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1956-05-29 第24回国会 衆議院 決算委員会国有財産に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十九日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席小委員    小委員長 山本 猛夫君       關谷 勝利君    田中 彰治君       松岡 松平君    坂本 泰良君       山田 長司君    吉田 賢一君  出席政府委員         法務政務次官  松原 一彦君         検     事         (大臣官房経理         部長)     竹内 壽平君  小委員外出席者         決算委員長   上林與市郎君         議     員 本名  武君         議     員 小松  幹君         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      武樋寅三郎君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  辻  克蔵君         日本電信電話公         社監査局長   辻畑 順一君         日本電信電話公         社監査局第二課         長       山本悌一郎君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         日本電信電話公         社経理局会計課         長       山本 正司君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十九日  小委員大久保留次郎君及び山本正一君同日辞任  につき、その補欠として關谷勝利君及び田中彰  治君が委員長指名で小委員に選任された。 同 日  山田長司君同月八日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同 日  小委員吉川兼光君同月二十二日委員辞任につき、  その補欠として吉田賢一君が委員長指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大阪拘置所敷地に関する件  日本電信電話公社所有建物払下げに関する件  井上印刷局長への住宅払下げに関する件     —————————————
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより決算委員会国有財産に関する小委員会を開会いたします。  まず前大蔵省印刷局長への住宅払い下げ問題につきまして調査を進めます。大蔵省当局より本件につきまして、経過等説明を聴取いたしたいと存じます。大蔵省管財局武樋総務課長さんにお願いをいたします。
  3. 武樋寅三郎

    武樋説明員 前印刷局長井上氏の普通財産払い下げの問題につきまして、いきさつを御説明申し上げたいと存じます。  昭和二十二年三月二十七日、東京財務局長官舎といたしまして、山階芳麿氏から土地建物を買収いたしております。土地につきましては七百三十坪でございまして、買収価格が二十五万五千五百円、それから建物につきましては四十二坪でありまして、二十六万四千六百円でございます。建物は木造瓦ぶきの平家建でございます。それからただいま申し上げました価格は、普通財産台帳価格、いわゆる取得価格としまして台帳価格にそのまま載っております。昭和二十四年六月になりまして東京財務局は、今までは国税関係とそれから財務局いわゆる預金部関係でありますとか、国有財産でありますとか、そういう業務をとっておりました財務局でありましたが、司令部のサゼスチョンによりまして昭和二十四年の六月に国税関係と、それからただいま申し上げましたいわゆる財務部系統が分離いたしたのでございまして、その二十四年六月に東京財務局に所属がえをいたしたわけでございます。それから昭和二十五年の三月三十日になりまして、東京国税局長から大蔵大臣にこの土地及び建物東京財務部長の官舎として利用したいという申し出があったわけでありまして、これに対しまして昭和二十五年の三月三十一日に大蔵大臣から東京国税局長あてに、東京財務部長宿舎普通財産として使用してもよろしいという承認通知があったわけでございます。  それから昭和二十五年の五月十五日になりまして、ただいまの大蔵大臣承認通知に基きまして、東京財務部におきましては土地建物財産の引き受けをいたしまして、台帳普通財産としての登載をいたしております。それからずっと経過いたしまして、昭和二十九年の六月十八日になりまして、井上印刷局長に対しまして、ただいま申し上げました土地及び建物につきまして譲渡をいたしておるわけであります。土地について申し上げますと、七百三十坪、これは買い取りました際の坪数と全く同一でございます。そしてその価格といたしましては二百三十三万円という金額に相なっておりますい建物につきましては四十二坪、これも買収いたしましたときの坪数同一でございますが、価格について申し上げますと十万八千三百六十円ということに相なっております。それから工作物立木竹が若干ございまして、工作物は一式といたしまして二万二千四百円、それから立木竹は約八十本程度でございますが、これは一万七千三百七十三円、合計いたしまして二百四十七万八千百三十三円というような価格譲渡をいたしております。大体前井上印刷局長に対しまして譲渡いたしました財産いきさつにつきましてはただいま申し上げましたような次第でございます。  井上印刷局長身分関係について申し上げますと、昭和二十九年六月十八日が譲渡いたしました日付でございますが、井上氏が東京財務局長から印刷局長に配置がえになりましたのは、年月日は正確に記憶はありませんが、ただいま申し上げました昭和二十九年六月十八日から二カ月前だと思っております。
  4. 山本猛夫

    山本委員長 小委員の皆さんにお諮りをいたします。質疑次会に譲りたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山本猛夫

    山本委員長 それでは本件についての質疑次会に譲ることにいたします。大蔵省皆様御苦労さまでございました。     —————————————
  6. 山本猛夫

    山本委員長 次に大阪拘置所に関する土地問題について調査を進めます。本件につきましては、前会において法務省当局より一応の説明を聴取いたしましたのでありますが、本日はこれに対する質疑を行いたいと存じます。質疑を許します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 ただいま議題になっております大阪拘置所敷地交換問題につきましては、一面から見ますと国有財産と私有地の交換適否の問題でございますが、同時に他面から見ますと、大阪拘置所移転適否の問題であろうと存じます。そこでこの二点に分けまして少しく伺ってみたいのでございます。  土地交換につきまして、つまり国有地である大阪市北区北錦町一番地の一、ないしは二番地その他合計一万一千九十二坪二一、それと延原観太郎所有にかかる都島土地一万九千百七十六坪七二、これとの等価の交換の問題でございます。つきましては価格算定につきまして当局種々手を尽しておられるようでございますが、一番重要な資料とされた評価根拠は大体何になるのでありますか、ちょっとその点を明らかにしておきたいのであります。
  8. 竹内壽平

    竹内政府委員 近畿財務局評価調書を私どもは全面的に信頼いたしておるのでございますが、財務局のとっております態度は、お手元に配付いたしました資料通りでありまして、その記載によりますと、三ページのところでございますが、価格評定基礎といたしまして、まず第一には相続税課税標準価格からいかように見られるかという点をあげております。第二には精通者意見といたしまして、およそ大阪において不動産売買当りまして権威ある人たちと思われる精通者といたしまして、大成商事の主人とかあるいは住友信託銀行本店不動産部副長とか、安田信託銀行大阪支店不動産課長とか、三菱信託銀行大阪支店長代理の方とか、日本勧業銀行大阪支店の次長あるいは勧業不動産株式会社大阪支店支店長代理方等の御意見を掲げまして、それと財務局が多年手がけました経験等に徴しまして、立地条件をしさいに分析されまして、時価とほぼ推定される価格を算出いたしておるのでございますが、その手段、方法まことに適切であると考えておるのであります。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 同時に都島区善源寺町の延原土地につきましては、どういう根拠に基かれたのでございましょうか。
  10. 竹内壽平

    竹内政府委員 延原観太郎氏の所有につきましても、考え方としましてはただいま申しました天満敷地の場合と同様でございます。これにつきましては資料の乙の2の四ページに、3としまして価格評定基礎として掲げてございますが、それによりますとやはり相続税課税標準価格をまず考える。次に旭税務署資産税係意見を聞いておりますし、精通者意見としましては、住友信託銀行不動産部副長意見を聞いております。さらに安田信託銀行不動産課長勧業不動産株式会社大阪支店長代理意見日本勧業銀行大阪支店調査役意見等を徴しておりまして、さらにこの土地立地条件についての意見を総合いたしまして、ほぼ意見の一致するところによりまして、六千円という単価を出しております。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 そこで伺いますが、私ども経験によりますると、第一相続税課税標準価格というものにつきまして、これは直ちに時価が出ることは困難ではないかと思われまするし、それから精通者意見というものは、これは何か成規に詳細な調査根拠、理由、従って評価がどうも明らかになっておらない点などが考えられるのであります。これは両方につきまして、そういうことが考えられます。もっとも資料として出ておりまするのは、かなり簡単な文字でありまするから、これは多数の資料を集約せられたのかも存じませんが、何かしらぬ非常にいわゆる時価よりも税関係とか、銀行ならば担保力、貸金をする側の担保価格、そういったものが主となっておりまして、これは御承知と存じますけれども一般経験によりますると、税の方は時価よりも低いということは、これは普通見るところであります。たとえて申しますれば、相続税にいたしましても、あるいは税務署にあらざる地方公共団体固定資産税におきましても、その評価算定基礎というものは、時価よりも低いのは、これは実情であります。そういう点。それから銀行の方におきましては、同様にまた時価よりも低いのが実情でございます。金を貸す側の担保力算定でありまするから、そういうので直ちに時価が出てくるということには、少し遠いのではないだろうか、こういうふうに思われます。むしろこういう場合には、時価算定につきまして、何を一体検討の対象にすべきか。時価を構成すべき要素は、何々をこの場合は把握しておけばいいのであろうか、こういうようなことも一面考えられるではないであろうか。それから同時に、この一万余坪固まっております大阪のいわゆる一丁目筋の付近でありますが、私も大阪の北区に若いころ住んでおりましたので、若干土地事情及び終戦後の状況も存じておるのでございまするが、一万坪の固まっておる土地につきましては、かなり経済的利用価値、別の角度からも考えられるということもあのあたりの土地については、一応推定もされるのであります。というようなことも思いますると、やはりこれはこれ以外にいろいろ検討すべき要素が取り残されておるのではないかというふうにも考えられるのであります。これらの点につきましては、十分に御考察なさったのであろうかどうか、それを伺っておきたい。
  12. 竹内壽平

    竹内政府委員 ただいま吉田委員の御疑念の点でございまして、この点まことにごもっともでございますし、この評価を行います場合に、私どもも慎重に考慮いたした点でございます。この相続税課税標準価格がそのまま時価を表現するものでないことは申すまでもございませんが、大体時価に最も近いものと申しますならば、おそらくは、本地に最も近似しております——その隣地などもその近似の一つの例だと思いますが、その売買実例というものが一番時価に近いものであろうと思うのでございますが、そういう売買実例がございません本件土地につきましては、それに近いものとして推定資料が出るわけでございます。その賃貸価格に基き、それに倍率をかけまして算定した相続税課税標準価格というのも、そういうものに近いものとして考えられている価格でございまして、大蔵当局におきましては、この倍率というものを固定してあるのではございませんで、現に二十九年度の課税標準の場合には、倍率を〇・七で除することによって修正を施しておりますし、三十年の場合におきましても、その修正をそのまま維持するという於けの考え方をきめておりますので、この相続税課税標準価格というものは、そのまま時価を表現はしておりませんけれども、かなり信頼すべき標準となるべき価格である、かように考えるのでございます。それからまた精通者意見も、考え方、主観によりまして、かなり違ってくるのでございます。たとえば天満敷地について申しますならば、ここを将来住宅地として利用するか、あるいは大資本を投じて一つ歓楽街として、総合的にここへアミューズメント・センターといったようなものを作るか、その目的いかんによりましても、かなりその価格は違ってくるのでございまして、そういうような点を精通者は一応考えまして、特殊な場合を除きまして、ここにも意見に書いてあります通り一般取引対象となるべき現状を一応標準にいたしまして、鑑定をした意見を述べているということになっております。またそうする以外に方法はないものと考えるのでございまして、吉田委員のおっしゃるようにその他の要素につきましてもかなり考慮はしている形跡がうかがわれるのでございます。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 そこでこの地元から衆参両院法務委員会請願書が出ております。この請願書内容を読みますと、それは国有財産交換につきまして、価格評定の点についてかなり不当であるというような見解が前提に立った請願が出ております。そこでまた一方これらの請願者並びにこの地方の住民の人々によりまして、大阪不動産鑑定協会というものに今問題になっております北区北錦町並びに都島友渕町の交換します両者の土地につきまして、不動産鑑定協会というものに価格鑑定を委嘱して、鑑定の結果が出ているのでございますが、これはすでにお手元に行っているかと存じますけれども、これは裁判所などの鑑定の委嘱を受ける長い経験者十二名が寄って設立している協会であるが、これで合議した結果の鑑定というものが出されております。昭和三十一年四月十四日付で、これによりますと、ただいまの北錦町の方は一坪当り二万二千円なり、それから都島友渕町の方は一坪当り五千五百円なり、これをもって相当とする。鑑定人といたしまして、佃順蔵橋本徳平安福市松勝清一川上佐一中西兵二和田二郎佃順太郎森島四郎福西宝作小出憲松永重臣、こういうように、それぞれ署名いたしておるのでございます。こういうようなものと、それから今御説明になりました価格評定調書とを比較してみますると、非常な開きがございます。私はしろうとでありますので、こういう鑑定の知識はございませんが、いずれにいたしましても、その道の専門家鑑定をした結果これだけ大きな開きが出るということは、私は何としても穏やかに感ぜられないのでございます。でありまするので、この点につきましてはやはり十分に手を尽して鑑定をなさったのであろうと思いますけれども、やはり大切な国有財産の移動の問題でもありますし、またすでに国会におきまして請願も出て、論議の対象にもなったことでもありますし、また時節柄国有財産の問題の扱い方についてとかくの問題を生んでおる今日でございまするので、相なるべくはできるだけ慎重な態度をもって御処置願うことが望ましいと思うのであります。かような観点からいたしまして、やはりこれらのあとから出てきた鑑定資料にさらに再考されることが穏当ではないかと思うのですが、これについて一つ御所見を承わっておきたいと思います。
  14. 竹内壽平

    竹内政府委員 山野平一氏から、ただいま御指摘通り大阪不動産鑑定協会鑑定書が提出されておりますことは私ども承知いたしております。その鑑定結果が、財務局お願いして作りました評価価格と、御指摘のように非常なへだたりがあります点にかんがみまして、私どもとしましても、この鑑定協会鑑定結果につきまして大きな関心を払ったのでございます。  この鑑定書を見ますると、鑑定当りまして「現場に臨み各土地位置交通上の便否、地勢、地形、環境利用価値利用現況等を精密に調査観察の上、」合同審議を行なって、「左記の価格を適正妥当と信じ評価したり」と、かようにうたってございまして、鑑定方法経過につきましては——まず方法につきましては、合同審議を行なったということ、それから根拠といたしましては、今申しましたような土地位置だとか交通上の便否を考えたというだけでございまして、私どもがこれを判断いたします材料としてはまことに乏しいのでございまして、そういった事情にかんがみまして、この鑑定協会に向ってその根拠方法をもう少し具体的に御回答願いたいという趣旨の照合を発して、その意見をとったのでございます。それと同時に、この鑑定協会信用力というようなものにつきましても、いろいろ私ども手元でできます限りの調査をいたしてみたのでございます。その結論を要約して申し上げますると、鑑定協会メンバー佃順蔵氏を初めとしまして、いずれも相当な鑑定経験を持った方々でございまして、結論的に申しますれば、いずれも信用を置いて差しつかえない方々のように見受けられるのでございます。ただしかしながら、裁判所あるいは財務局自身も、こういう鑑定協会メンバーお願いをして鑑定してもらったことがあるようでございまするが、それはいずれも個人に対して鑑定を願っておるのでありまして、鑑定協会という一つ団体鑑定を願ったことはないというのが調査の結果でございます。それでこの団体のいわゆる合同審議という鑑定方式——もちろんこれは差しつかえないことではありまするが、内容に入ってみますと、各人が全会一致でこの意見を出したということになっておりますけれども全会一致になりますまでの間にかなり意見の食い違いがあったのが事実のようでございまして、人によっては鑑定基礎も違っておるのでございまして、結論だけが一致しておるという形でございます。なお内容について、二、三のメンバーについていろいろ伺ってまみすると、歓楽街に将来なるであろうという前提に立って希望価格算定したような向きもありますし、その他具体的になって参りますと、どうもどれをもってわれわれのよりどころとすべきかという点に疑問を感じたのでありますが、今のところはこの鑑定書をもってわれわれが資料としなければならぬというところまで参っておらない実情でございます。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 ちょっと政務次官に伺いますが、そこで問題はまた別の、つまりこれは拘置所移転の問題でございますが、大阪拘置所を今延原所有地移転しようというような案件のようでありますが、次官御承知通りに、大阪市議会におきまして、大阪市域内において拘置所を建設するのは市勢発展上不適当であるから、市域外の閑静なところを選定すべきであるという趣旨議決が先般せられておるのだそうであります。その点は御承知でございましょうか。
  16. 松原一彦

    松原政府委員 私どもが承わったのは、ずっと前の二十六年にそういう決議があったように承わっておりますが、最近にあったのでございましょうか。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 最近ではないようです。  そこで、拘置所が繁華な市内に新設され、移転されるということは、かなり市民が問題にいたしますることは、いずこの土地におきましても顕著な実情でございますので、従って、大阪市議会におきましてこのような決議があって、自乗変更決議はされておらぬといたしますならば、こういう市の最高の議決機関市民の総意を集約いたしました議決というものはできるだけ尊重せられまして、拘置所移転問題を解決せられるということが、これまた適当な措置ではないかと思うのであります。よって法務省当局におきましても、いろいろな手続等もあったのでございましょうけれども、重ねてやはり大阪市議会の意向を聞くということが、私は最も適切妥当な措置であると思いますが、この点につきましては御所見いかがでございます。
  18. 松原一彦

    松原政府委員 御承知のように、大阪拘置所の問題は大へんむずかしい、五年以上すでに経過しております問題で、現存の拘置所過剰拘禁になって、見るのも気の毒な姿になっておるのでございます。従って最初に天満を指定して以来、これが不適当であるという市の意見もありまして、その後二十数カ所にわたって今日まで苦労を重ねて調査して参っておる、一日もああいう過剰拘禁状態は続けられないというので苦労して参っておりますが、どうしても適当な所を得ません。私も先般大阪に参りまして、市長や市会の方へのごあっせん等お願いし、なお弁護士会等につきましてもいろいろ御意見を承わってみたのでございますが、結局ただいまの都島延原所有地周囲に人家が一軒もないのでございます。周囲はことごとく工場のみ、しかも前は川に面しておって、民家一戸にも接しておらぬということと、きわめて閑静なところであるということ、その他の環境状態から申して、どうしても延原が一番適当な土地であるということに意見がほぼ一致するのでございます。これならばということで、私ども土地の方にいろいろ御相談申したのです。最近における刑務所の構想は昔の監獄と違って、オーブンに建てまして非常に気持のいい明るいものにしておくのでありますから、ここらにおける図面等をもお目にかけて、私もいろいろ現地の方とも御相談申したのです。私の御相談申したときにはそれほど熾烈な御反対はなかったのでございますが、その後また反対が起って参ったというふうに、これはいろいろむずかしい経過を経ております。できますことならば、世論を入れて私どもも抵抗のないところにやりたい気持は一ぱいでございますが、今のところではまだ他に適当な土地を得ませんので、この条件で進んでおるとお答え申すよりほかにないわけであります。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)小委員 そこでこの種の問題を解決されますのには、やはりかなり遠大な計画でいかなければならぬことはもちろんであります。それからやはり慎重に各般の方面意見を御聴取になるということ。それからせっかちにいろいろな困った事情を打開し、解決しなければならぬのでというような気がまえは、これまたあやまちになりますので、これは大阪のような発展途上にあり、いよいよ大きくなって参る土地でありますから、これらの問題の解決につきましては市議会なり府議会と常に緊密な御連絡をおとりになって、そうして各方面の御協力を得て設置なさる方がいいのじゃないか。無理押しにやるといったところが、ここに法務省交換した自分の土地があるので、これに設置するのだから所有者の気ままにやるのだという印象でも市民に与えましたならば、これは理屈が通ったようで実際は挫折する危険がございます。なおあとでいろいろ御質問申し上げたりまた請願の機会もあるわけでありますけれども、きょうのところはできるだけ慎重な態度をもって臨むという御決意は一つしていただきたいことを一応御希望申し上げておきます。
  20. 松原一彦

    松原政府委員 御懸念の点は私どもも慎重に臨んでおるつもりでございます。御注意を体しまして、今後も決して無理に強引な押し方はいたしませんが、すでに五年越しの懸案で、ただいま申すような過剰拘禁状態が続いておりますので、どうかなるべく早く解決をしたい。そのためには誠意を尽して折衝したいと思っております。
  21. 山本猛夫

    山本委員長 それでは本件に関する調査は一応この程度にとどめます。     —————————————
  22. 山本猛夫

    山本委員長 次に日本電信電話公社所有しておりました建物で、株式会社松庫商店への払い下げという問題がございます。本小委員会国有財産に関する調査のため設置せられたものでありますので、この問題につきまして一応公社当局より御説明を願いたいと存じます。まず秋草経理局長から御説明を願います。
  23. 秋草篤二

    ○秋草説明員 御説明申し上げます。三福ビルの売却の経緯でございますが、いわゆる三福事件と称しまして、約十一年ほど前に新聞紙上などをにぎわした問題がございます。この問題は非常に古い話でございますので一応省略させていただきますが、結論的に申しますと、当時あの三福ビルの借家権の問題につきまして訴訟が起りまして、大臣は一松さんで、当時逓信省から電気通信省にかけての問題でありましたが、裁判で敗訴になりました。そうしてこの建物はその後終戦とともに駐留軍が使われることになりまして、手のつけら丸ない建物になっていました。ところがその後接収が解除になりましたが、私ども建物は当時の構想と全く変って不用な建物となりましたので、これを売却すべく考えたのであります。  売却につきましてはまず指名競争入札というものを第一回に行いました。御案内のように指名競争の指名者というものは何らかの縁故がなければならないというので、株式会社三福、株式会社新宿デパート、これは仮称でありますが、その発起人会、こういうものに指名競争いたさせましたが、ついに私どもの入札価格に達しませんで入札執行はできなくなったのであります。その後直ちにこれを一般競争入札に付しまして、新聞公告等に掲載いたしまして入札者を募集いたしたのでありますが、それが昭和二十八年十月二十六日であります。そのときに入札の申込者は株式会社松庫商店、それから株式会社近隣洋行、それから個人として佐藤雅雄、こういう三方がお見えになりまして入札に参加されたわけであります。入札の期日は昭和二十八年十一月四日でございます。ところがその入札の結果、開票いたしますと、第一回入札において二億二百二万円というものをもちまして一番札の松庫商店が落札いたしました。それぞれ他の入札者はむろんこの額よりも下回っておりますが、御参考までに申し上げますと、近隣洋行は二億百十一万円、佐藤雅雄は一億九千六百十七万円でございました。御参考までに当時の予定価格を申し上げますと、私どもの予定価格は一億八千五百万円でございました。意外な高値で入ったわけであります。  そこで私どもは入札とともに契約保証金を松庫商店から三千万円を徴収いたしまして、直ちに全額の代金の納入を督促いたしたのであります。当時松庫商店の商売はくず鉄業でありまして、鉄の値段が急激に下ってきたということが大きな原因だったと思いますが、要するに私どもが予定した期間までに代金の納入が困難であるということを何回となく陳情して参ったわけであります。私どもはこれに対しまして便々と許すということはいたしませんで、これに対して強硬にいろいろな手を使って代金の納入を督促したのでありますが、なかなか一度にこの巨大な金は入らなかったのであります。そこで最後に、私どもは、この代金について分割で延納を認める、ただしそれに対しては日歩二銭七厘の利息を延滞についてつけろということを強く申しまして、これを約六回にわたって分納をしまして、ついに全代金の二億二百二万円というものを昭和三十年九月二十六日に全額元金を収納するとともに、その過程におきまして、十二回にわたって利子の徴収を着実に行いまして、実に利子の総額二千五百余万円を徴収することになり、全部この建物の引き渡しを完了いたしました。念のために申し上げますが、私ども建物を渡しておいて代金を延納さしたのではないのでございまして、建物はあくまでも渡さずに、最後まで私ども建物を公社のものとして金だけを取り、金の取り立てが全部終り、利子が全部終った暁の三十年九月に建物の権利書その他を一切引き渡ししまして、今日この建物は何ら私どもの関知するところではないように完全に結了をいたしております。  以上をもって簡単に御報告を終ります。
  24. 山本猛夫

    山本委員長 それでは本件に関しましての当局説明はこの程度にとどめまして、質疑次会に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十五分散会