○高
碕国務大臣 御
承知のように、昨年
日本の
輸出貿易は、われわれの予想しておりましたよりも急速に進歩をしたのでありますけれ
ども、これは必ずしも
日本の
状況がよかったということだけではなくて、
世界の景気がよかったためにああいう結果になったのでありますが、これをいつまでも望むことはできないから、どうしても新しい
方策を講じて、
輸出を振興していかなければわが国の
経済が自立できないということから、今後の
経済的外交を促進していきたいということが、今後の
経済自立計画に対する重要な点だと存ずるわけであります。その
意味におきまして、今後の
輸出は、できるだけ
プラント輸出というものに重点を置きたい。そうしてブラント
輸出すると同時に、ある程度
投資をし、ある程度
人間も送るということをやっていきたいと思っておるわけでありますが、いろいろ検討いたしてみますと、大体フィリピンから
東南アジアにかけましての一年の彼らの
計画を見ますと、約四十四億ドルくらいずつ
計画を立てているようであります。これは最近にその
数字の内容がわかりましたから差し上げたいと思います。けさようやくできました。それからトルコを初め、
中近東におきましては、大体一年に六億四千万ドルくらいの
開発計画をするということになっております。それからメキシコ、
アルゼンチン、
ブラジル、
中南米等におきましては、約八億二千万ドルくらいの一年の
計画を立てる。合計いたしますと、
日本よりも未
開発の国におきましては、相当大きな
計画を立てるということになっておりますから、それに順応して
日本の
機械類を
輸出し、それに応じて
プラント輸出をしようじゃないかというのが
目的なのでございますが、従前から見ますと、その国は、いずれも
資本が不足しておることでありますから、相当に
外資を持ってこなければならぬという建前でございますが、かりに
東南アジアだけで申し上げますと、今までどのくらいの
外資を持ってきておるかということを概算してみますと、
開発用として二十二億ドルくらいの
外資を使用しておるわけであります。これは
東南アジアだけであります。(「何年間ですか」と呼ぶ者あり)現在までにです。(「戦後ですね」と呼ぶ者あり)そうです。戦後
開発用としてこれだけの
外資を持ってきているわけであります。その中を見てみますと、コロンボ・
プランでそのうち十一億ドルくらい持ってきている。それから
世界銀行から二億七千万ドルくらい持ってきている。
アメリカの
輸出入銀行から七億ドル待ってきている。
ソ連からは約一億ドルを持ってきている。こういう状態になっておりまして、これを受け入れる国といたしましては、できるだけ
ひもつきでないということ、できるだけ低
金利で
条件のいいものでなければならぬということを今
各国ともねらっているわけであります。そういうこともわれわれは頭に置いていかなければならぬという
考えであります。そこでいろいろの点から考慮いたしまして、
日本といたしますれば、ベンディングになっております賠償問題をいっときも早く解決すると同時に、
日本の持っている
工業力によって、
プラントを
輸出し、
技術、特に熟練工を持っていくことが一番必要であります。現在、
ドイツ、
アメリカを初め
各国とも
プラント輸出をしておりまして、
投資もいたし、いろいろなことをやっておりますが、一番不足しているのはこの熟練した
技術者であります。御
承知のように、
ヨーロッパ方面では
完全雇用を実現しているというような
工合で人が足りないということでありますが、それにつけ加えて、
日本のいい
技術者を持っていくということを付加していきたいという
考えでございます。ただ
日本とすれば、
機械はある程度
長期で、場合によればある程度
投資もするとかいうようなことも
考えられるが、金を持っていくことは、
日本の
現状ではなかなか許されない
状況でありますが、といって全然出さぬわけにもいかないから、できるだけ
日本の力で
資本も
機械も
人間も出していきたいと思っておりますが、これのできないところだけは、やはり
外国の力を借りていかなければならぬということで
研究をしたいと思っております。ところが
外国の力を借りますと、その国々に応じて
国民的感情がありますから、ある国では
アメリカの
資本はいやだ、ある国では
アメリカの
資本でもいいといういろいろな
考え方がありますから、その点もよく考慮しなければならぬ。そういうことで問題は単純に解決できないのであります。いろいろ
各国の
実情等を検討いたしておりますが、この
各国の
実情を検討いたします上において、一番有力なる材料になるものは何だということになりますと、
今中南米の
ブラジル及び
アルゼンチンにおいて、
ドイツだとか
イタリア方面が、今
日本のやらんとしている
方法と同じような
方法で、過去において
プラント輸出をし、あるいは
長期の
投資をしておりますから、その
条件、
状況等をいろいろ検討いたしました結果が、ようやくきょう印刷にできたようなわけであります。これはこの間
和田先生の
お話もあったものでありますから、御検討願う上においてできるだけ広く配付して御検討願いたと思っているわけであります。以上私の
考えましたことを率直に申し上げたわけでありますが、これは
政府全体といたしましてはまだよく
連絡もとれていないようでありますから、こういう点を基礎といたしまして、大蔵省なり
外務省なり通産省なりと打ち合せをしていきたいと存ずるわけであります。