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金森国会図書館長 御
承知のように、
連絡調整委員会の方々が、
図書館と
行政、
司法各部の
図書館との間の
連絡につきまして御
意見をおきめ下さって、それを衆議院、参議院の
運営委員会に報告せられたものでありまして、私の方から直接に御説明をいたしますのは多少横道にはなりますが、オブザーバーとしてその
会議に連なりました
関係と、それに
図書館自身のことに
関係しておりますから、一応御説明申し上げながら
意見を申し上げたいと思います。
この
連絡調整委員会からの
国会に対する
勧告は、この文書の中に書いてありますように二つの項目になっております。第一は、各
支部図書館の
予算を増額配賦することという
希望でありまして、これは結局
大蔵大臣の方に主たる
責任がかかることと存じております。これはどういうことかと申しますと、御
承知のように
行政、
司法の
支部図書館というのは二十六ございまして、それが各当該の
官庁にございます。この全体で大体百八十万冊くらいの
書物を持っておりますが、いずれも専門的なものでありますので、これを総合的に活用いたしますと非常な役に立つものであります。たとえば、
特許局のいろんな
資料というものは、日本の
特許の根本に関するものでありまして、
内閣統計局の
資料というものは、何十年蓄積されました世界的な
統計資料であります。こういうものをほんとうに活用しなければ、
行政、
司法はうまくいかないということになっております。そこで七年前、各
官庁の
支部図書館というものが幾らか規則でしっかりさせられまして、この二十六の
支部図書館が手をつないで働くという姿になっております。しかし、
図書館自身は各
官庁、
裁判所に属するものでありまして、
国会図書館の方は、やや間接的な複雑なつながりをしておるのでございます。ところが初めのうち、つまりこれができました当時は、
大蔵省から大体
一つの
図書館について五十万円の
予算を原則的に認めまして、それに
最高裁判所の
図書館は三百万円を認めたわけであります。しかしその後
行政整理等のことがありまして、減りこそすれ、ふえることはほとんどございませんで、だんだん減らされて参りまして、ついにある
図書館のごときは三十万円の
予算を割るようになりました。これではあまりにひどいというので、三十年度の
予算において、今年、今行われております
予算によりまして、
大蔵省は全体を通じて三〇%だけ
予算をふやそうという方針を立てて下さいました。そのかわり、同時に一五%の天引きをするということで、結局三〇%ふやして一五%減らされましたので、一般的にいうと一五%だけふえたという形でございます。前より幾らかよくなりましたけれども、それは非常に微々たるものでありまして、この大きな各
官庁のある意味の機能になります
図書館をささえるには不適当で、ございますから、何とかしてもう少しいい設備を持ちたいものだと思っておりましたのを今度取り上げられまして、この
委員会において、
業務の
重要性にかんがみて増額配賦することという、ごく大づかみな
勧告になったものと存じます。これはつまり各
官庁に主たる
責任がかかってくるであります。
それから第二の点でありますが、これは
予算の増額にはほとんど
関係のないものでありますけれども、仕事の上には非常に影響するものであります。と申しますのは、各
行政官庁及び
裁判所付属の
図書館は
書物が命でありまして、その
書物を相当買っておりますけれども、妙なもので、従来からの伝統によりましてその各
官庁の
図書館に
関係なく、各
部局でどんどん
書物を買っております。その買った
書物は、その
部局、その
一つの部屋だけで使うことはありましても、ほかではちっともわかりません。そこで買って、あとはどうなりますかわかりませんが、自然消えてしまうような
傾向があります。それがどのくらい買っておるか見当がつきませんが、ある方法によって調べましたところ、年額二千四百万円くらい買っておるのじゃないかというような疑いがあります。こういう
書物をもし一手にまとめますと、事務のじゃまになりますが、気持の上で一手にまとめ、各
支部図書館が中心になってどういう本を買ったかを知り、目録を整備し、必要なところに流れていきますよう世話をするということをいたしますれば、
予算を用いずして毎年買った
書物の
効率というものは何倍かに増加すると思うのであります。そこで第二の
勧告内容におきまして、各
官庁において「購入する
図書・
資料の合理的な
管理運用の万全を期するため、各
支部図書館に
所属省庁の
図書資料業務の
一元的運営を行わせること。」、こういう
勧告が出たものであります。非常にしゃくし定木でありまして、あるいはかえって
効率を害する結果が起るかもしれませんが、今のようではあまりひどいと思いまして問題に供しておりましたところ、今度
連絡調整委員会でお取り上げ願いまして、かような
勧告案になったと思います。この二点でございます。
第一は、ぼうばくたるものでございますが、その積極的な
希望を述べたものであります。第二は、だんだん
行政部局がだらしがなくなってくる、まことに言いにくいのでありますが、自然にだらしなくなって安きをむさぼるという
傾向がございますけれども、第二のところをしっかりすることができ得ますならば、非常な効果があると存じておりますので、
図書館としてはこういうふうにありたいと
希望しておるわけであります。