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1956-04-20 第24回国会 衆議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十日(金曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 荻野 豊平君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 前田榮之助君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    荒舩清十郎君       大高  康君    木崎 茂男君       中村 寅太君    二階堂 進君       廣瀬 正雄君    松澤 雄藏君       山口 好一君    今村  等君       楯 兼次郎君    中島  巖君       西村 力弥君    安平 鹿一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君  委員外出席者         議     員 加藤 精三君         議     員 久野 忠治君         議     員 高村 坂彦君         議     員 町村 金五君         建 設 技 官         (計画局総務課         長)      前田 光嘉君         専  門  員 西畑 正倫君     ————————————— 四月十九日  委員石田宥全君及び西村力弥辞任につき、そ  の補欠として島上善五郎君及び安平鹿一君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十日  委員島上善五郎委員辞任につき、その補欠と  して西村力弥君が議長の指名委員に選任され  た。 同日  理事前田榮之助君同月六日委員辞任につき、そ  の補欠として同君が理事に当選した。     ————————————— 四月二十日  土地収用法の一部を改正する法律案西村力弥  君外十名提出衆法第四七号)  国土開発縦貫自動車道建設法案(第二十二回国  会衆法第二六号、参議院継続審査) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  土地収用法の一部を改正する法律案について、  農林水産委員会連合番査会開会に関する件  ダム建設による大害問題に関して参考人出頭要  求に関する件  請願審査小委員会設置に関する件建設業法の一  部を改正する法律案内閣提出第一六五号)  土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五〇号)  土地収用法の一部を改正する法律案西村力弥  君外十名提出衆法第四七号)     —————————————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、理事補欠選挙を行います。理事前田榮之助君が去る四月六日委員辞任せられましたので、理事が一名欠員になっております。理事選挙は先例によりまして選挙の手続を省略し、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、再び委員になられました前田榮之助君を理事指名いたします。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 連合審査会開会の件につきましてお諮りいたします。土地収用法の一部を改正する法律案について農林委員会より連合審査会開会の申し入れがございます。この際理事会決定により、本日農林委員会連合審査会を開会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めて、さように決します。     —————————————
  6. 徳安實藏

    徳安委員長 次に参考人招致の件についてお諮りいたします。中島巖君よりダム建設による災害問題について参考人を招致したいとの申し出がありました。この際同問題について参考人を招致するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決します。  なお人選時日等につきましては理事と協議の上決定いたしたいと存じますので、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決します。     —————————————
  9. 徳安實藏

    徳安委員長 次に小委員会設置の件についてお諮りいたします。本委員会に付託になりました請願は、御存じの通りすでに百数十件に及んでおります。この際請願審査小手員会を設置したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決します。  なお小委員及び小委員長人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  これにて、暫時休憩し、午後一時より再開いたします。    午後十時十九分休憩      ————◇—————    午後二時十五分開議
  12. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設業法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本案に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。逢澤寛君。
  13. 逢澤寛

    逢澤委員 私は先般、二月八日だと思いますが、この委員会におきまして建設業法実施以来政府機関工事請負配分が大業者に偏重して、中小業者を非常に圧迫しつつある点を指摘いたしまして、その是正の対策についてお尋ねいたしたのでありますが、きょうはその結論といたしまして、きわめて簡単にその要点だけを重ねてお尋ねいたしますから、政府においても要点だけを簡潔にお答えいただきたいと存じます。  まずその第一点は、建設業法による資格審査方法がきわめて複雑で、その実情に即していない。従いまして発注が偏重して、発注配分が不公正になっております。これが改善のために、受注者の経歴の中で、完成工事一件の最高完成高の五割増しから倍額までの範囲で、これから後の発注資格を定めるしにおいてこれを参考にしてその発注資格を定めることがきわめて妥当であると考えておりますが、これに対する政府所見はいかがでありますか。
  14. 柴田達夫

    柴田政府委員 先般逢澤委員からもこの問題についてはお尋ねがございまして、私からも御趣旨に沿う旨のお答えをいたしてあるのであります。重ねて明確な政府意見いかんというお尋ねがございますので、申し上げたいと思います。   〔委員長退席荻野委員長代理着席建設業法に基きます中央建設業審議会におきまして、二十五年以来、建設工事入札制度合理化対策というものを決定いたしておりまして、ただいまお話がございましたような資格審査方法決定いたして、勧告をいたしておるのでございます。しかしながらこの実際の運用におきましては、この決定と必ずしも同じ趣旨のことが行われておらない。発注者はとかく工事ができ上るということばかりに専念いたしますので、大業者本位発注するということが行われがちでございます。ただいまお尋ねがございましたような、実績の五割増しないし倍額程度範囲でやれるだけのゆとりを持つようにしたいというお話でございましたが、その程度のことは、大体におきましてこの中央建設業審議会決定通りでございますならば、その程度の幅があることでございまして、御趣旨に沿うことができると思うのでございますが、実際の運用におきまして、これが十分行われておらないという傾きがございますので、政府といたしましては、ただいまの御趣旨に沿いまして、これが行政指導に当りまして明確な通牒等を出しまして、そうしてこれが徹底を期したい、かよりに考えておる次第でございます。
  15. 逢澤寛

    逢澤委員 第二点は、中央建設業審議会の組織と構成人員の数が発注者に偏重しておる弊があるために、非常な弊害と混乱を生じております。政府職員学識経験者という数があまり多過ぎると思う、そして受注者発注者との均斉と、受注者の声もこの審議会に反映させるために増員する必要があると思いまするが、これに対する御見解を承わっておきたいと思います。
  16. 柴田達夫

    柴田政府委員 ただいまの建設業法におきまして中央建設業審議会構成ができ上っておるわけでありますが、これについては発注君と受注者は同数ということになっておりますが、それ以外にお話のごとく関係官庁職員学識経験者も加わっておるわけでございます。そういうところから建設業界のありのままの姿を反映するという点から申しまして、建設業者の数が少いというお説でございますが、そういう御趣旨もございますので、さらに業界意見も十分反映することができますようにという趣旨を含みまして、今回の御提案申し上げておりまする法律案の中におきまして、従来の委員二十五人以内を三十人に改める、増員をいたすようなことに御提案を申し上げているような次第でございます。
  17. 逢澤寛

    逢澤委員 第三点は、政府機関発注者中央審議会答申守紋別発注標準を尊重して発注せねばならぬと思います。しかるにこれを誤解しておりまするか、あるいは無視しておりまするか、非常な誤まりを犯しております。具体的に申し上げまするならば、あの審議会できめておりまするA級業者に対しては、五千万円以上の仕事受注をするような答申が出ておる。しかるに実情は百万円や二百万円という小額受注をしております。この事実があります。この誤まった法文の解釈や、また誤まった発注者発注措置を今後適正に指導し、そうしてその配分が適正になるような方法を講ずべきであると思うのでありますが、これに対する政府所見を伺っておきます。
  18. 柴田達夫

    柴田政府委員 中央建設業審議会決定によりまする入札資格標準は、お話のごとく相当な幅があるのでありまして、もちろん大業者小額入札に参加する資格があるようにはできておらないわけであります。それぞれ相当弾力性があるわけでございますが、ただその標準とされておりまする決定されたものの中に例外として、事情によってこれによりがたい場合にはこれを変更することができるとあるものでありますから、それがとかく運用の場合におきまして多く用いられ過ぎておりまして、今のような非常に趣旨に沿わない状況があるということでございます。発注者はとかく工事ができ上るということばかり考えやすく、大業者本意に物事を考える。しかし中央建設業審議会決定は、適正な工事をやるということも目的でございますが、同心に公正な競争によって、それぞれの能力に応じて建設業界の秩序が保たれるということを目的にいたしておるのでございまして、この決定が悪いのではなくて、その越州がとかく間違ってくるというような点につきまして、建設省といたしましては十分今後通達その他を出し行政指導に努めまして、中小企業育成にも遺憾なきを期したいと考えております。
  19. 逢澤寛

    逢澤委員 もう一点お尋ねいたしたいのでありますが、ただいまお話の中にもありましたように すべての発注者政府機関発注者のみならず一般発注者は、その契約を安全に完遂することに重点を置き過ぎている弊があるのであります。もとよりその契約が完全に遂行できることを尊重することは、これは申すまでもないことであります。   〔荻野委員長代理退席委員長着席〕 しかしながら他面またこの建設業法の立法の精神と趣旨もまた尊重せねばならぬと存ずるのであります。それがためには中小企業育成強化を忘れてはなりません。従いまして一般の見聞の注文者を制御することはできませんが、いやしくも政府機関事業に当りましては、中小業者がおのおのその公正な営業を営み得るような適正な措置を講ずる義務があると思います。すなわち適正な配分をなすように政府の当局では心がけねばならぬと思いますが、これに対する見解お尋ね申し上げておきます。
  20. 柴田達夫

    柴田政府委員 ただいまのお話はまことにお説の通りに考えます。この建設業審議会決定におきましても、資格審査及び入札方法においては大業者のみに偏画することなく、中小業者保護助長に留意するものとするという方寸が定められております。お説の通り方針になっておるのでありますが、実際の運用におきまして、るるお話がございましたようになりがちであるということでございますので、お説の趣旨を尊重いたしまして、ますます指導に努めたい、かように考える次第でございます。
  21. 逢澤寛

    逢澤委員 最後に、ただいまの四問に対するお答えで大体私どもも了承することができたのでありますが、そこでただいまのお答え趣旨政府機関のそれぞれの発注者にすみやかに連絡していただきまして、これが行政的に措置されて、そして実行ができるように格段の御配慮をお願いを申し上げまして私の質問を終ります。
  22. 徳安實藏

  23. 三鍋義三

    三鍋委員 本改正案提案理由の説明にもありますように、特に建設工事請負契約に関する紛争については、建設業審議会あっせん方法のみをもってしてはどうも限度があって、従って紛争の未解決または制限等の事態を生じて、このために当事者相当損害をこうむり、あるいは工事が遅延して公共の福祉に支障を及ぼすような一例が非常に多い。ここにおいて新たに紛争処理機関といたしまして、審査会を設けるということになっているのでありますが、法案を調べてみますと、改正案のねらいというものは大体妥当であると考えるのであります。しかし二、三点の質問をいたしたいと思うのであります。  まず最初にお聞きしたいのは、漸次紛争が増加してきておるのでありますが、その紛争事例といたしまして、代表的なものを一つあげて御説明願いたいと思うのであります。業者業者の間の紛争もありましょう。また発注者受注者との間の紛争もありましょう。またこれに関連いたしまして大事業中小事業との間におけるところの紛争もあると思うのでありますが、これらの点について、どういう場合に一番多いのかという代表的なものを一つ御説明願いたいと思います。
  24. 柴田達夫

    柴田政府委員 建設工事紛争の代表的な事例を述べよということでございますが、従来まで建設業審議会にいろいろの紛争がございまして、申請がありまして解決に努めたもののうち、解決された場合もあり、解決されない場合もあるわけでございますが、その中で、今お話のございましたような意味での比較的注目すべき事例を申し上げたいと思います。  一つ発注者と元請業者との間の事件でございまして、これは昭和二十七年から約二年二カ月の長きにわたりまして工事の期間がございます上に、さらに紛争が起りまして、今日まで訴訟になっておってまだ解決しないという事例でございます。それは山形県の株式会社鉄奥社と元請業者鹿島建設株式会社との間におきます紛争でございまして、金額におきましても請負金額が約三億五千万円、紛争対象になっております金額が約一億三千万円というような額になっております。これは、この鉄輿付が門駅発電用発電所建設工事鹿島建設に請け負わせてやって参りましたところ、地盤の関係で当初予想しなかったような非常な設計変更をしなければならないようになった、そういうような、これは不可抗力だということで契約条件を変更してさらに増額要求をするということに相なったのでありますけれども、これに対して発注者の側は応じないというところから起った紛争でございます。これは中央建設業審議会に対して申請がございまして、現行法ではあっせんだけできることになっておるわけでありますので、中央建設業審議会あっせんに努めましたけれども、何分にもあっせんのことでございますから、両方解決をするという気持がなくてはできない制度になっております。発注者側の方は建設業審議会あっせんに対しまして一切事情を述べない、陳述をしないといったような状況もございまして、あっせんとしては遂に打ち切らざるを得なくなった、その後訴訟になりまして、現在まだ係争中でございます。これがこの方面におきましては相当著名な事件ということになっております。  いま一件は、お話の中にもございましたような元請業者下請業者関係事件、元請業者鉄道工業株式会社下請業者日本理装工業株式会社、この間におきまして昭和二十六年からやはり二年八カ月にわたる工事でありましたが、これは中央建設業審議会あっせんによりまして妥結をいたしておる事例になります。この請負金額は約一億七千八百万でありまして、紛争対象になっております金頭が八千五百万ということでございます。これは元請と下請関係でございますので出来高払い払いがおくれたということと、もう一つは立てかえ払い金に対する解釈が異なっておりまして食い違いがあるということで争いが起っているのでございます。結局契約条件をどう解釈するかということ、契約条件以外の事由によって発生したところの損害をどう取り扱うかという問題につきまして、下請業者の方の側から申請が出たのであります。しかしこれはあっせんによりまして二千万円を支払うことで妥結をしたという例に相なっております。いろいろありますが、大体この二つがちょうど代表的な事件として御説明できる事件かと存ずる次第であります。
  25. 三鍋義三

    三鍋委員 次に二十五条の二でありますが、「審査会は、委員十五人以内をもって組織する。」このようになっておるのでありますけれども、これは審査会委員審議会委員とを兼ねることができるのかどうか。それから第二項に「委員は、人格が高潔で識見の高い者のうちから、中央審査会にあっては」云云と書いてあるのであります。ちょっとばく然としておると思うのでありますが、二十五条の十二の2、二十五条の十三の2、これと関連いたしまして、もう少し明快に御説明願いたいと考えるのであります。
  26. 柴田達夫

    柴田政府委員 今度できます建設工事紛争審査会と、従来からあります建設業審議会委員を兼ねることができるかということでございますが、これは兼ねることもできるわけでございます。それから人選方針と申しますか、法の上では「人格が高潔で識見の高い者のうちから」、これはいろいろの行政委員会等の際に、大体この通りでけっこうなことでございますが、こういうふうに非常に公正に仕事をしなければならない委員のような場合にこういう言葉が用いられておりますので、今回の紛争審査会もまさしく公正に仕事をしてもらわなければならない委員でございますから、同じ表現を用いてあるのでございます。まことに抽象的で、具体的な選考方針は書いてございませんが、要するに大体審議会の方は事柄の性質上発注者の側からも出る、業者からも出る、関係官庁からも出る、あるいは学識経験者という意味でも出る、それで発注者業者はそれぞれの立場に立ってその意見を反映するということでございますが、この建設工事紛争審査会の方は構成する委員はすべて平等に一つの中立的な公正な立場に立って、あるいはあっせんに当り、調停に当り、仲裁に当る、あるいはあっせん委員仲裁委員調停委員に撰ばれる場合に信頼が置かれるというようなことでございますので、あくまで中立な学識経験者専門家あるいは法的な知識としての専門家、こういうような立場で選考いたすのが適当であろうかと考えております。
  27. 三鍋義三

    三鍋委員 大体それで了解できたのでありますが、先ほど申し上げました二十五条の十二、十三に「事件ごとに、」という字句が入っておりますから、その事件によって最も適した人をそこへ向けられるということになると思いますので、こういうものを含んで選考されるのであろうと了解してよろしゅうございますか。
  28. 柴田達夫

    柴田政府委員 この条文に出ております「事件ごとに、」というのは、この審査会委員それから特別委員というのが選ばれることになっておりますが、その委員特別委員の中から事件ごとあっせん委員やあるいは三人の調停委員会長が選ぶ、委員特別委員の中から事件ごとに適当と思われる人を審査会会長指名する。仲裁の場合には、これは両方仲裁契約があるかあるいは合意によることを前提にいたしておりますので、事件当事者がその委員特別委員の中から合意で選ぶ、こういうことになっておりまして、審査会委員として事件ごとに初めて任命するものではございません。委員会の場合は任期が二年、それから特別委員の場合は一年ということに相なっておりまして、さらに具体的なある事件についてのあっせん委員仲裁委員を選ぶ際に、会長がその中から指名をする、こういうふうな運びに相なるのでございます。
  29. 三鍋義三

    三鍋委員 私お尋ねしたのは、委員を選ぶのに、学識、その他人格の高い人を選ぶというときに、そういう適切な配置ができるように含んでお選びになるのかどうかということをお聞きしたのでありまして、大体了解できました。  次に二十五条の七でありますが、「紛争処理に参与させるため、審査会に、特別委員を置くことができる。」このようになっておるのでありますが、審査会委員特別委員と二重に設ける必要があるのかどうか、その理由をはっきりしていただきたいと思います。私の考えでは、わざわざこの特別委員を直かなくても、その特別委員に該当する方を審査会委員最初からお入れになっておった方がいいのではないか、こう考えるのであります。どうしてもこの特別委員というものを設けなければならないとすれば、こういう特別な方というものはそう簡単に得られないのでありますから、少くとも任期をずっと長くした方がいいのではないか、一年くらいでその任期が切れるというやり方は、特別委員の性格の特徴がぼやけてしまって、変なものになるのではないか、こう考えるのでございますが、その点いかがですか。
  30. 柴田達夫

    柴田政府委員 委員特別委員両方を置く関係でございますが、御承知通り、この審査会委員事件が出て参りますと、あっせん委員に選ばれる、あるいは調停委員に選ばれる、あるいは仲裁委員に選ばれて、審査会として活動するというよりも、それぞれの委員が、事件ごとに実際に動き出す。こういうことになるのでございまして、一面におきまして、この関係では、事実関係法律関係の非常に専門的な知識を必要とするということがございます。これは御承知の道りでございます。もう一つは、こういうしっかりした機関ができますれば、やはり相当事件がたくさん出て参ると思います。その場合に、よほど委員のプールと申しますか、委員のもとを持っておりませんと、事件ごと委員を選ばれる場合に、三人の委員がかけ持ちであちこちの事件をやるということになると、従来の建設業審議会でやっております紛争状況を見ましても、非常に事件の多いところが偏在してくるということ、たとえば東京なんかは非常に多い。大阪、北海道、福岡、そういうところに多い。中央はもちろん多くなっております。そういりような関係もございますので、委員として元旦を五十名とか、六十名とかにしておくのもおかしゅうございます。審査会として会長を選んだりあるいは議事を進めたりいろいろなことをする、事件審査をすること以外の仕事をする場合にはそんなによけい委員が要るわけではございませんので、一応の委員を十五人にいたしておきまして、そうして専門家のような方々をいつの時代にも応じ得るように相当数中央あるいは県によりまして大ぜい特別委員になっていただく、こういう考え方でおるわけであります。任期をきめましたのは、臨時委員としてその都度選んでもいいわけでございますが、平素からやはりこの委員政令等によりましてわかるようにしておきまして、その中から選んでいただくという方がいいかと思います。信頼関係を持続させる意味におきまして、事件が起って急に何か関係の人を呼んでくるというよりもその方がよかろうということで、一応一年の任期をきめておる次第でございます。
  31. 三鍋義三

    三鍋委員 その特別委員の数でございますが、相当数とおっしゃいましたが、大体どれくらいを予想されておりますか。
  32. 柴田達夫

    柴田政府委員 まだ正確にきめておるわけじゃございませんけれども、先ほども申しましたように東京のような多いところでは、やはり大体五、六十人いないと間に合わないのじゃないか。県によりまして、少いところで十人程度以内でもいいような場合もあるのではないか。中央におきましては、もう少し研究をいたしてみますけれども、五十人程度でよくはないか。しかもこれは将来におきましては、やはり出てくる件数等を見まして、任期が過ぎました後におきましてはまた改善を加えて参らなければならない点があるかとも思います。
  33. 三鍋義三

    三鍋委員 次に二十五条の十四でありますが、「紛争がその性質上あっせん若しくは調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりにあっせん若しくは調停申請をしたと認めるとき」これを一つ具体的に、どういう場合でございましょうか御説明を願いたいと思います。
  34. 柴田達夫

    柴田政府委員 二つあげてあるわけでございまして、紛争の性質上あっせんまたは調停をするに適当でない場合とは、もうその事柄の理非がはっきりしているのにただわかり切っていることを出してくるといったような場合、それから不当な目的でみだりにあっせんまたは調停申請をした場合とは、頼んではおるけれども長引かせるのが目的であって、解決する意思はないというふうなことが明瞭なような場合もございますが、そういったような場合に、ただ引き延ばしのためにやるといったような場合におきましてこれがはっきりいたしておるというふうな点が認められます場合には、それは受理しなくてもよろしい、こういう規定を設けた次第でございます。
  35. 三鍋義三

    三鍋委員 これは特別な事例だと思うのでございますが、こういう事例相当にあるものでございますか。
  36. 柴田達夫

    柴田政府委員 ある程度今までの民事調停法の関係調停などにこういうものがあるというりことでございます。従来の建設業審議会あっせんの中にも若干は認められる、非常に多いと申し上げるわけではないのでありますが、ある程度あるということでございます。
  37. 三鍋義三

    三鍋委員 ある程度のものだったら、なるべくこういうものは法律できめられない方がいいのじゃないかという意見もあると思うのであります。  最後に、本改正案における審査会の性格というものは、中央審査会は国家行政組織法、都道府県審査会にあっては地方自治法によるところの付属機関でありまして、いわゆる裁判所とは興なるのでありますが、これがあっせんあるいは調停仲裁を行うとき、司法上の問題との関連はどうなるのでございましょうか。またあっせん調停等については、その効力の発生が双方の受諾を要件としております。仲裁については、双方に紛争仲裁に付する旨の合意があることを要件としております。いわゆる裁判所の手続とは違っておるのでありますが、これらの職権によるところのあっせん調停、あるいは仲裁というものは、その過程におきまして運用上私権を侵害するというようなことに間々なるのではないかという懸念が多分にあるのでございますが、この点について明快なる御答弁をお願いしたいと思います。
  38. 柴田達夫

    柴田政府委員 審査会が営みます紛争処理方法は、あっせん調停仲裁と三つあるのでございます。あっせん調停は、要するに自主的に解決に努めるものがあって、そうして努めた結果両者が同意をする民事情契約と同じような恰好で同意が成り立つということで、当事者の承諾がなければ成り立たないということでございますので、これは事理明瞭であると思います。お話のような御疑念が生じますのは、仲裁の点だと思います。仲裁の方は、今回あっせん調停程度ではどうしても紛争解決方法が強力でないということから、仲裁まで進めまして、相当しっかりした解決をつけなければ実情に沿わないということから御提案申し上げたわけでございます。その効果といたしましては、民事訴訟法上の仲裁と同じように、確定判決と同じ効力を持つ点は確かにその通りでございますが、今お尋ねの中にもございましたように、この仲裁は初めに仲裁契約という当事者合意がその前提に必ずなくちゃなりません。それでこの条文の仲裁を開始する時期におきましても、あっせん調停の場合は、当事者の双方または一方からでも最終には承諾ができればいいということにしておりますが、仲裁の方は、二十五条の十五にございますように、必ず当事者の双方から申請がなければならない。それからもう一つは、この法律による審査会仲裁に付する旨の合意があらかじめあって、その合意に基いて当事者の一方から言わなくちゃならないということになっておるわけでございまして、お尋ねの中にもございましたように、結局この当事者仲裁判断に拘束される根拠というものは、一に両当事者合意が何らかの意味で必ずあるということに根拠があるわけでございますので、この点はいわゆる司法権の発動といったような裁判行為とは本質的に異なるものである。端的に申しますれば、合意があるということにかかっているわけでございます。従いましてこの合意を前提として当事者の一方から申請がなされましても、片方がこれに対しまして反対の意思表示をするということがありますれば、問題はまた別になるのでございます。
  39. 徳安實藏

    徳安委員長 ほかに御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 徳安實藏

    徳安委員長 御質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 徳安實藏

    徳安委員長 御質疑なしと認め、さように決します。  これより本案に対する討論に入るのでありますが、討論の通告がございませんので、討論を省略し、直ちに採決を行います。  建設業法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立〕
  42. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決します。     —————————————
  44. 徳安實藏

    徳安委員長 この際お諮りいたします。議事日程を追加し、本日付託になりました土地収用法の一部を改正する法律案西村力弥君外十名提出を議題とし、審査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  土地収用法の一部を改正する法律案西村力弥君外十名提出、第四十七号を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。川村力弥君。     —————————————     —————————————
  46. 西村力弥

    西村(力)委員 私、今政府提出になっておる土地収用法の一部を改正する法律案に対しまして質疑を必要としておったのでございますが、委員長はこれを許可賜わりませんので、この政府提出土地収用法の一部を改正する法律案に対しても、いささか言及することをお許し願いたいと思うのでございます。  土地収用法は、御承知のように財産権と、それを公共のために収用する、そういう立場とが調整されなければならない、こういうことでありますが、今回政府提案になりましたものは、ただ一方的に土地収用の手続を簡素化して、それを容易ならしめようとするのみでありまして、そのように起業者側の利益をはかったならば、それと調整をとるための被収用者側の保護の措置は、当然バランスとして均衡をとる必要上、この法案に盛られなければならないことであると思う。ところがそういう点がいささかも盛られずに、実際何でも簡略に取り上げることができればいいのだ、こういう思想でもって考え、そういう政治的意図のみ勝っておるという点に、私たちは政府提案改正案に対して了解ができず、反対をせざるを得ないという立場になってくるのでございます。しかも前々の委員会あるいは合同審査における政府側の答弁は、実際その確信に満ちた答弁がなされない。たとえばいろいろな一業認定を、都道府県知事にあったものを建設大臣に取り上げるということになっても、都道府県知事に子、の認定をまかしておった、都道府県知事の権限の範囲内に置いておったということによって生じた不便、そういうものが具体的に何ら説明されない。あるいはまた土地収用の事業認定の申請書のようなものを提出する場合における意見書もつけるという問題についても、実際きょう提出になった資料を見ますと、せいぜい七十日間を要したということであって、全然その意見をとることができなかったという資料は出ていない。であるから、とにかく七十日を要してもその意見書を付することができたのだから、そういうものを付さなくてもよろしいというような簡素化をはかる必要も何もないのじゃないか、こう考えられてくるわけなのでございます。  なお、この前法務委員会との合同審査において明瞭になりました通り、起業者にある地位を与える、協議という段階を省略することができるということにすることは、法理論上もこれは正しくないという意見が出され、それに対して明確なる答弁がなかった。そんな点から、私たちはやはり土地収用法に対する別途の考えに立つ改正君を提出せざるを得ない、こういうことになって参ったような次第でございます。  私たちの改正の要点は、第一番目に、この事業認定が公正に適正に行われるということを何らかの形によってこの段階でチェックしていかなければならない、こういう立場に立って、もちろんこの事業認定をやる場合においては、建設大臣にせよ、都道府県知事にせよ、相当慎重に考慮せられるでございましょうけれども、われわれは、建設大臣が事業認定をやる場合には、土地調整委員会、都道府県知事にあっては、その収用委員会意見を徴して事業認定の処分を進めなくてはならぬ、しかも必要ある場合に公聴会を開催するという現行規定を、必ず公聴会を開くべきである、かように修正をいたそうとするものでございます。とにかく収用の第一階梯としての事業認定は、相当その地域住民の意見を聞き、あるいは相当権威ある機関意見を聞き、慎重を期することが、結局その後の紛争を回避することができ、期間的にも短縮し得られるものであると考える。そういう意味でこの改正を考えたのでございます。  次にこの事業認定に対して、土地所有者あるいはその地域住民の福祉を確保するために努力しておる市町村長、そういう人々が慎重なる手続を経た結果であるけれども、なおその事業認定処分に満足することができない、こういう場合には、再審査申請することができる、かようにいたそうとするものでございます。現在の再審査請求は、御承知通り業者が手業認定の拒否の処分を受けた場合、再審査を請求することができる、こういうことになっておりますが、これでは起業者だけが一方的に保護されておる、こういう調和のとれない規定だと申すのでございます。そのために、関係市町村長あるいは土地所有者も、その再審査申請し得るものとして、その均衡をはからんとするものでございます。  第三番目には、土地収用委員会委員は七名であって、予備委員が二名、こういうことになっておりますが、予備委員の数を五名以上という工合に改正しようとするものでございます。そのわけは、この収用委員の除斥の規定がありますが、機械的な除斥ばかりではなく、やはり関係人あるいは土地所有者が、その収用委員が公正なる審理ができないという判定に立った場合には、その忌避を申し立てることができるという工合にすることが必要であると考えた次第でございます。そのことは、実際の経験から言いましても、たとえばある県の土地収用委員が、県会議員が二名、商工会議所会頭が一名、銀行の頭取が一名、大学の学部長が一名、このような構成になっておる、事促そういうことがありました。そういう場合、県営中業の事業進捗がうまくいかないために、結局伝家の宝刀である土地収用委員会にかけた。私たちはその関係者の代理人として出て参りましたが、県会議員の諸君あるいは大学の学部長はいいとして、商工会議所の会頭は、その商工会議所は年々五百万円程度の県費の助成を受けている、その会頭なんです。しかも起業者は県なんです。あるいは銀行の頭取は、県の金をほとんど大部分預託している銀行であり、その利害関係は県と全く密接にしている、こういうような事情にあったのでございます。そういう事情を考えてみると、今自分の権利である財産権を侵されようとするこの土地所有関係人から見れば、どうも公正なる審理というものは期待できない。あの人に公正な審理をやるのだと言われても信用ができない、こういう気持にならざるを得ない。それでありますから、機械的な除斥規定に加えまして、忌避を申し立てることができるという条項はぜひ必要であると私たちは思量した次第でございます。そのために忌避ということが行われて、収用委員会がその者を除いて忌避申し立てが妥当するかいなかということを審査した結果、一応この収用委員会からはちょっと遠慮してもらおう、こういうことにだんだんとなっていきますと、委員会構成の定足数に欠けることも考えられるので、予備委員というものを増員することが必要だ、こういう工合に考えたようなわけでございます。  次に損失補償の問題でございますが、この損失の補償については個別払いの原則というものがございます。しかしもっと大事な点は、憲法第二十九条の第三項に規定されているように、正当なる補償によって財産権は侵すことができる、侵した場合には正当なる補償をしなければならない、こういうことになっておりますが、正当なる補償というものは一つである。正当なるという補償が、三つも四つも差があるということは、これはあり得ないはずだ。ところが現実にそういうことが行われている。しかも砂川とか小牧の飛行場の土地収用に当っては、協力奨励金なるものが支給されている。これは土地の補償ではない。しかし個別払いされてその個人々々に金が渡る限りにおいては、総括して補償額、こう称せざるを得ない。ところが、実際に条件派と称する諸君が政府の施策に協力したということに対しておほめにあずかったというか、そのごほうびとして、一般市井の売買において行われる博労的な包み金的な協力謝礼金が支給されておる一方、自分の生活を守ろうとして政府立場と国民の立場というものを対等であるんだ、財産権の保障をわれわれが主張することは当然である、こういう民主主義の原則に立って主張した人面が、土地収用委員会にかけられて、最後に強制的に取り上げられる、こういう場合にその協力謝礼金は出ないということになる。そういうことになればこれは損失の補償に対して軽重がつけられる。しかも最も大事な点は、政府の施策に対して協力した者に対しては応分の金が出る、反対した者にはそれが出ないということになれば、結局政府方針がいつでも善であるというようしな考え方、国民はこれを守らなければいかぬというような考え方になって、結局政府方針がわれわれの考え方なりあるいは暮し方なりに押しかぶさってくるファッショ政治の形になってくるのではないか、こういうことではほんとうの民主主義をくずそうとするものだとわれわれは憂えざるを得ないわけです。そういう立場からやっぱり損失の補償に当っては、あくまでも公平算定の原則が貫かれなければならない、こういうことを考えましてその条項を加えたような次第でございます。  私たちとしてはこのほかにもいろいろ問題点を持つのでございます。たとえば委員構成にしましてももう少し一般耕作農民の立場を守り得るような経済とか政治とかいうものに精通するばかりでなく、農民の生活の実感をおのれのものとしておるような者も加えられるというような方法もぜひ考えられなければならぬと思っておりますし、収用委員会も第一審において最後の決定であるがごとくならないように、第二審的中央土地収用委員会というような形態のものを考える必要があるのではないか、あるいは土地収用委員会にこの事業認定が適正であるかいなかということを判定する権能を与えるべきである、これがほんとうに国民の意思によって政府あるいは都道府県、そういうものの意思をコントロールする形になるんだ、私たちはその土地収用委員会事業認定そのものに対する適否の判定がなし得る権脂があるとするなら、私たちは法によって自分の地位を守ろうとする権利を待つとともに国民の代表として、人民の代表者として土地収用委員の諸君によってわれわれの権利が守られるんだという形が出てくる、かように考えましてそのような改正をも考えようとしたのでございますが、なかなか時間的に余裕がありませんので、そういう点は割愛いたしまして、さきに申し上げましたような四点にしぼって本改正案提出したような次第でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  47. 徳安實藏

    徳安委員長 これより土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出第一五〇号、土地収用法の一部を改正する法律案西村力弥君外十名提出第四七号の両案を一括して議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。瀬戸山三男君。
  48. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はただいま提案者の西村さんから御説明のありました土地収用法の一部を改正する法律案についてごく簡単にお尋ねをしておきます。これはお尋ねというよりも今御説明になりましたように、提案者の趣旨は十分にわかっておりますので、これをお尋ねするというのは非常に格好がつかないのでありますけれども、全然不問に付しておくということもこれは委員会としてはいかがかと思います。そこで先ほど提案の御説明にありましたように、土地収用法が根本的に問題なのは、いわゆる公共の福祉と申しますか、公益のために私権を制限しなければならない、その公益と私権との衝突をどういうふうに調和するかというところがこの収用法の眼目であります。でありますからどこに調和点をとるかということについては相当立法者としても、またその法律を運用するものとしても十分に慎重に考えなければならないということは御承知通りであります。しかも公益に名をかって私権をみだりに侵害するというか、圧迫するということは絶対に避けなければならないのであります。そういう意味において提案者がこの一部改正を出された趣旨は、ややもすると私権を圧迫するがごとく感ぜられる動きがないでもない、そういう事態に対してできるだけ慎重を期して、しかも私権を尊重する立場からこういうふうに案を練られた、このことについては私は衷心より敬意を表します。しかしながら公益ということも一般公共福祉ということもこれは国家の政治上重点を置いて考えなければならないところでありますから、そういう公益ということが認定された以上、そういう事業をすみやかに遂行することも国定のために尽すことである、こういう点も全然不問に付するわけにいかない、そういう意味において私は今のこの改正案について御質疑を申し上げるのでありますが、まず第一番に二十条の二という改正を出しておられます。これは建設大臣または都旭府県却下が専業認定をする場合に都道府県知事の場合は収用委員会意見を聞かなければなりない、建設大臣の場合には土地調整委員会意見を用かなければならない。一応これはごもっともなことであります。しかしながら土地調整委員会意見を聞かなければならない場合が、御存じの通り現行法に二、三あるのです。そうかといってすべての収用事件を全部土地調整委員会意見を開かなければならないとするほど、そこまで慎重を期する必要はないと私は考える。もう一つは、収用委員会意見も都道府県知事の場合は聞かなければならないとなっておりますが、御承知通りに収用委員会事業の認定があった後に、収用そのものについていろいろやるのですから、事業の認定の場合に収用委員会自体が関係しておったのでは、もうすでに収用委員会がある前提に立って、事業認定後も収用委員会仕事をしなければならぬということはちょっとおかしいのじゃないか。もうすでに再入主が入って収用委員会仕事をしなければならないという立場になるので、これはどうも私はあまり感心しない。その点について提案者はどういうお考えですか。
  49. 西村力弥

    西村(力)委員 私がこれを起案しました理由は、先ほど申し上げましたように、事業認定というのは、はっきり土地収用に一歩を踏み込んだ決定的な段階でありますので、この際は、慎重を期さなければならない、しかもこの点に慎重を期することによって、事後の手続はむしろスムーズにいくであろう、起業者もまた関係人もともに守られる措置である、かような立場からやったのでございます。今の御質問は、収用委員会意見を附き収用委員会がイエスといえば、むしろ土地所有者または関係人に不利ではないか、こういりことでございましたが、この改正案では、私の希望としては、収用委員介に事業認定の適否を判定する権能を与えようと考えたが、それはこの際カットしたと申し上げました。カットした都合上、この事業認定の段階において収用委員会意見を徴する、この意見によって拒否もしくは認定の処分ということになるので、決定的ではないにしても、この段階において下業認定の適否の判定が収用委員会においてなされる、その機能はごく弱い立場でありますけれども、そこである程度付与せられた形になる、こう考えてやったのでございます。実際は収用委員会のもしくは土地調整委員会の承認を経なければならないとしたいのでございますが承認を経るということになれば、都道府県が所轄する収用委員会の承認を経て、府県知事が事業認定をやる、こういうことになれば、どうもそこに行政上の転倒が起きてくるのではないか、土地調整委員会においても同様なことが起きてくるので、はなかろうか、かようなことのために意見を聞かなければならないと緩和したような次第でございます。  以上御答弁申し上げます。
  50. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 次に二十三条の第一項の改正でありますが、これは先ほども御説明になりましたように、公聴会を絶対に開かなければならないようにしようということのようであります。現行法では、必要があると認めるときには公聴会を開くことになっておりまして、これも一つの考え方であります。  それからもう一つ、二十八条の第三項の改正でありますが、建設大臣が、事業の再審査申請があったときは閣議に諮らなければならないとなっています。しかも、いわゆる慎重を期するということが考えられないわけではありませんけれども、全部そういうことをしておったのではとても仕事が進まない。収用法にかかるものを全部閣議にかけたり公聴会を開いたりしておったのでは、慎重はけっこうでありますが、公益の振興を阻害するおそれがある。これは質疑ではありませんで、そういうふうな考えだけを申し上げておきます。  それから第二十八条の二の改正でありますが、これは新しく条項を入れられて、相当の規定であります。これも前提でちょっと申し上げましたように、考え方としては必ずしも無謀ではないと思っておりますが、先ほど御説明がありましたが、百二十九条の訴願という制度があるのですから、利害関係人は全部事業認定については訴願をして、さらに建設大臣の再考を促すという方法があるのです。ここで市町村長などを出しておられますけれども、利害関係者は訴願の方法はあるのですから、二重のような感じがいたすのでありますが、これに閣議の決定というようなことで、先ほども申し上げたと同じように非常に複雑になっている。これは事業をおくらせる方法としては非常にいいかもしれないが、必ずしも公益に適するということでもないと思う。先ほども申し上げたように、法律を加州するとぎには、国民全体の立場を考えて、むろん主権を尊重する建前によって公益を考えていくということでなければなりません。結局法律の運用でありますから、あまりに規定ばかり複雑にすると、今日では、法律の規定を逆用して公益を阻害するということも考えられないとはいえないのでありますが、二重に訴願の場合と同じような規定をここに智かれたのはどういうわけですか。慎重はいいですけれども、少し亘複していはしないかと思う。
  51. 西村力弥

    西村(力)委員 公聴会を必ず開かなくちゃならないという点と、再審査の中篇を受けた建設大臣は閣議に諮らなければならぬという点、その点に対しては答弁を要求するということでございませんでしたので、私も、答弁ではなく意見だけ申し上げたいと思うのでありますが、とにかく、公聴会を開いて、関係地域の住民がそれに賛成をすれば、むしろ起業者が有利になるのです。反対をすれば不利でしょうけれども、むしろ有利になる場合も考えられるのです。だから、これは何も一方的に関係人だけを守ろうとする規定ではございません。また閣議の問題にしても、一ぺん建設大臣が認定したものを再審査するのであるから、それに一段とやはり何らかの段階をつけなければいかぬ、こういうために閣議に諮るということをやったのです。ただ、そのために手続が煩瑣になり、時間がかかるというのですが、こういう点に関しては、行政機構それ自体の欠陥ということをやはり考えなければいかぬ。のんべんだらりと官庁の事務が時間を要するから、そういう手続過程を作ることは仕事が円滑に進まないことになるのだということは、本質を誤まる議論であると私は思うのです。その次に、訴願の問題でありますが、取り消しまたは変更を要求するということでございました。この点も二重のようではありますが、私たちとしては、はっきりと取り消し変更の申し立てとしてできる訴願という形ではなしに、実際の手続過程のとり得る権利としてこれをやはり確定する必要がある、かように考えまして加えたような次第でございます。
  52. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もう一点だけ伺います。これは先ほど御説明になりましたが、例の予備委員を二人を五人にする。それは忌避の制度を六十一条の二で立てられましたので、次々に忌避していくからやはり予備委員を作らなければならぬということで、五人ということになされたようでありますが、これは二人でも五人でもそう大した問題ではないと思います。それほど五人も用意しなければ収用委員会が成り立たないという事故はめったに起らないと思います。ただ事故を起すために忌避の制度を作られたと思うのでありますが、ここにある「審理の公正が書されるおそれがある特別の事情があるとき」、これは先ほどの御説明にもありましたけれども、六十一条の現行法で利害関係その他があるものは一切収用委員会から除かれる除斥の規定があるわけであります。それは先ほど触れられましたが、そこまで現行法も慎重に、公平にやられなければならない収用手負会でありますから、各般の条項を書いて、そうしてこういうものは除斥される、収用委員会から除かれるのだという規定があるのです。その上にまた忌避の制度を——これも全然考えられないではありません。今の裁判制度も悪遊の制度があって、どうも信用にならないという特別な事情があれば忌避するという制度があります。それをこの収用委員会で創定しようという考え方であることは了解できますが、これを新たに立てなくてもいいのではないかという考え方を持っておる。ただ最近のような問題が各地に起ってくると、先ほど冒頭に触れましたように、こういう法律を作りますと、これをたてにとって、ある一極のイデオロギーに従ってことさらに忌避を申し立てる、そうして収川委員会を泥乱させて、公益の事業をおくらせるというやり方もできる道が開かれる。その点については、これは問題は法律の運用でありますけれども、法律を作るときには、やはり運用にあやまちなからしめるようなこともあらかじめ考慮しておかなければならぬと思うのでありますが、忌避の制度についてはさっきも御説明がありましたけれども、そういう弊害についてはどういうお考えを持っておられますか。
  53. 西村力弥

    西村(力)委員 忌避は乱用する危険もあることは考えられるでありましょう。しかしその忌避中立したに対して、そのことが正当なる理由があるかどうかということの判定は収用委員会自体が行うのでございまして、これはまあ次々にやったにしても五人なら五人、六人なら六人ということで済んでしまうのじゃないか、大したことはないと私は思うのであります。あなたの方でそういう条項を起せばイデオロギーにのっとってことさらに事をかまえる動きが出てくるのではないか、こういうことでございますが、そういう論をなさるならば、政府案にまつ与りから反対をしていただかなければならぬと私は思うのであります。なぜかならば、会長が審理を不当に遅延させると認めたときには主観的な観点でもってどのようにでも、これを短縮することができるというようなこと、その他すべてやはり乱用される危険性がある。その結果乱用されると、するならば、所有権というものは極度に圧迫されてくるということになるのでございます。そういうような御無念はむしろ政府提出の一部改正案の方に濃厚に存するのではないか、かように私は思うのです。
  54. 徳安實藏

    徳安委員長 中島巌君。
  55. 中島巖

    中島委員 私、政府案に対しまして質問をいたしたいと思うのですが、実は大臣でないとまずいのですが、大臣はおられないようでありますので時間のでき次第一つ委員長から大臣の御出席を願うように督促願いたいと思います。  実は私長野県でありまして、長野県は御承知のように電源開発県で、全国の二〇%に近い発電量を持っておる。従って発電関係の土地収用の問題が非常に多いのでございます。そうして、私は過去長い間県会議員などをいたしておりましてこれらに実際にタッチしておったのです。今回政府提案土地収用法の一部を改正する法律案の審議の状況を見まして、この土地収用法の一部を改正する法律案なるものは非常に行き過ぎである、憲法違反の疑義さえある、こういうふうに考えておるわけであります。しかし建設省側といたしますれば、先ほど政府委員からの説明もありましたように、現在の公共事業であるダム建設を中心とする仕事が急速にはかどっておらないというような観点から、この一部を改正する法律案を数年かかって、そうして各省との意見の調整をはかってここに提出したのである、こういうような答弁であります。これは皆さんも御承知通りでありますが、憲法第二十九条には「財産権は、これを侵してはならない。」とありまして、第二項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」第三項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」とあるが、これは法律的に解釈すれば、いわゆる第二十九条の第三項によるものである、かように考えてよろしいかどうか。
  56. 町田稔

    ○町田政府委員 土地収用法は、ただいま御指摘のございました憲法第二十九条第三項の規定に基礎を置きまして立案されておる法律でございます。
  57. 中島巖

    中島委員 そこで二十九条の第三項には、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」とはっきりうたってあるのである。しかるに政府提出土地収用法の一部を改正する法律案につきましては、いわゆる公共事業の名によりまして私有財産権を極度に圧迫いたしておるにもかかわらず、これを三項を適用したのでありますが、この三項にうたってあるところの「正当な補償の下に、」つまり損失補償という条項が妥当とか正当とかいうようなあいまいな文字のみを使ってありまして、はっきりした損失補償をうたってないのは一体どういうわけか。すなわちこれがこの三項にひっかけて、かつての忠君愛国の名のもとに一片のはがきをもって戦地へ人を送ったというような非常な逆行のにおいのするところの法律である、かように解釈するが御意見いかがであるか。
  58. 町田稔

    ○町田政府委員 今回の土地収用法の改正におきましては、損失補償の点は何ら改正を加えておらないのでございます。従来の土地収用法におきまして、損失の補償は第六章に詳細に規定になっておりますが、これらの規定によりまして物質的な損失は、完全にこれを補償するというようにできておるのでございまして、この点憲法第二十九条第三項に違反することはないと確信いたしております。
  59. 中島巖

    中島委員 結局この問題も究極しますと補償の一点にしぼられる、こういうように考えるのであります。従いましてこういうような強権の土地収用法律案を出すにつきましては、無過失な住民に対しまして国家権力で土地を取り上げるのであるから、損大補償の制度をはっきりと法律の上できめた上においてこの法案を出すべきが妥当であると、かように考えるのであるが、御所見はいかがであるか。
  60. 町田稔

    ○町田政府委員 ただいまの御意見通りに、損失の補償は安全にこれを行うべきものでございまして、第六章以下におきましてこれは完全に補償できるように規定がいたしてあるのでございます。たとえば土地等につきましては、第七十二条におきましても「収用する土地に対しては、近傍願地の取引価格等を考慮して、相当な価格をもって補償しなければならない。」という規定がございますし、それから八十八条におきましてこれらの補償以外に、収用によって通常受ける損失は完全にこれを補償する旨の規定があるのでございまして、損失の補償に関する限り、土地収用法におきましては憲法の規定に完全に沿った規定が従来からできておると考えております。
  61. 中島巖

    中島委員 憲法に沿った完全な規定ができておるという答弁でございますが、そうでない。なぜかと申しますと、この法律案は強権がいつでも発動できるような具体性を帯びたところの法律案である。しかも損失補償の点につきましては妥当であるとか適正であるとか、近傍の地価であるとかいうようなあいまいな規定でもってつづられて、具体性を欠いたところの損失補償に対する法律がうたわれておる。従いまして損失補償につきましてはあいまいもことしておりまして、そうしてこの土地収用の権限だけははっきりと具体性を持ってうたっておる。これは不均衡であると思うがどうであるか。
  62. 町田稔

    ○町田政府委員 ただいまの御意見にございました通りに、損失の補償に関する規定はきわめて抽象的でございます。その点は御指摘の通りでございますが、土地収用法は、各種の場合における土地の収用の際の補償の基準をこの第六章において規定をいたしておりまするので、その性質上勢い表現が抽象的にならざるを得ないのでございます。いずれの場合にもこれを適用して基準といたすべきものを条文の形で書いてございますので勢い抽象的になっておりますが、たとえば第八十八条等におきましては、かなり具体的にその規定をいたしておるのでございまして、たとえば「第七十二条から第七十五条まで、第七十七条及び第八十条に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因って土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。」という旨の規定がございまして、かなり具体的に書いてございます。これらの規定をなお一そう具体的に規定いたすべきことにつきましては、種々私たちも考究をいたしておりますが、実際はなかなか各種の場合に該当するような、しかも具体的な規定はむずかしいのでございまして、事の性質上こういうようになっておるという点を御了承いただきたいと思います。
  63. 中島巖

    中島委員 私損失の規定をまだ目を通しておりませんからよくわかりませんけれども、それらの補償の中には間接補償などが含まれておるかどうか。
  64. 町田稔

    ○町田政府委員 火はただいま御質問のありました間接補償というお言葉の意味でございますが、私たち通常間接補償という言葉をあまり用いませんので、私の解釈が間違ってお答えすることになるかもわかりませんが、土地を直接収用または使用されるいわゆる被収用者に対する損失補償ばかりでなく、土地収用によって事業を行われると、それによって損害を受ける者が被収用者以外にも出てきます。そういう持株の場合につきましては、第九十三条に、収用しまたは使用する土地以外の土地に関する損失の補償という規定がございまして、特殊の場合につきましては、この場合にも補償ができるようになっております。もしそういう場合のことを間接補償とおっしゃっておるといたしますならば、九十三条の場合におきまして土地収用関係以外の者にも補償をする規定がございます。
  65. 中島巖

    中島委員 結局こうした土地収用に対する大きな権限を持たせるについては、法律案提出するには、やはり損失補償の方を先になすか同時に提出すべき性質のものである、こういうように私は考えるわけであります。従って具体的な損失補償の法律案のできぬ限りこの法案提出することは、いわゆる憲法第二十九条違反の疑いが非常に濃厚なものである、こういうように私は考えるわけであります。  そこでただいま申し上げました間接補償でありますが、これは私の地方に今まで幾つもあった例であります。たとえば農家が六反歩耕作して一家の生計をなしておった。そのうち三反歩を水没地域によって取り上げられた。従って村の村長などが中に入りまして、そして他との均衡がありますので時価で取りしげた、しかしこれは不要のものを買ってもらったのではなくして、一家の世計を立てるために六反歩は絶対に必要だ、そこを三反歩とられたためにその農児は他に移住しなければならぬ、こういうような状態が各所に起ってくるわけです。従って現在の補償に関する法律では、これはそういうような間接補償という言葉が妥当であるかどうかわからないけれども、そういうようなことが非常に不備であって、至るところに悲劇が現在起っておるのであります。従いまして、この損失補償の具体的なものは非常に困難ではありますけれども、できぬというわけはない。従ってこの法案を整備して、そしてただいま提案の改正法律案を一時引っ込めて、同心に提出するようなふうにお考え直しを願えないかどうか、この点をお伺いしたい。
  66. 町田稔

    ○町田政府委員 現在の土地収用法におきましても、先刻お答え申しましたように物質的な損出は全部完全に補償する建前になっておりますが、ただいまお話のございましたように、収用をされた土地が金銭に変った、そのために農民はその金銭の使い方その他について適当な方法をとることを得ずに、従来通りの生活が再建できないというような場合が時々ありますことは、私たちも承知をいたしておるところでございます。ただその点は土地収用の補償の問題ではなく、また別個に収用をされた人たちの生活再建の問題として考えるべきものと思っておるのでございまして、これは土地収用法以外に、土地収用をされた者の生活再建整備等につきまして何らかの措置を講ずべきものと思っております。それで、その措置の大部分は行政措置によって行い得るのでございますが、なお法制を必要とする部分もあると思いますので、この点につきましては関係各省と協議をいたしまして、現在検討中でございます。
  67. 中島巖

    中島委員 そこで政府委員お尋ねいたしますが、土地収用法の一部を改正する法作業は、理屈のいかんにかかわらず、かりに憲法違反であるとしても、自民党の政調会ですでに了承しておるということでありまして、国会は数がものをいいますから、われわれが反対してもおそらく通ると思うのです。そこで政府は、この法案が通った暁において、この損失補償の問題に対しましてもっと具体性のある法律案を考究する意志があるかどうか付いたい。
  68. 町田稔

    ○町田政府委員 損失補償の問題につきましては、今後なお十分に検討、研究いたしたいと思っております。
  69. 中島巖

    中島委員 そこで私は法律案の内容について二、三質問をいたしたいのでありますが、この法律案提案理由にあるごとく、事務を簡素化するということが第一の目的でありまして、その方を見ますと地方公共団体の長の権限を多分に建設大臣に委譲してある、しかも非常にあいまいな言葉で委譲してあるわけでありまして、利害関係が二府県にまたがるというような言葉を使っておったと思います。たとえば一つの河川にダムをこしらえる、そうするとこれは当然下流地方、上流地域に影響を及ぼす。たとえば発電所を建設すれば送電線関係、あるいは電気の供給区域において二県にまたがる、あるいは飛行場をこしらえれば、飛行機が飛ぶことによって他の府県にも、たがる、こういうように解釈してよろしいのであるかどうか。
  70. 前田光嘉

    前田説明員 十七条に三号を加えまして、二府県にまたがって利害の影響を及ぼす事業と書いてございますが、その書いたことではあるいは不明確であって具体的の適用がやりにくいと考えられますので、そういうふうな性質の事業といたしまして三号の中にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トと列挙いたしました。この「一の都道府県の区域をこえ、又は道の区域の全部にわたり利害の影響を及ぼす事業その他の事業で次に掲げるもの」と書いてここに列挙した事業につきましては、全部建設大臣の権限に移ってくるわけでございまして、不明確がないように注意いたしてあるわけでございます。
  71. 中島巖

    中島委員 そうしますとほとんどすべての事業が地方公共団体の長から建設大臣へ移管された、天際問題としてこういうように見てよろしいと思うのでありますが、具体的に知事の権限に残っておるところの目ぼしい事業はどういう仕事であるか伺いたい。
  72. 前田光嘉

    前田説明員 土地収用法の適用を受ける事業は第三条に規定しておりまして、一号から三十三号まで列挙してございます。この改正案におきましてはイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トと七号を持ってきましたので、その他の事業につきましては、その事業主体が国または果でなく、または事業施行地が二府県にまたがらない限りすべて都道府県知事の所管でございます。
  73. 中島巖

    中島委員 そこで項目は三十何項目あるかもしれぬけれども、ここに七つはかり出ておりますけれども、ほとんどこれが大部分でありまして、その他の事業はごく微々たるものであって、ほとんどが建設大臣の認定する事業になった、こういうように解釈をせざるを得ないのであります。そこで土地収用法の一部を改正する法律案に対しまして、全国知事会氏におきまして三月十四日に土地収用法の一部を改正する法律案中、第十七条の改正については左記理由により反対するという反対決議が出されておるのであります。そこでこれらの内容を見ると、現在この法案を審議するに当って、政府委員の説明ではなかなかわれわれが納得しにくい、了解に苦しんでいることを、最もはっきりと、この知一会の法律案に対する反対意見の中にうたってある。それでこの一として、事業の認定に際しては特に現行法二十条に指摘されている事業の認定の要件を判定する場合には、地域的なあらゆる条件を熟知していることが公正な判断を行い得る必須の条件であって、現行法のごとく、土地所有者、利害関係人と常に接し、実情を熟知している都道府県知事が事業の認定を行うのが適当である、かように一の項にうたってありますが、これはもっともだと思う。たとえば東北とか北海道とか、あるいは九州とかいうような遠いところの下米認定を行うに、建設大臣が直接行うというようなことでなしに、今までのように都道府県知事がこの認定を行うことは、それぞれ出先の機関を持っており、そして土地所有者であるとか、利害関係人とかというものと常に接して、実情を知っている。そしてまた、収用される土地の所有者もごく正直に、手取り早く意見の開陳ができる、こう考えるのであるけれども、なぜ建設大臣にこの権限を移譲せねばならぬか、この点お伺いしたい。
  74. 町田稔

    ○町田政府委員 今回改正いたしましたのは、事業の利害の影響が一つの都道府県の区域を越えるようなものにつきましては、一つの都道府県の区域にとらわれることなく判断ができる建設大臣においてこの事業の公益性を判断する方が合理的であると考えたからでございます。なお地方の利害等については、現在の土地収用法の二十一条においても関係行政機関意見の聴取をすべき旨の規定がございますので、これらの規定の活用によって地元知事の意見を十分聞く機会があるわけでございまして、この点心配はないと思っております。
  75. 中島巖

    中島委員 政府委員見解と私の見解とは非常に違うのでありますが、これらは一括してあとで質問を行うことにいたしましょう。そこで、この全国知事会議意見の第二項におきましては、公益事業の用に供する電気工作物に関する事業、並びに電源開発株式会社が設置しまたは改良する発電施設または送電施設に関する事業については、県政の総合的運営という見地から、現行法通り知事に認定の処分を行わせることが必要である、この知市の権限を取り上げて建設大臣が認定に関する処分を行うことは適当でない、こう言っておりますが、これももっともで、われわれの考えにぴったりくる。第三におきましては、都道府県知事は改正案によれば第二十四条第三項の通知があるまで管内の事件を正式に知り得ず、行政上当然起り得べき種々の問題につき何らの意見を述べる機会がなく、問題に対処する上に著しく不都合である、こううたっております。これも全くもっともであると思いますが、政府の御所見はどうであるか。
  76. 町田稔

    ○町田政府委員 全国知事会議の第二点の意見でございますが、現在においても、国の行います事業だとか、県が実施いたします事業は建設大臣が事業認定をいたしております。それらの事業には非常に重要な事業がございますが、これも事業認定は建設大臣がいたしておりますが、県政の総合的運営という見地から知事の意見を十分尊重いたしております。特に今回の改正によってこの点が新たに知事の県政の総合的運営を害する結果になるとは考えないのでございます。それから第三の、都道府県知事は第二十四条第三項の通知があるまで管内の事件を正式に知り得ず、とございますが、今回の改正によりまして経由を取りやめましたかわりに、写しを都道府県知事に送付することになりましたので、従来は書類が手元にとどまっておりません結果になっておりましたものが、今後はむしろ写しが手元にとどまっておりますので、従来より一層知事としては事業がしやすいということになります。この三項についての意見は事実に該当しないというように考えております。
  77. 中島巖

    中島委員 政府委員の答弁は、ちょっと極論になるかもしれぬけれども、非常に私詭弁だと思う。この知事の反対意見にもあるように、やはりその土地の事情、利害関係人、土地の所有者などを知っておって、そこで知事が意見を具申することによって初めて公平な円滑な土地収用ができる、こういうふうに考えるのです。ちょうど現在の河川法において、河川管理者が知事になっている、けれども実際問題としましては、たとえば発電所の堰堤設置を許可するに当りましても、その土地、河川、その影響の及ぼすところ、ダム設置によるところの損失関係などがよくわかっておりますが、それらの二ときこまかな意見を具申して、管理者の知事が建設省の意見を聞いてそうして初めて許可することにたっている。このちょうど河川管理者の立場、すなわち知事の権限において調査も具体的にまとめて、建設大臣に申請してその内申を経て知事が許可するという旧来の方法がごく合理的であり、最もいい方法である。こういうふうに与えるのであるが、御所見いかがでありますか。
  78. 町田稔

    ○町田政府委員 今回省略いたしました経由は地元から申請するときの経由を省略いたしたのではないのでございまして、大臣が市町村長に書類を縦覧させる際に府県知事を経由いたしておりましたのをとりやめたのでございます。逆でございますので、今御意見のありましたような点は該当がないと考えております。
  79. 中島巖

    中島委員 これらの問題につきましては、私欠席しているときにすでに質疑応答があったそうでありますので、これ以上意見を質さぬようにせねばならぬと思いますけれども、いずれにしても今までの政府委長と私との応答においてはどうも納得ができぬ、知事会議の反対意見の方がぴったりとわれわれの考えと合うということはそうゆがめない事実でございまして、ことに河川関係におけるごとく知事が河川管理者であることが建設省の意向によって、いろいろ諸般の条件を決定する上においてもかえって費用もかからず、便利で妥当な結論が打ち出されておる、こういうように信じておるのでありまして、この法律案は憲法の基本法から見ましても、実際問題から見ましても、少しく行き過ぎであるというような考えをどうしても持たざるを得ないのであります。そこであなたにお伺いいたしたいことは、どういう必要に迫られてこういう法案提出せねばならなかったのかという問題であります。しかしこの問題につきましては、先ほど同僚委員からこれと大同小異のような質問をいたしまして、そしてダム建設なんかの公共事業に対してはかばかしく仕事が進捗せぬから、各関係省と打ち合してこの改正案を出したのであるというような答弁のように私伺ったのでありますが、そういうように了解してよろしいのでありますか。
  80. 町田稔

    ○町田政府委員 先刻御答弁申し上げました通りでございます。
  81. 中島巖

    中島委員 そこで建設省が主体になりまして治山治水の面、さらに農地改良専業の面などから、現在多目的ダムの建設を促進しておる、これは私も非常に時宜を得た方法だと思って賛意を表しておるわけであります。その間所要土地の入手問題なんかで非常に苦労されておる、これもよく私も了解しております。しかしながらこの法案を作成する動機がただいま申し上げたような事情の動機でもって作成したがために、それのみにこだわって重点を置いて、その他へ影響する各般の問題、ことに憲法で規定されておるところの、基本法で規定されておるところの私有財産権の問題、それらに対して払うところの考慮が非常に欠けておる、こういうように私は考えざるを得ないのでありますが、御所見いかがでありますか。
  82. 町田稔

    ○町田政府委員 先刻も申し上げましたように、土地収用法の損失補償の規定が、損失につきましては完全補償の規定をいたしておりますので、憲法に違反するところはないと考えております。
  83. 中島巖

    中島委員 憲法に違反するところはない、こういう御答弁であったけれども、これは見解の相違と申しますか、現在政府が、自衛軍が二十一万幾らの定員になって、陸上自衛隊が十八万になって、軍部のはなやかになった満州事変当時でも陸上軍は十五万だった、それでも軍隊ではないといっているようなもので、あなたも現在の政府をならってそういう答弁も言えるだろうと思うけれども、どう考えても総合開発の中心であるべき多目的ダムの建設、それによって起るところの用地の買収、それに苦労するあまりに、この法案の整備を急いだ、従ってこの法案の内容を前後通じてみると非常に国家権力が私有財産権か圧迫しておる、しかもそれに対するところの、無過失な農民と申しますか、国民に対するところの具体的な損害補償の規定がない。さらにこれが行き過ぎた場合にどうするかというところの規制が何もない。自分が困っておるからその面のみを強く押し出して、それによって影響するところのもろもろの条件を考察に入れたところの法案の整備ができておらぬという感が非常に深いのであるけれども、この点いかがでありますか。
  84. 町田稔

    ○町田政府委員 今回の改正におきましては、被収用者の犠牲を大きくするというような改正点は一点もないのでございまして、単に事務の合理化をはかったというだけでございまして、今御意見のありましたような御心配はないものと思っております。
  85. 中島巖

    中島委員 そこで具体的の問題としてお伺いいたすのでありますけれども、今まで、旧来の土地収用法によって処理のできなかった件あるいは困難な件があった、今度一部を改正する法律案提案した理由はそこにあると思う。従ってその具体的な例を示して、なるほど今回の改正法案を吊すのはもっともであるというような、われわれの納付のいくような例を幾つかあげて御説明を願いたいと思います。
  86. 町田稔

    ○町田政府委員 午前中にも御答弁申し上げましたように、非常に多くの土地収用をできる事業、約十万ヵ所くらいの事業が年間に行われておるわけであります。それらのうちで土地収用によって土地を収得する件数は年々四十ないし五十程度でございます。それらのうちで今回の改正を必要としたような該当件数はそう多くはないのでありますが、たとえば都道府県知事の事業の認定を受けるについて非常に長期を要し、または受け付けられなかったというような実例も、私たちの知っている範囲内におきましても数件ございます。たとえば申請書を出したが、知市がその申請書をいろいろな理由で受理をしなかったというような例がありましたり、あるいは申請書を出しましたら、むしろ土地収用によるよりは当事者岡の話し合いで解決をした方がよかろうというので、起業者側が知事のいわば圧力によって不利ないろいろな条件をのまされたというような例もあるのであります。それからこの手続——この点は非常に重要な点でありますが、手続の簡素化の点につきまして、たとえば意見書を得るのに数十日かかった、しかもその意見書を出すにつきましても、関係の行政機関が土地に対して、公共団体有の財産に、非常に多額の補償金を出すならば意見書をつけてやろうというようなことを要求して、なかなかその話がつかぬために意見書がもらえなかったというような例もあるのでございまして、そのために数十日以上も意見書を得るのに期間を要したというようなこともございます。そういうようにいろいろの従来の実情もあるいは事実であり、あるいはうわさに聞く分もありましたので、それらの点につきまして合理的な改正を必要といたしまして、それをはかりましたのが今回の改正の条項でございます。
  87. 中島巖

    中島委員 今私が旧来の土地収用法で損失補償の具体的な案件以外は大丈夫ではないか、なぜこういう一部改正をする法律案提出したのであるか、それについては提出すべき理由があったのであろうと思うが、その具体的な今までの案件をお示しを願いたいという質問に対して政府委員の答弁は、今まで十万件ぐらい扱ったうらに、土地収用法を適用したのはわずか四十件程度である。それから土地収用法で書類を出したところが知事が進達をせずに結局和解した方がいいじゃないかということで、知事の意見によって事業主が非常に多額の金を出して損をした。それから、多額な補償を出せばいいけれども、そうでなければ意見書をつけないというようなことで意見書をつけるのに数日間かかった。この三つのことを今あげられたわけであります。そういうように了解してよろしいですか。
  88. 町田稔

    ○町田政府委員 ただいま申し上げましたのは例示として申し上げたのでありまして、その他にも私たちが知らない部分につきましてもそういう例があると思いますし、今申し上げましたのは例示でございます。
  89. 中島巖

    中島委員 そこで今私の言ったことを確認されたわけでありますが、十万件の件数のうちで四十件、五十件なんというものは千分の一にも——万分の五くらいな件数であって、これくらいな件数にこれほど主権を圧迫するところの法律案提出する理由は私はないと思う。それから第二の、土地収用に当って知事が和解した方がいいじゃないかということで、それがために事業者が多額の負担をしたというようなことを言われたけれども、その多額というのはどこを基準として多額というのであるか、これがまたはなはだ私は了解に苦しむのです。私の方で今建設省の直轄工事をやられておるが、最近一反歩三十五万円というような金を出して、それで中部建設局長が私に、ああいう多額の金を出すのでは、今後ダムの設置も何もできぬからというような話があって、私はそれに直接タッチしておるのではありませんけれども、そういうような話があり、また県の方からも、もう少し何とか中に入ってくれぬかというような話があったけれども、私入りませんが、きょう聞いておると、田子倉なんかでは一反歩に対して四十八万出しておる、こういうような状態なんです。従ってあなたが多額というようなことを言われても、もっと具体的に、だれがどこのどういう条件の土地で幾ら幾ら出したというような話がなければぴんとこぬ。あたかもこれは特殊事業会社をもりたてるための法律であるような印象が深くなってくる。そして知事が意見書をつけるに際して話し合いで済ませというのはこれはもっともだ。当然知事は話し合いで済まして、そうして国家の強権の発動をなるべく見合わしたいという意見であるのではないか。これもこの法律案提出する何らの理由にもならない、こういうように私は考えるのでありますが、どうもこの法律案提出するところの根拠というものが非常に薄い、法律案提出せねばならぬところの何ら具体的の根拠がないと断言せざるを得ないような政府委員の説明である、こういうように私は考えるのであります。そうして、これはあまり憶測が強くなって恐縮かとも思いますけれども、たとえばこの土地収用法の適用を受けるところの事業の種類においても、何ら利益を得ないところの、国が行う道路であるとか、あるいは河川、堤防であるとかいうものと、それから民間事業であるところの電源開発であるとか、かりに国が多額に金を出しておるにしましても、電源開発であるとかいう直接収入を得る者と土地を収用される者の感情の上におきましても、また国家的見地から見ましてもそこに非常に差があるものだ、こういうように考えるわけであります。それでもしこれを悪く考えれば、建設省が全国の権限を握って、そうして巨大資本閥と結びついて——これはまあ非常に語弊があるかもしれませんけれども、われわれの県におきましても河川課の治水係が河川の使用の認可なんかの権限を持っておる。ところがその治水係の主任は県庁をやめるといつでも発電会社の社員になるということがきまっておる、従いましてこの法律案も裏にそんなようなことがありはせぬかというように、何ら改正をするところの具体的のわれわれが納得いく説明が得られませんので、そんなように憶測をせざるを得ないというように考えるのでありますが、もっと具体的な、なるほどこれは土地収用法の一部を改正する法律案提出しなければならぬというような御説明が得られれば大へんに仕合せだと思うわけであります。
  90. 町田稔

    ○町田政府委員 今発川関係事業の点についてお話がございましたが、土地収用をいたしました事業のうち発電関係事業は五%か六%でございまして、収用関係の主たる事業は国道であるとか、中学校の建設、河川の改修等大部分が発電と関係がないものばかりでございます。発電関係はそのパーセンテージがごく低いのでありまして、その点は御了承をいただきたいと思います。
  91. 中島巖

    中島委員 だいぶ政府委員にも御苦労をかけたのですが、どうもすっきりと納得のいかぬのが遺憾であります。  そこでまた話は大きな問題に移りますが、先ほどいろいろと同僚委員質問に対して政府委員からくどくどと説明があったようでありますが、例の米軍関係であります。あれは日本団とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法というものが昭和二十七年に立法されておるわけであります。従ってこれの適用がありまして、この土地収用法には何ら関係がないのであるかどうか、これを適用し、なおかつ土地収用法を二重に適用するのであるかどうか。この点をお伺いしたい。
  92. 前田光嘉

    前田説明員 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、この法律によりまして、土地収用法を適用することになっております。これは第十四条によりまして、土地収用法のうち特別の規定だけをこれに適用しております。今回の改正につきましてはこの第十四条の規定によりまして適用される土地収用法の条文もございますが、先ほどお話のございました事業認定に関する令につきましては、この第十四条の規定によりまして、つまりアメリカ軍との関係の分につきましては土地収用法の規定によらないで、この特別措置法によってやっておるのであります。
  93. 中島巖

    中島委員 そこで現在までアメリカ関係での土地収用の件数はどのくらいでございますか。そしてその件数の中で土地収用法をあわせて用いた件数がどのくらいな件数に当るのかということがおわかりであったら、御説明願いたいと思います。
  94. 前田光嘉

    前田説明員 特別措置法によりまして事業認定いたしますのは総理大臣でございますので、今手元に何件事業認定したという資料を持っておりませんが、それほど多数あるとは思いません。専業認定に関する処分とそれに基いて収用裁決した分と両方ございますが、事業認定に関する分につきましては特別調達庁の所管でございますので、そちらの方で調べられておると思います。裁決になりました分については、その裁決は土地収用法の規定により収用委員会が裁決いたします。それで現在裁決があったと聞いておりますのが二件、継続中が一件というふうに承知しております。
  95. 中島巖

    中島委員 土地収用法の適用を受けて収用委員会で裁決したものは、建設省でやっておるのでしょう、その三件の内容は、もし建設省の所管であったらどういうことになるかという御説明を願いたい。
  96. 前田光嘉

    前田説明員 裁決は建設省の所管ということはいえないと思います。裁決につきましては収用委員会が裁決いたしまして、私の方へは報告が参ることになっておりますので承知しておるのでございまして、建設省の所管ということには法律がなっておりません。収用委員会の裁決は収用委員会自体が裁決したものでございます。
  97. 徳安實藏

    徳安委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  98. 徳安實藏

    徳安委員長 では速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後四時三十八分散会      ————◇—————