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1956-08-23 第24回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年八月二十三日(木曜日)    午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 青木  正君    理事 三田村武夫君 理事 井堀 繁雄君    理事 島上善五郎君       生田 宏一君    小澤佐重喜君       菅  太郎君    椎名  隆君       中村 梅吉君    古川 丈吉君       本名  武君    山本 利壽君       佐竹 晴記君    滝井 義高君       田中織之進君    原   茂君       山下 榮二君    山田 長司君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   皆川 迪夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   櫻澤東兵衞君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         衆議院法制局参         事(第一部長) 三浦 義男君     ————————————— 八月二十一日  委員森清辞任につき、その補欠として本名武  君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員加藤高藏辞任につき、その補欠として山  木正一君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員田中龍夫君及び福井順一辞任につき、そ  の補欠として中村梅吉君及び生田宏一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中村梅吉君及び生田宏一辞任につき、そ  の補欠として田中龍夫君及び福井順一君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件  選挙の常時啓発費財政措置に関する件     —————————————
  2. 青木正

    青木委員長 これより開会いたします。  公職選挙法改正の問題につきまして質疑を行います。井堀繁雄君。
  3. 井堀繁雄

    井堀委員 太田国務大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、私のお尋ねいたしたいのは、去る二十日からこの委員会調査研究を続けております問題の現地調査の結果に関連いたしまして、公職選挙法実施面に対して責任ある長官答弁を期待して質問をいたしたいと思っておるわけであります。  その質問に入ります前に、わが党の立場を言及しておきたい。それは、さきに、第二十四国会に、鳩山内閣が最も重要な法案として、ことに内閣の運命を賭してという強い決意に燃えて提案されました公職選挙法の一部改正案廃案になりましたことは、すでに周知の通りであります。申すまでもなく、民主政治責任政治でありまして、責任所在を不明確にするところに民主政治というものは絶対に成長できないことは、きわめて明瞭な事柄であります。この意味において、こういう重要な法案がいかような理由がありましても廃案となった以上は、その責任所在を明確にざれることは当然と申さなければなりません。私どもは、その責任処置を今日まで見守って参りましたけれども、その後かなり時日の経過があるにもかかわらず、その片鱗すらうかがうことができないということは、議会政治のため、ことに民主主義理想遂行のために、まことに遺憾なことであると思うのであります。ことに総理大臣並びにこの法案担当者でありました太田長官責任は申すまでもないと思うのであります。本日この問題に言及することについては、われわれはまだ党議の決定を経ておりませんので、いずれ最も近い適当な機会を得て、この問題の所在を明確にして、責任政治を全うして参りたいと思っております。  なお、このことについて他の委員からも発言があるいは行われるかもしれません。もしそういう事態になれば、われわれもまたこの問題に対してそれぞれ主張をいたさなければならぬかと思っておりますが、この委員会招集の目的が、きわめて限られた期間に、そうして限られた問題を提起されての招集でありますから、この問題に対して触れることが適当かいなかについても、まだにわかに判断をいたしかねておりますので、次の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  それは、この委員会は二十日から連日開催されており、これに出席されている政府関係者にわれわれはそれぞれ質疑応答を続けて参ったのでありますが、その内容についてあらかじめ太田長官は御案内のことと思うのでありますが、私の質問を進める意味において承知であるかどうか、この点を念のために伺ってから、次に具体的なお尋ねをしたいと思います。
  4. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の御質問は、先般国会に出しました小選挙制度経過についての政府当路者責任というお言葉でございました。この問題は、衆議院における質疑の中にも、修正されたときにその御質問がございまして、根本的に変るものでないという政府見解のもとに御答弁申し上げました。曲りなりにも修正のもとに衆議院を通過して参議院に参りまして、そうして当時他の法案との関連におきましていろいろの問題の起ったことは、私から申し上げるまでもございません。時間の関係法案は成立するに至りませんでした。この善後処置につきましては、もちろん政府としても十分考えねばならず、また国会組織関係する問題でございますので、党との間におきましても十分なる連絡をとらねばなりません。この措置をどうするかということにつきまして、まだきまっておりませんので、私もあせっておるのでございますが、いずれ政府全体としての考え方と党との考え方のきまった後において、その措置をしていきたい、こう考えております。  第二の御質問につきましては、私が出席できませんことはまことに申しわけなかったことでございますが、その経過につき特に重要視さるべき問題といたしまして、啓発運動のことについてはとくと承知いたした次第であります。
  5. 井堀繁雄

    井堀委員 政府責任追及につきましては、他日党の態度をあらためて決定して、それぞれの処置に出たいと思っておるわけです。本日はこの問題については発言を留保しておきたいと思います。  次に、この委員会経過については報告を御承知のようでありますから、本問題について端的にお尋ねをいたしたいと思います。それは、この委員会で報告されあるいは質疑応答でさらに明確にはなって参りましたし、ことに政府の、公職選挙法できわめて明確に、しかも厳然と宣言をいたしております事柄ではありますが、すなわち第六条と二百六十一条の二の二つ条文に明記されておりますことであります。これは、私が説明を加えなくても、太田長官は十分御承知の次第であろうと思いますから省きますが、ぜひこの明文が単なる法律上の条文として眠るようなことのないこと、これは各地の選挙の結果においても強い要請となり、われわれもこの点を責任を持って果したいと考えておるわけであります。これは常時選挙民政治常識啓蒙宣伝するための規定法律に明らかにされたのでありまして、これはもう条文はきわめて明瞭でありますから、疑義をはさむ余地はないと思います。そこで、その事業も、二百六十一条の二には具体的に列挙されておることでありますから、これもまた論議を要しないところであります。ただ、これを必要とすることが強く叫ばれ、法律もこのことを相当明らかにしておるにもかかわらず、財政的措置が非常に不徹底である。それは二つの点にあると思うのであります。一つ金額の問題においてはなはだしく少額である。それから一つはその扱い方の問題でありまして、これを地方交付金の中に一括して取り扱っておるということは、本法の精神と私は矛盾するものであると思います。当然、ここに明記されておりますように、こういう政府の直接行われるべき仕事に対して、またこういう重大な、民主政治を指向いたします日本の政治組織からいきますならば、選挙民政治常識を向上するための積極的な任務を明確にした以上は、それを遂行するための経費もまた足るだけの経費と同時に、それを適切な方法で支弁すべきことはあまりにも明確であると思いますが、この点に対する政府見解を、太田長官の品を通じて、一応この際明らかにしていただきたいと思います。
  6. 太田正孝

    太田国務大臣 ごもっともなる御質問で、かつ特に財政上の措置が貧弱であるという点についての御指摘は、私も深く考えざるを得ない点であると思います。前年の予算に私が直接関係しないということは、あらためて申し上げるまでもございませんが、この六条及び二百六十一条の二の関係におきましては、御指摘のような非常に大切な常時啓蒙という問題につきましては、府県関係においてやられる仕事と、また、二百六十一条の二の方では、国において財政上必要な措置を講ずるという、国でやるべき分と二つあるのでございます。予算二つに分れておりますが、その地方へやるべき分が交付金の中に入っておるということは御指摘通りでありまして、しかも、入っておりましても、たしか今年度一億円かと思いますが、そういう額が府県におきましてどういうように配分されて行われているかという事実も、事務当局から聞くところによると、はなはだ不満足な点が多いのであります。こういう点につきまして、府県の方でやる仕事に関する問題と、国の直接やるべき問題と、仕事を分けまして、今出しておる命は、双方とも、これだけの事項別に掲げてあるような仕事をするのには、財政的措置としては、ただいま御指摘のように非常に少いと思います。従って、これを予算化するために、私としては万全の措置を講じていきたい、かように考えておる次第でございます。従って、こういう費用にどういう予算をとっていくか、こういう問題につきまして今具体的に事務局をして調べさしておるような次第でございます。現状が非常に少いということにつきましてのこと、及び財政措置をしっかりしなければならぬということについては、井堀委員のおっしゃった通りに私も考えております。
  7. 井堀繁雄

    井堀委員 はっきり御答弁をいただきましたので、私のお尋ねした二つのうちの一つは明確になったと思います。額の問題は明確になりましたので、次にこの扱い方の問題であります。これは、この委員会でもたびたび申し上げたのですが、今日の選挙管理委員会性格、それからその持つ使命のいかに重大であるかはきわめて明確で、長官も御承知だと思う。これをもし地方交付金の形で経費をまかなうというような現状をそのままにしておきますと、その性格をそこなうおそれがある。端的にいえば、管理委員会というものが、選挙を通して公職につく人々からいささかでも干渉やあるいは支配を受けるようなことがありましては、いかに法律独立を保障しておりましても、実質的にその独立がそこなわれる。しかも非常に少い経費で多くの事業を遂行しなければならぬ現状におきましては、その独立性については、特に財政上の問題からも、支配などということについては敵軍に警戒をすべき事柄だと思うのであります。こういう意味からいたしましても、地方交付金のごときものをもつてこれをまかなうということになりますと、御案内のように、今日の地方の首長というものは、知事にいたしましても、市町村長にいたしましても、これは公職選挙法によって当選されてくる人々で、選挙管理委員会にこういう形を存続せしめるということ自体に、非常な危険があると私は思う。こういうものを一掃する意味からも、同じ額でありましても、その交付の仕方は、それぞれの独立性をいささかも妨害しないような形に十分な配慮をいたすべきものであることも、論議余地のないところだと思う。こういう点に対する政府考え方を伺っておきたいと思います。
  8. 太田正孝

    太田国務大臣 府県交付税に一部として盛り込んでおるという問題につきまして、ことに、選挙管理委員会独立機関とし、地位を持たなければならぬという立場から考えますると、非常にむずかしくかつ重大な問題と思います。私といたしましては、地方自治体の建前からいうと、かような金を交付税の中に入れていくのが筋かと思いますが、しかし、一歩誤りまして、使われるところのお金が今御指摘のような独立機関を害するとか、あるいは他の指揮によって動くというようなことがあってはいけないことでございますので、ただいまの交付税の中へ盛り込むという問題と、これを使うにつきまして厳正でなければならぬという問題とは別に考えておりますが、かような意味におきまして、御趣意の点にそむかないように、交付税における配分を考えていきたいと思います。また、国でやるべき部分につきましても、れもまた間違いがあってはいけないのでございますが、何せ今日はたしか五百万円ばかりのほんのわずかの金が出ているだけでございますので、ここに列挙されたる事業一つ選んでも、全国に対しては相当にかかるのでございます。この点につきましても、この選挙管理委員会独立性とそのとうとき役柄を考えまして、間違いのないようにやっていきたい。それにしても、国で出すお金は、もう少し多くなければできないことは、御指摘通りでございます。
  9. 井堀繁雄

    井堀委員 お答えで、ある程度はっきりしてきたと思いますが、もちろん私は地方交付金の中からこういう経費をまかなうことすべてを否定するものではありません。先ほど質問のときに明らかにしたように、二百六十一条の二に列挙しております、国がこうしなければならぬものの経費までが交付金の中から割愛されるという弊害だけは、この際排除していかなければならない、同時に、その金額を増額しなければならぬということについては意見の一致したところでありますが、そういう点に対してなお国の配慮をわずらわしたいと思います。この点に対するお答えをいただきたいと思います。
  10. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉の趣旨によって善処して参りたいと存じます。
  11. 井堀繁雄

    井堀委員 それでは、私の顧問はこれで終ります。
  12. 滝井義高

    滝井委員 今の井堀委員質問に関連して幾分理解できがたいところがありますので、一、二尋ねたいのですが、それは選挙の常時啓蒙に関する経費地方交付税の中に入っておるという点なんです。御存じのように、現在地方自治体は非常に多くの団体地方財政再建法の適用を受けつつあります。そして、五年とか八年とかいう期間は、少くとも交付税に関しても、これを特定財源でなくて一般財源と見て、きちっとした計画現存立てつつあるわけなんです。そうすると、今後われわれが選挙公明を期し常時啓発宣伝を行うということになると、これがひもつき財源であるならばとにかく、現在交付税一般財源として見られておる限りにおいては、交付税で与えられたものを、選挙公明を期するための常時啓発費用として自治体はなかなかとりにくい情勢にあることは、これはもう自治庁長官十分御存じのことだと思うのです。そうしますと、ここで、選挙費用というものは、大体どういうところまでが国の委託というか、委任事務であり、どういうところまでが市町村固有事務なのかという限界が、ある程度明日になってくることが必要だと思うのです。たとえば、私たちが常識的に考えてみると、府県なりあるいは市町村白粘体自身議決機関を選ぶところの経費というものは、一応自治体固有事務費であるという形がはっきり出てくる。それから、国会——参議院衆議院選挙というものは国の委任事務である、こういうように、何かそこにきわめてわかりやすい形で筋を引いてくると、はっきりするのです。実は、自治法選挙に関する経費は、どこまでが国の委任事務なのか、自治体固有事務なのか、これが自治体の中でどうも明日になってこない。御承知のように、選挙管理委員会行政委員会なんです。そうすると、自治法の中の別表を調べてみましても、別表の三だったかと思いますが、これは都道府県選挙管理委員会が管理しなければならない事務という中に入っておりますけれども、府県固有事務の中には、法律的に見ても、選挙のことに関することは何も入っていないのです。こういう点をだんだん追及していつてみますと、地方自治法の中における事務区分というものが、どうも見れば見るほどわからなくなってくるのです。こういう点についてもっと明白に割り切っていくと、自治体の金を出すのにも出しいいし、国もまた、この委託費というか、そういうものを自治体に与える場合に、非常に明白になってくると思う。そういう点を自治庁長官としてどういう工合に割り切って考えておられるのか。今いろいろ抽象的な井堀さんに対する答弁があったのですが、これは、具体的に、やはり大蔵省予算折衝をするような場合、そういう理論的なはっきりした根拠がなければ、大蔵省も出し得ないという段階ではないかと思うのです。そういう点は、私もちょっと調べてみましたが、わかりかねるのですが、もっと明白に御答弁いただければ教えていただきたいと思います。
  13. 太田正孝

    太田国務大臣 選挙事務は国と地方両方でやっているような関係で、衆議院議員選挙は国の費用でありますが、選挙管理委員会費用地方費用になっております。そんな点が非常にからんでおりますが、いわば公明選挙及び適正に行われるようにという選挙につきましては、共管というか、国と地方両方でやっておることになっております。これは公正なる選挙、適正なる選挙という選挙そのものの全体的のことでございますから、この仕事を、二つに、地方でやるべき部分とまた国でやるべき部分と分れたように考えられますが、今までのところは、ここにどっちとも分けずにやっておるのでございまして、ただ、経費として国でやるべき部分と、地方交付税の中に入っている金額とに分けておるのにすぎないのでございます。  なお、事務的のことにつきましては、選挙部長から詳しく御説明申し上げさせることにいたします。
  14. 兼子秀夫

    兼子説明員 ただいまの大臣お答えで大体御了承を得たと思うのでありますが、選挙管理委員会は、御承知のごとく、地方自治法の第百八十一条以下の規定地方団体機関になっております。従いまして、選挙管理委員会の必要とする経費は当然地方経費で、その財源地方財政計画で見るわけでございます。ただ、選挙管理委員会がやります仕事につきまして、御承知のごとく国選挙衆議院議員選挙参議院議員選挙、さらにそれに付随いたします仮面裁判所裁判官国民審査事務等がございますが、これは国の仕事でございまして、地方にそのつど委託をする委託費の形で経費を流すことに相なっております。啓発費につきましては、ただいま大臣の御答弁通りと考えます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 一応の区分はわかったのですが、その啓発費といっても、公明選挙と抽象的な形で出せば、参議院選挙衆議院選挙、あるいは都道府県知事なり、あるいは市町村長、あるいは議会選挙という一貫したものになるわけです。しかしながら、そこにある程度の政策的なものまで加えて特定の日に行われる選挙重要性というようなものを啓発しながら、同時に棄権を防止するということになりますと、これは、国の選挙地方自治体選挙とは、きわめて違った状態が出てくるわけです。そうしますと、一般財源という形においては、これは自治体が自申に使ってもいい。選挙に出す必要はない。従って、自分自治体のときには、なるほど、公民館その他の社会教育機関が、非常に自分の郷土の選挙だということで立ち上る。そうすると、やはり、それに比べて、参議院衆議院選挙になると、その点は薄くなってくる。そうしますと、経費の出し方も違ってくるということは現実なんです。そういう場合に、これはやはりむしろ交付税という形でなくしてどうせ国の選挙に関する事務というものを委託費の形で出すならば、それにつけて同時に啓蒙費も出す方が筋が通つて、また自治体でも、そういう金をもらえばやらざるを得ないことになる。だから、啓発費というようなものも同時に交付金というものでやっておるということでなくて国の選挙に関する限りは、委託費という形でぴちっと啓蒙宣伝費も出す方が、私は筋が通っていいと思うのです。また、大蔵省にその経費を要求する場合にも、はっきりしてくるのではないか、共管という形でない方がいいのではないかという感じがするのです。
  16. 兼子秀夫

    兼子説明員 お答えいたします。現在、国の選挙がありますときには、国からその経費地方団体執行費委託するわけでございますが、そのうちには、約一億円の啓発宣伝費が組んでございます。これは選挙のつど出しておるのでございますが、ただ、これは選挙費でございまして、性質上は選挙告示になってから使い得る金でございます。今問題になっておりますのは、選挙のないときにそういう啓発指導を行う必要があるのではないかということから、選挙法の第六条に常時啓発規定がされておることと思うのでありますが、選挙になりましてからは、十六億ないし十七億の選挙費のうち、約一億円は常時啓発費府県及び市町村に対して入っておるのでございます。そのほかに、この前の衆議院選挙につきましては、選挙投票日が二月二十七日でございましたから、その二十五日前ですか、選挙告示がなされます前、十二月から特に宣伝啓発をする必要があるということからいたしまして、これは特に予備費から約三千五百万円を地方啓発費として委託をしております。それから、今般の参議院選挙につきましては、選挙告示前の啓発指導費としては、約二千万円を委託費として出しておりますが、それだけでは選挙のすぐ前からモーションを起すものでありますから、そうでなくして、常時に啓発をする。その財源がなくて、地方団体としては、選挙管理委員会としては動けないということが地方側の訴えであることは、御承知通りであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 少し私の言葉が足らなかったのでございますが、実は特定選挙が行われるごとを目当てにして、国がその中に啓蒙宣伝費を同時に織り込んでいることは承知しております。そのほかに常時啓蒙費というものが交付税の中に織り込まれておる。それは一般財源になって、実際に地方を回ってみて国の選挙に対する啓蒙が普通のときに行われておるかというと、ほとんど行われていないといっても過言ではないのです。そうしますと、これは交付税でやっておるからそうなる。ところが、毎年その選挙のときに行われる、ことし一億ですか、そのほかになお常時啓蒙費としてそれにプラス何ものかをやっておれば、地方自治体としてはやらざるを得ない形になることは当然なんです。また、あなたの方の自治庁としても、これを大蔵省に要求するときに筋が通ってくる。ところが、現在は、大蔵省自身にしても、大体選挙の常時啓蒙というものは、ほんとうに国の委託事務なのか、それとも自治体固有事務なのかということについて、明白な答えを出し得ない情勢にあるからこそ、なかなか出し渋っておるわけです。だから、そこをきっちり分けて常時国の選挙に対する啓蒙というものは委託費として出すのだという方針がはっきりしてくれば、交付税の中からそれだけを差し引いても、国の宣伝自治体もやらざるを得ない形になってくると思います。そういう点、共管というよりか、もっと明白にした方が今後の取扱いの上で筋が通る、そういうことを私は実は言いたかったのです。ちょっと言葉が足りなかったのですが、そういう意味なんです。それと申しますのは、公職選挙法の二百六十一条の二を見ても、これは列挙事項が非常に広範なんです。従って、これらの広範なことは交付金でやっておるのだからやりたまえといっても、なかなか今の地方財政の苦しい状態から絶対にこれはやり得ません。その点少くともひもつき財源でも明示してやるということが必要なんです。それができるかどうか。
  18. 太田正孝

    太田国務大臣 結局問題は常時の啓発問題でございますので、御趣意の点はよく考えまして、今の共管制度を国一本でやるかという問題につきましては、私ももう少し調べたいと思いますが、結果的に見まして常時啓発運動をやっていかなければならぬ、こういう趣意におきまして、この問題を処理していきたいと思います。     —————————————
  19. 青木正

    青木委員長 三田村武夫君より発言を求められておりますので、この際これを許します。
  20. 三田村武夫

    ○三田村委員 この際、選挙の常時啓発費財政措置に関し、本委員会において決議をされたいと存じます。  まず、決議の案文を朗読いたします。    選挙の常時啓発費財政措置に関する件   民主政治の確立は、選挙の公正を確保して、国民の国会に対する信頼をうることがその前提条件である。   このために公明選挙運動が多年に亘つて行われてきたが、選挙界の実情はなお満足すべきものということはできない。   選挙の自由と公正を期するための啓発運動は、常時かつ組織的に行うことによつて、はじめて全国民に浸透しよくその目的を達成しうるものである。   このような見地から、選挙管理委員会は、選挙重要性を解明して国民に民主政治の真義を知らしめるため常時啓発に当るべき義務を課せられており、これが費用については、国は、財政上必要な措置を講ずべきものとされている。   しかるに、現在その財源は極めて貧弱にして最小限度の経費さえ期待することが困難な実情にあり、また選挙管理委員会は非常勤の委員をもつて構成され、かつ事務局組織も弱く、この負荷に堪えがたき状況である。   よつて政府は、選挙管理委員会の機構の強化を図るとともに、常時啓発のための所要経費は、地方交付税として格段の措置を講ずるとともに当然国の負担すべきものについては委託費として地方公共団体交付し、もつて都道府県及び市区町村の選挙管理委員会の活撥な啓発運動を促進し、民主政治の健全な発展を期すべきである。  以上であります。  簡単に趣旨説明をいたしたいと思います。  本月二十日以来、当委員会におきまして、先般行われました地方実情調査の結果の報告が行われ、それに基いて各委員諸君から活発な御意見が開陳されました。そこの中で、いわば中心の課題ともいうべき、今ここで朗読いたしました常時啓発費についての地方の実情が詳しく述べられたのであります。御承知のように、選挙事務というものは、ただにその当面の選挙に当ってのみ重要であるだけでなくて、民主政治の本義を貫くためには、どうしても国民の政治意識の高揚ということが前提条件になることは、申すまでもないのであります。そういう意味からいたしますと、現在の行政機構の中において、選挙管理委員会が持つ使命、任務というものはきわめて重要であります。ところが、実際現地について見ましても、その財政的措置がきわめて貧弱であります。また機構の面においてもきわめて脆弱であります。こういう形において選挙公明あるいは自由を期することは非常に困難ではないかということを、われわれは感じてきたのであります。  そういう趣旨からこの提案をいたすのでありますが、御当局の御説明通り、昭和二十九年度以来、常時啓発費として地方交付税の中に組み込んであります予算が一億あるようでありますが、調べてみますと、この一億の中で、都道府県の分として実際に選挙委員会に配分された費用は、二十九年度は二千六百五十四万円、三十年度になりますと一千八百七十七万円、三十一年度は一千八百八十万円になっております。これに市町村の分が加わりましても、おそらくはこの組み込んだ一億の五〇%も実際は使われていない実情であることがわかりました。これはきわめて貧弱でありまして、私が参りました福井県のごときは、年間を通じて選挙委員会交付される経費は二十三万五千円でありまして、何もできるはずはないのであります。こういう貧弱なことでは、期待されるもののみ多くて、得る効果はきわめて薄いということは、申し上げるまでもないのであります。そういう趣旨から、一つ、この際は、政府特に事務管掌の衝に当られる自治庁においても、勇断一番この常時啓発に必要な経費についてはお考え願いたいというのが、この提案の趣旨であります。  ただいま井堀委員滝井委員からの御発言もあり、御意見も伺いましたが、地方交付税の中に組む組み方も、ある程度行政措置としてやむを得ないかもしれません。また、選挙啓発宣伝というその行為自体が、どこまでが国の事務であって、どこからが地方公共団体仕事かということも、なかなか区分は明確にならぬと思います。自治体の構成もすべて選挙によって行われるのでありますから、自治体自身の負担すべきものもありましょうが、御承知地方財政の困窮を告げる今日、交付税の中に一括これを入れますとこれはやむを得ないかもしれませんが、目の前に必要性を感じない選挙啓蒙運動なんということに費用が使われるのでなくて、弱い選挙委員会なんかに金が回るのでなくて、必要な経費ですら赤字の補てんとかいう方に回りがちでありますから、そういう点は、やむを得ず、地方交付税の中に入れられるものも区分を明確にして、他に流用されないように考慮されると同時に、その額についても格段の御努力を願いたい。それから、国の負担すべきものは当然国の費用としてこれを計上し、委託費として明確に他に流用されないように、これを行政的措置をしていただきたいというのが、本決議案提案の趣旨であります。  以上、簡単でありますが、趣旨を申し述べ、同僚委員諸君の御賛同を得たいと思います。
  21. 青木正

    青木委員長 ただいまの三田村君の提案に関して御章見があれば、発言を許します。——別に御意見がなければ、三田村君提案の、選挙の常時啓発費財政措置に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  22. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認め、三田村武夫君提案の通り決しました。  本決議の取扱いにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  23. 青木正

    青木委員長 引き続き質議を行います。島上善五郎君。
  24. 島上善五郎

    ○島上委員 太田長官にお伺いしたいのです。私ども先般参議院選挙の実施に関連して地方へ出張して調査をいたしましたが、その結果、現在の公職選挙法に幾多改正を要する点を発見したわけであります。ところで、私、日ははっきり記憶しておりませんが、たしか参議院選挙直後だったと思いますが、太田長官の談話として、参議院選挙制度の大幅な改正をいたしたい——もちろんその中にはいわゆる全国区制の問題も含めてですが、改正をしたい、そのことを選挙制度調査会に諮問する、さらに選挙制度調査会は委員の任期が満了になったのを機会にこれを改組する、すなわち、選挙制度調査会に政党側の委員を従来入れておりましたのをやめて、いわゆる学識経験者のみをもって構成したい、このような趣旨の談話が発表されております。これはきわめて重大なことであります。参議院選挙制度の区制を含めた大幅な改正ということは、現在の公職選挙法の重大な改正になりますことは言うまでもありません。また、選挙制度調査会も、発足以来政党側からの若干の委員を加えて、ともかく運営して若干の成果を上げて参りましたが、この機会に政党側の委員をやめるということも、これまた選挙制度調査会自体の大きな改組になるわけであります。改組になるばかりではなくして、このような重大な問題に対して政党側の委員を除外するということは これまた非常に重大な問題を含んでおる。言うまでもなく、政党は選挙を通じて成長発展するという機会に恵まれておるのであって、選挙制度については政党自身が重大な関心を持っており、かつ幾多の経験を通してそれぞれ意見なり抱負なりをも持っているわけです。このような調査会から政党の委員を除外するということ、これ自体も非常に重大な問題で、私は、この中には、政党を軽視する、あるいは政党を否認するという思想さえ含んでいるのではないかとおそれる。そこで、私は、こういうような重大な談話は、太田長官自身の考えとして出されたのではなくて、おそらくは政府全体の考えではないか、こう想像するわけであります。もし政府全体の考えであるとするならば、この際、今言った参議院選挙区制の改正を含めた参議院選挙制度の大幅な改正に関する政府の大体の構想、並びにこれに関連して選挙制度調査会を改組するというその理由、根拠といったようなものに対して、太田長官の考えを伺っておきたいと思います。
  25. 太田正孝

    太田国務大臣 島上委員からの御質問に対してお答えをいたします。  私の新聞記者の方々に申し上げたことと、実際に出たことと、少し違っている点もあるように思います。私の考え方は、参議院制度そのものについて、世間にいろんな改革意見と申しますか、あるいは疑義を持っているお方が相当あるように思います。あるいは全国区の問題ですとか、あるいは選挙そのものに対する問題ですとか、いろいろございます。しかし、これを改正するにつきましては、憲法に触れる問題もあり、憲法に触れざる問題もあるかと思います。こういう意味におきまして、もしこれに手を加える場合においては、委員会にかけるのが至当であるということは、私は参議院における小選挙制度質疑のときにも、明確に速記録に残っておるように申し上げた次第でございます。問題の一番重点になる島上委員の言われたのは、五月二十八日に選挙制度調査会の委員の任期が満了しております。従ってこれを新たに作るにどうするか。この点につきまして私は議員をやめるということまでは申しません。私の考え方としては、どうも調査会で決議をすると、一応の拘束を議員も受けるじゃなかろうか。ここに私は非常に疑義を持っているということを申し上げたのです。従って、これをもし新たに作る場合に除くという場合におきましては、議員全体の、すなわち与党と野党との考えを聞いた上でなければこれはきめられないと思っております。まだ与党の方にもそのことを申し上げておらず、社会党の方にも何も申し上げておらぬような次第で、私はただ調査会というものが一つの拘束力を持つ限りにおきましては、これは国会でどうせ議論する問題だから、議員の方が入るがいいか悪いかは問題になろうということを言ったので、政府がきめたことはもちろんございませんし、私がそういう疑義を抱いたというだけで、もしこれを実行する場合には、議会側の今までの関係がございますし、よく意見を聞いてからにしたい、こういうので、別に深い——問題は大きな問題でございますが、私の言った意味はそういう意味でございます。ただ、調査会にかかりますと、どうしてもある意味の拘束を受けます。むろん議員としては別でございますが、調査会に出られたという立場からいたしまして、国会における問答においても、調査会では決議されたが、自分は反対であるというようなお言葉もあるし、また、その中の一部分につきましては、どうしても納得ができないというようなお言葉もあるが、それなら、いっそ、どうせ国会で議論しなければならぬ、御審議を願わなければならぬ問題だから、そこに私はどうしたもんだろうというようなことを言ったのが、私の趣意でございます。政府が相談してこのことをきめたとか、政府全体の意思だということは断じてございません。また、この問題を処理するにつきましては、党の考えを——党という意味も、今までの関係から見まして、与党野党を問わず聞くべきものである、こう考えております。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
  26. 島上善五郎

    ○島上委員 新聞記事と多少の食い違いがあったということ、今の御答弁で事情は大体わかりました。選挙制度調査会へ出ますと、政党の委員も一応の拘束を受ける、こういうことで、自分としてはどうかと考えておるということでしたが、これは、今後政党——与党、野党とも相談して正式におきめになるということですから、それでけっこうですが、ただ、この機会に二審申し上げておきたいことは、選挙制度に関しては、政党が重大な関心を持っておる、さらに言うならば、利害関係を持っていますし、研究もしておりまするし、それぞれ抱負、方針等もあるわけですから、どうせ国会で審議する問題だから、政党の委員は入らぬ方がいいということは、それも一つの考えかもしれませんが、私は逆であろうと思うのです。拘束を受けるというよりは、むしろ、自分たちが委員として参加して、政党の意見も十分に反映して、練り上げたものに対しては責任を感ずる、こういうことの方が適当であろうと思います。そうして公正な第三者の学識経験者も入って、十分練り上げたものを、国会で、さらに国会立場から十分審議をする、そういう関連性を持たした方がよりうまくいくのではないか、私はむしろそういうふうに考えておる。それは、昭和二十六年ですか、発足以来今まで選挙制度調査会がやって参りました事実に徴しても、そういうことは言、えるのではないか。与党及び野党と全く関係なしに、関係のない場所で、第三者の学識経験者がやって、それを全然また新規まき直しで別個の立場から審議するということでは、必ずしもうまくいかぬのではないかというふうにさえ考えられるのであります。特に、私は、そういう政党を除外するという考え方の中に、政党を軽視するとかあるいは無視するとかいったような考えが多少でもあったり、そうい誤解を世間から受けたりすると、これは重大な問題になろうと思います。せっかく日本の政党が徐々に健全な発達の道をたどって、二大政党がこれから健全な発達を遂げようとしている際である。しかし、一方においては、政党を軽視するとか無視するとかいったような傾向もないではないので、この改組を機会に、政府みずから政党を軽視する、無視するといったように、世間から解釈される、誤解されるようなことがあってはなりませんので、この点は十分注意して、今長官答弁されたように、与党野党とも十分相談の上、一つきめていただきたい。思いつきのようにこれを朝令暮改することのないように、一つ御注意願いたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 関連して。今の長官の御答弁で、少しく私どもの参考意見を申し上げて、御考慮願いたい。  二つあるのですが、一つは、今のようなお考えで、議員がこういう中に入ることは後に拘束を受ける心配があるからといった心配、一応それを正しいとしますと、もう一つ考えなければいけませんのは、少くとも、直接または間接には、政府の意図というものがこの調査会に反映する道を必ず講じておる、今後も講ずるようになるだろうと思います。そうすると、政府を通じて、一方の与党の考えだけは間接にこの調査会にある種の反映ができる。野党の意思だけは反映できない。ですから、長官の言ったことをもし正しいとしても、そういった形をとると、かえって、後段の方では今言ったお考えが持たれておるが、前段の方では一方的に与党の側の意思だけがどうも通じやすい形というものをわれわれは心配します。ほんとうの意味の公平という形からいうならば、やはり議員が参加するという形で改組するか、ないしは、もし長官の考え通りに実行される場合でも、その面に関しての方途を講じないと私はまずいと思うのが一点。次に申し上げたいのは、問題は、やはり、そういった構成だけでなくて、選ばれる委員をどうして選ぶかというところに、与野党ともに謙虚に話し合って、公平な意味で野党、与党の意思を通じたものが、あるいは選んだものが委員として人選されるということの方に、ウエートが置かるべきだと私は思う。さきの調査会の審議経過等に徴しても、われわれの主張した記録等をごらんになるとわかるのですが、委員の構成あるいは委員個人の性格そのものに対しても、野党としてのある種の非常に大きな不満があり、意見が出てきておる点に徴しても、今後の委員の人選というものには、むしろ、さかのぼって与野党が謙虚に話し合い、与野党ともに満足のいく、これなら公平か、あるいは公正な学識経験者だというものから選ぶということに重点を置いて考慮をはかるべきだ、こういったことを考えております。
  28. 太田正孝

    太田国務大臣 原君にお答え申し上げます。  第一点の問題は、島上委員から言われたこととも関連を持っていますが、私も、政党軽視などということは、政党人としていやしくも考えたことはございません。また、原委員の言われる、かりに議員が入らないとするならば、与党と野党との差別がつく場合が起るじゃないか、こういうお言葉でございますが、私はまだこのことをきめたのではございませんし、またかくのごときことはあるべからずと思っております。他の一般の委員会におきましても、政府案として取り上げるときには、政府責任を負わなければならず、厳正なる態度をもってやらなければならぬと思います。私の言った考え方というものは、決して民主主義を暴戻するとかあるいは与党野党の区別をつけるとかいう意味で申し上げたのではございません。  第二の委員の人選につきましては、特に議員関係については、各党の御意見によってきめるのでございまして、私どもは希望がましきことは一切申さぬつもりでございます。ただ、人数はこのくらいな点というようなことを申し上げまして、与党野党それぞれの人選は全然その党にお願いする次第でございます。もちろん、参議院の問題になって参りますと、現在も参議院議員はごくわずかしか先般までの調査会には入っておりませんですが、そんな点も問題の一つになろうかと思います。とにかく党でお願いして人選をしていただくので、その人選については、私どもはかれこれ申したくない、いわば党で出したまま受け入れたいという気持でございます。その方が、党自体における統制の上からも、一般的に政党の立場というものがはっきりして参りますので、さようにいたしたいと思っております。今までもそのようなことはないと思っておりますが、もしあったとしたら、必ずそうしたいと思っております。
  29. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 先ほどの大臣の御答弁では、議員が出ておると、何か拘束されるようなことにもなるし、むしろ、議会でどうせ論ずることだから、そのときに論ずればいいのだ、なるべく議員は入っていない方がいいのじゃないかというような疑問が起きたというお話でございますが、しかし、この答申案が一たん出ますと、その答申案に変更を加えることは、それ自体が議会人の党利党略であると見られるととは必然だろうと思う。ところが、ここに調査会が開かれて、さて、その調査会の入々が、政党人の、また政治運動の内容を十分知悉しておればいいのでありますが、学者先生たちの御意見などというものは、往々にして空理空論です。実際机上でりっぱな理論だと思っても、実際やってみたら大へんな変な結果が生まれて参りますことは、お互いがもう多年経験しております。われわれ実際家が、実際において、これもやっちゃいかぬ、あれもやっちゃいかぬ、こうもしなければいかぬ、ああもしなければいかぬというので、選挙ごとにいろいろ苦心をいたしましていろいろ改訂をいたします。ところが、今度新事態が生まれますと、とんでもない逆なことが生まれるのです。実際家がやりましてさえそうでありますから、学者先生たちがお考えになったことに、実際の政党のあり方や政党八の実践綱領に即しない面の現われておるのは当然のことであります。ところが、政党入が出て参りませんと、それを言う機会がございません。政党人が出て行かないで何の意見も吐かないうちに、学者先生でそのことをきめる。実際に即応しないものができた。ところが、今度議会に出てきてそれを私どもが変更したということになると、政党人が党利党略のためにそれを変更したということになる。これでは大へんでありますから、むしろ、議会人が調査会においてよく意見を述べて、答申案を出すときに、何と申しますか、非難のない公平な答申案を出してもらって、国会に参りましても、そんなにめちゃくちゃな変更を加えなくても通るような姿にいたしておきますことが、むしろ国会のためにもいいのではないか、私どもはかように考えざるを得ないのであります。議員が拘束を受けるから、むしろあとで国会で新たに論じたならばいいのではないかという御意見は一応ごもっともでありましょうけれども、逆に、国会において新しい意見を出しても、それは国会入が党利党略のために変更をしたなどと逆論されることを考えますならば、むしろ、調査会のうちに、ほんとうに実情に即するように、議会人の意見をも取り入れておく方がいいのではないかと考えますが、いかがでございましょう。
  30. 太田正孝

    太田国務大臣 全部御意見私賛成でございます。結局するところ、選挙制度について一番身をもって知っているのは議員でございます。従って、その意見をたつとぶべきことは御指摘通りであります。ただ、その運営についての問題につきましては、どうも学者だけでやると間違いが起るとか、あるいはそれに筆を入れたら党利党略と言われるとかいう問題が起りますが、とれも、運営よろしきを得れば、そういうこともないと考えます。従って、調査会を作る場合に、たんのうなるお方々を入れるべしという御意見と、それから、調査会を運営する場合において、これたらごもっともだと言われるような、落ちつくような方向においていくベきであるということの御意見は、私も賛成でございます。
  31. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 なお、先ほど原君からもおっしゃっておりましたが、その調査会の運営委員の選任につきましても、どうしても政府が選任なさるのでございますから、政府が案を作られるのでございますから、政府に最も近い人を多く選ぼうといたしますことは自然の勢いでございます。それは、いかに公平でございましょうとも、この自然の力というものを排除するととはできない。どうしても、ここに、自民党が天下をとっております以上は、自民党側ときわめて密接な関係にあります人々の顔がすぐに頭に浮んで参りますことは、これはもう自然の勢いでございます。社会党でけんけんがくがく論ずるような者はなるベくこれをのけておいた方が、何といいますか、むしろいいのではないかという、自然のそういったような気分というものは、心の中から取り去ろうとしてもできるものではございません。酒のきらいな人に、酒を好きな気持になって飲めと言っても、なかなかできません。太田さんはりっぱな人だから、酒はきらいであっても、飲めと言ったら、よし、うまい酒だと言って飲むかもしれませんが、酒のきらいな人は、なかなかそううまいと言って飲めるものではございません。いやな人を持ってきていい酒だと言ってものめるものではございません。自然の勢いというものがありますから、政府側が人を選任いたします場合に、自然政府側に近い御意見を持った人が出てくるのは当然であってこの間の答申案をお作りになった人々においても、これはもう、学者先生たちの御意見というよりは、自治庁の御意見である。何といいますか、自治庁の出先——出先と言いますと語弊がありますが、分室の御意見である、こういうふうにだれもが見ておつた。私は、だれもが見ておることが、別に大した間違いであるとも今でも思いません。これは、どうしても、自治庁が御人選をなさる以上は、自治庁の首脳部の頭にピンとくる人を選ぶのは当然であり、これに極力反対するような人を選ぼうという気持にはなりません。しかし、調査会においては、やはり反対論がたくさんあって猛烈に反対するような委員をも加えておきましたならば、今度国会に出て参りましたときに無難なんです。こういう際に、政党政派の反対の立場にあります人の中からも、いやでも目をつぶってこれをのんでとっておいて、それらの反対意見を聞いておくということが、今度国会に参りましたときも、またスムーズにいくゆえんでもなかろうかとも考えますが、これらに対してはいかがでございましょうか。
  32. 太田正孝

    太田国務大臣 委員の選任の問題でございますが、党に関する事柄はもちろん党の執行部なりその他関係のところにおいておきめになることで、これは私が言う限りではございません。党としてのお考えでありますから、私どもは、人数の点だけはこちらで申し上げますが、その以外のことは一切申し上げない考えでございます。希望的に申しますと、佐竹委員の言われたように、公正なるお方が公正なる組織委員として入ることを期待するわけでございます。またこの間の選挙の調査会は私のときできた調査会ではございませんので、人選等についてはそのまま受け継いだのでございますが、その目的に沿うように、公正にして中正なる調査会を組み立てていきたい、こう考えておる次第でございます。私においては、邪心を持たずに、その案を実行していきたいと考えております。
  33. 青木正

    青木委員長 なお、本日警察庁の中川刑事部長、法務省の井本刑事局長が見えていますが、警察庁並びに法務省に対する御質問はございませんか。
  34. 古川丈吉

    ○古川委員 昨日社会党の諸君からも申し上げ、わが党の山村委員からも戸別訪問の問題で質問がありましたが、先般の参議院選挙で、例の創価学会が組織的に戸別訪問をしたということは、これはもう事実でありまして、おそらくどの町でもどの村でもこの戸別訪問のないところはなかったろうと私は思う。ただ検挙されたのはその一部であると思いますが、しかし、従来の取締りのやり方では、これはとうてい徹底して取り締ることができない。自治庁兼子部長も戸別訪問については考えなくちゃならぬというお話でありましたが、私も全くこれは何とか考えなくちゃならぬ。徹底的に取り締れるものならいいけれども、この調子でいきますと、おそらく次の選挙でもやはり同じことが繰り返されて、しかもこれがやはり取り締れないという結果になりはせぬかと私は考えておりまするが、そこの点につきまして取締り当局の御意見を伺いたいと思うし、もう一つは、これは昨日も山村委員から質問されたのでありまするが、日教組がやはり日本全国組織的に選挙運動いたしておる。これもおそらく取締り当局も自治庁当局も御承知だと思うのですが、実際問題としてはこれが問題にならない。これに対して自治庁並びに取締り当局はどういうような考えをしておられるか。この二つの点について御質問申し上げたいと思います。
  35. 中川董治

    ○中川説明員 これは、一般的に申しまして戸別訪問もその一つでありますが、選挙犯罪の多くが、当選を得または当選を得せしめる目的をもつて行われた、こういうことを立証していかなければならぬ問題でありますから、取締りの一線に当っている警察としては、そういう点に工夫するということは御案内通りであります。昨日申しました通り、創価学会等が組織的に戸別訪問をやっておるという点は認知しております。それで、各地の警察におきましては、そういう戸別訪問をやつている人たちの発見に大いに努めて参っております。その結果、確かに関係者が戸別訪問の罪によりまして検挙されて、刑事手続を受けておることも事実でございます。しからば、御指摘のごとく、関係団体がやった戸別訪問が根こそぎめっかったかどうかという点が御指摘の要点だと思いますが、これは創価学会に限りませんけれども、私どもとしては最善を尽して根こそぎめっけるように努力をする。各地各様で行われるやつを根こそぎ警察の手においてめっける、こういうことを努力目標にするということは明確に申し上げられますけれども、それを発見する実際の活動につきましては相当の苦心が要りますので、お話の通り、検挙漏れと申しますか、悪意によるところの検挙漏れはないと確信いたしますが、そういう能力、手不足、資料の不足等によるところの発見不足があろうかと思います。これはひとり戸別訪問以外の、たとえば買収の罪にいたしましても、文書図画の制限の罪にいたしましても同様に考えられるのでありまして、公職選挙法の取締りに当る実際担当者としては、大べんに苦心するところでございます。と申しますのは、ある人間、ある党派の関係だけを一生懸命やって、ほかのやつをなまけておると、結果において不公平になる。それで、警察当局といたしましては、まんべんなくと申しますか、犯罪が行われそうなところについてはまんべんなく捜査を行なって、そこでめっかるものにつきましては正確に検挙していく、こういうことが苦心の要点でございますので、戸別訪問、特に、昨日、御案内通り、日教組等の関係者の方々が、戸別訪問の罪、文書図画制限違反の罪、教育者地位利用の罪等によって事件が立件された例はございますが、しかし、これも、根こそぎ全国的にあるところの犯罪は全部めっけたかと突き詰めてお話しになりますと、われわれはめつけるべく努力しているのは事実でございますが、全部めっけるという自信を持ち得ないことは、すべてについて言えることでございまして、戸別訪問の罪にいたしましても、文書図画制限違反の罪につきましても、買収の罪にいたしましても、その他各般の罪についても同様に言えることでございます。これについて全員漏らさず検挙いたすということが公正を確保するゆえんでございますので、そういう努力をする。ただし、それは証拠の問題、立証の問題について隘路がございますので、結果的には、言葉を言い過ぎて申せば氷山の一角だけがめっかってくる、こういうことになりがちでございます。その氷山の一角が特定団体特定の政党、特定の候補者等に集中しないように、いろいろ工夫をいたしまして、まんべんなく各地各方面について資料の内偵に努めておるというのが実情でございます。いろいろ困難な点がございまして、ことに公職選挙法と証拠主義による刑事手続等を両方合せて——むろん、突き詰めて参りますと、御指摘のような心配は常にございますので、最善の工夫をする。それで、昨日も申し上げたごとく、公職選挙法の運用といたしましては、一般的に啓蒙活動をやって、関係者の自粛活動によって犯罪のないことをまず期待する、それで、自治庁及び選挙管理機関の警察活動、文書撤去活動、それから警告活動を活発に行なっていただくことを期待して、一般的に犯罪のないような状態に追い込むというと失礼ですけれども、そのように仕組んで参る。ところが、不幸にして犯罪を犯す者につきましては、特定の政党、特定団体というものをねらい撃ちにしないで、犯罪の起りそうな場所につきましては一様に一生懸命内偵して、その得た資料につきましては、一党一派に偏することなくどしどし検挙していって刑事手続のさばきを受けていく、こういう心組みでやっているわけであります。ただいま御指摘の点は証拠上の問題に相関連し、あるいは警察活動に人手が足らぬということも一つの理由でございますけれども、証拠に関連しての困難性とからんで、根こそぎつかまっているかと申せば、そうでないと言わざるを得ない実情でございます。
  36. 古川丈吉

    ○古川委員 私はそういう答弁をされるだろうと思っておったが、実際問題として、現在の取締りまたは検挙の能力からいえば、おそらく将来とも不可能と思う。そうなれば、根本的にこの問題は考えていかなければならぬという問題がありはせぬかと思う。取締り当局はそういうことをお考えになっておるかどうかということをお伺いしたいのであります。自治庁兼子さんの意見を一つ伺いたい。
  37. 兼子秀夫

    兼子説明員 教職員が選挙運動を活発に行なって、公職選挙法違反のおそれがあるのではないかという御趣旨かと思うのでありますが、あるいは日教組等の活動から見てそういうことがあろうかと存じますが、それを末端において受けますものは父兄でありますので、父兄に働きかけることにたるだろうと思います。でありますから、父兄がそういうことはいけないという観念さえはっきりいたしますれば、ただいま警察当局も御答弁になりましたが、違反がありました場合の立件もたやすくなるでありましょうし、おのずからそのような形も抑制されるのではないかというふうに考えるわけであります。一に法の精神と申しますか、そういうものをよく理解して対処していただく以外にないと思います。ただ、現実の問題として子を預けているから、どうしても言いにくいというような問題があろうかと思いますが、これは法律以外の問題だと思います。  それから、現在そのようなことがあったといたしまして、何らか法的処置が講ぜられるかどうかという問題でございますが、現在百二十七条で教育者の地位利用の禁止規定がございますが、大体この程度の規定で、本来、父兄の協力さえあれば、そのような事件がありました場合には、目的を達するのではないか、このように私自身は考えております。
  38. 古川丈吉

    ○古川委員 問題は議論しなくてもお互いにわかっておることでありますが、このままではどうしてもいかぬという考えはお互いに持っておると思います。この点につきましてはさらに研究をいたしまして、またの法の改正なんかの機会にわれわれも意見を申し上げたいと思います。
  39. 山田長司

    ○山田委員 今回われわれが地方に行ったときの調査で、広島に起った事件ですが、やはり、ただいまの質問のように、創価学会の取調べをしておるときに、創価学会の人たちが多数警察当局に押しかけてきて、非常に捜査に困難を来たした、こういう事例があったのです。一体捜査に困難を来たしたというのはどういうことであったのか、当局は知っているのか、一応この際明らかにしてもらいたいと思います。
  40. 中川董治

    ○中川説明員 創価学会の関係で、確かに戸別訪問、文書違反等の事件が、広島に限らず、相当各地で行われて参りました。警察といたしましては、そういう犯罪でございますので、だんだん証拠を収集してこれを立件していく。これは当然であります。いろいろの反対運動その他がございましても、そういうことに臆することなく、法の命ずるところによってやるということは私どもの責任でございますので、厳重にやっております。  捜査が困難を来たしたということは、私若干そういう声も聞きますが、犯罪の捜査につきましては、御案内のように証拠に基いて捜査をする。証拠に基くためには、物的証拠がある場合もあります。戸別訪問の場合は、関係者、ことに被訪問者の供述を得る。これも証拠でございます。それから、そこいらで見聞した方々の証言を得る。これも証拠であります。そういうことをする場合に、証人の場合はまた別でございますけれども、被疑者の場合におきましては、証拠収集の方法に、逮捕という方法と、任意取調べで事情を発見するという方法がありますが、これは、刑事訴訟法、憲法全体の建前からいって、真実の発見のために、なるべく逮捕その他のことをしないで真実を発見するということは、すべてに通ずる一般原則であります。なるべく強制処分を避けて、真実の発見に努めて参る。証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれのあるやむを得ぬ場合は、むろん法の定めるところの手続を経て逮捕いたしますが、そういう場合には、最初関係証拠を得る場合において、任意取調べをするといっても、ちょっと出頭しない、二回目やっても応じない、従ってやむを得ず逮捕する。普通だったら、最初に応じていただけば一日で済むのが、三日かかる。こういう意味で捜査に苦心を生ずるということはあろうと思います。ところが、警察にやかましゅういろいろ釈放運動的のことをするがために困難を来たす。こういう点は、われわれ法の命ずるところによって執行する職務を行う者といたしましては当然でございますが、それによって取り調べられる方々が、大へん早く釈放してもらいたいとか、早くやってもらいたい、こういうことをおっしゃることは自由でございますけれども、おっしゃいましても、証拠を収集するためには、そういうことはできない。たとえば、証拠隠滅のおそれがあるから、逮捕して引き続いて身柄を拘束せざるを得ない、こういうことはもちろん申しております。それで困難を来たしたということは、そういうことを言うてくるから、一応釈放できない旨を話をする。それから、最初申しましたように、最初から資料を収集するということは、いつも任意に出ていただいて実情を説明していただけば一日で済むのが、一回も二回も出ておいでにならぬ、従って最後には逮捕せざるを得ない、それで三日かかる、そういう意味で、確かに各地でも困難を来たしたことは事実でございます。
  41. 山田長司

    ○山田委員 われわれが調べた範囲の府県だけでなくて、全国的にかなり創価学会のいわゆる法律と称する事件というのがあったと思うのです。これらの事件で私は一番困難に思われたのは、完全に名簿を創価学会の会員が持っておって、その名簿に従って戸別訪問をし、しかも、検挙された場合には、創価学会の法の普及に歩いているのだということでのがれておられるので、かなり公然と選挙運動がなされておったと思うのです。こういう点の困難さは、われわれが考えてみてもかなり困難な点は理解できるのですが、一体、こういう問題の結論として、当局は、どういう処置で、今起訴されている点及び不起訴になっている事実、こういう区別をなされておるのか。それから、兼子選挙部長に伺いたいのは、これは今度の参議院選挙におい新たに発生している合法的な戸別訪問だと思うのですが、これは一体これからは許されるのかどうか。非常に困難な点があると思うのですけれども、選挙対策三選挙部長としてはどうお考えになっておられるか。お二人に一つ伺います。
  42. 井本臺吉

    ○井本説明員 創価学会の事件が各地で相当検挙されておるのは事実でございます。私どもといたしましては、聞くところによりますと、法律であるとか、戸別訪問をするのは当りまえであるというような態度で法規違反を公然と行う者に対しましては、黙過できませんので、厳重に処置をいたしております。その処置によってどの程度の効果がしるか、先ほどの御質問では御疑問のように承わりましたが、私どもといたしましては、さような法蔑視の行為に出る者に対しましては、法が厳然として存在するということを十分本人にもその周囲の者にも知らしめるだけの自信を持っております。取調べの困難につきましては、確かにお話の通りでございますけれども、やはり困難とは言い条、調べる方法はございますので、法規違反に対しましてどうにも検挙できないということはございません。
  43. 兼子秀夫

    兼子説明員 戸別訪問の規定をどうするかという問題だと思うのですが、昨日も御質問お答えいたしましたが、私自身の考えは、現在の選挙法は非常に複雑でございますので、できるだけ実質犯に集中して自由な選挙の法制に持っていきたい——これはすぐできるとは申しませんが、少くとも理想としてはそういうところに持っていきたいと考えておったのでございますが、今回の参議院の通常選挙で創価学会の事件が起りまして、戸別訪問の新しい形と申しますか、宗教と選挙とからんだ問題が起りまして、戸別訪問の禁止の規定を直ちに撤廃していいかどうかという点につきましては、疑問の点が強くなったという趣旨につきまして、昨日私の気持を申し上げた次第でございます。
  44. 山田長司

    ○山田委員 刑事局長に伺いますが、選挙違反が公訴されても裁判が非常に長くかかる、こういうことで、これは一つの事例を申し上げると大へん明確になるのですが、現在当選している人でありますので、名前をあげることを差し控えますが、完全に買収違反で選挙違反になって、しかもこれが第一審で有罪になった。ところが、本人が控訴したらば第二審で公民権の停止にならなかったということで、その期間選挙が二、三回も繰り返されているというような事例があるのです。何のためにどういう点で選挙違反というものの裁判が長引くのか、これを一つ明確な答弁を願いたい。非常に長くかかるということで、その期間中違反になっている人が次々選挙をやるということは、社会通念上から見て、ほかの違反である場合にはぱきぱき処理されているけれども、選挙違反だけは、ちっとも、それが進行しているのやらしていないのやら、選挙民がさっぱりわからないでおるということでは、やはりいつになっても公明を期することはできぬと思うのです。そういう点について何か示唆が与えられてしかるべきだと思うのですが、どうですか。
  45. 井本臺吉

    ○井本説明員 公職選挙法違反につきましては、選挙法規定がございます通り、百日以内に裁判をやれということがはっきり書いてございます。われわれといたしましても、裁判はできるだけ敏速かつ的確に行われるということが非常に望ましいのでございますけれども、何せひとり相撲をするわけにはいきませんので、この裁判につきましては裁判所が一得の主導権を持っておるわけでありますので、それに対しまして検事、弁護士、被告というものが一緒になって裁判を執行させておるという状況でございまして、これらの方々の御協力がないと、早く済まぬというのが実情でございます。しかしながら、お話の通り裁判が非常に長くかかりますので、何らかの方法でできるだけ裁判を早く済まそうということは、年来の私どもの希望でございまして、このためには、昨年の一月にも選挙裁判促進協議会というようなものを裁判所に設けていただきまして、判事、検事、弁護士というような方々が集まって、具体的にどういうふうにやれば早く裁判が済むかということを協議して、その協議の結果を実行に移して参りましたので、前よりは幾らか早くなりつつあるやに私どもは開いておりますが、この努力は引き続き続けて、もっと早く、敏速、的確な裁判が行われるようにいたしたいと念願いたしております。
  46. 青木正

    青木委員長 明日は、小委員会におきまして政党法及び政治資金の規正に関する問題について、参考人として中央大学教授川原次吉郎君、国立国会図書館専門調査員土屋正三君の御両名より意見を聴取する予定でありますので、御了承願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十二分散会