運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-04-12 第24回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十二日(木曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 青木  正君 理事 大村 清一君    理事 淵上房太郎君 理事 松澤 雄藏君    理事 山村新治郎君 理事 井堀 繁雄君    理事 島上善五郎君       相川 勝六君    臼井 莊一君       岡崎 英城君    菅  太郎君       椎名  隆君    田中 龍夫君       中垣 國男君    二階堂 進君       福井 順一君    藤枝 泉介君       古川 丈吉君    三田村武夫君       森   清君    山本 勝市君       山本 利壽君    佐竹 晴記君       鈴木 義男君    竹谷源太郎君       滝井 義高君    中村 高一君       原   茂君    森 三樹二君       山下 榮二君    山田 長司君       川上 貫一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         法制局次長   嵩辻 正巳君         自治政務次官  早川  崇君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   皆川 迪夫君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ――――――――――――― 四月十二日  委員堀内一雄君及び山本正一君辞任につき、そ  の補欠として山本利壽君及び岡崎英城君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第1三九号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案中村  高一君外三名提出衆法第二一号)  公職選挙法の一部を改正する法律案中村高一  君外四名提出衆法第二二号)     ―――――――――――――
  2. 小澤佐重喜

    小澤委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案中村高一君外三名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案中村高一君外四名提出公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。再木正君。
  3. 青木正

    青木委員 政府提出公職選挙法の一部改正案につきまして、若干の点について御質疑申し上げたいと存じます。  まず第一に伺いたいと存じますことは、御承知通り町村合併促進法によりまして全国的に町村合併が行われております。およその見当では目標量の八割五分程度合併が完成しておるようでありますが、なお、ことしの九月までは町村合併促進法が効力を持っておりまして、現在もなお地方によりましては町村合併が進捗中であります。ところで、今回政府が提案されましたこの改正案によりますと、区割りに当りまして、区割り原則として町村区域はこれを分割しないこと、それから、特別の事情のない限り郡の区域は尊重することというような、行政区画を尊重するということを区割り一つ原則といたしておるのであります。ところが、一方、改正法の第十三条の二の条文を拝見いたしますと、行政区画変更による場合、むしろ選挙区画の方を尊重する建前をとつておるようであります。つまり、区割りの方は行政区画を尊重するという考え方に立っておる。ところが、選挙法の方は、そうでなしに、選挙区の区域を尊重する、こういう考え方に立っておるようでありますが、一体行政区画を尊重する考え方か将来町村合併等が行われたる場合に、選挙区画の方を尊重する考え方か、その基本的な点について、まず政府考えを承わつておきたいと思うのであります。
  4. 早川崇

    早川政府委員 ただいまの御質問趣旨は、法第十三条第二項の問題かと存ずろのでございまして、この法律の十三条におきましては、境界変更及び所属未定地編入の場合にのみ選挙区が自動的に動く、こう規定しておるのでございますが、同時に、市町村が恒久的に境界変更で二分されるということは、これまた選挙区としては困りますので、そこで、第三項におきまして、衆議院議員選挙審査会にこれを提起いたしまして、それの勧告によって政府選挙区の変更いたす、こういう考え方になっておるわけでありまして、行政区画よりもやはり選挙区画というものを中心に考えておるのでありまして、選挙区域を尊重して、それに伴いまして行政区画というものを合せ考える、こういう仕組みになっております。
  5. 青木正

    青木委員 さらに、これに関連いたまして、第十三条の条文によりますと、現行選挙法におきましては、二つ以上の選挙区にわたって市町村境界変更が行われた場合は選挙区の区域変更するとなっておる。ところが、改正案の方では、二つ以上の選挙区にわたって市町村境界変更があったとき、または所属未定地市町村区域への編入があったときに限り、選挙区の区域変更されろと規定されておるのであります。この所属未定地市町村区域への編入という問題に関連いたしまして、政府はこれをどういうことでそういうふうに規定したのか、御説明願いたいと思います。
  6. 兼子秀夫

    兼子政府委員 所属未定地は非常に希有の場合でございますが、干拓その他によって新しく陸地が造成されるというような場合がございます。その場合に、法律では地先海面ということになっておりますが、湾入しているようなところでは、どちらの町村地先海面であるかわからないので、競合する場合があり得るわけであります。そういう場合に、その新たに造成されました土地に住民がおるということになりますと、やはりここにはっきり選挙区の所属をきめなければならぬという問題になりますので、今回、所属未定地の新たに属することになった市町村二つ以上にまたがっております場合には、選挙審査会意見を聞いて内閣総理大臣が定める。現行法ではこのような場合の規定がなかったのでございます。
  7. 青木正

    青木委員 なお、市町村行政区域選挙区の関係につきまして、私ども果してこれが適当かどうかと思いますことは、現行法によりますると、「郡の区域又は支庁所管区域変更があっても、選挙区は、なお従前区域による。」こうありまするのを、改正法によりますと、「郡の区域支庁所管区域、」これに加えまして「市町村区域又は市の区域内の町、字若しくは地番の区域若しくは支所若しくは出張所の所管区域変更があっても、選挙区は、なお、従前区域による。」こう改正されておるのであります。従って、改正法によると、特に市町村区域というものが選挙区の分れるような事態が生じてくるのではないか。つまり、境界変則が行われた場合に、市町村の中がAの選挙区、Bの選挙区と分れるおそれがあるのではないか。しかも、町村合併によりまして、町村合併是正と申しますか、そういうために、すでに行われた町村合併の地域におきまして境界変更を生ずる事例が少くないのであります。そういう境界変更を生じた結果、選挙区が二つに分れるというようなことになるのではないか。つまり、同じく分れてしまつても、なお前の選挙区に入るというような事態か生じて、町村合併是正するために境界変更いたしましても、選挙区はなお従前の例によるために、住民感情が判り切れないというような事態が生ずるおそれがあるのではないか、この点につきまして御見解を承わりたいと思います。
  8. 兼子秀夫

    兼子政府委員 お答えいたします。町村合併によりまして、その走正と申しますか、一部の部落が他の町村に入り、その結果選挙区が二つ以上にわたるということが起り得るのではないか、そのような場合には、町村住民感情からいってはなはだしく不自然ではないか、そのようなお尋ねでございますが、おっしゃる通りに、そのような場合には非常に住民感情に反しますし、それは町村として一体に扱うべきであると考えるのであります。従いまして、そのような場合には、選挙審査会意見を聞いて、毎年十一月一日から翌年の十月三十一日までの間における行政区画変更によりますものを、十一月三十日までに、審査会はその改訂の必要があるという意見がありますれば、内閣総理大臣提出をするというようなことに、第十三条の二の第二項において規定をいたしたのでございます。このように市町村境界変更にかかる場合をこまかく規定いたしましたのは、小が、区制の採用に伴いまして、従来の郡市の区域によるという考え方で貫いて参りますと、一方の区域が他に編入されることによりまして、そこに相当の人口移動伴つてくるということになりますので、新しい見地から、そのような不自然な事態の発生を予想いたしまして、それは審査会意見に基いて毎年是正をする、このような措置を講じたのでございます。
  9. 青木正

    青木委員 法律が成立した後におきましては、そういうような措置を講ずることができると思うのでありますが、そうでなしに、この法律施行されるまでに、この提案されておりまする別表第一に掲げる行政区画変更があった場合は、どういう処置をとるか。つまり、この法律施行された後にそういう変動があった場合は、審査会の議を経て是正する道があるのでありますが、そうでなしに、別表はもう一応きめられたこの区割りが提案されておりますが、法律施行前に、町村合併が行われて行政区画変更があった場合は、どういう調整をとられるお考えか、この点を承わりたいと思います。
  10. 兼子秀夫

    兼子政府委員 お尋ねの点につきましては、三月一日現在の行政区画によって、この法律案は作成いたしておるのでございまして、この法律施行になりますと、それ以後の行政区画変動につきましては、先ほど申しました選挙審査会の議に付しまして是正措置を講ずる、このような考えでございます。
  11. 青木正

    青木委員 そういたしますと、三月一日現在で一応きめて、そうしてかりに法律施行が六月なり七月になつた場合、三月から六月までの間に行われた変動につきましても、やはり審査会に付してその調整をはかる、こういうことになるのでございますか。
  12. 兼子秀夫

    兼子政府委員 この法案の印刷物の百九十三ページに附則の四項がございますが、「別表第一に掲げる行政区画の取扱」という表題で、附則の四項にそのことが規定してあるのでございまして、「別表第一に掲げる行政区画は、昭和三十一年三月一日現在によつたものであつて、同年同月二日以後次の衆議院議員の総選挙の期日が公示される日の前日までの間において同表に掲げる行政区画変更があつても、所属未定地編入による場合を除き、当該選挙区に関する限り、行政区画変更がなかったものとみなす。」という規定を置いておきまして、ただいま御質問のような場合には、選挙審査会意見によりまして改正をするわけであります。
  13. 青木正

    青木委員 審査会の話が出ましたので、審査会関係についてお伺いいたしたいと思います。  公職骨挙法選挙管理委員会規定におきまして、先般の国会でたしか改正をいたしまして、この委員の人選に当りまして、政党関係をたしか一名を二名にふやしたわけでありますか、そういう改正を行なつたと思うのでありますが、今回のこの選挙区の審査会にお遂ましては、各党派所属する者は一名をこえてはならない、こういう規定があるのであります。選挙管理委員会の場合と審査会の場合とその点違つておるのでありますが、どういう考えのもとにそうした違つた取扱いをしたかを承わつておきたい。
  14. 兼子秀夫

    兼子政府委員 公職選挙法の第五条の二の中央選挙管理会五項でございますが、政党所属制限を「二人以上となつた場合においては、」というように、従来一人まででありましたのを、二人まで認めるような改正を先般行なつたのでございますが、この中央選挙管理会政党所属制限改正趣旨は、社会党の統一、保守合同伴つて現状選挙管理会委員の実態に触れるものでよないということからいたしまして、現状に合せて法律所属制限改正いたしたのでございます。今般の選挙審査会政党所属制限につ遂ましては、これは新たな制度でございまして、政党所属制限を強化いたした次第でございます。
  15. 青木正

    青木委員 審査会の使命の問題でありますが、この審査会は、行政区画変更による選挙区の改定について、内閣総理大臣提出する、こういうことだけありまして、人口移動に基く選挙区の是正と申しますか、定数の変更と申しますか、そういう問題については何ら意見を出す規定がないのであります。御承知のように、現行選挙法におきましては、五年ごとに、国勢調査の結果に基いて、人口移動に伴う是正をすることになっておるのでありますが、今回の改正案では、そうした人口移動に基いて定期的に是正をする規定もありませんし、また審査会としても人口移動に伴う選挙区の是正の問題を取り上げていないのであります。そういたしますと、行政区画変更による場合に限つて是正規定がありますが、人口移動に伴う是正については何らの規定がありませんので、これは不合理じゃないか。実際の運営上支障を来たすのじゃないか。先般も私質問で申し上げましたが、イギリス選挙委員会のような性格を持たせて、そうしてやはり、人口移動に伴う場合の選挙区の是正についても、こうした機関に公正な判断を求めるということが望ましいのではないかと思うのでありますが、御意見を承わりたいと存じます。
  16. 兼子秀夫

    兼子政府委員 現行法は、御承知ごとく、別表の末尾に、「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」このような規定があるのでございます。しかしながら、終戦後の府県別人口移動、さらに終戦後過去十年間の人口の絶対的な増加――約一千六百万ばかり増加いたしておるのでございますが、そのような人口増がございましても、この別表は五年ごとに更正するのを例とすると書いておりましても、十年間は更正をされなかったような結果に相なっております。人口移動伴つて、理論的に申しますれば、イギリスバウンダリー・コミッションごとく、人口移動伴つて当然選挙区を改正するという思想を入れるべきだということの御意見でございますが、これは、政府におきましては、選挙審査会にその権限を付与することをいたしませず、人口が著しく不均衡になってきました場合には、政府の責任において、またそのような考慮を払いました案を国会提出して、御判断を仰ぐ、このような考え方に立脚いたしておるのでございます。
  17. 青木正

    青木委員 さらに、審査会行政区画変更による改定案内閣総理大臣提出した場合、内閣総理大臣は、その提出した改定案に基いて、最近の国会法律案提出しなければならない、こういう規定になっておるのでありますが、この改定案に基いてということはどういうことを意味するのか。また、内閣総理大臣は、審査会改定案提出がない場合でも、政府自体の発意において改正案提出することができるのかどうか。その審議会改定案に対する意見提出がないのに、内閣総理大臣改正法律案を出すことはできないということになりますと、何か内閣審査会の拘束を受けるような形になるのでありますが、これは絶対必要条件であるのかどうか。なくとも、政府改正案提出することができるのかどうか。
  18. 早川崇

    早川政府委員 ただいまの御質問でございますが、むろん「基いて」という意味は、尊重してという意味でございまして、内閣総理大臣が自由に最終的には決定することができるのであります。英国パウンダリー・コミッションにおきましても、先日佐竹委員の御質問でありましたが、全部それを尊重してやっている、こういうような御意見がありましたが、英国におきましても、やはりそうではないのでありまして、パウンダリー・コミッションで答申されましたもの、議会におきましても大幅に修正されて、それをまた一九四七年に修正したものをまた保守党が最近修正したいということになっておりまして、わが国の審査会も、そういう意味では、パウンダリー・コミツションとあまり変りないのでありまして、むろん総理大臣が自由に裁量できる、ただし尊重はいたさなければならぬ、こういう意味でございます。
  19. 青木正

    青木委員 なお、行政区画変更による選挙区の改正については、審査会意見がなければ政府は提案することはできないかどうか、この点についてもお伺いいたします。
  20. 早川崇

    早川政府委員 できると思っております。
  21. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 関連して。今、早川政務次官は、イギリスのパウンダリー・コミティでやったものを修正すると仰せられたが、そうかもしれませんが、私が直接モリソン氏からこの間聞いたのでは、モリソン氏は、御承知のように内務大臣をやり、あのとき作ったのです。それから外務大臣もやり、労働党の副党首ですが、それで座談的に話したのですから、文献等を用いてやったのではありませんが、最初、バウンダリー・コミッションで作った案というものは、きわめて機械的に公平ではあるけれども、実際的でない、そこで労働党修正した、ところが非常に世論の批判を受けて実は恐縮した、その後はそういうことをしないようにしておるので、コミティの構成員もかえないし、それからその構成員が出した案というものもほとんど訂正せずにこうのみにしておる、こういうふうにモリソン氏は説明しておる。それで、政務次官はそれと違った御答弁でありますから、そういう何か文献のようなものがあるならば、一つ御提示を願いたい。
  22. 早川崇

    早川政府委員 御承知のように、一九四七年でありましたが、労働党内閣のときに、農村地帯の定員をふやす。農村地帯に有利なような修正を、国会でありましたか、政府提案のときでありましたか、やった。これを保守党が非常に非難いたしまして、保守党内閣のときに、またそれを元に戻すというようなわけでありまして、バウンダリー・コミティのことが、絶対的に無修正で、すべて中立的な最高権威で通っているという、意味のことを先日佐竹委員が言われましたが、その点は少し違うのじゃないか。やはり自由に国会修正しておる。ただし、国会良識なり政府良識で十分尊重して、非常なゲリマンダリングにならはいように、政治道義の上でやっているということは、私は言えると思うのでありまして、私の申し上げましたのは、そういう意味で、バウンダリー・コミティのことは絶対的な、法律的にも実際的にも不動のものでいっているのだということは誤まりである、こう申し上げた次第であります。
  23. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 申し上げるのはかまいませんが、その根拠一つ私ども拝聴したいのであります。何か文献があるのか。あなたがそういうことを言う根拠一つお示し願いたい。あとでいいですから……。
  24. 青木正

    青木委員 次に、繰り上げ補充の問題について承わっておきたいと思います。現行法では、御承知ごとく、繰り上げ補充法定得票数を得た候補者について三カ月以内認める、こういう規定になっておるのであります。ところが、改正案では、知事や市町村長の場合と同じように、同点をとって、そうして抽籤で落ちた人、こういう人に限って繰り上げ補充を認めろ、こういう規定になっておるのであります。現行法をなぜ一体改正案ではこういう考え方に改めたか、その理由を承わっておきたい。
  25. 早川崇

    早川政府委員 今の御質問でございますが、御承知のように、公認制度になりますと、もし、その人が失脚するなり、あるいは当選無効になりますと、必然的に反対党の人が当選するこういうことになります。これはあまりにもおかしい。こういうわけで、今回はそういう規定に直したのでございます。
  26. 青木正

    青木委員 そういう考え方だとすれば、二人区については現行法のような考え方も若干成り立つのじゃないかと思うのでありますが、二人区も、やはり、一人区の場合と同じように、ただいまお述べのような考え方に立って特別の規定を置かなかった、こういうことでございますか。
  27. 早川崇

    早川政府委員 さようでございます。
  28. 青木正

    青木委員 時間がありませんので、端折って御質問申し上げますが、二百一条の関係であります。つまり政党関係の問題でありますが、先般のどなたかの御質問に対しまして、政党定義について選挙部長から一応お話を承わったのでありますが、この政党定義というものを政治資金規正法以外に何か規定されたものがあるかどうか。政府としては、あの政治資金規正法政党定義、それだけをよりどころとして考えておるものかどうか、承わっておきたい。
  29. 兼子秀夫

    兼子政府委員 政党定義法律上明確にいたしましたものは、政治資金規正法の第三条の規定以外には見当らないと思います。
  30. 青木正

    青木委員 ある政党が二人の公認候補者証明書を出してはいかぬという規定が、法文には明確に規定されておるのであります。ところで、一方、これを受ける選挙長立場でありますが、出すことはいかぬ、こういう規定があるのでありますが、選挙長の方はこれを受理してはいかぬとか、いいとか悪いとか、そういうことは規定していないのでありますか。果して、二人が提出されている場合、選挙長はこれを受け付けることができないという規定がどこにむ見当らないようでありますけれども、その場合選挙長はどう処理するものですか。
  31. 兼子秀夫

    兼子政府委員 技術的な点についてのお尋ねでございますが、公認証明書を発行する人は本部の総裁、委員長その他これらに準ずるもので、あらかじめ自治庁長官に届け出た人の名前で発行をするのでございます。実際の選挙の場合にはへその公認証明書を各都道府県で選挙長に手出するわけでございますが、あらかじめ政党の方から自治庁長官届出いたしました氏名をわれわれの方といたしましては末端機関に通知しておきますので、末端機関におきまして、選挙長は、それによって公認証明書適法に発行されたものであるかどうかということを判断した上で、受理いたすのでございます。従いまして、ただいまお尋ねごとく二人発行される場合がありはせぬか、そういう場合にはどうするかという点がお尋ねのうちに入っておったと思うのでございますが、初め届出のあったときには、選挙長は何ら必配することなく受け付けると居うのでありますが、二度目に同一選挙区において届出がありました場合には、これはほんとうに発行されたかどうかということをよく候補者に間違いないかどうか念を押しまして、また、党の方に連絡をとりまして、適法に発行されたものであるかどうかということを念を押しました上で、二つ発行されておる、非常な異例の場合であるということになりました場合には、この法律解釈ではそのような点は規定いたさなかったのでございまして、受理するしか仕方がないと解釈をいたしております。
  32. 青木正

    青木委員 二つ政党公認証明書をもらつちやいかぬことになっておりますが、そういう場合における選挙長立場も同様でありますか。
  33. 兼子秀夫

    兼子政府委員 同一の候補者が異なる二つ政党公認書を持ってくるということは法律でで遂ないと書いてありますから、そのようなことは万あるまいと思いますが、持って遂た場合には、これは選挙長において候補者によく確かめて、いずれか一つしか受理をしないということになろうかと思います。
  34. 青木正

    青木委員 確認団体、つまり候補者五十名以上を有する政党もしくは政治団体でありますが、確認団体候補者が増減――ふえた場合は差しつかえありませんが、減つた場合のときのことにつきましては、どう処理するかを政令に譲つてあるようでありますが、その政令内容と申しますか、大体の考え方はどういう政令を出すお考えでございますか。
  35. 兼子秀夫

    兼子政府委員 二百一条の五の第五項に、そのような場合には政令で特別の定めをすることができるという法律根拠を置いておるわけでございますが、お尋ねのような場合にお遂まして、政令規定内容にいかなるものを盛るかという問題でございますが、まず確認団体候補者の減少した場合ということが一つ考えられます。五十人の届出をいたしましたものが四十九人とか四十八人になるというような場合、あるいは全然確認を取り消すという場合が考えられます。そのような場合には、自動車や船舶、拡声機の表示板を確認団体に交付いたしておりますのでその返還を政令規定するということが一つでございます。それから、二番目には、確認団体が資格を喪失いたしまして、さらに要件を具備して、五十人が四十八人になりましたが、次にまた同志がふえて五十人以上になる、資格を一度喪失したものをさらに獲得する場合も考えられまするので、そのような場合に、政談演説会や政党放送の回数、それから政九のはが遂というものについて枚数を通算するという規定を置きたい、このように考えております。それ以外は、確認団体の資格の喪失いたしました場合の、これは政党のポスターを張つておりますので、これを撤去する義務を政令に書くということが一つ、いま一つは、さらに確認団体候補者数が減少した場合、未使用のものがありました場合の――これは、公営でありませんので、交付したものでありませんから、返還という規定が書けませんので、使用を禁止するという規定をこの政令規定いたしたい、このように考えております。
  36. 三田村武夫

    ○三田村委員 青木委員質問に関連して、といいましても、選挙法の根本問題ですが、社会党提案の選挙法改正案の提案者中村高一君がそこにおられますので、一、二点お尋ねいたしたいと思います。  本委員会は、選挙法の実体規定別表、すなわち、政府提案の小選挙区制を採用する案について審議すると同時に、社会党提案の改正案についても審議をしているのであります。そこで問題の中心点は小選挙区にしぼられてくるのであります。中村高一君に率直にお尋ねいたしますが、選挙はあくまでも自由であり公正に行われなければなりません。同時に、政策を基礎にして選挙が行われるということは好ましいことであります。この点について、おそらく中村君も御同感だと思いますが、まずお尋ねいたしておきたい。
  37. 中村高一

    中村(高)委員 選挙は政策によって行われますという御趣旨はまことにごもっともでありまして、いやしくも政党選挙を戦うのでありまするからそれぞれ、各党とも、選挙に臨みましては、国民に対する一つの公約を決定いたしまして、これに基いて選挙戦を戦い、どの党の主張が正しいかを決定することが選挙戦の大遂な意味だとわれわれも理解するのでありまして、われわれの改正案にお遂ましても、もちろんそういうことについての趣旨は同感でありまして、内容におきましていろいろの点が盛られてはありまするけれども、趣旨においては、私は政党が政策をもって争うということは、まことにけつこうなことだと思っております。
  38. 三田村武夫

    ○三田村委員 何人も、政治に志す者、政党に籍を置く者は、考えは同じだと思います。社会党提案の案を見ますと、選挙の公正を期するために、いわゆる選挙犯罪に対する刑罰規定が相当厳重になっております。この点私たちも大いに考慮を要する点であると思いますが、選挙というものは、刑罰をもって臨むことももとより必要でありますが、より必要なことは、政策の侵透によること、さらに、政党の公正な活動によって国民の政治意識が高まりその高まつた政治意識のもとに公正な選挙が行われるということが、一番好ましいことだと思います。そういう観点からいたしますならば、今政府が提案いたしておりますいわゆる小選挙区、これは、あくまでも、党というものを基盤にし、政策というものを基礎にして、国民という共通の広場に立って、政策論争の上に政治の選択が遂められるのでありますから、社会党の諸君がより一そう賛成されなければならぬと思う。この点はどうでしょうか。政策というものは選挙の基礎になり、その政策を基礎にして政治の選択が行われるということが選挙であります。民主政治のルールであり、議会政治の基礎であります。そういう点については私は社会党の諸君といえども異論はないと思う。その建前から選挙法改正という提案がされたと思いますが、これはいかがでございましょうか。
  39. 中村高一

    中村(高)委員 われわれも、選挙について、罰則だけを強化して、それで選挙民を威嚇するようなやり方で、選挙の進歩を求めるということは無理だと思っておるのであります。罰則などを厳重にしないでりつぱな選挙が行われるように、日本の選挙が進歩をしてくれば、まことにけつこうなのでありまして、そういう点については、理想にお遂ましては三田村委員の御意見と同様でございますが、実際は、まことに残念でありまするけれども、そう至っておらない実情は、三田村、委員の御承知通りでございまして、実に、日本の政党なり選挙界の実情というものは、まことにいろいろの問題を起すあでりまして、たとえば、政党にいたしましても、りつぱな選挙が行われておりまするイギリス政党などと比較しては、まだまだ日本の政党は未発達の状態にあると思うのであります。たとえば、イギリス政党が、非常にその運営が民主的に行われるのに比べまするならば、日本の政党におきましては、多分に内部が派閥的でありまして、実際において政党自体の運営さえ民主的に行われておらぬと思うのであります。そういう状況でありますからして、選挙においても、選挙が終ると、ああいうふうに選挙違反が続出するというような情ない日本の実情でありまするので、政策を批判して、全国民が投票をどの党に入れるかという程度の完全な状況には、まだ残念ながら至っておらないと思うのであります。そのためにこそ、ああいうふうに選挙違反が日本には多いのだと思うのであります。昭和二十七年、二十八年三十年の選挙などを見ますると、たとえば三万とか四かとか――直接検挙される考がそれだけの数ではないのでありまするけれども、違反として扱われる者が、二十七年度のと遂は四万人もあるのでありまして、さらに三十年度を見ましても、三万人くらいの人が告訴されたり、あるいは警察に引つぱられたりしておるのであります。ところが、同じ選挙をやつておりますイギリスなどにおいては、実に政党も進歩しておりますし、有権者も選挙の重大性を認識しておりますから、先般イギリス選挙を視察せられました高橋雅射さんの報告書を見ますと、イギリスでは今二十世紀になってたつた一件しか選挙違反がなかったという判例を調べて参りまして、一九二三年にただ一つ選挙違反があったということで、驚いて帰ってこられて報告をしておるのでありますが、一つ選挙が終つて三万、四万といろ入が問題になる国と、今世紀になってただ一件しか違反のないというイギリスのような国においては、もう罰則の強化などというようなものは問題にならない状態に立ち至っておるようでありまして、まことにうらやましいのであります。しかし、日本では、こういう選挙の状態でありますから、やはり罰則の強化をして、その上に選挙の公正を期するということは、やむを得ないことであります。ただ、政策を十分批判をして政策本位で選挙をするというのには、多少の日時をわれわれは待ちまして、そうして国民の教育を進めて、選挙というものの重大性を国民が十分に認識できる段階にまで、われわれは努力をいたさなければならぬのではないかと痛感をするのであります。いかにも、政策を批判をしていくことによって、罰則などは強化しないで、自由な投票のできるような選挙を私たちは望むのでありますが、何としても現状は御承知のような状態でありまして、もしこれが小選挙区制が実施されるということになったならば、おそらく私はもっと激しい違反が出てくるのではないかということを、私ばかりでなく、内閣選挙制度調査会の委員諸君が異口同音に言われまして、小選挙区制を実施するならば、同時に、日本の現状では、罪則を強化しなければ危険だということをどの委員からも言われまして、答申に厳重な条件を付せられたのは、私はそういう点からきておると思うのであります。しかし、これも、日本の国民を信頼しないというのではなくして、段階を要するというのであります。同じ今日のようなりっぱな選挙を行なっておるイギリスなどにおいても、十八世紀あるいは十七世紀当時におきましては、非常な選挙違反が行われて、腐敗した選挙のためにイギリスは苦しんだ。そのためにいろいろの罰則の強化などもいたしておったことを考えますと、罰則の強化と相待ちまして、私たちは、政党の政策を批判するということを、並行的にわれわれ全体が努力をするということは、やむを得ないことだと思います。三田村委員におかれましても、どうか日本の実情をごらんを願いまして、選挙制度の上に罰則の強化もあわせて行われたいということを希望するものでございます。
  40. 三田村武夫

    ○三田村委員 中村委員の御説明はわかりました。私は、この質問は今後この委員会でさらに継続することを留保いたしまして、きようはこれで終ります。
  41. 早川崇

    早川政府委員 先ほどの鈴木委員の御質問についてでありますが、バウンダリー・コミッションの案を修正した例としては、一九四八年英国労働党内閣のときに国民代表法という例がございます。
  42. 小澤佐重喜

    小澤委員長 この際暫時休憩いたします。午後一時十分より再開いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後二時十八分開議
  43. 小澤佐重喜

    小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。森三樹二君。
  44. 森三樹二

    ○森(三)委員 太田長官にお尋ねいたしますが、今回のこの小選挙区案を骨子といたしました政府の提案にかかるところの選挙法の一部改正法律案に対しまして、これより、私は、政界の浄化、粛正並びに選挙費用の軽減等、これらの問題につきまして、御質問をしたいと思うのでありますが、その前提といたしましてお尋ねしたい問題があるのでございます。  最近におきますところのこの小選挙区法をめぐりまして、日本の国民は、非常に大きな関心み持って、この推移をながめておる次第でございます。太田長官といえども、中央地方の各商業新聞あるいはまた雑誌、週刊読物等において、この小選挙区問題が取り上げられておらないページはほとんどないといっても差しつかえないことは、十分御存じのことと思うのであります。しかも、その記載されておるところの内容は、せっかく内閣に置かれましたところの選挙制度審議会の案を全く無視いたしまして、すなわち自民党の議員諸君の当選を確実にするところの党利党略の小選挙区法案である。中には、特に御手洗辰雄君とかあるいは矢部貞治君とか、その選挙制度審議会の構成メンバーである諸君でさえも、筆陣をふるって、あのような政府提案の区画割りであるならば、われわれはとうていこれを承認することはできないというような、責任ある者の発表といたしましては、まことに重大な問題が多々あるわけであります。太田長官からは、先般来われわれの同僚委員質問を重ねて参るに従いまして、いろいろ御答弁がありました。もちろん、政府といたしましては、提案されました法案についてこれを支持し、これが通過をはからんとするそのお気持は、私はよくわかるのでございますけれども、しかし、これほど世論が強い反撃をもって、いわゆる総攻撃の態勢でもって沸騰しておるところの法案は、いまだかつてないと思うのでありますが、これにつきましての長官の御認識をまず承わりたいと思うのであります。
  45. 太田正孝

    ○太田国務大臣 森委員にお答え申し上げます。  この小選挙区案が出ましてから、世論及び新聞、雑誌の記事がたくさん出ましたことは、私も、言論界の空気としてこれを尊重し、かつ自分の戒めにしたいと思っております。しかし、お言葉のうちにありました委員会の案を抹殺したというようね点におきましては、多少森委員と私と考え方が違っております。今回の委員会の案は、一方に区画割りをするとともに、他方におきまして要望されたる五つの条項を掲げております。すなわち、個人選挙を廃して政党選挙にしろとか、罰則の問題とか、いろいろ掲げられております。区画割りにつきまして、委員会の案を全部とれというお言葉でもないかと思いまするが、抹殺したという意味は、私はどうも理屈くさく言うようですが、二百六十というものは無きずに入れたのでございます。その他の区域につきまして、二百十七をいかに変更したかということは、それぞれ変更する理由をもっていたしましたので、抹殺ということは少しく御批評が過ぎるではないか。(森委員「抹殺と言ったんじゃない、無視と言ったんだ」と呼ぶ)抹殺でないとしても、無視という言葉であったかと思いますが、大体におきましてかまわずにやったと申されましたが、こういう意味から申しまして二人区を設けた理由であり、かつ、毎度申し上げます通り、区画割りということはいわば幾何上の線を引くことでございまして、人、おのおの、見るところによって、地勢の問題、経済の問題、人口をどういうふうに調節したらいいかというような問題ねど、御意見があることと存じます。全部取り入れなかったということについての御非難は受けますが、これを無視したという考え方でなく、むしろ取り上げるものは取り上げて、政府立場から見てこれがよいと思う客観的事実を判断いたしまして、改めた次第でございます。  また、第二点の、今回の小選挙区制は、区画割りと同時に、政党の公認とか運動とかを非常に強く取り入れてあるのでございまして、これこそ、委員会の第一義に掲げておる個人選挙を廃して政党選挙にしなければねらぬと強く主張されたるものを取り入れておるのでございます。いろいろの御批判は、言論に生きておった過去を顧みましても、私はつつしんでこれを受けます。しかし、議会における審議の進むにつれまして、われわれの主張するところを御了解し得る日の近いことを信じておるのでございます。
  46. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官は、この選挙区の区画割り表等に対しましては、選挙制度審議会の答申案を抹殺したものではない、このような御答弁でありますが、私は、抹殺という言葉は使用しないのでありまして、無視という膏薬を用いたのであります。同じようほ意味を持っているかもしれませんが、私は必ずしもまたそのニュアンスなきにしもあらずと思うのでありますが、いずれにいたしましても、この選挙の区画割りの内容につきましては、私どもはただいま十分検討中でありますので、これはあらためて後日御質問を申し上げるつもりであります。  すなわち、四百九十七という選挙区のうち、その約半数を全く党利党略によって塗りつぶし、しかも二十九にわたるところの二人区さえも設けておるというような事実、選挙制度審議会におきましては、太田さんも御存じの通り原則として一人一区制をとるというような含みでありましたものを、さらに原則とか例外とかいうことなしに、一人一区制をとるということを確認されておるわけなんです。二人区を入れなければならなかったということは、先般来若干の説明もありましたが、これは私はとうてい承認することができないのでありまして、いかに自党の候補者の当選を期するためにきゅうきゅうだるところの二人区を作られたと言われても、太田さんとしては答弁の余地がなかろう、かように私は考えるのでありますが、これに対しましても御答弁願いたいと思うのです。
  47. 太田正孝

    ○太田国務大臣 無視あるいは抹殺という言葉の争いはもういたしません。私の一言つた意味、森委員の言われた意味と大体同じことじゃなかったかと思います。党利党略であるかということが主点の問題であるようでありますが、党利党略を判断するのは、私は主観的材料であろうと思います。甲の何がしが甲の政党に属する、乙の何がしが乙の政党に属する、甲のためのみを考え、乙を攻撃するよう意味で作りましたために、甲のための党利党略である、こういう判断であろうと思い被す。私が幾何上の線はどうにでも引けると申しましたのは、主観的でなく、客観的な立場から見て判断しなければならぬという意味で、その場合におきまして、党利党略の判断は、客観的のみによった場合には、起る場合が私は非常に少いと思うのでございます。さらに、二人区を設けたことは党利党略に関係があるじゃないか。森委員はずっと委員をしておられたので、私が言うのはあるいは過ぎた言葉でありましょうが、初めの委員会のときには、二人区を設けることあるべしとあって、実質的に区画割り委員会が筆をとるときになって、厳格な一人一区制にしたことは御承知通りでございますが、その前のときにも二人区あるべしといい、また、今までの案の中にも、緑風会のごときは七十幾つも二人区を設けております。それから、きのうも佐竹委員が引き合いに出されましたけれど、大正九年に実行されたる、すなわち案として大正八年にできたところの選挙区割りにおきましても、いわゆる原内閣の床次案というものは、たしか八十七の二人区を作り、さらに三人区まで設けておったのでございます。私は、厳格なる意味においては、一人一区が小選挙区の模範であることは承知しておりますが、今の日本におきまして二人区にした方が理筋の通る――理筋とは起草委員が作られたる方向が七つばかりあったと思いますが、それを通す意味におきましても、たとえば人口の非常にへんぱなところが二つ並んでおった、こういう場合におきまして、その二つを置くよりも、人口調整上二人区にした方がいいというような場合がございますので、割り切った一人一区はけっこうでございますが、その方が日本の現状においてよりよいというならば、さようなくさんでなく入れるならば、党利党略の関係でなく、やはり人口という客観的事実を見ての判断のもとに作られたむのである、かように申し上げたいのでございます。
  48. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいま太田長官から御答弁がありましたが、私は、この問題につきましては、どうしても長官の御説明は納得できないのでありますが、私は本日はこの問題を主としてお尋ねする考えはないので、先に進むことといたしまして、この選挙法の区画割りにつきましては、先ほども申し上げましたように、後日十分一つお尋ねをしたいと思っておる次第でございます。  先般四日に行われました鳥取県の補欠選挙におきましては、わが日本社会党の中田吉雄君が十二万七千五百九票、自民党の坂口平兵衛候補が十一万八千二百四十七票という、一万票近い差をもつて社会党が堂々と勝利をおさめております。これに対しましてはいろいろ批判があります。すなわち、政府が今提出しているところの小選挙区法案がいかに党利党略のものであるかということが、鳥取県民の非常な非難の的となった。本来の予想では、自民党の坂口候補が当選するという新聞その他の批評でありました。われわれも、中田君は相当苦戦である、このように聞いておったのでありまするが、中盤戦より後にこの小選挙区法案というものが国会で審議せられ、あるいはラジオ、新聞等によって周知徹底されるに及びまして、その政府、原案なるものがいかに党利党略にこだわっておるかということが鳥取県民に周知せられた、これがすなわち中田吉雄君の参議院の補欠選挙の勝利の一つの、原因であったともいわれておるのであります。つき度しては、来たる六月ないし七月に行われんとするところの参議院の半数改選に当りまして、私の聞くところによりますと、参議院の改選の議員の方々は、この小選挙区法を出されたのでは、われわれは参議院の選挙は戦えない、これほど不人気な党利党略の区画割りを中心としたところの改正法案というものはいまだ見たことがない、こういうふうな法案を提出されたのではわれわれはとうてい戦えない、政府に対しましてもそのような申し入れ、あるいは意見をする者があるというようなことも聞いておるのでありまするが、これらをもってしても、今いかに小選挙区法案というものに対するところの国民的関心が高まりつつあるかということが、如実にこの鳥取県の参議院の補欠選挙によって証明されたと思うのでありますが、これらに関するところの太田長官の御答弁を承わりたいと思うのであります。
  49. 太田正孝

    ○太田国務大臣 鳥取県の選挙におきまして社会党がお勝ちになり、自由民主党が負けたことは、隠されざる事実でございます。今森委員も申されたるごとく、勝った原因の一つに小選挙区制度の不人気というものがあったではねいか、これも一つの御観察であろうと思います。しかし、選挙の勝ち負けという問題につきましては、その候補者の問題もありましょうし、選挙運動の方式もありましょうし、すべてが整っていかなければならぬのでございまして、これのみが負けた原因とは私は思いません。来たるべき参議院の選挙に当って小選挙区制度をやめてくれと、自分の関係する党派の方から私に申し出た者はまだございません。かりにありといたしましても、選挙そのものをきめるのは、いろいろな要素がある上に、国会においてわれわれの案を判断してよしと認められて、初めて国の意思とし国会の意思として確定された場合におきまして、この法案の善悪がはっきりすることであると思うのでございます。
  50. 森三樹二

    ○森(三)委員 四月七日の読売夕刊に記載されましたところの自民党の岸幹事長の上野発の福戸県下の遊説におもむく車中談といたしまして、新聞に大きく取り上げられた問題であります。小選挙区制修正、会期延長六月までという見出しのもとに、その内容が記載されておるわけでありまするが、その一節をとりますと「特に岸氏はこの談話の中で(一)小選挙区法案の修正を考慮する、(一)今国会の会期は六月三日まで延長されよう、(一)参院選に臨むため自民党は新たに強力な体制を整える必要がある、などの点を強調した。」なお「小選挙区法案については十分に日数をかけて審議し世論の反対を緩和したい。そのため会期は参院改選議員の任期の切れる六月三日まで延長されよう。(その際参院選期日は七月八日の日曜日となること存認めた)同法案については世論の動向などをにらみ合せ、立会演説会や連座制などの規定及び区割りの両面にわたりある程度の修正を受け入れることも考慮している。」このような重大な新聞談話の発表が掲載せられておるのでありまして、われわれは山岸幹事長の談話をこの新聞によって見たのでありまするが、岸幹事長は、国民の世論に反するところのこのような法案というものは実に無期なものであるということを、みずから率直に認められておるのであります。従いまして、小選挙区法案の修正を考慮する、また小選挙区法案の審議については、十分に日数をかけて審議して、世論の反対を緩和したい。まことに適切な御意見のように受け取れるのでありますが、なお、さらに、この法案のうちで私が最も強くお尋ねしたいと思っておりますところの、立会演説会や連座制の規定にも及び、また区割り内容についてもある程度の修正をしなければならぬというような重大な発言をされておるのであります。もちろんこれは岸幹事長の個人の談話であるかもしれませんが、少くとも責任あるところの大政党の幹事長としての言なる以上は、これがすなわち党を代表し党の意向であると言っても、私はあえて言い過ぎではなかろうとも思うのであります。もちろん政府並びに政府を代表するところの担当の太田長官は、現在の自民党与党内閣、この政党の基盤に立つたところの与党の内閣の閣僚の一人といたしまして本法案を担当されておりまするが、少くとも、この岸幹事長の談話に対しては、あなたはこの新聞をお読みになっていると思うのであります。また少くとも、岸幹事長から、これらに関するところのあなたに対しての相互の意見の交換、その他この法案の審議等に対する打ち合せというものは、私は間々行われておるものと考えるのでありまして、党の代表とこの重大法案を担当しておられるところの太田長官との間には、当然私は絶えず連絡のあるものだと思うのであります。従いまして、この岸幹事長の談話なるものは、太田長官のお考えに対するところのいろいろの示唆を与えているものであり、また、逆に言うならば、太田長官は、岸幹事長に対しても、あなたのお考えも発表せられておるはずでありまして、これは、両々相待って、政党内閣の与党の閣僚の一人といたしまして、あなたは、この岸幹事長の発表に対しては、相当詳細に内容をお知りのはずだと思うのであります。また、特に岸幹事長が発表されているところの内容一つ一つについては、あなたはやはりこれは同感であるというものを相当持たれておつてしかるべきものである、このように私は考えておるのであります。これに対するあなたの御所見を承わりたいと思うのであります。
  51. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私もその記事を拝見いたしました。岸氏が党の重要なる立場にあることも申し上げるまでもございません。また、記事がいかにして取り上げられ、いかにして新聞となって現われたかということにつ遂まして、私は言論そのものに対する批評は申し上げません。その経過は存じません。ただいまのお言葉のうちで、岸幹事長としよつちゆう打ち合せてやつたことであろう、並びに、今掲げられたような修正の問題とか、参議院の会期の問題とか、あるいは立会演説の問題等について話し合つたことであろう、こういうお話がございましたが、これは、新聞の記事を離れまして、私と岸幹事長の間には、いろいろなこの法案を動かすについての党との運用上の問題がございましたが、今申した修正の問題、参議院の会期の問題等は一切触れておりません。ましてや、私の信ずるところにおいては、議案が今質疑応答の段階にございまして、申し上げるまでもなく、その次に討論があり、採決に行くという順序のその第一段階にあるのでございまして、修正というのは、いろいろ聞いてみたがわからぬ、こうしたらいいだろう、政府の案が間違つているという場合に起るので、今の第一段階の質疑応答の時期において、私としては毛頭修正の問題は考えておりません。また、第二の参議院の会期を延ばすという問題、むろん、党としても、幹事長としても、あるいは政府としても考えはございましょう。私の今の考えにお遂ましては、私個人のこの法案を取り扱つておる立場から申しまするならば、参議院の会期孤辰ということは考えておりません。いわんや政府だけでこれは遂まるのでなくて、参議院の会期延長というものは、議会運営上にお遂ましても、衆議院も参議院も党としての考えが加わらなければなりませんから、私の申し上げたのは、政府立場においての考え方は、五月十七日をもって――私は参議院議員の任期の関係現状通り考えておるのでございます。従って、会期延長というようなことは考えておりません。  この二つの問題に続いて、立会会演説会の問題、区割りの問題等を申されたのでありますが、私は、まだ、立会演説についても、こういう問題について岸幹事長と話したことはございません。提出時期等については、ずいぶんいろいろな点を党との関係で交渉いたしましたが、今森委員のおつしやいますような意味の問題については触れておりません。  くれぐれも申しますが、私はこれをもって新聞記事がどうであったということの批判ではございません。また、どういう経路を経てこれが出たかということも、私の申し上げる立場ではございません。岸幹事長が、旅先で、どういう考えで、どういうふうに言われたかということは存じませんが、私と、の間にお遂ましては、御質問のような問答はかわされなかったのでございます。
  52. 森三樹二

    ○森(三)委員 太田長官は、このいわゆる岸車中談話なるものをお知りにならない、新聞はごらんになつたけれども、この内容について岸幹事長と話をしたことがないというような御発言であります。ないのならばないというので、やむを得ませんけれども、しかし、いやしくも政党政治であり、政党内閣であるところの閣僚が、その政党を代表するところの幹事長と、こうした單要法案の審議に当りまして、その重大な区画割りであるとか、あるいはまた連座制の規定あるいは立会演説会の規定等について、はつ遂りと明言されておる幹事長が、あなたにこれについて考慮したならばどうだという場ような話し合いがあつて決して無理ではない、われわれはこのような考えを持つのであります。しかし、お請しになっておらないと言われるのでありまするから、やむを得ませんが、しかし、こうした問題を、あなたが新聞をごらんになりまして、少くとも新聞にこう発表されました以上は、自分の所属する政党の幹事長の談話がどの程度まで真実なものかどうか。もしも岸幹事長がこういうような万え方を持っているとするならば、もしもこれが真実だとするならば、あなたとしては、これに対して、一応岸幹事長の考え方あるいは今後の方針等についてどういう考えを持っているかというようなことは、当然打ち合せあるいは意見を固くとか、お互いに意見の交換というもの炉、この新聞が発表された後においてなされなければならぬし、またなされておるものと私は思うのでありますが、これに対する御所見を承わりたいのです。
  53. 太田正孝

    ○太田国務大臣 その事のあったあとであったと思いますが、私は、閣議において発言を求めまして、政府としての立場においては、修正なんということは、まだ議論の途中であり、質問応答の途中であるから、起るべき段階でありません、いろいろな議論が方々で出ておるが、この旨はどうか政府として党の方へ言ってくれ――もちろん岸幹事長とはしよつちゆう会う機会がございますが、新聞等に出ましたので、私の考えはこうであるとはつ遂り申しまして、たしか根本官房長官から党の方へ正式にそのことも申し入れたことと思います。私はしよつちゆう会いますから、その問題が出たか出なかったかという先ほどのお二葉でありましたが、私との間にその問題は出ません。もし聞かれましたならば、私の申し上げました、修正する考えは今のところなし、参議院の会期延長する考えなし、かように申すはずでございます。したか、しないかという森委員のお言葉でございましたから、しなかったと申し上げて、私の意見をもし聞かれればかように答える、かように申した次第でございます。
  54. 森三樹二

    ○森(三)委員 太田長官は、根本官房長官を通じて、この岸談話に対しまして自分の意見を表明せられた、私はこれはしかるべきことだと思うのであります。これは非常に重大な問題である。国民はこの選挙法改正案が果して可決するものかどうか、あるいは継続審議あるいは審議未了になるかどうか、区画割りというものが、すなわち、先ほども申し上げましたように、選挙制度調査会の案とほとんど内容を変えておる。しかもこれが非常に党利党略のいわゆるゲリマンダーであるということが、毎日の新聞あるいは雑誌、ラジオ等によって伝えられておるのでありまして、こうしたところの大きな法案に対しては、岸幹事長はこの所見を述べるのが当然であり、むしろ岸幹事長の考え方は少しでも世論にこたえんとするところの誠意があるものだと私は思うのであります。そうなりますと、太田長官は、非常に民主的な長官であるとわれわれは考えておったのでありますが、世論を無視し、しかも、自己の所属するところの政党の代表者のこうした意見に対しても、何ら考慮を払うところの配慮さえもしない、政党内閣の閣僚として、自己の所属する政党の代表者の考え方にすらも一顧の考えるところの余地を残さないというようなお考え方に対しましては、はなはだ太田長官の民主的な政治家であるという判断に対しまして私は疑わざるを得ない。これに対しまして、太田長官は、何ら一顧のこれが価値のないものだ、こういうものは問題にならないのだ、こういうものこそ全く無視するのだというようなお考えになっておられるのかどうか。これはきわめて私は重大な御発言であると思いますので、重ねてお尋ねを申し上げる次第でございます。
  55. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私は、未熟なものでございますが、民主主義者として終始したい考えに変りございません。岸幹事長の言われたその二、三日後、あるいは一日置いたかと思いますが、総務会においては修正せずとはっきり新聞に発表されておる通りでございます。もちろん、私としても、幹事長の言われる言葉には尊敬も払うし、注意もしております。けれども理詰めで申しましても、まだ衆議院にかかっただけの関係で、質疑応答の現在つながれておる関係のときに、たれかあって修正ということを予見し言うことが政治家として正しいかということは、岸君によく尋ねなければならぬことと思います。私は、そういう意味におきまして、決して岸幹事長を軽んずるにあらず、けれども、総務会におきまして、岸幹事長出席のもとに、修正せずということが各新聞に全部載ったような事実を考えてみまするならば、私の判断も間違いなかった、かように思う次第でございます。もちろん私は民主主義者として勉強が足らぬ点もございましょうが、これは別個に私の修養として積んでいくつもりでございます。
  56. 森三樹二

    ○森(三)委員 どうも、長官の御答弁をお伺いしておりますと、まだ審議の過程にあり、しかも審議がまだほとんど進行しておらない、そういうような段階において、この岸談話の内容にあるような考え方を持つか持たないかというようなことはまだ早いのだ、というようなお言葉がありました。しかし、私は、岸幹事長の談話の中におきましても、やはりわれわれはとってもって十分考えなければならぬ問題があるのでありまして、ここに小滝委員長もおられますが、委員長としても十分お考えになっておられることでもあり、特にまた私は、本法案の審議については十分一つ考えていただかなければならぬと思うのであります。太田長官は、この岸談話の中の、小選挙区法案については十分に日数をかけて審議し、世論の反対を緩和したい、国会の運営につきまして慎重審議をする、そのためには日数をかけてやるのだ、こういうような発言が行われておることに対しまして、長官はこれをしも否定するというようなお考えに立っていらっしゃるのか。まさか、いかに岸幹事長と打ち合せしなかったと言われましても、このような岸談話に対しては、長官といえども当然同感の意を表せざるを得ないのではなかろうかと私は思うのですが、これについて重ねてお伺いしたい。
  57. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私の提案理由のしまいにも申し上げておる通り、慎重御審議をお願いしたいと申しております。しこうして、委員長のもとに理事の方々があり、委員会委員の方々によって運営されておるのでありますから、この点において万遺憾なきことが私の希望であり、また必ずそういくことと思っております。
  58. 森三樹二

    ○森(三)委員 すなわち、太田長官もやはりこれを肯定される立場に立ったのは、私はこれは当然かと思うのであります。そこで、岸幹事長は、国会の今回の会期について――すなわち今回の会期は百五十日でありまして、御承知通り五月十七日には会期終了になるわけであります。それでもって審議することは十分の日数が足らないのだ、その含みをもって、すなわち六月三日――六月三日といえば参議院議員の任期の切れる日でありまして、この日まで会期を延長したいという希望までも述べられておる。もちろん、会期の延長はこれは国会運営の問題でございます。国会が自主的にきめることが国会法のルールでありまするが、しかし、この会期の延長を要望するのは、政府が提案いたしましたところの、たとえば憲法調査会法案あるいは国防会議法案、あるいは健康保険法案、その他地方行政改革とか多数の重要法案がありまして、この小選挙区の大法案を筆頭にいたしまして、審議は十分尽さなければならないという根底に立って、すなわち洋幹事長が六月三日まで会期を延長するという含みある発言をしておる。それをしも太田長官は全く無視されるという言葉が妥当であるかどうかはわかりませんが、全くこれに対しては目をつぶって、見ぬふりといいますか、考えたこともないというような、そういう御答弁をなさることは、私はまことに遺憾であろ。やはり、今日の段階においては、五月十七日という会期のうちにおいては本法案を審議できるという段階ではない。われわれは、慎重審議するならば、当然衆議院においてさえも五月十七日ごろまでかかるのは必至であります。そういう前提に立つとするならば、会期を六月三日ごろまで延長して、そうして十分慎重審議する。慎重審議するということは、会期の延長なかりせばできないのであります。そういうようなことに関しまして、長官は何ら考慮されておらないのであるかどうか。これは、長官としては、一つ十分お考えの上、御答弁を願いたいと思うのです。
  59. 太田正孝

    ○太田国務大臣 会期の問題は国会法の定むるところでございまして、一応そこに目途を置くということは、国会議員としての私の判断上間違いないと思います。しかも、審議というものは日数ばかりできまるのではございません。いわんや、日数もたっぷり、月曜から始まりまして土曜日談でやり、足らざるところは私の経験においても日曜日もやったことがございます。その日数の満たし方においても、会期の埋め方、会期の厚さ、深さというものがあるわけでございますから、私としては、今のところ、来月の十七日までの日数というものは相当にたくさんのボリュームを持っておる、深さを持っておる、こういうように考えますので、私は、委員会出席等に間に合わなかったような点は謝しますとともに、会期の時の深さというもの、これにつきましても十分国会において御了承下さいますならば、相当の慎重審議をする期間があるではないか、かように考えておる次第であります。
  60. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官は、ボリュームとか深さというような言葉を用いられて、五月十七日まであれば十分審議ができるというような、まことにこの審議を値宜にするというお考えと相反するような発言をなされております。長官も御存じの通り、すなわち一昨年のかの警察法案、地方致祭を国家警察にするというあの法条の審議につきましては、当時の政府は五回も会期を延長しておる。すなわち約一カ月半も会期を延長しておる。しかも、今国会の例を引きましても、かの憲法調査会法案は、約一カ月半にわたってあの法案は前国会でも審議してあるのです。ところがとうとう審議未了になりまして廃案になりましたが、今国会に提案されたとほとんど同じ内容の法案を審議いたしましてさえも、一ヵ月半というものを衆議院でもって費やしておるのです。そうした法案とこの小選挙区の法案というものを勘案するならば、あなたの五月の十七日まであればこの審議はできるのだというような御発言というものは、はなはだ受け取りがたいのであります。通常国会の会期につきましては、過去において延長されない例はないと言っても過言でない。二回、三回、五回、一カ月以上会期を延長した例もあるのでありまして、こうしたところの法案については、長官は十分に日数をかけるという態度をとられるべきである、私はかように考えておりますが、そのことについて御答弁願いたい。
  61. 太田正孝

    ○太田国務大臣 もちろんやむを得ずして延びる場合はございましょうが、一応国会の期間がきまっておる以上、それをめどとして審議に慎重を期す、目的を達するというのは、私は常識の判断であろうと存じます。従って、私といたしましては、まだ相当期間がある、一カ月余りもまだあるのでございますから、互いに精励して、また私どもとしては御質問に対しては答える慎重な態度と用意深き答弁とをしていきましたならば、私どもとしては、相当にでき得ることである、かように考えておる次第でございます。
  62. 森三樹二

    ○森(三)委員 審議の期間につきましては、ただいまの会期の延長等に対しては、最も責任ある大臣としては、はっきりしたことは言えないでしょうが、十分時間を必要とする、慎重審議するというような御発言がなされましたので、特に、その審議につきまして、われわれももちろん十分なる検討を加え、審議に協力をしておるものでございますが、長官におかれましても、十分な審議を本法案については持つべきであるというような考え方を持っていただきまして、本法案が、国民の強い反撃の中にあって、実に党利党略であるということが、全国津々浦々にまで論議されておるこの法案でありますので、特に私は慎重審議されんことを希望いたしまして、次の質問に移りたいと思うのであります。  政府が提案いたしましたところのこの法案が、すなわち国会審議の一事不再議の原則に反するではないかということを、われわれ社会党は強く主張をいたしております。特に、先般来、早大の中村宗雄教授あるいは鈴木安蔵教授あるいは中村哲教授というような斯界のオーソリティを参考人として、当委員会でもっていろいろ意見を拝聴したのでありますが、当時、太田長官は、所用があられたかとも思いますが、お見えになっておりませんでした。早川政務次官その他政府委員の方はお見えになっておられたのでありますが、私は、太田長官も、ああしたやはり学界の権威者の発言はお聞きになっていただきたかったものだと思うのであります。すなわち、一事不再理であるかどうかということにつきましては、これが訴訟法学的にあるいは憲法学的に十分検討したところの基準の上に立って審議されなければならない。学説、判例、議事規則等について研究することはもちろんです。われわれはやはり各国の立法例等につきましても十分研究はしなければならぬのでありますが、これらの参考人の方々の御意見を拝聴いたしましても、すなわち、早大の民事訴訟法の担当教授であります中村さんの御意見を拝聴いたしましても、すなわち、趣旨、目的が変ったからといっても、事情の変更がないと認められる場合においては、やはり一時不再理の原則に抵触するものである、しかも、そうしたところの客観的な事情変更は、すなわち三月十五日に公職選挙法の一部改正案国会を通過し、その通過したところの内容と抵触するところの十数カ条の、すなわち立会演説会の規定初めポスターその他抵触するものがあるということを指摘されておるのです。もちろん、中村教授は、最後にはこの判断良識あるところの国会の御判断にまかせるものだというような御発言もされておりますが、しかし、中村さん個人のお考えというものは、政府提案の本法案は一事不再議の原則に反するものだということを結論づけられておるのであります。また、鈴木安康教授におきましても、個々の条文を指摘いたしまして、旧憲法時代の三十九条には一事不再議の原則が側面から規定をされておった、しかしこの現行憲法にはこうした規定は明文はないけれども、しかしながら、同一国会の会期中において、前者と後者と相反する内容を持った法案、あるいは前者において可決されておるところの法案をさらに修正するというようなことは、よほどの事情変更がなければできないということをやはりお述べになっておるのです。太田長官は、過般来、趣旨、目的が異なるならば一事不再議の原則に反しない。     〔委員長退席、山村委員長代理着席〕 本法案はすなわち小選挙区制を採用するという趣旨、目的を持っておるものだから、自分としては一事不再議の原則に反しないのだというようなお言葉でありますが、すなわち趣旨、目的が異なるからというのは、私は小選挙区制というのは趣旨、目的にはならないと思うのであります。すなわち、公職選挙法改正案は、あくまでも議員を選出するということで、国家の代表者であるところの議員がいかにして国民によって判断されるかというところの、すなわち合目的性を有するところの選挙をするという目的によって提案されているものであって、すなわち、国政に参与するりっぱな議員を選ぶというためにはいかにするがよいかという目的を有するものであって、小選挙区というものはその目的を達するところの手段なり方法であると私は考えるのです。それを、太田長官は、手段・方法も趣旨・目的も観念を混同されておるのじやなかろうか、私にはかように考えられてならないのでありますが、これに対しまして長官の御答弁を承わりたい。長官はいつも同じような御答弁でありますが、しかし、それをやはり一歩飛躍してこの重要なる一事不再議の原則というものを十分御判断願わなければ、こうしたところの今後の取扱い、また現在忙案されておるところの重大問題について根本的な解決をはかるゆえんではない。これを単におざなりに素通りさしておいて審議するものではないと思うのであります。中村教授は、この法案の内容の審議と一事不再議であるかどうかということの、すなわち前提条件であるところの一事不再議であるかどうかという問題とは、並行し審議して差しつかえないものだという明確な答弁もなされておるのでありまして、われわれは、この一事不再註の原則に対しましては、今後、この法案の内容の審議と並行して、あくまでもこれを明確にしておくことは、この法案の審議のみならず、国会運営の法案の取扱いに対しまして、非常に重大なことである、かように考えまして、太田長官の御答弁をあえてお願いする次第でございます。
  63. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お言葉の通り、一事不再議の原則というものは、国会運営上の重要なる項目であると存じます。学者、諸先生の意見も尊重すべきことを私も同様に感じます。お言葉のうちに、中村教授が、問題を最後に解決するものは――最後と言わなくても、問題を解決するものは国会である、最後の点はそこにあるということを言われたお言葉、及び、鈴木教授が、この問題につきまして、旧憲法にあって、その後にないと言った言葉、単純な言葉のようですが、鈴木教授の言った意味は、憲法にないのであるから、条理判断をすべきものであるという意味と思います。その条理について、学者、諸先生の説あり、また、この法案を出しました政府として、私の意見を申し上げたのでございます。私の条理判断におきましては、むろん、小選挙区制度というのは選挙の方法でございますが、これによって目的を達する、いわゆる手段を改めるという目的におきまして、私は、この前の御答弁の最後に言った言葉でありますが、森委員の言われる通り、この方式を改めることによって目的を達する、方式を改めるという目的のために今回この法案を出したのでございます。それが私の条理判断でございます。しこうして、これをきめるのは、中村教授の言った通り国会できめるべきものだ思います。私としては、この問題の重要性を森委員と同じように感じております。また条理で、判断すベきものと思っております。私の条理判断は以前とちっとも変っておりません。しこうして、この運営をきめるのは、一事不再議の原則を全面的にきめるのは国会である、こういう意味をお答えいたすのでございます。なお、当日出席しておりました政務次官もおりますから、あるいは補足されることと思います。
  64. 早川崇

    早川政府委員 ただいま長官の言われた通りでございます。この問題につきましては、二つの面からわれわれは考えております。第一は、先ほど申されましたように、法文的根拠がない。英国においても法律があるのであります。ところが、国会におきましては、これを法律あるいは憲法に盛らなかったのでありますから、一切の一事不再議の問題は、議会の運営のルールというので、われわれ政府といたしまして、最終的にどれが一事不再議にかかるかかからぬかということの是非を論すべきものではないと思っております。ただ、かりに参考的なわれわれの見解といたしましては、先ほど長官の誓われましたように、客観的情勢の大きい変化、あるいは趣旨、目的という点において根本的にあるいはまた非常に大きく変りますならば、たとい同じ事項をいじりましても、一事不再議にならない、言葉をかえて言えば、一事不再議という原則は、一切同じことをその国会において審議してはならないという絶対的なものでないと考えております。
  65. 森三樹二

    ○森(三)委員 長官は、方式を変えることを目的とするのであって、いわゆる小選挙区という方式に変える目的というような、非常にわかりにくい表現を使われておりますが、私は、この趣旨、目的というものは、あくまでも国政に参与する見識ある人格者存議員として国民の意思によって代表させるということが一つの目的であって、小選挙区であるとかあるいはその他の選挙手続というものは、あく顧でも選挙をする一つの手段であり方法である、このように考えるのでありますが、太田長官とその点は見解の相違であるといわざるを得ないのであります。私は、それならば、一つの事例をとって申し上げたいと思うのです。すなわち、本国会中におきまして、立会演説会を前提とした法案が通過いたしております。すなわち、同一会期中に立会演出祝会をやるということを前提とした法律案が通過しておる際に、この立会演説会を廃止してしまうという法律案というものは、全く正反対の立場に立つものであります。この立会演説会というものは、そもそも、大選挙区であろうと、中選挙区であろうと、小選挙区であろうと、これは有権者に対しまして政党あるいは候補者の政見を十分に判断をさす一つの演説会でありまして、大選挙区だから立会演説会が必要である、中選挙区だから必要である、小選挙区だから必要でないという理論的根拠はないのであります。私は、後に、この立会演説会についても、選挙費用の問題と関連いたしまして御質問をしたいと思うのでありますが、われわれの一つの頭の中において、同じ会期中において、一方は立会演説会を認めるという法律案を作って通しておきながら、この頭の中の半分といいますか、その同じ国会中において立会演説会を廃止するという、そういう法律案の成立が太田長官認められますか。     〔山村委員長代理退席、委員長着席〕 立会演説会というものは大、中・小の選挙区制の問題ではない。すなわち、あくまでもこれは選挙民の便利、すなわちあらゆる政党候補者が一堂に会しまして、有権者に対して便宜をはかって時間的にまた内容的に判断の機会を便利ならしむるということにあるのでありまして、小選挙区になったからこの法案を廃止するというような理論的根拠は成り立たないのです。一方には、同一国会中に、しかも三月十五日に通しておきながら、三月十九日にはこれを否定する法律案を提案しておる。われわれの頭脳の中において、一つのことをきめるのに有と無と成立するような、そういう判断というものは成り立たないと思うのです。こういう場合につきまして、太田長官は、いま少し一事不再議の問題につきまして御検討を願い、少くとも立会演説会の廃止というような問題は、一事不再議の原則からいっても、当然あなたのお葉を修正しなければならない、このように思っております。これに対して御答弁を……。
  66. 太田正孝

    ○太田国務大臣 立会演説の問題につきまして、大と中と小を問わず、立会演説は必要なものである、従って、立会演説という条項を削ったということは、本質上一事不再議の原則にそむくのである、こういうお言葉でございました。私は、大選挙区下における立会演説を考えてみますると、たとえば、静岡県なら静岡県の大選挙区内におきまして、全体の立会演説をするということは非常にむずかしい場合が多かろうし、また効果もそう多くないように思います。中選挙区においては非常に効果があったと私は信じております。私自身もこの恩にあやかりました。もちろん、そのやり方において、途中にヤジが多いとか、サクラが多いとか、不自然なまた不愉快なこともございましたが、しかし、中選挙区下における立会演説の有効なことは、私は身にしみじみ感じております。しかし、小選挙区になった場合に、大の場合に効果が薄い、またむずかしい場合が起ろうと同時に、小になった場合においては、大体において今回の小選挙区制は大、つもりで申して四分の一の地域になったのでございます。しかも、今までに広い政党の演説、政談演説がたくさん行われるということ、それ以外にあるいはポスターであるとかいろんな点も加味されたこと、その狭い区域、約四分の一に縮められていくその地域の中で、立会演説をするしということの効果は、私は中選挙区のときより違うと思います。国民に意見を知らしめることの必要は思いますが、政談演説のり、あらゆる個人演説あり、街頭もあり、いろんな方法認められているときに、中選挙区以上の政党の活動を認められているときに、さらに今まで通りのと言わなくとも、立会演説をとこに加えるということは、小選挙区においては――外の例をとることは政治情勢等違っているかもしれませんが、われわれの模範というイギリスの小選挙区制度においては、立会演説をとめているというような事情も考えまして、小選挙区制度においてはない方がよい、こう私は考えた次第でございます。すなわち、かような制度を、同じ項目について改めると言いながら、中選挙区のむとにおいては私は支持するが、小選挙区という旗じるしの違う場合におきましては、とらぬ方がよい、かように考えておる次第でございます。
  67. 森三樹二

    ○森(三)委員 一事不再議の問題が発展いたしまして、立会演説会の利害得失に本論が入ってしまったのでありますが、この一事不再議の問題につきましては、われわれの同僚委員からもしばしば質問がなされ、これに対して、太田長官は、ただいま御答弁になったような御意見を述べておられたのであります。従いまして、私は、これはどうしても今後検討しなければならぬ問題であるし、尤ほど、最終的には国会良識をもって判断すべき問題であるということを、先般の参考人の中村教授からも言われたということを私も申しました。それに対して、太田長官もそれを肯定しておられまするが、しかし、われわれが最終的にこの国会の権威によって判断をすると言いましても、その判断をする材料つまりわれわれがこれを一事不再議であるかどうかということ存判断するところの材料というものは、やはり、書物なり、あるいは当所の意見を聞くなり、判例を調べるなり、議事規則を調べるとか、あるいは各国の立法例を調べるとか、すなわちこれを諮るところの基準というものをわれわれ自体が備えなければ、これは諮ることができない。単なる審議論でもって、この一事不再議であるかどうかということを判断するということは、はなはだ危険である。そのためにわれわれは先般参考人を呼んだのであります。単に国会が最終的な判断をするのだといいましても、それではわれわれの職責は足らないのです。やはりその基準となるところの検討を加えまするには、学者の参考意見であるとかあるいは学説判例等を十分研究しなければならない。そのためには、私どもは、先般来、この参考人は社会党から申し出た参考人であるから、自民党の側においても、自民党の諸君の説を支持するところの参考人を招聘して、当委員で述べてもらいたい。お互い両々、積極論、消極論というようなものがこの委員会において学者等から開陳せられまして、そうしてそういう基準をわれわれがとって、もって国会の最終的な見解を下すならよろしいのでありますが、自民党の諸君は、一事不再議にあらずと主張するのはよろしいが、それを指示するところの根拠を十分私は御検討願っておらないと思うのでありまして、はなはだその点は遺憾であります。この点につきましては、われわれは、先ほども申し上げましたように、本法案の内容の審議と並行いたしまして、今後一事不再議の問題をわれわれはあらゆる機会に質問せんとするものでありますが、太田長官におかれましても、単に形式面にとらわれず、十分一つあらゆる角度からとの一事不再議の問題を検討せられまして、すみやかにこれに抵触する部分に対しましては修正されるなり撤回されることを、私は強く要望する次第でございます。  そこで、私は、いよいよ本論に入りまして、すなわち選挙費用の節減と粛正、これに関して質問をしたいと思うのであります。ところで、その順序からいたしまして、ちょうど立会演説会の問題が出たのでありますが、ちょっと内容に入るようでありますが、太田長官は、立会演説会は中選挙区においては非常に効果があった、自分もその立会演説会の恩恵を非常に受けたというようなことを言われております。そこで、中選挙区であれば立会演説会が効果があり、太田長官もそのおかげで当選したというようなお言葉がありました。中選挙区の場合には、たとえば五人区なら五人、区の場合には、候補者は十人あるいは十一名、十二名くらいのところでありますが、それを一ぺんに十一人、十二人の人がやるのでありません。それは太田長官も御承知通りでありまして、これを一班、二班、三班等と適当に三、四人に分けてやっておるわけであります。そうしてその分け方の内容には、保守党あるいは革新党というような、イデオロギー、政策の異なるところの候補者存入れまぜまして、一堂においてその冬候補者が三十分程反の立会演説をする。ある場合においては聴衆がこれに対して質問をする。選挙中は聴衆有権者の中から非常に評判のいい制度であります。これは、終戦後大選挙区が行われましたときに、われわれむこの大選挙区当時立候補したのでありますが、新聞社その他文化団体等が主催いたしまして、立会演脱会を開いて、われわれ候補者を招聘しまして、各党の意見を十分国民に知らしめるというような方法をとったのであります。これが受けまして、その次の中選挙区からはこれが法制化されて、長官も言われる通り、非常に効果をおさめてきたのです。従って、この小選挙区制になりました場合においても、たとえば一人一区の場合、二人一区の場合等におきしては、二人一区の場合なんかは当然五人や六人の――東京一区のごときは五人区でもって四十人も五十人も出ておる。従って、一人区でありましても、二人区でありましても、区によっては五人やあるいは六人の候補者というものが考えられるわけです。そうしますと、有権者の側から見るならば、一つの会場に行って、保守党もあるいは革新政党も、その候補者が入り乱れて、三十分なり四十分の立会演説会を開催するのです。候補者が少ければ、大体全部の時間で二時間程度費すのであります。三十分、四十分、あるいは五十分もわれわれはやったこともあるのです。当該選挙管理委員会が認めれば、時間の延長は、お互いに平等に延長することができるのでありますから、いつぞや何人かによって言われましたように、立会演説会では、時間が少くて、自分の政見を十分述べることができないんだというような御意見がありましたが、今日、国会の本会議質問あるいは討論におきましても、短かきは十分、長くて二十五分、三十分、この程度のものであります。立会演説会において三、四十分やるならば、相当の政見の趣旨、目的というものはそれこそ十分述べられる。これを廃止したということは、すなわち私がこれから質問せんとするところの政界の浄化、粛正、そのためには選挙の公営をやることによって選挙費用の軽減をはかる。この重大な選挙費用の軽減の目的を、立会演説会というあの戦後設けられた制度の、最も民主的に、しかも最も選挙民に歓迎されたところの立会演説会という大運な費用節減の柱を、私は、今回の選挙法において、もぎとってしまったと思うのであります。この点は、太田さんも、中選挙区においては立会演説会というものは非常にいいものだと礼賛されておる。とってもって、この小選挙区の場合にどこが悪いのか。区域が狭いとかなんとか言われますが、中選挙区の場合におきましても、おのずからその候補者の分布によって全部回るということはありません。私どもは、五人区でありますが、同僚の候補者もおりまして、自分たちの回るところはその約半数の面積でありまして、これは、中選挙区においても、おのずからその舞台というものは制限されておるのであります。私は、従来、この公職選挙法改正委員を長くやっておりますが、この立会演説会を廃止せよというような声は、いまだかつて保守党委員諸君からも聞いておりません。むしろ、どの候補者でも、どの委員諸君でも、立会演説会は非常にいいものだ、特に、ある委員ごときは、全部公営を徹底せんとするならば、そうして候補者の負担存軽減せんとするならば、立会演説会一本でいいんだ、立会演説会一本でもって、そうして、その候補者を公営の自動車に乗せて、次から次へと村々で立会演説会をやり、そうして政見発表すればそれで足るのだ、あとの運動は全部廃止してもいいというような極論を述べる人さえあるわけです。これも一つ選挙公営の徹底であり、選挙費用の節減は理論としては成り立たぬことはないと思う。そうすれば全く候補者に費用がかからないことは明らかであります。自分はからだだけ持っていって自動車に乗っておればいい。そうすれば、その公営の自動車が、ずっと村々の立会演説会の会場を案内してくれるのでありまして、自分はその会場へ行って三十分、四十分の立会演説さえやればいいのです。もっともとれは理想論である。そうばかりはいきませんけれども、その他ラジオ、新聞等、それからまた選挙公報等いろいろな組み合せになっておりまするが、この立会演説会一本でもよいというような意見が従来行われておるのです。それはなぜかといいますと、非常に立会演説会というものは有権者つまり聴衆に歓迎されておる。一人の候補者意見を聞くのではありませんから、少くとも三人、四人、場合によっては五人ぐらいの候補者意見を聞くのでありますか、非常に時間的にも便宜であり、政党政党との政策を比較検討する上において、これほど有益なものはないわけであります。現在でも、太田長官、小選挙区が是なりや非なりやというので、新聞、雑誌、放送論会というものが各所に行われているじやありませんか。すなわち今日の政党政治は政策の戦いであります。お互いにその政策を掲げまして、お互いの政策を批判検討する。そうしてこれを国民に批判せしめる。それには立会演説会ぐらいよい制度はないじやありませんか。しかもこれが公営で行われる。この立会演説会を廃止するということは、いかにも私は今回の選挙法改正の大きなみそであったと思うのであります。先般も選挙費用の軽減を太田長官も言われておりましたが、今回のこの選挙法改正を見ますと、選挙費用の軽減というものはほとんど見るべきものはありません。むしろ、逆に、その選挙費用の軽減を最も具体化しておるところの、公営で行われる立会演説会という大きな柱を切り倒してしまって、そうして個人演説会にほとんど切りかえてしまいました。そこで私はこの立会演説会と個人演説会を比較するわけでありますが、ちょっと質問が長くなりますが、その個人演説会というものを太田長官も選挙をおやりになってお知りだ。これは早川さんもお知りだ。この個人演説会というものは法規でもって六十回ときめられておりますが、実際行なって見ると、この個人演説会は人が集まらないのです。しかもとれには若干費用がかかる。太田さんの選挙区でば、太田さんの場合には集まるるかもしれませんが、しかし、集まるといっても、立会演説会の比じやございません。これは問題にならない。しかも、立会演説会というものは、原則として候補者でなければ立会演説会に出ることはできないのです。代理が出る場合には人数の制限、資格の制限がある。公職の候補者がみずから立会演説会に出て、そうして演説をなすにあらざれば、代理を立ててやるということは全く例外です。そこに立会演説会のよさというものが非常にあるわけです。ところが、個人演説会というものはどうでありますか。候補者は出ましても、ただ泣き言を並べる人が多い。太田さんのような識見の豊富ね方ならば堂々とやれるかもしれませんが、普通の場合は、候補者が、もう声がかれて出ませんから、よろしくお願いしますと簡単なあいさつをして、あとは何々会の会長であるとか、何々会の委員長であるとか昔ならば陸軍大将とか、海軍大将とか、そういうような肩書きのある人を地方へ連れて行って、中央からこういう陸海軍の将官がだれだれ候補者を応援した、――すなわち、戦時中でありますから、肩書きのある者が来ると、有権者は、その候補者というものはああいう人物によって支持されておるのかというような錯覚を起す、こういうような運動が序開されておった。ところが、そういうような中央から知名の士を連れてきて、文豪であるとか、あるいはまた俳優であるとか、女優であるとかいうような、そういう人集めのためのものを連れて来ますと、この費用というものは、長官、莫大なものですよ。これはあなたもお知りのはずだちょうど昔のあの買収選挙が行われたときの選挙が同じ形になってしまう。すなわち、選挙というものが、立会演説という非常に陽気ねものから、今度は非常に不活発な陰気な、すなわち個別訪問とかあるいは『収、情実因縁というように陰の暗い選挙運動に転化するおそれがあるのであります。しかもそれには莫大な金がやはり結ばれてくる。これは非店におそるべきところの改悪である。このように私は考えるのであります。この立会演説会の廃止こそは、これは改めていただいて、残さなければならない。私は一つ十分思いをいたしていただきたいと思うのであります。これに対するところの御答弁を願いたいと思います。非常に長いようですけれども、これは重大な問題ですから、立会演説会と個人演説会を比較検討して私は申し上げた。
  68. 早川崇

    早川政府委員 森委員の申されました立会演説会の積極的意義というものもむろんございます。ただ、小選挙区の実施に当りましては、若干状況が違って参るのであります。先ほど大臣が言われましたように、中選挙区と違いまして、候補者が非常に少くなる。これは当然予見されることでございます。そしてまた、このたびの改正では、政党の演説会というものを画期的に認めることにいたしました。従って、政党演説会を通じまして政党の政策その他が十分検討される。もう一つは、選挙区が非常に小さくなりましたので、中選挙区の場合には、われわれは、とうてい、各町村まで個人演説会を開いて、政見を聞いてもらうということができなかったのであります。ところが、御承知のように四分の一以下の小さい選挙区でありまするから、あまねく演説会を開くことができまして、政見を周知徹底せしめることができることになるのであります。これが第三点であります。もう一点は、これは小選挙区それ自体のみに密接に関係するものじゃありませんが、立会演説会場におきまして、たとえばラジオ討論その他に見られるような一部のサクラといいますか、一部の人が入りまして、不当に中立的な人に影響力を与える、こういうことは果して公正な選挙運動と言えるだろうかという危惧もあるのであります。また、もう一点は、前回の選挙におきまして起った現象でありまするが、ある政党候補者が、立会演説会を百パーセント利用いたしまして、保守系の候補者を攻撃するという事態が起りました。ところが、選挙直前におきまして、すべてが立候補を辞退いたしました。公営の立会演説会を利用する点は百パーセント利用する、そして反対党を攻撃する、ところが選挙前に総辞退するというようなことが、果して公営の立会演説会の人キ集めた趣旨からいって公平ね選挙運動といえるかどうか、こういう弊害もまたあるわけでございます。従って、われわれは、このたび、小選挙区を採用するに当りまして、小選挙区の非常な先輩であります英国がとっておるように立会演説会をやめまして、政党演説会、個人演説会を通じましてどんどん質疑応答もする、何時間でもやれる、こういう制度を採用いたしたのでございます。むろん立会演説会にも利点はございまするが、彼此勘案をいたしまするならば、この際は、小選挙区制採用と同時に、政党演説会と個人演説会オンリーにする、こういうことになったのであります。  なお、公営の問題でございまするが、森委員の御案内のように、世界の民主国において公営が一番徹底しておるのは日本でございます。なるほど立会演説で公営をやればさらにまた徹底するわけでありますが、われわれはこれをとらない。そのかわり、個人演説会等におきましては、同一施設を一回だけ従来は無料でございましたが、このたびの改正におきまして、これを倍、二回に利用いたしましても無料にいたしました。このために三千数百万円の公営費用を増加する、こういう面におきまして公営をさらに徹底しておるのでございます。私見をもってするならば、日本の選挙は諸外国に比べまして公営が非常に行き過ぎるほど徹底をしておるという――お手元の資料で御比較願えれば、各国との比較が出ておりまするから、その点は一つこの程度で十分ではないか、かように考えておる次第でございます。
  69. 森三樹二

    ○森(三)委員 今早川君からいろいろ説明がありましたが、私はどうしても納得ができないのです。これは早川君もごらんになったと思うし、太田長官もごらんにねったと思うが、選挙制度調査会のいわゆる制度の答申に関して、選挙公営を拡充し、その他選挙民の投票の便宜をはかる等のため次の措置を講ずる、公営の立会演説会の回数を増加するということを、選挙制度調査会でちゃんときめておるのです。そうしてこれを答申しておる。こういう答申案のきめ方、すなわち答申案を作ることは、これは、長官も御存じの通り、長官自身も答申案に一つの責任があるではありませんか。すなわち、学識経験者そのほか三十八人も入って作ったところの答申案の内容に、選挙の公営拡充として立会演説会の回数をふやせということさえもあるではありませんか。立会演説会を廃するなんというのは、逆も逆、大逆ですよ。こういうふうに無視することはない。今早川君からいろいろ説明がありましたけれども、小選挙区になりましても候補者が少くともやはり三人や四人や五人は出るのですから、ちょうど従来の五人区でもって十人なり十五人出たときに、これを三班に分けたように、その一つの班だけを構成すればいいわけです。だから何らの矛盾がない。こういったところの制度を、しかも、答申案には堂々と、この小選挙区制度を維持するためにも立会演説会の回数をふやせということを明確に書いてあるではありませんか。あなたも審議会の一人だ。早川政務次官もそのうちの一人だ。それをみずから賛成しておいて、そうしてこれを否定するがごと意見を開陳するというがごときことは、まことに不可思議きわまる答弁だと思う。重ねて御答弁を願います。
  70. 早川崇

    早川政府委員 答申に公営を拡充するということはございます。先ほど申しましたように、すでに、日本におきましては、政党候補者のポスターまでも、五千枚ですか、無料で国の補助でやっておる。こんな国は、さっき申しましたように、民主主義国におきましてはないのです。従って、われわれといたしましては、答申案の公営の拡充ということは、個人演説会の一回無料を二回にするとか、その他ある程度の公営拡充をいたしましたが、この立会演説を通じて――もう選挙は一切立会演説でやって、一切公営の費用でやるというところでは、私は諸外国の実例等をながめましても、少し行き過ぎではないか、この程度の若干の改正をもって調査会の大体の趣旨は通せるのではなかろうか、かようにわれわれは考えまして、結局決して無視したのではありません。すでに公営がある程度いくところまでいっておるという判断から、この程度の改正でとどめたのでございます。
  71. 森三樹二

    ○森(三)委員 早川政務次官からいろいろ御答弁がありますが、これは、私が先ほども言ったように、従来の選挙法委員会では、選挙の公信ということを言いますと、立会演説会一本にしろという意見が多いんですよ。しかも、立会演説会というものもなくしたならば、これはもうほんとうに政策をお互いに相検討し、十分批判を与えるところの機会というものがなくなってしまうのです。現在日曜々々に放送討論会というものが行われておる。各政党から弁士が四人ないし五人出まして、そうしてあのラジオの討論会というものをやっているじゃありませんか。あれがラジオによって国民にずうっと浸透し、そうして自民党の政策あるいは社会党の政策等が国民の耳に批判されておるのです。それが全部なくなってしまって個人演説会一本になりましたなら、その政党だけの話しかできない。しかも、先ほども言いましたように、個人演説会ならば、ある場合には候補者の声がかれて出ない。私は声がかれて出ないので、ただ皆さんの御同情におすがり申し上げますというような哀願、嘆願ばかりしているでしょう。あとは、今度は肩書きが何とかかんとかついたところの応援弁士が盛んに候補者をほめまくる、政策はどこかへ行ってしまって、そうして個人を礼賛してほめるというような、まことにつまらない、内容の空々漠々たるところの、しかもおぜん立てだけは外観的にはたくさんの応援弁士をそろえまして、そうしてその候補者をもてはやして箔をつけるというような、全く形式一点ばりの演説会になってしまう。こういうような演説会にすることを私は非常に憂うるものであります。しかも、この立会演説会はぜひとも認めなきゃならぬということが世論ではありませんか。どの新聞や雑誌を見ても、立会演説会を廃止するということに対して賛成しておる人は一人もありません。すなわち、小選挙区制を支持するところの、あの選挙制度調査会の委員であるところの御手洗辰雄君でさえも、よもや立会演説会が廃止されるとは思わなかった、これには驚いたということを言っているではありませんか。これほど民主的な立会演説会というものを抹殺された政府の意向というものは、私は全く了解することができない。先ほども早川君が言われましたように、それは妨害するような者があるかもしらぬ。それなら個人演説会でも反対党がたくさん押しかけて行ってヤジる、妨害するというようなことがないとは言えない。間々あります。そういう場合には、当然これは罰則があります。すなわも、演説会を妨害したというときは、おのずから罰則によって処罰すればいいものです。立会演説会があるからといってそこへ行って相手方の候補者をヤジリ倒す、そうして演説会をやらせないというようなことは、これは選挙妨害の規定によって当然処置されなければなら血い。そういうようなりっぱな法制的な制限というものが設けられてあるのでありますから、何ら立会演説会というものを廃止する根拠というものは出てこない。それから早川政務次官は各国の法制を申されましたけれども、これはなるほどアメリカあたりは費用については相当フリーであります。しかし、アメリカのかつての政治の担当者でありましたウイリアムズ氏とも私は話したのでありますが、端的な言葉で言うと、どうも日本は経済力がない国だ、われわれの国は経済力があるので、選挙費用を一々規制するというような、そんなこまかいことはやらずに、あのような大大的、費用をどんどん使ってやる。しかも、御承知のように、選挙違反というものは、民主主義が発達しているから彼らにはないのです。日本の現段階においては、やはり金を使わすということになると、すなわち選挙に金がかかるということは政党が腐敗することだ。政党政治を確立することはできない。それはすなわち、諸外国の経済力と、いろいろ財政的に政党の力というものが違うからだ。自民党の今日といえども、選挙費用については、われわれ社会党よりも相当莫大な金を使っていることはわかっておりまするけれども、とにかく、今日の日本の財政からして、政党というものが、選挙の費用によって政党自身が相当いろんな問題を起す。そこに問題が掛るのでありまして、あくまでもやはり選挙の公営という看板をはずすことはできない。その看板の一番トップに立つものはやはり立会演説会だ。このように私は考えておるとともに、やはり、大下の評論家あるいは新聞雑誌は、あげて立会演説会をなくしてはいけないということを論評しておるではありませんか。これに対してもあなた方は反対の答弁をされるが、私はまことに遺憾である。これに対してもう一度一つ御答弁を願いたいと思うのです。
  72. 太田正孝

    ○太田国務大臣 だんだんお話を承わりました。私の申し上げることもほとんど重複することになりますが、選挙区域が四分の一になる。その通りの数字になるかは別としまして、逆に立会演説会が今までの四倍になる。出てくる候補者は、一人選挙区においては、二大政党の場合は原則として二人、それ以外に立つ者がありましても、ごくわずかである。その上に今までにない政党の演説会がたくさんある。これを小さい村に持っていったら、もうこればかりになるのじゃないかとさえ私は思います。選挙制度伺本会のときにおきましては、政党演説というものをかくのごとく拡張するということの考えは入っておりませんでした。今日におきまして私どもは政党の演説会をかくのごとく拡大する。狭い地域において四倍の力が出てくる。候補者の数は少い。これだけによっても、もう十分私は民意に問うことができるのじゃないかと思うのでございます。答申の中にかくのごとく述べられたときは、政党の政談演説をどのくらいにするかということがまだ発表されておらなかったときであります。御手洗君の主張も私は親友であってよく聞いておりますが、私の言いますこういう地域の狭くなったということも、ただ単純に狭くなったのではなく、相当に小さくなった上に、その各区域ごとに立会演説をするという現場も私は頭に浮かべつつ、かように考えた次第でございます。  公営選挙の費用についての森委員のお言葉は、むろんその国の国民の経済事情あるいは国の財政からくる問題でございますが、早川政務次官の言われましたのは、日本における公営というものは相当限界に達しているという意味で申し上げたのでございます。国の経済力あるいは国民の生活等が、演説をする金があるかないか、選挙費用が一ぱい出るかという問題ともからみ合っております。公営は多々ますます弁ずるという意味は、もちろん一つ考え方でございますが、日本の公営が非常に少いという意味でないということを早川政務次官が言われた次第でございます。
  73. 滝井義高

    ○滝井委員 今の立会演説会に関する森委員質問に関連してでございますが、政府の方から、今回の改正においては、政党の活動そ中心にして立会演説会の廃止を補うという、こういう意味の御説明があります。そこで、今回の改正を見てみますと、なるほど一人当り七円が六円に経費としては全般的に見ると切り下げられて、十五万円くらいの節約になるかと思います。そういう点については、その点だけに関して選挙費用が少くなっているということは表面的には見えますが、しかし、一方政党の活動といろものが非常に大きくクローズ・アップされてくる結果、結果的にどういうことが出てくるかといいますと、たとえば、私の選挙費用は実際に公定の費用が七十万円であったにしてむ、選挙資金の届出をするときには、五万円しか要りませんでしたという届出をします。ところが、一方は、今度その地区でやってもらう政党の活動のために、政党に五百万円も出して、おれの選挙区で一つうんと政治活動をやってくれ、こういう格好になったとしますと、私個人はきわめて少い選挙費用で選挙をやりますが、政党の活動でそこに莫大な選挙費用がつぎ込まれるとすれば、これは明らかに選挙費用の脱法になる可能性が出てくるということなんです。この点に対して、政府一体どういう規制をする方法を考えておるのか、これを一つ明白にしてもらいたいと思います。
  74. 早川崇

    早川政府委員 従来個人の候補者選挙費用を軽くする、従って金のない人も、人物識見がよければ出られるということにしなければならない。これが今度の改正によりまして個人の費用負担が非常に軽減されますることは、これは私は明らかに大きい進歩であろうと思うのであります。政党の方は、これは政党の主義政策を述べる政党としての活動でございますから、個人の選挙というものとは別個の問題でございまして、われわれは、これは政党政治資金規正法の中で規制される問題だと考えておるのであります。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 小さな、今までの選挙区の四分の一になったその選挙区ですよ。これは大政党がやってきて、そこで、いわば政治運動か選挙運動か区別がつけがたいので、選挙運動ができることにしておるわけなんです。大運動をそこで展開します。そうしますと、その費用というものは、これは選挙費用に加算されない。だから、あなた方が、今までの選挙費用の七円を一円切り下げて六円にして、いかにも表面的には、小選挙区にしたならば費用は要りませんぞと、こういうことを言っておるけれども、その背後においては、その政党が来てやるのだ、しかも、ここにおいては、一つ選挙区については、一人の候補者について十回をやる、こういうことになっておる。十回をやるが、しかし全国を通じては五十回をやってもよいということになっておるわけです。たとえば、大体一人について十回やると言うが、全国を通じて五十回だということになると、私なら私のAという選挙区で十回やります。そうしますと、あとの五十回というのは、一人々々の候補者について五十回やったら、その五十回はどうなりますか。全国を通じて五十回やるということになると、こういう場合の疑問が一つ起る。  そのほかに、たとえば、今度は、結成式をやるというて、これは酒と折をつけて政党が大ぶる凄いを、やります。そうしますと、その場合、これは、私なら私の立候補するところに私の所属する政党が来て、酒さかなで結成式をやっても、これはどうにも規制のしようがない。そうしますと、そこに集まってきた者が千人で、その千人は党員だということになると、これは買収にも何にもならない。党の結成式なんだから……。これは一体どういうことになるのか。この点をもう少し明白にしないと、どうにもならない。あなたの方は、わずかに、政党選挙運動が候補者選挙運動よりも有利な条件で行われることを防止するため、政治活動についても、拡声機及び船舶の使用、政談演説会の場所、立て札、ちょうちん及び看板の使用等に関しては一定の規制を加えておるけれども、今のような大ごちそうをやるということについては、いわゆる結成式ということで何にもない。こういう点について、どろもわれわれはわからぬ。  だから、まず第一点においては、演説会の回数を一人の候補者について十回やった場合、あとの五十回はどこでどういうふうにしてやることになるのかという点、それと今の費用の点、選挙の最中に結成式をどんどんやることができる、こういう二点についてもっと明白な御答弁がいただけなければ、われわれはわからない。
  76. 早川崇

    早川政府委員 五十回の政党の演説会は、もちろん全国至るところでやっていいことになるわけでございます。  それから、政党が大いに選挙運動をやり政党の宣伝をやるということは、新しい二大政党育成のために、政党本位の選挙運動ということを今度の答申案でもいっておるのでありまして、政党がお金をたくさん集めて運動するとか、――それぞれ、政党は、あるいは労働組合から集めたり、あるいは法人から集めたり、それは政党自体のやはり問題でございまして、われわれの考えておるのは、個人の選挙運動にあまり費用のかからないように、こういろ観点で、この積極的意義を認めておるのであります。政党の政治運動なり選挙運動なりはどんどん積極的にやられることは、私どもは決して悪いことじゃないと考えます。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、実際に私のふところから出た金が、たまたまその政党に行って、しかも、その政党が、私と暗黙のうちに了解して、私の選挙区でその金を全部使ってしまうということになれば、結局私の選挙運動に裨益することになってしまう、政治活動であっても。そういう点でどうも今の御答弁では納得がいかない。  それから、前日演説会の問題においても、一人の候補者について十回でしょう。そうすると、全国の選挙区に立てておる自民党なら自民党の候補者に十回ずつ全部やってしまうと、あとの五十回はどういうことになりますか。政談演説会と区別がつかない。全国を通じて五十回やってよろしいということになると、全国の候補者について全部十回ずつやってしまったならば、あとの五十回はどこでやることになるかということです。どこでやってもかまわないと言うが、一人の候補者について十回という制限がある。この矛盾はどうなるかということです。もう少しそういうところをはっきりしてくれぬとどうにもならぬ。
  78. 早川崇

    早川政府委員 法文で明らかなように、五十回の政党演説会は、東京なり大阪なり和歌山県なり、どこでもけっこうでございます。従って、十回の割当の政党演説会に、たとえば私の地区で政党演説会が五十回の範囲内で一回さらにふえたといっても、何ら差しつかえないという解釈であります。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 その区別は一体どうしてやりますか。一人の候補者について十回だ、こういうことになっておる。そうしますと、そこに来て、これは政党の演説会だといっても、もし私なら私が十回済んでおるということになったら、それは十一回になるのですよ。その選挙区のその候補者については十一回になる。かまわないのですか。初めから区別してかかっていいのですか。
  80. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 たとえば、東京の日比谷公会堂でございますとか、大阪の中之島公会堂でございますとか、そういう全国なり、あるいは近畿地方と申しますか、関東地方と申しますか、そういう広地域に対する全国的な、あるいは地方的な大きな選挙演説会、これは全国を通じて五十回、あとは各選挙ごとに一候補ごとに十回、こういう選挙演説会をやっていい、こういう意味でございまして、全然計算は別になるわけでございます。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、その区別は一体どうしてつけますか。たとえば日比谷公会堂でやったときに、たまたま日比谷公会堂の区に私の区が当ったとしますと、私はこの演説会に出ることは自由なはずです。そうしますと、前の十回にも私が出ておれば、私にとっては十一回になるのですよ。これは当然なる。それは区別がつかない。どこに限界を引くのか。片一方は政党のものであり、片一方は私の十回分だという限界をどうして引きますか。
  82. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全国的な演説会を、要するに、特定の候補者――特定と申しますか、特に一つ選挙区におけるその候補者という意味ではなくて、全体のその党の候補者あるいはその党の一地方における全部の候補者というようなものを対象にしたものが、一般的な五十回の方に入る演説会の回数であります。特定の選挙区で特定の候補者に対する選挙演説会は十回、こういうことであります。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 それは、言葉の上ではそういうことが言えるかもしれません。しかし、実際問題として、たとえば私なら私がAという選挙区で非常に弱いとします。そうしますと、政党の演説会というものを私の区で五回開いてむ差しつかえないわけです。そうして同時に、今度は私の十回分と合して十五回やってもいいことになってしまう。そうなるわけなんです。それはほかのは減るかもしれませんが、今のような解釈で、たとえば大阪の中之島公会堂あるいは東京の日比谷公会堂、仙台の公会堂、こういう大きなものを初めから法文で規定しているなら問題はない。ところが、全国を通じて五十回ということなんですから、これは大へんなことなんです。特定していない。だから、これは前の一人の候補者についての十回と限界がはっきりしないということなんです。こういう限界が、これは政談演説会ではっきりしないばかりではなく、さいぜん申しますように経費についてもはっきりしてない。一人の候補者についてはなるほど六円と規定しております。すなわち六十五万か七十万になるでしょう。ところが、その背後に現われてくる政党の費用については何ら規制がない。めちやくちゃなんです。演説会もめちゃくちゃ、費用もめちゃくちやなら、これは何のために選挙運動を今まで規制してきたかわからない。政党に名をかりて、しかも莫大な金を使ってやるという、こういう形が――なるほど小選挙区になったら個人は金が要らないかもしれません。しかし、個人の背後における政党は莫大な金を個人にかわって使うという、この事実は無視することはできないと思う。
  84. 早川崇

    早川政府委員 滝井委員の御質問は、現在におきましても、たとえば政党がする演説会の費用、これは個人の選挙費用には計算されておりません。また同時に日本教職員政治連盟の人たちがトラックをもって日本教職員政治連盟の宣伝をやりました、その費用というものは、個人の選挙費用には現在でも記入されておらないのであります。従って、このたびの小選挙区法案におきましても、現在われわれがやっておる中選挙区の現行法と少しも変らない。政党の演説会の費用は個人の選挙運動とは全然別個の費用と考えておる点は、現在と変りはありません。同じであります。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 それは今までの政党選挙運動と今度のとは全然違ってくるのです。現われ方が違ってくるのですよ。今次では、たとえば、なるほど私なら私が立候補して、そうして社会党が私のところにやってきてしても、それは明らかに規制をされておる。ところが今度は規制はないのです。これは政党については何ぼ金を使ってもかまわない。しかも、選挙運動をやっているまつ最中に、結成大会をやって大ふるまいをやってもかまわない。しかも私が寄付したその金でやってもかまわない。こういうことは、今までは明らかに政党がそういうときにきてやることはできなかった。規制されておった。ところが、今度は、あなた方が言われるように、小選挙区と中選挙区と明らかに違ってきておる。その違ってきておるその費用とか、あるいは立会演説会の規制の限界がはっきりしないじゃないかというのです。だから、少くとも、こういうものを出して健全なる二大政党の発展をはかろうとするならば、政党の演説会を規制したように、当然これは費用についてもきちんと規制しなければならぬ。あるいは私なり私がその政党に費用を寄付してはならぬというようなことを規制しなければならぬ。これはめちゃくちやなんです。この点はきわめて重大でございますので、昨日の点法十四条ですか、あれの関係とともにわれわれはまだ留保いたしておきたいと思うのです。(「留保することないよ」「大臣の答弁だ」と呼ぶ者あり)とにかくもう少しこれは明白にしてもらわぬと……。きわめて重大な政治上の関連のある問題ですから、まず大臣に答弁をしてもらって、それから事務当局にやってもらう。
  86. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 一定の公認候補者を有します政党に対しまして、今回、選挙期間中におきまして政治活動をいたす、その政治活動が選挙運動に及んでも妨げない、こういうことにいたしたわけでございますが、その場合におきまして、政治活動の名において、各個人候補者に許されます選挙運動のワク以上の活動ができるということは適当でございませんので、各候補者に対して制限となっておりますところの、たとえば湯茶の提供をしてはいけないとか、あるいは戸別訪問をしてはいけないという趣旨選挙運動の規定は、政党が運挙運動をいたします場合にも、そのまま適用されるようにいたしたわけであります。でございますから、政党の運動が選挙運動にわだりましたからと申しまして、特に政党選挙運動が個人候補者選挙運動よりも有利になるということにはなっていないのでございます。私どもはそういうふうに規定を作っているつもりでございます。
  87. 滝井義高

    ○滝井委員 なるほど拡声機や船舶の使用、政談演説会の開催場所以外における立て札、ちょうちん、看板の使用、こういうものについてははっきり規制が加えられている。ところが、そこで結成大会をやる、こういうことで千人集めたかつて岡崎さんが千人集めてひっかかったことがありますが、千人集めた。私なら私がその政党に寄付をして、選挙運動中に結成大会をやっても、これは結成大会であって選挙活動ではない。しかもその千人集まったところで、これは自分の党員であるということでやったときに、ひつかかりますか。ひっかからぬはずです。それは実は私が金を出してやっても、政党の政治運動ということでひっかからぬことになってしまう。だから、そういう規制をどうしてやるかということなのです。それを私はお尋ねしている。
  88. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政党の運動が政治活動である限りにおきましては、従来の規定と全く同じ規定が動くのでございます。政党の政治活動が選挙運動に及ぶということに拠りますと、それは個人候補者に対する選挙運動の規定がそれに及んでいく、こういうことでございまして、決して不公平な格好にはなっていないと思うのであります。
  89. 島上善五郎

    ○島上委員 関連して今度の改正によって政党の活動が大幅に拡大される。それに関連して今御質問がありましたが、私ども心配するのは、候補者がその選挙区の政党及び政治団体の支部に対して無制限に寄付ができる。しかも、それが、自分の所属する政党でなしに、所属しない政党の支部にも無制限に寄付ができる。そうしてその政党が自己に所属しない候補者に対して応援してもよろしい。(「そんなことはできねいよ」と呼ぶ者あり)できろ。自分の所属しない政党にも無制限に寄付ができるということは、一体弊害を生まないかどうか。今度の政党の活動の拡大に伴って弊害を生まないと思うかどうか。
  90. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの島上先生のお話は、甲という政党所属していない者が、甲という政党に対して寄付することができる、こういうお話でございます。それをなぜ認めておるかということでございます。これは、今までの寄付の規定以外に、その点については何も今回新しい制限を加えて駒りません。制限を加えておりません理由は、そういうことまで――なるほど、党員以外の、あるいは他の党派の者が別の党派に寄付をするというのは、おかしいといえばまさにおかしいのでありますが、しかしそれを特に制限しなければならぬというほどの積極的理由を今回は認めておりませんので、寄付の規定につきましては、特にその点に触れた改正を加えておらぬのであります。
  91. 島上善五郎

    ○島上委員 自分の属する政党に寄付するということは、ある程度理由があるのです。しかし、自分の属しない政党に寄付するということは、特定の目的がなければやれないのです。自分の所属しない政党にも無制限に寄付することができるのです。そういうことは当然弊害を生むのです。弊害を生むということをお考えにならぬかどうかということを、今大臣に聞いておる。大臣、そういうことが弊害を生まないかどうか。
  92. 早川崇

    早川政府委員 それはいろいろ弊害があるという御認定でございまするが、われわれは、この百九十九条の規定によりまして寄付の自由がある以上は、これは差しつかえないものと考えておるわけであります。特に大きい弊害が生ずるとも考えておりません。その弊害が生ずることが選挙法自体にひっかかるということであれば、その法律によって処罰するという以外に方法がないのであります。それでまた十分だと思っております。
  93. 島上善五郎

    ○島上委員 あなたの答弁は答弁になっておらない。これは、現行法によって寄付することができることを知っておるから、質問しておるのです。(「具体的にどういうことか説明してくれ」と呼ぶ者あり)たとえば、自由民主党のほかに緑風会というものがある。その緑風会がたとえば山形県に地方区の候補者を立てていない。そうして地方区の候補者は社会党を推そうか、自由民主党を推そうか、態度がきまらないでおる。そこに自由民主党の候補者が莫大な金を寄付する、緑風会の山形支部に。(「そんなものはない」と呼ぶ者あり)それはこのごろ政治連盟を作ろうとしている。しかしそんなことは何でもよろしい。自分の属しない政党に莫大な寄付をすることができるのです。そうして、その団体は、政治連盟を作れば、その政治連盟に属しない候補者を応援することができるのであります。(「できないよ」と呼ぶ者あり)できる。ちゃんと現行法にそうなっておる。それを今度の改正法では禁止しておらないのです。個人の選挙費用は少くしましたといって体裁よくごまかしておいて、片方では十倍も大きなような抜け穴をこしらえておる。これで一体選挙の粛正ができますか、これで一体弊害がないとお考えになるか、これで選挙費の節減になるかということを聞いておるのです。見当違いの答弁をしてもらっては困る。
  94. 早川崇

    早川政府委員 弊害があるなしは別といたしまして、このたびの小選挙区の改正法案の問題とは、これは直接関係がございませんので、このたびの選挙法改正にはその問題は別に取り上げなかったのであります。特に小選挙区に関係はございません。
  95. 島上善五郎

    ○島上委員 これはむちろん現行法にある問題ですが、選挙区を小さくして、その反面政党の活動の範囲を拡大すれば、その寄付の問題と関連して当然弊害が起ってくる。そこで私は聞いておるのです。(発言する者あり)まだよくわからないようだから、もう一ぺん私の番が来たときに質問しますから、留保しておきます。  それでは、もう一つ伺っておきますが、現行法の二百一条の五に、「政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催、ポスターの掲示及びビラ(これに類する文書図画を含む。)の頒布並びに宣伝告知のための自動車の使用については」できない。確認団体でなければできないとある。しかし、確認団体でなくても、ここに例示した以外の政治活動は自由にできる。その自由にできる範囲について、あなた方はどういうことができるとお考えになっておるか、一つお答え願いたい。
  96. 兼子秀夫

    兼子政府委員 島上さんがよく御存じの通り、アドバルーンやネオンサインなどの運動は、これは確認団体以外の団体でもできるわけであります。
  97. 島上善五郎

    ○島上委員 まだまだできることがあるはずだ。それを一つこれを提案しておる大臣に聞きたい。――御存じなければ私が言いますが、まだ政党の発会式をすることができる。支部の発会式をすることもできる。発会式をやってごちそうすることもできる。
  98. 太田正孝

    ○太田国務大臣 選挙部長をして答弁せしめます。
  99. 兼子秀夫

    兼子政府委員 ただいま私が申しましたアドバルーンやネオンサイン、それからそれ以外には「電光による表示、スライドその他の方法による映写等の類」ということが百四十三条の規定にございますが、これは、選挙運動ではできないので、政党の政治活動ならできる、このような趣旨でございます。
  100. 島上善五郎

    ○島上委員 政党の政治活動と選挙運動とは紙一重ですれすれです。さらに飛行機をもって、ヘリコプターを使って、大きな拡声機を使って宣伝することもできるはずだと思うが、どうですか。
  101. 兼子秀夫

    兼子政府委員 政党の政治活動ならできます。
  102. 島上善五郎

    ○島上委員 そういうような活動はまだまだある。私はまだたくさん知っておるが、あまりそれを言っておると、そこらの連中が運用するといかぬから……。(笑声)こういうような活動が確認団体でなくてもできるのです。そして、それに要する経費が、おそらく莫大な経費がかかることは当然である。その莫大な経費を候補者が寄付してもよろしいのです。自分の党ばかりではなく、自分の所属していない政党にも寄付してもよろしい。(「政治活動だ」と呼ぶ者あり)政治活動と言っておりますが、政治活動と選挙運動とは紙一重ですれすれです。(「そういうことを社会党はやっておるのか」と呼ぶ者あり)みんなそういうことを研究してやる。違法でさえなければよろしい。そういうことをしておって、これで候補者選挙費用が少くて済みますなんといったら、大いなるごまかしです。われわれはそれを言っている。われわれのように金のない者は、金がないからもう必然的に公明選挙ですが、莫大な金を党の方から公認料としてもらっている諸君はやれる。われわれは、あべこべに、公認料を党に出さなければほらぬ。自由民主党の諸君は公認料を逆にもらえる。出すとのもらえるのとでは大へんな違いである。そういう金を今言ったようなことに使う。これはおそるべき弊害が生まれてきて、政府が理由の一つに上げておる経費を節減して政界の浄化をはかるということとは、全く逆の結果を生むということは明らかである。私は政党の活動を拡大するということ自体には賛成ですけれども、しかし、それに伴って、自分の属しない党にまで無制限に寄付することができるなんということは、これは禁止しなければ大へんなことになってしまう。これに対して大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  103. 兼子秀夫

    兼子政府委員 今回の改正案では、政党の政治活動で、二百一条の五に列挙いたしました方法による政党の政治活動につきまして、選挙運動にもわたってよろしい、このようにいたしたのでございますが、これは、すでに御承知ごとく、過去の政党の政治活動が、いわゆる選挙活動と紙一重になってきて、非常に区分がむずかしくなる。さらに小選挙区制をとりますと、その区分というものがさらに困難になってくる。そのような見地から、これを選挙運動にわたってもよろしいということにいたしたのでございますが、これは二百一条の五に規定いたします運動、政治活動の方法だけでございます。従いまして、費用等も、政談演説会のポスターがふえたり、若干の拡張は行われておりますが、御心配になるような点はないと思います。  それから、先ほど、Aの党派に属する人が候補者のないBの党派の支部に寄付をする、それによって自己のための政党の政治活動をやらせる、不合理ではないか、このような御趣旨のお話がございましたが、今回の規定によりまして、候補者を立てない政党は、推薦、支持することはできないということにいたしましたので、御心配はないと思います。
  104. 島上善五郎

    ○島上委員 この問題は大問題で例の憲法違反にも抵触する問題ですから、これは私の順番が来たときに本格的に質問します。私は、今は関連ですから、今の答弁はきわめてピントはずれで不満足である、納得できないということだけ申し上げておきます。
  105. 森三樹二

    ○森(三)委員 だいぶいろいろ御議論がありましたので、私はもう一問だけ質問いたしまして、残余は次回に質問することといたします。だんだんと立会演説会あるいは個人演説会、そうして政党の演説会等について質問が行われたのでありますが、先般行われました参議院の鳥取県の補欠選挙におきまして、「選挙期間中自民党支部結成大会が各地で相ついで開かれ、その席に酒食が出されたことが公明選挙運動を汚すものとして社会党に指摘され、県民に反感を買ったことも敗因の一つとして見逃せない。このように、鳥取県の参議院の補欠選挙の結果に対する朝日新聞の論評が記載されております。従いまして、私は、先ほど來、立会演説会あるいは個人演説会等について、太田長官にいろいろとお尋ねをしたのであります。ところで、今回改正されんとするところの政党候補者の応援演説等におきまして、いわゆる法定の選挙費用と別に、政党選挙中このような演説会を開催するという費用の点について何らの規制がない。しかも、政党がやるならば法律の条項に触れないというので、鳥取県の選挙期間中に、自民党の支部大会でもって各地で相次いで酒食が出されたことが、公明選挙を汚すものとして非難されたということが出ております。こういう点について、いわゆる支部の結成大会だから酒食を供応してもよろしい――公職選挙法候補者が買収とか供応したものでないというような形において、取り扱われておりますが、かかることは私はとうてい認められない。選挙期間中以外ならばまだしもでありますが、選挙期間中においてこのようなことが行われておるということは、まことに遺憾でありますが、これらに関する取締りについて御所見をお伺いしたいと思うのであります。
  106. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は、具体的の事実に関するもののようでございますから、よく事実を調べました上で御答弁申し上げたいと思います。
  107. 森三樹二

    ○森(三)委員 本日はこの程度にいたしまして、残余は次回にします。
  108. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次会は明十三日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十七分散会