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1956-04-09 第24回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月九日(月曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 闘谷 勝利君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君   小笠原八十美君       櫻内 義雄君    床次 徳二君       本名  武君    神近 市子君       小松  幹君    坂本 泰良君  出席国務大臣         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         防衛政務次官  永山 忠則君         防衛庁次長   増原 恵吉君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君  委員外出席者         防衛庁課長         (経理局監査課         長)      小笠原喜郎君         防衛庁技官         (技術研究所         長)      青山 秀三君         防衛庁技官   山田  誠君         防衛庁事務官         (調達実施本部         長)      武内 征平君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月七日  委員床次徳二辞任につき、その補欠として大  橋武夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として床  次徳二君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として神  近市子君が議長指名委員に選任された。 同日  理事片島港君同月七日委員辞任につき、その補  欠として山田長司君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前にお諮りいたすことがあります。すなわち理事片島港君が去る七日委員辞任されましたので理事が一名欠員になっておりますが、この補欠選任につきましては先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。それでは理事山田長司君を指名いたします。     —————————————
  4. 上林與市郎

    上林委員長 昭和二十九年度決算を議題に供し、防衛庁所管について審査を進めます。すなわち昭和二十九年度決算検査報告三五ページより六七ページに至る報告番号七ないし三一につきまして前会に引き続き質疑を継続いたします。それでは吉田賢一君。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本日は需品調達を中心にして少し伺ってみたいと思います。   〔委員長退席山田委員長代理着席経理局長にまず伺いますが、二十九年度、三十年度及び三十一年度三ヵ年にわたりまして調達実施本部関係予算総額、ただ上人件費を除いてよろしゅうございますから、それを一応御説明願います。
  6. 北島武雄

    北島政府委員 お答え申し上げます。昭和二十九年七月に調達実施本部が発足いたしましてただいままで経過いたして参ったのでありますが、はっきり組織上わかりましたのは昭和三十一年予算からでございます。昭和三十年度及び三十一年度につきまして御説明申し上げます。昭和三十年度におきましては調達実施本部予算額は一億九百万円、それから三十一年度が一億千七百万円でございまして、これはともに実は人権費も入っておりますのでさしあたりただいま区分して申し上げませんが、人件費も含めましてただいまの数字でございます。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一切の調達予算をお尋ねするのであります。本部庁費じゃないのです。もっと正確に言うなら調達関係予算です。人件費を除いたらいいのです。あなたの言っているのは庁費のことなんでしょう。
  8. 武内征平

    武内説明員 お答えいたします。二十九年度は二百三十八億です。三十年度調達はただいまのところはっきりしたところはわかりませんけれども……。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予算はもうすでに国会を通過しておるのだからそれを御説明願いたい。
  10. 北島武雄

    北島政府委員 調達につきましては御承知の通りに、一応各幕僚監部等予算に載せてございまして、実際にこれを実施いたします場合に、その都度調達実施本部長示達に相なるわけでございまして、ただいま調達実施本部長が答えましたが、成立予算ではなくて、実際の実行予算でございます。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の調達本部で、調達実施本部関係予算がつかまれておらぬということはないと私は思います。あなたの方では、何ですか、経理局長も今わからぬのですか。どっちでもいいですから、わかっている方がお答えなさい。きょうは調達本部長に特に来てもらっておるから、あなたの方の所管だろうから、はっきりと一つお答えなさい。——委員長、ちょっと早くしてもらって下さい。
  12. 山田長司

    山田委員長代理 急いで下さい。
  13. 武内征平

    武内説明員 申し上げます。本予算で三百一億九千万円、これが契約済みでございまして、契約未済で各幕僚監部に……。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 何年度ですか。
  15. 武内征平

    武内説明員 三十年度でございます。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十九年は……。
  17. 武内征平

    武内説明員 二十九年分はちょっとあとで申し上げます。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 数字をもう一ぺん言うて下さい。
  19. 武内征平

    武内説明員 三百二億九千万円が落札済みでございまして、各幕僚監部調達ができなくて返したもの、あるいは各幕僚監部の都合で要求を中止いたしたものがございます。これが合せまして十一億九千万円でございます。従いましてこの合計の三百十四億八千万円というのが示達でございます。  先ほど申しましたように、各幕僚監部から四半期ごと調達実施本部の方へ示達になりますから、予算としては、私の方に一括してこれだけというふうに年度当初からは参っておりません。  それから国庫債務といたしまして、四十九億というものが示達になりまして、その中で三十七億契約をいたしまして、十二億というものが返却になる、こういう状況でございます。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十一年は……。
  21. 武内征平

    武内説明員 二十九年度につきまして申し上げます。示達が二百四十五億でございます。そのうち契約をいたしましたのが二百三十七億三千万、かよりになっております。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十一年……。
  23. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 三十一年度につきましては、調達実施本部長から御説明がございましたように、予算として示達するはっきりしたことにはなっておりませんで、実行上きまっていくわけでございますが、その予定額を申し上げますと、機材費艦船建造費被服費、これがほとんど全部でございますが、合計で三百六十七億。このほかに輸送費等で若干出るかもしれませんが、これでほとんど全部でございます。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとそれに関連してなお確かめておきますが、調達実施本部におきましては、翌年度における予算要求費目であるとか金額であるとかいうものを予定して、そして要求資料を作るのではないのですか。
  25. 北島武雄

    北島政府委員 ちょっと私から御説明申し上げまして、もし不足でありますれば、調達実施本部長からお答え申し上げます。予算編成の際におきましては、各幕僚監部等原局におきまして資料を作成しまして、防衛庁としてそれをきめるのです。そこでその際におきましては、調達実施本部といたしましては発言権が実はないわけでありまして、予算成立後具体的に各幕僚監部等におきまして調達計画を立てます。それが長官承認に相なる際に調達実施本部長予算示達になるわけであります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 実施本部長は、予算要求内容調達実施費目だとか全額は、予算要求の当時わからぬということになりますか。
  27. 武内征平

    武内説明員 予算要求の際には正確にわかりません。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方の出しておる文書によれば、しかしながら、火器が幾らであるとか、あるいは、たとえば三十一年度予算実施要求については三十年度よりも件数本もふえるし、金額も多くなる。大体三百三十四億円内外というものをさらに詳細に費目まで指定して、件数まできめて、積算の基礎を明らかにしておるのじゃありませんか。それを聞いておるのです。これを終局にあなたに聞くのではないのであります。あなた自身が予算を知らずに実施しておるのですか。大体予算要求の当時それらの知識を持っておられるのかどうかということを私は確かめたかった。今聞けば知らないとおっしゃる。あなたの方は詳細な文書を作成しておるのじゃありませんか。どうですか。
  29. 武内征平

    武内説明員 お答えいたします。各幕僚監部あるいは技研から内局を通じまして、大蔵省に提出いたします。各幕僚監部及び技研で作りました第一次案ができますと、それを直ちにいただきまして、私の方の三十一年度に対する人員、旅費その他の要求等をそれによって一応積算をいたします。しかしながらその案は内局においてさらに調整せられ、さらに大蔵省において査定せられる、こういうことでありますから、大体の大まかなことはわかります。けれども詳細確定した内容につきましては、私どもの方は、大体のところはつかんでおりますが、アイテムことに確定したものははっきりつかんでおらないわけであります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は何も本筋のことじゃないから、あなたにそうとやかく掘り下げて聞くつもりはないのですけれども、しかしながらたとえば定員の問題もあります。定員仕事量に比較してきめたければならぬ、あるいは定員をふやすとか減らすとか、課をふやすとか減らすとか、そういうことは全部予算内容をなすわけです。従ってそれは要求すべき予算、つまり調達実施予算内容と離すことのできない関係にあるわけなんだが、こういうことは常識で考えてもよくわかるのであります。でありますので、あなたが全然予算要求の際に知らなんだということは、これは言えないわけなんです。けれどもそれはその程度にとどめておきます。  そこできょうは少し具体的のことに入ってみたいのであります。私といたしましては、検査院の指摘いたしました物件関係物件はずいぶんといろいろな種類がありますが、全部をお尋ねするつもりはありません。ただ幾つかの例を指摘いたしまして、少しく内容その他の関係を御質問したいと思うのであります。それで第一に伺うことは、四六ページの報告番号一四の問題であります。この問題はあまりにも有名でありますが、しかしなおその真相が明らかにせられておらぬということと、それからまたこの問題は相当重要な本質に触れた問題を内蔵しておると思いますので、どうしてもこれはよく伺ってみたいと思うのであります。要するにこれは調達実施本部において、陸幕からの要求冬服の七万着を調達することにしたときに、日本毛織その他の八会社から冬服の四千五百着、それから生地としまして二万九千五百着分、すなわち七万一千三百九十メートルを二十九年の十月に購入して、また十二月には東京屋被服会社ほか八社にこの生地の縫製を請け負わし、総額代金としまして二億八千六百十二万余円を支払っておる、こういう案件であります。ところがこれは当時アメリカから供与せられる生地並びに服が多量にあったということがわかっておったのに、防衛庁はあえて購入した、こういう案件になっておるのであります。第一に聞きたいことは、このアメリカから供与されました七十万着分をヤールにしたらこれは何ほどになるのであるか、そうしてこの七十万着分というものは、現在なおあるのかないのか、どこに何ほどあるのか、この点をまず聞いておきたい。  ちょっとそのお答えの前に聞いておきますが、この種の物件を管理する責任内局はどこにたるのですか、そのことを先に聞いておきます。
  31. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 装備局であります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは装備局長から今の点お答え願いたい。
  33. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 ただいま仰せの七十万着につきましては、生地としまして約百万ヤール、その他は新品、古品合せまして、上着及びズボンが主体でありますが、ズボン上着で少し違いますが三十四万着、これをヤールに直しますと、大体三ヤール弱でございますから、これも大体百万ヤール、両方合せますと二百万ヤール見当と御承知願いたいと思います。  それで現在保管しておる状況を申し上げますと、松戸需品処に約九万着、宇治補給処に約十六万着持っております。上着ズボン数字が違いますから、一括して申し上げます。両方合せて約二十五、六万着、それからなお八万五千着を昨年の九月に改造契約をいたしまして、これは年度内に大部分入りて参っているわけであります。生地は先ほど申し上げました百万ヤールのうち六十八万ヤール関西補給処、二十八万ヤール松戸需品処、こういう保存状況になっております。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、今なお生地としては八十八万ヤール松戸並び宇治補給処に保管されている、それから製品は九万着、十六万着、八万着、合計三十三万着相当分が今なお保管されている、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  35. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 生地の方は関西補給処が六十八万六千、松戸が二十八万その他で九十八万ヤール、現在あるのはそういう配分になっております。上着松戸需品処で九万五千、関西十五万五千、ズボン松戸に六万九千、関西に十九万四千、多少ちんばになっておりますが、こういうふうになっております。そのほかに先ほど申し上げましたように、すでに八万五千改造に出しております。それも東西の区分を申し上げますと、松戸需品処から三万三千、関西補給処から五万二千、合計八万五千を改造に出したわけであります。これは大部分改造を終って受け取っております。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、そろばんしたらわかりますが、製品合計何着ということになりますか。
  37. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 正確に申し上げますと、現在製品上着が関東関西合せまして三十三万七千着、ズボンは両方合せまして三十五万着、若干ちんばになっておりますが、そういうことであります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで伺いますが、この物件陸上幕僚監部要求により調達実施本部で買いつけることにした、こういうことになっておりまするが、その通りですか。
  39. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 さようでございます。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは陸上幕僚部要求した側の説明をきょうする人はありますか。
  41. 北島武雄

    北島政府委員 私からかわりまして……。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どなたですか。
  43. 北島武雄

  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 経理局長、あなたは長官補佐内局なんでしょう。だからあなたの方が要求したのじゃないでしよう。
  45. 北島武雄

    北島政府委員 その間の事情は私が……。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事情を聞くのじゃない、要求した側の説明を聞くのです。きょうは幕僚の方の関係者が出られることを要求しておいたのですが、だれか——増次長は見えておりますか。
  47. 山田長司

    山田委員長代理 見えております。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたに伺ってもわからないのかも知れぬのですが、陸上幕僚というのは、これは軍服を着ておる人であるとかいうお話もあったのだが、幕僚の内部の、つまり調達を企画立案して要求する側の説明をする者を本委員会によこすことはできませんか。
  49. 増原恵吉

    増原政府委員 もとよりできないことはございませんが、従来の例から申しまして、内局側でそういう事情を御説明する例になっております。しかしどうしても原局の方が必要であるということであれば、長官に申し上げまして……。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただ私は、あなたの方の機構関係設置法なり、その他政令の防衛庁組織令を見ますと、内局幕僚とは組織が違っております。責任関係も違うと思うのです。そこでこの問題はやはり幕僚部の方で要求をしておられるのであります。でありますから、要求した側の御説明はやはりどうしても聞かぬと経緯がわからぬのであります。ただ経理局長なり、あるいは調達事務をやる装備局長は、その後の段階において事務をおとりになるのだろうと思います。だからその以前の段階をよく聞かぬとわからぬのであります。直接やられた部署で御説明を願いたい、こう思うのであります。従来の内局国会に行って説明をするという例ももっともでありますけれども、やはりこういうような会計経理関係になってきますと、系統を追っていろいろ伺ったらその真相が明らかになる、そういう意味なんですが、きょうのところは、だれも説明をする人はおいでにならぬということになりますか。
  51. 増原恵吉

    増原政府委員 ただいまのところ幕僚幹部からは参っておりません。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこの問題は、あなたの方で、二十九年度決算報告に関する関係者処分調べというものをお出しになっております。これを読んでみますと、第二枚目、十四でありますが、やはり陸上幕僚長筒井竹雄、四部長辻村義和補給課長何がし等々ということになっております。これはいずれも幕僚じゃないかと思うのでありますが、処分された人は全部幕僚で、幕僚の方はだれも説明答弁に来ないで、ほかの方から答弁するということになりましては、どうもはっきりしないのです。この点は一つやはり国会に協力して事実関係を明瞭にするということはどうしても必要だろうと思う。でありますから、ぜひそういう方は出てもらわねばならぬと私は思うのであります。
  53. 山田長司

    山田委員長代理 吉田委員発言中ですが、午後からでも呼びましょうか。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうして進めますから、やはり呼んでいただきましょう。そこで伺いますが、陸上幕僚監部のだれが詳しいですか。組織令の三十一条によると補給課長というのがありますが、ここにも大崎茂吉という補給課長が出ておるようであります。この人はまだ補給課長らしいから一つ補給課長を願いたい。軍服を着ておったら、軍服を脱いで和服にして来て下さい。それから第四部長補給、企画、調達の各班長、これらの人々にぜひお出まし願って、そうして当時の事情を聞いてみたいと思います。
  55. 坂本泰良

    坂本委員 関連して。私はやはり課長級ではだめだと思うのです。課長は補助として来るのはいいですが、防衛庁関係においては、統合幕僚会議議長林敬三事務局長井本熊男、それから陸上幕僚監部筒井竹雄副長杉山茂海上幕僚監部長沢浩副長伊藤邦彦航空幕僚監部上村健太郎副長佐藤毅、こうなっております。それでなければいかぬと思います。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 陸上関係だから大体限定してほしいと思いますが、それでは一つ委員長におまかせしておきます。
  57. 山田長司

    山田委員長代理 それでは適当に委員長の方から要求しておきまして、あとで連絡いたします。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは一つぜひお出まし願うことにいたしたいと思います。そこでまず陸幕から要求があるということだと思うのですが、陸幕のだれがまずこの種の実施計画をどこへ通達することになるのでありますか、説明できる人はだれでもしていただきたい。どうも防衛庁関係にあまりにも複雑多岐機構であるので、責任の所在がはっきりしないのだが、一体防衛庁設置法の十六条によれば、装備品等調達補給、維持及び管理並びに役務の調達の基本に関することをするのは装備課長所管事務になっておるのですが、この点その通り実施しておるのですか、ちょっとそれを聞いておきます。
  59. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 もちろんその通りでございますが、その場合の例を申し上げますと、補給課から、年度所要数あるいは保有量等から翌年度所要数を算出いたしまして、それに基いて予算積算いたしまして、それを同じく陸上幕僚監部監理部へ持って参りまして、監理部でその予算審査いたしまして、予算として内局経理局へ上って参る、その場合に装備品調達、特に重要装備品調達につきましては、装備局がこれに参画いたしまして予算大蔵省提出あるいは実行予算の査定をいたす、こういうような形において調達数量等については関与いたしておるのであります。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると具体的に七万着の冬服、これは代金にしまして約三億円に該当するものでありますが、これはこのような予算実施するときには陸幕から実施本部、あなたの方からいただいた系図を見てみますと、調達実施本部の方へ通知を出すとともにやはり内局の方へも出しておるようでありますから、内局の方はやはり法律によれば長官補佐役になっておりますので、当然これは装備局経理局局長が参画しておるものと思うのでありますから、これは調達計画幕僚から長官の方へ出すことになっておる。そうすると七万着の冬服を買うという調達計画長官の方へ、内局の方へ出したものと私は判断するのですが、これは受けたのですか。
  61. 北島武雄

    北島政府委員 さようでございます。成規手続によりまして陸上幕僚長より支出負担行為計画示達要求書というのが内局に参りまして、これを審査いたしまして長官示達をいたします。いわゆる予算示達調達実施本部長にいたします。その際に写しが陸上幕僚長にも参るわけであります。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、幕僚から調達計画長官の方へ参ったときに、内局としては経理局長装備局長ともにその審査に参画するのですか。
  63. 北島武雄

    北島政府委員 経理面につきましてはすべて経理局長を経由いたしますが、重要なものにつきましては装備局長と協議するわけであります。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 重要とか軽微とかでなしに、ただいまのような三億円近い支出を伴っております調達計画幕僚から長官の方へ申達せられたときに、あなた並びに装備局長はその審査に参画するのですかしないのですか、両方から答弁して下さい。
  65. 北島武雄

    北島政府委員 経理局長はこれを審査いたしまして、長官補佐をいたします。
  66. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 形式の上ではただいま経理局長から申されたように、予算示達という形で参りますので、予算経理局で立案をいたしますが、重要なものにつきましては装備局長並びに装備局担当者に相談をして、私どもの方でするというわけであります。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと聞き漏らしましたが、具体的な本件の場合にはやはり装備局長は参画したのですかしないのですか。
  68. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 当時米軍から七十万着の衣服をくれるかもしれぬということで、陸上幕僚監部からももちろんお話を聞きましたし、それで一応示達を早く——おそらく九月中に示達は参っておると思いますが、これを調達するかどうかについて、七十万着の確度、つまり時期、数量あるいは規格等についてどれくらい確かであるかということについて、どうしても確かでないので、調達せざるを得なかったということは了承いたしております。正式の書面による合議というのはやっておりません。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、今経理局長並びに装備局長の御答弁を総合いたしますと、両局長とも本件調達計画にはともかく事実上協議参画をしておられるわけですね。そう了解してよろしゅうございますか。
  70. 北島武雄

    北島政府委員 経理局長はこれに参画いたしております。ただし私は昨年の八月経理局長を拝命いたしました。その当時にはまだ防衛庁にはおりませんでした。
  71. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 ただいま申しましたように、これに関する予算示達は九月中にいたしておると思います。そうして予算示達いたしまして、それからもろもろの契約手続をする。ですからその間に予算示達ということは文書としてはありませんで、その後契約に至るまでの事情によって、これを取りやめるかどうかという判断を、幕僚監部上申あるいは調達実施本部上申を聞きまして了承いたしたわけであります。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはすべての場合に共通した問題なんですか、内局長官補佐して調達計画の適否を審査する当然の職責があろうと思うのだが、そのような場合には、やはり一定量のもの、もしくはある重要度のもの、ある金額のもの以上は、当然これに参与して、あるいは判を押すとか、あるいは目を通すとか、あるいは会議にのぼすとか何とか、そういうことを正式に調達事務の最高の責任者である装備局長がなすべき限界がきめてあるのではないですか。
  73. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 繰り返して申しますように、現在の建前は、予算示達という形で調達計画を事実上承認するという形になっておりますので、予算要求、さらには実行予算の査定、示達という場合に、そのうちに含まれる装備品なり重要消耗品につきまして、その数量等について装備局が参画いたしまして予算示達する、かようなことにいたしておるわけであります。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予算示達というのは、それは長官から調達実施本部に向ってすることであるわけですね、あなたの実施の運営方式の図解によれば。そこで装備局長設置法の十六条によって、先に読みましたごとくに、装備品などというのは、これは申し上げるまでもなくいろんなものが入っておるようでありますが、船舶も航空機も食糧もその他の需品も、これを総称して装備品というのは防衛庁設置法の五条の四に明確になっておるわけです。しからば調達責任者はやはり装備局長にあると思うのだが、予算内容をなすものは、調達品目、種類、数量などにありますので、従ってこれはやはり当初から本部長の方へ予算示達するまで、もしくは調達実施本部長調達実施完了いたしますまで、少くともこの事実は御承知であったと思わねばならぬのだが、こまごまと事情をお述べになるので、さっぱりはっきりしたようなしないようなことなんだが、常にあなたに責任があって調達をする、こういうことに帰するのではないのですか。そこは一つ明確にしておいてほしいのです。
  75. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 繰り返して申し上げますように、予算示達の際にこの七万着がもちろん入っておるわけでありまして、それについては私ども参画いたしまして、必要であるということで予算示達し、その後に及んで米軍との関係が進んでは参りましたけれども、必ずしも明確ではない、やはり調達しなければならぬということで了承いたしたのであります。そのときは予算示達はすでに調達実施本部並びに幕僚監部へ参っておりまして、幕僚監部はそれに基いて現実の調達要求調達実施本部へ出しておるわけでありまして、それを取り消すあるいはとめる一あるいは数量を減すということをするかどうかという問題でありまして、結局米軍との関係がはっきりしないということで、調達を必要とするという了承をいたしたわけであります。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず最初に陸上幕僚監部から調達計画長官あてで出されたのはいつだったのですか、そして次次とそういうような情報がさらに通達せられたのは最後はいつごろであったのか、この日時の点を明確に聞きたい。
  77. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 もちろん一番初めに七万差——多少数字は違っておったかと思いますが、二十九年度予算要求のときに出ておるわけでありまして、それは二十八年の夏ごろからなされて、取りかえ補充計画あるいは翌年度の増勢ということとにらみ合せて、二十八年度予算要求のときから出ておるわけでありまして、それが大蔵省の査定を受け、国会に提出いたしまして御承認を受けまして、さらに二十九年度に入って実行計画を立てる。それで現実の予算示達としては九月に示達をいたしておる……。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 九月ですね。
  79. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 九月です。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、調達計画予算示達とおっしゃったのだが、予算示達陸幕の方へあったのであろうが、今度は具体的な調達実行につき、調達計画長官の方へ出されたのは最初二十九年のいつなんですか。それを聞きたいのです。予算を聞いているのではないのです。
  81. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 従来の仕事のやり方といたしましては、正式には予算示達内容として出される、かようになっております。予算要求内容として正式には出されておるということに相なります。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十九年度の四月から実施に移って、補正等々があれば一応別といたしまして、元来ならばそのときに一応の予算内容が明らかになる、国会予算が通過する、予算が配分になる、そうするとまたこまかく示達するのでしょう。ところでもう一つ具体的に、当七万着の購入を必要とい太します、調達をしますというこの調達計画は、二十九年の何月が最初なんてすか、それを聞くのです。これは経理局長おわかりでしょう。
  83. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま予算要求の月日につきましては、手元にございませんので、調べまして至急お答え申し上げます。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が聞くのは予算要求じゃないのです。予算要求は、各それぞれの部局から要求積算せられて、大蔵省に向って要求があるのでしょう、国会を通過した予算を配分するのでしょう、さらに具体的に示達もあるのでしょう、けれどもそれを聞いておるのではないのです。それじゃなしに、本件七万着の冬服を買いますということの計画陸幕が立てて、そして、調達計画長官に出すということは、あなたの方の資料に書いてあるのですよ。それでこの調達計画陸幕から長官に出したのはいつですかと問いておるのです。
  85. 北島武雄

    北島政府委員 調達計画予算示達要求でございまして、予算に計上されまして、さらに具体的に各幕僚監部計画いたしますと、こういうものをこれだけ調達いたしたいという内容をつけまして、支出負担行為計画示達要求書というのが経理局を経由して長官のもとへ参ります。この際に経理局におきましては、財政法三十四条の二によりまして、その都度大蔵省と打ち合せまして、大蔵大臣の承認を得まして、その上で予算示達をいたしておるわけで、その予算示達調達実施本部長にいたしまして、その写しが各幕僚長等に参るわけであります。各幕僚長等はその内訳に基きまして、その内訳に示されたところの品目、数量金額の範囲内で具体的に実施計画を立てまして、調達実施本部長調達要求をするという段階でございます。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 財政法の三十四条の二の予算実施計画書を作成して、大蔵大臣の承認を得るということは、一般的の場合でありますが、そうすると、ここに書いてある調達計画というのは予算示達要求である。そうしますると七万着ということは、具体的に七万着をいつ調達したい、こういう趣旨で買いたいということを陸幕から長官の方へ、それはそれとして、ほかのものはほかのものとして、金額、種類、品目等を明らかにして、具体的にそれだけを要求する、そういう方式はとらぬのですか。今のようにあなたの方では、最初の大蔵省要求した予算、従って国会で議決した予算、その内容をなすところの調達品目の一切を、一本で一括して長官の方へ出すというのですか。そういうようなことだと、時期がいろいろと、冬も秋も夏もあるのだから、ずれてしまって、事実上そんなことはできぬだろうと思うんです。ことに最初からこまかい計算ができて、仕様ができて、計画ができてするのなら別ですけれども、さきも聞けば、艦船のごときは設計ができぬので、翌年になり、翌々年になり、三年も繰り越しておるというような実情にあるわけなんです。だからそれはやはりそうは考えられませんし、ことに実施計画四半期ごとに大蔵大臣によって告示せられておるということもあるわけでありますから、そういうように時期を区別しておる点から見ても、一時に一本で年鑑の調達計画を立てる、それは予算示達要求である、そういうことは私はあり得ないことだし、そういう趣旨でないと思うんです。また説明は、そういうのでは今のお答えにならぬと私は思うのであります。そこで重ねて聞きまするが、この七万着の冬服調達しますということは、これはこれとして計画を立てて、陸幕から長官の方へ計画を通知というのか上申というのかする、そうして一方ここに書いてあるように、調達要求調達本部長の方へ向ってする、こういうように両方に向って二本に出ていくのじゃないのですか、この七万着の分だけが。その点どうなんです。そこをはっきりしておいて下さい。
  87. 北島武雄

    北島政府委員 当初のいわゆる予算示達要求をいたします場合に、その写しが調達実施本部長のところへ参ります。すなわち……。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと途中ですが、また同じことを繰り返さなければならぬので申しますが、当初予算示達要求という言い方じゃなしに、この七万着というものを独立して、これ自身の調達計画を立てて、予算要求というのですか、あるいは予算示達要求でもよろしゅうございます。ともかくここに書いてある調達計画というものを幕僚から長官へ出すと同時に、また一方調達要求実施本部長に出す、こういうのは七万着という具体的のものを、きょうまたあすというようにそれぞれ時を異にして出していくということになっておるのではないのですか。従ってこれはこれとして一本で計画を立て、調達要求をしたということではないのですか。その点さえはっきりしてもらえばいいのです。
  89. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 予算示達の一部として計画は承認されるわけでございまして、個々に七万着の分だげを調達いたしますという計画長官に承認をとるということはしておりません。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりました。そうするとこの七万着というものは一本で出すということはない、多数の、他の多くのものと一緒に、こういうことになるわけですね。そういたしますと、多数の中でこれをより分けて、そして七万着が適当かどうかという判断を内局はするのですか。
  91. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 それは最初に、二十八年に二十九年度予算を出すときに一般的にやっております。現実に二十九年に予算示達をいたしますときにも、それは経理局が中心になりまして、私どもが参画いたしてやっております。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一般的にはわかります。予算要求をするのは適当であればこそ要求なさるのだからそれは一般的にわかる。それならば、そのいわゆる予算要求、この七万着が調達をせられる内容をなしておるというこの調達計画を、長官にお出しになった時期をもう一度おっしゃっていただきたい。この検査院の報告書によれば「陸上幕僚監部要求に上り」ということに該当するわけなんですが、それの時期はいつですか。これは「防衛庁調達実施本部で、」ということになっておりますけれども、それは区分けしてもよろしゅうございます。
  93. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 調達計画と申しますと、当然二十九年度予算要求するときからその一部としての調達計画はあるわけでございまして、それを二十九年度予算の当初の実行並びに四半期の実行として二十九年の九月に、予算示達の際に示達予算の一部として調達計画を承認した、こういうことでございます。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、二十九年の九月、こう聞いたらいいですね。
  95. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 調達実施本部長の最後の事務段階になりますが、現実に仕様書を添えて調達要求書を幕僚監部から調達実施本部へ出すわけであります。これも九月と心得ております。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、幕僚監部から調達実施本部要求せられたのは二十九年の九月、そして予算要求示達が二十九年の九月、こういうことになるわけだが、それならば米国軍顧問団から三十五万着分相当の生地と合せて七十万着という物品が供与せられるということを聞いたのは二十九年の八月ということになっておりますが、この八月ということは間違いありませんか。
  97. 北島武雄

    北島政府委員 一番収初に話が出ましたのは二十九年の七月中旬のようでございます。米軍の顧問団の担当官から、口頭でもって従来の例の生地を譲渡いたしたい、有償譲渡ということであります。そこで当初有償ではかえって国内で調達するよりも高くなるというので、陸上幕僚監部におきましては有償では困るということでこれに応じなかったのであります。ところが七月下旬になりまして、場合によると無償になるかもしれないというやはり口頭の連絡がございました。そこで陸上暮僚監部におきましては真剣になりまして、その後担当官を置きまして毎週回ぐらいずつ先方と打ち合せておって、それが八月下旬になりまして無償のことがほぼ確実ということになったのでありますが、いつこれを日本側に供与するかということについては一切不明でございます。実は米軍からの供与品、特にこういう臨時の供与品につきましては時期が不明確でございまして、それが実現するまではそれをそのまま信用することができないのが残念ながら今までの実情でございます。これは先方の内部のいろいろ手続もあることでございますが、実際に供与される段階にならないと、それが実現しないこともあります、あるいは時期もずれる。  そこで陸上幕僚監部におきましてしきりに督促いたしましたところが、九月中旬ごろになりまして、これは米軍部内の文書でございますが、これには別に自衛隊に供与するということは書いてございませんが、顧問団の担当上官から米陸軍の補給処関係の担当官に対しまして出荷要求が出ております。その文書の写しをもらったわけでございます。これが大体日本に行くのではないかというふうな話が向うの担当官からありました。ただこれによりましても品質とか程度、それからいつ実際に供与されるかということは全然わからなかったのであります。しかしながら万一譲渡を受けた場合に手はずが整っておりませんと困りますので、譲渡を受けました場合の受領方法につきましては、陸僚でもって早急に研究いたしたのであります。  その後譲渡品の程度及び時期につきまして早急に知してもらいたいということをひんぱんに米軍の顧問団に要求したのでございますが、顧問団におきましては一切不明ということであります。かつ十月には先方の担当官が交代いたしました。また釜山にありました米軍補給処が火事で焼けたのであります。そこで本件についてはきわめて失望の状態になったというのがその当時の状況でございます。  なお、その後の経過を申しますと、十二月末になりまして、先方の担当官から譲渡について打ち合せをしたい旨の申し入れがございましたので、直ちに受領態勢をとったのでございますが、一月上旬、その当時は一月上旬の予定でございましたが、その時期になりましてもやはり実現いたしません。きわめて悲観的な応待をもってその当時相手方から遇されておったのであります。そのうちに一月中旬三度譲渡の申し入れがございました。これがついに二月の初めから逐次実現して五月の中旬までの間に受領を完了した、こういう状態でございます。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのような米軍から供与をせられる口頭の申し入れ文書を手交されましたのは、それは経理局なのですか、装備局なのですか、それとも陸幕なのですか、どっちなのです。
  99. 北島武雄

    北島政府委員 陸上幕僚監部でございます。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、今の経理局長の御説明はやはり他の所管の監部あるいは補給課のなした業務の御説明でありますから、やはりこれは当該責任者から聞かねばわからぬことになるわけであります。  そこで、あなたの方としてはさらに長官を助ける立場にあるわけですが……。ちょっと委員長、きょうは長官は見えるのですか、見えないのですか。
  101. 山田長司

    山田委員長代理 長官は今呼びにいっています。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、供与が実施される可能性、確実性等につきましては、それは一体防衛庁といたしましては、その見通し、確認等をなすべき役所はどこなんです。装備局長じゃなしに、一つ次長が見えておりますから、次長から御答弁願いたい。
  103. 増原恵吉

    増原政府委員 具体的に調達要求をいたしますのは陸上幕僚監部でありまして、また具体的な接触は陸上幕僚監部として、顧問団とあるわけでございます。陸上幕僚監部でそういうことの判断をいたしまするが、同時に内局の方面にも連絡がありますので、内局の方としても陸上幕僚監部のなす判断について、また判断を内局としてもいたすという建前にあります。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局において今の経理局長の御説明では、米軍が譲与するという時期が不明であった。過去においてもそういう例があったので、この際は時期について確認をいたしかねた、その事情をいろいろとお述べになったのであります。そこで確認をしかねたけれども、現実には二月からすでに合計七十万着が供与されておるという現実が到来しておるわけです。そういたしますと、これは判断の誤りか、観測の誤りであったのか。もしくは人知で真にどうすることもできない事態であるのか、こういうことになるわけであります。ただ過去にそういう事実があったからといえども、やはり相手国はアメリカでありますから、アメリカと日本との関係において、防衛庁は特にこの重要な予算実施責任があるのだから、無償供与というようなことが八月の下旬にすでに確認されておる。八月以来そういうように無償譲与か確実になっておるというようなものを、莫大な金を出して買うに至った、こういう次第でありますから、これはやはり当時の事情に対する判断が誤まったのであるか、あるいはそうでなしに、これは人知においては及びがたいものであったのか。注意しておって全然不可能であったような事情にあったのか、こういうことになるわけでありますが、これらにつきましては、一体そういうような問題があったときに、かりに予算という面から考えてみますと、なるほど防衛庁のこれから調達に関する予算は、国家は支出することにきまっておるけれども、約三億円に近い予算実施するということになりますので、不要なものに出したのかどうかということは重大なことだと思うのであります。そこで予算経理の面において、これらの経過事情、前後の折衝、そういうものは厳密に再検討せられなければならぬと思うのであります。こういうことは防衛庁としては審議したり協議したりする機関はないのでありますか。これは一つ次長にお尋ねいたします。
  105. 増原恵吉

    増原政府委員 この場合は実は特殊な例でございまして、こういうものを特に審議するというふうな機関というものはないわけでございます。しかし御質問の際にすでにいろいろ御説明をいたしたと思いますけれども、この問題は当初有償で供与するという話がございましたことはお聞き及びと思います。その際は、私ども予算はありませんし、そうたくさんのものを有償で買うということは適当でないということで、有償でもらうことは関係者相談をいたしましてお断わりをいたしたのでございます。その後無償でも場合によっては供与できるかもしらぬということに変って参りました。無償供与が明確になったというのは、話し合いのだんだんのあとで有償ということは言わないということに、だんだん変って参ったという形でございます。そうしてこの服の供与というものは初めてのことでございますので、従来いわゆる武器と申しますか、広い意味の武器に関するものは供与を受けておるのでありますけれども、服については、自後もございませんが、初めてのことであります。向うとしては武器については、ことに初度のものは相当供与するという基本的な建前を大体とっておりましたが、被服についてはこれも初めてのことで、われわれとしても予期せざる話し合いが始まったということであります。それでだんだんと無償でもあげられるかもしらぬという話が進んで参りまして、だんだん無償でくれそうであるということに固まってきたわけでございます。しかし本来供与を、向うとしては何といいますか、抽象的に約束しておりまする武器類でも、現実に私どもの方へくれまするのは、これをあげるということを明確に言いまするのは、実際に積み出しをするということが確定をする時期になって、いつも確定をするわけであります。従いましていつこれを渡してくれるということを言うてくれるのは非常におくれるわけであります。この場合もこれをいつくれるということについては、向うが大体無償であげられるというふうになりましてからも、その時期についてはきわめて不明確でありましたので、補給の確実を期するという意味で予算実行をいたした、こういうふうになっております。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで聞いておきたいのですか、当時二万着手持ちのもの、つまり三十年の一月から二月まで入隊予定増員の欠員補給を合して三万二千名、これはその通りなんでしょう。そこで手持ちのもので不足するのは二万着ということになっておるのですが、この点はそうなんですか。
  107. 北島武雄

    北島政府委員 実は検査院は二万着だと御指摘になっておりますが、実を申しますと二万着では少し足りない。と申しますと、在庫品の中には小さくて使用にたえないものがございまして、こういう点を調整いたしますと、私どもの判断におきましては約三万五千着はどうしても三万二千人に着せるためには必要だ、こういうふうに考えたのであります。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでかりに三万五千着といたしましょう。三万五千着といたしまして、一方今増原次長の御説明によれば、この種の被服の譲与を受けたのは初めてだということが一つ、それからすでに無償譲与が確認せられておるということ、いわゆる大量の譲与でありますること、それから所要量は三万五千着、こうしましても、これは検査院は二万着ということになっておりますが、この点はあとで聞きますが、三万五千着、こういうことになっておる。その際にたとえば最初の契約は二十九年の十月となっております。そこで必要なのは、翌年の一月から二月までの入隊ということでありますから、それ以降であります。そういたしますと、何をあわてて七万着を買うに至ったか。この点は一つ装備局長に聞きたい。
  109. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 この七万着は検査院の御指摘にもありますように、二十五年の警察予備隊の当時に入った者に対しまして、これは六年の期限になっておりますから、その更新分としての準備を一ぺんにできないということで前の年度から時々準備をしていく、それが同時に予算の運用上翌年度に入る者に対する準備になっておる、こういうことでありまして、そういう意味で一、二月に入る者のみならず、翌年度の新規補充の五、六月ごろ、それからさらには十月に大量に冬服を貸与するわけでありますが、これの準備配給等についてやはり五、六月ごろ——七月ごろまでにはどうしても現品がなければ困るということで、七万着どうしても要る。たとえば今の米軍のものが三十年度に入って、相当たってから来るということになりますと、現実に補給に困るということでありまして、七万着調達いたしたわけであります。現に大体十一月の入隊者でほとんど大部分使っておるような状況でございます。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもいよいよわからなくなってきたのです。そうするとそういうように、つまり翌年の昭和三十年の七月ごろに総計七万着要るという御説明なんです。そうならばなおさらこれはそうあわてて買う必要がないということになるのです。一体今あなたやら経理局長説明したごとくに、陸幕要求内容はそうであったのでしょうか。あなたの方の立場とすれば——陸幕を今代弁しておるのですよ。あなたの方としては、陸幕がそういう要求をしても、ちょっと待て、今アメリカの方からは三十五万着もただくれるというような話が出ておるのに、あわてて三億円も金を出さなくてもいいというふうに言わなくちゃならぬ立場なんです。実施をちょっと待つべきだというのが長官補佐して需品の購入をやっておるあなたらの立場なんです。最終的に翌年の七月になって要るのでありますから、そんなものをなぜあわてて買うのだということを、あなたのふところから金を出す場合だったら必ずそう言います。けれどもこれは予算があるから使ったということになるのかしらぬけれども、やはりこれは約一年——八月にすでに無償譲与がきまって、翌年の七月に総量七万を必要とするようなときに、二月においては二万着でよいというようなものを買い込んでおかなければならぬということは、陸幕がほんとうにそういう要求をしたとしても、あなた方の方はさしずめ再検討をするというのが、長官補佐の立場でなければならぬと思うのです。これは次長どうです。長官も来ないのですが、あなたどういうふうにお考えになりますか。
  111. 増原恵吉

    増原政府委員 その点は今までいろいろ申し上げたようなことで、受領の時期が確実に見通しがつかないということでありましたので、予算の執行をいたしたということに相なっておるわけでございます。事後に考えますると、もう少しそこらのところを的確、綿密にやるべきではなかったかという御指摘は、私どもの方も重々お受けをいたします。当時といたしましては、米軍からの供与の従来の実績で、時期が明確でないということで補給の確実を期するというようなことでやりました。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうではなしに、あなたの方は、これは日本毛織外八社が、あらかじめ防衛庁に納入しなければならぬというので、特殊な染色で色染めをして物を生産しておるというので、やはり予算を使ってやらなければ相手が困るからという思いやりもあって買うた、これが真相じゃないのですか、どうですか。
  113. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 今吉田委員のおっしゃったようなことは全然私ども当時考えておりません。繰り返して申し上げますように、事務担当者として、どうしても補給の確実を期するという強い考え方を私ども検討いたしましてこれを認めたわけでございます。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしあなたそうおっしゃるけれどもアメリカ空軍から衣服をもらうことは初めてだと言うじゃないですか。初めてならば、過去に大砲をもらったか鉄砲をもらったか何か知らぬが、そういうことやらその他の兵器をもらうというようなこととは事が違います。軍服というようなものは、世界中どこでもあるのであります。大砲や鉄砲とかいうような兵器ならば、あるいは新品、旧型等々ありまするから、それはいろいろと時期の関係もある。しかし問題は服でございませんか、服というようなものは世界中どこにでもあるものでありますから、一応そういう常識の角度から需給を考えればよいのであります。一体この納品会社は、あなたらが交渉しておるときに、あらかじめもう納品するというので生産しておったのではないか。十月に契約するということになり、十二月に製品におろしておるようでありますから、大体色染めしておったのではないですか、その辺どうなっておりますか。
  115. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 もちろんそれぞれのメーカーとしていろいろな需要の面に対して見越し生産等はあったかもしれません。私どもとしては適格な業者に指名競争させまして——第一どの業者に落ちるかわからぬというような事情もございます。そのために私どもがこの契約なり調達計画を強行したということはございません。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 強行したかどうか知りませんけれども、すでにもう八月に無償譲渡が確実に確認せられて、問題が残るのは時期だけのことなんです。時期は今申したように、世界中行なっておるものでありますので、これは来ることは間違いないというくらいに慎重に予算をお使いになるのが、私は当然だろうと思うのです。今おっしゃることは、もう陸幕の代弁をしておるようなので、やはり陸幕要求を調節するのがあなた方の立場ではないでしょうか。うのみにするなら内局というものは要らないと思うのです。内局があって長官補佐するというなら、陸幕がどんなに大きな権力を持っておるか知らぬけれども、あなたの立場は平服だから、立場が違うのか知らぬけれども、いずれにしても陸幕の言うたことをうのみにした形跡が私はあると思う。あまりにも権威がなさ過ぎます。やにりあなた方としては当然にちょっと待ったを入れて、一、二月までの交渉——これはちっともおそくない。ことに今の御説明によれば、服が小さいので、大きなのをということである。服が小さいだとか大きなというようなことにまで考えるゆとりがとれるならば、新入者に一カ月ぐらい古いのを着てもらってもいいと思うのです。一カ月ぐらい古いのを着てもらえば、二万着というものはさしあたって必要なんだから、一カ月というならば三月まで待てるのです。ということにすれば事が足りる。そのくらいの裁量の権限はあなたにはあったと思う。またそういうことをすることなくしてこの七万着を買い取ったということは、どう考えてもあなたらの判断の誤りか、さもなければ予算を乱費したか、さもなければ十分な注意を加えなかったか、それともアメリカに対する折衝が適切でなかったか、こういうことになります。しかしアメリカに対する折衝があなたの方の所管ではなしに、陸幕であったというならば、一体陸幕内局調達実施本部というものと、三者みなばらばらというのが、結局調達実施一つ機構です。こういうことになるからいかぬのです。もし民間の会社であれば、社長なり専務なり常務なりでつかんでおれば、下の局なり部なり課なりは一本の手綱につかまえられるのです。ところがあなたの方の御説明によると、アメリカに対する交渉は陸幕がやっておってその判断を誤まったであろう。自分たちのところは、内局陸幕を押える立場であるけれども、押えがきかなかった。結局これはやむを得ざりもののような説明に終ってしまうのです。三億円もやむを得ざりし金を使われてはたまったものではありません。ことに今日これが八十万着分も倉庫に眠っておるということであり、あるいはまた一方におきまして同量が他の倉庫に眠っておる、倉庫の経費だけでも大へんです。一体こういうものを二年も三年も寝かしておきましたならばこれは虫が食ってしまうのじゃないかと思うのだが、そういうおそれはないのですか。一体だれがこの保管の責任者ですか。
  117. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 防虫等の手当は関係者、ことに本物の技術家の意見も聞きまして十分な手当をするように措置いたしております。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官が見えましたので長官に聞きますが、これもまたあなたの方では私の着任前のことだからよく知らぬ、というて逃げるかもわからぬ、とかぐ決算委員会ではそういうふうになりがちでありまするので、私ども遺憾に思っております。一つそういうことのないようにしてもらいたい。なぜならばこれは国家の重大な予算を使っておりまする防衛庁の内部の問題といたしまして、特に今のところ機構、運営にひっかかった点をいろいろとお尋ね申しておるのであります。検査院が指摘しました一四の問題を今取り上げております。この一四と申しまするのは冬服七万着を不要であったのにかかわらず、昭和二十九年の十月から約三億ほど出して買ったという問題で、後日間もなくアメリカから七十万着分相当の生地並びに製品が来て、今なお大量現品はそのまま保管されておるという案件なのであります。そこで今問題になりましたのは、実はアメリカの方からは当年の八月にすでに無償譲与の情報が確実に把握されておったらしいのですけれども、それがいつ受けるかわからぬというので、実際は翌年の二月に最大三万五千着あればいい、翌年の七月に及んで更新期であるので七万着必要だというような実情にあったたわけであります。そこでそれがいつ来るかわからぬというので実は買ってしまったのだというお話でありまするけれども、そういたしますると、アメリカの情報はどこでとってどういう交渉をどこでやったかというと陸幕である、内局というのは長官を助けて陸幕の判断なり要求なりがもし誤まっておるならば、疑いがあるならば、これを制するのが内局責任じゃありませんか。それをうのみにするのは一体どういうわけなのです。ことに翌年の七月にならねば七万着は要らぬのに、前年の十一月に七万着を買ってしまわなければならぬというようなあわて方は、これは内局の立場としては少しおかしい、こういうことであっては内局とか陸幕とか、あるいは調達実施者のこの実施本部という三つの部局がばらばらの立場ではありませんか。一本にしぼってこの判断が誤まりないようになぜできなかったか、こういうふうにいろいろ尋ねておるのであります。こういうふうなことはあなたもここへお出になったのだから、この辺は十分に御検討になってこられたと思いますが、どうお考えになりますか。
  119. 船田中

    ○船田国務大臣 この冬服の問題につきましては予算委員会においても御質問がありまして、その当時私答弁申し上げておったのでございますが、私は決して責任を免れようなどと考えておるものではございません。しかしアメリカ側の供与するという確実な情報と今御指摘になりましたが、事実はそこまで確実な情報ではないのであります。しかもアメリカから得た情報というのは政府側のごく下級のレベルにおいてそういう連絡があって、君の方に行くらしいという情報だったのでありまして、はっきり政府側の責任者から話を聞いたというのではないのであります。従いまして新しい部隊が入るについての準備をするというために七万着の冬服を買い入れたということは、これは責任者としては当然なことであると私は思います。その後に七十万着の供与があったということでございますから、その保管につきましてはただいま装備局長答弁申し上げておるようにこれが腐朽しないように万全の措置を講ずるということが適当である、私はかように考えております。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官に申しますが、この問題はいろいろな問題を内包しておりまして、また将来への示唆もあると思いまするので、私はこれを取り上げましていろいろな角度から伺っておるわけなのです。あなたは誤解しておられるのだけれども、実は下級か上級かその当該情報を出したところはまだはっきり追及しておりませんが、いずれにしましても防衛庁自身としましては二十九年の九月下旬に無償供与確実なりという判断に到達しておるのであります。それが一つと、それから三十年の二月には七万着要らぬのです、二万着でいいというのです。しかし型が小さいのがあって着られないので三万五千着というのです。七万着要るのはいつかというと、さらに三十年の七月にならぬと要らぬのです。そういうことを今あなたは御承知で御答弁になったのですか。
  121. 船田中

    ○船田国務大臣 これは前に経理局長からも御答弁申し上げたと思いますが、現実に要る前に予算を平均化すために耐用年数の計算をいたしまして、ある程度の補給的な購入をいたしておるのでありまして、七万着買ったということが必ずしも過大であるとは私は考えられないのであります。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によりますと——局長次長答弁からあなたの御答弁によって足が出てきたのでありますが、一体この軍服というものは、補給するために余分に買うという趣旨が含まれておるのですか、それをはっきりしておきましょう。
  123. 北島武雄

    北島政府委員 事務的に私から御答弁申し上げます。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 待って下さい、長官が御承知でなしに御答弁になっておるならばそれはよろしい。よく御承知の上で御答弁になっておるならば事実が違うからはっきりしておいてもらいたい。余分のものを買うのを含んでおるかどうかはっきりしておきましょう。
  125. 船田中

    ○船田国務大臣 その事実に関する問題は事務当局から御説明申し上げます。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは予算実施の必要もあって余分のものを買うということがその趣旨として含まれておると御答弁になるが、つまりそれは翌年の七月にならねば七万着要らぬという事務当局の御答弁だったので、それはいかがかとお尋ねしたら、あらかじめ買っておく必要がある、こういう意味のことなのでしょう。腐朽のためにというのはあらかじめ買う、あらかじめ用意しておくという趣旨で予算をお使いになったのですが、その点をはっきりしておきましよう。
  127. 船田中

    ○船田国務大臣 これは私就任前のことでございますけれども、私は何も責任を免れようといって申しておるのじゃありません。事実につきましては、その当時扱いました事務当局から説明をさせる方がはっきりいたしますので、事務当局から御説明をさせようというのでございます。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところがその事務当局も、私は当時その地位におらなんだのでというのが前提のお話なのです。経理局長も、私は当時在任していなかったというのです、けれどもという前置きで御答弁をしておられる。こういう責任回避の態度はよろしくありません。人がかわっても政府の存在はなくならぬのでありますから、やはり政府の責任者として御答弁にならなければいけません。どうしても私は責任者でないというならば、当時の責任者に出てもらっていろいろと陳弁してもらわなければならぬ。問題点は、事務当局がるる御説明になったように、翌年の七月において初めて七万着が必要であるというならば、二月に最高三万五千着しか要らぬでしょう。三十五万着もやるというのだから、製品がよかろうが悪かろうがそんなにぜいたくをいうべきじゃありません。アメリカが無償でやるということは去年の八月に防衛庁は確認しておるのですから、その残りの三万五千着を、余分に買っておるということはますます奇怪ではないか。あなたの答弁によってこれはあらかじめ準備するものであるという趣旨が述べられたけれども、そんなことを言うた人はないのです。次長局長も、装備局長もだれもそんなことは言いません。初めてあなたがそんなことをおっしゃるのだから、事実御承知でなしに御答弁になったのならそれはよろしい、けれどもあなたがそういう趣旨をよく御理解の上おっしゃったとするならば、その趣旨をもっと明確にしなければいかぬ、経過はそうなってきておるのです。
  129. 船田中

    ○船田国務大臣 ですからその当時の事実を経理局長からよく説明させます。責任を私決して回避しておりません。
  130. 生田宏一

    ○生田委員 関連して、ちょっと船田長官もお見えになりましたからいい機会だと思いますので、永山政務次官もよく聞いておいていただきたいと思うのですが、先ほどから吉田委員の御質問を聞いておりますと、防衛庁当局としてはいろいろ考え方もあったように陳弁をされております。しかし会計検査院の指摘しておるこの事項は、私たちといえども防衛庁の物品購入については現実把握といいますか将来の見通しといいますか、大きなところでかりに善意であってみても確かに食い違いがあって、このような会計検査院の指摘を受けるようた事態になっておるのではないか、こういうのが私たちの考えです。そこで今長官責任の問題を御自身から言われておりますのでお聞きをしておきたいと思うのですが、会計検査院の方で二十九年度防衛庁支出について不当事項としてあげられておりますその考え方を見てみますと、防衛庁関係だけはその他の各省の不正事項不当事項とは多少趣きを異にしておるように思うのです。というのは物資の調達等を通じてみても、また工事の施工の状態を見ても、ひとしく認められることは、施設や機材の基本計画や所要経費の積算等がどうも不十分で検討が行われておらない。また物品購入にしても規格の決定であるとかあるいはその購入物資の特性であるとか、そういうものについての検討が不十分なために、買ってみても用を足さなくなったものがあり、また途中で手直しをしてみたり、途中で計画の変更をしてみたり、こういうような状態になっておる。また今の吉田君が大いに疑問を持ってお尋ねしておるものであってみても、防衛庁長官から内局を通じ、あるいは幕僚監部を通ずる強い連絡ができておるならば、このような問題は最小限度の被害で、国の財政の負担で済んだかもしれない、こういうような気がするのです。それで各省の不正不当を見てみますと、たとえば課長なり部長なり局長なり次官なりが知らない間に下級の職員が不当な価格で物品を払い下げてみたり、そして自分が利得をしてみたり、また実際に工事をやってみるとコンクリートの混合が規格品とは違うのであるが、これを見のがしてあと会計検査院の摘発を受けてみたり、またある場合においては金銭を扱う係長とか課長というのがその金を横領してみたり、こういうように上官の監督をごまかしてその間に不当なり不正なりの所業が行われておるというのが大体の通則です。ところが防衛庁関係ばかりは、防衛庁の最高指導方針に基いていろいろな計画を立てねばならない、物資の購入をしなければならない、あるいは被服の問題にしてもアメリカ軍との間に供与の話し合いが進んでおる、その供与の話し合いについては供与の内容が明確でないからもし手違いがあってはならぬと思うから必要分だけ買ってみた、こう言うのであるけれども、しかし実際に結果するところは不当なると言いますか、不必要なるものが何万着か買われておる状態である。またそれのみならず個々の問題については言いませんけれども、ここの七から三一までの間に会計検査院から指摘せられております物品調達については四億三千百万円、また工事の不正については四千二百万円、合計四億七、八千万円というものが、このほとんどすべてが検討が不十分であるとか、防衛庁の単なる係長あるいはその担当者の不正ではなしに、防衛庁の方針が的確になっていないから、その間において国に迷惑をかけて、不当の支出であるとか不急のもの、不用のものを買った、あるいは買ってみたところがだめであった、そうしてこれを退蔵しておるというような状態にあると思うのです。そこで私は船田長官は在任期間は短かい、また永山政務次官も短かいのですが、それかといってこの防衛庁会計検査院から指摘せられたものをこのまま見のがしていいとは私はどうしても考えられない。また増原次長防衛庁ができました当初からの責任者で、事務的な最高の責任者だと考えておるのですが、私は増原次長にお尋ねしてみるのが一番よくはないかと思うのです。従って防衛庁はかようにはっきりと上から下まで計画がきまらずに、物資の調達なり工事の施工なりをされるような状態で、今もって三十年度、三十一年度も続いてしそのか、またそのようになぜ防衛庁というものは秩序が立たないのであるか、その責任は一体課長にあるのか係長にあるのかあるいは幕僚監部にあるのか、あるいは次長を先頭とする内局にあるのか、あるいは防衛庁長官の指導よろしきを得ずして今日に至っておるのか、そこに機構の不備があるのならばあなた方率直に機構の不備を訴えていただけば、立法府にあるわれわれはそれを考えます。しかしながら今日の状態が、たとえば防衛庁ができてまだ日も浅くて、このように大きな防衛力を増成するためにはなかなか手間がかかるものであるし、秩序も立ちにくいのだ、そうしてあなたが全力をふるってやってみても力及ばずしてこの程度しかできないのだというならば、それも率直に申されて私は承わった方がいいのではないかと思います。私が特に申し上げたいのは、各省の不当不正と防衛庁の不当不正は趣きが違います。率直に言うならば私は防衛庁の最高幹部にこの責任がある、というのは、本件の第七から三一までの防衛庁の不当事項を、これは二十八年度を見ましてもそうです。二十九年度あるいは三十年度も私はそうではないかと思っておりますが、概観してこれから受け取る感じは、私はこれらのすべてはむしろ防衛庁の相当高い責任者がこの責任を負うべきではないか、こう考えておるのですが、これは糖原次長がその事情を一番よく知っておると思いますので、率直な御意見を聞かしていただきたい。これは大臣がここへ見えられて責任という問題について言及されましたので、私はお聞きしてみる次第です。
  131. 増原恵吉

    増原政府委員 御指摘をいただきました事項はまことにごもっともなことが多いと思います。防衛庁は警察予備隊、保安庁、防衛庁というふうになりまして、初め陸だけでしたが、次に陸、海、それから空というふうに大きく三段階の変遷を経て参りました。最初警察予備隊という時代はいわゆる陸だけの時代でございました。機構としましては、長官のもとに内局がありまして、基本的な事項について長官補佐する。当時は総隊総監部という形において陸の組織がございました。具体的な実施事項については総隊総監部において施行せしめ、基本的な問題について長官補佐する。内局の面は調達の面について監督、指導というようなことに大体はなるわけであります。もとより予算を作る当初において、基本的計画を作る場合に長官補佐する。そういう形で警察予備隊として発足いたしました。これが保安庁になりまして、陸と海とができまして、第一、第二幕僚監部という形になりました。そして長官実施事項については、すべてこの幕僚長を通じて行うということが法律に定められまして、幕僚監部において実施事項は現実にはこれをつかさどり、内局いわゆる内部部局はその基本的事項について長官補佐するという建前をとりました。それが防衛庁になりまして、陸、海、空の三つの幕僚監部が、陸上一海上、航空という形でできましても、大体基本的ないき方は同様でございます。  調達の問題につきましては、最初に予算を作りますときに、服を何万着というふうなことを基本的に審議をしてきめるわけでございます。これは先ほど吉田委員の御質問に、他の政府委員からもお答えをいたしたのでありますが、問題になりました七万着につきましても、二十九年度にむいて調達するということを当時審議をしてきめ、大蔵省予算要求し、国会の承認を得たわけであります。この七万着は具体的にいいますと、昭和二十九年度の末に現実に要りますものと、三十年度に入りまして、初頭に要りますものと、両方合せて二十九年度調達をするという計画要求をいたしたわけであります。そうした基本的な最初の要求について内局が十分長官の決定を補佐するということはもとよりでございます。その他の重要装備品につきましても、計画の当初いわゆる予算という形で具体化いたしますが、その際には内局が関与をいたします。経理局のみならず他の各局もそれぞれの分掌に応じて基本的に長官補佐するという仕事をやるわけでございます。そして現在の防衛庁調達を行います際に、私どもが及ばずながら努力をいたしておるつもりでございますが、相当に私どもとして困難を感じ、力が及ばざるところを感じますのは、防衛庁調達いたします物品は、普通他の方面で調達いたしますものと仕様その他の違いますものが非常に多いのであります。同じ車を買うにいたしましても、防衛庁で使いますトラック等は普通の市販品とは異なる仕様書を持ち、また武器等になりますと、通信機というものも一般の市販のものでないものが非常に多く、その仕様を決定いたしますのはなかなか困難と申しますか、時日を要し、技術を要するというふうなことで、その間に完璧の念が届かないという例が従来ございましたことは、残念ながら事実でございます。もう一面、防衛庁調達の他省と違いますところは、特に武器等におきましては、初度のもの、あるいは事後におきましても、補給のための部品等は、従来は大部分米軍の供与に期待をするというふうなものがございまして、向うの方とも抽象的には初度の装備は差し上げようという大体の話し合いがついておるわけであります。しかし現実にこれをもらって使う、たとえば船の搭載兵器のこときは、これをもらって船に乗せるという現実の問題になりますと、一応口約束で初度のものは上げましょうということでありましても、現実に物が来ないと船に積めないという問題があります。実際に上げますという書簡類をくれますのは、物がこれからすぐ参るという時期にならぬとよこしてくれない、それまでは、武器でありますと、大体いつごろまでに上げられると思うということを口頭をもって知らしてくれる。従いましてこれも決算委員会等で今までいろいろ御指摘を受けましたが、二十八年度予算をもって御議決を得ました千六百トン型、千トン型等の艦船がやっと今年に入りまして完成をし、引き渡しを受けるというような状態でありますが、かようにおくれました一つの理由は、搭載兵器類が予期のごとく来ない、大体口頭をもっていつごろまでには上げられるという時期がだんだんおくれて参るということがおもな理由に相なっておるわけであります。そういうことでありまして、防衛庁調達機構といたしましては、長官のもとに内局がありまして、予算を作る際に基本的計画を定めて、これを各幕に指示いたしますが、具体的な事項につきましては各幕で計画を立てて実施をしていく、比較的重要なものについては、その際さらに内部的には大蔵省と具体的な予算示達その他について相談をすべきものが相当あります。そういうときにはもとより内局がこれに当って、調達については経理局、装備同等が所管としてこれに参与をいたしまして、予算をある意味において再検討するくらいの考え方で現実的な示達をするという措置をとっているわけであります。そして調達実施に当ります機関は、最初ば総隊総監部といいました陸の方に具体的計画をする分野がございまして、保安庁になりましても第一幕僚監部にそうしたものを持っておったのでありますが、これはだんだんやって参りました実績等にかんがみ、いろいろ実施面に当ります仕様書を審査するもの、原価計算を行うもの、現実に各会社等と調達契約を締結するもの、そうした実情がだんだんとなれ、整備をしてくる経過とにらみ合いまして、これを一本に長官の付属機関とすることを適当と認めまして、調達実施本部を作り、当時実体としては、大部分が第一幕僚監部にあったわけであります。それを整備し、人員を若干増員をしていただき、機構を整備しまして調達実施本部を作った。現在は要求のもとは各幕僚監部責任各課で作りまして、この要求調達実施本部に提出をする。調達実施本部において、重要な調達品につきましては、特に随意契約にするとか、指名競争入札にするとかいうものは、調達実施に関する、委員会を作りまして、これは各幕僚監部責任者と内局も参加をいたしまして、慎重に審議をするというふうな手順を経まして、重要なものは長官の決裁を経て調達する。平素事務的に年々歳々同じような形において処理できるようなものは、幕僚監部において実施をする。調達実施本部が買い入れるというような形をとっておるわけでございます。出発の当初、何しろ七万五千の警察予備隊が今まで全然ありませんところへでき上りまして、とにかく七万五千の部隊を作り、これの装備を行い、調達実施するということを始めましたので、残念ながらいろいろと係官の量質ともにこれを十分に獲得することが非常に困難であった。漸を追ってこれが保安庁、防衛庁となりまして、量を充実し、また質においてもそれぞれ係官にも勉強をしてもらいまして、その成果を上げて参ったのであります。現在のところ機構それ自体として特に抜本塞源的に改めなければならぬという点はないと私は考えております。細部に入りますと、もとよりだんだんと充実をしていくべきものがありまして、三十一年度予算にも調達実施本部の若干の増員等をお願いをして、御議決願ったわけであります。漸次整備強化いたしますべき面がありますことはもとよりでございますが、機構として、特に抜本的に今どうこうしなければならぬというふうには考えておらないわけでございます。発足以来ときどきの推移に応じまして、係りの者一同は、長官の指示のもとに、一般的な基本的な問題の補佐に当るべく、内局の者も具体的な実施責任者でありまする各幕僚監部も、それぞれ相当の努力を続けてきたことは、私申し上げられると思うわけであります。遺憾ながら会計検査院から御指摘を受けておりますことも事実であります。この点については時々さらに具体的に検討をし、反省をいたしまして、さようなことのないように十分努力したい。将来もさらに万全を期するようにいたしたいと思います。
  132. 生田宏一

    ○生田委員 これで終りますから。私は吉田委員の質問に関連でありますので、余分なことは申しませんが、大臣がお答えになりましたものの中で、この防衛庁の不当事項の発生は、従来の他の官庁にあるものとは趣きが違うのです。それでその違うのはどのように違うかというと、今増原次長が御答弁になりましたことも、私たちはわからぬことはございません。またそれについて二十九年の七月からは、調達実施本部をこしらえて、その弊害を少しでも取り除こうとされている努力は、私は認めますけれども、しかし私が考えてもらいたいと思いまするのは、これは単に係官の悪心より出て不当な事実が行われるということではなしに、防衛庁の運営に手の届かないところがあって、そして起きてきているというように考えられるのですから、それであとの問題はまた吉田君あたりから質問をして参られると思いまするので、私は単にその責任の問題だけのことでございますが、大臣もよく事情はおわかりのことと思いますので、これについては十分に御留意をして善処をされるのでなければ相ならぬと思うので、一つこの際そういう方向へ現長官が強い御決意をもってやっていただきたいと思うのですが、そのお考えを特にここで聞いておきたいと思います。
  133. 船田中

    ○船田国務大臣 ただいま生田委員り御指摘になりましたように、防衛庁予算の執行につきまして、経理の問題につきましていろいろと批難事項を出しましたことは、まことに遺憾に存じます。しかしこの問題につきましては、ただいま増原次長から詳細御説明申し上げましたような事情がございまして、過去において幾多の欠陥を持っておったと思います。それらの点は十分是正をして参りますが、ただいまも答弁がありましたように、一昨年七月調達実施本部を作り、また建設本部もできまして、せっかく陣容を整えてやっているのでございますから、大きな機構の改革ということをせずに、それぞれの職責にあるものが十分責任を自覚いたしまして、またお互いに各幕あるいは実施本部、建設本部、それらの内局と各幕僚との間の緊密な連絡をいたしまして、今後誤まりのないように運営をして参りたい。特に私も就任早々このことにつきましては、従来この委員会、内閣委員会においてたびたびそういう質疑応答を繰り返されたことも、私内閣委員として承知しておりますので、特に私は就任後その点につきましては各下僚に厳重にそのことを申し渡しまして、一銭一厘たりともむだのないように、また効率的に使うようにということを努めてやっているので、今後におきましても、十分その点については留意して参りたいと思います。
  134. 山田長司

  135. 神近市子

    ○神近委員 防衛庁の批難事項は、何か非常に不明朗なところがたくさんございますので、私は他日いろいろ御質問したいと思っていることがございますけれども、きょうは不当の問題が出ておりますので、休憩時間も迫っておりますし、ほかの方にはわたるまいと思います。一点御注意しておきたいことは、さっきどなたかが三十年の二月に必要な制服は二万点であったけれども、小さいのが出るので三万五千にしたんだという御返事があった。大体小さいのがたくさん出るということがわかっているならば、なぜその寸法を大きくなさってお置きにならないかということ、大は小を兼ぬといいますから、ちょっと大きくても、袖口かズボンの下を詰めれば、使用にたえないことはない。つんつるてんでは着られないということは事実です。洋服を作って納める人たちにすれば、一インチ寸法が違いましても、量がたくさんありますから、非常に自分たちは得をするわけで、そういうところから私どもは何かわざとこういうむだを作っていらっしゃるんじゃないかというような印象を受けるのでございます。それが一点。それからそのほかに、いろいろ批難事項か見ますと、防衛庁はずいぶん悪質な商人によって取り巻かれていらっしゃるというような感じがするのでございます。私はあまり詳しくは知りませんが、ちまたでうわさをしているところによりますと、防衛庁のお仕事をいただけば大へん金がもうかるというようなことをちらっと言って聞かせた人がありますので、そのことを考えて批難事項を読んでおりますと、いろいろの疑惑がわくのでございます。たとえば商人との随意契約とか、一般競争契約とか、あるいは指名競争契約とか、こういうような段階をどういうふうにして御決定になっているかということを、利は質疑のときに伺いたいと思っているのですけれども、きょうはそれをやめることにいたします。そこで、防衛庁で特に始終仕事を出しておいでになるところの商店なり会社なりのリストがございましたらそれをいただきたいと思います。  それからこれはほかの官庁の場合でもあったのでございますけれども、こういう批難事項が出ましたときの事後処置、その責任者に対する処置が官庁では非常になまぬるいということを私は考えるのです。これが会社や何かでございますと、すぐに馘首とかあるいは補償とかということが問題になって相当責任を負わされる。それがお役所ですと、いろいろさっきからの御答弁を伺っておりましても、責任の所在がどこに行ったかわからぬようになってしまって、長官責任をとるというふうなお言葉がございましたけれども長官責任がいくという事項でもないようなことがたくさんあるのです。そういう場合にどこをどういうふうに処分なさるか。たとえばこの冬服の問題でも、問題の決定をした、あるいはその衝に当った人に、何かやはりこれに対する道徳的な責任というか、あるいは行政的な責任というか、そういうものをつける必要がある。そのことによってもっとみんな性根を入れかえて、そして自分たちは国家の予算行使の重い責任にあるんだという観念が生まれてくるのじゃないかと思うのです。防衛庁長官は就任以来、非常に責任をもってこれをやりかえるという考えがあるとおっしゃっていますので、これからそういうふうなことをもっとしっきりと御履行なさるお気持があるかどうか、それを承わっておきたいと思います。
  136. 船田中

    ○船田国務大臣 ただいま神近委員から御質問になりました責任をどうしておるかということにつきましては、これは政府としても非常にこの点を重視いたしまして、会計検査院からいろいろ批難事項として指摘されたものについて、これを各省庁において検討いたしまして、そうしてその責任の所在を明確にして、三月十五日までにその処置を政府の方に報告するようにということを、内閣におきましてもすでに早くそういう措置をとったのでございます。防衛庁におきましてもたくさんの批難事項に対しまして、一々これを詳細に検討いたしまして、そうしてその責任者に対しましてはそれぞれ措置をとりまして、すでに三月十五日内閣の方にも報告をしたようなことでございます。今はっきりその数字を覚えておりませんが、約三十八名くらいの者が、責任の重い者は懲戒免職また訓戒とかあるいは多少事情の軽い者につきましては注意あるいは戒告というような措置をとりまして、それぞれ責任者に対する将来の戒めにもいたし、またそれによりまして部内を戒飭いたしまして、今後誤まりのないことを期しておるわけでありまして、今後におきましても今御指摘のような点については再びあやまちを繰り返さないように最善の努力をして参りたいと思います。
  137. 小松幹

    ○小松委員 二点だけお伺いします。装備表というものは現在あるのかないのか、と同時にそれに伴う仕様書というものは、どういうふうに作られておるか、そのことが一つ。もう一つはここに報告書に出ておりますが、額は小さいけれども、冷凍部隊もなければ冷凍機もないのに、冷凍機を修理するセットを買ったということ、このことはちょっと普通の常識では考えられない、元がないのに修繕道具を買うというようなことは、これは本人の悪意でなく機構の根本的な誤まりか、あるいはこれを購入するときには二十八年の三月なんですから、予算消耗のために無理に買っちゃったのか、その辺を二点に分けてお聞きします。
  138. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 初めの御質問の装備表は、装備品につきまして装備定数表を作っております。それから第二の御質問の仕様書の作成の手続でございますが、ことに問題の陸上自衛隊関係の仕様書は、当初は一応米軍の規格をそのまま使ってそれを防衛庁としての制式とするということでございましたが、だんだんとあるいは国産等を改造するというように、日本人の体格に合うように改造するということを指示いたしております。あるいはまた新しいものを作るとか、こういったようなことにつきましては、まず陸上幕僚監部から性能要求を出す、たとえば通信機だと、こういう感度でこういうものがほしいということを出しますと、これを長官審査いたしまして、よいと思えば技術研究所へ設計しろということを命ずるわけであります。それで技術研究所で設計いたしまして、それを技術研究所陸上幕僚監部は共同いたしまして技術試験あるいは実用試験をいたしまして、これでよいというものができますと、技術研究所陸上幕僚監部の両方から長官上申いたしまして、制式を決定する。そうしてきまった制式によりましてもし当該年度調達がありますれば、その仕様書を添えて調達要求をする、こういうふうな手続にいたしております。  それから今の冷凍機の修理用具でございますが、これにつきましては、当初冷凍部隊というのかございまして、これは先ほど申し上げましたように、ごく初めには米軍の装備定数もしくは部隊編成というものを当初そのまま一応用いたという関係もございまして、それが装備定数に残っておる。それをその後に部隊をあるいは改編するというような事態もありましたのを十分確認しないで、この修理用具について調達をいたしたということでございまして、定数もしくは部隊の改編等についてのその際の連絡確認が不十分であったということに、この場合基因するものと思います。
  139. 小松幹

    ○小松委員 今冷凍部隊があったと言われました。それは事実かどうか。冷凍機というものが日本にあったかどうかということが第二点、第三点は仕様書の検討というものはやっていなかったのかどうか、その三点……。
  140. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 冷凍の修理工具等につきましては、当初冷凍部隊というものは編成上あったわけでございます。ただし実際の編成、実質はゼロということで、部隊編成上にはあったわけでございます。それで、それに基く冷凍機に対する修理工具は装備定数表にあったわけであります。ところがその後検討の結果、冷凍部隊というものを必ずしも必要としないということで改編をいたした、その間の連絡が不十分であったということは、これはまことに遺憾な事例でございますが、その場合の規格使用は米軍そのままでございます。
  141. 小松幹

    ○小松委員 そういう事実だろうと思うのですが、冷凍部隊が仮空に帳面の上にあったから、冷凍機もなければ実質そういう部隊もないのに、修理用具だけ百十万円ですかで買うという、そのことが根本的におかしいんですよ。ものがあって修理用具を買うというならば、これは話がわかる。あるいは時間がずれたというならばわかる。ところが三月のおしまいになって今度は防衛庁の入札状況を見たら、三月の中旬から下旬になってぱっと件数が多くなって落札しておる。こういう実態を見ると、これは単なるいわゆる仕様書の検討の誤まりというだけでは済まされぬと思う。購入担当官のいわゆる予算を消耗するあせりともからみ合っていると思う。その辺のところはどう考えるか。
  142. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 規格仕様の検討のためということではございませんで、このケースはさきに申し上げましたように遺憾な場合でありまして、冷凍部隊がその後改編されたということについて十分な連絡確認がなくして、予算実行計画に従って調達したということでございまして、特に消化を急ぐということについては、少くともそういった部隊改編の事実を部内に連絡不十分で購入したということの事例で、まことに申しわけない事例だと存じております。
  143. 小松幹

    ○小松委員 ではその問題は次の決算委員会で私はやろうと思いますから、突発に一つ別な問題について、先般来問題になっているC45の輸送機、これは新三菱重工で整備して、分解修理をして四時間の後にエンジン発火を起しておる。これは事実かどうか。その修理の状況なり、その後の実態を詳細に承わりたい。
  144. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 ただいま仰せの事実は大体事実であります。私どもの方といたしましては、その後現在保有いたしておりますのは二十六機、C46は全部米軍から供与を受けて現在使っております。大体その年次は一九四五年前後の製作にかかるものであります。約十年ということでございます。飛行時間を見ますると、機体の方で多いので五千時間、エンジンでは二、三千時間でございまして、普通の耐用年数すなわち製造の時期から全然だめになってしまう時間、あるいは御承知だと思いますが、エンジンと飛行機の機体によって違いますが、二年とか一年半にいわゆるオーバーホールをいたします。オーバーホールをいたしますとまた千数百時間、エンジンでありますと千五百時間持つというのが米軍の方の基準にもありまするし、そういうことで運用いたしております。現在のC46の機体及びエンジン——この場合エンジンが問題でございますが、エンジンにつきまして一応通常の耐用年数もしくはオーバーホール後の使用時間から申しますと、一、二ちょっとそういった面ですぐにオーバーをしなければいかぬというのが五、六台ございました。これは当然その順序に従ってオーバーホールするわけでございます。その他のものにつきましても、実にこの間あの事故のありましたのも、決してこれはオーバーホールの時間からいい顧して無理に使っておった時間数ではないのでございます。これは何しろ人命にも関することでございますから、そういう点厳重に今関係メーカーも入れて、私どもの方が中心にたりまして、エンジン及び機体の両方について精密に調べておるところでございます。これによりまして、実際オーバーホール後老朽あるいは耐用年数を超過して、いるから起っているものか、あるいはエンジンなり機体の設計上の欠陥が出てきておるのではないかという点をちょうど今検討いたしておりまして、近く結論を得まして、いやしくも間違いのないように処置いたしたいと目下懸命にやっておるところでございます。
  145. 小松幹

    ○小松委員 これは私耐用年数の問題——こういうエンジンあたりの耐用というのは、やはり稼動時間の問題だろうと思うのです。これはどこで使ったか、おそらく朝鮮戦争で使ったんだろうと思う。そのいわゆる廃品、もう使われないと思われるのを持ってまて、それを日本に使わせておると見る見方がいいのだろうと思いますが、それにしても、あなたは装備局長ですか、そういうものの耐用年数なり、あるいは分解修理をして後のエンジンが四時間もたたぬうちに亀裂を生じたり、発火をしたりするような実態というものを御存じなかったかどうか。しかもこれは私の知る限りでは、去年の初めごろから入ってきておるのではないかと思う。そして九州の築城と北海道におおむね輸送機として飛ばしておった。これは私の聞く限りでは大丈夫だ、ただあれはバンドは締めるから、少少エア・ポケットに入っても大丈夫だ、庁内ではこういうふうに言われておった。非常に自信満々のように聞いておった。日航機よりも相当自信があるのだ、こういうようにも聞いておった。ところが意外にもその後の状態を見ると、C46は二十六機あるうち、ほとんど修理に入ったりあるいは修理してもそのまま使えたかったりしておる状態だ。この修理をやっておる状態あるいは倉庫に入れておる状態をもう少し説明していただいて、その辺の検討はどういう検討の仕方をしたのかということをいま少し聞きたい。
  146. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 C46は二十六機保有しておりまして、ほか二機教材として使っておりますが、その二十六機のうち、今日現実に稼動いたしておりますのは美保を中心といたしまして六機でございます。二十六機のうち十六機までは大体動かすような手配になっておるのであります。現在の部隊編成からいうと、十機を予備機として、オーバーホール等をいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような事故の関係もあり、オーバーホール後これは決して耐用年数超過ということではありませんが、ある程度の時間を超過しているのは一応押えて研究するということで、今日ではこれは動かして動かぬわけではないのでありますが、一応六機が稼動しておるということで、その十機及び六機、合計十六機につきまして、さらにまた予備にあります十機につきまして、先ほど申し上げましたような検討をいたしておるわけでございます。
  147. 小松幹

    ○小松委員 防衛長官にちょっとお尋ねしますが、日本に来ておる武器あるいは機材等はおおむねアメリカの中古品以下のものだということは定評なんです。こんなもので国が守れるかどうか、分解修理して四時間もたたぬうちに発火事故をエンジンが呈する、気筒が亀裂するようなことで、これが防衛力になるかどうか、そういうものを持って国防の第二線だとか、あるいは輸送の第一線だと言っているこの事態がおかしいんだ。その辺について防衛長官、どういう防衛の自信を持っておるか、一つ御感想を承わりたい。
  148. 船田中

    ○船田国務大臣 C46につきましては、遺憾ながら今御指摘のようなことがございました。しかしその他の兵器、艦船、飛行機等につきましては米軍側から供与されたものが役に立たないということはございません。十分役に立っておるのであります。しかしこれは先ほどもお話が出ておりましたが、何とかして日本の国情に合うまた国民性にも適合するようなものにだんだん改造をしあるいは改良をしていくというような点についても十分研究はして参らなければならぬと思います。しかし供与をされました大部分の火器あるいは艦船、飛行機等は十分役に立っておるのであります。
  149. 小松幹

    ○小松委員 これは会計検査院もどこかで指摘しておったが、軍隊に使うといいますか、そういういわゆる戦力たる軍備品はもう年々歳々日進月歩して変っていく。そういう中に四五年の、いわゆる今から十年も前の輸送機とかあるいはエンジンを持ったもので国防ができるというような、それが使えるのだという考え方と、戦争に防衛して勝つという、あるいは防衛力を発揮するという考え方と同じかどうか、長官一つお答え願いたい。ただ使われるというのなら明治時代のものでも使える。火なわでも使えるのです。その辺はどうなんですか。
  150. 船田中

    ○船田国務大臣 供与された艦船、飛行機のうちに多少古いものも今御指摘のようにないとは申し上げかねます。しかし最近対潜哨戒機として供与を受けておりますP2Vネプチューンという、ロスアンゼルスのロッキードの工場から直接日本に輸送されてきているというような、こういうものもあります。またその他の兵器、艦船、飛行機につきましても第一線機を供与を受けておるのでありまして、わが方といたしましてはこれを活用することによりまして、供与を受けましたものをもって十分防衛の任を尽し得ると考えております。しかし先ほども申し上げましたように日本人の体格あるいは性能から見まして改良していかなければならぬものもございます。そういうものにつきましては技術研究所が中心になりまして、また各幕僚とも密接な連絡をとりましてこの改良には最善の努力をいたしておるわけでございまして、日本人の性能、体格に適合するような兵器、艦船、飛行機を作るということにも最善の努力を傾けて参りたいと考えております。
  151. 小松幹

    ○小松委員 それでは最後に一つだけ装備局長に伺います。新三菱重工に今年の三月になりましてC46の部分品を一千何百万円か注文していますね。これはどういうことなんですか。
  152. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 新三菱重工に最近発注いたしましたのはC46のエンジン、これは問題の起る前でありますが、エンジンのオーバーホールを二機この二月に発注いたしました。修理でございます。
  153. 小松幹

    ○小松委員 この事件の起る前に発注しておりますか、起ったのは三月の何日ですか。
  154. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 起ったのは三月の一日でございます。
  155. 小松幹

    ○小松委員 注文して落札したのは、三月中旬ごろに部分品を要しておりますよ。
  156. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 オーバーホールは昨年の秋からの問題でございまして、二月中に発注したものでございます。部品の方は何月であったか、今ちょっと記憶いたしませんので調べて御報告いたします。
  157. 小松幹

    ○小松委員 新三菱に千四百万円の部分品を三月中旬に落札いたしております。
  158. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 千四百万円ということだと、多分私はオーバーホールのことだと思いますけれども、それにいたしましても新三菱に発注いたしましたのは例のプラット・エンド・ホイットニーというエンジンでございまして、これのいわゆるライセンス、製造権は新三菱が持っておるわけでございます。そういうわけで向うに契約をいたしたわけでございます。
  159. 小松幹

    ○小松委員 その契約ですが、その事故があって後の契約なのですね。
  160. 久保亀夫

    久保(亀)政府委員 今のオーバーホールの件は、時日は事故の前だということをはっきり承知いたしておりますが、部品の発注は私今ちょっと正確に記憶いたしておりませんから、調べて御報告いたします。
  161. 小松幹

    ○小松委員 その問題は以後にいたします。質問を保留してきょうは時間が過ぎておりますから終ります。次の決算委員会に続いて質問いたします。
  162. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 続いて資料を……。ただいま小松君の御質問になりましたのは重要な問題が示唆されておると思いますが、やはりこれは飛行機の性能管理の面あるいは業者との関係あるいはアメリカの供与物資の性能問題等々と関連がありますので、これは十分に資料を用意して、数字、年月日その他の資料によって答弁準備をしておいていただきたいと思いますから一つお願いしておきます。
  163. 山田長司

    山田委員長代理 ただいま吉田委員及び小松委員からの資料請求につきましてはおわかりになりましたね。——では午前の会議はこの程度にとどめ午後は二時から再開いたします。なお政府側も午前通りに午後も御出席を願います。  暫時休憩いたします。     午後一時二十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕