運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-10-30 第24回国会 衆議院 建設委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月三十日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 荻野 豊平君 理事 薩摩 雄次君    理事 三鍋 義三君       志賀健次郎君    仲川房次郎君       二階堂 進君    平野 三郎君       廣瀬 正雄君    松澤 雄藏君       山口 好一君    今村  等君       島上善五郎君    楯 兼次郎君       中島  巖君    前田榮之助君       安平 鹿一君    山下 榮二君       山田 長司君    渡辺 惣蔵君  委員外出席者         総理府事務官  及川 角寿君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  市瀬 泰蔵君         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     前田 光嘉君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     関盛 吉雄君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君     ————————————— 九月二十一日  委員今村等辞任につき、その補欠として井谷  正吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員井谷正吉辞任につき、その補欠として今  村等君が議長指名委員に選任された。 十月十三日  委員渡辺惣蔵辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として前  田榮之助君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として古  屋貞雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員古屋貞雄辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として河  野正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河野正辞任につき、その補欠として西村  力弥君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員島上善五郎君及び西村力弥辞任につき、  その補欠として稻村隆一君及び片島港君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十六日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員田中彰治君、稻村隆一君、片島港君及び坂  本泰良辞任につき、その補欠として平野三郎  君、島上善五郎君、渡辺惣蔵君及び前田榮之助  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度建設省事業計画に関する件  派遣委員報告の取扱いに関する件     —————————————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  閉会中御参集いただきましてまことにありがとうございました。  まず第九号台風及び第十二号台風による被害調査のため、去る九月委員を派遣いたしたのでありますが、この際派遣委員より調査報告を聴取いたしたいと存じます。廣瀬正雄君。
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 去る九月二十一日より七日間にわたりまして、衆議院規則第五十五条により議長の承認を得まして、本委員会山下委員と私は福岡、佐賀長崎、熊本の各県における災害状況調査いたして参ったのでありますが、これをすべて御報告申し上げますことは相当長時間を要しますので、所見のみを申し述べ、他は文書として提出いたしましたものを速記録に掲載いたし、それによって報告にかえるよう委員長において適当な御処置を願いたいと存じます。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 お諮りいたしますが、ただいま廣瀬委員のお申し出の通りに決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なきものと認めまして、さように決します。
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 それではお許しを得まして所見のみを申し上げます。  第一には海岸堤防及び離島道路早期復旧についてであります。今回の両台風はその進路の関係よりいたしまして、九州西部海岸施設に対しまして甚大なる被害を与えましたことは、今回調査いたして参りました各県の建設省関係土木被害中その約三〇%が海岸関係のものであったことよりいたしましても明白であります。しこうしてこれら海岸堤防災害は、他種のそれと異なり、連日必然的に一日二回の干満により潮の出入りを余儀なくされるのでありまして、いわゆる三・五・二の復旧率をもってしてはとうていこれが万全を期し得ない特殊事情にあるのであります。ちょうどわれわれが佐賀県に参りましたときも、県会におきまして、貧困なる県財政の中からも、補正予算中その八〇%を海岸堤防復旧費に充当する等、これが復旧に異常なる熱意を示しておったのでありますが、海岸施設災害特殊性より見まして、けだし当然のことと思われるのであります。従いましてこれら海岸堤防等復旧当りましては、従来のいわゆる三・五・二の比率にとらわれることなく、初年度において最も強力なる予算措置を講ずる必要があると思うのであります。  次に離島における道路災害復旧についてでありますが、本土側と異ほり道路密度も低く、他に全くの換道もない唯一の道路が壊滅的な打撃を受けたのであります。これらの離島におきましては道路による交通は全くの麻痺状態に置かれているのであります。しかもこれらの災害は一カ所に集中されたものではなく、道路の全線にわたり連続いたしておる状況にありますので、たといその一部を応急復旧にて施工したといたしましても、何らの効果も期待でき得ないのであります。従いまして地元側におきましてもこれらの実情にかんがみまして、直ちに本復旧に着工したい強い意向を示しておるのでありまして、この際これら離島における道路災害につきましては、一カ所や二カ所を復旧するのみでは何らの効用もなさないのでありますから、緊急査定は三割以内というような方式に拘束されずに、特殊の場合はそれを超過いたしましても認むべきであります。そして早急に復旧のできるよう当局は御協力を願いたいのであります。これにつきましての当局の御所見を伺いたいと思います。  第二には改良復旧の問題についてであります。いわば工法の問題でございます。災害復旧工事を行う場合、少しく改良を加えればより強固な、より程度のよい工事ができるにもかかわりませず、原形復旧原則とする現行法規のもとにおきましては、なかなかそこまで手を伸ばせないというのがその実情であります。もちろん国庫負担法第二条におきまして、いわゆる超過工事原形復旧事業同様災害復旧事業とみなすことに一応はなってはおるのでありますが、再度の被災をおそれる技術的良心に基く設計が、とかく各種の検査、監査におきまして、原形復旧原則を逸脱するものとして認められない事例は、今なお相当にあるものと思うのであります。被災の原因を十分に探求いたしまして、再度被災に対しましても万全の措置を講ずることこそ災害復旧工事根本原則であらねばならぬと存ずるのであります。もちろん災害復旧工事改良工事にはおのおのその限界もあることではあり、また国の財政面より見ましても、これを無制限に認めるということはとうていできることではないのでありますが、過去の種々の事例に徴しましても、やはりこの際災害復旧工事に関し、ある程度改良工事制度として認めるべく法的措置を講ずる必要があるのではないかと痛感いたすのであります。当局の御所見を伺いたいと思います。  第三には被災町村に対する起債のワクの問題についてであります。すなわち災害復旧に対する町村起債につきましては、本年度は一町村当り起債額百万円以上のものでなければならないこととなっており、しかもこれは建設関係農林関係というように別々に計算されることになっておりまして、弱小被災町村としては非常に困却いたしているのであります。ことに旱魃あるいは冷害等による災害の場合はともかく、今回のごとき台風あるいは豪雨等による災害につきましては、農林関係災害建設関係災害という工合に別々に起るものではなく、これらは常に相関連して発生するものであります。ことに災害をこうむった町村側にとってみますと、それが農林関係災害にしろ、建設関係災害にしろ、とにかく災害をこうむり、これを復旧せねばならないということには何ら変りはないのであります。従いまして町村単位災害実情あるいは弱小町村財政事情等より見まして、百万円とはあまりに高額に過ぎる。また建設関係農林関係などと別々に計算して、おのおの百万円以上なければならないというのもおかしいと思うのであります。これは自治庁の御出席を願っておりますので、自治庁の問題であろうかと思いますが、当局の御見解を承わりたいのであります。われわれは、災害の場合は一町村五十万円程度に下げることが必要であるかと思っているのであります。  第四には災害住宅復旧についてであります。すでに申し述べましたように、今次台風による災害の特徴といたしましては、住宅関係被害がきわめて甚大であったことであります。住宅被害の最も大きかった長崎県のごときは、これら個人被災住宅復旧補修費といたしまして、一戸当り二万円ないし五万円を限度として、とりあえず庶民銀行等を通じ約二千万円程度融資あっせんに乗り出しているのでありますが、県自体の能力にはおのずから限度がありますため、国といたしましてもこれらの個人住宅復旧補修費に対し、市町村長の責任において容易に融資の道が開かれるよう強力なるあっせん措置を講じてもらいたき旨強く要望いたしておるのでありますが、これは単に長崎県のみならず、被災県共通の問題であろうと思うのであります。従来これら住宅被害に対しましては、滅失の場合以外の破損程度のものには直接救済方法はなかったのでありますが、先般の当委員会における大臣の三十二年度重要事項の概要についての御説明の中に、住宅復興融資基金特別会計を設置して、被災住宅補修等に必要なる資金を、地方公共団体を通じて罹災者融資する措置を講じたい旨の御見解が述べられましたことは、われわれといたしましても大いに賛意を表するものであります。  今回の長崎県等における要望も、趣旨といたしましてはこれとは全く同一のものを要望しておるのでありますが、融資基金特別会計制度実現が来年度であり、制度として何ら救済の方途のない現在といたしましては、やはり積極的に資金融通あっせん等に意を用いる以外に道はないのではないかと思うのでありますが、当局の御見解を承わりたいのであります。また来年度から実施計画右特別会計大蔵当局との折衝の現状をお話願いたいのであります。  次に長崎高島町の住宅事情について一言申し述べたいのでありますが、同町は今次災害前すでに五百二十二戸の住宅不足に悩んでおったにもかかわらず、今次災害によりさらに高島羽島両島を合せ・全半壊三百二十四戸の被害をこうむったのであります。ことに同町はそのほとんどが炭鉱従業員であり、しかも離島でありますため、通勤等関係よりしてこれら住宅問題の解決を他の土地に求めることは不可能であり、全く同島内において解決せねばならない特殊事情のもとに置かれているのでありまして、公営住宅産労住宅等に対する要望は特に強いのであります。  第五には長崎川棚町の旧海軍工廠敷地跡における国有地の問題についてであります。同敷地約十万坪は旧海軍工廠敷地の跡でありますが、その一部すなわち川棚川左岸一帯及び海岸側一帯は、現在国有地として大蔵省管理下に置かれているのであります。しかしてこれらの国有地は九号台風により、その海岸護岸はほとんど全面的に決壊いたし、さらに十一号台風により、海岸より百メートルないし百五十メートルの幅にわたり侵食を受け、今やその三分の一を残すにすぎない状況にあるのみならず、この三分の一の残地さえも連日の干満により、侵食が増加しつつある状況であります。従いましてこれをこのまま放置いたしますならば、国有地はもちろん、これに続く工場敷地——川棚町におきましては同敷地に対しまして、工場誘致をはかりつつあるのでありまして、すでに一億円余に及ぶ工場施設もあり、いわば同時にとって生命力ともいうべき敷地でありますが——これらの敷地さえも侵食されるおそれがあるのでありまして、護岸施設復旧につきましては、一日もこれをゆるがせにすることはできない状況に置かれているのであります。しかしながら、これら護岸施設一帯土地は、すべて大蔵省所管国有でありますため、地方公共団体といたしましても、これが復旧を焦慮しながらも、全く手を出すことのできない状態にあるのであります。従いまして地元といたしましては、九州財務局を通じ、これらの土地無償交付されることにより、地元単独でこれが復旧を行うか、さもなくば明確なる事業主体を早急に決定されたき旨を再三にわたり折衝いたしている模様でありますが、そのいづれにいたしましても、いまだに明確なる解決が与えられず、これが復旧対策には全く苦慮いたしているのであります。  このような例は単に川棚町のみに限らず、全国的にも幾多の事例があると思うのでありますが、大蔵省当局といたしましては今までのような措置をとられてきたか、また今後にはどのような方針措置されるおつもりか、御見解を承わりたいのであります。  以上、今回の調査を通じて感じました災害復旧等に関する所見を二、三申し述べたのでありますが、これに対する関係当局よりの明確なる御答弁を期待いたしたいのであります。
  7. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。私順序があるいは不同になるかと思いますが、離島道路災害復旧の問題でございますが、これはお話にございましたように、ほうっておきますと、非常に交通上支障がありますし、また再度災害を受けるというようなおそれが非常に多いものでございますから、緊急を要するものについては、すでに緊急査定を了しております。そうしてその予算につきましても、すでに一部予備金を支出して工事に着手するようにしておりまして、来年の高潮等に備えまして、再度災害が起らないように、今後におきましても予算措置をしたい、こういうふうに考えております。  それから次の、災害復旧をする際に、再度災害を受けないように強くしろというお話でございます。これは私どもといたしましても、常にそういう点について留意しておるわけでありまして、御承知のように災害復旧工事のほかに、災害関連工事というのを予算にも本年度におきまして組んでおりまして、災害復旧工事とあわせまして災害関連工事関連する改修工事に該当するものを施行するような方法をとっております。今後におきましてもこういう仕事をあわせて施行いたしまして、再度災害が起らないように努力したい、こういうふうに考えております。  次に川棚町の災害の問題でございますが、これは大蔵省国有財産になっておりまして、建設省といたしましては、大蔵省でその復旧方針なりあるいは予算等の問題が決定いたしまして、建設省でそれを見てくれ、こういうようなお話にねりますれば、従来の例もございますので、私の方で世話をしたい。こういうふうに考えておりますが、本来は大蔵省所管の問題になるわけであります。  それから起債の問題でございまして、町村財政が最近は逼迫しておりまして、災害復旧につきましても町村起債がうまくいかないとその復旧も完全にいかないという心配もございますので、私の方といたしましても自治庁とよく連絡をいたしまして、起債につきまして努力をいたしておるわけでございますが、詳しい点につきましては自治庁の方から一つお話を願いたいと考えます。
  8. 及川角寿

    及川説明員 起債の問題についてお答え申し上げます。御指摘通り町村分起債につきましては、本年度からその一件の限度額を百万円に引き上げてあるのでありますけれども、これは原則の問題であります。それからもう一つは、百万円というのは土木施設災害復旧事業農林関係災害復旧文部省関係災害復旧、こういうふうにおのおのに分れておったのであります。これは御指摘のように非常に問題がございまして、そのいずれもが百万円になりませんと、災害復旧起債として取り上げられないという非常に不合理があります。そこで私の方といたしましては、本年からこの公共災害復旧事業につきましては、そのすべてを合せまして限度額百万円ということになればそれで一本の災害復旧事業として起債をする、こういうふうにいたしております。これは近く正式に通牒を出すことに決定いたしております。御了承願います。
  9. 鎌田隆男

    鎌田説明員 住宅災害の件につきましてお答え申し上げます。住宅災害が起りまして、これの復興につきましては制度上いろいろの方策が今日あるのでございますが、ただいまお話がありました個人住宅半壊破損その他の復興につきましては、確かに御指摘通り現在のところ制度化されていはいことははなはだ残念に存じておる次第でございます。そこで従来とむ各地方の非常な要望もございまするし、また当委員会におきましてもたびたび御指摘を受けておりますので、私どもといたしましてはぜひこういう制度を何とか制度化したいということで、いろいろ準備を進めておりますことは、この前の委員会におきまして大臣から申し上げた通りであります。ただこれの実現についてどんな見通しかというお話でございますが、これは新しい制度でもございまするし、またこういう災害融資ということにつきましては、従来も住宅の問題ではございませんが、ほかの問題でいろいろ従来の経験その他徴しまして、大蔵当局におきましてもかなり難色を示しておるような状況でございます。しかしかなり世論の要望が強いような次第でもございまするので、私どもとしましては最後まで、できる限り実現をはかるようにいたしたいと存じておりますが、なおいろいろ御支援をお願い申し上げたいと存じます。  なお高島お話もありましたが、この高島復旧につきましては、住宅金融公庫から現地要望にほとんど一ぱいになる程度融資も決定いたしておりますし、また公営住宅建設もいたすように計画をいたしております。
  10. 市瀬泰蔵

    市瀬説明員 ちょっとおくれて参りまして大へん失礼いたしました。ただいま長崎県の川棚町の災害の問題について御質問があったとのことでございますが、川棚につきましては、私どもの方初めのうちは第九号の台風被害は、情報があまりよくわからなかったのでございますが、最近に至りまして財務局の方から、川棚町からあの国有財産である防波堤や港湾施設無償で譲渡するとか、あるいは国においてこれを補修するとかいうような措置を至急講じてもらいたいという陳情書が、財務局を経由して私どもの方へ参りましたので、この対策につきましてただいま検討しておる次第でございます。ただいまの国有財産法あるいは特別措置法とかその他の規定によりますと、あの元旧軍用の財産無償で譲渡する法文の規定がありませんが、国有財産特別措置法によりますと、その第二条に公共団体に対しまして無償貸付することができるという規定がありますので、この規定の適用によりまして、もし川棚町やそれから運輸省当局の方の御要請もありましたならば、無償貸付の道を講ずる用意もあるのでございます。そういたしましたあとで、運輸省の方におきまして地方港湾といたしまして復旧方法を講ずるというような用意があるやに聞いておりますが、実は私どもといたしましてただいまその実情調査中でございますので、いましばらくお待ち願いたいと思うのでございます。その調査中と申しますのは、運輸省関係市町村と申しますか、川棚町の方、それと私どもの方の財務局と十分打ち合せをしてそういう線でやりたい、こう思っておる次第でございます。
  11. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 自治庁の御答弁は大体われわれの考えと同じだと思っておるのでありまして、一応満足しなければねらぬと思いますが、災害復旧につきましていわゆる工法の問題でございますが、ただいま河川局長から御答弁がありましたけれども、現在の災害復旧は御承知のように原形復旧ということを原則にいたしておりますために、そのほかに関連とか助成がありますことは私どもは知っておるのでございますが、原則原形復旧なものですから、査定の場合に非常に個人差があると思うのでございます。こういう点を果してどのようにお考えになっておられるか、それと関連とかあるいは助成ということになりますと、どうしても補助率が少いというような難渋が市町村にとりましては伴いますわけでございます。どうしても私ども考えからいたしますならば、災害復旧原形復旧ということを根本義とする、その考え方を是正する必要がありはせぬかというように考えるわけであります。その点が問題の焦点であるのでありまして、もう少しつつ込んだ御説明をお願い申し上げたいと思います。
  12. 山本三郎

    山本説明員 災害査定をする場合に現地を最近におきましては実査主義をとりまして実情に応じた査定を行う。それから査定官制度を作りまして査定の強化をしておるわけでございます。それで個人差があるという御指摘がございますが、これは現地に参りまして全部を一人の目で見るということができないのでありまして、従いましてそういう点も認められるのでございますが、その点につきましては毎年度査定官を派遣する前に査定方針というものを作りまして、本年度におきましてはこういう方針をやろうということで逐次改善をしてやってきております。それからまたむずかしいような問題につきましては協議設計というふうなものにいたしまして、本省へ持ち帰りまして、本省の幹部にも説明をいたしまして、査定官等が集まりまして、その工法等を決定するというふうな方法をとっております。なおそういう点も協議いたしまして、個人差がないように努力したい、こういうように思っております。それから長期工事等災害でとれるようにするという問題でございますが、私どもといたしましては、事務的の繁雑等の面からいたしますと、災害で全部とるという方が、事務的に考えますと非常によろしいわけでございますが、一方におきましては、同じような工事改修工事なりというもので行なっておるわけでございまして、財政負担問題等の点がございますので、全部これを災害の法律でとるという問題につきましては、多少の疑問を残しておるわけであります。ただし、お説の点もございますので、今後におきましては、私どもといたしましては常に研究をいたしまして、この向上には努力しなければならぬ、こういうように考えております。
  13. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 それから住宅災害特別会計の問題でありますが、先ほど来年度提案したいと思って大蔵省折衝中だという住宅局長の御答弁がありましたが、これはぜひやっていただかなければならない問題だと思うのであります。現在大蔵省との折衝でどういう点が一番折衝の難関になっているかということにつきまして、御説明を承わりたいと思います。
  14. 鎌田隆男

    鎌田説明員 一番難点となりますのは、従来住宅でなしに、ほかの方のいろいろの諸制度におきまして、こういう災害につきまして融資をしている例があるそうでございます。そういう方面におきましての成績といいますか、その償還が十分にいかないとか、こげつきになっておるとかいう、そういう問題が、前にほかの問題でかなりあるそうでございまして、今回のこの住宅の場合も、どうしてもこういうのに貸しました場合に、国から地方公共団体に貸し、地方公共団体個人融資をする、その場合に、その融資がかなりこげつきになってしまいやしないかという問題がある。住宅金融公庫の融資方式のように、十分な担保とか保証人とかというむずかしいことをやっておりますと、またこの融資が生きても参りませんので、そういうような関係が一番の難点のように考えられるわけでございます。
  15. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 ほかに二、三お尋ねしたいと思うのであります。筑後川や有明海の今回の被害一つは堤防が低かったからだというようにも考えられるのでありますが、これにつきまして、俗にいうヘドロというあの地方状況によりまして、堤防がだんだん沈下していっているというようなことをいわれておるのでありますが、これに対しまして、当局は何か特別に御調査でもやっておられるかどうか、またその対策を進めておられるかどうか、これをお尋ねいたしたいと思うのであります。
  16. 山本三郎

    山本説明員 お答えいたします。筑後川の下流等を含めた有明海の沿岸の地盤は非常に軟弱地盤でございまして、堤防等を築造する場合におきましては、築造中に非常に下ってしまうというようなことはお話通りでございます。従いましてこれを常によく調査しまして、危ないところは至急に補強をしなければならぬということで、現在までにおきましては、あの沿岸は県におきまして管理をいたしておる部分が多いのでございますので、県で調査をいたしておりますが、来年度からは直轄で調査をしようということで、調査費を来年度は要求しております。  それから堤防の沈下対策につきましては、本年度査定いたしました海岸堤防につきましては、従来よりずっと敷幅を広くしまして、地盤の悪いところに堤防を作りますと、作ったところの、盛ったところの土がわきにふくらみ上るというような事態が非常に多いわけでありまして、そのためには小段等をつけて堤防の敷幅をうんと広くするというような方法考えております。またそういたしましても非常に高い堤防を作るということは・将来においても危険でございますので、堤防を高くするかわりに堤防の上をコンクリートなり石なりまきまして、潮が越しましても堤防が切れない方法考えるというような方法を併用いたしまして、沈下並びに波が越したときの対策に遺憾のないように考えておるわけでございます。
  17. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 筑後川は九州で一番大きな川ということになっておるのでありますが、しかも一番災害の多い川でございます。下流を直轄河川といたしまして改修を進めておりますことは当然と思うのでありますけれども、今度の大川市のはんらんは未改修の部分であったのであります。こんな川は重点的に改修を急がなければならぬものだと思うのでありますが、当局はいかがなお考えを持っていらっしゃるか。  さらにただいま筑後川につきましては、下流の久留米に工事事務所がございます。上流の日田に工事事務所の出張所があるのであります。従来建設省は一水系に一つの事務所という方針をとっておられるようでありますが、これは私は単なる形だけの方針だと思うのでありまして、災害の多い河川の流域におきましては、その改修を目ざしまして、その事務所が二つあっても三つあっても差しつかえないと思います。筑後川はまさしくその例であると思うのでありまして、上流の日田の出張所を工事事務所に昇格せしめて強力に改修を急がせる御方針があるかどうかお尋ねいたします。
  18. 山本三郎

    山本説明員 第一番の筑後川の下流部分の堤防の問題でございますが、本年の高潮に際しまして、筑後川の大川市付近の堤防のない部分からはんらんいたしまして塩水が入ったという点につきましては、非常に遺憾に思っておるわけでございます。筑後川につきましては二十八年に大災害を受けまして実は相当な予算も入れたつもりでございますが、何せ二十八年の災害は、主として久留米から上流に災害が非常に多かったわけでありまして、現在まではその方面に災害復旧とともに工事の重点をそそがなければならぬような実情でございました。しかしその対策もその災害関連した対策は大体において終了いたしましたので、今後におきましては下流部の海岸関連する部分に重点を置いて改修をしたいというふうに考えております。  それから大分県の日田の付近の問題でございますが、御承知のように大分県日田の付近の改修は、二十八年の災害の直後に災害が非常に多かったために、改修とあわせて施工するために始められた工事でございまして、現在においては相当工事量も多くなっておりますし、また筑後川上流の一円の調査も実施しておるわけでございまして、この事務所の設置につきましては、ただいま地方建設局からその要望がございまして、目下本省において検討中でございます。現在の状況におきましては、工事量も膨大になって参りましたので、先生のお話の一水系一事務所というふうなことも、工事等が小さい場合にはそういう考え方もいいわけでありますが、それらの点も勘案いたしまして目下研究中でございますが、近く結論を出したいと考えております。
  19. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 佐賀県の例でございますが、国営の堤防が残り、県営の堤防は崩壊しておるのであります。高さが違い断面が違いますとさような状態になるかと存じますが、国と県は経費が非常に違います。また県によってもいろいろ違っておるのでありまして、かような工事については国で統制してやる、県営であっても国営であっても、同一な意味で護岸あるいは堤防のできますような統制をやるお考えが必要じゃないかと思いますが、このことについてお考えを承わりたいと思います。
  20. 山本三郎

    山本説明員 海岸堤防等海岸施設の規格の統制の問題でございますが、この点については先般海岸法を制定していただきまして、堤防の基準を法律で規定していただいたわけでありますが、その細部の問題については目下建設省としても案を作っておるわけでございまして、間もなく結論が出ますので、関係各省とも来月になりましたらその規格の問題について話し合いをいたして、そして今後の工事においては統一をはかっていくように努力したいと考えております。
  21. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 同じく佐賀県の例でありますが、今度は農林省関係でございましたけれども、第一線の堤防がこわれまして、第二線の堤防が崩壊一歩前にある。漏水いたしまして非常に危険な状態にあるようでございますが、建設省関係でもこんね例は各地にあるのではないかと思います。かような場合に、第二線の堤防を公共土木の対象として護岸をする必要があると思うのでありまして、管理などについてそんな指導を当局はやっておられるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  22. 山本三郎

    山本説明員 二線の堤防の復旧対策でございますが、私どもといたしましては、第一線が切れたために二線の堤防が危なくなって被害が起るわけでございますので、第一線の堤防を切れないように完全なものにする、こういうことに力を入れたいと思っております。ただし二線の堤防も、道路や資材の運搬等の機能を有しているものについては、その機能を復旧する程度まで災害復旧工事として採択していこう、こういうふうに考えているわけでございまして、第一線の堤防に主力を置いてその復旧に万全を期したいと考えております。
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 今回の有明海の被害干満の差が非常に大きいところに原因があったかと存じますが、有明海は締め切りますれば干満の差が減るだけで自然に三、四十町歩の干拓ができるというように伺っております。これは非常な大事業でございまして、ただひとり建設省だけの問題ではないと思いますが、有明海について何かさような根本的な対策を講ずる調査が進んでおるかどうか、お伺いいたします。
  24. 山本三郎

    山本説明員 有明海の問題については三、四年前から各省で調査をしておるわけでございまして、本年度においても経済企画庁の持っておりまする調整費の配分を各省にいたしまして、有明海の問題を調査しております。建設省といたしましては河川の出口付近の状況、水位であるとかその付近の堤防の状況であるとか、あるいは海岸の土砂の状況とかいうような問題を分担して調査しております。また海洋気象台等においては、小さいことでありますけれども模型実験等を行なっておりまして、それらをあわせて総合的な調査を進めておるわけでございます。
  25. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 長崎県においては、建設当局もすでに御承知のように、直轄河川の要望が非常に強いのでございます。従来は直轄河川については、二つの県にまたがっていなくちゃならないとか、川の規模が大きくなくちゃならないとか、いろいろな条件があったわけでございますけれども、現在は地理的、経済的な条件も種々変ってきております。たとえば下流に工場が建って災害があっては困るとか、あるいは上流の方に開拓が進んで災害の可能性が非常に多くねったというような状態にはっておるという点などいろいろあると思うのでありまして、そんな状態であるにかかわりませず従来の方針を変えずにそのまま踏襲するということでは不合理があるのではないかと思うのであります。長崎県の今回の災害にかんがみまして、長崎県に三つ大きな川があるようでございますが、いずれの川か直轄河川に指定するお考えがあるかどうか伺いたいと思います。
  26. 山本三郎

    山本説明員 長崎県の河川を直轄河川として改修してくれという要望は、私どもの方に対しましても参っております。現在におきましては、従来の各県におきまして直轄河川に入れておる河川と比較いたしまして、順次できるだけ地方財政関係もありますので、直轄河川としてやりたいという考えを持っております。しかし長崎県の河川が、さて、直轄河川に入らない部分の一番上位に位するかどうかということはなかなか問題があるのでありまして、具体的の川につきましては、私どもといたしましても将来においては検討したいと思いますけれども、直ちに長崎県のどの川をということは今すぐにはお答えできないというふうに考えております。
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 従来のかた苦しい条件を固守するわけでないことは事実なんでございますか。
  28. 山本三郎

    山本説明員 御説の通りでございまして、地方財政関係もございますので、もちろん国の財政考えなければいけないわけでありますが、できるだけダム等におきましてもあるいは川等におきましても直轄で多くの事業をやろうということは考えております。     —————————————
  29. 徳安實藏

    徳安委員長 次に去る七月、国政調査のため九州方面を視案願いました委員より調査報告を聴取いたします。薩摩雄次君。
  30. 薩摩雄次

    ○薩摩委員 去る七月十一日より七日間にわたり、衆議院規則第五十五条により議長の承認を得まして福岡、長崎、熊本、大分の各県における建設事業を調査して参ったのでありますが、これをすべて御報告申し上げますことは、相当長時間を要しますので、所見の一、二を申し述べ、他は文書として提出いたしましたものを速記録に掲載いたし、それによって報告にかえるよう委員長において適当な御処置を願いたいと存じます。
  31. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいま薩摩君より御発議の通り決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 徳安實藏

    徳安委員長 それではさように決します。
  33. 薩摩雄次

    ○薩摩委員 それではお許しを得まして所見のみを簡単に申し上げます。  まず第一には、有料道路と公共事業費による道路整備との関連についてであります。現在北九州地方におきましては、大川橋、住の江橋及び西海橋の各橋梁が有料道路として完成いたし、すでに業務を開始いたしているのでありますが、このうち大川橋を除きますと、西海橋にいたしましてもまた住の江橋にいたしましても、その償還成績は必ずしも良好とはいい得ない状況にあるようであります。これは住の江、西海の両有料道路に限らず、全国各所のそれについて見ましても、現在までのところ予定通りの償還成績を上げているものの方がむしろ少いのではないかと思うのであります。もちろんこれは、わが国におきましてこのような制度がとられましたのが、昭和二十七年に道路整備特別措置法が制定されて以来のことでありまして、いまだその日が浅く、かつまた償還成績良好ならずとは申しましても、年々上昇の傾向を示しておりますこと等よりいたしまして、現在の成績のみをもちましては直ちに本制度の将来を危惧するの必要はないと思うのではありまするが、ただ遺憾に存じます点は、一般のいわゆる公共事業費によりまするところの道路整備事業との間に十分なる関連性がなかったがために、その効果を上げ得ないものが相当にあるのではないかということであります。すなわち西海橋にいたしましても住の江橋にいたしましても、すでに有料道路といたしまして橋梁自体はりっぱなものができ上っておるのでありまするが、これに通ずる公共事業費による道路の整備がこれに伴わざるため、せっかくでき上りましたこれらの有料橋も、少くともこれらの道路の整備が完了いたしますまでの間は、極端に申しますると、いわゆる宝の持ち腐れとでもいうような状態に置かれているわけであります。これは、元来事業計画に基いて予算が編成さるべきであるにもかかわらず、これが逆の状態にならざるを得ないわが国の現状におきましては、ある程度無理からぬ点もあるかとは思うのでありまするが、やはり国の道路整備の効率化という点より見ましても、また日本道路公団の発足によりいわゆる独立採算制としての性格が強く打ち出されるとともに、民間資金の導入によりまして国民の道路に対する関心がようやく高まって参りました今日、このような状態が各所に散見されますることは、国の道路政策に対する不信を招くものであります。従いまして来年度より予想されまする道路整備十カ年計画の実施に当りましては、有料道路をも含めた一貫せる計画のもとに、効率的な整備が遂行せられるよう強く要望いたすものであります。  第二には、車両の制限に関する政令について申し上げます。御承知のごとく、旧道路法におきましては、道路の費用負担制度といたしまして受益者負担及び損傷負担の両制度が設けられてあったのでありまするが、現行道路法におきましては、改正当時における種々の事情によりまして、第六十一条に受益者負担金の規定のみが設けられ、旧道路法第四十条による損傷負担制度は残されねかったのであります。しかしながらその後における自動車と道路とのバランスの推移を見まするに、自動車の増加、特に道路との比較におきまして重量に過ぎ大型に過ぎる定期バス、トラック等の急速なる増加によりまして道路破損せられ、あまつさえ財政窮乏をきわめている地方公共団体といたしましては、これが維持修繕をも満足に行うことができず、道路破損の一途をたどっている状態であります。従いまして他にこれらに対する措置が講ぜられることなくこのような状態が続くものといたしますと、やはり道路に関する工事により著しく利益を受けるものがある場合、当該工事に要する費用の一部を負担させることができるものとする受益者負担制度と同様、たといガソリン税を徴収されているとはいえ、その中でも特に道路を損傷する原因となる事業を行うものに対し、これに要する道路の維持修繕の費用の一部を負担させることができるものとするいわゆる損傷負担金の制度を復活すべく検討する必要があるのではないかと存ずるのであります。これはもちろん慎重に検討いたさねばならぬものでありましょうが、いずれにいたしましても、単に道路の損傷という点からのみでなく、道路交通の安全確保という意味からいたしましても、少くとも次善の策といたしまして、現行道路法第四十七条第三項の規定のみにても早急に運用できるよう、前条第一項による車両の制限に関する政令を急速に制定する必要があると思うのであります。同条第二項の規定にいたしましても、やはり本政令がその根本をなすものでありまして、当局といたしましても諸般の事情により苦慮されておられることとは存ずるのでありまするが、すでに現行当路法の制定後足かけ五年を経ておりまする今日、強力なる意思をもって本政令の制定に努力いたされるよう強く要望いたすものであります。  以上、今回の調査を通じまして感じました建設行政、特に道路行政につきましての所見を申し述べたのでありまするが、これに対する当局の明確なる御答弁を期待いたしまして御報告にかえる次第であります。  最後に、道路標識について申し上げます。わが国の道路標識は、昭和二十五年度におきまして、道路標識令の新たなる発足により、その面目を一新すべく整備が行われたのでありまするが、当初におきまして、各所にその誤まりが見られることは御承知通りであります。もちろん当時といたしましては、何分にも発足当時のことであり、道路管理者といたしましてもふなれのためその誤まりがあったことは一応了解できるのでありまするが、遺憾に思いますることは、最近におきましても、依然として各所にその誤まりが散見されることであります。管理者側といたしましては、財源不足のためとかくじみな存在にありまする道路標識にまでは手が回りかねることとは思うのでありまするが、道路標識が高度に整備されることにより、今日の自動車交通の発達をもたらした諸外国の事例に徴するまでもなく、最近における自動車事故の多くは、その道路にふなれなる遠隔地よりの貸切バス等に発生する事例に徴しましても、この際早急に全国的な道路標識の再整備に着手する必要があろうと考えるものであります。  以上をもって報告にかえます。
  34. 富樫凱一

    ○富樫説明員 ただいま有料道路についてお話がございましたが、まことに御意見の通りであります。九州におきましては、橋といたしまして、西海橋、住の江橋、大川橋がございますが、西海橋、住の江橋につきましては、徴収の成績がまことによくございません。西海橋はまず大村湾の湾口をつなぐということを主眼にして作ったものでございますが、これに続く道路が整備されなければ、有料道路として成り立たないことは御指摘通りでございます。ただいま取りつけの道路につきまして重点的にその整備を進めておりますので、この成績は二、三年後にはずっと上ることと考えております。また住の江橋につきましても同様でございまして、長崎に参ります取りつけの道路を整備いたしませんと、その価値が出てこないわけでございますが、この道路の整備につきましても、重点的に公共事業費において考えております。  次に車両の制限についての政令につきましてお話がございました。これもまことにごもっともでありまして、数年前にこの案を立てまして、関係省と投衝いたしたことがあるのでございますが、諸種の事情でそのままになっております。私ども考えといたしましては、これを早急に実現する必要があろうと考えております。それができました上で、お話のような損傷負担ということは考えられるのであります。この道路をいためますのは、大きな自動車がその重量に比例していためておりますので、この損傷負担につきましても、ただいま検討いたしておるところでございますが、近く成案を得たいと考えております。  また標識についてお話がございましたが、標識につきましては、日本の道路の標識はきわめて貧弱でございます。これはまことに申しわけないことでございますが、標識につきましては、戦後数年間は補助して国道の標識の整備をいたしましたが、それきり標識に対する補助はいたしておりません。道路管理者を督励いたしまして標識の整備に努めておりまするが、これも地方財政関係で整備がなかなか思うようにいっておりません。ことにお話のような誤まりのある標識ということがございましたが、これは標識がない方がいいわけでございますので、この点につきましては具体的に取り調べまして、さっそくに誤まりを正すようにいたしたいと考えます。     —————————————
  35. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、前会は昭和三十二年度建設省の重要施策に関しまして建設大臣より説明を聴取し、質疑を行なったのでありますが、本日も引き続いて質疑を行いたいと存じます。ただいま大臣は閣議中でございまして、これが済みませんと出席できないそうでありますから、大臣がおいでになりますまで局長の方に御質疑を願いまして、大臣が来ましたら、大臣の方に関連して御質疑を願うことにいたしたいと思います。三鍋義三君。
  36. 三鍋義三

    ○三鍋委員 大臣が午前中御出席がないというので、局長さんに若干お尋ねしたいと思います。まず最初に河川局長さんにお尋ねしたいのでありますが、この三十二年度大臣説明要旨によりますと、海岸保全事業の促進には特に力を入れていきたいということをおっしゃっておるのでありますが、海岸法が制定されまして、その後着々と事業は進められておると思うのでありますが、問題は保全区域の設定と各省所管責任分担の問題であると思うのであります。この点につきましてどういう問題が残されているか、これをどのように具体的に解決して促進をはかろうとしておいでになるか、これをお聞きしたいと思います。
  37. 山本三郎

    山本説明員 お答えいたします。海岸の問題につきましては、先般の国会におきまして海岸法を制定していただきまして、政令も各省間の話し合いがまとまりまして、近く公布されることになっております。先ほどもお話がございました規格の統一等の問題につきましても、目下各省間で折衝を進めておりまして、規格を統一いたしまして個所ごとに不平均がないような構造にしたいということで努めております。また各省間の分担の問題につきましては、各海岸の管理者の間におきまして話し合いを進めておりまして、目下具体的にははっきりしたものはまだ出ておりませんけれども、各現地海岸管理者となるべき者の間で話が進められております。  それから重点をどういうふうに置くかという問題でございますが、今年度におきましては建設省といたしましての海岸の事業に対する国の予算は約三億でございましたが、来年度におきましては十億を要求いたしまして、海岸改良事業あるいは侵食対策事業等を進めていきたい。また海岸の問題につきましては、その他に災害関連事業といたしまして、高潮対策事業というのをやっております。これにつきましても、従来行なっておりましたものをさらに促進いたしまして、最近発生しております海岸被害に対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 三鍋義三

    ○三鍋委員 具体的な問題につきまして近く基準を決定して、政令によって事業を具体的に進めていこうという御意向を承わったのでございますが、これを一つ早くやっていただきたいと思うのであります。先日も大臣が富山へお見えになりまして、直接いろいろ問題点を御視察願ったのでありますが、やはり海岸所管区域の問題によって、事業がほかなか停滞して進められないという現状であります。これではせっかく海岸法を作りましても、作った意味がないと思いますので、この点につきましては特に、今後早急に事業を進めていくことができるように御配慮をお願いしたい、このように考えるのであります。  次に住宅局長さんにお尋ねしたいと思うのでありますが、住宅対策につきましては大臣非常に御熱心で、今度の三十二年度建設予算を組まれる上におきましても、非常な御配慮を願っておる次第でございますが、過去三十年から三十一年度における公営住宅あるいは住宅金融公庫、それから民間の自力建設、こういった実績は、初めに予定されたように進んでいるかどうか、この点についてお尋ねしたいと思うのであります。もちろんそういうことを基礎にしての御計画であるということはわかるのでありますが、この点を一つ確認をさせていただきまして、なお質問を続けさせていただきたいと思うのでありますが、三十年度における公営住宅の進捗状況、それから住宅金融公庫の進捗状況、それから民間自力建設の実際の状況、これらにつきまして三十年度の実際の状況、三十一年度の最後における見通し、こういったものを御説明願いたいと思います。
  39. 鎌田隆男

    鎌田説明員 住宅の三十年度、三十一年度における実績につきまして申し上げます。三十年度の実績につきましては、計画は御承知のように、民間建設を合せまして四十二万戸の建設目標を立てたわけでございますが、これに対しまして公営住宅計画通り実施をいたしております。それから住宅金融公庫におきましては、大体計画通りには実施いたしましたが、増築融資三万戸のうち、実は未消化分二万戸残りまして、住宅金融公庫におきましては、遺憾ながら増築融資の方の成績が悪かったということで、この二万戸は実現が三十年度できなかったわけでございます。公団におきましては、成立後かなり期間は短かかったのでございますが、公団の職員一同非常に努力いたしまして、二万戸は実際に着工いたしております。その他民間自力建設も大体三十年度に予定をいたしました線に近くできておりまして、合計で、前回も御報告申し上げましたが、四十二万戸に対しまして約四十万数千戸三十年度建設いたしております。ただ遺憾ながらその増築融資の二万戸だけが穴になったという点、これは前回も御報告申し上げたと思いますが、そういうようになっております。  それから三十一年度の実績でございます。これはまだ年度途中で、全体として申し上げかねるのでございますが、九月末の現在で調査いたしたところによりますれば、公営住宅で今日着工をいたしておりますのが約四〇数%であります。公庫の方の着工率が大体三五%程度、それから公団が三〇%程度、着工いたしたものはそういうふうに報告が参っております。この成績は、まだ年度途中でありますけれども、あまり成績がいいとは申されないので、大いに督励いたしましてもう少し進めたいと思っております。この原因は何かといいますれば、いろいろな事情がありますが、一番大きな原因は、やはり最近の鋼材の値上り問題がかなり影響をもたらしておると思います。といいますのは、土地も手当でき、設計もできまして、発注する一歩手前になっておりますものが今日かなりございます。ただ鋼材が七月ごろから急激な騰貴をいたしました。その価格も九月ごろ非常にピークになりまして、九万円を突破するというようなべらぼうな価格になりましたので、一時これを見合しておるというような点もございます。その対策につきましては、いろいろとりましたので、後刻大臣から申し上げることになっておるはずでございますが、そういうような影響もございまして、着工率が多少思わしくいっていないということでございます。ただ民間の自力建設は毎月の統計をとっておりますが、昨年の十二月ごろから非常に建設が伸びておりまして、その状況は七月まで継続いたしました。八月は七月に比較いたしまして民間自力建設は若干落ちておるようではございますが、これも前年比にいたしますとかほり上昇いたしております。でありますから、今年の四月から八月ごろまでの民間自力建設の様相は、例年に比較しましてかなり上回っておるような状況でございます。このままこの状況が持続いたしますかどうかはまだ断定いたしかねるのでありますが、これが若干落ちましても大体予定をいたしました二十五万数千戸程度はいくのではないか、現在のところ民間自力建設の方はそういう見通しがございます。しかしこれは先のことでございますから、今何とも明言いたしかねる状態でございます。大体三十年度と三十一年度住宅建設状況は以上申し上げたようなところでございます。
  40. 三鍋義三

    ○三鍋委員 三十年度は大体目標の予定数が建ったようでありますが、三十一年度は、ただいまの御説明によりますと、進捗状況はあまり芳ばしくないようであります。その原因といたしまして鋼材の値上りの問題が御説明あったのでございますが、これに対するところの対策が根本的になされないと今後の見通しが暗いし、三十二年度計画が思うようにいかないのではないかと、このように考えますが、この隘路に対する対策というものがどのように立てられているか、御説明願いたい。
  41. 鎌田隆男

    鎌田説明員 鋼材の値上りに対しましての建設省の事業全体に対しまする御説明は、多分大臣から申し上げるようになっておるかと思うのでございますが、私住宅に限りまして少しこまかな点で申し上げたいと思います。  住宅予算に組んであります鋼材の値段は、大体現在きめられております建値、トン当り四万五千円な度をもととして住宅の単価がはじかれておるのでございます。ただこれが、ことしの三月、四月ころはその状態の物価であったわけでございますが、この六月、七月ころから急騰いたして参りまして、直ちに六万円になり、七万円になり、あっという間に九月の中ごろ九万円を突破したような取引も行われたのでございます。しかし製鉄三社から出ております建値のものは依然としてその建値取引が行われておるのでありますが、主として中小企業あるいは建築工事のような請負業に使われております鋼材に限りまして三大メーカーからの品物は従来あまり使われておりませんで、それ以外のメーカー、伸鉄業者その他のものが従来使われております。それは、建値よりそういうものが安かった時代がございます。実は昨年その前あたり、建値が三万数千円のときにその伸鉄あるいは一般市中で売買されておりましたのが二万数千円というような時代がございました。そういうようなとき、土建業はどうしても製鉄三大メーカーのところから出てきます建値のものを買いませんで、安いものに飛びのいて買っておったというような時代がございます。安いときにはやはり伸鉄の方から買っておる。そこで高くなりましたときに、どうしても三大メーカーは、注文生産といいますか、常続的に注文のある産業の方にどうしてもその建値のものがいく。つまり造船業のように必ず先物約束で買っておりまする業界の方にどうしても建値のものがいきまして、中小企業とか建設業のようなものにはそれ以外の品物が回ってくることになる、これは昔からの建前のようでございます。そこで最近非常に影響を受けますのがいわゆる中小企業と建設工業なのでございます。ですから鉄の値上りが産業全体に影響を与えておるというわけではないようでございます。ただその点で一番影響を受けますのが住宅でありますので、私どもはこの点に苦慮いたしまして、実は六月ころから各鉄のメーカーと話を進めておりまして、その当時から製鉄三社からじかに買うことを勧めまして、東京都あたりは、実は建値で製鉄三社から買うように私どもあっせんをいたしました。それから公団もその後買うことにいろいろ話を進めまして、ずっと先の品物になりますが、製鉄三社から建値で買うことにいたしております。そういうようになるべく建値のものを住宅に振り向けられますような措置を私ども今まで講じて参ったのでありますが、しかし住宅建設に必要な全量を建値のものを入れるということはなかなか困難でございますので、建値以外の品物もなるべく安く入るようにということで先般来経済企画庁あるいは通産省ともしばしば会合いたしまして、この鋼材のあっせん機関を作ることにいたしたのでございます。そのあっせん機関は実はその鋼材クラブを中心に作りまして、全国で四カ所多分設置せられることになると思いますが、製鉄三社から数万トンの鉄をそのあっせん所へ出す。それから通産省といたしましては、輸入鋼材をかなり入れまして全体の鉄の物価を安定させようという政策を別にとっておりますが、その輸入鋼材の方からも数万トンもらいまして、それを合せましてそのあっせん所であっせんをするというあっせん機関を作りまして、そのあっせん機関では、住宅、学校というようなものに優先してあっせんをするというような方針も経済企画庁中心できめられたのでございます。その値段は、やはり輸入鋼材も入って参りますので約六万円、あるいはものによりましては六万一千、二千円、大体その辺の六万一千円程度の品物になります。しかしこれはやはり少し高くなりましても、先の見通しとして全部四万五千円程度の鋼材が買えるという見通しはございませんので、その六万一千円程度でしたら、住宅建設に影響を来たすところが割合に少いというふうに考えられますので、まず建値のものを主力に使うことはもとよりでございますが、足らないところは六万一千円のそのあっせん資材を使う、こういうようなことにして今後の住宅建設を進めて参る、こういうような対策を立てたわけでございます。非常に概略でございますけれども……。
  42. 三鍋義三

    ○三鍋委員 増改築の問題ですが、これは民間自力建設の問題とともに私たちは取り上げて、政府の御所信を聞いたのでありますが、今増築融資の問題につきまして予定通りにいっていない、この問題に関連いたしまして、ことしはどれくらい見ておられるのですか。
  43. 鎌田隆男

    鎌田説明員 この増築融資問題ですが、三十年度が最初の年でありまして、やはりPRその他も徹底しなかったこと、あるいは増築というものの考え方が非常に厳格に考えたというようなこととか、いろいろ重信がありまして、はなはだ成績が悪かったのでございますが、三十一年度はかなりそれが伸びて参りまして、今日現在で三万戸のうち一万二千六百戸程度のものをすでに受付契約をいたしておりますので、三十一年度の方は三十年度に比較しましてかなり成績はよくなっておるような状況でございます。
  44. 三鍋義三

    ○三鍋委員 これが十分に活用されていないところにいろいろと手続その他の問題もあったと思いますが、現在の見通しからいけば、三十二年度もこの計画をやはり強く推進していこう、そういうお考えでございますか。
  45. 鎌田隆男

    鎌田説明員 三十二年度予算におきましては、従来の実績にかんがみまして、増築は多少手控えまして、従来三十年度、三十一年度と三万戸ずつ計上いたしておりましたが、三十二年度は増築は二万戸にいたしたいというので、現在のところ予算要求は一万戸手控えて、それを新築の方に振け向けまして予算を要求いたしております。
  46. 三鍋義三

    ○三鍋委員 これはちょっと具体的になり過ぎるのでございますが、関連いたしまして局長さんにお尋ねしたいと思うのであります。過日の魚津の大火におきまして、いろいろと御配慮を願っておるわけでございますが、そのときに私はお願いしておいたのでありますが、村木小学校が焼失いたしまして、現在は焼失した場所に建設するということになっておるのであります。ただこの前も申し上げましたように、この際一つ鉄筋でやりたいという強い地元要望があるのでございます。これは所管は文部省でございますから、住宅局長さんに直接な関係がないと考えるのでございますけれども、しかし防火建築帯という建前からいたしましても、やはり密接な関連があると思いますので、この鉄筋建築に対するところの建設省の立場としての文部省との折衝をどのように進めて御尽力願っているか、原形復旧という建前から言うと、これは困難であると思うのでありますけれども、防火建築帯という不燃都市を作る、そうして公共建物の百五十坪以上を鉄筋にやっていくという精神からいいましても、住宅局長さんが文部省とも御折衝下さいましたろうと思うのでありますが、どのようにお話し合い願っているかお尋ねしたいと思うのであります。
  47. 鎌田隆男

    鎌田説明員 お話の学校建築につきましては、文部省の予算等もなかなか思うようにもいかないかと思うのでございますが、私どもの方の立場としまして、確かにこういう公共物は全部鉄筋コンクリートのようなふうにしてもらいたいという立場を強く持っておりますので、文部省の方にもそういう折衝をいたしましたが、その後の状況につきましてどういうふうに解決いたしておりましたか、今その結果につきましてまだ聞いておりませんでしたので、もう一回文部省ともよく相談をしてみたい、こういうふうに思っております。
  48. 三鍋義三

    ○三鍋委員 これで終ります。
  49. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は明三十一日午前十時より開会いたします。    午後零時八分散会