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穗積委員 われわれがこの重要な点について、細目については、実は御
承知の
通り、両党の間でこの問題の合同協議会がすでにできて、今までに二回やりました。そこで具体的に党の
考え方というものをお互いに話し合って、
全力を尽してやろうということでございます。与党がその決意を示されますならば、与党の手によってできておる内閣ですから、論理的にいえば必ず実現するはずでございますが、そういうことで、こまかくはまたその合同協議会を通じ、または次の十二日に
予定されておるこの
委員会において、現地の諸君の
意見を聞きながら具体的に一つ話をしたいと思う。きょうはこの程度にいたします。
次にお尋ねいたしたいのは、
沖繩に対する
国際法上の問題でございます。それは、第一にお尋ねしたいのは、われわれの考えでは
沖繩に施政権を持つ
アメリカの法的な根拠は、言うまでもなく
サンフランシスコ条約三条によるものだと考えておりますが、現在までのやり方、あるいはその内容等をとってみますと、明らかにこれは第三条違反であると私
どもは思うのです。それについて
外務大臣の御
意見を伺いたいのです。このことが実は施政権回復を
要求する最も大きな政治的または
国際法上の論拠だとわれわれは信じておるのです。そこであなた方の
意見を聞きます前に、私
どもが
沖繩の今日の施政が、実は
条約三条に違反するものであるという論拠を簡潔に三点を申し上げますから、それをよくお聞きになって、これは
大臣から直接お答えをいただきたいと思うのです。
まず第一の理由は、
条約三条によりますと、
沖繩地区は、国際
信託統治に移すことを
予定いたしております。それまでの間暫定的に
アメリカに施政がゆだねられておるのでありますから、
条約三条、締結当時の根本精神は、これは
信託統治に移すべきことが当然論理的目標になっておる。ところが
アメリカはこれに対して
信託統治の手続もしなければ準備もしない。そうして一方的に、
アメリカのみが欲するならば百年でも二戸年でも半永久的に、実は向うの
言葉でいえば半の字は切りたいでしょう。永久的にと言いたいのでしょうが、世間の聞えが悪いから半永久的に、このまま現状で握っておりたいというようなことは、
条約三条締結当時の根本精神をじゅうりんするものでございます。この
条約三条はそういう合意に離しておりません。これが第一点です。
第二点は、半永久的に一方的に今の状態を継続して
アメリカが
沖繩の施政権を握っておりたいという理由は、言うまでもなく軍事的理由によるものでございます。すなわちアジアの平和と安全を保障するために必要である。すなわち必要度は、国際緊張の判断によるわけでございますが、その場合に一方的に
アメリカが決定すべき性質のものではなくして、国際緊張の状態を判断して、そうしてどの程度の時期についてどういう方法によってこれを管理、すべきであるかということは、当然締約国である
日本並びにその他の各国の合憲によってこれを決定すべきものである。合意によって国際緊張の必要性を判断すべきであると思うのにかかわらず、
アメリカが一方的に勝手に、しかも軍部の
要望によってこれを継続しようという態度は、少くともこれは
条約の基本精神に反するものであるとわれわれは解釈せざるを得ない。これが第二の理由でございます。
第三の理由は、これはもとよりいまだ国際
信託統治に移されておりません。移されておりませんが、先ほど申し上げましたように、国際
信託統治に移すことを
予定し、そのことが
アメリカにも義務づけられて、その合意の上で、その暫定期間だけが
アメリカの施政にゆだねられておるのでございますから、従ってその暫定的な施政期間における施政の方法につきましては、言うまでもなく国際
信託統治の
目的の
規定によります精神、並びに
世界人権宣言の基本精神は、この場合もその
統治のやり方、内容については採用さるべきであるとわれわれは思う。それに照らしてみますと、実は私は一々ここで申し上げませんが、
世界人権宣言並びに国際
信託統治の
目的の
規定をとってみますと、今
アメリカが
沖繩でやっておることは、全部間違っておるという
言葉がそのまま都合よくできておるくらい、実はこの
規定に反することをやっておる。すなわち今度の
要望にいたしましても、軍事基地撤廃であるとか、あるいは
日本への完全復帰というのではなくて、四原則はその施政権を認めた上で、最低限度の人権と生活を擁護する人間として生きるための
要望にすぎない。その四原則すら出さなければならぬような、それすら
通りがたいというような
統治の仕方をしておることは、これは明らかに
国際法並びに
国連憲章の精神に反するものであるというふうにわれわれは考える。その三点によってこれは明らかに
アメリカの現在の
統治の方式並びに期間の一方的な宣言については、
条約第三条をじゅうりんするものである。これに違反するものである。従ってこのようなやり方で一方的に半永久的な期
間アメリカが
沖繩を
統治する権限は、法的にはもうすでに失われておる。第三条の基礎になるべき
法律事実はもうくずれ去っておるとわれわれは判断する。そういう判断によって、
アメリカの地位そのものが
外交保護権の問題とか、あるいは一括払いの問題とか、そういう問題に入る前に、現在の施政の現状あるいは
ステータスそのものがくずれつつあると思うのでございます。そういう理由によって申し上げるのですが、以上申し上げましたことにつきまして、
外務省の信念のあるところを一つお示し願いたい。