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田中(彰)
委員 これは大臣に申し上げておきますが、なるほど今松岡
委員が言われたように、鉄道も敷くように努力する、
土地は適正な
価格で買い取る、こういう話がもう二年も三年も前から両者の間に行われつつ、問題が暗礁に乗り上げたのはなぜかと申しますと、この部落は三十何戸で
水田というものはわずか二万五千坪しかないのに、半分も
ダムを作るためにつぶされてしまった。わずかばかりの畑とか山林のようなものも
ダムのために永久に貸した。その貸す時分にも、
会社は永久に借りる
契約を結んだのだから借り料さえ払えばよいだろうというのです。大臣など民間におられてそういうことをよく御存じだろうと思いますが、電力は
公益的なものだから、部落に協力してくれといえば協力する。わずかばかりの
土地を売らないか、売るとすれば
幾らかというと、今まで
部落民が売買したものより一割くらいの高い値で売れというのです。けれ
どもそんなことで
土地を売れるものでない。金に困ってどこかへ行くなら売れるけれ
ども、わずか二万五千坪しか持っておらぬ
土地ですから売れない。そこで、そんな安いことではどうにもしようがないと言うと、それなら貸さないか、もし貸さないならば
土地収用にかけるという。そんなことをされては困る、売るよりも貸しておけば
自分に
所有権があるし、困るときは取れるくらいの簡単な
考えで貸した。その貸した
値段はやはり売買
値段を基準にしたのだから実に安いのです。貸してしまったら、今度はその
土地へ水をためられてしまうから、返してくれと言っても永遠に返さない。売ったと同じことである。これは電力
会社ばかりの罪ではないと思うが、山は木を切ったりするから、雨が降ったとき水が出て残った
土地が
崩壊していく。それでは困るからそこに
一つ防波堤を作ってそういうことのないようにしてくれと言うと、そんなことは金がかかってとてもできない、
土地を買おうじゃないか、売ってもよいが、買うとするならばどのくらいかというと、近所と同じくらいの
値段で買うという。一般の
ダムの
土地の
貸し料はどんなものかというと、大臣も御承知の
通り、二日か三日前新聞に出ておりましたが、
小河内では百五十万からの金をもらって売ったが、売ったところで
百姓は転業もできないので、家を建ってパン助なんかに貸しておった。ところが、今度はそれが売春防止法にひっかかるからそれもできない。今まで
幾らもうけておったかというと、一番もうかったものでも月二万五、六千円である。それから税金とか何かを取られて、
百姓なんかもうけているものはわずかばかりである。それで彼らはこういうことを言っている。
東京都が水道を作るためになるほど百五十万もらったけれ
ども、私らはそんな百五十万なんか返してもよい、もとのところへ帰してもらいたい。それはなぜかというと、たきものがなくなれば山へ行って取れるし、種をまけば野菜もできる、その方がよほど
生活が楽だ、百五十万もらって都の
水道局のあっせんで、とにかく
大蔵省の
土地を一坪五百円くらいで分けてもらってそれだけの恩恵を受けても、もとのところに帰してもらった方がよい、と
百姓なんかの転業したものがいかに哀れであるかということをを申している。これは二十四日の朝日新聞です。大体三百人からそこにおった人の
土地を安く借りて、貸せば水をためようがいいじゃないか、と統制時代
百姓から
土地を借りたような
考えでやられる。そこにおる
局長は、この間それは高いとかなんとか言っていたが、大臣も御存じの
通り、この
人たちがこうやっておられることが不思議である。戦争中材木なんか統制したときに彼らはどうですか。杉の
丸太何々の駅渡しで、五里もあるところから持ってくるものも、駅のそばから切るのも、一里くらいのところのものも全部まとめて五厘と言っていばって取った
人たちです。そういうのだからやはりこの
土地を高いとか安いとか言っているが、そんなことで解決してもだめである。こちらが鉄道に対して協力すると言っても、口では協力することもできます。金を出して協力することもできます。
会社が総動員して協力するということも、社会党の
委員長は人のよい方だから信用するが、こんなものはわれわれが見ればおかしくてしようがない。知らない人から、
田中さん、まことに済まないが三井銀行から金を借りたいが協力して下さい、できる限り協力しましょうと言うのは何でもないのです。金を貸してくれと言われて、三井銀行へ電話をかけただけで協力したというのと同じで、善処すると言われますけれ
ども、これはよほど電気
会社に覚悟してやってもらわないと、ほかの
ダムなんかみんな何百万もらっているのだからだめなんです。さっきも
局長に言った。
大塚のすぐそばに私の
おいっこが小さい
商売をしている。その買おうとした
土地に
区画整理がきた。三十坪の
土地へ入ってくる。入られては困るから何とか解決つけてくれないかとそこの家で言うのです。あなたも国
会議員として私の住んでいるところをどいてくれというからには、御覚悟があるでしょう、覚悟してきたか。一体
幾らか。二百万下さい。
区画整理で三十坪の
土地が三割取られて、二十一坪の
土地が二百万だと、坪十万円になってしまう。君、それはあんまり高いと言っても、君の
所有権のあるところをどいてくれというのだが、あなたは高いのを覚悟して来ないのか。とうとう手を合わせて百六十万できめて、それで十万中に入った人にとられたから百七十万です。その周囲の
土地はみな高いところで一万五千円ですが、人のものをどいてくれ、貸してくれということになると、そういうことなんです。
局長あたりもそういう点をよく
考えてもらいたい。わからなければ社会のあれを教えてあげます。あなたは
役人としてはりっぱな方か知らないが、いずれげた一足作って売ったこともない、あんまの笹
一つ作って売ったこともない。ただ机の上にかじりついておるから世の中のことがわからない。こういうわからぬ人がどこの
土地も同じような
相場ということで大臣にやられるのだから、ただ社長にまかせたからよいというような、そんなことでいいものではない。だからこれはあなたの方から
局長を呼んでいただいて、よほど
——わからないことは私が連れていって教えてあげます。こういう人は実地を教えてやらなければならぬ。教えてこちらと話してもらわないといかぬ。松岡松平君は人がいいんでしょう。これを見て喜んでおるが、鉄道を敷くのに協力します、
土地を買います、買うのはきまっておるが、
百姓が言うだけの
値段で買えるかということなんです。
百姓が無理言ったらどうする。これは全国の例があるが、今の
東京都の
ダムなんかいい例なんです。大がいの
ダムで、あるいは電力
会社で立ちのきさせたもので、百万以下の金で出ておる人は一人もありません。一人前こんな金をとったかどうか、十万もとっておらぬと思う、あなたの
会社であの富山県の奥にいって、山の
土地が一坪二円で、それを倍の四円で買ったからよいのだ、そんな
会社の善処ではいけない。だからそこを
一つ、大臣は民間から出られて、そういうことはよくおわかり一のはずです。
役人というものは政治家をごまかすことを研究しておる、ごまかしますから、わからぬときは私に言って下さい。私が言って教えてあげます。そういう
人たちが寄ってやることなんだから、
一つ大臣からよほどにらんでおって善処してもらうようにしないと、ただあなたからうまくやってくれというくらいではそれはとんでもないことになってしまう。そこを
一つ大臣からよく含んで
おいて善処してもらいたい。