運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-24 第24回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十四日(金曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 加藤鐐五郎君    理事 大村 清一君 理事 小金 義照君    理事 淵上房太郎君 理事 井堀 繁雄君    理事 島上善五郎君       相川 勝六君    足立 篤郎君       大坪 保雄君    薩摩 雄次君       古井 喜實君    山本 利壽者       滝井 義高君    竹谷源太郎君       武藤運十郎君    森 三樹二君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         参議院議員   伊能 芳雄君         参議院議員   小林 武治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   櫻沢東兵衛君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案参議院提  出、第二十三回国会参法第一号)     —————————————
  2. 加藤鐐五郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。自由民主党青木正君外十五名より本案に対する修正案が提出されております。ただいまより本修正案について議事を進めます。まず、提出者趣旨弁明を求めます。小金義照君。     —————————————
  3. 小金義照

    小金委員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その修正趣旨を弁明いたします。  すなわち、修正の第一点は、公職選挙法の第八十七条の二の改正規定の次に、次のような修正を加える。それは、すでに施行せられておりまする国会法改正に伴って、当然改正せらるべきものであります。すなわち、第八十九条第一項第一号中の「内閣官房長官」の下に「内閣官房長官」、これを加えることであります。  修正の第二点は、法第二百一条の五に関する改正規定のうち、第四項が新設されたのは、一人の候補者が多数の政治団体に重複して所属し、各政治団体にそれぞれ一人として計算されたため、政治活動の公正が著しく阻害されたことによるものでありますが、改正案内容を見ますると、三以上の政治団体所属候補者として計算されることはできないことといたしております。二つ政治団体に限り、重複して計算されることを認める結果となるのであります。しかしながら、これでは本改正趣旨は不十分であると考えざるを得ないのであります。なお、本改正案が、参議院において立案せられ、参議院を通過いたしました当時と今日とは、政界の情勢が一変いたしまして、二つの大きな政党が対立する時代となりましたので、政治団体政治活動規制趣旨を真に実現しようとするならば、一人の候補者は、いかに多数の政治団体所属しておる場合においても、すべて、その者の選択する一つ政治団体に限って、所属候補者として計算されるように改めるべきであると考えられるのであります。これがこの修正点提案理由であります。  修正の第三点は、附則であります。この附則の第一頭中、施行期日が二月一日になっておりますが、これは、御承知通りすでに経過いたしておりますので、三月十五日に改めるのでございます。  以上で趣旨弁明を終ります。
  4. 加藤鐐五郎

    加藤委員長 本修正案について質疑の通告があります。順次これを許します。島上君。
  5. 島上善五郎

    島上委員 私は、ただいまの修正内容について御質問申し上げる点も多々ございますが、それに入ります前に、この公職選挙法一部改正案参議院において各派共同提案になりました当時のいきさつについて、若干お尋ねいたしたいと思います。  私ども社会党承知している限りにおいては、この共同提案がまとまりまするまでには、改正事項について相当各派の間に意見があった。これは当然のことだと思いますが、近く迫っております参議院選挙に必要な改正を早急に行うために、各派意見の相違を調整して共同提案に進めたものだと聞いております。私ども社会党においては、相当意見のありました点も、各派共同提案に歩調を合わすために、忍びがたきを忍んで、いわば譲歩しているもので、参議院の私ども議員だけが勝手にやったのではなくて、党として了承してこの共同提案に賛成したわけです。従いまして、このことは、自由党の場合も——当時は民主党もございましたが、民主党さんの場合も、党としては同様であると存じております。  そこで、参議院提案者にお伺いいたしたいのですが、その共同提案がまとまります際に、各派意見調整焦点ともいうべき最も議論になりました点はどの点であったかということを、まず伺いたいと思います。
  6. 伊能芳雄

    伊能参議院議員 その議論の分れました点は、第一は、参議院議員候補者供託金の問題でありました。私ども、初めは、全国区におきましては三十万円、地方区におきましては二十万円という案を考えておったのでございます。これをその後調整しましたのが現在の案であります。第二点は、政党または政治団体確認団体の数の計算、幾つまで関係できるかということでありまして、この点につきまして、私どもは一団体ということで進みましたが、その後に二つまで認めようというように調整されたのが、現在御審議中の法案であります。
  7. 島上善五郎

    島上委員 小林さんもお見えになったので、小林さんに今の続きをお伺いしたいのです。  今伺いますと、最も問題になった点は、供託金の問題と政党及び政治団体の点であったということでございますが、供託金の問題もさることながら、やはり焦点政党及び政治団体選挙川間中における政治活動規制の問題であろうと思います。なるほど、無制限にすると弊害があるということも、一応は考えられるのでありますが、私ども考えによりますと、国民は、選挙運動を受ける自由と同時に、また選挙運動あるいは政治活動をする自由があるので、その自由が極度に制限されるということについては、非常に問題があろうと思う。そこで、私どもの方においては、十分検討した上で、共同提案にするために、今二団体というところまで譲歩したのです。と申しますのは、参議院選挙の場合、どうしても、自分所属する政党ないしは政派のほかに、たとえば、緑風会さんを例にとっては悪いけれども緑風会という会派に属する以外に、強力な職業的な、あるいは職能的と申しますか、あるいは、労働組合といったような全国組織基盤にして立つことが必要である。たとえば、お医者さんが全国のお医者さんの組織基盤にする、お産婆さんの組織基盤にしてこの前立って当選した人がありますが、そういう人や、中小企業組織基盤にするといったようなことが必要であると、私ども今までの参議院選挙の経験にかんがみて思っておるのですが、今度の今出されました修正案によりますと、緑風会なら緑風会会派に属しておる者は、そういう自分の直接非常に密接な関係を持っておる団体があって、それを基盤にして戦うことが有利であるのに、その団体が一生懸命になって支持し応援しようといたしましても、その道が全くふさがれてしまう。ですから、来たるべき参議院選挙のことを考えますとき、私ども衆議院でこういうような大修正を加えるということは、共同提案をいたしましたいきさつから見ましても、政党の信義の上からしましても、遠慮すべきものではないか。もし、参議院回付修正によりましてもなお弊害があるということが、来たるべき参議院選挙を行なって実証された場合には、さらに議論することとしましても、今ここでこのような大修正を加えることは、参議院選挙のためにも、また共同提案といういきさつから見ましても、遠慮すべきものではないか、こう考えております。  実は、この委員会でそういうことを言っていいかどうかわかりませんが、けさ、緑風会佐藤尚武氏が、緑風会代表として、社会党参議院議員会長岡田宗司君に対して、緑風会としては、この共同提案をこのまま通してもらいたいということを正式に態度をきめた、そうしてこれを自民党に申し入れた、こういう通告があったそうでございます。提案者にお伺いしたいのですが、提案者は、参議院回付の原案をぜひ通してほしいか、それとも修正されてもやむを得ないということをお考えになっておるか、その点に対する提案者のお考えを、今のお話と合せて一つ伺いたいと存じます。
  8. 小林武治

    小林参議院議員 この問題は、お話通りなかなか重要な問題でありまして、われわれがこの案を出すにつきましても議論があったことは、御承知通りであります。また、私ども緑風会におきましても両説がありまして、一つでいいじゃないか、あるいは妥協案でいいじゃないか、こういうようないろいろの議論があったことは当然であります。しかし、私どもが、参議院として、三派で共同してこの案を出しました責任からいたしましても、私どもとして、この案がそのまま通ることを希望し、また期待することは当然であります。しかし、さればといって、衆議院審議について、われわれが拘束がましいことを言うべき筋合ではない、また、もしそうなったらどうなるか、こういうようなお話がありますれば、それはまた新しい事態として考えなければならぬ、かように考えておるのであります。繰り返して申しますが、私ども共同提案者としても、これをそのまま認めていただきたい、こう申し上げるのはわわれとしては当然な筋道ではないか、こういうふうに考えております。
  9. 島上善五郎

    島上委員 私今度は提案者に伺いますが、今二大政党になった。参議院はさらに緑風会という大会派がございますが、そうしますと、この修正によって、参議院の場合、自由民主党社会党緑風会、この三つ政党及び政治団体が来たるべき参議院選挙の際に政治活動をする、この三つだけに整理されるものと提案者はお考えになっておるかどうか。
  10. 小金義照

    小金委員 この三つだけに整理されるものとは考えておりません。また緑風会政治団体として有力であるということも認めております。さればといって、たくさんの政党所属する候補者として数えられるのがいいか、一つ政党所属する候補者として数えられるのがいいかということになってきますると、だんだん、政治意識の高揚とともに、それぞれの所属政党または会派をはっきりして、それ一つを中心として選挙を行うのが最も公平に行われるのであろう、こういう信念のもとに提案したのであります。
  11. 島上善五郎

    島上委員 それでは伺いますが、これはどこかの会を例に出して悪いと思いますが、その方がより具体的なので、例に出しますから、お許しを願いたい。たとえば、緑風会なら緑風会社会党なら社会党でもよろしい。そういう看板を表に出して選挙をするよりも、全国医師会代表であるとか、あるいはさっき言った産婆さんの代表であるということでやる方が、投票を確実に得られる、当選可能性がより確実である、こう考えて、そういう人々が、要するに候補者十人あれば一つ政治団体を作れるわけですから、緑風会に今まで属しておって、また当選後も緑風会に属するが、選挙を勝つためにはその方が都合がいい、たとえば、中小企業代表であるとか、お医者さんの代表であるとか、漁民代表であるとかいうことをはっきりしてやる方が、選挙に有利である、こう考えて、そういう人々が十人集まって政治団体を作ることも可能だと思いますが、その点に対しては提案者はどのように考えられますか。
  12. 小金義照

    小金委員 それは可能であろうと考えます。
  13. 島上善五郎

    島上委員 それでは、その場合は、たとえば自由民主党に属しておっても、社会党に属しておっても——自由民主党社会党は、これははっきりとした近代的な政党だと思います。緑風会の場合は若干その趣きを異にしておるように思いますが、自由民主党に属しておって、自由民主党から公認されておる、しかし、選挙期間中の政党及び政治団体として活動するために、自由民主党に属しておりながら、便宜上十人集まってそういう団体を作るということも、これは許されることであるかどうか。
  14. 小金義照

    小金委員 そういうことも可能だと思います。政党あるいは政治結社を作るということは拘束はないはずですから、そういうことは、やろうと思えばできるだろうと思います。
  15. 島上善五郎

    島上委員 これは大事な点ですから、僕は念を押してはっきり聞いておきますが、参議院の場合には、十人以上三十人未満て三台、六十人未満で五台、百人未満で八台、百人以上が十台、こうなっております。ですから、かりに自由民主党が百一人ありますれば車が十台ですが、これを、今私が質問したように、自由民主党に属し、自由民主党公認であるけれども選挙を有利にするために、あるいは、選挙期間中、政治団体の自動車を動かし、あるいはポスターを張り、演説会をやってその応援を受けるに都合のいいように、百一人を十の政治団体に分けるそうすると三台の車が三十台になってくる。十の政治団体ですから三十台になることも可能になるわけですが、この点提案者はそう解釈しておられますか。
  16. 小金義照

    小金委員 そういうことも一応考えれば考えられますけれども、そうなれば、本来の自分所属する政党自由民主党とか社会党というものからの車を出しての援助、あるいは候補者としての取扱いは受けられぬのであります。しかし、政党がそれぞれ一つ二つ三つと大きく集合していくときに、選挙だけを目当てに百人あれば十に分けるというようなことが行えるかどうかということは、実際問題として私ども考えられないのであります。
  17. 島上善五郎

    島上委員 実際問題として考えられないとおっしゃいますけれども、法文の上でそれがいけないということになっていない限りは、その方が有利である、そうしようという者があれば、そうしたって差しつかえないわけなんだ。私がさっき聞いたように、自由民主党に属しておるけれども全国医師代表であるとかあるいは漁民代表であるとかいうことを明確にしてやる方が、選挙が確実に勝てる、こう考えて、そういうことを明確に表示する、十人集まってそういう政治団体を作って選挙の協定をやるということが、この改正案からいえば可能なんです。ですから、私は、今極端な場合を例に言っておるのであって、極端にいえばそういうことも可能であるが、可能であるかないかということをこの際明確にしておく必要がある、それを聞いておるのです。それを実際にやるかやらぬかは、そのときのやる人の問題であって、法律上可能であるか可能でないかということを私は聞いておるのです。
  18. 小金義照

    小金委員 可能か不可能かと言われれば、それは可能だとお答えするほかにない。しかし、本来の自分所属する政党候補者としては取り扱われない、こういうことになるのです。
  19. 島上善五郎

    島上委員 しかし、本来自由民主党に属する十人か二十人か百人かの計算の一人にはならないけれども自由民主党に属しておる自由民主党公認候補者が、政治活動の届出の際に、たとえばこういうこともできるのです。自由民主党青年連盟、こういう政治団体を作ることも、候補者が十人あれば可能なんです。青年政治連盟、あるいは、自由民主党をつけないで、もっと巧妙に、自由民主青年政治連盟というものを作って、十人の候補者を立ててやることもできると私は解釈する。それはどうですか。
  20. 小金義照

    小金委員 そういう解釈は、私も解釈としてはできると思いますが、三つ以上ということにしておきますと、今のように、本来の政党に属しながら、もう一つ政治団体を作って、その方の候補者としてやれる。それを禁止しようとして一つにしようとしておるのですから、島上さんの言われるように、本来の政党から離れて小さい政治団体を作ってやろうということを企てれば、それは私は可能だとお答えするほかないと思います。
  21. 島上善五郎

    島上委員 可能であるということがはっきりすれば、それでいいでしょう。それは相当大きな問題ですから……。そういうことになりますと、実際に選挙に際してたくさんの政治団体を作るか作らぬかは、これはわかりませんが、参議院選挙社会党自由民主党緑風会三つ政治団体で争うことになるというような、そういう単純なものではないことは事実です。ですから、二団体制限したのをさらに一団体制限することは、候補者が二団体に属することはできない、一団体にしか属することができないという点は、はっきりしますが、政治団体が非常に少くなってしまうとか、三つ団体で争うとかいうような考え方からすると、実際はそうではなかろうと私は思うのです。結局は五十歩、百歩の違いになってしまうのではないか、こう思うのです。  それと関連していろいろ伺いたいのですが、なぜ、一体、そういう政党及び政治団体がきわめて制限された範囲選挙期間中に政治活動をするのを、そう抑制しなければならぬのか、その理由がどうしても私に納得がいかぬのです。私は、政党及び政治団体は、選挙期間中であるとなしとにかかわらず、政治活動は自由に伸び伸びとさるべきものであると思う。選挙期間中に政党及び政治団体のやれることは、衆議院選挙区に一回演説会をやることと、千枚ポスターを張るのと、政策宣伝活動ができるのと、チラシがまけるのと、というように、きわめて抑制され、規制されておるのです。その抑制され規制されておる活動を、さらに大きな団体に限定してしまわなければならぬという積極的な理由を、ここで一つお聞かせ願いたい。
  22. 小金義照

    小金委員 お説の通り選挙活動は伸び伸びと大らかにやれることを希望するのはもちろんであるし、そのお説には賛成であります。また、政治団体政党政派というものがたくさんあってしかるべきだと思いますが、他の政治団体はこれを後援することができるのですから、所属候補者として数えられるのは一つでよろしいのではないか、こういう趣旨がこの修正案の根本になっておるのであります。
  23. 島上善五郎

    島上委員 その趣旨はわかりますが、私は、政治活動というものは、一定の厳格な意味の政党に属して、自分政見政策同一にし、政治活動同一にする政党に属することが必要であると同時に、一時的な目的を達するための政治運動というものもあっていいし、現にあるわけです。他の問題に対しては意見を異にするけれども一つ目標に対しては共通である。たとえば、このごろ、自由党さんが支持しているかのように新聞に伝えられております解放農地補償運動というようなものが起って、解放農地補償連盟というものがある。それから中小企業事業税撤廃連盟といったようなものも全国にある。そういうような事業税を撤廃するための運動、あるいは外地の資産を補償せよという運動も起っておる。その他の問題については意見を異にするが、その一点については共通である、そういう政治運動もあるわけです。そういう政治運動に、自由民主党に属しておるから、あるいは社会党に属しておるからといっても、その一つ目標に共通である場合に、そういう政治運動に加担してはいけない、あるいは応援を受けてはいけないという理由は、私はどこにもないと思うのですが、そういう理由がどこかおありでしょうか。
  24. 小金義照

    小金委員 そういう理由はありません。どの政党にあるいは政治団体所属されてもけっこうで、所属や何かを制限するとか、一つにしてしまうということでは決してなくして、ただ、選挙期間中、立候補した人が候補者として数えられるのを一つにしようというのであって、他の政治活動選挙応援というものは、この修正案では制限いたしておりませんから、その点は御了承願いたいと思います。
  25. 島上善五郎

    島上委員 所属一つにするということは、今度の改正案二つにするということでしたが、二つ所属し、二つ団体から応援を受けるということになると弊害がある。この前、私は、正式な委員会でなかったか、あったか、よく記憶はありませんが、今までは、野放しで、十の団体に属してもいい、二十の団体に属してもいいということは、同時に十、二十の団体から応援を受けてもいい、こういう状態であって、非常に弊害があった。特に社会党さんばかりたくさんの団体から応援を受けておる。それが改正のおもな理由であったように思いますが、この法律にも、政党及び政治団体、特に政治団体という言葉を使っております通り、私は、一つの固定した政党に属し、一時的な他の政治団体に属することはあり得ることであって、またあって一向差しつかえないことだ、今御答弁の通りだと思っているのです。一つ政党に属し、一時的な政治団体に属してよろしい、あり得ることであり、それは属してもよろしいことであるということになれば、その一つ政治団体から、選挙期間規制された範囲で支持を受ける、その政治団体規制された範囲運動するということで、それを全く禁止してしまうという積極的な理由というものはないように思うのです。私の聞きたいのは、一時的な政治団体に属してもよろしいし、そういうことはあり得ることなんだということで承認されるとすれば、その一時的な政治団体選挙に際して規制された範囲政治活動をすることを、無理にとめなければならぬ、全く封鎖してしまわなければならぬという積極的な理由は、どうも納得いかぬのですが、その点をもう少しはっきりしていただきたい。
  26. 小金義照

    小金委員 無制限ではいかぬが、せめて本来の自分所属する政党または政治団体のほかに一つくらいはというようなお説ですが、またこの参議院から回されてきたのはそういう趣旨のようでありますが、私どもは、それならば、制限するならば一つにして、自分の本来の所属政党だけから選挙当時の立候補者として数えられればいいのであって、ほかの自分所属する政治団体は、候補者としてでなく、政見なりあるいはそのときの問題についての主張が同じであるからということで、応援を受ければよろしい、こういうような見解に立って、私どもはこれを考えたのであります。
  27. 島上善五郎

    島上委員 応援を受ければよろしいとおっしゃいますが、それでは、その政治団体は一体どういうことで応援できますか。演説会はできない、ポスターも張れない、チラシもまけない、トラックも出せないということになると、いわゆる確認団体でない団体、たとえば全国薬剤師政治連盟というようなものがあっても、候補者が十人なければ確認団体でない。この権益団体でない団体が、たとえば、だれそれさんを応援したい、あの人は薬剤師で、非常に薬剤師のために一生縣恩命に骨を折っておるから応援したいと思っても、どういう応援ができますか、どういう範囲応援ができますか、それを一つお伺いしたい。
  28. 小金義照

    小金委員 それは、具体的の方法としては、自分政党または政治団体候補者として今までやってきたような措置ができないだけで、応援演説にも出られるし、また選挙のために配付されたはがきへもそれを書き込むことができるのではないか。そのほかいろいろなことがあるかもしれませんが、要するに自分政党または政治団体候補者として数えられないというだけで、そんなに大きな制限だと私は思わないのであります。
  29. 島上善五郎

    島上委員 それは大へんな間違いであって、たとえば全国薬剤師政治連盟というものを一時的に医薬分業目的のために作っておるとしますね。しかしその薬剤師政治連盟という団体としての応援一つもできないのです。その個人個人として国民が当然受けている権利を行使するにすぎない。薬剤師政治連盟というものがあったって、政治連盟としての応援は何もできない。もし政治連盟として応援できる道があったら、それを一つ御指摘願いたい。
  30. 小金義照

    小金委員 私どもは、現段階においては、政治団体または政党というものが自分所属候補者をそれぞれ応援する。その応援の仕方は、何といいますか、演説会だとかいろいろなものでやるので、他の政治団体は、自分政見を同じくすれば、代表者を送って応援演説をするとかいろいろなことをやればいいのであって、みずから、政治団体として、他の政党あるいは政治団体所属する多数の候補者自分候補者だとして扱うことは、混乱を来たして、いろいろな弊害があるから、一つでいいじゃないか、こういう考え方に立っております。
  31. 島上善五郎

    島上委員 私は、国民は、個人々々としても、選挙の際に自分が支持する候補者応援する運動が許されてよろしいと思うのです。国民選挙運動を受ける権利と選挙運動をする権利が与えらるベきものである。しかし、これに一定の規制を加えているのは、そのことのために、選挙が腐敗したり、弊害が起ったということが考えられるから、一定の規制が加えられていると思うのです。個人々々が選挙運動をする自由が認められてよろしいと同様に、その個人が、一定の志を持って集まって、団体を作って政治運動をすることも自由であって、よろしいと思うのです。自由であるべきものだ。ただ、しかし、現在、選挙法において、政党や、政治団体活動に相当の規制を加えておるのは、その規制をしないと、いろいろな弊害が起ったり、不正選挙、腐敗選挙あるいは不当な選挙が行われるおそれがあるから、一定の規制を加えているんだと思うのです。それを、今度は、その規制を加えた範囲からさえも締め出してしまうということは、国民選挙期間中における政治活動の権利に対して、非常に大幅な制限を加えるものだといわざるを得ない。私は、憲法との関係はわかりませんが、憲法に規定しておる基本的人権の問題にも当然関連するのではないかとさえ思う。どうしても、先ほど説明されたことだけでは、規制しなければ、こういう弊害が起る、こういう不当な選挙が行われる、選挙がこのようにして腐敗するという積極的な理由が明らかにされていないようです。その積極的な理由をぜひこの際聞かしていただきたいと思うのです。
  32. 小金義照

    小金委員 そこまでいくと、見解の相違ということになるかもしれませんが、私どもは、本来の所属する政党一つに数える。それから、参議院から回付されました改正法の二百一条の現行法の九に関連するところで、「当該政党その他の政治団体所属候補者の推薦」云々というのがありますのを、所属というのを省いて「公職の候補者」を応援できるという二百一条の九——今度は十になるんですが、もとの二百一条の九の改正などと伴って、これは十分目的は達せられる、こういう見解をとるのであります。
  33. 島上善五郎

    島上委員 それではお伺いをいたしますが、さっきも言ったように、一定の政党——恒久的な組織である政党に屈すると同時に、一時的な政治目的を達するために、いわばカンパ組織のような政治団体に属するということは往往あることだし、あっていいことなんですが、そういう一時的な政治団体選挙期間中における活動を封じてしまい、それに属することも封じてしまっておりながら、片方では、所属しない政党及び政治団体から自由に応援を受けられるということは、少し矛盾してやしないかと思うのですが、この改正では、自分所属しない政党及び政治団体の支持推薦を受けることができる、この点にどうでしょう。
  34. 小金義照

    小金委員 それは参議院を通過した原案そのものに対する御質問であって、これを一つにするか二つにすれば、もう、現在の二百一条の九の改正は、両方から一応制限するというところからきておるのであって、今のお説は、二つの場合でも私は同様だと思うのです。
  35. 島上善五郎

    島上委員 「所属」をとって、つまり所属しない候補者応援できるようにしたのは、私は賛成なんです。当然そうあるべきだと思うのです。けれども、今関連してあなたに開いておるのは、あなたは、二つに所持すると混乱する、こう言うのです。あまり積極的な理由は聞かしてもらえないけれども、混乱するからと言うのです。それなら、所属しない幾つかの政党及び政治団体からどんどんと応援を受けられるということと矛盾しないかということを聞いたのです。
  36. 小金義照

    小金委員 それは矛盾しないと私が申し上げるのは、今までは、自分候補者でありまた自分所属候補者として、取り扱ったが、今度は、所属候補者としてではなく、当選さしたいという候補者として取り扱う、こういうことですから、私は矛盾はないと思うのです。
  37. 島上善五郎

    島上委員 二団体に属することができれば、一団体制限するよりも、政党及び政治団体が幾らか数がふえる。これは事実です。数がふえて、あなたの言葉をかりて言えば、混乱するとか、うるさいとかいうことになるかもしれませんが、数がちょっとふえる程度の問題です。私は五十歩、百歩の問題だと思うのです。今までのように十団体にも二十団体にも属するというような状態と、一団体制限するのとは、大へんな違いですよ。二団体にするのと一団体にするのとは、これはほとんど差異はない。私が今言っておるのは、片方では、所属しない団体からどんどん応援を受けられるように緩和して道を開いておいて、片方では、現に自由民主党に属し、一方に解放農地補償連盟に属して、この解放農地補償連盟が一生懸命に小金義照当選さしたいと思っても、この方の道は全く閉ざしてしまって、自分所属しないほかの政治団体から応援を受けられる。これこそ混乱じゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  38. 小金義照

    小金委員 それは、応援のいろいろな筋道といいますか、ルートの混乱ということじゃなくして、どの政党にほんとうに所属しておるかという意味において、混乱が起れば起り得る、こういう意味でありまして、今のような、自分所属候補者としては数えられないけれども応援して当選せしめるように努力するというその線は、幾つあっても私は混乱しないと考えております。
  39. 島上善五郎

    島上委員 だいぶん時間もたちましたから、もう一点質問して、あとは保留しておきますが、これはこの前提案者にお聞きしましたけれども提案者からどうも納得のいくような答弁はまだ得られませんので、今度は修正提案者に伺います。  これは非常に関連があるのですが、所属する政治団体は一団体に限定しよう、こういうことですが、今も私が質問した点で明らかなように、所属団体は一団体だが、しかし所属しない政党及び政治連盟からも応援を受けられる。これは、全国区の場合にはそういうことはほとんどないと思いますが、地方区の場合には往々にしてあると思います。地方区の場合には、ある地方では緑風会社会党しか候補者がない、あるいは自由民主党社会党しかない、また、社会党候補者がなくて、自由民主党と革新系しか候補者がないという場合が、地方区の場合には多いと思う。そういう地方区の候補者は、自己の所属しない政党及び政治団体からも応援を受けられる。そうして、一方において、百九十九条の二で公職の候補者の寄付の禁止をしておりますが、百九十九条の二のただし書きに「政党その他の政治団体又はその支部に対し寄附をする場合は、この限りでない。」これは、自己の属する政党のことではなくして、所属すると所属しないとにかかわらず、どこの政党及び政治団体の支部に対しても寄付してよろしいことになっておる。ですから、今言ったような場合に、多くの政党及び政治団体から支持を受けようとして寄付をして、そして、その政党及び政治団体が、その寄付をした候補者に対してその地域において応援するということになるわけですが、そういうことに対しては、どのようには、どのようにお考えになっておりますか。
  40. 小金義照

    小金委員 弊害の問題は別といたしまして、今島上さんの言われるように、寄付はすることもできるし受けることもできる。この問題の取扱いは、候補者所属団体一つにするか、あるいは二つ以上にするかということは離れて、そういうような解釈ができると思います。
  41. 島上善五郎

    島上委員 そうです。これは政治団体一つにするか二つにするかということと無関係に、この法律は現にあるのですから、それはできますが、その所属団体を窮屈にすれば、勢い所属しない政党及び政治団体応援を受けたくなる。自分選挙を有利にするためにそうなるのは当然だと思う。一方において窮屈にすれば、一方に抜け穴があるのですから、その抜け穴をたくみに利用して、他の政治団体——特に地方区の場合は支部に寄付をする。秋田県支部とか何々郡支部とか、秋田市支部とか、そういう支部にどんどん寄付する。そしてそういう政治団体から応援を受ける。自分所属する政党ならば、これは何も選挙に限らず、自分所属する政党が強くなって活発な活動をしていくということを希望するのは当然の話ですが、所属しない政党政派に寄付をするということは、私は、選挙に関して、あるいは選挙の前後にするということになれば、結局、その選挙に対して自分応援してもらいたいという下心で、寄付する場合が多いと思うのです。小金さんの提案したように、所属政党、従って応援を受ける政党政治団体を窮屈にすれば、よけい、そういう方面から、抜け穴を利用して寄付をして、その所属しない政党及び政治団体応援を受けようということになり、そういう弊害がだんだん増大するのではないかと、私は関連して心配するわけであります。その点はどのようにお考えになりますか。
  42. 小金義照

    小金委員 それはごもっともな点かと思いますが、それでは、二つにしておけばその弊害はなくて、一つの場合だけが著しい弊害が起るという予想もつきませんので、むしろ所属団体として数えられる政希団体二つにした方がいいというわれわれの立場からいけば、その弊害はまだ今のところわからない、こう申し上げるよりほかにないと思います。
  43. 島上善五郎

    島上委員 きょうの私の質問はこれでおしまいにしますが、二つの場合と一つに窮屈にしてしまった場合とは、おのずから違うと思う。片方で窮屈にすると、片方でこういう抜け穴があるから、その抜け穴を勢いより多く利用しよう、こういうことになりはしないかと私は開いておる。その弊害は、二つの場合でも、一つの場合といえどもありますが、二つ一つに窮屈にすれば、よけいそういう抜け穴を利用しようということになりはしないかということを私は聞いておるわけです。きょうは、今の御答弁を伺って、質問はこの程度にして、あとは次会に保留しておきます。
  44. 大村清一

    ○大村委員 議事進行について発言します。公職選挙法の一部を改正する法律案は、御承知のように参議院から送付されたのでありまして、前国会から継続審議にし、そうしてこの国会に継続したわけでありますから、参議院選挙も目睫に迫り、この法律案が成立いたしました暁においては、自治庁その他選挙関係者においては周知徹底をはかり、また新法の運用も研究し対処する余裕を相当とらなければ、選挙が完全に遂行できないことは明らかでありますので、一日も早くこれを成立させる必要があるのであります。この点につきましては、われわれもそれを十分理解しておるのでありますが、修正案も出たことでありまして、本日これを決定するというのは、あるいはその時期でないかも存じませんが、なるべく早い機会において本案を決定するということに、委員長においてお取り計らいを願いたいと思うのであります。このことを議事進行としてここに提議いたします。
  45. 島上善五郎

    島上委員 関連して……。すでに、理事会において、なるべく早く成立させようという了解はできておる。私どもも、その点においては、決していたずらに引き延ばそうとしておるのではありません。ただし、共同提案であったものに対して、こういう争いの焦点となるべき大修正を自民党さんが出してきたのですから、これは新事態です。新しい事態です。そこで、私どもはこの修正に対しては納得いくだけの質問をしなければなりませんし、また、わが党においても、それでは修正を出そうかという意見もありますが、しかし、どういう点の修正を出そうか、それとも修正はこの際見送るかという最終態度の決定は、本日の国会対策委員会においてもまだ決定しておりませんので、やはり、今提案者も本日やろうというわけではないのですから、その点はわかりますが、その審議を尽さずに強引に押すといったようなことは、絶対に避けてもらいたい。われわれもいたずらに引き延ばそうとするのではないのですから、いずれ大問題が出てきて、本場所で争う機会もあろうと思うので、そう精力を消耗するほどやりませんから、とにかく、強引に数でもって——まだ質問が残っているのに、井堀君もあるし、皆さんがあるのに、質問打ち切り、討論打ち切りなんという、そういう強引は一つこの際やらぬように、理事会で申し合せた点をわれわれも尊重しますから、お互いに尊重してやるようにお願いいたします。
  46. 加藤鐐五郎

    加藤委員長 ただいま大村君の議事進行に関する御意見がありましたが、その後の理事会におきましても、総括質問はあれで終りまして、修正案に対する質疑が残っておるだけでありまして、きょう一日くらいにこれを済ましたいというつもりであったのでありますが、一つできるだけ質疑はきょうだけで終了さしていただきたいと思っております。それできょうも正規に十時からお打ちしておったわけでありますから、時間の延びたことはやむを得ませんが、できるだけ一つ質疑だけはきょう終了さしていただきたいと思っております。御協力を願いたいと思います。  井堀君、御質問ありますか。——井堀君。
  47. 井堀繁雄

    ○井堀委員 この改正案についても私ども幾多の疑問を持っておりますが、さらにこれを修正なさろうとする御説明が今伺えたわけであります。この改正の中で、私は、きわめて重要な点が二、三ございますので、この点を明らかにいたしまして、今後の法案審議の上に、私どもの態度をきめたいと思うのであります。  それは、修正の一、二、三のうちの二の、すなわち二百一条の五の第四項の改正の点でありますが、この改正は、見方によりましては、非常に大きな、今後の国民の政治的な自由に対する制限もしくは禁止という思想がひそんでいると心配されるのであります。この点について二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど来の説明や質疑等の中で明らかになりました、すなわち、参議院衆議院その他総選挙の際に、政党選挙活動についてはきわめて明確になっておりますが、その他の政治団体にこの選挙の際において大幅な制限を加えるというのがこの提案の趣旨でありますが、さらにこれを全く禁止するという性格に修正がなっておると私は判断しておるのであります。この判断に間違いがありますならば、御答弁をいただきたいと思います。それで、参議院側の提案者にまずこの点についてただしたいと思います。  私は、元来、民主的な政治を推し進めていくには、何といっても、やはり議会中心主義、すなわち総選挙に主力が注がれることは言うまでもないのであります。その総選挙国民の総意が十分に反映する形は、選挙を公正に行うということにほかならぬのでありますが、その選挙法を今われわれがここに修正をしようとしておるわけなのであります。その一番大事なものにひっかかってきておると私は信ずるのであります、そこで、参議院のこの改正案は、政党はとにかく私はそう大幅な制限を受けないと思うのでありますが、その他の政治団体——ここにカッコでは「三以上」という表現で行われておりますが、どうしてそういう制限を大幅に加えなければならぬかということについて、ただいままでの討論の中には、広く拝見いたしましたけれども、明らかになっておりません。この点をまず明らかにしていただいて、さらに修正案について私はお尋ねいたしたい。御迷惑でしょうが、その点明確に御答弁願いたい。
  48. 伊能芳雄

    伊能参議院議員 現行の選挙法によりますれば、確認団体というのが一人について幾つあってもいいということになっております。従いまして、一定の条件を備える政治団体は、特定のある一人にトラックも出し、あるいはビラも張り、ポスターも張る、非常に広範にやれるわけであります。そういう団体が一人の候補者についてあまり多いということは、選挙の公正の上からいってむしろ適当ではない。そういう団体はなるべく第三者運動としてやっていただく。その支持する候補者について、そういう非常に広範に認められた選挙運動をする団体があまり多いということは、先ほども出ておりましたように、選挙運動を非常に混乱に導くじゃないかということから、そういう確認団体制限考えてきたわけであります。確認団体と第三一運動をする団体とは内容において非常に差がありますので、確認された団体だけに広い範囲選挙運動を認めよう、その他の団体は第三者の運動としてやっていただこう、こういう趣旨であります。
  49. 井堀繁雄

    ○井堀委員 あなたは選挙の公正を期するとおっしゃいましたが、私は、選挙の公正を期するということは、国民の総意が選挙に十分反映してくるということが絶対の条件だと思う。そのためには、国民のすべてが、選挙運動にどういう形式をとるかということは、選挙法の内容になるわけでありましょうが、公正を期するということは、原則的には国民の総意を反映せしめやすい方法を選ぶということです。ところが、ここに、あなたが説明されますところによると、選挙運動を何か混乱するおそれがあるというので制限を加えようというのであります。もしそういうおそれがあるとするならば、選挙運動は、この選挙法に規定されておりまするように、候補者を中心にするところの選挙事務所を設定して、そこに十分な規制と規律を法律は命じておるわけであります。しかし、国民政治活動というものは——選挙運動に限って大幅な制限を加えるということは、民主的な成長をはばむものだ、政治の最も大事な部分を制限する行き方で、私はそれは行き方としては逆コースだと思う。もちろん選挙はフェアでなければなりませんし、秩序を守っていかなければなりませんが、その秩序、フェアを維持するためには、選挙を面接やります候補者、それを中心とする選挙事務所、これに対してはそれぞれの制限があるわけであります。この点に工夫をこらすべきであって、角をためて牛を殺すようなやり方になりはせぬかと思うのであります。この点の説明が今までなされておりません。今のあなたの御答弁でも、ますますその疑いを深くするだけであります。選挙運動の混乱と言われるが、政党以外の国民政治結社を作って選挙活動に参加するということで、どこに混乱が起るのでありましょうか。それは、選挙運動、すなわち選挙事務所を中心にする活動に対して、きつい制約を加えさえすれば、それを排除することができると思う。その方を制限しなければならぬのにもかかわらず、善良な第三者、国民が積極的に政治活動——ことに選挙活動というものは一番重要な国民の政治意思を表明する最もよきチャンスである。そのチャンスをこういう方法で制限するということは、私は考え方としては政治の民主的育成を阻害することになると思う。ひいては公正な選挙を妨害する結果になる。できるだけ国民の総意が自由に選挙運動に表明されてきてこそ、公明選挙になる、そう私どもは信じておるのでありますが、今の提案者の説明によりますと、混乱する。混乱するということはどうして起るのでございましょうか。この点が今まで明らかにされておりません。もし具体的事例があって混乱すると言うのなら、それを言っていただきたい。
  50. 伊能芳雄

    伊能参議院議員 候補者個々の選挙事務所において十分なる選挙運動のできるようなことにしなければならない、これが選挙の公正を期する上において必要だということにつきましては、私も同感であります。ただ、ここに問題になっておりますのは、一人の候補者をこっちの団体でも勘定し、こっちの団体でも勘定し、こっちの団体でも勘定する、幾つもの団体でみな一人の候補者を勘定して、確認団体として特権を認められるということにつきまして、そういう団体があまり多いことは必要でない、いやしくも、一人の候補者があって、ある団体所属する、その数が一定の数になれば、この団体は、確認団体として、選挙運動について非常な特権を認めてきておるのであります。一人の人が幾つにも所属して、その人があっちもこっちも所属したということで、ある数字を——確認団体の条件を作り上げていく、そして特権を与えていくということは、選挙を混乱に陥れる原因になる、こういうことでありまして、このことは具体的に一々申し上げるわけにも参りませんけれども、おそらく、どこの地区に行きましても、選挙のときに、候補者のトラック、それに所属の党、さらにまた、それが非常に多い関係上、そういうものが相当たくさん出て街頭をにぎわしておる。にぎわしておるのが悪いとは申しませんけれども、そういう点において、一人の候補者が、幾つもの団体の数に勘定されて、確認団体の条件になっているということについて考えなければならない、こういう点に改正の要点があるのであります。
  51. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私は団体に特権を与えるということは絶対反対なのです。いけません。何人といえども、いかなる団体といえども、特権を認めることは許されぬと思う。その点については、私もはっきりした認識を持ってお尋ねをしております。そこで、今のあなたのお答えは、現行法でいきますと、何か団体に特権を認めておるかのように拝聴いたしました。団体であろうと、個人であろうと、選挙の際に、私はこの候補者を支持したい、この政党政見を支持したい。それは自由なんです。それを、法律をもって、お前さんはこれを支持してはならぬとか、支持せよとかいうことは、これは絶対に許されぬことでありまして、これはわかり切ったことだと思う。そういう意味で、特権も許されないが、それに対する制約も許されないと思う。この現存の法律からいきますと、団体であろうが、個人であろうが、この候補者、この政党、それを選ぶ自由は、私は制限してはならぬと思う。同時に、それが規定されておりまする選挙法の命ずるところによってやらなければならぬことは言うまでもありませんけれども、それを他の方法で制約、制限を加える、すなわち、政党だけはいいけれども、その他の団体選挙に際しては政治活動をやってはならぬという制限は、これは、あくまで選挙の公正を期するという立場からいっても、そういうところに制限を加えることは、選挙運動が暗くなってくる。行き方としては逆なんだ。どうも、その点は、特権を与える——特権は現在は認められていない。  そこで、もっと具体的にお尋ねしましょう。ちょっと御用意がないかと思いますが、私のお伺いしたいのは、先ほど高上君は団体の一、二の特例をあげておりました。私は労働団体について申し上げたい。あなたはどういう立場の方か私はよく承知しておりませんが、労働団体政治活動をやっておりますことは事実であります。参議院の場合はこのことが多く予定されます。先ほどの参議院の職能代表的な性格が選挙を通じて現われているということは、いなめない事実で、いいか悪いかは別として、そういう傾向が存在していることは事実であります。その事実を認める以上においては、それぞれ職能代表的な団体が生まれて、自然発生的に、あるいは他の目的のために設立した団体が、同一利益のために行動を起すということは当然なことであります。そこにこそ結社の自由の大原則が生まれてきておるわけであります。そういうものが自然の形において選挙運動に結びついてくるということを阻害することはよくないと考える。特に労働団体のことで申し上げましょう。御案内のように、今日の労働組合法の基本的な精神は、基本的な人権を保障するという憲法の大精神に基いて、現在の社会機構、現在の経済の仕組みの中にあっては、個の労働者としての人権を万全に保障することが困難だ、どうしても、雇用関係のもとに置かれておる労働者の場合においては、団体を保障してやる、すなわち労働組合を作らせて初めて労使対等という人格の平等が期せられるという、すなわち雇用労働者に限っては組織的な人格が必要だというのが、近代社会の厳固たる原則であります。特に、労働団体は、その重要な職分として、政治的な勢力伸張の活動団体行動として最も重要なことになっておるわけであります。この法律からいきますと、それを大幅に制限することには間違いがないのです。この点に対しては、提案者は、深くお考えになって、そういうことにならないとお考えであるか、なるけれども、やむを得ぬというお考えであるか、その点を明らかにしていただいて、こちらの方に譲りたいと思いますので、この点だけでけっこうでありますから、御答弁願いたい。
  52. 伊能芳雄

    伊能参議院議員 この法案がいかにも労働組合等の選挙運動を非常に制限するかのごときお考えであるように拝聴いたしますが、そういう点について何ら触れたつもりはないのであります。ことに、労働団体で一定の手続をしたものは政治団体として活動できるものについて、十分その道は開かれておるのでありますが、ただ、問題は、一人の候補者が、ある政党にも一人として計算され、またこっちの団体にも一人として計算される、こっちの団体にも計算されるということで、確認団体が幾つも関係してくる。そこでその団体ごとに一人に勘定される。確認団体の要件は、参議院の場合におきましては、十人の候補者全国で持ちさえすれば——他の多少の要件はありますが、それが主たる要件で、十人候補半を持てばいい。ところが、その十人というのが、どこへでも顔を出している人で十人になってしまう。こういう考えのもとに確認団体が現在の法律ではできておりますので、そういう幾つもの団体に顔を出しておいて、それがみな一人ずつ勘定されて確認団体の要件になっていくことは適当でない。そこで、もし、甲という人が、社会党ではなく、おれはこういう団体所属で出たいという考えであるならば、その確認団体の要件である一人一同に勘定されるというのが今度の修正案であり、私ども考える初めの改正案は、一人の人が二つまではそういうふうに勘定される。失礼ですが、あなたの社会党にも関係できるし、社会党のもう一つ団体の方にも両方に自分一人として計算をされる。こういうことで確認団体になりますと、確認団体は第三者運動より広い。先ほど特権という言葉を使ったが、あるいは私の用語が適正でないかもしれないと思いますが、少くとも第三者運動よりは広い範囲活動をなし得るように確認団体はしておりますので、そういうふうに、一人の人が幾つも関係して、数に勘定されるというようなことで確認団体という要件を満たすようなことは適当でないということで、私ども改正案は、二つ団体まで一人の人が勘定されてもいい、こういうことなので、労働組合が第三者として運動されることについて、この改正案が何ら新しい規制を加えたものではない、こう申し上げて差しつかえないと思います。
  53. 井堀繁雄

    ○井堀委員 よくわかりました。今あなたのお答えで提案の趣旨のあるところはわかりましたが、ただ、私のお尋ねしたことに対して的確な御答弁をいただけないと思いますので、残念ですけれども、もう一回お答えをいただきたい。あなたが最初特権という言葉をお使いになったから、私はそれに説明を加えたつもりです。私はそれはある意味においては特権だと思うのです。雇用関係のもとにある労働者だけが労働団体を作って、その労働団体政治活動をやるということは、個の人間として考えれば、やはり組織的行動としての一つの特権だと見る向きもあるかもしれないと思うのです。しかし、そこのところをあなたに具体的にお尋ねしようと思うから申し上げたのです。ちょっとよけいなことを申し上げるようでありますが、先ほど申し上げますように、今日の労働組合というものの職分の中で、政治的勢力を伸張するための労働組合の職能というものは、非常に大きな期待があります。  これは日本だけではありません、国際的にも共通したものとして期待されているわけであります。これは私はなまいきなことを言うようでありますが、憲法の中にも、労働法の精神の中にも、これは、ひとり労働者の生活を擁護するという、労働者の人権をみずから確保するという目的もございますけれども、いま一つには、公的な立場を労働者に期待しているわけであります。すなわち、民主勢力を増大するとか、あるいは平和勢力を増大するとか、すなわち政治に対して国民の協力する形をやはり団体の形の中に求めているということを、私は見落してはいけないと思うのです。この問題は明らかに今度の改正によって制限を受けるのだ。あなたのおっしゃられるところによると、二つということになりますと、一つ政党ですから、これは異質のものなんです。労働団体が日本の場合に一つ団体に統一されておりますならば、この改正はちっとも弊害は起らないと思うのです。しかし、いずれの国においても、統一労働組合を期待しながら、実際は統一は困難な状態です。幾つかの団体に分れていることは当分やむを得ない。一つ団体だけがその候補者を支持するということに第三者が規定するということは不都合なことだ。それは団体自身が選ぶことです。五つの団体五つともが、この候補者を選ぶかもしれないし、あるいはだれもその候補者を選ばないかもしれない。それはその団体の自由なんだ。それを、この法律は、一つだけは許すけれども、他の団体は許さないということは、団体として政治活動が公けに期待されておるのに対して、その期待権をここでさえぎることになることは、私は間違いないと思う。しかし、この点については、私はここで議論をしようと思っておりません。ですけれども、一応、考え方としては、参議院の原案は、それを制限——その制限は、あなたの御説明からいうと、決して労働団体の政治意欲をそぐものではない、そういう支持を受けても差しつかえない、また救われる道は開いておる。しかし、それを一つ制限したところに、私は現実の認識に欠けるものがあるということを知ることができたわけです。しかし、その問題は、わが党の同意を得て、参議院におきましては、各党が歩調を合せて、共同提案ということで、私はやむを得ず妥協されたものと報告を受けておるわけです。そのことを今蒸し返すわけではありません。ただ、このことを、御迷惑だと思いますが、明らかにしていただきまして、本論に入らなければいけないと思いましたから、お答えをいただいたわけであります。しかしながら、今までの御答弁で大体明らかになりました。  そこで、修正案についてでありますが、今お聞きの通りに、私がこの修正案で一番おそれることは、少くともこの選挙法で言うところの参議院選挙衆議院の総選挙、その他首長の選挙といった限られた大きな選挙に対して、労働団体団体行動として選挙に参加することは、これこれの場合はいけないという制限あるいは禁止——修正案の場合は禁止になります。労働団体が支援ができないということになり、選挙に直接飛び込むことはできない、従来のようにやることはいけないということになるわけですが、この点は私の考えでよろしゅうございますか、どうですか。
  54. 小金義照

    小金委員 私どもが提案した修正案は、自分候補者としてその候補者を勘定することができないというので、むしろ、現行法の二百一条の九の改正等によって、広く公職の候補者応援できるのですから、私は、二つならばよろしいが、一つではいけないということにはならぬと考えます。
  55. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私のお尋ねしておるのは、一つ二つかということを聞いておるのではないのです。あなたの方の修正案でいきますと、少くともここに掲げておる参議院衆議院、首長といったような選挙には、労働組合団体として選挙活動はやれないということになるのではないか。
  56. 小金義照

    小金委員 自分候補者を立てれば、それはできると思います。
  57. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私のお尋ねしておりますものは、立てればというが、政党政治は、さっきあなたが提案趣旨の説明で強調されたように、私も二大政党は大賛成だ。だから、あなたの主張は二大政党だけの選挙にまかせるということになるわけです。それはいいのです。ところが、私のお尋ねしておるのは、労働団体すなわち組織的な人格というものが、民主主義の重要な要素です。私がこういうことを言うのは、釈迦に説法で、恐縮でありますけれども、民主主義を施行する政治というものは、やはり近代的な基礎的人権をじゅうりんするようなものがあってはいけない。労働者の組織的人格が少くとも選挙運動に飛び込めない。個人は入れますよ。個人の自由は認めている。それだのに、なぜ労働組合組織がこの選挙に参加できぬようにするか。これは非常に重大なことだと思います。ちょっとくどいようですけれども、今あなたが二百一条の九のことを言いましたが、それは何もこの選挙に限りません。何でもやれます。政治的自由を制限することは憲法が許しません。だから、労働者個人、農民個人、その他個人としては政党を通じてやることはできるわけです。けれども労働組合という組織的な人格が、この選挙法からあなたの修正案によって締め出される。参議院の原案によりますと制限になるわけですが、その制限は、ある程度弾力性が考えられるということですから、ゆとりがある。これは、考え方の相違で、五十歩、百歩という程度の問題であります。あなたの修正案は、程度ではなくて、禁止になるわけですが、そういう点を考えてこの修正案を提案されているのか、考えておられないのか、それが明らかにせられないので、お伺いしているのです。
  58. 小金義照

    小金委員 公職の選挙候補者政党一つだけの候補者として扱われた方がいいという立場をとる前に、ひとり労働組合ばかりではありません。広く政治団体の支援を受ける必要があるので、考えてはみましたが、候補者として数えられるのは、今日の状態では政党一つでよろしい、こういうふうに考えました。
  59. 井堀繁雄

    ○井堀委員 どうも私のお尋ねにお答えが正確に出てきませんが、私のお尋ねしているのは、労働組合という団体選挙活動に入っていくことを、これははばむのであるが、それは承知の上で提案されたのか、あるいはそこまでは考えていなかったか、その点を一つはっきり御答弁願いたい。
  60. 小金義照

    小金委員 これは、ある場合においては、はばまれる点があるかもしれませんが、私どもはこれで差しつかえないという考えです。
  61. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私が伺っているのは、差しつかえるか差しつかえぬかということではないのです。他の団体のことは私は申し上げておりません。労働組合の場合は、現行法のどこを持ってきましても、——これは常識でしょう。雇用関係のもとにある労働者は、団結をしなければ、経済的な条件だけではなく、社会的条件においても、あるいは政治的条件においても、その人権が完全に保障できないというのが近代的な通念です。それがこの法律で禁止せられるおそれが出てくる、私は禁止せられている、こう見ているわけです。あなたは、それを禁ずることにならないと言うのか、禁ずることになるけれども承知の上でやると言うのか、そこをはっきり御答弁願いたい。
  62. 小金義照

    小金委員 労働団体選挙活動をする場合において、私は、今のままの姿とは少し違う、制限を受ける部分があると思います。それは私も考えましたが、差しつかえないというので——井堀さんの制限を受けるか受けないかという御質問に対しては、私はある程度の制限は受けると思います。
  63. 井堀繁雄

    ○井堀委員 制限を受けることを御承知の上で御徒案になったということになると、これはおのずから論議は明確になると思うのです。先ほどからくどいほど申し上げておりますように、これはやはり他の法律との関係も出てくる重大な事柄であります。今日労働組合団体としての政治活動の自由が確保されているわけであります。個人選挙活動に入ることは、どこにも制限はありませんから、だれでも入れる。しかし、何人と同じウェートにおいて団体一つ政治活動の自由を制限されるということは、これは新しい行き方であります。今までかつてそういう法案に私は出つくわしたことはないわけであります。御案内のように、スト規制法が出たときに、あれだけ騒いだのです。労働組合の行動に対して制限を加えるということは、労働法その他において行うべきことであります。ここをもう少し御検討いただきたい。きょういきなりそういうものを浴びせかけて議論するのはどうかと思いますので、その点は、党としてそこまで御検討されたかどうか知りませんが、十分御検討いただいて——それは何も行きがかりでやるわけじゃありますまいけれども、十分御検討いただいて、次会でもけっこうでございます。この点は留保しておきますから、また後日十分御答弁いただきたいと思います。
  64. 小金義照

    小金委員 これは、ひとり労働団体ばかりでなく、選挙活動はほかの団体制限を受けるのです。なるほど、労働組合の特質からいって、政治運動もやらなければいかぬ、選挙運動もやらなければいかぬというような仰せですが、しかしこれは他の団体も同様であるから、選挙活動が、おのずから、この参議院改正案、われわれの修正案によって制限を受けることは、これは平等だと思います。
  65. 井堀繁雄

    ○井堀委員 思うとか思わぬとかいうことじゃなしに、先ほど来明らかにしたように、参議院修正案というものは制限なんです。だから、その制限の必要があるかないかという議論は別ですけれども、私は制限についてはいろいろなものがあり得ると思うのです。禁止するということが重大なんです。あなたの方からいうと二を三に数字を直しただけだけれども、この二になったために、労働組合はシャット・アウトを食うのです。これは、いいとか悪いとか、思うとか思わぬとかいうことじやなくて、この修正案はそうなるということは間違いないわけです。そうすると、労働団体は、この選挙法によって、選挙には団体として参加することが許されないということは確実になる。その影響するところは甚大ですよ。この点、党として十分御審議いただいたか、検討いただいたか知りませんが、その点をここで伺いたい。
  66. 大村清一

    ○大村委員 委員長のお許しを得まして、私も、提案者の一人として、ただいまの御質問について、私の解釈しているところを簡単に申し上げてみたいと思います。それは、選挙運動につきましては、公職の候補者も、選挙運動選挙法によって一定の制限を受けております。また第三者も一定の制限下に選挙運動ができることになっておるのでありますが、その後、法律改正せられまして、政党その他の政治団体については特別に第三者運動が広げられておる。広げられておるところは、第十四章の制限下で選挙運動ができるということに広げられておるのであります。今、あなたは、労働団体政治活動は何でもできるということにお考えになっておるようでありますが、この十四章の三を見ますと、申し上げるまでもないことでありますが、政党その他の政治団体のできることをあげておるのでありまして、労働団体政治団体だというように言い切っておしまいになることについては、私どもは少し疑義があると思うのであります。政党その他の政治団体に限って第十四章の三の一定の制限下に選挙運動ができるということになっておるのであります。  それから、次に、ただいまいろいろ論議をされております点の要点は、確認団体の資格を獲得する場合においての条件として、従来は、確認を受ける場合におきまして、いかなる団体にも無制限に参加ができるということになっておりましたのが、参議院修正中によりまして、二つ団体以上にはかかり合えないということになったのであります、これは、だんだん御説明にもありましたように、参議院趣旨選挙の公正を期するというところに根拠が置かれておるようでありますが、公正がいかなる内容をもっておるかということは説明を要しないところでありまして、その公正の見地から申しますれば、参議院は、二つ団体にかかり合えるということで公正を保たれるということでありますが、われわれ提案者といたしましては、二大政党の発達いたしました今日におきましては、一つ団体に制約した方がむしろ公正が保てるという価値判断から、このような修正案を出したのでありまして、論議がいろいろ他の方面に展開いたしておりますが、要するに、政治団体が、いわゆる宣伝カーを出し得る条件を備える場合についての制約が規定されております場合においての制約のやり方を、従来は無制限だったのを、今度は、参議院二つにする、われわれの方では、それは一つにした方が選挙の公正を保つ上にむしろ適当であるという信念から、本案を提出したわけなのでありまして、あるいはお答えに不十分かと思いますが、私はそのように理解をして提案をいたしたわけであります。
  67. 井堀繁雄

    ○井堀委員 御親切な御答弁でございまして、言葉を返すのは恐縮ですが、私のお尋ねいたしておりますことは、今の御答弁の中に尽されていないと思う。あなたがおっしゃられる通りに、選挙の公正を期するということのために選挙法の大切なことは、私はよく承知しておる。しかし、大事なことは、たびたび繰り返して恐縮でありますが、労働組合に関する限りは、個人が自由に選挙運動に飛び込むということは、これはどこにも制限がない。ところが、今までは選挙に限って団体が参加できたのです。それを、参議院の方では、無制限に数をたくさんにしては混乱が起るから、それを集約して党と労働組合が入れるというようにはなっているのです。ところが、今度は、あなたの出してくるのでは入れなくなる。あなたの御答弁の中では何か入れるようなお話のようですが、それは入れるならけっこうです。
  68. 大村清一

    ○大村委員 今お尋ねになりましたが、公職選挙法の中で当該政党その他の政治団体とありますけれども、労働団体政治団体だという御解釈ですか、それを一つ伺いたい。
  69. 井堀繁雄

    ○井堀委員 労働組合法律的手続を行うことによって政治活動ができるということになっている。その場合には政治団体としての行動をしているわけです。
  70. 大村清一

    ○大村委員 もしそれでありますれば、労働団体団体として活動して費用を要するような場合に、政治資金規正法の制限を受けるわけですか。その辺の手続はなさっていないと思うのであります、ほかのまぎらわしい団体、たとえば民政会というようなものが政治活動をするためには、医師会とは別の政治団体を作って、所要の法令に従ってやっていく。それは一々やっておるわけであります。なお、労働組合の方は、組合という団体政治活動をやられる場合もございましょうが、団体個人が、あるいは個人演説会場において、あるいは街頭演説会場において、推薦あるいは応援の演説等をされることが少しも制限されていないことは、申し上げるまでもない。すなわち第二者運動規制下ではできるのでありますが、この第十四章の三の選挙運動については、特にこの立法の趣旨が、政党その他の政治団体に限って、一定の条件を持つならば一定の限界において特に選挙運動ができるということを規制した趣旨にかんがみまして、われわれこの提案いたしましたような制限を新たに作るということが、現段階ではむしろ適正であるという趣旨で、提案をいたしたのであります。
  71. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今御説明の点は私もよくわかっているわけなんです。今私の集約してお尋ねしておりますのは、ここでいうのは、あなたの方の修正案では、これこれの選挙活動二つ団体、こうしているわけです。参議院の方では三と、こうしている。三というのは、結果において政党と労働団体というものが入っていけることになっている、制限はありますけれども。あなたのところは門戸をお閉ざしになる。そこで、あなたは、私の質問の仕方が下手かもしれませんが、今あなたは医師会の例をあげられましたが、私は医師会労働組合と一緒にお考えいただきたくない。団体には違いありませんけれども労働組合というのは、御案内のように、労働組合法によって保護も受ければ規制も受けておる。政治活動をするときには、やはり、それぞれの法律に従って、今あなたがお尋ねのような手続は十分してやっておるわけです。これはもちろんそういう制限を一般に受けると同じことなんです。もう一度、くどいようですけれども、私のお尋ねしているのは、雇用関係のもとにおける労働者というものは、近代社会においては、どうしても団体を持って、その人格の尊厳を維持しようという原則があるわけです。その原則は選挙活動のときにも用いらるべきだというのが、私のお尋ねの前提になるわけです。その点からいいますと、医師会はそんなことはありませんよ。医師会は、何も、医師会という団体を作らなければ、その人格の尊厳が守れないということは、どこにもまだそういう法律的な規定はございません。労働組合法だけにはこれがあるのです。なまいきなことを申し上げて恐縮でございますけれども、そこに近代社会の特徴があるわけなんです。だから、それが政治運動を禁止されるということになりますと、他の法律で基本的なものが侵されることになるわけでありますから、これは慎重であってほしいというのが、私のお尋ねの趣旨なんです。何もあなた方のお考えを反駁したりしておるのじゃありません。そこまでお考えを十分尽していただいて、そしておやりになるのかどうか。それは、選挙の公正を期するために、フェアを法律で保護していこうということについては、私は大賛成なんです。しかし、そこでとかく誤解を起しやすいのは、雇用関係のもとにおける労働者だけが、団体を作って、選挙活動をやるのはけしからぬというおしかりを受けることです。しかし、これは私は理解のたりない主張だと思うのであります。こういうやはり近代社会の一つの事典を曲げてまでいかれるということは——なるほど労働組合だけが特別に動いて特権のように先ほどおっしゃられたが、これは特権じゃない。もし特権だということできめておられるならば、おのずから問題は違ってくると思うのであります。その点についてお答えをいただいておるわけですけれども、どうもはっきりしなかった……。
  72. 大村清一

    ○大村委員 ただいま御指摘の医師会医師会の関係でございますが、これは例に申し上げたことでありまして、労働組合はそれと比較にならない特質があるということは、お話通りであろうと思います。  それから、従来やれておったものを今度制限するようになるという御質問でありますが、それは参議院でも従来よりは制限をされることになっております。制限の程度が、今度の提案におきましてはもう少し強くはなったかと思いますが、それは制限を確かにしようという意図でやっておるのでありますから、そのように御理解を願います。  なお、その制限をやったから——労働組合があらゆる政治活動をする政治団体なりとは、私は了承しかねるのでありますが、そこは議論になりますから……。しかし、労働組合選挙運動にいわゆる宣伝カーを出したいという場合におきましては、よろしく労働組合において法定数の候補者をお立てになればできることでありまして、何も制限されておらぬことであります。一人の数を他の方に通算をするということで、そこに公正を維持する上において適当でないという価値判断から、われわれは提案しておるのであります。そこで、これは質疑でありませんで、意見を述べられていると私は解するのでありますが、これは議論になることでありますから、議論を幾らここでやっておりましても……。(井堀委員「そうじゃない、意見を述べているのじゃないのですよ。」と呼ぶ)いや、私はそうは思いません。
  73. 加藤鐐五郎

    加藤委員長 この際、食事の都合もございますから、暫時休憩いたします。午後二時三十分より再開いたします。     午後一時二十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕