○松本(七)
委員 もう数回にわたって金融公社の問題は御
質問したのですが、
大臣に対する
質問が残っておりますので、少しだけしておきたいと思います。その前に前会の
大臣の発言に対して私ちょっと一言しなければならなかったことを時間がなくてやめておいたので、そのことを申し上げておきたいのです。
〔北澤
委員長代理退席、
委員長着席〕
この前
田中稔男さんの
質問に関連して、私は
大臣に、
中国の工業化が進んでいるのに対して、これを競争
相手として見るか、あるいは
協力できるものとして見るかということについて、
大臣の発言を引用した。そういたしましたら、
大臣は、それは何か酒の席かなんかで自分が言ったことで、そんなことを一々この席で取り上げられたのでは今後発言ができない、こういうことを言われた。これには私は異議がある、あの発言は酒の席ではない。しかし公けの席でないことは間違いない。しかしその内容は秘密にわたることだとか、あるいは公けにできないような問題ならば別です。しかしこういう問題は、
中国の工業化は
日本の競争
相手になって、警戒しなければならぬという
大臣の意見は何も遠慮することはない。そういう意見を堂々と公開の席で吐かれ、その反対意見と十分討論することに意義があると思うので、こういう問題については
大臣がどこで言われようと、その一つの意見、あるいは
大臣の意見でなくとも、そういう意見があるのですから、こういうものを論議の
対象にすることは決してかまわない。
大臣も遠慮される必要はないと思いますから、その点一言申し上げておきたいと思います。
それからこの金融公社は御
承知のように
資本金は一億ドルくらいのわずかなものですけれども提案理由の
説明にもあり、また
政府委員の
答弁にもありましたように、これを誘い水にして民間
資金を低
開発地域になるべくたくさん流そうというのがこの公社の目的なのです、そこでいろいろ大事な問題が起るわけですが、前回の
委員会のときなど自民党の大橋
委員は——先ほどから問題になっている点と関連するのですが、
世界銀行でも
アメリカの力が非常に強く反映される。今度のこの公社にしても、やはり
アメリカの力というものが過大に働くのではないかという警戒が、
東南アジア地方どこでもあるわけです。そこでこの前大橋
委員の提案されたことは、
アメリカを正面に立てると、どうしても帝国主義的な傾向に対する警戒が強くなる。従ってそういう形でなしに
日本が中へ立って、そして
アメリカの
資本を表面をつくろってやる工夫をすべきだというようなことを言われた。私はこういうことはいろいろな問題で今後起ってくると思うのです。それで
政府はこの公社の
運営については、そういう帝国主義的な危険というものはないという立場をとっておられますから、その点についてはもちろん
大臣に御
質問しても、
大臣はそういう
答弁をされるだろうと思う。またこれを今聞こうというのではないのです。私がかねがね
大臣に一度お伺いしようと思っておったことは、この公社の問題で、特にこれは今後の
日本の外交政策をきめる上に、あるいは外交政策ばかりではなく、
政治一般についても重要な問題になると
考えられる点が一点ございます。特に今日のような外交問題では国論がとかく分れやすい。日ソ交渉はもちろんのこと、いろいろな問題で国論統一ということは望ましいにかかわらず、公社の問題一つとっても、これはもとの帝国主義的な行き方に
日本がだんだんこういうものを通じてまた入ってくるのではないだろうか、こういう危惧も一部にある。それと同時にそんなことはないのだ、これで
ほんとうに低
開発地域の
開発に
協力できるのだ、こういう建前をとり、またそういう観測をしている者もある。この
二つの意見が対立をしているという事実を見のがすわけにはいかない。
経済企画庁で出しているデータがさっきも問題になったのですが、
ソビエトの方では非常に低利でもって融資をする、そういう事実に対して、これは経済的に
進出する意図があるとか、あるいはいやそうじゃない、これは
ほんとうの
協力態勢が、今後
東南アジア方面にも
ソビエトの手を通じてなされるのだという見方もあると思う。こういうふうにあらゆる外交問題について意見の対立がある場合には、私は
政府の方でもこの反対意見というものについて、よほど慎重に検討する必要があるのじゃないかと思うのです。これは外交問題について私は特にその必要を感ずるわけなのです。ところが実際の国会の今の
状態を見るとどうかと申しますと、これは国会が国民の意向をそのまま国会に反映してくるという
態勢をまず作ることが必要だろうと思いますけれども、それが御
承知のように今むしろ逆行して、小選挙区制もしかれようというような
状態、これは
大臣も認められるでしょう。長所もあれば短所もある。短所といえば一番大きなものは、少数意見というものが押えられる危険がある。そしてまた国会の
運営自身についても、旧来の長い伝統も影響しておるのでしょうが、じっくり反対意見を聞いてそこで検討し合うというような機会というものは、今の国会には少いわけです。しかも実際の重要な外交問題については、国論の相対立する意見というものがいろいろな面で現われてきておる。こういう際は、私はやはりこの反対意見を十分に聞くという努力を、国会ばかりでなしに、国会の
運営にもそういう考慮は必要だと思いますけれども、それだけにまかせずに、行
政府においても何らかじっくりこの反対意見に耳を傾けて検討するという機関を、新たに考慮する必要があるのじゃないかと思うの下すが、これは金融公社の問題を一つとってみましても、今後の
運営に問題があると思う。これは
高碕長官も今後は
アメリカに牛耳らせないようにしなければいかぬと言っておられますけれども、そういうことをやるについては、この公社なら公社についての評価の仕方の全然相反する者がやはり一堂に会して、じっくりふだんからあらゆる問題について諦議を重ね、またさっき問題になったデータについても、果してそれが信憑性があるかどうかということについて、やはり相反する立場の者がそれぞれ材料を持ち寄って検討をする、また外務省は相当しっかりした材料を持っておるわけですから、反対論を唱える人にとってもそういう確実な材料に基いての反対論ということにならないと、これは国のためにもならない。そういう
意味から私は、今日一番問題の多いまた大切な立場にある外務省あたりが外交政策審議会のようなものを設置して、そうして相反する立場の者を議員ばかりじゃなく広く集めて、ふだんからそういう相反する意見というものを十分検討するということが、今後必ず今日の情勢からすると必要になってくると思う。そういう点について
大臣は今すぐ御返事ができなければ、そういうことについて少し研究してみるという気持だけでもおありかどうか、お
考えを伺っておきたい。