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1956-08-20 第24回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年八月二十日(月曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 青木  正君    理事 三田村武夫君 理事 井堀 繁雄君    理事 島上善五郎君       生田 宏一君    吉川 久衛君       椎名  隆君    瀬戸山三男君       綱島 正興君    原  捨忠君       古川 丈吉君    本名  武君       山本 利壽君    竹谷源太郎君       田中織之進君    森 三樹二君       山下 榮二君    山田 長司君       小山  亮君  委員外出席者         警  視  長         (警視庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   皆川 迪夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   桜沢東兵衛君         中央選挙管理会         委員長     松村真一郎君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 六月三日  委員安藤覺君及び加藤清三辞任につき、その  補欠として淵上房太郎君及び福井順一君が議長  の指名委員選任された。 八月二十日  委員大村清一君、田中龍夫君、中垣國男君、菅  太郎君及び加藤高藏君辞任につき、その補欠と  して原捨思君吉川久衛君、綱島正與君、木名  武君及び生田宏一君が議長指名委員選任  された。 同日  委員捨思君吉川久衛君、綱島正興君、本名  武君及び生田宏一辞任につき、その補欠とし  て大村清一君、田中龍夫君、中垣國男君、菅太  郎君及び加藤高藏君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 六月二日  政治資金規正法の一部を改正する法律案(中村  高一君外三名提出、衆法第二一号)  公職選挙法改正に関する件  政党法に関する件の閉会審査を本委員会に付  託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査小委員会設置に関する作政党法及び  政治資金規正に関し小委員会参考人出頭要求  の件  参議院議員通常選挙等の実状に関し派遣委員よ  り調査報告聴取公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 青木正

    青木委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する問題について議事を進めます。  本日はまず派遣委員報告を聴取することにいたしまして、その後、これらの報告に述べられた問題点等中心に、選挙法改正に関し関係当局に対する質疑を行いたいと思います。  なお、派遣委員は三班に分れまして、今月の上旬に現地調査をいたしましたが、その調査の方針といたしましては、それぞれ県庁所在地におきまして関係選挙管理委員会警察検察庁及び自由民主党、社会党支部方々の参集を願いまして、主として今回の参議院議員通常選挙中心として、選挙管理上の問題、選挙取締り状況並びに選挙法改正意見等を聴取するということにいたした次第でございます。  それでは、これより順次報告を求めることにいたします。まず第一班山本利壽君。
  3. 山本利壽

    山本(利)委員 第一班は私と井堀委員と両名でございました。これに衆議院事務局の方から中片参事、さらに自治庁の方から宮崎、杉崎の両氏に御参加いただきまして、この五名で回ったのでございますが、八月の二日に宮城県庁において、三日には青森県庁においてさらに四日には北海道庁におきまして、先ほど委員長から御報告のありましたような、前もって通知をしていただいておりました各現地関係者の方にお集まりいただきまして、今回の参議院議員選挙その他地方選挙等について、忌憚のないいろいろの意免を聴取したのでございました。その詳細につきましては、それぞれの地方から提出されました参考書類等も添付いたしまして、ここに詳しいものを作成しておるのでございますけれども、時間の都合もございますので、私からここに概括的に一応の御報告をいたしたいと存じます。  各地方とも強く叫ばれましたことは、選挙管理委員会というものがあって、おのおの選挙事務に携わるということは、非常に公平を期する上において有意義なことである、けれども、この活動を阻止しておるものは費用の問題でございまして、現在選挙管理委員会費用というものが地方交付金の中に含まれておる関係、しかも各地方財政が逼迫いたしておりますので、この大切な選挙管理委員会の仕事に対して費用が十分に回らない、ことに公明選挙運動ということが非常に必要な現段階において、かつ棄権防止運動等も非常に大切な現段階におきまして、平素から陣容を整えて、そうして選挙になるまでに十分に各地方に周知徹底させておかなければならないのに、費用が不十分であるためにその活動ができない、このことは先ほど述べました三つ地方において強く叫ばれたことでございました。われわれもそのように感じまして、この点は、本委員会におきましても、あるいは政府においても十分に考慮せられて選挙管理委員会に対するところ費用全額国庫負担として、これを交付するようにしていただきたい、かように考えた次第でございます。  さらに、公明選挙運動とか棄権防止運動等が、選挙が行われます前にはしきりに各団体によって行われる、政党とかいろいろな団体によってこの運動が行われるけれども、そういう場合には、それぞれの団体というものは公認候補あるいは推薦候補というものを持つておりますから、聞く一般の民衆においてはどうもその特殊な候補に対する運動であるかのように受け取られる場合が非常に多いから、これらの運動はできることなれば選挙管理委員会に統一してやらしてもらいたい、統一して強力にやるという方から申しましても、先ほどの費用の点がますます必要になつてくるというのでございます。  もう一つ選挙管理委員会として現在痛感しておることは、管理委員会だけでなしに、警察方面その他県庁地方課等においてもその市がありましたが、選挙法があまりにたびたび改正される、ようやくみなに徹底したかと思うと、次の選挙ではもう変っておる、しかもこの選挙法選挙のまぎわになって変えられるので、これ周知徹底させるのに非常に困難があるから、この選挙法というものは根本的によく考えて、選挙まぎわになって変えないように御注意が願いたいという要望がございました。そしてまた、改正される場合には、いろいろ違った各種選挙——衆議院選挙なら衆議院選挙参議院なら参議院というふうに、とかく別個選挙法があるけれども、できることなればそれを統一してもらいたいということであります。  それから、今回行われました参議院選挙に関連してでございますが、全国区制というものがとかく候補を選ぶのに困難である、各候補が僻陬の地まで全国津々浦々回るというわけにもいかないし、その人格識見等も知りがたいというような点から、この全国区ということは一つ再検討する必要があるのではあるまいかというような声もございました。さらに、ところによっては、以前の貴族院の場合におけるように、推薦制等も加味したらどうかというような個人的の意見もございました。しかし、この問題は重大でございますから、確定的な、参議院全国区をどういう工合に変えたらいいかという具体的な意見というものはなかったのでございます。さらに、この問題について、北海道は非常に特殊な性格を持っておりまして、人口が少くて非常に地域が広いから、北海道においては、地方区でも北海道を一区としないで二つ以上に分けてもらいたい、そうすれば、候補者を選定する場合に、北海道民というものは非常に便宜を受けるだろうということが、選挙制度委員会に強く要望されております。  それから、選挙運動用ポスターの問題でございますが、このポスター責任者を各地方のものにしてもらえないか、ポスター違反通知であるとか、その他の問題について連絡したいと思っても、これが中央で一人の人がおやりになっておるということは、ポスター等の整理上非常に困難である。そのことに対しては、候補者が各地方別責任者を依頼する困難さがあるとか、あるいは枚数に制限があるので、その統一をはかる困難さがのるというようなことから、現在のような制度になつておるという説明もありましたけれども、とにかく今言ったような要望もあったということを御報告申し上げておきます。  さらに、事務的な問題で、同一氏名の候補者が二人以上あった場合に、その票を按分するということになっておりますが、一応按分した最後の端数一票というようなものが出ましたときに、それを小数点以下三位まで出せということになっておるけれども、このために非常な手数がかかるから、何とかこれは適当に切り捨てる方法はないものであろうか。その最後の少数点以下の計算によって当落のきまるということは非常にまれであると考えるから、ことに、全国区の場合等においてそういうふうな手数を省くという意味で、この点が何とか考慮願えないものであろうかという点がありました。  さらに、不在者投票については各都道府県範囲として考えられておるようであるけれども、これを市町村ということにしていただいたらどうであろうか。そうして、その理由は、現在市町村というのは各地方とも数カ町村合併して非常に広範になっておるのであるから、その居住している市町村外に出た者については、不在投票を認めるといったような取り計らいがしてもらいたいということでございます。そうして、立会演説はせっかく各地ともに徹底して非常にこれを要望しておるのであるから、立会演説は望むけれども、現在はその範囲を大体人口四万ということになっておるけれども、北海道のような場合であると、人口四万ということになると、その全体の回数からいって地方にはほとんど出られない状態であるから、少くともこれを五万から八万といったような範囲にして、各町村人口を合計して七、八万に達する場所では立会演説会を開くことができるようにしてもらいたい、そういうような希望がございました。  さらに、違反の問題につきましては、買収とか供応とかいうような悪質違反というものはまだ跡を断つてはいないように考えるけれども、末端で個個の票を買収して回るというようなことはあまりないように思うということでありました。そうして、違反の最も多いのは形式犯でありますけれども、選挙になると、とかく形式犯というものは犯罪のように考えていない向きが多い。中には、もう形式犯程度は当然なことだと考えて少々の罰金とか刑というものは覚悟の上でやっているような向きもあるので、この取締りについては非常に困難をきわめる、ことに政党であるとかあるいはその他の政治団体の張りますところポスターあるいは散布するところ文書図画というようなものは、実際はある特定の候補の応援であると思っても、それを違反として取締るということはまことに困難である、こういうようなことになって一つ法律に触れると思われることでも実際には取り締れないという状況なら、いっそこういう方面は自由にしたらどうであろうかというような意見もあるが、そうすれば、また、これが選挙費用とも関連して、結局は費用をたくさん使うものが優位を占めるから、やはりそういう法律もあってしかるべきではないか、そのかわり、あるからには、手心してというような態度でなしに、徹底的にそれを取り締るということにならなければ、警察としても、あるいは検察庁としても、非常に立場上困難だというような意見も出たのでございます。  その他こまかいところを御報告いたしますといろいろございますが、他の班の御報告もございましょうし、冒頭に申し上げましたように詳しい報告書はここにすでに作成しておりますので、これをごらん願いたいと思います。  なお、私の申し上げた点で、特にこの際報告しておかなければならぬということで漏れておるような点がありましたら、同僚井堀委員の御出席がございますから、そちらからも聴取いただきたいと思います。  これをもって一応私の報告を終ります。
  4. 青木正

    青木委員長 次に、第二班の山田長司君にお願いいたします。
  5. 山田長司

    山田委員 私は、中国、四国班といたしまして、青木委員長とともに広島、徳万を視察してきたものであります。委員部からは荻生さん、自治庁から小池課長補佐高橋係員が同行してくれました。その実情調査をいたしましたことを簡単に御報告申し上げます。  広島徳島を通じまして選挙法改正に関しての御意見は、異口同音、選挙を明るく伸び伸びしたものにして、あまり形式犯を設けず、それから実質的な買収供応等悪質なものについては、厳重に取り締まるように規定したらよいではないかという意見が述べられました。  今回の参議院選挙投票率は、広島においては六二%、徳島においては五二%で、いずれもこの前の参議院選挙よりも幾分下回っているという状態であります。一つは農繁期であったことと、一つは大体候補者当落選挙をやる前にきまっているというような関係で、関心が十分沸いていなかったのではないかといわれております。なお、広島徳島とも投票率がよいところは、大体において候補者出身地方であり、それから投票率の悪いところは、交通の不便なところ、あるいは商売が忙しいために選挙関心が薄いところであったようであります。  広島永野護君者と山田節男君の争いであり、徳島紅露みつ君と濱田新太郎君の競争でありましたが、立会演説会はいずれも静粛で問題はなく、大体平均いたしまして五、六百人から千人くらいの聴衆が会場に来ておりました。それでもっと回数をふやしてほしいとの意見がありました。開催時間は大体午後一時と午後七時からでありますが、演説昨同は、広島では一人四十分、徳島では三十分でありました。これに比べまして、個人演説会の方は入りが悪いようでありました。  次に、ポスターの問題についてでありますが、広島県においては、特に警察側から違反文書撤去について警告を従来二、三百件くらいやったが、今回は千四百件くらいあったようでありますが、その大部分が全国区なので、その責任者がはっきりしていない、それで撤去がだんだんおくれて、選挙に不公平である点が事実考えられておりますので、選管警察撤去の代執行ができるようにしてもらえないだろうかという意見がありました。この点につきましては、徳島では、警察選挙違反行為のみを取り締るので、選管が行なった方がよいとの意見があり、また選管は、責任を負わされると苦情が出て困るのではないかと、あまり積極的ではありませんでした。また、徳島では、ポスターの検印について、偽造はなかったが、県に何枚きているのかわからないでは取締り上困るので、全国区のものは中央で全部捺印し、各府県への配付枚数中央選管に届け出て、それを県の選管に連絡してもらうと、偽造を調べるよりは枚数で調べた方がやりやすいと、警察側から強い意見がありました。  次に、訴訟の問題でありますが、広島県では、訴訟問題に関する調査を十分やれるために調査権限を付与してほしい、また、その費用は、県費でまかなっているが十分でないので、国で出してもらいたいとの希望がありましたが、徳島県では、調査権は必要と思うが、費用を品に出せというのはどうかと思うとのことでありました。  また、総選挙に関する常時啓発費は、広島県の割当は百十万円でありましたが、昨年は五十万円しかもらえなかった。それから、徳島では、四十五万円のうち二十六万円しかこなかったので、公明選挙のために十分費用をもらえるように処置をしてほしいとの希望がありました。  その他、広島選管では、次に述べるような選挙法改正一八見が述べられました。すなわち  一、不在投票について選挙当日市町村区域外にある者は不在投票ができるように改めること。(法四十九)  二、不在投票管理市町村選挙管理委員会委員長のほか、その指定する委員または選挙管理委員会の書記が管理できるように改めること。(令五十五)  三、開票立会人届出開幕管理者でなく、市町村選挙管理委員会に届け出るように改めること。(法六十二)  四、町村長選挙には自動車一台を使用できるように改正すること。(法百四十一)  五、選挙管理委員会選挙期間事務量が多いので、管理執行に専念し得るよう、選挙運動違反文書撤去させることができる旨の規定を削除すること。(法百四十一の一)  六、個人演説会使用施設について、不適当な場所もあるので、選管が指定したもののみにしてほしい。(法百六十一の一)  七、全国制は選挙人関心が薄くなるのでこれを検討し、ブロック制に改めること。以上であります。  次に、徳島県の選管としましては、  一、参議院全国選出議員選挙開票結果の中間速報についてでありますが、前後二十一回の速報を要請せられたため、中間速報に重点が置かれ、正確に資料を把握できないのみならず、不正確になりやすく、しかもかえって迅速を欠くうらみ少しとはしない現状なので、次回からは、中間速報を廃止するか、あるいは速報回数を大幅に減少するか、いずれかの措置を講ぜられたい。  二、法第六十八条の二の規定による全国候補者得票数按分計算は必要であるが、小数点以下三位まで計算し四位以下を切り捨てる現行方法は、全国的に見れば、小数点以下ではほとんど得票数に影響しないものと考えられ、ただ計算が繁雑で聞違いやすいだけであるから、次回においては按分整数どまりとし、小牧点以下の按分は廃止されたい。  三、現行政治資金規正法届出等十分実行されていないのみならず、届出等違反に対する罰則規定がないので、実質上有名無実の法となっているので、現行政治資金規正法を強化し、政党法を制定するか、しからずんば廃止すべきである。  以上であります。  次に、取締り状況についてでありますが、両県とも、できるだけ強制逮捕を避け、人権を尊重し、任意捜査を行なったとのことであります。  検挙状況は、広島では、地方区三件九名、全国区二十件六十三名、計二十三件、七十二名であり、そのうち戸別訪問が十件二十五名、買収が八件二十四名、文古図画違反が三件十七名であり、徳島では地方区六件十名、全国区十五件三十四名、計二十一件四十四名であり、そのうち戸別訪問が十五件二十三名、買収供応が一件十六名、文書図画違反が一件一名でありました。  広島では、改正意見として、警察側から、一つには政治活動選挙運動の判別がしにくいので、その明確化規定してほしいとのことであります。選挙権の所在に関する認定の基準を明確にしてもらいたい、二重投票を防ぐに困るとのことであります。また、検察側から、法二百五十二条の公民権停止に関する規定中第三項は削除してもらいたい、すなわち、公民権停止とする方が、選挙犯罪をなくし、公明選挙を実現しやすいのではないか、またこの第三項によって公訴事件が多くなるのではないかと強い意見が述べられ、この点について徳島県の検察当局は、違反には過失的なものもあるので、幅を持たせてもいいのではないか、裁判が四年も五年もかかる現状から見て次の回だけは遠慮してもらいたい、また、第一審で公民権停止となった者は、公民権停止についてのみ裁判の確定を待たないで効力を発することにしたらいかがという意見が述べられました。裁判の遅延については、一つには全国制そのものがガンで、どんなに早くしても一年では片づかないとのことでありました。  また、広島県の検察側から、公務員の立候補を制限し、少くとも退職後一年間くらいは立候補できないようにされたい旨の意見が述べられました。  次に、今回の選挙において全国的に行われた創価学会の運動につきましては、広島では計画的悪質であったので、強制捜査を行なったが、警察に数十名押しかけてきて、その捜査になかなか手数をかけたとのことであり、徳島では、多数で押しかけては来なかったが、組織的名簿により戸別訪問を行なっていたので、三つのグループのうち一つを検挙したとのことでありました。  また、連呼行為については、徳島では、市街地以外の農村の畑の中で行うようなものは許してもよいのではないかという意見が述べられました。  最後に、党側意見を申し上げます。自民党、社会党ともに、立会演説会個人演説会回数を多くして、候補者をよく知らせることが必要であり、またポスター府県の広いところ狭いところによって考慮し、もっと増してもらいたい、選挙法は、禁止条項のみでなく、第三者の運動ができる方にウエートを置いてほしい等の意見のほか、選挙管理委員会警察にビラを自由に撤去させることは弊害が出てくると思う、また選管選挙法解釈等について十分思想を統一しておいてほしい、テレビで立会演説会実況放送を行い、公共施設で見せるようにしたらいかが等意見が述べられました。徳島におきましては、選挙法は人によって規制されているが、その他交通地勢等を勘案して、マイク、自動車等をきめてほしい、立会演説会回数をふやした方がよい、いなかなどは連呼行為を従来通り認めてよいのではないか、政党政治活動ができるようにしたらよい、買収供応には総括責任者以外まで連座制を認めてもらいたい等の意見のほか、選挙は伸び伸びとできるようにしなければ、選挙に対する関心は高まってこないから、買収供応等の悪質的なもの以外はなるべくゆるめてもらいたいとの意見が述べられました。  以上、広島徳島における選管検察警察及び党支部意見でありますが、県を初め御出席方々には、いずれも、選挙をいかにしてよくやれるようにしていくかについて、熱心に忌憚のない意見を述べていただいたことに対して、ここに一言感謝の意を表し、御報告にかえる次第であります。
  6. 青木正

    青木委員長 次に、第三班の、甫村武夫君にお願いします。
  7. 三田村武夫

    ○三田村委員 第三班北陸方面について調査報告をいたします。  去る八月一日より四日まで、島上善五郎委員と私とで富山石川福井の三県を調査して参ったのでありますが、初めに総括的な意見を取りまとめて報告し、次いで個別的な問題についての意見を逐次報告することにいたします。  なお、第一班、第二班の御報告とその報告内容が重複するところがありますが、調査の対象が同一でありますから、その点重複の煩を避けることなく、参考として御報告いたしたいと思います。  まず、総括的な意見でありますが、第一に、公職選挙法の構成についていろいろ意見がありました。現行公職選挙法は、衆議院参議院地方公共団体議会議員及び自治体の長の選挙について適用されておりますので、方式の異なる各種選挙が一本の法律規定されております関係上、法律規定が非常に複雑、錯綜し、このため法律がはなはだ難解とたり、かつまたこの公職選挙法はしばしば改正されるので、選挙関係する者は非常に困惑を来たす結果となり、ひいては国民の選挙に対する意識を低下させることともなりますので、この法律を平易簡明なものに改め、根本的に改正して、恒久性あるものにされたいというのであります。この点について、富山県の社会党支部よりは、衆、参、地方公共団体議会議員及び首長の各選挙について、それぞれ別個法律を作つてもらいたいとの意見がありました。また、石川選挙管理委員会では、将来一定期間改正しない法律の制定を望むとの意見がありました。福井警察側よりは、各種の規制をなるべく減らし、直截簡明なものに改正されたいとの意見が表明されておりました。この警察当局意見は、非常に肯綮に値するものでありまして、たとえば、悪質犯罪だけ抽出してこれを厳重に処分する規定を設け、文書図画その他一般の選挙運動についてはできるだけ開放的にやったらどうか、これは取締り当局の立場からの意見でありましたが、しかしこれは選挙法改正の場合に考慮されていい意見じゃないかと考えられます。  第一に、選挙運動政治活動との関係についてであります。現行公職選挙法は、候補者中心選挙運動という立場で組み立てられておりますが、政党の組織と活動が充実して参りました今日、政治活動選挙運動との実質的区別が非常に困難な実情であります。これを候補者中心選挙運動から、政党中心または両者の妥協点を見出す方向に規制しすべきであるという意見であります。選挙における政党政治活動はもっと活発にやらすべきであるという意見は、各県で非常に活発に出ておりました。富山県の選挙管理委員会及び社会党支部よりは、候補者中心を改め、政党中心選挙に移行すべきであるとの意見が強く述べられておりました。富山福井両県の自由民主党支部及び石川県の社会党支部よりは、選挙期間中といえども政治活動は最大限度認めるべきであって、全県一区のごとき選挙に宣伝車一台ではとうてい政策の徹底はできない、また政談演説会の回数ポスター枚数を大幅に増加すべきであるとの意見が出ておりました。  第三に、選挙に関する裁判並びに罰則の問題でありますが、選挙に関する裁判については、従来非常に遅延している現状でありますので、これを特別な裁判制度に切り離して、赤松の促進をはかるべきだとの意見も出ておりました。つまり、選挙裁判制度を作ることでありまして、富山及び福井地方検察庁側より、この点について特に具体化をはかるべきであるのと意見が出ました。また、富山県、石川県の社会党支部よりは、選挙裁判の促進を要望するとともに、裁判中に任期が終るという悪慣例は断固打破すべきであるとの意見が出ました。これは相当具体的な事例についての意見が述べられておりました。これとともに、選挙違反に関する裁判を、単独の判事、つまり現在地方裁判所の第一審は一人の判事の裁判になっておりますが、こういう現在のあり方を改めて、会議制の裁判でやるようにしてもらいたいとの意見もありました。さらに、選挙犯罪による当選人の失格についてでありますが、当選人の選挙犯罪による当選無効の規定を実効あらしめるために、処刑の判決があったときは、控訴、上告の有無にかかわらず、当選人の身分を停止するものとし、なお、選挙運動を総括主宰した者または出納責任者買収等の罪を犯し刑に処せられたときも、刑事裁判の結果直ちに当選無効が確定するものとするようにしたらという意見であります。この点については、検察警察政党各支部の方々からいろいろな論議がありまして、法律上あるいは裁判手続上相当問題がありますが、これも考慮すべき点ではないかと考えられます。  さらに、公民権停止についての問題でありますが、富山、金沢、福井の各地検では、現行法のもとにおいては、裁判所は、第二百五十二条第三、項によって、公民権停止を適用せず、もしくは短縮する場合の選択の自由を与えられているが、運営の実績は多くの場合公民権停止規定を適用していない。従つて、法第二百五十二条の規定の存在も有名無実となることが多いから、これを改正し、停止規定を適用しない旨の規定を削除し、当然停止するようにすべきであるという意見がありました。  次に、個別的な問題について一、二の点を申し上げます。  第一に、投票方法についての意見であります。これは冨山県の選挙管理委員会より出された意見でありますが、投票方法に記号式を採用せよというのであります。その理由とするところは、第一に無効投票が少くなること、第二に按分投票制度が不用となること、第三に投票の効力に関する争いが少くなるというのであります。これについて、島上委員より、参議院地方区ならば立候補者が少いからいいが、全国区の場合候補者が非常に多く、記号式だと困るのではないかという質問に対し、これについてはちょっと具体的な考えがないということでありましたが、研究の対象になる問題であります。  第二に、補充選挙人名簿の調製についてでありますが、これは福井選挙管理委員会よりの意見であります。その要旨は、現行法は補充選挙人名簿の調製について申請調製主義を採用しているのでありますが、この方式によるときは脱漏が多く完璧を期しがたいので、申請調製主義と職権調製主義との二本建を採用し、さらに、異議申し立てについては、登録申請をなした者についてのみ認められているのを、申請をしなかった者についても、これを認めるようにすべきであるというのであります。  第三に、違反文書図画に対する選挙管理委員会撤去命令の権限を削除すべきであるという意見であります。これは富山選挙管理委員会よりの意見でありますが、その理由としては、選挙管理委員会は、調査能力がないし、代執行能力もない、また、参議院全国区選出議員選挙については、連絡先がほとんど遠隔地であるから、実質的に活用できないし、また行われていない、それゆえこれは取締り機関の所管とすべきが適当であるというのであります。  第四に、選挙運動用ポスターの掲示についてであります。選挙運動用ポスターの掲示責任者は、当該選挙の行われる区域、つまり当該都道府県内の者であることが必要であり、また、その掲示した選挙運動用ポスターは、選挙終了後掲示責任者においてすみやかに撤去するよう義務づけるべしというのであります。これは、三県とも、選挙管理委員会警察側で大体共通した意見でありました。  第五に、選挙の公告に関するものについてであります。選挙の公営を拡大強化せよという点については、三県の社会党支部より共通して出されておりますが、立会演説会については、その回数を一日三回あるいは四回とし、その他私設の立会形式の演説会を開くことができることとする、これは富山福井社会党支部よりの意見でありますが、石川社会党支部よりは、立会演説会に多数を動員するため、バスを提供し、応援団をかり集める行為及びこれらの応援団が集団的に拍手またはヤジ、退場をせしめる行為があったが、これは明らかに気勢を張る行為であり、立会演説会の完全公営の趣旨に反している、市町村選挙管理委員会の統制権の強化が望ましいとの意見がありました。また、これと別に、立会演説会回数について、石川県自民党側よりは、立会演説会候補者がくぎづけにされて非常に不便であるから、現行の半分くらいに減らしてもらいたいとの意見がありました。なお、この立会演説会の開催単位について、石川県の選挙管理委員会では、町村合併後の事情を考慮して、町村については人口八千以上、人口十万未満の中については二万を一単位、人口十万をこえる市についてはおおむね四万を一単位として開催するようされたいとの意見がありました。  政見放送についてでありますが、政見放送は現行の三回を四回以上の偶数にせられたいというのであります。石川県の社会党支部より述べられましたが、その理由は、NHKと民間放送との配分に困惑を来たしているというのであります。これは、公平の原則といいますか、どうも大正数でやると、あっちに二回、こっちに一回では工合が悪いという具体的の事例があげられております。福井選挙管理委員会では、政見放送、経歴放送に関し、テレビの使用を認め、民間放送にも経歴放送を認めるべきであり、政見放送は、NHK、民間放送と同回数行わせるようにすべきであるという意見であります。その理由は、放送機関の高度に発達した今日において、なお現在程度の利用度では不都合であってむしろ選挙運動は放送機関を中心として行うべきものであるというのであります。また、選挙運動はどうしても人口稠密な都市に集中し、いなかにおいては候補者演説を聞く機会が与えられないので、この欠陥を補うためにも必要であるというのであります。  次に、氏名掲示についてであります。これについては、報道機関が発達している現在において利用度が少いし、氏名掲示を完全な状態で維持することは非常に困難であるから、これを廃止するかあるいは掲示の箇所を縮減し、期間を短縮するかまたは投票所の入口に選挙当百のみ掲示することにしたらどうだという意見であります。これは三県の選挙管理委員会共通の意見であります。  第六には、自動車、拡声機の使用についてであります。富山県の社会党支部から、選挙運動用自動車は二台とし、一台を政策宣伝普及のみに使用し、一台を演説会告知のみに使用することとし、参議院全国区の街頭演説に拡声機を使用できるようされたいとの意見がありました。各県とも、政党関係者からは、自動車の台数増加を望む意見があり、また連呼行為についても大体同様に復活せよとの意見が述べられておりました。  最後に、選挙に関する啓蒙宣伝についてであります。従来とも選挙に関する啓蒙宣伝は行われたのでありますが、今後さらに選挙の重要性を国民に訴えるため不断に啓蒙宣伝を行わねばならないのでありますが、これが費用については、はなはだ微々たるもので、国は選挙啓発のため費用を毎年十分に出すべきであるとの意見が強く述べられておりました。特に、福井県においては、この点どの程度の費用があればできるかという委員側の質問に対して福井県では、国からの費用が年に二十三万五千自だそうであります。これでは何ともいたし方がない、大体全国で三億、福井県で三百万円くらいあると、選挙に関する啓蒙宣伝が徹底するだろう、ぜひこれは考慮していただきたい、こういう意見でありました。  以上で大体の報告を終るのでありますが、なお、一点、これは私ぜひつけ加えて申し上げたいと思いましたのは、石川県の社会党から出た意見でありますが、非常におもしろい用語を使って意見を述べられました。慢性合法的買収連座制の強化——慢性合法的買収、つまりいろいろな団体あるいは個人の後援会等が常時行う買収行為、手ぬぐいを配ったり折詰を配ったり酒を配ったりそういうことを始終やる、これは慢性非合法的合法買収行為だというのであります。これは、自民党の支部の人々も、前に述べられた、今後の選挙運動は個人本位から政策本位、党本位になる建前上、できるだけこういう面は取り除いてもらいたい、選挙法改正の場合にはぜひ考慮してもらいたいという意見でありました。  以上で大体の報告を終りますが、本調査に特に協力をいただきました関係府県の各位に対してこの席からお礼を申し上げて、報告を終りたいと思います。
  8. 青木正

    青木委員長 以上をもって各派遣委員報告は終りましたが、なお、他の派遣委員の方で、ただいまの報告に補足したい点があれば御発言を願います。——なければただいまの報告に関連する質問は明日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 青木正

    青木委員長 この際お諮りいたします。閉会中の委員会につきましては、委員各位にもいろいろと御都合もあることと存じますので、小委員会を設けて小委員会審査並びに調査を進めることにいたしてはどうかと存じます。つきましては、小委員十八名よりなる閉会中の審査委員会を役員することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。よってその通り決します。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては委員長に御一任を願うこととし、またその後の小委員の異動につきましても委員長に御一任百願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。     —————————————
  12. 青木正

    青木委員長 なお、もう一点お諮りいたします。先般の理事会において御協議願いまして本委員会において政党に関する立法措置及び政治資金規正の問題について調査を進めることになっておりますが、その参考に資するため、学識経験者より問題点の提示その他意見の開陳を求めることにいたしたいと思います。つきましては、参考人の選定は委員長に御一任願うことにして、先ほど決定いたしました閉会審査委員会においてその意見を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。なお、参考人からの意見聴取の日時は、来たる十三、二十四の両日のうち、参考人の事情によって適宜行うことにいたしたいと存じます。  なお、明日以降二十四日まで開会することになっております委員会閉会審査委員会に切りかえたいと思いますので、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時三十三分散会      ————◇—————