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1956-02-21 第24回国会 衆議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 前尾 繁三郎君    理事 石坂  繁君 理事 北澤 直吉君    理事 須磨彌吉郎君 理事 山本 利壽君    理事 穗積 七郎君       伊東 隆治君    池田正之輔君       大橋 忠一君    菊池 義郎君       高岡 大輔君    並木 芳雄君       福田 篤泰君    田中織之進君       戸叶 里子君    細迫 兼光君       岡田 春夫君  出席政府委員         外務政務次官  森下 國雄君         外務事務官         (大臣官房長) 島津 久大君         外務省参事官  法眼 晋作君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (国際協力局         長)      河崎 一郎君         外務事務官         (情報文化局         長)      田中 三男君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局国際課         長)      澤  雄次君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 二月二十日  樺太返還交渉に伴う海豹島開拓企業に関する請  願(松前重義君紹介)(第七六二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第二八号)  外務公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第三五号)  国際金融公社への加盟について承認を求めるの  件(条約第一号)  日本国とカンボディアとの間の友好条約批准  について承認を求めるの件(条約第二号)  航空業務に関する日本国フランスとの間の協  定の批准について承認を求めるの件(条約第三  号)  航空業務に関する日本国インドとの間の協定  の締結について承認を求めるの件(条約第四  号)  航空業務に関する日本国オーストラリア連邦  との間の協定締結について承認を求めるの件  (条約第五号)  国際民間航空条約改正に関する議定書(第四  十五条に関するもの)の批准について承認を求  めるの件(条約第六号)  国際民間航空条約改正に関する議定書(第四  十八条等に関するもの)の批准について承認を  求めるの件(条約第七号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  航空業務に関する日本国フランスとの間の協定批准について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国オーストラリア連邦との間の協定締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正に関する議定書(第四十五条に関するもの)の批准について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正に関する議定書(第四十八条等に関するもの)の批准について承認を求めるの件、以上各件を一括して議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 インドフランスオーストラリアとの間で、航空協定が結ばれるような段取りになりましたことは、まことにけっこうなことでございます。そこで昭和三十一年度航空路線拡充計画ができておると思いますが、その計画を明らかにしていただきたい。
  4. 澤雄次

    澤説明員 私、運輸省航空局国際課長でございます。ただいまの御質問昭和三十一年度の拡充計画といたしましては、現在太平洋に三便やっておりますのを、四月一日から週四便にふやす計画であります。それから五月からは、現在東京から香港まで行っております線をバンコックまで延ばします。これは週二便延ばす予定で、ございます。それから沖縄には今東京から直接沖縄に飛んでおりますのを、福岡板付空港から週二便、板付沖縄線をやる予定で、ございます。昭和三十一年度の拡充計画は以上でございます。
  5. 並木芳雄

    並木委員 民間飛行場拡張計画はいかがですか。あるいは飛行場変更計画とか、いろいろあると思いますが、飛行場については・・・・。
  6. 澤雄次

    澤説明員 民間飛行場拡充計画につきましては、東京の羽田空港でございますが、これは現在のラン・ウェイが非常に痛んでおりますので、これの修理をやりますほか、飛行機をパークする場所が六つしかございませんのを、あと三つ増加いたします。国際飛行場といたしましては以上でございますが、国内線のドメスチック・ラインの拡充のために稚内、高松、熊本、鹿児島、大村の五つの飛行場公共事業費で整備いたします。これは国内線のためでございます。  それから仙台の矢ノ目、大分の飛行場を整備する計画になっておりまして、予算も国会に提出して御審議を仰いでおります。
  7. 並木芳雄

    並木委員 最近私新聞で読んだのでございますが、航空路線妨害するものとして気球というものがあるんだそうであります。私見たことがありませんから、どんなものかわかりませんが、オーストリヤの上空でも気球妨害によって衝突事故が起っておりますし、またどこでしたか、欧州の方でも航空路線妨害を受けて墜落した事件がある。気球というものはなかなか数多く飛ばされるので、その障害を排除するために、やはり何らかの取りきめというようなものが必要になってくるのではないかと思いますが、政府として対策を考えておるかどうか。また気球というものは国際法上違法であるという国際間における論戦もソ連アメリカとの間で出てきておりますが、国際法上の考え方などについて、それぞれの係からこの際お聞きしておきたいと思います。
  8. 下田武三

    下田政府委員 先般米ソ間の問題となりましたような非常に高空を飛ばす気球、つまりアメリカ側説明によりますと、飛行機の飛ぶ高さとまるで違うはるかに高いところを、ジェットストリームのあるくらいのところを飛ばすという場合に、それを国際法上どう扱うべきかという点については、まだ国際法上確立した原則がないと思います。昔は領域範囲ということは、土地の表面だけのことでございましたが、その後地下に及び、上空に及んでおるわけであります。その領空範囲を無限に拡張すると、ジェットストリームもはるかに天体に及んでしまうわけですが、主権範囲主張する場合には、そこに対する実効的支配ということが可能であるということを前提とするわけであります。ところがいかなる国も実効的支配が不可能な高空をも領域なりとして、排他的の独占権主張し得るものであるかどうかという点につきましては、国際法上まだ確立していないと思います。そこでこの間アメリカ側説明しておりますのは、ソ連アメリカ気球でないものをアメリカ気球と誤解しておる、——ヨーロッパに被圧迫民族解放に関するいろいろな運動がありまして、共産圏の鉄のカーテンの向うにいろいろ宣伝ビラや何かを運び込むために気球を飛ばしておるのがあるのは事実のようでございます。それが航空機の飛ぶ場所に落ちてくる。ソ連側の説によると、それと飛行機と衝突して事故を起したというようなことを言っておりますが、アメリカのはそんな低いところでなくて、民間航空のはるかに届かない上のところを飛ばしておるのだ、それに至る過程において飛行機と接近すると、おのずから自動装置によって爆発して、何ら妨げのないような手当も施してあるということであります。そしてもっぱらジェットストリームの流れの状態とか、あるいは雲の状態等気象観測用のものであるということを言っております。しかしソ連がそれもすら困るというのであるなら、アメリカとしては科学進歩協力してもらいたいところではあるけれども、ソ連があえて反対するなら、もうこれ以上飛ばすことを差し控えるということも言っております。  このような状態でありまして、現在の国際法上、非常に高空気球を飛ばすことは絶対いかぬという規則があるとは私は言えないと思うのでございますが、これも原子兵器等の問題と同じように、科学進歩国際法進歩より早く行くために、いろいろ国際法上未決定の個所に踏み込んでおるという状態であると思います。将来何らかの規制ができるかもしれませんが、それまでは現状のあいまいな状態が続くのもやむを得ないと思います。
  9. 並木芳雄

    並木委員 北海道にソ連気球が今月の四日ごろでしたか落ちたという報道がありますが、政府は取り調べたと思います。だれかわかっていましたら報告をしてくれませんか。
  10. 法眼晋作

    法眼政府委員 情報としては外国の通信によって承知いたしておりますが、まだ確認するに至っておりません。これは目下調査をいたしております。
  11. 岡田春夫

    岡田委員 関連してちょっと伺いたいのですが、今の領空権の問題ですね。従来の観念としての領空権というものはある。ただ、今条約局長の御答弁による領空権の問題というのは、非常に高々度の場合を言ったのだろうと思う。その点がちょっと今の御答弁では不明確である。しかし問題は、その高々度の問題が今問題になりつつあるわけです。なぜ問題になりつつあるかというと、気球だけの問題じゃない。たとえばジェット機ができることによって、民間航空にしても、イギリスの何というのですかよく落ちる飛行機、あの落ちる飛行機が高々度を飛んで航空しているわけです。その場合にも観念としては領空権というものはあると思う。これは国際法上の定説があるかないかは別として、お互いに国家間における領空権として了解し合ったものがあると思う。それは確かにあなたの言われるように天体の問題になるけれども、地球は動いているのですから、常に個々の天体日本のものであるなどというような、そんなこと絶は対に言えないですよ。領土にしても領海の問題にしてもそうだと思う。日本のこの領土の上に立って、まっすぐの地域が常に領空であるという観念、これは国際法上の一つ観念基礎になるものでなければならないと思う。そういう基礎の上に立って領空権解釈規定をしていかないと、天体は動くものであるから、これはどこの国のものでもないのだということになれば、たとえば現在の概念としてあるわれわれのこの空にしても、これは動いておる。そうなると、その理論的な根拠から言うならば、動いているからということになるならば、現在のこの空自体領空権がないということになってしまう。だからそういう点の規定をする基本が、やはり観念として、領土の上の垂直の線が常に一つ領空権であるという解釈をしていかないと、ジェット機がいろいろ研究をされる、あるいはロケット機研究をされるという段階になると、その解釈では一つ国際法上の観念が統一できないことになるのではないか、これが第一点です。  第二の点は、先ほど条約局長ダレス談話をそのまま代弁されたわけでありますが、ダレスがさっき言ったようなことを言ったということは私らも新聞で見ている。しかしそれがほんとうであるかどうかは私はわからない。なぜなら実際にソ同盟領土の中に落ちたその気球には、気象観測用のいろいろな設備というものはついてなかったという事実が明らかになっている。これは各国新聞記者に見せたのです。そういう事実になってくると、単に気象観測ではなくて、いわゆる空中査察の問題としていろいろ問題が提起されているような、相手国領土の中を写真で写すというような事実に基いて行われたのではないかという判断ができる。なぜならば、たとえばソビエトの中に落ちた一つ気球に、トルコの軍事基地写真が出ておったという事実もある。こういう点で、先ほどの御答弁は、アメリカダレス答弁によればということならば一応承われるけれども、しかし日本政府見解とは受け取れないように私は考える。  そこで第三点は、ソビエトに落ちた気球の中には、日本語注意を要すという言葉が書いてある気球があったそうです。そうすると、西ドイツで気球を飛ばして日本側に落すという目的のために、その間ソビエト上空を通って写真を写して、そして日本領土に落ちるようなしかけになって作られているものではないか、そういうことになってくると、これは日本政府に対して、アメリカ気球が飛んで来て落ちたならば、これは日本政府アメリカ駐留軍基地の方へ届けてもらいたいとかなんとかいう何か事前通告があったのではないか、こういう点が考えられるし、そしてもしたとえば日本のどこかにその気球が落ちたとした場合に、それの事前の連絡がある場合には、日本政府としてはどうかという問題と、ないとした場合においては、今度はその気球アメリカのもとへ届けなければならない義務はもちろんないはずだが、それを無主物として扱って、本来日本の国内の領土権の中に落ちたものとして、日本政府のあるいは日本主権の行使するものになるのではないか、こういう点が問題になってくると思うのですが、この点だけ、関連質問ですから一括して伺っておきたいと思います。
  12. 下田武三

    下田政府委員 第一点の領空に対する主権というものは、やはり非常に高くまで及ぶべきだという御主張、これはそういう説をなす学者も世界におるのでございまして、それが間違いであるということを申し上げる権利は私にはとてもございません。確かにそういう御説があると思います。ただ国際法の発達の段階において、地球サーフェースだけを考えておればよかった時代と違いまして、地下にもいろいろ主権がある、下へ参りますと、地球は円でありますから結局中心は点になってしまいます。アメリカのような大国も日本のような小国も点になってしまう、そうすると、下へ行くことも意味もございませんし、上へ参りますと、それはまたほんとう天体になってしまって、もしそれを厳格に主張しますと、空中に衛星を飛ばすという場合には、世界中の国の同意を得なければならぬということになりますし、結局先ほど申し上げました、いやしくも領土主権主張する以上は、実効的支配が可能である範囲ということが一つの目安ではないかと思います。これは南極その他の領土の先占の場合にも、実効的支配の不可能な地域に対して領土主権主張するのは、行き過ぎだという一つ基準がございますが、やはりある基準を設けませんと、野放図な領土主権主張範囲を広げますことも因ることだ、そういう見方もあると存じます。  第二点の、アメリカダレス長官は、これは純粋に学術的な気象観測用のバルーンであると言っておるが、それはアメリカ説明ではないかということでございますが、これは私、何も日本政府見解として申し上げたのではなくて、ダレス説明しておることを事実のままとして御紹介しただけでありまして、それを信じる信じないの問題ではないのであります。ただアメリカ側説明では、本年度は地球観測年に当っておるので、それに対してアメリカのなし得る協力一つとしてこういうジェットストリームとか、雲の走る早さあるいは雲の形成、フォーメイション、そういういろいろな科学上のデータを一生懸命集めるつもりで飛ばしているのであってこれは御指摘のような注意を要すという日本語注意書もあるそうでございますが、実は各国語でそういうものをつけておりましてこの気球の落ちたのを拾った方は、ぜひどうぞどこどこへお届け願います、これはあたかも公海における漁業調査の場合にオットセイなりサケなりに標識をつけましてこの魚をとった方はどこそこへお送り下さいというのと全く同じ意味の要請であって、それを拾った方はそれに応ずる義務はないとそのまま捨ててしまってもかまわないわけですが、そういう説明をいたしております。何も日本語を付することによって日本人に定の義務を負わせるとかいうふうなことでは毛頭ないと思うのであります。
  13. 岡田春夫

    岡田委員 事前通告が何かあったのですか。
  14. 下田武三

    下田政府委員 事前通告はいたしておらないようでございます。これはアメリカ世界方々でやっておるそうでございまして、方々で飛ばした気球のどれたけがむだになりますか、なるべくむだにならないで知らせてもらえるようにしたいというのがアメリカの希望のようであります。そういうことでありまして、これは国際法違法行為であるとまでは私は言えないと思います。
  15. 並木芳雄

    並木委員 高岡さんから関連質問がありますから、もう一点たけ私はお尋ねします。  それは板付飛行場返還の問題でございますが、先ほども航空路線拡張計画に伴って板付飛行場重要度はますます加わってきている、従って板付をなるべく早く日本民間航空に全面的にアメリカから返してもらいたいと念願しておるものでありますが、先般来その話も出てきておるやに聞いております。その話がどのように進捗しておるか、いつごろ返還になる見込みであるかということをお聞きしておきたいと思います。  それに関連して、先ごろ松本治一郎氏から提訴されて第一審で政府が負けたケースがございます。あれはあの飛行場関連しての土地訴訟の問題だったと思いますが、内容はどういうものであるか。これはアメリカ飛行場から日本飛行場に移った場合に障害となりはしないか。あれは憲法違反とまで松本さんは主張しておられるのです。そうすると安保条約すなわち行政協定に基く飛行場土地の借り上げと憲法違反なんだと主張する松本さんの主張が最終的の裁判所でどう決定されるか、われわれ関心が深いわけです。と申しますのは、第一審で政府が負けたものですから、各地の基地拡張反対闘争方々が非常な力を得てすべてこれを訴訟に持っていこうという形勢が出てきたわけであります。そこで終局的には憲法条約との関連ということになってくると思いますが、その点も政府見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  16. 澤雄次

    澤説明員 板付基地行政協定に基く提供財産でございますが、福岡の近くにある唯一の大型機のとまれる飛行場でございますので、米軍と従来折衝いたしまして、事実上日本国内線はこの板付基地を主面的に使用を許可されております。先ほど御説明申し上げましたように、この板付から沖縄線を近く開始いたしますので、ターミナル・ビルディングも作らなくてはなりませんし、税関検疫等施設も必要でございますので、極東空軍の方と折衝いたしまして、この民間用飛行機がパークする場所、そのターミナル、それから税関施設を作る場所返還について大体打ち合せが終りまして、目下手続か進捗中でございます。期日は申し上げられませんが、大体五月の日航福岡沖縄線を始めます前には、ごく一部でございますが、その土地返還ができるものと思っております。
  17. 下田武三

    下田政府委員 ただいまのあとの方の松本治一郎氏の訴訟の件につきましては、その事実関係がはっきりしませんので、事実関係をはっきりしましてから、法律関係を御説明した方がいいと思います。
  18. 並木芳雄

    並木委員 それでは答弁はこの次に……。
  19. 高岡大輔

    高岡委員 ただいま並木委員質問によって三十一年度の計画がわかったのでありますが、将来の計画について一つあわせて御答弁を願いたい。と申しますのは、なぜバンコックまで出てとまっておるのか。将来この線は延びるかどうか。御承知のようにバンコックでは中途半端でありますし、カラチまで行きますれば、あそこはいろいろの航空路のジャンクションといいますか、交差点のような気がしますので、そこまで延びる御計画がおありかどうか。その点だけお聞きしたい。
  20. 澤雄次

    澤説明員 将来の計画でございますが、これは航空当局といたしましてはいろいろ計画をいたしまして、まずロンドンまで延び、その次南米に延びるという計画は大体立てておるのでございますが、何分機材及び資金と関係がございますので、関係官庁と協議をいたさなくてはなりませんので、確定した政府としての計画は残念ながらまだございません。ただ大体財務当局と話がついております線といたしましては、来年度、昭和三十二年度にはインドまで線を延ばしていく。それから……。
  21. 高岡大輔

    高岡委員 インドといいますと、デリーまでですか。
  22. 澤雄次

    澤説明員 デリーまたはカルカッタまででございます。  太平洋線を来年度は週五回にいたしたいと思っております。それからこれはだいぶ先の計画になりますが、昭和三十四年には中間機——中間機と申しますと現在はDC6Bを五機使っておりますが、新たにDC7Cを四機、昭和三十六年にはDC——ジェットでございますが、これを四機入手できる予定になっております。
  23. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまの各件について御質疑はありませんか。
  24. 穗積七郎

    穗積委員 大体悪くない条約だと思いますが、ちょっと政務次官にお尋ねしておきたいのだが、まず第一は、フランスとそれからインド並びに豪州の二カ国との協定の取扱いが違っておりますね。条約局長がお答えになっております。一方は批准になっているでしょう、これはどういうわけですか。
  25. 下田武三

    下田政府委員 実は日本も昔は、条約の署名後に正式に拘束を受けるための締結行為批准と申しておりました。ところが戦後特に日米間の条約でございますが、御承知のようにアメリカでは、大統領の権限で、エグゼキューティヴ・アグリーメントと申しまして、議会に提出しない条約というものが非常に多うございます。ところが日本では国会に提出しなければならないということでございます。条約の本文中に、本協定批准を要すると規定することができない場合が非常に多かったのでございます。つまり日本では実際は批准とひとしい手続を必要としながら、アメリカでは政府限りでやれるという条約が多かったために、仕方がございませんので、両国のそれぞれの憲法上の手続によって承認されなければならないという規定のいたし方をいたしまして、それ以来批准という言葉のかわりに承認という言葉を使うことが多くなりました。ところがフランスは、大体日本と同じに、航空協定のごときも、フランスでは議会に提出して承認を求めるということでございますので、これは伝統的の批准という言葉をそのまま使った方がよろしいので、批准としたわけでございます。ほかの国は、大体こういう協定議会にかけないで済むというような状態でございますので、そちらには承認という言葉を使っております。
  26. 穗積七郎

    穗積委員 次にお尋ねしたいのは、この協定ができると、向う飛行機相手国飛行機日本に乗り入れるわけですね。そうするとこっちから日航機も行くのですが、いつから行くようになりますか。
  27. 下田武三

    下田政府委員 この協定ができますと、協定上は日本も相互的に相手国に乗り入れる権利はもう直ちに持つわけでございますが、実際上その権利を行使して相手国に乗り入れるかという点は、先ほど澤国際課長から御説明しましたように、やはり順を追うてやるほかはないのでございましてインド昭和三十二年度、インドに一番早く今度の協定を利用してそのまま乗り入れることになりますが、フランスオーストラリアの分は多少おそくなると思います。しかしオーストラリアにはメルボルンのオリンピック大会がございます。そういう場合に、定期航空以外の不定期航空を出して、新聞記者あるいは選手等日航機で運ぶ、ということは、またその場合に免税その他の協定に定める特権を享受するということは、本年のオリンピック大会から可能になるわけであります。その点からいいますと、やはり日本といたしましても、不定期航空等協定上の便利を受けるわけであります。
  28. 穗積七郎

    穗積委員 私はさっき、これは日航機が、日航会社がやっておると思うのだが、政府は多額の出資をしておりますし、特別会社ですから、政府の方針と表裏一体をなしておると思うのだが、航路拡張計画をお尋ねしようと思ったら、並木君がお尋ねしたそうだから、私はちょっと席をはずしておったもので——そのはいれないのはおもに経済上の理由ですか、経費が足らぬということですか。ちょっと一言、要点だけ説明していただけばいいのです。なぜせっかく協定を結びながら——相手国飛行機はどんどん入ってきて銭をかせぐのに、こっちがかせぎに出ていかぬということは、経費が足りないから行かぬというのか。その航路が旅客が少くて損するから行かぬというのか、何か経済的な理由だと思うのですが、条約上は今聞く通り相互主義ですから、あっちにあれば、こっちにも権利があるわけでしょう。その点だけちょっと説明してもらいたい。
  29. 澤雄次

    澤説明員 御質問のように、現在DC6Bが五機しかございませんので、機材がとうていそこまで延ばす余裕がございません。財政上の理由で、ただいまのところ急に機材をふやすことは不可能でございます。
  30. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、資金が足らぬということであって、政府なら政府あるいは民間の株式募集でも借入金でもいいから、民間資金にしても政府資金にしても、そういうものを入れて、そして飛行機を買い込んで就航せしめれば、採算はとれますか。
  31. 澤雄次

    澤説明員 本日御審議を願いましたインド、豪州、フランスのうち、インドフランスにつきましては、もし十分の資金と機材がございまして営業を始めれば、採算が立つと計画いたしております。ただし豪州に対しましては、十分の採算がとれないと思っております。これは豪州との間は交通が非常に少いからであります。
  32. 穗積七郎

    穗積委員 そうすればインドだけでなくてフランスまで、特にヨーロッパヘは、日本を初めとしアジア地区またはアメリカからでも、ヨーロッパに行く人でアジアを経由していく人は多いのですから、採算がとれるというならぜひやるべきだと思うが、どういうわけでやらないのですか。せっかく協定を結びながら、そして権利だけやって相手に実績を作らしめて、こっちは何年かまだ見通しも立たぬというような計画では、ここで条約を結んで気を休めておりましても、気休めにならないと思うのだが、一体どういうおつもりでしょうか、それをちょっと聞きたい。
  33. 澤雄次

    澤説明員 これは航空当局に対する御激励の御質問だと思いますが、私たちも一日も早くロンドンまで飛行機を飛ばしたいと熱望いたしておりますが、日本航空が始めましたときに太平洋線で非常な赤字を出しました。いろいろ問題がございましたのですが、まず太平洋線を確実に基礎を固めて、それから一歩々々バンコックインド、ヨーロッパというふうに延ばしていくべきであるという、これは航空当局だけでございません、関係当局の話の結果そういうふうになりまして、航空当局としては一日も早くロンドンにまで行きたいのでございますが、予算折衝その他の関係から、このようにステッブ、バイ・ステップで計画を延ばしていくというのが現状でございます。
  34. 穗積七郎

    穗積委員 僕はやっぱりそういうことはかえって不得策だと思うんですよ。航空路なんというものは、昔は船があって、船が主で航空は補助だと思っておったのが、逆になってしまっているのです。貿易も同じです。貿易もおくれていっていいというものじゃなくて、一日の先をとることは百日の先を制することになるのであって、ですから僕は早く、特にもうかる航路なら、多少は出血航路でも、国際信用のためまたは他の航路を補助するためにやっておくべきだということもあるから、——財政上航空会社の資金が十分回らぬ場合には、それはあまり無理してやらぬでもいいということになるが、欧州航路のごとく就航さえすれば黒字になる可能性がある、もし赤字になったとしてもそれは短期間に取り返すことができるという見通しのもとにあるものを、ただ手元が不如意だというようなことでやらないということは、私ははなはだ権威がない、熱意がないと思う。そういうことで、今からこんなものを結ぶ必要はないのであって、日本の利益からいけば、就航できる段階になったときに協定を結べばいいということになりませんか。相手にのみ乗り入れの権利を与える結果になって、実績を作りますよ。飛行機とか船とか汽車というようなものは、一ペん乗りつけるとやっぱりそれになれてしかも航路は、たとえばカルカッタまで行く航路ができても、用を足してそれからヨーロッパへ行く、それが世界じゅうを回っていることが、全体ではなくてある一部の航路の旅客をふやす国際的なサービスをずっと連絡づけておくことが必要だろうと、しろうと考えで思うのです。にもかかわらず、少くとも、地球一回りは遠い将来の話としても、せっかく協定を結ばれて、われわれの審議を求められておるのに、欧州航路、しかもそれはもうかるんだ、相手はすぐ就航するんだというのに、こちらはやる方針もめどもついておらぬということでは、当局のはなはだしき不熱心、無計画、無責任だと言われてもしようがないと思うのです。ですから、予算が通るか通らぬかは国会のことですけれども、しかし当局としては、一体何年の後にはフランスまで、ロンドンまでぜひ延ばしたいと思って大体こういう計画を立てておるということぐらいはお答えになれぬはずはないと思う。ですから重ねて一つお答えいただきたい。これはわれわれちょっと外国へ出てみても、私の言うことは何も思い過ごしじゃない。貿易とか航路というものは、早い者勝ちです。その立ちおくれはなかなかあとになって取り返せるものじゃございません。ですから早い方がいい。だから新しい例を申すまでもなく、釈迦に説法だと思うが、立ちおくれて戦後航路を延ばしてきた国、航空事業に力を入れてきた国、ドイツと日本と比べてみるならば、ドイツと日本では力の入れ方がとても比較にならない。こんなことじゃだめですよと僕は思うのです。あなたはどうお考えになるか、当局の良心と計画をもう少し納得のいくように説明してもらいたい。
  35. 澤雄次

    澤説明員 航空当局といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、一日も早くロンドンに飛行機を飛ばし、また南米に定期を持ちたい、このように考えておりますが、残念ながら政府としては、まだその計画がいつ実現するかということを御回答申し上げることはできません。  それで、それならばなぜこういう協定を結んだかという関係につきましては、外務省の方からお答え申し上げます。
  36. 下田武三

    下田政府委員 向うだけ乗り入れて、わが方は直ちに乗り入れができないのに、なぜこういう協定を結ぶのか、わが方が乗り入れることができるころになってから、こういう協定を結べばいいじゃないかという御質問ですが、まことにその通りであります。ただ御承知のように、平和条約の第十三条で、連合国側から航空協定締結する要請があったら、それに応じなければならないというふうになっておることと、もう一つは、平和条約の発効後四年間は一方的に乗り入れの権利を認めるという二つの義務日本側が負っておりますので、実は今回の三協定をもちまして連合国であって、日本に現実に飛行機を乗り入れておる国、全部で十一ヵ国になりますか、それらの国に対する処置が全部これで済むわけでございます。これによりまして平和条約上の義務日本が果し、かたがた紙の上ではございますが、相互的乗り入れの権利を得るということに相なるのであります。
  37. 穗積七郎

    穗積委員 私の言ったのは、乗り入れができるまでやめたらいいじゃないか、それは反語ですよ。私の言いたいのは、協定を結ぶ義務があり、協定を結んだらすぐやったらどうかということです。そうすれば、日航会社がこれをサボタージュして反対しておるからやれぬとか、または政府の中にそういう乗り入れに反対する人がおるからできぬとか、そういうことじゃないと思う。金の問題ですよ。金の問題ならドイツの例もあるし、民間資金が足らぬなら政府資金を出してどんどんやったらいい。計画があるなしでなく、日航会社がその責任の主体であって、日航会社の性格なり資金の内容というものは、私が申し上げるまでもなく、国家的な資金が導入されて、ある計画のもとに行われておる。だからこそ私はそういうことであれば、当局は予算をとって、日航会社にその資金をどんどん出して、早く就航せしめたらいいと思う。計画がないというが、予算がとれるかとれぬかは国会のことであるから、それはあなた方の御計画通りにとれるかとれぬかはわからぬけれども、予算を組むくらいの計画は、お持ちになるのが当然だと思うのです。たかが知れてますよ。こんなものは兵隊の費用に比べれば何でもない。   〔「そこがいけない」と呼び、その他発言する者あり〕
  38. 前尾繁三郎

    前尾委員長 静粛に願います。
  39. 穗積七郎

    穗積委員 だから私が聞いたのは、外務省がどういう認識を持っているのか、運輸省はどういう認識を持っているのかということです。私の言うことがわからぬのか。わからぬで、まだめどが立たぬというのか、同感だからぜひ積極的にやりたいと思う、ここですぐ計画は立てられないが、せっかくの御要望だから、役所へ持って帰って大いに研究して、早くやれるようにしますとか、もうちょっと気のきいた返事をしてもらいたいと思う。どうですか。
  40. 澤雄次

    澤説明員 積極的にやるように努力いたします。
  41. 穗積七郎

    穗積委員 次にお尋ねしますが、インドヘの乗り入れば、カルカッタヘやるつもりですか、デリーですか、どっちを御決定になるのですか。いずれか一方でなければ……。
  42. 澤雄次

    澤説明員 デリーかまたはカルカッタのいずれかに着陸権がございますが、ただいまのところは、デリーに入る予定にしております。これは実際に就航いたします前に、日本航空の者が現地でいろいろ市場調査をやりまして、どっちが有利か、それを検討しましてから決定いたします。
  43. 穗積七郎

    穗積委員 僕のしろうと考えでは、経済的な意味を持っていると思う。政治的な意味よりは、経済的な意味だと思うので、カルカッタの方がいいのじゃないかと、私の感じとしてはそう思うのです。あなたもさっき、つい言葉の中で、カルカッタからパリ、ロンドンまで行きたいというような言葉が出たから、カルカッタに行くのだと思って、念のために確かめたら、デリーへ行くとおっしゃる。どうもそれは見当違いじゃないかと思うのです。これは比較論でしょうけれども、僕はむしろ経済的にいって、カルカッタの方を使えばいいのじゃないかという感じがいたします。これは私の要望ですから、ぜひ一つ慎重に、そういう経済的な観点を考えておやりいただくように要望いたします。  それから次にお尋ねしたいのは、日航機のパイロットのことですが、この前も本委員会で私は質問したのですが、アメリカ人なんかはいいかげんにやめたらどうですか。日本人に技術があって、ただいま十分できているでしょう。そのために非常にコスト高なんです。何倍になっておるか知らぬが、えらいコスト高だと思うのです。いつやめるのですか。
  44. 澤雄次

    澤説明員 前回、同様の御質問が先生からあったと思いますが、あのとき国内線が大体二年かかるという御回答を申し上げたかと思います。その後馬力をかけて国内線は全部日本人に切りかえられました。それから国際線は、まだ三十人の外国人が乗っております。これは機長——DC6Bの機長でございますが、これは現在のところ、二年以内に全部日本人にかえる予定にいたしております。
  45. 穗積七郎

    穗積委員 もっと早くできない理由はどこにあるのですか。技術ですか、アメリカがきかぬのか、政治的な理由ですか。経済的には理由がないのであって、かえれば、かえた日から得をするのです。特に問題なのは、国内航路よりは国際航路の方がコストが高いことです。国内は、日航には競争会社はありませんが、国際線はえらく競争している。だからそういう意味で、国際航路のコストを一ドルでも下げるということが、私は非常に大事なことだと思うのです。だから国際線のパイロットがアメリカ人で、まだこれから二年もアメリカ人によらなければならぬということは、私は技術的な問題じゃなくて、政治的な問題だと思う。どこに一体その原因があるのでしょうか。ついでのことですから、ことしの四月一日からやめちゃったらどんなものですか。
  46. 澤雄次

    澤説明員 日本人は、DC6Bの機長資格を持っている者が、まだごくわずかであります。一応の訓練の段階といたしまして、DC4の機長をやりまして、それからDC6Bの副操縦士をやりまして、それからDC6Bの機長にいたしております。これはなぜこういう段階をとっているかというと、DC6Bの機長になるのには、ちょっと忘れましたがそれぞれ一定の飛行時間を要求いたしております。つまり定期の操縦士に対しては、国家規定で非、常に厳格な飛行時間を要求いたしております。これは旅客の安全のためでございます。それでDC6Bの機長は残念ながらあと二年間は——二年たちましたら全部かえますが、二年のうちに順々にかえていくわけでございまして、早急に、四月一日から全部かえろということは、ちょっと困難かと思います。  それから政治的の何かということでございましたが、御質問のように、外人は非常に月給が高くて不経済でございますので、日本政府といたしましても、日航といたしましても、一日も早く外人は日本人にかえたいのでございます。それだけで、政治的な理由も何もございません。ただ先ほど申し上げましたように、一定の飛行時間たった者を次々の段階に上げていくという、旅客の安全をはかるという安全規定関係からでございます。
  47. 穗積七郎

    穗積委員 その飛行時間のことも承知しておりますが、飛行時間といっても、何も毎日飛んで二年かかるというのじゃなくて、訓練費の費用の問題だと思います。これも役に立たぬような陸上軍の兵隊の訓練費をこっちへ回してこういうことを先にやったらいいのです。この行動半径二年というのは、やはり訓練費の費用のことだと思うのです。航空時間を早く積み上げるような費用さえ出せば、短期間に養成が十分できると思うのです。それは何も損じゃなくて、それによってコスト高を取り戻すわけでありますから、何も出した費用は非生産的な出費にはならないとわれわれは思うのですから、そういう点もぜひ考えていただきたい。二年間をもっと短縮するように努力する御用意があるかどうか、ちょっと伺いたい。
  48. 澤雄次

    澤説明員 二年間を短縮するように、大いに努力いたします。
  49. 穗積七郎

    穗積委員 その次に、今、日航機が持っております外国製の飛行機の、生産国別はどうなっておりますか。
  50. 澤雄次

    澤説明員 ちょっと聞き漏らしましたが……。
  51. 穗積七郎

    穗積委員 日航が今使っております飛行機の、生産国別の分類です。たとえばイギリス製が何機、それからアメリカ製が何機、ソビエト製が何機と、こういうふうに……。
  52. 澤雄次

    澤説明員 現在使っておりますのは、先ほども御説明いたしましたが、国内線用にダクラス4、これが七機、それから国際線用といたしましてダクラス6B、これが五機でございます。全部米国のタグラス製でございます。
  53. 穗積七郎

    穗積委員 民間飛行機は、ソビエトからはむろん買えないでしょうが、自由主義諸国においては、イギリスの方がむしろ技術的に進んでいるとわれわれは聞いているにもかかわらず、パイロットの金もかせがれ、飛行機も全部アメリカから買わされているというようなばかな話はないから、どうせ買うなら、イギリスからも少しお買いになったらどうかと思うのですが、どういうわけでそういうことになっているのか、その理由をちょっと説明してもらいたいのです。
  54. 澤雄次

    澤説明員 日本におきましては、御承知のように戦前から、旅客機についてはタグラス一本やりで来ております。戦前及び戦時中DC3、これはダグラス4の前でございますが、それ以後ダグラスの飛行機の操縦に非常になれてきております。それからDC6Bはいろいろ技術的に検討の結果、旅客機として一番いい飛行機であるという結論で、これを購入したわけであります。御承知のように、一時コメット3を注文いたしましたが、そのコメットはあのような事故で、この契約はキャンセルいたしました。
  55. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、やはりまだアメリカが、民間航空については世界で最高の品物だという判断ですか。イギリスだって負けないでしょう。それから、その品質の問題と値段の問題をちょっと説明してもらいたいのですよ。それで割引があるなら割引がある。どういうことになっているのか。特別の小麦の金で買うわけじゃないから、そんなに得じゃないと思うのですがね。
  56. 澤雄次

    澤説明員 アメリカが一番いい飛行機を持っているということを申し上げたのではないので、今日本が一番主力をそそいでおるのが太平洋線でございますが、これに向くのはDC6Bが、一番性能のいい安定した飛行機である。これは日本航空でも航空局でも考えております。
  57. 穗積七郎

    穗積委員 考えさせられておるのじゃないですか。それは押し問答してもしようがありませんから、ヨーロッパの飛行機一つ研究してもらって、アメリカばかりがいいなんて思って、きのうはよくてもあしたはよくないということがありますからね。世の中は日進月歩ですから、どうぞ眼を開いて、どうせただでもらうのではなくて、金を出して買うのですから、飛行機だけの問題ではなくて、他の貿易の関係もありますから、総合的に貿易全体として見合って、どちらが利害得失があるかということを、もっと研究する余地があると思うのです。その点を一つ研究してもらいたいと思います。  それから最後にちょっとお尋ねしたいのは、実は希望でございますが、日本のまだ政党政治が未熟なものですから、政府が資金を出して特殊会社みたいなものを作りますと、そこの人事とかいろいろな経営の問題について政党の古い先生どもが、これを政府または与党の利権のごとく考えてみたりしがちなんで、経営の能力も何もないくせに、つまらぬことを言ってみたり干渉してみたり、そういうことのために非常にやりにくくなっておる点がありはせぬかと思う。  それからもう一つは、あなたはお見受けするところ、まことに人格識見ともにりっぱなお役人のようだが、役人の中には自分の金でもないくせに、人民の金でありながら、多少援助してやると手前がふところから出してやったような気になって会社等に対してつまらぬ干渉をしてみたりするために、かえって当局責任者の創意が十分発揮できないで、どっちが責任を持つかわからぬような形で、結局経営全体が無責任になってしまったり、即決して国際競争に負けないようにできることもできないで、立ちおくれをするというようなことがありますから、こういうことは一つ十分反省をすべきだというふうに思います。その窓口はあなたのところでおやりになるわけでしょうから、そういうことのないように一つ注意をしていただきたいと思うのですが、こういうことに耳をお傾けになる用意がありますかどうか、念のためにお伺いしておきたいと思います。
  58. 澤雄次

    澤説明員 御質問の趣旨まことに、ごもっともでございまして、上司によく申し伝えます。
  59. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これにて以上の五件に関する質疑を終了することにいたします。  ただいまの各件につきましては、別に討論もないようでありますので、直ちに採決いたします。航空業務に関する日本国フランスとの間の協定批准について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国オーストラリア連邦との間の協定締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正に関する議定書(第四十五条に関するもの)の批准について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正にする議定書(第四十八条等に関するもの)の批准について承認を求めるの件、以上の五件を一括して承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議がなければただいまの各件はいずれも承認すべきものと決しました。  なお、以上各件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。     —————————————
  62. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案外務公務員法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。質疑を許します。岡田春夫君。
  63. 岡田春夫

    岡田委員 この前の委員会できょうは在外公館改正関連して文化交流の問題がどうなっているかという点についてお伺いをすることを先に申し上げておいたわけですが、それで田中さんに主としてきょうはお伺いしたいと思うのです。変なことを聞くようがけれども、田中さんの官職というのは何局長ということになるわけですか。
  64. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 外務省の情報文化局長でございます。
  65. 岡田春夫

    岡田委員 情報文化局長だと私も思っておりました。ところがお宅で発行される刊行物、正式の公文書で、みみっちいことを言うようだけれども、外務省の情報局というのは何か別にありますか。私、文化の交流の問題でいろいろ伺いたいのですが、何か文化というのを落しているのは他意があったのか、文化というのはあまり重視しないのか、公文書が間違っているのか、別な情報局というものがあるのか、どうもこういう点がわからないのですが、まずこの点を伺いたい。
  66. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 情報文化局というのが正式の名称でございます。ただ刊行物につきましては、特に情報関係の刊行物につきましては文化というのが少し複雑なものですから、便宜上情報局という簡単なものを最近つけておりますが、正式には情報文化局でございます。
  67. 岡田春夫

    岡田委員 これは結局刊行の責任者の主体を明らかにするのですから、しかも公文書というか、正式の刊行物でありますから、とするならば、これは正式のものを書かないで情報局という名称をお使いになると、きのうも新聞に出ておりますが、ほかの国の人が見ると情報局と情報文化局と二つあるのではないかと考えるかもしれない。そうしてまた日本の国民にしてもそう思うかもしれません。あるいはまたこれは戦争中の情報局がもう一度こういう格好で出てくるのではないかということを考えるかもしらぬ。そういう点でこれはやはり正確な名前で、省略をなさるなら情文局となさるのが私は正確だと思う。そういう意味では、この点をはっきり見解を統一して、少くとも役所の刊行物の発行の主体を明らかにすることが必要だと思うのです。この点は正式にお直しになるお考えがあるかどうか、この方が便宜だからということで正確ならざる方法をおとりになるのか、この点をまずもう一つ伺っておきたい。
  68. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 お説まことにもっともでございますので、さらによく検討いたしましてなるべく御趣旨に沿うように改めたいと思っております。
  69. 岡田春夫

    岡田委員 これは御趣旨に沿うようにというよりも、委員長にも聞いていただきたいのだが、正式の刊行物ですから、こういう局がないとするならば、こういうことを書くのはいけないと思うんだ。先ほどから私穏当に伺っているのだけれども、こういう官制上の局がないのならば、あるのならお書きなさい、ないのならこういうことはおやめになった方がいい。情報文化局が発行しているものなら情報文化局とお書きになるのが私は当りまえだと思う。検討される必要はないと思う。むしろ官制上の誤まりを明らかにして、検討してこれがよかったらもう少し続けようかというお考えでは私は承服できません。初めですから強いことを言わないつもりでおったのですが、そこの点ははっきりしていただきたいと思います。
  70. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 これは省内に多少の意見がございますので、その点を調整いたしまして改めるようにいたします。
  71. 岡田春夫

    岡田委員 まあ、こういう問題ばかりにこだわっちゃいけないから続けますが、この前の委員会には田中さんお見えにならなかったから御存じないかもしれませんが、今度の在外公館の一部改正で、簡単な話は在外公館がふえるわけなんですが、その主たる理由としては財政的な経済的なあるいは貿易上の問題が中心になって、在外公館の設置その他についていろいろ検討されて改正案が出された。この点は私はけっこうだと思います。しかし日本の現在の国柄としては再軍備は事実上進んでおるけれども、その点は一応私はきょうここでは触れないにしても、文化国家としての今後のことを考えていった場合に、文化の交流という問題については一番日本の国は重視しなければならない問題ではないか、このように私は考えております。そこで、この文化の交流ということについては大体どういう考え方でお進みになっておるか。現在までに私の記憶している限りでは、文化協定のできているのは五カ国だったように記憶しております。こういうような文化協定のできているところ、これはまだまだ作らなければならないのですが、こういう文化の交流について外務省としては、文化政策というものはどういう基本に立っておやりになるのであるか、こういう点をまずお伺いしたいと思います。
  72. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 文化の関係は最近単に日本のみならず、各国においても次第に重要性を増してきております。もちろん日本といたしましてもこの点にうんと努力をしなければならないということを感じておるのでありますが、今までのところ予算との関係その他から、まだ十分な活動をいたしておらないのは非常に遺憾に思っておりますが、今後一そう努力を続けたい、かように考えております。  文化の交流の方針といたしましては、申し上げるまでもないのでありますが、われわれといたしましては、日本のわれわれの持っております文化の伝統なりあるいは日本の歴史あるいは日本人の生活のあり方その他を、なるべく率直に外国人にも理解させる、同時にまた外国の持っておりますこれらの文化的資産等を日本国民によく理解させる、こういうことによってお互いに理解を増し、親善を増していく、そういうことが結局は国際平和にも貢献がある、かように考えて、こういう点に重点を置いて今後、文化関係を重視していきたい、かように考えております。
  73. 岡田春夫

    岡田委員 今もちょっとお話のあったように、予算の面で相当拘束されているということは、昨年の委員会でも相当論議になったような記憶があります。新年度の文化関係の予算としては、昨年度ではたしか二千万円程度だったような記憶があるのだが、ことしはそれよりもふえたような事実はありますか。そういう点局長が御努力になって、きょうは政務次官もお見えになっておりますが、政務次官が文化政策についてどういう熱意を示されて予算がふえているのかどうか、あるいは減っているのかどうか。外国の例を取り上げるまでもないのですけれども、たとえばアメリカなんかは日本の国に対して——これはいい悪いは別です。私はちょっとこれに意見があるのですが、日本の国だけでも約二十億円の文化関係の経費を使っておる、あるいはまたイギリスなんかにしても数億円というような日本に対する経費を使っておる、こういう状態なのに日本では文化の関係についてどの程度の予算がとられているか、こういう点、政務次官からお伺いした方がいいのじゃないかと思うのですが、一つ具体的な御答弁を願えればけっこうだと思います。
  74. 森下國雄

    ○森下政府委員 むろん文化関係に対しては、できるだけの予算をとるべく、皆様方の御援助もいただいて多大の努力をいたします。昨年から引き続いた系統的のことはよく文化局長から説明いたします。
  75. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 今年度でございますが、今年度の文化関係の予算は約八百万円でございます。来年度の予算は三千四百万円ついております。かなりふえておるのでありますが、しかしこの文化関係の仕事と申しますのは、われわれの方からあらかじめ予定される仕事と、相手国関係がありまして予定できない仕事とがございますので、こういう予定できない仕事に要する経費は報償費をさいて出しております。そういう意味で今年度は報償費も多少ふえる模様でありますので、この方面からさらに相当の額を文化関係の方に出していただきたい、かように考えております。
  76. 岡田春夫

    岡田委員 今の御説明を伺うと、去年八百万でことしは三千四百万ですか、約四倍強にふえているわけですが、これは主としてふえたものはどういうものですか。たとえばビエンナーレというのですか、ヴェニスの日本館を建てるというような経費が新たにとれたからそういうようにふえたというのですか、何か特殊な事情があってふえているのですか、こういう点を御説明願いたいと思います。
  77. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 ふえたおもなるものはメキシコと文化協定を作ったわけでございますが、メキシコに文化会館を作る費用が二千三百万円入っております。それからイタリアのヴェニスの日本館の経費が三百万円入るわけです。合せまして二千六百万円でございますので、これを差し引きますと昨年と同額でございます。ただし今申しましたように報償費がふえる予定でございますので、この方面からわれわれとしては相当の部分を文化活動に出していただきたい、かように考えております。
  78. 岡田春夫

    岡田委員 今のお話を伺うと、メキシコとヴェニスの問題、この二つが大きくて、そのほかの予算は今までの通りということになりますと、文化関係の仕事それ自体についてというか、直接的な経費はそのままで、そういう通り抜け勘定がふえたのだ、こういうことになるのだと思うのです。この点についてはあまり詳しくこれに触れていることは、この提出議案との関連からいってあれだからこの程度にしておきます。  話を変えまして国交未回復の国が現在たくさんあるわけです。こういう国との文化交流というものについてはどのようにお考えになっておるか、これに関連して出入国の関係は、文化関係あるいは経済関係については、国交未回復の国に対しても、できるだけそういう便宜をはかるようにするという方針が、これは私の記憶ではたしか昨年の閣議了解事項か何かできまっているはずです。そうすると当然文化交流の問題についても、国交が未回復であるといなとにかかわらず、ほんとうに文化のかおりの高いものについては、どんどん交流がし合えるような状態に置いていかなければならないと私は思うのだが、こういう点についてはどのようにお考えになっておるか、森下さんからも一つ御意見があれば伺いたいと思います。
  79. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 国交の事実上開けておらない国、たとえばソ連、中共、こういう共産圏の国でございますが、これらの関係につきましては純然たる文化交流についてはこれは当然認めていいもの、かように考えております。ただしかし政治的色彩があるかどうか、こういうふうな点につきましてはもちろん検討を要する点もあります。しかしそれらはむしろ国内の他の官庁の御意見を聞いてきめるものである。われわれ情報文化局といたしましては政治的色彩のない文化交流については認めていい、かように考えております。
  80. 岡田春夫

    岡田委員 それでは具体的に伺いますが、昨年は日本から歌舞伎が中国へ渡りました。ことしは今度は中国の古い演劇であるところの京劇が日本に来ようとしておるわけです。こういう京劇が来るとかソビエトからバレーが来るとかいう場合には、こういう点をいろいろな口実を設けて入れないというようなことを考えるのではなくて、文化交流の見地からはこういうものを積極的に入れていくというように情文局としては考えていくべきだと思うのだが、こういう点についてはどのようにお考えになりますか。
  81. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 先ほども申し上げましたように、政治的な色彩のないあるいは政治的な影響、活動がないということでありますならば、われわれとしては認めていい、こういうふうに考えてそういう意見を関係官庁には申しております。
  82. 岡田春夫

    岡田委員 何かで見たのですが、日本インドの文化協定、それから日本と西ドイツの文化協定の交渉を始めたということを見た記憶があるのですが、交渉を始めたのですか、それともやっておらないのですか、おやりになる意思があるのか、こういう点を伺いたい。
  83. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 西ドイツとインドとの間に目下文化協定の交渉をいたしております。インドとは東京におきましてすでに案文の交換をいたし、検討を加え、目下インド東京の大使館から本国に請訓をいたしておるわけでございます。西ドイツの方はわが方から案文を出しまして、これを目下ボンの外務省において検討中でございます。いずれ近いうちに向うの回答があるものと期待しております。
  84. 岡田春夫

    岡田委員 そうするとインドの方は今国会に提出できる状態なのでしょう、そのお見通しはいかがでございましょう。
  85. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 インドとの文化協定につきましては、この同話し合いましたところでは、完全に意見の一致を見ております。現在はインドの本国政府承認を求めるために請訓をしているという段階でございますが、ただ協定の文章にヒンズー語を入れたいという向うの意見がありましたので、それらの点で技術的に多少時間がかかるのではないか、こう思っておりますが、私の考えといたしましては今国会に提出し得るものと考えております。
  86. 岡田春夫

    岡田委員 今度は少し質問を変えまして伺いたいのですが、これはあるいは御存じなければもっと具体的に申し上げてもいいのですけれども、日本にある外国の公館では御承知のように館員の娯楽用に各国が映画のフィルムを入れております。これは大使館の館内で上映する場合には関税定事法において税金がかかりません。ところがこの大使館の館員用のフィルムを便宜上日本国内の日本人に見せるような場合があります。これはアメリカの場合なんか相当あるわけです。あるいはソビエトの場合でもあるわけです。イギリスでもあるわけです。こういうように相当あります。この場合には関税定率法によると税金がかかることになります。ところがそれに関連してぜひこの機会にお伺いをしたいのは、アメリカだけは特殊な扱いをされている。たとえば例を申し上げますが、アメリカの大使館で持っているフィルムは私の知っている限りでは上映回数が無制限です。大体全国にアメリカの文化会館みたいなのがありますが、この文化会館を通じて一ヵ月に六百七十回くらいの回数で上映している。ところがほかの国に対しては、これは大蔵省の関係で、了解しているのは一ヵ月に十七回、これしか許可いたしておりません。アメリカに対しては特別の措置が講ぜられております。それからもう一つは、アメリカがこのようなフィルムを日本で上映する場合には、全然許可なしで上映することができます。ところがアメリカを除いたほかのあらゆる国の場合には、このいうな上映のときには事前の許可を必要といたします。第三の相違点は、アメリカのフィルムは日本に入ってきて事実上どんどん複製をされております。ところがアメリカ以外の国の場合にはもちろん複製を許されておりません。こういうようにアメリカだけが特別の待遇を与えられているわけです。この特別の待遇を与えられているのは、昭和二十七年の二月に日本におった、シーボルトという人から吉田総理大臣に対して特別の秘密書簡が出ているわけです。この書簡に基いて、アメリカのフィルムだけは特別の扱いをするようにというこの書簡に同意した交換が行われていると私は聞いております。もし必要があればこれは私もっと具体的に申し上げてもけっこうなんですが、情文当局としては御存じのはずだからこの点を明らかにしてもらいたいと思うのだが、少くともこのシーボルド・吉田秘密書簡によって、アメリカの大使館用のフィルムが、日本では全く無政府的に勝手に上映を許されているという事実があるのだが、この秘密書簡の内容を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  87. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 岡田委員の御質問は外務省では儀典課の方で主管いたしておりますから私から御説明いたします。大体今岡田委員の御指摘の事実はございます。しかしながらアメリカだけがほかの大公使館と全然別扱いになっているというのは必ずしも事実じゃないのでございましてアメリカ以外にもフランスのごときは日仏会館、日仏協定において毎月非常に多数を映写いたしております。カナダも多数のフィルムを持って参りまして各地で映しております。大体この許可の範囲はプライベートのもので、公けの観衆でない場合はよいということで、従ってアメリカの文化センターも日仏会館も大体同じような取扱いになっているわけであります。それから日本としましては欧州、アメリカその他におきしまして、日本のフィルムをもつて盛んに文化宣伝をやっておるわけですが、日本の外国において受けております取扱いは非常に寛大なものでございまして、アメリカ以外にも、ドイツでも、フランスでも、イギリスでも、各地で日本の文化啓発の映画を多数非常に広範に映しております。そのほか東南アジア諸国におきましては、さらに広範囲に至るところの集会あるいは公開の席上ですら映写を認められているところがあるのでございまして日本側といたしましては、こういう見地から相互主義の立場をやはり認めざるを得ないのでございまして、従いまして相互主義を認めない国は、もちろん厳重に取り締っておるわけでございます。フランスにおきましても日仏会館で、大使館で入れた映画を映してよいかどうかという問題が起りましたときにも、外務省としましてはフランスで同じようなことが日本に認められるということを確かめまして許可いたした次第でございます。  それからさらに今岡田委員から、アメリカが大使館で無税で輸入した映画を盛んに複製しておるというお話がございましたが、これは先般映画の名前は忘れましたが、一つ複製をいたした事実があるのでございます。それで私どもはさっそくアメリカの大使館の係官を呼びまして、これは非常にけしからぬ、自後絶対に複製まかり相ならぬという一札をとったのでございます。そういうふうにして厳重に相互主義のもとでやっておりますから御心配ないと思います。
  88. 岡田春夫

    岡田委員 ちょっと要点をもう一度伺いたいのですが、シーボルドから吉田総理に対して書簡があったことは事実だということをお認めになったわけですか、その点はいかがですか。
  89. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 シーボルドから吉田総理あての上簡は占領中のことでございまして私は聞いておりません。現在独立後は全然アメリカと同等の立場で合意のもとにこういう協定と申しますか、約束のもとにお互いにやっておるわけでございます。
  90. 岡田春夫

    岡田委員 それじゃ申し上げますが、こういう内容なんです。シーボルドから、平和条約発効後においてアメリカの文化活動については日本は占領中と同じような扱いをしていただきたい。これについて御了解を願いたいという書簡なのであります。ですから占領中のことについての問題ではない、占領後の問題についてそういう扱いをしてくれという書簡が来ているわけです。その書簡に基いて今アメリカの大使館を中心とするアメリカの文化センター、こういうものは今占領中と同じような扱いを受けてやられておるということなんです。そういう書簡であります。あるいは所管が違うから、ないとあなたはおっしゃるのかもしれないけれども、これはあるのです。あるのですから、この点は一つ御存じなければお調べを願いたいと思うのだが、これに基いてやられていることが一つ。  それから、先ほど日仏会館の例をあげてお話しになりましたけれども、それは私の質問とはちょっと違うのです。それは日仏会館でおやりになる、アメリカの文化センターだけでやる、これならばまだわかると思います。ところがアメリカのフィルムの場合には、文化センターから各市町村、学校あるいは婦人団体その他の団体が持ち出しをして、自由に上映ができるのです。日仏会館で使ったという話とは違うわけです。フランスの場合には自由にそれを持ち出して、フランスのフィルムを婦人団体その他の団体が使ったという例はありません。持ち出すとすれば、関税定率法の税金の問題が問題になってくるわけです。ところがアメリカの場合には、税金がかからないでそういう形が行われているわけです。どんな小さな村に行ったってアメリカのフィルムは入っています。返されないでそのまま置いてあるのがたくさんあります。こういう点で差別待遇が行われているではないかということを言っている。  もう一つは、フランスの場合には、今お話しのように事前の申請があったわけです。その申請に基いてあなたの方も、フランスの国内で日本のフィルムを同じように扱ってくれるかどうかということを検討したあとでやらせるようになったわけです。ところがアメリカの文化センターの場合には、そういう事前の申請は一切いたしておりません。これは大蔵省の所管ですから、あなたは御存じないと思うが、その大蔵省の所管の基礎になっているのが、さっき言ったシーボルド・吉田書簡なんです。ですからシーボルド・吉田書簡というものは、そういう秘密の公文であるか何か知らぬが、そういう公文に基いて国内の行政上の措置をとらされているわけであります。ですから私はこの点を明らかにしてもらいたいと申し上げているわけです。
  91. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいまの岡田委員の御質問アメリカの大使館で持ち込んだ映画を自由自在に日本の津々浦々で映しておるというお話でございますが、私の方といたしましては大蔵省と緊密に連絡いたしまして、必ず報告を受けておるのでございます。毎月必ずアメリカ大使館から、何人の観衆を相手にどういう映画を映したかということは逐一報告を受けております。ただアメリカ関係は数が非常に多うございますから、一々事前の許可ということは実際上むずかしいのですが、事実毎月まとめて詳しい報告を取っております。  それからフランスの映画につきましても、これは日仏会館ばかりではございません。日仏会館以外にでも、観覧料を取らない非常利的の、プライベートの集まりとか、大体アメリカのカルチュア・センターが対象としておりますような観衆に対しても、フランスの映画は、フランス大使館で映しております。これもすべて相互主義の建前でやっております。ただアメリカの方は数が非常に多うございますから、非常に目立ちまして、ただいま岡田委員の御心配のような点が持ち出されるのでございますが、しかし主義といたしましては、フランスもカナダも——カナダも非常に多うございます。しかしアメリカに比べると少いのでございます。ただその報告の点は、アメリカの方が数が非常に多い関係上、事後報告ということになっております。
  92. 岡田春夫

    岡田委員 さっき申し上げたように、結局根拠が、シーボルド・吉田書簡に基いて行われている。それから、報告はとっておるというが、ほかの大使館の場合には事前の許可を必要とする。事前の許可を必要とするということが関税定率法の建前になっております。ですから、報告をとるというだけでは、厳密にいえば違法であります。事前の許可を必要とするわけです。そういう点からいっても、これは問題があるわけです。問題は、私の最も伺いたいことは、シーボルト・吉田書簡の問題について今御記憶がないならば、あとで一つお調べをいただいてから御報告をいただいてもけっこうです。あなたの方でどうしても御発表にならないなら、この次の機会に私は正式の文書で発表してもよろしいです。その点は一つ、きょうは御発表いただけないならいただけない、あとでお調べになって御発表されるならするという点を明らかにしていただきたいと思います。
  93. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 占領中にどんな書簡の交換があったか、これは今日では問題にするに当らないと思います。独立後はもっぱら日米が対等の立場に立ちまして、相互主義でやっておる仕事でございます。
  94. 岡田春夫

    岡田委員 書簡の問題はどうなんですか。そういう点はお調べになるというお考えがあるのかないのか。お調べにならないとおっしゃるなら、お調べにならないでけっこうです。私がこの次の機会に発表いたします。それと私の伺っておるのは、その書簡があるのかないのかを調べてくれ、あるなら——委員長委員会を運営する、従って十分な答弁ができなかったら、委員長として注意を喚起するのが当りまえじゃないか。ですからそういう点をお調べになるのかどうか、それが法律上無効であるのか有効であるのかというのは、それを見てからの問題なんです。だからその点をお調べになるのかどうか、お調べになってこの次の委員会で発表される意思があるかどうか、——関係局長に伺いません。森下さん、どうですか、この点についてお調べいただけますか、お調べいただけませんか。そうしてお調べになったならば、それを御発表になりますかどうですか、外務省としての方針を伺いたいと思います。
  95. 森下國雄

    ○森下政府委員 よく調べましょう。
  96. 岡田春夫

    岡田委員 お調べになって、御報告いただけますね。
  97. 森下國雄

    ○森下政府委員 報告いたすかいたさないか、もっとよく調べます。
  98. 岡田春夫

    岡田委員 それではお調べいただいて報告されるように一つお願いをいたしておきます。結果についても御報告願いますし、——実はあなたが御報告しなくても、私は知っているのです。どうしても御報告いただけなければ、政務次官にかわって、私がこの次の委員会で発表いたします。ですから御報告になりたくなければ、御報告にならなくてもけっこうであります。しかしその報告の義務はありますよ。
  99. 森下國雄

    ○森下政府委員 よくその点を調べます。
  100. 岡田春夫

    岡田委員 それは結果において報告せざるを得なくなるでしょう。  それで、その次に伺いますが、今も菊池さんから関連質問があるようですが、問題はやはり文化交流の問題に関連して、今伺っておるのは大使館用のフィルムです。ところが商業館に乗っかる興行用のフィルムについても再三問題が起っておるのです。去年日仏文化協定がきまった。あるいはイタリアとの文化協定もきまった。このように文化協定がきまっておるにかかわらず、フランスやイタリアの映画の輸入割当というものは、ほんの数本しかない。ところがアメリカのフィルムは去年だけで百二十本も入っておる。アメリカにいかに依存しておるかということは、このようなことが行われておる状態を見ても明らかだと思う。しかもアメリカから入っておるフィルムを見れば、あなたもごらんになったように、西部劇をどんどんやっておる。あるいは「暴力教室」というように、子供に対して非常に悪い影響を与えるようなフィルムなんかもどんどん入れておる。こういう点を文化の見地から考えると、決して好ましいこととは考えられない。こういう点について情報文化局長としては、文化の見地に立つて、このようないわゆるエロ・グロナンセンスというようなつまらない映画をどんどん入れさせて、そうしてアメリカから百二十本も入れさせておいて、その他の文化の高いフランスやイタリアのフィルムを入れさせないような結果に終っているということは、果してこれでいいのかどうか。特に文化協定を結んでおいて、結果においてこのようなことになっているのであるが、一体これでいいのかどうか、こういう点についても御意見を伺いたいと思う。
  101. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 外国映画の輸入割当は、御承知のように大蔵省為替局が主管しておりまして、その諮問機関として外国映画輸入委員会があり、私もその委員をいたしております。御説の通りに、大体今ドル地域から本年度百二十二本、ポンド地域から十六本、オープン地域から二十六本、優秀外国映画ボーナス用として六本、日本映画輸出ボーナス用として十本、合計百八十本の輸入割当が行われておるわけでございます。それは大体実績が基礎になって、こういう割当が従来から行われておるのでありますが、私といたしましても、今岡田委員のおっしゃいましたように、多少割当は改訂の必要があるのではないかというふうな考えで、特にヨーロッパ方面の国の本数をもう少しふやしていく必要があるのではないかというので、いろいろ諮問委員会等で意見を述べておるわけで、多少の改善を見れておるわけでございます。結果は、まだ今申し上げた程度でございます。
  102. 岡田春夫

    岡田委員 あなたも委員になっておられるそうですから、ある程度おわかりだろうと思いますから、一つずつ伺っていきますが、大体輸入割当のときには、割当の地域をドル地域とポンド地域とオープン・アカウントの三つに分けている。ところが、これは森下さんも聞いていただきたいのですが、ドル地域の中にソビエトと中国が入っている。これはまさに平和共存の状態であるかもしれぬ。あるいはその他の人民民主主義国も入れている。これは一体どういう意味なんですか。これは結果においては、日本の文化政策としては、ソビエトのフィルムを入れないようにするために、ドル地域へ入れているわけです。どうしてかというと、あとでもっと詳しくお話ししますが、輸入割当をとる商社は、アメリカが大体日本においても独占しているために、アメリカのフィルムを買わないで、ソビエトのフィルムを買うなどということは絶対にありません。とするならば、ドル地域に入っているソビエトと中国のフィルムというのは、絶対に入れないわけです。例をあげて言いますが、「ロメオとジュリェット物語」というのが今度入っている。あれはボーナス制によって入ったのであって、ドル地域の正式のクォータによって入ったのじゃない。たまたま恩恵によって入れてもらっている。こういうことで、文化のかおりの高いあの「ロメオとジュリェット物語」のようなものでさえ、ようやく入っているのです。しかもドル地域の中にソビエトと中国その他を入れているという理由が、私にはどうしてもわからない。一体どういう理由でお入れになったのか、この点について田中さんは、委員になっておられたときに疑問を感じなかったかどうか、この点を伺いたいのですが、いかがですか。
  103. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 先ほど申しましたように、これは大蔵省の為替局が主管をしておりますことで、私が申しました輸入委員会というのは、単なる諮問機関でありまして、実際の権限はないのであります。詳しいことは為替局の担当官に御質問をしていただきたいと思うのであります。
  104. 岡田春夫

    岡田委員 実は私大蔵省の為替局長に来てもらうように要求しているわけです。ところがまだ来ないわけです。だから来たときにやってもいいのですが、あなたも委員ですから、諮問機関であっても、こういう問題について言っちゃいけないということじゃないわけなんで、これは不自然だと私は思うのですよ。特に日本の外務省の従来の基本的な方針として、米ソの対立というようなことを盛んに激発させるかのごとく取り扱うようなことが多いわけなんだが、それにもかかわらず、映画の面だけは米ソ仲よく、ドル地域の中で一緒にやりなさいというような式になっているが、これはおかしいと思う。作るなら、本数の多い少いはともかくとして、共産圏地域というか、そういう地域を作るべきだと思う。為替の決済の方式からいっても、ドル地域の中にこれを置くというのはおかしいと思う。大体中国の場合なんか、ポンド決済が多い。そうすれば、ポンド地域に入れるのが当りまえだと思う。こういう点が無視されて、ドル地域の中へ入れているという理由について、今度委員会で十分発言していただかなければならぬと思うから、私は今伺っているのです。  それから実績の問題についても、これは大蔵省の人が来たときじゃなくては、もっと立ち入った話にならないから、きょうはあまり申し上げませんけれども、あなたの御存じの実績の問題についても、今までの実績を基礎にしてと言っているのだが、占領中の実績が中心になっているわけです。占領中の実績が中心になっているとするならば、アメリカが占領中においてアメリカのフィルムをどんどん入れようとした。検閲もやったことがある。こういう形で、アメリカのフィルムが入るような実績に基いて、それを基礎にして割当をやっておりますから、いつまでたってもアメリカは百二十本という数字は減らない。そのために日本の映画に対しても非常な被害を与えている。こういう点についても、これは再検討する必要がある。あなたは諮問委員会の委員として、こういう点について強く要求する必要があると思う。私去年の速記録を調べてみたのだが、何かあなたが非常に努力をされて、スイスの優秀なフィルムを入れた経験もあるとかなんとかいう答弁をしておられますが、そういうような努力をされたこともあるなら、この際やはり輸入割当の問題について、日本の文化の交流の立場に立って、そういう点を一つ根本的に再検討をさせるように、大蔵省に要求する考えがあるのかどうか。これは委員になっているからいないからの問題ばかりじゃなく、情報文化局長として、文化交流の見地からも、そういう点を考える必要があると私は思うのだが、こういう点はどういうようにお考えになるか、お伺いしておきたいと思います。  まだこの点についてもたくさんあるのですが、これはあとにしますけれども、アメリカの商社が百二十本のフィルムを独占しているがために、日本の輸入業者というものは完全に参っている。日本の輸入業者は、四十何社の中で、実際に輸入の割当を相当多数もらっているというのは、五社か六社しかありません。アメリカの商社が日本におって、アメリカのフィルムを独占的に、一社当り十何本とかあるいは二十本とかいうように、独占的に入れているわけです。そのために日本の貿易業者は完全に参っているわけです。こういう点から考えても、文化の点から考えても、貿易上の点から考えても、このような矛盾した割当方法というものを改めさせるのが、これはまた文化交流の面からいっても重要な問題だと私は思う。しかも、今まで日本で戦争前からの古い実績を持っておったある商社がある。この商社なんかにしても、今度の割当制度が変ったときに、手続がおくれたという理由だけで、これが除外されているような例もある。これは、あまりこまかいことは申し上げませんが、そういうことで、日本の輸入業者に対しては不当な抑圧が与えられる結果になるのであるから、この実績主義に基く割当の問題については、情報文化局長としては再検討をして、少くとも文化交流の建前に立って、あなた自身の正当の発言をしていかれることが私は必要だと思うが、こういう点について何かお考えをお持ちでございますかどうですか、こう点だけを総括的に伺っておきます。
  105. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 従来も、これは岡田委員よく御存じだと思いますが、地域別になりましたのは最近でございまして、以前は国別になっておったわけでございます。これをわれわれの方から、それでは非常に不公平がひどいというので、地域別に改めるように意見を出して、こういうふうになったわけでございます。さらに、今申されました優秀外国映画ボーナス用とか、あるいは日本映画輸出ボーナス用というふうな、特別の割当も加えるというふうに改善をしてもらったわけでございます。今後とも不合理の点につきましては、機会あるたびにこれを是正するように意見を述べたい、かように考えております。
  106. 岡田春夫

    岡田委員 今のお話の、優秀外国映画ボーナス用ですか、これは何か基準があってそういうものが割り当てられるようになっているのですか。その点はどうなんですか。たとえばヴェニスのコンクールかどこかのコンクールで最優秀賞であったとか、あるいはその他でたとえば「羅生門」のように最優秀賞であったというものは無条件で入れるとか、そういうような措置を情報文化局として希望してそのワクをとられたのか、何かそれに対する基準があるのか、その点を伺いたい。
  107. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 私が今申し上げましたのは、従来の国別になっておりましたのを、国別によるよりかも、こういう地域別あるいはこういう一定の目的を持ったものにある程度の割当をするという方が、より合理的だというので、こういうふうに改正をしてもらったわけなのでございますが、さらに不合理の点につきましては今後とも検討いたしまして、機会があるごとに主張したい、改善方を要望したい、こういうように考えております。
  108. 岡田春夫

    岡田委員 それから話は変りますが、国際文化振興会というのがありますね。私偶然この間行ってみたのですが、大阪商船ビルの一番てっぺんの屋上に、今バラックを建てて入っております。私の記憶では、これは昔は外務省の外郭団体としてやっておったので、現在はどうなっておるのか知らないけれども、この文化振興会が、今やバラックで屋上にあるというような状態です。これを見ても日本の文化交流、文化政策のいかに貧弱であるかということが如実に見えたような気がしました。この国際文化振興会に対しては、どういうようなことを今まで外務省としてはおやりになってきたのか、そしてあの状態で一体いいのかどうか、文化政策を進めるとするならば、こういう点についてもっと力を入れることが必要なのじゃないか、こういう点をしみじみ私は感じたわけです。機構内容についても、そこで私はいろいろお話を伺ったが、あの機構ではだめだというような感じもしたけれども、それに対する何らかの方針というものをお持ちになっておられるならば、この機会に一つお話を伺いたいと思いますし、やはりああいうような文化振興の団体を積極的に広げさしていく方に努力されることが、やはり情文局長の仕事の一つだと私は考えるのだが、こういう点についても御意見を伺っておきたいと思います。
  109. 田中三男

    ○田中(三)政府委員 国際文化振興会は、お説の通りに外務省の外郭団体の性格をもって、戦争前は非常に活発な活動をしたのであります。そういう意味でKBSという名前は国際的にもよく通じておるのでございますが、御承知のように戦争中こういう団体に対する政府の補助金というのは一切停止されましたので、ほとんど有名無実といいますか、開店休業のような状態であったのであります。終戦後になりまして、私どもの方で再びKBSを活動させて、情報文化局の外郭団体として、たとえて言うならばイギリスのブリティッシュ・カウンシルのような形で、この機関を通じて国際文化交流の事業を進めたい、こういう方針で努力をして参っておるのでありますが、遺憾ながら予算の関係で、今までのところ毎年約二百万円程度の補助金しかとれてないのであります。来年度の予算におきましても、いろいろと努力したのでございますが、補助金といたしましては、従来通り二百万円程度の補助金しか得ておらないのでございます。ただ実際の事業の面では、われわれの方では主として外国からいろいろ展覧会があるとか、催しものその他の出品等の依頼がありました場合には、ほとんど全部KBSに依頼をして品物を集めたり、またそれを選定させたり依頼をしてきておるのであります。そういう実費につきましては、先ほど申しましたように情報局の持っております予算が足らない場合は、報償費の方に支出を依頼して、事実上これを援助してやる、こういう考えでおります。今後は今申しましたように、情報文化局の外郭団体として、むしろ表にはKBSを立てて文化事業を進めるのが適当である、かように考えております。
  110. 岡田春夫

    岡田委員 これで終りますが、最後に森下さんに伺っておきますが、だんだん今お話をお聞きの通りに、日本の文化政策あるいは文化交流の問題については、非常に予算面においても貧弱な状態です。今の国際文化振興会にしても、バラックの中にいるというようなこんな哀れな状態なんです。これに対して予算の措置もいろいろ努力はされたのでしょうが、先ほどの予算の説明を聞いておると、通り抜け勘定だけは大きくて文化関係の仕事の経費というのは去年と同じだ。これでは本腰を入れて文化政策を進めるということにはならないと思うのです。せっかく森下さん政務次官になっていられる間にこういう点についても道を広げていく。文化政策の関係についても予算をできるだけとっていくようにする。そのためには、これは森下さんの非常な御努力で報償費も今年はふえたわけですから、報償費の方からもできるだけそういうふうな方面に使っていくという形で努力していただきたいと思う。こういう点について森下さんの率直な御意見を伺って、きょうの私の質問は一応これで終ります。
  111. 森下國雄

    ○森下政府委員 私が政務次官で塗りまして、外務省の予算を見まして実に驚いたのであります。何たるみじめな外務省の予算であるか。何とかしてこの予算をもっとふやしていただくために、各方面に一生懸命外務省の実情を訴えて非常な御支援をいただいたのでありました。従ってただいま岡田さんの申されるように文化交流費とか、それから報償費というようなものはどんなことをしてもふやさなければならぬ。報償費でも実は二十億円要求いたしたのであります。何と二十億円を一億五千万円に削られたのです。何たるみじめなことか。日本の貧乏が、このワク内でそういうように——穗積委員貧乏じゃない、防衛費があるじゃないか」と呼ぶ)防衛はおのずから防衛で、自国を守る。これはお言葉を返すようでありますが、穗積さん、やはり国が独立する以上はどうなりますか。一言言わしてもらいます。やはり自国を守るだけのものはどうしても用意をいたして参りませんければならぬのです。一方、それはそれとして、多大の理解を持って外務省の文化活動、外務省の報償費というものに御支援をいただいたのでありますが、ほんとうの打ちあけた話は、外務省には道路も学校も堤防もございません。選挙区を持たない外務省は最後に予算を削られて、五億、一億で議員さんが目の色を変えて予算のぶんどりをやって、外務省には選挙区がないではないかというような形になりますので、ずいぶん実際上には御支援、御同情をいただいてこれだけの予算をぶんどりするのにもずいぶん骨を折ったのでございます。私はがんばりまして、今の日本としてはその方面にどうしても必要な経費なのでございますから、一段と理解あるお言葉をありがたくお受けいたしまして、そうして御支援をいただいて、一つ文化活動の費用も報償費の方からもできるだけ回すようにいたしまして、何分報償費もみみっちいのですけれども、持っていくと報償費がなくなっちゃうので、これは困りますけれども、せいぜいこればかりの数字を、ほんとうにそれは昔の総領事の交際費ほどもないようなことで何たるみじめなことでしょうか。どうぞ一つ今度は御支援をいただいて一生懸命活動いたします。
  112. 前尾繁三郎

  113. 高岡大輔

    高岡委員 ただいま政務次官から、外務省には、選挙区はないので困るのだというお話でございましたが、もちろんその意味から予算が取りにくいという点もございましょうけれども、これは日本という立場に立ちますと、そうばかりは言われませんので、十分一つ御活躍を願いたいと思うのであります。いわゆる外務の仕事というものをもっと国民にはっきりさえして下されば、直接ではないけれども、間接には非常な選挙区の問題になりますのですから、その点を一つ極力強く主張していただきたいと思います。  それに関連して申し上げたいのでありますが、外務管はこのごろ盛んに経済外交という言葉を使われております。それで今度の、今議題になっております特派大使の問題もけっこうでありますが、この経済外交の面からしまして、これは金かかからないでできる仕事でありますけれども、私は各在外公館に業者といいましょうか、各組合の相当の権威肴を在外公館の嘱託でありますとかあるいはその他必要と言いましょうか、適当な名前によってそういう人を外務省がお願いするということか必要ではないかと思うのであります。一つの例を言いますと、日本人と外国人かかりに、これは外国の問題でありますけれども、両方がそれぞれの国においてはむしろ日本人の方がさらに優秀な技術者であるにもかかわらず、現地へ参りますと言葉の未熟とでも言いましょうか、言葉を知らないために地位が転倒いたします。言葉をかえて言いますと、日本人が売り込みました電扇とでも言いましょうか、扇風機のこわれたのに対して日本人はそれを説明する言葉が不十分なために、みずから手を下して修理をいたします。いわゆるアフター・サービスで修理をしますと、向うの方では、ことに東南アジア諸国では、日本人というものはみんな職工だというようなある意味の軽蔑をします。ところが外国人になりますと、そこのどこどこがこわれているのだからそれをこういうふうにすれば直るのだといって、みずから手を下さずに説明をします。そこで東南アジアの連中はこれはりっぱな技術者だと言う。日本人はみずから手を下すから職人だというのに対して外人は言葉説明するから技術指導者に当る、こういう大きな差が出て参ります。これは決して枝葉末節の問題ではございません。これは非常に大きな日本経済外交の一つのポイントだと私は思うのでありますが、こういう面からしましても、従来の貿易のようなものでは今後は進みません。はっきり言っておりますのは、インドではインド経済開発には外国の技術とか資本ということは必要だけれども、貿易はみんなインド人ができるのだから、外国商社の力をかりなくてもいいのだというようなことで、海外貿易に関しては今までの形でインドは進まないと思うのであります。そういう現状でございますから、結局今後は合弁会社でありますとかいろいろなことが考えられて参ります。しからばその合弁会社はどういう点から考えていかなくちゃならないかと言いますと、その国におけるいわゆる経済五カ年計画でありますとか六カ年計画という、その国の経済計画を検討しながら、それとその市場調査をしながらいろいろなものを見合せて合弁会社の機構というものを考えなければいけない。そういうものを考えていきますには、これははなはだ失礼な言葉でありますけれども、外務省の大使を初めとして一等書記官などではそういう構想はなかなか生まれて参りません。着想が出て参りません。この意味から言いまして私はいろいろな業界の権威者というものを在外公館に置かなくちゃいけないという気がするのであります。さらにそういう各業者の相当の地位の方を大使館のところへ置きますことは、これは業者間で金を支弁しましょうから、外務省の金を使わなくてもいいと思う。そういう面からしましてもぜひ一つ、この特派大使ということも大切でありますが、それにあわせてそういう面を考えていただけないものかどうかという気がするのでありますが、これは政務次官ないしは官房長から御答弁を願いたいと思います。
  114. 森下國雄

    ○森下政府委員 仰せの通りごもっともなことでございまして、インドに対しましても技術官を配すような用意をしております。それぞれこまかいことは官房長から申し上げます。
  115. 島津久大

    ○島津政府委員 ただいまの御意見のように、在外公館経済問題を扱いますのに手薄であることは十分われわれも自覚しておるのであります。何とかしてただいまお話のございましたような面を充実いたしたいと考えておすます。現状をごく概略申し上げますと、具体的な市場の調査その他は海外市場調査会というものがございまして、これが日本から各地に人を送りまして、これは大体実際商売に詳しいその道の人で構成しておりますが、市場の調査をして商機の把握をしております。見本市のようなものも開いておるわけであります。これと在外公館は緊密な連絡をとっております。また政務次官から申し上げましたように、在外公館自体にも経済の専門家を配置する計画をいたしておりまして、東南アジアの方面におきましては農機具あるいは重機械、そういうものに関する相談室というようなものも設けまして、もちろん民間の人で構成してもらいまして在外公館と連絡をとりつつ仕事を進めておるわけであります。また在外公館内部には関係各省、通産省、大蔵省、農林省その他専門の部門の人をできるだけ入れるように努めておる次第でございます。
  116. 高岡大輔

    高岡委員 ただいまの通産省または農林省の官吏の方が出先公館にいらっしゃるということは仰せの通りでありますが、これが何分にも大使館に一人か二人しかいない、まるですみっこの離れ座敷にカン詰にされているような感じがなきにしもあらずだと思うのであります。それではどうも大した効果が得られませんので、通産省ないしは農林省の官吏の方が一人ないし二人行っていらっしゃるのでは十分だということにはならないと私は思います。同時に今のお話で鉄鋼組合とか農機具の組合の方々というのは、これは国内のことなのでありますか、在外公館にそういう方がいらっしゃるということなんでしょうか、その点もう一度お答えを願いたい。
  117. 島津久大

    ○島津政府委員 お話の最初の点の、関係各省からごく少数しか来ていないというお話でございますが、もちろん現状で十分とは考えておりませんが、ただいまでもすでに在外に五十七名配置いたしておるわけであります。それで在外公館の全員は、外務省を入れまして五百名余りでございまして、そのうちいわゆる官房的な、会計でありますとか人事でありますとか電信、文書、そういうような固定した事務に従事しております人数が非常に多いわけでございます。従いまして機動的に政治、経済、文化その他の事務に従事している人員は、その五百名のうちどのくらいになりますか、半分か三分の二程度ではないか、そのうちの六十名程度が関係の各省から来ておるという状況でございますので、決して手薄ということはないと思います。もちろんこの上とも交流は促進していきたいと考えます。それから相談室は、出先にこういうものを漸次増設していきたいと考えております。すでに東南アジアには実例もあるわけであります。
  118. 高岡大輔

    高岡委員 その相談室の問題でありますが、私が最初に申し上げますのは戦前の実例でありますし、それからあとでまたもう一つ申し上げますのは戦後の、私がうわさに聞いたのでありまして実際自分で接触しない問題でありますからはっきりはわかりませんが、戦前でありますというと、御承知かもしれませんけれども、チェコのガラス・バングルを宣伝されましたときなどは、これは実に涙ぐましいような奮闘をしたものでありますし、それからキャンバス・シューズを輸出したようなときなどは、私は現にその場所まで見に行ったのでありますが、毎日ある橋のところへある外務省のお役人さんが行って、そしてそこの国民の足の寸法をはかっております。そしてこの足の格好でありますとか、いわゆる大きさによる甲の高さだとかいうものを全部調べて、そしてあのキャンバス・シューズというものが東南アジアに全面的に広がっていった。そういう努力をするということは、官吏の方ではなかなかできっこありません。どうしてもこれはその道でたたいたところの技術者といいましょうか、商売人が出ていかなければ、机上の考え方しか出てこないと私は思うのであります。それが戦前の一つの例でありますが、戦後私はこういうことを聞いております。ある国でドイツと日本からの自動車が輸入された。ところがドイツの方はそこの国情を調べて自動車を輸出した。つまりそこの国は非常に交通機関が悪い。同時にそこの国民は飲料水から食糧から全部一緒に自動車に詰めて走るということから、東京を走っているような自動車とは違うのでありますから、自動車の屋根の上に手すりをつけて、そうして十分の荷物がのっけられるように屋根を非常に厚くして、そういう自動車を輸出して、それで受け取った方はそこのところへ水がめも置ければいろいろなものを置いて走れるから非常に都合がいい。ところがたまたま日本から輸出された自動車は、上の方に何もそういう手すりがないものですから、そのまま上へのっけてなわで縛ったところが、しばらく走っているうちに屋和がへこんでしまった、日本の自動下はどうもできが悪いというような、今東京でそんな話をしますれば笑い話にしかならないものが、現地では痛切な問題になります。そういうところまで調べていきませんとだめなのでありまして、どこの国からどんな自動車が入っているとか、どういう農機具が入っているとか、そういうことを調べますと同時に、それがこわれた場合の、俗にいうアフター・サービスを十分にしませんければ、日本の商品というものは今後出て参りません。こういうことを実際にやりますためには、今の相談室というものはどれだけの規模かわかりませんけれども、これは十分一つ御検討を願わなくちゃいけないと私は思うのです。同時に先ほどから私が繰り返して申し上げますように、各鉄鋼組合でありますとか、農機具の組合の幹部が向うへ行かれて——これは出張とかいろいろなことで出てはいられますけれども、こういう方々がそれではあまりにも力が弱いのでありまして、外務省の出先公館の肩書きというとちょっと語弊がありますけれども、そういう形でありますとその相手国政府とも折衝ができます。いろいろの面でその方が非常に都合がよいのでありますし、こういうことはあるいは外務省の従来の形からいいますと型破りかもしれませんけれども、どうか時代に即応して一つ外務省も型を破っていただきたい。外務省では経済外交だとかいろいろりっぱなことをおっしゃっておりますけれども、私はそれは口先だけのような気がするのであります。だからぜひ一つ各組合業者の幹部を外務省の何かの形で在外公館に置いて、そこを拠点として相手国経済外交を働きかけるということを一つ十分にやっていただきたいと思うのでありますが、そういう考え方を外務省として今後おとりを願えるかどうか、これは今後の問題でありますから政務次官から御答弁願います。
  119. 森下國雄

    ○森下政府委員 お言葉の通りでございまして、そういう方針で努力をいたして参ります。
  120. 高岡大輔

    高岡委員 繰り返して申し上げますけれども、これは業者の方も十分それに対しては私はこたえるだろうと思いますが、それと同時に今後合弁会社の問題につきましても十分考えるべきものがたくさんあります。従いましてこの特派大使というものは、代議士だとかあるいは昔の外務省の外交官の古手を必要に応じて特派大使にしていこうというのか、あるいは財界の人も特派大使ということになり得るのか、特派大使というものは、どういうものを対象としていらっしゃるのか、構想でよいのでありますが一応お尋ねしたいと思います。
  121. 森下國雄

    ○森下政府委員 決してそれは外交官の古手とかそういう意味ではなく、それぞれの場合、それぞれの行くべき場所、そういうところとも勘案しまして、広く人材を抜擢して、そうして両院の承認を求めて出すわけであります。
  122. 高岡大輔

    高岡委員 それでけっこうな答弁になるのでありましょうが、国際金融公社に今度は投資するというようなことがいずれこの委員会にかかるだろうと思うのでありますが、かりに十億の金を投資しますれば、その使い道というものも相当考えていかなくちゃならぬ、この国際金融公社の問題はそれが議題になりました際にお伺いしたいと思うのでありますが、そういうことから考えていきましても、どこの国にどういう形の合弁会社を作ってよいかという構想が生まれたとします。その構想が生まれました場合に、それをさらに検討するためにその道の財界人を特派大使にするというようなことがあり得ますかどうか、私はそういうことも特派大使になる一つの大きな考え方であってほしいと思うのでありますが、その点をお伺いします。
  123. 森下國雄

    ○森下政府委員 その通りでございます。
  124. 前尾繁三郎

    前尾委員長 戸叶里子君。
  125. 戸叶里子

    戸叶委員 先ほど予算の問題が出ましたが、私この在外公館の問題につきましても、たとえば今度新設されるものに対する予算とか、あるいはまた転化されるものに対する予算、こういうような予算あるいは在外公館で使う一般的な予算などを一応資料として提出していただきたいと要求しようと思っておりましたが、それだけでなくして、外務委員としてやはり外務省の予算というものを知っておく必要があると思いますので、予算の分科会に行けといいましても、なかなかそういうことも不可能でございますから、ぜひ外務省関係の予算をこの委員会に近いうちに参考までに提出していただきたいということをまず要求したいと思います。  それからこのこの在外公館のこの問題につきましては、いろいろと御質疑がございまして、私伺おうとしておりましたことも他の委員からお聞きになったようですが、一点確かめておきたいことは、大使なり公使を交換いたします場合に、相対的なもので日本が大使であるならば相手国も大使、こういうふうな形にたると思いますけれども、ただ大使と公使、それから総領事と領事というものを比較いたしましたときの実質的な内容的な違いは一体どういうものであるか御説明を願いたいと思います。
  126. 島津久大

    ○島津政府委員 最初の予算につきましては最近の機会にできるだけ御説明申し上げたいと思います。  大使、公使、領事の職務の内容でございましょうか。
  127. 戸叶里子

    戸叶委員 領事、総領事というものはわかっています。それから大使、公使というものもわかっていますけれども、たとえばこの公使から大使にするとかあるいは領事から総領事にするというように昇格していくその場合の大使と公使との実質的な、あるいは内容的な違いというものはどういうところにあるのか。
  128. 島津久大

    ○島津政府委員 大使と公使の実質的な違いはございません。大体格の問題でございまして、先ほどお話がございましたように相手国と相談の上で公使を交換しようとか、大使を交換しようとかいうことになるわけでございます。国によりましては大使と公使と両引出すところもございますし、そういうときにはもとより大使の方が重いわけでございますけれども、これは格が上というくらいのことで、職務の内容には変りはないわけでございます。それから国によりましては大使というものを交換しないで公使だけというところもあるわけでございます。そういうときにはなおさらのこと、大公使の区別はないことになります。ただ最近の慣行といたしましては、大使館に公使を置く場合があるわけでございます。この公使はその国に一国を代表して駐在するわけではないわけです。これはむしろ資格の問題でございまして、職務内容も多少大使の補佐的な仕事になって参ります。これは異例でございましてそうじゃない独立の国に駐在いたします単数の大使、公使というものは、基本的には差異はないということでございます。
  129. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると格だけで大使、公使と大して違わないのでしたら、大使なら大使、公使なら公使というもの一本にするわけにはいかないのですか。それはやはり向う相手国があるために日本でも大使、公使を置かなければならない、これだけの理由でございますか。
  130. 島津久大

    ○島津政府委員 大体お話のような事情でございます。ただ大使と公使と両士あります場合に、その国との国交あるいは経済、文化その他の緊密の度合いにもよることでございましてそう密接な関係じゃない国には、まず公使を派遣して様子を見ようというようなこともあるわけでございます。
  131. 戸叶里子

    戸叶委員 予算なんかはだいぶ違うのですか。
  132. 島津久大

    ○島津政府委員 予算的には大公使の本俸は、それぞれ四段階ございまして大使の一番上と公使の一番下が組み合わさないだけで、まん中の三階級は組み合せになっております。従いまして本俸に関する限りあまり違いはないわけでございます。在勤俸はその国の事情によってきめますので、これまた大公使で本質的には違わないわけでございます。それから大使館、公使館の予算は、おのずから大使館の方が規模が大きくなりますから人員が多くなりますので、予算的には大使館の方が人件費は多くなります。そのほか通信費につきましても大体活動費が多くなっております。そういうことでございます。
  133. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは次会は公報かもってお知らせすることにいたします。   本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会      ————◇—————