持って見詰めているのでありまして、私が滝井さんの御質問に対して今明日中ということを申し上げましたのは、これは私の見通しでございます。
  15. 八田貞義

    八田委員 大臣見通しとして、それがうまく的中すればいいのでありますけれども、的中しなかった場合の大臣態度をさらに重ねてお聞きしたいのでありますが、それとともに暫定案内容につきましても、前の委員会におきまして、相当しつこく大臣内容についてお伺いしたのでありますが、中途から退席されまして、大臣からは直接責任のある答弁を伺えなかったのであります。局長からは薬治料についてというような限定的な答弁があったのでありますけれども、私は局長薬治料という面につきましても、現在の療養担当規程にある薬治料というふうに解釈して了解しておったのであります。従ってもしも今の薬治料という概念からほど遠いような答申案が出た、あるいは今井試案というものがそういうものであったという場合には、われわれの今日までの薬治料に対する概念を徹底的に破壊するものでありますから、この点についてもあるいは国会としては相当な突っ込みをしなければならぬ、この点を大臣に申し上げておきますが、どうでしょうか。  大臣最後にもう一つ関連質問でありますから簡単にいたしますが、もしも今明日中に出なかった場合、ただ見通しとしてではなくて、その場合にどうするかということをはっきりとした信念をもってお答え願いたい。
  16. 小林英三

    小林国務大臣 今の御質問でございますが、医療協議会におきましてもきわめて熱心に今日まで暫定案の作成に御努力を願っているのでありまして、私の見通しといたしましては、今明日中には暫定案ができるものと思っておるのであります。私もこの間も二十日前後ということを申し上げておって、期待しているのでありますが、ここのところへ参りまして一日や二日をどうこうという考えはございません。私はおそらく今明日中には暫定案が出るものだと期待をいたしておるのであります。いずれにいたしましても四月一日からの医薬分業に間に合うということを目途といたしておるのであります。
  17. 八田貞義

    八田委員 しつこいようでありますが大臣にもう一点お伺いしたいのであります。大臣見通しが当って今明日中に医療協議会から答申案が出ましたならば、国会の方に報告されるということを大臣から伺ったわけであります。国会報告されまして、もしも国会において相当に紛糾し、なかなか国会結論が得られない、そういう事態に立ち至った場合に、四月一日からの医薬分業を控えて、これではどうも間に合わない、そういう場合に大臣として、大臣の職権において強行告示をされる決意であるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  18. 小林英三

    小林国務大臣 私もたびたびこの問題については申し上げておりまするように、四月一日から医薬分業をいたしたい、今の暫定案が今明日中にでき上る、そのときには国会にも御報告を申し上げるというのでございまして、それは、国会でもあるいは当委員会におかれましてもたくさんな委員諸君がおられるのでありますから、いろいろの御意見もあると思います。御検討もなさることだと思います。しかし大体におきまして、あくまでも暫定案でございまするので、近い将来におきまして基本的な医薬分業の十分に納得できるようなものも協議されようというのでお願いしておるわけでありますから、私は医薬分業のスタートのためにもこれに対する国会皆様方の御協力は得られるものだと考えておるのであります。
  19. 八田貞義

    八田委員 もう一つしつこいですが大臣にお伺いしたいのですが、四月一日の医薬分業を控えまして、現行点数でも医薬分業は実施できると私は考えるのですが、いかがでしょうか。もしも今明日中にできる答申案国会審議過程で相当紛糾するという事態に至った場合に、大臣としては、これは国会意思を無視してはできない、意思を尊重するという以上無視はできない、それでは——厚生事務当局報告によれば、現行点数によるも新点数によるも医療費の総ワクには増減はないのだ、こういうことでありまするが、もしも国会においていろいろ審議され結論が出なかった場合には、四月一日からの医薬分業は必ず実施するのだ、その信念の前に立って現行点数でも強行しなければならぬ、こういう御決意があるかどうか、お尋ねいたします。
  20. 小林英三

    小林国務大臣 医薬分業は必ず四月一日からやるという今日の環境にあるのでありまして、医薬分業をやりますためには、現行点数そのままではできないであろうということは、私よりもむしろ専門家の八田さんの方がよく御存じではないかと思うくらいに考えておるのでありまして、ただその線はどこで引かれるか知りませんが、とにかく私は医薬分業をやるに差しつかえない程度の暫定案ができるもの、こういうふうに期待をいたしておるのであります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 医薬分業を実施することはわれわれもその通りと思います。しかし大臣の今の御説明のように、現行点数でできぬということはないのです。現行点数でけっこうできる。これは専門家の私が断言してはばからない。東京都の医師会は三月二十四日までにわれわれの基本的な主張が通らない場合には東京都医師会は保険医の総辞退を決行する、こういうことになっておる。日本医師会自体も、新医療費体系に関しては、その二番目に、今後さらに発表せんとする暫定措置点数案についてもそれがわれわれにとって承認できない場合には絶対反対する、こう言っておる。そこで私は尋ねてみた。この暫定措置点数案についてもそれがわれわれにとって承認できない場合というのはどういうことか、また東京都医師会の基本的な主張が通らないという基本的な主張は何なのか。それは、現行点数分業に入るということが基本的な主張なのだ、こういうことなのです。だからこれは日本医師会の幹部なり医療協議会委員があそこで妥協するということは不可能です。客観情勢はそういう情勢なのです。従って一日、二日たてば出るという甘い考えではいけないので、私は医薬分業を四月一日から実施する場合における厚生当局の腹がまえはどれでいかなければならぬかということを、私はお聞きしているのです。こまかい調剤技術料を何点にしようとか何円にしようとか、そういう具体的なところをお聞きしておるのではない。大臣医療協議会諮問機関ですよ。少くとも諮問をするからには、今度はそれをそのまま受け入れるのじゃない。大臣の今の答弁を通じてみても、諮問機関から出てきたものはさらに厚生省が検討をして、これならば大丈夫という見通しのある案を国会に御報告申し上げますというのが、大臣の今までの基本的な態度です。そうしますと、少くとも医療協議会から出てきたものが、四月一日からあなたの思うような分業実施ができるかという、その方法、ものさしをあなた方が持っていなければならぬ。これは論理的にいっても、だれがよそから聞いてみても、筋が通っている主張なんです。その腹がまえをお聞きしている。あなた方が何もものさしがなくて、出てきたものに対してこれはいいか悪いかという判断はできない。だから、あなた方の判断のものさし、判断の心がまえをお聞きしている。その判断が、現行点数でよろしい、現行点数でいけるという私のものさし、腹がまえを言っている。だからあなたのものさしを一つ言ってみてくれ。大臣は現行の点数では常識で考えてもいけぬじゃないか、こうおっしゃっているから、現行点数ではいけないのなら、あなたの腹がまえはどうですか、こう言っている。これはきわめて論理が通り、筋が通っている質問だと私は思うのです。諮問機関から出てきた場合に、それがいいか悪いか、答申案として価値あるものであるかどうかというその判断の尺度、基本的な態度をお示し願いたい。
  22. 小林英三

    小林国務大臣 それに対する腹がまえというものは持っていないわけでもございません。しかし滝井さんも政治家の一人といたされまして、今私あるいは厚生省がこういう問題はこう思っているということを発表いたしますと、現在一生懸命努力してまとまりかかっておりまする医療協議会そのものに対して、大きな制肘を与えることにもなるのでありまして、私は、今日まで相当長い間かかって努力していただいておるのでありますから、もう少し静観をいたしまして、まとまりました上でまた国会にも申し上げたいと思います。
  23. 滝井義高

    滝井委員 大臣、今までの諮問機関で、たとえば七人委員会なんかの膨大な——あれは個人的なものでございました。しかし現在の単価の問題を審議する臨時医療保険審議会なんかだって、法律の基礎も何もないのですね。これなんかいかにもあなた方は、あれが出てこなければいかぬ、いかぬとお待ちになっておるけれども、法律による諮問機関なんか、その答申が出てきたってその通りやったことは一度だってありゃしない。医療協議会だけはやります。七人委員会の中で、あなた方の都合のいいところだけは採用した。都合の悪いところは一つも採用しておらぬ。たとえば今から尋ねる薬価の問題なんかだって、輸出の振興か何かをちょこちょこやられたけれども、ほんとうのところは何もやらない。そういう工合に都合のいいところだけとっている。だから今井さんにしても、高橋教授にしても、厚生省はけしからぬ、われわれに非常に心血を注がして、あの膨大な報告書を作らしておいて、いよいよそれができてみたところが、われわれの考えておる大事な点を採用せぬで、厚生省の都合のいいところばかり採用した、こんな厚生省のやり方はけしからぬということを、今井さん自身もおっしゃっているくらいです。都合のいいときは審議会だとか諮問機関を隠れみのにする。そうして都合が悪くなると口を緘して、諮問機関意見を出すまでは、答申するまでは言うわけには参りません、こういうことなんです。しかしそれはあなた方内輪のことなんですね。われわれ国会は関知しないところなんです。だから国会議員滝井義高が厚生大臣小林英三先生にお願いしておるわけなんです。厚生省としての、日本の厚生行政の責任者としてのあなたの腹をお聞きしている。諮問機関の腹を聞いておるわけじゃない。だから、きょうは少し時間をかけても御答弁をいただかなければ、目捷に迫っているのであります。全国の十万をこえる療養担当者が注目してる。大臣の言動を注目してる。大臣がどういう答案を出してくるか注目してる。二日三日先になれば間に合いません。ますます総辞退を激化させるばかりです。私はこの総辞退を収拾させるために厚生大臣は、むしろ蛮勇かもしれませんが、蛮勇を振ってこの事態をみずから率先して解決しなければならぬ。片々たる一諮問機関によって左右されるものではない。諮問機関の地位より国会の言論は最高のものです。それを大臣は忘れてはいけません。少くとも国権の最高機関における社会労働委員滝井義高が、行政府の最高責任者の大臣にお尋ねしているんですから、大臣答弁を求めたい。諮問機関意見大臣あとで聞いて御参考にすればけっこうだと思います。そのものさしをきょうはぜひ聞かしてもらわなければならぬ。
  24. 小林英三

    小林国務大臣 先ほどからたびたび申し上げておりますように、すでに四月一日からスタートすることになっております医薬分業にマッチするような暫定案が、一両日のうちにきまろうとしておるのでございます。私がただいま、今滝井さんの御質問のような点につきましてここで私の意見を発表いたしますことは、差し控えたいと思っておるのであります。
  25. 滝井義高

    滝井委員 では一つ、逆に聞いていきましょう。現行点数医薬分業に適用できないという御説明がありました。どういう点で適用できないか、これから聞いていったら、おそらくなぞがとけると思いますから、どういう点で具体的に適用できないかを御説明願います。
  26. 高田正巳

    高田(正)政府委員 現行点数医薬分業が行われて何ら差しつかえがないということであれば、今まで二十六年以来、新医療費体系というような問題もあるいは起らなかったかもしれません。一昨年のケースを考えましても、医薬分業の前提になる新医療費体系というものが不十分であるから、分業を一年三カ月延ばしたということが国会の御意思であろうと私は考えております。また滝井先生もその御意見の持ち主であられたわけだと思います。従いまして、暫定案といたしましても、現行点数のまますべり込むということは、やってやれないことはないかもしれませんが、処方せんが出たといたしますと、これは総医療費に相当な影響があります。従いまして、そういう観点から申しまして、たとい暫定案といえども、そのままですべり込むということはできないものと私ども考えておるのでございます。例をあげて申しますれば、現行点数では、処方せん料が五点ということになっております。たとえば十五円以下の薬を一日分投与いたしますれば、二点であります。二日分投与いたしますれば、四点であります。ところが処方せんを切った場合には、五点処方せん料として払って、さらに患者はそれを薬局に持っていきまして、現行点数の調剤料と薬価を払うということになります。従いまして現行点数のままでは、さようなことが起りますので、総医療費にも影響があるし、また患者がお医者様で調剤をお願いした場合と、薬局で調剤をお願いした場合とでは、患者の支払いまする報酬に区別ができて、あっちで払えばこうなる、こっちで払えばこうなるというようなことになるわけであります。さようなことは私が今ここで気づきました具体的な例でございます。さようなことやその他いろいろあると思いますが、そういうふうなわけで、現行点数そのままですべり込みますることは——第一今日では処方せんがほとんど出ておらないのでございまして、しかもあの処方せん料五点というものは、いなかの患者が都会の大先生のところへ参って、そうして見ていただいて、相当長期の処方せんをいただいて帰るというようなことを大体予想して定められておるもののように聞いております。従いまして、さようなことでございますので、そのままですべり込むということは非常に不合理な形ですべり込むことになる。従って、二十六年以来のいきさつから申しましても、さようなことは非常にむずかしいことである。私はかように出行えておるのでございます。
  27. 滝井義高

    滝井委員 高田局長から大へんな御発言をいただいたのですが、まずあなたは、暫定案についても総医療費を問題にされました。これを問題にされるということになると、医療費体系の根本にさかのぼらなければならぬことになる。その総医療費などを今考えておったのではどうにもならぬから、われわれは暫定案を主張しておるのであって、総医療費を問題にされれば、あなた方の総医療費とは一体何かということを聞かなければならぬのですよ。あなた方の総医療費とは一体何ですか、御説明して下さい。
  28. 高田正巳

    高田(正)政府委員 具体的には、これは社会保険点数表でございますので、社会保険から支払います医療費あるいは社会保険からお医者様なり薬局なりが受け取られる医療費ということになると思います。と同時に、それは家族であれば半額は家族から来るわけでございます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 あなた方はその総医療費を国民所得との関連においてお考えになっていますね。国民所得と保険の医療費とはどういう関係があって、あなた方は、国民所得の三%とか三・五%が限界であるとおっしゃるのですか。
  30. 高田正巳

    高田(正)政府委員 私は、国民所得との関係の総医療費云々というようなことを申し上げておるわけではございません。今総医療費というのは、私が申し上げたような意味の医療費でございまして、そのために、たとい暫定案といえども、保険の支払いが多くなったりあるいは少くなったり、逆に言えば、お医者様の方から、あるいは薬局の方から支払いが多くなったり少くなったりというようなことのないように、そういたしませんと予算等にも影響を及ぼし、保険の運営にも影響を及ぼしますので、そういう意味で申し上げておるのでございます。別に国民所得云々というようなことを今持ち出して論議をするのではない。これは全体の、たとえば医療支払い方式の全般的な変更というふうな場合には、そういうことも論議の過程に上ると思いますけれども、今とりあえずの暫定案考えるということでございますので、さようなことを申し上げておるつもりではございません。
  31. 滝井義高

    滝井委員 総医療費と国民所得との関係なら、きょうはこれだけで一日かかります。それを論議されればそれだけで一日かかる。しかしそうじゃなくて、暫定案というものは総医療費などを論議しておれば、あなたが今その論議をされればおそらくきょうは絶対まとまりません。私は太鼓判を押しておく。医療協議会において総医療費を問題にして、総医療費関係があるから現行点数ではいけない、だから暫定案を作るのだというなら絶対にまとまりません。私が今から行って医師会の委員に、政府は総医療費を問題にしていると言ったら、おそらくそれだけで反対です。総医療費を問題としたり、あるいは今あなたは五点というものは遠隔の地だと言うけれども、そういう約束はだれもしておりません。あなたが勝手におっしゃるのです。この前、二十九年に医療費体系審議するときに、私は五点の故事来歴を詳しく質問したが、厚生省政府委員ではだれも答弁できなかった。そして曽田さんは、五点というのは何か知らぬが、あれはたまたま尾閭骨みたいなものが残っておるのでございますという答弁しかできなかった。これが五点になることもわからない。私が五点の根拠を聞いたら、あなたは、遠隔の地から取りに来たときに一週間分、一カ月分やるためにしているのだと言ったけれども、そんな歴史的な経過はありません。そもそも五点というものはどうして出たかわからないのに今の五点は不合理でありますというようなことは絶対に言えない。たまたま患者が都合が悪かったから、五点分のお金は、医者から処方せんを出してもらっていかなかっただけのことです。だから、今医薬分業になれば、五点で医者は処方せんをどんどん出していきまして、薬局に薬をもらいに行くのです。それが保険の経済にある程度影響を及ぼすならば、おそらくあなた方はねじりはち巻で一生懸命になって、りっぱな医療費体系を作るように努力をするでしょう。その刺激剤としてでも現行点数でいかなければならぬというのが私の主張です。今までの過去の六カ年間厚生省が医薬費体系と取り組んできた姿を見るに、私たちも信頼できない。少くともほんとうの医療費体系を作るならば、曽田さんの言ではないけれども、二、三年はかかるといっている。暫定案にしても、大臣のこの前の答弁でも明白なように、六カ月や七カ月では絶対にまとまりません。これは二、三年はかかる。はっきり申し上げて、正直に申し上げてそうです。そうなれば、今ここで七円暫定案で総医療費というようなことをやっていると大へんなことになるので、現行点数でいけば、あなた方が三年かかるものを少くとも一年か一年半で——国会意見も聞こう、医師会の意見も聞こう、歯科医師会の意見も薬剤師会の意見も率直に聞こう、そうして今までのような官僚独善的な医療費体系を作らないようにしようというのが私の考えなんです。だから絶対現行点数で突入する。そうして総医療費に影響を及ぼすならば、保険者もあわてるし、政府もあわてる、いわゆる五者泣きで、五音が全部で寄ってかかって泣きながら新医療費体系を作るというのが私の主張である。これでいいのです。これは間違いない。暫定案を作って、それで半年が終ったということでだらだらとやっていたら、医薬分業というものの運命はどうなるかわからない。これは私は率直に御忠告申し上げておきます。ほんとうに日本の医療を愛し、日本の医薬分業をほんとうに合理的に進展する形で作りたいから私は申し上げるのです。あなた方は今の地位をのけばあとは野となれ山となれでしょうが、しかし私たちはそうはいかない。少くとも医療を担当している者の立場からいけばそうはいかない。だからやはりこれは責任ある答弁国会でしてもらい、責任ある施策を打ち出していかなければいかぬです。今のような、この場をのがれればいいのだというような御答弁ではいけません。従って、当分の間暫定案でやるが、しかしその暫定案というものは現行点数でよろしいということがいい。七十年もかかってやってきたものを、何も今になってそうあわてて処方せんを出す必要はない。薬店の諸君はけっこうほかの商売もあって食っていけておるのですから、それよりも、今のようなわずか七円とか五円の調剤料で、薬剤師諸君がクマのいを売らなければならないような姿に置いておく方がいけない。これはほんとうに技術者としての調剤技術料を確立しなければいかぬ。それがためには、暫定案を作って、総医療費関係がございませんというような形でいっていると、これが習い性となる。だから私は、この際医療に関係のあるすべての人たちがほんとうに熱心に作る姿を作らなければならぬと思うのです。そういう意味でこれを私は主張しているのです。だから総医療費関係もあるし、処方せんにさかのぼって、しかも十五円までが二点だということをあなた方が御主張になって、それが不合理だということになると、今井さんから出てきたあれもおそらく推定ではっきりわかります。おそらくあなた方の出している新医療費体系点数もそう変ったものではないと思う。それはどうしてかというと、総医療費に手を加えないということで作った案があれなんですから、薬治料の方は十五円刻みでできる点数なんですからあれ以外はできないのです。これは厚生省が全知能をしぼって作ったのがあれなんですから、今井さんがいくら頭がいいといったってあんなくらいしかできないと思う。このことは私が太鼓判を押しても間違っていないと思う。そうするとああいうことではいよいよ総医療費の論議をもう一ぺんやり直し、今度は注射料をどうするか、注射も薬ですからそれに及ばなければならぬことになる。私はきゃうはこれ以上追及はしますまい。しかしこれはいずれ厚生大臣、一日か二日、少くとも来週の月曜日までにははっきりしてこなければならぬはずなんです。それでも時日はおそいのですから、そういう事態になって混乱をしたときには、その混乱は一切厚生大臣の御責任であるということだけは御確認を願っておきたいと思います。
  32. 八田貞義

    八田委員 滝井委員質問に関連して局長に申し上げたい。今われわれが総医療費を論じているのは、国民経済との関係を持っている総医療費のワクというものを考えておるのです。時間がありませんからここで詳しくは追及しませんけれども、実際は総医療費の具体的内容についても私は非常に論議がある。相当いろいろな点においてあなた方の考えておられるところの総医療費のワクについては、科学的な分析がた行われていないということをここで一言言っておきます。私たちはあなた方の迷夢をさまさなければならぬ責任を持っている。あなた方は処方せん料について五点はいかぬ。ところが頻度はわからないじゃありませんか。その頻度のわからないものが総医療費にどういうふうにして影響するかについても、あなた方はおわかりのはずだ。しかも総医療費はあなた方が勝手に作ったものなんだ。厚生省によるところの総医療費なんだ。そういうところについて考えをよくやられて、あまり片意地にならぬで、いわゆる医薬分業を一体どういう姿において、国民の混乱を招かずに国民医療という正しい姿をこのまま動揺させないでいくかということについて、あなた方はもう少し考える必要がある。さらにまた大臣もここにおいて事務的にばかり考えないで、政治的に考えて無用な混乱を起さないような信念のもとに、医薬分業暫定案をお作りになることを私はお願いします。
  33. 滝井義高

    滝井委員 総医療費の問題は実は二日分やるくらい用意している。しかしきょうは総医療費はやめまして、総医療費関係のあるバルクラインの問題です。この間から言っているように一年間に三百億とか四百億の薬がどこにいったか行方不明だ、こういうことがあった。そこでまずあなた方の方はバルクライン九〇%というものを出してこられているのですから、そのバルクライン九〇%はどういうことから出てきたのかその基礎を教えてもらいたい、こういうことなんです。これはできるはずです。九〇%とこの前御答弁されたのですから。
  34. 森本潔

    ○森本政府委員 このバルクラインの引き方にはいろいろございまして、引く際に考えます考え方といたしましては二つ考え方があります。一〇〇%必要な薬が医療機関によって買えるという見地からいたしますならば、これは一〇〇%バルクラインというのが理想的だと思うのであります。ところが薬は、医療機関によりまして、病院とか大口で購入すると比較的安く買える。それから診療所等が小口で買いますと高くかかる、こういうことになりますと、通常薬のかすりといっておりますが、不要な額を払わなければならぬ。安く買ったものに対しても一〇〇%バルクラインで払いますと高い価格で払わなければならぬ、こういうことになります。その二つの点を勘案いたしまして、九〇%のバルクラインが適当ではないか、かように考えました。これをかりに五〇%バルクライン、あるいは八〇%バルクラインという線を引きますと、五〇%のバルクラインを引きますれば普通の医療機関は買えない値段になる。二〇%のバルクラインを引きますと三割程度の医療機関が買えないことになる。九〇%でありますと五〇%程度で済んでおる、こういう状況であります。医療機関の購入の便宜から申しますと一〇〇%バルクラインがいいのでございますが、さようにいたしますと保険支払いが高くなるという点がございますので一応九〇%という線を引いたのであります。なおこの問題は保険の方の要請からさような線を引いたのでございまして、薬務局といたしましてはその方針に基いて薬価等の調査をいたしておるのであります。
  35. 滝井義高

    滝井委員 それでは具体的にお伺いします。この前わかりやすいビタミンB1を出した。ビタミンB1がその他の地域で十ミリ一CC十管百七十八円。従ってビタミンがどのくらい生産があったか知りませんけれども、その生産量の九割が百七十八円以下で買われたから百七十八円が出ておると思う。そうしますと、あなた方が百七十八円と出すについては、日本におけるビタミンB1の総生産高と、それからその総生産高の九割、九割ではないかもしれませんが、少くとも薬の総生産高でいけば、医療機関は三分の一以下しか使っていないでしょう。その生産高の三分の一以下のものが十ミリ一CC十管百七十八円で医療機関に買われておる。従ってこれは流通過程が明白でなければバルクラインは出てこないはずです。あなた方は流通ラインがわからないとおっしゃるが、九〇%はどうして把握したのですか。ビタミンB1について九〇%、百七十八円で買われたというその把握の積算の基礎を明白に具体的にしていただきたい。きめるについては少くとも医療機関の九〇%が百七十八円以下で買っているはずです。だからその買った基礎がなくちゃならぬはずです。それを具体的に生産高がどのくらいで、医療機関がその中のどのくらいを使った、全国の医療機関がどの程度の価格で買ったかということ、これがおわかりにならなければバルクラインは出てこない。それはあにビタミンのみならんや、すべての薬について、内服薬、注射薬、外用薬すべてについて言えることです。その一覧表がなければこの薬価基準表はできないわけです。だからむずかしいことは申しません。きわめてしろうとわかりのする、大衆のわかる百七十八円の九〇%バルクライン採用の基礎を具体的に御説明願いたい。
  36. 森本潔

    ○森本政府委員 この薬価の基礎になります数字の調査法でございますが、これは全国の病院、診療所、薬局、かように購入する側につきまして現実にどれだけの量を幾らで買っておるか調べをいたしました。それから販売する側におきましても、幾らで売っておるかという数字を調べました。それで九〇%の量が買える価格を出したのでございます。だからその基礎といたしましては、結局現実に医療機関が買っておる値段を調べ、一方では売った方で幾らで売ったかという数字を調べる。これは全部とは参りませんので、病院、診療所につきましては約五百ほどでございます。それから販売業につきましては二百ほどでございますが、そういう典型的な病院、診療所を今申しました数を選びまして、そこについて現実の取引額を調べた。それからその所要量を推定いたしまして九〇%バルクラインを作ったわけであります。
  37. 滝井義高

    滝井委員 抽象的な御答弁ではこの際質問ができないのです。だから私は具体的にビタミンをこの前から一つ指摘しておった。なぜかならば、ビタミンが一番人口に膾炙しておるからです。だからあなた方もこれは百七十八円とおきめになった。また最近勝手に薬価基準を変えて日本医師会か何かに通知している。変えられたら、百七十八円になった基礎をあなた方はお持ちのはずですから、五百の病院ではここに出ている八洲化学、富山化学、東邦薬品、第一製薬、三共、扶桑薬品、武田薬品、塩野義、岩城製薬、杏林製薬、いろいろ書いてございますが、少くともこれらの製薬会社のビタミンB1の注射液一ミリの一CC十管が百七十八円となっているから、この百七十八円になった根底のあれがきちっと出てこなければ、百七十八円というものが出てこないはずです。それを教えてくれというわけなんです。それを全国五百の病院をした、二百の販売所をやった、こういう抽象的なことでは工合が悪いのです。少くともそういうことをはっきりあなた方がおつかみになっておれば、流通過程がわからぬはずはないのです。各販売所をぴしゃっと握っており、しかもこれについている全部の薬品について握っているのですから、行方不明の薬なんかないはずである。薬は輸出も輸入ももうあなた方の統計できまっているのです。そうすると、日本の国内で小売価格にして三百億も四百億もどこか宙に消える薬はないはずです。だから、これはもっと百七十八億というものがはっきりしなければ、あなた方のバルクライン九〇%そのものがインチキになってくる。この前からあれだけ私は何回も言っているのだから、局長さんはビタミンのあれぐらいはきちんと準備してきているのがほんとうですよ。
  38. 森本潔

    ○森本政府委員 ただいまお話のビタミンBの算出の基礎でございますが、これはただいま手元に持っておりませんが、先ほど申したような調査方法で出ました数字を整理してできた資料は役所にございます。それから、この前私の方に要求がございました資料としましては、ビタミンBの原価計算を出すようにというお話でございました。その点については、これは会社の名前は申し上げませんが、先ほど出て参りまして今見たところでございますが、一例として申し上げたいと思います。ビタミンBの注射薬で、単位は十ミリグラムの一CCの十本の単位でございます。これについて申し上げます。最初にアンプルに入れるまでの経費が十二円九十三銭、それからこれを小分け包装して製品として市場へ出すような格好にするまでの小分け包装費でございますが、これが今の原料費の十二円九十三銭を含めまして九十五円六十三銭という数字でございます。この小分け包装の費用としては、小分けの目減りの分であるとか、あるいはアンプル包装の費用、それから労務費、こういうものが含まれております。結局アンプルにして市場に出すまでの製造原価は九十五円六十三銭。それに一般の管理費がございます。ただいま申したのは物を作るだけの費用でありまして、わかりやすく申しますと、本社費と申しますか、営業費と申しますか、その費用が三十六円八十二銭かかりまして、合計して市場に出すメーカーの原価としては百三十二円四十五銭でございます。それからこれにメーカーの利潤を入れますと、これは推定でございますが、メーカーの利潤を一割といたしまして百三十二円かける一・一で百四十五円。それから卸価格はこれの利潤を一割と見ますと百四十五円かける一・一で百五十九円。それから小売価格は卸売り価格に二割の利潤を見込みますと、百五十九円かける一・二で百八十九円でございます。メーカーの製造原価は会社から出しました数字でございます。それからあとの小売価格に至りますまでのそれぞれの利潤を申し上げましたが、これは一応の推定でございます。従いまして薬価基準ではこれが百七十八円になっております。今申した推定で申しますれば百八十九円、あるいはその利潤を少し下げますと、ただいま申した百七十八円というような数字に近いものになるのじゃないかと思います。他の社のは出ておりませんが、一社のものは出て参りましたので一応御報告申し上げます。
  39. 滝井義高

    滝井委員 今の原価計算はそれでけっこうだと思いますが、他の社のものが出たら、できないと言っておったものができたわけなんですから、いずれ調査委員会を作ってわれわれもやりますが、今の原価計算を見てもなかなか——百七十八円で薬価基準にのっているものが小売価格が百八十九円だというようなことになっているようになかなか矛盾しているものもありますが、これはゆっくり小委員会でも作ってやらしていただきたいと思うわけです。  そこで今のバルクラインの方にかえるわけですが、そうしますと一応九〇%のバルクラインを取ったとしまして、今後九〇%のバルクラインをだんだん下げていくことになると思うのです。医療品をだんだん安く提供してくれる、あなたのおっしゃるように三本立にする、包装も大きくする、こういうことになると、だんだんバルクラインも下げてくることになるのじゃないかと思いますが、そのために医療機関にどういう影響が出てくることになるのですか。三億の対策をやることによってどういう影響が出てくることになるのですか。
  40. 森本潔

    ○森本政府委員 ただいまのバルクラインの九〇%、一応この線で今後もやって参りたいと考えております。それから包装単位を変えますとかあるいは病院、診療所等三本立の単価をきめる、かようにいたしましても購入する点におきましては現在と何らの変化はないと考えております。ただ従来大病院等で大口で買っておられますところが、従来の基準でありますれば、その基準よりも安く買っておられるというのでございますが、それが大体現実の購入価格で購入してもらうようになる。この点が違って参るのでありまして、その他の点につきましては現在と変りはないと考えております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 病院、診療所、薬局をなぜ三本立にしなければならぬかということなんです。さいぜん薬務局長は医者でやる薬の値段と薬局の薬の値段とが現行点数でいったら違うからいけないのだ、とこうおっしゃっている。ところがあなた自身病院、診療所、薬局と分けている。日本の医療機関が一人の患者を治療する薬の値段が平均であってどうして悪いかということなんです。むしろ大病院で使う値段と同じ安い値段で小さな診療機関にやることが当然である。公的医療機関は税金を払っていないけれども、私的医療機関は税金を払っている。そういう形を取ればますます私的医療機関というものはなくなってしまう。自由経済で製薬業を野放しにして製薬業に手をつけなかったあなた方が、今度は大病院をますます保護する政策をとっていく。しかも薬価を三本立にすることになれば、まさか大病院を高くして、小さな病院を安くすることにはならぬと思う、おそらく小さな病院を高くして、大病院は大量に買うから安くする、こういうことになるだろうと思う。これは私は筋が通らぬと思う。同じ日本人に対し、同じ権限を持っておる療養担当者が治療してやるときの施す薬が三本立というのはどうもおかしい。みな一本にすべきだ、どうしてみな一本にできない理由があるのか。
  42. 森本潔

    ○森本政府委員 御存じのように商品の流通過程におきましてはおよそ四つの値段ができるわけでございます。まず第一にはメーカーの価格、これは通常はD価と申しておりますが、それから元卸の値段、これは通常C価と申しております。それから地方卸の方の値段、これをB価と申しております。それから小売値段、これをA価と申しております。大体この四本の、同じ薬品につきましても流通の段階が異なるとともに値段が違っておるわけであります。それで現実の状況を見ますと、病院等におきましてはD価、メーカーから直接大量購入されるという実情でございます。それから診療所等におきましては小売業からお買いになる、すなわちA価でありますが、これが現実の姿でございます。そういう現実に差がございますので、その差の実情に合うように薬価をそれぞれ分けるのが適当ではないか、こういう考えでございます。
  43. 滝井義高

    滝井委員 保険局長にお尋ねいたしますが、そういうことになりますと、あなた方が十五円刻みにして保険で統一しようとしてもこれは意味がないわけですね。薬を安く買えば買うほどもうかるということになれば、薬務行政というものはめちゃくちゃになってしまう、それでいいのですか。
  44. 高田正巳

    高田(正)政府委員 今の薬価基準を三本立にするというのは、簡単にいえばこういうことなのでございます。従来小さい診療所でお買いになる場合でも、大病院でお買いになる場合でも、保険からお支払いをする金は同じである。ところが大病院は小さい診療所から比べますと非常に安くお買いになっているわけです。それで薬の購入に伴う利潤というようなものが大病院の方が多かった。ところが七人委員会お話も出たわけでございますが、七人委員会等ではバルクラインの九〇%というのはおかしいのじゃないか、むしろバルクラインを五〇%なり七〇%なりに下げたらどうかというような御意見もあったわけでございますが、そういたしますとその値段では現実に購入できない方々がたくさんできてくる。保険の方はバルクラインを下げますれば支払いが少くなって、保険の財政対策にはなるわけでありますが、しかしそういたしますと現実にそれで購入なされない方がたくさんできて、損をなさることになる。それはどういうところにかかるかというと、今申したように小さい僻陬の診療所が高くお買いになっておりますので、そちらの方にかかっていく。それでバルクラインはやはり九〇%程度が妥当であろう。薬を診療所全体で一〇〇使うとすれば九〇%ぐらいは買える値段で保険料の支払いをするというところが妥当であろう。しかし病院の場合には一般的に申して診療所よりは現実に安くお買いになっておるのだから、それにはそれに即したような薬価基準を設けることによって保険の支払いの節減をはかっていこうというふうなことでございまして、結局今病院を助けるというお話でございましたが、逆に今までの保険料で払われる薬価と実際の購入値段との間の差を少くするのでございまして、むしろ現実には病院の方にお気の毒な状態になるわけでございます。
  45. 滝井義高

    滝井委員 大病院にメーカーがD価という二割も違う安い値段でやれるものをなぜ診療所にやれないかということなんです。私はここに薬務行政の力を発揮しなければならぬところがあると思う。メーカーが大量にD価で大病院その他にやっておっても、これは利潤があるのです。一割あるいはそれ以上あるのです。まあもう少し原価計算を検討しなければわからぬ、まだ人件費も諸経費も技術料等も分析されていないのですから、これは今から分析しなければならぬですが、それができるものを、同じ公的な使命を持っておる、しかもこの健康保険法改正で締めて締めて締め上げられて、ストップ・ウオッチで原価計算をし、ストップ・ウオッチでその一分間の報酬まで出したあなた方が、こういうところになるときわめてルーズなんです。これは一本立にしなければいかぬ。病院だって診療所だってみんなストップ・ウオッチでやって一緒にしたのだから。何も医者に高下はない。使う薬品に値段の上下があってはならないのです。従ってメーカーがD価で病院にやるなら、当然その値段でいいので、薬価基準なんか三本立にする必要はないと思う。ますますこれは複雑になる。そうでなくてさえも保険事務は複雑で、審査員なんかは困っておる。また今度は病院の請求書と診療所の請求書と薬局の請求書とみな値段が違いますよ。薬価基準が違えば薬の値段が違うからみな請求点数が違ってきます。こんな複雑な状態でも、あなた方は何もしないからいいでしょう。これはもう机の上でやりさえすればいいので、あとは人がやるのだから野となれ山となれです。しかしそんなむずかしい複雑怪奇な事務機構を作ってはいけないのです。医療というものは人間の生命を扱うものです。この前あの簡単な表を出して、だれかやってごらんなさいと言っても、私がやってみましょうという勇気のある人は、並びおったお役人さんの中に一人もいなかったじゃありませんか。そういう複雑なことを平気でお考えになる。それならば私は要請をしておきます。一つD価で全国の医療機関に薬をやるようにメーカーに御交渉願いたい。また薬務局はそれだけの権限をお持ちのはずです。それは国立病院が買っておるのだから。あの薬価基準が出て以来国立病院も困っておる。今井さん自身が、七人委員会があれを出したために共済組合の病院にはスト・マイやパスは去年のように安く売りませんと言われて困ったということが新聞に出ていた。そういう独占的、独善的な製薬企業はこの際鉄槌を加えておかなければ、加えるときがないのです。どうですか大臣、あなたはそれに加える御決意は持っておりますか。三本立の薬価基準を一本にして、大病院、国立病院が買う値段と同じ値段で診療所にもやる、こういうことを一つ決意願わなければならぬ。これは諮問機関の御意見を聞くというが、何も聞く必要はない。今まで独善的にあなた方がやってこられたのだから。一つ大臣の御答弁を願いたい。
  46. 森本潔

    ○森本政府委員 ただいま滝井先生のお話は直接メーカーで売る、すなわちD価でございますが、メーカー価格で保険医療機関に配給してはどうか、こういうことに尽きると思うのであります。この点につきまして七人委員会等の御意見もありまして、実は保険局の方からも要請があり、どういうことになるだろうか、果して可能かどうかということの研究を頼まれまして実は検討してみたのでございます。ところがこれをやりますと、かえって結果的には高くなるのじゃなかろうか、こういう結論を得たわけでございます。と申しますのは、まず方法といたしましてはやはり政府の一括購入、こういうような考え方が出てくると思います。買います場合にはこれは一応メーカー価格で買います。ところが今度はそれを全国の医療機関、これは五万ほどございますが、それに配給するという仕事が残っております。その配給するための経費、それから発送費、人件費その他いろいろな経費を加えますと、結局現実の取引の小売価格と同等の経費がかかる、こういうような結論になって参ります。それから薬の種類にいたしましても、御存じの通りこれは保険に使っておりますのは三千種ほどございます。これを全部あっちこっちのメーカーから買ってやるということは、これはとても事務的にも困難であるという結論が出まして、一応研究はしてみましたが、そういう方法によって安く医療機関に配給するということは困難である、こういうような結論になったのであります。
  47. 滝井義高

    滝井委員 病院にやることができない。病院にはD価でやっておるのですよ。医務局長がいらっしゃるが、国立病院は全国にずいぶんございますね、どういう値段で買っているのですか、国立病院の値段を一つ御説明願いたい。この薬価基準よりかどのくらい安く買っておるか、何をどういうようにして買っておるか、これを一つ御説明願いたい。国立病院は全国的にあります。これはけっこう安く買っておるはずです。だからそれが国立病院で買えておって——国立病院もずいぶん山の中にあるものもある。それを全国の病院や診療所が国立病院よりか高い薬を買うなんということはあり得ない。しかも病院は税金を払っておる。国立病院は無税である。無税の国立病院よりか高いものを医療機関にはやらしておって、それで保険の点数は同じなのです。そんな不合理なことはない。国立病院は何で買っておるのか。D価かC価かB価かA価か……。
  48. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 国立病院におきましては特別に何価ということではございませんで、一々必要な品目について、それからしかるべき品目について一定の数量の購入の公告をいたして、入札の結果価額がきまって参る、さようなことにいたしております。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうすると薬価基準違反ですな。薬価基準を書いておって、そして入札を国はやっておるじゃないですか。そんなことをやっていいのですか。そうならば日本医師会は入札をやりますぞ、いいですか。要するにあなた方で薬価基準としてきめておって、しかも厚生大臣がこれでなければ薬はいかぬと言いながら、全国で何百という病院を持っている国立病院が入札をやっているというじゃないですか。入札をやっていいのですか。それならば地方だって病院が全部集まって入札をやりますぞ。全国で入札でやっていいのですか、それだけ一つ聞きたい。
  50. 森本潔

    ○森本政府委員 薬をどういう値段で買うかということはそれぞれの医療機関におきまして自由でございます。ただ保険で支払います場合には薬価基準の額で支払うということでございまして、購入の方法、値段等につきましてはそれぞれ自由にお買いになってけっこうであります。
  51. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これは薬価基準なんか要らぬのと同じです。今後は薬は自由に各病院でみんな入札をして買います。これなら競争です。だから日本医師会も全国のあれを集めて、その地区々々で郡の医師会で入札をやればいいのです。それでやっていけば、これはもう卸売なんか要らぬことになってしまう。メーカーから直接に買う。だから、それはやっても異議はないということを御言明を得ましたので、一つそういたしておきます。これは重大な御発言をいただいたので、いいです。そこで、いずれ薬価基準に対するもっと具体的な問題は小委員会を作っていただけるらしいですから、そこで詳しくやりますが、とにかく薬は自由に入札で買ってよろしい、こういうことになりましたから、僕らは今後は全医療機関に一つ入札でやるようにしたい、こう思います。
  52. 中川俊思

    中川委員長代理 午前中はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった。〕