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1956-02-09 第24回国会 衆議院 決算委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年二月九日(木曜日) 午前十時四十五分
開議
出席委員
委員長
上林與市郎
君
理事
櫻内 義雄君
理事
関谷 勝利君
理事
田中
彰治君
理事
片島
港君
理事
吉田 賢一君
赤澤
正道君 臼井 莊一君
小笠原八十美
君 本名 武君 楯 兼
次郎
君 山田
長司
君 吉川 兼光君
出席国務大臣
建 設 大 臣
馬場
元治君
出席政府委員
総理府事務官
(
行政管理庁監
察部長
)
岡松進次郎
君
建設政務次官
堀川 恭平君
建設事務官
(
大臣官房会計
課長
) 齋藤 常勝君 建 設 技 官 (
河川局長
) 米田 正文君 建 設 技 官 (
住宅局長
) 鎌田 隆男君 建 設 技 官 (
営繕局長
) 小島 新吾君
委員外
の
出席者
建設事務官
(
建設事務次
官)
石破
二朗君 建 設 技 官 (
計画局総務課
長)
前田
光嘉
君
建設事務官
(
河川局次長
) 浅村 廉君 建 設 技 官 (
河川局治水課
長) 山本 三郎君
建設事務官
(
道路局路政課
長) 宮内 潤一君
建設事務官
(
住宅局住宅建
設
課長
) 稗田 治君
会計検査院事務
官 (第三
局長
)
石渡
達夫君 専 門 員 黒田 久太君
—————————————
二月八日
委員楯
兼
次郎
君
辞任
につき、その
補欠
として原 彪君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月九日
委員戸塚九一郎
君及び
原彪
君
辞任
につき、その
補欠
として
田中伊
三次君及び楯兼
次郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
昭和
二十八年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
二十八年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
二十八年度
政府関係機関決算報告書
昭和
二十九年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
二十九年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
二十九年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
二十九年度
政府関係機関決算書
—————————————
上林與市郎
1
○上林
委員長
これより
会議
を開きます。 本日は
建設省所管
につきまして
審査
を進めます。すなわち
昭和
二十八年度
決算検査報告
二九九ページより三一九ページに至る
報告番号
二〇三〇ないし二二〇五につきまして
審査
をいたします。なお
昭和
二十九年度
決算
につきましても、いまだ
政府
の
説明書
の提出はありませんが、
審査
の
都合
もありますので、
検査報告
三一五ページより三三六ページに至る
報告番号
二〇八四ないし二二〇九をもあわせまして
一括議題
といたし
審査
を進めます。まず
会計検査院当局
より
説明
を求めます。
石渡達夫
2
○
石渡会計検査院説明員
では御
説明
申し上げます。二十八年度につきましては一応御
説明
申し上げてございますから、一般的な御
説明
を省略させていただきまして、二十九年度分につきまして御
説明
申し上げます。 二十九年度
検査報告
の三一五ページから御
説明
いたします。三一六ページに
ダム
の
工事
につきまして触れてございます。
ダム
の
工事
の二十九年度中の
支出額
は四十六億になっておりまして、そのうち六カ所、二十七億について
実地検査
を実施いたしました。その結果国の
経費
だけで購入した
機械
につきまして、この
機械
を国とほかの
電源開発等
の
企業主体
と共同して
ダム工事
をするのでありますが、その場合に国の
経費
だけで購入した
機械
の
使用料
について
計算
ができてない。
建設省
におきましては、この国とほかの
業者
との間の
アロケーション
がまだできていなかったり、あるいは後に変更になる場合が多いのでありまして、そうした場合にこの
負担分
炉変ってくる、それで
工事
が終ってから、
アロケーション
がすっかりきまってから、精算の場合に徴収するというお考えのようでありますが、こうした
機械
の
使用料
は、
計算
すればすぐ出るのでありますすから、なるべく
早目
に
計算
をして、とるならとるというふうにお願いしたいと存ずる次第であります。 それから
工事
の
施行
に伴う
人件費
あるいは
燃料費
とか
電灯料
とか、そうした
経費
であります炉、こうした
経費
につきましては、
共同施行者
との間の分担によって、国と
共同施行者
が
負担
する、こういうふうにするのが望ましいのでありますが、
人件費等
につきまして、現場の実際に
監督
をしておる
人件費
のみならず、その
工事
に要する全般的な
人件費
についての考慮が十分にされてない。 それから
完成
した
ダム
も二、三ございますが、
完成
後の
ダム
の
管理費
につきましても、国と相手の
会社
との間の
負担
の
割合
が決定してないものがございます。特に
ダム工事
につきましては、始めてからもうだいぶになりますから、こうした問題につきまして、相当に研究されまして、なるべく
早目
に具体的な合理的な
負担
の問題を解決されることが望ましいと存ずる次第であります。 次に
公共事業
に対する
補助
の
経理
の問題でございますが、これはあとで
省論
に出ますから
各論
の際に御
説明
す ○ことにしまして、三一七ページの二十八年度
決算検査報告掲記事項
の
事後処理
について申し上げます。これは、二十八年度に
検査
をした
事項
につきまして、三十年の二月から三月の間におきまして、こちらから御
注意
申し上げたことにつきましてどんなふうに改善されているかという
状況
を見たのであります。そこにもありますように、
国庫補助
を除外すべき額が二十万以上の
工事
七十五カ所について見たのでありますが、そのうち
実地検査
をしました三十年の二月から三月までに
手直し工事
が
完成
している分が二十カ所にすぎない。そのほかは
工事
中または未
着工
になっております。もっともこれは
検査
しました時期が三十年の二月から三月で、
割合
に早い期間でありましたが、その後
回答
が参りまして、三十年九月までに未
着工
の五十五カ所のうち三十二カ所は
工事
が
完成
したという
報告
に接しております。残りにつきましては
工事
中または未
着工
のものも少しございます。これは
補強分
または
手直し
をする分についての
検査
でありますが、そのほかに
補助金
を
返還
または
減額
するという
回答
に接しておりますものが六十二件ございます。これにつきましては
建設省
は非常によく手を打っておられまして、六十二件の
減額
のうち六十一件についてはすでに
事業主体
の方に
返還命令
を出しておられる。そのうち四十五件はすでに
返還
または
減額
をして
処理済み
になっております。次に
安全保障費
の問題であります。
保全保障費
は、二十七年に当初
予算
が帆立しまして、大蔵省から
事業執行官庁
の
建設省
あるいは
運輸省等
に
移し
かえをするようになっておりますが、二十七年度に
建設省
が
移し
かえを受けました額は二百十九億、そのうち二十七年度は
工事
が進捗いたしませんで二十二億しか
支出
していない。百九十七億を
繰り越し
ております。この
繰り越し
は
予算明許
の
繰り越し
になっております。二十八年度はこの
繰り越し
を加えまして
移し
かえを受けました額が三百七十四億、そのうち二百二十三億を
支出
して百五十億を
繰り越し
ております。この
繰り越し
は、特別の法令を作りまして、特に繰り越せるという法律による
繰り越し
になっております。この百五十億を二十九年度に
繰り越し
て、それに新しい
移し
かえを加えまして二百二十二億、そのうち百五十五億を二十九年度は
支出
しまして、六十六億を
繰り越し
ております。この六十六億は特別の立法がございませんので、
繰り越し
た分は全部
財政法
四十二条の
事故繰り越し
になっております。そうしたような
安全保障諸費
の全般的な
経理
になっておりますが、このうち
安全保障条約
による
行政協定
によって
進駐軍
が
都心部
におりますのを
郊外地帯
に移すリロケーションですか、そういう問題につきまして使った
経費
が、今申し上げました二十七年度
予算成立
の当初から二十九年度までで二百五十億に上っております。これはおもに
転出費等
の
営繕関係
の
工事
でありますが、二百五十億ばかりに上っております。このうち、
各論
に上っておりますように、まだ
工事
が具体的にきまらないのに
前金払い
をやっているようなものが見られますし、
建設省
が直接
自分
でおやりにならないで、各市町村に
補助
を出された
道路
の
改修費
、これは主として
進駐軍
の
施設
に通ずるところの
道路
の
改修費
でありますが、これに出された
補助
につきましても
検査
をしたのでありまして、この全体
金額炉補助
の方は百二十六億、このうち六十七億ばかりのものを
検査
しましたが、
不当事項
としては、三百三十五ページに、二二 ○九
号群馬
県に
補助金
を出した分について上っております。 次に
不当事項
の各項について御
説明
申し上げますが、二〇八四号は
安全保障費
についての問題であります。
安全保障費
の
支出
につきまして、まだ
工事
が具体的にきまらない、あるいは具体的にきまっておりましても
前金払い
をするには少し時期が早過ぎるじゃないかというものに対して
前金払い
をしているものであります。この
鹿島建設株式会社外
二十九
会社
、これは主として
岸根地区宿舎
の新営
工事
が大
部分
でありますが、その
岸根地区
の
進駐軍
の
宿舎
につきましては、まず
土地
の問題がありまして、
土地
の
調達
については
調達庁
がお世話をする。それで、
調達庁
の方から、大体三十年の五月ごろには
土地
の問題は解決する、従って
建築
の準備をしてもらいたいというような
連絡
があったものでありまして、
建設省
におかれましては、五月から
工事
が始まるならば三月に
契約
して
前金
をやっておかなければ
工事
はスムーズにいかないというので、三月に
契約
をしてすぐに、ここにありますような一億六千三百万円の
前金払い
をいたしておりますが、当時、この
建物
を作る肝心の
土地
につきましてはまだ
見通し
がついていなかった。
調達庁
からこういう
連絡
がありまして、大体五月一ばいくらいには
見通し
がつくという
調達庁
の
説明
を信頼されたという
事情
は了としますけれども、しかし
土地
の問題ですからどういうふうにもつれるかわからない。従って、その
前金払い
をそのときにすぐしたことは少し時期としては当を得ないものではないか、よく
土地
の
見通し
がついて
前金払い
をされても間に合うのじゃないかと思います。この
土地
の問題は、その後非常にもつれまして、
土地収用法
まで発動しまして、九月の末になってやっと解決がついて、十月から本
工事
は開始をされております。結果論にはなりますが、そういった結果からみましても、この
前金
は少し早かったと思われます。 それから
電電公社
に対する分であります。
電電公社
は、十月の
協定
に基いて
前金払い
をしたのでありますが、これはまだ具体的に
工事
の
内容
もきまっていないというようなものに対して
前金
を出しておりまして、
前金払い
という概念から見まして、
工事
の
内容
も具体化しないのに
前金払い
をいたしたのはどうかというふうに思っております。 それから次の二〇八五号ですが、これは
工事
の
予定価格
の積算が当を得なかったという
事項
であります。これは二十八年の四月から二十九年七月までに五回に分けて
日本産業再建技術協会
というものと
契約
しておりますが、この場合に、
本件工事
の前にもう一件
工事
がありまして、その
工事
を合せまして六回に分けて
工事
をやっております。これは
ダム
の
防水壁
に穴をあけまして、そこから
セメント
を注入して水が漏れるのを防ぐ、そういう穴をあける
仕事
を請け負いにしておりますが、初めの一回のときは
指名競争
をしておる。それから次の五回は、第一回で入札をした
日本産業再建技術協会
、これと
随契
をやっておりますが、第一回分の実績を見て、第二回分の
請負契約価格
についてもっと検討を加える余地があったんじゃないか。それからまた諸
経費等
につきましても少し高い。これに使うところの
機械
とかあるいは労務者の
宿舎等
につきましては全部無償で
業者
に提供している。従って
機械
の
減価償却費等
につきましては
業者
は考える必要がないという
事情
を考えますと、諸
経費
も少し高過ぎるのではないかと考えます。あれやこれや総合しますと、
予定価格
がちょっと、二百四十万ばかりもう少し少額に
計算
することができたのじゃないか。それによって
契約
をすれば、もっと有利に
契約
ができたものであるというふうに思います。 それから次の二〇八六号ですが、これは
中部地方建設局
で
美和堰堤
の
工事
に使う
電力工事
に
関係
するものでありますが、この
美和堰堤
の
工事用
として
中部地方建設局
では千二百キロワットの
発電所
を
増設
するという
計画
でおりましたところが、
長野
県の方から
要望
がありまして、
美和堰堤
のすぐ下流のところに同県の県営の
高遠ダム
というものを作る
計画
が当時ありまして、
長野
県からの
申し入れ
によりまして、この
高遠ダム用
の
電力設備
につきましてもあわせて施工してもらいたいという
要望
があって、
両方
のものを合せまして二千四百キロワットの
増設
をしたのでありますが、この
増設
によるところの
発電施設
あるいは
送電線
の
施設
につきまして、
中部地方建設局
では、
生田変電所
というものがあるのですが、この
生田変電所
の
改造工事
の約九百万円についてだけ、この千二百キロワットと、
長野
県の希望によって
増設
しました分との差額、その分だけを二百十二万九千円徴収しまして、
長野
県の
申し入れ
によって
増設
した、そのほかの
送電線
の
設備等一連
の
工事経費
につきましては分担させなかった。
検査院
の
注意
によりまして、
建設省
におかれましても、このかかった
経費
を総合的に見まして、
両方
の
使用電力量
によって按分して、適正な
割当
を算出されまして、当初二百十二万円の
割当
に対して、
計算
し直しましたところ、一千八百四十八万六千円を県に割り当てるようにしまして、
目下徴収手続
中のように承知しております。 それから次の二〇八七号から二二〇 ○号は
補助金
でありますが、
補助金
につきましては、二十八年度の
検査報告
にも詳しく述べておりまして、この不当の
内容
につきましては大体二十八年度と同じような
事項
であります。 ただ
検査
の結果につきましては、二十九年度は全体の
工事個所
について大体一三%程度を
検査院
で
検査
いたしたのでありますが、その結果、
不当事項
としてここに上っておりますのは、一
工事
十万円以上のものについて二百三十一
工事
、八千六百万円になっております。 〔
委員長退席
、
片島委員長代理着
席〕 昨年の分と比較しますと、二十八年度は
検査個所
が五千六百四十四、これに対して
不当事項
が四百五十一、
件数
において八%が
不当事項
として上っておるものに対しまして、二十九年度は、
検査個所
が五千七百六十五、これに対しまして
不当事項
として上っておりますのは二百三十一件、
件数
において四%、去年の半分になっております。
金額
におきましては、
検査
した
工事
の全体の
金額
に対して
不当事項
として上りました
工事費
の
金額
に対する
割合
は、二十八年度は一・七%、これが二十九年度は〇・六%に減っております。これは
建設省当局
における
監督
の徹底、
業者
の
補助金
の
工事
に対する自覚が高まってきたということによるものと思うのであります。 なお二百三十一
工事
の
不当工事
のうちおもなものが三二五ページからずっと上っておりますが、(1)に上っておりますのは、
秋田
県の県が
施行
した
工事
でありますが、
根固め木工沈床
の
工事
において
コンクリート
・ブロックの
セメント
の
配合比
が
設計
と実際とが違っておりまして、粗悪な
コンクリート
で
施行
している。そのために全面的に毀損しておりまして、一部はすでに崩壊している。また
石張り
の
控え
が足りませんので、手でもって引き抜けば抜けるような粗漏な
工事
である。 次の(2)は、
秋田
県の
前田
村が
施行
した
工事
でありますが、これは前に流失した橋が、幅の狭い二・二メートルばかりの橋であるのに、それを今度
復旧
する場合に三・六メートル、延長も前の倍くらいの大きな橋をかけております。これは
災害復旧
とは見られない。 それから富山県の上市町の
施行
した
工事
でありますが、これは全然
架空工事
である。それは
道路
の
災害復旧
でありますが、
道路
の
災害復旧
がありとして六十二万円の
補助
を申請しております。
書面
上は二十八年度の八月
着工
、九月
完成
ということで作っておりますが、実際はこの
書面
によりますところの二十八年八月
着工
というのは偽わりである。実際はこの同じ村の
森林組合
が
農林省
から二十七年の
災害
として
補助
をもらっておる。そしてその
補助
によって二十八年六月に
着工
、二十九年一月に
完成
しておるのであります。この
農林省関係
の
補助工事
として
着工
した後の七月になって、
建設省
の方の
工事
をやるとして
県知事あて
に
着手承認申請
というものを出して虚偽の書類を作りまして、全く対象のない、もうすでに別途
着工
中の
工事
を申請して
補助
を受けたという
事案
であります。 次の愛知県が
施行
しました
工事
につきましては、実際は
補助申請
の
工事費
よりも非常に安く
工事
ができておりますのに、
架空
の
人夫賃等
に
つけ掛け
をして
支出
したようにしかけまして三百七十四万円を捻出した。そのうち四十九万円を、ほかの
直営工事
に使ったものもありますし、それから県の
労働者訓練所
、こういう
関係
のないものの
人夫賃等
に充てておりますし、
実地検査
当時なお三百二十五万円の金を預金して持っておったという
事案
であります。 次の
三重
県のものでありますが、これは
三重
県炉
施行
しました
砂防堰堤
の
工事
であります。この
堰堤
の中身は
玉石コンクリート
で
施行
するということになっておりますが、中を破壊して
検査
しました結果によりますと、この中は
玉石コンクリート
ではなくて、多量の土砂がまじっておる、あるいは粗悪な粗
石コンクリート
で
施行
しておるきわめて粗漏な
工事
であります。 次は京都府が
施行
した
工事
でありますが、これは
災害復旧
と
改良工事
と
両方
合せて約四億円ばかりで査定を受けたのでありますが、この
災害復旧
としておる
部分
について
検査
しますと、実際は
災害復旧
ではなくて、
改良工事
の分が相当入っておる。でありますから、
改良工事
の分は
災害復旧
として
補助
を受けるべきではない、こういう
事案
でありまして、この
改良工事
の分を除きますと、
国庫負担
におきまして六百二十四万円ほどのものが多くいき過ぎておるという
事案
であります。 それから次の
和歌山
県の見好村の
施行
した
工事
であります。これは
設計
におきましては野づら石でするということになっておりますが、実際を見ますと、野づら石を使っておりませんで、近所の山から持ってきました非常にぼろぼろした岩で
張り石
をやっておる。しかもその
張り石
の
控え
も
設計
に対して非常に短かい。すでに一部は崩壊しまして
復旧
の
目的
を達していないと認められます。それからなおこの村の
経理面
を見ますると、実際の
工事
は
国庫負担金
を下回る
金額
でやっておりまして、二百五万九千円ばかりの
剰余
を生じておりまして、この
剰余
は村の
単独工事
に充てております。 それから同じ
和歌山
県の川中村の
施行
した
工事
でありますが、これも
出来高
が非常に不足しておりまして、百九十九万円ばかりが
出来高不足
になっている。それから村の
経理面
を見ますと、実際の
工事
は
国庫負担金
を下回る
金額
でやっておりまして、村は
自分
の
負担分
を
負担
しないばかりでなく、百十五万円ばかりの
剰余
を生じておる。
片島港
3
○
片島委員長代理
ちょっと第三
局長
に申し上げますが、
建設大臣
が他の
委員会
へ出席せねばならぬ
関係
もありますので、本日の
審議
の
都合
上、一応
検査番号
二二〇八番について御
説明
をお願いいたします。残余のものにつきましては次の
委員会
で御
説明
をお願いいたしたいと思います。
石渡達夫
4
○
石渡会計検査院説明員
それでは二二〇八番の「
国庫補助
にかかる
公営住宅建設工事
の
施行
が粗雑なもの」これについて御
説明
申し上げます。
本件
は
久留米
市が二十八年、二十九年両年度にわたって
施行
したものでありますが、このうちの牟田山及び中隈山団地に作りました
公営住宅
二百八十三戸の
工事
が粗雑である。そしてこれに対する
国庫補助金
として三千五百万円ばかりを交付しておりますが、非常に粗雑でその
目的
を十分に達していないという
事案
でございます。この
建築工事
の
単価
を見ますと、持に安いから非常に粗雑な結果になったという
事案
ではないのでありまして、
久留米
市が大体同時に
施行
しましたほかの
住宅
を見ますと、ここにもありますように
単価
は大体
坪当り
二万一千円から二万五千円ばかりになっております。
本件
にあげました
工事
につきましては、
坪当り炉
二万円から二万六千円というふうになっておりまして、ほとんどそこに
開差
がない。それで
久留米
市は
建設省
の
公営住宅設計基準
、
久留米
市の
標準仕様
によって
建築
したということにしておりますが、この
施行
に当って
監督
が十分でなかった、
検査
も十分でなかったというために、粗末な
建築
になっているのであります。この具体的な例がちょっと書いてありますが、大体におきましてこの
建物
の
軸組み
、
小屋組み
の
使用材料
が
設計
の寸法だけない。質において非常に劣っている。たとえば四寸五分の
角材
を使うところに四寸の
角材
を使っているような事例が非常に多い。それからまた量におきましても
設計
の量を
施行
していない。それからその
施行
につきましても、この横に
はり
があり、
はり
から上につかが立っておりますが、このつかの上の母屋の
継ぎ手
の工合が非常に悪い、弱いようにできておりまして、そのためにもうすでに屋根が少し落ち込んだような格好になっているものもある。それからまたその
継ぎ
目もりゃん
継ぎ
にすべきところが一通り
継ぎ
になっている。それから
小屋梁
の
継ぎ手
につきましても、
ボルト締め
をするようになっておるところにつきまして
ボルト締め
を使っていない
でくぎづけにしておるというものもありまして
、非常に強度を欠いておる。そのために
軸組み
とか
小屋組み
に狂いを生じて家がゆがんでいる。建具の取り付けが非常に悪いものが多い。また整地につきましても不良なために床下に雨水が入り込んで沈滞している。入っている者が非常に困っておるような
状況
でありまして、
住宅
としての
目的
を十分に達していない。従って
耐用命数等
につきましても、所定の
耐用命数
が持つかどうかわからない。
建設省
におかれましても、とりあえず建て直しをするということを申しております。以上です。
片島港
5
○
片島委員長代理
ただいまの
説明
に対しまして
建設大臣
より発言を求めます。
馬場元治
6
○
馬場国務大臣
私
決算委員会
にまかり出ますのは本日が初めてであります。
建設省
の
予算
は毎年千億円内外の大きな
予算
をもちまして、あるいは
治水
、
災害
の
復旧
、
住宅
、
道路
その他各般にわたって全国的に大小の
事業
を行なっておりますので、特に
注意
をいたし、ことにそれだけの
予算
がみな
国民諸君
の汗とあぶらのかたまりであるということを痛感をいたしまして、この
予算
を
施行
いたすにつきましては十分な
注意
を払いまして、いやしくも不当な
支出
や批難さるべき行為のないように十分の
注意
を払っておるのであります。御承知のように、
監察官
の
制度等
を設けまして遺憾なきを期しておるのでありますが、多くの
仕事
の中に残念ながら批難を受けるような
事項
炉ありますことは、今後とも特にわれわれとして
注意
をいたし、
戒心
をいたさなければならぬ点であると考える次第であります。本省はもちろんでありますが、出先の各
機関
に対しましても、その旨を絶えず示達いたしまして、
注意
を換起し、いやしくも遺憾なことのないようにいたしておるつもりであります。将来とても
十分戒心
をいたしていくつもりであります。具体的の問題につきましては、それぞれ
政府委員
の方から意見を申し述べることにいたします。どうか
委員各位
におかせられましてはよろしく御
審議
をお願い申し上げます。
片島港
7
○
片島委員長代理
御参考のために本日の
出席者
を紹介いたします。
馬場建設大臣
、
石破事務次官
、
斉藤会計課長
、
前田
計画局総務課
長、米田
河川局長
、浅村次長、山本
治水
課長
、宮内
道路局路政課
長、稗田
住宅局住宅建
設
課長
、鎌田
住宅局長
、小島
営繕局長
、それに行政管理庁岡松監
察部長
、会計
検査院
石渡
第三
局長
。以上であります。 それではこれより質疑に入ります。通告順にこれを許します。吉田賢一君。
吉田賢一
8
○吉田(賢)
委員
私は大臣の御
都合
も察しまして、二十八年度をあと回しにいたしまして、二十九年度にただちに入りたいと思います。そこでこれは専門的な問題になれば事務次官もおいでですから、その方から御答弁願ってもいいと思いますが、しかしこといやしくも国の行政の根本に影響するような点につきましては、一つ大臣が責任を持って御答弁を願いたい、こう思うのです。 そこで問題は
昭和
二十九年度
検査報告
書、
報告番号
二〇八四、三一八ページ、すなわち
工事
着工
時期の
見通し
もないのに日本
電電公社
並びに鹿島建設その他の諸土建
会社
へ前払金総計六億九千二百余万円を不当
支出
したという案件であります。申すまでもなく
建設省
のこの
予算
は、二十九年度を見てみますと、歳出におきましては一千三十三億余円、前年度から
繰り越し
ておるものが二百六十余億円あります。さらに予備費を二十億円も使っておるのであります。こういうような膨大な
予算
がありますが、特に注目すべきことはさ遂に
検査院
からも御
報告
のありました
安全保障諸費
、これは
検査院
の一二八ページの
説明
及び今の御
説明
によりますと、二十七年から九年度にかけて二百五十億円の
工事費
などを
支出
しておるのであります。そこでこの問題につきましていろいろな面から観察をしてみなければならぬと思うのでありますが、今の
検査院
の御
説明
によってみ、また
報告
書の
説明
並びに
建設省
から本日当
委員会
に提出された
説明書
等によってみますと、
建設省
におきましては大体
検査院
の批難事実を認めておられます。 そこで第一に伺いたいことは、この
土地
の使用、つまり
調達庁
が
土地
の使用についてそれぞれと手配をすることになり、建設を鹿島建設その他にさせて、そしてまたこれに伴う日本
電電公社
の電信電話の設備をするというのが大体の
設計
のアウトラインらしいのでありますが、この
土地
の使用の
見通し
が確実でないというときに、また第一には
工事
の具体的な
設計
の
内容
が明らかでないというと遂に、この二点、特にこの後者の場合は
工事
の具体的な
設計
内容
が明らかでないときに、
前金払い
にしろ何にしろ請負代金を請負
業者
に払うということは、一体これはできることかできないことか、国の
予算
を国会で議決しましたと遂には申すまでもなく使用
目的
の
事項
が明白に規定されておるのでございますので、従って具体的な
計画
の
内容
が現われておらぬというものに数億円の代金を払うというのは、一体どういうわけか、まずこの辺から伺ってみたいと思うのですが、大臣に御答弁願えればけっこうであります。なんとなれば、これはや
はり
一般の
予算
執行の根本の原則になるのでありますから、できれば一つ御答弁願います。
馬場元治
9
○
馬場国務大臣
この具体的な
事案
の
内容
につきましては、
営繕局長
より詳しく御
説明
を申し上げ、答弁させることといたしたいと思います。
吉田賢一
10
○吉田(賢)
委員
予算
の執行につきまして、
計画
がはっきりしないのに
予算
を使うということは、本省として、大臣としてお許しになることかどうか、こういうことなんです。だから横浜における
事案
の
内容
を聞くんじゃないのです。
馬場元治
11
○
馬場国務大臣
着工
の
見通し
がつかないときに、支払いをするということは、不当なことであると思います。
吉田賢一
12
○吉田(賢)
委員
着工
の
見通し
がつかないと遂に支払うことは不当である、その点はよいといたしまして、いま一つの問題である、これと関連しておりましょうが、
着工
の
見通し
炉明らかでないということはいろいろな原因があるのでありますが、
工事
の具体的
内容
が明らかでないときに、
予算
を執行することはできますか。
馬場元治
13
○
馬場国務大臣
具体的な問題をよく私存じませんが、
工事
の
計画
が全然ない場合に支払いをあらかじめするということは、これはあり得ないことであると思います。 〔
片島委員長代理
退席、
委員長
着席〕
田中彰治
14
○
田中
(彰)
委員
ちょっと大臣に御
注意
申し上げておきますが、こういう工合に、
土地
がきまらなかったり、
工事
が明らかでないときに、数億の金を一応出す。これは大臣がそれを出したことに対してどういう工合に考えておられるか。もちろん責任は考えておられましょうが、
建設省
あたりが今までやっておりますのは、普通民間のものにはとてもこういうことを許しておらないのです。その一つの例を申しますと、たとえば
住宅
金融公庫なんかで家を建てるために
土地
を買う場合には、その
土地
を買うのだから、何の担保に入っていようが、登記するまでに地上のものを取り除いて持ってくればそれでいいわけです。それを買う場合はすっかりさら地にして、何もないことにしてからあらためて登記をしていく。登記をしてから四、五日たたないとその金を下げないというような厳重なことを一般民間にやっておるのです。しかるにこういう大きな
会社
とか、財閥の請負師になりますと、
工事
が明らかでない、
土地
もきまらぬときに数億の金を出す。しかもそれが暮れの大みそかにかけて出すなんということは、大臣が常識的に考えられましても、私はここに常識的に判断できない不可解な問題があると思う。一方何の権力のないものが家を建てる、
土地
を売ってやるとか、なんとかいう場合には、こういう厳重なことをさしている、一方ではこういうことをさせるのは、大臣簡単にお考えにならぬで、よほどこういう点についてお考えにならないといけない。特に鹿島組に対して申し上げるのですが、これは違った問題ですけれども、ちょうど新潟に三面川
発電所
があります。これを始めるときに
建設省
から十億以上の
補助金
がいっているはずです。その
補助金
などは
設計
も何もないのに、新潟県にやった。それ炉鹿島組にいっちゃった。十億は取ったけれども、
工事
のあれがないから、鹿島組は新潟県の経営の三面川の
工事
を
自分
で
設計
して
自分
で
単価
をきめて、今度の北村知事がいくまでやっておった。これに対する金の面の融通、
工事
の利益金などで、あれをやってから鹿島組が今日になった。だからゆるめるところへは常識的に考えられぬほどゆるめて、普通の権力のない者がやるときには、
土地
に担保があろうが家炉建ってあろうが、登記のときまでに金を払って抜けばいいのに、それすらも許しておらない。
建設省
が一方においてそういうことをやり、一方においてこういうことをやることを見ると、私は大臣が就任されたばかりで、われわれ質問したら大へんなことになるし、ほかの方が質問されますからやめますが、こういう点はあなたがよほどお考えにならぬと大へんなことが起りますよ。まことに申しわけない、
注意
しますと申されるが、国民の税金ですから、実際
建設省
でももう少し正義なことを考えて、もう少し一般的に公平な処置をやられないと、私は
建設省
で重大な問題が起きてくると思う。よくその点を
住宅
公庫なんかにもおっしゃって、こんな
前金
を五億も渡すなら、一千万や二千万の
土地
を得る人には、
土地
が担保になっておろうが、家が建っておろうが、登記のと遂に担保を抜けばいいから、金をやって便宜をはかってもいいでしょう。それをやってくれない。三面川は十意の
建設省
の
補助金
が県を通っただけで、そのまま鹿島組にいっちゃった。そのほかに低利資金も国家からいっている。いろいろな
政府
の金もかかっております。こういうことはざらにあるのです。もし大臣がないとおっしゃるなら申しますが、そういうことが始終行われているんだということをお考えになってやられないと、私は大へんなことになると思います。時間がないから大臣の答弁は要りませんが、この点よく御
注意
を申し上げておきます。
馬場元治
15
○
馬場国務大臣
今具体的な事例をおあげになっていろいろ御
注意
をいただきました。いつのころか私その実例を承知いたしておりません。そういうことがあっては相ならぬと思って絶えず
注意
はいたしておるつもりでありますが、お話のように一片のあいさつとか申し開きとかいうことであっては相済まぬのであって、真剣に考慮すべき問題であると思います。 先ほど吉田さんから御質問の問題は、具体的な問題について御
説明
を申し上げた方がはっきりすると思います。
営繕局長
より
説明
さしてもらいたいと思います。
吉田賢一
16
○吉田(賢)
委員
一つ大臣には、今申しました横浜の岸根の具体的な問題をめぐりまして、もっとよく掘り下げた問答をせにゃならぬと思っておりますが、あなたもそれは研究しておいて下さい。具体的な事実の
内容
を十分御承知でないらしいので、時間もありませんので、御研究願うことにいたします。 この一点だけ伺っておきますが、もう年度末もだんだん迫っておりますが、大蔵大臣の当
委員会
における二十九年度の
決算
報告
によりますと、三十年度へ百六億の事後
繰り越し
があった。そのうち
安全保障費
がおもなもの、こういうことになっております。
安全保障費
というのは、さっきの
検査院
の御
説明
によりましても、六十数億円
繰り越し
になるようでありまするが、この
繰り越し
等をめぐりまして、相当
工事
に
支出
する
関係
との、その法規的なけじめをつけてもらわねばならぬ、こういう点を強く要請したいのであります。これが結論なんですが、ここに一つの問題があります。これがこの
工事
の
経費
との関連におきまして、われわれが取り上げるべき一つの問題なのであります。そこで年度末が迫りますので、また
経費
はできるだけ使ってしまわにゃ損じゃというようなことになりはしないかと実は案じておるのですが、本年の
安全保障費
の今後の
繰り越し
ということは、再度になりまするからできないかと思いまするが、現在における使用の
状況
につきましても、そういう観点から、あなたの部下に、当
委員会
に資料として、一つ出させていただきたいのであります。どういうふうに使用されておるかということを、それを一つの資料にいたしまして、私はこの問題につきまして、さらにあなたの御意見をいろいろと伺ってみたいと思います。
馬場元治
17
○
馬場国務大臣
資料を提出することにいたします。
上林與市郎
18
○上林
委員長
山田君。
山田長司
19
○山田
委員
大臣に二点だけ伺います。日本の一流
会社
と称する
会社
が各地にみんな出先
機関
を持って、大きな
工事
に携わっているわけですが、実は九州のかって起った水害のときに、石井組とか、清水組、間組、大成建設、中西あるいは熊谷、鹿島、梅林、岩崎組、渡辺組、大島、大林、こういう建設
会社
がみんなそれぞれ河川の改修に当っておられたわけですが、この河川改修に当りまして、ほとんどが出先
機関
で請負
業者
に次々やらせておる。しかもその河川の改修に当っては、全く河川の
工事
に不なれな人たちばかり集まってやられたという事例があるわけですが、請負
業者
がさらに下請に、下請が五種類から六種類にまでわたっておる。こういうことで働く人たちも、非常に安い賃金で搾取から搾取が重ねられるわけですから、安い賃金で働かされる。しかもその過程においてかなり不正な
工事
も当然起ってくるというようなことが考えられてくるわけですけれども、これらについて大臣は何か、こんな下請々々でやられる
工事
が完全なものと思われるかどうか。それからそういうことが許されてよいと思うかどうか。一応大臣の所見を承わりたいと思います。
馬場元治
20
○
馬場国務大臣
九州の大水害のときということでありますから、
昭和
二十八年のことだろと思います。そのときの請負
業者
は河川なんかについては経験のない者であったということを承わったのでありますが、河川の改修に全然経験のない者にやらしたということはちょっと常識的に考えられないのですが、今おあげになたっのは、いわゆる大きな一流の建設
会社
のように見受けますので、河川に対しても相当の経験を持っているのではありますまいか。私河川に対して彼らがどれだけの経験を持っているかということをただいまよく承知いたしておりませんが、もしさようなことであるとするならば、それはまことに遺憾なことであると思います。続いて下請を幾つもやらせるということでありますが、
部分
的に下請を許すということはあり得ることなんです。ただ全般的に次から次にするということは許されないということでありまして、さようなことはやっていないはずであります。
部分
的な下請は許すことになっている、そういうふうに承知をいたしております。
山田長司
21
○山田
委員
ただいま申し上げた大きな
会社
がいずれも河川のことに不なれだということで申し上げたのではない。それらのうちに全然心得のなかった
会社
があったということで申し上げたわけですが、下請についてかなり次次と下請がなされていることは、現に各地で見受けられることです。これについて責任の所在が非常に不明確なために、私の知っている範囲で、六回も下請をしたところの職場に働いていた自動車の運転手が、その
事業
を遂行せざるを得なかったがために、実はかぜをひいて休んでいる期間中、さらに別の人にかわってもらったという
関係
で、全然手当ももらえなければ葬儀も出せなかったという事例があるのです。そういう場合に何らかの保護が労働者に写えられないものだろうか。
建設大臣
としても当然考えていいものと思いますが、この点はどうお考えですか。
馬場元治
22
○
馬場国務大臣
どういう事例か私存じませんが、具体的な事例をあとで伺いましてよく検討してみたいと思います。
山田長司
23
○山田
委員
入札制度について伺います。九州の河川のときなどは、一回目の
工事
入札を行なって、それが第二回の入札もほとんど変りのない人たちが全部
工事
をやられたということでありますが、これと同じように、最近における入札制度については、かなり談合が多いと思う。実はじゃかごの入札に当って、関東にかなりじゃかごの
業者
がいるわけですが、この
業者
間におきまして組合員に入っていない人がこの入札に携わったわけです。ところがあまりにも大きな開きがあるので役所でも驚いたそうですが、それでも利益が上っておってじゃかご
業者
は落札をしたわけです。そうしたところが、東京のじゃかご
業者
の組合から——私はこの現場もちゃんと知っておりますが、特に名を秘します。その
業者
がどういう目にあうかわからないから名前を秘すのですけれども、その落札した
業者
のところへ組合
関係
者がデモンストレーションをやりまして、しかもこのじゃかご製造
業者
を呼び出してかなりおどかしたという事例があるのですけれども、落札制度について
建設省
は一体どういう態度をおとりになっておられるのか、一応この点について伺いたいと思います。
吉川兼光
24
○吉川(兼)
委員
関連してちょっとお聞きしたい。実は大臣に聞くまでもないことで、事務当局でもいいんですが、あなたは政治家だからこの際こういう問題があるということをあなたの耳にも入れておく必要があると思うのでお尋ねをするのですが、それは私の知っている事例で、これは東京ですが、おそらくこの事例は全国的にたくさんあるだろうと思います。東京の繁華なところに大きな鉄筋の
建築
物ができる。地下室など一階も二階も作る。そうすると、その周辺にある地続きの家が曲ったりゆがんだりいろいろな被害を起しておる。現に私はそういう事例を一つ知っているのです。これはどうなんですか。そういう
建築
を付近の承諾も得ないうちにやってしまう。そうしてこれでは困るからというのでいろいろ交渉がそこで起きてくるようですが、大きな
建築
屋にしても、あるいはそこに
建築
を依頼してビルディングを作るような大
会社
にいたしましても、優秀な弁護士などを持っておりまして、そうして結局いわゆる民法上の争いといいますか、損害賠償の争いに持ち込んでいって、非常な時間をかけて、結局裁判費用その他における力の相違で泣き寝入りさしているという事実炉たくさんある。こういうような弱い人を保護するために、そういう場合付近の承諾を得なければ、明らかに地続きのところに迷惑を及ぼすというような
建築
には着手してはいけないというような規定のようなものがあるのかないのか。私どもはそういうことはあまりよくわかりませんが、私はそういう事実があるということについて申し上げます。これは大臣でなくてもいい、一つ事務当局からそういうような弱者を庇護する法的な根拠は、何法の、あるいは何条例のどういうところにあるか、ここでお答えできれば伺っておきたい。お答えできなければあとでお調べ願ってもいいですから、一つお知らせ願いたいと思います。
上林與市郎
25
○上林
委員長
吉川
委員
への答弁は事務当局でよろしいという御趣旨ですから、大臣に対する質疑は一応これで終了して、事務当局に対する質疑を続行いたします。その前に先ほどの吉田
委員
、吉川
委員
、山田
委員
に対する答弁をやっていただきましょう。
小島新吾
26
○小島
政府委員
今のお話の、
建物
を作ると遂に隣近所に迷惑を及ぼすが、それを防止できないかという問題でございますが、それはおそらく
契約
によってやることでございまして、もし建設途上において付近にそういう被害を与えた場合は、中央建設業
審議
会というものがございまして、そこに持ち出して解決するということでございます。
吉川兼光
27
○吉川(兼)
委員
どうも今の御答弁は私の質問をちょっとはずれているんじゃないかと思うのです。私が言うたのは、そういうような法的な根拠がどこにあるか。あなたのおっしゃるところによると
契約
といいますが、それではあらかじめ付近の損害の及ぶであろうと思われる向きと何か
契約
をしてから
建築
にかからなければいかぬということなんですか、
契約
とおっしゃるのは。これは依頼主と
建築
屋との
関係
ではない。
建築
を始めることによってその
建物
と
関係
のない付近の人の家が曲ったり、いろいろな迷惑をこうむるわけです。その迷惑炉あらかじめ想定できる場合、あるいは全然迷惑が予想されない場合もあるかもしれませんが、できる場合には、それらのところと今あなたのおっしゃったような何かの
契約
のようなことができなければ
建築
にかかっていけないものじゃないか。それが、やたらに
建築
にかかりまして、さてそれらが後ほど訴訟になりましても、力の問題で泣き寝入りになる場合が多い。これを何とか
建設省
の法律
関係
で弱者を保護することができないかということを聞いておる。あなたに御答弁できなければできないでどなたでもよいのです。またここで御答弁をもらわなくてもあとでよいのですが、ちゃんとした御答弁をもらいませんと、その問題で私はもう少し関連質問をやるということにしてあるのですから、いいかげんにしないで下さい。
鎌田隆男
28
○鎌田
政府委員
建築
基準法のことを主管しておりますので、私からお答え申し上げたいと思います。
建築
を
自分
の敷地内にいたします場合に、その隣に影響を及ぼすような場合、何らか法的な
建築
基準の制限はないかという御質問のように拝聴したのでありますが、
建築
基準法におきましてある
工事
をいたします場合に、隣に影響を及ぼすようなおそれのある場合には、その影響が隣にいかないような適当な
工事
をあらかじめしなければならない、こういうふうになっております。ただその程度の問題でございまして、非常に地盤の悪いような場合には万全の措置を講じましても隣に影響を及ぼすことが実際問題としてございます。そういう場合には、その損害補償につきましては民法の損害賠償というようなことになろうかと思いますが、
建築
基準法におきましては、その隣に損害の起らないような、隣に影響を与えないような、適当なる措置を講じなければならない、こう考えております。
吉川兼光
29
○吉川(兼)
委員
もう一つお聞きしたいのですが、要するに、
設計
したり
工事
にかかる前に、この
建築
は隣に影響が及ぶか及ばないかということをだれがきめるか。それから、及ぶような場合には、それが及ばないような
建築
をなさると今おっしゃいましたね、その
建築
はどこできめるのですか。この
建築
なら及ばないとか及ぶであろうとかいうことの判定はどこでやるのですか。それをちょっとお伺いしたい。
鎌田隆男
30
○鎌田
政府委員
その
建築
物自身の強度とかそういうものにつきましては
建築
基準法で定めるのでございます。それから、その
建築
物を実施いたします場合に隣に影響を及ぼすかどうかということは、施工の問題でございまして、その隣に影響を及ぼさないような土どめその他適当なる
工事
をやらなければならない、こういうことになっておるわけでございます。その
工事
の実施上の現場の
監督
と申しますか、これは
建築
基準法上は
建築
主事が現地をときどき見回りまして
監督
をいたすことになっております。
山田長司
31
○山田
委員
ただいまの問題に関連して
住宅局長
に伺います。たとえば、今地下鉄の
工事
が盛んに進められています。神田の水道橋から東京駅に向ってです。今は淡路町の周辺に商店経営者かたくさんにいると思うのです。こういう場合には、たとえばこれは東京ばかりに限らないで、各都市に地下鉄というものが建設されてきて、営業上に支障が起る事態が必ず起ってくると思うのですが、ただいま吉川
委員
の御質問はビルができる周辺の問題ですが、私が伺おうとするのは、地下鉄の
工事
などの場合に、その周辺の商店街の営業上における問題炉かなり問題になると思うのです。こういう場合においては営業補償というものは一体どこで査定し、だれが支払うのですか。参考に伺います。
鎌田隆男
32
○鎌田
政府委員
実は地下鉄の
工事
は
建築
基準法の対象外でございますので、先ほどの問題とちょっと違うと存じますが、その損害賠償につきましては民法の定めるところによって行いします。
小島新吾
33
○小島
政府委員
先ほどの建設
工事
の請負者の問題でございますが、
建設省
といたしましては請負
業者
の格づけをしておりまして、
工事
量によってその格づけの中からそれに相当する者を選ぶことになっております。選定要領というものもきまっておりまして、
工事
発注者はそれによりましてその
工事
に見合う格づけの
業者
を
指名
いたしまして、入札をいたします。それで今のお話の下請の問題でございますが、下請は、
部分
的の下請は認めますが、全般的の下請は認めない。これは
契約
条項の八条にございまして、一部の下請は発注者の認めた場合は許可するということになっております。
山田長司
34
○山田
委員
そういう場合にどういう
監督
をして、一体その
部分
的などれだけの
仕事
を下請
業者
がやっているかということの調査をいたしますか。
小島新吾
35
○小島
政府委員
監督
は厳重につけまして、スポンサーとしては表面の発注者でごいますが、
工事
そのものについては
監督
炉常に指揮しております。今の事例は土木のことだと思いますが、私営善
局長
で
建築
ばかりやっておりますが、おそらく違いはないと思っております。
山田長司
36
○山田
委員
じゃかごの問題をまた一つ伺うわけですが、実はその問題を伺う前に今のあなたのお話によって、さらにもう一つ伺いたいと思います。実は労働組合の諸君から私に話炉あったので、私は聞くわけなんですが、出先の
建設省
の役人が知らないうちに、
監督
の衝にある者が全然知らないうちに、請負
業者
の方だけが二の
工事
をやることになっているのだということを知っていた。そういう事例がどこから起るのですか。参考に伺っておきます。
小島新吾
37
○小島
政府委員
そういうことはないはずでございまして、すべて
指名
業者
を選定する場合はごく少数の担当者がやるのでございまして、また
指名
業者
選定から落札までの間は、だれが落札したかわからない。ほんとうにきまるまでごく少数の人員だけしかわからないのでございまして、そういう事例はないと思います。
山田長司
38
○山田
委員
私何でその話をしたかというと、実は
監督
そのものが全然知らないで、
仕事
を請け負った
会社
の人だけが知っていた、一体こんなことで満足な
工事
の
監督
ができるものであるかどうか、こういうことを一つ、あなたは建設の衝に当る人に聞いてもらいたい、こういうことで実は私伺うのです炉、そういうこと炉ないといえばそれでよいことになるわけですけれども、たとえば九州の建設に当っての第二期
工事
の入札の場合などは、第一期
工事
を入札した人たちが第二期も全部やることになっているのだ、こういうことだったそうですが、そんなことはなかったですか。
浅村廉
39
○浅村
説明
員 九州の問題でございますが、具体的にただいまどの
工事
であったか、ちょっとわかりませんけれども、おそらく二十八年度の大
災害
の
関係
で必要を生じました
災害復旧
関係
の
工事
ではなかったかと思います。今お尋ねの点は、第一回に
指名
の結果入札を行なった者が次の
工事
を必ず取ることになっているかどうかということのようだったと思います炉、これは私承知いたしております範囲では、最初に入札して
工事
を取った者に次の
工事
を与えることが、諸
経費
の
関係
あるいは
機械
その他使用する器具等の
関係
上、一番経済的であるという場合が傾向的に多いために、そのようなことにいたす場合が多いように聞いております。しかし必ずそうするようになっているというようには、私聞いておりません。
山田長司
40
○山田
委員
今の御答弁のようなことだと私は思うのです炉、日時が過ぎておることなので、今そのことを私に言ってきた人の名前をあげることも差し
控え
ますし、それから果してそういうことが事実あったのかどうかということは、私も現場に行って確かめたわけでないのだから、このことについての質問はそれでやめておきます。 先ほど申しましたじゃかごの入札の問題について、これは関東地建に起っている事件でありますけれども、入札の場合、競争入札で組合員外の者が入札する場合に、非常に
単価
炉安かった——実は、はっきり申し上げますが、これは足利の
業者
です。足利の
業者
が入札に来て、組合に入らないで入札いたしましたところが、その
単価
が安いので、こんな値段でできるはずがない、こういうことを
業者
に係の人炉申したそうです。そこで私は伺いたいのですが、一体組合に入っている人たちは談合で入札している
関係
上、非常に高くなっているけれども、談合でない、新たな
業者
が入札した場合に、競争入札ですからかなり安い値段でおそらく入札の価格として入れていると思う。こういう場合問題になり、ますのは、
建設省
自体で、一体そのじゃかごにどれだけの太さの針金、どれだけの長さのもので、どれだけのまるみのものであれば、この価格というものはどれだけでできなければならぬという、そういう明確な原価を持っているのかいないのか、一応参考に伺っておきます。
浅村廉
41
○浅村
説明
員 ただいまのじゃかごの問題でございますが、これは具体的な事例について調べませんと、軽卒なことは申し上げかねる次第でございます。ただ私が承知いたしております範囲で、あるいはこういうことではなかったかと思われる点を、これは想像でございますから当っていなければ大へん失礼でございますが、じゃかごにつきましては、私の聞いております範囲では、発注者の立場として見ました場合に、粗悪な製品がだんだん出廻る傾向がありますので、決して強制するわけではないのですが、一つの標準規格をきめて、発注者側にこの標準規格のものをなるたけ使ってもらうということを奨励する必要を感じまして、工業技術院でじゃかごの標準規格をきめられたように聞いております。これはその規格でなければ使っちゃいけないという罰則のついたようなものじゃないのでありますが、使うならばその標準規格のものを使うのが一番よかろうというような意味の標準規格をおきめになったように聞いております。なお最近通産省の方でじゃかごのメーカーの工場を指定しまして、この標準規格のものを生産するだけの資格を持った工場はこれこれだという指定をされたように聞いております。さようなことがじゃかごについて最近行われますのは、や
はり
いろいろな
関係
で、最も重要な河川
関係
の資材でありますところのじゃかごが、万が一粗悪な製品ででき上っておりますと大へんなことになりますので、さような点を警戒しての措置ではなかったかと思われるのであります。この場合私どもの関東地方建設局でどのようなことが行われましたか、調べなければわかりませんけれども、発注者の立場としては、あまりに安いということで、非常に製品が悪いんじゃないかということをまずおそれるということは、私は想像できると思います。さような意味であるいは担当者が何か申したのではないかと思いますが、ただいま想像し得る点はその程度のことでございます。
山田長司
42
○山田
委員
ただいま関東地建に起っておる問題をあなたは知らないからそういう御答弁をなさったと思うのですが、実はこのじゃかご
業者
は実にまじめな人で、作られている製品については寸毫間違いない自信が私にはあるわけなんです。しかし私は何もここで関東地建にじゃかごがいいとか悪いとか、推薦するのじゃなくて、問題はこの入札制度にあると思うのです。それで入札に来て一応落すのは落してみたが、実はそれからあとかなりいやがらせが続いて、じゃかごを作ることをあきらめてしまったというような泣きごとを聞いているのですが、組合に入らなければ製品の納入が不可能なのかどうか、そういう点で組合制度は果していいか悪いかということに私は疑問を持っているわけなんです。通産省で商品に規格を作ったような話は今初めて伺うわけですが、一体通産省でどういう指定
業者
を一応作ったものか、これは参考に、わかったら一応伺っておきたい。 それから
建設省
では厳格に商品原価を一応出すようなことをしているのかしていないのか、わかったら参考にこれも伺っておきたいと思います。
浅村廉
43
○浅村
説明
員 じゃかごにつきまして、組合に参加していないものは入札に参加できないというようなことにはなっていないと私は承知いたしております。あるいは業界においてどのような話し合い炉あったかはまだよく存じませんが、私の承知しております範囲では、組合に入っていないものが
契約
に参加できないというようなことには決してなっていないはずでございます。 それから価格の問題でありますが、これは私ども査定等もあります
関係
上、一応の標準のものを役所の方でも持っております。大体そのような点が承知いたしておる範囲でございます。
山田長司
44
○山田
委員
役所で持っておれば大体令のじゃかごの問題ばかりでなくて、いろいろ不正事件がたくさん起っておることについても、私は非常にこれは減少させることができると思いますが、そういう机の上だけの
計画
でなく、——現場で製品の製造に携わっておる人たちから、じかにどのくらいの原価でできておるのかということをや
はり
知らせると思うのです。その点についてあなたはそういうことをおっしゃるならあとで伺いますが、原価
計算
ができておれば、役人みずからこんな値段でできるのかと言うはずはないと思います。一体そういう点に努力がたらない点があるのではないかと思いますが、その点あなたははっきり役所でじゃかごに限ったことでなく、全体の原価
計算
が全部できておるという気がしますか、もう一ぺん伺っておきたい。
浅村廉
45
○浅村
説明
員 ただいま私の申し上げましたのはじゃかごについての問題でございますが、全般的の問題になりますと、私この席で簡単にお答えいたしかねますので、なおよく調査いたしてみたいと思います。
上林與市郎
46
○上林
委員長
吉田
委員
、事務当局に対する質疑を簡潔に継続して下さい。なお堀川
建設政務次官
が出席しております。
吉田賢一
47
○吉田(賢)
委員
できるだけ簡潔にこちらも伺いますから、あなたの方も一つ簡潔に御答弁を願います。 さきの二十九年度
報告番号
二〇八四番についての質疑の継続であります。第一に伺いますのは、この岸根の
工事
着工
の
見通し
炉着実でなく、そうして前払い金をこんなに多額に支払いました理由をお述べいただきたい。
小島新吾
48
○小島
政府委員
岸根に関して
着工
の
見通し
がないうちに
契約
を結んで前払い金を払ったという問題でございますが、われわれ建設担当の者はこの
仕事
は膨大なものでございますから、早く
着工
しなければ
完成
がおくれるということで努力いたしまして、敷地その他の問題に関しましてはこれは
調達庁
が所管でございますが、その
土地
の解決を促進した
状況
でございます。それで二十九年度末になりまして敷地の一部は
着工
可能ということで、またその残部の一部も多少の耕作権その他の問題がありますが、五月には
着工
可能であるという文書をいただきまして、実は入札に付しました。そういう
状況
でありますので、前払い金も一般ならば三割出すというのでございますが、一部の
土地
の解決が多少五月から延びるという懸念もなきにしもあらずで、二割というところに制限いたしまして、二割の前払い金を払った次第であります。
土地
の
見通し
の問題が
土地
収用
委員会
にかかりまして案外長引いて、大月に裁決になった次第でございますが、
工事
、いわゆる現場の
着工
は一部できませんでしたけれども、
工事
準備といたしまして、いろいろ資材の手配その他に前払い金二割は全部使っていた次第でございます。
吉田賢一
49
○吉田(賢)
委員
ところで、
土地
の使用が可能であるということが確実になったのは十月なんでしょう。これはまああなたは今五月ごろに可能のような文書をいただいたとおっしゃっておりますけれども、しかし
調達庁
からあなたの方に出した文書は相当あいまいな
内容
でありまして、これで客観的に確実なりと判断するのは早計だと思うのです。だからほんとうに確実に
土地
使用可能なりという
見通し
がついたのは、去年の九月以降のことではないのですか。
小島新吾
50
○小島
政府委員
収用
委員会
の裁決が九月十五日でありまして、十月からその場所に入ることができました。
吉田賢一
51
○吉田(賢)
委員
しからばや
はり
何と御弁解になりましても、それは
調達庁
の行き過ぎの文書であるのか、あなたの方の判断の誤まりであるのか軽卒であるのか、そのいかんはともかくといたしまして、収用
委員会
の裁定が九月であるとするならば、ほんとうに建設にかかるのは九月以降でなければならぬ。であるのに四月に総額六億九千二百万円の
前金払い
をしたということは、その
見通し
が結果的に見れば判断を誤まっておったというだけではなしに、さらにもう一つ、財政的な、
予算
的な手続上の何かの思惑が伴ってお払いになったのではなかろうか。つまり判断を誤まったということはそれとしまして、そのほかにいま一つ
予算
措置において払わなければならぬというようなことをお考えになったのではないか。
小島新吾
52
○小島
政府委員
御承知のように、安保措置は二十七年度に出ましたが、二十八年度には
繰り越し
て、二十九年度には特別立法でいっておりますので、
予算
の性格も限られたものでございまして、その点も多少あったかと思います。
吉田賢一
53
○吉田(賢)
委員
しかしさきにも私が大臣に質問したごとくに、また
検査院
の
説明
があったごとくに、二十九年から三十年度にわたって
安全保障費
は六十六億円もなお
事故繰り越し
をやっておるのであります。でありますので、
予算
措置といたしまして、これは他の例のごとくとするならば、
事故繰り越し
は可能であるのではないか、それを伺います。
小島新吾
54
○小島
政府委員
初めの
契約
の前払い金は、とにかく
工事
着工
の準備に使わせたものでございまして、
工事
をやめることは念頭になかったのであります。
吉田賢一
55
○吉田(賢)
委員
私が問うのは、
工事
着工
の準備であろうと資材代であろうと、そういうことにかかわらず、ともかく
予算
を執行する上におきまして、他の数十億円の例のごとくに扱うならば、三十年度の
予算
として三十年度に
事故繰り越し
が可能であったのではないか。そうならば、一方客観的に確実に
土地
使用可能な状態に入っておらぬときに、何を急いで約七億円の金を払うか、や
はり
それは
土地
問題解決の
見通し
がほんとうに確実になって、これなら大丈夫だというそこで初めて払えばいいのではないか、こう言うのです。だから
予算
の措置として考えましても、何らの理由がない、必要がなかった、こういうふうに私には思えてならないのであります。それであなたの方の弁解ができるかどうか。ここにも
建設省
が年度末に差し迫り
契約
した理由とか、いろいろと書いてありますけれども、どうもそれらの点には触れておらない。
小島新吾
56
○小島
政府委員
この
工事
は当時は竣工の
見通し
があると思ってやったことであります。その点は、
土地
の問題が途中から
土地
収用
委員会
にかかるとは思わなかったのでありまして、はなはだ
見通し
は悪かったのでございますが、
工事
完成
の意気込みで実は
契約
した次第であります。
吉田賢一
57
○吉田(賢)
委員
そうじゃなくて、
土地
問題はすでに紛糾いたしまして、収用
委員会
にもかかり、あるいは横浜市の所有地でありますので、私ども調査したところによれば、戦時中からいわゆる一坪農園ですか、戦時農園として一般民間の人が使用しておった。そういうようなかなり複雑した事実上の使用
関係
が一般人との間にできておる。その
土地
を使用せんとするのであるから、従ってそこに簡単に空地が手に入るというときとは違う
事情
があることは明瞭なんです。ことに四月ということになれば、いろいろと紛糾といいますか、いざこざの事態が進行の途中でありますから、こういうときに
調達庁
の一片の非常にあいまいな文書にたよって莫大な金を払うということはどう考えても理由がない。そこはや
はり
あなたの方の判断の誤まりであったならば誤まりとしてはっきりしてもらいたいのであります。私は善意に解して、この明白でない文書に非常にたより過ぎたということがあなたの方の一つの過失ではなかったかと思うのであります。もう一つは、や
はり
予算
的措置といたしまして、支払ってしまわねばあと使えないような、そういう錯覚もあったのではないかというように善意に解するのでありますから、それを尋ねておるのであります。けれどもあなたの方で天地に恥じず、誤まりなしということであるならば、これは幾らでも伺わねばならぬのです。
小島新吾
58
○小島
政府委員
ただいまの
土地
の解決問題は、われわれとしては今解決するか今解決するかという
状況
で、それがだんだん遷延してついにこういう事態になりましたことでございまして、結果的に見てその
見通し
の悪かったことは申しわけないことだと思います。
吉田賢一
59
○吉田(賢)
委員
そこで元に戻って、それならばその
見通し
は誤まったといたしましても、
予算
としてもっとゆっくりと事態の推移を見て、そうして
予算
の執行を慎重にするという考慮をどうして払わなかったのであろうか、法律上そういうようなことはできないというようなお考えでもあったのかどうか。これはあなたに聞くのがよいのか。大体こういうことは事務次官が答弁されるのが一番よいと私は思うのであります。あなた一個できめておるのではないと思う。や
はり
大臣の判があってなさっておるのではないかと思うのですが、あなたの立場として、これは
予算
措置として支払わなければ、もうあと払えない状態になるというふうにでも錯覚されたのではないかどうか、これらの点について一つ建設当局としてはっきりした御見解を述べておいてもらいたい。
小島新吾
60
○小島
政府委員
当時駐留軍の
仕事
は、軍の方でも非常に
完成
を急いでおりますし、われわれとしてもできるだけ早く
工事
の
完成
を期した次第でございまして、こういう結果になった次第であります。
吉田賢一
61
○吉田(賢)
委員
駐留軍の
仕事
であるから、安全保障に関する
仕事
であるから、急ぐということは、事務当局のお立場としてはよくわかります。しかし、それと国の財政執行の問題とはや
はり
事違います。幾ら急ぎましても、法規に違反して使うことは不可能なんであります。それは許されていないのです。官庁というものは、や
はり
法律に従ってのみ行政行為をなし得るのであります。そこで、
予算
はそうあわてて使わなくてもいいではねいかと私が示唆申し上げておるのです。ほかにたくさん
繰り越し
ている例があるから……。
繰り越し
ということは不可能であるのかどうか。大蔵省との間にあらためていろいろと協議する必要もなさそうでありますし、通牒もあってなさそうでありますから、ほかの例に従うならば、当然にあなたの方で
繰り越し
得る手がとれると思うのであります。そういたしますならば、ゆっくりとかまえておっていいのではないか。ゆっくりとかまえて、数カ月でも約七億円の金を大切に保管しておいてもらうべきではないかと思います。だから、
予算
は使わなければあと困るというような事態に立ち至ることを、あなたの方は錯覚でもされたのではないか、この点なんです。駐留軍の
仕事
だから急ぎますというお気持はいいですよ。たとい駐留軍の
仕事
であろうと、内地人の
仕事
であろうと何であろうと、
仕事
を適切に急いでやるということはごもっともなんです。そんなことを聞くのではない。
予算
についての適否、それに対して当時あなたの方で錯覚しておったのではないかということ——今日数カ月たつのですから、十分に御研究になったろうと思う。当時は誤まった考えであったら、あった、そうでないならないという、この点をはっきりしておいてもらいたい。次官、御答弁できますか。
堀川恭平
62
○堀川
政府委員
初めからの吉田
委員
のいろいろな御質問を聞いていなかったのでありまして、今ここにすわってからお聞きする次第でありますが、その当時私がおったわけでもなしいたしますし、今の事務次官がその当時の官房長であったし、その当時の事務次官はおやめになっておられるので、一応帰ってその当時のことも聞いてみて御答弁をさせていただいてもけっこうだと思います。
吉田賢一
63
○吉田(賢)
委員
ちょっと内部機構のことについて伺っておきますが、このような場合に、
金額
において約七億円を
前金払い
をする——
予算
的な、法規的な運用の面から見ましても、すべき必要はない、しないでも
工事
は将来可能である、こういうような場合にこの金を支払うようなときには、これはや
はり
次官もしくは大臣の決裁までいくのですか。そういうことは全然関与しないのですか。
局長
で最終の処置をするということになるのだろうか。その点、内部機構運用上の点でありますが、御
説明
願っておきたいのです。政務次官でもよろしいし、あなたでもいいです。
堀川恭平
64
○堀川
政府委員
それでは私からお答えいたします。今聞くところによりますと、この事件は関東地建の問題だそうであります。関東地建の問題に対しましての
予算
に対する決裁は、
局長
でいいのだそうであります。
吉田賢一
65
○吉田(賢)
委員
そうじゃないのであります。関東地方建設局の分は鹿島建設外二十九社、建設本省の分は日本
電電公社
の分、そして建設本省の分は五億二千九百万円にもなるのです。そして関東地建の分は一億六千三百万円である。だから、
金額
は本省の方がずっと多いのです。ちょっとあなたから
説明
して下さい。
小島新吾
66
○小島
政府委員
本省では
営繕局長
が
契約
担当官になりまして、
支出
官が会計
課長
というふうな格好になっております。
吉田賢一
67
○吉田(賢)
委員
そうじゃなしに、私が聞きますのは、
営繕局長
が決裁するのか何か知りませんけれども、次官、大臣まで相談したのかどうか。七億円——本省の分は五億二千九百万円ですが、五億円以上の金を出すのに、
局長
だけでやるとはちょっとわれわれ部外の者では受け取れない。だから、次官も大臣も相談に乗るのかどうかということを聞いているのです。
小島新吾
68
○小島
政府委員
契約
担当官といたしまして決裁いたします。今御質問の大臣までにはいっておりません。
田中彰治
69
○
田中
(彰)
委員
関連して……。政務次官に私ちょっとお尋ねしますが、関東地建の一
局長
が、
建設省
の
局長
が何億という金を出すのに、あなたは政務次官として言っておられて、僕らの参考になったのですが、大臣の判をとらぬでこういうようなことをやらせるという機構を改めたらどうですか。法律にそんなことがあるのですか、あったとしても
建設省
の内規ではありませんか。何億という金を出してあなたと大臣に
関係
ないなら、あなたと大臣が答弁する必要ないではありませんか。地建の
局長
を出して、その
局長
に責任を負わせたらいいじゃありませんか。あなた方が
建設省
の責任を負っておるから政務次官として言っておるのでしょう。どうして
説明
を聞かないでそんな先払いをするのですか。そんな機構が
建設省
の機構にあるのですか、あるのなら改めたらよいのです。とにかく一
局長
が勝手にそういうことをして、政務次官の判もとらぬで、政務次官の
説明
も聞かぬで、大臣の
説明
も聞かぬで、そんなことをさせておるから役人がのさばるのです。あなた政務次官として
注意
なさい。
堀川恭平
70
○堀川
政府委員
政務次官になってほやほやで、まだそこのところまでいかぬのですが、会計
課長
炉来ておりますから、その当時のことを会計
課長
からお聞き取り願いたいと思います。
齋藤常勝
71
○齋藤(常)
政府委員
予算
の
支出
の問題につきましては、大臣から、たとえば岸根の場合でありますと、関東地方建設
局長
が委任
支出
官となりまして、
予算
の示達を受けて、その範囲内におきましては会計法に基いての
支出
をする権限を持っております。従いまして個々の事例につきまして政務次官あるいは大臣の決裁を受けて
支出
するということはございません。
田中彰治
72
○
田中
(彰)
委員
それは本省の分ではなくても、——そうすると、あなたの方でそういう金を出す場合でも、そういう
契約
をする場合でも、大臣に黙って今まで何でもやっておるのですか、これは僕は問題だと思う。
齋藤常勝
73
○齋藤(常)
政府委員
私の申し上げましたのは
予算
の
支出
の問題でございまして、全体の請負
契約
をなす場合、あるいはどういう
工事
をやるかという問題につきましては、それぞれ重要案件につきましては、各大臣まで伺うなりあるいは本省の
局長
まで伺うなりして決定いたします。先ほど私が申しましたのは、小切手を切るというような場合、これは
支出
官が委任を受けておりまずから、大臣まで一々決裁をとらずに、そのままやるということであります。
田中彰治
74
○
田中
(彰)
委員
それは私がお尋ねしておるのと違うのです。そうするとたとえばあなたの方でこの川の
工事
なら
工事
を請負させる、こういうものをきめる
契約
をする場合、こういう
契約
をこういうことでやらすとか、入札をこうするとか、そういうようなものの書類が一応できた場合、大臣の決裁とか政務次官の決裁を仰がずに、
契約
は今の営繕の方でもってやる、やってしまったら、今度は請負師に幾ら
前金
を出そうと、何を出そうと、そういうものを大臣とか政務次官の決裁を仰がずに今までやっておったのですか、今もやっておるのですか。それをやっておったとしたら重大な問題ですよ。それじゃ
局長
がそういうような大きな間違いを犯した場合、その責任は結論としては大臣が負い政務次官に負わして、それからあなた方のところにいくのだが、そういう場合どうなんです。そういうことをしないで勝手にやるなら政務次官とか大臣がこういうところに来て答弁をする必要はない。その
局長
とかやった人に責任を負わせようじゃないか。責任を負うならばその弁明をもう少し聞きましょう。
齋藤常勝
75
○齋藤(常)
政府委員
大臣、政務次官の権限ないし職務と申しまするのは、今私が申し上げました、たとえば関東地方建設
局長
が
支出
官であるというその業務に対する
監督
権炉あり、かつそれの包括的な責任というものは大臣にあると思いますが、会計法上の責任はもっぱら地方建設
局長
にございますから、大臣は会計法上に基く、たとえば予責法上の責任とかそういうものは全然お負いになることはございません。そういう点でせつ然と区別されております。
田中彰治
76
○
田中
(彰)
委員
なるほどそういう工合に
局長
に委任
事項
がしてあることはそうであるけれども、一応その
連絡
は政務次官とか大臣になさらなければならぬわけでしょう。たとえば
会社
で、会計
課長
に現金や小切手や印をまかしてあっても、こういう大きな
契約
をやる場合は重役や社長の認可を得てやる。あるいはこういう金を出す場合は
会議
を開くとか、開けなければ書類を持ち回りするとか、一
会社
にしてもそういう機構になっている。それをあなたの方では、大臣に相談しないでもいいとか、政務次官の判をもらわぬでもいいという規則はないでしょう。あなた方がまかされているからといって、このくらいのことは勝手にやってもいいからやったということを言っているのですが、本来重大な問題、
土地
もきまらぬものに金を出すならば、そしてあなた方が政務次官とか事務次官、大臣の権限というものを認めているならば、あなた方がそこへ行って、こういうことにたっているがといって相談なされば、こんなあやまちはなかったと思う。相談しないでやったからこういうあやまちがあった。あなた方がそれで当然だというならば、あなた方がその責任を負ったらどうですか。責任を負わせようじゃないですか。政務次官もそうだ。あなた炉行かれてこういうような事故が出たら——われわれも今後の参考になりましたが、しかしこういう
契約
をするとか、
前金
を出すとか、こういう億なんという金を出すときは一応あなたのところに持ってきて、あなたがその
説明
を聞いて、あなたが判断されなければ責任というものがないじゃないですか。関東地建でそういうことをやっているならば今日から改めたらいい。法律の改正をしないでもいい。こういうあやまちが出たから、今後はこれにならってこっちに相談しろと、あんたなり大臣が命令すれば済む。それをやらぬから今吉田さんから言われても言い訳が立たぬことになる。なるほど委任してあるでしょう。
会社
だって会計
課長
にこれこれは委任してあるけれども、大きな
契約
のときは必ずそういうふうにやって、相談がまとまってから上の重役、社長の判をもらってやる。こういう
前金
を出すがどうですか、こう思いますがといって決裁を仰ぐ。これをやらないところにこういう大きな間違いが出たと思う。この点、政務次官は帰られたらすぐ大臣と相談されて、あなた方が
局長
を呼ばれて、そういう点を改めたらいいと思う。さもなければこんなことを何回繰り返したって、
決算委員会
でけつをぬぐうために、あなた方がああでもない、こうでもないという逃げ口上を聞いて終るだけだ。これを改めなければならぬ。その点については政務次官はどんな意見を持っておりますか。
堀川恭平
77
○堀川
政府委員
御説ごもっともでありますので、帰りましてさっそく大臣とも相談いたします。
吉田賢一
78
○吉田(賢)
委員
今の点会計
課長
に聞きますが、
支出
官として関東地建の
局長
が委任を受けておる。それは
支出
をする役職を委任をされておるということになるけれども、私の聞こうとした点は、この重大な支払いにつきまして、次官とか大臣まで伺いを立てて支払うのがいいだろうかどうだろうかということの相談をするとか指示を受けるとかすべきではないかと思う。なぜならば、他の官庁の、
調達庁
の
土地
を使用し得るというような、
土地
使用に関する文書を当てにして
着工
し得る
見通し
を立てた、こういうふうにかなり部外との交渉も、ここにはまつわっておる案件なのであります。そのときに
繰り越し
の措置を講ずることなく数億円の金を支払おうとするようなことでありますから、よしんば
支出
の委任を受けておるといえども、や
はり
次官なり大臣なりに伺って、いろいろと御意見も聞くというのは、私はこれが行政のやり方じゃないかと思うので、その辺は法律上
支出
官としての権限を持っておるのかどうか、その権限の所在はどうかということを聞くのじゃないのです。行政的に上まで相談をしておるのかどうかということを私は聞いたのです。あなたでわかれば答えて下さい、わからなければ小島
局長
に答えてもらいます。
齋藤常勝
79
○齋藤(常)
政府委員
私が先ほどから申し上げましたことは、若干誤解された点もありますので、形式上の法律論を若干いたしましたので、実際の
状況
はどうやっているかということについて少しく不十分であったと思いますが、われわれは委任を受けまして
支出
官をやっております場合におきましても、
事業
を進める上におきましては、重要なる
事項
については決して独断でやっていいというものではございません。ただ会計法上の責任はあくまでも私なら私にあるということでありますけれども、重要な
事項
についてはそのときの判断で、その都度上司に相談をするというのが官庁の内部の常識でございます。ただ岸根の場合にどういうふうにやっておったかということは、私も直接その問題にタッチしておりませんのでよくわかりませんが、おそらく……。
吉田賢一
80
○吉田(賢)
委員
おそらくの
説明
は要りません、あなたがよくわからぬなら
局長
からその点答えて下さい。
小島新吾
81
○小島
政府委員
岸根の場合は
契約
担当が関東の建設
局長
でございまして、この岸根の問題につきましては本省に
着工
の時期その他を伺いを出しております。そこで本省の
営繕局長
といたしましては、四囲の
事情
、それから
関係
官庁の
土地
に対する着手可能の時期その他の
連絡
をとりまして、
着工
可能であるという以上、地建局に
契約
してよろしい、しろという指示を出しております。それでおそらく本省の営繕局としては、こういう重要問題でございますから、当時の次官、大臣にはお伺いして結論を出したと思っております。
吉田賢一
82
○吉田(賢)
委員
そうすると日本
電電公社
に支払った五億二千九百万円も、これもや
はり
関東地建の扱いになっておりますか、これは本省との直接の
関係
とは違いますか。
小島新吾
83
○小島
政府委員
電電公社
に対するものは本省直接でございます。
吉田賢一
84
○吉田(賢)
委員
さきの御答弁では不十分であったのだが、これで判明をいたしました。そこで聞きますが、そうするとこれは結局約七億円の金は、上層部の方まで相談したということはほんとうらしい。それならばなおさらこれは支払うべきではなく、一応は
調達庁
の意向がややあいまいだし、事態は急に解決の
見通し
があるかないか確実でないし、とするならばなおさら
繰り越し
てはどうかというふうな、そういう辺の意見は出なかったのであろうか、そういう辺は省をあげて、や
はり
予算
的には
繰り越し
措置をとるべからずという意向にでもなったのだろうか、そ
小島新吾
85
○小島
政府委員
当時といたしましてはこの金が
繰り越し
がきかない
状況
にありまして、それが最後になって大蔵省も認めて、安全保障
経費
として一部出すということでございます。
吉田賢一
86
○吉田(賢)
委員
なお聞いておきますが、当時——当時といえば去年の四月もしくは三月の末でもいいですが、
繰り越し
が不可能だという法律上の根拠を聞いておきたい。
小島新吾
87
○小島
政府委員
二十九年度に特別立法で延ばしておるものでございますから、三十年度においては
事故繰り越し
だけを認められまして、新たな
負担
行為を起せない性格のものということで、三十年、三十一年度にまたがることはできないという
見通し
でやっておりました。
吉田賢一
88
○吉田(賢)
委員
これは非常に大事な発言なんです。そういたしますと、
建設省
の意向としてそれを伺ってよいかどうか、私はだめを押しておきますが、今のような
土地
使用の
関係
が未解決というか、
見通し
がはっきりしないような事態にあるときに、これは
事故繰り越し
の理由とはしないというのが
建設省
の大体のお考えなのですか。さっきも述べたように、ずいぶんと多額な六十数億円という
安全保障費
の
事故繰り越し
ができておるのでありますが、しかしあなた方
建設省
の方としましては、この種のような場合には
事故繰り越し
ができない、こういったようにお考えになるのでありましょうか、それを一つはっきりしておいてもらいたい。
小島新吾
89
○小島
政府委員
その点は
事故繰り越し
もできたと思いますが、私といたしましては、この
土地
の解決炉もっと早いという
見通し
を誤まったので、はなはだ申訳なく存じております。
吉田賢一
90
○吉田(賢)
委員
そうではなしに、あなたは当時の
事情
としては、
事故繰り越し
ができない
事情
にあったので支払いをしたのだ、こうおっしゃるので、法律上不可能なのかと言えば、不可能だという意味のことをお述べになるから、そのあなたの方の
建設省
の見解としては、この種の場合には
事故繰り越し
はしないという考え方で
予算
をお扱いになっておるのかどうか、それほど厳格に
事故繰り越し
というものをいろいろと制限するお考え方であるならば、これはまことに傾聴すべき御見解だと私は思います。でありますので、
事故繰り越し
はできないというお考え方で払ってしまった、払わなければ
事故繰り越し
はできない、だから一方
土地
の使用がなおあいまいで確実性を欠いているけれども払ってしまったのだ、これがあなた方のお考えだとするのであれば、重大な御発言だ、こう思いましたので聞いたのです。
小島新吾
91
○小島
政府委員
先ほど申しましたように、
土地
の解決が早く済むと思いまして
契約
をして支払いをした、しかも
工事
を中止したわけでございませんので、現場の立ち入りだけが延びたことでございまして、
工事
準備その他には全部前払金を使っております。
吉田賢一
92
○吉田(賢)
委員
工事
を中止したわけではないといったって、これは
架空
の机の上で
工事
中止のつもりはないだけのことで、現場に立ち入ることなしに一体
工事
ができますか。現場に立ち入ることができない、だから
工事
ができないという実情にあるにかかわらず、七億円の金を払ってしまった、こういうことになっておるのであります。
電電公社
にしても同じことなんです。これは時間の
関係
もありますのでこの程度にしますが、や
はり
あなたの方の省全体として国会に対して答弁をしてもらわなければいかぬ。あなた一人では済まされぬ問題です。次官にも希望申し上げておきますが、お帰りになって十分に御協議下さって、事務次官も大臣も相談を受けておるというような今の御答弁らしいのでありますから、これに対する見解をはっきりしておいてもらいたいと思うのであります。次会は
電電公社
の責任者も来てもらい、関東地方建設
局長
にも来てもらって、この問題を解明したい、こう思います。 なお資料として、実は
住宅
公団の
公営住宅
の問題に触れたかったのですけれども、そこに行きませなんだので、今行政管理庁でいろいろ
公営住宅
の監査をした
報告
書が大体できておるようにも漏れ聞きますから、あればとっておいていただきたい。
上林與市郎
93
○上林
委員長
それでは以上をもちまして、本日予定いたしました
建設省所管
における
昭和
二十八年度
決算
につきましての質疑は一応終了いたします。 本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午後零時五十七分散会