○井堀
委員 わが党は、
公職選挙法についてはきわめてこれを重視しております。申すまでもなく、
選挙制度は、議会の性格を決定する大きな問題でありますのみならず、今わが国の国民がひとしく願望いたしております、平和的で文化的な国作りをいたさなければならぬ段階にあるわけであります。こういう重大な段階に当面して、
政治もまたこれとおくれないような制度を確立するとともに、活発な行動を伴わなければならぬわけであります。こういう意味において、
選挙制度の
改正についてはきわめて慎重であると同時に、また、その決定については、多く国民の意見を取り入れなければならぬことも申すまでもないのであります。こういう点で、私
どもは、今回
政府提案になっております法案に対する審議につきましても、十分審議、検討をいたす準備をいたしているわけであります。ただいままで、この法案を審議する
前提条件である
国会の新しいルールの問題について、まだ問題が未解決のままになっているのでありますが、これは
政党間において話し合いも進めるでありましょうし、この
委員会においても並行して審議をすることになると思うのでありますが、われわれは、ここで、大体この法案に取り組みます立場を
五つの角度から検討することにいたしました。すなわち、提案理由の
一つになっております二大
政党を指向する理想的な姿、ことに政局の安定を強調しておりますが、私
どももこのことについては重大な関心を持っております。さらに、
選挙で最も注意を要すべきことは、
一般に叫ばれながらその理想を容易に実現することのできません公明
選挙、すなわち
選挙の
粛正であります。これを
選挙費用の
軽減に結びつけて検討を加えて参りたい。また、ここに提案されております小
選挙区が可であるか、あるいはいかなる
選挙区が理想に最も近づくよい方法であるかについて、すなわち
選挙区割りについても、われわれの意見もあれば
見解もあるわけであります。こういう点についても、われわれは、できるだけ実際問題に触れて討議を進めていきたい。さらには、
選挙運動、すなわち、どんな制度を作りましても、
選挙運動それ自身が軌道に乗らなければ目的を達することができぬことは、言うまでもありません。そこで、
選挙運動はどういう方法で行うべきであるかということは、この
法律にとって大きな眼目であることも、申すまでもありません。この
選挙運動について、われわれは、それぞれの経験と将来の見通しの上に立って、法案について検討いたしたい。またその準備もいたしておるわけであります。さらに、今後
選挙法を検討いたします上にどうしても欠くことのできないのは、各国のそれぞれの経験を多くわれわれは学ばなければならぬ。あやまちは再び犯すことのないように、さらによいものは取り入れていくという態度でなければならぬと思いますので、そういう事例についても、
政府も勉強され、議員も勉強する。やはりあやまちのない対策を講ずべきだという慎重な態度をもって、それぞれ
委員は担当を命ぜられまして勉強を続けておるわけであります。こういう立場から、私
どもは
政府に対して資料の要求をいたしました。
ところが、この資料がまだ今日全部そろわないことは、審議を進める上にまことに大きな障害になっておって残念に思っております。今日まで私
どもの希望いたしました資料のうちで、大事なものがまだ
五つばかり残っております。さらに重ねて二、三要求いたしたいものも出て参りました。こういう資料が全部そろってから検討するということが理想的でありますが、議事の日程等の
関係もありますので、不十分な資料の中においてわれわれは検討いたしております。従いまして、その点は
質疑応答の中で多少むだがあるかもしれませんが、お互いに努力をいたしたいと思っております。
以上のような
関係からいたしまして、私の命ぜられました部分は、
選挙粛正と
選挙費用に関する部分であります。この点について時間の許す限りお尋ねをいたして参りたいと思っております。
そこで、ちょうだいいたしました資料について全部の検討を終えておるわけではありませんが、その私に与えられました課題の
関係資料の中で、ぜひ早くちょうだいいたしたいと思いますのは、国の経済的援助を受ける
法人団体の調べであります。これが一番要るのですが、おくれているわけです。この点については、お尋ねしてお答えできれば承わりたいが、できなければ
あと回しにしてもけっこうだと思っております。
そこで、今いただいております資料の二つをここに取り上げてみたいと思います。それは法務省の刑事局が
提出された資料でありますが、われわれは、これを拝見いたしまして、今さらじくじたるものを感ずるわけであります。御案内のように、この資料は、
昭和二十七年、二十八年、三十年の三回に行われました
衆議院の
選挙における
選挙違反案件の受理並びに処理された結果の
報告であります。これを見まして非常に残念に思いますことは、浜のまさごは尽きるともという言葉がありますが、一向に
選挙違反の数が減ってこないということ、しかも、その数の多いことについては、諸外国の例を見ましても、決して名誉にならない非常な勢いを示しておるのであります。この問題を解決できる
選挙法の
改正でないと、私は意味を持たぬと思うのです。それは、よし小
選挙区であろうと、大
選挙区を用いようと、
選挙違反がこのように現存しておるようなことでは、それは、
選挙法の
改正に手を染める者といたしましては、まことに責任重大といわなければならぬのでありますから、この点についてまずお尋ねをいたそうと思います。
そこで、この資料についてみますと、かなり多くの件数の中で、しかも私
どもの一番嫌悪いたしております買収、利害誘導という事犯が最も多く、またその起訴された率において高いことを遺憾に思うのであります。
昭和三十年の例をとってみましても、全体の事犯の中の八一・三%がこの買収、さらに起訴されたものを見ましても、その全体の中の七六・一%という割合を示しておるわけであります。こういう買収、利害誘導といったようなものは、これは、諸外国の例を見ましても、いろいろ表現の仕方は違いますけれ
ども、最高の恥辱としておるわけであります。この問題を、この
選挙法改正の中では、どの部分をもって一体是正していこうとなされるか。もちろん、あなたは、小
選挙区をしくことによってこれが是正できるという御説がおありになるなら、まずこの点を伺わなければならぬと思います。私はそれのみをもってしてはなし得ないことだと信じます。この点について、あなたの方から出された資料や、また今までの御説明や
質疑応答の中においては、まだ触れられておりませんので、まずこの点について
一つ根本的なお考え方を伺って、順次具体的な事実についても検討をして参りたい。