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1956-11-01 第24回国会 衆議院 決算委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月一日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 坂本 泰良君    理事 吉田 賢一君       床次 徳二君    松岡 松平君       山本 正一君    神近 市子君       佐々木良作君    森 三樹二君       吉川 兼光君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局         長)      岩武 照彦君         参  考  人         (前電源開発株         式会社総裁) 藤井 崇治君         参  考  人         (電源開発株式         会社佐久間建設         所長)     永田  年君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 九月二十九日  委員今村等辞任につき、その補欠として片島  港君が議長指名委員に選任された。 十月十二日  委員松岡松平君及び片島港君辞任につき、その  補欠として高瀬傳君及び片山哲君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員高瀬傳辞任につき、その補欠として松岡  松平君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として吉  田賢一君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員細田綱吉辞任につき、その補欠として杉  山元治郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員山本正一君及び林博辞任につき、その補  欠として森清君及び久野忠治君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員森清君及び久野忠治辞任につき、その補  欠として山本正一君及び林博君が議長指名で  委員に選任された。 同月二十六日  委員山本正一辞任につき、その補欠として森  清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森清辞任につき、その補欠として山本正  一君が議長指名委員に選任された。 十一月一日  委員片山哲君及び杉山元治郎辞任につき、そ  の補欠として森三樹二君及び佐々木良作君が議  長の指名委員に選任された。 同日  理事吉川兼光理事辞任につき、その補欠とし  て吉田賢一君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  歳入歳出実況佐久間ダム電源開発工事費)  に関する件について参考人より実情聴取     ―――――――――――――
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前にお諮りいたすことがあります。すなわち理事吉川兼光君より理事辞任申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   次にこれが補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、理事吉田賢一君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 上林與市郎

    上林委員長 歳入歳出実況佐久間ダム電源開発工事費に関する件につきまして調査を進めます。  この際お諮りいたすことがあります。すなわち去る十月十六日の理事会におきまして御協議願ったのでありますが、本件につきまして参考人として前電源開発株式会社総裁小坂順造君、同じく前副総裁藤井崇治君及び電源開発株式会社佐久間建設所長永田年君の出頭を求め、実情を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  それではこれより本件につきまして参考人各位より実情を聴取することといたします。  なお小坂参考人につきましては、診断書を添えて出頭できかねる旨の申し出がありましたので、この旨御報告いたしておきます。  参考人各位には御多用中のところ当委員会に御出席下され、まことにありがとうございました。本件につきましてはしばしば調査を行なって参りましたし、ことには現地委員を派遣して実情を見て参ったのでありまして、当委員会といたしましては国家財政見地より国費の乱費を厳に戒め、もって国民の負託にこたえんとして鋭意調査を行なって参ったのであります。各位におかれましても当委員会の意のあるところをおくみとりいただきまして本件調査に御協力を願いたいと存ずる次第であります。  それではこれより調査に入るのでありますが、委員各位より質疑形式実情を聴取することといたします。質疑の通告がありますので順次これを許します。吉田賢一君、御発言を願います。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 永田年さんに二、三の角度から電源開発事業である佐久間ダム建設工事に関してお尋ねをいたしたいと存じます。  第一に、参考人永田さんの立場を少しく明らかにしていただきたいのです。あなたの法律並びに定款上の現存の会社における地位、それから佐久問ダム建設事業における権限、それから政府出資並びに政府財政資金会社に投融資せられておる金額を知っておるかどうか。御承知でないとするならば、副総裁でわかるかどうか、その点についてまずお伺いいたします。
  8. 永田年

    永田参考人 私は電源開発株式会社理事であります。それから佐久間建設所長を嘱託されておりまして、建設所長権限といいますのは、会社の規定の中に所長権限がきまっておりまして、その範囲権限仕事をいたしております。この権限はここで申し上げるには非常にたくさんありまして私全部こまかく覚えておりませんが、極端に言いますと、土木工事であれば、設計範囲内で一千万円以下の工事請負所長権限できめられる、そういう一つの例があります。それから政府出資金額でありますが、この前の投資までは三百二十一億だったのですが、その後幾らか入っております。それで最近の一番新しい何はちょっと覚えておりません。それだけであります。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで主としてこの際伺いたいのは、電源開発佐久間ダム工事に関しまして、とかく世上で問題視せられております間組との契約関係、それをあなたには主として伺いたいのであります。そこで私らはこの七月でありましたか、あなたの工事現場に参りまして、現場におきまして何かと御質問して御答弁を得たのでありますが、この際明らかにしておきたい点は、この間組から佐久間ダム建設請負工事費につきまして、電源開発会社に対して、契約金額もしくは請負契約内容もしくは工事量単価等に関しまして、要するに佐久間ダム電源開発から間組に対して支払うべき請負代金につきまして、当初の契約よりもずっと増額しました金額が計算せられて提出せられておるというふうに聞いたのでございます。そこでその内容でありますが、その内容は、この鉛筆書きは私がこれを勝手に書いたのでありますが、提出されたのが昨年の三月以後、一回、二回、三回にわたっておりますが、この謄写刷り数字には間違いないりか。ちょっとこれを見てもらいたいのです。これは間違いありませんですか。
  10. 永田年

    永田参考人 これは間違いありません。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これ、朗読してもいいのですけれども、数字のことでありますので、これが間違いないということでありますが、このまま速記録にとどめておきたいと思います。
  12. 上林與市郎

    上林委員長 速記録にとどめますか――じゃ、そのように……。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、この参考人が確認せられた数額によりますと、第一回が九十二億五千六百万円、第二回が八十六億三千三百万円、第三回目が八十三億四千七百三十八万七千四百十円、こういうことになっております。そこで通産省公益事業局から当委員会に向けて工事契約金額というものを出したものによりますれば、間組との関係は四十二億八千万円となっておりますが、この四十二億八千万円、これは間違いないでしょうね。
  14. 永田年

    永田参考人 間違いありません。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、世上疑惑を生みましたのは、まずこの第一回、第二回、第三回の間組から提出いたしました数額内容適否妥当性いかんということに第一あったのでございます。一方、あなたの方と間組とが工事契約佐久間ダム電源開発新設工事請負契約書なるものを作成いたしておりますが、これは昭和二十八年四月十六日付で、電源開発株式会社総裁高碕達之助、それから株式会社間組取締役社長並びに熊谷組取締役社長、この両当事者の代表者によりまして工事請負契約書なるものが作成せられ、そうしてこれが三十六カ条にわたるものでございます。それで、あなたの契約の、契約金額適否妥当性いかんを検討する根拠になるものは、この工事契約に基くものかどうか、その点お聞きしておきたい。
  16. 永田年

    永田参考人 私の方で先ほど申し上げました金額適否をきめるのは、その契約書を基準にして判断をするわけであります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうといたしますれば、この契約書によりましてそれぞれ代金が定められ、支払い方法等が定められるのであります。そこで支払い条件といたしましては毎月出来高に対する九〇%を交付する、出来高認定電源開発会社がなすということになっておるようでありますが、その通り間違いございませんか。
  18. 永田年

    永田参考人 その通り間違いありません。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでまた一方、通産省公益事業局の本委員会に対する提出の書類によりますと、大体におきまして支払い状況は九〇%はできておるように判断し得るような資料が出ております。支払い状況昭和三十年十二月末現在といたしまして、ただしこれは三十七億二千三百七十五万四千円余り、こういうことになりますので、非常な開きが生ずるわけであります。もっともこのほかにまだ仮払いの形式のものがあり、あるいはまたその他アメリカの会社に対する支払い分があり、その他の支払い分もあるようでありますから、数字結論はこれよりずっとふえるのでありますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうに契約書に基きまして、昭和二十八年からこれを施行したものとわれわれは聞き及んでおりますが、三十一年に及びましてこの工事はすでに一切完了したといって世上伝えられておるというようなときに、しかもそれは財政資金が莫大に投じられておる関係にある会社工事である。これが毎月の出来高の九割を払うということが着々行われておったならば、こういうことがなかりしものではないかとも一応考えられる。あるいはまた設計変更などに伴いますやむを得ざる計算が困難だということもまた一方から考えられる。いずれにいたしましても、第三者の国民といたしましては非常に長らくこれをうっちゃってあるような感じがせぬではないのであります。そこで昨年来これは世上きわめて重大な問題として注視せられてきたのでありますが、今日新総裁就任後すでに三ヵ月になるわけでありますが、二十八年以後の分がたまっておるのであるのか、あるいはとうなっておるのか、いまだ解決をしたという報告がないようでございます。もっともきょうまでに解決ができたのかどうかの点も加えて、結論的に申せば一体何が原因であるのか、今どうなっておるのか、この点を一つはっきりしていただきたい。
  20. 永田年

    永田参考人 当初の契約は、先ほど申し上げましたように、間組請負金額というのは、四十二億八千万円であります。しかしその後この計画にある請負契約をごらんになりましてもわかりますように、当初から相当設計変更はあるものだということであったのでありますが、実際に仕事をいたしてみますと、掘さく量がふえるとか、あるいはまた取水口場所を変えなければならぬというような問題がたくさんありまして、総体の金額がふえたのであります。従って仕事の量も非常にふえた、その結果間組請負金額もふえたということになります。それで私の方では昭和二十九年ですか、仕事を始めましてから約一年あとに大体の見当がついて参りましたので、設計変更をいたしまして、そうして本社の決裁を得て、それから請負業者に――設計変更をしますと、大体の習慣はこういうふうに設計を変える、そうしますと内容が変って参りますから、内容の変った設計書会社で作りまして、それを請負人に渡して、こういう設計ならば幾らでできるのかということを請負人に出させるわけであります。その出させた結果が、先ほど吉田さんから言われました三回にわたって見積書が出てきたのでありますが、初めのは契約書も読まぬで書いたようなものであったというので、第一回と第二回はやり直してもらった。そうして第三回目に八十三億幾らというものが出てきたのであります。その後これは間組現地における担当重役の病気とか何かがありまして、大へんに延びておりましたが、先月末で現地の方の交渉は終りまして、現在本社でそれを調べております。従って近いうちに決定するものと考えております。これは何と申しましても、大体千ページぐらいあるような見積書が三冊にも四冊にもなる。それでありますから、話がきまりましてから、これを清書して出すだけでも二週間ぐらいかかるのです。私の方では先月末に話がきまりましたけれども、それを請負人が清書をして、あまり消したところのない、きれいな見積書を実は竣工式前に出そうと思っておりましたが、間に合わなくて十六日か七日に本社に提出したと思います。その後本社調査をいたしておりますから、まだ二週間程度ですから、完全には済んでおりませんが、現在は調べが相当進んでおります。だから近いうちにきまると思います。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 他の参考人の方は外に出ておってもらってはどうですか。
  22. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと速記を待って下さい。     〔速記中止
  23. 上林與市郎

    上林委員長 速記を始めて下さい。それでは質疑を継続いたします。吉田賢一君発言して下さい。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今永田さんの御説明によりますと、当初の契約に基いて工事は進捗する、但し相当な設計変更があったので、その場合には電源開発会社設計変更書を作成して請負人に交付して、どのくらいの請負代金でこれができるかということの見積書を出す、こういうような順序で御説明がございました。そしてその見積書なるものはさっきあなたが確認なさったように、第一回、第二回、第三回のそれぞれの見積り金額に該当するのだ、こういう御説明がありましたが、現実の事実はそうではなしに、たとえば仮排水路のごときはとつくの前に済んでおるわけです。そうして第一回、第二回、第三回の見積書なるものはずっと後に出されておる。だから現実の事実は、もうすでに工事の完了した分について新たに工事関係の経費が出されてきた、実際はこういうことになって、それを検討しようということになっておるのじゃないですか。つまりあとから、工事が済んでから工事請負代金金額変更された、だから世間がこれを評して値増し要求と言う。一番最初からこのくらいの工事設計変更がある、この変更について請負人はどのくらいの代金をもって請け負うかということをやって、その契約ができた上で工事を始めるならあなたの御説明通りですが、事実は逆なんです。工事はすでに竣工してしまって、その代金関係あとで折衝しているというので、いわゆる世上ではこれを値増し要求と言っているのですが、そういうように事の次第はなっているのじゃないですか。
  25. 永田年

    永田参考人 現実はその通りであります。しかしこれは往々にして設計変更工事と時間的にずれがあることがあるのです。この場合は非常に極端な場合でありますが、従って設計変更して、たとえば仮排水路はとつくの昔にできておる、それを今ごろになって話しておるということはおかしいと言われますと全く御説の通りでありますが、ここではそういう金を払わないわけにはいかない、従いまして設計書以外の仕事をしたときはその増加分仕事あるいはバイパスのごとき場所が全部変っておりますから、そういう全体の設計書本社に出しまして、こういうような仕事をしておる、しかし請負契約が完了していないから、請負契約に従って金を払うわけにはいかぬ、しかし仕事をしておるのでありますから、請負人幾らか金を出さなければ、請負業者仕事ができない。そこでこれを会社が見積ればこういうふうになるということで、会社の見積った金のこれはごく一部分でありますが、一部分を請負業者に払っておるのであります。これを会社の中では出来方融資という名前をつけて払っております。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事の経過は、途中で設計変更があり、工事はできている、工事ができたあと代金内容についていろんな費目を設けて増額請求があった、こういうふうに端的に表現でき得ると思うのです。前のときに藤井前副総裁からは値増しということは法律上の概念として適当でないような趣旨の御答弁があったように聞いておるのでありますが、そういうような法律的な理屈による表現は一応別といたしまして、ともかく工事は済んだ、済んでから金額を何ほど増額することが妥当であるかということが検討の内容になる。そこですでに工事は、仮排水路のごときは一番最初にする仕事でありますから、とつくの昔に済んでおる、そうして昭和三十年の三月に第一回の、私の常識でいえば増額請求があった、そうして一年半たって今なお合意協定に至らず、こういうようなことは、どう考えましてもどこかに無理があったのじゃないかと考える。私はなぜこういうことを強く追及したいかといえば、電源開発は六、七百億円の財政資金を使っておる会社なんです。五割以上は政府の持ち株であるという会社なんであります。国家財政監督見地から見まして、今後電源開発をたくさんにやらなければならぬ場合に、日進月歩の土木工事技術その他から見て、やはり同種の問題が今後も起り得ると思うのです。といったような場合に、どっちもけしからぬ呼ばわりで数十億円の金の増減を論議して何年もたつというようなことは、全く醜いさたなんであります。そこで原因が那辺にあるかということを明らかにしておくということは第一に必要であって、数額の妥当なところは一体何ほどであるかということを明らかにしておきたい。これは一体どちらが責任を負うべきものだということも明らかにしておきたいと、こういう角度からあなたに今までの点を聞いておるのであります。そこですでにこの工事ができてから後に増額要求があった場合にも、あなたの方では工事内容の増量というものは、これは専門家なら千ページであろうと一万ページであろうと、そんなものは目の前にはっきりわかっておるのでありますし、これに対する人間の単価幾ら、セメントの単価幾ら、何の単価幾らという数額は明らかに出るのでありますから、そういう辺が一年半もかかるということはどっかに私は無理があったと思う。この点はやはり端的に申し述べていただきたい。なぜならばあなたは現地の最高の責任者として、また会社の幹部として、理事であられますから、その立場におきまして、いずれにしても国家財政資金を運用する立場から見ましても、あなたの立場から見てもまことに遺憾だろうと思うのです。それで一体どこに無理があったのか、どこにも無理がなかったというならば、それは一体そういう設計変更について設計図を作ったり、数字を並べたり、そろばんを置いたりする人の間違いであるのかどうか、技術が不手ぎわであるのかどうか、事務が不手ぎわであるのかどうかということも考えなければならぬ。端的に申せば、これは一体どちらに無理があったのであろうか、この点は言い得ると思うのですがいかがですか、どっちも無理なしに天災のようなものであるとお思いになっているのか、まさかそうでもあるまいと思いますがどうですか。
  27. 永田年

    永田参考人 今言われましたように、設計見積りを大きくして、一年以上もできないということは大体前例がないくらいに非常に長くかかっておるのであります。われわれとしても二、三ヵ月でまとめたいということがわれわれの考えでありました。しかしものが非常に大きいということであります。私の方が設計変更をいたしますのに、仕事を始めてから約一年かかって設計変更に着手したのでありますが、それも今までと違った方法であるために、設計内容そのものに多少疑問があった。今まで通り考え設計をして、この機械が使えるかどうかというような多少疑問のあった点が一つであります。従いましてもう少し早く設計はできるのでありますけれども、そういう点を少し調べておったために延びたというので、会社設計書の作り方がおそかった、そうして会社設計書請負業者に渡してから、今度は請負業者が調べるのに請負業者自体もちょうどやっと掘さくを始めて終りかかったというころに書類をもらっておりますので、これから先自分たちのやる仕事が一体当初の見積りでできるかどうかということに多分に私は疑問があったと思うのであります。われわれもやったことのない仕事でありますから、いろいろ調べて見当はつけておりますけれども、請負業者立場になってみると、自分会社がつぶれるかどうかという非常に大きな問題でありますから、そう簡単に右から左に返事はしかねるということが多分あっただろうと私は想像しております。従って初めに非常に大げさに出してきたということは、どっちにころんでもこれは大丈夫だという一応の見当請負業者としては考えておったのではないか。しかしわれわれが見てすでに掘さくはある程度見当がついておるのだから、こういうでたらめなものを出してもらっても困るということで第一回を返したのでありますが、第二回を出すまでに非常にひまがかかっておるということは、私の大体知っておりますところでは、請負業者現地見積りを作って本社べ持っていきますと、本社でまたひまがかかる。それは全部の人が仕事内容に多少疑問を持っているんじゃないか。今までやったことのない仕事をするのですから、一体これだけの金でできるのかどうかということに非常な疑点があったんじゃないかと思うのであります。従って二回目を何回か催促してもなかなか出してこない。それには現地所長がずっと入院しておりました関係もありますけれども、単に所長一人がいないためにできないというわけではないと思うのであります。それでしまいには私の方も非常に催促をいたしまして、もうこれだけしてやらなければ解約だというところまでいったのでありますが、そのころになりますと、もう半年以上もコンクリートを打ち出して建っておりますから、向うもだんだん見当がついてきたということでまた幾らか引いてきたわけであります。それで第二回目の引いてきたのもまだわれわれの考えとははるかに違うということで、三回目は割合に早く向う側が出してきた。私は初めての工事であるために、まことに不手ぎわであった点は仏が責任を負いますが、ほんとうのことからいえば請負業者としてはとにかく会社が存立するかつぶれるかという境目の請負金額を出すのでありますから、相当に慎重でもあろうし、また社内で議論も非常にあったと思うのであります。見積りがいまだにはっきりしないということは私の責任でありますが、請負業者がどうこうあったといううわさもありますけれども、その先にもう一つ考えていただきたいことは、初めての機械を使って仕事結論というものはどういうものかということに対して、請負業者が非常に慎重であったということは一応考えていただきたいと思うのであります。そういうわけでおくれたことそれ自体は私の扱い方が悪かったということ以外にないと思うのであります。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今あなたの御説明によりますと、間組の第一回の要求は、実に大げさででたらめであったというような認定に立っておる。工事請負人が大げさなでたらめな要求をしたというのに、何もあなた自身が私がまずかったので、私の責任でおくれましたという、そんなようにお考えになる必要はないと思うのであります。といいますのは、これは一会社の問題を論議しておるんじゃなしに、あなた自身も一つの公益機関の代表者立場で述べてもらわぬと困るのです。やはり今あっちこっちお差しさわりがあるので、自分責任を負えばいいというようなそんなセンチメンタルなことではよくないと思っております。そういうことでありますので、その辺は何とかもっとしっかりしたお立場をとってもらいたい。それからこの設計変更に相当時間がかかった、初めてのことでもあるし、なんだかんだとおっしゃっておるんだが、そういうような重大な設計変更の場合には、あなたの方はあなた独断ではなかろうと思う。やはりこの主要な会社の幹部、すなわち総裁並びに副総裁総裁単独でなしに、総裁並びに副総裁設計変更に関与したのかどうか、その点はどうですか。
  29. 永田年

    永田参考人  設計変更は私の方で、現地設計書を作りまして、それから本社のそれぞれの機関が全部調べるわけであります。従って総裁、副総裁は関知されております。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで会社側つまり請負人間組がつぶれるかつぶれないかというようなあなたの御想定だが、そういうような立場において、大げさな第一回のでたらめな請求が出る。そういうでたらめな請求が出るということは、電源開発会社にとってはまことに重大な打撃が加えられるおそれがある。こういう問題が起ったときに、あなたとしては自分で独断で処理すべきではなく、やはり本社に向って総裁、副総裁に適当に進言して、かくかくの要求があった、こういうことは御報告になってしかるべきだと思うのだが、その点いかがですか。
  31. 永田年

    永田参考人 それは現地責任者がおります以上は、現地責任者が適当だと判断するものは現地で処分いたしまして、それからあと本社総裁、副総裁の決済を得ますけれども、いいかげんみたいなものまで総裁、副総裁内容説明してお伺いを立てることはないと思うのであります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし会社の定款によれば、会計年度は四月一日に始まって翌年の三月末に終ることになっておる。会社は定款に基きまして経理一切は締めくくりをしなければならぬ。かりにも数十億円の金が支払われるという問題、何十億円という増額要求をせられておる問題、そういった場合に、あなた御自身の権限は、千万円以下のみが専権があり、千万円以上は専権がない。現地工事責任はあるかもしれぬけれども、経理関係につきましてそういう重大な問題が起ったときに、最終の確定数字が出るまで、本社の幹部が知らないなんて、そんなばかげたことは常識上考えられません。そんなことでありましたら背任ですよ。そんなむちゃなことはどこにもありません。どこのどんな工事にしましてもどんな会社にしましても、現場責任者責任者ですけれども、本社責任責任でなければならぬ。そこで今のことはやはりその点はそうではなしに、それぞれの方法をもちまして本社に御報告になり、たとえば会計年度には総会もあり、年次総会もいろいろと書いてありまするが、営業上重要な報告事項でありますから、総会にも御報告になる事項であろうと思います。従ってそういう数字はあなたの現場から適当に御報告になっておるということは常識上考えられるのです。でありますから、これもやはり本社の方に御報告になっておるのがほんとうじゃないのですか。どうぞその点も一つ隠さずおっしゃってもらいたい。何もあなたの立場に御関係ないことですから。
  33. 永田年

    永田参考人 今私の申し上げましたのは、最初見積りのようなものは、何も本店には相談せずに私単独で請負業者にこれはやり直せと言っております。しかし非常に日が長くたっておりますので、私の方からは今吉田さんのところにあります表のように、第一回にこういうのを出して、まだ大きいから第二回を出した。それで今第三回を出して折衝に入ろうとしているというような報告は出しております。こういう経過になっておるということは出しておりますが、ただそれだけのことで、内容を返すとか返さない、設計をやり変えろというようなことを請負業者に言うか言わぬかということは、所長の独断でやっておるのであります。ただこういうことがありますということは報告はしてあります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方は本社へ報告はしておる。副総裁藤井さんは、きょうの委員会の空気でわかったのだが、非常にたくましい人のようだが、それほどつんぼさじきにおる人のようには思えぬのであります。やはりこの重要な報告は副総裁の耳に入り、副総裁が目を通し、副総裁の御意見も拝聴するというのがほんとうだろうと思うが、それはどうですか。
  35. 永田年

    永田参考人 これは理事会の記録にはないはずでありますが、私は理事会で大体こういうような経過になりつつあるという話はしてある。しかし金額幾らとか、そこまでは言っておりませんけれども、非常に大げさなものを出して弱っておるということは、理事会で皆おられるところで話してあると思います。だから藤井さんも知っておられるはずです。大体そういう話は聞いておる。金額幾らかとかいうことは言ってありませんから、それであまり長くきまらないから、三十年の暮れに、はっきり金額を書いたものを文書で出した。長くきまらないで私の方で始末に因ってそういう文書を出したわけであります。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は当初でたらめな大げさな数字であり、逐次改善されたような跡が見えるとあなたはおっしゃる。ところが第二回の要求の中には、本店の経費四億一千百六十二万五千円を要求している。本店の経費では間接費の業務管理の一部をなすものであろうと思いますが、四億一千百万円も要求してくるということは、いかにも大げさな、これこそ大げさな要求であろうと思います。もっとも今断わっておきますが、私の立場請負人間組を責めるという意図をもって申し上げているのではないのですから、あなたも冷静に御答弁願ったらよろしい。四億円からの本店の経費を要求するとはちょっと常識上考えられぬのであります。何も佐久間ダムだけが全部の仕事ではないから、どれだけの本店の経費が要っている会社か知りませんが、そういうことも考えなければならぬけれども、またその次になりますと、今度は嘆願盆と称するものが三億五千八百余万円現われてきております。こういうようなものにつきましても、これも世上相当批判がされたのであります。一体公益会社が嘆願金というようなものを支出すべき法律上の根拠は何かあるのですか。あなたの会社の定款、慣習、その他電源開発促進法等に基きまして、法律上そういうものを支出し得る何か正当な根拠があるのですか。あなたは第三回目の要求はだんだんと改善されてきたのでとおっしゃっておったけれども、まことにこれも不可解なことであります。これらの点につきましては、どう判断せられておりますか。
  37. 永田年

    永田参考人 第二回目の本店経費が四億一千万円と入っておるのは大きいと言われますが、私もその通りと思います。従って第二回目はこれを返しました。それは請負業者としてはあちこち契約書を見ると金はなかなかふえない。契約書の単価ではできないと思うと何か金の工面を多少しなければならぬということですね。それでこういうものは入れられないものですから、第二回目はだめだといって見積りをし変えてもらったわけであります。そうして第三回の見積書、嘆願金をのけた分は、大体契約書に準拠しておるものであります。嘆願金の部類は公益会社電源開発株式会社は一体これを払うべきかどうかというお尋ねでありますが、これは嘆願金の内容によるものでありまして、内容が払うべきものであれば私は払って差しつかえないと思います。払うべからざるものなら払わない。ここで嘆願金というと非常に漠然として、ただ金を下さいみたいなふうに見えますけれども、契約書ではどうしても金のあげようがない。しかし事実は金が要ったのだ。事実要ったということは、むだづかいをしたというようにわれわれは認めない。ところが契約書にはないけれども、別な仕事をしないという契約書にある仕事ができないというときには、それは会社が悪いのであって、おそらく会社設計に落しておったとかいうことであろうと思います。そういうような場合のものは、当然の理屈があれば払わなければならぬ、あるいは非常な不可抗力であってだれも考えないような事態が起った、そういうときに、これは契約したから請負人の損のしつぱなしだということも私は考えるべきではないと思います。しかしこの嘆願金そのものは現在は全部調査してしまいましたから、ほとんどゼロに近い、ほとんどないのであります。私の方で今本店に出しておりますのは、三億五千万円のうちの千四百万円だけは嘆願金の中で採用してしかるべきものと考えて本店に出しております。しかしこれが本店で採用されるかどうかは別問題であります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方で嘆願金三億五千万円の中の千四百万円のみを認めたということであるが、それほどこまかい数字が出ておるなら、総計間組に支払うべきものは幾らという数字を本店に報告なさっておりますか。
  39. 永田年

    永田参考人 総額は現地で出したものは会社の下書のようなものでありますから、実はあまりここで申し上げたくないのです。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでに嘆願金の内容まで御説明になったのでありますから、大体でよろしゅうございますから……。
  41. 永田年

    永田参考人 まだきまってないのですから申し上げたくないのですが、こういう大きな金額ではないということだけ申し上げます。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならこれはのむわけですか。嘆願金を、三億五千万円から千四百万円に引いたものを全部のむということになさるわけですか。
  43. 永田年

    永田参考人 嘆願金は皆さん非常にこれをあやしげに思われる、いかにも会社が訳のわからぬ金を出すように言われるものですから、私はっきり申し上げたのですが、しかし全体は……。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら聞きます。一体あなたは当初支出すべきものは、契約書に基く、こうおっしゃった。契約書も聞かなくちゃならぬ、ようございますね。契約書内容は全部明らかになっておるのだから……。そこでたとえば間接費です。第三回の間接費は十億三千万円余円に一億五千八百万円が合計され、十一億八千八百余万円であります。あなたの確認した数字であります。ところが契約によれば間接費は十六億二千百六十二万余円ということになっておるのであります。しかもその間接費の中には利潤がある。これも順序上ちょっと聞きましょう。一体利潤は何ほどを妥当としておるのですか。そこまで問い詰めなければ、――あなたは数字結論を言うのはいやでも漸次積み上げていけば明らかなんです。これはどうなんです。
  45. 永田年

    永田参考人 適正利潤というのは、当初私どもの考えたのは五%であります。事実入っておるかどうかは別です。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 五%というのは契約代金の五%ですか。
  47. 永田年

    永田参考人 大体五%を引く前の金額ですね。五%を入れたものが契約の総金額でありますから、そういうことです。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 五%入れたものが契約の総金額、すると契約の総金額のうちの五%が適正利潤でしょう。契約の総金額というのは当初の四十二億八千万円をさすのか、一体分母になる数字は何なんです。
  49. 永田年

    永田参考人 それは五%を入れて四十二億八千万円であります。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この間接費は今十一億八千万円と合計しておるのですが、これは生命保険料、それから一般管理費、それから今のようなもの、利潤、事務所費、そういうものが総計されるのであります。保険料が相当多く要ると思うのであります。こういうような数字は、これは何ですね、ほとんど七、八割に該当すべきものでないかと思うのであります。こういうものもこれは妥当というふうにお考えになっておるかどうか、当初契約は十六億二千万円、要求してきておりますものは十一億八千万円、こういうことになりまして、二十数億になるわけでありますが、その点いかがなんですか。
  51. 永田年

    永田参考人 当初契約金額というのは今持ってきておりませんが、要求金額をそのまま出すというわけではないのです。第三回と書いてあります金額はすべてこのまま出すというわけではなく、この金額と最後に請負業者と協定してきめた金額は、非常な差がありますから、この金額がそのまま会社の出す金額ではありません。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 非常な差があるけれども、半分でも認めるか、三分の一にでもなるか、その辺どうなんですか。
  53. 永田年

    永田参考人 嘆願金をまず幾らか入れる、これは設計変更のために入れましたから、これはさっき申しました千四百万くらいが妥当と私は考えますが、それを含めました金額は七十億円以下であります。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは数字を非常に慎重に公表を避けておるようでありますけれども、一体この場合決定するには通産大臣の認可か許可が要るのではありませんか。
  55. 永田年

    永田参考人 設計変更の決定には通産大臣の認可は要りません。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならばその大量の金額を支出するという場合は公益事業局長その他通産局の同意か承諾か認可、許可、そういうものは必要ありませんか。
  57. 永田年

    永田参考人 それは同意は前もって要りますが、正式の文書で認可を受けるということはないと思います。それは年度予算のときにそれを入れますから……。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではまだいろいろ聞きたいのでありますが、藤井元副総裁に十分に聞くことにいたしまして、私はもう一、二点だけ簡単に聞いて終ることにいたしまして、他の方に譲りましょう。  そこで今の場合四十二億円が七十億円にかりになったといたしましても、約三十億円前後のものが増額するということになるのでありますが、こういう三十億円のものがすでに何年か前に工事ができて、そして折衝に一年以上かかって手間どつたということになりますと、これは法律的に考えましても請負人が不当な請求をした。正当な見積り内容を出さないので、このように時間をとったとするならば、会社におきましても純理上相当迷惑でなかったかと思う。また一方電源開発会社が間違った処置に出ておったためにこんなにおくれたとするならば、請負人は大へん迷惑をしたものと思う。そういうようなことになるのだが、それは一体あと法律問題は残りませんか。会社も会計期間がありますよ。どちらの責任で一体こんなになったのか。やはり法律上の権利義務をどちらが履行しなかったかいなか、あるいは協議するという契約になっておりますから、その協議についてどちらに責任があるかというようなことは、法律上相当問題でないかと思うのだが、その点はあなたはどう考えておりますか。
  59. 永田年

    永田参考人 私は法律上の問題はあとに残らないと思います。これはせんじ詰めればどっちが悪いとかいう問題はありましょうけれども、一方的にきめられるという問題なら別でありますが、協議できめるということになりますと、一方がいやだといえば協議はいつまでたっても成立しないということもありますので、私は法律問題にはならぬと考えております。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、この問題の背景をなしておりまするものは、総裁、副総裁の人選が政治問題化して世上幾多の疑惑を招いて、総裁人事というものが幾たびか新聞に紛議の事実として報道せられたという背景をなしたことにもかんがみて、この協議決定というものは純粋な技術的な数字の検討ということではなくして、やはり嘆願金というようなものが出、それを検討して削除するようことがあったごとくに、他の力というものが一つの要素になって妥協されたという形跡はあるのではないでしょうか。
  61. 永田年

    永田参考人 私現地で交渉をしておりまして、東京の模様は話は聞きますが、現地の事情においてはそういうことはありません。これはもうはっきり申し上げます。現地ではそういうことはない。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 要求だけして終ります。  最初の御説明に、ここ数日のうちに新総裁請負人との間に解決するようなお話がありましたね。数目の間に解決をするのならば、一つ早い機会に当委員会にその数字は報告してもらいたいと思います。一つお願い申し上げますが、いかがでしょうか。
  63. 永田年

    永田参考人 その旨私総裁にお話し申し上げまして、総裁の方から何分の処置をとっていただきます。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きょうは藤井総裁からも聞きたいと思いますしいたしますので、時間の関係もありますので、きょうはこの程度にいたして終ります。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 田中彰治君。
  66. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 参考人にちょっとお伺いいたしますが、あなたが佐久間ダムを初めやられたときは、七、八年かかってもできないのじゃないか、こういうような評判もあり、あなた方もそう思われておったと思うのです。それが三年ないし四年早くできた。これに対してあなたはよかったと思っていらっしゃるのですか、早くできたことはいいけれども、経費が非常によけい要ったから、これは悪かったんだ、こう考えていらっしゃるのですか、どういう工合に考えていらっしゃるのですか、御遠慮のないところを一つ伺いたいと思います。
  67. 永田年

    永田参考人 私は早くやったから金が非常にかかったとは思っておりません。多少はそれはあるかもしれません。ゆっくりやってみたときの実際の金というものはわからないのですから、あるかもしれませんが、早くやったから金がかかったとは考えていない。ただ外国の機械を使っても早くはできるが、安くはならぬということは、一応いわれるということははっきりわかります。ですから私は早くやったから金が高くなったとも考えておりませんし、ただ早くできたということだけは非常によかったとは思っております。ただ批判される方はあると思います。
  68. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そこで、私はダムにあまり経験のないしろうとですが、私の方の新潟県で実はダムをやっておったのが、いろいろな関係があって、大きな請負師からとって、そして小さい土地の請負師にやらした。値段も非常に安くできたし、いろいろの批判もなかったのですが、それがために工事がおくれたんです。これは県会の中で相当問題が起きまして、県民の中でも非常におくれたというので問題が起きているのですが、たとい金がかかってもダムを早くやるということは、電気を早く起すと利益が早く上るという点から見て、ダムというものは一応どこの機械を使おうと、少しくらい金がかかろうと、電気を一日も早く使えるようにした方がいいんだ、今こういう工合な評判が散らばって批判されて、そして県会なんかでもこれが問題になっております。やはり佐久間ダムなども、外国の機械も使ったり、工事変更なども無理な点もありましたりしたために早くできた、こういうことについて批判があろうとなかろうと、あなたは今非常によかった、こう思っていらっしゃるという話を聞いたのですが、そこでダムというものはどうなんですか、少しくらい設計変更しようが、あるいは少しくらい金がかかろうが、いい機械を使おうが、やはり一日も早く電気を起す、電気を使えるようにした方がいいのですか。それとも少しくらい手間がかかってもいいのだが、契約通りやるとか、慎重に――もちろん仕事は慎重にやらなければなりませんが、電気を起すのがおそくなってもいいから、契約にきめたものに従ってやっていくということがいいのですか、どっちがいいのですか。これは一つ遠慮のないところを聞かしてもらいたい。
  69. 永田年

    永田参考人 それは私は電気に関するダムであれば早い方がいいと思います。ゆっくりやったからといってそう安くはできないはずであります。特に私の会社のは、先ほどからお話がありますように、国家の投資でありますから、金利が非常に少い。普通のよそで使っている半分以下でありますが、そうでなくて、七分も八分もの金利を使って仕事をしているならば、早い方が必ず安い。これはいかなる理由にかかわらず早い方が安くできることはいわれることであります。常識はずれで早ければ別ですけれども、普通の速度で早くやるということは、必ず安いということがいわれております。
  70. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そこで、佐久間ダムが非常に期日が早くできたために、これは数字的に調べたわけではありませんが、専門家の話など聞くと、一日に四千万円くらい利益が上っている。またあなたの今おっしゃったように、早くしたために金利の点なども非常に違っている。また四千万円の利益を電気で上げているのですから、その電気がほかで利用されれば、その他の工業なんかでは、電源開発に直接ではありませんが、国家のために潤おしてもらう、その電気を早く使ったために非常に利益が上っているのだ、こういうように電源開発の内部でも認め、あるいはまたダムなどに関心を持った人がこういう工合に認めて、私たち調査に行くとよく話をするのですが、あなたの方は、やはり四千万円くらい利益が上っていることが今事実なんですが、この四千万円くらい利益が上っているだろうと思っていらっしゃるのですか、できたけれどもあまりもうからないで、早くできたけれども大したことはないというのですか、どうですか。
  71. 永田年

    永田参考人 四千万円という話は、電気料金の契約があまり簡単でありませんので、一キロワット・アワーが名古屋、東京等で約三円六十銭になります。そうすると多い日は九百万キロワット・アワーくらいで、大ざっぱでは四千万円近いものになるということでありますが、月を平均しますと、一日に一千万円であります。これは契約内容が非常に複雑でありまして、それ以上にはならぬようになっているのです。大体年間に四十三億くらいでありますから、月に三億円から三億四、五千万円、そういうふうになっておりますから、四千万円ということはいわれておりますが、これは一キロワット・アワー三円六十何銭だと、多い日は九百万キロワツト・アワー出るから、大ざっぱにいえば三千何百万円になる、さらに多い日には四千万円になっているということはいえると思うのですが、契約の実態そのものからいいますと、大ざっぱにいって月に一千万円から一千二、三百万円ということであります。これは金利が安いために結局そういうことになってしまうのです。
  72. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そうなりますと、これはあなたが自分自分のことをおっしゃると、ちょっと自慢みたいになりますが、それではあなたがその所長をしておられて、早くやって一日に一千万円以上の利益を上げているということなら、あなた自体も非常に賞賛される立場にありましょうし、またそういうことをやるために非常な工事なんかの変更をされたとしたら、あなたとそのやった工事請負業者は何人おるか知りませんが、何人かとの間にそう何回も何回も出したり突っ返ししたりしないで、おれも無理させたのだからこうだ、お前の方は高いからこうだというふうに、笑ってその話がつきそうなものですが、それがこんな問題になってくるというのは一体どこに根拠があるのでしょうか。
  73. 永田年

    永田参考人 これは私もよくわからないのですが、現地では別にかど立てているわけでもなんでもありません。おかしいじゃないか、そんなものはもう一ぺん見直してくれというふうな話なんですが、ただ先ほども申しましたように、下の方のものは契約書の通わにやれば簡単なんですが、上の方になればなるほど足りなかったときにどうするかという心配がどうしても私は出てくると思うのです。自分がやってもそうだろうと思うのです。だからそういう心配があるためにわあわあ言っておりますけれども、最後になるとなかなか引っ込みがつかなくなるということじゃないかと思うのです。そのほかの原因があるかどうか知りませんけれども、一応はそういうことが考えられます。
  74. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 あなたの今のお話を聞くとそういうことなんでしょうが、しかしそれなら私もいろいろな養鶏場などを作っていろいろな工事をしておりますが、われわれ個人の間においても、一月でやる仕事を場合によっては鶏などを育てる関係上早くやらなければならぬという場合は設計変更をしたり、残業をさせたりしてやらせるのですが、それが早くでき上ると、早くでき上ったからこういう工合に一つしてくれないかとか、夜食を食わしたとか、材料を運ぶのに小トラックでなくて大きなトラックを入れたので道が悪いためにトラックがひっくり返ったということで、いろいろな見積りが上ることがあるのですが、そういう場合われわれ個人でもこうしようじゃないか、ああしようじゃないかという交渉をする場合でも、ほかの請負業者も入っているからなるべく交渉が済むまではこういうのが他人の手に漏れないというのが当然だと思う。しかもこの佐久間ダムの今の問題は、まだ値段が高いとか安いとか、工事がよくできたとかできないとか、あなたの方で調査されて、請負業者との間にそういうことの交渉中なんですから、それが漏れて――決算委員会もそういうことを取り上げることは逸脱行為かもしれませんが、それが漏れてこんな問題になるというのは一体どういうわけなんでしょうか。何が原因なんでしょうか。それをひとつ聞してもらいたい。
  75. 永田年

    永田参考人 これが漏れるということは非常に私遺憾でありますが、私こういう書類を本店に出したのでありますけれども、これは漏れては困るということで親展の手紙にして私の支店に渡してやったわけであります。それがどうして漏れたかわからないのですがはなはだ遺憾であります。
  76. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そこであなたはどう考えられますか。その漏れたということは、これはよかったと思われるのですか。こういうものが漏れるということは、いろいろな仕事に対してどう思われるのです。私はこういうものが漏れたことはいいのだ、いやこういうものが漏れることは性質はよくないのだ。どう思われるのですか。どっちなんですか。
  77. 永田年

    永田参考人 こういうことが漏れるということは私は非常に悪いと思います。たとえば九十何億みたいなものまで出して、いかにも請負業者がでたらめをやっているみたいなことが漏れる。これは実際現地に行ってみますと、間組の若い技術屋が非常に残念がっているわけです。われわれはまじめに働いておって、請負業者というのは何か悪党のように思われるということで非常に残念がっておりますが、従ってわれわれも商業道徳としてこういうものは出すべき筋のものではない。しかし一般的に見て、商人だから多少くらい大げさに言うのをそう責めるべきでもないと思うのです。こういう大げさに出すのはどうか知りませんけれども、そういうものはありますからまたそれを出したからといってわあわあ外に出さない方が私はいいのじゃないか。私も出すつもりはなかった。ただたまたまどうして漏れたか知りませんけれども、漏れてしまったということは非常に残念だと思っております。
  78. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そこでこの前新総裁の内海さんを呼んだときに、社会党のここにひげのはえたおっかない人からも質問があったのだが、あなたがこの見積書に対して、一体どういう支払い方をするか。五千万や六千万なら払うのか、それくらいならいいのかということを言われたら、あべこべに総裁はたとい五千万であっても六千万であっても一千万であっても、払うべき金でないものは一厘も払わない。そのかわり何といっても払うべき金は払うと言われたので、われわれも敬服したのだが、あなたもやはりそういうような払うべきでない金は、だれが何と言っても一銭も払わない。払うべき金は払ってやらなければならぬという、やはり総裁と同じ考えを持っているのですか。それともあなたは現場現場として、何かかわった考えを持っていられるのですか。それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  79. 永田年

    永田参考人 金を払う以上は、私は払うべからざる金は一銭も払いません。
  80. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 最後にもう一点ですが、政治家がこの中に入っていろいろな画策をしたとか、圧力を加えたとかいうようなことがちらかっているのですが、そういう実態は実際にあったのですか、ないのでしょうか。これを一つ遠慮なく言っていただきたい。
  81. 永田年

    永田参考人 現地においてはそういうことはありません。これは一つもありません。東京であったことは私よく存じませんが、現地では少くも全然何もないのです。
  82. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そこであなたが現地所長としておられて、本社の方にそういうような空気があるとか、そういうことがあったとかいうようなことをお聞きになったのですか。そういううわさをお聞きになりませんか。それを一言お尋ねいたします。
  83. 永田年

    永田参考人 うわさみたいな話は聞きましたが、あまり確実じゃないですね。
  84. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと速記をとめて……。     〔速記中止
  85. 上林與市郎

    上林委員長 質疑を継続いたします。永田参考人に対する御質疑がありましょうか。それでは坂本泰良君。
  86. 坂本泰良

    ○坂本委員 時間がありませんから一、二点お伺いします。佐久間ダムは十月十五日に盛大な竣工式が行われたわけですが、われわれの常識では竣工式をやって完成すれば代金支払いはほとんどできたのじゃないかと思うのですが、先ほど御証言のように、値増しの点については七十億円以下ということは現地では話がついて本店の方に上申した、こういうことに承わってよろしゅうございますか。
  87. 永田年

    永田参考人 今お話の通りでありますが、金の支払いにつきましては、契約がきまっておりませんので、先ほど来申しましたように、未契約の出来形の書類を本店に出して、その一部金を払っております。従ってまだ請負業者に払い残りの金があります。それからまだ護岸の仕事が少し残っているとか、そういうできない仕事も少しはあります。九分九厘はできておりますから、まだ出来高に対して未払いの分が幾らか残っておるわけであります。     〔委員長退席、關谷委員長代理着席〕
  88. 坂本泰良

    ○坂本委員 今おおよそでけっこうですが、支払った額はどのくらいですか。
  89. 永田年

    永田参考人 支払った額といいましても、非常に複雑なんですが……。
  90. 坂本泰良

    ○坂本委員 総額で……。
  91. 永田年

    永田参考人 支払った額を融資して設計書について払ったものと、それから出来高の融資したものと、それから請負の初めに金を貸しますね、それは返すのですけれども、それの残りがある。そういうような融資と、出来形の総額で現在――現在というと十月ですが、六十一億九千六百万、端数がありますが、それくらい払っております。
  92. 坂本泰良

    ○坂本委員 次に聞きたいのは、これは私が先ほど聞き間違いかもしれませんが、三億五千牧百万円のいわゆる嘆願金というのが出ておりました。それを千四百万円くらいだろうというふうに承わったのですが、その嘆願金というのは千四百万くらいだけれども、そうでなくて三億五千万円のうちに各工事値増し分にこれを繰り入れたものはないかどうか。その点をお聞きしたい。
  93. 永田年

    永田参考人 それは一つもございません。
  94. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと嘆願金は千四百万円以下、こういうふうに承知してよろしゅうございますね。
  95. 永田年

    永田参考人 私の方から本社に出したのが千四百万円程度であるということであります。これは採用されるかどうかわかりません。これは多少考える余地があるといえばある。私はないと思って出したのですが。
  96. 坂本泰良

    ○坂本委員 永田所長現場で折衝したのを本店に上申した額がそれだけだというふうに私は承わっておきたいと思います。  もう一つお聞きしたいのは、本年の五月三十日の朝九時ごろ丸ビルの信越化学の社長室に行かれたことがあるかどうか。その際に藤井総裁にも会われたかどうか、それをお聞きしたい。
  97. 永田年

    永田参考人 私は開発会社になってから信越化学の社長室に行ったことはありません。全然ない。
  98. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしたら五月三十日に本社の方に行かれたことがありましたかどうか。
  99. 永田年

    永田参考人 五月三十日はこちらの本社におりました。
  100. 坂本泰良

    ○坂本委員 五月三十日の朝、藤井総裁に会われて第三回目の値増し書類を提出されて説明されたことがあるかどうか。
  101. 永田年

    永田参考人 それは三回目というのじゃなくて、一回、二回、三回にこういう書類がきましたということと、その次にもう一回私は報告書を出しておりますが、それとあわせてだと思いますが、それを副総裁に三十日の朝だと思いますが、渡しました。
  102. 坂本泰良

    ○坂本委員 説明されましたか。
  103. 永田年

    永田参考人 説明はしません。これはこういうものが入っておりますと、状袋に入っておるものを渡しました。
  104. 坂本泰良

    ○坂本委員 封筒に入れて出された際に、その封筒の中には第一回の値増し要求額の九十二億五千余万円の書類、二回目の八十六億三千余万円の書類、三回目の七十九億八千五百万円の工事見積り書類、さらにそれには三億五千八百万円の嘆願金がある。それともう一つ、その後出されたとおっしゃるこの関係書類が入っていたかどうか、その点を一つお聞きしたい。
  105. 永田年

    永田参考人 この前一回、二回ずっと並べたこの表を入れておるわけです。その表と表の説明書ですね。これはこういう経過になっておりますという説明書に表がついたものを状袋に入れて差し出したのであります。
  106. 坂本泰良

    ○坂本委員 五月三十日に差し出されたのは、前日か、その前にだれかからの指示で、藤井総裁に出せという指示があって出されたのですか、どうですか。その点を一つ
  107. 永田年

    永田参考人 それは前日に総裁からこういうものを書いて副総裁にあしたの朝出してくれと言われましたから、私帰って副総裁総裁からこう言われましたからといって渡したのです。
  108. 坂本泰良

    ○坂本委員 それで渡される際に総裁からこう言われました、値増し見積り書類を持ってきたといって渡されたかどうか。その際に藤井総裁はそれを広げて見てあなたに質問か何かされたかどうか。その点を承わりたい。
  109. 永田年

    永田参考人 ただ総裁からこういう見積りの経過を書いたものを渡せばいいということで持ってきましたので、私は内容説明しません。中に書いてありますから質問も何もありませんでした。副総裁はどこに行かれるか私はよく知らなかったのですが、何か信越化学に行かれたということがこの間の速記録に出ておりますが、そういうことでせかせかしておられたことは事実です。渡したことは渡しました。
  110. 關谷勝利

    ○關谷委員長代理 永田参考人に対する御質問は他にないようですから、この程度にとどめます。  永田参考人には御多用中まことにありがとうございました。永田参考人は退席されてけっこうであります。  それでは藤井参考人に対する質問に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  111. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 参考人に伺いますが、あなたはいつからいつまでに電源開発の副総裁をやっておられたのでありますか。それを先に一つ
  112. 藤井崇治

    藤井参考人 これはこの前の委員会でもお答えした通りであります。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前回の委員会のときお述べになったのであれば、私はその点はお尋ねしないことにいたします。現在電源開発に御関係ありますか。
  114. 藤井崇治

    藤井参考人 ございません。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは、定款並びに法律によれば、総裁を補佐して会社の最高の業務を担当する責任におありになるんだが、電源開発事業のうち佐久間ダム事業は、目下のところ最大のもののように思うんだが、最大でなくとも最も重要な事業であるのかどうか、その点いかがです。
  116. 藤井崇治

    藤井参考人 お説の通りでございまして、すでに完成はしておりますが、完成するまで重要な事業であると存じております。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのような重要な事業であるから、あなたとしては、事業の当初の計画、設計事業進捗の状況請負代金の支払の実情、もし遅延しておるとするならばその原因、もしその間に何か問題があるとするならば、そういう点についてもかなり慎重な御関心があってしかるべきお立場だと思いますが、それはいかがです。
  118. 藤井崇治

    藤井参考人 計画の当初の問題は、私は在任しておりませんので、私には関係ないと思いますが、私どもが就任いたしましてからは、お説のように取り扱ってきたつもりでおります。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは佐久間ダム工事のどの段階になって御就任になりましたか。
  120. 藤井崇治

    藤井参考人 私が就任いたしましたころは、仮排水路がようやくできまして、これから本格的に掘さくを始めようという段階でございまして、そのころ設計変更の問題がすでにほとんどきまって、大きく取り上げられてきている当時であったように存じます。
  121. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昭和二十八年四月十六日付で、間組、熊谷組と電源開発会社総裁高碕達之助間に、佐久間ダム発電所新設工事請負契約書というものが作成せられておりますが、これは御承知ですか。
  122. 藤井崇治

    藤井参考人 それはもちろん後になりまして私ども就任してから、そういう契約書のあることは承知いたしておりますし、またその契約書の大綱も大体承知いたしております。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 請負人との間に、請負代金について支払い問題が起る、支払い金額の当否の問題が起る、工事の増減の問題が起る、設計変更の問題が起るといったようなときは、この契約書がまず第一に基準となって検討されもしくは協議されると思うんだが、その点いかがです。
  124. 藤井崇治

    藤井参考人 もちろん支払いにつきましては、その契約書がもとになるのであります。その後設計変更等で仕事の量がふえたものに対しましては、一定の基準に従いまして一部分内払いをしておったと思います。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その一定の基準というのは、第一義的にはこの契約書によるべきだと考えるのですが、その点いかがです。
  126. 藤井崇治

    藤井参考人 もちろん第一義的にはその契約書によるべきものだと思います。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、設計が一部変更になり増量がせられておるというふうに現場所長から答弁を聞いたのでありますが、その設計が一部増量せられたという場合に、工事の一部増量の場合には、増量に着手する以前に新たなる契約書を作成し契約内容を協定するということはしたのかしないのか、その点いかがです。
  128. 藤井崇治

    藤井参考人 これはもうすでに工事はどんどん進んでおりますので、増加工事のものに対しまして事前に契約をするということはないのでありまして、基本契約のうちに、そういう場合には追加の工事に対しては請負人は追加工事をやらなければならぬ、それに対しては見積りを新しく出す、こういうふうに契約書がなっておったように思います。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺うのは、増加工事が必要であるという状況に立ち至った場合、着手する以前に契約書を作成して、代金内容、増加工事設計内容を具体的に契約をするのかしないのか、そういうことです。
  130. 藤井崇治

    藤井参考人 それはできない関係上、そうはいたしていないと思います。
  131. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば、工事が進捗してその後に請負契約内容をきめる、こういうことになるのですか。
  132. 藤井崇治

    藤井参考人 それは先ほども申しましたように、原始契約の中に設計変更のあるべき場合を想定して、設計変更があったものに対して、工事請負人はしなければならない、それに対して追加の見積りを出させる、こういうことに原始契約がなっておったと思いますから、そのように取り計らってきておると思います。
  133. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは、原始契約がある。工事の増量の必要がある。必要があるということは、やはりいずれかが必要を認定するわけです。もちろん施主である電源開発が必要を認定して初めて生ずるのだろうと思う。そういう場合に、時間的余裕の有無は一応別にいたしまして、増量工事に着手する以前に契約書を作るのか作らないのか。それともあとで作ることにしたのか、その点をお聞きしたい。
  134. 藤井崇治

    藤井参考人 先ほども申しましたように、原始契約に従って、設計変更の部分に対しましてはあとから見積りをとることになっておる、かように存じております。
  135. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あとから見積りをするというのは、あらかじめ大体いっするということにあなたらは了解しておったのですか。原始契約の趣旨の解釈です。
  136. 藤井崇治

    藤井参考人 御質問の趣旨がよくわかりませんが、もう一度……。
  137. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 工事増量の場合には、原始契約書に基いて、工事人があと設計書見積りを出すとおっしゃるのだが、あとというのは大体いつということにあなたは契約の趣旨を御了解になっておったのか、こう聞いておるのです。
  138. 藤井崇治

    藤井参考人 これは工事人に設計変更を命じてから後の問題だと思います。
  139. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 工事人に設計変更を命じてから後のことだ、それはよくわかる。大体いつごろまでに作るということをきめてなければ、三年も五年も先でよいのか、あるいは着手と同時に新しい設計書を作成するというのか、工事完了までに新たなる契約を作るというのか、私の伺っておるのは増量に関してですよ。その点をはっきりしておくべきだと思う。契約書はその点が明らかにならずには当事者がお互いに義務を履行することはできないと思うが、いかがです。
  140. 藤井崇治

    藤井参考人 これは大体増量の見当がついたらすぐ見積りを出せ、こういうふうに請負人に命令を出しまして出さしておるのでありますから、三年や五年先に出せということは考えていないのであります。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで重大な増量は最終にはいつ見通しがついたのですか。
  142. 藤井崇治

    藤井参考人 最終の見積りということは、これは永田理事からお聞きだと思いますが、すでに、昨年の多分秋ごろだと思いますが、そのころに見積りを提出するように組の方へは現地所長から命令していたものと存じます。正確な日付は記憶がございません。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺っておるのはそうじゃないのです。あなたの方で工事増量の必要が生じて見積りを命ずるというふうにおっしゃっておるのだから、増量の必要が生じて新たな見積りを命じたのは最終的にはいつでありましたかというのです。今御答弁になっておるのは、最後に見積り変更とか何とかいろいろの文書といいますか、あなたの方で提出した文書が一回、二回、三回にわたってありますが、それを言うておるのではないのです。私の聞かんとするのは、あなたの方で増量の必要が生じたときに見積りを命ずるとおっしゃっておるのだから、最終増量の必要が生じて見積りを命じたのはいつなのか、こういうことです。
  144. 藤井崇治

    藤井参考人 これは私はいつであったか記憶がございませんが、会社の方から書類を取り寄せて一つお調べを願えば的確なことがわかると思います。私はあやふやないいかげんなお答えをすることは差し控えます。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だけれども、やはり世上いろいろと問題が論議せられいたしましたので、昨年の三月にはすでにこの原始契約四十八億円に対し九十二億円余りの新たなる見積りが提出されておるということが伝えられておるのでありますから、少くともその以前だろうと思う。だから小さい変更のときを私は聞くのではないのでありまして、これはお伺いせんとする一つの前提になるのでありますが、大きな増量の必要が生じて見積りを命じたのはいつかというくらいのことは、あなたが重大関心を持っておられる最大の工事であるので、最高の責任者であるあなたはおわかりにならなければならぬと思う。小さいのはいいですが、大きなのはどこかということは、われわれも現地へ行って見せてもらったのだから大体見当がつくのでありますが、いつごろ最終の大きな工事の増量見積りを命ずるようにあなたの方ではなさったのですか。そのくらいのことは大体おわかりでしょう。この時期は何も法律上の責任をあなたに生ずる問題でも何でもないのですから、いろいろお尋ねして、そのことを固めていく必要上伺っておるのです。
  146. 藤井崇治

    藤井参考人 これははなはだ恐縮ですが、私は的確にいつだという記憶はございませんが、少くとも去年の夏ごろ――御承知でございましょうが、現地所長からこういうことは要求するのでありまして、その問題は去年の夏ごろ、佐久間に私が参りましたときに、所長から報告を受けたように記憶しておりますので、その以前に、所長の方から組の方に追加工事見積りを提出するように命じておったものと存じます。
  147. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはなかなか硬骨漢だと世上いわれておりまするので、非常に意思の強い方のようにわれわれも御判断申しておるのでございます。ところでこの佐久間ダム工事費の問題につきましては、われわれは白紙の立場におきまして事の当否と、そして合理的に、合法的に妥当な仕事、経理が行われておるかどうかを調べているにすぎないのであります。そこであなたに伺うのですが、あげ足をとるのじゃないけれども、前回の当委員会速記録を読みますと、あなたは参議院の商工委員会においては、工事値増し問題は知らないとおっしゃっておるが、今、永田所長の御説明によっても、やはり理事会において概要の御報告はしておる。理事会にあなたもおられたのだから、その点についてはよく御承知だと思うのでありますが、この値増し要求――表現の仕方が悪ければ増量に伴う設計変更、従って請負代金内容等に至るまでの新たなる契約、または契約の更改というか、そういう趣旨の協議が間組との間に相当あったはずでありますが、これを初めて知ったのはいつなんです。世上伝えられるところでは、あなたが初めて知ったときはあなたも激怒して、間組はけしからぬというような態度で峻拒せられたと伝わっておる。その真偽は知りませんよ。ほんとうにあなたの知られたのはいつです。
  148. 藤井崇治

    藤井参考人 先ほども申し上げましたように、昨年の夏ごろだったと記憶いたしまするが、私が現地に参りましたときに、永田理事から、どうも間組が追加見積を出してくるのに、契約書を十分了解していないのか、とにかく雲をつかんだようなものを出して困るのだ、こういうような話を聞いたのでありまして、それでは困るから、そういうことは間違いのないように、しっかり既定の方針でやってくれたまえ、こういう話をしたことがあるのでありまして、その後理事会で、こういう問題が永田君から報告が正式の理事会のときにあったという記憶は私は呼び起せないのでありまするが、少くとも金額がどうだとかこうだとかいうようなことは、理事会では一ぺんも問題になったことはございません。
  149. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体常識から考えて、工事請負というものは、工事金額工事内容金額が最も重要な要素であります。法律考えても、経済上考えても、事業から考えても、当然なことなんです。あなたの方も国の金を使って、失礼だが、電源開発も国の金を使っている。国の金を預かっている。従って金額が報告をせられずに、そのほかの事実が報告される、そんなばかげたことは常識上想像されません。いやしくもあなたが重大な関心を持っている最も重要な工事として、ましてあなたは契約の当初は着任せず、その後御着任になって、よく御承知のはずなんです。逐次報告を受けているはずなんです。この重大な問題を、金額を知らない。金額を知らずして何を知るのです。金額に表示されているのは工事なんであります。申すまでもありません。人間の名前とか工事の進捗状況技術者が知ればいいのです。金額の全体をつかんでいく、これがあなたのお立場でなくちゃならぬ。まして国の金を使っているといえば、金額を知らなんだなんと、そんなばかなことはない。永田所長理事です。国会において言っているのです。理事会において報告せられたのであなたもよく御承知だと思うと言っているのです。それを記憶を呼び起せないというのは、うそでなければけっこうなんです。ほんとうにこんな重大な問題を忘れておられるのなら、私はもう聞かぬ。そこで今はもうおやめになっておるのだから、別にあなたを追及しようとも何とも思っていやしませんよ。ただこの問題はいろいろな疑惑がありまして、いろいろないきさつがありますので、事の正しい判断によりまして、事の経過を明らかにしたいというのがわれわれの念願なんです。それで御参考にあなたの関与しなさった事実をできるだけ伺いたい、こういう趣旨にほかなりません。金のことを聞かなかったというようなことでは、一体何を聞いたかということになるので、そんなばかげたことはないとわれわれは考えられるのであります。要するにあなたは新しい見積り工事増量に伴う新しい見積り書類を出すようにということを、あなたの会社間組に命じた、熊谷組にも命じた。この際、両者の問題を一括して間組だけを聞くのです。そこで金額のことはあまり聞かなんだような御答弁はどうもふに落ちぬ。金額を聞くべきであります。金額内容を聞くべきです。性質を聞くべきです。経過を聞くということ、そのほかのことは技術者にまかしておいてもいいのです。金額というのは一番大事なかなめなんです。金額をあなたは知らないなんというようなことではとんでもないことです。そんなことだから、参議院の商工委員会でも、知らないというようなことをおっしゃったのじゃないかと私は思う。現に今永田所長が、あなたにも新しい見積書を渡したと言っている。渡したけれども私は見なかった、そうかもしれぬ。しかしそれは子供の使の話ですよ。かりにも理事が重要な書類をあなたに渡して、あなたはその内容を知らなんだということを国会で答弁なさるということになると、あなたの良心を疑わざるを得ないということになるのです。これは少し前置きになりますけれども、金額を知らなんだというのはほんとうじゃないと思う。だからほんとうにこの間組との間のいざこざを御承知になったのはもっとずっと前でしょう。少くとも三月の第一回に出たのは、数字内容も御承知だと思う。その点はどうです。
  150. 藤井崇治

    藤井参考人 話が私の考えるところとだいぶ違っておると思いますが、第一私どもは佐久間の設計変更に伴って幾らくらい金がいるかということは、予算の建前上、どうしてもそれは知らなければならない。そこで、これは当事者に知らせることはよくないから、組には知らせませんけれども、当初の佐久間の工事費ではやっていけないというので、工事費の更正の予算については、会社の中で何べんも討議もし、私ももちろん参画し、理事会でも出ております。これはもう間違いございませんが、それと、組に対して、請負金額の更生をするのにそれが幾らであるかということを、折衡の段階において知るということは、私は関係のないことだと思います。私どもは大体の、私どもがこれくらいなら予算上おさまるという範囲内で、公正妥当に当事者であるところの現地所長が折衝しておさめてくれば、私どもはそれで満足するのでありまして、その折衝の段階において組が勝手によけいもらいたいというのは、もうせい一ぱいでありましょうから、大きな金額をふっかけるかもしれませんが、それをわれわれは取り上げようというのではなしに、そういうことは当事者同士のかけ引きでありますから、私どもが関係しない方がかえって交渉も容易に、スムーズにいくし、同時に経済的にもいい。先ほどもおっしゃるように政府の大切な金を扱っておるということは、不尚ながら私は十分自覚しておるのでありまして、少しでも工事費を安くさせようというためには、私どもがあまり現地の人にいろいろのことをいう必要はないので、現地所長永田君と組との間で折衝して、最後の段階のところをこっちに申請してきたときに最後にわれわれが検討する、こういうつもりでありまして、途中の段階においてその数字を知る必要はないと存じます。  また先ほどの吉田先生のお尋ねの中にございましたが、永田君からの報告官が出ておるということでございますが、出したのは、この前にも申し上げましたように、参議院の商工委員会に私が出る直前で、参議院の商工委員会は御承知のように電源開発促進法の改正の問題について審議される委員会でありますが、それに出ます直前に私のところへその報告書を持ってきたのであって、佐久間の報告書であったことは間違いございませんけれども、電源開発促進法とは何ら関係のない書類でありまして、そういう忙しいときに見る余裕もありませんから見ていない。繰り返して申しますが、参議院の商工委員会を開く直前に私のところへ持ってきたのでありますから、私は見なかった、こういうことでございます。
  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ここは決算委員会でありまして、数字を聞く所なんです。なるべく数字を重視しておりますので、あなたは予算々々とおっしゃったのだが、予算というものは細かい数字を積み上げて最終の結論を出すのです。ですから予算は付べんも協議したというなら、間組からどんな書類がきておる、その内容はどんなものかということはピンとこなくちゃならぬ。それをあなたが数字を聞いていないということはどうも受け取れません、こういうのです。しかもそれは去年の第三回目の見積書を出したときに現地で聞いたというようにおっしゃっているのだが、あなたがつんぼさじきにおる人なら別です。堂々として総裁を凌駕するような労力を持っておられたと聞くのですから、そのような堂々たるあなたがやはり重大な数字変更の申し入れについてはこれを知るということは当然である、こう思うのであります。しかし、それを知らなんだとおっしゃるんだから、事実を知らなんだということにも通じますので、奇々怪々と申し上げなければならぬのであります。というのは、これを知らないということになると、あなたはつんぼさじきにおったか、関与しなかったかということになるんだが、最も重要な人としてあなたはやはり政界人とも会っておるということが、世上伝わっておる。しかしそこは死んだ人のことですから私は聞きやしませんけれども、あなたとしては最も重要な役割をしておられたはずだから、事の当否だけはぜひ、あなたがどう考えられておったかということは聞いておかぬと、われわれ納得できないのです。そこであなたには間組のこの要求があって、あなたは激怒してこれはいかぬといって突っ返したというふうにも伝えられておるのです。それともこれはのむべしというようなお考えでもあったのか、現場はけしからぬというお考えでもあったのか。その辺について、三回数字が改まって参りまして、値増し要求であるのか、契約の更改であるのか、工事増量に基く新規契約であるのか、それは会社側はどうとでもされましょう。しかしいずれにしても当委員会にも現われ、何回も論議されておる。三回にわたって間組から新見積書が提出されておる。その内容はあなたは十分に検討しただろうと思うのです。そこで第一回目は、永田所長からもでたらめな数字だという発言がある。いいですね、あなたの信頼しておる重要な部下ですよ。そこで当人もやはりこういうように思い、引っ込めて第二回、第三回になる。第三回は数日のうちに最終決定を見ようという今の情報的な御答弁があったわけであります。そういうふうに数字が変ってきておる。しかも何十億という莫大な金です。ようございますね。たとい一千万円の金でも、みんな大切な金でありまするので、私どもはこういう点をあなたにつらく申し上げるのです。大切な金ですから、そこで何十億円も変ってくるというようなことは、常識で考えても、最高の責任者になったら、ほんとうに拡大鏡で見て調べるくらいに検討しなければならぬ。なぜこんなむちゃなことをするのか、動機はどこにあるのだ、理由はどこにあるのだ、また果してこっちの判断が間違っておったのか知らなければならぬのが、それを数字も知らなかったとおっしゃるのだから、私はまことに奇怪なあなたの存在だと言うのです。そうでなしに、数字は十分御承知であって、第一回、第二回、第三回ともまことに不当な数字だというようなお考えでもあったのかどうか、それとも妥当だとお思いになったのかどうか、それとも知らない、知らなかったとおっしゃるのかどうか、そこらを聞きたいのですが、どうです。
  152. 藤井崇治

    藤井参考人 先ほど来申し上げまするように、私どもは現地永田所長と組との折衝にまかしてあるのであって、そういうふうなことは、私どもは本社におりまして知る必要もないし、知ったところでじゃまになるのであります。組としてはそういうふうな大きな価格をあるいは初めは要求した、それは業者ですから、よけいもらいたいから出したのでありましょうが、それをそのまま永田所長がうのみにしようというのならそれはわれわれは承知いたしませんけれども、永田所長そのものがそれはのむわけにはいかないからといって、これを返しました。なお次の第二回、第三回ということは、昨今になって私どもは初めて正確にわかったのでありまして、そういう折衝の段階は、何回出そうが、永田所長の、満足のいくものを出してこない限りは突き返すという態度に対しましては、私は全面的に所長を支持したのであって、それで私は事足りるのではないかと思っております。なお先ほど私が間組からきた書類を激怒して返した、こういうお話でありますが、これはどこで創作されたことか知りませんが、私自身は間組から要求書を出してきたのを見たことがございません。従いまして私自身が間組の者を呼びつけて、激怒してこれを返したというようなことはあり得ないのでありまして、その点は何かの誤解ではないかと思いまするので、この機会に釈明させていただきます。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 永田所長金額の折衝をまかしたとおっしゃるが、それは理事会の決定ですか、どこの何の決定に基いてまかしたのですか。
  154. 藤井崇治

    藤井参考人 理事会の決定ではございません。私が私の副総裁としての職権上永田君にそういう激励を与えたのであります。
  155. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは何に基いて永田所長にこの重大なことを決定する権限をお与えになったのですか。法律もしくは定款あるいは株主総会等その根拠を一つ御明示願いたい。
  156. 藤井崇治

    藤井参考人 決定を永田所長にまかしてはおりません。善処するように折衝をやってもらうように永田所長を督励したにすぎません。
  157. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 永田所長は千万円以下のことについては自分に専権があり、下交渉の話のようなものは、それは現場においてもするけれども、何回にもわたって逐次理事会に報告し、本社へ報告し等々していくものなのです。最終の数字現場所長として報告したにすぎない。それをどういうふうにするかいなやは本社がきめるところである。本社というのは総裁、副総裁のことであろうと思う。そういうことでありますから、出先の者が下交渉の下交渉でもしろというような話なら別であります。それなら何も別にあなたがあなたの職権上まかしたと言わなくても、現場は適当に現場の話をしておればそれでいいのだから、ことさらにきわだって言うべきことでも何でもないわけです。でありますので、永田所長にあなたがまかしたと言うけれども、それは現場の当然のことをしておるにすぎない。あなたとしてはそういう内容については十分に御承知あって、現場現場で話をしておる。――それは現場現場で話をするでしょう。しかし本社本社で、総裁総裁立場で、副総裁は副総裁立場で、事の成り行きは知っておる、こういうふうに区別してお考えにならなければ整理されぬのです。私は向うにまかしてあるのだから何も知らないのですと言う。何も知らない、予算は十分検討してというけれども、折衝は現場にまかしてあるのだから知らないというのでは、どうもちぐはぐですよ。総裁、副総裁答弁として、こんなことを株主総会で答弁したら大へんですね。民間会社だったら大へんですよ、そんな筋の通らないことをおっしゃったら。やはり責任者総裁及びあなたでなければいけない。だからまかしておっても、私は知っておる、そう言うのが普通ですよ。けれども自分は知らないのだ、知らないで、現場の者がやっておるのだと言う。だから二回、三回の数字変更内容についてあなたは十分承知しておったのでしょう。これはほんとうでしょう、どうですか。
  158. 藤井崇治

    藤井参考人 先ほど来しばしば申しますように、最後の決定をするときには、本社書類が出されて、それによって内容が妥当であるか、支払うべきものであるかということを諮りまして、そこに至るまでの交渉、折衝、それを永田所長にまかしておいた、こういうのでありまして、別に御指摘のような点について私どもは不都合はないと思います。  それから普通の会社ならどうだ、電源ならそうでもないというようなお話がございましたが、これは同じことでありまして、電源会社だって株式会社だから、やはり株式会社法の拘束も受ける、おまけに政府の監督を受けておるのでございますから、それは慎重には慎重を期してやるのでありますが、誤解のないように願いたいことは、最後の契約をする、最後の増加見積りに対する支払いをするという段階になりますれば、もちろんこれは本社がやらなければならない。永田君に、現地の人にはまかしておけないのであります。途中組との間の交渉について永田君にまかしておく。それで先般来この委員会等で問題になっておる数字というものは、永田所長と組との間の交渉の段階の途中のものにすぎないのでありまして、私自身から申しますれば、それは大きなポイントではないと思います。
  159. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あと一点で終ります。あなたはそんなことをおっしゃるが、それは子供だましの答弁ですよ。予算でさえ何回も協議し、練るというのは当然なことなんです。千万円の予算といえども、どんな大会社でもほんとうにむだがないということの検討をするのは当然であります。ましてや現実契約の相手方に対して、何十億の金を余分に払うかどうかという問題について、現地にまかしてありますというようなことで、最終的には本社できめますということで、途中で知る必要がないというようなことで、一体会社総裁とか副総裁が勤まりますか。そんなことで――かりにも五割以上政府が株を持たねばならぬ会社なんです。国家の監督を受けなければならぬ会社なんです。国民の税金を使っている会社なんです。それが何十億円の値増しの問題が起って、その当否、適否というものを重役が知らずにおるというようなばかげたことがございますか。現地の者に交渉をまかしてあります。――交渉をまかしてあるということは、三回にわたって何十億円という違いが出てきている。数字の異動ですよ。その異動を、私は知りません、聞いておりませんというようなことでは、私はそれはいけないと思うのです。だからそうではなしに、そこを知っておると言えば、御都合が悪いのでそうおっしゃるのではないかと私は思うと情なくなる。そうでなしに、知っておるのだ、知っておるのなら、なぜこういうふうに数字が変ってくるのだろうということは疑惑を持って見なければならぬ。それでこちらが間違っておるのか、向うが間違っているのか、そうしてそこで適正な結論を得るということに尽力する。それが会社を管理する責任者立場ですよ。それをまかしてある、まかしてあって、しかも何億円も数字が異動しておる、それを所長がどんな権限があるかといえば、千万円以下しか専権がないのです。それを別に理事会が決定したわけでもなし、副総裁の当然の権利で、そういうふうに命じておりますという、それはばかばかしい、白々しい答弁といわなければならない。それはいけませんよ。もっと誠意を持って答弁しなさい。何億という異動を生ずるような数字の動きに対しましては、慎重にこれを検討しつつ会社管理をしていかなければならぬのです。それならばどちらが間違っておるかということぐらいあなたは十分知っておらなければならぬ。知らぬ存ぜぬで押し切るべき数字ではありません。だから今も言うように、あなたはやめておる人であるから、今何も責めようというのではありませんが、正しい答えをして下さいよ。ほんとうのことを言って下さいよ。だから小理屈を並べて知らぬ存ぜぬということを言わないで、参議院で答弁したけれども、あれは何の意味かよくわからぬというような、そんなばかばかしいことをおっしゃっておるのですよ。もっと高い常識でおっしゃって下さい。だからこういう意味におきまして数字は知っておったけれども、あなたの判断としては、これはこちらが誤まっておった、いやそうではなしに先方が誤まっておった。しかもあなたの在任中に一年数カ月も決裁をせずにうっちゃっておいたでしょう。こういう問題は、工事はとつくの昔に済んでおる。排水路の問題にしても当初設計以外の問題でしょう。増量では私も見てきました。そうであればその他多くの増量工事があります。増量工事はとつくの昔に済んでおる。その支払うべき金額内容が決定せずに何カ年も何十ヵ月も経過しておるということは、会社管理者として怠慢だといわなくちゃならぬとも思うのでありますよ。しかしそれは相手が悪いのだ、でたらめな数字を持ってくるから、数字の協議決定に至らないのだ。それならそれでわかる。相手も悪くなければこっちも悪くないし、私も知りませんでした、一年数ヵ月経過しました。後任総裁がごたごたしまして、副総裁もごたごたしまして、そうして世上問題になってごたごたいたしまして、政治的、経済的、社会的にいろいろと問題を起した案件であるということになってくると、私は会社管理者といたしまして、まことに怠慢でなかったかと思うのです。これだけ言っておきます。どういうようにお考えになりますか。
  160. 藤井崇治

    藤井参考人 私は参議院で御答弁したことも、今日御答弁したことも、みんな誠意を持ってありのままのことを言っておるのであります。そうして私どもは不当な金を支払おうと考えたこともなければ、そうしたこともないのであります。先ほど来申し上げますように、現地所長が一番現状をよく知っておるのでありまして、それと追加工事の問題につきまして、組との間にいろいろな折衝をする。折衝のしいいように私どもはこれを督励する、そうして最後にその数字が出てきたときに最も合理的な、最も国のために、会社のために利益になるようにこれを決定しよう、こう考えて進んできておったにすぎないのであります。もちろんその間に非常に時日がかかったということに対しては、これはまことに遺憾でございますけれども、しかしそこに慎重に慎重を期するために、そういうふうに時日が遷延したのであります。ついに私ども在任中には、その組に幾ら金を払うのかという問題について決定する段階になっていなかったのであります。現地からもこういう程度のものは払わなければならないという上申も来ないままに私どもは退任したのでございまして、その点の事情は十分御了承を願って、おくれましたことにつきましては、これは何といっても遺憾でございますが、慎重を期するためにおくれたのでございますから、その点を御了承願いたいと存じます。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ああおっしゃったからもう一つ聞いておかなければならぬのです。あなたは、そうすると大へんおくれたことは遺憾に思っておられるのだが、そのおくれた原因は一体どっちが与えたのでしょうか。天災によって生じたのか。慎重々々と言うけれども、やはり生き物で、相手も金を使って、契約をしておる。あなたの方も支払いもしなければならぬ。契約なんだ。契約の履行の問題だ。その履行の問題がおくれて遺憾でありますというが、これは天災にでもよるのか、どっちかの責任によるのか、何によるのですか、どうお考えになっているのです。あなたは詳細な報告を受けるまでに退任してしまったとおっしゃったけれども、しかし今年五月三十一日付で永田所長から総裁あてに詳細な報告が出ております。しかしこれも総裁に出したのだ、私の名前が出ていないから知らなんだとは言えますまい。まさかあなたがつんぼさじきにおったとは、そんなことは世間だれも認めない。でありますから、一体それならその原因はどこにあるのですか。あなたも遺憾と言っておられるのでありますが、それはどうなんですか。
  162. 藤井崇治

    藤井参考人 これは折衝に手間がとれたためにおくれたのだ、かように考えております。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 折衝に手間がとれたということは、相手が不当な要求をしたので手間がとれたというのか、それともこっちとしましては大体設計の増量の必要があったということであれば、そのときにすでに数字がぴしぴし出なければならぬ。材料が幾ら、人間が幾ら、直接、間接費が幾ら、その他の経費幾らということは直ちに出なければならぬ。しろうとではありません。技術者、専門家がみんな寄っておられる。天下のその道の有能な人のみが寄っ  ておられる。ですから数字的な検討にしてもあるいは工事そのものにしても、そんなものはたちどころに数字は出るはずです。一年数カ月ものんべんだらりとして、それは遺憾でございます、報告を受けるまでに私は退任しましたというのでは、どうも答弁にならぬ。折衝に手間どりました、慎重を期しましたということじゃ、答弁にならぬのです。慎重を期しましたというのは相手が悪かったのか、こっちがだめだったのか、どういうことであるか。それともどこかの圧力がかかってなかなかきめかねたというのがほんとうなのか、圧力という問題にも怪文書とかそうでない文書とか、ぎょうさん出ております。でありますので、そういうことはほんとうにうそなんで、やはりどこかに欠陥があったのか、手落ちがあったのか、間違いがあったのか、不当があったのか。それともそうでなくして、それを知っている人がみんなその衝に当られなかったというようなことでもあるのか、その辺についてもっと筋の通った判断をして下さい。あなたはどんな御経歴か知らぬけれども、かりにも電源開発会社の副総裁ともあろう人が、かなり合理的にものをお考えになっていると思うのです。かなり数字的にものを検討なさると思う。だから技術的にも経済的にも十分に合理的な判断の能力を持っておられる方のみの寄り集まりだから、その点についてはもっとはっきりしてもらいたい。なぜそれなら遺憾であったのか。折衝に手間どつたとか、慎重を期したということだけでは、これは答弁になりません。そんなことを言ったら株主総会などではほんとうにお払い箱です。この委員会はそんな権限も何もないけれども、まことに噴飯ものです。だからもっとそこは筋を通して答弁してもらわなければならぬ。私はあなたを追及しようとしないということを了解して、言うこと何なりと言うて下さい。そして圧力でも何でもよろしゅうございますから、ここであっさり全部ぶちまけておいてもらいたい。そうしないと国家の数百億円の金を使っている電源開発事業が、利権の対象になったら大へんなことだ。それを心配するのです。だからこういうわれわれの立場の誠意に対しても、あなたはこたえる義務があろうと思う。よろしゅうございますね。どうぞそういう意味で御答弁願いたい。
  164. 藤井崇治

    藤井参考人 私は今まで申し上げたことは、一つも偽わりを申し上げていないと思います。なおどこからか強要とか圧迫があったようなお話でございますが、これは断じてございませんからこの点御安心願いたい。これは圧迫があったというようなことを申し上げればお喜びになる方もあるかもしれませんが、ないものはないので、そう申し上げる以外手はないのであります。
  165. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 議事進行。私は理事会の決定を知らなかったのですが、今日小坂前総裁が御欠席になっているのは、何か御病気で診断書が出ているということは事実でございますか。
  166. 關谷勝利

    ○關谷委員長代理 その通りです。
  167. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 そこで私は、この前のこの電源開発調査を進めるに当りまして、藤井前副総裁、それから現電源開発総裁、副総裁等に参考人としておいでいただきましたときに、本委員会の質問の劈頭に田中彰治君が立ちまして、そうして藤井参考人との間に御母衣の電源開発に関するエバスコの問題と小坂前総裁の問題等にからみまして、長時間田中君が質問をなさいましたことは、速記録の示す通りであります。その一つの事実を取り上げてみましても、まだ幾つも見方がありますが、この委員会といたしましては、問題になっております前小坂総裁の御出席を求めて調査をしない限りは、国民はこれを不思議に思うでしょう。少くとも調査が十分であるなどとは言えないのであって、特に発言者であります田中君なんかも私と同感ではないかと思うのでありますが、ちょっと私遅刻いたして参りまして、聞くところによりますと、この電源開発に関する調査はこれで一応打ち切るような話が、特に自民党の委員の間に強いということは、私どうも了解できにくいのでありまして、あれだけ田中君が必死になって御母衣の電源開発問題で、エバスコとかいう名前を出して、小坂前総裁のことを細部にわたり藤井前副総裁との間に質疑応答がございましたが、当面の相手であります小坂前総裁が病気のために欠席されているこの委員会だけでこれを終るということは、世論の疑惑がこの委員会における委員の言論に対して深まるおそれがあると私は考えますので、いつという期日については特に私は具体的な注文はいたしませんが、少くとも電源開発に関する調査をこのままで打ち切るということは、私は反対であります。従ってぜひ御母衣問題、エバスコ問題に関して、詳細に藤井前副総裁にお聞きになりましたところの問題等がございますから、これは本委員会調査に対して国民に疑惑を抱かせないという立場から、ぜひ小坂前総裁が健康を回復されて御出席可能になった時期におきまして、この問題をさらにわれわれは調査しなければならないと私は考えております。今の委員長は代理の委員長でありますから、あなたが責任をもって委員長としての発言をなさることはどうかと思いますけれども、裏で取引が行われたと思わせるような幕切れをこの委員会でなさらないように、国民の疑惑を解くために、田中委員が熱心に調査されましたところの御母衣とエバスコの問題に関して小坂前総裁を、参考人であれ証人であれ、呼ばなければならないと考えておりますから、これを議事進行によってここに速記録にとどめておくのであります。今それらのことに関してこの委員会であなたから御答弁を聞く範囲でないと思いますから、理事会その他においてもっと論議したいと思いますが、一応これだけ申し上げておきたいと思います。
  168. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 私の方からこの問題を打ち切るというようなことは、わが党の中にはないのであります。しかも私は、きょうはエバスコ問題だけでなく、御母衣に約一億二千万ばかりの、まだ水利権も許可にならないのに、多大の金が行方不明になっている、その証拠を持ってきた。きょうこそはここで一つ藤井前副総裁と小坂前総裁の対決のおもしろい幕が見られるし、われわれもこれを徹底的に追及しようとやってきたところが、おいでにならない。そこで委員長にどうするかといったら、まだ高速度とか農林省とかいろいろの問題があるから、この問題はこれで打ち切ろうじゃないかと言われた。われわれはそれに対してまだ返答も何もしていない。私はむしろ、社会党の方が今言われることは非常に宣伝のようだが、社会党の方の言われる通りだ。小坂前総裁一つ出して、ほんとうにこれが政治的陰謀であるかないか、私はやってもらいたい。社会党は宣伝しているように思うが、何も遠慮はいらぬ。小坂前総裁を呼んでもらってけっこうでありますから、どうぞ一つやって下さい。
  169. 關谷勝利

    ○關谷委員長代理 本問題は理事会の決定事項でありますので、理事会において決定することにいたします。
  170. 坂本泰良

    ○坂本委員 藤井総裁にお尋ねしたいのは、私たち非常に疑問に思うのは、永田所長に折衝をまかされたことは、それはいいと思うのです。それはそうしなければ実際上できないと思うのですが、少くとも約五十億値増し要求なんです。佐久間ダムの全工費一は三百億以上になるでしょう。最初の予算は三百億である。その三百億に対して五十億も値増しをするということは、これは膨大な金額でありますから、このような要求間組からあったことを理事会永田所長が報告し、副総裁もそこで聞いておられた以上は、この五十億もの膨大な値増しに対しては、これは非常に不当であるから、もっと厳格に永田所長に折衝すべきである、こう言われたことはそうだろうと思うのですが、そこでお聞きしたいのは、藤井総裁は、この佐久間ダムの三百億の予算に対して、五十億もの値増し要求しておるということは、いつお聞きになり、承知しておられたかということをさらにお伺いしておきたいと思います。
  171. 藤井崇治

    藤井参考人 今のお話は、予算の増額の問題と請負の更正の問題とが多少こんがらがっておるんじゃないかというふうに私は拝聴したのでありますが、予算の更正の問題につきましては、これは私ども就任いたしましてから、幾たびか理事会で検討し、そしてとうてい当初の予算の――私も今正確な数字を忘れておりますが、二百何十億、三百億足らずの金でございますが、それではやっていけない、約百億くらいもふやさなければならないというので、予算更正の問題につきましては、これは真剣にわれわれやったのであります。そして、あとまたもう一つの問題の、しからばその予算の更正の問題とは切り離して、設計変更のために工費がふえる、そのふえたものに対しまして、組から請負金額の更改の申請をさせる、この問題で金額幾らふえるかという、その金額の問題につきましては、それは初め相当の金額を出してきたものということは察知できます。永田君から、どうも間組はべらぼうな、当初の契約書を無視したようなものを出してきて、これじゃ話にならないからつき返すことにしました。それはけっこうだから、ぜひその方針でやってくれたまえ、こういうふうなものは厳格にやらなければならぬから、やってくれたまえと言うたことは事実でございますけれども、その間組が原始契約金額に対して更正の見積り幾らふやしてきたかということは、先ほど来申しますように、これは正式の申請があって、しかる後にわれわれは取り上げていい問題だと考えておりましたために、数字は私どもは承知していなかったのであります。一番最初に知ったのは何かというと、新聞記事で知ったのであります。これは参議院で問題になりましたどのくらい前でしたか、一週間か十日くらい前、朝日新聞に出ましたから、これで私は最初に知ったのであります。これはもう私はっきりと記憶がある。われわれが知らない数字が新聞に出るというようなことになってくると、これは世間に疑惑を起す。まだ折衝の段階にすぎないものをそういうふうにやると、正しいことが世間に伝わるならよろしゅうございますけれども、誤解を招くんじゃないかというので、実は内部でどうしてそういうふうなものが出たのだろうかということを議論したことがあるのです。私は初めて金額が目についたのはそのときでございます。  それから先ほど来お話がございましたが、永田君のいわゆる中間報告なるものは、これはさっきも詳細なる報告だとおっしゃいましたが、きわめて簡単な報告でございます。この報告書は会社にございますから、写しをおとり願えればわかりますし、これは会社の記者クラブに配られたようでありますから、あるいは新聞社にもあるかもしれませんが、とにかく簡単な報告でありますが、それを私の手元に出しましたのは、参議院の商工委員会が、たしかあれは三十日ではなかったかと思いますが、五月三十日の朝永田君が出した。永田君の正式の文書として報告があったのは、その翌日の五月三十一日付で報告書は来ておるのでありましてその点はすべて書類についてお調べ願えば、私の言ったことは一つも間違いございませんから、一つよく書類について的確なものをお調べ願いたいと存じます。
  172. 坂本泰良

    ○坂本委員 私は正式のことを今お聞きしているわけじゃないのです。今お聞きしているのは、副総裁がやはり理事会にも出席され、その理事会において永田所長は、約九十三億、二回目が八十六億、こういう膨大な値増し要求をしているということは理事会に報告していると言っておる。そこでこの膨大金額を――わずかな金額なら別ですが、五十億も値増しをするというような金額理事会に報告された以上は、それを藤井総裁が御存じないということが非常に不思議なんです。少くとも五十億も値増し要求しておる、これはけしからぬから、もっと現地で折衝してそうしてやれというのならわかるけれども、金額も何も知らないという点について、いやしくも副総裁でいらっしゃいますから、やはり金額ぐらいは知っておらなければならない。その点が不思議でならないから、私はその金額をやはり理事会に一理事である永田所長が報告しているから、それを知らないということはないだろうと思うのです。いつそれをお知りになったか、あくまでも正式文書が出た五月三十一日にしか知らぬ、そういうふうに固持されますか。私はその前にこれはお知りになっているはずだと思うのですが、いかがでございますか。もしも知らないということになれば、この五十億という値増しを知らないというような副総裁なら、これは国民に対してその地位をもって大いに恥じなければならぬと思う。そういう点もよくお考えになって、実際理事会で五十億の値増しがあっておるが、こういう膨大な値増しはけしからぬ、知られたときはいつかということを重ねてお聞きしたい。
  173. 藤井崇治

    藤井参考人 少くとも私が出席しておった理事会で、永田君がどういう答弁をしているか知りませんが、そういう数字を私は聞いたことはございません。正式な理事会、いわゆる理事会が済んだあと皆判をとりますが、そういう理事会にはそういう議題が上ったことは、私の記憶では、ないと思います。従いまして、永田君から理事会でそういう報告があったということを聞きますが、私がいないときに開かれた理事会なら知りませんが、少くとも私のいる理事会ではそういうことを聞いたことはございません。  それから事実を知ったのがいつかといえば、それより前に、先ほど申しましたように新聞記事を見て初めてその数字を知った、こう申し上げておいたのでありますが、その通りでございますから、さように御了承願いたい。  なおそういう数字を知っておったから不都合だ、不都合でないというような話がございますが、これは見解の相違でございますが、そういう数字を知ってみたところでしょうがないのだ、私はそう考えておりまして、別に私は遺憾に思いません。いよいよ払うときに私どもがそういう不都合な数字を払おうとし、また払ったということなら、これは幾らお叱りをこうむってもその責任は免れませんけれども、私どもはそんな不都合な数字を払おうと考えたこともなければ、払おうとしたこともないのでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  174. 坂本泰良

    ○坂本委員 かように三百億の佐久問ダムの予算に五十億も値増しをする、それも額を知らなかった。これでは副総裁国民のためにいかなる副総裁としての仕事をされたか、これは国民が批判するでありましょう。おそらく私が申し上げたような批判をするだろうと思います。  そこでもう一点だけお聞きしたいのは、参議院の商工委員会に五月三十日に出られた際に、知らないというようなことを答弁されておるわけですが、新聞記事その他についてはその前に承和しておられたかどうか、その点をお聞きしておきます。
  175. 藤井崇治

    藤井参考人 新聞記事については、先ほど申しましたように、それは知っておったわけであります。しかし新聞記事に出ておったからといって、それを責任の地位にある私が知っておる――これは、私は責任の地位において知ったものでない限りは、知ったものであると申し上げるわけにいかないから、知らないと申しました。これは今日でも同様でございます。
  176. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、商工委員会答弁されたのはそういうふうで新聞その他においては知っておったけれども、正式には知らなかった、こういうことに了解してよいかどうか、それからもう一点は、当時藤井総裁が五月三十日の商工委員会に出席されたときは、この佐久間ダムについては新聞その他の世論がごうごうたるものであった、この重要な地位にあられる副総裁がかような答弁をされる際には、もっと慎重にあるいは問い合せてでも答弁ずべきであったけれども、そうでなくて、知らないと答弁されておるというのは、私は非常に遺憾に考えるわけでありますが、当時この答弁に対しては新聞その他では知っていたけれども、正式に知らなかったから知らない、そういうふうに答弁された、こういうふうに了承してよいかどうか。  以上二点について……。
  177. 藤井崇治

    藤井参考人 私の答弁はおそらく速記録に載っておると思いますから、速記録をごらんになればよかろうと思いますが、その通りでございます。
  178. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 ちょっと今の私の発言したことですが、言い落したと思いますから……。それは私は現に質問の通告をしておいたのですが、時間のことで遠慮したのです。藤井さんにはこの前ある程度聞いたけれども、せっかくお見えになっておりますから、小坂元総裁との関連において質問をしたいのですけれども、そういうことで藤井さんにも若干の質問がありまするし、それからその藤井さんの御答弁によって小坂さんに聞きたい質問がありまするので、繰り返すようでありますけれども、ぜひこの委員会の次会に私はきわめて重大な質問をしたいということを留保しておきます。
  179. 關谷勝利

    ○關谷委員長代理 理事会で決定をいたします。藤井参考人に対する質問はまだ残っておるようでありますが、本日はこの程度にとどめます。藤井参考人には御多用中長時間まことにありがとうございました。御退席されてけっこうであります。  本件に関しまする調査は、本日のところは一応この程度にいたします。次会は明二日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十四分散会