○
瀬戸山委員 それは
河川法の
適用によってやられた場合もあるかもしれませんけれども、実際これを
適用して命令を下してやられたという場合は比較的少いのではないかと思います。これは調べなければわかりませんが、ただ
地方の住民が苦しまぎれに騒ぐから、従って宿力会社その他がやむを得ず改造したという実例は相当あったと思うのですが、
政府が国民を適当に守るべくいわゆる営利を
目的として事業するものから なるほどこれも公益の場合がありますから、一応国民の犠牲において
許可する場合がある。従ってその反面においては、その犠牲なからしめるために、
政府や政治家が努力しなければならない。そのための
法律ですから……。しかしその努力によって、この
法律の活用によっていわゆる命令を下してやられたというこうことはきわめて少いのじゃないかと私は思うのです。私は今それを問題にしたいのであります。この
法律はあってもなくてもいいように今日考えられておる。二十条の
規定は非常に大事な
規定で、国民を守るべき中心であります。
河川を利用するためにいろいろな仕事をしなければならない。そういうことをすると、必ず反面においては国民に非常な
損害を加えるのです。その前提として、二十条はそういうときにはこうしなさいと書いてある。ところが国民を守るべきこの二十条の
規定をほんとうに真剣に活用されて工作物の改築等をやったという実例がきわめて少い。実際そういうことをやっておりますが、この
規定の発動によってやられたということはきわめて少いのじゃないか。これは調べればすぐわかりますが、そういうことではいけないのじゃないかと思うのです。非常にくどいようでありますけれども、先ほど来、いやそれは
堤防を作る義務はありません。それは何も書いてないから
法律上義務はないでしょうけれども、そんなことでは国民はとても納得しないだろうと思う。これはあなた方を
責めるわけでも何でもないのです。これは非常に重大な、むずかしい問題ですから、国民も行政の府にあられる
政府側も
一つ真剣に話し合いをされて、そしてお互いに困らないようにしようじゃないか。これは余談になりますけれども、二、三日前に土地収用法を改正して通過せしめたあの土地収用法と同じ精神のものだと私は思う。一面においては、いわゆる国家公益といいますか、そのためにこういう仕事をしなければならない。反面においては、そのために害を受けるものを守らなくちゃならない。その中心をどこにおくかという問題、これは土地収用法と形は違いますけれども、大体似ておる。そういう意味で、先ほど来
中島委員が取り扱っておられる問題は研究してもらいませんと、ただ
法律には書いてありませんからとかなんとかということではいけないのじゃないでしょうか。今電力会社あたりは、一ぺん施設をすると、なるほど三十年くらいの年限をつけておりますが、私は初めて聞いたが、こういう問題があるところを何の処分もしないで、あるいは改築の命令もしないで、
中島委員のこの間からの御
説明がありましたように、堆積土砂を排除すべしという
県知事の命令が一応内示された。それを
建設省がいろいろ相談されて、その内示を取り消し、先ほどの一千万幾らの
工事をさせられたということでありますが、そういう問題のある
ダムの
使用期限を黙って三十年も延ばされるというのは、私から言わせれば愛情のない政治です。もう少し電力会社に強く何かの方法を講じさしてその条件を入れたら
あと三十年くらい延ばしてやる、こういうふうにやってもらいたい。そうでなければ、どっかりコンクリートの
ダムを作ってしまって、失礼でありますけれども百姓が幾ら騒いでも、お前たちは何を騒ぐかくらいの現状です。私はそういうことは見のがすことができないという今日の立場をとっておる。これは
政府の権力によって
許可されたのですから、そういう場合は
政府の権力によって国民を守らなくちゃだめなんです。電力会社に幾らさか立ちしたって、百姓一揆を起したって、今爆破するという
お話がありましたが、そういう話を始終やっておりますが、こういうことは実行すべきではないし、実行できない。そういう暗い悲惨な
状態になっておっても、電力会社は
相手にしない。もちろん電力は国家産業その他のために必要であります。必要なために犠牲になる場合には、それは国家全体のために犠牲になるものですから、非常に優遇して、そのほかの道を講じて保護しなければならないと私は思っておる。ところがその犠牲になったものだけを見殺しにするというのが、全部とは申し上げませんが、今の政治の趨勢になっておる。こんなことでは国民は納得しません。これは重ねて申し上げますが、あなた方を
責めるわけではありません。そういう気持でやっていただきたいということであります。
そこでこれは前から問題になっておりますから、この際聞いておきたいのでありますけれども、具体的な例を示さなければ、こういう問題は、ただ
法律上どうである、こうであると言って、幾らここで
法律の議論をしても国民には何らの利害
関係はないのですから、具体的な問題をまた取り出すのであります。先ほどは
天竜川の話でありましたが、私は宮崎県の御
承知の大淀川の問題をさらにここで取り出して、もういよいよ結論を出すべき時代であるから、
一つ御所見を承わっておきたい。これも長い間の問題でありまして、歴史は申し上げませんが、大正十三年地元の非常な反対を押し切って
ダムを築造された。これは国家権力によって築造されたのです。そうして今日に至って年々歳々塗炭の苦しみをしておる。収健皆無のところで、その地で食うことができないという百姓がたくさんおります。
河川局長も御存じかもしれませんが、四百年以上も住んでおったという一部落は非常な苦しみをして、農林中央金庫から金を貸してもらって――これも全国で初めての例であるそうであります。仕方がないから、農林中央金庫から金を貸してもらって、三十五戸というものが全部四百年以上の伝来の歴史の地を引き払って安全地帯にようやく先日引っ越しが済んだ、こういうふうに非常に苦しんでおるのですから、これはこまかく検討すると、今申し上げました部落は、直接
ダムだけの影響だと私は言うのじゃない。すべてそういう問題がこれにからんでおるということを申し上げる。そうして
昭和二十九年十月二十八日の当
建設委員会で、今の
河川局長もあるいは聞いておられたかもしれませんが、長い間の問題でありますから、あのときの
委員会において当時の
建設次官、今やめられておる稻浦さん、当時の
建設大臣小澤さん立ち会いの上で、あの
ダムはあそこに置くべきものでないから、あの
水害を根本的に解決するためには、いわゆる轟
ダムは撤去しなければならないと言明された。その後宮崎県議会においても、この
ダムは撤去しなければならないと決議された。もっともこの
ダムは、ただ撤去するということは、そう簡単にいきませんので、御
承知の
通りに、十四人の学者、専門家で轟
ダムの
調査委員会を作って、一年有余にわたって実地その他で研究をされて、
局長も御存じだと思いますが、本年の一月にようやくその
調査の報告がなされたのです。大臣も何べんもごらんになった、
委員会にも何べんも見てもらった、もちろん各
関係官庁の偉い
人たちにも見てもらった。何べん見てもらっても
水害がとまったことがないということで、ほんとうに
泰阜ダムじゃないけれども、爆発もしかねないという現状にあるのですから、私どもは力を合せて研究して、こういう事態を解決してやる
責任があるのであります。これはもちろん
政府が最も重大な
責任を負うておる。そこで、こまかいことはもう時間がありませんから申し上げませんが、かねてから
山本局長にもこの報告書を差し上げてある。この報告書自体は専門家の報告書でありますし、私はこういう方面の専門家でないから、この批評はいたしませんけれども、これに対してどういう考えを持たれておるか。またこの問題は
建設省が撤去するという声明をされ、先ほど申し上げたように、県議会においても撤去の決議をいたしておりまして、今日電力会社と非常な争いをしておりますが、地元があくまでも撤去を主張し、こういう事態でこの報告書をごらんになって、これをどう解決するというお考えか、具体的に
お話を伺っておきたい。