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1956-02-03 第24回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月三日(金曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 生田 宏一君 理事 櫻内 義雄君    理事 片島  港君 理事 吉田 賢一君       赤澤 正道君    臼井 莊一君      小笠原八十美君    床次 徳二君       本名  武君    神近 市子君       坂本 泰良君    楯 兼次郎君       山田 長司君    吉川 兼光君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     梶本 保邦君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳沢 英蔵君         会計検査院長  東谷伝次郎君         会計検査院事務         官         (事務総局次         長)      小峰 保栄君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月三日  委員原彪君辞任につき、その補欠として楯兼次  郎君が議長の指名で委員に選任された。     —————————————  一月十二日  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書     —————————————
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入る前に、ちょっと報告しておきたいことがございますので、先にそれを報告させていただきます。一月の三十日、主婦連合会代表者が参りまして、国費不正使用に対する要望書決算委員長あてに出されました。内容を読んでみますると、決算委員会運営上のことにも触れておりますので、簡単でございますから、読んで御紹介さしていただきます。   国費不正使用に対する要望書  会計検査院報告によって国費不正使用昭和二十九年度七三億円、二二四七件、昭和二十八年度一四八億円、二二三二件と明らかにされました。しかもこれはなお氷山の一角にすぎないと聞き、納税する国民として非常な憤激をいたしております。  諸外国に比較して我が国民税負担率は相当に高いのですが、それも国家再建のためと思い、つましいくらしの中から納税貯蓄までして完納を心がけている庶民生活であります。   政官界予算獲得の熱心な勢いに比べて、国費使用方途や過程またはそのしめくくりに怠慢が感じられるのは残念でなりません。   何卒決算委員会におかれては国費使用に対して平常に監視を厳重にされ、また不正使用責任者には厳罰をもって臨まれるよう、特に今国会より御考慮下さって、国民の信頼に応えて頂きたく、右要望いたします。  以上紹介しておきます。  議事日程に入ります。去る一月十二日本院に提出され、同日本委員会に付託になりました昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和二一十九年度政府関係機関決算書を議題といたし、審査に入ります。  まず概要説明につきまして大蔵大臣より、日本国有鉄道決算書につきましては運輸大臣より、日本電信電話公社決算書につきましては郵政大臣より、また日本専売公社決算書につきましては大蔵大臣より、説明を聴取いたします。山手大蔵政務次官
  3. 山手滿男

    山手政府委員 昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算同国税収納金整理資金受払計算書及び同政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに、本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和二十九年度予算執行につきましては、予算編成趣旨に従いかつその目的の実現に鋭意努力いたしますとともに、その経理につきましても厳正かつ適正な執行に配意いたしたのであります。  これがため会計職員に対する研修等の励行に努め、これら職員資質向上に留意するとともに、他方会計諸制度につきましても、引き続きその整備改善措置を講じ、また各省各庁における内部監査強化をはかって参ったのでありますが、なお会計検査院から不当事項につきましては、千五百五十六件、是正事項につきましては、六百九十件に上る御指摘を受けるに至りましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  これにつきましては、綱紀粛正を一そう強化するとともにさらに会計法令整備経理職員資質向上をはかる等、予算の適正かつ効率的な運営の確保に一段努力を傾注いたしておる次第であります。  以下決算内容を数字をあげて御説明申し上げます。一般会計歳入決算額は一兆千八百五十億円余、歳出決算額は一兆四百七億円余でありまして、歳入歳出を差し引きますと千四百四十二億円余の剰余を生ずる計算であります。  この剰余金から、昭和三十年度繰り越しました歳出財源に充てなければならない金額六百五十四億円余及び前年度までの剰余金使用残額四百八億円余を差し引きますと三百八十億円余が昭和二十九年度新たに生じた純剰余金となるのであります。  なお、右の剰余金千四百四十二億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、翌年度すなわち昭和三十年度歳入に繰り入れるものであります。しかしてそのうち、昭和二十九年度新たに生じました純剰余金三百八十億円余から予算決算及び会計令規定によりまして、地方交付税の算定の基礎となる所得税等昭和二十九年度における収入額の一定の割合に相当する金額がその予定を越える場合の超過額と、揮発油税昭和二十九年度における収入額が同年度揮発油譲与税予定額及び道路整備費歳出決算額合計額を越える場合の超過額六十六億円余を控除した残額三百十四億円余の二分の一を下らない額に相当する金額につきましては、財政法第六条第一項の規定によりまして公債または借入金償還財源に充てられるものでございます。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額九千九百九十八億円余に対して千八百五十一億円余の増加となるのでありますが、このうちには昭和二十八年度剰余金受け入れ予算額に比べまして千六百十五億円余を増加しておりますので、これを差し引きいたしますと純然たる昭和二十九年度歳入増加額は二百三十六億円余となるのであります。その内訳租税及印紙収入における増加額二百億円余専売納付金における増加額四億円余官業益金及び官業収入における減少額五億円余政府資産整理収入における減少額三十三億円余雑収入における増加額七十億円余となっております。  一方歳出につきましては、予算額九千九百九十八億円余に昭和二十八年度一般会計からの繰越額千二百七億円余を加えました予算現額一兆千二百六億円余から支出済み額一兆四百七億円余を差し引きますと、その差額は七百九十八億円余でありましてそのうち翌年度繰り越しました額は前述の通り六百五十四億円余、不用額は百四十四億円余となっております。  右の翌年度べの繰越額のうち、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ、国会の議決を経、これに基いて翌年度繰り越しました金額は五百四十二億円余でありまして、その内訳のおもなものは、旧軍人遺族等恩給費及び戦傷病者戦没者遺族等援護費につきまして、受給者からの恩給等請求書類の提出が遅延をいたしたこと等のため年度内支出が終らなかったもの、保安庁及び保安庁施設費につきまして、船舶の設計及び建造、施設用地の取得及びこれに伴う補償額決定施設整備設計仕様書の調製、装備器材の規格の決定及び外国からの購入による物品の納入に不測日数を要しましたこと等のため年度内支出を終らなかったもの、平和回復善後処理費及び連合国財産補償費につきまして平和回復に伴う条約の履行その他善後処理に関する事業計画が確定しなかったこと及び連合国人財産に対する補償額調査決定不測日数を要しましたこと等のため年度内支出を終らなかったものでございます。  財政法第四十二条ただし書の規定により避けがたい事故のため翌年度繰り越しました金額は百六億円余でありまして、その内訳のおもなるものは、安全保障諸費でありまして、駐留軍との事務折衝不測日数を要したことと、施設用地選定難工事設計の変更、気象関係事業遂行に伴う補償額決定遅延等事故のため年度内支出を終らなかったものでございます。  財政法第四十三条の二第一項の規定により継続費年割額繰り越しました金額は五億円余でありましてその内訳のおもなるものは、利根川外二河川総合開発事業費でありまして、気象関係事業遂行に伴う補償額決定遅延等のため年度内支出を終らなかったものでございます。  次に不用額でありますが、その内訳のおもなものは、防衛庁(組織)の保安庁(項)につきまして、隊員に欠員がありました関係で、職員基本給糧食費等不用となったものが四十五億円余大蔵本省連合国財産補償費につきまして、連合国財産補償額予定より少かったことにより不用となったものが二十九億円余大蔵本省安全保障諸費につきまして駐留軍との折衝の結果予定より使用額減少したため器材費等不用となったものが十六億円余大蔵本省日本電信電話公社交付金につきまして、国際電信電話株式会社株式の処分がなかったため日本電信電話公社交付金不用となったもの十三億円余であります。  次に予備費でありますが、昭和二十九年度一般会計における予備費予算額は八十億円でありますが、その使用総額は七十九億余円であります。これにつきましては、第二十二回国会におきまして全額御承諾をいただいております。  次に一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基く国庫債務負担行為権能額は百十五億円余であますが、このうち実際に負担をいたしました債務額は三十五億円余でありますので、これに既往年度からの繰越分を加え、昭和二十九年度中に支出その他の事由によって債務が消滅いたしました額を差し引きいたしました金額四十三億円余が翌年度以降に繰り越されたこととなります。  財政法第十五条第二項の規定に基く国庫債務負担行為権能額は三十億円でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は三千万円余でありまして、このうち昭和二十九年度中に支出によって消滅いたしました額を差し引きいたしました金額二千万円余が翌年度以降に繰り越されたこととなります。  次に昭和二十九年度特別会計決算でありますが、これにつきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと思います。なお、同年度における特別会計の数は三十三でありまして、これら特別会計歳入決算総額は一兆六千六百一億円余歳出決算総額は一兆五千二百二十億円額であります。  次に昭和二十九年度国税収納金整理資金決算でありますが、この資金べの収納済み額は八千七十五億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は過誤納金還付金等支払い命令済み額百五十九億円余還付加算金等支払い命令済み額十三億円余昭和二十九年度一般会計歳入べの組み入れ額七千七百九十億円余昭和二十九年度交付税及び譲与税配付金特別会計歳入べの組み入れ額百億円余計八千六十三億円余であります。従いまして十一億円余が資金残額となっているのでありますが、これは主として過誤納金還付金等支払い命令未済のため生じたものであります。  次に昭和二十九年度政府関係機関決算でありますが、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社決算内容につきましては、別途それぞれの主務大臣から御説明申し上げる予定であります。また自余の政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和二十九年度一般会計特別会計国税収納金整理資金及び政府関係機関決算につきまして、その概略を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞ御審議の程お願いを申し上げます。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 次に、日本国有鉄道決算書につきまして運輸大臣より説明を求めます。吉野運輸大臣
  5. 吉野信次

    吉野国務大臣 昭和二十九年度日本国有鉄道決算書会計検査院検査報告とともに本国会に提出いたしましたのでその大要を御説明申し上げます。  昭和二十九年度における国鉄収入景気変動影響により予定をかなり下回り、ことに貨物収入においてその影響は著しいものがあります。この減収に対処いたしまして、支出はこれを極力節約することに努め、経費重点的使用をはかりましたが、損益計算上約三十五億円の赤字を生ずる結果となりました。以下決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定における収入済み額は二千五百二十七億月余支出済み額は二千五百四十九億円余でありまして、収支差額は約二十二億円であります。これに損益計算損失に属する特別補充取替費等十四億円余を加算し、また利益に属する固定資産べの繰り入れ等約一億円を減ずると本年度損失前述の約三十五億円となるのであります。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきまして予算額二千五百六十三億円余に対しまして三十六億円余の減収となり、その内容は、運輸収入二十一億円余、雑収入十四億円余その他約一億円となっております。一方支出におきましては予算現額二千五百六十一億円余から支出済み額を差し引きますとその差額は約十二億円でそのほとんどが不用額となっております。  次に資本勘定における収入済み額は五百二十二億円余支出済み額は五百二十三億円余であり、約一億円の差額を生ずるのでありまして、これは出資の前年度繰り越しがあったためであります。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきまして予算額五百三十一億円余に対して九億円余の差額を生じますが、これは鉄道債券の発行が予定通り行われなかったため等であります。また支出におきまして予算現額五百三十二億円余との差額の大部分は不用額となっております。  次に工事勘定における収入済み額は五百二十億円余支出済み額は五百二十三億円余でありまして、三億円余の差額を生じますが、これは建設工事等の前年度繰り越し等があったために生じたものであります。以上の決算額予算と比較いたしますと、収入において九億円余の減少となり支出においては予算現額五百三十八億円余に対し十五億円余の差額を生じ、翌年度繰り越したもの六億円余、不用額約九億円がその内容であります。  なお、昭和二十九年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項九件、不正事項三件に上る御指摘を受けるに至りましたことは、種々事情の存するところとはいえまことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀粛正予算効率的運営一段努力をいたすよう指導監督する所存であります。  以上昭和二十九年度国鉄決算につきまして、その概略を御説明申し上げたのでありますが、詳細につきましてはさらに御質問の都度御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 次に、日本電信電話公社決算書につきまして、郵政大臣より説明を求めます。村上郵政大臣
  7. 村上勇

    村上国務大臣 昭和二十九年度日本電信電話公社決算書類会計検査院検査報告とともに第二十四回国会に提出いたしましたが、その大要を御説明申し上げます。  昭和二十九年度における公社事業収入予定収入をかなり下回ったのでありまして、これはデフレ政策影響による利用減に基くところが大きいのでありますが、電話収入中、市外電話料減収の原因につきましては、そのほかに市外通話回線増設等により便利迅速になったため、従前至急や特急によったようなものが、相当普通通話に移ったために起っているということも注目すべきことと考えます。  この減収に対しまして事業支出は、一そう節約の強化に努め、極力経費効率的使用をはかった結果、良好な経営状態を示したのでありまして損益計算上百七十二億円余の利益金を生じたのであります。また、建設勘定におきましても、月々の支出が平準化いたしまして、建設工程は例年になくきわめて順調に進行したのであります。  以下決算内容について御説明いたしますと、損益勘定における事業収入決算額は一千百十七億円余、事業支出決算額は九百四十九億円弱でありまして、差引百六十八億円余の収支差額を生ずる計算であります。この収支差額資本勘定へ繰り入れられまして、債務償還及び建設工事財源に充当されております。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額一千百五十九億円余に対して、四十二億円弱の減収となるのでありますが、その内訳電信収入において七億円余、電話収入において三十二億円弱、受託工事収入その他において三億円弱の減収となっております。  一方、支出におきましては、予算現額九百七十五億円余から支出済み額九百四十九億円弱を差し引きますと、その差額は二十六億円余でありまして、そのほとんどが不用額となっております。  次に、建設勘定における収入決算額は五百三十一億円弱、支出決算額は五百十九億円余でありまして、差引十二億円弱の差額を生じたのでありますが、この差額建設工程の翌年度への繰り延べ等があったため生じたものであります。  以上の決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額五百三十一億円余に対して、わずか四千万円余の減少となるのでありますが、その内訳は、電信電話債券における増加額一億円弱、電話設備負担金等における増加額十三億円余、減価償却引当金における減少額五十一億円余、損益勘定収支差額受け入れにおける増加額三十六億円余となっております。  支出の面におきましては、予算額五百三十一億円余に前年度からの繰越額三十八億円余、その他予備費使用額等を加えました予算現額五百七十四億円余から支出済み額五百十九億円余を差し引きますと、その差額は五十五億円弱でありまして、そのうち建設工程の未竣工等によりまして、翌年度繰り越しました額は三十七億円弱、不用額は十八億円余となっおります。  その他につきましては、公社決算書によって御了承願いたいと存じます。  なお、会計検査院から十九件に上る不当不正事項の御指摘を受けておりますのははなはだ遺憾なことでございまして、これにつきましては一そう綱紀粛正強化するとともに会計法令整備職員資質向上をはかる等逐次経理事務の適正な運営を確保するよう公社に対し、十分注意しておる次第であります。  以上、公社決算概略を申し上げたのでありますが、詳細につきましてはさらに御質問のつど説明申し上げたいと存じます。何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  8. 上林與市郎

    上林委員長 次に日本専売公社決算書につきまして、大蔵大臣説明を求めます。山手大蔵政務次官
  9. 山手滿男

    山手政府委員 会計検査院検査を経た日本専売公社昭和二十九年度決算書類を本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  まず、日本専売公社昭和二十九年度決算について御説明を申し上げます。昭和二十九年度における収入済額は、二千二百九十四億千四百万円余支出済額は、千百五十三億九千八百万円余でありまして、収入支出を超過すること千百四十億千五百万円余であります。また昭和二十九年度の総収益二千二百九十七億七千二百万円余から総損失九百九十二億二千三百万円余を控除いたしました事業益金千三百五億四千九百万円余から、日本専売公社法第四十三条の十三第二項の規定によって積み立てる固定資産及び無形資産増加額五十六億七千二百万円余を控除して算出をいたしました専売納付金は、千二百四十八億七千六百万円余でありますが、これは、その予算額千二百四十八億五千二百万円余と比べますと、二千四百万円余の増加となっております。  以下、これを収入支出の部にわけて御説明を申し上げます。  まず、収入の部におきましては、収入済額は、二千二百九十四億千四百万円余でありますが、これは、収入予算額二千三百四十四億五千二百万円余に対して、五十億三千八百万円余の減少となっております。なお、この減少は、たばこ事業収入におきまして、製造たばこ及び葉タバコ売払代予定に達しなかったため、四十億三千四百万円余を減少し、塩事業におきまして、塩及びにがりの売渡高予定に達しなかったため、八億八千五百万円余を減少したことによるものでございます。  一方、支出の部におきましては、支出予算現額におきましては、支出予算額千百五十九億二千三百万円余に前年度繰越額百十五億八千万円余を加えた千二百七十五億四百万円余でありますが、支出済額は千百五十三億九千八百万円余でありますので、差引百二十一億五百万円余の差額を生じました。この差額のうち、翌年度繰り越した額は、七十七億四百万円余不用となった額は、四十四億円余であります。  次に、昭和二十九年度において、日本専売公社法第三十六条第二項の規定により予備費を使用した額は、自給製塩処理交付金支払いに充てた額一億一千七百万円余であります。また、日本専売公社法第四十三条の二の規定により、予算を流用した経費の額は、タバコ耕作団体交付金に不足を生じたため、原材料費から、タバコ耕作団体交付金に流用した額二千四百万円余でございます。  次に昭和二十九年度における日本専売公社債務に関する計算について御説明を申し上げます。日本専売公社法第三十五条第一項の規定に基く、昭和二十九年度債務負担行為限度額は、塩事業費においては、三十五億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。また、建設及び造林費においては、二十六億円でありますが、実際に債務負担行為をした額は、十一億五千六百万円余でございます。  次に、日本専売公社法第三十五条第二項の規定に基く昭和二十九年度債務負担行為限度額は一億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。  また、日本専売公社法第四十三条の十四の規定に基く昭和二十九年度短期借入金最高限度額は、三百億円でありますが、実際に借り入れた額は、三十億円であり、これは昭和二十九年度に償還し、翌年度繰り越し債務額はございません。  なお、昭和二十九年度日本専売公社決算につきまして、会計検査院から、不当事項として指摘を受けたもの一件がありましたことは遺憾でございますが、これにつきましては、御指摘趣旨に基き、直ちに是正措置を講じたところであります。  以上昭和二十九年度における日本専売公社決算につきまして、その概略を御説明申し上げたのでありますが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ、御審議のほど、御願い申し上げます。
  10. 上林與市郎

    上林委員長 次に昭和二十九年度決算検査報告に関する概要につきまして、会計検査院説明を求めます。東谷会計検査院長
  11. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 昭和二十九年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和二十九年度歳入歳出決算は、三十年十一月十日内閣から送付を受け、その検査を了しまして昭和二十九年度決算検査報告とともに三十年十二月十四日内閣に回付いたしたのであります。昭和二十九年度一般会計及び特別会計決算額は、先ほど大蔵政務次官から説明された通りでありまするが、各会計間の重複額及び前年度剰余金繰越額などを控除いたしまして、歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入二兆百四十七億円、歳出二兆四十七億円となりまして、前年度に比べますと歳入において三百六十億、歳出において八百八十二億円の増加となっております。  なお、二十九年度におきましては、国税収入に関する経理の合理化と過誤納金還付金等支払いに関する事務処理の円滑化をはかるため、国税収納金整理資金が現金扱いとして初めて設置されまして、その受払額は収納済額八千七十五億余万円、支払命令済額と歳入組入額の合計八千六十三億余万円でございます。  政府関係機関昭和二十九年度決算額の総計は、収入八千四百四十六億余万円、支出七千百二十億余万円でございまして、前年度に比べますと収入において七百五十五億余万円、支出において千九十四億余万円の増加となっております。  ただいま申し上げました国の会計及び政府関係機関の会計の決算額のうち、会計検査院においてまだ検査が済んでいないものは総計百十九億七千三百余万円でありまして、そのおもなものは、総理府の保安庁施設費で概算払いの精算未了のものなどが二十二億二千九百余万円、建設省の安全保障諸費で前金払いの精算未了のものなどが十二億二百余万円、農林省の開拓事業費でなお調査中のものが八億八千九百余万円などであります。  会計検査の結果、経理上不当と認めた事項及び是正させた事項として、検査報告に記述いたしました件数は合計二千二百四十六件に上っております。また、このほかにも経理上妥当と認めがたいものとして、それぞれの関係責任者に対し警告を発し改善を促した事項も多数あります。  二十九年度不当事項および是正させた事項の件数は、二十八年度に比べますと、租税、補助金などで多少の減少を示しているのでございますが、反面、特に、農業共済保険事業の運営、都道府県に委託して実施させた開墾、干拓等の事業の部面などで増加しておりますため、結局二十八年度の二千二百三十二件をなお上回っておるのでございます。  今この二千二百四十六件について不当経理の態様別の金額を概計いたしますと、不正行為による被害金額が六千余万円、法令または予算に違反して経理したものが七億六千七百余万円、検収不良などのため過渡しとなっているものが八千四百余万円、補助金で交付額が適正を欠いているため返納または減額を要するものなどが十一億五百余万円、災害復旧事業に対する早期検査の結果主務省において査定額を減額し、ひいて補助金の減額を要するものが十五億四千余万円、歳入などで徴収決定が漏れていたり、その決定額が正当額をこえていたものが四億六千七百余万円、工事請負代金、物件購入代金などが高価に過ぎましたり、または物件売り渡し代金などが低価に過ぎたと認めたものの差額分が五億四千九百余万円、不適格品または不急不用の物件の購入など経費が効率的に使用されず、いわゆる死に金を使ったと認めたものが二十三億四千二百余万円、その他が四億二千六百余万円、総額七十三億四千四百余万円に上っております。  二十九年度は、二十八年度の百四十八億千四百余万円に比べますと七十四億六千九百余万円の減少となっております。これは主として法令または予算に違反しているもので五億六千三百余万円、不適格品または不急不用の物件の購入など経費が効率的に使用されていないもので四億六千余万円の増加となっておりますが、他方災害復旧事業に対する早期検査の結果により補助金の減額を要するもので八十四億八千四百余万円の減少となっているためでございます。  しかしながら、国民の租税をおもな財源とする国および政府関係機関などの会計におきまして、なおこのように不当な経理の多いことは、はなはだ遺憾にたえない次第でありまして、会計検査院としては不当経理の発生する根線をふさぐことに努力を傾けている次第でございます。  検査の結果の概況は、未収金、予算経理、工事、物件、役務、補助金、不正行為の各項目に分けて検査報告に記述してございますが、これらのうち会計経理を適正に執行するについて特に留意を要する事態として、未収金、予算効率的使用、補助金の態様別にその概要説明いたします。  まず、未収金について申し述べます。一般会計の二十九年度の収納未済額は百五十四億余万円で、前年度の五百四十三億余万円に比べて著しく減少しておりますが、これは二十九年度から国税収納金整理資金が設けられ、租税収入の収納未済額が歳入歳出決算に計上されなくなったためであります。従って、国税収納金整理資金の収納未済額三百六十三億余万円を加算しますと、収納未済額は五百十八億余万円で、その徴収決定済み額に対する割合は四%に当りまして、前年度の四・二%に比べてやや好転しております。この一般会計及び国税収納金整理資金の収納未済額に特別会計の収納未済額二百四億余万円を合せますと、収納未済額は七百二十三億余万円に上りますが、そのうちおもなものは租税収入の三百六十三億余万円、公共事業費分担金の百十九億余万円、厚生保険保険料収入の三十六億余万円であります。これら当年度分の収納未済額のほかに既往年度分の収納未済額並びにまだ徴収決定をしていないものがあるのであります。これらの収納未済額については、その徴収の促進についてなお一段努力の要があると認められます。  次に、予算効率的使用について説明いたします。経費が効率的に使用されないため不経済な結果となったと認められる事例は、工事の施行や物件の調達などにつきまして、防衛庁、日本電信電話公社を初め多数見受けられますが、このような事例が毎年繰り返されることはまことに遺憾であります。  まず工事について見ますと、予算を総花的に配分して工事を施行するために全体として完成が遅れ、経費の使用効果が上らないばかりでなく、手戻り工事をきたして結局不経済な結果を招いたり、工事計画がずさんなため必要規模をこえて過大な工事を施行し、遊休施設を擁する結果となったり、工事の施行に先だって当然行うべき現地の調査を怠ったためその目的を達することができなかったものなどがあります。また物件についてみますと、使用場所や用途などに照らし規格が適切であるかどうかの検討が不十分であったため、使用してもほとんどその効果のないものがあったり、相当量の購入品が使用されないままとなっていたり、所要見込み量や在庫量の把握が十分でなかったため過大調達となって、退蔵または遊休化などの不経済な結果をきたしているものなどがあります。  これら工事や物件について予算執行の跡を見ますと、契約価格の基準となる予定価格の作成に当りまして、工事や物件の実態把握や所要経費の検討、市場価格の調査が不十分なため過大な積算を行い、ひいて工事費を増大させたり、物件を高価に購入する結果をきたした事例なども相当見受けられます。よって予算効率的使用については特に留意を要するものと認められます。  最後に、補助金について申し上げます。補助金の経理が適正を欠いたものとして検査報告に掲載しましたものは総計二十六億四千六百余万円でありまして、二十八年度の百十一億九千三百余万円に比べますと八十五億四千七百余万円の減少となっておりますが、これは災害復旧事業費の早期検査にかかるもので八十四億八千四百余万円の激減を示したことによるものでありまして、この分を除きますと、補助金の批難金額は前年度とほぼ同額となり、その金額は十一億五百余万円となっております。  これら補助金のうち公共事業関係のものの経理につきましては、事業主体が補助の対象となる事業費を過大に積算して査定を受けたり、設計通りの工事を施行しなかったり、または災害に便乗して改良工事を施行したりしているなどの事例がきわめて多く、はなはだしいのは架空の申請をしたり二重の査定を受けたりして補助金の交付を受けているものもございます。これら不当経理につきましては二十七、二十八両年度検査報告において特に多数指摘したところでありますが、二十九年度におきましても、一部に相当改善の跡が見られるとはいえ、依然としてきわめて多数見受けられるのははなはだ遺憾にたえないのであります。  なお、災害復旧事業の補助金につきましては、工事完成後の検査では是正が困難な場合が多く、むしろ工事完成前早期に検査することが効果的であると考えられますので、本年度も農林、建設、運輸各省所管の二十八、二十九年発生災害復旧事業につきまして、早期検査を行いましたところ、前年度に比べまして著しく改善されては参りましたが、採択された工事のうちには前年度と同様に関係各省間等で二重に査定しているもの、災害に便乗して改良工事を施行しようとしているもの、現地の確認が不十分なため設計額を過大に見込んでいるものなどについて多数指摘することとなりました。これらの査定済み事業費は、会計検査院の注意により減額の処置がとられましたが、その結果、補助金において節減されたものは十五億四千余万円に上っております。  公共事業関係以外の補助金は、その費目も農林省所管のものを初め各種各様でありますが、それらの経理について一般的に申し上げますと、補助金の全部または一部が事業施行者に交付されることなく市町村などでその目的と異なる使途に使用されているもの、補助の目的に沿わない方法で配分されているもの、あるいは実際に要した費用に基かない不実の経理をしているものなど不当な事例が多く見受けられます。また、交付される補助金額が零細なため配分が困難となり、ひいて補助の効果が上らなくなっているものなども少くありません。  このように多数発見されました補助金の不当経理は、従来もしばしば指摘しておりますように、補助金を交付する各省各庁におきまして事業の内容や所要経費を机上の査定によるなど、実情に適合しない決定をしていること、事業執行途上における監督、補助事業完了の確認や、精算が適確に行われていないことなどによるものであり、他方、補助金の交付を受ける事業主体の側におきましても、正当な自己負担を回避しようとする根強い傾向があること、法令その他に定められた補助条件を誠実に遵守しようとする自覚を欠いていることなどに基因するものと認められます。補助金が効率的に使用されるためには、補助金交付の必要性や、計画実施の適否を適確に把握することが緊要でありますが、事業主体の財政能力や事業遂行の技術能力についても十分な配意と指導とが必要でありますし、さらに、事業が確実に行われたかどうかを確認し、補助金交付に締めくくりをつけることもゆるがせにできないことであります。  また、災害復旧等の補助事業検査の結果、会計検査院が不当として指摘昭和二十八年度決算検査報告に掲記しましたものの是正処置の状況について申し上げますと、補助金の返還が相当遅延しておりますし、工事の手直しまたは補強を行うこととしたものの一部についてその実地を検査しましたところ、検査当時完全に工事を済ませておりましたものはその一部だけで、工事に着手していなかったものがかなりあったばかりでなく、中にはまだ工事に着手もしていないのに完成したこととしているものもあった状況でありまして、はなはだ遺憾な次第であります。  会計検査院におきましては、さきに関係各省に改善の意見を表示したところでありまして、これに対して、各省および事業主体の一部については相当改善の跡が見受けられますが、なお不当事項が跡を断たない状況でありますし、また、さきに補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律が制定されたところでもありますので、国家財政上重大な比率を占めている補助金についての効率的使用を確保するために、主務省および関係者におきましてはさらに一そうの努力が望まれるところでございます。  以上をもちまして昭和二十九年度決算検査報告概要説明を終ります。
  12. 上林與市郎

    上林委員長 これにて昭和二十九年度決算概要説明を終ります。  この際以上の説明につきまして総括的な質問があればこれを許します。御質疑はございませんか。
  13. 坂本泰良

    ○坂本委員 大蔵大臣に御質問いたしますが、不当事項是正事項と二つに分けてあります。不当事項が千五百五十六件、是正事項が六千六百九十件とあります。この不当事項というのはどういう不当事項か、その内容をお聞きしたい。
  14. 山手滿男

    山手政府委員 是正事項というのは大体債務関係のものが大部分であるわけでありますが、これは会計検査院長がお見えでございますから、むしろ会計検査院の方から御説明をお願いいたした方がよろしかろうと存じますので、そのように……。
  15. 坂本泰良

    ○坂本委員 大蔵省はこの報告を受けておられるから、だから大蔵大臣においても、次官においてもこれを承知のはずだと思う。それで大蔵省の方から聞いてその上で次の質問をしたいからお聞きしております。御答弁願いたい。
  16. 山手滿男

    山手政府委員 この不当事項是正事項とを所管別、団体別に申し上げますと、租税の関係で六百九十三件ございます。それから未収金の関係で十件、予算経理関係で五件、工事の関係が百十八件、物品の関係で十六件、役務で七件、補助金の関係で千百十四件、不正行為が三十八件、そのほかが百九十六件、合計いたしまして今お話しのような数字になっておるわけでございます。
  17. 坂本泰良

    ○坂本委員 私がお聞きしたのは、不正事項が何件、未収が何件という、そういう件数でなくて、不当事項については犯罪になるような不正行為もあるだろうし、またそれにならないような行為もあるだろう。その不当事項というのは内容はどういうのがあるか、あるいは是正事項というのはその内容はどういうのがあるか、それを承わりたいのです。
  18. 山手滿男

    山手政府委員 今申し上げました中の不正行為というのが三十八件ございます。その三十八件の不正行為がいわば私どもは不当事項に当るものだと考えておりますけれども、その具体的な要素という……。
  19. 坂本泰良

    ○坂本委員 いや、具体的でなくていいから、何が何件という件数はまたお聞きするとして、その不当事項の中で犯罪になるような不正事項、あるいはそれにならないような不正事項、こういうのが三種類か四種類ぐらいに大体分れておるわけでありますけれども、その内容をお聞きしたいのです。
  20. 柳沢英蔵

    ○柳沢説明員 不正行為に該当いたしますもので、内容によりまして犯罪を構成するものがあるわけであります。不正行為と申しますのは、大体におきまして収入関係でもっていいますならば、収入金を横領したとか、あるいは偽造の領収書を交付いたしましてその収入金を横領したとか、あるいは支払い関係でありますと、正当な支払額に対しましてある程度の架空の金額を加算いたしましてそれを横領するとか、そういうようなものが不正行為としてあげられておるわけでありまして、二十九年度決算におきましてはその件数が三十八件で、被害金額が六千七百十九万円、かように相なっておるわけであります。
  21. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますとその不当事項の中には今のような不正事項収入金をごまかしたり、支払金をごまかしたりするのが三十八件あったということですが、そのほかの不当事項というのはどういうものですか。
  22. 柳沢英蔵

    ○柳沢説明員 その他の不当事項と申しますのは、国の経理といたしまして適正を欠く、こういうものが数多くあるわけでありまして、これが検査院から批難されておるわけであります。その内容といたしましては補助金、工事、あるいは役務とか、そういう予算執行に対しまして、あるいはもっと効率的に使いましたならば国に損害を与えないで済んだのではなかろうかとか、あるいはこういうような契約をいたしますならばもっと安く購入できるのじゃなかろうか、こういうようなものがございます。また補助金等になりますと、いわゆる二重査定の問題、あるいは架空の申請に対しまして机上査定をやりましただけでそれに補助金を交付した、こういうような関係も出て参りまして、要するに国の経理上当を欠くというものが不当事項に相なるわけであります。
  23. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで、大臣おいででなければ次官でもいいのですが、次にこれにつきましては綱紀粛正を一そう強化するとこうありますが、どういう綱紀粛正をやられるのか、その内容をお聞きしたいと思うのです。
  24. 山手滿男

    山手政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、各関係官に対しましては種々研修等を重ねさせまして万遺漏なきようにいたしますことはもちろんでございますが、程度の高いものにつきましては厳重な処断を行いまして、会計検査院から御指摘のありました案件等については、十分不始末の跡始末ができるようなふうに処断をいたしておるわけでございます。なお詳細につきましては担当官から御説明をいたさせます。
  25. 坂本泰良

    ○坂本委員 担当官から言ってもらう前に、ここに書いてあるような研修をやるとかいろいろなことは今後の問題ですが、現在不当事項が千五百五十六件も起きておる。この千五百五十六件も起きている不当事項をそのまま放任しては綱紀粛正ができない。だからこの問題に対してはどういう方法をやって、そして厳重な処断とおっしゃるが、どういうことをやられるのか、そこを聞きたい。
  26. 山手滿男

    山手政府委員 もちろん先ほど説明のございました横領等の事項がありました場合には、本人をやめさせる等の処置をとることは当然でございますが、そのほか二重査定でありますとか、そういうことがございました場合には補助金などを引き揚げるとか、いろいろそういう始末をいたしておるわけであります。
  27. 坂本泰良

    ○坂本委員 不正行為で刑事問題なんかに該当するようなものは、毎年こういうことがあったと思うのですが、大蔵省はこれに対して従来刑事の訴追その他を求める方法をとられたか、また昭和二十九年度のこの不正事項に対してそういう措置を大蔵省としてやる考えがあるかどうか伺いたい。
  28. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省の所管についてそういう問題が起きました場合には、大蔵大臣が当然そういう措置もいたします。しかし各省の担当の部門でそういう問題が起きた場合には、各省大臣においてそういう措置をとっていただくわけでございます。
  29. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、大蔵省は予算支出についての責任当局なんですが、その大蔵省はやらずに関係各省にやらせる、こういう御趣旨ですか。
  30. 山手滿男

    山手政府委員 各省の所管の、たとえばさっきお話のございましたような補助金で農林省の所管で起きました場合には、農林大臣がそういう措置をとっていくということでございます。
  31. 坂本泰良

    ○坂本委員 その前に、途中ですが、ちょっと会計検査院長にお聞きしたいのですけれども、会計検査院ではこの予算支出について検査をされ、検査した内容に不正不当の事項があるような場合、それに対しては何も処置はせずに、ただ検査をして、その結果を報告されるだけですか、その点お聞きしたい。
  32. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 会計検査院検査をいたしまして、不当があり不正があるという場合の処置でありますが、不正がある、すなわち犯罪である、しかもそれが国の会計事務を処理する職員であるという場合におきましては、会計検査院法の規定によりまして最高検察庁に通告するということになっております。それからその他の不当事項につきましては、会計検査院法なりあるいは予算執行職員等の責任に関する法律などによりまして、あるものは懲戒を要求し、あるものは損害の賠償を要求するという検定をいたすことになっております。
  33. 坂本泰良

    ○坂本委員 それではそれに関連してお聞きしたいのですが、昭和二十九年度決算について不正事項が相当あるわけですが、これに対してすでに通告されたかどうか。通告されたとすれば、どういう点でどういう内容について通告されたか、その点についてお聞きしたい。
  34. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 犯罪の通告でございますが、会計検査院検査いたしまして犯罪ありと認め、しかもそれが地方団体なり補助団体の職員でなしに、国の会計をつかさどる職員であるということがわかりますと通告するのでありますが、ここにあります三十八件のうちの相当部分は、国の会計職員でなしに地方公共団体なりその他の関係のものもありますし、そのほかのものも、すなわち国の会計職員である場合におきましてすでに警察なり検察当局が手を入れておるというものは、重ねては通告しないことにいたしております。従いましてここにあります三十八件のうちでは、たしか会計検査院でイニシアチブをとって通告したというのは一件もありません。みな検察当局なりの手が入っております。
  35. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、三十八件にすでに検察当局の手が入っておる。そういうようなのは会計検査院ではっきりわかっておるわけですね。
  36. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 こここ資料は持っておりませんが、わかっております。
  37. 坂本泰良

    ○坂本委員 それではその点はまたあとでお伺いすることにいたします。  大蔵当局はこういう不正事件あるいは是正事件について国家公務員法を適用して、その処置をとられたことが従来ありますかどうか、また今後そういうとる方針を持っておられるかどうか、それをお聞きしたい。
  38. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵大臣のこの予算等についての権限は一種の包括的な権限でございまして、個々の問題についてはそれぞれ関係の各省大臣がいろいろ処置をするということでありますが、国家公務員法そのほかに基いて今まで大蔵大臣がそういう処置をいたしましたことは一件もありません。
  39. 坂本泰良

    ○坂本委員 今の御答弁を聞きますと、大蔵省は会計検査院から通告を受けてただ結局受けただけで、そのまま聞きっぱなしということになってしまうと思うのですが、どうですか。
  40. 山手滿男

    山手政府委員 いろいろ不当な事項あるいは是正事項等について重大な問題につきましては、閣議においても報告をし、種々協議をいたしますが、まだこの会計検査院の方から報告を受けましてから特にこれという処置を、特に包括的な権限を持っております大蔵大臣がやらなければならないような事項は起きておりません。
  41. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうすると大蔵省は税金などの場合はどんどん差し押えをして取り立てて、そうして支出の面においてはこういう会計検査院から報告を受けても何もしていない、そういうことになるわけですが、それでいいわけですか。大蔵省はそういう義務もない、そういうふうにおっしゃるのですか。
  42. 山手滿男

    山手政府委員 そういう不当なものが起きました場合には、閣議等において大蔵大臣としては会計検査院報告等もあれば関係閣僚に注意をいたしまして協議することは当然でございますが、直接には担当大臣が責任を負っておるわけでございますから、大蔵大臣が担当大臣を差しおいて直接行動をとるということはないわけであります。
  43. 坂本泰良

    ○坂本委員 この点は今みたように、大蔵省はただ会計検査院から報告を帯けるだけでそのままほったらかすということはないと思うのです。これは款の方でもう少し調べますから、大蔵省の方も——しかし大蔵省は非常に厳格に租税の取り立てなんかはやる。ところが支出の不正についてはそういうふうにただ報告を受けて何もしない。関係各省の大臣に報告をする。それでは私は大蔵大臣は済まぬじゃないかと思うのですが、この点はまたあとで質問することにして留保いたします。
  44. 片島港

    ○片島委員 関連して……。そういう不当事項不正事項がありましたときには、今政務次官のおっしゃったように、大蔵省で全部そういう取り計らいをしておるのですか。私たちが承知しておる範囲では、これは今一応大蔵省から御説明はあったけれども、全部各省に分れておるのでございましょう。各省に分れておるならば、たとえば運輸省の不当、農林省の不当を、大蔵大臣がどうにもしょうがないじゃありませんか。人事権も何も持たないから、それを閣議に一々諮って、だれを一カ月の減俸にする、どなたはこの際訓告をするなどということは閣議に出すはずはないと私は思うのですがね。会計検査院で調べたことを会計検査院から各省の方へ通知をし、また指摘をされたならば、自主的に各省大臣においてその不正をやった者に対して処分をしておるというのが実情じゃございませんか。
  45. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま御指摘の通りでございますが、さっき申し上げましたのは、重大な問題でございまして特に大蔵省から注意を喚起したいような問題が起きた場合には、閣議でもお話し合いをするということでございます。
  46. 坂本泰良

    ○坂本委員 次に、これは郵政大臣の方にお聞きしたいのですが、会計検査院からの十九件に上る不当、不正事項の御指摘を受けております。この十九件というのはどういう内容であり、またその金額ですね、それをお聞きしたい。
  47. 村上勇

    村上国務大臣 金額の点はまた後ほど申し上げますが、大体十九件のうち一件が不正事件でありまして、十八件が不当事項でございます。その不正事件の一件につきましては、これを直ちに行政処分と申しますか、公社として処分いたしております。
  48. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうすると、今大臣の御説明によると、不正事件は一件、それから不当事件が十八件、この不正事件はどんな不正事件ですか。
  49. 村上勇

    村上国務大臣 これは電話料金か何かの使い込みということです。
  50. 坂本泰良

    ○坂本委員 金額は。
  51. 村上勇

    村上国務大臣 これは公社の当事者から詳細お話申し上げたいと思います。
  52. 秋草篤二

    ○秋草説明員 不正事件といたしまして検査報告には、荻窪の電気通信工作工場の分が特に出ておりますが、そのほかに項目といたしまして申し上げますと、枚岡の報話局の分、これは不正行為の総額は九万二千二百六十二円であります。その次には池田電話局の不正行為でございますが、これは金額にいたしまして、八万五千六百八十五円。それから佐川報話局——報話局と申しますのは電報電話局でございます。金額にいたしまして七万六千五百三十三円。それから福岡の搬送通信部、これは金額にいたしまして三十九万七千六百十円。それから仙台無線通信部、金額にいたしまして二十四万一千四百三十五円。それから仙台の電報局、これが金額にいたしまして十八万二千七百六十円でございます。これは全部免職にしてございます。それから多少の関係者はまだ審理中の者もございますが、軽い者は減俸——全部詳細に記録もございますが、省略して、御質問がございますれば追加さしていただきます。
  53. 坂本泰良

    ○坂本委員 今のはそうすると、不正事件一件の内容ですか。
  54. 秋草篤二

    ○秋草説明員 一件としてございますが、その内訳を今申し上げたわけでございます。
  55. 坂本泰良

    ○坂本委員 一件というのは、どういうお考えで一件とおっしゃるのですか。各所にあったら、各所のが一件々々になるから何件となるのですが、先ほど大臣は、不正事件は一件とおっしゃった。その一件の範囲はどういうのですか。われわれの一件と了解するのは、たとえば福岡に一つあったら一件、仙台に一件あったら二件、それからほかにあったら三件、こうなるわけです。その点はっきりして下さい。
  56. 村上勇

    村上国務大臣 これは項目として一件ということになっております。
  57. 坂本泰良

    ○坂本委員 何の項目の一件ですか、不正事件というのは……。大臣も最高の良識があると考えますけれども、この不正事件一件というのは、やはり仙台に一つあったら一件、福岡に一つあったらそれが一件、そうすると、十九件というのは件数を非常にごまかすことになるのですよ。ですから、もっとはっきり常識ある件数でやってもらわぬと、日本語的にやってもらわぬと困る。
  58. 村上勇

    村上国務大臣 会計検査院から、五十万円以下は端折って一件として全部……。(「今三百何十万円と言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)それは別の一件になっております。
  59. 坂本泰良

    ○坂本委員 それでは会計検査院にお聞きしますが、今の日本電電公社の不正、会計検査院から十九件に上る不当不正事項がある、こうあるのですが、この十九件というのはどういう内容の十九件か、それをお聞きしたいのです。
  60. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 ただいまの御不審の点ごもっともでありますが、実は一件と申しますのは、会計検査院が整理上一つの項目として掲げておりますのを一件というふうに数えておいでになるのであります。検査報告で申しますと、二二四二号でありますが、これに含まれておりますのは、先ほど局長が御説明になりましたように、八カ所でございます。そのうち、これは五万円以上の分でございまして、五万円以上の不正行為を電電公社の分について調べますと、八カ所ございます。五万円以下の分も幾らかありますが、そのうちさらに小さいものは件数に数えませんで、一事項五十万円以上のものを八件の中から拾いますと、ここに掲げてございます荻窪の電気通信工作工場というのが四百四十九万円で一件だけでございますので、さしあたりその一件の分、五十万円以上の分だけをとりまして一件とし、その内容にはほかの七件をも追記してあるということになっております。
  61. 吉川兼光

    ○吉川(兼)委員 今の検査院長のお話を聞きますと、荻窪の四百何十万円というのが一件というのですね。そうしますと、今説明した方が福岡とか仙台とか言っておったのは、一件の中に入っていないのをあなたは説明しているわけですか。それは何になるのですか。五十万円以上が一件とすれば、一件の中にそれは入っていないのですか。どういうことになるのですか、それを聞きたいのです。
  62. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 二二四二号に一件として扱っておりますのは八事項でございまして、先ほど申しましたように、五百七十万円であります。そのうち五十万円以上のものが一事項ある、この八事項を含めまして件数としては一件として取り扱っておりますということを御説明いたしたのでありまして、先ほどの局長の答弁の通りであります。
  63. 坂本泰良

    ○坂本委員 それでは分けてお聞きしたいのですが、荻窪の四百四十九万は、さっき大臣の言われた十九件の不正事件のうちの一件なんですね。そうすると、そのほかに五十万円以下のはどれくらいありますか。数と金額、これは合計でいいのです。内容はまた別にあらためて聞きます。
  64. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいま御報告申し上げた通りでありますが、荻窪だけが非常に大きな金額でございまして、あとのものは、先ほど院長の申しました五万円から五十万円の中に入る金額でございます。
  65. 坂本泰良

    ○坂本委員 幾つありますか。どこどこと言わぬでいいから……。
  66. 秋草篤二

    ○秋草説明員 七つであります。
  67. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうすると五万円以下のは……。
  68. 秋草篤二

    ○秋草説明員 五万円以下の検査報告につきましては、これは検査院の御方針によりまして、年によってたとえば十万程度のものになさるのか、いろいろ御方針もあろうかと思いますが、ことしは五万円以上と承わっておりますが、たとえば五万円とかいわずに、一千円とかほんの小さな金額の不正もあるのでございます。そういうものを国会に全部報告するかどうかは検査院の御方針によりますが、これは内部監査におきまして私どもがみずから検査をいたしました結果、摘発したものもたくさんあります。そういうものは今日は省略されてあるのだと思います。
  69. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでそういう不正な事件は、小さいのは幾つくらいあるか、大体の合計と金額をお聞きしたい。
  70. 秋草篤二

    ○秋草説明員 電電公社の会計検査でいろいろ不正を調べたようなものにつきましては、また別途詳細なものを追って御提出申し上げます。
  71. 坂本泰良

    ○坂本委員 内容はまたあらためて聞きますから、本日は大体の件数が何件、合計額が全部でどれくらいか、それをお聞きしたい。
  72. 秋草篤二

    ○秋草説明員 きょうは私ども検査院の報告以外の報告については御質問ないと思ったものですから、つい資料を持って参りませんので、またこの資料も正確に調べて御提出しますにはやはり時日も要しますので、しばらく猶予していただきまして、正確なものを御提出したいと思います。
  73. 坂本泰良

    ○坂本委員 それでは会計検査院長にお聞きしますが、会計検査院は、五万円以上の不正だけしか調査をしないのですか。五万円以下の小さいものまでも、会計検査の途上において検査をすると、わかっているはずですな。それで検査をされて電電公社の方に報告されるのは五万円以上にしても、会計検査の調査はやはりその以下までできておると思うのですが、できているかどうですか、それをお聞きしたい。
  74. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 会計検査は小さい事項でもみなするのでありますから、五万円以下のもできております。ただ五万円で切りましたのは、先ほど局長がお触れになりましたが、会計検査院検査報告を作ります場合に、あまり小さい金額までのものを全部入れるということはどうであろうというので、これは年々基準によりまして、犯罪は五万円以上のものだけを掲げよう、これは検査会議決定いたしました。その他のものは見ないかというと、その他のものも見ております。  それから余談になりますが、不当事項でもやはりそうでございます。不当事項の場合は、一件十万円なら十万円以上の分だけを掲げよう、その以下の分は見ないかといえば、その以下の分ももちろん見ておりますが、検査報告には掲げない、こういうふうにいたしておるのであります。  それからただいま説明いたされましたが、この電電の方の不正事項は八カ所あるということは、この検査報告にも掲げてございます。八カ所書いてはありますけれども、それをまとめまして、一カ所における不正事項幾らというので、一件に一応数えたのでありまして、内容といいますか、犯罪個所は八カ所明記してございます。
  75. 坂本泰良

    ○坂本委員 それで重ねてお聞きしますが、五万円限度に検査会議できめられた、それはどういう標準によってきめられたか、それをお聞きしたい。
  76. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 五万円以下の不正不当はどうでもよろしいというような意味できめておるのではないのでありまして、五万円以下のものは伏せるという意味ではないのでありまして、五万円以下のものも厳重な検査はいたしますが、検査報告に掲げるのは、今の貨幣価値その他から見まして、一応五万円で切った方が至当ではないかということで、いろいろ協議、勘案いたしまして五万円にいたしております。
  77. 坂本泰良

    ○坂本委員 貨幣価値から五万円というと相当高いようですな。税金なんかは、何十円まで全部差し押えて取り立てるのですが、貨幣価値の標準だけで五万円を限度としたというのは、われわれ議員としては納得いかぬのですが、もっとほかに根拠はないのですか。
  78. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 先ほど申しましたように、五万円以下のものはどうでもいいとか、あるいは金額が小さ過ぎるから見のがすというのではございません。やはり同じようなウエートにおいて検査はいたしているのでありますが、検査報告に文書としてまとめて書きます場合にはこれからはずすということにいたしているだけでございます。検査は十分いたしております。
  79. 坂本泰良

    ○坂本委員 これはただ一件しかないというので非常な誤解を招く。これは相当の件数があると思う。だからこういう報告をされる場合は、会計検査院の方で今のような方針がきまっているなら、五万円以上を掲げて、こうだ、五万円以下は多数あるけれども、これは省略するという注釈がなければ、正当な報告にならないと思う。その点についての御見解と、さらに五万円以下の件数は大体何件くらいあって、総額は幾らくらいになるか、そのくらいのことは、検査をされているからわかっていると思う。その点をお聞きしたい。
  80. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 五万円以下の分は、先ほど申しましたように検査しておりますから、数字も件数もわかっておりますが、実はただいま持ち合せておりませんから、後刻御報告いたしたいと思います。  なお、書いておかなければわからぬとおっしゃいますが、実ははなはだ簡単な文章でおそれ入りますが、検査報告には「荻窪電気通信工作工場ほか七箇所」そうして注を入れまして全部掲げてございます。ただそれを扱いを一件として扱っているということなんでありまして、それと、一事項五万円以上のもので幾ら、やはり基準も検査報告には一々示しているわけでございます。五万円以下のものはないとは書いておらぬのでありまして、今の御要望によりまして、五万円以下の分は後ほど件数、金額を差し上げたいと思っております。
  81. 坂本泰良

    ○坂本委員 詳細な、どこにどれが一件で幾らということはいいのですが、今だれか来ているだろうから、その総額五万円以下は、件数は合せて五百件なら五百件、金額は何万円というくらいのことはわかっておりそうなものだと思うのですが、どうですか。
  82. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 ただいまということであれば、電話ででも聞けばわかるわけでありますが、いかがでございましょうか、明日か午後にでもしていただけませんか。
  83. 上林與市郎

    上林委員長 坂本君、どうしますか、取り扱いは……。
  84. 坂本泰良

    ○坂本委員 取り扱いの点は技術的な面もあるのですが、会計検査院に私は注意を促したいと思う。少くとも検査報告をされる場合において、やはり今院長が言われたように、五万円以上をこの報告書に掲げて、それ以下は掲げないというなら、それ以下がどれくらいあるくらいのことはやはり承知して直ちに答弁のできるくらいにしなければ、会計検査院としての職務が勤まらぬと思います。その点は今後の問題で、今までは五万円以下は等閑に付して、ただそれ以上何件々々といって、簡単に何件しかない。しかしながら実際は何百件あるかもわからぬですな。ですから、真正な国民に対する報告ができていないことになると思う。だからその点は一つそうしてもらいたいと思います。  そうすると、不正事件は一件ですが、そのほかの十八件は不当事件なんですな。郵政大臣、そうすると、十七件の内容は、これはやはり相当大きいものだろうと思うのですが、どういうものですか。
  85. 村上勇

    村上国務大臣 検査報告がお手元に差し上げてあると思いますが、大体十八件は——ちょっと政府委員から……。
  86. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私ども電電公社不当事項の欄に検査院から御指摘を受けました項目が十七件ありますが、この金額は一体幾らかと申されましても、不正事件と違いまして一がいには申されないのであります。と申しますのは、私どもの検査報告を一々ごらんになっていただけばすぐおわかりのことと思いますが、明らかに高いものを買ったとか、あるいは非常にむだなものを買ったとか、こういうものはわかりますが、非常に計画的な面あるいは経営的な盲点、そういう点を御指摘いただいているものもございます。あるいはこういう点は業務改善に必要じゃないかというような点などもございます。あるいはまた運用計画をもう少しうまくやったらいいじゃないかというような、非常にほかの官庁と違いました経済的な、経営上の、マネージメントの盲点をついていただくというような、検査院の方針が非常に一般会計と違う点がございます。そういう点が非常にたくさんございますので、金額を総体幾らに見積れるかとおっしゃられましても、一がいにはちょっと計算は出てこないと思います。しかしはっきり、ものをこのくらいに買えばこのくらい安くついただろうというのは、検査院の刷りものの中にも二、三は出ておりますけれども、全体で幾らということは、ちょっと私からも計算はいたしかねます。
  87. 坂本泰良

    ○坂本委員 私が聞くのは、ここに「十九件に上る」というのですから、少くとも総括的にやる以上は、不当事項といえば不当金額になるわけですから、この不当金額が幾らかくらいはすぐ答弁ができるようにしていなければ、この決算委員会質問に対する答えにはならぬと思う。だからこの不当事項が大体何百万円とか何千万円とかわかっていそうなものですが、わからぬですか。わかるか、わからぬかはっきりして下さい。
  88. 村上勇

    村上国務大臣 私の方といたしましては、会計検査院の方からこういう不当事件があったということの報告を受けるだけでありまして、私の方は、この不当事件がどういう理由によって起きて、どういうふうな計算になっているというようなことは、そこまで突っ込んで調べることができない立場であります。
  89. 坂本泰良

    ○坂本委員 しかしそれはとんでもない大臣の答弁だと思います。大臣はこの報告においても、「はなはだ遺憾なことでございまして、これにつきましては一そう綱紀粛正強化するとともに」云々と言われている。内容がわからずに綱紀粛正ができますか。ただ会計検査院から報告を受けたそうだと受け付けただけで、綱紀粛正ができますか。その点をお聞きしたいのです。ただ受け付けるだけじゃいかぬと思う。
  90. 村上勇

    村上国務大臣 会計検査院報告を聞いて、そうしてまた一方公社からの報告を聞いて、そういう不当事件があるとすれば、それに対して私の方では警告を発するということをしておるのであります。
  91. 坂本泰良

    ○坂本委員 この報告は十二月のうちに受けておられて、すでに一カ月を経過しておるのですが、今大臣が申されたような処置をすでにやられておるかどうか。今後どれくらいの範囲でそういう点をやられるか、その見通しをお伺いしたい。
  92. 村上勇

    村上国務大臣 まだやっておりません。
  93. 坂本泰良

    ○坂本委員 見通しは。
  94. 村上勇

    村上国務大臣 国会の御審議等承わりまして、それが主になって私の方から御趣旨を強く公社の方へ言っていくということにいたしたいと思います。
  95. 坂本泰良

    ○坂本委員 これはわれわれ決算委員会でこれを審議するまでもなく、こういう不正、不当事項があったならば、大臣の責任において、これは早急に処置すべきものだと思います。一カ月を経過して今日まだやっておられないとするならば、今後どれくらいの範囲内でこれはやろうというくらいの見通しを持っていなければ、大臣の責任として勤まらぬと思いますが、いかがですか。
  96. 村上勇

    村上国務大臣 公社としてはすでにこれに対しては適宜な措置を講じておるのであります。郵政省といたしましては、この会計検査院報告を聞き、あるいは公社からも事情を聴取いたしまして適宜な措置をとっていく以外にないと思っております。それで郵政省としての処置はまだとっておりませんけれども、これから公社に対してこの趣旨に沿って厳重に注意を促したい、こう思っております。
  97. 坂本泰良

    ○坂本委員 これは大臣みずから決算委員会に「綱紀粛正強化するとともに」という非常にりっぱな言葉を使っておられるから、これを実現しなければ何にもならぬと思いますが、近く実現されると思いますから、この点留保いたします。  それから次に国有鉄道の点をお聞きしたい。これもやはり私は不当不正の点についてお聞きしたいのですが、不当事件が九件、不正事件が三件に上る指摘を受けた、こうあります。これはきょうは総括で、小さい点はまたあとで聞きますから、小さいところまで入らぬように答弁をしていただきたい。  そこでお聞きしたいことは、不当事件の九件は、これは相当大きい事件だと思いますから、この九件の内容金額——内容といっても、たとえば工事費についてどこどこの工事について幾ら、そういう程度でけっこうですから、不当事件九件と不正事件三件、これについてお伺いいたします。
  98. 吉野信次

    吉野国務大臣 ただいまの点につきましては、国有鉄道の係が参っておりますから、その方から説明申し上げます。
  99. 石井昭正

    ○石井説明員 お答え申し上げます。会計検査院から不当事項として御指摘になりましたのは、工事関係で四件でございまして、それは工事価格が会計検査院からごらんになれば高い積算で請け負わしたという種類のものであります。大体これは会計検査院の御見解によりますと、百四十三万円、あるいは二百二十万円、あるいは百二十万円、そういう程度の節減ができたんじゃないか、過大な積算をしているんじゃないかという御指摘でございます。  その次の御指摘は物品の購入についてでございます。これが二件ございます。これもいずれももう少し積算を厳重にやれば安く買えたのではないかという御指摘でございまして、これは検査院の御見解によりますと、一件は三百九十五万円、あるいは他の一件につきましては二百八十八万円及び二百芝十二万円程度高価に買ったというような御見解でございます。それからもう一件は役務関係でございます。石炭の荷役料の関係で荷役の契約の仕方がまずかったために約千六百万円くらい多いことになったのじゃないかという御指摘でございます。これらを全部総合いたしまして、会計検査院の御指摘の通りに行えたといたしますと、概算で恐縮でございますが、約三千万円程度くらいだと思います。  それから不正事件は三件でございまして、これは総額五百八十万円でございます。そのうち昨年の九月現在発見されておりますものが百五十二万円ございます。これはいずれも職員が不正な行為によりまして公金を領得いたしたものでありまして、すべてこれらは起訴されておりますし、私の方といたしましても全部懲戒免職の処分にいたしております。なお監督上の責任者にはそれぞれ行政処分を完了いたしております。
  100. 坂本泰良

    ○坂本委員 会計検査院長にお聞きしますが、やはり国鉄検査もさっきの電電みたように小さい報告は入れずに、五万円とか十万円とかいう限度があって報告書を作られたか、その点をお聞きします。
  101. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 やはり同じ基準でやっておりまする。
  102. 上林與市郎

    上林委員長 次に吉田賢一君。
  103. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は本日は大蔵省、運輸省、郵政省当局に対しては一応質疑を保留しておきたいと思います。  そこで大蔵政務次官に御要望しておきますが、当委員会に対しましては、大蔵大臣予算委員会に出席なさると同様に、大蔵大臣会計検査院決算報告書の全体につきましているんな御責任の関係もあるのでありますから、予算委員会日程等もございますので、委員長は適当におはからい願って早い機会に大臣が当委員会へ出席せられるようにおはからいを願いたい。次官におきましても当委員会のこういつた希望の趣旨を十分にお伝え願いたいと思います。  まず資料の御要求をしておきます。  大蔵省からは昭和二十九年度決算説明書なる資料、本日次官から御説明になりました内容についてでありますが、専売公社関係であります。官業益金及び官業収入における減少額の合計、政府資産整理収入における減少額三十三億円、これの内容を文書で資料として出していただきたい。  次の六ページにおける繰り越し予算関係でありますが、保安庁におきまして船舶の設計及び建造、施設用地の取得、これに伴う補償額決定施設整備設計仕様書の調製、装備器材の規格の決定、こういうようなものに不測日数を要したと書いております。つまり不測日数を要したというのが財政法十四条の三の第一項に該当するとして繰り越されておるらしいのでありますが、その不測日数を要した趣旨内容、これを数額とその趣旨説明したものを文書にして提出願いたい。  次に同じく大蔵省から日本専売公社に関する資料、製造たばこ及び葉タバコの売却代金が四十億三千四百万円減収しております。この内容であります。塩の事業におきましては八億八千五百万円減少しておりますので、その内容、これも趣旨内容を文書にして資料として出していただきたい。  それから日本電電公社決算に関する郵政省に対する資料でありますが、これは昭和二十九年度の貸借対照表など、決算の財務諸表、なお昭和三十年度における同上の予定もしくは見込み表。  運輸省に対して国鉄に関する資料、これは前同様に日本電電公社における資料の要求と同趣旨の資料の御提出を求めます。  また専売公社におきましても同趣旨の資料の御提出を願っておきます。  それから会計検査院に対しまして、これも資料の御提出をお願いいたします。これは本日御説明になりました農林省の開拓事業費で調査未了のものが、八億八千九百余万円あるようでございます。これは検査報告の六一〇ページに記載されておりますので、この内訳内容をなるべく詳細に資料としてお出し願いたい。同じく昭和二十九年度一般会計決算の未確認表のうち、六〇八ページの防衛庁関係保安庁保安庁施設費と二つの項になっておりますが、後者は二十二億二千九百七十二万余円になり、前者は五億三千二百五十四万九千余円になっております。これらは前金払の精算が未了であり、概算払の精算が未了であり、証明済調査中、こういった記載がされておるのでございますが、これにつきましてその趣旨内容。  なお国会に関する未確認事項が一つございますので、この内容はよくわかりませんけれども、事国会に関しまするので、重視すべきだと思います。すなわち同六〇七ページ、国立国会図書館の百三十八万二千八百七十二円前金払の精算が未了であります。この趣旨内容。  なお同六一二ページの運輸省関係の船舶建造及び改造資金の貸付利子補給、これは五億四千七百七十九万九千余円であります。これも証明済調査中ということになっておりまするので、この内容。  それから報告書の九ページでありますが、これは未収金の項であります。このうち共有船舶利用収入が一億九千余万円未収になっております。これの共有船主名、未収の原因について資料としてお出し願いたいのであります。  なお前後しましたが、大蔵省に対しまして、昭和二十九年度における国税収納金の整理資金の未収の三百六十三億三千二百余万円、このうち千万円以上の大品滞納者名、口数、滞納額、未収整理事務の状況。なお既往年度におきまして同じく六百七十七億二千四百余万円が九ページの末尾に記載されておりますが、これにつきましても、できるだけ資料として内容を明らかにしていただきたい。ただし大口千万円以上の分に限定してよろしいのであります。  以上、資料としてなるべく早く当委員会に提出するようにお取り計らいを願います。
  104. 上林與市郎

    上林委員長 今吉田委員から会計検査院外各省にわたる資料の要求がございましたが、私の方から一つずつ確認しなくても一、メモをとっておいたでしょうから、一つそういうふうに了解していただきます。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二、三お伺いいたします。これは重要な問題ではないのですが、ちょっと表現の問題につきまして一度御考慮願ってはいかがと思う点が一つございます。それは、先ほどから問題になっておりましたいわゆる不正行為でありますが、資料として出ている昭和二十九年度決算検査報告に関する概要説明に、いわゆる不正行為とそれから法令または予算に違反して経理されたもの、こういうふうになっておりますが、私ども当委員会においてかつて伺ったところによりますと、不正行為は刑事事件になったものに限定されておったようでございますが、やはり例の補助金の適正化法律もできましたし、また法令に違反した経理というものも、法令に違反したのは道徳的な不正ではなくて、法律的な不正もあるのではないかと思われますから、この種の表現について一応御検討願ってはどうか、これは何も今即答していただかぬでもよろしゅうございますが、全体の表現について新しい時代に即応するように御検討になってはいかがか、こういうふうに思いますが、その点はいかかでありましょうか。
  106. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 ただいまの吉田委員からの御質問、御意見でございますが、お話になりましたように、不正行為によるというものは、やはり刑事事件になったものに限っております。ただ適正化法が出ておりますので、適正化法の刑罰に関係するというものにつきましては、今後この通りでかりにいくとしますれば、むろん不正行為による被害金額の中に繰り入れるということに相なるかと思うのであります。ただいま御意見がございましたので、不正行為による云々と法令違反というものについて、これを依然として別々にしておくか、あるいは適当に合併していくかということにつきましては、なるべく御意思に沿うようにしたいと思っております。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから検査院当局に伺いますが、各省庁あるいは公社などの検査をされまして、年々同一の文書をもちまして注意を喚起し、遺憾にたえざるという意思表示もしておられるのでありますが、率直にあなたの方のお感じになるところといたしましては、比較的改善の跡が少い、比較的不当事項が多い、こういった役所は大体どこだというふうなことの感想はお述べ願えないでしょうか。それは私の方で調べて結論を出せばいいので、あるいはまた最終に御質問すべきことかもしれぬと思うのですが、どうも私ども防衛庁関係のごときは事のほか多いようにも思うのでございます。なぜこういった点を伺うかと申しますると、やはり会計検査院は限られた能力でほとんど無限大の対象の検査をしなければならぬのが現状でございます。そういった場合に予算があり、人手があるならばもっと検査も完全にできるだろう、あるいは手を伸ばすこともできるだろうというようなことも相当おありになるだろうと思うのです。前々国会において一部権限の拡大等いたしましたので、かなり能力は増大したかと思いますけれども、しかしそういうことにかかわらず、私どもなお全体として見るときに、あまりにも膨大な批難事項が年々繰り返されており、国損が膨大になっておることをわれわれも遺憾にしておるのでありますが、遺憾遺憾の繰り返しを年々やっておりましても果てしがないと思いながらも、これに取り組んでおる次第でありますので、こういう際でありますから、劈頭に率直に、どこの官署が最もあなたの方としては批難事項が多い、金額が多い、改善の跡が少いといったような御感想でございましょうか。もっともこれはお述べにくい事情があればしいて御答弁願わなくてもいいと思うのですが、その辺につきまして若干概要説明にもそういう趣旨の点も見られぬではないのでありますけれども、なお大いに注意を喚起すべき対象たる官庁を指摘するくらいのことは、検査院当局として当然あってしかるべきではないかと思いますので、一つ御所見を伺ってみたいと思います。
  108. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 大胆率直に言えということでございますが、なかなかむずかしい御質問でございます。ただいま仰せになりましたように、会計検査院は昨年幾らか人をふやしまして——幾らかと言っても六十名でありますが、そんなことではなかなか追っつかぬのでありまして、実は限られたる人手で非常に膨大な政府の予算執行の状況、あるいは政府機関その他の補助事業を見まするので、全部について深く見るということが、まことに申しわけないのでありますができませんので、検査会議を開いては、ことしはこの点に重点を指向してやろうということを協議いたしてやっておるような次第でございます。先年来公共事業の補助工事を見なくてはということで見ますと、実に残念なことでありますが、予想外によくない。その方ばかり見ておってもどうだろうというので、昨年あたりから、農林省あたりでやっておる代行工事というのがございますが、代行工事を見る、あるいは公共事業でなしに一般の補助関係を見るとか、あるいは農業共済事業の点を見るとかしますと、これまた驚くほど経理がよくないという事態に遭遇するのでありまして、実は遺憾々々を繰り返してまことに申しわけないのでありますが、何とか早く正しい経理をしていただきたいものと念願しておるのであります。  何といいましても実行される側におきまして、やはり膏血といいますか、血税の認識の上に立つということが一番先だろうと私は考えるのでありますが、私どもも機会あるごとに当局の方と懇談をし、あるいは注意を申し上げておるわけでありますが、なお検査をしてみますと不当事項の絶えないのはまことに残念に思っておるのであります。  この両三年来の検査の結果を概括的に申しますと、農林省、建設省、運輸省の自分でやる直轄工事の面は、よほどよくなっておるのでありまして、ことに建設省などの直轄工事については、大へんよろしいという報告を実は受けておるのであります。ですから概括的にいえば、農林、運輸、建設などの直轄工事は大へんよくなった。  それから補助の点につきましては、公共事業など幾らかよくなっておるかと思うのでありますが、やはり依然として農林でも運輸でも建設でも、補助の点はいまだし、まだまだ手をゆるめてはいけないというふうに感じておるのであります。  それから防衛庁などは、ただいま吉田さんからお話がありましたように、あれでは相ならぬという感じを抱いておるのでございまして、私どもの方の納得のいかないものは、先ほどお示しになりましたが、二十九年度にしましても検査を閉じないで、いわゆる未確認の説明をして、さらに、ただいま並びに今後、二十九年度のある部分については検査を続行し、三十年度とあわせてやる、そういう決心でおるのでありまして、やはり概括的にいえば、防衛庁の経理はよくないというふうに考えております。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと吉野運輸大臣に伺います。あなたは国鉄を管理なさる大臣に御就任になって日が浅いのですが、国鉄につきましては、当委員会におきまして幾多の問題をしばしば討議して、波乱も生んだ経験を持っておるのでありますが、いずれ運輸省関係もいろいろとお尋ねしなければならぬことが生じますが、これは国鉄及び運輸省関係全体に通ずることでございますのと、それからほかの大臣などの御説明にも同趣旨のことが指摘されてあるので、この機会に伺っておきたいのです。  それは綱紀粛正という点であります。これはやはり各大臣が事あるごとに、綱紀粛正をするとお述べになるのは、きまり文句のようになっております。そして綱紀は依然として粛正せられないので、こんな大きな報告書が出ておるのであります。こういう点についてはあなたはどうお考えになっておるのでありましょうか。たとえば先に電電公社のことを坂本委員からお尋ねになったときに、当該責任者を免職せしめたというような、なかなか勇敢な御 答弁が出たのでありますが、この責任というものにつきまして、私どもは係とか係長とか課長とか、そういうようなところだけで腹を切って済む、そうい 一うようなことでなしに、相当悪質な場合には、大臣みずからもその責めを負うというくらいのところまで行かなければ、百年河清を待つというのではないかとさえ実は考えておるのであります。そこでこれは法規に照らして、国鉄法によって、いや何々の規定によって責任の限度をきめるのであると抽象的に言えばそれまででありますが、しかしやはり各省の長は、会計法規の上におきましては、収支の最後の責任者であると私は考えておるのであります。たとい一万円の金でも、法律上の不正を犯して国損を欠けた場合はもちろん、明らかに計画、設計、調査等が間違っており、あるいは故意にあやまって損害を生ぜしめたり、あるいは無用の物を買ったり、あるいはその買った原因が、商売人と結託して買ったというようなことになりますと、たとい一万円の額といえども大切な国民の血税の行方をさようにしたという点に重点を置いて、綱紀粛正の観点からその責任の所在をかなり高度に広げていくというくらいの気構えがなければ、綱紀粛正なんて幾ら叫んだところがまことにやぼな話に終るのであります。これはしばしば繰り返しておるのです。当委員会におきましても、一体責任者がどんな処置をされたか一覧表を出して下さいと言えばお出しになります。いろいろ段階を設けて、注意した、減俸した、免職した、転任した等々出て参りますが、各省何億の国損をかげながら、上層幹部の責任者は一人も出ません。一体それでいいのかと私ども思っておるのであります。これは国会に対して国鉄決算説明書としてお出しになっておる。今後さらに綱紀粛正ということをうたっておられる。みんな綱紀粛正をうたっておられるのです。みんなこう書いておられる。本気に全国民に対して、綱紀粛正をもって臨むというお考えであれば、よほどの決意がなければ私はできないと思うのです。でありますから、これは前の運輸大臣でしたかどなたかでしたか、鉄道をまくらにというような勇敢なお言葉も出たのでありますが、上層部がそういう面について責めを負うというくらいなところまでやる御意思が一体あるのかどうか、これは一つあなたの率直な御意見、腹を当委員会に聞かせておいてもらいたいのです。幾ら言ってもそういうことは文句だけ並べてあるのですということなら、まあ何をか申さんやということになるのでありますが、この点について一つ御答弁を願っておきたい。
  110. 吉野信次

    吉野国務大臣 まことにごもっともなお尋ねでございまして、私も全然同感でございます。すなわち国有鉄道は、独立採算の独立の企業体ではございますが、議会に対する責任は、やはり運輸大臣である私が全面的に負うものだ、こう思っております。従いまして、私も就任日がまだ浅いのでございますが、国有鉄道という公社のあり方でございますが、これは国有、国営の一つの形式でありますけれども、このあり方の本旨がまだ徹底しない点がありはしないか、これは御承知の通り、株主も資本家もないのでございますから、どうしても公共にサービスするという精神でないと、公社運営はできないだろう、私はこう思っております。従ってそういう観点から、日本国有鉄道法なりあるいはその関係の法規を検討してみますと、そういう面におきましても改正しなければならぬ点が多々あると存じますので、この機会に、この国有鉄道の公社のあり方というものを、公共に奉仕するという精神に基いて全面的に改正したいと私は思います。しこうしてそういう方針で、従業員が公社の仕事をやるという精神を大いに高揚したい、こういうふうに考えております。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 数十万の全従業員を督励なさるということはけっこうです。けれども、やはり幹部が責任を負うのでなければ国民は納得しません。やはり幹部が責任を負えば他のすべての従業員は粛然としてこれに従っていきます。幹部が、自分の責任はたなに上げて、いたずらに下僚の責任を問うというような態度では、国民は納得しないのです。それに対する御決意を聞いておるのです。
  112. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは先ほど申しました通り、お話の点と私も全然同意見であるということを申し上げておきます。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 郵政大臣に伺いますが、やはりあなたの方におきましても、ただに今の公社関係のみならず、郵政省のことで今後多数批難事項が出て参りますし、幾多の質疑をここでしなければならぬのでありますが、やはり責任の問題につきまして、綱紀粛正とここにもうたっておられますが、吉野運輸大臣の述べておられましたような趣旨をあなたにおいてはどういうふうにお考えになるでしょうか。この点について、あなたも国会議員であられますから、国会に対して一つはっきりと言明をしておいてもらいたいと思います。
  114. 村上勇

    村上国務大臣 私も、吉野運輸大臣のお話のように、その責任を痛感いたしまして、御趣旨の通りに考えて参りたいと思っております。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、これは希望申し上げておきますが二十九年度検査報告審査に当りましては、現在の予算執行の関連も相当ございますので、その辺につきましてもできるだけわれわれは討議し質問をしていきたいと思いますので、御了解を願っておきたいと思うのであります。この程度にしておきます。
  116. 山田長司

    ○山田委員 運輸大臣に一点だけ伺っておきたいのです。それは、昭和二十九年度における国鉄収入は、景気の変動の影響を受けて予定より下回っておる、ことに貨物の収入においては、その影響の著しいものがある、こういう先ほどの御報告でありましたが、私は特に運輸大臣がどういうお考えをお持ちになっておるかということを伺いたい。最近、貨物につきましては、一般の業者が家庭から荷物を持ち出して、そうして二、三時間ですぐに直行で荷物を持っていくというような一般の傾向が、国鉄収入の面において非常に影響してくると思われるが、一般の貨物輸送の会社の敏速性に比較して、国鉄の貨物輸送というものは時間的に著しい差があると思うのでありますが、これについて運輸当局は何か新しい案をお考えになっておるかどうか、この点伺いたいと思います。
  117. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点は私も気がついておりまして、どうしても自動車による小口から小口への輸送というものが便利なものでございますから、鉄道の貨物の運賃収入に重大な影響を及ぼすので、これに対処するにはどうしたらよいかということは非常な緊急を要する問題でございまして、国鉄の方にも指示いたしまして、これに対してどういうふうにやったらいいかということを今せっかく考究中でございます。
  118. 山田長司

    ○山田委員 もう一点は、あなたの所管に属するタクシー業の免許の問題ですが、これはさしあたってすぐに影響があるかどうかは別ですが、大臣に一つ伺っておきたいのは、聴聞会なる制度があって、一つの市にタクシー業が一つあって、さらにもう一つの許可申請をするというような場合、利益上相反する立場の人を聴聞会に呼んで、それがいろいろ設置について相ならぬというふうな意見も言われる場合に、それが大きな役割をしているようですが、一体そんな制度を何のために設けているのか、参考に伺っておきたいと思います。
  119. 吉野信次

    吉野国務大臣 地方で利害関係者の意見を聞くような、そういう公聴会みたいなものをやっているということは私は承知いたしております。しかしお話のように、いろいろああいうことについての弊害の面もあるようでございますから、私は就任したときから、この問題についても相当メスを入れて考えてみたいと実は思っておるところであります。
  120. 山田長司

    ○山田委員 検査院長に一、二伺いたいと思います。検査をする者が地方へ出張する場合に、会計検査院はどんな注意をして出張させておるかということです。それから地方の公共団体などに補助のいっている場合、小さな市などに出張させる場合に、いつも検査院の職員は何人出張させているかということです。
  121. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 実地検査に出ますときはもちろんでありますが、出る前におきましてもかねがね——会計検査院検査をするのでありまするから、批判を受けることもまたほかの面の方々よりもひどいと私は思うのであります。きつく批判を受けるものと思っております。でありまするから検査の厳正公平を期するために、言動を慎み、自分の言行を慎むということについては、各段の注意をそのたびことはもちろん、平素もいたしております。  それから小さい市町村というのでありますが、私どもの方は、大体は実地検査は一つの班を組みまして出るのであります。班長とそれを助ける者が二名ぐらいを見当にして出します。それを組み合せて、一人だけ班長にして四名を補助的につけるという場合もあります。それからもっと大きく、課長を出す場合におきましては、班としては四つないし五つぐらいの班を作って、その大将として課長をつけて出す。向うに行きまして各市町村に分れて——大体は二名でありますが、二名が分れて市町村に入っていく。その場合、大きな場合は班長がついていく。そうでない場合は主任に組み合わして——大体一人ということはございません。大体二人で行くのを常道といいますか、慣例にしております。
  122. 山田長司

    ○山田委員 そのことにつきまして重ねて伺います。栃木県の足利市に出張した職員、昨年度の場合あなたの方でやられた人員は幾人であったか、それが一つ。もう一つは、今の注意事項で果して満足に地方に行った職員が守っていくかどうかというこれは一つの例なんですが、足利市会の決算報告を調べてみたところが、会計検査院職員が四千円の反物をもらっているということが載っておるわけです。名前は載っていないのですが、行った人は、日が分っておるのですから、あなたの方で調べればわかると思いますけれども、そういう場合に、それをみやげとして持たされる場合にはもらって帰っても何ら差しつかえないものかどうか、参考にお伺いいたします。
  123. 東谷伝次郎

    東谷会計検査院長 言行を慎しむようにという注意をしておると概括的に申しましたが、詳しくは、飲食を慎しまなくちゃならぬ。それからもちろんみやげものをもらって帰ることはいけない。もっと詳しく申しますと、よく供応といいますか宴会といいますか、そういうものがあるのでありますが、供応は一切受けてはならない。これは厳重に言い渡してございます。ただいま、栃木県の足利市へ参りましたのが何人行ってだれが行ったかということは、実は覚えておりませんので、これは後刻調べてみたいと思います。みやげものをもらって帰るとかあるいは供応を受けるとかということは厳禁いたしております。
  124. 山田長司

    ○山田委員 重ねて会計検査院長に申し上げておきますが、実は足利の市会の決算報告書の中に会計検査院職員に反物四千円のものを贈ったということが載っているのです。ですからこれはやはりあなたの方でも特に調べていただきたいと思うのです。そうでないと会計検査院までが地方へ出て、そういう供応を受けているんだという事例を——これはちゃんと公けの文書の中に記録に残されているのです。金額は四千円のことで、大した問題でないといえば問題でないかもしらぬけれども、やはり記録に残ってそれが市民に報告になっておるのですから。最も信頼を受くべき会計検査院職員が地方べ出張して、そういう品物をもらっておる。名前は出てないけれども、それが事実出て、しかも市会ではこれについて追及している人がいるというような状態ですから、一応あなたの方でも厳重に一つお取調べが願いたいと思います。
  125. 上林與市郎

    上林委員長 他に御質疑はありませんか。——ないようでございますから、本日はこの程度でとどめます。  次会は七日に予定しておりますが、公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。   午後一時二十八分散会