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1956-02-09 第24回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月九日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 櫻内 義雄君 理事 関谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 片島  港君    理事 吉田 賢一君       赤澤 正道君    臼井 莊一君      小笠原八十美君    本名  武君       楯 兼次郎君    山田 長司君       吉川 兼光君  出席国務大臣         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁監         察部長)    岡松進次郎君         建設政務次官  堀川 恭平君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     齋藤 常勝君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君         建 設 技 官         (営繕局長)  小島 新吾君  委員外出席者         建設事務官         (建設事務次         官)      石破 二朗君         建 設 技 官         (計画局総務課         長)      前田 光嘉君         建設事務官         (河川局次長) 浅村  廉君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      山本 三郎君         建設事務官         (道路局路政課         長)      宮内 潤一君         建設事務官         (住宅局住宅建         設課長)    稗田  治君         会計検査院事務         官         (第三局長)  石渡 達夫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月八日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として原  彪君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員戸塚九一郎君及び原彪辞任につき、その  補欠として田中伊三次君及び楯兼次郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書     —————————————
  2. 上林與市郎

    ○上林委員長 これより会議を開きます。  本日は建設省所管につきまして審査を進めます。すなわち昭和二十八年度決算検査報告二九九ページより三一九ページに至る報告番号二〇三〇ないし二二〇五につきまして審査をいたします。なお昭和二十九年度決算につきましても、いまだ政府説明書の提出はありませんが、審査都合もありますので、検査報告三一五ページより三三六ページに至る報告番号二〇八四ないし二二〇九をもあわせまして一括議題といたし審査を進めます。まず会計検査院当局より説明を求めます。
  3. 石渡達夫

    石渡会計検査院説明員 では御説明申し上げます。二十八年度につきましては一応御説明申し上げてございますから、一般的な御説明を省略させていただきまして、二十九年度分につきまして御説明申し上げます。  二十九年度検査報告の三一五ページから御説明いたします。三一六ページにダム工事につきまして触れてございます。ダム工事の二十九年度中の支出額は四十六億になっておりまして、そのうち六カ所、二十七億について実地検査を実施いたしました。その結果国の経費だけで購入した機械につきまして、この機械を国とほかの電源開発等企業主体と共同してダム工事をするのでありますが、その場合に国の経費だけで購入した機械使用料について計算ができてない。建設省におきましては、この国とほかの業者との間のアロケーションがまだできていなかったり、あるいは後に変更になる場合が多いのでありまして、そうした場合にこの負担分炉変ってくる、それで工事が終ってから、アロケーションがすっかりきまってから、精算の場合に徴収するというお考えのようでありますが、こうした機械使用料は、計算すればすぐ出るのでありますすから、なるべく早目計算をして、とるならとるというふうにお願いしたいと存ずる次第であります。  それから工事施行に伴う人件費あるいは燃料費とか電灯料とか、そうした経費であります炉、こうした経費につきましては、共同施行者との間の分担によって、国と共同施行者負担する、こういうふうにするのが望ましいのでありますが、人件費等につきまして、現場の実際に監督をしておる人件費のみならず、その工事に要する全般的な人件費についての考慮が十分にされてない。  それから完成したダムも二、三ございますが、完成後のダム管理費につきましても、国と相手の会社との間の負担割合が決定してないものがございます。特にダム工事につきましては、始めてからもうだいぶになりますから、こうした問題につきまして、相当に研究されまして、なるべく早目に具体的な合理的な負担の問題を解決されることが望ましいと存ずる次第であります。  次に公共事業に対する補助経理の問題でございますが、これはあとで省論に出ますから各論の際に御説明す ○ことにしまして、三一七ページの二十八年度決算検査報告掲記事項事後処理について申し上げます。これは、二十八年度に検査をした事項につきまして、三十年の二月から三月の間におきまして、こちらから御注意申し上げたことにつきましてどんなふうに改善されているかという状況を見たのであります。そこにもありますように、国庫補助を除外すべき額が二十万以上の工事七十五カ所について見たのでありますが、そのうち実地検査をしました三十年の二月から三月までに手直し工事完成している分が二十カ所にすぎない。そのほかは工事中または未着工になっております。もっともこれは検査しました時期が三十年の二月から三月で、割合に早い期間でありましたが、その後回答が参りまして、三十年九月までに未着工の五十五カ所のうち三十二カ所は工事完成したという報告に接しております。残りにつきましては工事中または未着工のものも少しございます。これは補強分または手直しをする分についての検査でありますが、そのほかに補助金返還または減額するという回答に接しておりますものが六十二件ございます。これにつきましては建設省は非常によく手を打っておられまして、六十二件の減額のうち六十一件についてはすでに事業主体の方に返還命令を出しておられる。そのうち四十五件はすでに返還または減額をして処理済みになっております。次に安全保障費の問題であります。保全保障費は、二十七年に当初予算が帆立しまして、大蔵省から事業執行官庁建設省あるいは運輸省等移しかえをするようになっておりますが、二十七年度に建設省移しかえを受けました額は二百十九億、そのうち二十七年度は工事が進捗いたしませんで二十二億しか支出していない。百九十七億を繰り越しております。この繰り越し予算明許繰り越しになっております。二十八年度はこの繰り越しを加えまして移しかえを受けました額が三百七十四億、そのうち二百二十三億を支出して百五十億を繰り越しております。この繰り越しは、特別の法令を作りまして、特に繰り越せるという法律による繰り越しになっております。この百五十億を二十九年度に繰り越して、それに新しい移しかえを加えまして二百二十二億、そのうち百五十五億を二十九年度は支出しまして、六十六億を繰り越しております。この六十六億は特別の立法がございませんので、繰り越した分は全部財政法四十二条の事故繰り越しになっております。そうしたような安全保障諸費の全般的な経理になっておりますが、このうち安全保障条約による行政協定によって進駐軍都心部におりますのを郊外地帯に移すリロケーションですか、そういう問題につきまして使った経費が、今申し上げました二十七年度予算成立の当初から二十九年度までで二百五十億に上っております。これはおもに転出費等営繕関係工事でありますが、二百五十億ばかりに上っております。このうち、各論に上っておりますように、まだ工事が具体的にきまらないのに前金払いをやっているようなものが見られますし、建設省が直接自分でおやりにならないで、各市町村に補助を出された道路改修費、これは主として進駐軍施設に通ずるところの道路改修費でありますが、これに出された補助につきましても検査をしたのでありまして、この全体金額炉補助の方は百二十六億、このうち六十七億ばかりのものを検査しましたが、不当事項としては、三百三十五ページに、二二 ○九号群馬県に補助金を出した分について上っております。  次に不当事項の各項について御説明申し上げますが、二〇八四号は安全保障費についての問題であります。安全保障費支出につきまして、まだ工事が具体的にきまらない、あるいは具体的にきまっておりましても前金払いをするには少し時期が早過ぎるじゃないかというものに対して前金払いをしているものであります。この鹿島建設株式会社外二十九会社、これは主として岸根地区宿舎の新営工事が大部分でありますが、その岸根地区進駐軍宿舎につきましては、まず土地の問題がありまして、土地調達については調達庁がお世話をする。それで、調達庁の方から、大体三十年の五月ごろには土地の問題は解決する、従って建築の準備をしてもらいたいというような連絡があったものでありまして、建設省におかれましては、五月から工事が始まるならば三月に契約して前金をやっておかなければ工事はスムーズにいかないというので、三月に契約をしてすぐに、ここにありますような一億六千三百万円の前金払いをいたしておりますが、当時、この建物を作る肝心の土地につきましてはまだ見通しがついていなかった。調達庁からこういう連絡がありまして、大体五月一ばいくらいには見通しがつくという調達庁説明を信頼されたという事情は了としますけれども、しかし土地の問題ですからどういうふうにもつれるかわからない。従って、その前金払いをそのときにすぐしたことは少し時期としては当を得ないものではないか、よく土地見通しがついて前金払いをされても間に合うのじゃないかと思います。この土地の問題は、その後非常にもつれまして、土地収用法まで発動しまして、九月の末になってやっと解決がついて、十月から本工事は開始をされております。結果論にはなりますが、そういった結果からみましても、この前金は少し早かったと思われます。  それから電電公社に対する分であります。電電公社は、十月の協定に基いて前金払いをしたのでありますが、これはまだ具体的に工事内容もきまっていないというようなものに対して前金を出しておりまして、前金払いという概念から見まして、工事内容も具体化しないのに前金払いをいたしたのはどうかというふうに思っております。  それから次の二〇八五号ですが、これは工事予定価格の積算が当を得なかったという事項であります。これは二十八年の四月から二十九年七月までに五回に分けて日本産業再建技術協会というものと契約しておりますが、この場合に、本件工事の前にもう一件工事がありまして、その工事を合せまして六回に分けて工事をやっております。これはダム防水壁に穴をあけまして、そこからセメントを注入して水が漏れるのを防ぐ、そういう穴をあける仕事を請け負いにしておりますが、初めの一回のときは指名競争をしておる。それから次の五回は、第一回で入札をした日本産業再建技術協会、これと随契をやっておりますが、第一回分の実績を見て、第二回分の請負契約価格についてもっと検討を加える余地があったんじゃないか。それからまた諸経費等につきましても少し高い。これに使うところの機械とかあるいは労務者の宿舎等につきましては全部無償で業者に提供している。従って機械減価償却費等につきましては業者は考える必要がないという事情を考えますと、諸経費も少し高過ぎるのではないかと考えます。あれやこれや総合しますと、予定価格がちょっと、二百四十万ばかりもう少し少額に計算することができたのじゃないか。それによって契約をすれば、もっと有利に契約ができたものであるというふうに思います。  それから次の二〇八六号ですが、これは中部地方建設局美和堰堤工事に使う電力工事関係するものでありますが、この美和堰堤工事用として中部地方建設局では千二百キロワットの発電所増設するという計画でおりましたところが、長野県の方から要望がありまして、美和堰堤のすぐ下流のところに同県の県営の高遠ダムというものを作る計画が当時ありまして、長野県からの申し入れによりまして、この高遠ダム用電力設備につきましてもあわせて施工してもらいたいという要望があって、両方のものを合せまして二千四百キロワットの増設をしたのでありますが、この増設によるところの発電施設あるいは送電線施設につきまして、中部地方建設局では、生田変電所というものがあるのですが、この生田変電所改造工事の約九百万円についてだけ、この千二百キロワットと、長野県の希望によって増設しました分との差額、その分だけを二百十二万九千円徴収しまして、長野県の申し入れによって増設した、そのほかの送電線設備等一連工事経費につきましては分担させなかった。検査院注意によりまして、建設省におかれましても、このかかった経費を総合的に見まして、両方使用電力量によって按分して、適正な割当を算出されまして、当初二百十二万円の割当に対して、計算し直しましたところ、一千八百四十八万六千円を県に割り当てるようにしまして、目下徴収手続中のように承知しております。  それから次の二〇八七号から二二〇 ○号は補助金でありますが、補助金につきましては、二十八年度の検査報告にも詳しく述べておりまして、この不当の内容につきましては大体二十八年度と同じような事項であります。  ただ検査の結果につきましては、二十九年度は全体の工事個所について大体一三%程度を検査院検査いたしたのでありますが、その結果、不当事項としてここに上っておりますのは、一工事十万円以上のものについて二百三十一工事、八千六百万円になっております。   〔委員長退席片島委員長代理着   席〕 昨年の分と比較しますと、二十八年度は検査個所が五千六百四十四、これに対して不当事項が四百五十一、件数において八%が不当事項として上っておるものに対しまして、二十九年度は、検査個所が五千七百六十五、これに対しまして不当事項として上っておりますのは二百三十一件、件数において四%、去年の半分になっております。金額におきましては、検査した工事の全体の金額に対して不当事項として上りました工事費金額に対する割合は、二十八年度は一・七%、これが二十九年度は〇・六%に減っております。これは建設省当局における監督の徹底、業者補助金工事に対する自覚が高まってきたということによるものと思うのであります。  なお二百三十一工事不当工事のうちおもなものが三二五ページからずっと上っておりますが、(1)に上っておりますのは、秋田県の県が施行した工事でありますが、根固め木工沈床工事においてコンクリート・ブロックのセメント配合比設計と実際とが違っておりまして、粗悪なコンクリート施行している。そのために全面的に毀損しておりまして、一部はすでに崩壊している。また石張り控えが足りませんので、手でもって引き抜けば抜けるような粗漏な工事である。  次の(2)は、秋田県の前田村が施行した工事でありますが、これは前に流失した橋が、幅の狭い二・二メートルばかりの橋であるのに、それを今度復旧する場合に三・六メートル、延長も前の倍くらいの大きな橋をかけております。これは災害復旧とは見られない。  それから富山県の上市町の施行した工事でありますが、これは全然架空工事である。それは道路災害復旧でありますが、道路災害復旧がありとして六十二万円の補助を申請しております。書面上は二十八年度の八月着工、九月完成ということで作っておりますが、実際はこの書面によりますところの二十八年八月着工というのは偽わりである。実際はこの同じ村の森林組合農林省から二十七年の災害として補助をもらっておる。そしてその補助によって二十八年六月に着工、二十九年一月に完成しておるのであります。この農林省関係補助工事として着工した後の七月になって、建設省の方の工事をやるとして県知事あて着手承認申請というものを出して虚偽の書類を作りまして、全く対象のない、もうすでに別途着工中の工事を申請して補助を受けたという事案であります。  次の愛知県が施行しました工事につきましては、実際は補助申請工事費よりも非常に安く工事ができておりますのに、架空人夫賃等つけ掛けをして支出したようにしかけまして三百七十四万円を捻出した。そのうち四十九万円を、ほかの直営工事に使ったものもありますし、それから県の労働者訓練所、こういう関係のないものの人夫賃等に充てておりますし、実地検査当時なお三百二十五万円の金を預金して持っておったという事案であります。  次の三重県のものでありますが、これは三重県炉施行しました砂防堰堤工事であります。この堰堤の中身は玉石コンクリート施行するということになっておりますが、中を破壊して検査しました結果によりますと、この中は玉石コンクリートではなくて、多量の土砂がまじっておる、あるいは粗悪な粗石コンクリート施行しておるきわめて粗漏な工事であります。  次は京都府が施行した工事でありますが、これは災害復旧改良工事両方合せて約四億円ばかりで査定を受けたのでありますが、この災害復旧としておる部分について検査しますと、実際は災害復旧ではなくて、改良工事の分が相当入っておる。でありますから、改良工事の分は災害復旧として補助を受けるべきではない、こういう事案でありまして、この改良工事の分を除きますと、国庫負担におきまして六百二十四万円ほどのものが多くいき過ぎておるという事案であります。  それから次の和歌山県の見好村の施行した工事であります。これは設計におきましては野づら石でするということになっておりますが、実際を見ますと、野づら石を使っておりませんで、近所の山から持ってきました非常にぼろぼろした岩で張り石をやっておる。しかもその張り石控え設計に対して非常に短かい。すでに一部は崩壊しまして復旧目的を達していないと認められます。それからなおこの村の経理面を見ますると、実際の工事国庫負担金を下回る金額でやっておりまして、二百五万九千円ばかりの剰余を生じておりまして、この剰余は村の単独工事に充てております。  それから同じ和歌山県の川中村の施行した工事でありますが、これも出来高が非常に不足しておりまして、百九十九万円ばかりが出来高不足になっている。それから村の経理面を見ますと、実際の工事国庫負担金を下回る金額でやっておりまして、村は自分負担分負担しないばかりでなく、百十五万円ばかりの剰余を生じておる。
  4. 片島港

    片島委員長代理 ちょっと第三局長に申し上げますが、建設大臣が他の委員会へ出席せねばならぬ関係もありますので、本日の審議都合上、一応検査番号二二〇八番について御説明をお願いいたします。残余のものにつきましては次の委員会で御説明をお願いいたしたいと思います。
  5. 石渡達夫

    石渡会計検査院説明員 それでは二二〇八番の「国庫補助にかかる公営住宅建設工事施行が粗雑なもの」これについて御説明申し上げます。本件久留米市が二十八年、二十九年両年度にわたって施行したものでありますが、このうちの牟田山及び中隈山団地に作りました公営住宅二百八十三戸の工事が粗雑である。そしてこれに対する国庫補助金として三千五百万円ばかりを交付しておりますが、非常に粗雑でその目的を十分に達していないという事案でございます。この建築工事単価を見ますと、持に安いから非常に粗雑な結果になったという事案ではないのでありまして、久留米市が大体同時に施行しましたほかの住宅を見ますと、ここにもありますように単価は大体坪当り二万一千円から二万五千円ばかりになっております。本件にあげました工事につきましては、坪当り炉二万円から二万六千円というふうになっておりまして、ほとんどそこに開差がない。それで久留米市は建設省公営住宅設計基準久留米市の標準仕様によって建築したということにしておりますが、この施行に当って監督が十分でなかった、検査も十分でなかったというために、粗末な建築になっているのであります。この具体的な例がちょっと書いてありますが、大体におきましてこの建物軸組み小屋組み使用材料設計の寸法だけない。質において非常に劣っている。たとえば四寸五分の角材を使うところに四寸の角材を使っているような事例が非常に多い。それからまた量におきましても設計の量を施行していない。それからその施行につきましても、この横にはりがあり、はりから上につかが立っておりますが、このつかの上の母屋の継ぎ手の工合が非常に悪い、弱いようにできておりまして、そのためにもうすでに屋根が少し落ち込んだような格好になっているものもある。それからまたその継ぎ目もりゃん継ぎにすべきところが一通り継ぎになっている。それから小屋梁継ぎ手につきましても、ボルト締めをするようになっておるところにつきましてボルト締めを使っていないでくぎづけにしておるというものもありまして、非常に強度を欠いておる。そのために軸組みとか小屋組みに狂いを生じて家がゆがんでいる。建具の取り付けが非常に悪いものが多い。また整地につきましても不良なために床下に雨水が入り込んで沈滞している。入っている者が非常に困っておるような状況でありまして、住宅としての目的を十分に達していない。従って耐用命数等につきましても、所定の耐用命数が持つかどうかわからない。建設省におかれましても、とりあえず建て直しをするということを申しております。以上です。
  6. 片島港

    片島委員長代理 ただいまの説明に対しまして建設大臣より発言を求めます。
  7. 馬場元治

    馬場国務大臣 私決算委員会にまかり出ますのは本日が初めてであります。建設省予算は毎年千億円内外の大きな予算をもちまして、あるいは治水災害復旧住宅道路その他各般にわたって全国的に大小の事業を行なっておりますので、特に注意をいたし、ことにそれだけの予算がみな国民諸君の汗とあぶらのかたまりであるということを痛感をいたしまして、この予算施行いたすにつきましては十分な注意を払いまして、いやしくも不当な支出や批難さるべき行為のないように十分の注意を払っておるのであります。御承知のように、監察官制度等を設けまして遺憾なきを期しておるのでありますが、多くの仕事の中に残念ながら批難を受けるような事項炉ありますことは、今後とも特にわれわれとして注意をいたし、戒心をいたさなければならぬ点であると考える次第であります。本省はもちろんでありますが、出先の各機関に対しましても、その旨を絶えず示達いたしまして、注意を換起し、いやしくも遺憾なことのないようにいたしておるつもりであります。将来とても十分戒心をいたしていくつもりであります。具体的の問題につきましては、それぞれ政府委員の方から意見を申し述べることにいたします。どうか委員各位におかせられましてはよろしく御審議をお願い申し上げます。
  8. 片島港

    片島委員長代理 御参考のために本日の出席者を紹介いたします。馬場建設大臣石破事務次官斉藤会計課長前田計画局総務課長、米田河川局長、浅村次長、山本治水課長、宮内道路局路政課長、稗田住宅局住宅建課長、鎌田住宅局長、小島営繕局長、それに行政管理庁岡松監察部長、会計検査院石渡第三局長。以上であります。  それではこれより質疑に入ります。通告順にこれを許します。吉田賢一君。
  9. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は大臣の御都合も察しまして、二十八年度をあと回しにいたしまして、二十九年度にただちに入りたいと思います。そこでこれは専門的な問題になれば事務次官もおいでですから、その方から御答弁願ってもいいと思いますが、しかしこといやしくも国の行政の根本に影響するような点につきましては、一つ大臣が責任を持って御答弁を願いたい、こう思うのです。  そこで問題は昭和二十九年度検査報告書、報告番号二〇八四、三一八ページ、すなわち工事着工時期の見通しもないのに日本電電公社並びに鹿島建設その他の諸土建会社へ前払金総計六億九千二百余万円を不当支出したという案件であります。申すまでもなく建設省のこの予算は、二十九年度を見てみますと、歳出におきましては一千三十三億余円、前年度から繰り越しておるものが二百六十余億円あります。さらに予備費を二十億円も使っておるのであります。こういうような膨大な予算がありますが、特に注目すべきことはさ遂に検査院からも御報告のありました安全保障諸費、これは検査院の一二八ページの説明及び今の御説明によりますと、二十七年から九年度にかけて二百五十億円の工事費などを支出しておるのであります。そこでこの問題につきましていろいろな面から観察をしてみなければならぬと思うのでありますが、今の検査院の御説明によってみ、また報告書の説明並びに建設省から本日当委員会に提出された説明書等によってみますと、建設省におきましては大体検査院の批難事実を認めておられます。  そこで第一に伺いたいことは、この土地の使用、つまり調達庁土地の使用についてそれぞれと手配をすることになり、建設を鹿島建設その他にさせて、そしてまたこれに伴う日本電電公社の電信電話の設備をするというのが大体の設計のアウトラインらしいのでありますが、この土地の使用の見通しが確実でないというときに、また第一には工事の具体的な設計内容が明らかでないというと遂に、この二点、特にこの後者の場合は工事の具体的な設計内容が明らかでないときに、前金払いにしろ何にしろ請負代金を請負業者に払うということは、一体これはできることかできないことか、国の予算を国会で議決しましたと遂には申すまでもなく使用目的事項が明白に規定されておるのでございますので、従って具体的な計画内容が現われておらぬというものに数億円の代金を払うというのは、一体どういうわけか、まずこの辺から伺ってみたいと思うのですが、大臣に御答弁願えればけっこうであります。なんとなれば、これはやはり一般の予算執行の根本の原則になるのでありますから、できれば一つ御答弁願います。
  10. 馬場元治

    馬場国務大臣 この具体的な事案内容につきましては、営繕局長より詳しく御説明を申し上げ、答弁させることといたしたいと思います。
  11. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 予算の執行につきまして、計画がはっきりしないのに予算を使うということは、本省として、大臣としてお許しになることかどうか、こういうことなんです。だから横浜における事案内容を聞くんじゃないのです。
  12. 馬場元治

    馬場国務大臣 着工見通しがつかないときに、支払いをするということは、不当なことであると思います。
  13. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 着工見通しがつかないと遂に支払うことは不当である、その点はよいといたしまして、いま一つの問題である、これと関連しておりましょうが、着工見通し炉明らかでないということはいろいろな原因があるのでありますが、工事の具体的内容が明らかでないときに、予算を執行することはできますか。
  14. 馬場元治

    馬場国務大臣 具体的な問題をよく私存じませんが、工事計画が全然ない場合に支払いをあらかじめするということは、これはあり得ないことであると思います。   〔片島委員長代理退席、委員長着席〕
  15. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと大臣に御注意申し上げておきますが、こういう工合に、土地がきまらなかったり、工事が明らかでないときに、数億の金を一応出す。これは大臣がそれを出したことに対してどういう工合に考えておられるか。もちろん責任は考えておられましょうが、建設省あたりが今までやっておりますのは、普通民間のものにはとてもこういうことを許しておらないのです。その一つの例を申しますと、たとえば住宅金融公庫なんかで家を建てるために土地を買う場合には、その土地を買うのだから、何の担保に入っていようが、登記するまでに地上のものを取り除いて持ってくればそれでいいわけです。それを買う場合はすっかりさら地にして、何もないことにしてからあらためて登記をしていく。登記をしてから四、五日たたないとその金を下げないというような厳重なことを一般民間にやっておるのです。しかるにこういう大きな会社とか、財閥の請負師になりますと、工事が明らかでない、土地もきまらぬときに数億の金を出す。しかもそれが暮れの大みそかにかけて出すなんということは、大臣が常識的に考えられましても、私はここに常識的に判断できない不可解な問題があると思う。一方何の権力のないものが家を建てる、土地を売ってやるとか、なんとかいう場合には、こういう厳重なことをさしている、一方ではこういうことをさせるのは、大臣簡単にお考えにならぬで、よほどこういう点についてお考えにならないといけない。特に鹿島組に対して申し上げるのですが、これは違った問題ですけれども、ちょうど新潟に三面川発電所があります。これを始めるときに建設省から十億以上の補助金がいっているはずです。その補助金などは設計も何もないのに、新潟県にやった。それ炉鹿島組にいっちゃった。十億は取ったけれども、工事のあれがないから、鹿島組は新潟県の経営の三面川の工事自分設計して自分単価をきめて、今度の北村知事がいくまでやっておった。これに対する金の面の融通、工事の利益金などで、あれをやってから鹿島組が今日になった。だからゆるめるところへは常識的に考えられぬほどゆるめて、普通の権力のない者がやるときには、土地に担保があろうが家炉建ってあろうが、登記のときまでに金を払って抜けばいいのに、それすらも許しておらない。建設省が一方においてそういうことをやり、一方においてこういうことをやることを見ると、私は大臣が就任されたばかりで、われわれ質問したら大へんなことになるし、ほかの方が質問されますからやめますが、こういう点はあなたがよほどお考えにならぬと大へんなことが起りますよ。まことに申しわけない、注意しますと申されるが、国民の税金ですから、実際建設省でももう少し正義なことを考えて、もう少し一般的に公平な処置をやられないと、私は建設省で重大な問題が起きてくると思う。よくその点を住宅公庫なんかにもおっしゃって、こんな前金を五億も渡すなら、一千万や二千万の土地を得る人には、土地が担保になっておろうが、家が建っておろうが、登記のと遂に担保を抜けばいいから、金をやって便宜をはかってもいいでしょう。それをやってくれない。三面川は十意の建設省補助金が県を通っただけで、そのまま鹿島組にいっちゃった。そのほかに低利資金も国家からいっている。いろいろな政府の金もかかっております。こういうことはざらにあるのです。もし大臣がないとおっしゃるなら申しますが、そういうことが始終行われているんだということをお考えになってやられないと、私は大へんなことになると思います。時間がないから大臣の答弁は要りませんが、この点よく御注意を申し上げておきます。
  16. 馬場元治

    馬場国務大臣 今具体的な事例をおあげになっていろいろ御注意をいただきました。いつのころか私その実例を承知いたしておりません。そういうことがあっては相ならぬと思って絶えず注意はいたしておるつもりでありますが、お話のように一片のあいさつとか申し開きとかいうことであっては相済まぬのであって、真剣に考慮すべき問題であると思います。  先ほど吉田さんから御質問の問題は、具体的な問題について御説明を申し上げた方がはっきりすると思います。営繕局長より説明さしてもらいたいと思います。
  17. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一つ大臣には、今申しました横浜の岸根の具体的な問題をめぐりまして、もっとよく掘り下げた問答をせにゃならぬと思っておりますが、あなたもそれは研究しておいて下さい。具体的な事実の内容を十分御承知でないらしいので、時間もありませんので、御研究願うことにいたします。  この一点だけ伺っておきますが、もう年度末もだんだん迫っておりますが、大蔵大臣の当委員会における二十九年度の決算報告によりますと、三十年度へ百六億の事後繰り越しがあった。そのうち安全保障費がおもなもの、こういうことになっております。安全保障費というのは、さっきの検査院の御説明によりましても、六十数億円繰り越しになるようでありまするが、この繰り越し等をめぐりまして、相当工事支出する関係との、その法規的なけじめをつけてもらわねばならぬ、こういう点を強く要請したいのであります。これが結論なんですが、ここに一つの問題があります。これがこの工事経費との関連におきまして、われわれが取り上げるべき一つの問題なのであります。そこで年度末が迫りますので、また経費はできるだけ使ってしまわにゃ損じゃというようなことになりはしないかと実は案じておるのですが、本年の安全保障費の今後の繰り越しということは、再度になりまするからできないかと思いまするが、現在における使用の状況につきましても、そういう観点から、あなたの部下に、当委員会に資料として、一つ出させていただきたいのであります。どういうふうに使用されておるかということを、それを一つの資料にいたしまして、私はこの問題につきまして、さらにあなたの御意見をいろいろと伺ってみたいと思います。
  18. 馬場元治

    馬場国務大臣 資料を提出することにいたします。
  19. 上林與市郎

    ○上林委員長 山田君。
  20. 山田長司

    ○山田委員 大臣に二点だけ伺います。日本の一流会社と称する会社が各地にみんな出先機関を持って、大きな工事に携わっているわけですが、実は九州のかって起った水害のときに、石井組とか、清水組、間組、大成建設、中西あるいは熊谷、鹿島、梅林、岩崎組、渡辺組、大島、大林、こういう建設会社がみんなそれぞれ河川の改修に当っておられたわけですが、この河川改修に当りまして、ほとんどが出先機関で請負業者に次々やらせておる。しかもその河川の改修に当っては、全く河川の工事に不なれな人たちばかり集まってやられたという事例があるわけですが、請負業者がさらに下請に、下請が五種類から六種類にまでわたっておる。こういうことで働く人たちも、非常に安い賃金で搾取から搾取が重ねられるわけですから、安い賃金で働かされる。しかもその過程においてかなり不正な工事も当然起ってくるというようなことが考えられてくるわけですけれども、これらについて大臣は何か、こんな下請々々でやられる工事が完全なものと思われるかどうか。それからそういうことが許されてよいと思うかどうか。一応大臣の所見を承わりたいと思います。
  21. 馬場元治

    馬場国務大臣 九州の大水害のときということでありますから、昭和二十八年のことだろと思います。そのときの請負業者は河川なんかについては経験のない者であったということを承わったのでありますが、河川の改修に全然経験のない者にやらしたということはちょっと常識的に考えられないのですが、今おあげになたっのは、いわゆる大きな一流の建設会社のように見受けますので、河川に対しても相当の経験を持っているのではありますまいか。私河川に対して彼らがどれだけの経験を持っているかということをただいまよく承知いたしておりませんが、もしさようなことであるとするならば、それはまことに遺憾なことであると思います。続いて下請を幾つもやらせるということでありますが、部分的に下請を許すということはあり得ることなんです。ただ全般的に次から次にするということは許されないということでありまして、さようなことはやっていないはずであります。部分的な下請は許すことになっている、そういうふうに承知をいたしております。
  22. 山田長司

    ○山田委員 ただいま申し上げた大きな会社がいずれも河川のことに不なれだということで申し上げたのではない。それらのうちに全然心得のなかった会社があったということで申し上げたわけですが、下請についてかなり次次と下請がなされていることは、現に各地で見受けられることです。これについて責任の所在が非常に不明確なために、私の知っている範囲で、六回も下請をしたところの職場に働いていた自動車の運転手が、その事業を遂行せざるを得なかったがために、実はかぜをひいて休んでいる期間中、さらに別の人にかわってもらったという関係で、全然手当ももらえなければ葬儀も出せなかったという事例があるのです。そういう場合に何らかの保護が労働者に写えられないものだろうか。建設大臣としても当然考えていいものと思いますが、この点はどうお考えですか。
  23. 馬場元治

    馬場国務大臣 どういう事例か私存じませんが、具体的な事例をあとで伺いましてよく検討してみたいと思います。
  24. 山田長司

    ○山田委員 入札制度について伺います。九州の河川のときなどは、一回目の工事入札を行なって、それが第二回の入札もほとんど変りのない人たちが全部工事をやられたということでありますが、これと同じように、最近における入札制度については、かなり談合が多いと思う。実はじゃかごの入札に当って、関東にかなりじゃかごの業者がいるわけですが、この業者間におきまして組合員に入っていない人がこの入札に携わったわけです。ところがあまりにも大きな開きがあるので役所でも驚いたそうですが、それでも利益が上っておってじゃかご業者は落札をしたわけです。そうしたところが、東京のじゃかご業者の組合から——私はこの現場もちゃんと知っておりますが、特に名を秘します。その業者がどういう目にあうかわからないから名前を秘すのですけれども、その落札した業者のところへ組合関係者がデモンストレーションをやりまして、しかもこのじゃかご製造業者を呼び出してかなりおどかしたという事例があるのですけれども、落札制度について建設省は一体どういう態度をおとりになっておられるのか、一応この点について伺いたいと思います。
  25. 吉川兼光

    ○吉川(兼)委員 関連してちょっとお聞きしたい。実は大臣に聞くまでもないことで、事務当局でもいいんですが、あなたは政治家だからこの際こういう問題があるということをあなたの耳にも入れておく必要があると思うのでお尋ねをするのですが、それは私の知っている事例で、これは東京ですが、おそらくこの事例は全国的にたくさんあるだろうと思います。東京の繁華なところに大きな鉄筋の建築物ができる。地下室など一階も二階も作る。そうすると、その周辺にある地続きの家が曲ったりゆがんだりいろいろな被害を起しておる。現に私はそういう事例を一つ知っているのです。これはどうなんですか。そういう建築を付近の承諾も得ないうちにやってしまう。そうしてこれでは困るからというのでいろいろ交渉がそこで起きてくるようですが、大きな建築屋にしても、あるいはそこに建築を依頼してビルディングを作るような大会社にいたしましても、優秀な弁護士などを持っておりまして、そうして結局いわゆる民法上の争いといいますか、損害賠償の争いに持ち込んでいって、非常な時間をかけて、結局裁判費用その他における力の相違で泣き寝入りさしているという事実炉たくさんある。こういうような弱い人を保護するために、そういう場合付近の承諾を得なければ、明らかに地続きのところに迷惑を及ぼすというような建築には着手してはいけないというような規定のようなものがあるのかないのか。私どもはそういうことはあまりよくわかりませんが、私はそういう事実があるということについて申し上げます。これは大臣でなくてもいい、一つ事務当局からそういうような弱者を庇護する法的な根拠は、何法の、あるいは何条例のどういうところにあるか、ここでお答えできれば伺っておきたい。お答えできなければあとでお調べ願ってもいいですから、一つお知らせ願いたいと思います。
  26. 上林與市郎

    ○上林委員長 吉川委員への答弁は事務当局でよろしいという御趣旨ですから、大臣に対する質疑は一応これで終了して、事務当局に対する質疑を続行いたします。その前に先ほどの吉田委員、吉川委員、山田委員に対する答弁をやっていただきましょう。
  27. 小島新吾

    ○小島政府委員 今のお話の、建物を作ると遂に隣近所に迷惑を及ぼすが、それを防止できないかという問題でございますが、それはおそらく契約によってやることでございまして、もし建設途上において付近にそういう被害を与えた場合は、中央建設業審議会というものがございまして、そこに持ち出して解決するということでございます。
  28. 吉川兼光

    ○吉川(兼)委員 どうも今の御答弁は私の質問をちょっとはずれているんじゃないかと思うのです。私が言うたのは、そういうような法的な根拠がどこにあるか。あなたのおっしゃるところによると契約といいますが、それではあらかじめ付近の損害の及ぶであろうと思われる向きと何か契約をしてから建築にかからなければいかぬということなんですか、契約とおっしゃるのは。これは依頼主と建築屋との関係ではない。建築を始めることによってその建物関係のない付近の人の家が曲ったり、いろいろな迷惑をこうむるわけです。その迷惑炉あらかじめ想定できる場合、あるいは全然迷惑が予想されない場合もあるかもしれませんが、できる場合には、それらのところと今あなたのおっしゃったような何かの契約のようなことができなければ建築にかかっていけないものじゃないか。それが、やたらに建築にかかりまして、さてそれらが後ほど訴訟になりましても、力の問題で泣き寝入りになる場合が多い。これを何とか建設省の法律関係で弱者を保護することができないかということを聞いておる。あなたに御答弁できなければできないでどなたでもよいのです。またここで御答弁をもらわなくてもあとでよいのですが、ちゃんとした御答弁をもらいませんと、その問題で私はもう少し関連質問をやるということにしてあるのですから、いいかげんにしないで下さい。
  29. 鎌田隆男

    ○鎌田政府委員 建築基準法のことを主管しておりますので、私からお答え申し上げたいと思います。建築自分の敷地内にいたします場合に、その隣に影響を及ぼすような場合、何らか法的な建築基準の制限はないかという御質問のように拝聴したのでありますが、建築基準法におきましてある工事をいたします場合に、隣に影響を及ぼすようなおそれのある場合には、その影響が隣にいかないような適当な工事をあらかじめしなければならない、こういうふうになっております。ただその程度の問題でございまして、非常に地盤の悪いような場合には万全の措置を講じましても隣に影響を及ぼすことが実際問題としてございます。そういう場合には、その損害補償につきましては民法の損害賠償というようなことになろうかと思いますが、建築基準法におきましては、その隣に損害の起らないような、隣に影響を与えないような、適当なる措置を講じなければならない、こう考えております。
  30. 吉川兼光

    ○吉川(兼)委員 もう一つお聞きしたいのですが、要するに、設計したり工事にかかる前に、この建築は隣に影響が及ぶか及ばないかということをだれがきめるか。それから、及ぶような場合には、それが及ばないような建築をなさると今おっしゃいましたね、その建築はどこできめるのですか。この建築なら及ばないとか及ぶであろうとかいうことの判定はどこでやるのですか。それをちょっとお伺いしたい。
  31. 鎌田隆男

    ○鎌田政府委員 その建築物自身の強度とかそういうものにつきましては建築基準法で定めるのでございます。それから、その建築物を実施いたします場合に隣に影響を及ぼすかどうかということは、施工の問題でございまして、その隣に影響を及ぼさないような土どめその他適当なる工事をやらなければならない、こういうことになっておるわけでございます。その工事の実施上の現場の監督と申しますか、これは建築基準法上は建築主事が現地をときどき見回りまして監督をいたすことになっております。
  32. 山田長司

    ○山田委員 ただいまの問題に関連して住宅局長に伺います。たとえば、今地下鉄の工事が盛んに進められています。神田の水道橋から東京駅に向ってです。今は淡路町の周辺に商店経営者かたくさんにいると思うのです。こういう場合には、たとえばこれは東京ばかりに限らないで、各都市に地下鉄というものが建設されてきて、営業上に支障が起る事態が必ず起ってくると思うのですが、ただいま吉川委員の御質問はビルができる周辺の問題ですが、私が伺おうとするのは、地下鉄の工事などの場合に、その周辺の商店街の営業上における問題炉かなり問題になると思うのです。こういう場合においては営業補償というものは一体どこで査定し、だれが支払うのですか。参考に伺います。
  33. 鎌田隆男

    ○鎌田政府委員 実は地下鉄の工事建築基準法の対象外でございますので、先ほどの問題とちょっと違うと存じますが、その損害賠償につきましては民法の定めるところによって行いします。
  34. 小島新吾

    ○小島政府委員 先ほどの建設工事の請負者の問題でございますが、建設省といたしましては請負業者の格づけをしておりまして、工事量によってその格づけの中からそれに相当する者を選ぶことになっております。選定要領というものもきまっておりまして、工事発注者はそれによりましてその工事に見合う格づけの業者指名いたしまして、入札をいたします。それで今のお話の下請の問題でございますが、下請は、部分的の下請は認めますが、全般的の下請は認めない。これは契約条項の八条にございまして、一部の下請は発注者の認めた場合は許可するということになっております。
  35. 山田長司

    ○山田委員 そういう場合にどういう監督をして、一体その部分的などれだけの仕事を下請業者がやっているかということの調査をいたしますか。
  36. 小島新吾

    ○小島政府委員 監督は厳重につけまして、スポンサーとしては表面の発注者でごいますが、工事そのものについては監督炉常に指揮しております。今の事例は土木のことだと思いますが、私営善局長建築ばかりやっておりますが、おそらく違いはないと思っております。
  37. 山田長司

    ○山田委員 じゃかごの問題をまた一つ伺うわけですが、実はその問題を伺う前に今のあなたのお話によって、さらにもう一つ伺いたいと思います。実は労働組合の諸君から私に話炉あったので、私は聞くわけなんですが、出先の建設省の役人が知らないうちに、監督の衝にある者が全然知らないうちに、請負業者の方だけが二の工事をやることになっているのだということを知っていた。そういう事例がどこから起るのですか。参考に伺っておきます。
  38. 小島新吾

    ○小島政府委員 そういうことはないはずでございまして、すべて指名業者を選定する場合はごく少数の担当者がやるのでございまして、また指名業者選定から落札までの間は、だれが落札したかわからない。ほんとうにきまるまでごく少数の人員だけしかわからないのでございまして、そういう事例はないと思います。
  39. 山田長司

    ○山田委員 私何でその話をしたかというと、実は監督そのものが全然知らないで、仕事を請け負った会社の人だけが知っていた、一体こんなことで満足な工事監督ができるものであるかどうか、こういうことを一つ、あなたは建設の衝に当る人に聞いてもらいたい、こういうことで実は私伺うのです炉、そういうこと炉ないといえばそれでよいことになるわけですけれども、たとえば九州の建設に当っての第二期工事の入札の場合などは、第一期工事を入札した人たちが第二期も全部やることになっているのだ、こういうことだったそうですが、そんなことはなかったですか。
  40. 浅村廉

    ○浅村説明員 九州の問題でございますが、具体的にただいまどの工事であったか、ちょっとわかりませんけれども、おそらく二十八年度の大災害関係で必要を生じました災害復旧関係工事ではなかったかと思います。今お尋ねの点は、第一回に指名の結果入札を行なった者が次の工事を必ず取ることになっているかどうかということのようだったと思います炉、これは私承知いたしております範囲では、最初に入札して工事を取った者に次の工事を与えることが、諸経費関係あるいは機械その他使用する器具等の関係上、一番経済的であるという場合が傾向的に多いために、そのようなことにいたす場合が多いように聞いております。しかし必ずそうするようになっているというようには、私聞いておりません。
  41. 山田長司

    ○山田委員 今の御答弁のようなことだと私は思うのです炉、日時が過ぎておることなので、今そのことを私に言ってきた人の名前をあげることも差し控えますし、それから果してそういうことが事実あったのかどうかということは、私も現場に行って確かめたわけでないのだから、このことについての質問はそれでやめておきます。  先ほど申しましたじゃかごの入札の問題について、これは関東地建に起っている事件でありますけれども、入札の場合、競争入札で組合員外の者が入札する場合に、非常に単価炉安かった——実は、はっきり申し上げますが、これは足利の業者です。足利の業者が入札に来て、組合に入らないで入札いたしましたところが、その単価が安いので、こんな値段でできるはずがない、こういうことを業者に係の人炉申したそうです。そこで私は伺いたいのですが、一体組合に入っている人たちは談合で入札している関係上、非常に高くなっているけれども、談合でない、新たな業者が入札した場合に、競争入札ですからかなり安い値段でおそらく入札の価格として入れていると思う。こういう場合問題になり、ますのは、建設省自体で、一体そのじゃかごにどれだけの太さの針金、どれだけの長さのもので、どれだけのまるみのものであれば、この価格というものはどれだけでできなければならぬという、そういう明確な原価を持っているのかいないのか、一応参考に伺っておきます。
  42. 浅村廉

    ○浅村説明員 ただいまのじゃかごの問題でございますが、これは具体的な事例について調べませんと、軽卒なことは申し上げかねる次第でございます。ただ私が承知いたしております範囲で、あるいはこういうことではなかったかと思われる点を、これは想像でございますから当っていなければ大へん失礼でございますが、じゃかごにつきましては、私の聞いております範囲では、発注者の立場として見ました場合に、粗悪な製品がだんだん出廻る傾向がありますので、決して強制するわけではないのですが、一つの標準規格をきめて、発注者側にこの標準規格のものをなるたけ使ってもらうということを奨励する必要を感じまして、工業技術院でじゃかごの標準規格をきめられたように聞いております。これはその規格でなければ使っちゃいけないという罰則のついたようなものじゃないのでありますが、使うならばその標準規格のものを使うのが一番よかろうというような意味の標準規格をおきめになったように聞いております。なお最近通産省の方でじゃかごのメーカーの工場を指定しまして、この標準規格のものを生産するだけの資格を持った工場はこれこれだという指定をされたように聞いております。さようなことがじゃかごについて最近行われますのは、やはりいろいろな関係で、最も重要な河川関係の資材でありますところのじゃかごが、万が一粗悪な製品ででき上っておりますと大へんなことになりますので、さような点を警戒しての措置ではなかったかと思われるのであります。この場合私どもの関東地方建設局でどのようなことが行われましたか、調べなければわかりませんけれども、発注者の立場としては、あまりに安いということで、非常に製品が悪いんじゃないかということをまずおそれるということは、私は想像できると思います。さような意味であるいは担当者が何か申したのではないかと思いますが、ただいま想像し得る点はその程度のことでございます。
  43. 山田長司

    ○山田委員 ただいま関東地建に起っておる問題をあなたは知らないからそういう御答弁をなさったと思うのですが、実はこのじゃかご業者は実にまじめな人で、作られている製品については寸毫間違いない自信が私にはあるわけなんです。しかし私は何もここで関東地建にじゃかごがいいとか悪いとか、推薦するのじゃなくて、問題はこの入札制度にあると思うのです。それで入札に来て一応落すのは落してみたが、実はそれからあとかなりいやがらせが続いて、じゃかごを作ることをあきらめてしまったというような泣きごとを聞いているのですが、組合に入らなければ製品の納入が不可能なのかどうか、そういう点で組合制度は果していいか悪いかということに私は疑問を持っているわけなんです。通産省で商品に規格を作ったような話は今初めて伺うわけですが、一体通産省でどういう指定業者を一応作ったものか、これは参考に、わかったら一応伺っておきたい。  それから建設省では厳格に商品原価を一応出すようなことをしているのかしていないのか、わかったら参考にこれも伺っておきたいと思います。
  44. 浅村廉

    ○浅村説明員 じゃかごにつきまして、組合に参加していないものは入札に参加できないというようなことにはなっていないと私は承知いたしております。あるいは業界においてどのような話し合い炉あったかはまだよく存じませんが、私の承知しております範囲では、組合に入っていないものが契約に参加できないというようなことには決してなっていないはずでございます。  それから価格の問題でありますが、これは私ども査定等もあります関係上、一応の標準のものを役所の方でも持っております。大体そのような点が承知いたしておる範囲でございます。
  45. 山田長司

    ○山田委員 役所で持っておれば大体令のじゃかごの問題ばかりでなくて、いろいろ不正事件がたくさん起っておることについても、私は非常にこれは減少させることができると思いますが、そういう机の上だけの計画でなく、——現場で製品の製造に携わっておる人たちから、じかにどのくらいの原価でできておるのかということをやはり知らせると思うのです。その点についてあなたはそういうことをおっしゃるならあとで伺いますが、原価計算ができておれば、役人みずからこんな値段でできるのかと言うはずはないと思います。一体そういう点に努力がたらない点があるのではないかと思いますが、その点あなたははっきり役所でじゃかごに限ったことでなく、全体の原価計算が全部できておるという気がしますか、もう一ぺん伺っておきたい。
  46. 浅村廉

    ○浅村説明員 ただいま私の申し上げましたのはじゃかごについての問題でございますが、全般的の問題になりますと、私この席で簡単にお答えいたしかねますので、なおよく調査いたしてみたいと思います。
  47. 上林與市郎

    ○上林委員長 吉田委員、事務当局に対する質疑を簡潔に継続して下さい。なお堀川建設政務次官が出席しております。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 できるだけ簡潔にこちらも伺いますから、あなたの方も一つ簡潔に御答弁を願います。  さきの二十九年度報告番号二〇八四番についての質疑の継続であります。第一に伺いますのは、この岸根の工事着工見通し炉着実でなく、そうして前払い金をこんなに多額に支払いました理由をお述べいただきたい。
  49. 小島新吾

    ○小島政府委員 岸根に関して着工見通しがないうちに契約を結んで前払い金を払ったという問題でございますが、われわれ建設担当の者はこの仕事は膨大なものでございますから、早く着工しなければ完成がおくれるということで努力いたしまして、敷地その他の問題に関しましてはこれは調達庁が所管でございますが、その土地の解決を促進した状況でございます。それで二十九年度末になりまして敷地の一部は着工可能ということで、またその残部の一部も多少の耕作権その他の問題がありますが、五月には着工可能であるという文書をいただきまして、実は入札に付しました。そういう状況でありますので、前払い金も一般ならば三割出すというのでございますが、一部の土地の解決が多少五月から延びるという懸念もなきにしもあらずで、二割というところに制限いたしまして、二割の前払い金を払った次第であります。土地見通しの問題が土地収用委員会にかかりまして案外長引いて、大月に裁決になった次第でございますが、工事、いわゆる現場の着工は一部できませんでしたけれども、工事準備といたしまして、いろいろ資材の手配その他に前払い金二割は全部使っていた次第でございます。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところで、土地の使用が可能であるということが確実になったのは十月なんでしょう。これはまああなたは今五月ごろに可能のような文書をいただいたとおっしゃっておりますけれども、しかし調達庁からあなたの方に出した文書は相当あいまいな内容でありまして、これで客観的に確実なりと判断するのは早計だと思うのです。だからほんとうに確実に土地使用可能なりという見通しがついたのは、去年の九月以降のことではないのですか。
  51. 小島新吾

    ○小島政府委員 収用委員会の裁決が九月十五日でありまして、十月からその場所に入ることができました。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しからばやはり何と御弁解になりましても、それは調達庁の行き過ぎの文書であるのか、あなたの方の判断の誤まりであるのか軽卒であるのか、そのいかんはともかくといたしまして、収用委員会の裁定が九月であるとするならば、ほんとうに建設にかかるのは九月以降でなければならぬ。であるのに四月に総額六億九千二百万円の前金払いをしたということは、その見通しが結果的に見れば判断を誤まっておったというだけではなしに、さらにもう一つ、財政的な、予算的な手続上の何かの思惑が伴ってお払いになったのではなかろうか。つまり判断を誤まったということはそれとしまして、そのほかにいま一つ予算措置において払わなければならぬというようなことをお考えになったのではないか。
  53. 小島新吾

    ○小島政府委員 御承知のように、安保措置は二十七年度に出ましたが、二十八年度には繰り越して、二十九年度には特別立法でいっておりますので、予算の性格も限られたものでございまして、その点も多少あったかと思います。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしさきにも私が大臣に質問したごとくに、また検査院説明があったごとくに、二十九年から三十年度にわたって安全保障費は六十六億円もなお事故繰り越しをやっておるのであります。でありますので、予算措置といたしまして、これは他の例のごとくとするならば、事故繰り越しは可能であるのではないか、それを伺います。
  55. 小島新吾

    ○小島政府委員 初めの契約の前払い金は、とにかく工事着工の準備に使わせたものでございまして、工事をやめることは念頭になかったのであります。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私が問うのは、工事着工の準備であろうと資材代であろうと、そういうことにかかわらず、ともかく予算を執行する上におきまして、他の数十億円の例のごとくに扱うならば、三十年度の予算として三十年度に事故繰り越しが可能であったのではないか。そうならば、一方客観的に確実に土地使用可能な状態に入っておらぬときに、何を急いで約七億円の金を払うか、やはりそれは土地問題解決の見通しがほんとうに確実になって、これなら大丈夫だというそこで初めて払えばいいのではないか、こう言うのです。だから予算の措置として考えましても、何らの理由がない、必要がなかった、こういうふうに私には思えてならないのであります。それであなたの方の弁解ができるかどうか。ここにも建設省が年度末に差し迫り契約した理由とか、いろいろと書いてありますけれども、どうもそれらの点には触れておらない。
  57. 小島新吾

    ○小島政府委員 この工事は当時は竣工の見通しがあると思ってやったことであります。その点は、土地の問題が途中から土地収用委員会にかかるとは思わなかったのでありまして、はなはだ見通しは悪かったのでございますが、工事完成の意気込みで実は契約した次第であります。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうじゃなくて、土地問題はすでに紛糾いたしまして、収用委員会にもかかり、あるいは横浜市の所有地でありますので、私ども調査したところによれば、戦時中からいわゆる一坪農園ですか、戦時農園として一般民間の人が使用しておった。そういうようなかなり複雑した事実上の使用関係が一般人との間にできておる。その土地を使用せんとするのであるから、従ってそこに簡単に空地が手に入るというときとは違う事情があることは明瞭なんです。ことに四月ということになれば、いろいろと紛糾といいますか、いざこざの事態が進行の途中でありますから、こういうときに調達庁の一片の非常にあいまいな文書にたよって莫大な金を払うということはどう考えても理由がない。そこはやはりあなたの方の判断の誤まりであったならば誤まりとしてはっきりしてもらいたいのであります。私は善意に解して、この明白でない文書に非常にたより過ぎたということがあなたの方の一つの過失ではなかったかと思うのであります。もう一つは、やはり予算的措置といたしまして、支払ってしまわねばあと使えないような、そういう錯覚もあったのではないかというように善意に解するのでありますから、それを尋ねておるのであります。けれどもあなたの方で天地に恥じず、誤まりなしということであるならば、これは幾らでも伺わねばならぬのです。
  59. 小島新吾

    ○小島政府委員 ただいまの土地の解決問題は、われわれとしては今解決するか今解決するかという状況で、それがだんだん遷延してついにこういう事態になりましたことでございまして、結果的に見てその見通しの悪かったことは申しわけないことだと思います。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで元に戻って、それならばその見通しは誤まったといたしましても、予算としてもっとゆっくりと事態の推移を見て、そうして予算の執行を慎重にするという考慮をどうして払わなかったのであろうか、法律上そういうようなことはできないというようなお考えでもあったのかどうか。これはあなたに聞くのがよいのか。大体こういうことは事務次官が答弁されるのが一番よいと私は思うのであります。あなた一個できめておるのではないと思う。やはり大臣の判があってなさっておるのではないかと思うのですが、あなたの立場として、これは予算措置として支払わなければ、もうあと払えない状態になるというふうにでも錯覚されたのではないかどうか、これらの点について一つ建設当局としてはっきりした御見解を述べておいてもらいたい。
  61. 小島新吾

    ○小島政府委員 当時駐留軍の仕事は、軍の方でも非常に完成を急いでおりますし、われわれとしてもできるだけ早く工事完成を期した次第でございまして、こういう結果になった次第であります。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 駐留軍の仕事であるから、安全保障に関する仕事であるから、急ぐということは、事務当局のお立場としてはよくわかります。しかし、それと国の財政執行の問題とはやはり事違います。幾ら急ぎましても、法規に違反して使うことは不可能なんであります。それは許されていないのです。官庁というものは、やはり法律に従ってのみ行政行為をなし得るのであります。そこで、予算はそうあわてて使わなくてもいいではねいかと私が示唆申し上げておるのです。ほかにたくさん繰り越している例があるから……。繰り越しということは不可能であるのかどうか。大蔵省との間にあらためていろいろと協議する必要もなさそうでありますし、通牒もあってなさそうでありますから、ほかの例に従うならば、当然にあなたの方で繰り越し得る手がとれると思うのであります。そういたしますならば、ゆっくりとかまえておっていいのではないか。ゆっくりとかまえて、数カ月でも約七億円の金を大切に保管しておいてもらうべきではないかと思います。だから、予算は使わなければあと困るというような事態に立ち至ることを、あなたの方は錯覚でもされたのではないか、この点なんです。駐留軍の仕事だから急ぎますというお気持はいいですよ。たとい駐留軍の仕事であろうと、内地人の仕事であろうと何であろうと、仕事を適切に急いでやるということはごもっともなんです。そんなことを聞くのではない。予算についての適否、それに対して当時あなたの方で錯覚しておったのではないかということ——今日数カ月たつのですから、十分に御研究になったろうと思う。当時は誤まった考えであったら、あった、そうでないならないという、この点をはっきりしておいてもらいたい。次官、御答弁できますか。
  63. 堀川恭平

    ○堀川政府委員 初めからの吉田委員のいろいろな御質問を聞いていなかったのでありまして、今ここにすわってからお聞きする次第でありますが、その当時私がおったわけでもなしいたしますし、今の事務次官がその当時の官房長であったし、その当時の事務次官はおやめになっておられるので、一応帰ってその当時のことも聞いてみて御答弁をさせていただいてもけっこうだと思います。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと内部機構のことについて伺っておきますが、このような場合に、金額において約七億円を前金払いをする——予算的な、法規的な運用の面から見ましても、すべき必要はない、しないでも工事は将来可能である、こういうような場合にこの金を支払うようなときには、これはやはり次官もしくは大臣の決裁までいくのですか。そういうことは全然関与しないのですか。局長で最終の処置をするということになるのだろうか。その点、内部機構運用上の点でありますが、御説明願っておきたいのです。政務次官でもよろしいし、あなたでもいいです。
  65. 堀川恭平

    ○堀川政府委員 それでは私からお答えいたします。今聞くところによりますと、この事件は関東地建の問題だそうであります。関東地建の問題に対しましての予算に対する決裁は、局長でいいのだそうであります。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうじゃないのであります。関東地方建設局の分は鹿島建設外二十九社、建設本省の分は日本電電公社の分、そして建設本省の分は五億二千九百万円にもなるのです。そして関東地建の分は一億六千三百万円である。だから、金額は本省の方がずっと多いのです。ちょっとあなたから説明して下さい。
  67. 小島新吾

    ○小島政府委員 本省では営繕局長契約担当官になりまして、支出官が会計課長というふうな格好になっております。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうじゃなしに、私が聞きますのは、営繕局長が決裁するのか何か知りませんけれども、次官、大臣まで相談したのかどうか。七億円——本省の分は五億二千九百万円ですが、五億円以上の金を出すのに、局長だけでやるとはちょっとわれわれ部外の者では受け取れない。だから、次官も大臣も相談に乗るのかどうかということを聞いているのです。
  69. 小島新吾

    ○小島政府委員 契約担当官といたしまして決裁いたします。今御質問の大臣までにはいっておりません。
  70. 田中彰治

    田中(彰)委員 関連して……。政務次官に私ちょっとお尋ねしますが、関東地建の一局長が、建設省局長が何億という金を出すのに、あなたは政務次官として言っておられて、僕らの参考になったのですが、大臣の判をとらぬでこういうようなことをやらせるという機構を改めたらどうですか。法律にそんなことがあるのですか、あったとしても建設省の内規ではありませんか。何億という金を出してあなたと大臣に関係ないなら、あなたと大臣が答弁する必要ないではありませんか。地建の局長を出して、その局長に責任を負わせたらいいじゃありませんか。あなた方が建設省の責任を負っておるから政務次官として言っておるのでしょう。どうして説明を聞かないでそんな先払いをするのですか。そんな機構が建設省の機構にあるのですか、あるのなら改めたらよいのです。とにかく一局長が勝手にそういうことをして、政務次官の判もとらぬで、政務次官の説明も聞かぬで、大臣の説明も聞かぬで、そんなことをさせておるから役人がのさばるのです。あなた政務次官として注意なさい。
  71. 堀川恭平

    ○堀川政府委員 政務次官になってほやほやで、まだそこのところまでいかぬのですが、会計課長炉来ておりますから、その当時のことを会計課長からお聞き取り願いたいと思います。
  72. 齋藤常勝

    ○齋藤(常)政府委員 予算支出の問題につきましては、大臣から、たとえば岸根の場合でありますと、関東地方建設局長が委任支出官となりまして、予算の示達を受けて、その範囲内におきましては会計法に基いての支出をする権限を持っております。従いまして個々の事例につきまして政務次官あるいは大臣の決裁を受けて支出するということはございません。
  73. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは本省の分ではなくても、——そうすると、あなたの方でそういう金を出す場合でも、そういう契約をする場合でも、大臣に黙って今まで何でもやっておるのですか、これは僕は問題だと思う。
  74. 齋藤常勝

    ○齋藤(常)政府委員 私の申し上げましたのは予算支出の問題でございまして、全体の請負契約をなす場合、あるいはどういう工事をやるかという問題につきましては、それぞれ重要案件につきましては、各大臣まで伺うなりあるいは本省の局長まで伺うなりして決定いたします。先ほど私が申しましたのは、小切手を切るというような場合、これは支出官が委任を受けておりまずから、大臣まで一々決裁をとらずに、そのままやるということであります。
  75. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは私がお尋ねしておるのと違うのです。そうするとたとえばあなたの方でこの川の工事なら工事を請負させる、こういうものをきめる契約をする場合、こういう契約をこういうことでやらすとか、入札をこうするとか、そういうようなものの書類が一応できた場合、大臣の決裁とか政務次官の決裁を仰がずに、契約は今の営繕の方でもってやる、やってしまったら、今度は請負師に幾ら前金を出そうと、何を出そうと、そういうものを大臣とか政務次官の決裁を仰がずに今までやっておったのですか、今もやっておるのですか。それをやっておったとしたら重大な問題ですよ。それじゃ局長がそういうような大きな間違いを犯した場合、その責任は結論としては大臣が負い政務次官に負わして、それからあなた方のところにいくのだが、そういう場合どうなんです。そういうことをしないで勝手にやるなら政務次官とか大臣がこういうところに来て答弁をする必要はない。その局長とかやった人に責任を負わせようじゃないか。責任を負うならばその弁明をもう少し聞きましょう。
  76. 齋藤常勝

    ○齋藤(常)政府委員 大臣、政務次官の権限ないし職務と申しまするのは、今私が申し上げました、たとえば関東地方建設局長支出官であるというその業務に対する監督権炉あり、かつそれの包括的な責任というものは大臣にあると思いますが、会計法上の責任はもっぱら地方建設局長にございますから、大臣は会計法上に基く、たとえば予責法上の責任とかそういうものは全然お負いになることはございません。そういう点でせつ然と区別されております。
  77. 田中彰治

    田中(彰)委員 なるほどそういう工合に局長に委任事項がしてあることはそうであるけれども、一応その連絡は政務次官とか大臣になさらなければならぬわけでしょう。たとえば会社で、会計課長に現金や小切手や印をまかしてあっても、こういう大きな契約をやる場合は重役や社長の認可を得てやる。あるいはこういう金を出す場合は会議を開くとか、開けなければ書類を持ち回りするとか、一会社にしてもそういう機構になっている。それをあなたの方では、大臣に相談しないでもいいとか、政務次官の判をもらわぬでもいいという規則はないでしょう。あなた方がまかされているからといって、このくらいのことは勝手にやってもいいからやったということを言っているのですが、本来重大な問題、土地もきまらぬものに金を出すならば、そしてあなた方が政務次官とか事務次官、大臣の権限というものを認めているならば、あなた方がそこへ行って、こういうことにたっているがといって相談なされば、こんなあやまちはなかったと思う。相談しないでやったからこういうあやまちがあった。あなた方がそれで当然だというならば、あなた方がその責任を負ったらどうですか。責任を負わせようじゃないですか。政務次官もそうだ。あなた炉行かれてこういうような事故が出たら——われわれも今後の参考になりましたが、しかしこういう契約をするとか、前金を出すとか、こういう億なんという金を出すときは一応あなたのところに持ってきて、あなたがその説明を聞いて、あなたが判断されなければ責任というものがないじゃないですか。関東地建でそういうことをやっているならば今日から改めたらいい。法律の改正をしないでもいい。こういうあやまちが出たから、今後はこれにならってこっちに相談しろと、あんたなり大臣が命令すれば済む。それをやらぬから今吉田さんから言われても言い訳が立たぬことになる。なるほど委任してあるでしょう。会社だって会計課長にこれこれは委任してあるけれども、大きな契約のときは必ずそういうふうにやって、相談がまとまってから上の重役、社長の判をもらってやる。こういう前金を出すがどうですか、こう思いますがといって決裁を仰ぐ。これをやらないところにこういう大きな間違いが出たと思う。この点、政務次官は帰られたらすぐ大臣と相談されて、あなた方が局長を呼ばれて、そういう点を改めたらいいと思う。さもなければこんなことを何回繰り返したって、決算委員会でけつをぬぐうために、あなた方がああでもない、こうでもないという逃げ口上を聞いて終るだけだ。これを改めなければならぬ。その点については政務次官はどんな意見を持っておりますか。
  78. 堀川恭平

    ○堀川政府委員 御説ごもっともでありますので、帰りましてさっそく大臣とも相談いたします。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の点会計課長に聞きますが、支出官として関東地建の局長が委任を受けておる。それは支出をする役職を委任をされておるということになるけれども、私の聞こうとした点は、この重大な支払いにつきまして、次官とか大臣まで伺いを立てて支払うのがいいだろうかどうだろうかということの相談をするとか指示を受けるとかすべきではないかと思う。なぜならば、他の官庁の、調達庁土地を使用し得るというような、土地使用に関する文書を当てにして着工し得る見通しを立てた、こういうふうにかなり部外との交渉も、ここにはまつわっておる案件なのであります。そのときに繰り越しの措置を講ずることなく数億円の金を支払おうとするようなことでありますから、よしんば支出の委任を受けておるといえども、やはり次官なり大臣なりに伺って、いろいろと御意見も聞くというのは、私はこれが行政のやり方じゃないかと思うので、その辺は法律上支出官としての権限を持っておるのかどうか、その権限の所在はどうかということを聞くのじゃないのです。行政的に上まで相談をしておるのかどうかということを私は聞いたのです。あなたでわかれば答えて下さい、わからなければ小島局長に答えてもらいます。
  80. 齋藤常勝

    ○齋藤(常)政府委員 私が先ほどから申し上げましたことは、若干誤解された点もありますので、形式上の法律論を若干いたしましたので、実際の状況はどうやっているかということについて少しく不十分であったと思いますが、われわれは委任を受けまして支出官をやっております場合におきましても、事業を進める上におきましては、重要なる事項については決して独断でやっていいというものではございません。ただ会計法上の責任はあくまでも私なら私にあるということでありますけれども、重要な事項についてはそのときの判断で、その都度上司に相談をするというのが官庁の内部の常識でございます。ただ岸根の場合にどういうふうにやっておったかということは、私も直接その問題にタッチしておりませんのでよくわかりませんが、おそらく……。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 おそらくの説明は要りません、あなたがよくわからぬなら局長からその点答えて下さい。
  82. 小島新吾

    ○小島政府委員 岸根の場合は契約担当が関東の建設局長でございまして、この岸根の問題につきましては本省に着工の時期その他を伺いを出しております。そこで本省の営繕局長といたしましては、四囲の事情、それから関係官庁の土地に対する着手可能の時期その他の連絡をとりまして、着工可能であるという以上、地建局に契約してよろしい、しろという指示を出しております。それでおそらく本省の営繕局としては、こういう重要問題でございますから、当時の次官、大臣にはお伺いして結論を出したと思っております。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると日本電電公社に支払った五億二千九百万円も、これもやはり関東地建の扱いになっておりますか、これは本省との直接の関係とは違いますか。
  84. 小島新吾

    ○小島政府委員 電電公社に対するものは本省直接でございます。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さきの御答弁では不十分であったのだが、これで判明をいたしました。そこで聞きますが、そうするとこれは結局約七億円の金は、上層部の方まで相談したということはほんとうらしい。それならばなおさらこれは支払うべきではなく、一応は調達庁の意向がややあいまいだし、事態は急に解決の見通しがあるかないか確実でないし、とするならばなおさら繰り越してはどうかというふうな、そういう辺の意見は出なかったのであろうか、そういう辺は省をあげて、やはり予算的には繰り越し措置をとるべからずという意向にでもなったのだろうか、そ
  86. 小島新吾

    ○小島政府委員 当時といたしましてはこの金が繰り越しがきかない状況にありまして、それが最後になって大蔵省も認めて、安全保障経費として一部出すということでございます。
  87. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお聞いておきますが、当時——当時といえば去年の四月もしくは三月の末でもいいですが、繰り越しが不可能だという法律上の根拠を聞いておきたい。
  88. 小島新吾

    ○小島政府委員 二十九年度に特別立法で延ばしておるものでございますから、三十年度においては事故繰り越しだけを認められまして、新たな負担行為を起せない性格のものということで、三十年、三十一年度にまたがることはできないという見通しでやっておりました。
  89. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは非常に大事な発言なんです。そういたしますと、建設省の意向としてそれを伺ってよいかどうか、私はだめを押しておきますが、今のような土地使用の関係が未解決というか、見通しがはっきりしないような事態にあるときに、これは事故繰り越しの理由とはしないというのが建設省の大体のお考えなのですか。さっきも述べたように、ずいぶんと多額な六十数億円という安全保障費事故繰り越しができておるのでありますが、しかしあなた方建設省の方としましては、この種のような場合には事故繰り越しができない、こういったようにお考えになるのでありましょうか、それを一つはっきりしておいてもらいたい。
  90. 小島新吾

    ○小島政府委員 その点は事故繰り越しもできたと思いますが、私といたしましては、この土地の解決炉もっと早いという見通しを誤まったので、はなはだ申訳なく存じております。
  91. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうではなしに、あなたは当時の事情としては、事故繰り越しができない事情にあったので支払いをしたのだ、こうおっしゃるので、法律上不可能なのかと言えば、不可能だという意味のことをお述べになるから、そのあなたの方の建設省の見解としては、この種の場合には事故繰り越しはしないという考え方で予算をお扱いになっておるのかどうか、それほど厳格に事故繰り越しというものをいろいろと制限するお考え方であるならば、これはまことに傾聴すべき御見解だと私は思います。でありますので、事故繰り越しはできないというお考え方で払ってしまった、払わなければ事故繰り越しはできない、だから一方土地の使用がなおあいまいで確実性を欠いているけれども払ってしまったのだ、これがあなた方のお考えだとするのであれば、重大な御発言だ、こう思いましたので聞いたのです。
  92. 小島新吾

    ○小島政府委員 先ほど申しましたように、土地の解決が早く済むと思いまして契約をして支払いをした、しかも工事を中止したわけでございませんので、現場の立ち入りだけが延びたことでございまして、工事準備その他には全部前払金を使っております。
  93. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 工事を中止したわけではないといったって、これは架空の机の上で工事中止のつもりはないだけのことで、現場に立ち入ることなしに一体工事ができますか。現場に立ち入ることができない、だから工事ができないという実情にあるにかかわらず、七億円の金を払ってしまった、こういうことになっておるのであります。電電公社にしても同じことなんです。これは時間の関係もありますのでこの程度にしますが、やはりあなたの方の省全体として国会に対して答弁をしてもらわなければいかぬ。あなた一人では済まされぬ問題です。次官にも希望申し上げておきますが、お帰りになって十分に御協議下さって、事務次官も大臣も相談を受けておるというような今の御答弁らしいのでありますから、これに対する見解をはっきりしておいてもらいたいと思うのであります。次会は電電公社の責任者も来てもらい、関東地方建設局長にも来てもらって、この問題を解明したい、こう思います。  なお資料として、実は住宅公団の公営住宅の問題に触れたかったのですけれども、そこに行きませなんだので、今行政管理庁でいろいろ公営住宅の監査をした報告書が大体できておるようにも漏れ聞きますから、あればとっておいていただきたい。
  94. 上林與市郎

    ○上林委員長 それでは以上をもちまして、本日予定いたしました建設省所管における昭和二十八年度決算につきましての質疑は一応終了いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時五十七分散会