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増原政府委員 御指摘をいただきました事項はまことにごもっともなことが多いと思います。
防衛庁は警察予備隊、保安庁、
防衛庁というふうになりまして、初め陸だけでしたが、次に陸、海、それから空というふうに大きく三
段階の変遷を経て参りました。最初警察予備隊という時代はいわゆる陸だけの時代でございました。
機構としましては、
長官のもとに
内局がありまして、基本的な事項について
長官を
補佐する。当時は総隊総監部という形において陸の
組織がございました。具体的な
実施事項については総隊総監部において施行せしめ、基本的な問題について
長官を
補佐する。
内局の面は
調達の面について監督、指導というようなことに大体はなるわけであります。もとより
予算を作る当初において、基本的
計画を作る場合に
長官を
補佐する。そういう形で警察予備隊として発足いたしました。これが保安庁になりまして、陸と海とができまして、第一、第二
幕僚監部という形になりました。そして
長官の
実施事項については、すべてこの
幕僚長を通じて行うということが法律に定められまして、
幕僚監部において
実施事項は現実にはこれをつかさどり、
内局いわゆる内部部局はその基本的事項について
長官を
補佐するという建前をとりました。それが
防衛庁になりまして、陸、海、空の三つの
幕僚監部が、
陸上一海上、航空という形でできましても、大体基本的ないき方は同様でございます。
調達の問題につきましては、最初に
予算を作りますときに、服を何万着というふうなことを基本的に審議をしてきめるわけでございます。これは先ほど
吉田委員の御質問に、他の
政府委員からもお答えをいたしたのでありますが、問題になりました七万着につきましても、二十九
年度にむいて
調達するということを当時審議をしてきめ、
大蔵省に
予算を
要求し、
国会の承認を得たわけであります。この七万着は具体的にいいますと、
昭和二十九
年度の末に現実に要りますものと、三十
年度に入りまして、初頭に要りますものと、両方合せて二十九
年度で
調達をするという
計画で
要求をいたしたわけであります。そうした基本的な最初の
要求について
内局が十分
長官の決定を
補佐するということはもとよりでございます。その他の
重要装備品につきましても、
計画の当初いわゆる
予算という形で具体化いたしますが、その際には
内局が関与をいたします。
経理局のみならず他の各局もそれぞれの分掌に応じて基本的に
長官を
補佐するという仕事をやるわけでございます。そして現在の
防衛庁が
調達を行います際に、私
どもが及ばずながら努力をいたしておるつもりでございますが、相当に私
どもとして困難を感じ、力が及ばざるところを感じますのは、
防衛庁の
調達いたします物品は、普通他の方面で
調達いたしますものと仕様その他の違いますものが非常に多いのであります。同じ車を買うにいたしましても、
防衛庁で使いますトラック等は普通の市販品とは異なる仕様書を持ち、また武器等になりますと、通信機というものも一般の市販のものでないものが非常に多く、その仕様を決定いたしますのはなかなか困難と申しますか、時日を要し、技術を要するというふうなことで、その間に完璧の念が届かないという例が従来ございましたことは、残念ながら事実でございます。もう一面、
防衛庁の
調達の他省と違いますところは、特に武器等におきましては、初度のもの、あるいは事後におきましても、
補給のための部品等は、従来は大部分
米軍の供与に期待をするというふうなものがございまして、向うの方とも抽象的には初度の装備は差し上げようという大体の話し合いがついておるわけであります。しかし現実にこれをもらって使う、たとえば船の搭載兵器のこときは、これをもらって船に乗せるという現実の問題になりますと、一応口約束で初度のものは上げましょうということでありましても、現実に物が来ないと船に積めないという問題があります。実際に上げますという書簡類をくれますのは、物がこれからすぐ参るという時期にならぬとよこしてくれない、それまでは、武器でありますと、大体いつごろまでに上げられると思うということを口頭をもって知らしてくれる。従いましてこれも
決算委員会等で今までいろいろ御指摘を受けましたが、二十八
年度予算をもって御議決を得ました千六百トン型、千トン型等の艦船がやっと今年に入りまして完成をし、引き渡しを受けるというような状態でありますが、かようにおくれました
一つの理由は、搭載兵器類が予期のごとく来ない、大体口頭をもっていつごろまでには上げられるという時期がだんだんおくれて参るということがおもな理由に相なっておるわけであります。そういうことでありまして、
防衛庁の
調達の
機構といたしましては、
長官のもとに
内局がありまして、
予算を作る際に基本的
計画を定めて、これを各幕に指示いたしますが、具体的な事項につきましては各幕で
計画を立てて
実施をしていく、比較的重要なものについては、その際さらに内部的には
大蔵省と具体的な
予算の
示達その他について相談をすべきものが相当あります。そういうときにはもとより
内局がこれに当って、
調達については
経理局、装備同等が
所管としてこれに参与をいたしまして、
予算をある意味において再検討するくらいの考え方で現実的な
示達をするという措置をとっているわけであります。そして
調達の
実施に当ります機関は、最初ば総隊総監部といいました陸の方に具体的
計画をする分野がございまして、保安庁になりましても第一
幕僚監部にそうしたものを持っておったのでありますが、これはだんだんやって参りました実績等にかんがみ、いろいろ
実施面に当ります仕様書を
審査するもの、原価計算を行うもの、現実に各
会社等と
調達契約を締結するもの、そうした実情がだんだんとなれ、整備をしてくる経過とにらみ合いまして、これを一本に
長官の付属機関とすることを適当と認めまして、
調達実施本部を作り、当時実体としては、大部分が第一
幕僚監部にあったわけであります。それを整備し、人員を若干増員をしていただき、
機構を整備しまして
調達実施本部を作った。現在は
要求のもとは各
幕僚監部の
責任各課で作りまして、この
要求を
調達実施本部に提出をする。
調達実施本部において、重要な
調達品につきましては、特に随意
契約にするとか、
指名競争入札にするとかいうものは、
調達実施に関する、
委員会を作りまして、これは各
幕僚監部の
責任者と
内局も参加をいたしまして、慎重に審議をするというふうな手順を経まして、重要なものは
長官の決裁を経て
調達する。平素
事務的に年々歳々同じような形において処理できるようなものは、
幕僚監部において
実施をする。
調達実施本部が買い入れるというような形をとっておるわけでございます。出発の当初、何しろ七万五千の警察予備隊が今まで全然ありませんところへでき上りまして、とにかく七万五千の部隊を作り、これの装備を行い、
調達を
実施するということを始めましたので、残念ながらいろいろと係官の量質ともにこれを十分に獲得することが非常に困難であった。漸を追ってこれが保安庁、
防衛庁となりまして、量を充実し、また質においてもそれぞれ係官にも勉強をしてもらいまして、その成果を上げて参ったのであります。現在のところ
機構それ自体として特に抜本塞源的に改めなければならぬという点はないと私は考えております。細部に入りますと、もとよりだんだんと充実をしていくべきものがありまして、三十一
年度の
予算にも
調達実施本部の若干の増員等をお願いをして、御議決願ったわけであります。漸次整備強化いたしますべき面がありますことはもとよりでございますが、
機構として、特に抜本的に今どうこうしなければならぬというふうには考えておらないわけでございます。発足以来ときどきの推移に応じまして、係りの者一同は、
長官の指示のもとに、一般的な基本的な問題の
補佐に当るべく、
内局の者も具体的な
実施の
責任者でありまする各
幕僚監部も、それぞれ相当の努力を続けてきたことは、私申し上げられると思うわけであります。遺憾ながら
会計検査院から御指摘を受けておりますことも事実であります。この点については時々さらに具体的に検討をし、反省をいたしまして、さようなことのないように十分努力したい。将来もさらに万全を期するようにいたしたいと思います。