○松本(七)
委員 これは議論するつもりはないのですが、今の御答弁はあまり的確じゃないですけれども、共同防衛については再検討する時期にあらずと、こういう御見解であると了解しておきます。
それから大臣は
沖繩の返還の問題は
基地問題だと言われるけれども、そうではないのです。
沖繩の返還の問題は、
基地問題ではないのです。施政権をこちらに返してもらう問題でしょう。そのまま
基地問題ではない。
日本は主権者であり、施政権を持っているにかかわらず、
基地問題というのはやはり起っているのです。それは大臣の
考え違いだろうと思います。これは議論をしてもしようがないですから、共同防衛についてはもう再検討しなければならぬ時期に来ているにかかわらず、
外務大臣は再検討する時期にあらずという
考え方では、おそらく今後行き詰まりばかり来たすだろうと思います。
一つすみやかに再検討されるように要望しておきます。
それから
日ソ交渉の問題を少しまとめてお伺いして終りにしたいと思います。
全権の問題はさきほどちょっと御
質問があったようですが、これもやはり
新聞を通じて
国民が心配しているのは、かねがねこの内閣は二元外交だとか三元外交だとかいわれ、慎重派だとか促進派だとかいわれてどうもまとまりがないように思われている。そこへ持ってきて
全権の人選において、またかねがねまとまっておらないことが、
全権の問題でもまた現われてきたのではないか、こういうふうな心配をしておるわけですが、一体
外務大臣としてはどのように解釈されておるでしょうか。あのように内閣が、あるいは与党である自民党の内部が紛糾しておるような形であれが出てきているのは、どういうところに
原因があるのか、この
日ソ交渉に対する基本的な態度について、やはり党内なりあるいは内閣なりに
意見の不一致があるために出てきたものか、あるいはその発表の仕方その他の不手ぎわから単に来ているものか、そこのところを
外務大臣はどういうふうに感じておられるか、御答弁願いたい。
それから第二点は、
日ソ交渉に臨まれるに当っての基本的態度です。これは従来と少しも変らないと言われるけれども、私は変らないのではおかしいと思う。というのは、ロンドンの
交渉においてはすでにいろいろな問題をほとんど、妥結して領土問題だけ残ったわけでしょう。しかし、聞くところによると、松本
全権の場合はこっちの
主張は
主張として出す、
向うの領土に関する
主張は
主張として出す。出しっぱなしなのです。一体、どういう方式が
考えられるか、いろいろ方式はあると思う。たとえば鳩山さんはこの間混合方式というようなことを発表されたが、これに対して
外務大臣は、
総理大臣はたわごとを言っていると批評された。これでは私は心配なのは、ロンドンのときは松本
全権にくつわをはめたかどうか知りませんけれども、こっちの
主張するだけの権限しか与えられておらない。それ以上にわたってこの両者の
主張をどういうふうな形式でもって妥協できるか、その可能性については何ら討議がされておらないように私ども聞いておるのです。今度は、今までにお互いに
主張を出し合っているのですから、これをどうやってまとめるかということについては、一々
外務大臣に訓令を仰いで
交渉をやる
全権なのか、あるいは妥結ということを目標にしながら、妥結方式についても幅の広い
全権を文字
通り委任を受けて名案ともの
全権として
交渉に臨ませるのか、どうもまだはっきりしない、その点が第二点。第三点は
交渉地ですが、これは佐藤さんが、条件でもなさそうですが、
ロンドンを希望するということを言っておられた。
外務大臣も以前からロンドンの継続だという
意味から、ロンドンが適当だと言っておられたから、佐藤さんと同じ
意見だろうと思うのですが、しかし御
承知のようにソビエト側は東京またはモスクワというような希望を持っている。そういう希望をおそらく言ってくるかもしれない。その可能性は十分あります。さらにソビエト側としては、東京を希望してくる可能性があるのではないか、もしもロンドンを固執されると、
向うからはねつけられる可能性も十分あると思う。そこで私は、最初はロンドンで
交渉し、河野さんは漁業問題ではあったけれども、やはり
日ソ交渉を再開する話し合いもモスクワでやられた。ですから今度は東京でやられるのが順序としては一番いいのではないか、それからいろいろな問題についても、万一領土問題その他でまたはち合せをして、にっちもさっちもいかないような場合に、モスクワでやる場合には、ソビエト側からそういう状態ならもう帰ってくれ、こう言われたときに、帰らざるを得ない。東京ならばそういうときに、これは
日本国内で
意見がいろいろある、自民党の中にも慎重派で署名
運動までしているような状態のときに、そのつど国内に
向うの言い分なり
主張をよく徹底させるというような
意味でも、妥結させるということが今度の
交渉の目標であるならば、私は東京の方がさらに妥結しやすいと思うのですが、その点についての御見解、この三点を
一つ明快に御答弁願いたい。