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木村(文)
委員 ちょっと関連して。今、受田さんから私の発言を引用せられての
お話がございましたので、言わざるを得なくなりました。私は何のためにそのことを心配したかといいますと、今の受田さんが言うている言葉は、私の
質疑とはその趣旨は違うのです。なぜ私は違うかといいますと、
外務大臣に対する私の
質疑は、こういうことを申し上げたのであります。
外務大臣が
外務大臣としての
立場において
外交の衝に当るためには、国論の統一のある強い支持があってこそ、その世論に乗ってやるのが一番力強いだろう、そうお
考えになられますか、こうお尋ねしたのです。そこで私はなぜそれを申し上げたかといいますと、実を申し上げますと、二つのことを申し上げたい。社会党の諸君は、あまりおへそを曲げないでお聞きとりを願いたいと思うのであります。去る二月の二十三日の当
委員会で、大きな問題のありました社会党の訪ソ議員団が
ハバロフスクの
収容所を訪問せられた際に、いろいろ
国民の間に疑惑を持たれるようなことがございましたので、当
委員会においてそれを究明することになり、野溝団長を参考人とし、並びに社会党の穗積代議士を
委員外発言者としてここにおいでを願いまして、いろいろその真相を究明せられたのであります。その際に−実を申し上げると、先ほどから私はこれを申し上げたかったのでありますが、すべてこの問題は超党派的にいかなければならないと思いましたので、あえてこのことは省いておるのであります。そういうような観点からいたしまして、私はまず言葉をずっとやわらげて、
外務大臣の
責任において、世論が統一して、強力なる
国民の要望を背に立った場合において初めて大きな力が生まれてきませんかと、こうお尋ねしたわけであります。そこで、これは去る二月二十三日と二十四日の議事録を読んでいただけばわかります。この二日間にわたって、私
どもは朝の十時から六時まで、この問題を論議いたしたのであります。長い間この
委員会におられた受田さんが、当時ちょうど何かの
委員でずいぶん活躍せられておって、とうとう御
出席にならなかった。
戸叶委員はずっと出られておったのであります。そのうちでも一番かなめの二十四日の日には出ておりませんが、その際に実は栄養の問題等も大きく取り上げられて論議されたのです。そのときの
お話によりますと、穗積代議士も
——これは議事録を読んでみればわかりますが、まあ大体において栄養はよろしゅうございます、医療の方も十分普通の
日本人と同じであります、こういう
答弁をせられておる。のみならず、札幌における社会党の野溝団長の報告演説においても、私はその手紙を全部持っておりますが、山口市における報告演説会においてもこのことを言うておる。そうしますと、今、
請願運動に命をかけて、
国策の大義を曲げるなというような叫びをしてまでも
——われわれは今の健康
状態は憂慮される健康
状態であるために、どうしても強制的な労働にも耐えられないが、
国策を曲げたくないという真情を訴えての叫びとあわせてみますと、あまりに
——国
会議員として直接
ハバロフスクの
収容所に行って視察してきている社会党の諸君が一わかりますか、それを今あなた方のここで政務次官に対しての
お話は、国論の統一ということからいっても、私はあまりにも違う
一つの報告であると思うのです。どこを視察してきて、どういうふうに言ってきているのか疑わざるを得ないのです。よしんば百歩譲って、見せないとしたら
——それこそ社会党の諸君は常に命を張って戦いをしておるのだ、私はこれには敬意を表しておるのです。すべてのことに対してもしそうであるとするならば、国内においてだけでなく、八名の訪ソ議員団の諸君は
ハバロフスク収容所で死んでくるぐらいの
気持をもって私は調査に切りかえるべきであると思う。私はそれを期待したかったのです。それがあまりにも違う報告を出されたことを反省を求める。これが第一点。
第二点は、三十日の本
会議において、自由民主党と
日本社会党との共同提案をもって、この在ソ
同胞の
引き揚げ促進に関する決議案を出したわけであります。その出すに至るまでの間の
交渉は、原稿はわれわれも作りましたが、これは社会党の国会対策
委員会を通して、社会党の国会対策
委員会と折衝を重ねて、われわれはこの文句までいろいろと譲り合って、超党派的な
立場に立って処理をしたいという
気持から、すべてこれを譲りまして、そうして実は出したわけだ。(「
質問をしろ、それでは議会報告ではないか」と呼ぶ者あり)黙って聞けや、
最後に
質問するよ。そこで私はいろいろのことを趣旨弁明の中にも書いたのでありますが、これらの事も超党派的にやらなければならぬということを
考えて、これも削除いたしまして、そうして実は趣旨弁明をやったのであります。それがはからずも賛成討論者であります社会党の櫻井君から、実に当初から
政府攻撃、与党攻撃にわたるところのそういうような言論が盛られた賛成討論が出ました。私は先ほどから山下政務次官の憂えるところのいわゆる国論の統一、この
人道上の、ほんとうに
国民一丸となって何よりも優先的に、
日ソ交渉とも切り離して行うべきこの大きな問題は、一切の政党政派を超越して、すべての感情を抜きにしての道を歩きたい、そういう
気持からこういうように運んだのが、結果としてああいうような事態になり、本
会議は一時間有余もおくれるというような
状態になったことを憂えたがゆえに、私はこの
委員会において
外務大臣に対してああいうような
質問をいたしたわけであります。それが先ほどの私の発言を引用せられて、少し曲解した発言がございましたので、一応私の釈明的なことを申し上げておきたいと思う。
なおあわせて、この
機会についでにお伺いいたしたいのでありますが、先ほどの社会党の受田君の発言もございました
通り、この問題の
解決のために、
外務大臣、外務省あげて
努力はしておりますけれ
ども、厚生省としては慰問の面において、
留守家族の援護の面において、あるいは名簿等の調査において相当の苦心をされておることは、ただいま山下政務次官から御発言がございました。山下政務次官が、今回の
請願運動が起きたことによって直ちに手を打たれたということ、まことに私は本
委員会の長い間の先輩としてむべなるかなと敬意を表する次第であります。どうかこの問題については今の御
方針を曲げないで、そしてこの後とも日赤をして民間的な
外交といいますか、今の慰問に行く
方々の民間的な
外交を進められる御用意があるかどうか、その手を打つ
気持があるかどうかということをあわせて伺っておきたいと思います。