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田中(彰)
委員 鉱山局長は現場をよく御存じでしょう。石灰山があって、石灰山の金、銀、銅を願った場合は、金、銀、銅が固まってあるわけではない、金、銀、銅の脈は石灰山の中のどこかを通っておれば、それをどこまでも追いかけて石灰山を掘る、片っ端から石灰の穴を掘っていく。だからこれば同一鉱床みたいなものである。それは異種鉱床でなくて同一鉱床である。石灰山が十あって、そのうち三だけに金、銀、銅が許されている。七は石灰が許されているのだ、これはいいです。石灰山の全部に金、銀、銅がかけられて、その上にまた石灰を許されるというのは、みな許されると思う。どこでもそうです、われわれの持っているのもそうなんだ。そういうようなことをする場合に、前の権者と
あとの権者が相談するとか、前の権者の
認可を得るとかいうようにして、
許可されている。しかるに先に試掘権があって、その試掘権のあるものの
土地を買って
ダムを作る場合は、
鉱業権があるのだから、それを侵害した場合は——これはあなたの方がやってやる。これは重大な問題です。あなた方言いのがれをするのは、これは重大な問題ですよ。
われわれは、
関西電力が倒れるとかそんなことはこの
委員会に
関係ございません。そういうような取扱いをして、そして国家の重要物資を、とにかく土から掘ればものになるものを、なくしてしまったり、また今度けんかをして開発銀行から金を辛うじて借りて
ダムを作って、
ダムをだめにしてしまうことはいけないから、ここで取調べている、これはよく
考えて答弁して下さい。石灰が同一鉱床であるとか違った鉱床であるというような問題に大きな影響を来たす、今後の
鉱業権にも大きな影響を来たす。その点はあなたの方の
考え方は非常におかしいと思う。もし試掘権のあるものをあなたの方で
ダムを
許可されたたならば、よそから掘っていったために
ダムの水が全部坑道から流れて、
ダムがむだになろうともあなたの方は
許可しなければならない。
もう
一つ関西電力の話を聞いておって、試掘権だから、
鉱業権ではあるけれ
ども、採掘権よりえらい
権利のないように
考えているように僕は見受ける。これはとんでもないことです。試掘権であっても試掘請願中であっても、その方法によっては採掘権より強いものがあると思う。たとえばある人が試掘を願って、試掘の
許可は生きておる。しかし試掘は御存じの
通り年限があるのでこれを採掘転願にする。そういう場合、試掘
権利が二年半なら二年半ぐらいで試掘の
許可を得てから採掘転願にする。採掘転願は一年後には
許可がくるが、五年も十年も及ぶでありましょうけれ
ども、そういう場合試掘願のようなものでも、採掘転願する前に試掘
許可をしたところに願い出があったとして、試掘権に一年から採掘転願をして、二年半なら二年半の試掘権の切れるまでにこの採掘権の
許可がくれば採掘権がある。試掘権の年限が切れても採掘権が
許可になってこない場合には、この切りかえた一年後の試掘権というものは生きています。しかし
許可になっていないから二年半なら二年半で試掘権は無効になる。試掘願は印紙を張って出しただけのもので、この試掘願を切りかえた一年から、採掘に転願した一年から、試掘権が生きて、試掘願が生きて採掘転願よりも強くなるというような訴訟が始終起っておるし、そういう事実もある。こうなると試掘権は採掘権と何ら変るべきものでない。ただ年限を付せられておるということと、それからたとえば鉱物を掘ったときに、
政府に鑑定してもらって売るとか、
政府に届けて売るとかいうだけであって、採掘権と試掘権は
鉱業権としては何ら差異はございません。こういう点をあなたの方は
考えてこの処置をとらなければいけないし、
関西電力でもそういう点をお
考えにならないと——私は石川鉱業の人はどんな人か知りません。私はむしろどっちかといえば
関西電力の方が重要だと思う。しかしあなたの方が
法律を無視して、監督局あたりの頭の悪いのを相手にしてやっておって——もし私が石川鉱業におったならば、こんなところに持ってきません。私は必ず下を掘ってみせる。どんなに金がかかってもいいじゃありませんか。
ダムの下へ掘っていって底から水を出してしまえばいいじゃありませんか。あなたの方が何十億かけた
ダムがだめになる。そんな手だって打たれますよ。だからこういうことは
法律を無視しないでやらなければいかぬ。あなたがどんな大きな邸宅をお建てになっておっても、その邸宅から十間、二十間、三十間離れた人が、その下を掘ることを許されていれば、あなたの邸宅の下を、石炭を掘り、金を掘って、邸宅がひっくり返るかもしれないが、それは弁償すればいい。一々その山はいけないとかその谷はいけないとかいうことは、こういうものがあったらやれません。家が没落して人が死んだりすることがあれば別だが、一々掘る前にあの家が反対だから
許可しない、この家が反対だから
許可しない、この水田が、この畑がということでは絶対に掘れません。
鉱業権というものはそんなものではない。こういう点をよく考慮されてやらないと、私は重大な問題が起ると思う。その点をよく
鉱山局長あたりはお
考えになってやらないと、この問題はこんな小さい争いだけでなくなってくる。その点をよくお
考えになっておやりになったらいいと思う。