運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-05-28 第24回国会 衆議院 決算委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 本名  武君    理事 山本 猛夫君 理事 坂本 泰良君    理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    櫻内 義雄君       床次 徳二君    辻  政信君       松岡 松平君    山本 正一君       神近 市子君    小松  幹君       佐竹 新市君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         防衛政務次官  永山 忠則君         防衛庁次長   増原 恵吉君  委員外出席者         防衛庁事務官         (調達実施本部         長)      武内 征平君         防衛庁事務官         (調達実施本部         契約部長)   石井由太郎君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         証     人         (防衛庁調達実         施本部検査部検         査第二課長)  久保  功君         証     人         (関西電力株式         会社本店総務室         担当支配人)  藤田友次郎君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十八日  委員田村元君辞任につき、その補欠として辻政  信君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況防衛庁における靴の調達)に  関する件     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況防衛庁における靴の調達)に関する件について調査を進めます。  本日はこれより本件につきまして証人より証言を求めることといたします。御出頭になりました証人久保功君ですね。—相違なきものと認めます。あらかじめ文書で御通知いたしておきました通り、ただいまより本件について証言を求めるのでありますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人久保功朗読〕    宣誓書   良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  3. 上林與市郎

    上林委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 上林與市郎

    上林委員長 ではこれより証言を求めますが、証人発言する場合には、その都度委員長の許可を求められること、及び発言証言を求められた範囲に限ることになっていますから、御承知おき願います。  それではこれより証人に対して証言を求めることといたします。委員長よりの総括的な尋問は、時間の関係もありますので、省略して直ちに委員各位より尋問を行います。質疑並びに関連質疑の通告がございますが、申し合せの順序に従って順次これを許します。まず辻政信君、御発言を願います。
  5. 辻政信

    辻委員 久保さんにお伺いいたしますが、防衛庁くつ発注数各社割当のごく概略を最初に承わっておきたい。
  6. 久保功

    久保証人 お答えいたします。私は検査課長でありまして、総裁は本日準備してきておりません。本部長が資料を持っていらっしゃると思います。
  7. 辻政信

    辻委員 武内本部長に関連して承わりますが、大体井上防衛庁に納めておるくつの最も大量のものを受注しておるものに間違いはございませんか。
  8. 武内征平

    武内説明員 昭和三十年度の調達数量は三十二万九千九百五十五足でございまして、井上工業所は十万八千二百七十四足を受注しております。
  9. 辻政信

    辻委員 最大のメーカーでありますか。
  10. 武内征平

    武内説明員 三十年度におきましては一番多い受注者であります。
  11. 辻政信

    辻委員 久保さんにお伺いいたしますが、あなたは検査課長として検査されるときに、井上工場くつ技術についてどういう認識を持っておられますか。
  12. 久保功

    久保証人 井上くつ製造技術は必ずしも良好でありません。従来、検査調書、これは検査官報告書でありますが、これによりまして私が知り得ました範囲では、初回の検査合格することが非常に少い状態に昨年の九月から十月にかけて立ち至りました。それで井上外交員を呼びまして私はその点を注意いたしまして、こういう品質が長く続く場合は検査としても考えなければならない状態にある、あらかじめ通知をしておくということを申しました。その後検査調書より成績に対する統計書を作りましたところが、九月から十月に至りまして品質が悪くなっておることがはっきりといたしました。それで十一月の上旬に私は奈良にあります井上工場に出張いたしまして、二日間にわたりまして現場を見、また社長とも懇談いたしまして、私が感じました管理状況品質の向上にはどういう工合の対策をしたらいいかということを社長にも助言いたしまして帰って参りました。その後、もちろん私が言いましたことだけではありませんが、検査官の非常な努力によりまして井上くつ品質が若干改善されまして、二十年度の調達検査には相当の手数をかけましたけれども、どうやらこうやら仕様書が示します最低の線は守れたと私は思っております。以上であります。
  13. 辻政信

    辻委員 武内本部長にお伺いしますが、今お聞きの通り技術的にには非常にまずい、仕様書すれすれの最低品質のものであるということは久保課長の明言した通りであります。また工場設備が悪いということはあなたもここでこの前お述べになったところであります。そういうような設備技術ともに劣ったものから二十三万足近いくつのうち十万八千足というものを防衛庁として調達しなければならぬ事由がどこにありますか。
  14. 武内征平

    武内説明員 私の方は一応くつにつきましては十社を指名対象にいたしております。これはその都度指名競争入札をいたしております。従いまして井上につきましては技術は上等ではありませんけれども、しかしながらわれわれは検査をいたしまして検査合格しないものは受領いたしません。しかもこれには検査受領基準というものがございまして、その範囲にとどまらないものは受領いたしません。従いまして発注しなければならぬということはございません。
  15. 辻政信

    辻委員 久保君にお伺いいたしますが、あなたの方の検査は底とかなんとかを分解したりしてそれまで検査されますか。
  16. 久保功

    久保証人 いたします。これは標準といたしましては千足に一足の割合で分解いたしまして、内部的な隠れた個所を発見することにしております。ただしこれは標準でありまして、過去の検査成績が続いて非常にいい場合は状況によりまして省略することがございます。
  17. 辻政信

    辻委員 この事件が新聞に報道されましてから、いろいろの書類手紙が私のところに来ております。そのほとんど全部が、まことにいいところをついてくれた、こういうことであります。そのうちの最も著名なものを一つ参考に申し上げてみます。これは某海上自衛隊の所在地において二年間くつ修理を専門にやっておりました業者であります。業者の身分は、公文書で当時の海上自衛隊の役人がその業者に感謝の手紙を出しております。それくらい信用された業者であります。その業者手紙を実は昨日もらったのでありますが、その一カ所だけを引用して参りますと、「自衛隊の発足当時私は二年間専属にくつ修理に従事した業者です。その破損した井上くつを分解した結果、内部にボール紙が入っていた事実があります。ほとんど全部です。その当時の実物をごらんになれば判然とすると思います。その当時の補給の係官は、現在防衛庁本部情報部の〇〇一種に聞いていただいても判然といたします。」ここにはっきりと、業者があの新聞記事を見て、当時の証拠書類公文書まで添えて私に訴えてきておるのであります。二年間くつ修理をやったが、井上くつは全部底にボール紙が入っておった、こういうことについてあなたはおそらく御承知あるまいと思いますが、いかがですか。
  18. 久保功

    久保証人 申し上げます。そのくつ種類がわかりませんと、一がいに申し上げられませんが、半長靴においてはそういうことはございません。おっしゃいますのは中底の中に入ります中じんのことだと思いますが、これは大部分スペックコルク等を使っております。コルク膠着剤で固めましたものを使用しております。
  19. 辻政信

    辻委員 あなたの契約のときにボール紙を入れてもいいということになっておるのですか。
  20. 久保功

    久保証人 そのくつ種類をおっしゃっていただきます。
  21. 辻政信

    辻委員 種類のいかんにかかわらず、兵隊はくくつに、たといその中であろうが私はボール紙を入れるべきものではないと思う。入れていいという規定がございますか。
  22. 久保功

    久保証人 私もくつに関して広範な知識がありません。私が仕様書を見ておる範囲ではないように思っております。
  23. 辻政信

    辻委員 常識的に考えても兵隊はくくつの底にボール紙を入れることは許されないことだと思います。ないのが当然であります。武内調達本部長、いかがです。
  24. 武内征平

    武内説明員 ただいま久保証人の申されましたように、そういうスペックはないように私は思います。
  25. 辻政信

    辻委員 それではこれに関連しまして武内さんにお伺いしますが、武内さんはこの前この委員会において、井上があなたの注意したことに対して商人としてあるまじき不遜の態度を示したということをお述べになっておりますが、それをさらに具体的に御説明を願いたいと思います。
  26. 武内征平

    武内説明員 私は不遜の態度ということは申しませんでしたが、不愉快なことがありましたということは申し上げました。それは防衛庁井上工業所くつ検査に際しまして特に厳重にやっているようなことを申されました。そして特に厳重にやっておって、普通のくつメーカーであれば通るような品物でも、井上の場合にはこれを落しているというようなことを言われ、そういう検査官はけしからぬということを言っておられます。これは意外なことを聞く、われわれは検査というものは常に公平な立場によってやっているのでありまして、決して井上工業所のものにつきまして特に意地悪く厳重にやっているというのではないということを、よく申しておきました。
  27. 辻政信

    辻委員 一体ほかのメーカーでそういうなまいきなことを言うのはございますか。
  28. 武内征平

    武内説明員 くつに関しまして私のところへ来られましてそういうお話をしたのは井上さんだけであります。
  29. 辻政信

    辻委員 そういうものをなぜ指名トップにしなければならぬのですか。単に値段が安いというだけですか。
  30. 武内征平

    武内説明員 これは指名トップと申しますか、指名の中に入れるだけでございまして、指名に入れたあとは入札で一番札に入りますればこれと契約をする、こういうことであります。
  31. 辻政信

    辻委員 皆さんが国家の公務員として税金をむだづかいせず、また兵隊たちにいいくつをはかすために徹底的に検査をされるという良心的な態度は当然であります。その良心的な態度に対して、検査官がけしからぬとか、あるいは井上だけをきびしくするというような大それた不遜な態度をとるというものをなぜ指名商から除外することができないのか。
  32. 武内征平

    武内説明員 その際に私はそれではどういうところから井上検査に対して厳重過ぎるというのかと聞きましたら、この前御説明いたしました文数を入れる個所が指定された場所よりも多少上ったり下ったりするものがある、それを全部不合格にするのはけしからぬ、こういうことでありましたので具体的にそのくつを取り寄せてみましたところ、特に不合格にするほどではないけれども、しかしながら厳重に申せばスペック通りではないので、以後こういうことは——これは検査官が言うべからざることを言っているのじゃなくて、当然言うべきことを言っているのである、しかしながらそのエラーはささいであるので不合格にするまでではないけれども、今後は十分気をつけてくれという意味におきまして、先般申しました念書をとりまして商売を許した、こういうわけでございます。
  33. 辻政信

    辻委員 久保さんにお伺いしますが、あなたが大阪検査に行かれたときに、大阪支部検査官同僚たち井上工場へ、たしか運輸省かどこかの検査官が行ったときに、一週間ほど旅館に軟禁されたといううわさをしておるはずであります。それをお聞きになりましたか。
  34. 久保功

    久保証人 似たようなことを出発前に聞いた覚えがあります。(「どういうことだ。」と呼ぶ者あり)今はっきり覚えておりません。と申しますのは、私はとるに足らぬことだと信じておりました。私が行くからにはちゃんと社長と話をしてくるのだ、そういうことを覚えておく必要はないと思いましたので、念頭から去って的確なことは申し上げかねます。うわさ程度には聞いたような覚えがあります。
  35. 辻政信

    辻委員 あなたが大阪に行かれて井上工場ごらんになったが、井上以外の工場ごらんになりましたか。
  36. 久保功

    久保証人 見ました。東邦工業、昔の牧製靴といっておりましたところを見ました。
  37. 辻政信

    辻委員 そこでその牧製靴井上工場を比較されてのあなたの所見を率直に伺います。
  38. 久保功

    久保証人 率直に申し上げますと、結論を先にいたしますが、井上工業所の方が技術的にも管理的にも劣っておると見ました。井上さんにいろいろ工場のことについて伺いましても、統計的なことを一つも御存じない、また現場状況を把握しておらない、自分のところの製品の品質をよく知っておられない、これに比べまして東邦工業に参りまして牧さんに会いましていろいろ話を聞きますと、実によく工場の細部にわたって知っておられる、工程管理も非常にうまくいっております。工程検査も適当なところに挿入されて的確に実施されておる、井上工業所に比べれば東邦工業は確かに管理状況技術状況もまさると見て参りました。
  39. 辻政信

    辻委員 武内さん、その牧工場に今年どのくらい発注しておりますか。
  40. 武内征平

    武内説明員 これは三十年度でございますが、四万六百七十一足であります。
  41. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと証人にお尋ねしますが、証人はきょうは証人として出ておられるのですね。先ほど委員長から証人に対する心得を読み聞かせられたでしょう。そこであなたにさっき辻委員が質問いたしたのですが、つまり井上工場へ行くときにあなたは、井上工場へ行ったら軟禁されるとか監禁されるとか、うっかりするとドスをもっておどかされるというようなことを、こっちから立たれるときも聞いておられるとわれわれの調査には載ってきておる。それから大阪に行かれたときも向うの旅館でほかの人から聞かされたと私らが調査したのに載ってきておる。またあなたの口ばかりでなく、ほかからもそういうことを聞いておりますが、そういうことがたというわさにもあなたの耳に入るということは、あなたはなかなか英雄であって度胸のいい人だからそんなことを気におかけにならぬだろうけれども、昭和の御代に国民の血税でものを買ったり何かするところに検査官が行くときに、そういう言葉があなたの耳に入るということは、考えようによってはこれは重大なのです。他人から入っても、あなたをそこにおいて脅迫する、あなたの調べようとする強硬な信念をそこで弱めることになる。私も実は井上調査へ向けようとしたところが、あそこだけはごめん下さいといって調査員が行かなかったことを自分で体験しております。それだからあなたは今そういうことを気にかけないからどうも覚えておらないとか、知っておっても言う必要ないとかいうことを言われたが、それは私は重大だと思う。もしあなたがそういうことを言われたら、あなたは気にかけておらなくても、あなたはこわくなかったとしても、その言われた場所と言われた言葉をよくそこでお考えになってここに申された方がいいと思う。その一点をあなたがどういう工合におっしゃるのか聞きたいのと、もう一点、防衛庁の中でもやはり井上という人と取引することが非常に明朗を欠く、脅迫感を持つような、悪いものを納められてもはっきりこわもてに交渉ができないというような空気がだいぶあるらしいのです。そういうことをあなたが知っておられてそういううわさをお聞きになったことがあるか、そういうものを感ぜられたことがあるか、この二点をよくお考えになって—証人ですから自分勝手に、言わぬとか忘れましたとかでいいかげんで言われては困るのです。偽証罪が成り立ちますよ。だからあなた落ちついてこの二つを私に御答弁願いたい。
  42. 久保功

    久保証人 私は知っておるけれども申し上げないと言った覚えはありません。ただ気にかけなかったので念頭を去って覚えておりませんということを申し上げました。  それから私が大阪に参りましたのは、検査の二課長立場としてこうなったらほうっておけないという信念をもって、私から上司に申し出て現場に行ったわけでございます。それで私自身も井上さんにおどされるということは予測もしませんし、実際そういうこともありませんでした。検査官の中には若干おっしゃったような危惧を持つ者がおります。その者に対しましては、私は正当なことをするのにおそれる必要はない、信念をもって思うままに検査を実施せいと指導しております。
  43. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうするとあなたはその文句を忘れたのだが、そういうようなことを言われたところはどことどこですか。
  44. 久保功

    久保証人 私のおります検査課内でも聞いたと思います。それから大阪支部で聞いたかどうかは私忘れてはっきりしたことは申し上げかねます。
  45. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではそれはまあいいとしまして、部内でそういう井上に対するこわもてのような考え方をしておるということを聞いておるのですが、そういう空気は多少でもやはりありますか。またそういうことを感じたことがございますか。あなたがそんなことをおそれないとしてもそういうことをうわさに聞いたり、そういう空気を感じたりしたようなことはございますか。
  46. 久保功

    久保証人 空気としては感じております。それからそのことに関連して申し上げますが、私はそういう空気が出る大部分のことはこういうことではないかと考えております。検査官といえども人間であります。人が一生懸命になって作りまして、事業としてやっておる品物に対して、不合格ということを毎回言わなければならないということは非常につらいことであります。これは職務でありますからつらくてもやっておるわけでありますが、人間としては精におきましてなかなかつらい面があります。そういった面からいって毎回不合格を宣告しなければならない工場に行くことは、若干いやがるということも大きな理由になっておるかと私は思います。
  47. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではあなたに申し上げますが、そういうような空気を感じたりあなたもそういうようなことを大阪であるか、東京であるか—東京で言われたのでしょう。大阪でも検査に行ったあなたに対する—そんなものはおそれないと言ったあなたにすら耳に入るものがあれば、こわがっておる人には相当脅威になって入っておるだろうし、またいつでも納めたものの中から不合格品をたくさん出さなければならないようなところから、くつをお買いになるということはどういうわけでしょうか。それを一つお伺いいたしましょう。
  48. 久保功

    久保証人 このことは先ほど本部長が答弁されておりますが、指名業者の中に入っておりまして、契約ができまして—われわれの方は検査立場であります。契約が結ばれたものが検査の時期になれば検査をするのは当然検査課の務めでありますので、検査を実施しております。
  49. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたが検査官立場でそういうことを検査したり、ほかの工場と比較してみて、その工場指導者になる人が品物に対する認識を欠いておったり、統制を欠いておったり、組織的に欠陥があったりしたことをやっぱり本部長報告されて、報告と同時に、そういうところから、入札指名者としてそういうものを除いた方がいいぞ、あそこからあまり買わない方がいいぞというようなことを忠告されたことがあるのでしょうか、それをお伺いいたします。
  50. 久保功

    久保証人 ございます。大阪に行った私が現場を見て帰って参りましてから、ああいう技術練度が比較的低い、また工程管理がよくできておらないところに、いろいろなくつを矢つぎばやに発注することは少し無理のように思われる、何か手なれた半長靴なら半長靴に固定しまして、継続してそれだけをやらせる、なれたものだけをやらせるようにしたらいかがですかということを申し上げました。しかしこれは検査だけの立場から見ました申し分でありまして、先ほど本部長が言われました入札の価格が安いというような契約上非常に有利なほかの関係もありますので、検査の不利と契約の有利と、そういうものをバランスにかけて上司判断しておられるものと私は解釈しております。
  51. 田中彰治

    田中(彰)委員 委員長に申し上げますが質問はこれでよろしいですが、もちろんこれは理事会でも諮らなければならぬでしょうし、理事会にも私は申し出ますが、本部長を次に証人として出して下さい。私も材料を少し調べたいと思います。
  52. 上林與市郎

    上林委員長 この前もその御意見が理事のだれか忘れましたが出ました。しかし説明員として常時出ていますから、その間に聞いていただきたいということでありましたが、なお今の御発言がございますから理事会で相談いたします。
  53. 辻政信

    辻委員 今田中さんから私の言おうと思った問題の核心を御追及になってはっきりいたしました。そこであらためてさらに念を押しで聞きますが、あなたは出発のときに、もうこうなったらほうってはおけない、だから課長みずから乗り出すのだと考えられたと言う。これはきわめて重大な証言であります。こうなったらほうってはおけないということは、おそらく検査官がおどされる、それから品質が悪い評判もよくない、工場設備も適当でない、それに十万足という大量のものを発注しておる、そうすると検査官の良心的な責任においてこれは黙視できないから、みずから乗り出そうというお気持になったのだろうと思いますが、そこの点もう一ぺんはっきり念を押しておきます。
  54. 久保功

    久保証人 申し上げます。今おっしゃいました中で、検査官がおどされるというようなことは考えておりません。私がほうっておけないと判断いたしましたのは、品質の保障をしなければならぬ検査担当といたしまして、こういう悪いものが連続して検査対象に出てくるということは、工場としての品質管理が非常に悪い。これをほうっておきますと契約が履行できないだろう、所望の時期に所望くつ自衛隊用として入ってこないだろうという判断をいたしましたので、検査立場から品質が主体となってほうっておけないという判断をいたしました。
  55. 辻政信

    辻委員 武内本部長に聞きますが、一体今のような良心的な久保課長がその品質を見、その工場管理を見、技術を見て帰って、こういうような工場にいろいろのくつを発注するのは適当でないという意見を職務上の当然の意見として述べられたそうであります。にもかかわらず、あなたの方で何らの処置をとっておらない、その理由を承わりたい。
  56. 武内征平

    武内説明員 この点につきましては内部でもよく検討いたしております。久保君の行きましたのは十一月末でありまして年度の後半であります。そういう状況が続いておれば、指名から除かなければいけないと考えておりましたが、その後の久保君からの報告によりますと、その後、検査がかなりむずかしいくつがスムーズに検査を通っておるという事実があるのであります。よく検討いたしましてそうなっておりますが、現に非常に不合格率が多いということであれば、また考えなければならないと思います。
  57. 辻政信

    辻委員 今久保証言によると同じ工場牧工場を見たら品質もよく、工場管理もよい。そこには四万足発注しておるというが、この牧に発注した一足の値段と、井上に発注した一足の値段は幾らですか。
  58. 武内征平

    武内説明員 くつ種類はいろいろございますが、半長靴一つ例にとって申し上げます。東那工業が千六百円であります。それから井上工業所が千五百九十円であります。(「安いものだけでなく、みな言えよ」と呼ぶ者あり)今のはきゃはんが官給のものであります。きゃはんの官給でないものが、東邦が千七百五十円、井上工業所が千七百五十円……(「同じものがあるじゃかいか。」と呼ぶ者あり)これは複数入札をする場合があるのであります。一回に多く出しますと、こちらの納期の関係がありまして、一社ではこれが納入にならないということがあり得るのであります。これは予決令によりまして防衛庁にありましては複数入札ということがありますので、同じ値段でも数個の業者に発注になるということはございます。
  59. 辻政信

    辻委員 先ほどの議論であなたは、まああまりよくないが、値段が安いからというようなことだが、一足たった十円の差で防衛庁に入れるようなくつを発注しなければならない、しかも十万足という、そこに大きな疑惑を持たれる、いかがですか。
  60. 武内征平

    武内説明員 これは入札でございますので、予定価格の範囲で一番手に入ればそこに注文をするという規定になっておりますから、それに従ってやっておるわけであります。先ほどボール紙の問題が出ましたけれども、これはそういう事実があったかどうか私よく存じませんが、われわれの聞いている範囲ではそういうことはないと考えます。
  61. 辻政信

    辻委員 これははなはだ何ですが、それに対してあなたの方の海上自衛隊からこういう公文書が出ています。名前を申しませんが、あなたの方の海上自衛隊のあるところの総務部長からのものです。この業者に対して「報告を受けた事項については当方として種々参考となる面もありましたからお礼を申し上げます」と言って、そのボール紙が入っていることを知っておるのですよ。そうしてそのときに検査に立ち会った〇〇一補、現在防衛庁におるのです。ただしこの業者は結びにこう書いてあります。今それを申し上げるとその防衛庁に入っておる人の生命が危いからどうか名前だけは出して下さるなと書いてある。しかも公文書を添えて本人の身分証明まで持ってきておる。いいかげんな業者じゃないのです。自分は二年間まじめに自衛隊くつ修理をやったのだ、そうすると井上くつは例外なしに底に全部ボール紙が入っておる。この事実を訴えておるのです。しかもそのことをその土地の海上自衛隊の総務部長が知っておるはずです。知っておって公文書を出しておる。これを添付しておる。それがあなた方の耳に入っておらぬ。どうですか。
  62. 石井由太郎

    ○石井説明員 海上自衛隊くつ調達実施本部において調達することになりましたのは昭和二十九年秋からでございます。その以前のものでございますといかがか存じませんが、正式に地方総監部においてそういう事実を発見いたしましたならば、われわれどもにも報告が参り、その事実によってそれぞれ損害要償あるいは瑕疵担保というようなことで事案を片づけておるはずでございますが、私どもにはそういう報告が入っておりません。従いまして私どもはそういう相当古い時代の海上自衛隊、海上幕僚監部あるいは警備隊当時のものではなかったかと想像をいたすのでございますけれども、なお事実につきましてはよく調査いたしてみます。
  63. 辻政信

    辻委員 最後に久保証人に念を押しておきますが、あなたは海軍出身の勇敢なまた信念のある公務員ですから、おどされたり不愉快なことをやられても、あなたの立場の責任上乗り込んで行かれた、これは非常に敬意を持って聞きましたが、あなたの部下の大阪におる検査官の連中で、井上に行くことはいやだ、圧迫感を感じたことは事実だろうと思います。いかがですか、率直におっしゃって下さい。
  64. 久保功

    久保証人 圧迫を感じておるか、愉快に仕事ができないからか判明しませんが、井上へ行くことを喜んでおらないことは事実であります。
  65. 田中彰治

    田中(彰)委員 どうせ証人に呼び出しになつたのですから、詳しいことはあとにして一言申し上げます。先ほどあなたが値段を申されたときに、十円違いのやっを一番先に取り上げて申された。それから今度はわれわれがほかのことを言えと言ったら、同じ値段を申された。なぜ値段を申されるときに十円安いくつを申されないで、もっと値段の同じものから始めてだんだん安くなるものを言わないか。あなたは安いのから持っていって、同じ値段のやっをこっちに言われぬと、言わなかったというような答弁の仕方、たとい善意であっても一応やはり人の疑惑を招くのです。  それからもう一つ、先ほどこちらの証人が言われたのですが、たとい昭和二十九年前のことであろうと二十八年前のことであろうと、井上の納めたくつボール紙が入っておるという事実があって、そういうようなところから辻議員のところに何か公文書がきた。ほかに出すようなことがあれば、あなた方のところにも昭和二十九年前のことでも入っておるはずです。そういう場合、あなた方がやはり井上入札させるような場合は、それは入札から省くとか、前にこういうことがあるから、こういう経歴を持った者は要らないとかいうふうに注意されなければならぬ。あなた方が今何と言われても、やはりボール紙が入っておったとか、井上くつはよくないとか、工場設備がよくないとか、検査官の中に圧迫感を感ずる者があるとか、こういう勇敢な人でさえそういうことを聞いておる。部内にもそういう空気があると言っておるのに、あなた方の今の答弁は理屈が合えばいい、公的につじつまが合えばいいというような考え方でやられるから、こういう問題が起るんだと思う。特に政務次官なんかもそうなんだ。ここにおられるが、あなたは防衛庁に行ったら副大臣の資格があるのだが、そんなものはやめさせたらいいじゃないか。そんなことができなかったらあなたは政務次官をやめなさい。わが党から行っているのだから、わが党の恥だ。帰ったらすぐやめさせなさい。もしそれができないというのなら、われわれは党の問題にして、あなたの政務次官という身分を考えなければならぬ。そういう工合に処分しなさい。そのくらいのことは当りまえだ。
  66. 永山忠則

    ○永山政府委員 皆さんの御意見を十分拝聴いたしまして、いろいろ考慮いたします。
  67. 山本猛夫

    山本(猛)委員 関連して。委員長にお尋ねを申し上げますが、本件につきましては辻委員本件の相手であります井上信貴男と称する人間に、この院内において強談威迫をされておる事実であります。この日にちは、この二十五日であります。私はかつて委員長に、本院の中で強談威迫にたぐいするようなことはあってはならないということを申し上げて、委員長も同意されたはずであります。にもかかわりませず、それ以降の二十五日において、井上信貴男なるものが辻委員に対して強談威迫をしている事実があります。どうかかようなものは委員長は直ちに議長に申達をされて、本院に出入りをすることまかりならぬという措置を願いたいが、委員長のお考えはいかでございますか。
  68. 辻政信

    辻委員 ただいま山本委員から井上信貴男元代議士が五月二十五日に本院にやってきて、私に強談威迫をしたという御発言がありましたから、それに関連して、当時の模様をちょっと申し上げて、委員長の採決の参考にしたいと思います。  二十四日の晩おそく、私の家に荒々しい電話がかかってきました。おれは奈良の井上だ。辻はおるか、こういう電話であります。おる、何の用事か、君に会いたい、それじゃ二十五日の午前十時、院内の党紀委員長室に来い、こういう返事をしまして、二十五日の午前十時に待っておりますと時間きっかりにやって参りましたが、彼は前議員のバッジをつけて入ってくる。秘書を連れておりましたが、それは某代議士の紹介によって中に入ってきました。そして私にいきなり言った言葉は、僕は元代議士だ、税務署員を井戸にほうり込んだり、ドスでおどしたり、監禁したりするという三つの事実は毛頭ない。もしそれがあったならば僕はここで腹を切ってみせる。なかったら君は元軍人だから腹を切れ、これが彼の第一言であります。そのけんまくは、普通の人が聞いたら強談威迫と感じたでしょうが、私には蚊の鳴くほどにも感じない。機関銃のたまや砲弾ほどこわくない。しかしながらその態度から見て、こういう空気で一般の公務員に接した場合においては、公務員の諸君はさぞかし威迫を感じただろうと思う。これは事実であります。それで彼と二時間にわたって質問をいたしましたが、その内容は、きょうは関係ないので、次回に井上信貴男君をこの委員会に呼んで、証人席において私と対決する予定であります。それを一言御参考に申し上げておきます。
  69. 上林與市郎

    上林委員長 山本委員から御発言がございましたが、私といたしましては、まだ実情の調査が足りませんので、調査をして善処したいと思います。なお、山本委員理事でございますから、理事会でなお詳細に承わりまして、この前のように、事務総長なり議長なりに申し出ずべき筋があれば、私から申し出たいと思います御了承願います。
  70. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今辻委員の御発言は、辻委員でありますから強談威迫という感じを与えられなかった。ごもっともと存じますが、しかしかような暴力団的行為をするような者が本院内に入って参りまして横行濶歩するような事実がありますといたしますと、審議の円滑を欠き、公正を期し得られません。どうか賢明なる委員長におきましては、当然今委員長の仰せになりました理事会においてもこれを議題に供するつもりではありますけれども、委員長におきましては、前会のこと等もございますので、どうか今委員長が仰せになりましたことをこのたびこそはしかとお取り運びに相なるようにお願いを申し上げます。
  71. 上林與市郎

    上林委員長 山本委員の御趣旨ごもっともでございますから、了承いたしておきます。  それでは質疑を継続して下さい。吉田賢一者。
  72. 山田長司

    ○山田委員 ちょっと関連して。吉田委員発言の前にちょっと辻委員に伺いたいのは……。
  73. 上林與市郎

    上林委員長 すでに吉田委員発言を許しておりますから、発言後にお願いいたします。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 久保証人に伺いますが、あなたは契約第二課長として、井上工業所くつの納入契約についてはかなり苦慮されたあとが証言で表われております。そこで私どもも幾多の事実は、あるいは郵便によって、あるいは人の口によってこれらの事情が訴えられておることもあなたに申し上げておきます。そこで、この井上氏が製品の納入検査等に当りまして、とかく他の業者が行なっておりまする手続よりも一そうスムーズに、あるいは簡略にして、あるいは非難されるべきものも非難を受けないようないろいろな手を行なったように思われます。そこで、それは私どもいろいろな事実を指摘してもいいのですが、そういうようなことから考えまして、一つのことをあなたに伺ってみたいのです。井上はときどきさる政党人とともに調本の本部並びに各課を回ると言っては語弊がありますけれども、あなたらの目につくようにときどき出てくる。たとえば昨年の十二月ごろと一応指摘してもいいのですが、御記憶があるかどうか存じませんが、もし違っておればそれ以外のときでもよろしゅうございます。三十年度においてと、これでもよろしゅうございますが、そういった一種の示威運動といいまするか、各課をずっと歩く、そうして井上の営業を妨害する者があったら、首を切ってしまう、追っ払ってしまうということを放言するとさえ伝えられております。その詳細のことはよろしゅうございますが、ともかくそういった何かを伴ってくるということをあなたはごらんになったろうと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  75. 久保功

    久保証人 申し上げます。私は今、おっしゃったようなこと、それに似たことがあったということを聞いております。といいますのは、十一月の末であったと記憶しておりますが、うちの検査官が非常にささいな欠陥をくつに発見いたしました。そのくつの欠陥といいますのは、くつには号文数を表示してあります。これは自衛隊では数字を小さな穴で打ち抜きまして、筒皮の上部、きゃはんがつきますきゃはんの下際から五ミリ程度のところにつけるようになっておりますが、その表示の位置が若干違いましたので、これを注意いたしましたところが、会社の方との間にちょっとトラブルがありまして、井上さんが自身で本部に来られたことがあります。そのとき私はたまたまほかの検査検査官検査しているところをまた見回りに行っておりまして、その場におりませんでしたが、見えたことがあるということをあとから聞きました。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 井上君自身が来ることもときどきあるようですが、そのほかにやはり政治家がついてくる、そのことを伺いたい。
  77. 久保功

    久保証人 それも、私は今申し上げましたように、その場におりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、一緒に見えたということをうわさで聞きました。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その一緒に見えた人はだれでございますか。きょうは証人ですよ。
  79. 久保功

    久保証人 はい、私がうわさで聞いたところでは、大野伴睦さんでございました。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、去年の十二月に井上くつ検査を拒否した、拒否した直後今お示しの政治家が井上を伴って現われて、結局無検査で納入契約をした。もちろん無検査で、検査したことにした。この点は少し微妙な表現でありますけれども、どういう判断によったかは存じませんけれども、ともかくそういった一種のできごとがあった直後に納入せしめることになった。それは検査は実施しなかったか、もしくは普通よりも非常に簡略な検査であった、そういうようなやむを得ざる事態に陥った、こういうことはいかがでしょうか。
  81. 久保功

    久保証人 そういうことはございません。おそらくこのことがそういう工合な御想像といいますか、そういうお話になったんだと思いますが、先ほど申し上げました号文数の表示の位置が違った件であります。それで井上さんが本部に見えまして私もいろいろ話し合いました。この欠陥はくつの欠陥としましてはきわめて軽微な欠陥であります。くつの本質的な問題ではありません。命数にも関係がございません。ただ大体の位置をきめておいたのが違うだけであります。しかし仕様書に示されましたくつの表示の位置とは若干違うわけであります。それですから、私といたしましても、上司に文書をもちまして、この品物合格にしてよろしいかどうかという伺いを出しまして、それが決裁されましたので合格にいたしております。しかしこれがために検査を省略ということは全然ありません。井上関係検査調書を全部ここに持ってきておりますが、検査官はまじめにきめられました検査を忠実に実行いたしまして、その記録がございます。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたらのようなまじめな役人が、契約を誠実に結ぶことを求めて、またそれを履行するような方が、いやしくも政界に実力を持ち、元大臣の経歴を持ち、政党の幹部であるというような人が商売人と一緒に防衛庁に現われるということがありましたならば、これはやはり何らか精神的な圧迫といいますか、何か知らぬけれども、そこに圧力を感ずるといいますか、力を感ずるということはあり得るだろうと思いますですが、それはいかがなものでございましょうか。
  83. 久保功

    久保証人 感情的にはおっしゃる通りだと思います。しかし私も生を受けまして五十年近くたっております。理性があります。そういう点に負けてはならぬという信念を持って職務を実行しておるつもりであります。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの部下でありましたか、もしくはもとあなたの課におったか存じませんけれども、後藤何がしという、元二正ですか、そういう人がございましたか。
  85. 久保功

    久保証人 私が着任いたしましたのは昭和二十九年の十二月でございましたが、それ以降そういう人は課にはおりません。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、調達の班長に掛川というのがございましたか。
  87. 久保功

    久保証人 先ほど吉田代議士が、私が契約課長とおっしゃいましたのは間違いであります。検査二課でございます。従って契約関係のことははっきり存じておりません。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 間違いでした。増原次長に伺いますが、この契約二課の調達班長の掛川某という人が、井上くつの問題につきまして、あなたに文書をもって、かくのごとき商人は登録の指名を取り消すべきであるというような趣旨の内容の文書を出したような事実はなかったでしょうか。
  89. 増原恵吉

    ○増原政府委員 明確に記憶をしておりませんが、ないように思います。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そのような人間が、しからばそのような言葉か何か、ともかく井上に関しまして、班長といえば相当責任がある人であろうと思いますが、あなたの方に何らかの申し出があって、それはかえって他は左遷されたといううわさも、あなたの庁内にもっぱらなんでありますが、これは私が今申し上げていることは、あなたの庁内におきまして、相当顕著なことをあえて申し上げるのであります。でありまするから、道聴途説をとって申し上げるのではございません。一に防衛庁を健康な状態にしたいと思いまするので、粛清したいと思いますので、申し上げるのでありまするから、こういうことにつきましては、一つ率直にお述べ願いたいのであります。
  91. 増原恵吉

    ○増原政府委員 率直に申し上げますが、このくつの問題に関しまして、口頭なり文書なりで私のところに申し出であったということは、記憶をいたしておりません。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 記憶しなければ、また記憶を喚起するような方法を講ずる以外に道はありませんが、証人に伺いますが、井上工業所は、これは下請をさしている事実はございませんか。
  93. 久保功

    久保証人 私が行って調べました際も、そういう事実はないように思います。痕跡を認めませんでした。また検査官からそういう報告ば受けておりません。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もし下請があれば、これは契約の趣旨に反すると思いまするので、そのようなことがあるとすれば、これは当然契約条項によって何らかの責任追及をする、こういうことはせねばならぬと思いますが、これはどうなんですか。ちょっと仮定になりますけれども。
  95. 久保功

    久保証人 下請の承認をしてあれば別でありますが、それがない場合は契約違反になると私も伺っております。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 増原次長に伺いますが、あなたの方に無数の商売人が出入りすることは、これはだれも知っているところであります。商売人も商売のために出入りする、商売に必要な限度において、事務的折衡、交渉をする、話し合いをする、これは当然のことであろうと思うけれども、直接関係のないような政治家がついてくるとかいうことは、穏当を欠くと思うのであります。そういうことは毅然として排することは一体できないのでありますか。
  97. 増原恵吉

    ○増原政府委員 ただいまお述べになりました先ほどの質問のありましたことは、私今まで承知をいたしていなかったのでありますが、そういう売り込み等に関連をしまして、業者外の人が見えるということは、適当なことではもちろんないと思いまするが、厳格にそういう人を排撃するというふうなことになりますると、そういうことがまた常識的に考えましてどうかという問題もあるかと思いまするので、十分研究をさしていただきたいと思います。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この点は去年の二十二国会のときに、沈船「梨」の問題につきましても、政治家が現われたのでありますが、われわれはあえてそれを追及することをしなかったのであります。とかく防衛庁につきましては、いろんな人間が少し圧力をかけ過ぎます。こういうことが一つの大きな原因をなしておるというふうにさえわれわれは推察せざるを得ないのであります。今後のことでありまするので、私はきょうはこの程度にしておきます。
  99. 上林與市郎

    上林委員長 関連の通告がありますので、坂本泰良
  100. 坂本泰良

    ○坂本委員 大体済んでいると思いますが、井上検査について抜き取り検査をやられたかどうか。
  101. 久保功

    久保証人 抜き取り検査を実施いたしております。米軍の抜き取り方式——ミリタリー・スタンダードの百五のAという方式によりまして、抜き取りをしております。
  102. 坂本泰良

    ○坂本委員 それから次に技術的、管理的に劣っている、こういう御所見であったのですが、技術的、管理的を広くいえばきりがないでしょうが、どういう点が劣っているのでありますか。
  103. 久保功

    久保証人 一番大きな点は、記録が全然ないことであります。統計記録が全然ない。品質管理しますのには、自分工場の流れている品物品質を記録しまして、それの統計を取りまして、それから改善していきまして、悪いものが生れる前に防ぐというのが予防衛生的な、最も賢明なやり方であります。悪いものがもし出た場合には、治療医学的に悪いものを除いて、官側が行います検査対象に入れないというのが、第二段であります。その両方がうまくいっておりません。
  104. 坂本泰良

    ○坂本委員 それからもう一つは、毎回不合格検査があったから課長検査に乗り出して行かれたと思うのですが、この不合格検査というのはどういう限度であったか。毎回というと数回あったと思うのですが、その点を簡単にお聞きしたい。
  105. 久保功

    久保証人 回数は非常に多うございます。先ほどちょっと申し上げましたが、初度の検査において不合格になります。それでわれわれの方としましては、不合格になりましたロットに対して、着眼点を教えまして、こういう点に気をつけなさいということを教えまして、さらに業者側をして選抜させます。そうしてわれわれの言いましたような条件にかなったものだけを集めさせまして、それをさらに再検査いたします。その再検査の結果合格になりますと、最初不合格であったものも合格になるわけであります。それで私が先ほど不合格が多かったと言いましたのは、その初度の検査に不合格になったものが非常に多かったわけであります。その大部分は二度、三度の検査合格になっております。
  106. 坂本泰良

    ○坂本委員 二度、三度の検査といいますと、初度の検査で不合格がたくさんあるから、その不合格品を落して、合格品だけをそろえるそういう意味に解していいですか。
  107. 久保功

    久保証人 大体その通りであります。手直しのきくものは手直しをその間に実施しております。
  108. 坂本泰良

    ○坂本委員 それからもう一点ですが、外交員を呼んで注意したというのですが、この井上工場には外交員が大ぜいおりますか。
  109. 久保功

    久保証人 私が知っておるのでも二人おります。一人は女の人であります。一人は若い男の人であります。顔は知っておりますが、姓名をはっきり記憶しておりません。
  110. 上林與市郎

    上林委員長 他に御発言はございませんか。——山田長司君。
  111. 山田長司

    ○山田委員 証人に伺いますが、先ほど吉田委員の質問に対しましてあなたが下請をさしている事情はないようなことを言われましたが、それについては何か根拠があって下請をさしているようなことがないとおっしゃるのですか。
  112. 久保功

    久保証人 工場を見て歩きますと、各工程品物が流れております。その品物工程順に追っていきますと、その工場であらゆる工程をやっているということが確認できます。それで私は、私の見た範囲ではと申し上げました。そのほかに一流れ別にやっておるとすればまた別でありますが、私の見ましたところでは、流れがずっと続いておったように見受けました。
  113. 山田長司

    ○山田委員 納入の品物にかなり不満足があったようにいわれていますが、今まで防衛庁でどれだけ返品があったのか、参考に伺っておきます。
  114. 久保功

    久保証人 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、悪いものが幾らあったかという御質問でございますか、それとも井上が納めた総数がどれくらいあるかという御質問でございますか。
  115. 山田長司

    ○山田委員 悪いものだ。
  116. 久保功

    久保証人 悪いものは、われわれのはっきり聞いておりますものはあまりございません。陸幕の方にも具体的な数字を問い合せたのでありますけれども、陸上幕僚監部からもはっきりした数字的な表示がございません。抽象的に、たとえば井上くつは砂よけ皮と甲皮を縫うところの縫いしろが多過ぎて、それが裏側へめくれ返ってくつずれの原因になるというような抽象的な話を聞きまして、その後の検査にはその点に特に注意する、こういうことはときどきございましたが、数量的なことは承知しておりません。私は先般松戸の補給処に行きまして、現場で実際にくつ修理をやっております者に各社の製品で特に悪いものがないかということを聞いたことがあります。実際に仕事をしている者は、それは気がつかない、こう申します。井上品物はどうかと聞きましても、特に井上が悪いとは返事をいたしませんでした。現場の作業員がそういう状況で、数量的なことはつかんでおりません。納入されたものの不良品でございます。
  117. 山田長司

    ○山田委員 先ほどあなたの立場におけるすばらしい明快な御発言がありましたので、私は感心をして伺っておった一人でございますが、そこであなたにぜひ良心的に一つ御返事願いたいと思いますことは、井上氏と大野伴睦氏が一緒に防衛庁へ行ってお歩きになられたということをあとで耳にされたという御発言がございましたが、ただ防衛庁の廊下をぶらぶら歩いて帰っておるわけじゃないと思うのです。そこでどなたにお会いになられているか、あるいはどんな話をしていかれたのか、それくらいなことは、あなたの立場でどなたかに事情をお聞きになっておられると思うのですが、そのお聞きになられている範囲、それからどんなところをお歩きになってお帰りになったものか、御参考一つ伺っておきます。
  118. 久保功

    久保証人 部下の検査官から聞きましたので、検査部に関してだけのことであります。私のところに見えたということだけをあとから聞きました。それでその当時、先ほど申し上げましたように私は出張でおりませんので、あとから聞いた程度でございます。その他のことにつきましては、私はほかに質問もいたしませんので承知しておりません。
  119. 山田長司

    ○山田委員 そうしますと、井上さんと大野さんとあなたの部屋へ名刺を置いてお帰りになられたくらいのことであって、来られた用件も何も全然言われなかったのかどうか、それからあったろう以外に、検査官の話だけではなくて、ほかにやはりせっかく防衛庁へおいでになられた以上は、どこかへやはりお寄りになってお帰りになられたろうと思うのですが、そういうことも何かのごついでにお伺いになられたことはないかどうか。ただどうしても廊下だけをお歩きになって、あなたのところへ名刺だけを置いて帰られたということは考えられないのですが、その点いかがですか。
  120. 久保功

    久保証人 私はほかのことを承知しておりません。私は無責任なようでありますが、検査部以外のことはなるべくせんさくしないつもりでおります。与えられました検査部門をしっかりやろうと思いまして、ほかのことはあまり承知——といいますか、関心が薄い状況でございますので承知しておりません。
  121. 上林與市郎

    上林委員長 関連の質問のお申し出がございますが、いかがでございますか。——山本猛夫君。
  122. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今伺っておりますと、わが党の大野伴睦代議士が防衛庁に道案内をされたというふうに伺ったのでありますが、大野伴睦さん御本人でございますか、それとも大野伴睦さんの名刺を持った使いの人か、それを一つ伺っておきたいと思います。
  123. 久保功

    久保証人 これはうわさでありますからその信頼性がわかりませんが、私が聞きましたところでは、お名刺が置いてありまして大野さん御自身が見えたと聞いております。用件は一つもおっしゃいません、ただ置いて帰られたそうであります。
  124. 山田長司

    ○山田委員 大体それはいつごろのことたったか、それからこういう方の名刺は名刺一枚がかなり偉大な威力を発揮するものなのです。それでさらに伺いますが、そのあと電話か何か、かけたようなことがあったかないか、あるいはそのほかの人を通してでも、あなたに何かそのことについてお願いをしたようなことはないか。
  125. 久保功

    久保証人 御名刺を置いてあっただけでありまして、あとから電話も何も受けておりません。私は光栄に思いまして、その名刺を保管しております。
  126. 上林與市郎

    上林委員長 細田綱吉君、御発言願います。     〔「委員長」と呼ぶ者あり〕
  127. 上林與市郎

    上林委員長 発言を許しておりますから、発言後にお願いいたします。
  128. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど来あなたはきわめてまじめな検査をされておる、またあなたの考え方からいっても——私もそう思うのですが、松戸における修繕工の話を特にあなたも聞いたと言われるのですが、われわれの信憑すべき辻委員のところの文書とはまさに逆だと思う。それであなたも先ほどおっしゃったんだが、初度は不合格品が非常に多いと言われた。抜き取り検査もされる、そういうような場合に、初度の不合格のような場合に単なる規格の程度、他の良心的な工場の程度の抜き取り検査で事足りると思っておられるか、従来の検査は他の工場よりよけい抜き取り検査をしておったか、その点を一つ伺います。
  129. 久保功

    久保証人 再検に回りましたものの検査は、いわゆるきつい検査を実施いたしております。初度の検査は基準の検査を実施しております、それに対しまして一段だけきつい検査をいたしております。
  130. 細田綱吉

    ○細田委員 そこであなたは調達本部長あるいは次長、まあ本部長でしょう。その方へ検査報告というものをどの程度にされておるか。井上工場くつに対する検査報告は、これで永久に指名を継続していいというようにまで言われておるのか。あるいはそれに対してあなたの意見も加えて報告されておるのか。その調達本部長に対するあなたの報告の内容を一つ伺いたい。
  131. 久保功

    久保証人 検査報告に関しましては、検査の規則によりまして検査官自身が支出負担行為担当官と本部長に対して検査調書をもって報告するように定められております。その検査調書にはいつ、どこで、どういう検査をどれだけに対して実施して、その成績はどういうものであるということで、ここにその模型を持ってきておりますが、詳細なものであります。それで私の前に検査班長がその報告書を見ます。各担当検査班長であります。それから管理班長が管理立場から書類不備なところがないか見ます。それから私がまた見まして部長に提出するようになっております。検査調書という、こういう書式で報告いたしております。相当詳細であります。何個のうち何個を抜き取りまして、許される欠点数はこのくらい、不合格になる欠点数はこのくらい、実際はこれくらいでありますから、この検査については合格である、この検査については規定を上回っておりますので不合格であるという工合に一々判定しまして、総合的な判定を添えて提出するようになっております。
  132. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、あなたがさっきおっしゃったような初度の検査においては大体不合格品が多かったということも、本部長にはもう通じておるわけですか。  それからいま一つ、ここの工場は専門職工がなくて、お百姓衆を注文があると集めてきて、注文の製造が終るとまた帰って百姓さしておる。そういうような職工がここの工場には多いというようなこともあなたは御承知ですか。
  133. 久保功

    久保証人 一般の普通の成績のものにつきましては、検査調書本部長にいくだけであります。ただし井上の場合は少し状況が悪いものでありますから、私が部課長会議の席上で御説明したことが数度ございます。それで本部長にも相当資料をもって単独に御説明いたしたこともございます。  それからもう一つ、ちょっと失念いたしましたが……。(細田委員「職工専門職工と呼ぶ)  従業員の点でございますが、私が見に来ましたときは二百七十名くらい現場におったと思いますが、根幹になります人には専門職を充てておるようであります。根幹になります常に流れる範囲くらいの人員に対しては、仕事が非常に多くなりましたときには、これに対して若干臨時的なものを増加される。その人が今おっしゃったように半農半工というような経歴の人だと思います。その根幹の人が何名と言われますと、ちょっと私も二日ざっと見ただけでありますのではっきりしたことは申し上げられませんが、大体現場にいた七割か八割はいつでもやっている人じゃないかと見て参りました。
  134. 上林與市郎

    上林委員長 それでは久保証人に対する尋問は以上をもって終ります。証人には長時間御苦労さまでした。退席されてけっこうです。  午後一時三十分より再開して次の案件に入ることといたします。  この際暫時休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後四時三分開議
  135. 上林與市郎

    上林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  お諮りいたしますが、「歳入歳出実況(佐久間ダム電源開発工事費)に関する件についての調査のため、参考人として電源開発株式会社総裁小坂順造君を招致することとし、その日時については明日の理事会に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めましてさよう決しました。  なお、お諮りいたします。政府関係機関の収支(日本開発銀行の電源開発融資)に関する件につきまして、各位のお手元に配付いたしてあります通り、太田垣士郎君と藤田友次郎君を予定いたしておりましたが、証人太田垣士郎君より、診断書をもって本日は出頭できない旨の届出がありますので、これを朗読いたします。  病名と医師の氏名だけを申しあげておきます。病名、気管支潰瘍、医師は北野病院主治医院長松浦篤実君でございます。  太田垣証人の不出頭の件につきましては、理事会におきまして御協議願いました結果、正当なる理由ありと認め、後日喚問することとし、その日時は委員長に御一任願いましたので、さよう決したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  また、証人藤田友次郎君につきましては、その日時を変更することとし、その出頭の日時については理事会において決定することとしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。  また、同時に同社副社長森寿五郎君をもあわせて証人として喚問するよう手続をとりたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五分散会