○薩摩
委員 それではお許しを得まして
所見のみを簡単に申し上げます。
まず第一には、有料
道路と公共事業費による
道路整備との
関連についてであります。現在北九州
地方におきましては、大川橋、住の江橋及び西海橋の各橋梁が有料
道路として完成いたし、すでに業務を開始いたしているのでありますが、このうち大川橋を除きますと、西海橋にいたしましてもまた住の江橋にいたしましても、その償還成績は必ずしも良好とはいい得ない
状況にあるようであります。これは住の江、西海の両有料
道路に限らず、全国各所のそれについて見ましても、現在までのところ予定
通りの償還成績を上げているものの方がむしろ少いのではないかと思うのであります。もちろんこれは、わが国におきましてこのような
制度がとられましたのが、
昭和二十七年に
道路整備
特別措置法が制定されて以来のことでありまして、いまだその日が浅く、かつまた償還成績良好ならずとは申しましても、年々上昇の傾向を示しておりますこと等よりいたしまして、現在の成績のみをもちましては直ちに本
制度の将来を危惧するの必要はないと思うのではありまするが、ただ遺憾に存じます点は、一般のいわゆる公共事業費によりまするところの
道路整備事業との間に十分なる
関連性がなかったがために、その効果を上げ得ないものが相当にあるのではないかということであります。すなわち西海橋にいたしましても住の江橋にいたしましても、すでに有料
道路といたしまして橋梁自体はりっぱなものができ上っておるのでありまするが、これに通ずる公共事業費による
道路の整備がこれに伴わざるため、せっかくでき上りましたこれらの有料橋も、少くともこれらの
道路の整備が完了いたしますまでの間は、極端に申しますると、いわゆる宝の持ち腐れとでもいうような
状態に置かれているわけであります。これは、元来事業
計画に基いて
予算が編成さるべきであるにもかかわらず、これが逆の
状態にならざるを得ないわが国の現状におきましては、ある
程度無理からぬ点もあるかとは思うのでありまするが、やはり国の
道路整備の効率化という点より見ましても、また日本
道路公団の発足によりいわゆる独立採算制としての性格が強く打ち出されるとともに、民間
資金の導入によりまして国民の
道路に対する関心がようやく高まって参りました今日、このような
状態が各所に散見されますることは、国の
道路政策に対する不信を招くものであります。従いまして来
年度より予想されまする
道路整備十カ年
計画の実施に
当りましては、有料
道路をも含めた一貫せる
計画のもとに、効率的な整備が遂行せられるよう強く
要望いたすものであります。
第二には、車両の制限に関する政令について申し上げます。御
承知のごとく、旧
道路法におきましては、
道路の費用
負担の
制度といたしまして受益者
負担及び損傷
負担の両
制度が設けられてあったのでありまするが、現行
道路法におきましては、改正当時における種々の事情によりまして、第六十一条に受益者
負担金の
規定のみが設けられ、旧
道路法第四十条による損傷
負担の
制度は残されねかったのであります。しかしながらその後における自動車と
道路とのバランスの推移を見まするに、自動車の増加、特に
道路との比較におきまして重量に過ぎ大型に過ぎる定期バス、トラック等の急速なる増加によりまして
道路は
破損せられ、あまつさえ
財政窮乏をきわめている
地方公共団体といたしましては、これが維持修繕をも満足に行うことができず、
道路は
破損の一途をたどっている
状態であります。従いまして他にこれらに対する
措置が講ぜられることなくこのような
状態が続くものといたしますと、やはり
道路に関する
工事により著しく利益を受けるものがある場合、当該
工事に要する費用の一部を
負担させることができるものとする受益者
負担の
制度と同様、たといガソリン税を徴収されているとはいえ、その中でも特に
道路を損傷する原因となる事業を行うものに対し、これに要する
道路の維持修繕の費用の一部を
負担させることができるものとするいわゆる損傷
負担金の
制度を復活すべく検討する必要があるのではないかと存ずるのであります。これはもちろん慎重に検討いたさねばならぬものでありましょうが、いずれにいたしましても、単に
道路の損傷という点からのみでなく、
道路交通の安全確保という意味からいたしましても、少くとも次善の策といたしまして、現行
道路法第四十七条第三項の
規定のみにても早急に運用できるよう、前条第一項による車両の制限に関する政令を急速に制定する必要があると思うのであります。同条第二項の
規定にいたしましても、やはり本政令がその根本をなすものでありまして、
当局といたしましても諸般の事情により苦慮されておられることとは存ずるのでありまするが、すでに現行当路法の制定後足かけ五年を経ておりまする今日、強力なる意思をもって本政令の制定に努力いたされるよう強く
要望いたすものであります。
以上、今回の
調査を通じまして感じました
建設行政、特に
道路行政につきましての
所見を申し述べたのでありまするが、これに対する
当局の明確なる御
答弁を期待いたしまして御
報告にかえる次第であります。
最後に、
道路標識について申し上げます。わが国の
道路標識は、
昭和二十五
年度におきまして、
道路標識令の新たなる発足により、その面目を一新すべく整備が行われたのでありまするが、当初におきまして、各所にその誤まりが見られることは御
承知の
通りであります。もちろん当時といたしましては、何分にも発足当時のことであり、
道路管理者といたしましてもふなれのためその誤まりがあったことは一応了解できるのでありまするが、遺憾に思いますることは、最近におきましても、依然として各所にその誤まりが散見されることであります。管理者側といたしましては、財源不足のためとかくじみな存在にありまする
道路標識にまでは手が回りかねることとは思うのでありまするが、
道路標識が高度に整備されることにより、今日の自動車
交通の発達をもたらした諸外国の
事例に徴するまでもなく、最近における自動車事故の多くは、その
道路にふなれなる遠隔地よりの貸切バス等に発生する
事例に徴しましても、この際早急に全国的な
道路標識の再整備に着手する必要があろうと
考えるものであります。
以上をもって
報告にかえます。