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田中(稔)
委員 私は実は外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、今御病気中でありますので、政務次官にかわって御
答弁願いたいと思います。
第一点は二月二十一日に経団連の臨時総会が開かれましたが、その総会の直後において新会長となられた石坂泰三氏が記者会見をして抱負を語っておられます。その中で中国との善隣
関係の回復及び日中貿易の重要性について非常に強調をされておるのであります。経団連と申しますとこれは
日本の財界の総本山でありまして、労働組合の方の総評に匹敵する団体でございます。その新会長が就任直後こういうふうなことを言われたことで、その意義は私はきわめて重大だと思う。
日本の輸出貿易は近年非常に好調を続けておりますけれ
ども、
アメリカにしましてもイギリスにしましても景気後退のきざしがすでに現われておる。だからこういうふうに
世界の好況に依存している
日本貿易というものはこれがいつはね返ってこないとも限らない。こういう心配は財界
関係者の胸奥に非常に深く私はあると思う。そういうわけで私は石坂新会長の発言はやはり財界の意向を反映して非常に真剣なものだと思うのであります。なおこの間成立いたしました日中輸出入組合、こういうもので今度第四次の貿易協定を結ぼうとしており、その準備のために年間の貿易計画について作業をやっている。新聞に発表されたところを見ますと、実績本位でいっても次年度は大体往復一億八千万ドルくらいにはなる。これに
国内の需給
関係を適当に措置いたしますならば、二億四千万ドルくらいには達するであろう。さらにまたココムの
禁輸が解除される、あるいはまた大幅な特認が行われるという場合を想定いたしますと、さしずめ三億ドルくらいの貿易額には達するであろう。こういうふうな数字をあげておるのであります。そうするとこれは相当な数字であります。それにしましても戦前の対華貿易から見ますと、これはまだ非常にわずかなものでありますけれ
ども、御
承知の
ごとく中国は
ソ連とともに大
建設をやっておりまして現在は輸出を禁止されておりますが、
日本の重化学工業の製品が自由に出るということになりますとこれは幾らでも出る、だからこういう数字は私はたちまちにして突破すると思うのであります。実は日中貿易につきましては民間でいろいろ奔走し、参りました。日中貿易議員連盟というものも超党派的にできております。政務次官と同じ党派の池田正之輔君その他も中国に行ったり何かしてやってきた。ところが今まで財界の大きいところが動かなかった。むしろ中小企業、中小商社的の動きにとどまっておったのでありますが、いよいよ財界の総本山が動いておるのです。
国民はもとよりこれは歓迎する。労働組合はもちろん大歓迎。こうなりますと
日本の
国民はこぞって中国貿易の拡大を要望しておるわけです。二大政党の対立で、社会党はもちろん
国民の与望を代表して戦っておる。だから結局問題は
政府と与党の
態度いかんである。実は、この間ある人が言っておりましたが、与党で大物であります芦田均さんというような人は、自分の選挙区で中国貿易はやってはいかぬ、中国貿易をやると、安くていい米が中国からたくさん入ってきて、
日本の百姓はたちまち困るというような
子供だましの話をしておりましたが、与党にもそういう人ばかりじゃないと思う。池田正之輔氏とか、北村徳太郎さんのような人もありますが、こういう財界の総本山である経団連の会長が重大な発言をされた場合、
外務省はどうこれをお
考えになるか、御
答弁を願いたい。