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1955-12-23 第24回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月二十三日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 荻野 豊平君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 今村  等君       大高  康君    大橋 武夫君       田中 彰治君    二階堂 進君       廣瀬 正雄君    山口 好一君       小松  幹君    中島  巖君       三鍋 義三君  委員外出席者         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建設事務官         (河川局次長) 淺村  廉君         建設事務官         (河川局水政課         長)      國宗 正義君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         専  門  員 西畑 正倫君     ————————————— 十二月十六日  委員二階堂進辞任につき、その補欠として薄  田美朝君が議長指名委員に選任された。 同日  委員薄田美朝君辞任につき、その補欠として二  階堂進君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員伊東隆治辞任につき、その補欠として大  橋武夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として伊  東隆治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  委員派遣承認申請に関する件  小委員会設置に関する件  建設行政に関する件     —————————————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件につきましてお諮りいたします。先ほどの理事会でも御相談を願ったのでありますが、今国会におきましても先国会同様国土計画地方計画都市計画住宅、建築、道路河川、その他建設行政に関する事項につきまして、衆議院規則第九十四条により国政調査承認を得たいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  なお議長に提出すべき国政調査承認要求書の作成及びその提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さように取り計らいます。     —————————————
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、国政調査事項承認になりましたならば、現地へ委員を派遣して調査をいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なきものと認め、さように決定いたしました。  議長に対して承認申請の申し入れをいたす件につきましては、委員長に一切御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なきものと認めて、さように決しました。     —————————————
  8. 徳安實藏

    徳安委員長 なおお諮りいたしますが、国政調査事項承認になりましたならば、調査の一方法といたしまして河川道路及び住宅に関する事項調査のため、河川道路及び住宅に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに対して御異議はございませんでしょうか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  9. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なきものと認め、さように決しました。  次にこれらの各小委員会は、小委員の数をそれぞれ十五名といたしまし小委員及び小委員長委員長におきまして指名するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議ないものと認め、さように決しました。  小委員及び小委員長の氏名は追って公報をもって発表いたします。     —————————————
  11. 徳安實藏

    徳安委員長 建設行政に関しまして政府より説明を聴取いたすことといたしますが、委員大橋武夫君より発言を求められております。この際これをお許しいたします。大橋武夫君。
  12. 大橋武夫

    大橋(武)委員 私はこの機会におきまして、最近全国各地でいろいろ問題を起しております発電用水利使用に関連いたしまする漁業権補償につきまして建設当局見解を明らかにいたしたいと存ずるのでございますが、発電用水利使用につきましては、従来これが建設大臣権限とせられておったのでございますが、わが国の河川実情から申しまして、河川につきましては、農業用水利権であるとか、あるいは漁業権であるとかいろいろな権益が交錯をいたしておりますために、発電用水利使用許可影響によって、これらの権益に及ぼすところはきわめて広範であるのでございます。しかも今日河川法その他の法規は、これは明治の法律でございまして、その後社会の進歩に伴いまして、これらの規定が不備であったといわなければならぬ点が非常に多いわけでございます。こうした間において、建設省がこれら各種の交錯した権益の間に立って、発電用水利使用許可せられるに当りましては、いろいろ困難な問題がおありのこととお察し申し上げる次第でございます。こうした点につきまして、まず建設省がこれらの権利調和利益調和ということについて根本的にはいかなるお考えを持っておられるか、この点をまずお伺いいたしたいと思うのでございます。
  13. 米田正文

    米田説明員 ただいまお尋ねのございました発電用水利使用許可に関しますいわゆる水利権許可に関しまして他の権益との調整についてどういう方針を持っておるかというお尋ねでございますが、これはお話しの通り、今日社会情勢あるいは文化産業の、あるいは経済の非常な高度に発達した今日におきましては、水利使用許可いたしましてそこに発電堰堤ができるということになりますと、その結果他の権益とのいろいろな衝突を生じましていろいろと各地で問題を起しておる実情でございます。これにつきましては私どもはそれらの権益補償について国の方針を明らかにする必要があるという考え方から、これは根本的にはまだ国の全体の補償という問題については研究余地が多分にあるのではございますけれども電源開発を伴う損失補償に関しましては、電源開発促進法によりまして、その事務措置といたしまして、現在発電開発に伴う補償要綱というものは閣議で決定をいたしまして、補償要綱決定をいたしておるのでございます。これによって発電に伴う損失補償は、全国一律にやるという原則でございます。そこでその全体から見ました要綱はございますけれども、その要綱は内容的にはいろいろと抽象的にうたってあるところも多いのでございますので、その運用に当っては各地でいろいろと懸隔を生ずるような場合もございますが、われわれといたしましてはそういうものについては極力公平を欠かないように努力をいたしてその運用に遺憾のないようにいたしておるつもりでございます。
  14. 大橋武夫

    大橋(武)委員 そもそも発電用水利使用というのは、河川に対しまする独占的の使用権設定でございますが、元来こうした独占的な使用権というものは、河川の持っておる公共性を害せざる範囲において特許するというのが、こうした許可に当っての根本的な考え方であろうと思うわけでございます。もちろん発電用水利使用というものは、今日国家的に非常に重要な問題でございまするので、従来からありました権益を一切妨げない範囲内においてのみ発電許可するといいましても、これでは現実発電許可はできなくなります。従ってある程度従来から存在いたしておりまする河川水利権漁業権等を犠牲にいたしましても新たなる特許を行わなければならぬという場合はもちろんあり得ると考えるのでございます。しかしながら一面におきまして、従来から存しておりまする農業用水利権であるとか、あるいは漁業権というようなものの性質を考えてみますと、数百年来農業用水利権あるいは漁業権を通じまして沿川の住民はその生活を立てて来ておるのでありまして、従って農業用水利権なり漁業権なりというものは、沿川住民経済生活基礎となっておるということを否定するわけに参らないのであります。果してしからば、こうした経済生活基礎になっておりまする河川に対する利用の権利というものは一種の財産権ともいうべきものでございまするから、自由主義経済のもとにおきましては、憲法上最も尊重しなければならぬ権益であるといわなければならぬわけなのであります。従って発電用水利使用によりまして、こうした権益の行使が現実に妨げられるような事態を生じました場合には、政府といたしましては、当然その損害最小限度にとどめるために努力いたしまするとともに、すでに生じておりまする損害に対しましては完全なる賠償を与えるというのが、許可を与える以上当然政府責任として生じてくるものと考えられるのでございますが、こうした考え方につきましては、建設省はどういうお考えをお持ちでございましょうか。
  15. 米田正文

    米田説明員 お説の通り水利権設定に当っては、それが及ぼす多くの損失を極力少くする、いわゆる最小限に食いとめるという考慮を第一に払うべきだと思います。しかしそうは計画をいたしましても、経済限度というものから見まして、ある規模のものが決定をいたしますると、それに伴う他の権益侵害というものはどうしても起ってくるのが実情でございますので、それらについては損害に応じてこれを補償していくという建前をとることはお説の通り考えております。
  16. 大橋武夫

    大橋(武)委員 ただいま建設省の御当局として、損害に対する完全なる賠償という原則をお認めいただいたわけでございますが、この水利使用権に伴う他の権益損失に対する賠償ということを考えてみますると、これは起業者といたしましては一応当局許可を受けてやったことであります。その許可通り工事をした結果、損害が生じておる。従って損害の起った一つ原因といたしましては、そうした政府許可、そのことがこの損害原因をなしておるというふうに言うことができると思うのでございます。従いまして許可によって、従来の漁業権に対して損害を生ずるような原因政府機関が行なった場合においては、それによって生じた損害に対しては、決して政府も無関心であるべきではない。もちろん賠償原因発電用水利使用であり、また水利使用による利益は、これは起業者に帰するのでありますからして、賠償の負担というものを究極において同様起業者に帰せしめるということは当然でありますけれども、しかし少くとも法理上においては、賠償起業者の当然の義務というのではなく、まず第一段においては、その水利使用原因を作りました許可行為ということをやった当局が、それによって生じた賠償については全責任を負うべきである。すなわち第一段においては、国家がこうした損害について責任を負うべき法律上の建前である。そうしてその賠償を今度は国が起業者に負担せしめるということによって起業者責任となるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。もちろん従来の裁判所の判決例によりますと、庄川問題におきまする流木権侵害に対しましては、起業者において不法行為上の賠償責任を免れることはできない、こういう判例があるわけでございますが、私どもはこうした起業者不法行為上の賠償責任ばかりでなく、元来この水利使用許可ということは、政府許可したのでありますから、その政府許可に基いて堰堤を作った結果、漁業権侵害されるような結果になったのでありますから、政府として、第一段侵害された漁業権者に対して賠償責任を負う、こういうふうな考え方をすることが当然ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。もちろん現在の法律がそういうふうにできておるというわけではありませんが、そもそもこうした実情から考えまして、この問題については根本的に政府責任を認めるという考え方がむしろ正しい考え方ではなかろうか、こう私は思うわけでございますが、これはあるいは意見であると仰せられるかもしれませんが、これについての建設省の基本的なお考え方を承わりたいと思うのであります。
  17. 米田正文

    米田説明員 お話のように、賠償行為あるいは補償行為等が起きたのは、その原因水利権許可したことに始まるというお説は、私は一般論としてはその通りだと思います。しかし現在の法律事務の通用から申しますと、その許可をいたしますときに、補償起業者において解決をするという条件をつけて許可をいたしておるので、第一次責任者はやはり当然その起業者であるべきだというように現在の事務運用はいたしております。しかし考え方としては、お説のような広い意味でのお考え方は、私は成り立つことかとも思います。今日私どもがやっております事務運用は、先ほど申しましたように、起業者にその補償を負担させるということを条件として許可をしておるということ、その運用河川管理者である知事許可指令書を出し、命令書を出してそれに明記をして知る。明記という意味は、賠償に関する車垣明記しておるとい事務運用をいたしております。
  18. 大橋武夫

    大橋(武)委員 事務運用の点はわかりましたが、考え方としては政府がこの賠償についてどこまでも責任をとるべきものであるという考え方は当然だというふうな御回答と承わります。そしてそういう考え方によりますと、従来水利使用に伴う賠償問題につきましては、とかく政府許可前においてはいろいろとあっせんをされますが、許可後におきましては、これは利害関係者起業者との交渉できめるべき問題だ、こうして全く当事者間の交渉に一任して行政機関は単なる傍観的な立場に終始しようというような傾向が相当見受けられておるわけでございます。こうした当局態度というものは、先ほどの基本的な考え方、すなわちこうした賠償の生ずるようになった原因を作った許可行政機関がやった以上は、その賠償問題の解決ということについてどこまでも行政機関責任を持たなければならぬ、こういう考え方から申しますと、傍観的態度をとるというがごときは、これは明瞭に誤まりであるといわなければならぬのであります。すなわちこうした問題において、ただいま局長の言われたように、まず利害関係者起業者との間でこの問題を解決させるというそのやり方は、実際したおいてよろしいといたしましても、現実には起業者は膨大なる資本を擁した大企業家であります。そして漁業権侵害されたというのは、これは零細なる多数の漁民である、こういう強力な者と弱い者との間の交渉というものについては、よほど政府機関がこの弱い者に対して力をかすという態度をとらない限りは、公平妥当なる解決を得ることは困難であるというのが今日の社会実情であるといわなければならぬ。それでありますから、こうした場合においては、行政機関が完全に賠償問題を解決する責任を痛感する以上は、あくまでも行政機関が積極的に利害関係者起業者との間に立って交渉を妥結せしめるような指導的な態度をとるということが必要であろうと思うわけでございます。極端に言えば、まず利害関係者許可権限ある官庁との間で相談をする。そうしてこの賠償金額はこういうふうにするんだということがきまったならば、その金額をもととして命令書条項に基いて起業者に対してこれだけの賠償を支払え、これだけの賠償を支払わなければこの問題は解決しない、問題が解決しない以上はこの水利権を存続するということは公益上支障がある、だから問題の解決するまでは河川法条項に基いて使用権を停止するとか、あるいは取り消すという措置もあり得るんだ、こういう積極的な断固たる態度をもって許可官庁起業者に対すべきものである、こうわれわれは考える次第なのでございますが、こうした考え方についてさらに進んで建設省の御見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  19. 米田正文

    米田説明員 ただいまのお話は、補償についてはもう少し積極的に政府なりあるいは行政機関がタッチすべきじゃないか、あるいは解決方途を講ずべきではないかという御意見だと拝聴いたします。そういう御意見についての是非については私ども研究余地が非常にあると思いますが、現在の運用実情を申し上げますと、起業者水利権申請をいたしましたときに、これには補償等の問題があるが、その補償等については十分な解決をするようにという条件を付してありますので、現在のところは起業者と被補償者との間にまず折衝をするという段階を置いて、これで十分話し合いがつけばそれで解決をいたしますが、そうでない場合には、従前からもたくさん事例がございますけれども河川管理者である知事がその折衝の仲介に当って協定をするという手段によって解決をするのがございます。こういう方法で大体解決をいたしますが、それでもなお解決がつかぬ場合に国に対して指揮を受けるというようなことはもちろん考えられますが、行政機関としてはできるだけ知事のところでその解決ができることを望んでおります。というのは非常なたくさんの事務でございまして、全部これが中央に上ってくるということになりますと事務量だけでも大へんな量になって参りますので、実情としては県においてその解決方をできるだけ完全にするように望んでおる次第であります。
  20. 大橋武夫

    大橋(武)委員 次に具体的な問題を申し上げたいと思うのでございますが、島根県の江川水系の本流におきます明塚発電所昭和二十八年の九月末に完成をいたしております。漁業権補償につきましては、発電所下流漁民は下りアユを漁獲することによって生活いたしておるのでありますから、堰堤築造の結果漁業損害を予想いたしまして、交渉の際強くその補償を要求いたしておったのでありますが、起業者並びに県は、魚は上へ上っていけばいずれは必ずおりてくるだろう、従って二、三年の経過を見て相談をしようということで、一応起業者と地元の協同組合との間に昭和二十八年の十一月下旬に仮契約ができたわけであります。しかるに現実堰堤ができ上りました後はアユ下降が見られなくなった、かつまた水位が増減いたしますので、これによる漁業上の損害も大きく、下流漁民は漸次生活に窮して参りますとともに、この下降アユがなくなったことに対する補償の問題が再燃いたしまして、県と漁協幹部漁民に待て待てとなだめながら今日に至っておる。そこで下流漁民といたしましては、今日この問題を取り上げて起業者折衝をいたしておるのでございますけれども、何分早期に解決することが困難な実情にあるわけでございまして、現在下流漁業組合員は非常に生活に困窮いたし、家財道具を売却したりあるいは生活のために家屋敷まで売却をするというきわめて悲惨なる実情にあるのでございます。こうした問題につきましてはもとより建設省におかれましても責任を感じられると思うのでございますが、私は起業者とこの漁民との間にすみやかに適当なる交渉を開始せしめ、至急にこの問題を解決せられるように建設省として強力な支持を与えられることを希望いたす次第でございます。  特にこうした問題はひとりこの江川問題ばかりでなく、聞くところによりますと全国の各河川についていろいろ問題があるようでございますが、先ほどお示しになりましたようにこうした問題については行政官庁としても十分これを解決する責任を感じておるということであります以上は、こうした解決促進する、そしてその促進のために必要があれば行政庁起業者に対して十分にその権限を行使されまして、誠意のない起業者に対して誠意を持って交渉に応ぜしめるよう、あらゆる努力をされることを特に希望いたす次第なのでございます。ことに最近の発電用水利使用工事は非常に大規模になったのでございますから、現実工事ができ上ってみると許可前において予想された以上の損害が出るという場合も十分考え得るのでございまして、こうした工事完成後に明らかになった損害につきましても、認可前の予想された損害と同様に、当局としてはこれが完全な補償について努力をしていただかなければならぬと思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  21. 米田正文

    米田説明員 ただいまお話のございました明塚発電所に伴う補償として、現在その漁業権者漁業組合のうち下流部漁民工事前に予想しなかった新たなる損害を受けて、その損害補償についての折衝をされておるという実情を実はごく最近にお聞きをいたしました。実情を聞いてみますと、従来会社との間あるいは島根県当局との間あるいは通産省との間等において折衝を重ねておられたようであります。私どもとしては最近実情をお聞きしましたが、なおこの問題については十分研究をいたして、早急にその解決をはかる必要があると考えております。お説のように政府としてこの補償に関する責任を痛感いたします以上は、この問題のみならず、全国的な補償の問題については現在の制度で足れりとせず、私どもはもっと根本的に解決方途をいろいろと講ずる必要があると考えておりますので、その問題については今後十分な努力をいたしたいと考えております。さしあたりのこの発電所にからむ下流漁民補償措置といたしましては、先ほど申しましたように実情の一部を最近お聞きした状態でありますので、私どもとしては調査の万全を期す意味県当局にあてて実情てんまつ報告を求めたいと思っております。その報告に基いて建設省として講ずべき措置があれば適当な方途を講じたい、こういうふうな考え方をしております。
  22. 大橋武夫

    大橋(武)委員 この江川漁業協同組合は御承知かと存じますが、島根県内におきます江川水系全体を網羅いたしました単一組合でありまして、起業者あるいは県はこの単一組合補償問題を折衝したいというような考えを持っておるようであります。しかしながらこの堰堤築造によります被害状態は、上流部湛水区域渇水区域下流部支流等必ずしもその影響は同一ではないのでございまして、従って組合員利害は必ずしも単一化するわけにはいかないという状況でございます。かような場合におきまして、上下流、本支流一体となって交渉に当るというようなことは、これは法律上の問題は別といたしまして、少くとも実際上は不可能であると言わなければならぬのでございますが、この損害賠償問題は、原因一つでありましても、被害者というものは究極において各漁民でございますから、利害の一致した範囲で一緒になって賠償の請求をするということは考えられる。しかし利害の相反した者がこの賠償問題について一致した態度起業者に当るということは事実上困難だと言わなければならぬのでありまして、県または起業者が、この組合員一体になってないということを理由にして交渉に応じないような態度をとるといたしましたならば、これは実際上きわめて不穏当であると言わなければならぬと思うのでございますが、この点については建設省はどういうお考えをお持ちでございましょうか。
  23. 米田正文

    米田説明員 おっしゃられる通りこの組合は相当大きな組合でありますので、一組合とはいいながら、ダムによって起る損害上下流下流についてもあるいは渇水区域もあり、あるいは漁業権のみに関係のあるところもありというように事情をそれぞれの地区によっておのおの異にしておるというような実情でありますので、ごく平易に考えますと、それらの損害を全部総まとめにして組合交渉するというのも一つ方法だと思います。しかしその間われわれが考えるように今までの経過から見て内容が平易に簡単に参らぬというような実情もあるようでありますので、この間の実情については県の従来までの経過について詳細に報告を求めたいと考えております。
  24. 大橋武夫

    大橋(武)委員 ただいままでの質問に対しまして建設省の明らかにせられましたことは、第一には、こういった問題について建設省はこれが解決について積極的な態度をとるべきである。しかしながら第一段階においてはまず起業者関係者の間で協議させるというやり方をしておる。そしてこれによって解決が得られればよし、得られない場合においては建設省として解決促進するために必要な措置をとりたい。そして特に江川の問題については実情を至急にお取り調べになる。こういうことであったのでございまして、私はこの当局のお答えに一応満足いたすわけでございます。願わくはすみやかに県に照会されまして実情を明らかにせられ、そしてこれに対する建設省のさらに進んだお考え方を次回の委員会において解明せられんことを希望いたしまして今日の私の質問を打ち切る次第であります。
  25. 徳安實藏

    徳安委員長 関連質問の申し出がありますから、これを許します。小松幹君。
  26. 小松幹

    ○小松委員 今の河川の水利関係に関する問題でありますが、ちょっと関連してお尋ねしたい。先ほど局長河川の管理は大へん多いから県に全部の責任を移管して、建設省としては河川に関する限りはサービスだ、法制的にもそうなっているようですが、そういうお考えだと思います。実際河川被害を対照してみると、おおむね通産省関係が多いわけです。最近また砂利採取法を用意している。さらに採石法の問題、道路の問題——道路関係がありますけれども、そうした場合に、この事業関係をとってみますと、通産省の一手販売でやっている。片方は河川に関する限りは県の所管である、事業関係はもっぱら通産省が一本にやっている、こういうことで県と通産省との間に被害者というものがはさまるわけです。この観点に立って建設省としては、こうした問題について片方は通産省、片方は県の土木課あるいは河川課という関係をどういうように今後処理なさろうと考えているかお伺いしたい。例をとってみれば、たとえば採石法の建前をもって採石業者が河川のすぐ近くに山を起して採石事業を始めた、ところがその採石の廃石になるものを川の中に投入した、そのために河川は河床が上って洪水の被害をこうむっている、ところが事業を許可したのはやはり通産省の鉱山局である。ここで役所関係建前上、県としては、県同士なら話が一本に片づくが、片方が事業関係の通産省であるために、行ったり戻ったり、結局通産省の事業認可というものが大きなウエートを持って、河川の荒廃あるいはそれに伴う被害というものがおざなりになっている事実がたくさんある。この点について河川行政の担当者としてのお考えを承わっておきたい。
  27. 米田正文

    米田説明員 河川の管理につきましては、御承知のように河川法が基本法でございまして、すべてこの河川法のとりきめのもとに今日の河川行政は運用せられております。私が先ほど府県の知事が管理者と申し上げましたのは、河川法におきましては、河川の行政はその根本的な考え方としては国の事務である——河川の管理は国の事務であるというのが根本になっております。しかし当時の立法の趣旨から河川法においては、その国の事務を都道府県の知事に委任をするということを法律できめているのであります。そこで何といいましても全国の多くの河川を中央の一省において事務処理をするということは事務的にとうてい不可能であるというので、事務知事に委任をしているのが現状でございます。そういう制度でございます。そこでお話のございました採石あるいは砂利の採取等の問題について、通産省がやっているということについてはこれはまた法律建前が別になっているのでございまして、採石をする、あるいは砂利をとるという業は、これは通産行政の面からそういう許可をするという建前をとらざるを得ないのでございますが、ただそれが河川の取締りにおいて河川維持管理の面に支障を来たすという摩擦画を生じた場合においては、これは河川管理者として河川管理の面から取締りができるのでございまして、もし河川付近の山をくずして採石をする、そのとったかすが河川に入って河川の洪水、あるいは工作物の破損を激化するというような事態が起るおそれがありとすれば、これは河川管理上取締りをいたしまして、そういう行為を禁止、制限する責任河川管理者にあるのでございます。もしそれがそういう処置をしておらぬとなると、それは河川管理者がそういう行為を取り締ることが十分でないということが現われておるのだと思います。法制の建前から申しますと、そういうものは十分取締りができるという建前でございます。
  28. 小松幹

    ○小松委員 取締りができるという建前建前であろうと思いますが、ことわけて言えば、先ほどの砂利採取にしても採石業にしても、事業経営というものはきわめて中小企業に属する。そうなった場合に、その採石を中止させるというところまでは、通産省としては通産省の建前上やらない。だからといって中小河川における河床が一メートルも上ったり、あるいは洪水のもとをした場合に、そのために県が全面的に責任を持つということもできない。仕事を中止させることもできない。その被害を県なり管理者なりが負担することもできないのが、理屈はともかく、実情なんです。そうした場合に、その間に立っている被害者というものは、どちらに訴えても事業をやめさせろといっても通産省はなかなかそれに対する処置をしない。河川関係の方で河床が上ったことに対する被害要求をしても、あるいは災害防除作業をやっても、何ら手ごたえがないとした場合には、一体どうすればこれを食いとめるのかということを、もう少し突っ込んで具体的に述べていただきた、
  29. 米田正文

    米田説明員 詳細に具体的な御説明をいたしますともっと説明がはっきりできると思いますが、今のお話のように河川の中で砂利を採取しておる、それが、その掘り方が悪かったり、あるいは運搬の仕方が悪かったりするような原因のために河川の管理に支障を及ぼしておる、洪水を激化しておる、あるいは河川工作物を損傷しておるというような事態がありとすれば、そういう危険あるいは損害の起きるおそれをなくする措置を、河川管理者としては砂利採取業者に命ずることになります。また命じておると思います。そのいうことをきかない場合には、その行為を禁止することになるのでありまして、そういう法制の建前はきまっておりますから、その通りに手続を進めさせることによってそういうおそれをなくするようにいたしておる次第であります。
  30. 小松幹

    ○小松委員 河川管理者がその事業者の事業を中止させる権能があるのですか。そこをはっきりしていただきたい。
  31. 米田正文

    米田説明員 河川管理上必要に応じまして中止させることができます。
  32. 小松幹

    ○小松委員 そうすると通産省の事業認可権の問題とはどういう関係になりますか。
  33. 米田正文

    米田説明員 河川の中で行います場合には、そういう条件を、すでに通産省が許可する場合においても条件をつけてやりますから、そういういろいろな支障のおそれがある場合には、その措置を命じ、あるいはそれを順守しない場合には禁止するという条件を、当初からつけております。
  34. 小松幹

    ○小松委員 それが実際いっていないのが実情なのですが、たとえば採石の問題にしても結果としてもうできているわけです。ところが通産省としてはやはり中小企業を守るという立場で事業を廃業にするわけにはいかない。そのまま見て見ぬふりかあるいは忠告でも与えておるくらいで過ごしておる。しかし事業は継続さしておる。その間被害はますます大きくなってくるという実情がある。これは例をあげてもいいですが、そこで通産省と建設省の方でいま一度この問題——これは全国にずいぶんあると思うのです。いわゆる通産省の鉱山関係、採石関係あるいは砂利採取の関係、あるいは先ほども例が出ました公共事業としてのダム建設でもやはり通産省と関係がありますが、この関係の事業と河川を守って災害を防除するという建前の話し合い、そうして権限をはっきりさせて全国的に御調査するという意欲はおありでないですか。
  35. 米田正文

    米田説明員 その点については具体的な事例をいずれまた別の機会にでもよくお伺いいたしたいと思いますが、一般論といたしましては今日の法制の建前は整備されておりますので、河川管理上支障がないことになる。ただ問題がもしありとすれば、それは運用が十分行われておらないという点に帰するのではないかと思います。むしろ私は法の運用の問題になっておるのじゃないかと思いますので、もし御要求がありますならば、いずれ別の機会に詳細お伺いいたしたいと思います。
  36. 小松幹

    ○小松委員 私は法制的な問題をここでとやかく言うよりも、あなたが今おっしゃる運用の問題である。そこで運用の問題をやはり所管であるところの建設省のあなたが、そうした意見というものがこれは県の所管だと突っぱねてしまうのにはあまりに大きな問題があると思うのです。具体的な問題は次の機会に申し上げまして、詳細に報告して善処いたしていただきたい、かように考えますので、この際運用の問題について今後通産省との間に善処するという御意思を承わっておけばいいのです。おありかどうか承わっておきます。
  37. 米田正文

    米田説明員 そういう通産省との間に支障がある事例がありますならば、私どもとしてはいつでもそういう問題は解決をして運用の万全を期したいと考えております。
  38. 小松幹

    ○小松委員 そこでさらに関連しまして、すでにそのために河床が一メートルも上って、今後水害の被害を——過去に昭和二十八年に災害をこうむってそのままになっておるのですが、町村が貧弱なためにそれができない。そこで結局は災害防除費という形においてしない限りは、災害復旧というよりも、もう河床がそのために上っておるわけです。そこで特に私は九州なのでこういう問題が起ってくるのですが、災害防除という建前でこういう原因に基く河床の上昇という問題について、今後建設省として災害防除的な意味河川河床の改修について国費というものを考え見解があるかどうか、この点をお伺いしたい。
  39. 米田正文

    米田説明員 今のお話は、砂利を採集した結果河床の凹凸が非常にはなはだしくなっておるという実情であろうと思います。それが河川が出水時にはんらんを起し、いろいろな支障を起す原因になるというお説だと思いますが、これは原則的にはそういう砂利採集をした行為が悪いのであって、その行為が河川管理上危険を及ぼさない状態に復旧させる、あるいはそういう危険を及ぼさない状態において採集をさせるというのが原則でございます。もし砂利採集を許可して、それは勝手ほうだいに採集をする、あとの始末は国でしろというような事態は、これは理屈に合わぬのでございまして、私どもとしては今日の各河川の荒廃の状況を見ましても、砂利採集によって河川が危険な状態になることを防止するためには、各砂利採集業者に責任をもってそういう悪化した状態を改良させるという方途をとっております。それができてないという事例であろうと思いますが、もしそういうことになっておりますとすれば、私ども県を督励するなりいたしまして、そういう状態に対して善処いたしたいと思っております。
  40. 小松幹

    ○小松委員 将来の問題については、そういうことで一つ通産省なり県とのあっせんによって今後の事業をやめさせるなり、あるいはそれに対する防除工事なりをやらなければならないということであります。もう済んじゃったことの被害現実に残っておる、これを採石業者におやらせになるおつもりか、あるいはこれは原因がそうだからおれの知ったことじゃないというお考えか、河川のいわゆる災害復旧として見るお考えか、その点。
  41. 米田正文

    米田説明員 そういう場合に関しましては、いずれにいたしましても災害を起して被害をこうむるのは砂利業者に関係のない一般の人が災害をこうむるのでありまして、その結果は非常に甚大であり、かつ広範であると思います。そこで私どもとしては、その問題については第一次的には業者に——もう仕事が済んでおりましても、その採集した業者に責任をもって前の状態に復帰させるということをやらせる必要があると思います。しかしこれが何らかの理由のためにその業者がいない、そういうような原因のためにもうその復旧をする責任者がいない、あるいはできないという状態にあれば、これは国としてなり県としてなりの立場から、公共保安のために処置をいたすべきだと考えます。
  42. 小松幹

    ○小松委員 この問題について、やはり建設省として人のやったことだから自分の知ったことじゃない、こういうことでないと私は受け取りました。で、今後のいわゆる災害復旧の過年度災害として、こういう事例も一つお認めいただきたいと考えるわけなんです。同時にまた起ってくる砂利採取法の問題については、これは通産省と打ち合しているかどうか、ちょっとお伺いしておきます。
  43. 米田正文

    米田説明員 ただいまの前段のお話は、災害復旧というわけには参らぬと思いますが、これはもし国なり県なりでその河川の改良工事をやることになりますと、やはり改良費の支出になると思います。  それから次の砂利採集業法の問題だと思いますが、この問題については通産省から数回に及んで協議を受けております。その内容については、河川管理上支障のないように法案の内容が現在は改められております。
  44. 小松幹

    ○小松委員 そのことは一応それだけにして自後にまた具体的にお伺いします。  次に先ほど佐久間ダムのことが出ましたからこれに関連してですが、地方団体の発電多目的ダムの建設が二十七年ごろから始められ、どこの府県も大体本年が完成期あるいは来年が完成期になっておりますが、この予算関係についてどういうお考えを持っておるか、それをお聞きして、次の計画をちょっとお聞きします。
  45. 米田正文

    米田説明員 昭和三十年度におきましては直轄で十四、補助で十四、合計二十八の多目的ダムを建設中であります。これはいずれも洪水調節、洪水対策を主としたダムであります。そういう状態でありまして、本年度の予算は、ごく概略でございますが約七十八億程度の国の予算を計上しております。来年度についてはまだ予算の折衝中で、方針もまだ確定をいたしておりませんけれども、私どもとしては来年は今年度実施いたしておる各ダムの竣工完成を早期にするような計画を整備をいたしておる段階でございます。
  46. 小松幹

    ○小松委員 次の計画、いわゆる多目的ダムの新しいスケジュールというものがあるのかないのか、あるいは今の既設工事で打ち切るという考え方が先行しているのかどうかという問題と、実は佐久間ダムでもそうだと思いますが、三年なり四年なり経過して一応完成しますと、それに伴って佐久間ダムなら佐久間ダムに使った大きな建設機械を土木業者が持っている、省は省、県は県でそれを持っているわけです。三年計画で一応完成した、もうこれで仕事がなくなったということのために、その建設機械の身売り先、嫁入り先に困るということから、次の多目的ダムあるいはそうしたものを意図的に作り上げようとしておる向きもなきにしもあらず。次の事業を作らなければ建設機械が眠ってしまう、こういう考え方もあると思う。同時にそういう考え方で次の発電計画、あるいは多目的ダムの計画をやるとするならば、特に電力関係考えた場合に、電力のコマーシャル・ベースの場合、電力料金の問題と建設費との問題があるわけです。そこで将来どういうような観点に多目的ダムの建設を計画され、しかもどういう観点に立って計画を進めておるかその点をお伺いしておきたい。
  47. 米田正文

    米田説明員 来年度の予想についてはまだ申し上げる段階になっておりませんけれども、私どもとしては今日やっているダムだけで終れりというのではなくて、今後必要な多目的ダムは促進をいたしたい、新たなるダムを促進いたしたいという考え方は持っております。それから機械があるために、それで仕事を作るというお話もあろうかと思いますけれども、私どもとしてはそういう考え方は本末が逆でございまして、決してそういう考え方は持っておりません。私どもとしては多目的ダムの建設は建設省の大方針であります。洪水調節をやるという必要のあるところ、しかもそれが重要なところから手をつけていくという方針でございまして、もちろんこれに伴う副産物として電気の開発を行い、あるいは潅漑用水を増強するということは、これに付帯的な事業として続けて参りますけれども、私ども計画は、重要な河川の、重要な洪水対策としてのダムの推進をいたしたいというのが根本の要旨でございまする     〔「その通り」と呼ぶ者あり〕
  48. 小松幹

    ○小松委員 その通りとおっしゃるけれども、なかなか事業というものはそう簡単に行くものではない。それは一つの理屈でありまして、今後の事業計画というものがどういう意図で進められるかという問題も考えていますが、これは河川局長に聞いたからといって仕方ないことだと思いますから、一応次の計画もあるというのは、あると思っておるのか、あるいは現実に次の直轄あるいは府県単位の事業を認めるという具体的な段階に入っておるのかどうか、その点をお聞きしたい。
  49. 米田正文

    米田説明員 新しい計画としていろいろと計画を立てております。来年度以降においてもそういう計画を立てておるのでございますが、ただ来年度どの程度のものをやるか、あるいは再来年度どの程度のものをやるかという年次の計画までははっきりいたしておりませんけれども、そういう計画は持っております。
  50. 小松幹

    ○小松委員 年次計画ははっきりしていないが、具体的な計画は出ておるというのですね。そこで最後にもう一つだけ。これは質問じゃありません。佐久問ダムが完成したのでありますが、それに伴う犠牲者、死亡なりあるいは負傷者なりのそれの補償というものが、どういう形で具体的にやられておるかを、個人々々にわたってはっきり数字として提示を願いたいと思います。来年でもよろしゅうございますが、一つ再開後の建設委員会に、適当なときに出していただきたい。これをお願いしておきます。どうですか。
  51. 米田正文

    米田説明員 これはちょっと所管が違うのでございますけれども、実はそういう事例になりますと、これは電源開発株式会社を直接監督しておる通産省の方が適当かと思います。私どもとしては水利権許可に伴う直接の事業は監督をいたしておりますけれども、死傷者の数、補償金額等になりますと、これは私どもが通産省に交渉してもらってもよろしゅうございますが、できれば通産省に直接お聞きたなる方が所管の数としては適当かと思います。
  52. 徳安實藏

    徳安委員長 三鍋義三君。
  53. 三鍋義三

    ○三鍋委員 時間もだいぶ経過いたしましたので簡単に要点だけお聞きしたいと思います。  二十二特別国会、それから二十三臨時国会におきまして、決算委員会において問題となっている北陸電力株式会社神通川第一発電所の貯水地の沿岸の一部が崩壊しておる問題でございますが、これについて河川局長お尋ねしたいと思います。決算委員会で取り上げられているのは別の観点からでございますけれども、私は建設委員といたしまして、その立場からお尋ねしたいのであります。  その第一点は、直接管理者であるところの県知事から、この問題について建設省にどういう報告がなされておるか、報告がなされておるとすれば、これに対して建設省はどういう対策を講じておられるか。この内容を調べてみますと、地元民の陳情によりますと、富山県知事に対して護岸その他の至急対策を講じてくれ、こういって訴えておるのでございますが、知事からはこれに対する何らの回答も与えてくれない、こういう問題でございます。もし陳情の内容が——私現場を見ておらないからわかりませんけれども、実際そういうことが事実あるとすると、これは大きな問題である、こういうように考えますが、この点について建設省としてはどう処置しようとされておるのかをお聞きしたい。この陳情の内容を調べてみますと、地元民の調査とそれから通産省が行なった工業技術院の近藤課長の調査報告、これに非常に大きなズレがあるのでございます。内容を詳しく申し上げるのは差し控えますけれども、地元民の調査員、これは中部工業開発協会会長、北陸地下資源開発協会幹事斎藤六六という、もと京大の嘱託でございますが、この人が調べたのによりますと、現在崩壊しておる個所は七個所あるが、そのうち特に著しいのは、五百五十メートルにわたるところの陥没地帯である。そして今後これが崩壊陥没というものは間断なく続けられていくから、これに対するところの護岸設備がぜひ必要であるという見解に対しまして、工業技術院の近藤課長の調査報告によりますと、多少くずれてはおるけれども、大体こういう程度でとどまってしまうものであるからその心配はない、こういう見解でございます。これに対しましてやはり地元の直接責任者であるところの知事は、何らこれに対して心配をしてくれない。こういう状態に対しまして、建設省としては至急現地を調査して、そのいずれが正しいかということを確認しながら、これに対する適当なる処置をされる必要があると思うのでございますが、これらの点につきまして河川局長のお考えをお開きしたい。
  54. 米田正文

    米田説明員 この問題は神通川第一発電所の片掛ダムの築造による損失補償の問題になるのでございますが、実はこの問題は、御承知のようにかねてから地元において、地元と県及び会社との間にいろいろ折衝が進められ、中央については通産省に相当に交渉を進めていた模様であり、かつ国会については、決算委員会でこの問題を取り上げられておるように聞いております。かように進んで参っておったのでありますが、建設省には実はごく最近、今月半ばの決算委員会において初めてその話がせられたのでありまして、私どもとしてはこの事態を知りましたのは今月半ばでございます。そこでさっそくこの処置をいかにすべきかというので、県に対しまして、電話ではありますけれども、この地元の報告とそれから今後の対策について県のとるべき処置を開いたのでありますが、県はこの問題については、県だけの調査あるいは従来の調査だけでは不十分だと思うので、至急に県で調査をいたしたい。ついては、その権威者である京都大学の村山教授に実地調査をわずらわしたいというので、本人に交渉いたしましたところが、それでは引き受けよう、一月になったら手があくから、そのときに実地調査に出かけようということになっておる。そこで、県の河川管理を扱っておる土木部といたしましては、その調査を待って対策を講じたい。それらについての一括の報告については、建設省にまとめて報告をしたいというような実情でございます。
  55. 三鍋義三

    ○三鍋委員 私の心配するのは、先ほど大橋委員から起業者漁民との関係の事例をお話になったのでありますが、こういう問題は、至るところでやっぱりあると思うのです。考えられることは、湛水してしまってからでは、これはどうにもなりません。湛水前に、こういう問題は慎重に契約通り実施されているかどうか、こういう点を建設省はどれほど熱意を持って今までやっておられるかということを、一応お聞きしたいのであります。今佐久間ダムがどんどん湛水を始めておりますが、一ぱいになってしまってから崩壊が起きた、あるいは田畑がどうなったということになると、処置が非常に困難であります。事実上不可能であります。結局、弱い者が泣き寝入りをして、何がしかの補償金であきらめていかなければならない。こういうことになりますと、大体山間地は非常に耕作反別が少いのに、それが埋没して、わずか残ったものでほんとうにつらい苦しい生活をしている。それがまたくずれていく。これは大きな問題ではないかと思うのです。土地に対する農民の愛着は、お金の問題ではない。だからあとからどうもならないと言ってしまうのでなくして、弱い者が泣き寝入りしないで済むような対策を事前に考えてあげなければならないのではないか、こういう立場から御質問申し上げたのでございまして、この点建設省としては、現在起っている問題をよく調査して対処していただくとともに、今後かかる問題が起らないようにこの上とも善処をお願いしたいと考えるわけであります。
  56. 米田正文

    米田説明員 御趣旨については私どもも同感でございますので、よく今後とも努力いたします。
  57. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度といたします。次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、これにて散会いたします。     午後零時二十四分散会