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1956-02-29 第24回国会 衆議院 建設委員会商工委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十九日(水曜日)     午前十時二十九分  出席委員   建設委員会    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 荻野 豊平君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君       荒舩清十郎君    大高  康君       仲川房次郎君    中村 寅太君       二階堂 進君    松澤 雄藏君       今村  等君    楯 兼次郎君       中島  巖君   商工委員会    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君    理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿左美廣治君       大倉 三郎君    菅  太郎君       椎名悦三郎君    首藤 新八君       鈴木周次郎君    田中 龍夫君       伊藤卯四郎君    佐々木良作君       田中 武夫君    松尾トシ子君       松平 忠久君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         大蔵事務官         (理財局長)  河野 通一君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         建設政務次官  堀川 恭平君         建設事務次官         (計画局長)  町田  稔君  委員外出席者         日本開発銀行理         事       中村 建城君         日本開発銀行管         理部長     淡河  正君         商工委員会専門         員       越田 清七君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三四号)     —————————————   〔徳安建設委員長委員長席に着く〕
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより建設委員会商工委員会連合審査会を開きます。  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行います。質疑通告願により順次お許しいたします。鈴木周次郎
  3. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 昨日に引き続きましてお伺いいたしたいと存じます。東北興業におけるこのたびのセメント工場計画については、種々御議論があるとは存じますが、これはさておきまして、今までの東北興業における関連した問題について昨日御質問申し上げましたが、納得がいかない点があるので再質問に立った次第であります。  さて、一番重要な問題は、今後セメント工業をやる上において、現在における役員で、あの東北ドックでさえも経営不可能な連中が、化学工業をやり得る能力があるかどうかを一つ聞きたい。彼らは大体においてやる能力がないと思う。なお、これを改造すべき意思ありやいなや。  次には、東北船渠に対しまして両県知事のあっせんによって云々というお話がありましたが、これがどこまで進行しておるのかどうか。けさ私は福島県知事に聞きますところによりますと、地方実業家といいますか、銀行業者あるいは東北電力等におきましても、現在における役員に対しましては出資をしてもこの金の回収もできず、ただどぶに金を捨てるようなもなものであるから、この方たち計画には御同意できない、すなわち東北船渠再建に対しましては同意できない、それ以外に対しましては、債権者も新しい投資に対しましてもやるべき決心と度量は持っておる、私の質問に対して、けさ福島県知事からこういうようなお話がありましたが、福島県知事東北興業東北船渠との三者関係のことに対して、詳細なる御説明をお願いしたい。それに対してまた質問に立ちたいと思います。
  4. 町田稔

    町田政府委員 東北船渠東北興業がその株の大部分を所有いたしましておるのでございますが、東北興業東北船渠との関係はその資金的な部面だけでございまして、従来東北船渠経営陣東北興業とは関係なく、別個に役員がおりまして、その人たち経営をいたしておったのでございます。比較的最近東北興業の幹部が東北船渠役員になったのでございますが、これは割合に最近、この数カ月であったと覚えておるのでございまして、それまでは、従来東北船渠は別個の会社として事業経営しておったのでございます。ただ、今申しましたように、資金的に両者に関係があったということだけでございます。親会社、子会社関係だったということだけでございます。  それからもう一つの御質問役員の点でございますわ。——役員の点に関しましては、今お話がありましたが、私たち種々監督をいたしておる上におきまして、特に不都合があるようにも考えられないのでございまして、総裁、副総裁とも東北興業の発展のために全力を尽して仕事に従事しておるように私たちは見ておるのでございます。
  5. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ただいまの御答弁からしますと、役員は最も善良なる者であって、一つの欠点もないというようなお話ですが、これはむろん皆さんの間において選考して、情実かあるいは押しつけられたので、いたし万なく任命あるいは委嘱したのだからそう言わざるを得ないでしょうが、社会の世論はそうではない。金融業者との間がよくないことは事実であることをただいま申し上げた。なお、先ほど質問申し上げた中で、知事が入ってとの程度まで進んでおるかということに対しては御答弁がないが、会社は別だ、よって責任は東北興業にないのだというように私たちは承わったのですが、それでよろしゅうございますが。この点をはっきり御明答を願ってから再質問したい。
  6. 町田稔

    町田政府委員 東北船渠再建につきましては、昨日も申し上げましたように、両県知事に現在では再建方策を立っていただくようにお願いをいたしておるのでございまして、まだ両県知事からその再建策につきましては、正式に私たちには御返事をいただいておりません。ただいま鈴木先生お話によりまして福島県知事の御意向を初めて知りましたような次第であります。正式に今後どういうようにすべきかというようなことにつきましては、まだ御返事をいただいておらないのでございます。  なお東北興業といたしましては、現在出資者としての立場東北船渠関係を持っておるのでございますが、しかし先刻も申しましたように、非常に多くの株を東北興業が持っておりますから、親会社として当然今後東北船渠再建には関心を持ち、なお協力いたすべき立場にあると思います。その点は直接東北船渠経営には当っておりませんが、株主としては当然そういう関係にあるというように解釈をいたしておるのでございます。
  7. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ただいまの最後の御答弁のうち協力というお話がありました。金で協力するのか、地位協力するのか、実業界仕事は結局金と地位が一緒なんですが、金だけ出して地位を出さないのか。先ほどお話から聞くと、株券はお手元にあるのかないのか。多分私の観察では、東北興業の持っておる東北船渠株券担保としてどこかへいって、名前だけ自分が持っておって、よくなればちょうだいするというような意味でほかに行っておるのではないかと思います。この点に対しましてお調べになっておるかどうか、お聞きしたい。名前が書きかえられれば、先ほど協力ということはどこに行ってしまうかわかりませんから、その点明確にお答えを願いたいと思います。
  8. 町田稔

    町田政府委員 特に東北船渠の株を会社がどういうように管理いたしておりますかは、最近事実を調査をいたしたことはございません。しかし私たちの聞いております範囲におきまましては、現在会社が所有をいたしておるように聞いておるのでございます。ほかに特に担保等に入れておるようには見ておらないのでございます。
  9. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 それでは、ただいまの担保に入れておくということは占有権の移動であろうと思います。名前東北興業であって、占有権は向うに行っておるということによって、東北興業は話はしたいが、できない立場に追い込まれるのじゃないか、こういう懸念がありますが、すぐにも電話でわかることでありましょうから、総裁にお聞きしてこれを御返事を願いたいと思います。  次には先ほど援助の点でありますが、東北興業そのものの設立の趣旨及びその状況からいきまして、あれほどの金をかけてあれほどの仕事をなすべき義務を持っておるが、戦後においての経済界の変動及びその他の法律関係上、ここに立ち至ったことに対しては、これは恕さなければならぬと思う。これを再建すべきことは国家としても必要であるし、また東北県知事はどんなことがあってもこれをやりたいという希望を持っている。今度の九億円のうちからそれを回せとは私は申し上げませんが、回されるなら回して再建すべきものだと思う。またその他の方法によって、東北六県の手を通ずるか、あるいはその他の金融業者の手を通じてこれを再建する場合の方途を皆様御研究になったかどうか、一つお聞きしておきたいと思います。
  10. 町田稔

    町田政府委員 東北船渠再建のための所要の資金東北興業社債発行方法による以外にないと思います。社債を発行いたしますためには、これに対してやはり政府保証を必要とするというように考えております。
  11. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ただいま東北船渠再建には、東北興業によって資金をこしらえる場合において、社債によるほかないような御意思ですが、そうしますれば、今度の議決になりました九億円のうちから出し得る可能性があるという意味に判断してよろしゅうございましょうか。
  12. 町田稔

    町田政府委員 今回の発行予定いたしております九億円は、全部セメント事業に要する資金として予定いたしておりますので、九億円の中から支出をいたすことは不可能だと思います。
  13. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 さすれば、その他の必要資金社債及びその他の借入金あるいは増資等によらなければならぬと思いますが、その場合においての政府当局指導方針をさっきから聞いているのです。ただ社債のみによらなければ資金がないような話ですが、その点御研究になったかと先ほどもお聞きしましたが、その答弁がないようですから、その答弁をお聞きしたいと思います。
  14. 町田稔

    町田政府委員 社債以外に一般借り入れ等方法によることは困難であると考えます。
  15. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 さすれば、東北興業社債によらざれば資金融通がきかないのだ、また財政投資によらざれば増資ができないのだ、実にさびしい経営であって、資金をこしらえたのは血税によってやっている、こういうことだけに解釈していいのでしょうか。またその金はむちゃに使ってしまうのだ、それをただ見ているのだというようにも解釈できるのですが、その点まで御研究があったのかどうか。そのような金は私たちはここで議決するということは考えものだと思うので、そんな点を承知の上でお出しになる建設大臣の御意志であるかどうか。
  16. 町田稔

    町田政府委員 御承知のように東北興業は現在資本金が一億九千五百万円しかございません。それでこの会社東北興業株式会社法によりまして事業をいたします際にはその五倍の社債を発行いたすことかできるようになっておりまして、社債を発行して各種の必要な事業を行うような建前になっております。それでありますから比較的資本金は少いわけでございまして、そういう意味におきまして一般借り入れ方法によることはなかなか困難で、社債発行によりまして今お話になりましたような事業は遂行いたしていくべきものだと考えているのでございます。
  17. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ただいまのお話は、資本金が小さいので社債にばかりよる、その社債政府保証でなければ、人も会社も信用がないから、まず借入金は不可能のように考えられるような御答弁です。しかしこの金を出す上においては私たち考えなければならぬし、東北県知事はどうしても東北興業を主体としてやってみたいという腹なんです。しかるにただいまのような答弁では東北県知事及び東北六県民も不安に考えるのじゃないか。よって、その他の方法において資金をこしらえる法はないかと私は先ほどから御答弁を待っております。ないのでは困るが、こういう場合を考えたならば資金ができると思うが、それに対して考えたことがあるか。この前は東北六県に金をある程度東北興業一つ事業のために出してやったのですが、預金部資金あるいは開発銀行からそういうものを出して、そうしてあの東北船渠の成功を祈るというような方法のことを考えたことがあるかどうか、また起案をしたことがあるかどうかを大臣から聞きたいと思う。
  18. 馬場元治

    馬場国務大臣 これは御承知のように政府保証限度が定められております。従いまして現在のその限度を越えることはなかなか困難でありますが、福島、宮城両県の知事のこれが復興に対する具体的な意見の提出を待ちました上で、よく検討をいたしました上で、必要ありということになりますれば、この限度の拡張について考慮いたしたいと思います。
  19. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ただいま建設大臣からのお話は両県知事の御意志によって考慮する、その考慮という点は金策に必ずよるというように私はとってよろしいか。ぜひこれはとらなければならないと私は感ずるのですが、これは今度の東北セメントに関連したる資金融通だと考えるのでありまして、この点をお伺いしたい。
  20. 馬場元治

    馬場国務大臣 具体的な方法につきましては今ここで案を具しました上でないと、具体的に金融的な措置はこういたしますということは明言をいたしかねます。よく考究いたしました上で最善方法をとる、こうお答え申し上げるよりほかにありません。
  21. 鈴木周次郎

    鈴木(周)委員 ただいま最善方法をとって下さるという非常におもしろくもまた抜け道のあるような御答弁でありましたが、最善方法といえば金を出すか出さぬかという結論に尽きる。それで大蔵大臣運輸大臣にも関係があると思うのです。どうかこういう場合においては両県知事が仲裁に入って、これを再興するのだ、国家のためにやるのだ、また東北六県は知事初めこぞってこの再建をやるのに努力しているのだ、その案が出た時分には大蔵大臣もこれに了承するか、開発銀行にも、金を出す場合にも貸してやるのか、貸せという御命令でもいいと思う、その地運用部資金などといういつ返してもいい金を預かっているのだから、これから出すなら出す、こういうような点まで相談されるかどうか。これは通産大臣建設大臣運輸大臣大蔵大臣と至急御協議の上お願いしたいと思う。本日の質問はこれで終り、私は保留しておきますから、その協議の結果をお願いしたい。また両県知事をここに喚問願いたいと思うのです。お取り計らいを願えばなおけっこうです。至急お呼びいたしまして皆さんの前に聴聞を開くような準備もいたしてみたいと存ずるのであります。
  22. 徳安實藏

  23. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 要求してありました資料並びに通産大臣出席を要求しておきましたけれども、それのお手配はどうなっておりますか。
  24. 徳安實藏

    徳安委員長 資料は十一時ごろになりませんとできないそうですから、十一時になりましたら届きます。それから通産大臣は、今参議院の予算委員会に入っているそうですが、今交渉しております。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それでは昨日申し上げましたように、東北興業会社計画されておりますところの当該セメント工場計画に関する収支予想を含めた事業目論見書提出を願った上でなお質問することを留保いたし、同時にまた通産大臣に対しまして質問することを留保いたしまして、質問を続行いたしたいと思います。  昨日来私どもは重ねて言っておるのでありますけれども、この東北興業株式会社基本法自身が、東北地方産業振興のために作られた法律であり、東北興業株式会社自身がその方向を向いて仕事をされることには、私どもは全面的に賛成しておるものでありまして、問題は、今度のこの改正法の意図するところが、新しくセメント工場を作るというところにあるようでありますので、この新しくセメント工場を作ることが、本来の目的でありますところの、東北興業会社目的にはっきりと沿うか沿わないかという点が、私どもの審議の対象になるのは当然であるわけでありまして、昨日来建設大臣を中心にいたしまして、私どもはこの目的に沿い得るかいたかという事業計画につきまして、種々各方面からの質問をいたしておるわけでありましたが、私どもはどうにも納得が得られないのであります。従いまして、私は重ねて所見を聞くようでありますが、建設大臣は今度のセメント工場計画というものが非経済的でなくて、どうしてもこれは経済的であるからやらなければならないという、その具体的な理由をもう一度お聞かせ願いたいのであります。昨日来お聞きしておりますところは、これをやればいいんだからやるというだけでありまして、私どもに、やればいいのだからやるというような具体的な経済的な裏づけを持った理由は聞かされていないわけでありますので、主管大臣であります建設大臣から重ねてこの点をお伺いいたしたいと思います。
  26. 町田稔

    町田政府委員 今回東北興業株式会社セメント事業を行うに至りました経緯は、昨日もお話を申し上げたのでございますが、東北興業のいたします適当な事業につきまして地元に十分はかりまして、それで特に関係をいたしております六県知事意向を十分聴取いたしまして、いろいろの推薦されました事業の中から一挙にはできませんので、特にセメント製造事業を選んだのでございます。特にセメントにつきまして第一番目に着手いたしました理由は、御承知のように、東北地方には優良な石灰石が埋蔵されておりまして、従来からもこの石灰石を利用いたしましてセメント事業を起すことにつきましていろいろの試みがなされてきておったのでございます東北興業が特に手をつけましたのは今回が初めてでございますが、東北興業が今後やろうと思っております岩手の場所は、すでに地元の村におきましても、あるいは民間会社におきましても、セメント製造の適地であると従来から目をつけられておったところでございまして、そこに事業計画は何回もあったのでございます。長年の要望であったわけでございます。ただ従来東北民間資金を獲得することがきわめて困難な状況でございましたので、資金的に行き詰まりを来たしまして、セメント事業を興すことができなかったのでございます。そういう意味におきまして、特にセメントに第一着手をいたすことにしたのでございます。これによりまして後刻資料でごらんにいただきたいと思いますが、東北興業株式会社といたしましてはかなりの事業の強化ができる、資金的にもかなり利益を得ることができるというように私たち確信をいたしておるのでございます。それとともに、御承知のように東北地方は従来も北海道に次いでセメント価格が高かったところでございます。今回の方法によりまして低廉にセメントを供給いたしますならば、単に東北興業が強化されるばかりでなく、東北地方事業一般的に振興するということを考えたのでございます。今回の事業によりまして会社自体が興るとともに東北地方一般振興にも資する、製品が東北地方で主として使われる立場にあるものを選んだのでございます。そういう意味におきまして、セメント事業を選んだわけでございます。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 昨日通産省からの説明によりますと、セメント需給バランスは、今新しい工場を作る状態になっていないことは御存じだろうと思いますが、これに対しまして、需給バランスはむしろ生産過剰的な方向を向いておるというのにかかわらず、ここにセメント工場を作ってさばけるというお見込みはどこからお立てになっておるのですか。
  28. 町田稔

    町田政府委員 昨日セメント需給状況につきまして政府側から御答弁申し上げました通りでございまして、需給状況は私の答弁申し上げました通りでございます。ただ今回東北興業が作りますセメント製造方法は昨日から申し上げておりますようにシャフト・キルン方法によるわけでございまして、シャフト・キルン製造方法によりましてセメントを作ります場合には生産費が非常に安くて済むわけでございます。私たち承知いたしております範囲内におきましても、少くとも現在の市価の千円以下で販売ができるというように考えておるのでございます。日本におきましては従来から建設省等におきましてもかなり良品のセメントを使っておりまして、事業によりましては、むしろ規格がよ過ぎるというようなものを使っておりました。そういう比較較的規格の高いものでなくとも、むしろ多少規格は悪くとも、価格の安いものを使うことが、公共事業を比較的経済的に施行するためには必要である部面があるわけでございます。この点は公共事業をやっております際に特に建設省といたしましては痛感いたししておったのでございます。まさにそういう要求に沿うところのセメント東北興業といたしましては今回製造いたすわけでございますから、これが消化につきましては私たちはきわめて楽観をいたすことが根拠のないことでないというように考えておるわけでございます。ことに年間二十二万トンの生産量でございますので、これが消化は全然心配がない、こういうように私たち考えておるわけでございます。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 お説によりますと、需給生産過剰になっておるけれども、この東北興業で作るセメントは少量であることのほかに安くできるから大丈夫だというお話のように承わるわけでありまするが、それならば通産省のお方にお伺いたしまするが、ほんとうにそういう安いセメントが今の計異通りにできるとお考えになっておりますかどうか。それから同時にまた今あなたはそう言われまするけれどもセメント業界というものはまことに手に合わぬものであることを十分御承知のはずです。商魂たくましいセメント業界が、そんなに安くてすぐもうかる仕組みのものを手をつけずにほうっておいてあるのに、ぬれ手でアワをつかむように、お役所仕事でやって、ほんとうに太刀打ちできるとお考えになっておりますか、この一点と通産省の方のお見込みとをお伺いいたしたいと思います。
  30. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、シャフト・キルンにつきましては、現在逐次成績は向上しておるようでありますが、現状におきましては今後なお努力を要する面があろうかと思います。この点につきましては、東北興業事業を開始される場合におきましては、これにつきまして日本としては唯一の経験者である宇部興産にも技術上の御援助はできる限りするようにということを話してあるわけであります。  収支の問題につきましては、企業のことでございますから、いろいろな要素なり条件がからむわけでございまして、これらの点については、開発銀行においてもなお今後十分御検討になるということでありますので、私ども気のつきました点は建設省なり開発銀行にはお伝えをしておるわけでありますが、相当の努力を必要とするであろうということは申し上げなければならぬかと思います。
  31. 町田稔

    町田政府委員 シャフト・キルンを使って東北興業セメント生産に成功するかどうか、ことに経済的に既存の業者と太刀打ちできる確信があるかどうかという御質問でございますが、その点につきましては、まことにごもっともな御指摘でございまして、私たちもその点につきましてかなり心配をいたしまして、失敗することのないように従来も十分な方策を講じて参りました。今後も現実シャフト・キルンの設置に当りましては、できる限りの手を尽したいと思っておるのでございます。今回東北興業シャフト・キルンを作るに当りまして、特に日本におきましてシャフト・キルンにつきまして造詣の深い技師を採用いたしたのでございまして、将来現実にこれを設置いたします際には、なお数名の技師をドイツに派遣いたしまして、その製造方法等につきまして、十分研究をさしてなお一そうの完璧を期したいと思っておるのでございます。
  32. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 通産省お話によりますと、このシャフト・キルンによるセメント工場計画はいまだ事実上は試験的な域にあるので、従って相当な努力が必要だということになっております。先ほど来同僚鈴木委員からのお話によりますと、従来東北興業の業績が事実上上っておらない。従いまして、今の建設省お話によりましても、相当な努力を行い、そして十分監督してやるというお話でございまするが、くろうと衆が本気になってかかっているのに心配でしょうがないようなものを、これまで普通のものでさえも十分こなし得なかったような会社にやらして、それでほんとうにそろばんが立つということは、これはどうにも私ども常識的には了解でき得ないのです。従いまして私どもここになぜこんなに強く押されるかということを、そういうふうに吟味して参りますと、何か役所の中の内輪の話か、あるいはその他政治的な考慮があって、その辺から何かむちゃくちゃに押そうとするのではなかろうかという、つい疑念が生まれざるを得ないのであります。従いまして、私どもは、どうにもこれは納得いきかねるわけでありまするが、それならば、そういう試験操業的なものであるということに対してまして、竿頭一歩を進めて、ほんとうセメント生産に対しまして画期的なものであるならば、専門家であるところの通産省を中心にしてそういう工場を建設させるなり、あるいは監督させるなりというように——これまでのところから飛躍して、ほんとうにそういう試験的な、国家的なことをやるというならば、これは通産省の普通のセメント監督の筋からやらせるという方法をお考えになったことがありますか、同時にまた、このために今の東北興業自身の役員といいますか現在の人員に対しまして、どういう斬新な、人事交代といったらおかしいかもしれませんけれども、そういう考慮を払われておるのか。この二点どうでしょうか。
  33. 町田稔

    町田政府委員 従来やっている仕事が失敗に終っておるのに、新しい仕事に手をつけさして大丈夫かという御質問でございます。従来手がけて参りました仕事が非常に多く、現在では閉鎖いたしているものがあるということは事実でございます。これは最初に御説明いたしましたように、従来からやっておりました仕事は戦争前に仕事ばかりでございまして、それらの仕事が戦争後非常に経済上の変転によりまして、従来の仕事を続けることができなくなりましたのは、これは残念なことでございますが、東北興業自体の能力に基くというよりは、むしろ他の原因によることが大部分であると私どもは思っておるのであります。ことに整理をいたしました事業の大部分は、先日も御説明申し上げましたが、東北興業社債等を発行する能力がなくなって、それで引き続きめんどうを見ることかできなくなりました。そのために閉鎖をいたしたのが多うございますし、それからもう一つ会社等の整理に関する法律によりましてだいぶ企業整理をいたして数を減したというようなものがまた多かったのであります。そういうような理由によりまして、東北興業自体の能力以外の原因で閉鎖をいたしたのでございます。そこで私たち東北興業自体といたしましては、今後新しい仕事をさせましても十分経営をしていくだけの力があるというように確信をいたしておるのでございます。  幹部の点につきましての御質問がございましたが、セメント事業をやって参りますために一番必要なのは何といっても技術者でございまして、これにつきましては第一流の技術者を東北興業といたしましては採用をいたしておるのでございます。この点についても特に心配はない、こういうように確信をいたしておるのでございます。
  34. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 第二点の、そういう試験操業的なものであるならば、むしろ建設省というよりは、それの専門は通産省の万でありますから、その監督あるいは主務官庁といいますか、それをそっちの方に向けるなり、あるいは通産省でそういう計画をやった後にやられるというようなことは、お考えになりませんか。
  35. 町田稔

    町田政府委員 東北興業株式会社自体の監督の問題でざいますが、東北興業株式会社は、事業といたしましてはセメントもやりますし、肥料もやります。その他埋め立てもいたしますし、農村工業的な事業をもいたすわけでございまして、その事業には各種のバラエティがあります。事業そのものの監督官庁といたしましては、通産省にも農林省にも、各省にまたがる事業をいたしております。しかし会社の使命自体は東北地方振興にあるのでありましで、国土計画地方計画とつながるものだと思うのでございます。それで従来から各種の事業をいたしたのではございましたが、あくまでも会社自体の主務官庁は地方計画、国土計画を主管いたしておりました官庁がこれを監督いたして参ったのでございます。今回のセメント関係につきましても、実質的には十分に通産省、それからまた資金的には大蔵省とも関係がございますが、大蔵省その他関係官庁と連絡をとっておりますし、今後も十分連絡をとって参りたいと思いますが、特に主管の官庁をかえる必要はないと考えるのでございます。
  36. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 東北興業関係のものは、一番昔は多分総理府にあったと思います。それがあの占領当時に、二、三回役所の変遷を経て、そうして現在建設省に来ていると思います。その辺の経緯は、むしろ偶然にかわってきたものではなかったかと私は思うわけであります。そうして今埋め立て云々というお話がありましたけれども東北興業のやっている仕事、この間もらったこの事業概要というものをずらっと見ましても、ほとんど主力は通産省じゃないか、あるいはまた農林省のものが少し加わったくらいのものでないかと思います。むしろ問題は、東北振興するということは必要であるし、そしてそのための事業を営むのであるが、その事業が成功するかしないかというのは、現在の資本主義体制下においては、あくまでも能率的な、あるいは経済的な経済が行われるかどうかということにかかっていると思うわけであります。そういう経済的な経営が行われるかどうかというその監督を建設省がやるというのはちょっとおかしくありませんか。あるいはまたそれならばセメント工場を直営するというなら、その部分だけを独立さして、そうして一番監督しやすいところの通産省がやったらどういうことですか。それはどうも役所の中のなわ張り争いといいますか、それがこの法案についてあまり強く出過ぎたような気がして、これはひが目であるかもしれないけれども、そう考えられて仕方ないのであります。なぜ私はえこじにこのセメント計画を推進されるか、それをなおかつ建設省の主管下に置いて、そうして先ほど来、だいぶ説明を聞きましても、私どもが商工委員として、経済経営という点には、どうもぴったり来ないお話しか承われないのがまことに残念なのであります。従いまして、この辺もう少しフランクにお考え直しになる余地がありませんかどうか。一つこれは大臣からお伺いいたしたいと思います。
  37. 馬場元治

    馬場国務大臣 ただいま局長からお答え申し上げました通りに、東北興業自体の使命が東北振興にありまして、この東北振興のための各種の事業一つとしてこのセメント事業を今度経営いたそう、こういうことになったのでありまして、なるほど経営自体、セメント製造の問題自体につきましては御心配の点もごもっともでありますので、通産省あるいは大蔵省、特に技術方面については通産省あたりともよく協議いたすのはもちろん、その好悪ある援助と御協力を得たい、そして万全を期して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、この方針通りに、この工場計画通りに、しかも建設省の主管のもとにやられるということには変わりないわけでありますか。
  39. 馬場元治

    馬場国務大臣 そうです。
  40. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それならば重ねてお伺いいたしますけれども、今目論見書が参りましたので、私かいつまんで見ているわけでありますから、あるいは見落としがあるかもしれませんが、所要資金十四億でもって月産二万トンの工場を作るという。これはほんとうに十四億の資金でこの工場計画をやる自信がありますか。もし十四億でできなかった場合にはどういう措置をとられますか。
  41. 町田稔

    町田政府委員 十四億でここに書いてございます目標額の生産をいたす自信を持っておるわけでございます。
  42. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 この十四億でほんとうにこの工場を建設される自信がおありになるという話で、信念論みたいな話でありますけれども、普通の事業家が見て十四億ではほとんど困難であることはだれでもこれを知っておりますよ。信念論でやられたのではどうしようもないので、そこで先ほども言いましたように、私はもし少し経済的な経営の観点に立って計画を進めてもらいたいということを言っておるわけであります。十四億で途中挫折する場合はどういう責任をおとりになりますか。
  43. 町田稔

    町田政府委員 ただいまこの十四億が、積算の根拠が薄いのじゃないかという意味の御質問がありましたが、この十四億を計算いたしますには、会社といたしましても十分技術的に検討をいたしたのでございます。十四億で二万トンはいかにも資金が少いようにお感じになることは、これは当然だと思います。従来のロング・キルンの方法によりますと、二万トンを作るにはこれの倍程度はかかっております。そういう意味におきまして、今の御質問はごもっともだと思うのございますが、シャフト・キルン方法でございた機械の購入費等につきましても計算をいたしました結果、現在のところ二万トン、十四億というのは決して無理な数字でないという確信を私たちは持っておるのでございます。
  44. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それではその次に進みまして、操業第一年度の収支予想のときの原価が五千五百八十三円ということになっておるらしいのでありますが、今度吉岡さんにお伺いいたしますが、この中で特に労務費並びに資材費がこんなものでほんとうにやれるとお考えになりますか。
  45. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 計画の内容につきましての意見は会社当事者にも直接お話してございますが、われわれといたしましては多少見積りが窮屈じゃないかという感じを実は持つあけであります。しかしこれは、しさいに個々の項目につきましてそこまで私どもとしても立ち入って意見を申し上げるのもどうかと考えておりまして、これは開発銀行等で具体的に御検討願うのが適当であろう、かように考えております。
  46. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 昨日のお話によりますと、開銀は今調査中というお話であります。開銀の調査が完了しまして、これはどうも具合が悪いからというので予定通りの融資に対しまして批判的なといいますか、予定通りの融資を断わられたときはどういう措置をおとりになるお考えですか。
  47. 町田稔

    町田政府委員 現在ここに書いてございますような内容で私たちは特に不都合な点がないと確信をいたしておりますので、おそらく開銀等におきましても同じような結論が出ると考えておるのでございます。
  48. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 大体その辺が普通の常識から言えば商売人の話ではないのであります。社会党が商売人の話をするのはおかしいのでありますが、手業計画を立てる場合には、大体大筋の資金繰りから収支予算等を開銀が信用する程度にまで固めてから公けにするのが当りまえの話であります。私どもは、これを見まして非常にずさんであることと、まあ権力にものを言わせて何とかなるであろうというそこに非常に大きな力を託されておるように見受けられて仕方がないのであります。(「それは会社目的が違うんだ」と呼ぶ者あり)会社目的というお話でありますけれども、それならば私は、今度は役所に対して総合的にお話を申し上げたいのでありますが、この東北興業という会社は、採算を抜きにして東北振興のためにやっていい会社だということであれは、私はそのままこれを了承いたします。従って東北興業についてはそういう方針で主務官庁は当っておられますかどうか。もしそういう方針でありますれば、先ほどのような苦しい説明一つも要しやしない。最初からこれは普通の民間なり何なりとは事業上の太刀打ちはできないのだ、従ってあくまでも官庁の庇護のもとに採算を抜きにして東北振興するための会社だ、従って事業一つ一つもそういう方向をたどるのだという方針で指導されておるかどうか。
  49. 町田稔

    町田政府委員 このセメント事業に関します限り、先刻もお話し申し上げましたように、十分採算がとれるという確信を持っておりますし、そのつもりで事業計画を立てさせております。
  50. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 議事進行について。佐々木君の質問はまだ相当あろうと思いますし、ほかの委員各位からも質問が相当あろうかと思いますけれども、昨日から今日にかけての質疑応答を伺っておりますと、政府側答弁が統一されておりません。しどろもどろといってよいという感じがいたします。たとえば昨日から鈴木委員がだんだんと追及していきますと、東北六県の知事の意見を聞いた上でというようなことで、しばしばそこへ答弁を逃げております。それほど東北六県の知事の意見が重要であるとするならば、なぜこの法案提出前に知事からの意見を聞いて確信をもって法案をお出しにならないのか、こういう点においてもはなはだ疎漏であります。さらにまた資金の問題についても、昨日から伺っておると、開発銀行等では二カ月なり三カ月の調査を要する、慎重を要するというようなことをわれわれは聞き取っておるのであります。そうすると、さっきから佐々木君が質問しておるように、もし開発銀行が断わったということになれば、あるいは社債かあるいは政府保証か何らかそういう形を多分とらざるを得ないということに一なると思うが、開発銀行が断わるような内容のものに社債の発行がうまくいく道理はございません。またそういうところに政府保証をするということは許されません。こういう点もなっておりません。さらにまた建設省通産省との関係においても、大臣は閣議において通産大臣と了解したというような意味のことをおっしゃったようであるけれども、だんだん伺っておると、通産省の事務当局との間において、完全なる意見の一致は見ておりません。ただいまの吉岡政府委員答弁においてしかり、全く政府部内、関係省事務当局の意見は統一されておりません。さらに与党と政府との間においても意見は一致しておりません。いわんや与党内部においても一致しておりません。こういう点もわれわれは十分知ることができます。そういう点等をだんだん考えてみますと、なおさっき鈴木委員から通産大臣等の出席を求めておりますが、なお資金等の問題について大蔵大臣の意見も当然聞かなければなりません。だんだんそういうふうに発展させていくならば、いよいよもって不一致の点を暴露する以外の何ものでもございません。従ってこの法案の審議をわれわれに託されるならば、もっとこういう点において十分政府側の意見を統一して、権威あるものとしてわれわれに審議を求められたい。この点はなはだもってわれわれ遺憾に思います。だがら委員長は、今申し上げた点等を政府並びに与党関係各省との関係において十分意見統一をした上で審議をされるよう委員長に対し申し入れまして、その統一をされるまで暫時この審議を中止されるよう私は動議を出します。
  51. 徳安實藏

    徳安委員長 委員長同士の申し合せもありますので、御質疑のある方はやっていただいて、そうして後にまた今のことを取り上げるようにいたしたいと思います。佐々木君、質問を続行して下さい。
  52. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私の動議をどうなさるかを一応委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  53. 徳安實藏

    徳安委員長 ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  54. 徳安實藏

    徳安委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。  午前十一時四十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕