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滝井委員 健康保険の進歩向上のためにやったものであるという感じがしたそうでございます。そこでしからば私もう少し具体的にしてみたいと思います。この
改正案を読みまして、これは二つの面に分けて
考えることができると思うのです。まず第一に、精神的な、あるいは思想的な面からこれを見てみますと、これは治安維持法の
医療版だと思います。いわば療養担当者の奴隷化
法案です。この
法案の中に一貫して流れておる思想は、封建的な切り捨てごめんの思想です。お家断絶の思想です。
保険医が悪いことをすれば、文句なしに切り捨てごめん、お家断絶です。なぜならば、それでもう医師免許を持っておっても日本では
医者として食っていくことができない。徳川時代のお家断絶の思想がこの中に流れておる。しかも一方では不当なまでに
保険者の擁護
法案です。
保険者即
政府です。これを擁護しております。
政府はあるときには
保険者として現われ、あるときには
政府であり、監督者として現われておる。しかもその
保険者というものは、水も漏らさぬ立場において守られておる。しかもこれが具体内に厚生行政に現われるときには、どういう形で現われてくるかというと、
医者の身分を扱う医務局というものが、
高田保険局長のもとにおける曽田医務課長になるということです。利用者の目から見れば、こういうものが現われております。これは率直な、民の声として
大臣は聞いていただかなければならぬと思います。さらに具体的にこれを申してみますならば、この
法案は三本の柱からなっております。
一つは
保険料によってこの赤字を埋めよう。
保険料による増収政策です。すなわち滞納取り立ての強化あるいは標準報酬の引き上げというものが、いわゆる
保険料の増収政策、これが
一つの柱です。もう
一つの柱は、弱い一万一千円くらいのいわゆる日本の低所得者階級に一部
負担という過酷な制度を新しく大幅に拡大をして、そこから赤字補填のための収入を得る、いわゆる
患者負担による赤字解消策、これが第二の柱です。さらに第三の柱は、二重指定という、かって見なかった奇想天外の思想というものを持ってきて、
保険医の減少政策、同時に
保険医の監査指導の強化政策をとって、
支払いの減少政策をとっておるということです。この三本の柱というものが、具体的な
法案の柱になっておるのです。究極的には何を志向しておるかというと、
受診率の低下です。すなわち
受診率の低下は、日本の社会保障の後退が、この
法案が
国会を通過するならば、通過した日から始まるということをこの
法案は具体的には示しております。私が読んで、この
法案が特高的な、警察的なニュアンスを感じて、これはもしかするとそういう経歴を持った人が作ったのではないかという疑いを持つのは、具体的にはそういうところにあるのでございます。今私が
指摘した具体的な点から
大臣はどうお
考えになりますか。