○
田中(織)
委員 これは当面二千名の
移民を送り出そうというのは
カンボジアでありますが、私の調べたところによりましても、
カンボジアに約二百五、六十人なお
日本人がおる。こういう
人たちは
日本への引き揚げを希望しているということが、ヴェトナム
関係の引揚者その他を通じて、私らの方へそういう連絡が参っておるのであります。
向うにおる
日本人が引き揚げを希望しておる。またその留守家族が、今引
揚課長の御説明のように、厚生省のつかんでおる五百九十四名のうちから二十二名を除いた五百七十二名は、現地召集解除者だということで、いわゆる未帰還者の留守家族に対する援護も実は受けられていないところに、これは引き揚げ問題の未解決の問題として非常に大きな問題があると私は思うのです。そういう
関係から見て、未帰還調査部の方でなければ詳細な数字がわからぬということでございますから、私はこれ以上の
質問はいずれ次の機会に譲りますが、
外務大臣もお聞き下さったと思いますけれ
ども、この
カンボジアとの
友好条約で二千人から新しい
移民を送り出そうとする
カンボジアに、私らの調査では——厚生省の
政府側の調査はまだ
カンボジアに何人
日本人が残留しておるかわからぬのでありますけれ
ども、私らの調査では少くとも二百五、六十名というものが残留しておって、しかもこれは内地への帰還を希望しておる。そういうところに果して二千人の大竜の
移民をわれわれが送り出せるかどうかというところが、現地の事情を私らも存じないだけに非常に不安に
考えるわけです。そういう
意味でこの点については、
向うに残留しておる邦人の数並びに状況がどういうことになっているかということを、この
友好条約の締結のために、この前
移住局長は
向うへ行ってこられたようでありますが、第二次、第三次とさらに
移民の細目調査のための調査団が参るということになれば、その機会に私はできるだけの調査をしていただかなければならないと思いますので、その点を
一つ強くこの際要望しておきたいと思います。
それからなお引
揚課長もお見えになりましたので伺いますが、この二十二名は未帰還者ということで、その留守家族は当然未帰還者の留守家族援護法が適用されていると思いますが、あとの厚生省がつかんでおられる五百七十二名は、現地で召集解除になったのだという根拠が一体どこにあるのか。私のところへ、実はヴェトナム
関係から引き揚げて参った方たちでありますけれ
ども、三月の七日に参りまして、援護局の方へは一月五日付で資料を出した。それは一口に申しますと、現地で召集解除になったのだ、こういうことなのです。これは山口県の岩国市大字錦見一四九八の明石晃、一般邦人としての身分決定に対する異議、ここで私のところで持っているだけでも三通きております。いわゆる現地で召集解除になったのだということで、中共を通じて
日本へ帰ってきたけれ
ども、引揚者としての何らの——国が一般の、たとえばソビエト、中国、
満州、
朝鮮、樺太、今の引揚援護法の適用されている地域の
人たちと同じように赤紙で召集されて現地に参りまして、部隊が引き揚げるときに連絡がつかなくて、そのまま
向うにとどまらざるを得なくなって、現在なお内地への帰還を希望している、こういう
人たちの留守家族については、国として何らの援護を与えない。私はこれは全く片手落ちなことだと思う。五百七十二名については、現地の部隊が引き揚げるときに現地で召集解除ということになったのだという先ほどの御
答弁がありましたが、それは一体どういう根拠に基いてそういう認定をされたのか。私察するに、この明石品君だとかあるいは南忠男君だとかいう諸君が、援護局へ、そういう現地召集解除されたという取扱いは事実に違いないという形で、これは私は異議の申請をしているのだと思う。こういう
人たちについては、
カンボジアもラオスもヴェトナムもそうでありますが、なお今
ビルマへ遺骨の調査団が行っておりますけれ
ども、一昨々年私が
ビルマへ参りましたときにも、
ビルマの奥地にはなお
日本の旧軍人が
相当おるのではないかと思いましたが、
ビルマからの未帰還者の留守家族も私は
相当全国にあると思う。それからこれはついに本年の一月自殺をしてしまったのでありますが、
フィリピンにおきましても、
日本の准人で敗戦の事実を知らずになお山の中へひそんでいるというような
人たちがいるわけなのです。これは小野田種次郎といって、お父さんは和歌山県の県
会議員をしておりました。召集されて、終戦当時には少尉くらいの階級であったわけでありますが、ついに出てきたのでありますが、
フィリピン軍に捕虜としての扱いを受けることはということで、十年後に一旦
フィリピン軍につかまるまで生き延びていて、実は自殺をしたという悲劇を生んでいるのであります。なお時折の新聞には、こういうふうに奥地にひそんでおって帰ってくるのは、ぼつりぼつりではありますけれ
ども、私はあると思う。ところが何らか虫の知らせというのかそういうことで、むすこは生きているということで、家族は現在やはりなお子供の生きておることを信じて留守を守っておるのでありますが、そういう
人たちには先ほど申しました中国、それから
満州、樺太、
朝鮮、ソビエト、これらを除いた地域には引揚げ援護の、いわゆる留守家族に対する援護法が適用されないでおるということは、私は
一つの法の欠陥だと思う。その
意味で、たまたま
カンボジアの問題に関連して私はお伺いするのでありますが、特別
委員会もあるわけでありますから、いずれあらためて特別
委員会にも、私は
委員を交代してもらって出て参りますけれ
ども、こういうことが現実にあるにもかかわらず、一片の、軍からの連絡かどうか知りませんが、現地で召集解除になったのだからということで、厚生省が、それぞれ引き揚げて来た
人たちから異議の申し立てが出ておるのをそのままにしておるということはいけないことだと思う。この点については今後どういうように取扱いをされるのであるか。田辺援護局長が外国へ行っておるようでありますし、引
揚課長では
責任の立場にないというならば、私の
質問の趣旨を伝えていただいて、厚生
大臣から
責任のある御
答弁をいただきたいと思うのです。引揚者全般も非常に気の毒な立場にありますけれ
ども、こういう残留者や、また戦後十年、十一年に帰ってくる
人たちの立場を
考えれば、まことに同情すべきものがあると思いますので、この際引
揚課長としてこれらの法の欠陥その他についてどういうようにお
考えになっておるか、御
答弁をわずらわしたいと思います。