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1956-03-16 第24回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十六日(金曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 廣川 弘禪君    理事 薄田 美朝君 理事 松浦周太郎君    理事 松田 鐵藏君 理事 竹谷源太郎君    理事 渡辺 惣蔵君       伊藤 郷一君    荻野 豊平君       加藤 精三君    川村善八郎君       小島 徹三君    瀬戸山三男君       田中 正巳君    高瀬  傳君       二階堂 進君    本名  武君       北山 愛郎君    小平  忠君       芳賀  貢君    門司  亮君       森 三樹二君    岡田 春夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      白波瀬米吉君         総理府事務官         (北海道開発庁         次長)     田上 辰雄君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君     ――――――――――――― 三月十六日  委員笹山茂太郎君、志賀健次郎君、南条徳男君、  橋本竜伍君及び渡邊良夫君辞任につき、その補  欠として加藤精三者小島徹三君、二階堂進君、  高瀬傳君及び荻野豊平君が議長の指名で委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  北海道開発公庫法案内閣提出第六三号)     ―――――――――――――
  2. 廣川弘禪

    廣川委員長 これより会議を開きます。  北海道開発公庫法案を議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。  なお、正力国務大臣は所用のため出席いたしません。高碕国務大臣が出席いたしておりまするので、高碕国務大臣に対して質疑を願います。
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員 議事進行について……。先般開会が予定せられました当委員会は、高碕大臣の行方不明のために、遂に多数の委員が数時間にわたってお待ちいたしましたが、とうとうその日は開会することができないで、やむを得ずそのまま散会せざるを得なかったのでございます。それはどういう事情であったのか、委員会を軽視するもはなはだしきものと思うのでありますが、一つその事情をお尋ねいたしたいと思います。
  4. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先般、当委員会から御要求がありましたときに、私はちようど病院に参りまして、手が動かなくなってしまったものですから、注射をしておったわけなんです。それで、時間もだいぶたちましたが、非常にお待ちかねだからすぐ来いということで、こっちまでわざわざ来たのでありますけれども、入口のところでまた悪くなって、もう一ぺん手をなおさなければならないということで、病院に行ったわけでありまして、まことに相済みませんでした。
  5. 竹谷源太郎

    竹谷委員 御病気ということで、これはやむを得ないとは思いますが、当委員会の方に連絡がない。委員長八方手を尽して探したが、わからないということでありました。病気の点はまことにやむを得ないのでありますが、そういう場合には、十分の手続を尽して、国会審議に渋滞を来たさないよう、特に御配慮になるように希望しておきます。
  6. 廣川弘禪

  7. 門司亮

    門司委員 国土開発について高碕大臣にお聞きしたいのであります。国土開発はいろいろな問題があると思いますが、現在開発されておるいろいろなものが、ほんとうにその開発された目的通りに一体動いているかどうかということが一つの大きな問題であります。今あるものを十分に活用し、これを十分に使用しないで、次への開発に移ろうということは、一つの矛盾があると思う。全国にたくさんの発電に要するダム、あるいは灌漑その他に要するダムを持っております。このダムはできて相当長い年月を経ておる。私の観測によると、すでにダムの十分なる効果を発揮し得はい状態になっているものがたくさんあると思う。これらについて調査されたことがあるならば、その結果を明らかにしてもらいたい。
  8. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 まことにごもっともだと存じます。中途半端でやめるというほど、資本乱費はないわけでございまして、特別、政府事業というものについて、資本乱費が各方面に行われているということは、私ども今度の政府仕事をやりまして、初めて感じる点が非常に多いのでございます。たとえば建設省がやっていること、あるいは所管農林省だという所管の差異によって、あるものは完成しておる、あるものは未完成である。それがために、完全にこれを利用できないという点が非常に多いことを認めたものでありますから、今回経済企画庁においても特別にお願いいたしまして、わずかでありますけれども、五億円という金を調整費として取りまして、各省予算の中で足らぬからできないというふうなもの、たとえば干拓事業でやって、堤防はできており、その堤防有料道路にするというようなことで、道路はできておるが、干拓の方は進まない。また林道は農林省関係でできておる。建設省の国道はできておるけれども、その間に橋がないために、これが通じないというところは、至るところにあるわけでありますから、そういう場合をおもんぱかって、企画庁におきましては、この金を調整費として、実施建設省あるいは農林省に頼みまして、これを調整いたしたいというふうな感じで、進んでいきたいと存じているのでございます。ただいまの御質問のことは私ども一番先感じたわけでございますから、これは着々と実行していきたいという所存でございます。
  9. 門司亮

    門司委員 大体お話の筋はわかりました。今日までこれの調査がある程度行われていると思いますが、調査は全然行われておりませんか。
  10. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 それは現在着々と調査いたしておりますが、調査実績につきましては、開発部長からお答えさせることにいたします。
  11. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま御質問の点は、ダムの堆砂の問題だと思いますが、堆砂問題は電力出力低下になりますので、電気関係の方でいろいろ調査して、印刷物になっているものと承知いたしております。ただいま手元に持っておりませんので、通産省に交渉して必要な資料を整えたいと思います。
  12. 門司亮

    門司委員 五年くらい前だったか、もっと前だったかもしれませんが、一応その関係の諸君に来ていただいて、現状報告を受けたのでありますけれども、そのときに私の聞いた範囲では、憂うべき状態になっている。悪いダムはほとんどその八割が使用に耐えないような状態になっているというように報告がされております。その後政府はたびたび国土開発が唱えられ、いろいろな問題があるようでありますが、過去におけるそういうものがフルに使われないで、先に進もうとしている傾向を持っているので、今お話を申し上げたわけであります。少くとも国土総合開発をしようとするときには、今話されておりますように、電源関係であるから通産省が知っているだろうとか、あるいはこれは建設省仕事であるというようなことでは、将来の総合開発はできないと思う。  総合開発問題についてもう一度長官に聞いておきたいと思いますが、総合された計画については、事業のいかんを問わず、経済企画庁がその衝に当るのか、あるいは今までと同じように、単に計画だけを立てられて、あと各省ばらばらにやられるお考えを今お持ちになっておりますか、それを一つ具体的に明確にしておいていただきたい。
  13. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 計画を立てることはもちろんでありますが、実施各省にやってもらっております。しかしこの成績、結果いかんということには非常に関心を持っているわけでありますから、総合調整をやる以上は、その結果については十分調査する必要があると存じまして、お説の通りに進んでいきたいと存じております。
  14. 門司亮

    門司委員 調査は十分するが、各省仕事はするというようなことになってはいけないと思うので、お聞きしておるのでありますが、やはり依然として今までの方針と変らない。私のところはただ計画調査さえすればいいのだ、あとばらばらにやるのだということでは、せっかく立てられた計画が事実上何もならない結果になる。それから総合的に機能を発揮する時期が非常におくれてくる。一方では施設が老朽してくる。またそれをフルに動かすことのできない事情が片方にあるというようなことでは、国費が乱費される危険性があると思いますので、特に国土開発については、これを統轄した一つのはっきりした役所があって、これが国土開発事業として取り上げたものについては行うのだという一つのシステムがない限りにおいては、現状を持続するようなことになりはしないかと考えるわけであります。従って今の大臣答弁は、やはり従来通りにやるのだ、経済企画庁が全部責任を持ってやるのではないというように解釈しておいてよろしゅうございますか。
  15. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまのお説のような工合に、一括してそういうようなものの計画もし、実施もできるということは非常によいことだと思いますが、現在の機構におきましては、そこまで企画庁がやるということはいたしませんで、先ほどお答え申しました通りに、調査をし、調整するということはいたしますけれども実施各省でやらす。その結果を、さらによく経済企画庁といたしましては検討を加えて調査をするということで、進んでいきたいと存じております。
  16. 門司亮

    門司委員 今までの大臣意見にはあまり賛成はしがたいのでございます。これは普通の各省の従来の事業計画とは違います。建設省の持っておる一つ建設省本来の仕事とは違います。農林省本来の仕事の分野とはおのずからその目的を異にしておるということは、大臣も私は御承知だろうと思う。従って、これがもしおのおのの省に現在のように割り当てられて参りますと、その省にはその省としての一つのやはり目的があり、一つ計画性を持っております。それにさらに国土開発の総合的のものが加わってくるということは、やはり無理が、多少できてくる。そうして意見調整というものが困難になる面が私は必ず出てくると思う。少くともこの資源の非常に乏しい日本が、幸いにして国土開発をやろうというには、先ほど大臣が述べられましたようなことがたくさんあります。これを統一しようとするなら、この辺で思い切って、国土開発というものが一つの大きな推進力になる力を持つ必要がある。そうしなければ、とうてい日本国土開発なんというものは計画倒れになって、実際の効果というものを発揮することは私は困難だろうと思う。今日のように各省がなわ張り争いをして、セクショナリズムでやつておったのでは、とてもこういう仕事を完成することは困難だろうと思う。従ってもう一度私は大臣に聞いておきますが、大臣はいまだにそういう考え方を持っておるかどうか、お伺いしておきたい。
  17. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの御意見は、私は非常に傾聴して、当然この問題についてはもっと検討せなければならぬ非常に重要な問題だと存じます。内地における総合開発と同様に、やはり北海道の開発等につきましても、そういうふうな点についてはよほど考慮せなければならぬということは、私昨年来考えておるわけでありますが、これは十分検討いたしたいと存じておるわけでございます。
  18. 門司亮

    門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、国土開発一つ目的といたしまして実行するには、各種の基礎調査が一応私は必要だと思う。日本現状基礎調査の最も欠けておりますものは、きわめて遺憾ではございますが、地積であります。地積調査としてものは十分なされておりません。従って企画庁においては、この地積調査をどういう角度とどういう方法実施されようとしておるのか、その面がもしおわかりでございますれば、この機会に発表していただきたい。
  19. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 地積調査は私は最も必要だと存じまして、経済企画庁におきましてこれを受け持って今やりつつあるわけでありますが、進行状態開発部長からお答えを申し上げます。
  20. 植田俊雄

    植田政府委員 地積の問題は、国土開発基礎になるものでございますので、二十六年の国土調査法の施行以来、実施しておるわけでございます。何分にも相当の費用がかかるものでございますので、ただいまのところ実績を申し上げて、相当進んだと申し上げるところまでいっていない段階にありますことを、まことに残念に思っておるわけでございます。先日もお話のございましたように、もしも日本の全国土につきまして調査いたすといたしますれば――しかし全部をやる必要もございませんので、荒れ野でございますとか、あるいは森林地帯等を若干はずすといたしましても、全国土面積の三千四百八十三万町歩のうち、千九百四十二万町歩実施いたすとするとしますならば、地積調査だけで三百十四億の金がかかる、こういう費用が要るものでございますから、実施以来遅々として進捗いたしませんことはまことに遺憾のことでございますが、逐次この予算もふえる傾向にございます。と申しましても、三十一年度予算で一億七千万円でございますので、まことに残念でございますが、今後財源の許す範囲におきまして、この仕事は伸ばしていくべきものと考えておる次第でございます。
  21. 門司亮

    門司委員 私は今の答弁を聞いて、はなはだ遺憾というよりも、あぜんとせざるを得ないのであります。日本現状から見ますと、いろいろな問題はございましょうが、少くとも国の地積がはっきりしていないなんということは、私は考えられない。従って食糧計画が立てられ、あるいは話は少しそれるようでありますが、いろいろな自給計画を立てておりますけれども、一体畑がどのくらいあるのか、たんぼがどのくらいあるのか、山林がどのくらいあるのか、原野をどのくらい持っておるのかということが、いまだに明確になっていないのです。国土開発して、国の資源調査して、将来の国の計画経済に持っていこうとするには、少くとも第一になるのは、地積のはっきりした一つ基礎調査というものであって、それが行われなければならない。この上に立って総会言開発というものが行われ、総合経済自主性といいますか、自給性といいますか、それらのものが打ち立てられなければ、私は国の総合計画なんというものは、およそナンセンスだと思う。幸いにして経済審議庁国土開発をしようというならば、まずその点に全力をあげて一応やってみる。大臣は御承知だと思いますが、日本の国では農業センサスをやった。一筆調査をやった。あるいは土地台帳をやった。みな突き合してみましても、どの数字が正しいのかわからないのですよ。みなうそといえば、みなうそであって、みな正しいといえば、みな正しい。これをどれを正しいものだといって裁断することは、できないのであります。今まで長い間の官吏行政で、お上の言いつけだけでやっておった日本行政なら、それでよろしゅうございますが、少くとも民主行政建前の上において日本経済開発をしようとするには、まず国民の納得し得る一つ経済計画というものが立てられなければ、私は正しい計画にはならぬと思う。山林がどれだけあって、ここにどれだけの樹木がはえているのだ、原野がどれだけあって、これをどういうふうに開発するのか、あるいは田畑がどのくらいあって、この田畑からくる、一つ食糧自給計画というものがどの程度立てられるかということの、ほんとうに綿密な調査がこの際行われて、しかる後、正しい意味の国土総合開発というものが私は効果的に取り扱われると考える。ところが経済審議庁だって、今のお話のように予算はとっておるが、きわめてわずかな予算であって、どうにもならぬというお話であります。一体こういうことで、いつごろものができ上りますか。少くともこの感覚からくる国土開発をやろうとするなら、この経済調査が先でなければならぬと思う。あまりにも効果だけを急き過ぎて、そして仕事がすべて中途半端になってくる。これでは将来の国土開発はできません。今のようなお考えでいいのか悪いのか、これをするなら、一体どうふうに改めようとお考えになっておるのか、もしお考えがございますなら、この際一つ伺っておきたいと思います。
  22. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済企画庁におきましては、昨年来経済六ヵ年計画を立てて、一応六ヵ年後の日本経済のあり方についての目標を作ったのでありますが、これに到着いたしますために、いろいろな方面から調査いたしますと、欠陥だらけで、これを完璧なものに仕上げるということは、非常に困難性があると思っておるわけなのであります。その中には、ただいまお話地積調査なんというものも、これは当然一番重要視しなければならぬと思っておる件でありますが、その他にも、日本の国富というふうなものが一体どれくらいあるのだ、こういこうとの調査すらまだできていない、こういう状態でございます。手をつけるべき点は各方面に多々あるのでございます。あるいは地下資源問題等につきましても、これはほとんど私はまだわれわれの納得するように調査できていない、こう思うわけでございまして、いろいろな着手すべき仕事はたくさんございます。これを一ぺんにやるにつきましては、一に予算ということにかかって参りまして、それだけは国民の負担上、急にできない、こういう状態であるわけでありますから、これの許す範囲におきまして、ただいまの地積問題等、重要な点も取り上げて、ない予算の中から三十一年度も相当な金をもらったようなわけでありますが、これは逐次予算の許す範囲におきまして、力を注いで進んでいきたい、こう存ずるわけであります。
  23. 門司亮

    門司委員 私はこの地積調高等の問題については、一つ意見として申し上げて、大臣の御意見を伺いたいと思いますが、少くとも国がこれを行おうとすることはいいとして、またその通りだとして、実際面からしてこれが作用して参りますものは、やはり地方自治体協力を得なければ、私はほんとうのものにならぬと思う。地方自治体におきましても、少くとも今日固定資産税を取っております。これは地積によって取っておる、あるいは上に建っております建物によって取っておる。従って、これらの算定の基礎というものは、単に登記所に登録されたものが市町村役場に委譲されて、それが基礎になっておるというあいまいなことでなくして、何人も納得することのできる、具体的に言うならば、六百分の一の地図くらいは全国の各町村に全部あるという姿にすれば、これは一応私はできると思うのです。従って、経済企画庁だけでこれを行おうとされますならば、非常に大へんだと私は思う。しかし、これは各自治体協力を得まするならば、それほど私は困難な仕事ではないのではないか。もちろん国、地方を通じての予算の面は必要でございましょう。今大臣予算がないからと言われておりますけれども、われわれから考えれば、何もそう大した予算は要らぬと思う。私の考え方を率直に言わしていただきますれば、一年に大体五万人ぐらいの人間で三年ないし五年かかれば、できやしないかという感じがするのでございます。幸いにして、たくさんの人と多くの技術者日本に余っておりまする今日、こういう計画を立てて行わなければ、いつの時代にこれが行われるかということであります。私はそう大きな予算じゃないと思いますので、政府は思い切ってこの辺で余っておる日本技術と労力とをここに動員して、将来の日本の躍進のために、私は基礎的な調査こそは先にまずやられるということが、国土開発の先決の問題でなければならないと考えて、今のようなことを申し上げたのでありますから、これに対する大臣の御意見を拝聴しておきたと思います。
  24. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 今の御意見は、私はごもっとだと存じます。できるだけこれは各省、特に地方自治体というものにつきましてもよく御努力を願い、各省ともよく連絡をとって、できるだけこの人たちに働いていただいて、なるべく早く実行いたしたい、こういう考えて、ただいまの御意見は私は非常に尊重して承わるわけなんです。
  25. 門司亮

    門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、国土開発に対する一つ考え方でございます。この考え方の中には、私はいろいろ問題はあるかと存じます。またいろいろな方法もあるかと思います。しかし問題は、たとえば電源開発をするにダムが必要であるということが一応考えられる。この場合に、電源開発を主として考えるか、あるいは河水統制を先に考えるかということは、この事業の将来に対して非常に大きな問題であります。私どもが、単に電源開発を急ぐことのために、電源開発をやるから河水統制が必要だというものの考え方が正しいのか、あるいは河水統制をやることによって、電源開発が行われるという見方をするのか、これは国土開発一つの行き方として大きな問題だと私は思う。こういうことについての、もし大臣の御意見等がございますなら、一つこの機会に聞かしておいていただきたいと思います。
  26. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 従前の日本河川につきましては、これは電力会社が主としてやっておりまして、電力というものの建前から、川を見ておったのでありますが、これは非常に大きな誤まりだと思います。どうしても河川というもの自体を、もっと大きな面から見なければならぬと思う。今後の一番重要な問題は、河川の水を整理することによって治水をやる、それから治山の問題、それからその水は、電力に使うなんというものは九牛の一毛だと私は思っております。これによって灌漑をするとか、飲料用水を作るとか、あるいは工業用水を作るとか、各方面から河川の水というものは考えていかなければならぬ。特に日本の将来におきましては、電力は原子力によってもかわり得る時期が来るだろうと思いますから、その点におきましては、水というものは非常に重要なものであると思います。日本の持っておりますほんとう資源は何だといえば、雨が多いということなのでありますから、この水を有効に使う、そうして水害を防止する、この方面からこれを検討していかなければならぬ。こう思うわけなのでございます。幸いに大きな電力につきましては、電源開発会社というものができまして、これは政府の資金をもって大体まかなっていくという方針でありますから、電源開発会社開発いたしますこのダムの問題につきましては、ただいま申し上げましたような観点からやるべきものだ、こういうふうな方針で進みたいと存じております。
  27. 門司亮

    門司委員 大体の方針はお伺いしましたが、その次にお伺いをいたしておきたいと思いますことは、日本災害防止に対する一つの大きな問題であります。災害防止は、一面今お話になりました河水統制一つの大きな役割をすることは当然であります。同時に河水統制の必然的な一つの大きな要素として治山があり、山林行政がここに行われることは当然であります。しかし、これのみによって、日本災害防止するという人為を全体的に尽したとは、私には言えないと思う。少くとも災害防止をしようといたしまするならば、そこには気象観測がきわめて重大な役目をしておるということは、大臣も御承知だと思います。国土開発をする場合に、この気象観測大臣はどういうふうにお考えになっておるのか。今日の日本状態は非常に憂うべき状態でありまして、気象観測等につきましては、きわめておろそかにされておる。私は気象観測というものは、単にいわゆる海上の輸送安全その他というようなことでなくして、これは実際は国土開発にもっとも密接不可分の問題である。もし正しい気象観測のもとに国土開発が行われたとするならば、私はある程度その一地方気象を変更することのできる大きな力を持っておるということ、これは大臣も御承知のように、デンマークのダルカスのやった仕事は、それをなし遂げておる。日本のような非常に災害の多い国では、この国土総合開発気象観測というものは、切っても離せない一つの大きな問題だと思うのだが、きわめて遺憾なことには、先ほど申し上げておりまするように、現在の政府はこの気象観測についてはきわめて冷淡な態度をとっておる。大臣はこれらについてどういうお考えをお持ちになっておるか、あわせて聞いておきたいと思います。
  28. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これはもっともなことでありまして、日本災害防止ということは、雨をどういうふうにコントロールするかということでありまして、それがためには、この気象観測は最も必要なことでありますが、ただいま私どもが一番欠陥だと存じておりますことは、かりに雨量にいたしましても、大体山のすその方の雨量はわかっておりますが、山の一番てっぺんの雨量はどれくらいだということになりますれば、これはまだほとんどできていないと思う。こういうことが大へんな間違いだと思っておるわけなのでございまして、山が高くなるに従って想像以上の大きな雨量がある、こういうことも考えなければならぬ。そういうふうな点から考えまして、まず第一に雨量の測定ということからでもやらなければならぬということを、私は非常に痛感いたしておりまして、その点今後われれれがこの方面とよく打ち合せをいたしまして、災害防止のための気象観測、特に雨量の測定ということは、重点的に考えていきたいと存じておるわけであります。     〔「考えているだけではだめだ」と呼ぶ者あり〕
  29. 門司亮

    門司委員 考えておられることは、考えないよりもいいことですが、私どもがこの国土開発を見て参りますと、少くともそういう基礎的なものが、まだ十分に――政府の方ではおわかりになっているものとは思いますが、お考え方としては、はたから見たのでは、お考えになっているとは思えないのであります。大臣がお考えになっているだけでありまして、やはり外にこういうことが現われてこないと、なかなかわれわれは見ることができないのであります。私が今申し上げましたように、少くとも国土開発に対する基礎的の調査基礎的の問題というものが完全に実施せられて、その後における計画が立てられるときに、初めて国の大きな力で仕事ができるのであります。もし、これらのものを怠っておって、そうして、ただ、いきなり仕事をするということ、事業面にのみ走って参りまするならば、それは国費がやがて濫費される一つの大きな原因をこしらえると思う。  一つ道路ができることにも、あるいは一つの発電所ができることにも、一つダムをこしらえることにも、すべて事業にはいろいろなものがついておることは、御承知通りであります。ところが、総合的な計画を立ててやろうとするには、先ほど申し上げましたようないろいろな基礎的な条件が備わって、その上にそういうものが計画されて参りますならば、そういう変な利権と申しますか、おかしなものがついてくるすきを与えないはずであります。今の六ヵ年計画がどういうものか、私よく存じ上げておりませんが、ただ大臣がお考えになっておるだけでは私はいけないと思う。国土総合開発災害防止ということが、五年や十年でできようとは、だれも考えておりません。少くとも五十年なりあるいは一世紀なりの期間がなければ、気象の変更ほんということはできる仕事じゃないと考えておる。ところがその基礎を忘れて、ただ上だけに重きを置いて仕事をすれば、やがて利権の巣になる危険性がないとは必ずしも保証できない。従って、私はこれから先国土開発についていろいろお聞きいたしますまでの順序として、まずお聞きしておきたいと思います。同時に、資料を出していただきたいと思います。国土開発一つの順序として、まず河水統制もございましょうし、資源調査もございましょう。あるいは地積調査等もあり得るし、さらに気象観測等の問題もあり得ると思います。これらの基礎条件に対して、いかなる手段と順序によってこれを行われようとされるのか。もしお考えがございますならば、この際発表しておいていただきたいと思います。
  30. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 仰せのごとく、すべて計画というものは、それを実行する場合に、調査の完璧を期さなければならぬことはもちろんでございますが、えてすると、仕事をあせるために、仕事の方が先に走って調査がおくれる。それで調査も十分せずにやった結果、非常に大きなあやまちを起し、欠損を起すということは、一般に認められていることでありまして、そういうふうなことのないように、できるだけ基礎調査を十分にいたしていきたい、こう存じておるわけなんでございます。総合開発におきましても、そういうふうな問題につきましてはできるだけ基本的な調査をするようにいたしますし、また開発等につきましても、できるだけ調査費を取りまして、たとえば北海道の開発にいたしましても、東北の開発にいたしましても、まず最初調査費を取って調査をやりたい、こういうふうな点で、基礎的の調査をいたしておるわけでございます。基本的の調査のやり方等につきましては、開発部長から御説明を申し上げます。
  31. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまお話になりました国土開発の各種の基礎資料の問題でございます。企画庁開発部で直接いたしておりますのは、ただいまお述べになりました三つの項目の中では、国土調査だけでございます。その他の問題は各省でやっております。たとえば鉱山資源調査でございますれば、海産省の地質調査所あるいは鉱山局の採鉱奨励金に基く調査気象調査でございますれば、運輸省の気象台の方で調査をいたしております。そういった資料をただいま手元に所持いたしておりませんので、どういう調査をいたしておりますかを私の方で取りまとめ、できましたならば、できるだけ早い機会に御提出申し上げたいと存じます。
  32. 門司亮

    門司委員 今の御答弁を聞いてみますと、遺憾に考えるというより、あぜんとした。一体この総合開発は何がなんだかわからぬ。少くとも総合開発というからには、それらの調査資料がまとまっていなければならぬ。農林省がやっているから農林省が知っているだろう、あるいは建設省がやっているから建設省が知っているだろうというようなことでは、実際の仕事ができない。そんなことで国土総合開発をやろうなんて、大それたことを考えるのは、間違いであると思う。これを考えてもらわないと……。ほんとう日本の将来をどうするかという一つの大きな問題ですから、一つのかてですから、またわれわれの観点から申し上げますれば、この機会に言うことは少し早いのでありますけれども国土が完全に開発されてくるなら、食糧あるいは国民の日常生活必需品等に対するある程度の自給策が立つはずである。国土開発が完全に行われると、食糧もある程度自給計画が立つはずである。そういうものが一体どういう形でなされるか。経済企画庁には実際これがなければならぬと思います。仕事は別にして、たとえば河水統制していくということになりますと、さっき申し上げたように、河水統制から出てくるものは、一つ電源が出るでしょう。一つは耕地に対する畑地灌漑の問題が必ず出てくる。この問題は、日本の食糧自給の上において非常に大きな影響を持ってくる。現在日本の畑地で危険作物とされております陸稲は、畑地灌漑が十分に行われるならば、危険作物でなくなってくる。今サツマイモを植えている畑は、ほとんど陸稲になってくることは当然だと言える。これらの調査資料がない、そういう調査をしていないということになると、きわめて危険です。一体何をやっているのです。少くとも総合計画を立てる経済企画庁が、そんなものは各省でやっているから、その集まってきたのでやればよいということでは、一体何ができる。かりにそれを各省でやっているといたしましても、そこには連絡があって、統制されたあなた方の役所がなければならぬでしょう。それを各省にまかせっぱなしにしておいて、経済企画庁が知らないというばかばかしいことで、一体何ができますか。私はそういうことを聞くのを遺憾に考えている。気象などについても、気象台が知っていると言うが、気象台が動いてどれだけやっているか。正しい気象観測をどれだけやっておりますか。これは冗談にわれわれかかるわけにいかぬわけです。少くとも気象観測が行われて、人為的改良が多少行われてくるならば、そこにおのずから出てくるのは、作る作物も違ってきましょうし、あるいは、そこにはえて参ります樹木の上の改良ができるのである。一例をあげて言うならば、つい一週間か十日前の新聞をごらんになればわかると思いますが、日本各地の森林を農林省調査した結果、亜熱帯地ではければ育たないと考えられていた樹木が、秋田県にたくさん植えてあった。これは五年たったって、十年たったって、育ちはいたしません。そういうことが平気で行われている。そういうことも、やはり一つのはっきりした資料があれば、行われるはずはないのである。そういうものについて、ほんとうに企画を立てられる経済企画庁として、今のような御答弁では、われわれこういう問題を審議するわけに参りません。どうなんです、一体。あらゆる資料が一応企画庁にまとまっていて、そうしてはっきりした方向へ進んでいく、われわれは計画だけ立てればよい、あとはどうなろうと向うさんにまかせる、しかもその計画の中の調査各省ばらばらでやっているということになるし――調査といいましても、同じ時期に同じように進めばければならない調査があるので、一つ調査だけ進んでおっても、片方がおくれていれば、それは満足にできない。道路計画資源開発計画というものが同時に行われなければ――資源をどんなに開発しようとしても、道路が完備していはければ何にもならぬ。従って、そういうものは通産省の鉱山局にまかしておけばよい、片方は建設省にまかせておけばよいというのでは、計画なんかできない。少くとも資源開発ができるなら、資源開発と同時に、道路開発というものがついてきているはずである。そういう総合したものがもしあなたの方にないとするならば、これは改めてもらわなければなりません。そういうものについての大臣の御意見をもう一度伺っておきたいのであります。
  33. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく、各省において実行いたしておりますことについて、これを経済企画庁といたしまして、総合開発する上において必要はる資料は、その都度集めておるわけであります。たとえば河川の問題でありますれば建設省資源の問題でありますれば通産省、あるいは気象の問題でありますれば運輸省、地積の問題はこちらでやるという工合に、全体をまとめていきたい、こう存じておりますから、御要求の資料につきましては、ただいま集めておるものにつきましては、これはできるだけ早くまとめまして、御報告申し上げたいと存じております。
  34. 門司亮

    門司委員 私は、一つほんとうに真剣にこの問題を考えてもらいたいと思う。この問題はどうでもいい問題じゃございません。少くとも国土開発をしようとする総合的の一つ計画がなくて、一体何をされようというのです。(「怒りに来たみたいだ」と呼ぶ者あり)怒りに来ているというなら、怒られる方が悪い。何も持っていないじゃないか。少くとも国費を使って国土開発と銘打っておいて、資源開発資源開発通産省がやっておる。道路道路の方で建設省がやっておる。これの有機的の総合性がなかったならば、一体どこでこれがマッチしますか。これはやはり一つのマッチする場所をこしらえておいてもらわぬと――その場所が、私はあなた方がおやりになっている仕事だと思う。だから、あなた方としては、必ず、どこそこの資源開発するにはどれだけの道路が必要であるというようなことが、並行して調査が進められておらなければ、私はものの完成はしないと思う。そのためには、少くとも各省まかせではいけないと考える。やはり経済企画庁がそういうものの企画を立てて、調査を十分する。道路の実際の施工その他については、あるいは建設省にまかしてもいいかもしれない。土木は建設省のことだから、建設省にまかしてもいいかもしれない。しかしその段階に至るまでは、やはり経済企画庁仕事だ。そうしなければ、もののまとまりはつかぬと思いますけれども大臣は今からでも、そういう機構の改革等について、何か御意見がございますならば、一つ承わっておきたいと思います。
  35. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済五ヵ年計画を達成いたしますにつきましては、現存五ヵ年後における日本経済のあり方を見つけ出すということが一つ仕事であって、これを第一にやっておったわけなんであります。これを実行いたしまして、昨年は第一年の経過を見たのでありますが、経過を見ますと、ここに非常に考えさせられる点がたくさん起って参りました。それは各事業につきましても、最後に、一般にいっております鉱工業のうちでも、何の仕事をやるのだ、どういう事業に幾ら出すのだ、さらにその事業はどの地方でやるべきものであるとか、地区別、業種別に、さらにこれに細部の検討を加えていこう、こういうふうなことが絶対に必要であるということを痛感いたしまして、ただいまそういうふうな研究もするとか、あるいは日本経済の動きにつきましては、われわれは何といっても海外の景気によって左右されるので、海外の景気の観測、あるいはまた日本だけの経済開発五ヵ年計画をやっても、東南アジア地区における経済五ヵ年計画等もあり、そういうものとは、どういうふうにつながっていくかというように、いろいろな点からこの経済五ヵ年計画の完璧を期したいというので、やるべき仕事はたくさんありますが、本日御質問の点につきましては、国内の自給度を高めて、国内の資源開発するという点からいたしますれば、最も重要なる点と私は存ずるわけなんでございまして、そういう点等はよく御意見等も参酌いたしまして、これは今後の方針として進んでいきたい、こう存じております。
  36. 門司亮

    門司委員 今の大臣の御答弁を聞いておりますと、どうも何か化けものみたいで、一向わからぬのであります。もちろん日本経済のすべては、資源等も少く、国土が非常に狭いのでありますから、外国との関連はもちろんございます。さらに鉱工業の面についても、後進国と考えられておった東南アジアの今日の進み方というものについては、今までの日本考え方を変えていかなければならぬのは当然であります。同時に、これとどういうふうに見合っていくかということも、経済の総合的のものの考え方としては一応考えられる。従って、大臣経済企画庁長官としてのお考えは、私はそれでよろしいかと思うのでございます。しかし、今問題になっておるものは国土開発であります。国土開発は、とりもなおさず、国内における諸般の自給度をいかに高めていくかということの、一つの自立態勢の問題であります。自立態勢を論じようといたしますならば、そこにはおのずからそういう外国との関連性というものを、国土開発に関する限りにおいては、あまり取り入れて参りますると、これは満足なものができ上らぬと思う。そのときの経済状態によって、日本の国の国土開発するよりも、外国のものを持ってきて仕事をした方が、収支関係はよいものが出てくるかもじれない。しかし、少くとも日本が持っておりまする地積に立脚して、日本の持っておる資源開発することによって、日本国民の生活の安定性の高度化をここに求めようとするならば、国内資源開発は非常に大きな問題になってくる。従って。その目的を達成するために、私は今まで大臣に実は質問をしたのであります。大臣といたしましては、私が申し上げた点等についても、一応了承されたような形ではございますが、しかし、これは了承されたと言われただけでは、どうにもならぬのであります。われわれは、国土開発という問題は、少くとも与党とか野党とかいうものがあり得る道理がないと思うのです。一本の姿でこれを完全に遂行する一つの力とならなければならない。それにはやはりわれわれの納得するように、一つ大臣のお考え、あるいは政府計画を示していただかなければ、そういう考えであっても、その事業だけが切り離されて、何だか浮いたもののようは考え方をすれば、これが一部の人の利益のみを増大するような形に見受けられろようなととがあるといたしますならば、われわれ賛成するわけには参りません。国土開発自体については御協力を申し上げようと考えても、そういう事態がかりにも出てくるということになると、われわれはねかなかこれに協力するわけに参りません。従って大臣は虚心たんかいに、私が先ほどからごく簡単に申し上げた事項について、一つまとめた御意見として、国土開発については、今申し上げたようなことで推進されるかどうかということを、重ねてお話を願いたいと思います。
  37. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私が最後に御答弁申し上げましたことについて、多少混乱をしたような感じがございますから、これをもう一ぺんよく申し上げたいと思います。  経済企画庁でやっておる経済五ヵ年計画というものは、日本の自立経済を達成するためには、どうしてもある程度海外に依存しなければならぬ、輸入に仰がなければならぬものがあるから、輸出というものを根幹に置かなければならぬ、こういうことから、いろいろな点を考慮いたしておりますが、それと同様に、国内の資源開発して、そして自給度を高めていくことはもちろん必要でありますけれども、これも一つであるということ。全体のことを申し上げたのでありますが、国内の自給度を高め、国土開発するということは、経済問題をある程度無視して、あるいは外国から買うものが安くても、これはどうしても実行していかなければならぬという、考えでおるわけなんであります。食糧の自給等におきましても、今後増加する人口等に対しましては、現在の輸入量をふやさないで、国内でこれをまかなっていくということの方針を立てておるという工合で、国内の自給度を高めるというふうな点から、国土を総合的に考え開発しなければならぬということは、十分熱意を持って当っていくわけであります。国土を総合的に開発するということになりますれば、この基本的の調査が完全でなければならぬということは、全く御同感でございます。こういう方面につきましては、できるだけ予算も取りますが、予算ができなくとも、できるだけ各省との連絡をとりまして、この調査を一括して総合的に十分ながめていきたいという考えでおるわけなんであります。その点につきましては、ただいまの御意見と全く私は同感でございます。
  38. 門司亮

    門司委員 この前資料を出していただきたいと言ったのが、まだ出ておりません。それから座談の折に話をしましたら、いろいろむずかしいというような話がありましたけれども、私は執拗に申し上げるようでありますが、この北海道開発の公庫法を出される前提となる一つ事業計画というものがなければ、私がこの前も正力大臣に申し上げましたように、ただ無計画だけで、これだけの金が要るから、これだけの公庫を作りたいのだということになると、やはりそこに必ず金の取り合いが起ってくると思うのです。そこで、これは法律になる際には明確に書く必要はないと思いますが、こういう審議の過程において、どの事業をどれだけ開発したいが、今民間ではこれだけしか開発しておらない、従って、どれだけの費用をつぎ込むことによってこの産業はこういう形になるということぐらいは、明確にしておいていただきませんと、ほんとうに北海道開発の公庫法案というものができ上ったあとで問題を起す原因になると私は考える。従ってそれらの問題は一つこの際、非常にめんどうな調査ではございましょうが、一応そういうものについての目安をわれわれに与えておいていただきたい。と申しますことは、この法律を読んでみますと、中に内閣総理大臣と大蔵大臣が大体所管するように書いてあります。そうして経済企画庁の長官も加わらなければ、北海道開発関係する正力さんも何らの権限のないような法律の書き方になっております。公庫ができたのだから、あとは総理大臣だ、総理大臣は、その下に頼んだ正力大臣がおいでになるから、それでいいのじゃないかというようなお考えかもしれませんが、この問題はなかなかそうはいかぬと思う。もしそうだとするならば、内閣総理大臣の所轄のもとにこういう公庫を設定するということが冒頭になければならぬ。これは法律を読んでみますと、何かわれわれには割り切れないものが実はあるわけであります。従って公庫ができて、その公庫が実際に運営することは、金融関係であるから大蔵省にまかせておけばいいという考えではなくして、これは開発と密接な関係を持っております。従って、そこには自然的に、開発関係のある正力さんが、あるいはあなたがこれを十分監督して、間違いがないように、目的通りにこれが使用されるというようなことが、私はこの際必要ではないかというように実は考えるのでありまして、この前の会から実は資料を要求いたしておりますが、十分な資料が得られません。事務当局はどうなんですか。できるならできる、できないならできないで、一つはっきりしておいてもらって、われわれのこの問題を審議する一つの目安にしたいと思います。
  39. 田上辰雄

    ○田上政府委員 ただいまの北海道開発金融公庫の事業に関する資料の問題でございますが、資料につきましては、先般適地工業の資料だけを差し上げたと思いますけれども、それにつきましては非常に不十分であるから、さらに公庫の具体的な八十億の事業内容に関する資料を提出しろというお話だったと思います。これは、北海道開発公庫の融資対象の方向をこの法律にきめておりますが、しかし八十億の事業内容と申すものは、今後公庫ができ上りまして、そうして民間の各事業が発足いたしまして、それに融資を求められたときに、これに対して融資あるいは出資をいたしあるいは債務の保証をするということでございますので、あらかじめ八十億の資料を提出するということは困難でございます。その点は一つ御理解をいただきたい。事業を直接行うものでありませんで、金融機関でございますので、もしも事業を直接行う場合におきましては、事業を具体的に一々列挙いたしまして、そして予算も計上していくわけでありますけれども、これは金融機関でございますから、お望みになるような的確な資料は準備できないことを御了解願いたいと思います。
  40. 門司亮

    門司委員 了解してくれと言われるのですけれども、金融機関でございましても、目安がないで金融するということになると、取り合いが必ず行われるということであります。目安がありませんから、どこにどう出していいんだか見当がついていなければ、申し込みのあったところにのみ出されて、ここに四つか五つ書いてありますが、これらの諸目的を達することは、私は困難ではないかと思います。だから問題は、やはりあなた方がこれだけの数字が必要だと言われて数字を出されたからには、その数字というものは、偶然に出てくるわけではございません。たとえば腰だめにいたしましても、この事業にどれだけ要るだろう、この事業にはこのくらい要るだろう、ということが総合されて腰だめになっていると私は思う。数字というものは書いたものではございません。必ず積み上げと基礎がなければ、数字は出てこないのでございます。だから、詳しい数字を私は要求するわけではございません。大体の一応の目安というものが私はなければばならぬと思う。従って、私先ほどから申し上げておりますように、法律の中にこれをどう明確に書けとは言っておらない。審議の過程においてそういうものが明らかにされるということが、一つ事業計画を立てて実行することのための目安になるのではないか、窮屈に言うならば、法律にはっきり書いた方がいいのであります。しかし、なかなかそうはいかぬでしょう。私は法律に書けとは申し上げませんが、審議の過程においては、こういう目的に、ここにこれだけのものが大体使われる、ここには大体これだけのものを使えば、こういう事業ができるであろう、これは開発ですから、一つの国の仕事でしょう。単なる金融機関とは違うでしょう。今ある中小企業の公庫であるとか、何とかいうものとは違うでしょう。しかも、これはちゃんと書かれているんだから、一応の数字の目安ぐらいはこの際わかっていませんと、必ず取り合いが起ると思う。取り合いが起って、収拾がつかなくなったら、だれがおさめると思いますか。だから了解をしてくれという話でありますが、私はなかなかそう簡単に了解をするわけにはいかぬと思います。そして問題は八十億でございますが、そのほかに出資金が十億円でございまして、特に資本金の二十倍を限度として北海道の開発債券というものが発行されることになっております。これも国が保障するということになりますと、ここで二百億というものが使えるようにちゃんとできておる。八十億だけではございません。これは公債を発行することができます。そういたしますと、八十億だけではない、二百億というようなものが考えられてくる。そこで問題になりますのは、このあとから出る公庫債というものが私はいろいろな災いをしてくると思う。そこでこの機会に、少くとも、明確な数字とは私は申し上げませんし、またそれで金縛りに縛ろうとも考えておりませんが、一応この事業にこれだけの金をつぎ込むならば、こういう開発ができるであろうというぐらいの、アウト・ラインだけは、ここにお示しにならないと、この法律を審議する上において、問題を将来に持ち越す危険性を非常に持っておりますので、実はお聞きしておるわけであります。この点は、重ねて、私はできるだけすみやかにここに出してもらいたいということを、委員長にもお願いしたい。あるいは資料ができなければ、口頭でもよろしゅうございますが、一応意見をおまとめになって、これだけの金を今日つぎ込むことによって、これだけの開発ができるであろう、これはこれだけの開発ができるだろう。その数字が必ずしも二百億になり、八十億にぴったり合えとは申し上げません。しかし一応企画だけは示してもらいたい。そして、われわれが安心してこの公庫法案が成立するようにぜひしてもらいたい。そういたしませんと、なかなか私の納得がいきません。  それからもう一つ、この機会に資料をお願いしたいのですが、先ほど申し上げました民間その他でこしらえておりますダムの埋まっておる程度は、どの程度埋まっておるのか、ことに、これを浚渫することによってどのくらいの効果が上るかということを、これは建設省に行けばすぐわかると思いますので、この次の機会にでも出していただければ、けっこうだと思います。
  41. 廣川弘禪

    廣川委員長 委員長から要求いたします。  竹谷君。
  42. 竹谷源太郎

    竹谷委員 高碕長官に一つ伺いたいのでございますが、最近伝えるところによりますると、只見川の上流の奥只見、田子倉等の電源開発のためのダムの建設に伴いまして、その下流に設置せられておる発電所において利益が増加をする。ついては、その増加利益といいますか、それを国家が取り上げるか、あるいは上流のダム建設をやりました電源開発会社に出させるかという問題につきまして、これを立法化して、電源開発促進法の一部改正の準備をいたしておるというようなことを聞くのでありまするが、一体これは上流におけるダム建設によって、下流の発電所はどれだけの利益増があるのであるか、またそれをどのように処分しようと今政府において考えておるのであるか、それをお尋ねいたします。
  43. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この問題は、ひとり只見川だけの問題ではございませんが、ただいまは只見川に限定してのお話でございます。これはちょうど私がこの電源開発会社の総裁をいたしておりますときに、いろいろ只見川の開発、田子倉より上流の開発につきまして話し合いがあったのでございますが、御承知のごとく今後開発されんとする田子倉から上流のものは、その建設するのに建設費用が下流のものよりもよけいかかるということは、遠方に行かなければならぬということ、それから規模が大きくなりますから、補償問題等も多くなる、こういうわけでありまして、これによってある一定の水量を確保いたしますと、田子倉の発電所以外の、それより下流のものにつきましては、これは単に発電機だけを増設することによって、その余恵を受けるということは、これは当然の理由でありまして、そこにおいてこの田子倉のダムを建設するについて、これによって起る下流の利益については、両者の間でよく話し合いをつけるということの申し合せがあるのであります。これは当時の関係者である東北電力と、それから電源開発会社と、またこれに関係いたしております東京電力との間に、三者の間の申し合せがあったのであります。そういうわけでありますから、これは両者の間で私は話がつくことだと存じております。従いまして、今度の促進法につきましては、もし両者で話がつかぬような場合には、通産大臣がこれを裁定するというふうなことの原案になっているのでありますが、この問題につきましては、政府としても、党との打ち合せをいたしまして、よくその方針をきめた上において、どっちか進みたいと思っております。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷委員 一体この国の河川の水利の利益というものは、みんな国家のものである。管理者は当該府県になっておるかもしれませんが、国家のものである。これをきわめてわずかな河川使用料を徴収をし、これが当該管理者の属する公共団体の収入となっておるわけでございますが、これらの国家の河川の水利権の使用によりまして得られる利益は、むろん国民にすべて帰属せらるべきだと思うのです。今問題となっております上流におきまして、電源開発会社電源開発をやることによりまして、他の電力会社が下流の発電所において利益を得られるということになりますならば、その利益は法律上いかなる種類のものであるか、不当利得になるのであるか、あるいは当然受益者として公共の負担をなすべきものであるかどうか。いろいろそれは法律上理屈はありましょうが、ともあれ、これはそれらの会社が私物化すべきものでもないし、また上流に電源開発をやりますその企業者といたしましても、上流のために、交通その他の関係から多額の開発資金を要することはむろんでありますけれども、しかしながら、それは国有林であったりなんかして、実際の土地買収の補償費や、あるいは移転補償とか、そのような経費も少くて済む条件のいい面もある。そういう次第で、この会社がまたその利益を独占すべきものでもない。これはやはり国家に帰属すべきものだと思う。そうした際に、これを両者の話し合いだけで、電源開発会社と下流の電力会社だけの間で、その利益を分け合うというようなことは、国民を無視するものではないかと思う。今東北地方は、経済企画庁において、わずか一千万円の金で東北地方開発の各般の調査を行なっておりますが、費用不十分でなかなか目鼻がつかない。こうした開発による利益を、開発のための事業に国家として投ずるために、むしろ、これは国家が電源開発促進法を改正をして徴収をして、河川水利という重大な国家の持っている権利による利益を国家が取り上げて、特にその地方開発の原資にこれをしたらいいじゃないか。一体何ぼくらい下流において利益増がもたらされるのか。只見川について今御質問しましたが、金額を明示されませんでした。およそ何億という金であろうと思う。これを原資にして、その未開発の地帯の国土開発にでも使うならば、まことに合理的な考え方ではないかと思う。この点に関する高碕長官の御意見を承わっておきたいと思います。
  45. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 御承知のごとく、電力の価格というものは、生産の原価の基準によるべきものでありまして、只見川の上流の電力につきましては、先ほど申し上げました通りに、この建設の費用は比較的高くかかる。この高くかかった費用の一部分を下流で負担せしむるということでありますから、利益を分け合うということよりも、電力を安くするということが基本でありまして、それだけ安くなれば、電力料金は下げなければならぬのであります。今の状態でありますと、上流の電力は相当高くつく。その高くつくものをどの程度に下流で負担するか、こういう問題でありまして、利益があるから、その利益を幾らかよこせ、こういうわけではないのでありますから、利益があって安くつけば、それだけ電力料金は安くすべきもの、私はそう存じております。
  46. 竹谷源太郎

    竹谷委員 電力会社炉、コストが安くなったから電力料金を下げる、そういうわけにいかぬことは、雨などたくさん降って条件がよくても、昨年のごときは、電力料を上げて莫大な利益をおさめていることでも明らかである。そうした利益は、会社におさめさすべきものじやなくて、国家が取り上げて、ことにその地方を利用することによって得た利益増でありますから、その地方一般の国土開発等の原資にしたらと思うので、その最後の問題――只見川であれば、東北地方国土開発の原資にして、大いに将来東北地方経済産業の発展に資するというような問題につきましては、お答えがないのでありますが、どういうお考えかお尋ねしたい。
  47. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私は、それは少し行き過ぎだと思います。利益があれば、これは当然利益金としてとるべきものでありますし、そういうふうに利益が上るようになれば、私は、電力料金を下げさすことが先決だろうと存じております。
  48. 廣川弘禪

    廣川委員長 それでは、本会議の懲罰動議の採決終了後、午後四時ごろになると思いますが、それから委員会を再開いたしまして、質疑を継続することにいたします。暫時休憩いたします。     午後三時三十一分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は開会に至らなかった〕