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1956-04-04 第24回国会 衆議院 外務委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月四日(水曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 北澤 直吉君 理事 須磨彌吉郎君    理事 高岡 大輔君 理事 山本 利壽君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    伊東 隆治君       植原悦二郎君    江崎 真澄君       大橋 忠一君    加藤 精三君       木崎 茂男君    菊池 義郎君       並木 芳雄君    福田 篤泰君       松田竹千代君    松永  東君       大西 正道君    田中 稔男君       森島 守人君    和田 博雄君       岡田 春夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 重光  葵君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         外務政務次官  森下 國雄君         外務省参事官  法眼 晋作君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (情報文化局         長)      田中 三男君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房経済協力         室長)     佐瀬 六郎君         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      佐々木庸一君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 四月四日  委員相川勝六君、園田直君、福永一臣君及び渡  邊良夫君辞任につき、その補欠として松田竹千  代君、加藤精三君、木崎茂男君及び松永東君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月三日  太平洋地域原水爆実験禁止等に関する請願(  高橋禎一紹介)(第一七二八号)  同(中川俊思君紹介)(第一七二九号)  同(西村彰一君外二名紹介)(第一七三七号)  同(石山權作君紹介)(第一七三八号)  同(高津正道君外一名紹介)(第一七三九号)  同(淡谷悠藏君外三名紹介)(第一七四〇号)  同(今村等紹介)(第一七四一号)  同(田口長治郎君外四名紹介)(第一七四二  号)  同(前田榮之助君紹介)(第一七四三号)  同(栗原俊夫紹介)(第一七四四号)  同(西村彰一君外一名紹介)(第一七四五号)  同(福田篤泰紹介)(第一七七九号)  同(木原津與志君外一名紹介)(第一七八〇  号)  太平洋地域原水爆実験禁止に関する請願(  安平鹿一紹介)(第一七四六号)  同外二件(鈴木茂三郎紹介)(第一七四七  号)  同(帆足計君外一名紹介)(第一七四八号)  同(越智茂君外一名紹介)(第一七四九号)  同外九件(越智茂紹介)(第一七五〇号)  同外二件(關谷勝利紹介)(第一七五一号)  同(森三樹二君紹介)(第一七五二号)  同(久保田鶴松紹介)(第一七五三号)  同(穗積七郎紹介)(第一七五四号)  同(山花秀雄紹介)(第一七五五号)  原水爆禁止措置に関する請願山口シヅエ君外  二名紹介)(第一七八一号)  同(福田篤泰紹介)(第一七八二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際金融公社への加盟について承認を求めるの  件(条約第一号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  国際金融公社への加盟について承認を求めるの件を議題といたします、質疑を許します。高岡大輔君。
  3. 高岡大輔

    高岡委員 大臣にお伺いいたしますが、この前大臣にいろいろお伺いいたしましたときに、低開発地域という問題について、日本政府として考えていらっしゃることは大体どこでありますかという質問に対して、東南アジアというものはほとんど対象にしていないのだ、おもに日本だというお話がございましたが、お帰りの際にそれは違うという御説明をまたなさいましたが、時間の都合がございましたから私はあえて質問をしなかったのでありますが、そうなりますと問題がぼけて参りますので、この際もう一度大臣から御説明を願いたいと思います。
  4. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在の日本といたしましては、投資する以上は、なるべく日本中心考えたいということで考えておったわけなのでありますが、それでインターナショナル・ファイナンス・コーポレーションにつきましては、これは投資する以上日本のためになることだ、こういうふうに感じておったわけでございます。いろいろ内容を調べてみますと、これは日本には持ってこられないということは、規則にはないわけでございますが、しかしどちらかというと、未開発地域に重点的にやるということになっておるわけでございますから、コロンボ・プランにおきましては御承知のごとく、日本援助をする国に回っておるわけでございます。そういう建前から申しましても、日本といたしましてこれを東南アジアの未開発地域に使うということについては、これを認めなければならぬ、また認めるべきものだ、さように訂正さしていただきます。
  5. 前尾繁三郎

  6. 岡田春夫

    岡田委員 高碕さんに実はいろいろお伺いをしたいのでありますが、時間はどのくらいよろしゅうございましょか。
  7. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 十一時半から四十五くらいまではいいと思います。あなたの御質問はできるだけゆっくりお聞きしたいと思います。
  8. 岡田春夫

    岡田委員 それでは大臣が私には特にゆっくりという御希望もありますので、一つお伺いいたしますが、御承知のように今IFCのことについて質疑をやっているのですが、この点については実はずいぶん問題があるわけです。そこでまずその前提になるものとして、このIFCによると、資本金が一億ドルで、東南アジアに対する経済援助としてはあまり大きな期待はできないのではないかという点を、あとでだんだん詳しく申し上げますけれども、そうすると日本政府としては、何か別途な新しい構想に基いて経済協力態勢考えるべきじゃないかと私は考えているので、こういう点は経済企画庁長官として、日ごろからうんちくを傾けていろいろと御研究のようでありますので、この機会に日本政府としての新たなる経済協力構想についてお漏らしをいただけばけっこうだと思います。
  9. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 東南アジアの経済的の開発につきまして、日本立場等につきまして、これはいろいろの案がございまして、政府といたしましてはこれは現在慎重に検討中でございますから、政府といたしましての案はただいま決定されてはおらないのであります。従いまして私の申し上げたいと存じますことは、これは私の個人の考えでございますということで御了解をいただきたいと思います。  いろいろな案がございますが、日本として一番先に考えなければならぬことは、東南アジアに対しては賠償を解決するということが一歩の先決問題だと存じます。それで賠償を解決するということは、これは単に日本戦争に負けた、その代償として払うとかいうふうな簡単なことでなくて、賠償という言葉はこれは英語で言うと、レパレション、レビルド、もう一ぺん立て直す、やり直すということであります。日本戦争において相手国に損害をかけたものを、もう一ぺんもとの通りにやり直す、これが日本義務だ、こう存ずるわけであります。従いましてばくちに負けたから、それだけの金を払ってしまえば、それであと責任が解除されるということと違って、法理上はあるいはそれでいいかもしれませんが、徳義的に考えて、どうしてもその国を再興しなければならぬ責任があると私は感ずるのでございますが、この意味から申しますと、現在御承知のごとく日本賠償として払うように決定されましたものは、ビルマに対して年に二千万ドルという資本財を持っていくということに相なっておるわけなのであります。フィリピンとの賠償は今日まだ折衝中でございますが、大方の結論といたしましては二千万ドルないし二千五百万ドルの資本財を持っていかなければならぬ。同様にインドネシアに対してもやはりそれくらいの金額は出さなければならぬが、そういうことから検討いたしますと、一年に日本がこの東南アジアの被賠償国に払う資本財というものは、少くとも六千万ドルないし七千万ドルというものを持っていかなければならぬ。ところが七千カドルという資本財ほんとうに活用して、その国のためによく利用するには、その約倍の金が要るわけなのです。簡単に申しますと、七千万ドル払えば一億ドルの金がなければ、それが完全に動くことはできないわけなのです。二億ドルというのも一年に二億ドルでありますから、かりに製鉄所を立てるといたしますと、百万トンの銑鋼一貫作業の広畑くらいの工場を二つ建てなければならぬ。かりに電源開発にいたしましても、佐久間計画が非常に大きいと申しましても、あれが三百七十億円くらいでありますから、あの佐久間発電所を約二つ一年に建てる。これは大へん大きな仕事なのでございます。日本賠償として払います以外に要する資金というものは、非常に莫大なものである。賠償を受けた国がこれだけの資金供給ができるだろうかということは、われわれ賠償を払う側からいったら、心配にたえないわけなのです。しかし賠償をもらう方から言えば、要らぬことを心配してくれるな、お前の方はただ払えばいいんだ、おれの方は勝手にやるんだからと言うかもしれませんが、この金の問題が起って参りますということと同時に、あれだけの計画を達成するのには、なかなか容易ならぬ数の人間が要るわけなのでございます。種類がいろいろございまして……。それで現在ビルマにおきましても、三十年度に大体四十億円か五十億円払う予定でありましたところが、現在の状態ではようやく十億円くらいしか払えていないわけなのです。これは二千万ドルでありますから、来年は相当大きな金額を払わなければならぬ。それだけの資本財を持っていっても、なかなか利用するということが困難であり、かつ相手方にはそれを利用するだけの資金が足りない、こういう状態でありますから、この資金供給をどこからか受けなければならぬ。そういうふうな計画を全部日本側が立てて、資金はこういうふうにする、こういうふうに運営するということをやっていけば、日本はまた経済侵略をしてくるのだというふうな疑惑を相手方に抱かしめる心配が一つあるということ、またアメリカならアメリカ一国から、日本は金がないから金を出してくれといって借りるというようなことになっても、これはアメリカ資本進出であって、これに対するひもつきになるだろうというようなことも考えられる。そういうようなことから考えて、できるだけ多数の国々了解を得、協力を得て、そうして日本の足りない資本、その国の足りない資本を出し合っていこう、それにつきましてはIFCの組織のこときが利用されることは非常にけっこうだと思いますが、ただいまお話のごとく、これに要する金というものは相当大きな金でありますから、とてもそれだけではいかない、こう思うわけなのでありまして、その意味において東南アジア全体という問題よりも、まず差し迫って日本といたしましては、賠償を払う相手方国々に、われわれが払う資本財を有効適切に活用せしめて、十年、二十年先に日本賠償によってこれだけのものができたということを、はっきり見せてやることが両国国交のためにいいことでありまして、私どもが今一番遺憾に感じておりますことは、終戦直後賠償の一部分として日本から提供されましたあのりっぱな工作機械、これが中国なりフィリピンに参っておりますが、私はフィリピンの現状はよく見ておりませんけれども、中国に参りましたあの工作機械のごときは、ちょうど私が参りましたとき向うで取り上げておる坂中でありましたが、これを利用する方法がつかない、これを利用するためにまた設備が要る、それで雨ざらしになっている。こういうような実情も知っておるわけでありますから、下手をやれば、われわれが汗を流して送ったこの賠償の物が雨ざらしになって、何ら寄与することにならぬということになれば、両国のために非常に遺憾に思いますから、これを利用し活用するということのために、どうしてやるかということを、日本としては一番先に考えなければならぬ。これが、われわれの考えておる根本の方針でございます。
  10. 岡田春夫

    岡田委員 大臣からいろいろ御懇切な御答弁をいただいたのですが、ただいまのお話の中で大臣も御心配をされておられるのは、日本東南アジア諸国経済協力をする場合でも、アメリカひもつきになっておるようなものでは、結局これは成果をおさめないのではないか、こういう点はお話通りであると私は考えます。そこでこのIFC国際金融公社というやつは世界銀行姉妹公社として作られるわけなのだが、東南アジア諸国から見れば、これはもうアメリカひもつきであるということは目に見えておる、それだけにこのIFCに期待するということは私は困難じゃないかと思う。しかも資本金からいっても一億ドルぐらいですから、今の日本賠償対象として考えておるその関係から申しましても、少くとも年間二億ドルの出資が必要であるとするならば、このIFCだけではとても問題にならない、むしろこういうものを相手にすることによって、東南アジアとの経済協力日本にとってマイナスになると私は考える。むしろ新たなる構想によってやるべきものであると私は考えるのですが、この点についても後段いろいろと伺って参りたいと思いますが、これは実はあまり時間がありませんから、具体的に申し上げますけれども、高碕さんの今の御答弁を通じて考えてみても、高碕さんがおやりにならなければならない東南アジアとの経済協力について、義務関係があるはずなのです。それは何かというと、ハンドン会議高碕さんは日本政府代表としてお出になった、その会議最終コミュニケの中のAの経済協力の第三において、国連経済開発特別基金早急設置、これが出ております。これはSUNFEDというやつです。SUNFED資本金は大体二億五千万ドルぐらいの予定で、東南アジアの各地においてはこれを全面的に支持しておる。バンドン会議においても初めからこれはさまっておる。だとするならば、高碕さんはバンドン会議で満場一致の賛成のときに一緒に手をあげたはずなのだから、これをやらなければならぬ義務があるはずなのです。このIFCなんというアメリカのいいかげんなひもつきなものをやるよりも、高碕さんの義務としては、これをやった方が資本金が一億五千万ドルもあって、今の賠償の問題からいってもより効果的であると考えるのだが、これについてはどうお考えになりますか。特にSUNFEDの問題については、先日も日本政府として態度を決定して国連に対して回答しているわけです。そこまできているだけに、これを積極的に支持するという態勢を明らかにされることが、今高碕さんのお話しになった東南アジアとの経済協力関係を全うし得ることになると思うのですが、この点はいかがでございますか。
  11. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまのSUNFEDの問題につきましては、私はこれは実行しなければならぬことだと思っておりますが、どの程度に話が進捗しておりますか私はよく存じませんが、政府当局からお答えいたします。IFCの問題につきましては、岡田さんはこれはアメリカひもつきだというふうに断定されますけれども、これは世界銀行というものはアメリカだけの銀行でなくて、世界冬山がこれに参加しておるということでありますが、世界銀行の今までの運営方針等を見ますと、どうもやはりアメリカにひいきするように見られますから、これははなはだよろしくないことだと思っております。たとえば世界銀行が融資する場合にも、アメリカ機械を買った方が進行しやすい、これは日本機械を買うとか、あるいはドイツ機械を買うとか、あるいはイギリス機械を買うよりも、その方が早く進行しやすいような気配があったものでありますから、そういうことがないようにわれわれはよく注意してみますと、これは原則としてはそういうことはやらないで公正にやっておるわけでございます。ということは、各国とも全部その株主でありますから……。今度のIFCの問題にいたしましても、これは資本金は一億ドルでありますが、やはりこれを基礎に置いて、そうしてアメリカ市場なり世界市場において社債を発行して、社債発行によって得た金額を投資に充てる、こういうことになっておりますから、これは必ずしも一億ドルで限定されるというふうにお考えになるということは少し小さいと思います。これは仕事工合によればもっとふえるだろうと思っておりますが、今お話のごとく、えてして世界銀行なり、あるいは今後IFC運営等につきましては、アメリカ中心になっているというきらいがあるというような気分もありますから、これはないように十分注意して実行していきたい、事実それはあるのでございます。それをないようにするということは、われわれが金を使うときによく話をすればいいわけでありますから、そういうふうにやっていって、これはこれとして利用していくようにしたらいいだろう、こう存じております。
  12. 岡田春夫

    岡田委員 実はないようにしたいとおっしゃるのだが、あるようになっておる制度になっておる。これはどうしてもアメリカから離れられないような状態になっているわけです。これは世界銀行日本に対する借款を見たって、アメリカひもをつけるような形でやっていることは現実です。これは大臣御存じ通り。なぜかといえば、これは国際金融公社というのがそもそも起ってきたのは、一九五四年の三月、これは南米のベネズエラのカラカスというところでアメリカ中心になって反共宣言をやったわけです。アメリカ反共宣言をやったときに中南米諸国は、アメリカというのはけしからぬ、東南アジアの方にばかり資金を投下しておって、最近はどうも中南米の方は相手にしてくれぬじゃないか、そうしてこの中南米資金を投下するために、カラカス宣言附帯決議として国際金融公社法という構想でいきましょう、この一億ドルの金は東南アジアにやるのではなくて中南米にやるんですよ、こういうひもをつけられて出されておる。しかもこれはアメリカ中心でやりましょうということになっておる。今知らぬ顔してほってあるけれども、こういうような格好で日本資本金を入れ上げて、そうしてほんとう東南アジアに幾らか金が来るかと思っていい気になって待っておっても、金は来ませんよ。というのは、大体中南米に行くのが主だろうと思います。しかもそれが行くのは、反共宣言のときに中南米のこういう部面に対して何とかこれをやわらげるために、ダレスという男が中南米のお前の方に金をやるから、まあまあといってやっているのだから、これはアメリカひもつきは明らかですよ。そういうものに対してそうでないようにするとおっしゃっても、高崎さん何ぼ偉いか知らぬけれども、そうはいかぬですわ。こういう事実を知った上で具体的な対策をお持ちになるならば、その点お伺いしたいと私は申し上げるわけです。しかもこれは資本金のうちアメリカイギリスの株は四九・五%です。事実アメリカの力が大きいことははっきりしているのですよ。これは公社法うしろを見ればちゃんと出ております。日本が何ぼさかトンボになったところでこれはだめですわ。
  13. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの何は、加盟国投票の総数からいいますと、十四万票のうちで米国はIFCの中に三万五千、約四分の一しか持っていないということになっております。多少今の数字と違うように思います。
  14. 下田武三

    下田政府委員 出資の率と投票権の数とは比例しておらないのであります。出資の率よりもむしろ投票権の数を少くしておる。つまりたくさんの出資をいたしましても、少しの出資をいたしましても、ある一定限度、たしか千票と思いますが、千票は出資の多寡にかかわらず割り当てるという民主的な割当方法をやっておりますので、一律千票の上に今度は一株につき幾らというふうに加算いたしております。
  15. 岡田春夫

    岡田委員 大臣お急ぎのようですからこれはあとで伺うことにして、先に大臣質問をいたします。  重要な問題がありますから一つ伺いますが、大臣にまず第一点として、今度は新たな問題について伺っておきたい。最近アジアアラブ諸国に対して、いわゆる東南アジアを初めアラブ諸国に対して、ソビエト側経済協力経済援助がどんどん進んでいる。そうしてその反面、アメリカ経済援助に対しては、これらの新たな独立国はきわめて冷静な、批判的な態度をとりつつある。昨日の朝日新聞によって外電を通じて見ても、エジプトナセル総理大臣は、アスワン・ダムの問題については、現在のところはアメリカイギリスと交渉しているのだけれども、アメリカイギリス条件がそろわないのなら、これはいつでもやめてソビエトに切りかえますよと言っている。これはもっともな話だと思います。というのはアスワン・ダムに対してはたしか年賦償還の面を見ても、ソビエトが三十年の年賦償還、ところがアメリカはたしか十六年か二十年だったと思います。金利の面から考えてみても、世界銀行は年利四・六%ぐらい、ところがソビエト援助は二%、こういう工合にはっきりしているだけに……。     〔「政治目的があるからだ」と呼ぶ者あり〕
  16. 前尾繁三郎

    前尾委員長 静粛に願います。
  17. 岡田春夫

    岡田委員 そういうふうに、これは経済人であれば安い方を借りるのが当りまえなんだ。そういうように安いものを借りるような状態であるだけに、東西の経済援助の問題についてはソビエト進出が著しい。この実態をあなたはどのようにお考えになりますか。今ここで頭の白いのが、何だかたくらみがあるからだと適当なことを言っているが、これは何も知らないからだ。こういうような大きく台頭してきたアジアアラブ諸国に対する大きなソビエト経済協力の問題、こういう問題についてあなたはどのようにお考えになりますか。日本アメリカ一辺倒政治をやって、アメリカにくっついて東南アジア経済協力をしようなんて、これはできないと思う。こういう点については経済企画庁長官としての高崎さんは、どういうふうにお考えになっているか。ソビエト経済援助は今後どんどん伸びていくと思うのだが、これについてはいかがお考えですか。
  18. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私は経済人としてお答え申し上げますが、金を借りる側は、安くて長期のものを借りるのが当然であります。しかしながらインド製鉄事業のこときも、ソビエトは二分五厘で二十カ年年賦で貸しているという話ですが、インド政府はそれを同時にドイツとも提携してやっている、あるいはイギリスとも提携しているということでありますから、どちらが有利かということは、借りる方の側に立って考えなければならぬ。特にエジプトナセルとは私バンドン会議でいろいろ話しました。あのダムの問題についても話がありましたが、できるだけ安くて矢川で借りれるところなら、どこからでも借りるという考えを持っているのでありますから、今アメリカ借款世界銀行借款については、はっきりした条件が現在借りておりますからわかっているが、これはなかなか厄介な条件であります。ところがソビエトはどのくらいの条件でやっているかは、われわれの手元には確実な材料がなくて、ただ新聞に出ていることだけで判断しているわけですが、そうなればどの国でも全都ソビエトにいくかというと、そうではない、やはり西欧からの金を借りる、こういうことをやっておりますから、これは利害関係から見ていることと思いまして、今にわかに岡田さんのおっしゃったように、ソビエトは非常にいいというふうに断定することは少し無理があります。
  19. 岡田春夫

    岡田委員 大臣は断定はできないとおっしゃっているが、あなたのところの資料にあるじゃありませんか。経済企画庁調査部調査課が発行している後進地域における東西援助攻勢の本質、これにはっきり書いてあるじゃありませんか。アメリカ援助よりもソビエト援助の方がずっと安くて、どんどん東南アジア諸国に対して進出している。しかも私の許せないことは、これは現実なんだ。どうして現実だということがわかるかというと、これは朝日新聞でも日本経済でも——保守的な日本経済といわれている新聞まで、こういうようにソビエトの方が条件が有利であるということをはっきり言っている。ところがこれが発表されたために、経済企画庁はこれをあわてて二月の一日に回収しているじゃありませんか。なぜ回収したか。しかもニューヨーク・タイムスでこれの概略が発表された、マンチェスター・ガーデイアンで発表された、あるいはニューズ・ウイークに発表された、あるいはオーストラリアのメルボルン放送でも発表された、それであわててしまった。なぜしまったのですか。事実を書いておるのになぜしまわなければならないのですか。あなた自身が自信がないのですか。
  20. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 その問題につきましては先ほど御答弁申し上げました通りに、現在のアメリカ条件につきましては確実にわれわれ知っておるわけであります。ソビエト条件につきましては、各方面の情報をとって、それは私どもの調査官がそれを調べた結果の報告でありまして、これは経済企画庁としての責任ある数字でないという意味におきまして、私どもはこれを回収した。これは経済企画庁の意見だと言われるあなたのような御質問を受けると困ると思ったわけであります。
  21. 岡田春夫

    岡田委員 それでは許されない。だって日本の国内だけならこれを回収すれば知らないということも言えるでしょう。しかしマンチェスター・ガーデイアン、ニューヨーク・タイムスあるいはその他が全部書いているじゃありませんか。そればかりじゃない。私ここで例をあげて申し上げてもいいのだが、ニュヨーク・タイムスでは、これほど日本の国内で勉強している人がいるんだ、こういうように言っているのは、アメリカ東南アジアの在外公館から言ってきている情報と全く一致している。この言っていることは全く正しいのだとまで書いているじゃありませんか。ニューヨーク・タイムスで書いておって外国で認めておることを、日本の国内では、企画庁のものじゃございません、あなた方が言うと困るからというのでは、これはまさに官僚主義です。それでは戦争中の情報局みたいなものです。外には聞えておるが国内には知らせない。アメリカですら支持しているじゃありませんか。それなら勇敢にお出しになったらいい。みんなに正式に資料として配付して下さい。みんながこれを見て研究するのが当りまえです。ニューヨーク・タイムスでも、その他の外交官だって支持していると言っておるのですから、アメリカ一辺倒日本ではむしろ喜んで出した方がいいと思うがどうですか。
  22. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま申しました通りに、政府としてはその問題につきましては、まだ十分責任をもって発表する時期に到達いたしておりませんで、それはその係官が検討した結果を報告いたしましたので、お話のごとく外国の新聞にも出ましたし、特に中共におきましては、それにつきまして非常に賛成した放送等もありまして、それは私どもに入っております。
  23. 和田博雄

    ○和田委員 今の点ですが、高碕さんにお願いしたいのは、政府は大体エカフェなどとよく連絡してやっている。ですから東南アジアに関する限りは相当資料を持っているし、またそれを科学的に、客観的に分析するだけの一応の能力を持っていると思うのです。ですから事天上出た結果は、はやはりそのまま正直に認めて、その上でやはり政策を立てるという態度であってもらいたいと思う。新聞が取り上げてどうこうということも一つのなにになりますが、それよりも自分の方の態勢に自信を持っていただきたい。あなたの言葉を聞いておっても、アメリカひもがついているということはあなたも認められているのだを見て、事実が証明するのですから、今までの長い間の経済援助の問題なんですから、政府はこれらの事実をごまかさぬようにして、それをもとにしてどういう態度をとるかということをはっきりお立てになるようにしないと、僕は政治は間違ってくると思うのですよ。だからこういう調査はやはり世の中に出した方がいいと思うのです。出してみんなの批判を受けた方がいい。間違っておれば非難が出てくるであろうし、事実そうであればみんなによって確認されてくるのであって、やはりそういう態度で現在の東南アジア開発というものはやってもらわないといけない。たとえば政府は今まで東南アジア開発々々と言っておるけれども、言葉の上だけのことであって、事実はちっとも進行しておらないというのが事実だと思います、そのもとはどこにあるかというと、やはり今の国際情勢なり、東南アジアの実態を、あなた方相当材料を持っておるにかかわらず、その事実を隠蔽しておるからである。これは高碕さんは相当に良心的の方であると思っておるから僕は言うのですが、その点はやはり改めてもらいたいと思います。僕はあとで二、三質問したいのですが、その点だけちょっと申し上げておきます。
  24. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまのお言葉はごもっともでありまして、私ども、その意味におきまして、できるだけ真実の数字をとらなければならない、こういうことには十分努力するつもりでおります。これは真実性があるということになったときには、十分責任をもって発表いたしたいと思っております。
  25. 岡田春夫

    岡田委員 私はこれで終りますが、この資料はただいま和田委員からもお話しのように、われわれとしては非常に参考になりますので、この資料を外務委員会に御配付を願うように、これは委員長を通じて要求をいたしておきます。
  26. 前尾繁三郎

    前尾委員長 政府の方ではどうですか。
  27. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまのような了解のもとに配付いたしましてけっこうでございます。
  28. 前尾繁三郎

  29. 穗積七郎

    穗積委員 質問に入る前に、ちょっと議事進行について発言をいたします。私は気がつかぬでおりましたが、調べてみますと定足数が足りませんから、休憩をしていただきたいと思います。
  30. 前尾繁三郎

    前尾委員長 さっきは来ていたのですが、今ちょっと外へ出ておるだけです。すぐ戻ります。   〔発言する者あり〕
  31. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは質問を始めて下さい。穗積七郎君。
  32. 穗積七郎

    穗積委員 私は、この公社協定に関して質問が非常にたくさんございますが、今高碕長官だけ御出席でございますから、高碕長官に対する質問に限って、そして重光外務大臣並びに外務省事務当局に対する質問あとに留保いたしておきたいと思います。  そこで第一にお尋ねしたいと思いますのは、先ほど高岡委員から御質問があって御答弁があったが、私はよく聞き取れなかったのです。重大な点でございますから、明確にもう一ぺんお答えいただきたいと思います。この公社の融資を日本が受ける可能性が現実にあるかどうかということを、あいまいでなくて、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  33. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これは受けられないという規定はないわけであります。この問題につきましては、日本がどうしても必要だというふうなことになってくれば受けることもできると思いますが、しかし、どちらかといえば、未開発国にやるということでありますから、むしろ東南アジア開発に行くということが適当だろうと思います。
  34. 穗積七郎

    穗積委員 非常に不明確な御答弁ですが、高碕長官にそれ以上お尋ねするのは必ずしも適当でないと思いますから経済局長にお尋ねいたします。第一条の目的の中に「低開発地域」における生産的民間企業の成長を助長することを目的とするわけですから、この低開発地域について、協定を結ばれるときにどういう話し合いをされたのか。この言葉の意味も問題でございますが、同時に、実際の運営に当って、この低開発地域の中へぜひ日本が入るということを主張されて、そして関係者が了承したのでございますかどうか。また見通しといたしましても、今高碕長官の御答弁通り、この「低開発地域」とちゃんと明文の中に書いてありますこの文字の中には日本を含まないというのが、協定者当事者間における通念といいますか了解のようにも聞えるわけですが、その点を明確にしていただきたいのでございます。
  35. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 この第一条には「加盟国特に低開発地域における生産的民間企業の成長を助長する」とあります。加盟国であれば、これは援助を受ける資格があるわけであります。しかし重点は特に低開発地域、こういうことになっているわけであります。ですから日本の場合でも加盟国でありますから、これは借りられないことはないわけでありますが、しかしどちからといえば、重点はやはり中南米とか東南アジア、そういったところになる。低開発地域というのに何かはっきりきまった了解があるかといいますと、これはいろいろ経済社会理事会等でも議論をされたことはございますが、後進地域あるいは低開発地域、それについてはさまった定義というものはまだなされておりません。あるいは国民所得を中心にするとか産業開発の程度を中心にするとか、いろいろな議論がなされたことはございます。しかしこれについてははっきりした定義というものはありません。
  36. 穗積七郎

    穗積委員 そこで、そうでありますならば、森下政務次官にお尋ねをいたします。  去る二月十一日に本協定がこの委員会に提案されたときに、あなたは提案理由の説明の中に二つの点を特に強調されております。その一つは、この公社は世界銀行と姉妹関係にある、いわば同性質のものであるけれども、世界銀行による借款を受けることは条件がうるさい、ところがこれを新たに作ることによってその条件が緩和される、そうしてそのことによってわが国の生産的民間企業についても、しかるべき条件を備えた場合には公社から融資を仰ぐこともできることになるわけでありますということを、あなたは明確に言っておられるわけでございます。そういうことをこの協定に参加することの経済的な利益として、あなたはこの協定に賛成をしてもらいたいという重要なる一つの理由としてあげられております。ところが今御説明を伺いますと、これは実際の見通しにおきましては非常に困難である、低開発地域の中に常識的に日本は含まれていないという理解のもとに立っておるわけでありますから、そうなりますと、あなたが正式に政府を代表して国会に提案されました提案理由の説明というものは、あなたの錯誤によるか、あるいは意識してそういうことを言われたとするならば、われわれを欺瞞するものでございますから、この提案理由の克明をもう一ぺんやり直すべきだと思いますが、あなたはどういうふうにお考えになっておられるか。高碕長官にしてもあなたにしても、現在の政府部内では、われわれの見るところではやや良心的分子に見受けられますので、特にあなたにお尋ねするわけでございますから、あなたの良心に従って一つ御答弁をいただきたい。
  37. 森下國雄

    ○森下政府委員 この生産的民間の企業が低いところであるならば、これはできることだと思っております。
  38. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私は、これは日本にも必要だったら当然持ってこられる、こういう解釈でいるわけであります。しかし実際問題としてほんとうに利用してみたいと思いますことは、かりに中南米におきましても、日本人が相当仕事をしておるわけであります。その日本人になるべく持っていくように骨を折ればいいじゃないか。やはり加入する以上は日本が発言力があるということになれば、これをとっておく必要があるだろう。それから世界銀行借款は一々政府の保証をとる、これは厄介なもので、実にいやなんですね。そういうものがないということならいいじゃないか。私はこれに非常に賛成した一人なんでございます。日本にも利用できるし、むしろ海外における中南米それから東南アジアでも、その日本人がこれを大いに利用し得るように仕向けていくべきものだ、こう思うわけなのでございます。
  39. 穗積七郎

    穗積委員 そういう意味でございますと、森下政務次官が説明されましたこの日本語の文章は、そういう意味になっておりませんから、修正をしていただきたいと思うのです。次官、いかがでございますか。そういう間接的な、風が吹けば回り回って何とかがはやるというような式の論理でこういう文章をお書きになったとするならば、この文章ははなはだしく欺瞞に満ちておるかあなたの錯覚であるか、どちらか知りませんが、いずれにしても不適当な文章です。それならそれで、今の高碕長官が言われた意味日本にも間接的な経済利益があるのだというふうに訂正すべきであって、ここに書いてあるのはわが国の生産的民間企業ですよ。中南米または東南アジアにおける日本の農業または商工業の企業者が利益を受けるという意味では書いてございません。
  40. 森下國雄

    ○森下政府委員 これは両方とも古いてありますから、両方とも受けられると思うのでございまして、これをしいて直す必要はないと私は思います。
  41. 松本七郎

    ○松本(七)委員 ちょっと関連して。今の長官のお答えで、低開発地域に融資を受ける、その地域日本人がたくさんいるのだから、それが使えるようにすればいい、こういう御答弁ですが、受けるのはその国が受けるわけですね。それを特にそこにいる日本人が有利に使えるようにするのには、一体何でやるか、日本がその国に対して何かそういう申し入れをするのか、どういうことをやって、それができますか。
  42. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 それはIFCに関する範囲におきましては、国に貸すのではなくて企業団体が借りるわけでありますから、日本の立場といたしましては、その企業団体に当然日本人が入っているという方面にやりたい、こう思っております。
  43. 松本七郎

    ○松本(七)委員 その低開発地域における日本人の団体を特に指定するには、どういうふうに指定するか、それは依然として理事会に働きかけることによってするのか。あるいはその田の団体に働きかけることによってするのかという点を聞いているのです。
  44. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 もちろんその現地における団体は、その国における団体に対して働きかけると同時に、日本全体といたしましては、この理事会にかけるわけであります。
  45. 松本七郎

    ○松本(七)委員 理事会だけですか。
  46. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 そうでございます。
  47. 穗積七郎

    穗積委員 それは次官、率直にお認めになったらどうですか、そんなおかしなことを言わぬで……。説明が不十分ですよ。それならそれで、その事実に従って審議しようじゃありませんか、それをこういうふうな言葉で欺瞞してやるということは、私は非常に不適当だと思うのです。
  48. 森下國雄

    ○森下政府委員 わが国の生産的民間企業についても、しかるべき条件を備えた場合には、公社から融資を受けることができることになるわけであります、いささかまわりくどい点がなきにしもあらずでありますが、私はこれでいいと思います。
  49. 穗積七郎

    穗積委員 両局長がそばについていられて、いろいろなことをサゼストされてお答えになったようでありますが、局長にお尋ねしますが、これは率直にお認めにならぬですか。実情はこうであるから、どうですか。
  50. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 ただいまのお話でございますが、わが国の生産的民間企業は相対に融資を受けられないということがはっきりしておれば、これは間違いであります。そうじゃなくて、そういう可能性もあるわけでありますから、それは間違っていないと思います。
  51. 穗積七郎

    穗積委員 いやそれは可能性も絶対にゼロだということは、私は文章の上から理解して、期待もしないし、言ってもいないわけです。しかしながら現実の見通しとしては、その可能性は非常に薄いということを政府みずから認めて答弁しておられるわけですから、そういう意味であなた方の説明がそのまま理解できるような文章に提案理由を書きかえる必要があるのじゃないかということを聞いておるのです。だから文章にそういうふうな説明を加えたらどうかというのです。おかしいじゃありませんか。なぜおこだわりになるのでしょうか。
  52. 下田武三

    下田政府委員 提案理由の説明は勢い簡単にならざるを得ないのでありますが、これをもう少し詳しく申しますと、こういうことでございます。わが国の生産的民間企業、この企業がどこにあるかということをここに書いてないわけであります。第一は日本にある場合、これは可能性は排除されておりません。それから第二は、日本人の民間企業が低開発地域で行われる場合、これは協定が特にそういうものに融資すると書いてありますから、これは非常に受ける可能性があるわけであります。その二つの場合を分析して書きませんでしたのは、通例提案理由の説明は簡単にいしておるからであります。
  53. 穗積七郎

    穗積委員 だから今のは提案理由の説明を追加されたとして理解してよろしゅうございすか。
  54. 森下國雄

    ○森下政府委員 よろしゅうございます。
  55. 穗積七郎

    穗積委員 なぜ早く認められないのですか。そんなことをこだわる理由はないじゃないですか。そういう態度では、ことごとにこれから私は質問しますが、時間がかかるばかりですよ。  次に高碕長官にお尋ねしたいと思っておったのだが、長官が行かれてしまったから、議事進行について委員長に申し上げますが、重光外務大臣が来たので、国際情勢と両方やるわけですか。
  56. 前尾繁三郎

    前尾委員長 国際金融公社質問をやって下さい。
  57. 穗積七郎

    穗積委員 重光外務大臣にお尋ねいたしますが、この公社協定に加盟することによって日本円で十億円ばかりの出資をするわけですが、それは日本の対外投資の一部すぎないのでございましょう。従ってそれとの関連において日本全体の対外投資の計画について御説明をいただきたいと思うのです。なおちょっとつけ加えて要旨をはっきりしておきたいと思いますが、ダレス長官が参ります前に、政府当局においては、特に東南アジア対象とする対外投資について、あなたも参加されて、石橋さんと一萬田さんと高碕さんと、大体四人で御相談なさって草案ができているようにも伺っているのですが、それらの点も関連しながら御説明をいただきたいと思います。
  58. 重光葵

    ○重光国務大臣 それじゃ私からお答えいたします。この公社に関する日本の出資金のことは御承知通りでございます。それで御質問の要旨は、東南アジア開発等について何か政府出資の案がありはしないか、こういうことに帰着するように存じます。そのことについては、結論的に申し上げれば、まだ案がない、検討中でございます。これは検討中と申しましても、特別のなにをもって検討しているというよりも、今いろいろ考案を練っている、討議しているという状況でございます。これは私といたしましては、東南アジア方面の経済開発と申しますか、経済問題については、日本としては十分積極的に考えなければならぬと思うのでございます。さようなことについて意見は折々述べておりますけれども、まだ具体的の案はできませんことを申し上げます。
  59. 穗積七郎

    穗積委員 私の記憶では、日時ははっきりいたしませんでしたが、今までに特に一萬田さん、石橋さん等から、その問題についてアメリカのダレスまたはアリソンに、こういう構想についての意思表示をされて、相手援助または相手考え方を打診された事実があるようにわれわれ伺っておるのです。もしそうだとするならば、何らかの案がすでに政府部内できまっておらなければならないと思うのだが、今外交の、対外関係責任大臣であるあなたが、そういうことを知らずに、高碕、石橋、一萬田各大臣の、政府の意見でなくて、個人的な意見として打診されたわけでありましょうか。もしそれがそうだとするなら、さらに前に進んでお尋ねすれば、そういうことが相手方に与える影響は実は個人の問題ではなくて、政府部内である程度の検討を加えたものとして受け取るのは当然でございますから、そのときに向うが全然問題にならぬとしてこれをネグレクトすれば別でございますけれども、この基本構想については、何らかの賛意を表したような報道すら行われておりました。そうだとすれば、その発言が相手方に対しても一つの責任を生ずることにもなるわけですが、あなたが御存じないというようなことは——今まできまっておらなければきまっておらぬでよろしゅうございますが、今までの論議された経過だけでもけっこうですから、どこまでいっている、どういう視点に立っておるというような、大づかみな点を伺っておくことがこの対外投資に協力する、公社協定を審議するのに必要なことであると思いますからお尋ねするわけであります。そういう含みで逐一経過並びに概要を御説明願いたいと思うのです。
  60. 重光葵

    ○重光国務大臣 御趣旨はよくわかりました。しかし私のそれに対するお答えは、はなはだ貧弱であることをお断わりいたしておきます。私はこの間の事情をよく承知をいたしております。そしてこれらの閣僚とは意見の交換もいたしております。それは事実でございます。しかしアメリカ側と直接交渉をしておるということは、まだその域には達しません。私はこういうことについて閣内の意見、政府の意見がある程度まで具体化すれば、それは何もすべてそういうことを外務省を経て私が局に当らぬでも、また専門家の会合等によって事を進める方法がありますから、それを私は取り計らおうと思っております。今日までもしばしばそういう考えを持って、専門家に寄ってもらったことがあるのでございます。しかしそれはそれで私はいいように考えます。私はよくその辺の事情を心得てかじをとりたい、かように考えます。ただし今申し上げる通り、まだそこまで——そこまでと申しますか、われわれの間の考えも十分練られておらぬという状況であることを申し上げます。
  61. 穗積七郎

    穗積委員 しかしそれはすでに国会で、明言はしておられませんが、だから実はその火つけ役の一人である岡崎さんにきょうそのことを伺おうと思っておったのです。しかしもうすでに退席されましたからこの次にいたしたいと思いますが、すでに新聞紙上その他には——これは信用すべき新聞発表によりますと、特に高碕、一嵐田、両経済相の間でそういうような構想をすでにある程度素案を持ちながら話合いを進めているということであります。実はこの問題を審議するためには、あなたから十分御答弁をいただけなければ、それらの関係経済相の御出席を求めてお尋ねをいたしたいと思いますが、その内容についてはきょうはあえて深入りをしないで、他の経済閣僚にお尋ねをすることにして留保いたします。  次にこれに関連してお尋ねしたいのは、もしそういう構想があっても全体としてやるならばけっこうなことだというふうにお考えになるならば、この公社協定の投資の対象地域は、中南米または東南アジアということが、地域的にはもう当然考慮されておるわけでございます。予想されておるわけです。そうでありますならば、この公社を通じての投資と、それから日本の独自な方針によりまする投資との関係は、同地域に向って同じものを対象として競合することになるわけでございますが、その間における二つのルートを通じての東南アジア地域に対する日本の投資、これに対しては一体どういうふうな方針を持ってお進みになる御予定でございますか。その両者の関係を、お考えがあったら伺っておきたいと思います。
  62. 重光葵

    ○重光国務大臣 今申しました通りに、わが方の東南アジアに対する直接の投資ということは、今日具体案がないと申し上げました。しかし東南アジア方面の経済開発と申しますか、経済関係を密接にするという考え方は私はいいように考えます。それで進んでいかなければならぬと思います。そうなりますと、具体案ができました上は、向うのそこに投資があると仮定して、これはいろいろ話し合いで調整しなければならぬ問題だ、こう考えます。またそうしむけていこうと思います。
  63. 穗積七郎

    穗積委員 その問題については、実は大臣はむろん関係をお持ちになるべき立場におられるわけですが、大体原案の構想というのは国内経済全体の計画から出てきておると思いますから、私は次の機会に関係経済大臣に出ていただいて、国内経済の立場に立っての計画を具体的に伺って、それとその御報告を伺った上でそれを基礎として、この両者の関係についてはあなたが直接の責任でございますから、どういうふうな調整の方法をお考えになっていくべきであると考えておられるか、それをあらためてお尋ねいたしたいと思いますことを事前に了解しておいていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますね。
  64. 重光葵

    ○重光国務大臣 それでよろしゅうございますが、今申し上げた通りに、その案ができなければ、具体的な考えがまとまらなければお話ができぬように思います。それだけは御了承を願います。
  65. 穗積七郎

    穗積委員 時間がありませんから、次にもう一点だけお尋ねしてきょうは打ち切っておきたいと思いますが、先ほどあなたが御出席になる前に岡田委員からも実はちょっと関連した御質問があったのですが、実は中東または東南アジア地域に、従来いわゆる資本主義陣営と理解されておった諸国に対して、ソビエトからいろいろな経済的、文化的提携の申し入れがあって、その出された条件は、特に経済援助の問題につきましては、アメリカ側が今までやっておりました従属国または低開発地域に対する経済提携の条件よりは、無条件に近いというか緩和された条件、受ける方からいえば有利な条件が提案されてきておる。そのためにこのいずれの陣営に属するか、または中立的立場をとるかということについては、固定した考え方で判断しておることができなくなる、そういう状態が出てきております。すなわちソビエト側の提案に対しましては、条件にして有利であるならば、ソビエトをむやみに猜疑心を持ったり恐怖心を持ったりしてながめることなしに、その提案の真実さを見きわめるならば、喜んでそれとの提携もやっていこうというような態度にどんどん変りつつあって、大体アジアにおきましては、日本関係以外は、ソビエトのこういう提案は、大体成功しつつあるというふうに見なければならぬ。そういうふうに見て参りますと、その経済提携のどちらを選ぶか、また両方を選ぶべきだと思うがどうかということに対しては、岡田委員質問ですから私は留保いたします。  それと関連してあなたにお尋ねしたいのは、そういうふうに東南アジア地域必ずしも資本主義陣営に固定したものではないという情勢を見通しておかなければならないということになりますと、この公社を通じて東南アジアに投資する場合、または日本の独自の対外投資の公社または会社を作って、あるいは政府資金を流用してもけっこうですが、そのいずれかの方式で、日本独自の立場で東南アジアに対外投資を考えて参ります場合、その対象である東南アジア諸国態度または経済関係というものは、相当に認識を改めていかなければならぬと思うのですが、まず第一にそれに対する大臣の観測といいますか、御判断を事前に伺っておきたいと思います。
  66. 重光葵

    ○重光国務大臣 非常に大きな広範な問題についてお尋ねのようでございます。東南アジアにおける開発という言葉は何でしょうが、東南アジアにおける経済の発展を、日本も助成する、援助するという態度をとるために具体的な案をこしらえるということは、日本としてやるべきことだと私は先ほど申し上げておきました。それで今お話通りに、ソ連がいわゆる新しい政策とか戦術といいますか、やり方によって経済的進出東南アジア方面にしてきた、非常に力を持ってやってきたということは事実でございます。そこで常に共産圏との冷たい戦争という言葉でいいますが、そういうソ連の勢力の伸張に対して危惧の念を持つ自由民主陣営の方面、特に米国、イギリス——東南アジアイギリスが非常に関係を持っておる。これが非常にそれに関心を持って、これに何とか対抗しなければいけないということで、今非常に画策しておるといいますか苦慮しておるということ、これも事実でございますが、しかしながらこれは今当座の思いつきといたしましては、その形勢は十分に監視し、検討しなければならぬと思います。というのは、これは大きなソ連側の計画がそのうしろにひそんでおるとも言う人が、民主陣営側にはたくさんございます。つまり東南アジアの経済力を握ったものが、貿易でも何でも、結局世界の経済を左右するのであります。そうでありますから、ほかのところ、ヨーロッパでも、東ア方面を左右しようとすれば、東南アジアの経済開発ということが目的であるといって、非常に神経質にそれを争っておることは事実でございます。   〔委員長退席、北澤委員長代理着席〕 そこで日本としては、そういうことに直接関係するというよりも、この東南アジア諸国との間に経済関係を密接にして、賠償問題もなるたけ早く片づけていくという態度をとっておるのであって、それの延長として日本で独自の考え方に基いて、経済上の関係を密接にしていく、援助していくということが、私は今の段階としてはやるべきことだと考えておるわけであります。それならば誤まりがない方針だと考えておるわけでございます。なお先ほど申し上げました通りに、その方面の具体案をどうするかということにまだ立ち至っていないことを遺憾とするわけでございます。
  67. 穗積七郎

    穗積委員 時間が過ぎましたから、留保して、他の方に質問を譲ります。
  68. 北澤直吉

    ○北澤委員長代理 松本七郎君。
  69. 松本七郎

    ○松本(七)委員 もう数回にわたって金融公社の問題は御質問したのですが、大臣に対する質問が残っておりますので、少しだけしておきたいと思います。その前に前会の大臣の発言に対して私ちょっと一言しなければならなかったことを時間がなくてやめておいたので、そのことを申し上げておきたいのです。   〔北澤委員長代理退席、委員長着席〕  この前田中稔男さんの質問に関連して、私は大臣に、中国の工業化が進んでいるのに対して、これを競争相手として見るか、あるいは協力できるものとして見るかということについて、大臣の発言を引用した。そういたしましたら、大臣は、それは何か酒の席かなんかで自分が言ったことで、そんなことを一々この席で取り上げられたのでは今後発言ができない、こういうことを言われた。これには私は異議がある、あの発言は酒の席ではない。しかし公けの席でないことは間違いない。しかしその内容は秘密にわたることだとか、あるいは公けにできないような問題ならば別です。しかしこういう問題は、中国の工業化は日本の競争相手になって、警戒しなければならぬという大臣の意見は何も遠慮することはない。そういう意見を堂々と公開の席で吐かれ、その反対意見と十分討論することに意義があると思うので、こういう問題については大臣がどこで言われようと、その一つの意見、あるいは大臣の意見でなくとも、そういう意見があるのですから、こういうものを論議の対象にすることは決してかまわない。大臣も遠慮される必要はないと思いますから、その点一言申し上げておきたいと思います。  それからこの金融公社は御承知のように資本金は一億ドルくらいのわずかなものですけれども提案理由の説明にもあり、また政府委員答弁にもありましたように、これを誘い水にして民間資金を低開発地域になるべくたくさん流そうというのがこの公社の目的なのです、そこでいろいろ大事な問題が起るわけですが、前回の委員会のときなど自民党の大橋委員は——先ほどから問題になっている点と関連するのですが、世界銀行でもアメリカの力が非常に強く反映される。今度のこの公社にしても、やはりアメリカの力というものが過大に働くのではないかという警戒が、東南アジア地方どこでもあるわけです。そこでこの前大橋委員の提案されたことは、アメリカを正面に立てると、どうしても帝国主義的な傾向に対する警戒が強くなる。従ってそういう形でなしに日本が中へ立って、そしてアメリカ資本を表面をつくろってやる工夫をすべきだというようなことを言われた。私はこういうことはいろいろな問題で今後起ってくると思うのです。それで政府はこの公社の運営については、そういう帝国主義的な危険というものはないという立場をとっておられますから、その点についてはもちろん大臣に御質問しても、大臣はそういう答弁をされるだろうと思う。またこれを今聞こうというのではないのです。私がかねがね大臣に一度お伺いしようと思っておったことは、この公社の問題で、特にこれは今後の日本の外交政策をきめる上に、あるいは外交政策ばかりではなく、政治一般についても重要な問題になると考えられる点が一点ございます。特に今日のような外交問題では国論がとかく分れやすい。日ソ交渉はもちろんのこと、いろいろな問題で国論統一ということは望ましいにかかわらず、公社の問題一つとっても、これはもとの帝国主義的な行き方に日本がだんだんこういうものを通じてまた入ってくるのではないだろうか、こういう危惧も一部にある。それと同時にそんなことはないのだ、これでほんとうに低開発地域開発協力できるのだ、こういう建前をとり、またそういう観測をしている者もある。この二つの意見が対立をしているという事実を見のがすわけにはいかない。経済企画庁で出しているデータがさっきも問題になったのですが、ソビエトの方では非常に低利でもって融資をする、そういう事実に対して、これは経済的に進出する意図があるとか、あるいはいやそうじゃない、これはほんとう協力態勢が、今後東南アジア方面にもソビエトの手を通じてなされるのだという見方もあると思う。こういうふうにあらゆる外交問題について意見の対立がある場合には、私は政府の方でもこの反対意見というものについて、よほど慎重に検討する必要があるのじゃないかと思うのです。これは外交問題について私は特にその必要を感ずるわけなのです。ところが実際の国会の今の状態を見るとどうかと申しますと、これは国会が国民の意向をそのまま国会に反映してくるという態勢をまず作ることが必要だろうと思いますけれども、それが御承知のように今むしろ逆行して、小選挙区制もしかれようというような状態、これは大臣も認められるでしょう。長所もあれば短所もある。短所といえば一番大きなものは、少数意見というものが押えられる危険がある。そしてまた国会の運営自身についても、旧来の長い伝統も影響しておるのでしょうが、じっくり反対意見を聞いてそこで検討し合うというような機会というものは、今の国会には少いわけです。しかも実際の重要な外交問題については、国論の相対立する意見というものがいろいろな面で現われてきておる。こういう際は、私はやはりこの反対意見を十分に聞くという努力を、国会ばかりでなしに、国会の運営にもそういう考慮は必要だと思いますけれども、それだけにまかせずに、行政府においても何らかじっくりこの反対意見に耳を傾けて検討するという機関を、新たに考慮する必要があるのじゃないかと思うの下すが、これは金融公社の問題を一つとってみましても、今後の運営に問題があると思う。これは高碕長官も今後はアメリカに牛耳らせないようにしなければいかぬと言っておられますけれども、そういうことをやるについては、この公社なら公社についての評価の仕方の全然相反する者がやはり一堂に会して、じっくりふだんからあらゆる問題について諦議を重ね、またさっき問題になったデータについても、果してそれが信憑性があるかどうかということについて、やはり相反する立場の者がそれぞれ材料を持ち寄って検討をする、また外務省は相当しっかりした材料を持っておるわけですから、反対論を唱える人にとってもそういう確実な材料に基いての反対論ということにならないと、これは国のためにもならない。そういう意味から私は、今日一番問題の多いまた大切な立場にある外務省あたりが外交政策審議会のようなものを設置して、そうして相反する立場の者を議員ばかりじゃなく広く集めて、ふだんからそういう相反する意見というものを十分検討するということが、今後必ず今日の情勢からすると必要になってくると思う。そういう点について大臣は今すぐ御返事ができなければ、そういうことについて少し研究してみるという気持だけでもおありかどうか、お考えを伺っておきたい。
  70. 重光葵

    ○重光国務大臣 私は今の御意見には、御趣旨はほんとうに賛成です。私はこの外交問題などについては、超党派的の気分でやらなければほんとうにできないと思う。私はその御趣旨には賛成でございます。それだから研究をしてみることには少しもやぶさかでございません。外交問題について事ごとに意見の相違がある、こういうふうに言われました。事ごとにという言葉を使われたかどうか知りませんが、そういうような意味で——私は事ごとにではございませんが、多くの場合において違ったものが何かある、その違った意見を、もしくは違った立場に立った意見を、一つのものに調整をしていくということは、ほとんどできないことだと思う。しかしながら違った立場の人の考え方を聞いて、自己の政策などによく批判を加えていき、またものによっては立場は違っておっても同じことがありますから、そういうことはいいことだから採用して少しも差しつかえはない。ですから無理に意見を一緒にしようとして議論をしてみても、できないことが今日までの経験によって幾らでもある、これはやむを得ない。しかしそれはそれとして、よく意見を交換していくということ、このことは非常に必要であり、またそれを努めてやりたいと思っております。私もこの委員会あたりでも努めて反対党の方々の意見を伺うことを喜んでおるのはその趣旨でございます。今のお言葉は、社会党の一致した大体のお考えであると伺って、私もよく検討してみたいと思っております、
  71. 和田博雄

    ○和田委員 高碕さんが退場されたので経企長官に対する質疑は留保しておきます。ただ外務大臣に一点だけ聞きたいのですが、今まで問題になっておるのは、金融公社が実際の運営の面において、非常に英米関係の力が、ことにアメリカの力が強く響いて、ことに東南アジアですが、東南アジアの民族感情に触れる点が相当出てくるのじゃないか。いろいろ東南アジア開発ということが政府からも一般からも言われてきたが、どうしても無視することのできないのは、今の東南アジアの国国の民族感情である。その民族感情にいやしくもアメリカひもがついておるというような感じを与えるならば、どんなにいいプランであっても、それが実際には受け入れられないということになりはしないかということをみんな心配をしておったわけです。今、穗積君の質問で、政府の方で東南アジアに対する何か新しい具体的な案を構想中だということですから、その点についてはでき上ってから私は聞きますが、私も一番の問題点はそこにあるだろうと思うのです。それと同時にやはりソ連の経済的な援助の新しい外交方針、これとの関連が一番問題になってくると思います。アメリカ経済援助とソ連の経済援助と比べてみまして、資本的にいえば、これは明らかにアメリカ側が非常に多くの力を持っておると思うのです。ただ私がこの点で外務大臣の意見を聞いておきたいのは、今度のソ連の経済援助の欧米側に比べて一番すぐれておる点は、たとえば利子が安いとか、償還期間が長いとかいう点もそうでありますが、欧米側で一番欠陥であった点は何であるかというと技術者の点だと思う。この技術という点においては、ソ連の方は毎年々々たくさんの技術者を養成しておる。ところが欧米関係の、ことにアメリカの方の経済援助というものは、どうしてもそういう点において劣っておるわけです。一つの独占的な資本体が出ていくという形になって、国がたくさんの技術者を送り込んで、ほんとうひものつかない形で援助するという形はとられていないと思う。これはもう今ではおそらく世界の定評だろうと思うのです。少し物事を知っておる人ならば、資本だけが行ったのではだめなんで、ことにその資本がどっかの国のひもつき資本であってはなおさらだめなんであって、資本が行くと同時に、やはりその技術関係において、それを実際に裏打ちするものができていかなければ、いかに開発するといっても私はできないと思う。今度の国際金融公社について私が質問したい点は、目標である東南アジアにしても中南米にしても、ことに東南アジアについては、それぞれの国が経済開発計画を持っておる。その経済開発計画と無関係に、民間の生産的な資本援助するとかなんとか言ってみても、私は事実は根をおろさないと思う。そういう点で、一体どういうように、その各国の持っておる経済開発計画に対する関連をこの国際金融公社は持ち得るのか。おそらくこれは理事会の決定というので計画を立てるのでしょうが、そういうことは具体的には、一体どう点で持ち得るのだろうか。  もう一つは、日本がこれに入っていくことにしたところが、結局たくさんの加盟国の中の一部分なのです。これは岡田君も質問したことですが、もう少し具体的に、この公社が運営されていく場合に、イギリスアメリカ関係ひもがつくおそれがあると考えられる国の持っておるところの実際上の投票権、これはイギリスアメリカだけではありません。その系列の実際上の影響の及ぶ国々の票の数を見てみても、これはおそらく圧倒的じゃないかと思うのです。そういう点について高崎さんが、何とかそこはうまく行くと言ったけれども、私は機構的にいかないと思うのですが、外務大臣はそういう点についてどういう考え方を持っているのかという点が二点。  それからもう一つ技術の点については、これは日本側として、やはり一番東洋の中の進んだ国として、技術的に言えば、欧米の技術が入っていくより、何といったって日本の技術が入っていく方がいいにきまっているのです。その点で私は前から言っているのだが、政府は具体的には何も政策が立っていない。今までやっていなかったと思うのですが、技術の交流といいますか、技術的な面と資本の面とを、どういうふうに結びつけて、政府は事実上援助をしていこうとするのか、そういう点についての具体的なお考えを聞いておきまして、あと質問はみんな留保しておきます。
  72. 重光葵

    ○重光国務大臣 今の御質問は、非常に御意見の点が多かったように考えます。私もそれで意見を交えてお答えをいたします。東南アジア開発の問題については、日本はしばらく別として、と申しますのは、日本は従来まだ十分に用意ができていなかった。だからそこまで具体的に進んでいくことはできなかったわけでありますが、しかし他の国、たとえばイギリスとかアメリカとか、コロンボ・プランその他のものによって、ずいぶんとやっておった国々があるのであります。そこで今度ソ連が新たな政策をもって経済的にそれと対抗もしくはそれをはるかに上回る競争をやって、この地域に経済勢力を植えつけようという大体の考え方——その動機がどこにあるかはしばらく検討を要する問題だと思います。それがどういうふうな動機から出ておるか、大きなひもがついておるのか、見えないひもがついておるのか、これは私はまだはっきり言い得ない、検討して差しつかえない問題だと思います。しかしながらいずれにしても、ソ連としては米英等のやり方を見て、どこに欠陥があり、どこに長所があるということは、つぶさに、ソ連のことでありますから、科学的に検討をして、そして新たな政策に乗り出したに違いない、これはだれもそう見ております。従いましてやることが、おそらく前に行なっておった国国の短所を捨て、長所を取ってくるのでありますから、相当有効な方法を実際にとってやってきておることは事実と考えます。  そこでまた非常に問題が起るわけでございますが、今お話ひもつきじゃいかぬ、各国の民族の意思を尊重しなければできることではない、それはその通りだと思います。また日本などがおそまきに出て、何かのひもをつけてやろうなんということだったら、私はこれは初めから失敗すると思います。だからそういう点はほんとうアジア的の考えと申しますか、同胞に対する考え方をもって、そして各国の意見を尊重して、これに合うようにしなければいかぬと思います。その運用は今後非常にむずかしいと思いますが、そこでこの問題についても、さようなことについて誤まりのないように、理事会やその他においてやるように、特に日本アジアのことについては、他国より身をもって体験しておるわけでありますから、そういう運用に貢献すべきだと考えます。しかしそれをどういうように運用できるかという将来の問題については、この規定を動かしてやらなければならぬと思います。  それから技術者の問題がございました。今御承知通りに、アメリカでもイギリスでも、ソ連の技術者の非常に圧倒的と申しますか、たくさんな数がどんどん養成されておることに、今さら目をみはっておるような状況でございます。向うの様子を調べてみますと、将来日本としてもよほどその点は参考になることだと思います。ただ東南アジア等において働く人が——御承知通りに、米英その他の国は大体完全雇用ということになっておりますから、実際出て働く人が少いらしゅうございます。そういう場合に、日本の技術者の活動の余地が相当あるように考えられます。さようなことについて、今お話のような御趣旨は、むろんこれはそうなければならぬのでございますから、さようなことによって、これを運用に移していったらよかろうかと、こう考えております。
  73. 前尾繁三郎

  74. 岡田春夫

    岡田委員 私もIFCの問題について二、三伺いたいのですが、先ほどあなたのお見えになる前に高碕大臣にいろいろ伺いましたので、重複することになりますけれども、要点をかいつまんで申し上げて、大臣としての御意見を伺いたいわけであります。  私の見解では、結論的に申し上げると、このIFC日本が投資をする、日本の金で十億円の金を入れることは無意味じゃないかというのが私の見解なのです。その理由をいろいろ先ほどから申し上げて参りました。というのは、このIFCのそもそものおい立ちというのが、中南米に対する投資というものが対象になっているカラカス反共宣言によって作られたものだ、従って中南米が主なので、東南アジアにやるというようなことは、ほとんどあまり大きな期待がかけられないだろう。それからまた実際に最近の東南アジアの投資の要求額を、エカフェの例なんか見ても、年間国内、国外の投資を合せてみると、大体五十億の資金投資を必要とする、そのうちで国内投資の可能性は二十億だ、残り三十億を国外投資として期待するというような状態になっているときに、たとえば一億ドルくらいのこういうものを作ってみても、しかも中南米中心にするというようなことでやっていくならば、実際問題としてこれはもう十億円の金を出すだけ損したようなもので、効果というものは期待できないのではないか。もしそれをやるのだとするならば、日本東南アジア諸国協力する——経済的に協力するということは私は非常に望ましいと思うのだが、この経済協力をするためには、こういうようなものにたよらないで——特にこのIFCアメリカひもつきだということを東南アジア諸国は言っている。またそれだけに東南アジアの方で希望しているSUNFEDというものがある。このSUNFEDというのは、これはあなた方の資料にも出ておりますが、国連経済開発特別基金で、これが二億五千万ドル、三十カ国の関係諸国が積極的にこれを支持している。バンドン会議においては、日本高碕代表はこのSUNFEDの機構に対して支持の言明をいたしておる。そういう面から見るならば、この十億円の金をこんなところへつぎ込むよりも、東南アジアの、ひもつきでないSUNFED中心にしてやる方が、日本経済としてはもっと効果的にやり得ると私は考えている。こういう考え方に改める必要があるのではないかということで先ほどから伺っているのですが、この点はいかがお考えになりますか。
  75. 重光葵

    ○重光国務大臣 今の御意見でございますが、むろん本件の御審議を仰ぐ以上は、政府はこれが非常に有利である、いいと考えたからでございます。ただ、今の御質問に対して私からできるだけのお答えをいたしますと、今SUNFEDの問題を言われましたが、これは目下国連の機関で研究されておりますが、まだ実際の問題となっておちないのです。その発足は早くても明年度以降になる見込みだ、こういうことでございますが、あなたの御調査と違いましょうか。(笑声)そういう調査になっております。  私はいい趣旨のものがあるならばこれをどんどん取り上げて、そしてわが方の国家全体の利益になるように向けていくのに、ちゅうちょすべきでないと考えます。それに今回の協定には東南アジアの国の大部分が参加の意を表しておるわけです。ビルマインドもセイロンも、パキスタンもフィリピンも入ろうと言っておる。そういう国々が入って、そういう国々の立場も十分主張して、日本もこれを援助するということになれば非常にけっこうであるし、今日日本の財政上困難なときに少しでもこういうことに入るということは——それは苦痛でございますけれども、しかしそれをすべき時代だと考えておるのでございます。どうぞ御賛成を願います。
  76. 岡田春夫

    岡田委員 いや、賛成しません。あまり時間が長くなりますから進めますけれども、先ほど私は高碕さんに聞いておったのですが、問題が重大なだけにほかの方からいろいろ御質問がありました。それはソビエト経済協力の問題です。東南アジアと並びにアラブ諸国に対する経済協力、これはどんどん進出している。これは先ほどお認めになった通りだ。今後もどんどん進出すると思う。その理由としては金利の問題あるいは年賦償還の問題もあるし、また先ほど和田委員お話のように技術援助の問題もある。そればかりじゃない、アメリカの場合には余剰農産物といって向うであり余ったものを押しつけてきている。ところがソビエト経済協力の問題については、その協力の協定の仕方については、相手国の必要と考えているような方法をできるだけ認める形でやっている。たとえばインドビルマあるいはエジプトの場合においても、農産物はあなたの国から買いましょう、それからあなたの国でソビエトからほしいものは売りましょう、こういう協定になっている。だからこれはどんどん伸びる。必然的に今後大きくアジアアラブ諸国進出していく可能性を持っていると私は考えております。この点について大臣はどのようにお考えになりますか、今後の見通しを伺いたいと思います。
  77. 重光葵

    ○重光国務大臣 私はこれは非常にむずかしい問題だと思います。今この席で伸びるとか伸びないとか断言してみたって、あまり大きな利益はないとすら考えます。しかしながら相当伸びるだろうと思います。なぜ伸びるかというと、ソビエトがやっているのは、今あなたの言われる通りに、自分のところまで必要がなくても農産物は買う。(岡田委員「必要なんだ」と呼ぶ)必要があればなおさらです。政治的の運用によってやっておるのです。それだけに相手方を納得させるのに容易な手をそこに持っておることは事実でありますから、それはある程度伸びる。さてそれがどこまで伸びるかということになると、一体そういう政治的に経済政策を運用しているのは、どういう大きな何であるかということは、だんだん研究してみなければわからないのです。それを研究してみた上で——各国がどういう工合にこれを判定するかということは、おのずから別問題であろうと思うのであります。さしあたってはそういうふうに見ております。
  78. 岡田春夫

    岡田委員 大臣がそういうことを言うから私らは困るのです。松本全権がある新聞の座談会においてもこう言っているじゃないですか。ソビエトを過小評価してはいけない。過小評価するならば東南アジアから日本は孤立するぞ、ソビエト経済援助がどんどん進んでいるという問題について、この文章から見るといかにも日本の外務省は過小評価している。こういう点が松本全権によっても指摘されているのです。だから今後においてはどうなるかわからないというような見通しのないことを言われるようでは、外交政策にならないじゃないですか。(重光国務大臣「なる」と呼ぶ)ならないですよ。ともかくもあなたはわからないと言うけれども、さっきから問題になっている経済企画庁の資料によると、ソビエト経済援助というものは、アメリカ経済援助よりはうんと有利だ、どんどん伸びておるということを書いている。東南アジア諸国は支持しているということも書いているじゃないですか。そういう点がわからないとおっしゃるのなら、これは怠慢であると言わざるを得ない。(重光国務大臣「それでいい」と呼ぶ)それでよくないですよ。(笑声)  時間がないからあと局長に聞くのですが、この「世界の動き」という本はお宅で出しているのですか。——これを見ると、経済企画庁と同じ問題をここで扱っております。大臣、あなた読んだことないでしょう。——これと同じことを書いているのだが、ここでは何と書いているか。今のあなたの話よりももっと悪いのですよ。これは大したことはないので、そういうような国内援助をするならば——ソビエトはこういうように言っている。ソビエトソビエトの圏域内の経済建設を一部犠牲にしなければならないとか、国内の国民生活の切り下げをやらなければならない、こういういいかげんなことを書いている。何のために出している木か知りません。これはあとで聞きますが、こういう見解では経済企画庁と正反対じゃないですか。それだから田中さんに聞いてみたい。大臣とも違うのだ。この中にはやればいろいろありますよ。あなたは、大臣として方針が何だかわからないならわからないでもいいです。それは外務省がいかに無能であるかということを暴露するのですから……。今後のソ連の経済協力はどんどん進出するという経済企画庁考え方は私は正しいと思う。そればかりじゃありませんよ。アメリカのニュヨーク・タイムズによると、この日本側レポートというものは、アメリカ東南アジアの在外公館からの報告と全く同じであるといってこれを支持しているのだ。あなたのすきなアメリカが支持しているのです。あなたはアメリカとの経済協力ということを施政方針なんかで言っておったのですから、それならばソ連の進出状態をはっきりお認めになって、こういう「世界の動き」なんというわけのわからないものはやめてしまって、これによって公正なる報告を国民にすべきだと私は思う。この「世界の動き」の内容についてはあとで局長ととっぷりやりますが、この点一つ大臣の御見解を伺いたい。
  79. 重光葵

    ○重光国務大臣 今あなたからアメリカ一辺倒の御意見を伺おうとは私予期しませんでした。アメリカの在外公館がこうだからこうである、そういうことは私は予期しませんでした。非常に変られたことと思うが、それはそれでよろしい。あなたの意見はそれでよろしい。私の意見はさっき述べた通り、これは客観的意見であって、そういうことに感情を交えて、アメリカ一辺倒だとかソビエト一辺倒だとかいう考えは持っておらぬ。まっすぐ考えて、客観的に判断して、そうして皆さん方の判断をそれに基いてしてもらおうと思う。それから、いろいろ印刷物のことを言われたけれども、その印刷物にこうあるからこうだとは——私は決して責任をとらぬとは申しませんが、そういう経済企画庁の意見もよかろうし、こっちの材料もみんな大いに検討して、そうしてここで議論をされることは少しも異存はない、そうやるべきだと思う。しかし、なぜこんなものを出したかと言って主観的な判断を加えることは、私はそうしなくてもよかろうと思っておるわけであります。これは十分材料を出した方がいい。
  80. 岡田春夫

    岡田委員 金融公社の問題もまだまだあるのだけれども、大臣は抽象的な話しかしないからこの程度でやめますが、将来の見通しは依然としてつかないという話ならそれでけっこうです。外務省は能力がない。資料があるならお出しなさい。資料なんかありはしないじゃないですか。そればかりでなく、特に重大な問題は、ソビエトの過小評価の問題、これは「世界の動き」に見のがし得ない一つの事実がある。これは日ソ交渉にも関連するからこの点だけは大臣に聞かなければならないのだが、こういうことが書いてある。二月号の四八ページに「対日正常化により極東における自国の権威を高め、また対日工作の基地としての大使館を東京に開設するにあるとみられるわけであるが、ひとたびそれが実現したあかつきには、わが国はもはやソ連に対してなんらの切札も持たない弱い立場に立たされる恐れが大きい。」と書いてある。どうですか。これを裏返すとどうなるか。日ソの国交回復をやらないということを言っている。国交回復をやったら大使館ができる。大使館ができたら日本は切り札がなくなるからだめだ。日ソの交渉を打ち切れということですよ。こういうことをあなたの方針としてきめてあるのですか。これはあなたのところの雑誌ですよ。あなたが日ソ国交回復をやるのだとおっしゃるなら、こういうことは全文削除させなさい。こんなくだらぬことを書いてどうするのですか。
  81. 重光葵

    ○重光国務大臣 それは一向くだらないことでもないと思います。そういうふうな意見もあるわけであります。  (岡田委員「外務省の意見ですよ」と呼ぶ)外務省の意見として出しているわけではない。しかし、そういう意見があるということを……(岡田委員「引用じゃない、外務省としての考えではないか。」と呼ぶ)僕の言うことを聞いて下さい。私はこう思います。政府方針としては、はっきり繰り返し繰り返しそういうことは公けの席上で述べておる通りでありまして、国交回復をやる。しかし、国交回復をやることはどういうようなものであるかということを人が議論することは、これは何も差しつかえないことであります。そういうことを頭に持ってまた国交回復のことまで考えていろいろ処置しなければならぬということは、これまた何も不思議なことではないと思う。   〔発言する者あり〕
  82. 前尾繁三郎

    前尾委員長 静粛に題います。
  83. 重光葵

    ○重光国務大臣 そういう説をする人がずいぶんあるのですよ。日本だけではありません。ドイツなどはそうです。しかしながら、そういう説があるといったからといって、そういう説でわれわれは国交回復をやらぬと決したわけでは決してありません。そういう説があっても、そういう心配をする人があっても、将来条件が整えば国交回復をやろうと思う。しかし、そういう説があるということをいろいろ頭に置くことは、何もこれは差しつかえないことである。
  84. 岡田春夫

    岡田委員 これで終りますが、大臣、いいですか、だれかがこう言っていると外務省の機関誌が書いているなら、これはあなたの御意見の通りです。たれかが言っていると書いているのではないのだ。外務省の文章はこういうように断定している。だから問題だと私は言っている。大使館を置けば日本は切り札を失って弱い立場になる、と外務省がこう書いている。これでは日ソ交渉をやろうというあなたの態度と、基本的に違うじゃないかということを言っている。たとえばこの中に、日本のだれかさんはこう言っておりますが、こういう意見もあります、とこのように書いているならあなたの御意見も通るでしょう。そうではない。外務省としてはこういうようになるのだと書いている。だから問題にしている。だから問題にしている。こういうような雑誌をして出しておいてよいのですか。これで国民はだまされているのですよ。(「問題にしていない」と呼ぶ者あり)問題にしているんだ。
  85. 前尾繁三郎

    前尾委員長 私語を禁じます。
  86. 重光葵

    ○重光国務大臣 その点は……(岡田委員「前後の関係を調べて下さい」と呼ぶ)ええ、調べましょう。しかし、この全部の問題が、条件など妥結しないで大使館を開けばいろいろなことになるということは、心配している人があるのですから、それはよいように私は思うな。
  87. 田中稔男

    田中(稔)委員 時間が時間ですから、関連してちょっと一点だけ。ソ連の経済援助は非常に評判がよい。そしてアメリカ援助については非常に警戒的な気味があるということ。これは経済企画庁のデータにもありますが、よくひもつき援助ということを言いますね。アメリカ援助ひもつきだからいかぬ。このひもつきということを外務大臣はどういうふうに解釈なさっておりますか。
  88. 重光葵

    ○重光国務大臣 ひもつきということは私は申しません。アメリカの意見がどうであるかということ、私がどう解釈しておるかということですか。
  89. 田中稔男

    田中(稔)委員 そうではありません。よくアメリカ援助ひもつき援助ということを言われます。そのひもつき援助ということはどういう意味かということです。
  90. 重光葵

    ○重光国務大臣 一つその議題を出して下さい。
  91. 田中稔男

    田中(稔)委員 これは大事なことです。アメリカ援助は海外においてひもつき援助だということを非難されております。ひもつきとして非難されるその意味をあなたはどういうふうに解釈されておるか。ひもつきじゃないというような解釈もあるでしょうし、よくひもつき援助と言われておりますが……。
  92. 重光葵

    ○重光国務大臣 実は私は今まであまりそれに注意はいたしておりません。そういうことを新聞紙なんかで散見をいたします。そしてそれは米国に対する反感と申しますか、そういう方面の記事によくそれが出ます。おそらくひもつきということは、何らかそれに対して対象を求めて、金を貸すならこれだけの政治的その他の対象を求めてやるということじゃないかと考えますが、そういう事例をあまり私は知らないのでございます。
  93. 田中稔男

    田中(稔)委員 そこで私の解釈を御披露申し上げます。ひもつきという場合は、まず第一にアメリカ援助は軍事的な性格を持っていると思っておる。それは経済援助もありますけれども、経済援助といえども軍事的性格を持った経済援助が多いわけです。しかもアメリカの来年度の海外援助予算を見ましても、経済援助はあまりふえていないが、軍事援助がやはり非常に強調されておる。日本だって、そうでし二う。日本にいろいろな援助があっても、これはみな軍事的な意義を持っておる。もう一つは、共産圏諸国に対してアメリカの立場を強化するという目的を持っておる。もう一つは経済援助にしましても、たとえば食糧の援助をする、それはアメリカの船で何十%運ばなければならぬ、あるいは電源開発のために援助をする、その機械設備はアメリカのどこの会社のものを買え、こういうふうな条件がついておる。あるいはまた金利だって、償還の期限だって、ソ連の場合よりはずっと条件が悪い。こういうふうな状態です。つまり要約して申しますと、まず反ソ的な立場を強化するということが一つ、それから軍事的な性格を持っているということが一つ、さらに援助のいろいろな条件が辛いという点が一つ。大体この三つがアメリカ援助の特徴だと思う。私のこういう解釈を大臣はお認めになりますかどうか。
  94. 重光葵

    ○重光国務大臣 私はそういうことがずいぶん新聞紙上等で書かれて宣伝されているということを今思い出しました。大体そういうことを言います。それは主としていわゆる軍事援助の予算から出す場合、それでアメリカ側はそれを切りかえて経済援助にかえた、こういうことに相なっておると思う。そういうことで、それだからアメリカの船によってこれは運ぶとかなんとかいうことは、私は経済問題の協定の内容によるのだろうと思いますが、それはいろいろな条件を向うはつけるだろうと思います。しかしそれが全部政治的であり軍事的である、こういうふうにも一がいには論じられないように考えます。
  95. 田中稔男

    田中(稔)委員 アメリカ援助ということについての大臣の御見解、きわめて私は不満足だと思う。そこでもう一つ聞きたい点は、ソ連の援助……。   〔「関連がないじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  96. 前尾繁三郎

    前尾委員長 関連がないようですから、それはまた一般質問でやって下さい。
  97. 田中稔男

    田中(稔)委員 では留保します。
  98. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次会は公報をもってお知らせします。  本日はこれにて散会します。    午後一時十三分散会