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1956-02-15 第24回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十五日(水曜日)    午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 片島  港君    理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君   小笠原八十美君       椎名悦三郎君    本名  武君       松岡 松平君    神近 市子君       楯 兼次郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     齋藤 常勝君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君         建 設 技 官         (営繕局長)  小島 新吾君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳澤 英藏君         建設事務官         (事務次官)  石破 二朗君         会計検査院事務         官         (第一局長)  大澤  實君         会計検査院事務         官         (第三局長)  石渡 達夫君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十日  委員山田長司君辞任につき、その補欠として原  彪君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十日  昭和三十年度一般会計予  備費使用調書(その1)     (承諾を  昭和三十強度特別会計予      求めるの  備費使用調書(その1)       件)  昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納令整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  昭和三十年度一般会計予  備費使用調書(その1)     (承諾を  昭和三十年度特別会計予      求めるの  備費使用調書(その1)       件)  昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書     —————————————
  2. 片島港

    片島委員長代理 それではこれより会議を開きます。  ただいま委員長がちょっと他出いたしておりまするので、この間理事でありまする私が、かわってしばらく委員長職務を行います。  去る十日内閣より提出され、同日本委員会に付託されました昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その1)、以上二伸につき承諾を求める件及び昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書一括議題に供し、これより審査を進めます。まず大蔵当局より各件につきましてそれぞれ説明を求めます。山手大蔵政務次官
  3. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計予備費使用外一件について、財政法第三十六条第三項の規定に基き、国会事後承諾を求める件につきまして御説明申し上げます。  昭和三十年度一般会計予備費予算額は八十億円でありまして、このうち、財政法第三十五条の規定によりまして、昭和三十年四月十五日から同年十二月二十七日までの間において、使用を決定いたしました金額は四十四億一千三百二十余万円であります。そのおもなる事項は、河川等災害復旧事業に必要な経費農業施設災害復旧事業に必要な経費港湾災害復旧事業に必要な経費文教施設災害復旧事業に必要な経費災害救助に必要な経費租税還付加算金に必要な経費南極観測用船宗谷の代船購入に必要な経費帰還輸送に必要な経費拿捕漁船乗組員救済に必要な経費等であります。  次に、昭和三十年度各特別会計予備費予算総額は五百五十三億一千五百九十余万円でありまして、このうち、昭和三十年九月十三日から同年十二月二十三日までの間において、使用を決定いたしました総額は三百四億八千八百万円余であります。そのおもなる事項は、食糧管理特別会計における昭和三十年産米買い入れ数量増加に伴い必要な経費国有林野事業特別会計における東北及び北海道地方災害復旧に必要な経費漁船保険特別会計における給与再保険金支払い並びに再保険料還付に必要な経費等であります。  以上、昭和三十年度一般会計予備費使用調書外一件について事後承諾を求める件の説明をいたしました。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承諾賜わりますようお願い申し上げます。  次に、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為に関する報告につきまして御説明申し上げます。  昭和三十年度一般会計におきまして、財政法第十五条弟二項の規定に基き、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる金額は三十億円でありまして、このうち南極観測用船宗谷改装することにつきまして、昭和三十年十二月二十七日閣議の決定を経て、総額四億六千七百十三万円の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました次第であります。  以上をもちまして、昭和三十年度国庫債務負担行為に関する報告といたします。
  4. 片島港

    片島委員長代理 それでは資料要求あるいは質問等につきまして発言を求められておりますので、これを許します。吉田賢一君。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず資料を要求いたします。予備費使用を決定いたしました各省に対しまして、その支出状況をなるべく詳細に記載したものを至急当委員会に提出するようにお計らいを願います。  それから詳しい質問資料が来てから行いますが、まず一点伺っておきます。大蔵省は前回二十八年度の予備費承諾の件を当委員会審議いたしました際、当委員会付帯決議をしておるんですが、それは御承知ですか。
  6. 山手滿男

    山手政府委員 承知いたしております。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 付帯決議趣旨は十分に守ってもらっておると思いまするが、それらにつきまして御意見を伺っておきます。
  8. 山手滿男

    山手政府委員 事後承諾案は、すみやかに出す方針のもとに、ただいま報告を申し上げました件は、ごく最近までのものをお出しをいたしておるわけであります。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 特に一点この際伺っておきますが、特別会計におきまして、食管会計で三百億円の予備費使用いたしておりますが、これはどういう理由に基くのでありますか。
  10. 山手滿男

    山手政府委員 これは三十年度におきまして予想外に豊作でございまして、買い入れ量もふえましたので、予備費で当初当然まかなったらいいだろうということで、三百億を使用したわけであります。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの点につきましては、なお食管会計主管庁から詳細な説明書をお取り寄せ願いまして、その上に質疑を進めたいと思います。
  12. 片島港

    片島委員長代理 承知いたしました。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為につきまして、これの現在の支出負担行為契約有無金額内容等状況の御説明を願います。
  14. 山手滿男

    山手政府委員 この契約内容等につきましては、事務当局からその御説明をいたさせます。
  15. 柳澤英藏

    柳澤説明員 お答え申し上げます。南極観測船宗谷改装に関する工事につきましては、現在私のところでわかっておりますところはエンヂンの一部の整備につきまして金額が八千三百万円でございますが、これにつきましては新潟鉄工契約を締結いたしまして一月十四日に着工いたしているということを伺っております。それからその他の船体の改装につきましては目下入札中であるというきのうまでのあれでありますが、そういう状況に相なっております。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとただいま手元に詳細な数字の資料がないのでありますが、防衛関係に関する予算について、昭和三十年度の債務負担行為をなし得る限度と、それからそれの契約有無、ないとすればその理由、そういうものについて一つ説明願っておきます。
  17. 柳澤英藏

    柳澤説明員 防衛関係費国庫債務負担行為につきましては、三十年度における国庫債務負担行為はいわゆる予算の形式による負担行為といたしまして国会に提出いたしましてその御審議を願ったわけであります。金額等につきまして実はきょう資料を持って参りませんので、資料を取り寄せましてお手元に差し上げたいと思います。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予備費に関しましての質問次会に譲ることにいたします。  そこできょうは大臣が見えておりませんが大蔵省首脳部が見えておりますから伺っておきます。大蔵省では昭和二十六年度の検査院報告指摘されました事実はいつごろに知ったのですか。
  19. 柳澤英藏

    柳澤説明員 正式には会計検査院から検査報告が提出せられまして知ったわけでございます。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、二十九年度の予算執行昭和三十年、暦年の年末近くにならぬと執行状況がわからぬということになるのでしょうか。これは一つ大臣にかわって政務次官から御答弁願いたいと思います。
  21. 山手滿男

    山手政府委員 昭和二十九年度の予算執行についてのお尋ねでございますが、大蔵省といたしましては総括的にはいろいろなことを承知いたしておりますし、前金支払いでございますとか、あるいは個々ケースについて毎月報告を受ける等のことはいたしておりますけれども、会計検査院のこの報告のようないろいろな具体的なケースについて、特別なものについては報告を受けたものもございますけれども、一々全部をこまかく承知をいたしておるわけではございません。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私のこれを聞いたゆえんは、会計検査院が膨大な批難事項報告せられておるのだが、検査院指摘して文書になってその上で知るということは、少くとも予算執行監督をする主管庁としては怠慢だろうと思うのです。そういうようなことでは何も監督をしておらぬということに帰します。検査院が知りあなたの方が知る、検査院が調べる、あなたの方が調べる、同時もしくは前後して知る、そういうことは一体どういう事項になるのでしょうか。あなたの方は検査院が正式に検査をした結果を報告するようなときまでほとんど知らないというのが実情じゃないかということになると、これは大へんなことになると思いますので、大体どういうことがその最終問題が確定するまでにあなたの方が知るような事項か、こういう点を明らかにしてみたいと思うわけです。
  23. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま申し上げましたように、大蔵省といたしましては予算については包括的な責任を持っておりまして、ただ個々執行につきましては直接には主管省がこれを誠実に実行する責任を持っておるわけでございます。ただ計画実行等につきましては、特に昭和二十八年などのように災害が頻発をいたしましたりしたような場合には、方々でいろいろ不都合なことも起きたような実情もございますから、その当時はできるだけ地方財務局等を督励いたしまして、その計画通りに行っておるかどうかというふうなことについて、あるいは水増しや何か不正なことはないかというふうなことについて取り調べて適正に行われますように努力をいたして参っておりますけれども、その執行をされたあと、いろいろこまかくどこまで報告を得ておるかどうか、その点については事務当局の方から御説明をいたさせます。
  24. 柳澤英藏

    柳澤説明員 ただいまの御説明につきまして、多少敷伍して私からお答え申し上げたいと思います。まず大蔵省予算執行に関する立場でございますが、御承知通り財政法会計法等によりまして大蔵大臣権限として定められておる事項がございます。予算予備費使用に関するところの事項とか、あるいは予算の移用、流用に関する事項とか、あるいは前金払い概算払いに対する特定の事項に関する協議とか、契約に関する協議事項とか、またその他月々の報告を聴取する事柄とか、一応財政法会計法規定されております事柄が、いわゆる大蔵大臣財務総括権限としての権限であろう、かように考えられておる次第であります。ですからこれを活用いたしまして、各省予算執行を一応統制いたしていくということに相なると思います。もちろんそれに付加せられまして会計法四十六条に大蔵大臣監査権がございますが、何分にもその監査を受ける側の官庁の立場というものも考慮いたさなければなりませんので、現在のところ主としてこの監査につきましては、予算編成のための資料の収集という点に重点を置いていたしております。もちろんきわめて不適正な執行状態を知りましたような場合におきましては、財務局等を使いまして監査をいたしておるものもございますが、何分にも会計検査院の方で相当綿密な検査をいたしておる関係もございますので、あまり綿密にいたしますことも、検査を受けるあるいは監査を受ける立場も十分考慮いたさなければならぬ事情もございますので、目下のところそういう状態に相なっております。制度的には大蔵大臣予算執行に関して監査ができるように相なっておるのであります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 会計法四十六条の大蔵大臣権限にもかかわらず、会計検査院が綿密、精微な検査をしておるので、これに敬意を表して、あなたの方では重複を避けるというような御趣旨である。それならば伺うのです炉、会計検査院検査の結果、報告事項を確定した。これを大臣とか、次官とか、その省の首脳部は全部御検討になっておるのですか。少くとも失礼だが閲読なさるのですか、その点いかがなんですか。
  26. 山手滿男

    山手政府委員 私は就任日も浅いものでございまして、全部書類もこまかく目を通すひまもないのでありますが、会計検査院報告等につきましても、いろいろ担当官を呼びまして、特に注意しなければいかぬ事項とか、会計検査院から指摘を受けております問題で、特に今後こういうふうにした方がいいとか、あるいはこういう特殊な例があったとかいうふうなことについて、特に著しい遺憾の点などについて報告を受け、またその内容について議論をいたしたわけでございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 政務次官就任日が浅いので全部に目を通しておられないことでありますれば、これは一応了といたします。しからば大臣はこれを閲読なさるのかどうか、この点をまず伺っておきます。
  28. 山手滿男

    山手政府委員 大臣も非常に忙しいものでございますから、どの程度に閲読をいたしておるかどうかよく存じませんけれども、私に対しましても、事務当局からいろいろ会計検査院関係についての報告もございますし、著しい不当なもの等についての、特に注意する事項等指摘をして参っておりまするから、大臣に対しても同様な処置がとられておるものと私は考えております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは山手政務次官にお約束を願いたいのですが、なるほど国の予算を作成することはきわめて重大な職務であられる。夜を日に継いでこれに当り、本省の本来の建物の外においてさえ、それぞれ事務をおとりになる御熱心なことはごもっともと存じます。従って国会予算に関する審議における政府当局の熱意もずいぶん熾烈なものがあるかとも思います。これもわかります。しかしそれなるがゆえに一体この決算に関しまして、政府財政措置批難されておる文書を、一体読まぬとはどういうわけです。あなたとしても、予算編成をする上から、決算の特に批難された事項を参照するということは最も必要なことでなければならぬ。また決算の各般の審議状況というものが予算に反映するということは、これは国民がというよりも、国会においても議論のないほどみな要望しておる。ところが大臣も読まなければ、あなたも読まぬということでは私はいかぬと思う。そこではっきりと御約束願いたい点は、大臣は何ゆえにお読みにならぬのか、あなたもお読みにならぬのかということについて、一つはっきり御答弁願いたいと思う。けれども閲読なさっておるとするならば、私ども少し伺いたいことがあるのであります。そういうことなんです。ここにあげられておることはあなた方にとって、極端に申せば、予算さえ通ればいいと思っているのかもしらぬが、何十億円、何百億円、ことに検査院一般会計において確認もしない額が約百億円に達している。確認をされないような原因がどこにあるのかわかりません。今資料をとっておりますので、明らかになっておりませんが、検査院確認できないような予算の使い方が百億円にも上っておるのです。そういう重大な事実があるのです。たとえば一つ指摘しましても、これを読みもしないというのはどういうわけですか。これを何ゆえ読まないのか、大臣にしっかりこの委員会において答弁してもらいたい。もしそんなに国の決算、特に批難される財政執行の事実について反省をしないということは大へんなことである。またあなたにおいても、大臣にかわってしばしば予算について各省と御折衝にもなっておる重要なお立場なんです。かくのごとく批難されておる事実を、次の年度の予算編成に重要な資料としてこれを参考にするということが当然であろうと思う。しからばこれを読まなければいかぬ。読むだけじゃいけませんよ。検討しなければいけません。調査しなければいかぬ。二十九年度決算報告に上っております二千幾らの批難事項、これを内訳にすれば何万以上にもなるわけでありますが、こういったことについで下僚に命じて再調査、再検討しろというような処置でもとった事実が大蔵省でありますか。
  30. 山手滿男

    山手政府委員 私も会計検査院報告書に基いていろいろ報告を聞き、この国会に提出をされたものについて、特にひどい事件などについての議論もいたしたわけでございまして、あるいは大臣もよくこの全部のことを記憶しておられるかどうか知りませんけれども、検討をされて十分吉田委員の御趣旨に沿うように努力をするつもりでおられることと考えております。今のお話でございますが、それではどういう処置をとったかという話でございますけれども、大蔵省としては金を支出する段階におきましても、よく地方財務局などを督励いたしましてずさんな計画が行われておれば計画の変更を命ずるとか、いろいろ処置を具体的にとって参っておりますし、そういう点についてはむしろ国会の方から、予算をつけたのにあまり大蔵省がごちゃごちゃ言って引き締めるような処置をやり過ぎるじゃないか、こう言うて非難を受けるほど、大蔵省としてはあまりずさんな予算執行をしたと言われないように十分の努力を実は重ねて参っておるわけでございまして、いろいろ事務的にもやっておるわけでございますけれども、具体的にこういうたくさんの件数について批難されることは遺憾でございまして、今後とも十分処置を講じて参る所存でございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺っておるのは、大蔵省予算執行上あまり引き締めて各省の自主的な行政行為に干渉しておる、そういうことをしなさいと言っておるのじゃない。そんなことを言っておるのじゃなしに、第一点は、当委員会においてこの報告事実に対する大蔵大臣の御所見をはっきり聞きたいのです。ですからぜひお願いしたいのです。読んだとか読まぬとかいうことで、欠席裁判をここでするつもりはございません。  それから第二点は、それほどあなた方が検査院の精密な検査の結果を尊重なさるというものであれば、その事実をほんとう予算に盛り込むべきじゃないだろうか。予算に織り込んで是正すべきものはするということをすべきじゃないだろうか。しからばその前提として、あなたらの方独自に事実を確認するというくらいな手続がなければいかぬというようなことを思えば、二千二百四十七件と批難事項は上っておるけれども、これはさらに個別に割るならば何万の数になるが、特にひどい案件という表現もあなたにはあったけれども、何が特にひどい案件か私にはわからぬ。ことごとくひどい案件と思っている。ひどい案件でなければ批難事項にならぬのです。この中で隠れてしまった氷山の大部分というものは、それでもひどい案件が私どもはあると思うけれども、検査院はあえてそれを批難事項として指摘しておらぬということを考えるならば、これはことごとくがひどい案件なんですよ。しからばあなたの方としましても、特にひどい案件か何かは存じませんが、一応はしかるべき調査確認をするというくらいなことをやってもいいのじゃないか。やらなければ次の予算参考にするということはできぬじゃないかと思いますので、そういう処置をおとりになっているかどうか、こう聞いておるのであって、何も各省行政行為大蔵省が特に干渉がましくしてはいかぬとか、そんなことを言うているのじゃないのです。これはやはりそれぞれ自主性を尊重する。それぞれの行政責任を負うておるのですから、あなたの方はあなたの方の権限範囲において適正を期しておられればいいわけでありますが、そうじゃなしに、いやしくも不当とか不正とかいわれる事項に対して、大蔵省は何らかの事実確認——少くとも次の予算資料にしようと思えば、事実を確認しなければいけません。せずして、これをこのままうのみにしていくというのであるならば、私はまた聞きたいことがある。でありますから、あなた自身もこれを読んでおらぬ。こんなものくらい読まぬようなことでは、極端に申せば、ほんとう決算委員会に来られません。これからどんどんあなたの方の責任を問うていかなければなりませんが、こんな小さなものは読んでおらぬということではいかぬと思うのです。でありますから、何らかの処置が各方面に向って、予算をむちやに使った方面に向って、妙な経理をした方面に向って、調査なりをすべきだと思うのだが、それをしたのかどうかという点を私は明らかにしたいのです。
  32. 山手滿男

    山手政府委員 もちろん会計検査院からこういう報告がされておりまして大蔵省の方でもこれを受け取りまして、その調書に基いて確認をいたし、いろいろ批難をされるような事項については、そういう事項を繰り返さないように適正な処置をとる所存で、担当官もこれを検討をいたしておるわけでございまして、決して会計検査院報告を全然確認をしない、あるいはこういう案件があったというふうなことを確認をしないとかなんとかいうことではございません。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事務当局に伺った方がいいと思うのですが、検査院報告書の一九ページによりますと、決算の総括的な点において前払いの精算未了が三十三億千五百万円余に上っておりますが、この内容は精査されておりますか。
  34. 柳澤英藏

    柳澤説明員 この前金払い精算未了につきましては、主として保安庁関係防衛庁関係だというように記憶いたします。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺うのは、これも事の性質上大小あると思いますが、内容を精査されておりますか、こう申し上げるのです。
  36. 柳澤英藏

    柳澤説明員 まだ決算の未確認のものにつきましては、一々内容につきましてどういうものが未了になっているかという点については精査をいたしておりません。ただこういうものについての前金払いの表につきまして事前に大蔵省に参っておりますが、その際においてどういう性質前金払いをやったかということにつきましては十分調査をしております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この機会に、前後いたしますが、会計検査院に一応伺っておきますが、決算につきまして決算額の未確認、これは前金払い精算未了のものとして三十三億円、概算払い精算未了として十五億円、質問に対する回答未済といたしまして八千八百万円、証明済み調査中のもの四十二億円、回答済み調査中のものが一億三千六百万円・計九十四億余りになるわけでありますが、これは一口に言えば一体どこにこういう責任があるのでしょうか。これは一々の案件について検討しなければわかりませんが、私の方も前回の委員会におきまして資料を要求して、一部資料が参っております。これは国の会計がまだ精算が未了確認ができない、調査中というようなもので百億円もこういうものがあるというのは、一口に言えばどこに責任があるのでしょうか。どこかの制度上か行政行為の上にか欠けたところがあるのですか、足らぬところがあるのでしょうか、どういうことになるのでありましょうか。
  38. 大澤實

    ○大澤会計検査院説明員 ただいま吉田委員指摘の未確認の問題でありますが、これは一つ会計検査院の内部の取扱い方のことをちょっと申し上げないとわからないのでありますが、会計検査院といたしましては、歳入歳出が完全に精算されなければそれが当否を決定する、いわゆる確認したということを言うのは少し行き過ぎといいますか、それはいかぬのではないか。やはり精算が完了しなければ確認ということが言えないのではないかという意味におきまして、会計法令上認められた前金払いのものでも、まだ精算が完了していないというものは、一応未確認金額に上っております。だからすべてが失当なために未確認にしておるというのではなくて、まだ精算が終っていない、終る段階に至っていないというものが相当あるのであります。もっとも前金払いで非常に不当なものは別として、検査院報告に掲げておりまして、二十九年度におきましてもこれから御審議になるか、あるいは御審議を終ったかと思いますが、十数億の建設省の前金払いというものがあるのでありますが、大体において前金払い内容は、そういうわけで、精算が終っていないものは一応全部未確認証明済み調査中というものが四十二億というように非常に多くなっておりますが、これは一応二十九年度で支出は証明されておりますが、府県の補助などでまだ補助の先の実態を見きわめないと、補助金が交付されたという、その交付されたという支出行為は正当なんですが、それが果して実体的に正当かどうかということは確認できないというので、二十九年度に補助金を交付されたもので、現地の調査を終っていないものとして四十数億というものが未確認になっておるのであります。でありますから、ここに百億程度のものが未確認になっておりますが、これはすべてが経理上失当な未確認ではないということを御了承願いたいと思います。なお回答済み調査中というようなものは、一応回答はもらっておるが、どうも不当ではなかろうかということで検討しておるというものでありまして、大体こういうものは不当性の強いものであります。こういうことになると思います。
  39. 片島港

    片島委員長代理 ちょっと吉田委員に御注意いたしますが、きょうは予備費関係で、午前中は質疑なり資料の提出を求めるということで、ただいまの御質問決算検査報告に対する一般総括的なお尋ねのようでありますから、ちょっと本日の議題とはずれておるのではないかと思います。  それではちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  40. 片島港

    片島委員長代理 速記を始めて。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではそのような御支障であれば適当な機会に今の質問は全部譲ることにいたします。検査院のただいまの御説明につきましても、さらに伺うことは今の御要請にも反することになりますから、いずれ次に送ることにいたします。
  42. 片島港

    片島委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめます。午後一時から再開いたし懐して、建設省所管につきまして審査を進めます。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時二十八分開議
  43. 上林與市郎

    ○上林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和二十九年度決算中建設省所管につきまして、前会に引き続き質疑を続行いたしますが、その前に前回の委員会におきまして説明を残された点につきまして、会計検査院当局より説明を求めます。石渡第三局長
  44. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 前会におきまして三二八ページのところまで御説明申し上げてございますが、引き続きまして三二九ページの二二〇一号から二二〇七号、「昭和二十八、二十九年発生災害復旧事業の査定額を減額させたもの」これ以下について御説明申し上げます。  この会計検査院検査は、本体としましては、工事が終ったあとその工事がよくできているかどうかということについて検査をするのでありますが、二十八年度からこの工事の完成前に査定の内容検査しまして、もし査定に不当な点があれば御注意申し上げる。そうして直していただく方が工事が完成した後に申し上げるよりも直すことも簡単にできますし、効果が上るという見地から、二十九年度も引き続きまして工事完成前に検査をしたのであります。その結果二十八年度と同様な案件がまだ見られまして、同一の個所について建設省と農林省との双方が重複して査定をしている、あるいは災害がないのに改良工事として査定をしている、あるいは設計の内容が現地の事情に即さない過大なものになっているというような事項がございまして、御注意申し上げましたところが、建設省におかれましても五百八十工事につきまして、工事費において二億二千六百万円のものを減額された次第でありまして、件数におきましては相当な件数でございますが、二十八年度に施行しました当初の検査から見ますると、件数も金額も相当減っておりまして、ちょっと御参考までに申し上げますれば、二十八年度は検査した個所が一万四百十九カ所、これに対しまして不当事項の含んでいる件数が約二〇%になっております。それが本年度は、検査個所が九千四百五十五、それに対して不当事項を含んだ工事の件数は七・二%、こういうふうに二〇%から七%くらいに減っております。それから検査金額といたしましても、二十八年度は検査をした金額が五百一億六千百万円、これに対しまして約四・一%の不当工事の金額を摘発しているのでありますが、二十九年度は検査した金額が百四十五億ばかりでありまして、これに対して不当工事費の金額は一・八%、昨年の四・一%から一・八%に減っております。こういうふうに工事完成前の検査におきましても、昨年と比べますと成績がだいぶ上っておりますことは、建設省におきますところの監督が徹底をしてきた。これは建設省が工事の査定をされます場合に、現地に行かれまして実際に現地を見て査定される場合と、机上査定がありますが、間違いが起りますのは机上査定の部分について非常に多く発見されるのであります。そうした例にかんがみまして、建設省におかれましても、できるだけ現地査定を実行される、こういう方針で実施されております。二十八年度の災害につきましては、全体の査定に対する実地査定の割合が八一%になっておりますが、二十九年度の災害につきましては、実地査定が九四%まで向上しているというふうに、非常に努力されている結果でもありましょうし、また災害の申請をする地方の町村等が自覚をされて、そういいかげんな申請をしなくなったという点もこれによって現われていると思います。しかしなおさっき申しましたような件数の不当査定が相当ありますことはきわめて遺憾に存ずることであります。  次に、この分類をしまして、二二〇一号から二二〇七号まで上っておりますが、ごく簡単に申し上げますと、二二〇一号は重複査定の代表的な事例でありまして、和歌山県八幡村が施行しました災害復旧工事につきまして建設省の護岸工事と、農林省の路側工事が重複して査定されている。これは、建設省は二十九年十一月に査定しまして、農林省がその後三十年一月に査定している、こうした事態でありまして、建設省をやめまして農林省の方で施行するといった例でございます。  また同じ県の川上村が施行した工事ですが、この工事は建設省の護岸と農林省の護岸がダブっておりまして、農林省の方は二十八年災害としまして二十八年十月に査定している。それを建設省が二十九年十一月にダブって査定をしたという例であります。  次に二二〇二号は、愛媛県の伊方町の施行しました復旧工事ですが、これは建設省の護岸工事と農林省の堤塘工事がダブっている例でありまして、これは農林省の査定が二十九年十月、建設省の方はその直後の二十九年十一月に査定をしましてダブった査定をした次第であります。  以上いずれも農林省と建設省とが協議されまして、建設省の工事の方を解工している例でございます。  次には和歌山県が施行した工事でございますが、二二〇三号でございます。これは災害の事実がないのに災害復旧として工事をやっている。三百八十四万円の査定額でありますが、このうち下流部の方は全然被害がない、上流部の方は被害が軽微であって、この設計にあるような大規模な工事はする必要はない。もっと小規模な工事で間に合う。三百八十四万円の工事費は百七十三万円ばかりで間に合う、こういうケースでございます。  それから、同じ和歌山県の川原村が施行しております村道の復旧工事です。が、これは幅員メートルばかりのごく小さな道路でございまして、しかも本件で工事をしましたところから五百メートルばかりでこの道路は行きどまりになっている。そうした道路に延長四十五メートルの鉄筋コンクリートの機道を作っている。これはもともと幅員二メートル未満の工事ですから、負担法による適用の対象外になるべき事態であります。  その次の二二〇四号は、島根県邑智郡の施行した工事であります。これは床止工一基復旧しておりますが、この二基は全然なかったものである。その上流と下流に古いものがありまして、本件の工事の一基はもともとなかった。しかも河床低下のこの災害復旧をするような事態がこの分については見出されないという事態でございます。  その次の二二〇五号は、徳島県が施行した工事でありますが、これは被害が軽微である。しかもこれは天然の海岸でありまして、まわりに別に施設物がない、天然の砂丘になっておりまして、こうした場所には原則は負担法の適用がないのでありますが、特別例外として侵蝕のおそれがあるような場合に例外的に災害復旧として認めるというふうになっておりますから、工事としましてもできるだけ簡単な範囲にとどむべきである、こうした考えで査定を直しまして、当初査定額が一千万円ばかりのものが六百十七万八千円、これで間に合うという事態であります。  次の二二〇六号は設計過大の問題でありますが、現地の状況をよく見なかった、それで実際の地盤よりも設計地盤を低く見ましたために水たた遂に使うところの玉石コンクリートの数を非常に多く積算しまして、設計には五百個必要であるというようになっておりますが、現地を見ますと地盤がそれほど落ち込んでいない。従って二百三十二個で間に合うという事態でございます。  次は山口県の施行する大坊川の災害復旧工事でありますが、これは川の片側を掘さくしまして土を二千四百六十一立米掘る。その掘った土を三キロメートルも向うに運搬するというふうに一方では査定しておりまして、また一方ではその対岸におきましてほぼ同量の土量を築堤として用いるというふうになっております。この築堤の査定の場合に、築堤用の土の採取場所をこの対岸の掘さくしました場所として考えれば築堤をする工事費とほぼ同額でもって掘さくもでき、築堤もできるという事態でありまして、そういうふうに考えてやればさきの掘さくの方の査定額の二百八十万ばかりは節減できるという事態でございます。これは前の掘さくの方は二十九年十一月に建設省が査定しておられまして、築堤の方は三十年一月に査定しております。ごく接近しているのでございますが、こういうふうに担当者の連絡が不十分なために両方がばらばらに査定してしまったという事態でございます。  それから二二〇八号につきましては前に御説明してございますから省略いたしまして、二二〇九号について御説明申し上げます。これは安全保障諸費の補助金にかかる問題でございますが、群馬県の妙義山演習場に連絡する道路の改修工事といたしまして五百五十三万五千円の補助をしております。しかしこの妙義山の演習場は三十年の二月二十八日に使用解除となりまして、本件工事はその後の三月二十五日に請け負わしております。この工事は横川の駅から演習場までの連絡道路でありまして、本件工事の場所から手前の横川駅寄りの方は大体において改修が済んでいる。橋も四カ所ありまして、そのうちの三カ所は工事が済んでおる。若宮橋が一つ残っていた。それで本件工事の一番演習場寄りの方の橋ができておりまして、その間の道路がなおできておらぬ。それで先の道路を生かし、本件道路と先にでき上った道路の区域まで活用したいというような建設省の御意向から、本件工事をやられたようでありますが、これに関連しますほかの区の工事は、三月一日までに着工しない工事については全部打ち切っておられます。特に本件の工事だけ例外的に、その後に契約をして着工した分について補助を出しておられますが、道路を利用する上において必要がありとしますれば、この妙義地区の演習場はすでに廃止になっておりますから、本件は安全保障諸費からの補助でなくて、本来の予算から出してやられるべきだというふうに考えております。以上をもちまして御説明を終ります。
  45. 上林與市郎

    ○上林委員長 それではこれより質疑に入ります。吉田賢一君。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昭和二十九年度決算報告書番号二〇八四号、建設省所管にかかる案件であります。前会に引き続いて質疑を継続したいのであります。  この問題はまず大蔵省から伺いたいのでありますが、大蔵省は主計局長の出席をぜひお願いし、要求してあったのですが、その結果はどうなっておりますか。
  47. 上林與市郎

    ○上林委員長 今督促しておりますから、返事が来るまでお待ちを願います。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは大蔵省の来ておられる方は柳沢司計課長ですか。
  49. 上林與市郎

    ○上林委員長 今呼びに行っております。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは会計検査院にまず伺っておきます。この案件につきまして支出されました予算は安全保障諸費に属するようでございます。そこでこの予算昭和二十七年度において大蔵省予算として議決されました総額、繰り越し明許であるかどうか、それから建設省分として移用されました金額とその時期、それから二十八年度へ繰り越されました建設省分の金額、二十九年へ繰り越されました法律上の理由金額、三十年度へ繰り越されました根拠と金額、これを御説明願いたいと思います。
  51. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 二十七年度から二十八正度は明許繰り越しになっております。金額は百九十七億……。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省予算としての安全保障費の総額であります。
  53. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 建設省所管になった分だけの資料しか今持っておらないのですが。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではおわかりの範囲でよろしゅうございます。
  55. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 建設省所管に移しかえられた部分につきまして申し上げます。そのうち二十七年度から二十八年度に繰り越しましたのは百九十七億一千百万円、これは予算上の明許繰り越しになっております。それから二十八生度から二十九年度へ繰り越しましたのは百五十億七千九百万円、これは特別の法律によっております。それから二十九年度から三十年度へ繰り越しましたのは六十六億七千四百万円、これは財政法四十二条の事故繰り越しになっております。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十七年度の大蔵省予算を建設省へ移しかえました年月日はいつでありますか。
  57. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 年月日はちょっと今資料を持ち合せておりませんが……。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 移しかえの手続ができました大体の時期でよろしいのです。
  59. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 ちょっと今資料を持っておりませんから……。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、建設省が右案件指摘されておりまする電電公社へ公事費を前金払いしておりますが、その年月日をまずお示し願いたい。
  61. 石破二朗

    ○石破説明員 電電公社に建設省が支払いました日につきましては、まことに不用意でありますがただいま正確な資料を持っておりませんけれども、昭和三十年三月の未と御了解願いたいと思います。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さきに検査院に伺った点もあなたの方から聞けば明瞭になると思いますが……。安全保障諸費の二十七年度分を大蔵省から建設省へ移しかえを受けました年月日はいつでありますか。
  63. 石破二朗

    ○石破説明員 まことにこれも不用意でありまして。年月日につきましてはこの場で今すぐ調べて御答弁申し上げたいと思いますが、ちょっと資料を持っておりませんので……。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは重ねて建設省にお伺いします。電電公社にお払いになりましたのはどういう理由によるのでありますか。
  65. 石破二朗

    ○石破説明員 電電公社に払いました根拠につきましては、安全保障諸費によりましていろいろの電話施設を一括いたしまして電電公社にやっていただくことにし、その総額につきまして電電公社と建設省と大蔵省と、この三者の間に協定ができておりまして、その協定に基いて電電公社に支払ったわけでございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点やはり支払いをなさしめた方に聞くことが適当であろうと思いますので、次に譲っておきまして、電電公社の方に伺います。電電公社は五億二千九百余万円を昭和三十年の三月末に受け取っておりますが、これは工事費の総額らしい、工事費の総額を受けるというのは何か理由があったのですか。
  67. 靱勉

    ○靱説明員 それはただいま建設省から御答弁になりましたが、駐留軍が都市から撤退する、それに伴いましていろいろ電気通信施設を新設したり、移転しなければならぬ、こういうようなことになりましたので、大蔵、建設及び電信電話の三者間におきましてこれの実施に伴う点について協定を結んだわけでございます。そこでその協定におきましては、建設工事の着工前に大体二分の一程度の前渡金を電電の方に払っていただく、こういう形になっておったのでございますが、本件の五億二千万円というものにつきましては、実は前渡金というのでなく年度の関係もございまして、次年度におきまして相当どんどん工事を進めなければならぬというような関係もありましたので、一応公社としまして五億円余りのものを受けまして、これを借受金といたしましてそうして精算していく、こういう形をとったのでございます。公社側といたしましては、借受金を受けるということは必ずしも違法ではないというふうに解釈をいたしまして、協定の趣旨の着工前の二分の一という点には反しておる、こういうことでございます。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その大蔵、建設、電電公社の三者間で協定された時期、協定の趣旨、この件に関してもう少し具体的にお述べ願いたい。
  69. 靱勉

    ○靱説明員 協定は昭和二十八年の十月三十日付で協定いたしております。この趣旨といたしますところは、日本国に駐留しておるアメリカ合衆国軍隊の都市撤去に伴い必要とする電気通信設備で安全保障諸費をもってするその建設工事の実施に関しての協定でございまして、建設工事の設計及び施工は電電公社が行う。ただし軽微な施設区域内工事は建設省で行う。建設省の安全保障諸費の支出官は、建設工事予算について公社に対して原則として着工前にその二分の一に相当する額を設備負担金というような名目で支出して、工事完了後、竣工確認の上公社の請求書の提出を待ってその残額を支払う、こういうことにいたしまして、公社の実施した建設工事によって生じた財産というものは、これは公社に所属するということ、あるいは工事費の受け払い、こういうものについて協定した次第であります。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 電電公社ではいまだ工事をしないのに、また着工の時期が確定しておらぬのに工事費の全額を受けるということ、特にそれが政府建設の事業においてそのような事例がしば、しばあるのでありますか。
  71. 靱勉

    ○靱説明員 これはそういう例はないのでありまして、あるいは特殊の電気通信施設を日本の機関におきましても建設することが公衆電気通信法で認められております。その際公社がこれを担当して実施する場合におきまして、あるいは繰り入れていただくという形をとっておりますが、それはやはりその年度において工事がないものについては繰り入れるというようなことはございません。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三者で、政府間において、また政府関係機関のあなたの方において、こういう重要な協定をしておるのだが、着工前に二分の一を受けることというのを全額受けるということは、これは容易ならぬ事実であると思うのであります。違法であるとか違法でないとかいうことの前に、こういう新しい事例を開こうというときには、あらためて協定するとかいうことが必要ではないだろうか、こういうようにも考えるのだが、電電公社としてはそういう趣旨でも大蔵省、建設省へは述べませんでしたか。金をよけいあげましょうといえば幾らでもお受けになるのか。金額は少からず、五億二千九百万円であります。五億二千九百万円といえばまことに莫大な金額でありますが、そういうようなものを違法であるとかないとかを研究するというようなことは、これはおかしな話で、即座に拒否して、国家の予算というものは協定以外によけいもらうべきでないというような強い態度にどうして出なかったのか。そういう疑いを持ってでも何らかの意見表示をしなかったのか。そういう点はいかがでありますか。
  73. 靱勉

    ○靱説明員 御指摘の点ごもっともでございまして、私ども、もちろん協定と変って参りますので、その点につきましては、たとえば建設省予算におきまして繰り越していただくというようなことがいいのではないかというような意見を述べた次第でございますが、この工事につきましては、やはり都市から撤退するというような意味合いにおきまして、年度の末になって引き続きまたそういうような工事がどんどんやられるというようなことも考えまして、巨額の金でございますので、はなはだその点不行き届きもございましたが、一応仮受金として、できるだけ早く精算できるものと考えたような次第であります。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 仮受金というのは借用の意味じゃないのでしょうね。それはどうなんですか。
  75. 靱勉

    ○靱説明員 これは借用でなく、かりに受け取っておきまして、まだ清算しないということでございます。もちろんこれは工事が進行した場合に精算しまして、もし残りがあればこれはもとへお返しする、こういう性質のものでございます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点はあなたの方の経理実情がよくわからぬのでありますが、あなたの方では前金払いを受けるものを、その金額が全額であろうと二分の一であろうとにかかわらず、これは経理上は仮受け取金ということで処理なさっておるのでありますか。
  77. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私どものバランスシートの項目を見ていただきますと、貸方項目に仮受金勘定というものがございます。この勘定項目につきましては郵政大臣の認可を得ておりますが、この項目は今度の建設省からいただきました金ばかりを入れる項目ではございません。たとえて申しますと、契約保証金とかあるいは電報の予納金とかそうしたものも入っております。あるいはまた法律できめられておりますところの、加入者債券と申しますが、加入者に負担していただきますところの債券を、一時お金を先にいただいて一週間か十日間ばかり置いて勧銀に渡す、勧銀は債券を発行して結了をする。こういう中間的な経過勘定と申しますか、末精算勘定と申しますか、これが仮受勘定の役割であります。その勘定にこの金は最もぴたりとふさわしいのではないか。決して当期の企業収入・雑収入にあげておいたのではありません。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこの金は現実にはどういうふうに処理しておられるのですか。銀行の預金としておるのであろうか、あるいはほかの何かに使用したのであろうか、使用したものもあり、預金したものもあるというのであろうか、それとも全然手をつけずにおるというのでしょろか。そういうことは最後の点、想像はされましょうが、どういうふうに処理しておられますか。
  79. 秋草篤二

    ○秋草説明員 仮受金勘定は御案内のように負債夫精算勘定の姿を記録するものでありまして、当然それの裏づけとなります、見返りとなります金は、現金なり預金として別にあるわけであります。この預金をそれぞれの性格に応じて袋なり箱を別にしておくわけではございませんで、一括して国庫預託になっておるわけであります。区分だけは明快になっております。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこれは領金されておるものかと思いますが、金利がつくという状態にあるのでしょうか。
  81. 秋草篤二

    ○秋草説明員 金利はむろん国庫預託でありましてもつきますが、御案内のように国鉄の預託金の金利は全額日銀の金利がつきませんで、ただいま私どもでは二十億以下は無利子でありまして、二十億以上の資金に達しますとその超過額につきまして日歩八厘の利子がつくわけであります。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 建設省に伺いますが、電電公社におきましては、これはたとえば繰り越しの措置でもとってもらうべきでないか、こういう意見も述べたということでありますが、建設省は御自分の所管工事であります。が、どうして電電公社の意見を取り入れることをなさらなかったのでありますか。
  83. 上林與市郎

    ○上林委員長 ちょっと答弁前に…。建設大臣に御質問がございますか。今時間の都合ができたそうでありますから、もしなければ……。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは二、三分だけおっていただいて帰っていただいてもけっこうです。
  85. 石破二朗

    ○石破説明員 全額を工事着工前に渡さずに、協定の原則通り二分の一だけを着工前には渡して、あとの半分はどうして出さずにおかなかったのか。そういうのに対して建設省はどういう見解で全額渡したかというお尋ねでありますが、実はこの点につきましては大へんうかつでありまして、当時法規上の十分の検討もいたしておりません。その後検査院から御指摘がありましていろいろ検討してみておる、事後ではありますが研究いたしておりますが、やはり今日でも実は法規上半分のものは繰り越せたものかどうかという点については、私も確信を持つに至っておらぬ状況であります。当時におきましては工事費の方とこの負担金の方とが、予算上別の目に計上されているというような関係上、工事費の方につきまして本体の工事費が繰り越しになっても、これに付帯してやりますところの電信電話施設費を繰り越すということはできない、あるいは間違っておったかもしれぬといまだに自信を持っておりませんが、そういう見解でこれは繰り越せないもの、かような前提に立って処置したものと御了解願いたいと思います。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣お急ぎのようでありますから、ちょっと一点、あなたに伺うのはいかがかと思いますけれども、念のため伺っておきますが、この種の大蔵省、建設省、政府関係機関の三者にまたがるような数億の支出をいたしますとき、ことに今のように法律上も若干疑義があるような場合には、われわれ部外の者から考えまして、たとえば省議といいますか何か重要な協議事項として決裁するということも、私はごく手数の要らない問題ではないだろうかと思う。問題のないときならともかくも、かりにも電電公社の方で協定以外の金を受け取るのは困るというような意見も出、しかもその金は約三億円、二億数千万円に上るというような場合に、局長のもとで処理するということも慣例かもしれませんけれども、やはり大臣、次官は直接にそういったときには臨時に処理について協議するとかいうのが行政のあり方だと思うのです。建設省というところは安全保障費の大部分を使ってしまっているところなのですが、当初五百六十億円ものものが、多く建設省の方に流れていると思うのですが、そういうような慎重な態度をとって、予算執行をするというようなことをなさらぬのでありましょうか。その辺どうなっているのでしょうか。
  87. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 重大な問題につきましては、もちろん御指摘のように十分相談をいたし、協議をいたした上でやるべきである、かように考え、また将来とてもそのつもりで事を運んでいきたい、かように考えております。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 重大な問題というふうに抽象的におっしゃれば事何でもないことですけれども、政府と同じように扱った相手は電電公社であります。電電公社が金を受け入れるということも容易ならぬ問題であります。何億円の金を理由なく受け取るということは、政府間においてはもちろんのこと、政府政府関係機関の間でもなすべきことでない。対民間の間も同様のことであります。このように何億円の金を払うか払わないかというような案件につきまして、一方において疑義がある。また協定の文理的解釈からしましても当然疑義が生ずる。予算執行の公正を期する上からいっても疑義が生ずる。また大蔵省も関与しておりますので聞かなければわかりませんが、そういったと遂にこういうような問題が一体重大ではないのだろうかどうか。将来は重要な問題は省議にかけて慎重にやる、これはけっこうなことで御答弁いただくまでもないことでありますが、こういうことはそういう重要に値しないものであろうかというところに私は危惧の念を持つのであります。何百億という安全保障費をあなたの方は使ってきたのでありますから、こういうふうにあげていくと、片っぱしからいろいろなものが出てくるのではないかと心配をするのでありますが、具体的にこういうような問題の場合に、やはり当然省議にかけるとか、あなたが決裁すべき筋ではないかということをお聞きしたいのです。
  89. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 お尋ねでありましたので、重大な場合にはという表現をいたしましたが、ただいま御指摘のような具体的な問題はもちろん重大な問題の範疇に入ると考えます。今後よく協議いたしまして善処いたしたいと思います。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 電電公社に伺いますが、あなたの方でたとえばここに指摘しておりまする横浜の岸根地区の問題でありますが、岸根地区のどこがいつごろから使用できるというような見通しを持っておったのですか。
  91. 靱勉

    ○靱説明員 公社といたしましてはおよその見当といたしまして三十年度中にはできるものというふうに考えております。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年度中にできるということになりますと、昭和三十一年の三月末ということになるのであります。これがあなたの方の態度ですか。ところで建設省は五月になったら着工ができるという見通しのようであった。こんな大きな食い違いが生ずるのはどういうわけでしょう。これらの土地の使用可能な時期の見通し等についても両者十分に協議をしなかったのであろうか、結局そういうようなことも十分に検討することなく約七億円という金が政府とあなた方、もしくは鹿島建設などの土建屋さんの間に受け渡しされてしまったのではなかろうかという疑いを持つのであります。一方建設省は五月から着工できる見通しを持っておった。ただしこれは客観的な裏づけはないのです。あなたの方は三十年度中に竣工ですか、仕事ができるというのですか、そういうことになれば少しその辺があいまいになって参りますけれども、ともかく着工の時期炉お互いの間にまだ明確に一致点ができておられなかったというふうにもみられるのですが、お互いの間にこれはいつから使用できるできないということについての十分な協議が尽されなかったのかどうか、電電公社に伺いたいと思います。
  93. 靱勉

    ○靱説明員 今三十年度中にと申し上げましたが、この五億円余りの工事の件数としましては二十数件あるのであります。そこで一々につきまして——もちろん私どもの方の工事にはそれぞれ設計用意等も必要でもございますので、建設省とも打ち合せて参っているわけでございますけれども、現に今御指摘のものにつきましてはまだできていないというような形で、非常に見込み違いができた点は申しわけなく存じております。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 建設省に伺いますが、あなたの方の岸根地区の工事、主として建物でありますが、建物の完成は大体いつのお見込みですか。
  95. 石破二朗

    ○石破説明員 昭和二十九年度末に契約しました工事の現在の進捗状況は約三〇%程度でありましで、これから年度末まで一生懸命にやりましても、相当額が昭和三十一年度に繰り越される、こういう状況であります。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとその辺を明確にしていただきたいのですが、このまま努力されても相当額三十一年度に繰り越される、相当額というのは、金額の割合からいえばどのくらいになるのでありますか。そして完成はいつごろの見込みですか。
  97. 石破二朗

    ○石破説明員 昭和三十年度末までかかりましても工事の約半分程度しかできない。六、七億程度のものは三十一年度に繰り越される。なおこれの完成の見込みでありますが、これも将来のことでありましで、軽々に申し上げますとまたえらい見込み違いをすることがあるかもしれませんけれども、今の一応の見込みは昭和三十一年の十一月ごろになるのではないかという見込みを立てております。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私も現場を見ましたが、今は二月の中旬、現在三〇%で年度末に五〇%になる。ところで今まだ整地の最中で、建物の着工はいつやらはっきりいたしません。めちゃくちゃな手抜でもやれば別ですけれども、そういうめちゃはいたしますまい。といたしますれば、これはやはりもっと来年度にかかるのじゃないだろうか。幾ら夜を日に継いでやるといったところが、バラックを建てるわけではありますまいし、人間が住むところを作るのだし、また漏電その他の危険のないようなものを作らなければなりますまい。かわかさなくちゃなりますまい。あるいはまた整地をしておりましてもかなりしけた箇所があるように見受けました。このようなこともありますので、ここはやはりできるだけ的確なお見通しが願いたいのであります。むしろ五割以上も年度を越すのじゃないか、こういうふうにもわれわれはしろうとながら考えるのでありますが、その点いかがでございましょう。
  99. 石破二朗

    ○石破説明員 御指摘の点われわれも過去におきまして大きな見込み違いばかりいたしておりますので、ここではっきりしたことは申し上げかねますけれども、やはり先ほど申し上げました通り、全工事の半分程度のものは三十一年度にそのまま繰り越しになって、そのできる時期は大体十一月ごろじやなかろうか、かように考えておる次第であります。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 質問を続ける上におきまして大蔵省がいませんので非常に不便を感じておるのです。そこで電電公社に伺っておきますが、電電公社のお仕事は、大部分はやはり建築ができ上らぬとつけないのじゃないでしょうか。あるいは機械の設置にいたしましても、電信電話の設備にいたしましても、野原に作るというようなものはほとんどないのじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、その点はどうなんですか。
  101. 靱勉

    ○靱説明員 大体におきまして駐留軍関係の施設につきましては今御指摘の通りでございますが、やはりケーブルを作るとかそういうような場合には、機械の完成とにらみ合せまして、あるいは道路や何か、そういう点を見合せましてケーブル布設をやるということはあり得るのでございます。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あり得ますけれども、現実のたとえば岸根地区の問題にいたしましても、事実上建物に設置するような設備以外は何も手がついておらぬように思うのでありますが、あなたの方では具体的に岸根地区につきまして何か現実にやっておられるのでありましようか。
  103. 靱勉

    ○靱説明員 御指摘の地域につきましてはただいま何もいたしておりません。先ほど申し上げましたのは、建築ができなければ絶対に工事しないかという御質問のように承わりましたので、大体さようでございますが、場合によっては機械ができてすぐ開通するという場合には線路を先行して作ることがあるということを一般的に申し上げたのでありまして、この地域ではやっておりません。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局事業が五割年度を越すということになると、岸根地区の場合におきましては、いわば五割と申しましてもそのうち電電公社の分が河割になるか、これはまだはっきりいたしておらぬわけでありますが、しかし主としてやはり建築が先行するとすれば大部分が残るのではないかというふうにも思われます。そこで電電公社に伺っておきますが、あなたの方では当初三十年にまたがる前後に金は受け取り、そうして建設省では三十年の五月には建築が着工できるであろうという見通しで、あなたの方でももうこの年度に全部完成するという見込み、こういうものが全部狂ってきておるわけであります。二十九年、三十年、三十一年と三年越しに国の金を前金払いで受けたかどうか存じませんけれども、金を持っておるというようなことは、これは穏当を欠くように思うのですが、どうお考えになっておるのでしょうか。
  105. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ごもっともなお話でございます。私のお答えはあるいは建設省のお答えも兼ねたような形になると思うのです。結局先ほどからの問題を繰り返すようでございますが、私ども正確な前金払いをいただかないで非常に大ざっぱに大金を建設省からいただくということは、私どもことに経理を担当いたしております者からすれば、当然危惧の念を持ちますし、慎重に考えなければならぬという気持はあったわけであります。しかしもう三月の末になりますし、相手は駐留軍でございます。当初はやはり五億にも上るというような大きな計画を駐留軍から希望されて予算に組まれておるわけです。その希望は現在まで駐留軍はつないできておりますが、遺憾ながらそういう工事を開始する時期とかなんかになりますと、あちらの出方はなかなかこちらにはわからない。三月になってこれを見たところがほとんど半分も工事が行われていないというと遂になりまして、建設省といたしましてもおそらく相当苦慮されたことと思うのであります。私どもも大金をいきなり前金としていただくということは気が引けますが、私どもが無理やりに建設省からいただいたものでもございませんし、またそういうことは建設省の支出官としてもできるものではないと思います。また私どもがどうしても要らないという金を建設省が下さったということでもないのでありまして、電電公社といたしましても、建設省の支出官の苦慮される点につきましてはよくわかるのでございますが、建設省がくれたからというだけではなくて、私どもも、もらったという点については、手ぎわの悪かったことは非常に申しわけないと思っておるのであります。先ほどから同じようなことをお答えするようでございますが、事情はそういうことでございます。もしこれを成規な予算なり補正予算ができないで打ち切られたならばどういう結果になるかということを私どもが想像いたしますと、電電公社としますと、三十年度になりまして春から夏にかけて新たなるいろいろな通信サービスの要求がくる、これなどは終戦直後ずいぶん苦い経験をしたのでありますが、そのときになって予算は成規にはないというようなことも考えますと、私どもは借り受け金という経理で、収入に上げないで一時未精算勘定にしで、実費を精算して残ればお返しするということを考えましたので、実害というものはないのじゃないかということを考えましてお受け取りした次第であります。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 比喩を民間にとりますが、民間で二十九年中に仕事を完成してもらいたいということで全額の金を受け取って、三十年度になっても三十一年度になっても完成しない、当初からなれ合いでそれはかまわぬのだ、初年度に完成しなかったら三年かかっても四年かかってもいいのだというようなことが民間で行われておりましたら、これはおそらく背任になります。何となれば、金を出す側には何の利益もないわけであります。民間の金でございましたら、やはり一定の時期に一定のものを給付されるということを期待して出すのであります。ところがこれは三年越しにわたるというのですから、もってのほかであります。そんなことを会社の経理担当者と土建屋とがやりましたならば、背任の疑いを受けます。そこであなたの話を裏返すと、予算措置を講ずると危険が伴うかもしれぬ、そこで繰り越し等の予算の措置を講ずることを免かれて、そして電電公社の成規の収入にはしない、かりに受け取っておく、かりに受け取っておくけれども、ほかの収入とプールして何に使ってしまうかもしれぬ、こういうようまことに好都合に利用できる金を、見通しもはっきりしないのに五億数千万円受け取った、こういうふうに理解されても仕方がないとも思うのであります。そういうおつもりがあったというのではないのですが、形から見れば、二十九年度の建築の経費が三十年にわたり三十一年にわたり、三年越しにわたっておる、そして仕事の完成にかからずにおるということは、金を受けた側ではまことに重宝なことかもわかりませんけれども、全体から見ましたら非常に不明朗な感じがするのであります。でありますので、今建設省で十一月に工事は完成さすつもりでやっておられるということだが、どういう事故が起きて十一月が十二月になるやら、さらに翌年にわたるやらわからぬことになるということを考えると、あなたの方としても心安からざるものがあると思う。二億、三億くらいの金は電電公社の大きな会計から見ればはした金としてお扱いなさっていらっしゃるかもしれぬ、しかしそうは言わせぬ。やはりこれは数年間にまたがって給付するものが、何もないというのに金だけもらってしゃあしゃあとしておるということは、私はおかしいと思うのだ。そこでもし数年間にまたがっていって、あなたの方では向うに給付することができないというのに、じっとして金を持っておってもいいのだろうかどうか、こういうふうにも考えるのだが、一体どうお考えになっていらっしゃるのか。
  107. 靱勉

    ○靱説明員 まことにごもっともでございまして、今実は秋草経理局長がお答えを申し上げたのは、二十九年のこの際におきます気持を弁解した形でございまして、今後こういうままで持っていくという意思は公社としてはないのでございます。当時としましては三十年度の早々に工事の注文がどんどん出てくると考えましたので、さっき申しましたように不行き届きではございましたが、五億余りの金を受け入れた、こういう形になっております。三十年度もすでにもう年度末近くになっで、しかも見込みがないというのは、大蔵、建設とも御相談いたしまして、それはいつまでも持っていくべきものでは絶対ない、こういうふうに私は考えております。
  108. 上林與市郎

    ○上林委員長 大蔵省の原次長が見えました。大蔵省はおくれてどうしますか。審議の進行上困りますよ。
  109. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院に伺いますが、こういうような金がともかく理由なくしてたとえば土建屋のふところに入っておるというようなと遂に、国としては取り返すことはできないのかどうか、それを一つ伺っておきたい。
  110. 石渡達夫

    ○石渡会計検査院説明員 土建会社に払った分は、正式な契約をしてその契約内容として前金払いをやっておりますから、土建会社が自発的に前金をお返しするという事態でもなければ、国の方から返せということを命ずることは非常にむずかしいというように考えております。  それから電電公社に対する分でございますが、これも三者協定によって前金をやっておりまして、そして法律上は前金払いができるということになっておりますから、国の方から電電公社に返すように指令を出すということは困難かと思います。
  111. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もしこの問題についてあなたの方ではっきりした結論がないのなら、一つ御研究願いたいと思うのであります。  検査院に申し上げますが、電電公社自身も心安らかでないものがあるわけなんです。しかも国の予算の金なんです。そして契約によって渡したのだから、取り戻すことができないのだなんと言うが、私はやはり国家の財政の建前から見て、そういう事態は放置すべきものでないと思うのです。かりにも政府関係機関の重要な代表者が、当然受け取るべきもの、従って正常な経理をするというふうにしておられぬというものに対しては、国が適当な方法を講じて、そしてまた国の一般の経費に充当するとかなんとかいうふうに処理するということが、国家の財政を規正し、公正に予算を使っていただく上においても大事な点じゃないかと思うのであります。でありますからその点もう一ぺん再考していただきたい。それでほかへ移りますから御答弁はあとで願います。  大蔵省に伺います。第一この問題は大蔵省が出席されないために数時間むだになっております。どういうわけで一体ここへ来られないのでしょうか。
  112. 原純夫

    ○原政府委員 実は他の案件につきまして与党側との打ち合せ会と申しますか、予定されておりまして、それが本日一時の予定でありまして、一時に私ども参って、済み次第参るつもりでおりました。それが始まりましたのが二時十五分くらいになってしまったのでございます。今も実は続いておるのでありますが、それの方を先に約束しておったものでありますから、それを中座してやっと参ったというわけでございます。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの御誠意はよくわかりますが、やはり与党に責任を転嫁することになります。あなたというものが、大蔵省が国家の機関として決算委員会に出て、大蔵省の御意見を聞かなければならぬことがあるので、しばしば委員長を通じて申し入れしてあるのですが、しかるべき方が出てこない。そうしてある政党の要請によって時間をとったというようなことは政府の御答弁として申さるべき筋じゃございません。これはだれが責任者か知りませんけれども、お帰りになって適当に言っておいて下さい。  そこであなたに伺いますが、あなたは現実に昨年の三月、つまり二十九年度の年末に在任しておられましたか、それを伺っておきます。
  114. 原純夫

    ○原政府委員 在任しておりました。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それで伺いますが、今問題になっておりますのは横浜の岸根地区における建設省の所管工事、安全保障費をもって支弁されております駐留軍の兵舎等の建物、電電公社の電信電話等の建設工事費、これにつきまして検査院指摘しております二十九年度検査報告の二〇八四号、これが案件になっておるのであります。そこであなたに伺うのでありますが、第一安全保障諸費をあなたの方で二十七年の大蔵省予算として議決されておりますが、これを建設省へ移しかえなさるというのは、年度初頭にでも一括してなさるのでありますか。それとも支払うべき事実が生じまして個々になさるのでありますか。それはどういうふうになっておるのでありますか。
  116. 原純夫

    ○原政府委員 安全保障諸費の移しかえは年度当初に必ずしも一括してやるということではございません。やはり計画を随時取りまとめまして、必ずしも年度当初一回というのではなくして、ときどき計画が進捗いたしますに従って移しかえをいたしておりました。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこの岸根地区の電電公社に支払った分の五億二千九百余万円、それから鹿島建設ほか二十九社に支払った一億六千三百余万円、これらの移しかえはいつだったのでありますか。
  118. 原純夫

    ○原政府委員 岸根の方は昭和二十九年十一月二十日に移しかえをいたしております。それから電電公社の分は三十年三月十五日に移しかえをいたしております。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで伺いますが、大蔵省としましては岸根地区における建設工事が容易に着工できないという事実をお知りにならなかったのですか。
  120. 原純夫

    ○原政府委員 知っておりました。それで非常に心配いたしておりました。
  121. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 現に昭和三十年九月にようやく土地収用委員会の採決があったのであります。従ってこれが終了いたしました後に初めて土地使用、立ち入りも可能になったようなのでありますが、そういうときに急いでこれらの金を電電公社その他土建屋に支払わなければならなかった理由はどこにあるのです。
  122. 原純夫

    ○原政府委員 御存じの通り財政法によりまして年度予算という拘束もあり、安全保障諸費というものは非常に大きな計画と申しますか、一連の工事をやらなければならぬというようなことから、二十七年度の予算に当初計上されましたものを、通常の一年繰り越しでは間に合わないということで、もう一年繰り越さしていただくという法律案をお願いして、作っていただいてやりましたが、なかなか計画がはかどらないというので、私ども執行各省に極力はかどうしていただくようにということも非常にうるさくお願いいたしておきました。各省ももちろんそのつもりでやっておるだろうと思います。何分いわゆる都心部からの移転はアメリカ側という別の当事者がありますものでおくれおくれいたしまして、早く早くというような意味から、これらの移しかえにつきましても、私どもといたしましてはむしろ積極的にどんどん移しかえてやっていただくという気持でやっておりましたので、結果として実際に使える時期がおくれてきたというようなことになりましたことは非常に遺憾でありますけれども、その間全体としてそういう事情がありましたので、一つお許しを願いたいと思う次第でございます。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この移しかえの手続についてのあなたの方のいろいろ規定を調べてみますと、予算決算及び会計令の第十七条には、移しかえについては移用を必要とする理由、科目、金額を明らかにした書類が大蔵大臣に送付されておるようであります。そういたしますと、これを必要とする理由が明らかにされるという中には、当然岸根地区の土地が容易に使用できない、使用の開始がいつできるかわからぬということは明瞭なのであります。その必要とする理由が十分に記載せられ、これを信ずるに足るような添付書類がついておらぬと私どもは思うのであります。そういたしますると、大蔵省としては、一般的なその急ぐ理由とか、アメリカの駐留軍の計画がはっきりしないとか、その一般的な理由はわかるのでありますけれども、具体的な岸根地区における工事、従ってこれに対する移しかえの各般の手続というようなものは、こういうような手続から推察いたしますると、あなたの方では工事の着工はもうできないということがはっきりとわかっておった。容易にできないということはわかっておった。前回の当委員会における建設省側の御説明によりますというと、調達庁の方で五月から着工できるという見通しの文書がきたので、それを信頼しておったというように御答弁になっておるのであります。しかしあなたの方といたしましては、現状も御承知であろうし、または紛争の事情も御承知であろうし、添付書類にその辺のことが明らかになっておろうし、ことに国有の土地でなしに横浜市の所有地を借用するのでありますから、従って収用委員会におきましても使用決定の採決がされるのでありますから、そういう第三者の所有物が占有者との間に紛糾しておるというようなことは、これはもう公知の事実なのであります。でありますから、そう見てみまするというと、この移しかえをせられた当初、土建屋の関係の分も、それから電電公社の分におきましても、ちょっと容易にはこの土地は使えないということがわかっておったはずなんであります。わかっておったならば、伺いたいことは、この場合に急いで支払ってしまわなければ、財政的に予算上の措置をとる道がなかったのかどうか。この点を一つはっきりしておいていただきたい。つまり前段の手続上使用可能の時期が明瞭でないということが明らかであったということと、そのような場合に、次の年度において予算措置を考慮するということは不可能であったのかどうか、この二点であります。
  124. 原純夫

    ○原政府委員 二十九年の十一月に移しかえをいたしましたときに、これがとても年度内に支出にならぬであろうという判断はございませんでした。これはできるものと思っていたしております。もちろんこの収用等についてはなかなか問題があるわけでありますが、せいぜい促進してやっていただくというようなことで話をずっと進めておりますので、できないというつもりで移しかえいたしているのではなくて、むしろ早くやっていただきたいというつもりで移しかえをいたしておるわけであります。なおその次年度予算措置の問題でありますが、それは必要なものはとにかくやらなければならないのだ。そうして安全保障諸費でできないという場合、以降の年度で同種の仕事が必要だという場合は、さらに御審議を経て支出すべきものは支出しなければならぬわけでありますが、やはりできるだけ安全保障諸費で片づけたいという気持は、私ども率直に申してこの予算担当者として持ちました。少し持ち過ぎたかもしれません。あまりへ理屈を申してなにする気持はございませんが、どうも私個人的に考えてみましても、安全保障諸費の仕事というのは、非常に膨大な仕事でございますので、一生懸命与えられた期間にできるようにという努力をした。少しし過ぎたというふうにいわれる面が出て、ここでいろいろおとがめいただかなければならぬことになったのは遺憾でありますが、そういうような事情がございますので、一つその辺はよろしくおくみ取りをいただきたいと思う次第でございます。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私結論的に申しますならば、大蔵省が仕事の完成を急ぎ、事業炉円満に早く進捗することを急ぐことを希望するというような御見地から努力されたということは、それはそれといたしまして、ほかと違って大蔵省なのでございまするから、やはりでき得る場合とできない場合とはよいかげんになさるべき役所じゃないのでありますから、そこでくどいようでありますけれども、その移しかえの場合ですが、あなたは使用可能の見通しもあったようなことをおっしゃっておりますけれども、私どもも現地を見たり、現地の人々らに聞いたり、あそこの紛争の経過を聞いたり、ことにあれは別に経過がいろいろ雑誌にまで載ったのでございます。そういう経過をたどっておりますので、建設省への当初の二十九年の年末の移しかえの当時におきましても、三十年の三月の移しかえの当時におきましても、容易に使えないということは衆目の見るところ一致するのであります。そこで移しかえというものは、これを必要とする理由が客観的に妥当な、納得し得るような理由が明らかでなくても移しかえができるのかどうか。そういうことをやっておられるのかどうか。駐留軍の便宜のために、事業を急ぐために、そこらはよいかげんに解釈してよいのであるかどうか。そういうのが大蔵省の実例なのかどうか。その辺を実ははっきりしておきたいのであります。
  126. 原純夫

    ○原政府委員 もちろん移しかえするということは支出をし得る状態に近づけることでございますから、とても使えまいというものを移しかえするということを申し上げるわけにはいかないのでございます。やはり使えるだろうということであります。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは率直にあなたの方も答弁してもらいたいのですが、結局これはほかの事例によってみても、あなたの方で予算の繰り越しをお認めになっております場合、事故繰り越しの理由というものもいろいろ述べられておりますので、これはしいてやれば翌年度に使う方法もあったんじゃないか。けれども先渡ししておいた方がしごく手続が簡単だというのでやったんじゃないか、こうも思うのでありますが、ほんとうはそうじゃないでしょうか。ここは済んだことですから、私どもも済んだこととして大体きょうは終りたいと思います。これはあなたの方で当然のことを当然やったのが何だというようなことなら別ですけれども、その辺は少し行き過ぎがあったということであれば、率直に述べてもらいたい。ほかに道がないとは私は言えぬと思うのです。その点いかがです。
  128. 原純夫

    ○原政府委員 率直に申し上げまして、おっしゃるような気持に動かされたことは事実でございます。先ほど来申しましたように、一刻も早く事業を完成してもらいたいと思ってずっとやって参りました。年度末も参る。昨年の三月は例のああいう時期でございますから、三十一年度予算はまだ成立してはおりませんけれども、三十年度予算のワクというものは御存じの通り二度目の一兆予算で非常に苦しいもの、われわれの手元においてはどうにものっぴきならぬような案としてできておりました。そういうことから動かされたということはございます。が何とか支出の理屈のつくものは安全保障費で片づけたいということで、できる限り促進したいということでございます。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 便宜的な御答弁に終始しておりますので実に遺憾であります。実はあなたが来る前に電電公社からの御説明を聞いた。電電公社の分のごときは、工事費の五割という協定ができておるのであります。それに十割渡しておる。使用の見通しがつかぬのに工事費の全額を渡し、もしくは上建屋三十社には二億数千万円渡しておる。そうして見通しがっかざりしことは後日客観的に証明されている。一体電電公社に対しては、三者協定で二分の一ということにしておるのに、何で総額を渡さねばならぬのか。電電公社においても、大蔵省に気がねも遠慮もあるかもしれませんけれども、大蔵省はいかに国の財政を支配し得るといえども、もし民間であれば首だと言っておるのです。なぜならば渡すべからざるものを渡したからです。私どもはそこまで思っておるのですから、全額を渡すということはもってのほかではないですか。現に電電公社におきましても、正規の経理はやっておらない。仮請負になっております。正式の登録をしていないのです。あなたは御承知ですか。ここはそんな便宜論の御説明じゃなしに、率直に大蔵省の態度がいけなかったことをお述べになるのが、この事件の結末をつける上においていいのじゃないか。大蔵省としては、当然そういう態度でこの問題は通してもらわないと、あとできまりがつかぬのです。  それからこういうふうにさらに年度を越して五割仕事が三十一年度に残る。ですから二十九年、三十年、三十一年までまたがってしまうのです。その金が使わずにあるのです。こういうものは適当に国へ返すべき筋合いのものじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  130. 原純夫

    ○原政府委員 第一の点については、先ほどそういう気持に動かされたことはございますと申し上げましたわけでございます。第二点の終らないで三十一年度に公社において事業が続くということは、これは続いてやれるのだと思います。
  131. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連して。どうも大蔵省の方の答弁を聞いておるとなかなかあっち逃げこっち逃げなんだが、どっちみちこのような事件が起きて批難事項に上ったのだから、あなたの方が早く遺憾の意を発表されて、今後注意するということにされて、これをあれしてもらったらどうですか。
  132. 原純夫

    ○原政府委員 おっしゃる通り私ども遺憾な点があったと考えております。今後十分注意してやって参りたいと思います。
  133. 上林與市郎

    ○上林委員長 他に御質疑はありませんか。
  134. 生田宏一

    ○生田委員 質問の終るころにちょっと聞きましたものですから、前の人が聞いておったことかもしれませんが、ちょっと気のついたことを一つお尋ねしたいのです。今の電電公社の件です。これは仕事ができておらぬようになっておりますが、決算に上ってきたものですから結末をつけなければならぬと思います。仕事が実際にできていないものに前渡金をお出しになっていることになると思いますが、その金がこの報告書を見ますと数億円に達すると思いますけれども、それは戻るような事情になっておりますか、戻らないようになっておりますか。
  135. 石破二朗

    ○石破説明員 昭和三十年の三月電電公社に安全保障諸費の中から与えました金の総額は五億二千九百余万円になっているわけでありますが、この金に対する工事の現在の進行状況は、個所が合計二十六件でございます。そのうち十件、二億四千二百万円のものはすでに竣工いたしております。現に工事中のものが十件ございまして、その金額は一億九阡九百余万円、こういうことになっております。この二つを先ほど申しました五億二千九百余万円から差し引きました八千七百余万円というものは、まだ工事に着工いたしておりません。その中に具体的に問題になっております岸根地区の電信施設の経費が四千四百余万円含まれているわけであります。八千七百余万円から四千四百余万円を差し引いたものは他の個所のものであります。なお申し落しましたが、この八千七百余万円・現に未着工のものの件数は岸根地区外五カ所、合計六カ所であります。そこでこの電電公社と建設省とのこの金の精算についてでありますが、これにつきましては竣工後精算いたしまして不用のものはもちろん返してやり、実際にかかっただけをお払いするということに相なっております。
  136. 生田宏一

    ○生田委員 そうしますと請負人が工事の見積りをする代金を政府からもらう、あるいは施工主からもらいます場合には、金利の計算は非常にやかましい。ことに今のような非常に料学的な施工が行われるようになりましてからは、非常に金利はやかましい。工事請負人の方から申し出てくるのですが、そういうような数億の金を一年以上も先に渡しておいて国に不当の損害をかけたということではなしに、必要以上に利益を請負人に渡すというような事態は妙なケースだと思いますが、そういう点について、あなた方の方は、もう支出したものは仕方がないからというような、そういうことなんですか。あるいはそれらは良心的にあなた方が扱っていないように見えるのです炉、どんなものですか。
  137. 石破二朗

    ○石破説明員 私が申しました分は、電電公社と建設省の分であります。これにつきましては、ただいま生田委員の御質問になりましたような趣旨のことが吉田委員からもお尋ねがありまして、検査院の方からは法制上は取り上げかねると思う、こういう御答弁でありました。実はその際直接私に対しての御質問ありませんでしたけれども、その点につきましてまことに私どもは苦慮いたしております。特に相手が電電公社でありますと、やはり政府機関でありまして、会計は一応別にはなつておりますが、これは国家機関であります。しかるにこれと別の請負業者に対しまして九億何がしの契約をいたしまして、それに対して去年の四月一億六千三百万円の請負金額の二割に相当するものを払っております。しかもその工事のでき方は現在三〇%という状況であります。そこで非常に苦慮しておるのでありますが、工事がおくれた原因が業者にありとしますならば、契約の条項に照してこれは明瞭に国家に損害を与えないような措置がしっかりとれる。これは確信いたしております。遺憾ながらこの場合は工事のおくれた原因が業者側にはない、発注者側、政府側にあると私は考えておりますので、その間どういう処置をとったらいいか、これから十分検討いたしたいと思います。これから検討の結果の問題ではありますが、業者の方に言わせますればまたいろいろの理屈もあろうと思いますので、その点を一番苦慮しておるわけであります。
  138. 生田宏一

    ○生田委員 できたことでございますからあまりくどくど申しませんが、石破次官としましても、建設省の内部の関係、たとえば会計課長の個人の判断で金を数億渡したということだそうですが、そういうことで、役所の中の執務のやり方に欠点があるか、あるいは人に欠点があるか、きっと何かあるだろうと思いますから、それはあなたの方で今後こういうことが起きないようによく役所の中の整理を一つしてもらいたい。必ず人が不適当であったか、あるいは内部の機構が悪かったか、あるいは両方であるかと私は思いますので、決算委員会のここで、金銭のことばかりでなしに、そういう事後の問題をあなたの方でやってくれなければ、われわれはもう少し別の考え方で委員会の仕事をしなければならぬことが出てくるわけですから、その点どういうようになっておったか、どういうことであったか、事後のあなたの方の処理をどろしたかということをあとで御報告いただきたいと思います。
  139. 石破二朗

    ○石破説明員 ただいまの電電公社に支払いいたしました金並びに岸根地区の請負業者に払いました金につきましては、あながち担当者のみを実は責められないような事情があるのでございますが、建設省の経理一般に関しましての御注意につきましては、私ども平素からも十分慎重を期してはおりますが、二度とこういうことのないように、これはここ限りで申し上げるわけではありません、今後十分注意いたしたいと思います。  なおどういう御趣旨調書を作ったらいいのかまたあとでお伺いいたしまして、調製して、差し上げたいと考えております。
  140. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の問題ですが、生田委員の御要望のそれをさらに拡充いたしまして、電電公社も私に言わすれば進んでもっと正規に経理ができるような考慮をすべきかと思いますので、そこで返すべきものは返すというような方法に出てはいかがか、大蔵省にいたしましてもやはりこれは一応は国家に取り戻すことが適当ではないかとも考えます。請求権があるとかないとか、その権利義務というよりも行政的措置といたしましてその方が穏当じやないかと思いますので、そういう趣旨に沿いまして大蔵省と建設省と電電公社、三若御協議の上、特に電電公社の分につきまして——土建会社の分につきましては、そこまで私は強く申しません。要するに金を受けた全体につきまして一応国へ戻した方がいいのじゃないかと思う面がどうもありますし、このまま経過いたしましては心中じくじたるものもあるような感じもいたしまするので、そこを含んで三者御協議の上適当な結論を得られて、生田委員御要望の内容を充実拡充する意味におきまして結果を当委員会に御報告願いたいと思います。
  141. 上林與市郎

    ○上林委員長 御趣旨は同様ですから、それではそれを繰り込んで一つ報告願うようにお願いします。     —————————————
  142. 上林與市郎

    ○上林委員長 この際お諮りいたすことがございます。すなわち、昨日の理事会において御相談を願ったのでありますが、政府関係機関の収支(日本開発銀行の神通川電源開発融資)に関しましては、しばしば委員会の質疑を通じまして調査を進め、特に現地調査のため委員を派遣いたしたのでありますが、この際さらに参考人として北陸電力社長山田昌作君を招致し、実情を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 上林與市郎

    ○上林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお日時は二十二日午後一時を予定いたしております。  なお去る三日山田委員から、会計検査院職員の足利市への出張の件について質問がありましたので、会計検査院調査いたしましたところ、特に本委員会において問題として取り上げるべき事件でないことがわかりました。そこで質問者とも御相談いたしましてその了承を得ましたので、当委員会におきましては特にこれを取り上げないことといたしたいと存じます。委員各位の御了承をお願い申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後三時十九分散会