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1956-04-11 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第19号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十一日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 長谷川四郎君    理事 前田 正男君 理事 南  好雄君    理事 志村 茂治君       赤澤 正道君    稻葉  修君       須磨彌吉郎君    中曽根康弘君       楢橋  渡君    山口 好一君       岡本 隆一君  委員外出席者         議     員 齋藤 憲三君         議     員 松前 重義君         参  考  人         (関西電力株式         会社常務取締         役)     一本松たまき君         参  考  人         (元東京大学教         授)      嵯峨根遼吉君     ————————————— 四月十一日  委員西村直己君辞任につき、その補欠として楢  橋渡君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力開発利  用に関する問題)     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  本日は、原子力開発利用に関する問題について、参考人より意見を聴取いたしたいと存じます。  本日御出席参考人は、関西電力株式会社常務取締役工学博士一本松たまき君、及び元東京大学教授理学博士嵯峨根遼吉君であります。  この際、参考人各位にごあいさつを申し上げます。本日は御多用中にもかかわりませず、本委員会のためにわざわざ御出席下さいまして、ありがとうございました。本特別委員会は、科学技術振興対策のため、さきの国会に引き続き、今国会におきましても、院議をもって設置されたものでありますが、設置以来、特に原子力関係の議案を審議いたし、原子力基本法原子力委員会設置法日本原子力研究所法原子燃料公社法及び核原料物質開発促進臨時措置法を議了いたしました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場より、原子力開発利用に関する問題について、忌憚ない御意見の御発表をいただければ、幸甚に存ずる次第であります。  それでは、一本松たまき君より御意見をお述べいただき、お二人の御意見の御開陳の後、委員より御質疑があれば、これを許したいと存じます。一本松たまき君。
  3. 一本松たまき

    一本松参考人 原子力発電につきましては、私、電気事業に携わっておる者としましては、ぜひこれを強く押し進めていかなくてはならないというふうに考えておりますので、そのことにつきまして、少し理由を申し上げたいと存じます。  人間が生活することと活動すること、これは文化生活あるいは産業活動というふうな二つの大きな活動であります。それには、一番必要なのはエネルギーであるというふうに考えております。エネルギーと申しますと、これは御承知のように、動力、光、熱、そういうようなものでありまして、その資源としましては、石炭石油、薪炭、電力、こういうことでございます。世界各国は、エネルギーに対しまして非常に努力をし、増加著しいものがあるのでありますが、なかんずく電気が最も伸びておるのであります。それから石炭は、いろいろな制約がございまして、伸び世界的にも少しとまっております。石油は非常な伸びをしておりますけれども、埋蔵量の点に問題がある。電気だけは、特別に伸びておるのであります。  日本国におきましても、全く同じようなことが言えるのでありまして、私たち、現在だけでなしに、将来の電気供給というものに対して非常に大きな関心を持って、これのために国民に不自由をおかけすることのないように、いわゆる供給責任を全うするように、日ごろから心がけておるのであります。ところが、電気は、御承知のように現在水力電気火力電気のこの二つでやっておるのです。水力電気はだんだん大きな開発をやって参りまして、ここ十年ないし十五年で、地点が非常な制約を受けて参ります。有利な大地点というものは、大体十年くらいでなくなり、十五年くらいになりますと、下流増加とかいろいろなことをやりましても、もう地点的にも非常に少くなって参りますし、経済性の問題でももうむずかしい地点ばかりになってきまして、どんなにわれわれが努力しましても、開発テンポはきわめてわずかなものになるのです。一方火力の方も、石炭が御承知のような状態で、なかなか増産というものはむずかしい。しかも埋蔵量の制限というようなものが現われて参りまして、最近大火力建設ということを盛んにやっておるのでありますが、これも十年いたしますと、石炭を約千三百万トンくらい使うということが予想されておりまして、われわれが石炭電気に使い得る限度は千五百万トンくらいであろうというふうに予想いたしております。それから考えてみましても、もう十年ないし十五年しますと、火力もだめになってくる。それで、水力火力がそういう状態になってきますと、電気の新しい需要に対応する方策が全然なくなる。ところが今の日本電気の使い方を見ますと、非常にわずかでありまして、世界各国に比べますと、一人当りの使用量お話にならないほど少い状態になっております。これは十年、十五年して多少ふえますけれども、さらにその状態を考えてみましても、非常に寒心にたえないような貧弱な電気使用量でございます。それで、われわれは新しい資源によって電気を起すということを非常に心がけておったのでありますが、大へん幸いなことに、原子力によって電力が出るということが昨年あたりから相当はっきりと見通しができて参りましたので、われわれとしましては、ここに新しい電力供給責任の道を見出したいというふうに考えまして、非常に勇気を出して、この問題に取っ組んでおる次第であります。大体、そういうようなことは、イギリスあたり状態と非常によく似ておるのでありまして、イギリス原子力発電に対する努力は非常なものでございます。十年間に二百五十万キロワットくらいを作って、そして石炭——イギリスは非常に石炭に困っておりますので、石炭に対しての対策をしよう、そういうふうに考えておるのです。  お手元に私たちの考えております将来の電力需給想定を出した表をお配りしてあるはずですが、それに私たちの将来の電気供給に対しての考え方を出しております。これをちょっとごらんいただきたいと思うのでありますが、これは大体昭和五十五年という二十五年先までの状態を考えたのであります。  一番初めにありますのが需用端電力量で、これが需用家でお使いになる電気の量であります。昭和三十年は四百三十三億キロワット時でありまして、それが三十五年には六百十五億キロワット時になります。昭和四十年には八百二十七億、四十五年には千七十億、五十年は千三百三十一億、五十五年は千六百三十三億キロワット時というふうに伸びていくのであります。これはえらく伸びておるようでありますが、実際その伸び方のパーセンテージをとってみますと、初めの方は七%くらいでありますが、だんだん減りまして、五十五年になりますと四%くらいと見ておるのでありまして、この伸び見方は、そんなに大きなものとは思わないのであります。それに対しまして供給がいかに出ていくかということを、実際的にわれわれが予想したのであります。そういたしますと、送電には損失がございますから、これは少し大きい数字になっております。これだけの供給量があれば、損失を引きましてちょうど需用家電力量になるのであります。そういたしまして、水力火力原子力、このほかに、地熱というものはほとんど問題にならぬわずかなものでありますから、この三つ予測いたしました。  水力につきましては、現在は四百十一億キロワット電気を起しております。それが三十五年、四十年というふうに、四十年ごろまでの十年間の開発計画がきまっております。そういうものを大体ここへ出しまして、その先は、地点的にだんだん苦しくなっておりますけれども、それを何とかしてやる。ですから、発電コストは、この辺は相当上っていることが予測されるのであります。それによりまして、ここにあげましたように、四十年が六百七十四億、との辺から先は量においても非常に少くなって、五年間に百億足らずしか電気がふえて参りません。  火力におきましては、さらにその勢いがはっきりいたしておるのでありまして、昭和四十年に二百八十二億キロワット時になり、昭和四十五年に三百二十九億キロワット時の発電ができるのでありますが、その後はほとんどふえませんで、三百五十五、三百七十三とほとんど一ぱいのところになって参ります。  で、そのためには、原子力がどうしても大きくこのあたり供給面に入ってくれなくては、供給責任が負えないということになってくるのでありまして、その数字が四十年に二十五億キロワット時、四十五年には百六十三億キロワット時、五十年には三百七十五億キロワット時、昭和五十五年になりますと六百五十七億キロワット時というふうに、火力の二倍に近い発電をしなくてはならない。水力にも匹敵するくらいな形になって参りまして、その後はもう水力火力もこれ以上伸びませんので、原子力だけが伸びていくということになりませんと、電気需給面に非常に大きな穴があくことになるのであります。  これを設備キロワットで見ますと、水力火力というふうにこの表に書いておりますが、水力昭和五十五年に千八百七十六万キロワットで、日本水力全体は、二千二百万キロワットとか、二千三百キロワットとかいろいろいわれておりますが、大体もう一ぱいに近い千八百万キロワット水力電気となり、これが大体リミットと考えられます。火力キロワットで出しておるのであります。  原子力設備は、それではどういうふうな形で出てくるかと申しますと、昭和四十年に四十五万キロワット、十年後には四十五万キロワット原子力発電を入れなくてはいけない。四十五年には二百八十一万キロワット昭和五十年には六百四十三万キロワット、さらに昭和五十五年になりますと千百二十四万キロワット、こういうふうに飛躍的に原子力だけで電力の発生をやる、そういう姿が出て参るのであります。  下にそのときの石炭消費量などを掲げておりますが、先ほど申し上げたように、現在では八百八十万トン程度でありますものが、もうすでに四十年になりますと千四百万トンということになって、千五百万トン以上はむずかしいという事情を織り込みますと、これでもう火力一ぱいだということがおわかりになるだろうと思うのであります。  この数字電気事業連合会で作ったのでありますが、むしろ需給の面では割合に内輪に見た数字なのであります。でありますから、これだけくらいのものはぜひ原子力発電を作っていただかなくちゃならぬというふうにわれわれ電気事業者といたしましては考えておるのであります。これがわれわれ原子力を非常に進めなくちゃならないと考えておる第一の点でございます。  それでは、そういうふうに考えておるなら、それをどういうふうに実際的に、具体的に現わしていくか、実行に移していくかという問題が次の問題になると思いますが、十年先に四十五万キロワットというものを作ろうといたしますと、これは営業運転でありますので、どうしても発電所容量は十万キロワット程度のものになるのであります。今日作っておりますものは、大きな会社になりますと十五万キロワットユニット、あるいは十七万キロワットユニットで、大阪、東京等におきましても、一台の容量がそのような大きなものになりつつある。でありますので、原子力発電も一万や二万のものができましても、営業の方には役に立ちません。どうしても十万キロワット級のものにいたしませんと、営業にならないわけであります。そこで、十万キロワットといいますと、これは建設費の予測がちょっとできにくいのでありますが、やはり百億とかそういうような大きな金が予想されるのであります。でありますから、この百億の金を使って十万キロワット原子力発電を作るというのは大事業でありまして、電力会社としても、これには非常な大決心を持ってかからなければならぬのであります。が、いきなりそういうものを作るということは常識上許しませんので、ではどういう順序でやるかということになるのであります。十万キロ作りますのに、大体四年かかるというふうに私たち見ております。そういたしますと、昭和三十六年に注文をしなくちゃならぬ。そうしますと、昭和三十五年くらいに準備にかかりませんと、三十六年に注文ができないのであります。でありますので、試験のための機械というものを、私たちは一万キロワット程度のものを考えておるのでありますが、それを昭和三十五年末くらいに完成をしておりたい。そうしませんと、営業用の十万キロを作るのに資料が得られない、そういうことでありますので、テストプラントとしての一万キロワット程度のものを大体昭和三十二年の暮れごろに注文しますと、約三年ででき上ると思いますので、三十五年には一万キロのテストプラントができ上ります。それで十分な試験、十分な試運転をやりまして、一年間さらに検討して、その間に外国で今やっております原子力発電の実績というものが徐々に現われて参りますので、それらを参考にして、最後的の十万キロワット原子力発電建設にかかりたい、こういうふうに思っております。  それで、電力会社としましては、私の会社でも昨年あたりから原子力に関する委員会を作りまして、専属の者をそこに入れまして、それで資料研究、文献の調査というようなものを一年にわたってやりました。今年からやや具体的にいたしますために、一万キロワット原子力試験炉テストプラントの設計、研究、そういう具体的な問題に今かかっておるところであります。これは一年くらいしますと、相当程度具体化してくるかと思うのであります。これば必ずしも関西電力でこのテストプラントをすぐやるということではないのでありますけれども、しかしそういうテンポでやっていかなくては、結局電気供給責任を全うすることができないという羽目になってくる。そういうふうに考えております。  それでは、このテストプラントは大体どういうふうな考え方でやっておるかというと、最初のものは、現在あります一番信頼のできる機械外国から輸入することになるかと思うのであります。内地のメーカーではまだそこまでの態勢がここ一、二年くらいの問には不可能かと思っております。その型は、現在ありますのは、PWR——プレッシュアライズド・ウォーター・リアクター、これはウェスティングハウスのものであります。これなども一つ参考になると思っております。これは昨年すでに私たち会社にこういう機械を買わぬかということを向うから申し出ております。こういう事実があるのであります。一キロワットの経費は四百ドルである、そういうふうな具体的な点まで申してきております。ボイリング・ウォーターというGE系会社のやっておるのもありますが、これはどういうことになりますか、これの研究もやろうとは思っておりますが、まだこまかくは入っておりません。天然ウランということもございますが、まず私たちの一番手っとり早く完成してやれるのは、このPWRとかボイリング・ウォーターとか、そういう濃縮ウランを使った原子炉であろうと思っております。これらは、研究の結果を見ないと、最後的な決定は、まだ二年くらい先、来年の暮れくらいにどういう型にするかということはきまるかと思うのでありますが、さしあたってのところ、そういうようなことを考えております。あまり大きな容量テストプラントもまた経済的な問題とかいろいろな問題がありますので、無理じゃないか、一万キロワット程反がよいじやないか、そういうふうに思っております。また電力会社といたしましては、原子炉というものは非常にむずかしいのであります。原子炉の問題もございますが、それ以外に、用地の問題とか廃棄物の処理とか、ボイリング・ウォーターをどういうふうに持ってくるとか、従業員の訓練とか、実際上の問題がいろいろございます。そういう点もテストプラントをやりますと、十年後の営業運転の方も大体の目安がつく、そう思いますので、どうしてもテストプラントだけはやりたいと思っております。  用地等の問題は、ことに日本ではむずかしい問題だと考えられますが、外国にはいろいろな例がございまして、ベルギーのブラッセルの郊外に、一万一千キロの原子力発電所注文して、これはウェスティングハウスのものでありますが、一九五八年、昭和三十三年四月一日に運転するということであります。ベルギーという国は日本などよりはるかに人口密度の高い国なのでありますから、それを考えると、必ずしも日本に置けないこともなかろう。またイギリスにいたしましても、日本よりは人口密度は多少少い国ではありますが、あの国は非常にたくさんの原子力発電所を作っておりまして、しかも最近問題になっておりますのは、ロンドンの約四十マイルくらい離れたところに原子力発電所の敷地を選定しておる、そういうようなこともございますが、日本もPRとかいろいろなものが進みまして、われわれも用地の問題は将来大方の御理解を得てやっていける情勢になってくるのではないかと思っております。  それから、各国原子力発電について非常な熱意を持っておるということを、ちょっと御参考のために申し上げたいと思います。アメリカ等におきましては、アメリカ石炭が非常に安うございますので、原子力発電経済の問題は、日本に比べればはるかに有利な点があり、日本の半分くらいの発電費でいける。ですから原子力発電をかりにやるといたしますと、経済的な面から、日本より非常に有利というか、日本より早くやられるということも考えられるのでございます。それでも向うでは五年計画というデモンストレーション・プログラムで、五年あるいは七、八年の間に七、八十万キロワットのものを考え、さらに長期の見通しにおきましては、二十年くらい後においては、四千万キロワットくらいな原子力発電所を作るというような見方もあるようでございます。一九八〇年には一億キロワット以上の原子力発電所を作るというようなことも、一部で言われております。また英国におきましては、石炭事情によりまして、最初の十年間ば百五十万ないし二百万キロワットでございますが、その後の予想は非常に大きいものがありまして、先日参りましたロイド氏の申しましたところでも、一九七〇年には千五百万キロワット原子力発電所ができる、さらに上下合同委員会見通しでは、一九七五年に千五百万キロワット原子力発電所を作るというようなことを申しておりまして、とても開発テンポ日本などの比ではないわけであります。また、ソ連も五年間に二百万ないし二百五十万キロワットを作る。しかも先日モスクワ付近に四十万キロワット原子力発電所を作ると申しておりました。ウラル地方にも百万キロワット原子力発電所を作る計画があるようでありまして、非常な勢いソ連もやっておるわけであります。  こういう情勢から見まして、日本は多少おくればせでありましても、この問題をぜひ推進していきたいと思うのであります。これに関するいろんなお願いの問題がこれから起ってくると思います。そういう問題につきまして、当委員会におかれましても、十分御援助をいただきますようにお願い申し上げる次第であります。後ほど御質問がございましたらお答えさせていただきたいと思いますが、原子力会社立場を一応申し述べさせていただきました。
  4. 有田喜一

    有田委員長 それでは、引き続いて嵯峨根さんにお願いします。
  5. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 嵯峨根遼吉と申します。アメリカに六年ちょっとおりまして、昨年の暮れに帰ってきたばかりでありまして、日本における原子力事情がどういうふうに動いているかということ、またどういうふうに、どこまで科学者が御援助できるかというようなことを目下勉強中であります。それについて私の個人的な意見をこまかく申し上げるつもりでありますが、ちょうど今、一本松さんからのお話で、私も最初に帰って参りましたときに、どういう状態であるかということをまず了解するために、いろいろ方々かけめぐりまして資料をいただきました。こちらにありますグラフは、日本アメリカに対してたった十分の一しか電力を平均使っていない、当然平均所得も十分の一だ、そうしてチェコや何かはもっと上の方におるんだということをはっりり示すグラフでございます。こちらにありますグラフは、日本エネルギー資源がどの程度に進んでいるか、こちらの緑が燃材すなわち、まきであります。それから紫が石炭、その間に天然ガスなんてこんな小さなもの、日本石油石炭もこんなに小さなもので、あとは水色は電力です。これは資源調査会でなかなかいいグラフを持っておられたんですが、あまり活用しておられません。今、一本松さんのおっしゃったように、資源調査会ではこんなに上っておるように予想しておりますが、実際は上らないで、ずっと下っておる。この中のあと部分は、原子力で補うのだというような見当がつく、なかなかおもしろいきれいな図でございます。もう一つとこグラフ——こればあまりよくわかりませんが、日本火力は、新鋭火力といって、非常に新しいものをどんどん入れておりますが、実際にアメリカはこういうふうなカーブで進んでいるのに対して、日本ではボイラーの、圧力がこんなにおくれて、こういうふうに進んできておる。この辺では十年のおく木で、今でも六年ぐらいのおくれだということをよく示しております。そうして火力発電自体技術が、現在こんなに急激に進んでおる最中にあるのだというところの一つグラフでございます。  前置きはさておき、私自身どういう態度でいっておるかと申しますと、できるだけ数値で表わせるものは数値で表わしていく、わからないものはこの程度わからないのだと、押せるだけ押して、科学者的に考えて、ある程度できないものかということを今やっております。そうしてまっ先に了解しましたことは、原子力問題に対する態度に、こうしたらいい、ああしたらいいという議論の一等奥に、状況判断ということ、日本がどういう状態にあるか、世界がどういう状況にあるかということをしっかり押えてあるかと申しますと、めいめい違った状況判断で詳論しておられることを見出しました。そうして現在、これから申し上げますようなことは、私はこう了解しているけれども、ほかの人はある程度——たとえば現在できております五カ年計画——もっともこれは近いうちにもう一ぺん検討し直すようでありますが、それを考えたときは、まだ世界の情報がよく知られていないためにこういう結論が出たけれども、これが変ると、こういうふうになるということが幾つかありましたので、それを申し上げたいと思います。  第一に、日本は、原子力発電が何年後にどのくらい要るかという予想は、ついこの間まではできておりませんでした。事実私は電気事業連合会に参りましてこのグラフをお目にかけて、この上の方の水力が足りない。ここにかば色がありますが、このかば色部分外国からの重油であります。この重油を一体何年間続けられると思っておられるか、科学者立場からいえば、できるだけゆっくりやっていただけば、りっぱな原子力発電がやれる。ところが何年持ちますかと伺いましたところが、事実需給予想というようなことをまだはっきりは考えておられない。ごく最近考えられまして、こういう数字が出て参りました。その程度需給予想ですが、重油は、十年あるいは十五年後に二百万トンあるいは三百万トンぐらいの重油が必要だということになって参ります。これは非常に大事なことで、果してそれだけ得られるかどうかという問題が出てくるわけであります。それに加えて、先ほど一本松さんがおっしゃった需給予想ということは、イギリス、カナダあるいはフランスは十年に二倍というのが普通なんですが、日本は、最初の八年ぐらいまでは二倍に近い一・九倍ぐらいですが、それからあと非常におそくなっておる。十五年に二倍くらいになっております。それで果していいかという問題があるわけでありまして、これは電力会社がお考えになったのです。ところが、日本はこう伸びたいのだという政治家の立場からは、ずいぶん違うだろうということも、考えていただきたいと思います。その点はついこの間までわからなかった点でありまして、それがわかりますと、事実、準備が違うわけでありまして、すなわちゆっくりしていられないのだ、相当に急がないとだめだ、相当どころか、一生懸命急がないとだめだという結論が出ると思いますが、この点はあまり重要視しておられない。  第二の点は、原子力発電のコストが、一体新鋭火力のコストはいつごろ大体同じになるだろうかという予想であります。これは非常にはっきりしない予想でありますが、一、二年前までは、十五年ないし三十年というのが普通でありました。現在のところは、大体十年で日本のコストを割るか、あるいはアメリカのコストを割るかというくらいの不正確さ、すなわち日本アメリカの大体二倍くらい高いのです。そのくらいの不正確さで大体十年がいいところだろうというふうにだんだん皆さんの意見がまとまって参りました。これが一つの新しい事実であります。  それから第三の点は、この点は私個人が考えているのですが、というのは、アメリカに私ある程度長いこと行っていたので、アメリカの行き方を知っているためかもしれませんが、アメリカ原子力委員会というのは、相当に平和攻勢ということに力を入力ているので、燃料の価格なんかは相当に、日本でやってほしいという希望があれば、自由に下げる可能性がある。すなわちある意味のダンピングの可能性すらあると僕は考えております。ところが原子力発電機を作るメーカーの方も、アメリカの中でも、できるだけ早く実際に使う発電機の経験を得たいという希望があるから、その方でも、イニシアル・コストでのダンピングの可能性がある。この点もあまり考えておられなかったと私は思っております。  第四の点は、試験用の動力炉にしろ動力協定が要るという考え方自体も、動力協定という形でなくして、将来どうなるかわかりませんけれども、ある程度の協定でというか、アグリーメントといいますか、そういうことで、試験動力炉は始められる可能性があると私は見ております。すなわち、日本ですと、政府が音頭をとらないといけないのが、アメリカあたりでは、民間の音頭で相当に政府の政策が動き得るのだという考え方もあると思っております。その点を見のがしては困るという点であります。ですから、そういう意味で、試験用動力炉のあとにパイロット・プラント式の動力炉が入っても、その燃料に対する手配は、むしろ会社と政府の両方一ぺんに働きかけるべきだと私は考えております。  第五の点は、今までの考え方は、国産炉でいこうという考え方であったのでありますが、これは最初に申し上げた日本電力を非常に至急に要求するという点からも、ある程度間に合わないということが確実でありますし、また実地にこれからやろうという人たちも、最初の数台は、少くとも外国技術導入でやった方が結局日本のためになるという考え方もある。これもよく考えていただきたい。今までは外国技術導入ということについての議論をあまりされていない。  第六の点は、日本は非常に特殊事情にある。すなわち今までの日本原子力対策は、ほとんど外国のまねをしてきだ。その外国がほとんど全部原子力自体が相当国防に役に立っている。その国のまねをしている向きが非常にあるのに対して、日本は平和利用一本でいこうという点であります。そのために、将来外国技術を導入するとすれば、結局日本はその技術日本に根が生えるような形にして入れたいのだということであり、そうすると、日本原子力発電機を将来作る会社自体は、どういう状態にあるかということを考えておられなかったらしいと私は考えます。すなわち、そういうような会社は、ほとんど外国会社に適当な連絡があって、非常に理想的なものがどんでもないところにあっても、そういう会社にはなかなか入らないのだ。と同時に、その関係会社が必ずパテントを持っていて、一緒に試験をしなさいといっても、パテントの関係でやれないという事実が必ずある。そういう点は、具体的な動きとしては、将来大事な点になってくるだろう。そういう点をあまり考えに入れられなかった。  第七の点は、それではそういう行き方でいったら、いつ会社責任に移せるだろうかという問題があります。これが結局山になります。すなわち、原子力研究所なり何なりで基礎的のものをやって、それから会社にまかすときにうまく渡るだろうか。最初の一万キロワットから会社責任でやらせられるだろうか、一体どういう炉がいいのだろうかということを、会社責任で選ぶことができるだろうかという点があります。この点は人によって意見が違う。すなわち、会社によって勉強の度が違うという点でありますが、一等理想的なのは、一年くらい待ってもいいから、会社に十分勉強させて、しかも外国のコンサルタント・エンジニアの意見も聞かして、内地の科学者も協力して、めいめいがやりいいようにやらせるということができれば、これが将来混乱を来たさない。しかしある程度国家管理でやって、それから会社に移す場合には、相当な困難がある。しかしその方が結局安くつくといえば、それでやらなくちゃならぬ。この点の採択というのは、非常に困難な問題になると私は考えております。そこで、私自身は、結局最初の一万キロワット程度試験用動力炉というものは、日本電力の需要の上から考えて、当然外国技術の導入あるいは外国のものを買ってやってみるという形になって参りますと、基礎的な研究をやってからやるという現在のプランをある程度変えていただかなくちゃならない。そういう点に、すなわち、現在入ってくるボイリング・ウォーター最初の小さなリアクター、その後に入るはずの小さなCP5というものは、動力用原子炉の目的には結局間に合いそうもないのだ、それはむしろ将来をねらう基礎的はものになる。そうしますと、そういうようなものは当然にもっと大ぜいの科学者の役に立つようなふうに持っていく方がいいんじゃないだろうかという議論が出て参ります。すなわち、現在は文部省関係あるいは大学関係の人々は、ほとんどあの動きにタッチしておられないけれども、それができる方がいいのじゃないだろうかという点が問題になってきます。  その次の点は、今、日本科学者あるいはエンジニアは、いろんな文献をよく調査して、大体これで見当がついたと思っておられるにかかわらず、まだ見のがしている点あるいは秘密になっているのを全然知らない点がありはしないだろうか、私はこういう例はいつでもあると思っております。すなわち、放射線の影響で、ウラニウムのエレメントが相当に形が変ってしまうなんということは、一年前ハフスタッドが来るまでは、ほとんど日本の人は知らなかったということを聞いております。それに類似のことがないとは言えないと私は考えておるわけなのでありまして、そういう点からすると、科学者はわかったと思っていても、実際はわからないことがあるかもしれない。いつも気をつけなくちゃいけないという点を、私は大事に思っております。そういう点からして、アメリカのコンサルタント・エンジニアの意見ということも、相当に重きを置かなくちゃならないし、それからアメリカのものを導入するということも、相当な重要性があると私は考えているわけであります。  最後の点は、ウランもしくはトリウムの燃料がどうなるかという問題なのですが、これはぜひ間に合わせなくちゃならない理由は、私は考えられません。むしろ最初はどうしても買わなくちゃならないし、日本で探して、なければ、最後まで買わなくちゃならない。こういう点を十分に初めから用意をしておいていただきたい。こういうような点が、今まで考えておられだ方々と、私の個人的な今までの勉強でかなり食い違っている。そして現在こういうような点で、私の考えているのが果して正しいのか正しくないのかということをよく調べていただきたいということ希望いたしておるわけであります。  実は、私の希望なのでありますが、結局そういうことを調べていただくためには、すなわち、情勢判断の正確度を増すということが必要になって参りますので、ぜひとも適当な種類の調査団を一、二回少くとも出していただきたいのであります。私が今考えておるのは、たとえばここにおられるような電力会社の方、電機メーカーとくっついた調査団というようなものは、一等正確な技術あるいは事実をとってこられるだろう。というのは、自分がこちらで作るつもりで、しかも採算が合わなければ自分の責任だという点で、ただぐるぐると見て歩くのではなくて、ほんとうに向うの会社に行って、話ができるだろうというようなことすら考えます。そういうような調査団がほしいということ。  第二には、外国に現在行っておられる人に、こういう情報がほしいのだということをこちらから注文を出すようなところがあってほしいというようなことも、大事な点であります。  それから第三の点は、私はアメリカにいて、ただ向うのニュース・インタプリターといいますか、コメンテーターといいますか、ニュース解説者の話を聞いていただけでも、われわれがこっちへ帰ってきてからの世界状況判断が、だいぶこちらの方々より進んでいたという点を気づいておりますので、これはある意味で、外国に行っておられる人にいろいろな依頼を出すという点も非常にいい点だ、こういうことを気をつけて聞いておいてくれとか、よく読んでおいてれということを出すということも、結局日本の円を助けることになるのじゃないだろうかと思います。  第四の点は、コンサルタント・エンジニアを入れたらどうかということも、一つの点だと私は考えております。  それから全然別のことなんでありますが、状況判断がある程度つきますと、現在の原子力委員のやっておられる以上に、もっとよく状況判断をまとめて、いつでも消化してやっていくような総合的な機関があった方がよくないだろうかという点を常に考えております。それがもし原子力研究所の中にできればなお都合がいいのでありますが、私が気がついておりますのは、現在の原子力研究所自体は、発足して間がありませんので、原力炉を作るのに一ぱいでありまして、実際には原子力に関する基礎的研究とか、原子力に関する応用の研究とか、放射性元素の輸入とか、八項目もあげておりますが、その八項目のうちまだ一項目しか手がついていない。そのほかのものを将来は原子力研究でやる、あるいはある程度よそへ移すということもあるかもしれませんが、現在ここ数年の間、やれないところはだれがどうやってやるのかという問題もおろそかにできない。すなわち、特に大事なことは、電力会社では常に今の一本松さんのおっしゃるような勢いでものを作っていこう、そうすると、それに対する技術者あるいは研究者というものはもっとずっと早い時期に何人も必要になって参ります。その人をどうやって作るか、単に外国へ人を送るといっても、どういう人を送っていいのか、ほんとうに責任を持っておるところはまだない。当然ある意味で、昔流の考えでいえば、そういうことは文部省が本気になってやるべきことであると私は考えるのでありますが、あるいは大学の先生方が主導権を持って立案してやることであるかもしれないのですが、それが現在何にもできていない。そして、この人材の全国的な養成という点については、原子力研究所でも、将来全部やれないだろうという点があると思います。そういう点で、何となく私は、実際の動力炉について一生懸命やっている人、あるいは原子力について一生懸命やっている人と、そのうしろで基礎的に将来伸びようと準備をしているところが、まだ動かないで、その連絡がないという感じがしているのであります。それに関連しまして、同位元素については、現在もう日本では外国から同位元素を輸入して四、五年になり、年間大体九割の複利で、大体年々二倍にも使用量がふえておる。昨年は五万ドル、ことしは十万ドルも使っております。ところがそういうものに対しての実際の動きというものは、非常ににぶい。単に原子力予算として各工業試験所に予算がばらまかれておりますが、果してそれでいいだろうか、私がすでにこういうことを大学において三十年間取り扱ってきております経験から見て、どうももっといい手がありそうだ。すなわち、農業の方にやろう、あるいは工業の方に使おうとすると、まっ先にどういうものが使えるのか、どういうアイソトープを使ったらいいのか、どういう機械を使ったらいいのか、そういうような相談所もなければ、講習所もなければ、その研究所すらまだはっきりない。私、うろ覚えに覚えておりますが、いつぞや正力さんの新聞記者への話か何かで、科学技術庁ができればそういうことをやりたいというようなことでありましたので、何かそういうものは現在もやっていいものなのに、なぜやれないのかというような気がしております。  そういう点で、私はさらに科学者からのある意味の非難、ある意味の忠告をもう一つ申し上げたい。それは、現在原子力は非常に大きな金を使っておりますが、果してそれがうまく使えておるだろうかということを、どうやってウオッチできるであろうかという点であります。金をこれだけ出したから、これだけやれというのではなくて、金はこれだけ使って、十分な努力がしてあればそれでけっこうなんですが、それがほんとうにやれておるだろうかという点が大事だろうと思います。十分な努力がされておるだろうかという点であります。  最後に、もう一つ非常に心配なのは、パテントに対してほとんど手を打っておられないとしか思えない点であります。このパテントは、アメリカ原子力委員会でも、ついこの間あたりから会社にパテントのとれることをどんどん許しまして、それがごく近い将来アメリカ技術導入と同時にどんどん日本へ入ってくる。そのパテント問題に対して、日本ではどういう態度をとるかという根本方針が、あまりはっきりきまっていないのではないかというふうに私は了解しております。この点は、私は専門外でありまして、あるいはどっかでよく勉強しておられる方があるかもしれませんが、日本の特許法は、非常に特殊なというか、フランスに非常によく似ていて、頭で考えれば、実際にやらなくてもいいような特許だと聞いておりますので、その点で、非常に大きなパテントをとられて、動きもつかぬという可能性が十分にあるのだということを御了解願いたいと私は思っております。  大体申し上げたいことは全部申し上げましたが、最後にお願いしたいことは、こちらの努力で、原子力委員会とか、原子力局とか、あるいは科学技術庁、原子力研究所、それに民間の産業会議と、ある程度のおぜん立てができたのですが、できただけでお見捨てにならずに、うまくいっておるだろうかということをいつもウオッチして、もしうまくいっていないところがありましたら、どうしてうまくいかないのかということをこの委員会の方々でよく御調査になって、適当な手を打っていただきたい、そう希望しております。(拍手)
  6. 有田喜一

    有田委員長 以上をもって、参考人よりの御意見の御開陳は終了いたしました。  これより質疑に入りたいと思いますが、質疑の通告がありますから、これを許したいと思います。前田正男君。
  7. 前田正男

    ○前田(正)委員 非常に多岐の問題にわたって御意見を伺いまして、われわれは非常に参考になりました。しかしながら、問題が非常に多岐にわたっておりますので、詳細な点については、いずれまた速記を拝見してから個々にまた伺わせていただく機会を得たいと思いますが、今日のお話の中で非常に問題となりましたところを一、二お聞きしたいと思います。それは原子力委員会原子力開発計画を再検討することになっておるのでありますけれども、先ほどから一本松さん及び嵯峨根さんのお話を伺っておりますと、日本電力需給状況から見まして、テスト・パイロット・プラントというものは、すでに三十二年には大体準備をしなければならぬという立場から、最初は輸入をしなければならぬというような情勢にだんだん追い込まれてきておるような状況でございます。従いまして、先ほど嵯峨根さんも触れられておりましたように、現在の原子力研究所を中心といたしましたところの原子力開発計画というものも、相当の変更を来たして、三年目には、日本自身で基礎的な研究をやる実験炉を作る。それからテスト・パイロット・プラントというものを作るというような考え方との間に、非常に大きな食い違いが生じておる。従ってもちろん原子力委員会が再検討するのでしょうけれども、どうもこの問題は非常に大きな問題を与えてくるのじゃないかと私は思われるのであります。そこで、これがそういうような情勢であるということになって参りまして、今お話のように進んでいくということになるならば、日本原子力研究所自身も、先ほど嵯峨根さんが心配しておられましたように、もっと七つも八つも研究項目がありまして、人の養成の問題にしても、アイソトープの利用の問題にしても、この研究所が中心になってやっていく。そういうふうな性格のもとに研究所の法律が制定されて、衆議院を通り、参議院に回っておるわけです。その方面に主力を注いでいきまして、この発電プラントというものは、行政府であるところのいわゆる原子力局あるいは科学技術庁という行政の方の問題になってきて、そうしてそれはいわゆる民間の方が発電をされていくという方面に対する行政的なコントロールの点だけでいいというような段階になってきて、研究所自身で具体的な研究に入っていくというふうな時間的な余裕がないような感じを持つのであります。今のお話のようなことでいくと、そういうふうに研究所がこれからスタートして、やって、そしてテストプラント研究を実際問題としてはすぐできかねる、しかも一方にそういうアイソトープの利用の問題等もあるわけですが、今のお話をそのまま敷衍していくと、研究所はパイロット・プラントの問題とは一応離れて、こちらの方に主力を置いていかないという傾向になるのではないかと思うのですが、嵯峨根さんはいかがお考えになりますか。
  8. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の点は、私自身が、今ここで御意見に対して私の意見を申し上げていいのかどうかわかりませんが、実際の電力会社あるいは原子炉の製作者が、外国のものを入れたとしても、自分の責任ですぐにやれるかという点には、多分に問題があります。たとえば敷地の問題にしろ、ごく小さな技術の問題にしろ、そういう点をもっとよく検討しませんと、原子力研究所でやった方がいいか、あるいは原子力研究所はほんとうの基礎的なものに限った方がいいかという点は、すぐに回答が出ないのだ、そう了解しております。ただ、たった一つ申し上げ得るのは、現在の原子力研究所の立案は、動力炉に行くつもりで人もとられ、やっている人もそのつもりでやっおられますので、基礎的の研究をやる人の意見、そういうものは割合反映されていない。その点は逆に言えば、要するに、文部省と通産省関係の人との交流がうまくいっていないらしいというふうに考えられます。従って、大学関係に問題があるのだという問題が、一向に流れてきていない。研究室でやれるものでも、それが一応伏せた形になっているという点であります。ですから、研究所自体をどういうふうにするかというようなことは、一朝一夕できまる問題ではないだろうという考えであります。どういうふうにやったら一等いいかというのは、もっと大事な根本方針をもう一ぺん立て直していただかないと、結論が出ないという私の考え方であります。
  9. 前田正男

    ○前田(正)委員 これはなかなか重大問題でありますので、私ども一つよく研究いたします。ただきょうのお話で非常に情勢がはっきりしたように見えますが、この情勢に基いて、私どもよく皆さんの御意見を伺いまして、原子力委員会の御決定について、われわれも大いに助言をいたしたいと思います。またそれを私ども拝聴いたしたいと思います。  そこで、私はそういう根本問題は一つ離れまして、きょうのお話で漏れたことを一、二お聞きしたいと思います。この廃棄物の処理ということは、非常に大きな問題になってきまして、これは今のお話のように、どんどんと将来発電が進むということになると、廃棄物の処理という問題が済まないとこれはできないと思いますが、廃棄物の処理というものは、電力の需用に伴って、こういうふうにどんどんと原子力発電をやっていくのに、これは五年後、十年後というときには、日本でも作ろうというわけでありますので、こういうふうな段階に応じて、廃棄物の処理というものは、今後五年、十年の間に非常に合理的に処理される可能性があるものでしょうか。それは嵯峨根さんも向うにおられてよく研究され、あるいはお話をされておるだろうと思いますが、そういう見通しがあるかどうかということのお話を伺いたい。
  10. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 これは、私の専門からかなり横にそれた問題でありまして、あまり自信がありませんのですが、三つの点を申し上げたいと思います。第一の点は、この点が心配になりましたので、私は友だちの科学者の二人にその点を——もっともこの二人は、原子力研究所に非常に密接な連絡をとっているのですが、この二人に聞きましたが、返事が全然反対でありまして、一人は十分やれるよ、一人は全然間に合いません、こういう話でありました。しかし第二の申し上げたい点は、私は廃棄物の処理を日本でやらなくちゃならないという時期は、相当先にくると了解しております。というのは、ユーナイテッド・ネーションでのいろいろな手もありますけれども、日本という国を外国の人がどう見ておるか、日本国会の信用がどこまでいっているかという点は、だいぶ皆さんと違った考えを多分持っておるのだと思います。その点で、外国は、多分相当な時期まで日本をほんとうに信用しないだろう。ついては、だから出てくる廃棄物自体を日本の中で処理するには、非常にむずかしい条件をつけてくるだろう。そういうふうになれば、日本が自分で研究してやるという以外に、向うの指定の方法でやらざるを得ない時期が相当にあるということを私は予期しておるものですから、その点で、あまり心配しないで申し上げなかったというわけであります。
  11. 前田正男

    ○前田(正)委員 その可能性はあるでしょうけれども、これは日本アメリカの問題だけではなしに、原子力発電というものは、非常にどんどんと進んでいかなければならぬけれども、アメリカにおきましても、廃棄物の処理という問題には非常に困難しておるようです。今の実験炉が実用の発電所になっていくというふうに、五年、十年後にはそういう見通しを持っておるようですけれども、それと大体テンポを合して、廃棄物の処理の研究、その技術というものは発展していく可能性があるかどうかということをお聞きしたかったのであります。これは専門外のようでありますが、問題となりますので、また一つ別の機全会にお伺いいたします。  そこで一本松さんに一点だけお聞きしておきたいと思いますが、先ほど濃縮ウランにたよって日本発電をしていかなければならぬだろうというようなお話でありましたけれども、これは、実は、日本の今までのところの根本方針では、天然ウランというものに将来していきたい。しかもイギリスの発展的なやり方を見ていきたいということで、最近正力さんもイギリスからだれか呼ぶというようなことを言っていられます。そこで問題は、濃縮ウラン天然ウランという問題だけでなしに、トリウムとか、あるいは増殖炉とか、ブリーダーというような問題も出てきて、将来はあるいはプルトニウムの増殖炉を中心としての形式でやっていく。濃縮ウランの炉というものは、過去の形になってくるという可能性が出てくるのではないかと思うのであります。もちろんそれに必要な技術として、テストプラントとして濃縮ウランをお使いになるのは別ですが、電力界としての重点は、あくまでアメリカから、あるいはまたその他国際連合で管理するところの濃縮ウランにたよったところの施設で発電していこうとしておられるのか、あるいは独自にブリーダーを研究されるとか、トリウムを研究されるとか、あるいはイギリス天然ウランの方を研究していくとか、単にテストプラントとして濃縮ウランでやっていくという態度でおられるのか。これはテストプラント濃縮ウランをお使いになることはあるようですが、将来ともずっと濃縮ウランにたよっていこうとお考えになっておられるのか、あるいはそうではなしに、各方面の技術というものを研究していとうという考え方電力界は原子力発電に臨んでおられるのか、この二つ考え方のどちらであるかということを一つお聞かせ願いたい。
  12. 一本松たまき

    一本松参考人 ただいまの濃縮ウラン、これはテストプラントだけであります。今後十年あるいは十五年後の営業運転につきましては、これは非常にむずかしい問題ではありますが、天然ウランを使うものも使わなければならぬという時代になるのではないか。これはブリーダーという形で、どっちかといえば、併用されるようなことを一応考えておるのでありますが、今後各国原子炉の発展によって、そういうようなものの割合は変ってくると思います。
  13. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の件について一言私つけ加えたいことがございます。それは、先ほどボイラーの圧力がこんなに上ってきておるということを申し上げたのですが、それに対する私の一つ見方です。原子炉は、このボイラーの圧力が上っていくカーブよりももっと早く進歩するものと思っております。それにもかかわらず、電力会社は、多分こういう態度をおとりになる、すなわちイギリスで今、天然ウラン・黒鉛炉をコルダーホールでテストして、それがうまく行くようにきまっているというくらい自信を持っております。すぐにもう四、五年の後に、何十万キロというものを同じ手でやる、この炉は、イギリス人自体も、能率的には決して満足できないで、多分百できるものだったら七十くらいのものらしい。それでもコストが合えばやっていいじゃないかという考え方をしております。そういうような意味で、日本電力会社も動かれるだろうということは十分予測がつくが、将来もっといいものがどしどしできるということは当然であり、どこへ落ちつくかということは、世界中どなたも知っておられないのであります。
  14. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 嵯峨根先生と一本松さんにお尋ねいたしたいと思うのであります。日本原子力政策というものは非常にまだ混迷しておって、秩序ができていないと思うのです。これはわれわれの責任でもありますが、また一面には、原子力委員会の機能が十分でない、ここにも発しておると思います。初め武山問題なんかでつまずいて、玄関先の石ころにちょっとつまずいたようなもので、まだ玄関に入らない前に石ころがあったということで、それのみに拘泥しているような感じがするのです。ほんとなら、玄関に入ってから、どこに鏡台を置くとか、かけ物はどんなものをかけるとか、たんすはどこに置いておくとか、そういうことをわれわれは初め考えてやらなければいかぬと思います。そういう面から見ますと、一つは海外情報の収集という点について非常な欠陥がまだありはしないか、それから第二は、技術計算と経済計算の調和という部面で、非常に重大な問題が出てくる。日本技術力の水準と外国における準歩のテンポ、それからその経済性、その経済性の中には、また非常に社会的条件が入ってきて、商慣習があります。日本でも、原子炉については、三大メーカーがあるとかいわれておる。外国には外国のメーカーというものがあって、それぞれ商慣習というものがある。そういうものが新しい技術を中心にしてどういうふうになじむか、それがまた日本の学者、技術関係、学術会議を背景にした技術計算というものとどういうふうに調和させるかという問題がすぐ出てくると思うのです。これは日本原子炉計画テンポに応じて、そういう問題が出てくるのでありまして、そういうある程度俯瞰図を持ちながらこの問題を進めないと、非常なロスも出てくるし、また無用な誤解も相当ふえてくる。そういう意味の経済計算、それから技術計算、あるいはさらにうまくいけば将来全般にわたる超党派的な政治計算、この三つの調和した総合計画をぜひとも作る必要があると思うのです。そういう点について、原子力委員会の方ではあまり御構想を発表なさっておりませんが、われわれもどこから手をつけてよいかわからぬような気がするのです。嵯峨根先生、アメリカの実情をごらんになって、どういう順序にこれは進めていくべきか、また一本松先生は実務の立場から、また技術的な立場から、どういうふうに進めていくべきか、教えていただけば、ありがたいと存じます。
  15. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の点は、私が今どの程度考えているかという点をお話しする以外に、御参考になるかどうかわかりませんが、申し上げます。先ほど私がお話しした最後の点の、いろいろ原子力委員会科学技術庁とか原子力研究所とかいうものができてきて、あとまで見守っていただきたい、育てていただきたいという、この希望に関連しております。アメリカ原子力委員会の行き方と日本原子力委員会の行き方、責任の範囲がかなり食い違っているので、その点で非常な困難がある。原子力委員会自体どちらかに性格がはっきりしないために、今の性格で原子力委員会がいけるかどうかすら、原子力委員の人はほんとうに考えておられないのじゃないだろうかという点であります。たとえば、自分たちに手足がなくて動けるかどうかということを、本格的に考えるひますらまだなかったのだ、ですから、このときすぐにこうやったらどうかと言うことが、今いい時期かどうかということは、まだ私にはわからない。しかし、先にいけば必ず三権分立の形でやっていただかなければ動きがとれなくなるだろう、現在多少三権分立の動きをするのには困難な位置に置かれていると私は了解しています。どこかに実際の行政をやられるところと、それを審議するところと、全然独立な調査機関が二つは少くともなくては、動きがとれないだろうという点を心配しております。
  16. 一本松たまき

    一本松参考人 原子力委員会としましては、今、嵯峨根さんが言われました実際的の手足と申しますか、実際面にタッチできるような組織というものが、何らかの形でつけ加えられていく方がいいのじゃないかと私も思っております。今、実際的な問題からというお話もございましたので、先ほどの原子力研究所で動力炉をやるというような問題と関連しまして一つ申し上げたいと思うのでありますが、委員会とか原子力研究所というのが、少し理屈に走り過ぎられてはまずいのじゃないか、そういう感じがいたしておるのであります。たとえば、動力炉をやるにいたしましても、理論的にいえば、日本はどういう炉を作る、国産炉を作る、それから動力炉を作る、こういう理屈も成り立つと思いますが、実際的の面では、動力炉はそういう順序を経て最後のところまで待っておるわけにいかぬという情勢があれば、やはりそのことは十分把握していただいて、たとえば三十二年の末にはもう動力炉のテストプラントというものを発注するというような実際的な面があっていただきたい、そういうことを原子力行政の上に希望申し上げたいと思います。
  17. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今のお二方のお話で、嵯峨根先生は、原子力委員会というのは、もう少し調査機能を持ち、手足を持って強化されなければならない、こういうお話でありましたが、私も同様に、調査機能を持って、もっと実態を把握するということは、非常に重要だと思います。ことによれば、監察機能も持たなければいけない、こういうことを考えております。  それから、一本松さんのお話で、動力炉の導入の時期についてお話がありましたが、このことは、原子力研究所の仕事の範囲にも関係することで、原子力研究所のワク内で動力炉は導入してやるのか、あるいは九電力が別個に動力炉を早く導入してやりたいというのか、どちらの方法でいったらいいというお考えでありますか。われわれの構想は、原子力研究所の内部に動力炉というものを置いて、その中に九電力その他の技術者を全部入れて、自由にやらしたらどうか。動力炉というものを一つの独立のセクションとしてやったらどうか。それは大きい意味の原子力研究所のコントロールを受けながら、創意を生かしながらやっていく。そういう意味では、原子力研究所が、総合研究所ないしは中央研究所としての性格を持つ、こういう考えでおるわけですが、そういう観点からして、原子力研究所の内部部局といいますか、機能や仕事の範囲というものは、どういうふうにこれを構成していったらいいのか、一本松さんの御意見を承わりたいと思います。
  18. 一本松たまき

    一本松参考人 ただいまの問題は、原子力研究所ができます性格のときにも、相当われわれ考えた問題でございます。電力会社としましては、研究所と一体になって動力炉の開発をやりたいという気持を持っております。今でも持っております。従いまして、組織としましては、今、中曽根さんのおっしゃったような形がけっこうじゃないかと私も思っております。要は、電力会社としましては、三十二年にテストプラントをやるという非常に差し迫った問題を電力会社だけでやるという決心は、今のところ、ついておりませんし、またそういう必要も、今の段階では、むしろ原子力研究所と一緒になってやるということで達せられるのではないか、そういうふうに思います。
  19. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の三十二年度にテストプラントをやるという意味は、発注はいつなさる大体見当ですか。
  20. 一本松たまき

    一本松参考人 今の三十二年に発注をする。それで三十五年にその完成をしまして、一年くらいの試験をしました結果、営業運転に使えるような本物の原子力発電所注文をするという段階にいきたい、そういうふうに思っております。
  21. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、その場合は濃縮ウランでやるわけですか。われわれの今までの、原子力計画の動力炉は、大体天然ウランを中心にやっていく、そういう考えでありました。その天然ウランとの結びつきは、その後の計画でどういうふうになりますか。
  22. 一本松たまき

    一本松参考人 営業用原子力発電所は、濃縮ウラン型になりますか、天然ウラン型になりますか、今のところはまだはっきりした考えを持っておりません。アメリカにおきまして濃縮ウランを使いましたいわゆるデモンストレーション・プラントというのがありますが、それらは大体十数万キロワットというオーダーのものである。濃縮ウランのものはやれないということはないんじゃないか。一方イギリスの方では、天然ウランを使ったコルダーホールもありますし、そういうものを、どちらをやるかということは、今後の情勢によってきまる問題であると思います。
  23. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 日本電力需用の面からすると、動力炉を非常に急ぐという事情は、十分われわれもわかるのであります。われわれもそういう方向に進めたいと思いますが、また一面、日本技術者や学者の要望を見ますと、国産技術の確立、自主性の確保という面から、あまり急ぐなという議論もありまして、非常にその間はデリケートです。一体こういう問題の調和は、どういう方法で調和をとったらいいのか、嵯峨根先生、一本松先生、どちらでもいいです。当然将来問題になるのであります。それはどういう機構を作るか、どういう方法でこの調和をとったらいいか、教えていただきたいと思います。
  24. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今すぐの御質問の前の質問に対しての私の意見をさきに述べさしていただいて、それからあとにいきたいと思います。  最初の点について、二つ問題があったと思うのであります。すなわち、原子力研究所で試験動力炉をやった方がいいという一本松さんの御発言は、電力会社原子炉製造業者と集まってやれば、やってやれないことはないというような意気込みであったにかかわらず、やはりそれを実際やるつもりで考えられますと、非常に困難な問題が出てきている。結局これは原子力研究所でやらなくちゃ、最初は少くともだめだというお考えがあったと私は思っております。ところが先ほどの私の発言で、日本のメーカー自体か向うから導入する場合に、一緒にやれるかというと、これはやれないとはっきり言明しておられる。その点は、最初の案は、国産炉でやっていくから、みんな一緒にやれた。ところが向うのパテントのあるものを導入する場合には、その関係の会社しかやれないんだという点に非常に困難が出てくる。そうして、将来それの燃料が違い、いろいろなものが各会社で違ってくると、具体的に非常にデリケートな問題で、今の案でいくとは私は思っておりません。何かの形で調和をとらなくちゃいけない。さしずめ最初一基ということは、ほとんど無理数話で、少くとも二基以上ないとだめだということになってくると思っております。  その次の問題は、燃料の問題でありますが、これは私も先ほど言いましたように、世界でだれも自信があるものばないだろう。しかし、日本は今、動力の発電ばかり考えておられますが、その次にすぐ三、四年の後には原子力戦が控えている。この場合には、天然ウランは全然だめだということはわかっております。当然濃縮ウランでやらなくちゃならない。その点は非常にむずかしい政治的問題があるにかかわらず、必ず濃縮をどこか一ヵ所やっていただかなくちゃ困るということは、私は言えると思います。  その次に、今度はどうやったら調和がとれるかという問題は、議論をしていてもきりがない。ある程度の国民の要求と、それから世界における日本の地位、あるいは日本の産業の伸びというものにひっからまって、多分にコマーシャル・ベースでいくということが、先に一等強いきめ手になってくる。それにある程度日本の見越しを考慮に入れれば、ある程度手直しはできるだろうけれども、根本的にはコマーシャルの競争のものについていくより手がないんだというように私は考えております。これは、長いことアメリカにいて、資本主義になれ過ぎた考え方からかもしれませんけれども、私はそういう考え方をしております。
  25. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 最後に、嵯峨根先生にお尋ねしますが、アメリカにおいて、上下両院の合同委員会がかなり機能をあげてやっているようでありますが、これがまたアメリカ原子力政策を推進する上に非常に力があるだろうと私は思います。日本の場合を見ると、原子力委員会というものは手足がありませんし、事実上そう強力なものに今なっておらぬわけです。それから日本のいろいろな特殊事情から、結論がややもすれば分裂しやすい。そのことは、非常に不幸な結果を日本の場合は起す、こういうことを考え、また将来日本原子力というものが、外国のマーケットの対象になって荒されるのを防ぐというようなことも考えなくちゃなりませんし、世論を調和するという意味からも、国会に合同委員会のようなものが正式にできて、それが原子力委員会を支えてやって、強力に推進していく、と同時に国民世論との調和もはかっていくということが望ましいように思うのであります。この点、アメリカの実態をごらんになり、日本の今の実情をごらんになって、先生はどういうふうにお考えでありますか。
  26. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の御質問で、突然、二年ばかり昔——まだ一年しかならないのですね、中曽根さん、前田さん、志村さん、松前さんが、ローレンスのオフィスへ来られて、多分松前さんだったと思いますが、向うの合同委員会委員であるヒンショーに非常にいい質問をされて、あんなうれしかったことはないのであります。それは、合同委員会は、どういう立場でどういうふうに原子力委員会に対していくかという質問をされたのに対して、ヒンショーはこう答えたのをいまだに覚えております。すなわち、こういうような問題は、初めから予想していても、そういうふうにはならない。いつも問題は新しく新しく出てくる。そのたびにそういう態度に対してどうしたらいいかという規則をまず自分たちで考え、そうしてその規則にのっとってやっていくのだというヒンショーの答えでありました。そのとき私は非常に、これがほんとうのいき方だなという感じを一面受けたのであります。あとで考えると、自分たちでまず何があるかはっきり知らないうちに、こういうときはこうやるのだという規則を作ってから、その規則にのっとってやってみるということが非常にいいことだと私は考えております。そういう点で、日本の合同委員会で同じような、非常にフェアな立場で動く努力をされながら、原子力委員会に非常な協力をされるということが、一等望ましいことだと私は考えております。
  27. 有田喜一

    有田委員長 この際お諮りいたします。議員、齊藤憲三君及び議員、松前重義君より、委員外発言をいたしたい旨の申し出がありますから、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 有田喜一

    有田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。齋藤憲三君。
  29. 齋藤憲三

    ○齋藤憲三君 私はおそく参りまして、両先生の御説をほとんど伺いませんでしたが、その後の質疑応答、特に嵯峨根先生の御構想を拝聴して、今後の日本原子力行政のあり方について非常な示唆を受けて、衷心からお礼を申し上げます。私も原子力問題に対しましては、先輩の驥尾に付しまして努力いたしておる一人でありますが、これは非常に雲をつかむような問題でございまして、いろいろ考えてみても、結局はわからない。また世界原子力情勢も刻々に変化を来たしまして、究極するところ、全くその行く手もわからないほど大きな革命を引き起すのではないか。そういう状態のまん中で、日本はこれから朝野をあげて原子力問題に取り組んで参らなければならないのでございますが、これをイージー・ゴーイングな考え方から参りますと、結局何もしなくても、日本はやはり原子力時代に入っていく、私はそう思うのです。人類社会が原子力によって大きな変革を来たす場合には、全人類の問題でございますから、結局何をしなくても原子力の時代に入っていく。しかしそういうことは許されないので、日本日本立場から、これを何とかしてキャッチしていかなければならない、こういうことだと私は考えております。きょうの新聞でございましたか、アメリカ原子力に対する回顧を読んでみますと、アメリカもずいぶんだくさん失敗している。失敗に失敗を重ねて、今日のアメリカ原子力が脚光を浴びてきている。私は英国もそうだと思う。ところが、日本は、残念ながら、アメリカや英国のように思い切った失敗を重ねていく余裕のないところに、今後の原子力に対する大きな問題が残っていると思う。これは私は私なりに非常に悩んでいるのでございますが、日本原子力研究所を作って、日本原子力平和利用時代を早く現出したいと考えているのです。おそらく欧米のすでに解明し尽した問題を、日本日本のあり方によって、バイ・ステップでいかなければ、原子力の平和利用というものは、実質的につかめないのではないかと思う。ところが、現実の問題としては、欧米ではもうどんどん原子力平和利用の時代に入ってしまう。ところが、日本日本なりの研究をバイ・ステップでやっておっては、いつまでたってもけつを追っていくようなもので、ほんとうの意味のコマーシャル・ベースに乗るところの原子力発電についても、アイソトープの利用についても、世界に伍していけるような原子力平和利用時代を日本人はつかめないのではないかという心配がある。ですから、日本は、一方では原子力研究所を通じて研究をしていって、朝野のブレーンを集めてやっていく、一方では自由自在に欧米の進歩した原子力の実体を導入するという両建でいかないと、日本原子力によるところの恩恵をすばやくつかみ得ないのではないかと考えております。こういう考え方がいい考え方であるか悪い考え方であるかという点について、一つお考えがありましたら、お教えを願いたいと思います。
  30. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今のお話については、私はいつもこういう例を申し上げます。すなわち、私はスポーツが好きで、ラグビーを始終見ているわけですが、あとから追っかけるときに、たまにくっつくな、左のコーナーに行くのだったら、フルバックはその側のコーナをねらって走れという原則があります。情勢がどちらに動くかという見込みがある程度つくまでは、情報網を強化するということであります。その情報によって、このコーナに行くのだという見当がついたら、そちらに走るということで、たまのあとにくっついて走るのでは、あちこちひき回されるだけで、ロスがある。先ほどおっしゃったように、アメリカでもイギリスでも、非常なロスをしているという点があります。しかしロイド卿にも言われましたけれども、ショート・カットはない。自分で一歩々々踏み出さなければならないのだということも事実であります。ある程度の科学的技術は、向うの年に一回なり二回なりのアンクラシファイドといいますか、秘密を解除する行き方の中に相当のものが入っている。その点で、一、三年前に日本科学者が考えていた大事な科学的資料がどんどん解除されているという事実があります。そういう点で、日本で全部が全部テストしなければならぬのだという考え方は、訂正していただかなければならぬ。しかし大事な点は、チエックしなければならぬ。特に日本の材料を使う場合には、それは日本試験しなければならぬ。もっとも、外国に送って試験してもらう手もないことはないわけであります。そこで最後の点なんでありますが、そういうように、試験はどうしても基礎的なものはしなければならぬことは確実なんでありますが、それと並行して、特に時期的に急がれる動力炉をどうやって入れるかということは、今、一番大事な問題で、研究をしてみなければわかりませんけれども、先ほどおっしゃったようなある意味の二本立という考え方もあるわけであります。一本松さんがおっしゃったように、最初の時期は、外国のものを入れて、それにならっていくのだという考え方が相当に望ましいことは事実なんです。それをどううまくやるかということについては、必ずしも二本立にならないかもわからない。原子力研究所でそれを入れて、そこの連中も一緒に習う。しかしパテントの問題があるので、それは限度がある。こういうことです。どの程度の二本立であるかというところに問題がある。そうして、最後には必ず二本立になる。すなわちコマーシャル・ベースでやるものはどんどんやる。基礎的なものは研究所でやるという形になる。その時期がいつくるか、いつごろどういう形でくるかということが、原子力行政の一番のポイントになるのだというように考えております。この点は、思い出しましたが、この前の原子力委員会の参与会でも、タイミングが問題だということで、皆さんほとんど同じような意見を持っておられたと了解しております。
  31. 齋藤憲三

    ○齋藤憲三君 私は、実際問題といたしまして、このパテントの問題が、もう日本としてはある一つの大きな破れないかきねになっておるのじゃないかと思うのです。日本がこれから原子力研究所を通じていろいろな基礎研究をやっていく、そのことは、すでに世界から見ると、あらゆるパテントでもって支配されておるものを、ここ数年、普通のオーソドックスな歩みをやると、もうみんな先回りに全部パテントを取られた中を、基礎研究、基礎研究で、バイ・ステップでいくような形になるのであって、これは学問的な追究としては私はいいと思う。しかし原子力を平和的に利用して、それによって日本のすべての生産状態を変えていこうという大きな立場からいうと、これはタイミングがもうすでにおくれちゃっているのです。ですから、よほど先回りをした、原子力平和利用というものは、究極はここに落ち込むのだというような、まだアメリカイギリスも、その他ようやく考えておるかあるいは手をつけたかというような、そういう飛び離れた先の研究をやって、原子力の発展が落ち込んでくるやつを、日本もパテントや何かで争ってやるならば、日本独自の原子力平和利用時代というものはくるかもしれない。そうでない限り、ここ当分は、欧米のパテントの網の中に縛られた中を、日本はやはり原子力平和利用によって日本の態勢を作っていかなければならぬということになると、理論的にはこれは学問の追究をやっていく必要はあるけれども、その他の生産あるいはもっと大きな人類社会の新しい構造というものに対しては、どうしてもこのパテントを導入してやる以外には私は方法がなくなるのじゃないか。そうなりますと、これははっきり二つ切り離して、原子力問題というものを、行政的に政治的に考えていかなければならない時代がくるのじゃないか、そういうふうな気がするのです。私としては。これは私など全然しろうとですからわかりませんが、私は原子力問題と取り組んでおられる日本の方々が、やはりそういうことを考えておられるのじゃないか。そこにこの原子力問題に対する大きな政治上の問題が将来出てくる。そうしますと、やはりこれは、今、現存しておるところのイデオロギーによって支配される政治形態においては、解決できない。やはり超党派でいかなければならない。私はそう考えるのです。そこに私たち原子力問題に対するところのいわゆる政治的な考え方もはっきり現われてくるのじゃないか、そう私たちは考える。と申しますのは、いろいろ政治の問題に原子力が入って参りましてから、非常にやかましい議論が戦わされたんですが、先ほども中曽根委員が言われた通りに、まず最初に敷地問題なんか出て参りますと、非常にその敷地問題でエキサイトしていく。しかし私たちなんかが考えると、これはおしかりを受けるかもしれぬけれども、この敷地問題なんというものは実に微々たる問題であって、あんまりエキサイトしてやる必要は少しもないのじゃないかというふうにも考えられるのです。それより今お話を申し上げた通り、大きな問題をどうさばいていくかということが、われわれの考え方の根底に流れているものじゃないか、そういうふうに考えます。日本原子力に関するところのパテントなんかも、全く雲をつかむようなものでよくわかりませんが、おそらくそういう状態に入っていくのじゃないか、そう考えられるのですが、私の考えが間違っておったらば、一つお直しをいただきたい。そういう気がしますので、それに対して何か一つお教えを願えれば幸いだと思います。
  32. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の御質問に対して、ほとんど全部私は同感なんでありますが、たった一つ研究所自体の行き方が、外国のパテントを導入している場合には、研究所が要らないかのように私は伺ったのでありますが、そういうことは私は同意できません。たとえば、火力発電機をボイラーごとどんどん外国から入れている今日にあっても、日本の内地でそれを勉強してこなしていく上には、相当な基礎的な勉強が要るわけです。そういう程度の勉強はもちろんずっと続けてやっていかなくてはなりません。もっとも、それが現在動いている原子力研究所の構想とかなり食い違ったものであるかもしれないわけです。それと並行に、すなわち、当面に使う動力炉に対する研究というか、動力炉をやっている人から要求されるのに対して、解決を与える研究所も必要であると同時に、将来の動力炉に対するところの研究をやることが、どうしても必要になります。それが目下欠けているのだ。すなわちそういうずっと先のことをねらうのは、文部省系統だということになっておりますが、文部省系統は、京都あたりに先にスイミング・プールでも入れようかという程度の非常にテンポがおそいのでありまして、その文部省関係と現在の原子力研究所自体の動きの関連が非常に少いという関係で、本来一カ所で相当やれる傾向のものでありながら、全然分れておるような感じがしております。その点は、今後どうしてもつけ加えていただかなければならない問題で、かてて加えて、現在やっておられる人以外に、今度は人を入れよう、あるいは大事な人をどんどん入れないと間に合わない。御承知のように人間というものは、若い者だけでは動かないので、ある程度の年令層のピラミッドが要るわけなんですが、そうすると、いい人をしょっ引いてこようということになると、これは文部省が動かないと動かないのであります。それもできていないのだというような状態であります。先へいって、ほうっておけばどうなるかというと、ほとんど日本独自の動きもなければ何もなくて、全部向うのパテントを消化するばかりになるにきまっているわけです。問題は、それでがまんしなくちゃならないかどうかを考えなくちゃいけないわけであります。ですから、そういう意味で、原子力委員会自体が、今、非常に努力されておるにかかわらず、非常に大事な問題と微々たる問題というととのけじめもあまりはっきりつかないような状態でやっておられるのであっで、どれが一等大事な問題で、先にきめなくちやいけないかという問題について、気がついておられるからこそ、五ヵ年計画の再検討やろうというふうに考えておられるのだと私は了解しておるわけなのであります。そのときに、結局日本の国力が将来どう伸びるかという見込みによって、その構想もずいぶん違ってくるのであります。そういうふうに考えます。
  33. 齋藤憲三

    ○齋藤憲三君 ちょっと私の申し上げたのは言葉が足りないようでありますが、私の申し上げたのは、日本原子力研究所が不必要だというのではない。普通の原子力研究所のあり方では、結局欧米のけつを追っていくだけにとどまるのではないか。そのような原子力研究所だけでは、やはり永久に外国の特許の網の中に縛られはせぬか。ですから、原子力研究所のあり方というものは、一方にはバイ・ステップでやる必要があるけれども、他方面においては、もっと飛び離れた、原子力問題というものは究極ここに落ち込むだろうというようなものを想定して、そういう飛び離れた研究も一方やらなければ、とうてい日本が、独自の立場において、原子力問題をこなし得ないようになってくるのではないかと私はおそれている。それですから、結局ブレーンの問題を解決する、日本がこの大きな原子力問題と取っ組む場合には、結局日本民族が優秀なブレーンを持っておれば、問題はこなせる。しかし幾ら努力しても、この問題をとなし得ないような民族だったら、結局欧米のけつを追っていくことになる。これは民族優秀性の非常に大きなテストの問題だとまで考えておるのです。ですから、それを一本やる。そういう問題が、幸いにして民族の優秀性によって世界のレベルに独自の立場でもって追いつけばいいのです。しかし追いつくまでは、タイミングがずっとおくれちゃっているのですから、日本がやるところの原子力問題というものは、欧米の技術導入をする以外に方法はないのじゃないかということを私はおそれておるのです。おそれておるよりも、それが当然な考え方ではないか、そういうふうに思っておるのです。そうすると結局、日本研究によって、基礎的に積み上げた上に国産の動力炉を持っていくというようなことを幾ら主張してみても、そんなことをやったら、三年にやろうと思ったって、五年になるか十年になるか、わけがわからなくなる。一方にはやはり欧米から技術導入とかいろいろなものをやって、早くテンポを合せていかなければ、平和利用というものは、実際のレベルに乗ってこないのではないか、そういうことを考えるので、そういう意味で申し上げたのです。
  34. 有田喜一

    有田委員長 松前重義君。
  35. 松前重義

    ○松前重義君 ちょっとお尋ねいたします。日本は非常に貧乏でありますから、こういう研究の歩を進めるのにも、何でもかんでも外国がやっておるからそのまねをして、研究所を作り、あるいはまた研究テーマを追っていかなければならぬというふうに、外国のやるものを片っ端から追っかけて歩くということは、日本としてはとてもやってもできないことではありますし、同時にまた、やるべきことではないと思う。先ほど嵯峨根先生のお話にありましたように、たまについていってはいかぬということは、非常な至言だと思います。大体見通しをつけて、たまの行方を見当づけて進んでいく、そのくらいのことは、日本人の現在の知能においてできるのではないかという感じがいたします。たまに大体見当をつけていく場合においてということは、どういうことかというと、重点性をどこに見出すかということであろうと思います。各省の原子力に関する予算が、本年度の予算に出て参ったようでありますが、それをずっと見ますと、これは何もかもでありまして、とにかくあらゆるフィールドにわたっての研究が盛りだくさんに積まれております。大体見渡すところ、よそがやっておるから、そのあとを追っかけていこうというのが多いようであります。そういうことを繰り返しておったのでは、これはいつまでやっても追いつくものではございませんので、それらに、私どもは、新しく出発するものの心構えとしての厳粛な反省がなければならないと思うのです。そういう意味において、原子力委員会なるものができ上って、そうして原子力委員会は具体的な重点的活動にお入りいただかなければならないのじゃないかと思うのであります。たとえば、原子力委員会の所掌いたします本年度の予算の中には、いわゆる原子核に関する研究の基礎的な問題につきましては、割合にその予算が少いのであります。ほとんどないと考えてよろしい。これは文部省がやることであるといってまかしてあるのではないかと思われるふしがあります。嵯峨根先生はカリフォルニア大学で、いわゆるベバトロンを中心として御研究になってお帰りになったのでありますが、最近はソビエトも相当に大規模なサイクロトロンといいますか、シンクロトロンといいますか、大きなものを作って、新しい元素の発見等に対して努力を続けておるようであります。物理学を研究した方々の道として、最も必要な方向であると思いまして、少くとも明年度以降においての予算においては、考慮されなければならないのじゃないかという感じを持つものであります。これが第一に私が嵯峨根先生に特に承わりたい点であります。日本ももう少しこれに力を入れなければならぬのじゃないだろうかという感じを持っておりますが、御意見を承わりたいと思います。  第二の重点性につきましては、先ほど来お話がありましたような動力炉の問題であります。これにつきましては、いろいろ論議されております。しかし私どもの貧しい経験から推して考えてみますと、動力炉は、早く輸入しなければとても追っつくものではない。これば日本電力事情が明日にも非常に枯渇するような情勢に立ち至り、すでに水力開発の余地がない、火力発電にいたしましても、コスト高であるというような羽目に陥って、いよいよもってどこかにすがらなければならない日本の現状であるという認識の上に立ちましては、あるいは、おぼれる者はわらをもつかむというか、そういう態度も必要であるかとも思うのでありますが、またこれを私どもそもそも技術をやった人間から考えてみますと、もしもこの際イージー・ゴーイングでやったならば、これは将来非常な災いを残すということであります。日本電力開発において、最も大きなガンは何であるかと申しますと、申すまでもなく、関東方面は五十サイクルであり、ドイツ的な規格の上に立ち、そうしてまた関西は六十サイクルである。サイクルの統一がないために、モーターにしても何にしても、一切のわが国の製品が、関東、関西によって違わなければならないというまことに歴史的に恥かしい姿に立ち至っておるのは、これは少くともわが国に科学技術研究に関する政治がなかった結論と思うのでありまして、同時にまた、それが生んだ一つの畸形児であると思います。今でこそパテントその他の年期が切れまして、だんだん工業も独立できるようになりましたけれども、初めのうちは、長年月の間、ロイアルティを海外に支払わなければならない運命にあり、そのために、わが国の国力が常にそのパイプを通じて吸い取られて参ったところの過去の歴史を思い出すのであります。日本で不可能な場合は別といたしまして、多少の時間がかかっても、今、非常に苦労いたしますならば、長い目をもって見ますと、日本のために非常なプラスになると私は思うのであります。パテントの問題を考えてみましても、パテントをどんどん海外から入れる。結局これは市場の抑圧を受けます。海外には絶対にそのパテントで作った品物は出さないとか、あるいは一切のこれに対するロイアルティを払わされる。お金ばかでなく、市場を制限される。こういうことで、日本廃業の発達に非常に大きな影響を与える。ことに、原子力を中心として、あらゆる産業がこれの基礎の上に革命されようとしてわります歴史的な現段階に対処いたしまして、これは日本の全産業の輸出貿易に対して、非常に大きな影響を与えるという感じを私は持つのであります。そういう意味からいたしまして、私の今までの意見を申し上げれば、これはやはり学者の方々が言われるように、今まで予算がなかったからやらなかっただけでありまして、予算があれば、日本の学者も相当な能力がありますので、私はある程度のものはできると思っております。それにもかかわらず、急いで原子炉を海外から入れなければならぬものだろうか、そうしてイージー・ゴーイングで、こうやくばりをやった方がいいものだろうか、それとも、対症療法よりも、根本から体力を養って、からだ全体を作り直すというような、少し長い目の行き方をするような政策を確立すべきものであろうか、こういうふうな二つの問題が今日私の頭の中を彷徂しておるのであります。まず第一は、原子核の研究あるいはまた原子物理葦そのものをもう少し掘り下げたもの、今、文部省系統でやっておられるあんなおざなりな研究でなく、本質的なものをやる。第二は、動力炉の問題につきまして、やはりこれはほんとうに全力をあげてやる。そうして、ほかにいろいろこまごました研究がなされようとして予算がめちゃくちゃに方方から出て参りますが、それを一々取り上げるというようなことも、重要なものは必要でありましょうが、まあまあ、できるだけ差し控えて、そしてこのような重点性を持っていく、こういうことを実は考えてみておるのであります。嵯峨根先生と一本松さんから一つ意見等も承わりまして、お教えをいただきたいと思います。
  36. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の御質問には、大体三点あると思います。第一の原子核の研究をもっとどしどしやるべきじゃないかという御意見でありまして、これはしごくもっともねんであります。これにつきましては、私はこういう事実がほとんど日本で知られておりませんので、申し上げたいと思います。アメリカでは、科学者はある意味の職工で、水爆を作れ、原爆を作れといって、期限を切って使います。そのときには、科学者自体はまっ先に職工になって、科学者の機能を発揮できなくなる時期がきます。すなわち、科学者というものは、自分でどうやったら一等いいのかと考える自由度がない限りにおいては、科学者は生きられない。その自由度を全然なしにしてしまって、これをやってくれ、それをやってくれということは、当座はいくのでありますが、それがいつか、ある程度続きますと、できなくはる。それをアメリカではどうやっているかといいますと、一年のうち三ヵ月なり四カ月間は、全然フリーで、物理学者として自分の興味を持ったものをやらせる。すなわちそのやらせる一種のレクリエーションといいますか、公園というものが私の行った放射線研究所なんでありまして、あたかもただ公園で遊んでいるようでありますが、実際ば、そこへ行って、そこで真剣に物理をやっている人としょっちゅう話をして、新しい考え、新しい技術をそこで入れてまた帰ってきて、与えられた狭いレールの上を走る、こういうエネルギーをもう一ぺんたくわえ直すところができておるわけなんであります。日本に帰ってきて一等残念なのは、それがないのであります。その考えを持っている人すらないのであります。それを説明しても、わかってくれる人すらまだない、こういうような状態なんで、アメリカがどうやって科学者をうまく使っているかということを、もう一ぺん調査団が行って見てきてほしいと私は思っております。  ところで、今度は日本の原子核についての研究の問題は、これはある意味で政治的の問題だったのでありますが、ローレンスがやってきて、サイクロトロンを作るのなら援助をやるぞ。金銭的にはやれないけれども、あらゆる便宜、いろいろな情報や何か幾らでもやるぞと元気をつけられた。それまで、金がいるものですから、大きなことを言わず、小さくなってきた原子核の科学者が、じゃ一つやろうといって声をかけたのであります。その当時は、御承知のように、原子力日本でやるべからずというのが日本の国論になっていた最中であります。そこで、そんなに原子力と一緒にやられては困ると思わない人でも、原子力と一緒にはしないのだというかけ声で、原子核研究所を作ってしまった。ところで、実際に、原子核研究所というのは、原子力の関係がなくてもやっていけるのであります。ところが、原子力研究の方は、原子核研究がなくちゃやっていけない。ごく近い将来に息の根がとまってしまう。そこに一等問題があるので、これはむしろ科信者が解かなければならぬ問題であると同時に、予算面で非常に大きなものが必要になってきます。これを来年度の予算でどうこうとおっしゃるが、これはまだそうなかなか周単にいかないだろう。まっ先は、先ほど私が何べんも申し上げておりますように、原子力に関して、実際に実力を一つも持っていない文部省がやっていいかどうかそれも私にはわからないのであります。その問題で、結局言い直せば、大学自体が相当な科学者を擁しているわけですから、大学自体がどうやって動いていけるかということに、全然道がついていない。従って、来年度そういう予算をうまく出せと言われても、うまく出ないのじゃないかという杞憂をしております。しかし、これは将来必ず要る問題でありまして、原子力の行き方というのは、先ほど斉藤さんがおっしゃった御意見とほとんど同じ見込みを私は持っておりますが、必ず日本独自のものが、底流にはずっと基礎研究として進んでいかなければならぬものと私は了解しております。ぜひともこれが必要だということにほりますが、実際問題として、いつからうまくやっていけるかというのには、まだだいぶ地ならしがいるという了解を現在私はしております。  次に、予算の面を松前さんが言われましたが、これは松前さんが来られる前に、私は独力ております。中曽根さんもある意味で監査が必要だということでありまして、予算が大きいだけに、うまく使っているかということをどうしても見ていただきたい。何らかの方法で、十分な努力をしているということをしっかりやっていただきたいと、私は先ほどから希望しております。  第三番目に、外国から導入をした場合に、日本に非常に圧力が加わるだろうという御意見については、その御意見ももっともなんで、科学者の私として、非常によくわかります。と一緒に、科学者である限り、まかされたのならそう言いますけれども、日本の国民の一人として、日本の全体がどういう状態にあって、どういうことが要求されていて、われわれがそれをやれるかと言われたときに、科学者自体が、何年何月ごろにはこの程度やれると思っても、こういうことがあります。すなわち、皆さん山にお登りになったときに、ああ、頂上はあそこだと思いながら、一生懸命登っていって、頂上まで行ってみると、また向う側に山がある。すなわち、前山を見ることは、科学者もしょっちゅうあるわけであります。何回か行った道であれば、何月何日までにあそこへ行きますとはっきり言えますけれども、初めて登る道では、何月何日までに間に合いますと申し上げられないのは当りまえであります。ところが、外国ではちゃんとあのピークの山へ登っているのでありますから、その点、時期がきて、日本の国民がそれだけ要求しているのだから、その程度の、自分たちに対しての、ある意味の外国からの圧力を、仕方がないと甘受せざるを得ないのだという考え方があります。もう一つ私が気のつきましたのは、その点は、パテントで押えられて、そういうような機械外国に出ない場合があり得るということ、もちろんそうなんでありますが、逆にいって、ある程度早い時期に、導入し得る時期にそれが入ってこなかったために、ほかの産業の出るものが出ない場合も考えなくちゃならない。たった一つの焦点を合しただけでは危ない。もっと広く見回して、全部平均してみて、どっちがいいのかということをきめていただきたい。その点では、必ずしも松前さんのおっしゃったと同じ結果にならぬかもしれぬかということを、私は考えておるわけであります。かてて加えて、この原子力発電のものは、どういう故障が起るかも日本人、はまだ知っておりません。ところが世界中で、放射能に一等敏感な国民は日本人である。一つでも故障を起したら、それでおしまいになっちゃう。将来に禍根を残すという点において、いつも僕は例を言うのです。自力でやれという科学者に対して、むしろ当座は少くとも導入だという意見を持っているだけに、いつもこういう意見を言います。自分が電力会社の社長の身になったつもりで考えてみろ、日本の国産炉が非常にいいと思っても、国に対する責任会社に対する責任を考えたときに、片方はできたばかりだ、片方は何年かの経験があるということになりますと、やはり安全第一をとるのが当然なんだという考え方がします。ですから、私は、残念ながら一歩を退いて、最初は導入だ、しかし入ったものは、日本にどうしても根のはえるものははやしてくれ、それだけ退却している議論をいつも吐いております。その点は、どこまで退却するかということは、もっと数字に従ってやっていただきたい、こういうふうに考えるのです。
  37. 一本松たまき

    一本松参考人 外国のものを入れますと、どうも外国のいつまでもまねをしておることになる、こういうようなお話でございます。私たち将来の見通しをいたしますと、先ほどの表にもございましたように、非常に大きなものになるのでありまして、たとえば十五年後に二百八十万キロワット、そういうふうな原子力発電所を作るということになりますと、どうしてもこれは国産でやらなくちゃならぬ、そういうふうに思っておるのであります。しかし、そのすべり出しにおきましては、輸入をして、外国技術を入れた方が、結局日本技術を早くそこまで育てることになる、そういうふうに思っております。  そいから次に、動力炉を外国から入れた場合に、ひもがついて、将来縛られて、ある一つの型しかできないとか、いろいろなことが起りゃしないか、そういう御心配でございました。そのことは、私たち実際にやります上に十分注意しまして、炉をどういう型にきめるとか、そういうようなことはないようにやっていきたい。先ほども濃縮ウランでやるかというようなお話がございましたが、これはどっちになるか、将来の発展によりましてどっちにでもなれるように、一つところに縛られるというようなことに絶対ならないようなやり方で、実際的な問題はやっていきたいと思っております。
  38. 松前重義

    ○松前重義君 嵯峨根先生の御説は承わりました。私が輸入に対する問題をいろいろ論議しましたのは、いわゆる発電原子炉の設計並びにその生産に関する問題であります。この問題につきましては、いろいろ御高説を承わりましたが、嵯峨根先生のは、多分実験用原子炉についての御高説であったと承わっております。そうして、その実験用原子炉によって、ほかの化学工業や機械工業あるいは電気工業等の工業だけでなくて、農業、医学等に非常な大きなアプリケーションがありますから、これは早く着手した方が、そちらの方の手おくれにならないで済む、こういう考え方はもちろんであります。ただ、動力用原子炉ことに発電原子炉に関しましては、これはよほど注意しなければならないということを先ほども申し上げたのでございます。そこで、発電用の原子炉を輸入する場合において、どういう条件がつけられるかという、程度によると私は思います。その場合において、何もアメリカばかり目標にする必要はないと思う。方々へひっかけて、入れるならば条件のいいところとやる。しかしそれは、その程度の問題であると思っておるのであります。早い話が、現在のテレビというものは、日本でもある程度発達はいたしておりましたけれども、途中で中止されて、ほとんど製品化されなかった。それが、海外から入ってきて、今日じゃんじゃん普及されておる。そのテレビの送像機あるいは受像機、これらに対しまして、小売価格の三割以上が、ロイアリティとして海外に支払われております。だから、私どもは、大体四割近い高い値段で買わなければならない、こういうことになっておる。どうしてかというと、これはロイアリティでありまして、しかも日本のメーカーは、海外のテレビを作っておるほとんどあらゆる会社と契約を結んでおります。十幾つあるそうです。そのように、それぞれロイアリティを払っておる。日本の工業で一番ロイアリティを払っておるのは、テレビであります。いわゆる基礎研究を怠り、これをみずからの手によって工業化することを怠ったがゆえに、このような羽目に陥ってしまいました。大体これを中心として海外に支払れておるロイアリティは、日本の金額にいたしまして、総額にして六十億円ぐらい払われておるようであります。このように、日本のテレビを普及すればするほど、いたずらに長年の問、年々歳々たくさんのロイアリティを払わなければならない、こういうふうな情勢になっております。こういうふうな態勢において、原子力に関し、ことに発電原子炉に関し、将来わが国の経済力を吸い取るようなことのないようにしたいという努力、しかもこれを長期計画のもとに考えていく必要があるのではなかろうか。こういう意味から、私は——ラグビーの適切なる例をお引きになりましたが、うしろからついていくよりも、見当をつけて走れ、その見当をつけて、ある程度重点性を持って、これらの研究を進める必要があるのではなかろうかという感じを持っておったのであります。議論になりますけれども、これらの問題について、いろいろ申し上げまして、御意見を承わりたいと思っておりましたが、とにかくここでお伺いいたしたいのは、今まで動力用原子炉、ことに発電原子炉の輸入に関しまして、ある会社に、アメリカならアメリカ、あるいはよその国に、輸入の条件に関する何らかの打診をされてみたことがおありになるかどうか。もしおありになりましたら、その間の消息を伺いたい。大体どのくらいの条件なら、受け入れられるというようなお見通しがおつきであるか、ちょっと伺ってみたいと思います。
  39. 一本松たまき

    一本松参考人 海外からの原子炉の申し出といいますか、そういうものはございました。昨年の八月に、ウェスティングハウスから、これは書面できた程度で、まだ正式の見積りとかそういうものは入っていないのでありますが、ごく大体の条件としまして、一万キロワットテストプラント、値段は一キロワット建設費四百ドル、つまり四百万ドルになるわけであります。値段は多少修正するかもわからぬが、大体そのくらいである、核燃料はこの中に入っておらない、そういうふうな話でありました。しかし今の段階では、まだこれを受け入れるとか入れないとか、そういう段階でもございません。研究の段階でありますので、そういうこまかい点については、どういうことの上に立ってそういうことになりますかという調査研究をしておるのであります。こちらから質問しましても、向うではまだあまりはっきりした返事をよこさないような状態でございます。その後、昨年の暮れに、十一万キロワット程度のものをやらぬかという提案が、バブコックであったと思いますが、一度ありました。それもまた書面で、そういうことをやらぬかという程度の、もちろん値段も書いてございませんし、大体二百ドルから三百ドルくらいの間のような話でありましたが、まだはっきりしたことを書いてございませんので、まだ具体的に交渉するようにはなっておりません。その程度でございます。
  40. 松前重義

    ○松前重義君 いろいろありがとうございました。  最後に、嵯峨根先生に一言承わりたいのでありますが、トレーニングと申しますか、教育の問題です。関係の技術者が非常に足らないと思いますが、これに対する教育について、お考えがありましたら、簡単に伺いたいのであります。
  41. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 教育についての考え方は、現在日本で手を打っております原子力研究所で人員を養成するという、この一項目の解釈をただしましたところ、技術者の訓練、養成、すなわち原子力発電機が入ったときに、それを動かす人の養成を主眼にしておるということであります。ところが、実際には、それでは足りないのでありまして、電力会社としては、どの会社注文するにしても、どういう炉をどういう条件をつけて入れるか、あるいは実際に動かしたときに、キロワット当り幾らという勘定のできる人でなければならない、そういうような電力会社の企画をするエンジニアが要る。同時に、さっき言ったオペレーションをやるエンジニアが要る。オペレーションをやる上に、どういうふうに動かしたらいいかということを勉強するエンジニアが要る。その次に、原子炉を作る方の側からいうと、その設計技術者と一緒に、今度ほんとうに作る現場の技術者、こういうものが要るわけであります。そういう技術者は、日本内地で注文を受ける時期が、たとえば今後十年とか八年とか後に注文を受け始めるとしますと、それよりだいぶ前に相当な人数がないといけない。ところが、そういう人はもう今すでに相当に準備をしていなくてはいけないはずでありますが、そういう人は全然いないのであります。資料調査会というようなところで勉強している人がいるのだけれども、それも自分がやっている興味がある人がやっているというよりも、むしろ手のあいている人がやっているという現状であります。これでまたローレンスの有名な話を思い出しましたが、ローレンスは、原子力がどこの国でも始まると、科学者が非常に足りなくなる。科学者でも有能な科学者が必要なんで、有能な科学者というのは、手をあけている科学者はいない。だからあの人が有能だ、くれると思ったら、現在は知識がなくても、その人に来てもらわなくちゃいけない。できるだけ優遇をして、できるだけえさを出して、これでもか、これでもかといって引っぱってこない限りにおいては、実際のマン・パワーというか、人材は得られない。手をあけている人を、それもやりたい人だけを頼んだのではだめだということを、はっきり言っております。その手は現在日本では打っておられない。一つの具体的な行き方は、大学に原子力のいろいろな形の講座を作る。そうしますと、現在大学の先生で、やってもいいけれども、フル・タイムでやりたくない。なぜかというと、先に行ってどうなるかわからぬから、こういう話なのであります。ですから、原子力研究所の顧問のような形で準備室の中に入っておられる方でも、フル・タイムではやらないとおっしゃる方がずいぶんいる。というのは、先へ行っての見通しが非岸に怪しいから、こうおっしゃるのです。そんなことではとてもだめなので、講座でもできてしまうと、どうしても専門にやらなければならない。それだけでも一つの手じゃないかと考えます。それだけでいいとは考えませんけれども、いろいろな形の手を打ち、あるいはえさを出していただいて、各年令層に適当な人員をこの際どうしても確保していただくように努力をしていただかないと、間に合わないのだ、こういうふうに考えております。そこで、新しい人をどうやっていくかというのに、若い人はどうしても個々の小さいことを勉強しておられる。ところが、現在の相当な人は、ほかに仕事が忙しいから、小さいことは勉強しておりません。そうすると、若い人がちょっと質問したときに答えられないと、あの先生は勉強してないからだめだ、こうなるのでありますが、そういう時期ができるだけ早くなくなるようにしていきたい、こう考えております。相当の人をひっこ抜いて、専心勉強できるような状態を早く作っていきたい。それに対して、文部省は手を打っているかと聞いたところが、残念ながら打っていない。そして、文部省がイニシアチブをとるものではないという返答を受けて、僕は大いにがっかりしておりますが、両方悪いのだと私は了解しております。科学者も、当然われわれのうちから、何人かはそっちへ行かなければいかぬだろうと自分から進んで言い出して、自分からプランを立て、そして持ち込むべきであり、文部省の方からも、当然こういうことがいいのじゃなですかといって、聞いていただきたい、両方のチーム・ワークがまだうまくいっていない、こういう状態だと思います。これは早急に手を打たなくちゃいけない問題だと考えております。
  42. 有田喜一

    有田委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑がなければ、この際両参考人にごあいさつを申し上げます。  きょうは、それぞれのお立場より、きわめて有益な御意見をお聞かせいただきましたことは、本委員会調査のため、資するところまことに大なるものがあると存じます。本委員会を代表いたしまして、私より厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  本日はこの程度にいたし、次会は、来たる十八日、来週の水曜日、午前十時より開会いたし、南極探検の問題に関し、参考人より意見を聴取いたしたいと存じます。  また来たる二十日、金曜日、湯川博士の都合がつけば、伏見さん、中村さんなどとともに、参考意見を聴取いたしたいと存じております。  なお、来たる土曜日、すなわち十四日には、科学研究所へ視察に参りたいと存じますから、御出席の方は、当日、午前十時半に正面玄関に御参集下さいますようお願いいたします。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会