○井堀
委員 あなたは小
選挙区法の
原則がくずされていないということを唯一の抗弁にしておりますが、本質はさっき私の説明いたしましたように全くくずれ去っておるのです。小
選挙区制にするかあるいは中
選挙区になるかという坑は、あなたも十分御
承知だと思いまするが、議長あっせんの過程におきまして、あなたの方の党からも一人区、二人区、三人区として例外あるいは特例としてという註釈はありますが、そういう案がたびたび議長から示されておる。また、
政府、
原案は、
答申案の一人一
区制を二十幾つかに分けて二人制を
認めておるわけであります。これは、
方々の公聴会あるいは公述人や参考人の間からも言われておりますように、一人一区という最もすっきりした姿の小
選挙区は、日本にいきなり採用するということは不適当だという声もたくさんあるようで、暫定的に行うということの異例のことが、表現の仕方は若干こわばっておりますが、二人区を例外として、また
区画委員会が必要と
認め、あるいは両党がこれに同意を与える場合には三人区もまたやむを得ぬという案が示されたということも御存じだと思います。これは議長あっせん案の
二つのうち
一つが選ばれたわけでありますが、その
一つにそういう案が出ておる。これは言うまでもなく小
選挙区という
原則の中に幅がある。こういうことが
審議の過程において明らかになっている。でありますから、
政府自身が一人一区
——これは小
選挙区なんです。二人区を入れたということは、ここで議論は試みようとは思いません。必要がそういうふうにさせた。なお、あなたが御存じのように、
法案の中に規定されております
選挙区画定
委員会には、
法律は抽象的な文書だけを並べておりまして、この
委員会がもし二人区、三人区というような例外を必要と
認めた場合にはどうなるかということには、
法律は何も記していない。こういうように内容もがらっと変っている。これを、いかにも
原則が通っているから、残滓が残っているからということで、あなたはしがみついている。しかし、それほどあなたがこういうものに執着を感じ、そこに隠れていかにも責任を回避しようというようなあわれな姿は、日本の議会政治確立の上に残念だ。こういうことは、はっきりお答えになって、何がおそるべきことがあるか。そういうことまで忌避されることは、あなたが二大政党政治を確立し、
国民に対して責任をとり得る牢固たる政党の上に基盤を置く
政府を作るなどと言うことは、全くみずからこれを否定する大事な発言になると思うので、くどく
質問を申し上げております。しかし、あなたがそれ以上の御
答弁ができぬというなら、繰り返しますまい。
鳩山さんの責任政治に対する考え方というものはこれで
一つの定義ができる。
そこで、それでは、やや具体的なことで、あなたの責任についてお答えを
一ついただきましょう。それは、今度の
修正案の中に、
選挙区画定
委員会というものを定めることになっております。この画定
委員会と同時に、この
法案の中には、この
委員会は七人のそれぞれの人々を予定しておりますが、これと
総理府設置法の第十五条との
関係であります。
総理府設置法第十五条の規定によりますと、
総理府の中に付属機関として
選挙制度調査会が明文化されております。続いて政令で必要に応じて特別の事項を
審議させるために五人以内で臨時
委員会、さらに調査会に専門事項を調査させるための専門調査
委員会を設置することができるようになっている。そうしてこれの内容を全部読んでみますと、全くここにあげております
衆議院選挙区画定
委員会と同質のものであります。ただ違うところは、その
委員の数が五人、片方は七人となっている相違で、あります。それから、あらかじめ
委員の人選についてこの
法案の中にうたっております
衆議院議長の推薦する二名であるとか、
国会図書館長であるとか、あるいは
選挙管理
委員の中から選
ぶといったようにいたしてあるだけでありまして、これは、この
法律からいきまするならば、
総理大臣が任命することになっておりまして、この七人も
総理大臣が任命するという手続は同様であります。でありますから、こういう人々を
総理大臣が選
ぶということは何ら妨げてないのでありますから、こういう
法律が厳存しているのにもかかわらず、全く同質のものをここにあげてきたということで、しかもそれによっていかにも
ゲリマンダーに対する
世論のきびしい
非難にこたえようとする以外に、どこに
修正案の余地がありますか。そうして一方には、三月十三日でしたかの
答申案、すなわち「
選挙制度調査会の
答申を尊重し」とわざわざ
法律の中に入れている。だから、調査会の
答申を尊重するくらいでありますから、調査会の
制度それ自身に対しては尊重するどころではない。厳然たる
法律でありますから、これを守ることは異存のないはずです。当然その
法律の精神によって行い得るものを、ことさらにこういうものをつけて
世論を瞞着する以外に、何らの
理由を私
どもは発見することができない。こういうことまでしなければこの
法案を存続させることができぬような、かなり苦しいやり方であります。
一体、そういうことをして、この
政府の責任をあなたは回避しようとするのであるか。あるいは、そうでなく、
政府の責任は痛感しておる。しかしその責任のとり方をこういうところに持ってきたのであるか。この点は
総理大臣として明確にされる義務が私はあると思う。これに対してはっきりしたお答えをいただきたい。