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穗積委員 私は
日本社会党を代表して、この
両国間の
友好条約に対して賛成の意見を表明せんとするものでございます。
今まで幾たびか
質問の中でお互いに明らかにいたしましたように、カンボジアは初めて独立をし、しかも
領土並びに人口、資源あるいは
経済力等いまだ弱小とはいえども、新しい平和の精神に立ち、いわゆるバンドン精神、
アジア独立の精神に立って、
日本に対しては非常な期待を持って、友好的な態度で臨んで、その結果がこの
条約になったわけでございますから、その期待を裏切ることのないようにすることが眼目だと思う。
この
条約の
内容を見ますと、まず第一は、第一条または第二条における永久平和を維持すること、それから
両国の主権、独立、
領土の保全を尊重すること、そうしてすべてが相互平和主義に立ってものを処理していく、こういうことが第一の柱になる。第二には、第四条で言っております
両国間の
経済的、財政的、技術的、文化的な交流を行なって、そうして相互の利益を増していきたい。そうして、そういう
協定がすべて両
国民の生活の向上になるということを願っておることが第二の柱でございます。第三は、次の条に明確にされております。まず第一に、おもに
日本からのかの国に対する移民の問題、これが三本の柱になっておると思うのですが、実はこのことは書いた
通りでありますならば、まことにけっこうでございますが、ただいまの
日本の保守党の
政府のお考えの中に、ときには、再び、
日本を再軍備によって、武力を背景とする
アジア外交を展開するのではないか、また
アジアにおける比較的強力なる資本と技術を背景として、再び古い植民地政策を実質的にはとろうとする危険があるのではないか、またさらに進んでは、移民の問題につきましては、かつて満州に行なったような、そういう移民を再びやるのではないかということが、
アジアの一部において、内外において、心配されておるところでございますから、こういう点については、この文字に書いてある
通りの精神で、そして積極的、総合的な援助の
条約が、実際に実現するように努力すべきことが私は眼目だと思う。そうしてそのことによって、かの国の
政府並びに
国民の期待を裏切らないようにすることが、実は最も重要である。
アジアの
外交政策の中において、これが他に及ぼす影響も考えてみますならば、非常な重要な
一つの問題になろうと思うのです。この
委員会においても、
質問を通じて、幾多の
委員から出、また
政府もそのことを
答弁されましたように、単に
日本とカンボジア
両国間に限る問題ではなくて、このカンボジアにおきまする
経済または技術、文化の交流と援助
関係、さらに移民
関係というものが、
アジア全体、東南
アジア全体における
一つのこういう平和的な
経済外交の拠点になるというふうな実績を、事実の上に実を結ばせることが、私は一番必要だと思うので、この点を特に力説いたしまして、私はこの
条約に賛成をするものでございます。
そこで
最後に、そういう
趣旨によって、従ってこのことはもう申すまでもありませんが、こういう
理由を付しまして、実はこの
条約を結ぶに当って、
政府に対して、
日本社会党と労農党との共同
提案で要望決議案を
提案いたしたいと思うのでございます。
理由は今申しました
通りでございますから、その案文をここで朗読いたしますので、どうぞそういう精神に立っておられるべき与党の諸君も、全員
一つ双手をあげて賛成をしていただきたい。案文を朗読いたします。
日本国とカンボジアとの間の
友好条約の批准について承認を求めるの件について承認を与えるに際して
政府に対する要望決議
本
条約に含まれている友好精神は、各国間における平和友好
関係の基本原則である。
政府は本
条約を締結するに当り、本
条約第一条並びに第二条の基本政策を誠実に遵守し、
両国いずれの国も差別することなくこの政策を基調とし、移民に関しては将来両
国民の友好を深め、新たなる親善
関係の
基礎となるよう十分な考慮を払い、かつまたこれが実現のために、すみやかに予算措置を初め万全の措置をとるよう強く要望する。
以上であります。