○重光国務
大臣 虚心たんかいに御協力を願いたいのはこちらの願いでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
外務省の方針を一々言えということでございますが、大体もう申し上げておる通りでございます。従来申し上げておる通りの方針で進んでおります。
旅券の査証をする問題は、外務省としての方針は従来申し上げておるわけでございますが、繰り返して申し上げます。それは、旅券の査証をするという
法律上の権限は外務
大臣にございます。しかしながら、これはたびたびこの席で御議論になっておる通りに、旅行の自由ということは十分に、ある意味において最大限に認めなければならない。そこで査証の権限を運用する場合においても、そういう
考えでもって運用しなければなりません。しかしながらその権限のある以上は、無制限にというわけには参りません。そこで国交の
現状、国際
関係を見、
国内的にも考慮することがございましょう。いろいろなことを考慮して、できるだけ旅行の自由という
考え方を盛り込んだ方針が
政府になければ、最近のように非常にたくさんな数になりますと、それを審査する方針がなければ、
事務当局において審査するということに非常に困難を感じますから、その大体の方針を立てて、それによって個々の場合を審査して、査証を出す出さぬということをきめることが一番便宜であろう、旅行者にとっても便宜であろう。これは査証を全部出すということなら問題ございません。また全部出さぬというなら、これも簡単であります。しかしそうは参らないので、いろいろ審査をする、考慮する大よその標準というものをきめる必要があると思います。(
穗積委員「最近きめられたその標準をお示し下さい。」と呼ぶ)これは
政府の内部の、内規は公けに発表するのはいかがと思います。で、その都度々々大体――これは外部に対する法規ではございません、心得でございますから、その
政府内部の取扱いの心得は、私は発表することは穏当でないと
考えております。(
穗積委員「秘密にするその理由は。」と呼ぶ)これは
政府の内部の内規でございますから……(「理由はないじゃないか」「内規だから……」と呼ぶ者あり)そういう理由でございます。そういう理由で全部発表するというわけに参りません。
それから次はシリアの武器の問題でございます。シリアの武器の問題については、武器を輸出するということは、私はこの前に、こういう問題は慎重にしないといかぬと思います。しかし問題は、完成した武器とか材料とかいうのは、専門的に言えば、どこまでが完成とかどこまでが材料ということになりましょう。しかし材料を売るということは別として、完成した武器を売るという話はないように
承知いたしております。そこでこういうことは――武器を売るということは慎重にしなければならぬという御趣旨には同感でございます、こうお答えいたしております。なお向うからどういう商談の持ち込みがあったかという一々のことは、実は私は存じませんから申し上げられません。しかしこういう問題については、御趣旨のようにきわめて慎重な態度で取り扱っておるということは、はっきり申し上げることができます。さらにまた、そういう同じような意味のことを繰り返して申しております。
その後この問題はいろいろ新聞にも書かれたのでございますが、私のさようなお答えは、その通りに外務省でやっております。またその通り取り扱うつもりでございます。
それから幹部会で云々ということがございましたが、これは幹部会にこの問題が出たかもしれませんが、むろん幹部会なるものの内容は外部に出るわけもございませんし、また出たわけではございません。幹部会はいろいろな議論があっても、それは私の申し上げた趣旨によって動くのであります。また動かなければならぬことは当然でございます。その問題について、どういうことがあったかということは、面会申し上げました通りに私よく心得ておりませんから、一々のことはまた別によく取り調べるなり、また係の者からでも申し上げることにいたします。
それから日比賠償のことでございます。日比賠償のことはこれまたたびたび御説明申し上げた筋で進んでおります。どの程度まで申し上げましたか、この前はいよいよ取りきめ案文の起草を交渉する段取りになっておるというところまでは、
お話いたしておると思います。その取りきめ案文の起草の交渉が進んで参りまして、その途中において藤山特使も帰ってみえましていろいろ打ち合せをして、そしてまた帰任と申しますか向うへ行ったわけでございますが、それによってさらに交渉は進捗をいたしまして、昨今は大体最後の会談に達したとこう言ってもいい状況にあります。これは私は衆議院には多分明日、日比賠償問題に関する最初からの経過の報告をいたす
考えを持っております。大体取りきめの見込みが十分につきました上は――今日はまだ最後までは参っておりませんが、明日あたり報告をいたしたいと
考えておることは申した通りでありますが、その上はまた調印の
ための全権団もすぐ組織いたしまして、遅滞なく派遣をするように相なるだろう、こういう状態でございます。(
穗積委員「いつきめるのですか。」と呼ぶ)いつきめるということはまだはっきり申し上げられません。報告の段取りに至ったらばすみやかに決定の順序になるだろう、こう思っております。(
穗積委員「今国会に出すつもりですか。」と呼ぶ)全権の任命は出さなければならぬのです。これは成規の通りに取り扱います。必要な手続をとらなければなりません。(
穗積委員「
協定そのものは今国会に間に合うつもりでやるのですか。」と呼ぶ)なるべくすみやかに、今やっております。
それから漁業交渉のことを
お話でしたが、漁業交渉はまだ始まっておりません。今
政府代表を派遣して途中にあることを申し上げます。いずれ不日モスクワで始まることと思います。
それから日中間の郵便取りきめの問題というのは、郵政省当局で事務的に検討はしておるようでありますが、まだ
政府としては何らこれを検討いたしておらない、方針は決定しておらない、こういう状況でございます。(
穗積委員「やるつもりですか。」と呼ぶ)今検討しておりますから、その上で決定をいたします。