○中川
説明員 これは、一般的に申しまして戸別訪問もその
一つでありますが、
選挙犯罪の多くが、当選を得または当選を得せしめる目的をもつて行われた、こういうことを立証していかなければならぬ問題でありますから、取締りの一線に当っている警察としては、そういう点に工夫するということは御
案内の
通りであります。昨日申しました
通り、創価学会等が
組織的に戸別訪問をやっておるという点は認知しております。それで、各地の警察におきましては、そういう戸別訪問をやつている人たちの発見に大いに努めて参っております。その結果、確かに
関係者が戸別訪問の罪によりまして検挙されて、刑事手続を受けておることも事実でございます。しからば、御
指摘のごとく、
関係団体がやった戸別訪問が根こそぎめっかったかどうかという点が御
指摘の要点だと思いますが、これは創価学会に限りませんけれども、私どもとしては最善を尽して根こそぎめっけるように努力をする。各地各様で行われるやつを根こそぎ警察の手においてめっける、こういうことを努力目標にするということは明確に申し上げられますけれども、それを発見する実際の活動につきましては相当の苦心が要りますので、お話の
通り、検挙漏れと申しますか、悪意によるところの検挙漏れはないと確信いたしますが、そういう能力、手不足、資料の不足等によるところの発見不足があろうかと思います。これはひとり戸別訪問以外の、たとえば買収の罪にいたしましても、文書図画の制限の罪にいたしましても同様に考えられるのでありまして、
公職選挙法の取締りに当る実際
担当者としては、大べんに苦心するところでございます。と申しますのは、ある人間、ある党派の
関係だけを一生懸命やって、ほかのやつをなまけておると、結果において不公平になる。それで、警察当局といたしましては、まんべんなくと申しますか、犯罪が行われそうなところについてはまんべんなく捜査を行なって、そこでめっかるものにつきましては正確に検挙していく、こういうことが苦心の要点でございますので、戸別訪問、特に、昨日、御
案内の
通り、日教組等の
関係者の方々が、戸別訪問の罪、文書図画制限違反の罪、教育者地位利用の罪等によって事件が立件された例はございますが、しかし、これも、根こそぎ全国的にあるところの犯罪は全部めっけたかと突き詰めてお話しになりますと、われわれはめつけるべく努力しているのは事実でございますが、全部めっけるという自信を持ち得ないことは、すべてについて言えることでございまして、戸別訪問の罪にいたしましても、文書図画制限違反の罪につきましても、買収の罪にいたしましても、その他各般の罪についても同様に言えることでございます。これについて全員漏らさず検挙いたすということが公正を確保するゆえんでございますので、そういう努力をする。ただし、それは証拠の問題、立証の問題について隘路がございますので、結果的には、
言葉を言い過ぎて申せば氷山の一角だけがめっかってくる、こういうことになりがちでございます。その氷山の一角が
特定の
団体、
特定の政党、
特定の候補者等に集中しないように、いろいろ工夫をいたしまして、まんべんなく各地各方面について資料の内偵に努めておるというのが実情でございます。いろいろ困難な点がございまして、ことに
公職選挙法と証拠主義による刑事手続等を
両方合せて——むろん、突き詰めて参りますと、御
指摘のような心配は常にございますので、最善の工夫をする。それで、昨日も申し上げたごとく、
公職選挙法の運用といたしましては、一般的に
啓蒙活動をやって、
関係者の自粛活動によって犯罪のないことをまず期待する、それで、
自治庁及び
選挙管理
機関の警察活動、文書撤去活動、それから警告活動を活発に行なっていただくことを期待して、一般的に犯罪のないような
状態に追い込むというと失礼ですけれども、そのように仕組んで参る。ところが、不幸にして犯罪を犯す者につきましては、
特定の政党、
特定の
団体というものをねらい撃ちにしないで、犯罪の起りそうな場所につきましては一様に一生懸命内偵して、その得た資料につきましては、一党一派に偏することなくどしどし検挙していって刑事手続のさばきを受けていく、こういう心組みでやっているわけであります。ただいま御
指摘の点は証拠上の問題に相関連し、あるいは警察活動に人手が足らぬということも
一つの理由でございますけれども、証拠に関連しての困難性とからんで、根こそぎつかまっているかと申せば、そうでないと言わざるを得ない実情でございます。