○石破
説明員 御
指摘の朝日新聞に出ました記事は、こまかく言いますと若干不正確な点はありますけれ
ども、大体事実のことが報道されておるようであります。私
どもの
考え方は、やはり今日の朝日新聞に出ておるところに大体尽きるわけですが、申し上げますと、大体問題はただいま御
指摘になりましたような二点であります。分譲住宅について頭金をとっておるという点でありますが、これは住宅公団の分譲住宅制度を作りました際には、全然頭金がなしに分譲できる、そのかわり当初の七、八年間は毎月払っていただく分譲代金は多くなりますけれ
ども、いわゆる頭金は全然とらないという
趣旨でできたのが住宅公団の分譲住宅制度であります。ところが新聞に
指摘されましたようなことをどうしてやったのかといいますと、若干その辺に、始めて早々のことでもあり、手違いもあったようですが、悪意ではないようであります。と申しますのは、分譲する以上は二十年間に分譲代金を払っていただくわけでありまして、相当の資力のある方でなければ、これはどうも大へん失礼ですけれ
ども信用はならない、しかもそれがある
程度形式的に資力ありと判断されるものでなくてはならないというようなところから、月々の分譲代金の大体五倍
程度の収入のある方でなければ分譲できないということにきめておるのであります。ところがかりに毎月の分譲代金が一万二千円といたしましょう、そうすると月収入六万円ある方でないと個人に分譲はできない、こういう結果になる。もともとあの制度は個人に分譲するのを当てにしたのではありませんで、企業者の方で、分譲代金を初めの七、八年間に少しずつよけいに払っていく、そして労務者その他職員に対しては初めからずっとならして家賃を会社がとっていく、そこにねらいがあった。ところが個人の場合にやろうとしたところが非常に困ってしまった。六万円の月収のある勤労大衆なり国民大衆はおりはしない。そこで困ってしまって、百万円なり八十万円の家を、あなたの収入は四万円、五万円しかありません、それに一万二千円払ってもらうということは無理ですから、あなたの方の全体の債務を減らしておけば、頭金として払っておいていただければ、月々納めてもらう分譲代金というのは一万二千円を割ることになります。そういうようなところから、ああいう頭金をとることにしたらしいのです。しかもそれが、一般に募集した
あとでそういうことをやったというような点に、非常に問題があった。そこでこの問題につきましては、きょうの新聞にも大体われわれの
考えを述べておきましたが、やはり公団住宅というのは、理由が何であろうとも、頭金のない住宅を提供しようというのが、あれを作った
趣旨でありますから、頭金というものはやめてもらいたい。こういうことを公団に話しております。頭金のある方は住宅金融公庫の住宅なり、産業労働者住宅を利用していただこう、こういうふうにやりたいと思っております。もう
一つ、地域差と申しますか、神奈川県に建てた家には神奈川県の人間でなければ入れないという問題であります。これは賃貸住宅の方でありますが、実はこれも法律の正面からはぶつかりませんけれ
ども、もともと住宅公団と申しますのは、
地方公共
団体の区域を越えて、そういうものにこだわらずに住宅を供給しようというところから発足しておるものでありまして、その精神からいいますと、地域差をつけることは非常に困る。違法とまではいかなくても、われわれの
考えと違った結果になっております。これにつきましては、どうしてこういうことが起ったかと申しますと、実は住宅公団としても困った問題があるわけであります。といいますのは、神奈川県に住宅を建てようという場合に、ある
程度の
地方出資を県に求めております。それから土地のあっせんその他で、いろいろ県当局なり市の当局の世話になっております。そういうことから神奈川県にしてみれば、この公団の賃貸住宅を建てるについては、おれは出資をしておるのだ、土地もあっせんしてやった。ところが建てた家には東京に事務所を持っておる、東京に勤め先を持っておる連中ばかり入ってしまうじゃないか、それはかなわぬというような地元側からの要望もあるわけであります。そういうことから地域差を設けたようであります。しかしながらこれも、出資をお願いしたり土地のあっせんをお願いしたりする相手のあることでありますから、すっぱりと地域差を全然なくするというわけにいかぬと思いますけれ
ども、そういうことのないように、たとえて言いますれば神奈川県に家を百戸建てたという場合に、それじゃ三十戸は神奈川県の人に優先に入ってもらう、
あとの七十戸はそういうことの制限をつけずに一般の抽せんでいこうというようなところで落ちつけたい、かように
考えております。しかしそれもわれわれの当初
考えておった理想
通りの姿とは
考えませんので、今後は公団に対する
地方出資をなるべく減らしますとか、あるいは土地のあっせんその他を御尽力願う地元の
方々の御了解を願いまして、できるだけそういうことのないようにしたい、かように
考えております。