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1956-03-01 第24回国会 衆議院 建設委員会商工委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員   建設委員会    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 荻野 豊平君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君       荒舩清十郎君    伊東 隆治君       大高  康君    仲川房次郎君       二階堂 進君    廣瀬 正雄君       松澤 雄藏君    山口 好一君       今村  等君   商工委員会    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君    理事 永井勝次郎君       阿左美廣治君    内田 常雄君       首藤 新八君    鈴木周次郎君       田中 龍夫君    野田 武夫君       伊藤卯四郎君    加藤 清二君       佐々木良作君    田中 武夫君       松尾トシ子君    松平 忠久君  出席政府委員         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         建設政務次官  堀川 恭平君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君  委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局窯業         課長)    伊藤こう太郎君         建設事務官         (計画局東北興         業株式会社監理         官)      小林 忠雄君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         日本開発銀行管         理部長     淡河  正君         商工委員会専門         員       越田 清七君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三四号)     —————————————   〔徳安建設委員長委員長席に着く〕
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより建設委員会商工委員会連合審査会を開きます。  東北興業株式会社法の一部を改正する法偉業を議題といたします。前会に引き続き質疑を続けます。鈴木周次郎君。
  3. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 先だって来、傍系会社でありまする東北ドックの更生に対して、政府資金融通やその他のめんどうを見るかという質問に対しまして、資金余裕があればということになっておりましたが、資金余裕はこれこれによってこしらえ得るじゃないか、よってその言明を求めたが、まだはっきりした言明がない。すなわち誠意がないものと私たちは見ざるを得ないが、ここにあらためて資金融通に対して誠意をもってやるという御言質を得たいと思うが、できるかどうかを一つ第一回にお伺いしたい。
  4. 堀川恭平

    堀川政府委員 鈴木さんの御質問は、東北振興のために東北興業株式会社資金融通をするかという御質問かと思います。東北振興のためにはできるだけ政府援助しなければならぬことはわかり切っております。そこで個々の問題につきまして、これはなるほど東北振興のために必要欠くべからざるものだ、あるいはこれは有効に東北振興に使えるものだということがはっきりわかりますれば、政府としては援助するにやぶさかではない、かように考えます。
  5. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 さすれば、先だって来賓回しておりました東北ドックの再建は必要でないというような御意思にも見られるが、必要であるとお感じであるかどうかを伺いたい。
  6. 堀川恭平

    堀川政府委員 東北ドックに対しましてはまだはっきりした見通しがついていないのであります。そこで両県知事にお願いしておりますが、その内容あるいは今後これをでき得る限り応援するならば東北振興のためになるかならないかということがまだはっきりいたしておりませんので、これがはっきりするまでしばらく御猶予を願いたいと存じます。
  7. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 この前の大臣答弁も、知事が査定あるいは案を持ってきた時分には、その意見に対して全幅的にこれを承服するのかと私は質問したのに対して、ただいまの答弁のごときうやむやであるような状況だが、仲裁に入った人が持ってきた案に対して必ずやその方法論を取り上げる、こういうことにとってよいのかどうか、それを承わりたい。
  8. 堀川恭平

    堀川政府委員 持ってこられた人がいろいろな説明をせられて、なるほど納得がいくというようなものであれば、それは資金融通をしていいと思います。
  9. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 それから展開してお伺いしたい。所有株券の概況でありますが、十一会社投資をしているが、この所有株券は、大体においてもと東北興として経営したものである。それを手放してほぼ独立の会社にはなっているが、もはや縁を切っているもの、あるいは閉鎖しているもの、これが資産になっているのだが、東北ドック所有権株券は今は手元にあるとおっしゃられてこの間答弁がありましたが、私の聞くところでは、手放したようにちょっと今朝聞きましたが、事実どうであるかを一つ聞きたい。
  10. 堀川恭平

    堀川政府委員 お答えいたします。東北ドック所有株は、七十七銀行羽後銀行担保に入っておるそうであります。
  11. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 先だっての私の質問に対しまして、自分手元に持っておるという御答弁でありましたが、食い違いがあるようです。ただいまの政務次官お話では、事実自分手元になく、担保に入っていると言う。聞いたときには手元にあるというお話、どちらがほんとうなのか。
  12. 堀川恭平

    堀川政府委員 担保に入っているのがほんとうでありまして、手元にあると言うたことは、おそらく名義書きかえをして人に譲渡しておらぬということだったと思います。
  13. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 よって、私は所有権はどこで、占有権はどこかと質問した時分に、手元にあると答弁したが、かくのごときこそく答弁のもとにやるということになりますれば、東北興業の将来に対しても、私たちは疑念を抱かざるを得ない。なおそのほかの十会社株券はどこにあるのか。これを今お聞きしたい。
  14. 堀川恭平

    堀川政府委員 その株券は今のところ、担保に入っておるのか、手元に持っておるか、まだ調べてみぬとわからぬそうであります。
  15. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ここの今までやりました事業は、担保において処分されれば、東北興業の主権に属さないものであって、おっぽり出して、あるいは悪口を言うか知れませんが、今までせっかくやってきたものを、あとでいいものが見つかったから、さきのものは古くなったから捨てて、新しい事業に乗りかえる。これももうかるか、もうからないかわかりませんが、もうかれば幸いなことであり、また国家のために新しい事業であって、一つ研究材料セメント製造工場と私は思います。よって十億や二十億のはした金では、これはできないと思う。また来年は財政投資をして、そうして三十億なり四十億なり政府保証によらなければ完成しない。東北のためにまことに私たちはけっこうだと思う。なおその場合において、こういうように投げないようにする。投げてもあとで効力のあるように、この金を使わなければならぬと思う。よって材料の問題でありますが、セメントをこしらえるには、一番先には粘土が必要である。また石灰も必要である。その他の材料も必要である。粉にして持ってきては風化して非常に変化があるから、百トンくらいの塊石にしてこれを工場に運ぶとするならば、その間における道路やあるいは橋梁等投資をなされば、あと工場はできなくても、非常にいいことだと考えているが、そういう見込みでこの東北興業に出資をするのかどうか、原料の収集に対して一応お聞きしておきたい。
  16. 堀川恭平

    堀川政府委員 セメント工場に対する今回の開発銀行あるいはその他の銀行から借りる保証に対しましては、いわゆるセメント工場を作るということに対して今回の法案を作ったのでありまして、ドック会社を生かすか生かさないかという問題とは別個になっております。ドック会社を生かすということになりますれば、前申し上げましたように、これも相当いろいろ研究を要する問題があるので、両県知事にお願いたしておるのであります。両県知事から決定的のことを言うてこられた上で、初めてこれに対してのわれわれの考慮が払われるべきものだ、かように考えておるのであります。
  17. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 私はセメント工場の問題に対して質問を展開しておるのであります。よって、それに対する答弁がないようですから御答弁を願いたい。
  18. 堀川恭平

    堀川政府委員 ちょっと私内容がわからなかったのですが、セメント工場を作る今回の金を、全部できるまでに、まずほかの方に使ってあるいは道路橋梁を作ったらどうかというような御意思かと思いまするが、そういうことは一向に考えておらぬのであります。
  19. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 私の質問は、原料を見つけるに容易であるまいと思う、山の中から運ぶ、あるいはたんぼの中から原料を運ぶのに、小さくしたのではその組織が変るから、そのかいがないから、百トンくらいの塊石にして運んで研究したり、それを使わなければならぬ場合が生ずるから、その場合における準備行為として道路橋梁その他をこしらえる。遠い所から持ってくるためには、それをやらなければならぬ。そういう意味で、道路費橋梁費にこの金の大部分を使うのかどうか。それは将来東北振興の一助になるから、こういう意味で私は質問をしたつもりです。
  20. 堀川恭平

    堀川政府委員 わかりました。その経費に対しましては、この目論見書に出ておりますように、引っ込み線やあるいはそれにどうしても必要欠くべからざる道路とか橋梁とかいうものに対しては、たくさんは見ておりませんが、目論見書に上っておるように見てあるはずであります。
  21. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 目論見書の十四億そこそこでは、とうていできないということは私たちも見ているし、守門家の御答弁の中にもあったようです。これは三十億か五十億かかるんだから、将来原石を安くし、あるいは粘土を安くする意味において、準備のためにどうしても道路橋梁をこしらえて安く持ってくる工夫をしなければならない。運賃の問題がセメントでは一番大きな問題になる。それを計画に入れないということは妙なものであろうと思うのだが、原料は高くても空中から運ぶのか、それを一つ聞いておきたい。
  22. 堀川恭平

    堀川政府委員 御承知のように、工場を建てるのに原料を運ばなければならぬということはよくわかっております。そういうものに対しての経費は見積ってあるのであります。それからこの工場ができて、いよいよ活動し出してから、東北六県のできるだけの振興のつもりでこの会社に融費するのでありますから、それから上った利潤によって、あるいはそういうことがますますふえるのではなかろうかということも考えられるのであります。
  23. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 私たちは、この会社が今度セメント工場を作るのは、もうけてもらいたいという意味ではないと思う。すなわち東北振興のため、及び日本のために、いいセメントを最も安く供給できる一つ試験機関となるのではないか。これがもし完成したならば、現在の一袋当りのものが百円なり五十円なり下ったら、日本土木建築界にどれほどの利益があるか、こういう観点から政府保証までして、こんな苦労をして出すのだと思う。またその原料の発見あるいはその利用に対して研究しなければならない。そういう場合において、先ほど申し上げました、あちらの山、あちらのたんぼから、あるいはなくてもあるように政治力を利用して、そうして道路橋梁をこしらえるというくらいの腹がなければ、東北振興などはできないと思う。その意味で私は聞いている。そのくらいの腹があるかどうか。堀川政務次官から、あるならあるとおっしゃってくれればけっこうであります。
  24. 堀川恭平

    堀川政府委員 あります。
  25. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 それでは私の質問あとにいたすことにいたしまして、これで打ち切っておきます。
  26. 徳安實藏

  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 昨日に続きまして質問を継続いたしたいと思います。  きのうまでの質問におきまして、この法案内容並びに計画についてほとんど実際的な了解を得られないのでありますが、時間の制約もあるらしいので、私は総括的に順序を追いましてはっきりした御答弁をいただいておきたいと思います。  第一に昨日の質問過程におきまして、この東北興業任務それ自身に大きな疑問が生じたのであります。東北興業一つ株式会社であります限り、当然非経済的な経営方針をとるのではなくて、あくまでも一応経済採算の上に立って事業が遂行されるものだ、そしてその上で東北地方産業振興するためのものだと私は思っておったわけでありますが、きのうの質問過程におきましては、東北興業という会社東北地方産業振興するための会社であるから、採算抜きにしてもいいんだというような議論がやじの中からも出ておったように私は承わったのであります。建設省は従来主務官庁としてこの会社指導に当ってこられたのでありますが、この東北興業任務と性格並びに目的につきまして、はっきりとその方針を承わりたいと思います。この会社任務はあくまでも東北地方産業振興し、開発するためにある、しかしながらその経営方針はあくまでも一応経済的採算基礎にするものだと私は考えておるのでありますが、経営採算基礎としてこの会社運営することを指導されておるのか、あるいは会社採算抜きにして、あくまでも東北地方産業開発という点を中心として指導しておられるのか、いずれを中心にしておられるのかを明確にお答え願いたいと思います。
  28. 堀川恭平

    堀川政府委員 この会社目的佐々木さんが言われた通り東北六県の振興のために作った会社でありますから、一種の国策会社のようなものだと思うのであります。しかし会社でありますから経済的の面にも縛られておることは事実であります。なおまたこれの目論見書にありますように、今回のこのセメント生産原価を安くして多少でも利潤を上げて、六県の振興のためにやりたいということが政府目的だ、かように考えております。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そういたしますと、東北興業運営当りまして、国家なり政府からこの会社に対する援助は、たとえば国家投資であるとか、あるいはまた融資に対する国家的な援助であるとか、その辺に普通会社とは違った援助が与えられますけれども、それから先の具体的な事業運営につきましては、あくまでも合理的な採算経営をとられるという方針であると承わってよろしゅうございますか。
  30. 堀川恭平

    堀川政府委員 その通りであります。
  31. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その次に、この改正法案を出された意図はこの間馬場大臣からも明確にされたと思いますけれども、今のような東北興業経営方針指導方針とされた上で今度セメント事業計画をやらせるための改正案、ほかの事業ではなくてセメント事業をやらせるための改正案と考えてよろしゅうございますか。
  32. 堀川恭平

    堀川政府委員 少くとも仰せ通りであります。   〔「少くともとは何だ」と呼ぶ者あり〕
  33. 堀川恭平

    堀川政府委員 仰せ通りであります。
  34. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そういたしますと、このセメント工場計画が普通の経済的な観点からして妥当なものであるかないかというこを当然に私は吟味すべきものだと思いますけれども、そういうふうに解してよろしゅうございますか。
  35. 堀川恭平

    堀川政府委員 その通りに解釈されてよろしいと私は考えております。
  36. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ここで問題は明らかになりました。この法律東北興業に新しくセメント工場計画させるための改正案であり、しかもこのセメント工場はあくまでも採算ベースに乗って経済的な経営が行われる見込みでなければならないと私は思います。この観点から昨日まで私は質問を続けてきたのであります。そうして今度の事業計画がそういうふうに合理的なものであるかないかを吟味しておる過程におきまして、ほとんど満足すべき答弁が得られなかった。そうしてその満足すべき答弁が得られなかったうちに、この興業任務事業採算はとれなくとも、開発するために仕事をする会社であるからいいのであるとか、あるいはまたほかの仕事伝々という話が出ておったわけでおりますので、私どもはまことに混乱をさせられたわけであります。今度はその問題にはっきりしぼって私は数点をお伺いしておきたいと思います。セメント事業計画を立てるに当りましては当然にこれはほとんど半分以上は政府事業だと見てよいと思います。従って政府セメント事業に対する政策の一端がここに現われておらなければならないと思います。その際に通産省の御意見をただしてみますと、通産省で考えておられるところのセメント事業に対する政策は従来とほとんど変っていない、現在のセメントの需給のバランスもほとんど生産過剰の状態であることを承認しておる。そうして従来通り大体民間を中心としてやらせるのが普通だという方針も承わったわけであります。そういたしますと、第一にはこのセメント工場計画自身通産省で意図する政策と私は矛盾しておるものを感じておるわけであります。これはしかし幾ら言いましても押し問答になるかと思いますので、質問の形ではなく、はっきりと念を押しておくわけでありますが、少くとも通産省で考えておるところのセメント政策とこの東北興業にやらせようとするセメント政策とはその間にいろいろと矛盾があることを私は質問の中から承知したわけであります。それから二番目には、今度は当該セメント工場事業計画自身についても通産省でもある程度の疑問を差しはさんでおられるように見受けられる。にもかかわらず建設省では全然大丈夫だ、おれにまかせておけというような話一点張りでありまして、私はそれに対しても疑問なきを得ないのであります。試みに私は昨日配付になりました事業目論見書をもう一度昨晩ずっと見たのでありますが、少くとも採算ベースに乗って仕事をしようとするものであります限り、この事業目論見書によって事業が行われるならば、これは堀川さんよく御存じのはずでありますけれども、これを持って銀行に金を借りに行きましても貸してくれるところがあったらよほどおめでたいと言わざるを得ないほど粗雑なものであります。従いまして一、二点だけ伺っておきたい。昨日この工場所要資金に対して十四億ということであります。この十四億円では無理だろうと言ったのでありますけれども、十四億でやれる見込みだという話でありました。従って私はそのあと中をずっと見たのでありますけれども、ここで一つだけあげておきますが、これは大体セメント事業設備の金の中心になるのは鉄の金になると思います。この鉄は大体トン当り幾らくらいに見られたそろばん事業計画を立てちれたのでありますか。
  37. 堀川恭平

    堀川政府委員 十二月の価格だそうであります。
  38. 町田稔

    町田政府委員 各メーカーに引き合いをいたしまして十二月の価格で積算をいたしております。今十二月の価格幾らでありましたか、材料がございませんので、お答えできません。
  39. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 まことにどうも私ども質問するのに、質問する方が困るような格好に相なりますが、それならば、その次に機械設備のうちの一番問題になっているシャフト・キルンというのがあります。シャフト・キルンを二百トンで四基ということになっておりますけれども、これでもって予定通り月産二万トンがほんとうに出るという算定でこの事業計画を進められましたか。少くとも従来の日本にある例並びに外国にある従来までの例を見ますと、二百トンということでありましても大体百五十トン見当、従いましてこれは四基でなくて少くとももう一基予備を持たなければ、この予定通り月産二万トンの仕事にはならないと思いますけれども、常識的にどう考えられますか。
  40. 町田稔

    町田政府委員 これはおっしゃる通りでございまして、八〇%の稼働でこれだけの生産量を上げるという計画になっております。
  41. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 おそらくお役所の仕事では、こういうことはこまか過ぎるらしくピントが合わないのでありますが、少くともこの事業計画通り月産二万トンの生産を上げようと思えば、設備としてはおそらく四基では無理で、一基予備を作って五基ぐらいにしなければならぬことは常識だと思います。五基にして、そして今の鉄の値上りを見てそろばんをはじき面してごらんなさい。おそらく私は二十億近いものにならざるを得なくなってくるだろうと思います。それを十四億ということでそろばんを立てておられることに、私はまず方一にこの事業資金の十四億ということについて非常な疑問を生じます。  それから収支の問題が出ておりますから、ついでに収支の問題を一、二点だけ申し上げておきたいと思いますが、昨日も申し上げましたけれども、製品がトン当り五千五百円というそろばんに相なっておりますが、この中の単価を見てこらんなさい。少くとも事業に少しでも実際の経験を持っております限り、ほとんど承認し得ない。たとえば私ども一番関係のある労務費の百二十円なんというものはどこから出た数字でしょうか。
  42. 町田稔

    町田政府委員 先刻のシャフト・キルン四基では無理で、普通の場合は五基考えるのがこういう場合当然だというお話でございましたが、この点は、ロング・キルンの場合だとまさにその通りだと思います。御承知のようにロング・キルン製造を続けますときには、二ヵ月または三ヵ月ごとに一週間ぐらい休むということになっておりますけれどもシャフト・キルンの場合ですと、大体継続二年間休みなしにやれるわけでありまして、稼働率は確かにロング・キルンの場合よりは高く見てございます。ロング・キルンでありますればお説の通りだと思います。その点がシャフト・キルンにおきまして多少違う点だと思うのでございます。  それから労務費の点でございますが、石灰石の採取につきましてはこの労務費に入っておりません。なおこの計算基礎は、労働省で出しております職種別平均賃金によりまして計算をいたしておるのであります。
  43. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 現在東北地方の一般の実際の——そういう抽象的の本に書いてある数字でなくて、実際の賃金並びに現在のセメント工場平均賃金をごらんなさい。これが百二十円、私は幾らしぼってみても五百円以下にはなりっこないだろう、五百円か七百円くらいになるだろうと思います。  それから、たとえばその次の横に書いてある補助材料費というようなものにつきましても、この補助材料というのは、おそらくこれはまた鉄鋼類中心になると思いますけれども、その値段を今のものにそろばんをはじいてみても、おそらく百円では無理だ、おそらく倍になるだろうと思います。この辺どうもこの目論見書自身が一体いつを基準にして、どこからごう出されたのか、まことに疑問なきを得ないのであります。もし私が要求し得たならばこれと同じ計画シャフト・キルン月産二万トンの計画専門家であるところの通産省吉岡さんのところで作らしてごらんなさい。どうなりますか。(「大体同じようなものになる」と呼ぶ者あり)大体同じものになさらなければいけないのでありますけれども、それならば私は今度は——この間新しくできました、ずいぶん骨を折ってひどい目にあいましたけれども、佐久間の工場計画と実績とを一緒にここに出して検討してみてもよろしゅうございます。私はこの事業計画数字はどうも、(「一夜づけだよ」と呼ぶ者あり)一夜づけならまだいいのだけれども、一番最初に二十八、九年でしたか何かありましたが、あのときの数字がまだそのまま載っかっておるのではなかろうかという疑問を持つのでありますが、これはほんとうに再検討されましたか。
  44. 町田稔

    町田政府委員 この計画は決して一夜づけではないのであります。(笑声)十分吟味をいたしまして作ったものでございます。なおこの計画によりまして、開発銀行等の御審査もいただいておる次第であります。
  45. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 公けの答弁であるとしても、この事業計画を私どもに突きつけられて、これが本格的に練りに練った事業計画だとつっぱられるならば、私どもこれはけんかせざるを得なくなります。むしろこれに——きのうもお話に出ておりましたけれども、開銀は今融資のための検討、調査をされておるそうでありますが、私はこの事業計画のままのもので開銀融資をもし役所が強制されるようなことがあるならば、それこそ私は開銀融資はむしろ不正融資の中に入り得るものというふうにさえ考えざるを得ないのであります。まあこれは押し問答になりそうでありますから、私はもうこの辺でやめておかなければ同僚からしかられそうでありますので、(「そんなことはない」「やれやれ」と呼ぶ者あり)この辺で引こうと思いますけれども、どうも私はこれがほんとうにこの計画でもって進められて、開銀融資の対象としてやられるということになりました場合に、今度は、ほんとうのことを言うと開銀総裁なりあるいは大蔵大臣なりの所感を開きたい。こんな甘い考え方の事業に融資なり投資なりをされるようなことがありますならば、開銀融資の根本的な方針がくずれてくる。あるいはもしほんとうに黙ってこの融資がされるのでありますならば、それこそ普通の民間的なものであるならば、不正融資のワクに入るし、そうでなければ、これを役所のほんとうの権力でもって押しつけたような格好になってくる。その場合にはあくまでも、初めから言いましたようなそろばん数字経営方針が明らかに違ってくるという疑念なきを得ないのであります。私はこの質問過程に繰り返して申し上げましたように、東北地方産業振興ということに対しましては心から賛成なんです。そのために東北興業株式会社をもって産業を起していくということも賛成なんです。そうして東北興業をして仕事をさせるためには、何よりも中心的なものはここに財政的な援助を与えなければならないということも賛成なんです。ところが財政的な援助を与えて、それから先の具体的な事業計画になった場合に、また財政的な援助を与えるまでの過程政府援助政策が具体的な事業運営の先まで浸透し得ると思うならば、これはまことに大きな間違いだ。従来から北海道なり東北なりにおきまして、いろいろな開発のための援助仕事が始まったけれども、何一つとしてほんとうにこれはうまくいったというものはないのは、あくまでも政府なり 国家なりの権限をそういう場合に過信をし過ぎて、そうしてある程度までは財政的の援助等を中心にして、ぐっと裏づけをしてやるけれども、そこから先はセメント会社ほんとうの太刀打ちができるか、あるいはまた肥料会社ほんとうのそろばんをとっての激しい競争裏に耐え得る計画を持ってほんとうに勝負をぶつかというところにかかってくる。ほんとうに勝負をぶつ方面をいいかげんにしておいたら、事業というものは絶対にうまくいきっこない。そういう意味におきまして、私は従来の東北興業自身のやり方に対しましてもまことに不満を禁じ得ないのであります。従って、ここに新しい事業を営もうとされるならば、具体的事業につきましてはもう少し慎重であってほしいと私は心から念願するわけでありまして、このセメント事業計画自身がいいものであるか悪いものであるか、それは私は軽々には言い得ない、セメントの現在の需給バランスだけで云々すべきものでもありません。それからまた東北産業自身を見た場合におきましても、このセメントを興すということが必要であるという理論も十分成り立ち得るのです。しかし成り立ち得ることをあまりにもにしきのみ旗のように立てて、それから先のほんとう事業計画なり勝負なりというところに対しましては、まことに粗雑きわまる今の内容に対しまして、私はほんとうに心配を禁じ行ないのであります。この意味におきまして、この東北興業主務官庁建設省であるということでありますが、こういうことでありますならば、このセメント工場事業計画をやはりくろうとのところ、商工省に立てさせなさいよ。そうして商工省が立てたもので、そろばんの合わなくなってくるところが出てきます。そのそろばんが合わなくなってくるところに対しまして、今の財政援助なり利子補給なり、あるいはその他のところであなた方がめんどうを見て、それから先の勝負ができるようにするのが当然なんです。私はその意味におきまして、どうか一つ役所の中でほんとうにフランクになりまして、この事業計画に対しまして再吟味、再検討されんことを心から希望してやみません。この法律政府がこの東北振興のために援助するということ自身はあくまでも賛成なんです。それから先があまりおかしくなるから、もとまでおかしくなってくるというわけなんであります。同時にまた私どもは、私ども自身の立場からしまして、セメント工業が御承知のように数社の独占的な事業運営によって行われておることに対しましては心から憤りを感じておる。このセメント企業の独占的な運営を打破するために、この東北興業計画されるよりももっとよい、太刀打ちできる計画をもって私はぶち当った。それにもかかわらずそのときには商工省によってだめになってしまった。しかし事実上工事はできて、明らかにそれはそろばんに合ってやっておりますよ。しかしながら今度これが失敗するならば、それみたことかで追い打ちをかけられる。私どもは将来、当然次には社会党で政権をいただくつもりでおるのであります。従ってそのときには、セメント工場なんというものは片っ端から国営なり官営に持っていくつもりであります。しかしその前におかしなやりそこなったサンプルばかり作ってもらったら困る。私はこの辺で一応質問を終っておきたいと思いますが、どうか私の言いました真意を十分御理解いただきまして、再吟味、慎重なる御検討をお願いしておきたいと思います。
  46. 徳安實藏

    徳安委員長 中崎君。
  47. 中崎敏

    ○中崎委員 私はきわめて簡単に要点をかいつまんで質問してみたいと思うのです。  まず第一に、東北興業会社が相当広い範囲にわたって事業をやっておるようでありますが、全体的に見て事業そのものはうまくいっていないように見受けるのであります。そこでこうした事業が、いろいろやってもなおかつうまくいかないということになりますと、一つにはこの運営に当っておるところの人、いわゆる経営陣が適当であるかどうかということにも関係があるのではないかと思うのでありますが、そうした人をある角度から、また新しいような人材を加えて経営陣をさらに強化していくような考え方を持っておるのかどうか、そうしてまた過去において相当各方面にわたって行き詰まっておるのだからして、これを何らかの形において跡始末をするというか、さらによくするというか、そういう具体的の措置について、同時に人の問題と関連を持ちつつ別個の角度からさらに政府の方で検討を加えられなければならないと思うのだが、この点についてどういうふうなことが考えられておるかお聞きしたいのであります。
  48. 堀川恭平

    堀川政府委員 お答えいたします。中崎君の言われることはごもっともでありまして、今までこの東北振興会社がうまくいかなかった原因については、一つは幹部に責任があるかもしれないと思います。そういう意味におきまして昨年の三十年に、今まで総裁を置いておらなかったのを蓮池公咲総裁を置いて、まず強化しようということでやってきたのであります。なお今後こういう事業をやらなければならないとしたら、御説ごもっともで、できる限り運営を強化してあやまちなきようにしなければ申しわけがない、かように考えております。
  49. 中崎敏

    ○中崎委員 もう一つ、この行き詰まった事業を具体的に政府の方でどういうふうに駆使して、どういうことで打開して過去の仕事の行き詰まりをよくするか、そういう問題を一つお伺いいたします。
  50. 町田稔

    町田政府委員 今お話のように、東北興業事業を大いに振興させる必要がございますので、その第一歩といたしましてセメント事業に着手することにいたしたのでございます。これによりまして東北興業を強化し、なお将来各種の事業に手をつけていくようにいたしたいと思っております。
  51. 中崎敏

    ○中崎委員 この点についてちょっと疑問があるのでありますが、過去の仕事はほとんど何もかもうまくいっていない。それをほったらかしにして、今度はセメント事業に新しく手を出していくわけで、一か八か、とにかくこれで行き詰まりを打開するという考え方は適当でないと思うのであります。過去に相当に広い範囲にわたって行われておったその事業をどういうふうに立て直すかというその立て直し策をまず第一に立てて、それと関連してこのセメント事業を別個の角度から持っていくというならばわかるのでありますが、過去の仕事はほったらかしにしておいて、セメントがうまくいったらそれで穴埋めをしようというような考え方は、私は適当でないと思うのであります。ことにセメントについては、これからまだいろいろ質問をしてみたいのでありますが、これから百パーセント期待通りに必ずうまくいくかどうかということも、いろいろな点において問題があるにもかかわらず、それに百パーセント大きな期待をかけて、それによって起死回生の道を講じようというような考え方は適当でないのじゃないか。そこで過去の事業については一体どうするのか、その問題と切り離して一つ所見を聞いてみたいのであります。
  52. 堀川恭平

    堀川政府委員 過去の事業に対しての大きな問題は、あのドックの問題だと思うのであります。この問題も前に鈴木君が御質問になったときに御答弁したように、あれが今後成り立つかどうか、成り立つものならばこれを成り立てて産業振興に資しなければならない。しかし成り立たないものならば、あるいは何らかの方法でこれをやめなければならないのじゃないか、こういうことで今まず第一に大きな問題をあの二県の知事に調査してもらっておる現状であります。
  53. 中崎敏

    ○中崎委員 一応この問題はこの程度にしておきたいのでありますが、そうしたような過去の事業をさらにうまくやる上においても、たとえばこの会社の資本金が一億九千五百万円になっておるようでありますが、さらにそのほかに借り入れ、あるいは見払いの支払い手形などの形において未処理のものも相当あるようでありますが、まず第一に自己資金の充実をやり、さらにセメントをやるということになれば、ただいたずらに自己資本の少いにもかかわらず、外部資本にあまりに頼り過ぎていくということは事業経営そのものに制肘を受ける。同時に思うように経営もできないというようなことにもなるのでありますが、この点の自己資金の充実についてはどういうふうに考えておられるか。
  54. 町田稔

    町田政府委員 ただいまお話のございました通り、自己資金の充実をはからなければ、会社としては事業の実施が困難でございますので、三十一年度の産業投資特別会計におきまして、この会社に二億円出資することといたしまして予算の計上がしてあるわけでございます。
  55. 中崎敏

    ○中崎委員 そうするとセメント事業をやるということを前提としての自己資金に二億円が振り向けられるのか、あるいは過去の事業の跡始末等を含めてこれに使われる意図を持っておるのか、そこを明らかにしてもらいたい。
  56. 町田稔

    町田政府委員 十四億円の所要資金の一部といたしまして二億円を計上いたしてあるのでございます。
  57. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは一歩進んでセメント事業内容に触れてみたいと思うのでありますが、まずこの事業がうまくいくかどうかということは、第一には技術の内容についてであります。この点についてはシャフト・キルンあるいは従前のロータリー・キルンの方法があるようでありますが、その新しい方法をとっておるというところに——かりにドイツにおいてこれが成功したとしても、日本においてはまだ検討中のもののようでありまして、わずか宇部でやっておるというのでありますが、これとても必ずしも百パーセント成功しておるのだとも聞いていないわけであります。ことに品質も悪ければ単独に使用もできない。それは用途にもよるのでしょうけれども、他のセメントとまぜ合せなければ一人前に役に立たぬということもいわれておるのでありますが、そうしたような技術の内容をもってしてはまだまだ大きな不安があるのではないか。そこでこの点について、まず技術の内容について通産省としては十分な確信もまだ持っていないようでありますが、これは国策会社としてもやるということになればやらなければならぬ。しかもそれは一面において直接政府にかかってくる責任もある。ただ民間の場合においては、民間企業がそれぞれの立場からやるという意味において責任をのがれる方策もあるかもしれませんが、政府の国策事業としてやる場合においては、当然政府の責任であると思うが、通産省としてはこの方法によって押し切ってやったとして、その結果についての責任と見通しが一体十分に持てるのかどうか、ここをはっきりとお聞きしておきたい。
  58. 川野芳滿

    ○川野政府委員 通産省としては先般もお答え申し上げましたように、建設省から御相談がありましたときに現況等を詳細に述べまして、さらに通産省としての意見も述べた次第でございます。その結果、主管官庁の建設省といたしましては、各方面に慎重な調査を遂げられまして、そして今回の計画に相なった次第でございますので、通産省といたしましてもこれに御協力申し上げまして万全を期したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  59. 中崎敏

    ○中崎委員 私のお聞きしておりますのは、いわゆるセメント行政として、さらに国のセメント政策として一応需給のバランスを見たときに、さらにまたある程度セメント価格を適正にして建設の面を適正に助長する、こういう政策的な面においては一応了解を与えられたと思うのでありますが、さて技術上の面において必ずしもこの方法によって、これがうまくいくかどうかということについてはまだ十分の成算がないのじゃないかというふうな印象を持ったのでありますが、この点について、重ねて技術上の観点から、このシャフト・キルンの新しい方法によるところのものが成功するのかせぬのか、またかりに成功をある時期においてしたとしても、その間におけるところのギャップ、事業採算等の問題も合せて考えてみたときに、一体どういうふうな見通しになるのか。そしてそれについて一体どういう責任が持てるのかということを、これはいわば技術的な角度からもう一度はっきり聞いておきたい。
  60. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 シャフト・キルンの問題は、セメント業界全体として一つ研究のテーマというふうに考えております。現実には、先般も申し上げましたように、戦争中磐城セメントが蒙疆において一部これを試みたことがあり、また最近におきましては、昨年九月から宇部興産が試験操業をやっておるという現状であります。それで宇部興産の場合におきましても、これはセメントの技術関係全般の問題といたしまして、当初から業界の技術陣全体としてこれを研究したいというような話し合いもございまして、昨年の暮れでありましたか、宇部興産の操業の状態につきまして各社の技術者を集めまして共同検討の会合等をやっております。なお東北興業計画につきましては、これを実行する場合におきましては、私どもの方からも話をいたしまして、宇部興産としても技術上の面につきましてはでき得る限りの御援助をするということになっておるわけでございます。
  61. 中崎敏

    ○中崎委員 その肝心の宇部興産がまだ研究中であって、十分に成功したものたというふうには私聞いていないのでありますが、まずその宇部興産そのものがまだあやふやじゃないか。そうしてまたかりにこれが一応成功したとしても、今品質的にも相当劣ることははっきり言われておるのだし、ことに日本粘土を初めとする諸般の原料の点についても、ドイツと同様な程度、状態において成功しそうにもないということも言われておるのでありますが、その宇部興産のそれを全面的な頼りにしておられるというところに実際的に一つの食い違いがあり得るのじゃないか。その点をもう一度技術的な面からお聞きしたいのであります。
  62. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 宇部興産の操業の現状につきましては、先般も速記をおとめ願いまして詳細に申し上げたのでありますが、最近におきましてJIS規格程度の強度にはようやく到達してきたようであります。しかし日本セメントの品質についての需要者側の要請は、これはいろいろ地震等の自然条件等もあるようでありますが、極端に申しますと、世界一厳密な品質を要求されておる、こういうような関係もございまして、現在のところ逐次向上はしておりますが、通常のロータリー・キルンによる製品の程度にまでは達しておらない、こういう現状でございます。しかし宇部興産にいたしましても、これの成功につきましては相当の自信と努力をもって臨んでおりますので、われわれといたしましても、今後さらに一そう品質の面その他において向上をはかりますように、業界の技術陣等の協力も得まして最善の努力をいたして参りたい、かように考えております。
  63. 中崎敏

    ○中崎委員 今の説明を聞きましても必ずしも納得のいくような説明ではないのでありますが、そういうような一抹の不安というか心配を持ちながらも、建設省の方ではこの会社をしてぜがひでもこれをやるぞというふうな考え方をお持ちなのかどうか、お聞きしたい。
  64. 堀川恭平

    堀川政府委員 私の方では、この法案を通していただけましたならば、これを実行するに先立って十分調査をし、また通産省から御指導も仰ぎ、またわれわれの方からドイツに技術者をやって、その上で十分成り立つ見込みができてやりたいというように考えております。われわれはどうしてもやりたいという考えを持っておることは事実でありますので、その点は御了承願いたいと思います。
  65. 中崎敏

    ○中崎委員 かりにこの法律案が通って、いよいよ今度は実行のために一歩踏み出すということになった場合に、ドイツまで行ったりそのほか諸般の精密な調査をされて、その結果どうも思わしくないということになればおやめになるかどうか、それをお聞きしたい。
  66. 堀川恭平

    堀川政府委員 私の方は、国策の点もありますししますからどうしてもやりたい、かように考えております。
  67. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは一応この程度にして、次に資金計画の問題でありますが、これは大部分を開銀なり、あるいは債券の発行等によってやると言われますが、その点は一応見通しを持っておられるのかどうか。開銀の方では、さらにこれから本格的な調査をしてということでありまして、必ずしも開銀が金を全面的に出すというようなことも考えられないし、またたとえばあなたの方でこれだけ開銀の方から借りたいといううふうに申し込まれても、その全額を出されるとも考えられないのでありますが、かりに部分的におつき合い的に出すとしても、大部分は他の方法によって資金の調達をせざるを得なくなるのではないかというふうに、私たち一つの経験からそういう気持がしておるのでありますが、一体最後のぎりぎりのところ、この十四億円の所要資金をまかなうのに最後にどれでしめくくりをつける考えであるのかお聞きしたい。
  68. 町田稔

    町田政府委員 十四億の資金計画でございますが、このうち一億は三十年度に一般財政から出資があるのであります。それから先刻申しましたように、三十一年度は産業投資特別会計から出していただくことになっております。それから九億円を一般社債で、この法律案通りましたならば政府保証をしていただいてまかなう計画であります。開発銀行にお願いいたしておりますのは二億でございまして、これは三十一年度でなく三十年度の分といたしまして、今開発銀行の方に申し込みをいたして、それを現在開発銀行におきまして審査していただいておるわけでございます。
  69. 中崎敏

    ○中崎委員 三十年度の分を二億円、開銀から金を借りるように申し込みをしておるというのですが、それはどういうことですか。事業をいつから始められるのか知りませんけれども、それにしてもきょうからすぐに始めるというわけでもないでしょう。大体年度も一ヵ月ばかりしかないのでありますが、仕事を始められるにしても、それだけの期間が十分かかにもかかわらず、政府から一億円も金がおり、産業投資特別会計からの二億円の金もあり、さらに二億円を三十年度分として開銀に申し込みをしておるというのは一体どういうことなのですか。
  70. 町田稔

    町田政府委員 十四億の支払い計画につきましては、すでに詳細な計画が立っておりまして、そのうちたとえば用地の関係の整地費だとか、その他さしあたって三十年度におきまして支払いすることを適当といたします分に、この二億円を充当したいというので要求をいたしておるわけであります。
  71. 中崎敏

    ○中崎委員 実際に国会においてはまだ審議中のこの法律案で、海のものか山のものかわからないにもかかわらず、どんどん具体的に進められておるのは、一体どういうことなんですか。
  72. 町田稔

    町田政府委員 これは本年度におきまして一般出資がきまりました際に、一億をお認めいただきます際の事業計画として、すでに十四億のセメント事業計画が立っておるわけでございます。その際に大体三十年度としては、開発銀行、それから預金部資金等から十四億のうちの七億に該当する部分を支出するという計画で進んで参っておったのであります。ただ用地なんかの入手がなかなか困難な事情がございまして、実は三十年度に七億も事業資金が実際上は必要でない見通しが立ちましたので、現在開発銀行には二億だけ会社としては申し込みをいたしておるのでございまして、これは特に予算をお認めいただく前に事業をやっておくということとは関係がないと思うのでございます。
  73. 中崎敏

    ○中崎委員 どうもまだいろいろ問題があるのですが、一応この程度にしておきます。  次に金融債は一体どこでどういうふうな方法で調達をする予定計画になっておるのか聞きたい。
  74. 町田稔

    町田政府委員 これは一般の政府保証の債券、社債と同様な方法で今後調達して参りたいと考えております。
  75. 中崎敏

    ○中崎委員 それは民間銀行が応ずるわけなんですか。
  76. 町田稔

    町田政府委員 そういうように考えております。
  77. 中崎敏

    ○中崎委員 次にこの事業計画内容でありますが、ことに設備等の所要資金の面においても相当ずさんといいますか、これはほんの一つ計画にすぎないのでありまして、たとえば今後開銀などでさらに具体的に調査を進められれば、相当的確な書類を要求されることと思うのでございます。いずれにしても、まず事業計画の面において相当ずさんであると同時に、資金計画の面においても、相当に無理があるのではないかと思うのであります。そうすると、かりに十四億の金で十分にこの設備がその所定の通りに進まなかった、言いかえればさらに三億なり四億なりの程度が不足したというふうなことになると、一体それはどういうことになるのでありますか。その際においてどういうふうな措置を講じられようとしておるのか、お聞きしたい。
  78. 町田稔

    町田政府委員 この十四億を必要とするという基礎につきましては、かなり詳細厳密に計算をいたしてございますので、現在私たちは十四億で事業を完成することができるというように考えておるのでございます。
  79. 中崎敏

    ○中崎委員 この点もう一度念を押しておきたいのでありますが、よほど専門家が従前の仕事を十分に検討し尽し、技術的にももう十分に行き尽して、そしてやってもなおくるいがある。ことにこうした机上のプランで、いわばしろうとに近いようなものが立てた案であります。これが的確に正確にいくということは夢にも考えられない。実際においても余るわけじゃないから足りないのはわかり切っている。そうしたようなことは何といわれても実際あり得る。そういうふうな際に一体安全弁というか、抜け道というか、救済策というか知りませんが、何らかそういうふうな策がなくちゃならぬと思うのですが、ほんとうに一体どういうふうにされるのか。たとえば普通銀行なら普通銀行から、そういうふうな場合においては何らかの措置を得られるような見通しを持っておるのか、持ってないのか。さらに最後的には政府がしりぬぐいをするとしても、一応そういうふうな何らかの事業をやるからには見通しを、最後の道を持っていなければならぬと思うのですが、そこをお聞きしたいと思うのです。
  80. 堀川恭平

    堀川政府委員 御説ごもっともでありますが、現在われわれがこのもくろみを作るといたしましても、相当権威ある技術者がやっておりますので、これが十四億でやれない場合にはどうというようなことは考えていないのであります。責任をもって十四億でやりたい、かように考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  81. 中崎敏

    ○中崎委員 最後に、この仕事が途中において方向転換される、大体その計画で進んでおったところが、どうも諸般の事情がうまくいかない、あるいはそのいく、いかぬにかかわらず政治的圧力というか、何らか他の理由で方向転換されるというふうなことが、夢にもあっては困るじゃないかと思いますが、そこらの点についての決意を一度お聞きしておきたいと思います。
  82. 堀川恭平

    堀川政府委員 われわれの首脳部の考えでは、そういうことは毛頭考えておりません。
  83. 徳安實藏

    徳安委員長 松平忠久君。
  84. 松平忠久

    ○松平委員 本件に関しまして軽工業局長に伺いたいのでありますが、今までの戦後におけるセメントの復興状況というものは、私ども承知しておるところによると、大体既設のものを増強していくとか、あるいはもとやりかけたものを復興していくというようなことが多くありまして、新しいところにセメント工場を建てるということはよほどの場合でないと今までやってなかったように思うのであります。そこで今日までのセメント増設状況というものはどういうようなやり方で行われてきているかということを一つかいつまんで伺いたいのであります。
  85. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御指摘のようにセメントにつきましては、戦後におきましても一般に設備過剰というような状態できたわけでありますが、朝鮮事変以後急速に需要がふえて参りまして、それらの関係から一昨年の八月に次官会議の決定閣議の御了解を得まして、セメント合理化に関する方策を立てたわけであります。その際の考え方といたしましては、二十九、三十、三十一年度の三カ年間に、大体能力におきまして五百万トン程度、その当時の能力では約一千万トンでありましたが、五割程度の設備の増強をやる。それからコストにおきまして約二割のコスト・ダウンをやっていく。これは輸出面におきます国際価格等の関係も考慮いたしまして、そういう考え方を基本にして合理化計画を立てたわけであります。その際におきましては、大体は御指摘のように既存の工場設備が相当期間合理化が行われておりませんでした関係がありますので、既存工場の合理化、なお経済単位等に達しないところにおきましては、既設工場内に若干のキルンの増設を行う、こういうことを基本にいたしたわけであります。同時に従来の一般の方法と異なりまして新しい方式といたしまして、一つは高炉セメントの拡張を大いに考えるべきであろうということで、富士製鉄の輪西の工場におきまして高炉のスラッグを利用いたしまして、これに通常のクリンカーを混合いたしまして、これがすでに操業いたしております。それから同じような観点から電気化学工業におきましてカーバイド、石灰窒素の仕事をやっておりますが、この生産工程の間に出ます石灰石の従来廃棄しておりましたものを利用いたしましてこの廃棄しておりました資源の活用ということで電化セメントという会社を新しい方式の一つとして立てたわけであります。それからさらに輸出の面におきまして、最近非常に輸出も増大しており、また先般申し上げましたように輸出入取引法による生産者の協定を、初めて公正取引委員会の認可承認を得まして、輸出面においても大いに振興をはかって参りまして、それによって操業度の上昇と相待ってコストの低下をはかる、こういう関係から輸出面において立地条件の適当であろうと思われます北九州におきまして、主として輸出関係を目標とした新しい一会社を新設したのであります。それからさらに先ほど申し上げましたシャフト・キルンの方式について研究をいたしたいということで、宇部興産がシャフト・キルンの方式を採用した。大体実質的に新規に認めましたものはそれで、今申し上げましたように副産物の活用であるとか、その他積極的な一つの、一般の例と異なります方式をとったわけでございます。
  86. 松平忠久

    ○松平委員 そこで国内におけるセメントの需給と各工場の所在地というか、そういうものは窯業課に行くと地図に書いて掲げてありますが、東北方面のセメントの需給関係、供給関係というものはどういう状況になっておりますか、主としてどういう工場から今まで入っており、東北地方におけるセメント工場生産能力というのはどの程度あって、需給等はどういう関係になっているか、そういう大局的なところをお伺いしたい。
  87. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 先ほど申し上げました合理化計画の策定に当りましては、大体セメント工業の安定操業度といたしまして八割程度の線をねらうのが適当であろう。あとの余力は設備の定期補修でありますとか、あるいは一時的に需要が拡大いたしました場合に弾力性を持たせる、そういう前提で計画を立てたわけでありますが、その後の状況は、輸出の関係は、当初予想いたしましたよりもむしろ若干上回っておるわけでありますが、内需の増大がやや予定よりも低目でございまして、全体としては現在七二%から七四%というような全国的の平均の操業度でございます。それに対しまして東北地区は、東北地方単独で見ますと現在六割台の操業でございます。しかし従来北海道の方はむしろ生産能力を上回る需要があったわけでございまして、これも先ほど申し上げました富士セメントの新設によりまして、現在のところは九〇%程度の需給バランスになっております。この東北、北海道総合して考えますと、大体全国の操業度の平均にほぼ近いような数字でございます。しかし先般申し上げましたように、工業製品におきましては行政区画上の東北であるとか関東であるとかいうことは、実は場合によりましてそれほど意味を持たないのであります。関東でありましても、輸送上の便宜、積みかえその他の関係の有利なところはある程度競争力を持つというような関係もあります。現に関東その他の地区の工場におきましても、東北地方に相当量の貯蔵設備、サイロと申しておりますが、そういうものを持っておる会社が数社ございます。従いまして過去におきましては北海道、東北はある程度割高になっておりましたが、現状におきましては、北海道はややなお割高でありますが、その他の地区は国鉄の契約価格等を見ましても大体全国一本になっておる、こういうふうな状況でございます。
  88. 松平忠久

    ○松平委員 今のお話だと、東北の操業度が六割である、北海道は九割、一緒にすると大体全国平均のところへいく、こういう話だったのですが、そういう東北の全国に比べて低い操業度のところへまたこれを作るということになると、これはむしろ北海道へ作った方がそういう面からいえばいいのじゃないかとも思われる節があるわけなので、どうして東北の既設の工場がそういうふうに操業度が悪いのであるか、そういうところへどうしてわざわざまた新しいものを作るのか、その点は担当局長として国全体のことから考えてどういうふうにお考えになっておりますか。
  89. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 先ほど申し上げましたように、これは極端にへんぴなところでありますと、輸送の関係その他で工合が悪いのでありますが、そうでない限りは地区の問題はわれわれそう重きを置いてないわけであります。これは資源の所在関係もございまするし、いろいろな、石炭その他の原料の位置の問題もございます。従いまして、工場自体といたしましてはもちろんそれ自身の輸送関係等を当然考えなければならぬわけでありますが、それらの点を考えまして大体においてほかの会社と競争力を持ち得るという見通しが立てば、極端に不利な地域でなければ企業としては成り立つのではなかろうか。石灰石は御承知のように日本としてはほとんど全国的に賦存しておるわけであります。なお北海道につきましては今後富士セメントがある程度設備を増強するということになろうかと思っております。
  90. 松平忠久

    ○松平委員 今私は東北がどうも操業度がまずい。そういうところへまた新しく作ったらなおさら困るのではないか、こういうふうに質問しているわけなのですが、東北にはどことどこに工場があるのですか。
  91. 伊藤こう太郎

    ○伊藤説明員 東北には現在工場が三カ所ございまして、包装所と申します距蔵しておりますところがやはり三カ所、ございます。一つは磐城セメントの八戸工場、小野田セメントの大船渡工場、磐城セメントの四倉工場この三つであります。県で申し上げますと、青森県八戸、岩手県大船渡、それから福島県の四倉であります。包装所が青森と塩釜と酒田、三つございます。青森は日本セメントであります。それから酒田にあります分が小野田セメントであります。塩釜にありますのが小野田セメントであります。
  92. 松平忠久

    ○松平委員 その工場の操業度はどういうふうになっておりますか。
  93. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 工場別のはただいまちょっと手元に資料を持っておりませんが、総合いたしまして東北地方の操業度は三十年度が六四%、三十一年度は六三%、三十二年度は需要の増加を見込みまして大体七〇%、こういう予想を持っております。
  94. 松平忠久

    ○松平委員 私のさっき聞いたのはそれなんですが、全国平均より一割以上下回っておるわけなのです。それは立地条件、各会社のいろいろな関係によるかもしれませんけれども、総合して操業度が低いというところへまたもう一つ作るというのは、全般的に考えてちょっと解せないように思うのです。新しく作るところがほかの三工場よりも特に立地条件がいいという条件がほかにあるかどうか。これは建設省の担当者から承わりたい。
  95. 町田稔

    町田政府委員 東北地方だけで見ますと、ただいま御指摘のように、需要と生産ではむしろ生産の方が多くなっておるのでございますが、先刻も吉岡局長から御答弁申し上げましたように、必ずしも地域的な点はセメント生産の場合におきまして非常に重要な意味があるというようにも考えられないのでございまして、ことに東北地方におきましては、既設の工場からは大体東北地方以外に出ておる分が非常に多いのでございまして、むしろ東北で使っておりますセメントは他地方から入ってきておる分がかなり多うございます。それで従来は東北地方セメント価格は、北海道に次ぐ高価な価格になっておったのでございます。この点から考えましても、地域的な点を必ずしも非常に重視する必要がないのではないかという感じをいたしておるのであります。  それから今回東北興業が作ります工場の敷地予定地は、若手県の非常に石灰山の近いところの、立地条件が非常にいい場所でございまして、従来何回も、セメント工場を作るのに適地であるというので、地元等におきましても計画のされました場所でございまして、石灰石以外に、各種の原料を入手いたしますのには非常に格好な場所でございます。それから一団地としての敷地が、比較的整地等もせずに工場敷地にすぐなり得るような条件にあるので、こういう点におきまして、セメント工場を作りますのには非常に有利である、そういう利点があると考えております。
  96. 松平忠久

    ○松平委員 私セメントについても全然しろうとでわかりませんけれども、今ある三工場というものが、とにかくくろうとがやっておるのであって、そういうくろうとがやっておるところも、どういうわけか、全国平均に比べてまことに操業度が悪い。そうしてほかの方からセメント東北地方に流れておる、こういうお答えであった。ところが今度やられるというところは、前からも計画があったが、やってなかった、こういうようなお話だったわけですが、東北セメント工場もそう新しくないと思うのであります。おそらくいろいろ物色して、今あなた方がおやりになるというところよりも、ほかの方が立地条件がよいと思ったからやったのだろうと思いますが、そういうふうに既設の工場があまり成績がよくない、そういうくろうと筋が残しておいたところを今度あなた方がおやりになるということであろうと思うのであります。そういうわけであるから、私どもはこの将来性というものに関してどうしても不安が残る、こういうふうに考えざるを得ないわけなんです。  そこで軽工業局長にお伺いしたいのだけれども、この東北の三工場というものは、一体どうしてコスト高になって、そして外から来た方が安いのか、どういうわけで東北工場というものは不振なのですか、それが第一点であります。  それから第二点は、ほかの残していった、今度やろうという工場が、今伺うと、ほかの工場よりもいろいろ有利な点があるというわけだけれども、そういう有利な点をやらずに残して、ほかへ飛んでいったのだ。軽工業局長は、今やろうとするところが特に優秀であるということをお認めになるのかどうか、その点を一つ明確にしていただきたい。
  97. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 第一の価格の点でございますが、二十九年の八月ごろにおきましては、たとえば名古屋は八千五百円、大阪は八千二百五十円というように、大体西の方へ行くほど安いようになっております。それに対しまして、仙台におきましては八千七百五十円、札幌は九千百円というように、多少割高になっておったことは事実でございます。今申し上げておりますのは、国鉄の着駅オン・レールの契約価格でございます。その後逐次さやが縮小して参りまして、現在におきましては札幌が八千五百円程度でございますが、その他、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、四国、門司、これらの地区はいずれも七千四百五十円というように一本の価格になっておりますので、現状におきましてはほぼ地域的の価格差は解消しているという状態でございます。  それから他の地区のものが東北に行っているというのは一見おかしいようでありますが、一品にセメントと申しましても、各工場によりましてそれぞれ品質その他用途等によりましてそれに適する製品を購入されており、また大きな工場の場合には競争入札等の制度をとっておりますので、それらの関係で業界内部の競争からある程度の交錯輸送があるということは、これは一般の工業製品に共通する現象ではないかと思います。  それから第二の立地条件の問題でございますが、この点は実はほかと比較してどちらがいいかといわれましても、それぞれ各企業におきまして、工場を建設いたします場合には、多数の候補地を調査いたしまして、いろいろな関係からその中からしぼって参りまして、さらにその土地所有者等との地価の交渉とか、そういうような問題がからむわけでありますので、ちょっと私どもから明確にお答えいたしかねますことを御了承いただきたいと思います。
  98. 松平忠久

    ○松平委員 その点はあまり追及しません。非常に遠慮しておられるんじゃないかと思います。ともかく東北に三工場あって、操業度もどうもはなはだ悪いというところに、新しくやって果してうまくいくかどうかということは、しろうとが考えて私は非常に不安に感ずる点なんです。しかしその点は追及してもこれも結局水かけ論になるわけですから、やめまして次に移ります。  このセメントはどこへお売りになるのですか。東北ですか、あるいは全国へ売るというのですか。今お話を聞きますと、東北だけでなくて、セメントはどこへでも行くのであるから、どこへでも売るのだというお話だったわけです。しかしこの東北興業目的からいうならば、東北振興をはかるということにあるわけだから、東北の建設その他に安いセメントを供給するということが建前であると思う。ところがただいまの御答弁によると、そうではなくて、セメントはどこへでも売るのだ、こういうお話であった。その点はどういうお考えなんですか。
  99. 町田稔

    町田政府委員 今回作ります工場でのセメントは、主として東北地方で販売をする予定になっております。
  100. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、その場合において、これは政府出資ということになっておるので、建設省が相当この会社のめんどうを見なければならぬわけであるから、何か特別の価格協定でも考えてやられるというお考えでこれを販売していくわけであるかどうか、あるいはそうじゃなくて、ほかのセメントとの競争を認めてすべて競売でやっていくということであるのかどうか、その点は将来どういうふうに考えていかれるのですか。
  101. 町田稔

    町田政府委員 普通のセメントの販売と同じように、建設省で特別の手段を用いるということは考えておりません。公共事業等におきましては、競争入札で購入をするという考えでおります。
  102. 松平忠久

    ○松平委員 その次に、先ほど中崎さんから資金計画について質問があったわけですが、この資金計画の中で特に伺っておきたいのは、東北振興の立場からいって、ほかの産業にもいろいろな資金を出さなくちゃならぬということを二、三日来ほかの同僚議員からいろいろやかましく言われておったわけです。東北興業の立場からいうならばまさにそうであろうと私どもは思うわけであるが、この十四億円というものはことごとくセメントに使うのであるか、あるいはこの金の一部をほかの産業振興、小会社振興という方面に向けることになるかどうか、そういうお考えがあるかどうかということを聞きたいのです。
  103. 堀川恭平

    堀川政府委員 前に中崎さんにもお答えいたしましたように、この十四億円はほかの方へ回す意思はありません。ただこれのみであります。
  104. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、この十四億円のうちの各県の負担分というものはどういうふうになっておりますか。
  105. 町田稔

    町田政府委員 この十四億円には、特に県が自己負担をいたします分は予定をいたしておりません。
  106. 松平忠久

    ○松平委員 私ども聞いておるところによると、たしか岩手が一億円、そのほか二県、福高と青森が五千万円で、宮城その他は非協力的態度をとっておるということですが、このセメントとこれとは関係がないことですか。これは単なるうわさにすぎませんか。
  107. 町田稔

    町田政府委員 これはうわさにすぎないのではないのでありまして、預金部資金を出します場合に、会社には直接預金部資金を回すわけに参りません。それで県を通じて回ることになるわけでございますが、県の自己資金は特に会社に出資等の形でするということには予定されておらないのでございます。
  108. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、県が預金部資金を借りて、その県で借りたものをこの会社はどういう形式で吸収していきますか。社債なり、あるいは借入金なりという方法によると思うのですけれども、その形式はどういうふうになりますか。
  109. 町田稔

    町田政府委員 借入金の形になります。
  110. 松平忠久

    ○松平委員 これは前にたしか同僚議員から質問があったと思うのですが、東北六権で出資をされておるような会社であるのに、今回はセメントに関しては三県だけが協力してあとの各県は非協力的態度をとっておるということを伺っておる。そういうことで、東北各旅相互の間において何かおもしろらぬようなことを伺っておるのでありますが、それらの点は現在どういうふうに進行しておりますか。
  111. 町田稔

    町田政府委員 各県とも東北興業に対しましては協力をしてくれる態勢になっております。今までも途中におきまして、各県財政の窮迫等によりまして多少紆余曲折がございましたけれども、現在では、宮城、青森がまだ起債についての県会の議決を経ておりませんが、ほかの県におきましては、県会での必要な手続も全部とっております。それから、宮城等も近く所要の手続をとってくれることになるように開いておるのでございます。
  112. 松平忠久

    ○松平委員 県会でそういう必要な手続を議決等を経てとるという場合におきましては、この金は、セメント工場を作るためにということでやっているのか、あるいは、そうじゃなくて、ただ単に借入金ということでやるのか、その点はどういうふうに県側と打ち合せができておるか。私ども聞くところによると、セメント以外のためには金を出さぬという。出さぬというか、起債の分も応じないという見解のようであるのでありまするが、岩手あたりもそういうような見解なんですか。ほかはどういうことになっているか、これを伺っておきたい。
  113. 町田稔

    町田政府委員 セメントのためということで手続をしてもらっておると思います。
  114. 松平忠久

    ○松平委員 開銀の方に伺います。この間もちょっと開銀のどなたかに質問をしたのでありますが、この法律案が通らなければ開銀は金を貸さないということになりますか。つまり、国家保証がなければ開銀は金を貸さないということであるのかどうかということなんですが、その点をちょっと伺いたい。
  115. 淡河正

    ○淡河説明員 その点については、こちらとしても本格的に調査が進んだという段階においては考えなければならぬと思っておりますが、今の段階においてはまだきまっておりません。
  116. 松平忠久

    ○松平委員 私の聞いているのは、今いろいろ審査を続行中であるということでありますが、その審査の結果に基いてお金をお出しになるという場合においては国家保証というものは要求されるのかされないのかということなのです。
  117. 淡河正

    ○淡河説明員 私が聞いております範囲におきましては、国家保証は、東北興業が社債を発行する、それについての国家保証でありまして、それは予算総則にうたわれておるようでありまして、普通の管理部についての国家保証というものはないのではないかと開いております。
  118. 松平忠久

    ○松平委員 最後に一つお伺いいたしますことは、先ほどもちょっと触れられましたけれども、もう少し詳しくセメントの先行きというものを承知したいのです。それはセメントの第二次製品等いろいろあると思います。輸出の問題もあると思いますが、先般のお話ではかなり先行きがいいというようなお話であったわけでありますが、五ヵ年計画に基きまして、五年後においてはセメントはどういうような需給関係になるか、実際に即してお伺いいたしまして私の質問を打ち切ります。
  119. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 五カ年計画策定当時におきましては、ただいま五カ年計画数字をちょっと手元に持っておりませんが、能力としてたしか千六百数十万トン、それに対しまして需要千二、三百千トン、操業度にいたしまして八十数パーセント、こういう計画になっておったと思います。それに対しまして、能力の面におきましては先ほど申し上げましたように、合理化三カ年計画による増設が急速に進みつつありますので、大体三十二年度において五カ年計画に予定いたしました能力に達するであろう、かように考えております。ただ五カ年計画自身は、これは私の感じから申しますと、比較的固く見積られておるように思います。他の部門におきましても、特に私ども所管しております関係の企業におきましては、三十五年度を待たずしてその程度の能力に達するものは、ほかにも相当あるようであります。需要の見通しにつきましては、先ほど申し上げましたように設備の増強が急速に進みました関係で、ここ当分は、大体三十一年度が操業度が七二%、三十二年度が七四%というような状態で推移するようであります。価格の関係につきましては、合理化計画を立てました際には、当時の大体八千七百円ベースに対して、二〇%程度のコスト・ダウンをやるいう考えでおったわけでありまして、それから申しますと大体七千円弱というような見当になるのでありますが、現在におきましては、ただいま申し上げました需給関係等からいたしまして、大体国鉄の契約単価で申しますと七千四百五十円というような水準にきておりまして、今後の見通しにつきましては、いろいろな条件等もございますが、どちらかと申しますと軟調ぎみの横ばいというような感じではなかろうかと考えております。
  120. 徳安實藏

    徳安委員長 ほかに御質疑はございませんか——なければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会