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1956-03-28 第24回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十八日(水曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 山本 猛夫君    理事 片島  港君 理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君   小笠原八十美君       椎名悦三郎君    田中伊三次君       本名  武君    坂本 泰良君  出席国務大臣         国 務 大 臣 倉石 忠雄君         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      眞子 傳次君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   梅村 知躬君         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益太郎君  委員外出席者         総理府事務次官         (調達庁次長) 丸山  佶君         総理府技官         (北海道開発庁         農林水産課長) 金子  満君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         会計検査院事務         官         (第三局長)  石渡 達夫君         最高裁判書事務         総長      五鬼上堅磐君         判     事         (最高裁判所経         理局長)    岸上 康夫君         最高裁判所事務         官         (経理局監査課         長)      沖倉 美一君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十四日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として原  彪君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員原彪辞任につき、その補欠として坂本泰  良君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  昭和二十九年度決算を議題といたします。本日は裁判所調達庁及び北海道開発庁所管について一括審査を進めます。これより審査に入るのでありますが、その前に裁判所所管につきまして会計検査院当局より説明を聴取いたします。保岡第二局長
  3. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 裁判所不正行為一件でありまして、個所は、二カ所と三カ所みたいでありますが、これは神戸地方裁判所伊丹支部、それと伊丹簡易裁判所、これが一つのビルディングで一カ所と見られて、これは一事項であります。それと大阪裁判所、これが一事項になっております。それで二九ページに書いてございます表になっておりますが、五十万円以上のものは今申しました神戸地方裁判所伊丹支部伊丹簡易裁判所の分であります。この分は、歳入歳出外現金出納官吏が、自己の口座から小切手を振り出しまして、それを取り、また隔地送金手続をいたしまして、みずから銀行へ行って受け取ったり、また破産予納金を預入しないで横領したりしたものであります。これが八十三万円ばかりあります。  もう一つは、大阪裁判所で証人、鑑定人を呼んだこともないのに架空名義で呼んだことにいたしまして、日当、旅費、宿泊料請求書を作りまして裁判官の判を妄用いたしまして、出納官吏から受取ったり、また出納官吏送金手続をさせましてそれを受け取ったり、また関税違反証拠品として領置した時計を、仮出表を偽造いたしまして領置物取扱い主任から受け取って質に入れたりなとして横領したのであります。これが時計評価額が二十二万五千円で、その現金の方は十万円ばかりであります。  以上であります。     —————————————
  4. 上林與市郎

    上林委員長 前回の委員会におきまして調達庁所管につきましては検査院当局説明がありましたが、この際倉石国務大臣から特に発言を求められておりますので、これを許します。倉石国務大臣
  5. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昭和二十九年度における調達庁業務は、駐留軍に対する施設提供及びこれに伴う種々なる補償業務労務提供業務とでございます。すなわち調達庁は一方において行政協定の規定するわが国の施設等提供義務を履行しつつ、他方これらと一般公共の福祉との調整をはかり、国民の権利を擁護しなければならないという、きわめて複雑困難なる立場にありますので、業務の運営、予算の執行の適正には特に注意を払ってきた次第でありまして、会計検査院の御指導により年々批難事項等は減少して参りましたが、なお若干の事項につき今回国会の御審議を煩わしますことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  すなわち、昭和二十九年度の会計経理上御指摘を受けました批難事項は、不当事項二件、是正事項一件でございまして、不当事項のうち一つは、駐留軍提供する代替施設建設に当り、駐留軍との交渉及び関係機関連絡調整が不十分なため返還施設使用解除が遅延し、結果的に不経済な借料を支払ったといわれているものであり、他の一つ営業用倉庫借料算定に当り適正を欠いたといわれているものであります。  また是正事項としてあげられましたのは、建物及び土地の借料の支払いに当り、事務上の間違いにより過払いとなるに至ったものであります。  調達庁といたしましては、是正すべきものにつきましては、もちろん会計検査院指摘の通り直ちに回収措置を講じ、全額返納せしめた次第でございますが、駐留軍との交渉関係各省間の連絡につきましては、従来も極力緊密を持するよう努力して参ったのではありますが、今後ともなお一段の努力を重ねることといたしたい、また営業用倉庫借料算定基準につきましても十分検討を加え、今後このような事項について御指摘を受けることのないよう、なお一そう十分な注意を払う所存でございますから、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。  なお、個々の事項につきましては、政府委員から詳細な説明をさせたいと存じます。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 それではこれより質疑に入ります。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 倉石さんにお尋ねするはずでありますけれども、少し事実の関係を明らかにするために、まず検査院当局にお伺い申しますが、三一ページの報告番号二の(ア)でありますが、このうちの工事費が七十三億九千万円を要して施設は完了しておる、ところが電話施設維持費使用料分担等について解決をしておらなかった事実がある、こういうようなことが指摘されておるのでありますが、これはこまかいようでありますけれども、この案件が全体として政府各省庁間における連絡不十分という指摘と照応いたしまして、それは一体どういうことをさすのでありますか、これをちょっと明らかにしておいていただきたいのであります。
  8. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 電話施設といたしましては、今までの旧施設につきましてもこの問題があったのでございます。その解決がまだついていなかった。と申しますのは、電話は、アメリカの方では施設であったサービスではない。ところが日本の方では今までの通念でこれはサービスである、ですから維持料使用料は使っているものが払うべきである、こういうふうに考えておった。そこで今度アロケーション・プランによりまして新しい施設ができたときにこのことを解決しよう、解決しなければ移りもしないし旧建物も返還しない、こういう問題が起ったのであります。ですからこの問題は、アロケーション・プランの初めからこれをやっておけば、建物ができてしまってからこういうことを今さら事新しくやる必要はないのだ、こういう会計検査院の考えで出したわけであります。
  9. 上林與市郎

    上林委員長 裁判所当局が出席しました。五鬼上事務総長が出席しております。なお裁判所当所は特に補足説明はないそうでありますから、質疑を継続していただきます。
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣がお急ぎのようでありますから、なるべくその方を先に済ますことにしたいと思います。  そこでこれは、そうしますと日本政府——調達庁もしくはその他と米軍との間の話し合いが未解決であった、こういう意味になるけなんですが。
  11. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 さようでございます。合同委員会または二十八年の十二月ごろからできました施設特別委員会解決しておくべきものと考えおります。
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点につきまして一つ調達庁当局事務的な御説明を願いたいのです。
  13. 眞子傳次

    眞子政府委員 電話施設に当るか、あるいはわれわれの考えるサービスに当るかということにつきましては、その解釈は外務省お答えを願いたいと思います。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 外務省は見えておるのですか。
  15. 上林與市郎

    上林委員長 外務省は出席しておりません。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはりこの案件は、調達庁外務省大蔵省建設省各省関係にまたがるようであります。とかく二十九年度の建設省所管案件についても、大蔵省建設省関係その他各省との関連が適切でなかったというような面も出てきますので、各省立場なり機構なり、この種の問題に対する取扱いの実際なり、そういったことを十分に究明する必要があると私は思います。今日は大蔵省外務省関係はありませんけれども、過去の案件責任もあったことであります。ことに今のような事物については、施設とかサービスとかいう基本的な考え方が一致しないということは、官庁としてあり得ないと思いますので、その辺のことは十分に究明して事態を明らかにする必要があると思う。これはやはり外務省大蔵省当局もいずれも出席していただいて、この点明確にする必要があると思う。よってその限りにおいてはもう一度質問をさせていただきたいと思います。さっきの申し合せがありましたけれども御了承願いたいと思います。  そこで大臣にお尋ねしたいのです。駐留軍に対する施設提供などについては、合同委員会において基本的な、もしくは重要な問題が取り扱われるかと思いますが、私は他の案件を通じて、合同委員会構成が非常に貧弱なような感じを持っておりましたのです。当時並びに今日において駐留軍当局との間に折衝すべき案件については、日本政府代表する人は何人がこの先端責任者になって交渉する仕組みになっておるのでございましょうか。これは大臣より事務当局の方がいいかと思います。
  17. 眞子傳次

  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたいことは、調達庁当局として、合同委員会構成員となって責任を負って重要事項について折衝なさる先端責任者は何人くらいがなさるかということです。非常に貧弱な構成でないかという感がしばしばしておりましたので、この機会にそれを聞いておきます。ですから各省代表者が寄って合同委員会構成するという点よりも、調達庁として何人の方が直接アメリカ駐留軍当局と折衝するということになっておるのでありますか。
  19. 眞子傳次

    眞子政府委員 合同委員会は、調達庁調達庁長官委員になっておられます。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで多額の防衛支出金を使用して施設提供するということになりまするので、やはり誤まった経理が行われ、また検査院批難されることがあるようなあやまちがありますと、財政の上にも非常に重要な影響を及ぼして参ります。駐留軍との間に、もしくは駐留軍が使用している物件解除の条件が熟しておるやいなやという事情の判断につきましては、適切に関係内外当局が、それぞれとしばしば連絡もしたり情報の提供もしたり協議もしたり、そういうことを十分にしなければならぬのが、どうもこの批難事実を通してみますと、そういうことについての行政事務もしくは機構というものが、一方的な思料判断だけである業務が進められ、総合的にお互いに協議を進めつつ全体をにらみ合せつついくというようになっておらぬ。そういう点に欠けるものがあるのではないかと考えられます。こういう批難が起っておるゆえんのものもそういうことに起因しておるのではないかと思いますが、これらの点につきまして御意見を伺いたいと思います。
  21. 眞子傳次

    眞子政府委員 先ほど申し上げましたことについて補足させていただきたいと思います。合同委員会は、日本側首席代表外務省で、外務省欧米局長欧米局次長調達庁調達庁長官大蔵省財務参事官、法務省は刑事局長農林省農地局長防衛庁参事官、これが日本側七名の代表でございます。それから米側は、駐留軍首席代表極東軍司令部参謀次長陸軍海軍空軍代表が准将または大佐おのおの一名、計四名でございます。そうして二週間に一回木曜日に外務省または総司令部で行われております。その下に施設関係につきましては、施設特別委員会がございます。それは日本側首席代表調達庁長官でございまして、それに付随して不動産部長連絡調査官外務省から欧米第二課長大蔵省から主計局次長管財局長国有財産課長農林省農地局長拓殖課長、水産庁の部長、運輸省の港湾局長、それから米側首席代表海軍のM・ハーバード少将司令部から三人、それから座間司令部から三人と陸海空の代表おのおの一名で、二週間に一回火曜日にこれは調達庁で行われております。それから建設関係では、その下にまた建設小委員会がございまして、そのメンバーは、日本側建設省から営繕局営繕計画課長調達庁から連絡調査官不動産部次長外務省から欧米局第二課長大蔵省から公共事業係主査管財局第二課長、それから防衛庁から代表が一名、アメリカ側極東軍司令部から大佐が一名・陸軍及び空軍からおのおの二名、これだけが委員になっております。  そうして連絡関係につきましては、これらの委員会が主となって動くのでございますけれども、その間なおわれわれ関係各省との間において文書または口頭でいろいろ連絡をいたします。そして特に基地問題で一番やかましい施設関係につきましては、施設特別委員会が主となって動くのでございまして、施設建設関係では、今申し上げました建設部会懸案事項について連絡調整をいたしております。そして関係各省連絡協議会というものもまたこれは随時開催いたしまして、工事促進施設解除等につきましていろいろな協議連絡手続、その促進を打ち合せておる次第でございます。そういったように、正式にはおもに委員会を通じ、その間今申し上げましたように、文書口頭でいろんな協議連絡をいたす、こういうことで事務促進し、また能率を上げるように努力いたしておるところでございます。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十九年度におきましては、防衛支出金のうちの施設提供費は四十三億五千万円、三十年度は七十三億九千七百万円、これは大体間違いないですか。
  23. 眞子傳次

    眞子政府委員 二十九年度の決算報告に対しては、私ども全般的な御説明を申し上げておりませんが、これをいたさせていただきたいのでございます。そうすると御理解に非常に役立つかと思いますが……。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調達庁防衛支出金支出の問題につきまして、これにからみましてただいま批難事項が出てきておりまするので、少しまとめて私質問したいと思いますので、きょうはこの程度にして次会にさしていただきまして、他の省庁が待っておられますから、その方を進めることが便宜と思いますので、一つさようにお計らい願いたいと思います。
  25. 上林與市郎

    上林委員長 それではさようにいたします。     —————————————
  26. 上林與市郎

    上林委員長 次に調達庁以外の各関係当局質疑に入ります。——吉田賢一君。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 裁判所関係に御質問申し上げます。報告番号は一、二八ページでございます。大阪地方裁判所並びに神戸地方裁判所伊丹支部・同簡易裁判所案件であります。  この案件は、二十七年の十一月から三十年の一月にわたりまして数年間継続いたしております。金額におきましても、不正に領得されましたものが九十三万五千余円に上っております。それからまた刑事領置物である物件につきましても、二十二万五千円に上っておるわけであります。こういうようなものですが、私どもはまず裁判所会計経理というものは、他のあらゆる行政府官庁会計経理に比較して最も厳密であるという信頼をつないできたのであります。従ってこれからお尋ねしますることは、そのように高い水準で厳格な、厳正な会計経理機構を要望いたしまするので、そのようなつもりで一つお答えを願いたいのであります。  そこで、まず具体的にこの案件について伺いますが、これの原因はどこにあったし御判断になったのでありましょうか、数年間このような事実がわからなかったというのでありましょうか、そうではなかったのであろうか、どうしてこれが起ったのか、まず原因から御説明を願います。いろいろ伺いたいと思いますので、できるだけ簡潔に願います。
  28. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 ただいま御質疑のありました二件、神戸地方裁判所で、二十九年の三月から三十年の一月までの間の不正事件、それから大阪の方は二十七年十一月から二十九年十一月までの間における不正事件、この二つを御指摘になりました。まことにこれは遺憾の次第でありまして、私はただいま吉田委員のおっしゃるように、裁判所会計については、何とかして不正事実だけはなくしたい、かような点から、会計課長会議等において、まずまっ先に不正ということだけは取り除きたいということを常に要望しておるにもかかわらず、かような事実があったということは、まことに遺憾にたえないのであります。この発覚は、いずれも裁判所の方で、神戸の方は主席書記官会計課長による事務査察の結果発見されたのであります。それから大阪の方は、請求書の間違いが会計において発見されて、それから事実が発見されたのでありまして、どこに原因があるかといえば、本人の不正もとよりでありますが、やはりその監督について欠くるところがあったのではないか、かように存じております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで具体的に、関係職員が、といいますよりも裁判所が、他人から金もしくは物を受け取りました場合、それは各裁判所において責任者がきまっておると思いますが、それはどうなっておりますか。
  30. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまの点につきましては、まず保管金と申しておりますが、当事者の方から裁判所に納めます金でございます。これは御承知のように、裁判所の係の書記官がそれを受け取りまして、帳簿に記入いたしまして、そしてその現金会計課の、つまり会計課長の方に回しまして、会計課長はそれを収納して銀行預金して保管する、こういうふうな仕組みに大体なっております。支部等では、この現金を扱うのは現金出納官吏が扱うということに相なっております。それで一口で申しますと、当事者から出しました金をまず第一に預かる仕事は係の書記官の方でございまして、その預かった金をさらに保管するのは会計課の方、あるいは現金出納官吏の方でやる、こういう仕組みでございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 現金を受け取りました者が、書記官とおっしゃったのですが、これは事務官でございますか、いずれにしましても、その担当者はこれを会計課長に渡す、それから銀行に預金する。そういたしますと、受け取りました領収書をいずれ発行すると思いますが、領収書が発行せられ、それから帳簿に記入せられ、現金内部においてまた現金保管者に交付せられる、こういうふうになりますると、その保管責任者である会計課長においては、いつ、だれから何ほどの金額を受け取っておるということは明らかになっておると思うのでありまするが、それは一目してわかるようなことにはなりませんか。この二点をお伺いいたします。
  32. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 事件係書記官の方から保管金提出がありますと、その提出書という書類を作りまして、現金と一緒に現金出納官吏の方に回します。現金出納官吏の方は、それを帳簿に記入いたしまして保管することになりますので、もちろんそういう預かった金の明細は、帳簿上一目してわかるようになっておるわけであります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 外部から受け取った金が、現金出納官の手で、会計課長の手元で一目してわかるようになっておると遂に、その会計課長現金出納官銀行預金をしておるかどうか、いっしたかどうかということも、やはり一見直ちに明らかになり得るのですか。
  34. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 そうでございます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、一方裁判所会計事務実情については、上級のしかるべき方が適当に監査調査をなさると思うんだが、それはしておるのかどうか。した場合に、直ちに一目してこの実情がわかることになっておるのか、なっていないのですか、それはどうでございますか。
  36. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 それは必要に応じまして内部監査はいたしております。これはいろいろの方法でいたしておりますが、その帳簿でやります場合もありますし、あるいは支部等でありますと、本庁から監督の地位にある者が出かけて行って、帳簿を調べるということをいたしております。その帳簿によって、受け入れた金額幾らで、銀行預金幾らで、その日の手持ちの金額幾らということは一目してわかることになっております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明に上りますと、検査もし、監査事務も行われておる、一目して金の出入りが全部わかるようになっておるというときに、それならば数年間わからずにおるというのは一体どういうわけなんですか。
  38. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 この場合のケースは、やり方にいろいろございますが、たとえば神戸の場合について申し上げますと、まず一つ方法は、当事者から預かりました金額を、本来は帳簿に記入すべきなんですが、扱かっている小田某というものが、自分が預かりながら帳簿に書かないで、それを横領したという事実、もう一つ方法は、銀行に一たん預けたものを、必要があるから、つまり本人に返す必要上引き出すという方法で、虚偽の引き出しの小切手自分で偽造いたしまして、そうして引き出した。書類上は一応役所の小切手が出て、その小切手によって引き出されたということになっておりますので、——もちろん一々具体的にその内容を事件の記録と合わせまして調査すればわかるのでございますが、本件の場合につきましては、実際問題としてそこまで調査が行き届かなかった結果、約十カ月間わからなかったわけであります。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によりますと、事件係書記官が金を受け取っておきながら、帳簿に記入しないと遂にはわからずに終るということになる。しかしさっきの御説明によりますと、やはり受け取った金は領収書も発行するし、発行した場合に、それは記入をしなくちゃならぬということになるのでありますが、あとの御説明では、そうすると、金を受け取って、帳簿に記入しないでおいて、領収書を発行して金をふところに入れることが、たやすくできるというような仕組みになっておるのですか。そういうことは私ちょっと想像されないのでありますが、受け取りを出せば、領収書というものはそれぞれと控えもあろうし、あるいは番号も書いてあろうかと思いますが、そういうような記入しない場合には、金を受け取ったかどうか、現金出納官吏会計課長においてわからぬというのが裁判所現金受領実情なんですか。
  40. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 正式に扱いました場合には書類帳簿によりましてはっきりわかるわけでございますが、会計事件係というのは全然別の機構になっておりますので、さっきお話のありました提出書、これは裁判官提出を命ずると遂に出す書類でございます。その書類当事者に交付いたしまして、その当事者はそれに金をつけまして出納官吏の方に差し出すわけでございますが、この提出書と金を出納官吏に差し出しました場合に、これを正式に受理いたしてこの提出書を整理してございますと、監査などの場合にすぐわかるのでございますが、もしその提出書をほかに隠したりなんかいだしまして現金だけを領得するということになりますと、会計としますと全然よりどころがございません。さかのぼって記録を調べまして、提出書が出たかどうかということを調べた上でないと会計で受け取っているかどうか、受け取るべきであったかどうかということがわかりませんので、この場合には提出書をほかに隠してしまいまして現金だけを受け取った、そうして自分では適当な受け取りを当事者に交付する、そういうようなことになっておりますので、監査をいたしました場合にも、事件の方の記録から調べますとわかるのでございますが、普通の監査会計事務の方だけを対象にしてやります関係上、なかなかこういうケースは発見しにくいと思われるのでございます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によりますと、裁判所に金を渡すときには詐取せられる機会が実に多いというような感じがいたします。提出書に金を添付して、そうして出納官に渡す。それで提出書というものを出さずに金だけを入手する。あなたの方の裁判所帳簿は、金を受け取れば、その金は、何の事件で、何のために、だれがいつ、何がしの金額を納付したということを一々帳面に書かねばなるまいと思うのですが、その帳面、それからまたこれに対しては、金を領収したという何かの証拠を提出者には交付しないのでありましたか。ちょっとその後者は私もど忘れしておりまするが、この点は両方どうなっておるのでありましょうか。もし交付しないということであるならば、これは現金を取って、何も領収書等の証拠を与えない。そうすると、納付した手元に納付したという事実を証明するものは残らない、こういうことになるという欠陥がここに出て参ります。そしてまた金を受け取った場合に、受け受った者が帳面に記入しないで金だけふところに入れることができるという仕組みはちょっと想像されないのでありますが、事件書類を全部調べたらわかるというような御説明でございましたけれども、会計事件とが違うかもしれませんが、事件があっ  て会計炉あるので、会計はまた事件とのつながりにおいてその原因が明らかになるわけでございまするが、帳面に記入しないでも金だけふところに入れ得るというような、そういう受領の制度になっておるのでしょうか。もしそうであるとするならば、どうもこの辺がちょっと普通には理解できないようなふうにも考えられるのでありますが、ちょっと整理いたしまして、第一金を受取ったときに、納付者に対して領収書ないしは納付したという事実を証明するものを何か交付するのですか。その点どうなっておりますのですか。
  42. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 これは各省共通に保管金を受領した場合には領収書を発行することになっております。裁判所でも発行いたします。しかしながら保管金領得のケースは多く、保釈保証金のような何年間も動かないようなものが多うございまして、途中で出し入れのあるような民事予納金とか、その他経費の支払いのございますような種類のものはほとんどございません。概して保釈保証金のようなものが一番多いのでございます。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が明らかにしたいことは、領収書を発行するのかというのですが、発行しておるというふうに伺っていいのですか。
  44. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 発行しております。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、まずその領収書を発行すれば、領収書の控えというものは、経理上どこかにあることをわれわれは推定するのですが、その点いかがですか。
  46. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 ございますそれは領収書の原簿と申しますか、メモでございます。これは規定上ございませんけれども、領収書にメモがついておりまして、それを原簿と申しますが、それに記入しておくところもございます。この伊丹の場合は……。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 具体的に事件になると混雑してしまうのです。これは、要するに犯罪的なことになっておりますからね。あなたに一般的なことをお答え願いたい。
  48. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 一般的には原簿は別につけるようになっておりませんから。ただ受け取った場合には領収書を出す、その結果として帳簿につけるということになっております。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、領収書を発行したかどうかということは、この現金の出納官を監督する人はどうしてわかるのでありますか。たとえば金を受け取って領収書を発行するときに、その領収書炉ある書面の半分とかいうようなことになっておれば、残りの半分が、つまり領収書を発行したことを証明することができます。今何かメモということをおっしゃっておりましたが、領収書だけ出しっぱなしで、それを発行したことを証明する書類もしくは記入がどうもないようであります。そもそも領収書というものは、そういう場合には百枚なら百枚の領収書を何々地方裁判所何々支部が保管しておる。その百枚の領収書が何枚、いつ出したかというようなこともわからねばならぬと思うのだが。それらは一体どんなになっておるのですか。
  50. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 それは提出書に受領の年月日を書きまして、領収したことを裁判所側の書類としてはそれで明らかにするようになっております。カード上の整理とか、もちろんほかに帳簿に記入することもあります。それ以外にはございません。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすれば、提出書というものは金を添えて出す当事者が持ってくるものでありますから、その提出書が出たということ、いつ出したということ、だれに渡した、何のために出したということをつかまなければ、金がきたということは、不正に提出書を隠すような場合にはわからないのではないだろうか。もしそうでなくして、領収書なるものが厳格に準備せられておって、その片割れが出るとか、あるいは使った数が明らかになるとかなんとかならはっきりいたしますけれども、今の御説明ですと、提出書を出したのか出さぬのか、提出書を机の引き出しへ隠してしまっておれば、その提出書領収書を書いてということになれば——提出書本人に返してやるということになるのですか。結局そうすると、金を受け取ったということを何かの手控えにしておくという以上には、この辺の規制ができておらぬように思うのですが、そうではないのですか。
  52. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 提出書は返しません。それで最近ではおっしゃるようなことも心配いたしまして、提出書をいつ、だれに発行したということを、これは会計の仕事でございませんで、事件の方の仕事でございますが、提出書に伝票をつけるような制度にいたしまして、最近はいつ、だれに幾ら提出を命じてあるかということをはっきりするように処理いたしております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、金を受け取った場合に、受け取ったということが、他の文書によって受け取った場合には、必ず明らかになるような書類が今はできたわけなのですか。
  54. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 最近はその部の方との連絡でわかるようにいたしました。それは提出書を発行いたしまして、その金が果して会計にいついったかということは、別の書類連絡いたします。保管票というようなカードを発行いたします。これを出納管理から部の方に渡しまして、それでいつ会計の方で受け取ったかということを明らかにするとともに、将来支払いがある場合に、その保管票というカード式のものでございますが、保管票によりまして裁判官の方から命令をするような組織になっております。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこは私にはどうも少しはっきり理解いたしにくいのでありますが、会計経理監査するようなときに、普通の商社などの経理であるならば、伝票の整理もできますし、また一々の記入もいたしておりまするし、いろいろなそういう書類をつき合しましたら、すぐ全体をつかむことができるわけでございまするが、そうすると裁判所におきましては、ただいまは——当時は別といたしまして、それにいたしましても三十年の九月、ただいまというのはことしかどうか存じませんし、そこもはっきりしていただきたいと思いますが、今日におきましては会計経理実情は、本件のごとく張簿に記入しざりしゆえに受け取った金も見つからなかった、預金しておった後に偽わって小切手で引き出して金が使われていてもわからぬ、そういうような事実を防止するような措置が今日はもうできた、こういうことになるわけでありますか。
  56. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 できるだけそういうふうにしたいと思いまして、さきに申し上げましたような原簿制度というようなものを考案いたしましてやっております。その扱い上からそういう事故を防止する方法と同時に、できるだけ監査を強化いたしまして、個個に不正がないかどうかを検査していくようにいたしております。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと今日は、金を出すべき原因である事件の内容といいますか、事件書類を一覧することなくしても、金の出入りは明らかにつかみ得るように制度の上でされておるのですか。それともそうではなしに、やはり依然としてこの危険があるのですか。ちょっとこれも抽象的でありますけれども、やはりここは少し筋を通してもっと簡潔にこの種の会計不正を防止するようないろいろな施設あるいは制度、方法などが、こういう大きな案件が起った機会に講ぜられてしかるべきだと思うのでありますが、改善をされたということでありましたら、いつから改善をされたのであるか。事件簿を見なくても金の出入り、保管の状況などは一目してわかるようになっておるのかどうか、これを一つはっきりしておいてもらいたいのです。
  58. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 受け入れる場合に事故が起らないようにする組織をこしらえましたのは、二年ほど前からでございます。これは相当実効をあげておりまして、これを十分に活用いたしますれば、少くとも受け入れたものははっきりいたします。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとその仕組みの内容を述べていただきたい。
  60. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 仕組みと申しますとその組織でありますか。それはまず提出する場合の手続でございますが、保管金提出書と申しますのは、部の方に一冊五十枚つづりのものを番号を打ちまして、一部に何冊というように交付いたします。これによりまして何部には何号から何号までの提出書が行っているということになっております。それで今度は金を提出させる場合には、それに所要事項を書き込みまして、裁判官が記名、捺印いたしまして、当事者に交付いたします。そうしますと、当事者の方はそれに金をつけて会計——歳入歳出の出納管理でありますが、その出納管理の方に提出いたします。そこで出納管理はその提出書現金とを対照いたしまして、金額が誤まりなければ受け取りまして領収書を発行する、こういう仕組みであります。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、このような組織になりますると、今の本件で批難されておるような事件の起る余地はもうないことになりますか。
  62. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 これはさっき申し上げました受け入れの段階の手続でございますが、支払いの場合には、いろいろ受け取りを偽造いたしまして使用したりなどしておりますので、これは別な方法で対策を考えなければならぬと思います。その方法としては現在流れ作業というような方法で、一人で全部扱わないで、必ず二人以上で扱うということにいたしまして、もしそこに不正がありましたらたやすく発見できるようにいたしております。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一人で扱っていたものを二人で扱うということになると、人手が足らなくなるということになって、事務量と比較して仕事がまた停滞するということになるのじゃないのですか。
  64. 沖倉美一

    沖倉最高裁判所説明員 これはうまく運用いたしますと、どこかにひっかかっておりますと、ほかの方の係で促進するように催促いたしたりしまして、むしろ一人でやっておりますよりも成績はよろしいように感じております。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと方面が変りますが、二十九年度の決算書によりますと、あなたの方で予算上の不用を相当額出しておられます。最高裁において五千七百余万円、研修費において五千百余万円、地方裁判所において一億三千二百余万円、家庭裁判所において一億四百余万円、これだけの不用を出しておられる。ところがこれの理由として、職員の欠員があったが、その欠員職員の給与費等ということになっておりますが、これは事実でしょうね。
  66. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまのお話はおっしゃる通り俸給等の不用額であります。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 職員に欠員炉あるということは、やはり定員で仕事量と相応ずるという場合でありますから、欠員を補充しなければ仕事は完全にできないというの炉常識でありますが、これは補充すべき職員がないというときに起ったのだろうか、それとも補充しなくても仕事量は少いのでよかったということになるのですか、その辺はどうですか。
  68. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 欠員の問題ないろいろの面から考えられると思いますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、裁判官の欠員につきましては、最高裁判所といたしましてなお一そう補充したい、ところが適当な有資格の方がいろいろの事情からなかなか発見が困難だ、そういうことで欠員がある程度出ております。  それから裁判官以外の職員については、これももちろん現在の状況で決して十分ではない。さらに補充できればそれだけ事務能率は上るということは言い得るのでありますが、御承知のようにある程度の欠員は人事行政上どうしてもないと操作ができない、非常に困難だというような状況になっております。裁判官以外の職員の欠員というのはごくわずかな比率でございます。ですからこの程度の欠員は実際問題としてはさらにできるだけ縮めたいと思っておりますが、実際問題は一そう大幅に縮めることは困難ではないかと考えております。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 欠員があることによって事務が適切に行われないというきらいはないのですか。この批難事項原因は、監督炉十分でなかったこと、制度上に欠陥があったことのように考えられるのであります炉、欠員を完全に補充するようにすることはできないものでありましょうか。常時欠員を必要とするというのは、これは少しかた苦しい考え方かもしれないが、そういうことでいいだろうかと思うのであります。裁判所はむろん常勤でない非常勤の職員というようなものも、他の官省の例に漏れずあるだろうと思います炉、要するにこの欠員が補充されないということは、そのために仕事が十分に行われぬという結果を生ずるのではないだろうかと憂えますので、この点について伺います。
  70. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいま申し上げましたように、裁判官につきましては、適当な方がなかなか見つかりませんで、補充いたしたいが、できない。裁判官以外のものにつきましては、全体の定員から見て現在の欠員は約一%少し出ている程度でありますので、この程度なら人事行政上どうしてもそういう歩どまりが出るというように、私ども直接に扱っておりません炉、承知しております。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事務総長に伺います。近ごろ就職難でずいぶん仕事を求めてもないという際に、裁判官並びに事務局の職員は事実上補充難というごとき事情でありますか。
  72. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 まず裁判官の方から申しますと、裁判官は一般に停年六十五でやめる。それから病気その他で退職される。大体一年二十人以下とごく大ざっぱな数を押えております。ところ炉裁判官の中には判事と判事補とありまして、判事補が十年たつと判事になる。そうすると判事補が定員一ぱいあったものが、判事になるということによって判事補の欠員炉できるわけです。裁判官は、今申した判事補以外に求めるのは、弁護士から適当な人にきてもらうということですが、判事として地方裁判所なり家庭裁判所の執務をお願いするような方をいろいろな手段によって求めております。しかし東京におられる人を東京に採用するというのはあるいはできる場合があります炉、東京には定員があって今すぐ採用できないから、熊本なら熊本に行ってもらいたいということになると、本人の方が応じてくれない。それからもう一つは、一般的にやはり優秀な弁護士の収入と裁判官の給与というものは問題にならぬほど相違があるために、なかなかいい人が得られないというような実情なんであります。そこで判事補の定員の方は、年内に十年たった者は判事に採用しますが、その欠員は修習生が毎年出ておりますから、これによって欠員を補充することができるのでございます。従ってこの方は年々大体充実してきておるようなわけであります。  一方もう一つ簡易裁判所裁判官というのがありまして、これもおよそ五、六十人の年々欠員があるのであります。これはやはり七十歳という点まで停年を延ばしてありますが、やはり老齢の方で病気でやめられるとか、いろいろ年内に相当のやめられたりあるいは退職されるというようなことがあります。これを補充するのもやはり今申しましたように一定の資格を要するために、その適当の人炉なかなか十分に得られない、かようなわけで、むしろ私の方としては人を何とかして来てもらいたいと思って勧誘しておるような状態であります。  一般職員につきましては、この定員をなるべく充実していきたいのでありますが、やはり今日いろいろ裁判所書記官とか事務官あるいは調査官というような職種によって試験をして、そうしてその試験に及第した者を採用しておりまするために、就職に困っておる者をすぐ裁判所の職員に採用するということはできないのであります。さようなわけで欠員の補充にいろいろの点から欠陥があるということは申し上げることができるだろうと思います。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはお説を聞けばもっともらしいのでありますけれども、現在の裁到所の裁判官は一応別といたしまして、事務職員になりましたならば、欠員を補充すべき人材が社会にないというような、そんなばかげたことはございませんです。どんな試験かは別といたしまして、今日、本年大学卒業者が十万人あって就職難であるといわれておるときなんであります。人間を雇い入れするのに人がないので数千万円の予算を不用に帰するというようなことはどうも筋が通りません。やはりその辺については人間の採用ということだけにとどまるべきではなしに、こういう実情に適応して裁判の事務そのものをほんとうに適切にやっていくという意味において、一人も欠員のないようにするというぐらいな張り切り方がなければ、毎年こんな事件が起るのではないか。こういう裁判所で数件起ったということは、今日の社会常識から見ましたならば、他の役所で何十件起ったほどにやはり裁判所に対する信頼を失うのでありますから、そういうことの原因がやはり人の関係ないしは事務と人との関係等々にあることを思いましたならば、私はやはり不用額をたくさんに出すというようなことが、ことに今お述べになりましたような事情によってはどうも納得しがたいのであります。今の裁判官の問題にしましても、積極的に人を求めるというようなふうになさったならば解決するんじゃないだろうか。事務職員はもちろんのこと、それでありますので、裁判事務が適正に、敏活に、滞りなく行われねばならぬ、この種の批難事項の起ることを絶滅しなければならぬという角度から考えてみましても、予算をとっておいて人間を採用上ないで、それで不用額を出すというようなことは、これは醜態だと思うのであります。こんなことはやはり繰り返すべきでないと思うのです。前年の予算は私は存じておりません。決算はただいま手元にありませんけれども、これはすみやかに改善といいますか、こういう問題は適当な措置をお講じになることを望んでおきます。  そこでついでにもう一つ聞いておきますが、昭和三十年度の予算は繰り越しとかあるいは不用はあるのですか、どうですか。もうあと三日で昭和三十年度は終るのでありますが、それはどうなっておりますか。
  74. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 本年度につきましてもやはり人件費の若干の不用額が出ると思います。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体どうです。
  76. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ちょっと額は今集計中なもんですからわかりかねます。私の感じでございますが、大体似たような額、あるいは前年度よりも少し下回った額になるのではなかろうかというふうに考えております。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もし前任度に近似した額をまた不用額で出て、そうしてまた人件費関係ということであるならば、やはり人件費の執行の上について根本的にこれはみずから再検討せられる必要が私はあると思うのであります。あなたの方が人手不足でも、裁判官並びに事務職員が人手不足でも、何らの批難をされることがないという場合なら別でありますけれども、また一面から考えれば人権にも関係することでございます。現に私どもにおきましては、今本国会に売春防止に関する法律を用意して提案しておるのであります。こういった場合におきましても、従来のやはりこういう例になずんで事務の進捗をいいかげんにせられるということになりましたならば、あるいは売春の容疑者の婦女が不当に拘束を受けて、事務が進捗しないために人権を侵害せられるということになりましたならば、これは大へんなことであります。やはり裁判所、検察庁は申し上げるまでもなく人の自由を拘束し、人の財産権を保護することに重要な関係ある役所でありますので、特に本年度も類似額の不用が出るということでありましたら、今申しましたような角度からいたしましても、これを大反省して、適切に再検討せられて、これらの問題のすみやかなる解決をせられたいと思うのですが、事務総長いかようにお考えですか。
  78. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上最高裁判所説明員 御指摘の点御説ごもっともと思います。私どもの方としても先ほど申しましたように、裁判官の充実についてはいろいろな手を使って弁護士会その他各庁において連絡をいたして、だんだん埋まっては参りましたけれども、なおこの欠員が生じ、しかもその人件費のおもなるものは裁判官の給与なのであります。お言葉に従いまして私どもとしてもなお一そう検討いたしたいと思います。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 裁判所関係におきましてもう一点伺っておきますが、供託金とかあるいは保管金などが何年も何十年も、ときには打ち捨てられてあるということはわれわれ想像するのであります。現在広い意味において保管しております他人の金は総計どのくらいになるのでありましょうか。
  80. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 全国的に申しまして大体十二億円ぐらいでございます。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その十二億円くらいの保管金、供託金など、これは何らかの原因によりまして時効等になって、預け主は取り戻すことのできないようなものが生じると思うのでありますが、そういう時効になったものはありますか、ありませんか。
  82. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 各裁判所についてかなりの事件炉ありますので、全部その都度処理するということは実際上困難を伴っておりますが、そういう時効にかかったとかあるいは返還すべきものはもちろん、国庫に納入になるというようなものの処理は、係の者にできるだけすみやかにするように申しておりますので、いたしておることと存じますが、ただその時期が多少おくれて書類になっておるという事実も現在はあります。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この種の書類は、保管するのに年限があるのですか。供託とか保管金とか、あるいは予納金とか、預かりの性質を持った金に関する書類ですね、そういう書類は保存する年限があるのですか。
  84. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 それは既済と申しますか、金の処置ができまして、本人に返しましてから十年間保存するわけです。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 返してからのものを私は聞くのではなくして、預っておるものについて時効になっておるものもあるだろうという趣旨の御質問を申し上げたのでありますが、そういうものを一括いたしまして、裁判所としてこの書類を保存する期間があるのかどうか、こういうことであります。
  86. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 それは結局本人の手に返るまであるいは国庫に納めるまでは、その事件としては済んでおりませんので、もちろん済むまではずっと保管してあります。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし事件が済んで時効になる場合もあると思うのです。時効になっておるようなものを五年も十年も、五十年も百年も保存するということはちょっと想像されないのでありますが、そこはやはり何らかの線が引いてあると思うのですが、それはいかがですか。
  88. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまの、時効になりますと、それは今申したように、できるだけすみやかに書類にして、その書類は一定の期間残して置いて、廃棄する。しかし、その時効による書類なり、あるいは本人に返す書類炉できますまでは、その事件関係書類はもちろんずっと裁判所保管しておるのであります。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 判決の書類でも保存の期間が——判決原本は永久ですか、いずれにしてもそれぞれ書類の保存期間があると思うのでありますが、この預かっておる場合は、国の債務であります。それからまた時効になってしまえば、これは国の財産であります。また銀行に預金しておれば、銀行に対する裁判所の国の債権であります。従って債権であり、債務であり、国の財産である、こういう関係になるわけでありまするから、これは会計経理上毎年明確にしておかねばならぬと思うのであります。一目して全国の裁判所でどういう種類のものが幾らあってということは、毎年あなたの方は決算を作成するわけなんでありまするが、国の財産に属するもの、国の債務に属するもの、銀行に対する預金債権に属するものというのは、それぞれ決算を遂げるのではないのですか。
  90. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 それはいたしております。各庁から報告をとりまして、それを集計いたします。そうしてその結果がどうなるかという集計を出して、今申しました十何億という数字が出てくるわけであります。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 十何億というだけでは明らかでないのであります。私の伺うのは、内容としましては、時効になったものがあれば、すみやかに国庫に別の形において収納するかどうかということもしなければなりますまい、あるいはまた預金債権のこともあり、また当初通りのこともありましょう。この政府提出決算書によれば、それぞれ相当精細に書かれておるのでありまするが、今の国民から預かった金についての債権債務の関係、時効で権利が消滅した関係というものは、単に十二億円というような一つかみのことでなしに、きちっと年度末においては決算を遂げて、数字を明らかにされていくべき筋だろうと思っておりますので、伺っておるのであります。
  92. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 それは吉田委員のおっしゃる通りでございまして、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、各庁からの報告をとりまして、それに基いてこまかく集計いたしております。ですから、その一々はもちろん今覚えておりませんが、その内容はその書類によって説明できると思います。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、たとえば時効で返還の権利がなくなったものは、どういう収入になるんですか。
  94. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 二十九年度決算明細書の一五ページの上の方に、延滞金及び期満後収入というので金額が出ておりますが、これが今のお話の時効によって国庫の収入になるべき金額でございます。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 延滞金及び期満後収入というものが、これに該当するということでありますか。
  96. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 そうです。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 要するにそういうことでありますれば、一つ裁判所におかれましては、来年は第一にこの批難事項がなくなること、昭和三十年度の決算報告には出ないように、並びにこの会計経理の面につきましては、他の関係省に率先して、できるだけガラス張りの中において経理が行われるくらいに制度を簡略化して明らかにして欲しいと思うのであります。  実はそれと法務省関係で、検察庁の不当不正事件をまたやらなければならぬのでありますが、検察庁関係におきましては、九州のごときはまだはっきりしないで、当委員会においても継続して調べるというのが、まだ残っておるような実情でありまして、これもやはり会計経理に関する制度そのものも整備しておらぬという面が多分にあったのでございますが、こういう辺につきましても、今の小切手で取り出されるものについての防止の手段がまだ講ぜられておらぬようであります。こういう辺のこともそれぞれ考えられまするので、格段の御努力をお願いしたいと望んでおきます。これで裁判所は終ります。  次に北海道開発庁ですが、検査院にちょっと先に伺いたいのでありますが、北海道におきまして、開発庁関係各省工事関係などはずいぶんと広範囲にわたっておると思うのでありますが、まず、実地検査などをしておりますのは、たとえば工事にこれをとってみますと、どのくらいの割合でしておられるのでございましょうか。
  98. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 北海道関係では、検査をしました延べ人員が二百二十五人、日数にしまして二百八十七日、延べ日数が八百四十六日、使いました旅費が百四十二万三千円、こういうふうになっております。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私伺いますのは、工事に例をとりまして、工事を対象として検査なさったのは全体のどのくらいの割合になりますか、こういうふうに伺っております。
  100. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 全体の工事の件数及びその検査の比率につきましては手元に資料がございませんが、この検査報告に上っております代行工事についてその比率を申し上げてよろしゅうございますか。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 資料がなければやむを得ませんが……。
  102. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 代行工事の全体の支出済額炉七億四百万円ございまして、工事の個所にしまして四百六十三カ所あります。そのうち七十八カ所を検査しまして、個所の比率が一六・八%になっております。工事費にしまして、その見た七十八カ所の工事費は一億九千三百万円、さっきの七億四百万円に対しまして二九・五%のものを見ております。
  103. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昭和三十年度はどうでございますか。
  104. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 三十年度はこれから検査します。
  105. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年度は年度がもう過ぎますが、そうしますと三十年度の予算執行の状況は、北海道開発関係の常時検査はまだなさっておらぬのですか。
  106. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 書面検査はずっと続いてやっておりますが、実地検査は四月以降にやる予定になっております。
  107. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは根本の方針に関することでありますが、やはり工事関係というものは、たとえば九州における二十八年度の災害復旧の工事で、常時検査途中であちらこちらを検査した結果は百億円も是正さしたというような事実がございますので、特に工事におきましては、予算執行後というよりも、中間において適当にある割合は検査するという方針をおとりになることが、いろいろな不幸なことを未然に防いでよいのではないであろうか、こう私は考えるのであります。ことに出来高不足というようなことになりますと、ある場合においては工事は全然用をなしておらぬのでありますから、そういうことを防ぐためにも必要でないかと思うのでありますが、それはそうできないものでありましょうか。
  108. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 今のお話でありますが、私どもも全く同感でありまして、工事が完成する前に検査した方が効果が上る、こういう方針をもちまして本年度も一月、二月、三月にかけまして早期検査を実施したのであります。実はもっと早く十二月ごろ早期検査を実施したいと思ったのでありますが、肝心の各省の査定がまだ済まなかった。査定が一応決定しない、こちらもその決定がいいか悪いかということを見ることができませんので、十二月に施行することはできなかったわけであります。年を越しまして一月、二月になりますと、寒い地方は雪が降りまして検査ができない、そういうやむを得ない事情によりまして、北海道及び東北地方の検査は三月まで施行が困難となりまして、四月以降早々に北海道及び東北地方の早期検査を実施する計画であります。
  109. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 冬になりますと北海道の工事などはできなくなりまするので、早い工事はやはり夏から秋にかけて相当進むと思うのでありますが、去年の間に相当の割合を実地検査するというふうにすることが三十年度の検査のよい結果を期待し得るだろうと思うのですが、そういうふうに手は回らぬということにでもなるのでありましようか。
  110. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 私どもの検査としまして、早期検査と申しますか、工事の完成前の検査は、各省の査定が済みますのが大体当該年度の十二月ごろになるのであります。三十年度の問題につきましていいますと、三十年の十二月に決定が済む。それで十二月以降なるべく早くにその決定がいいかどうかという早期検査を実施いたします。ところが一般の工事完了後の検査におきましては、大体四月から八月くらいまでが地方出張の期間になっておりまして、その期間にでき上った工事をできるだけ広く見ておるのでありますが、その期間におきましては、各地とも当該年度の工事工事進行中でありまして、どうしてもでき上った前年度の工事を主に見るというふうになっておるのであります。
  111. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣に伺いますが、北海道についてはずいぶんと莫大な予算を毎年投じているんな工事その他開発等々をやっておるわけでありまするが、直轄工事以外はあなたの方ではやらないことになるのでありましょうか、これはちょっとはっきりいたしませんので……。
  112. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 開発庁としましては毎年百六、七十億の予算をとっております。その予算をとって計画は立てますけれども、実際実施するのは開発局にやらせます。しかしそれを指揮監督するのは各省でやっておる。だから開発庁としては各省を通じてするだけになっておりまして、直接の指揮監督に当っておりません。いわんや北海道庁でやっておることは大体北海道庁にまかせております。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもこの関係がわかったようなわからぬようなむずかしい関係になっておって、われわれも北海道開発庁検査事項審議すると遂にいつもぶつかって苦慮するのでありますが、たとえば代行工事なんかにつきましては、あなたの方で計画を立て立案をせられますけれども、実施につきましては監督権はなかったのでございますか。
  114. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほども北海道開発局の制度について自分でも非常にわかりにくいというお話でありますが、お話の通りなんです。実際北海道開発庁というのを設けておいて——設けた以上は実施機関に当るべきがほんとうなんです。上がるに開発庁であるにかかわらず、その下にある開発局を指揮監督するのは、先ほど申し上げた通り各省になっておる。各省を通じて監督するというようなことになっておるので、北海道開発庁を実施機関にしなくちゃならぬというのが、北海道開発審議会の問題になって、審議にかけておるわけであります。それで開発局に何か問題が起りましても、全部関係官庁が指揮監督して、私の方は全然指揮監督権がないというほどのものでもないのですが、関係の薄い監督権があるということでございます。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、どうもこれは困ったことですが、あなたも閣僚のお一人でありますので、行政府の最高の閣議が一切を指揮監督なさるという意味において伺うことにとどめたいと思います。  そこで今審議会の議案といたしまして、このような行政機構が適当に整理されることになることは、よろしくお願いしたいのですが、それとは別に、これは金額にしては小さいことが指摘されておるのでありますけれども、両方とも百万円足らずの金額の出来高不足ということが指摘されておりますが、金額にかかわらず、とかく直接の監督あるいは近いところで監督すること・あるいは厳重な機構監督ということが行われないと遂に、どうも代行工事というようなものは——たとえばこれは農林省関係においてもそうなのでありますが、府県に代行さす工事で府県がその他団体に代行工事をさす場合に、その団体の代行工事に不当批難事項がずいぶんと多いのでありますから、これはやはり直截簡明に監督の手が届かぬということが一つ原因ではないであろうか、こういうふうに考えます。金額の問題よりも、一切の代行工事というものが——ことに昭和二十九年におきましては、全体を通覧しますと、会計検査院の、工事に対する検査一つの方針らしく見えるのですが、代行工事を相当指摘しておるのであります。代行工事というものは、どうも共通して何か欠陥があるんじゃないだろか、こういうふうにさえ実は思うのであります。そこで北海道の場合におきましても、あなたは国務大臣として非常に重要な御関係を北海道に特に持っておられるわけでありますので、代行工事にいろいろと批難事項の起る原因を御研究になったことは、ございましょうか。これはよその農林省あたりの代行工事について随所に出ておるんです。私どもにも今年特に目立っのです。なぜ代行工事がそんなに批難されるべき問題をよけい作るんだろうかということすら、今日は一つ検討してみなければならぬと思っておるのであります。たまたま指摘されておる三五ページの案件は、そういった小さいことでありますけれども、代行工事であるといたしましたならば、代行工事につきましては、何らか不正、批難の起るべき原因が共通してあるんじゃないかと思うのでありますが、これについて何か御所見でもございましょうか。
  116. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 代行工事になると、これもまた考えでありますけれども、どうしても監督が徹底しないじゃないかという考えを持っております。それにしても、私どもの方でやかましく言って、前年度に比較すると今度は非常に減っておりますが、いずれにしても代行ということは、監督上あまりいいことじゃないと思います。ですから先ほど申し上げた通りに、北海道開発庁の制度を改革しなくちゃならぬという議論が起っております。直接計画した者が指揮監督するのがほんとうです。計画しながら、予算を取りながら、それをほかの省にまかして、それによって指揮監督するということは、理屈上正しくないと思っておりますから、今それを改正しようとしておるわけであります。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の点は非常に大事なことでございますので、いずれまた他の省の代行工事を検討いたしまして、一括して代行工事に対する一つの考え方、あるいは改善の方針といったようなものを立ててみたいと思いますので、その点についてはこの上とも一つ格段の御留意あらんことを望んでおきます。
  118. 上林與市郎

    上林委員長 それでは本日予定しておりました裁判所及び北海道開発庁所管につきましては、一応質疑を終了いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後一時十九分散会