○町田
政府委員 土地収用法の一部を改正する
法律案について御
説明申し上げます。
まず第三条第十七号の改正について御
説明いたします。第三条は、
土地収用法の適用を受けて
土地を
収用し、または使用することができる
公共の
利益となるべき
事業を列挙した条文であります。第十七号は公益
事業令による公益
事業の用に供する電気工作物を掲げたものでありますが、公益
事業令による公益
事業と申しましても、その公益
事業のうち、ガス
事業につきましては、ガス
事業法により第十七号の四として別に掲げられ、残るのは電気
事業のみとなっておるのであります。公益
事業令は、
昭和二十七年に効力を失いましたが、電気及びガスに関する臨時
措置に関する
法律によって、電気
事業に関する
法律が制定されるまで、なおこれによることとなっております。今回の改正はこの点を明らかにしたものであります。第十七号の三の改正もこれと同
趣旨の改正であります。
次に第十七条第一項に、第三号として一号を加える点について御
説明いたします。第十七条第一項は、
建設大臣が
事業の認定に関する処分を行う
事業をあげたものでありますが、今回これに
事業の性質上その利害の影響が一の都道府県の区域をこえ、または道の区域の全部にわたって及ぶようなものを加えたのであります。このような性質の
事業につきましては、一の都道府県の区域を管轄する
立場にある知事よりも、都道府県の区域にとらわれず、全国的見地より判断できる
立場にある
建設大臣において
事業認定処分をする方が妥当であるからであります。以上のような性質を有する
事業として、具体的にイ以下に列挙し、これらを
建設大臣が
事業の認定に関する処分を行う
事業に加えることとしたのであります。
次にイ以下各
事業について御
説明いたします。
イの「港湾法による港湾施設で重要港湾に係るものに関する
事業」は、第三条第十号の港湾法による港湾施設のうち港湾法に定めるところにより重要港湾に
指定された港湾における港湾施設に関する
事業を取り上げたものであります。
ロの「航空法による飛行場又は航空保安施設で
公共の用に供するものに関する
事業」は、第三条第十二号に該当する
事業であります。
ハの「国際電信電話株式会社が公衆通信の用に供する施設に関する
事業」は、第三条第十五号の二に掲げてあるものでありますが、そのうち日本電信電話公社につきましては、当該公社法により
土地収用法の適用については国とみなされ、
事業の認定は
建設大臣の主管となっておりますので、これを除いたわけであります。
ニの「日本放送協会が放送
事業の用に供する放送設備に関する
事業」は、第三条第十六号の日本放送協会が行う放送
事業の用に供する放送設備に関する
事業を取り上げたのであります。
ホの「旧公益
事業令による電気
事業の用に供する電気工作物に関する
事業」は、第三条第十七号に該当するものであります。そのらち電気工作物に関する
事業を行う電気
事業の供給区域が一都府県内に限られているものにつきましては、従来
通り都府県知事が判断すべきものと
考えますので、これは除外いたしました。
ヘの「電源開発株式会社が設置し、又は改良する発電施設又は送電変電施設に関する
事業」は、第三条第十七号の二に該当するものであります。
トに掲げる
事業は、いわゆる付帯
事業でありますから、右に述べた本
事業とあわせてその
事業計画を審査し
事業認定するかどうかを定めるべき性質のものでありますから、共に
建設大臣が
事業の認定に関する助言を行う
事業として掲げたものであります。
第十八条第二項第三号から第五号までのうち「
意見」とあるのを「
意見書」と改めるのは、
土地の管理者または
関係行政機関の
意見は、書面で述べられた
意見を添付すべきものでありますので、「
意見書」と改め、
土地の管理者または
関係行政機関の作成した
意見書を添付すべきことを明らかにしたものであります。
第十八条に第三項を加えるのは、第二項第三号から第五号までに掲げる
意見書、すなわち
事業認定申請書の書類として必要なこれらの
意見書は、相当期間経過してもこれを受けられない場合は、起業者においてその
事情の概要を
説明する書面を添付すればよろしいとした規定であります。起業者が
事業認定の申請をしようとしても、その添付書類であるこれらの
意見書を相当期間経過しても得ることができないときは、認定の申請が容易にできないこととなるので、
事業の
実施にも影響を及ぼすことなるわけでありますから、今回このような規定を置いて手続の簡素化をはかろうとするものであります。そのかわりに起業者にかわって、
事業の認定処分を行おうとする
建設大臣または都道府県知事が
意見を求めることにいたします。これが次の第二十一条の改正の
理由になるのでありまして、第二十一条の改正は、ただいま御
説明いたしました第十八条の改正に対応するものでありまして、
意見書の添付がなかったときは
意見を聞くべき場合につけ加える、また第四条に規定する
土地の管理者の
意見を聞く必要がありますので、これを加えたものであります。
第四条に規定する
土地の管理者というのは、第四条の規定によれば、現に
土地を
収用し、または使用することができる
事業の用に供している
土地について、これを別の
事業のために
収用または使用するには特別の必要がなければならないこととなっておりますが、そのような
土地についての管理者をさすものであります。ただし書は、この
土地の管理者が実際には不在、不明等の場合が
考えられますので、このような場合には聞く必要がないということを言っております。
第二十四条一項の後段を削って第二項を加えましたのは、
建設大臣が
事業認定の申請書及び添付書類を市町村長をして公衆の縦覧に供させるためにこれを送付する際に、都道府県知事を経由することをやめ、市町村長に直接送付することとし、そのかわり知事には送付後直ちにこれ通知して当該申請書及び添付書類の写しを送付することとしたものであります。
事務手続の簡素化をはかったものであります。
第二十六条第三項の改正は、
建設大臣が
事業認定をしたとき、都道府県知事に対し、第十八条第二項第一号から第四号までに掲げる書類の写しを送付することをやめたものであります。これはただいま申し上げました第二十六条第三項により送付済みだからであります。
第四十条にただし書を加えましたのは、
事業認定があった後に
土地収用法によるあっせん
委員のあっせんがあって、これが当事者間に合意の
成立する見込みがなくて打ち切りになったような場合は、
土地細目の公告後重ねて
協議をさせる必要がありませんので、これを省略してよいことを規定するものであります。それからこれとあわせて相手方が不明等の場合は、
協議することができないわけでありますから、ただし書に加えたものであります。
第四十一条及び第四十二条第一項第四号の改正は、以上の第四十条の改正に伴う必要な
関係条文の
修正であります。
第六十四条第二項は、
収用委員会における審理に際しまして
委員会の会長は、当事者が述べる
意見、申し立て等が、すでに述べた
意見、または申し立てと重複するとき、裁決の申請にかかる事件と
関係がない
事項にわたるときの二つを例示して、その他一般に相当でないと認めるときはこれを制限できることとしておりますが、審理の適正迅速な
運営をはかるため今回このその他相当でない場合の例示として「裁決を不当に遅延させる虞があると認めるとき」ということを加えたものであります。
第百二十五条の改正は、
収用委員会の裁決
事務の複雑化の現状にかんがみまして、裁決の申請の場合の手数料を引き上げるようにするものであります。従来は一カ月が最高限でありましたが、これを十万円に改めまして、裁決申請にかかる損失補償の見積り額に応じて手数料を
政令で定めることといたしております。
最後に附則のうち経過規定につきまして御
説明申し上げます。第二項は、従前都道府県知事に
事業認定の申請をしていた
事業で、この改正法により
建設大臣に申請をしなければならないこととなるものでも、すでに申請済みのものはそのままでいいということであります。
第三項は、改正町の
法律により
建設大臣が
事業認定申請書を公衆の縦覧に供するために
関係市町村長に対し都道府県知事を経由して送付したときは、この改正法によらず旧法による手続によって処理すべきことを規定したものであります。
第四項は、裁決申請手数料の額は改正法の
施行前にすでに申請済みのものは、改正法による手数料を納めなくていいことを明らかにしたものであります。
以上簡単でありますが、
土地収用法の一部を改正する
法律案の補足
説明を終ります。