○上村会計検査院
説明員 二十八年度分についてはすでに御
説明いたしておりますので、二十九年度について御
説明いたします。二十九年度の検査
報告に掲記しました事項は十九件で、
工事に関するもの十二件、物件に関するもの六件、犯罪が一件であります。
工事につきましては、不急
工事と認められますもの、過大
施設と認められるもの等が相当あるのでございますが、
工事を必要とする時期、所要量について十分検討して資金の効率的使用をはかる必要があると
考えるのでございます。また物件につきましては、高価購入の事例が主でありますが、価格の
決定に当りましては、原価の把握を十分にいたしまして、経費の節減に努める要があると
考えるのでございます。
次に各案件について、
説明いたします。
工事の
計画施行が当を得なかったものでございますが、最初は二二二四号でございまして、これは青山分局を二万端子局とするなどのために、一億三千七百余万円で、青山電話局増築
工事を施行したものでございますが、現青山分局の端子数は一万であります。この
工事に
着手する当時収容加入者数の電話の申し込みがありましてまだついておりません積滞になっておるものを加えましても、五千六百名
程度でございましたから、現局舎の端子数に相当余裕があったと認められるものでありまして、
本件工事を取り急ぎ施行する必要はなかったと、かように
考えるのでございます。
次は二二二五号で、横浜中央電話局鶴見分局の
電力工事でございます。既設の充放電用二十キロワット電動発電機二台を撤去しまして、新たに予備一台を加え、四十キロワット三台を設置したものでございますが、充放電用といたしましては、二台を交互に使用して、所要の電流を十分にまかなえるものでございまして、予備の分一台約百九十万円は不必要であったと
考えます。
次は二二二六号でございまして、館林電報電話局新設
工事を四千四百余万円で施行しているものでございます。これは同局が狭いことと、交換方式を磁石式から共電式に改め、加入者の増加をはかるため、鉄筋コンクリート三階建延べ五百三十三坪の局舎を新築したものでございますが、同局の十五年後の加入見込数は二千名でありますから、公社の局舎設置基準によりますと、三百八十七坪で十分でありまして、
工事の認証も三百八十七坪となっておりますのを、通信局独自に大きい局舎を設計し、施行したものでございまして、認証坪数によって施行した場合に比べて約千二百万円の開きができておるものでございます。
次は二二二七号で、地下管路の布設が過大となったものでございます。この
工事は簡単に申しますと、地下管路二十条を布設したものでありまして、そのうち十条は中継線の収容上必要なものと
考えられるのでございますが、他の十条につきましては、既設の幹線管路から収容がえするため
施設したものでありまして、これは既設管路の一
部分について、将来道路拡張
工事が行われた場合に市電軌道が布設され、管理が廃止になるかもしれぬという予想をもちまして、既設の全区間の収容がえをすることにしたものであります。道路管理者側におきましては、道路拡張の具体的
計画があったわけではございませんで、あわてて重要幹線を廃棄するような
計画を立てることはいかがかと思うわけでございまして、必要な十条分をやったといたしますれば、
本件工事は約四千六百万円過大
施設と
考えられるのでございます。
次は二二二八号でございまして、千代田分局の
電力施設工事でありますが、これは二十八年三月の同局の
電力日誌による忙しい時期の電流を基準といたしまして、
施設をしたものでありますが、二十八年三月以降通話の疎通をはかり、特に設備改善をしたため、
工事着手三カ月前の二十八年十一月の当局の記録によりましても、一番電流を食う忙しい時期の電流はだんだん少くなっておりまして、これを基礎といたしまして、
電力設備を考慮いたしますと、電動発電機百六十キロワット一台を増設しておるのでありますが、この増設
工事は必要でなかったわけでありまして、その金額は約千百七十万円になっておるわけでございます。
二二二九から二二三二号の四件は、温湿度調整装置を過大に設置したものでございます。温湿度調整装置は、自動交換器のうち、スイッチ類を塵埃と夏季の高温多湿から保護する目的で
施設するものでありまして、その設計に当って、局舎の
面積、端子数、
電力機器の容量等を基準としてきめるものでありますが、この基礎数値を過大に見積ったため、岐阜電話局、
名古屋中央電話局東分局、同南分局で合計約九百七十万円の過大
施設をしたものであります。また大阪北、三宮、浜町の各分局では本来の目的を逸脱いたしまして自動交換機器の設置していないすべての部屋までも温湿度調整することにして
施設をいたしましたため、これをやめたといたしますれば、約五千七百万円が節約できたことになるわけでございます。
二二三三でありますが、これは勝山極超短波無線中継所新築その他
工事のうち、
工事費三千三百七十余万円で施行しました道路
工事は、請負人が
工事設計通り施行しないで、結局出来高が二百余万円少くなっておりましたのに、そのまま検収していた事態でございまして、その二百余万円相当額は返納になっております。
二二三四号、
工事契約に当り一番札を排除して二番札と契約したものであります。これは四国電気、通信局で富岡電報電話局新築その他
工事を公正協議により契約するに当りまして、一番札清水建設を排除して、約百四十万円ほど高い二番札の大林組と契約した事態であります。これは公正協議を開始しようといたしました際、一番札の清水建設が、
工事費算出明細書を即時提出することができなかったため、契約の厳正を期するため一番札を排除したもので、一応の理由も
考えられるわけでございますが、排除された清水建設は、公社の建築
工事請負審査に合格しておりまして、資力、信用に欠けるところはないものでありましてしかも二番札との差が約百四十万円もあるわけでございますから、多少の協議時間を延長するなどの配意をいたし、経費の節減をはかることが望ましかったのではないかと
考えます。
二二三五号は、局舎の建設に当り、建設費の
決定が当を得なかったものであります。これは特殊なケースでありまして三宮電話局を建設するに当りまして、公舎の予算不足等を補うため、二十八年五月公共建物株式会社と協定を結びまして、同会社の資金で電話局舎と同会社の一般事務室との総合ビルの
工事を施行させましてこの建物のうち、公社の建設費は数年間に会社に支払うこととしたものでございます。しかして公社の支払い総額は、
工事費四億二千五百余万円と、その管理費二千二百余万円及び二十八年十月から二十九年十月までの間に、同会社が公社の保証を得て金融機関から借り入れた四億二千万円の二十九年十二月十五日までの金利二千六百余万円の合計額四億七千五百万円と
決定いたしまして、二十九年度中にそのうち九千五百余万円を支払ったものでございます。しかし金利負担について
考えてみますと、前に申しました借入金四億二千万円は、何回にも借り入れておりますが、この借入金と会社が実際に
工事資材等に支払った金額を公社分と会社分に分けて対照してみますと、借入金の一部が会社分の支払い資金にも回っている結果になっているわけでございまして従って借り入れ資金の金利全額を公社が負担することは不合理と
考えられますので、これを
実情に即して会社に負担させることにいたしますと、金利二千六百万円のうち約四百万円を節減することができると
考えられるわけでございます。
次は物件でございまして価格の
決定が当を得ないものであります。最初は二二三六号でございます。日本電気株式会社外二会社からA型度数計二十三万八千余個を三億二千百余万円で購入しておられますが、その一個当り単価は、一千三百六十六円または一千三百四十九円となっております。私の方で販売原価及び下請価格を
調査しました結果は、大体一個当り千百八十一円
程度と
考えられまして、総額で約四千万円が高価ではないかと
考えられるわけでございます。
次は二二三七号でございます。これは久保田鉄工所外二会社から七十五ミリ及び百ミリの鋳鉄管十八万余本を五億六千余万円で購入しておられますが、その一本当りの単価は、ときによって違っておりますが、七十五ミリは二千八百円または二千七百円でありまして、百ミリは四千四百四十円、四千二百九十円または四千百三十円となっております。その価格の
決定に当りましては、統制撤廃直後の統制価格等に主要材料であります銑鉄の価格の変動等を加味しまして定められたものでありますが、十分な原価計算等は行われていたものではございません。私の方で、東京都における水道管の購入事例その他の
調査によりまして、七十五ミリの購入価格二千八百円は二千五百七十六円くらいで、また百ミリの購入価格四千二百九十円は三千九百八十三円くらいでよかったのではないかというふうに
考えられましたので、かりにこういうことで計算いたしますと、総額で約四千万円の大差があるわけであります。
次は二二三八号であります。四号型電話機四十四万一千六百三十台を二十五億三千三百余万円で購入しておられますが、予定価格の積算に当りまして、荷作り梱包が実際は木箱を使用しないものがあるのに、全部木箱梱包として積算をしたり、運送費を過大に積算しておられるなどのため、約二千二百万円が不経済となっている事態であります。
二二三九号は各種端子箱を購入するに当りまして、前の二二三八号と同じように、
実情に即しない荷作り梱包費を予定価格に積算いたしましたため、約七百十万円が高価になっている事態であります。
次は二二四〇号の小型電話番号簿の購入に当って不経済となったものであります。小型電話番号簿二万六千部を千三百余万円で製作させたものにつきまして、この印刷原版を写真植字によったものでありますが、印刷の基本となります保存原版、すなわちプルーフ原版が使用し得る状況にあったものでありますから、これを利用することといたしたならば約四百万円が節減し得たと
考えられるわけであります。
〔
委員長退席、片島
委員長代理着席〕
次は二二四一号の不必要な電話機盤を購入されたものでありますが、二十九年九月から三十年三月までの間に、日本電気株式会社から搬送端局装置百二十九台を購入する際、仕様書改訂のため購入の必要のないと認められる三号A型電話機盤百二十九個を付属させて購入したため、約三百六十万円が不経済となったものであります。
次は不正行為でありますが、全体の金額は五百八十八万余円になっております。
以上であります。