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1956-03-17 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十七日(土曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 前田 正男君    理事 南  好雄君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       赤澤 正道君    稻葉  修君       加藤 精三君    木崎 茂男君       小平 久雄君    須磨彌吉郎君       中曽根康弘君    橋本 龍伍君       山口 好一君    田中 武夫君       福田 昌子君    小山  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         総理府事務官         (原子力局長) 佐々木義武君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         防衛政務次官  永山 忠則君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務         官         (鉱山局長)  松尾 金藏君  委員外出席者         総理府事務官         (原子力局総務         課長)     島村 武久君         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所鉱床部         長)      佐藤 源郎君     ————————————— 三月十七日  委員楢橋渡君辞任につき、その補欠として木崎  茂男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  原子燃料公社法案内閣提出第一一二号)  核原料物質開発促進臨時措置法案内閣提出第  一一三号)     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  本日は、原子燃料公社法案及び核原料物費開発促進臨時措置法案の両案を一括議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。志村茂治君。
  3. 志村茂治

    志村委員 両法案質疑に入る前に、前会提出を要求いたしておりました資料について、御説明を願いたいと思います。  まず第一に、ウラン鉱世界的分布、それから国内の今までの調査状況について、御説明を願いたいと思います。
  4. 佐藤源郎

    佐藤説明員 あらかじめ資料をお渡ししてあると思いますが、「世界ウラントリウム等分布」と、もう一つは、「わが国内における資源分布状況探鉱について」この二つになっております。なお参考に地図を二つつけております。その一つは、世界ウラントリウム資源分布と、いま一つは、国内ウラントリウム鉱主要分布地一覧図二つが入っておるわけであります。すでにお読み下さってあることと存じますけれども、ざっと御説明申し上げます。  世界ウラントリウム等分布につきましては、一口に申しますと、世界ウラン資源所有国は、現在たくさんできておりますけれども特大所有国、それは大体生産国になっておりますが、現在、世界でザ・ビッグ・ファイヴというものがあるということが定評になっております。なお、その一つのオーストラリアにつきましては、調査探鉱開発はごく最近の話題になっておりますので、大きな資源を持っておりますけれども生産量は、あと四つにいささか劣っておるのであります。近い将来には、生産数字あと四つに近づくであろう、こういう見通しで、ビッグ・ファイヴとしております。人によりましては、ビッグ・フォアと言っている人もあるわけであります。なおそのほかに、それほど大きなものは持っておりませんけれども、第二級に属するものに、ポルトガル、フランス二つがございます。さらに、ややおくれて、最近イタリアがだんだん進んできておる状態であります。  こういうふうに、世界の一級ないし二級の資源所有国もしくは生産国がありますが、これはどういう事情で、どういう条件で恵まれた事情になったかということの、地質学的な解釈をそこにちょっと御紹介してあります。これはいささか専門的になりますけれどもシールド——楯状地といっております地質学的に特殊な地帯がございますが、これは地球上で最も古い変成岩類花崗岩類からできておりまして、また地盤が安定しておって、それほど高い山岳も形成していないという、日本にはちょっと縁の遠い存在であります。この中に一流国がずらりと並んでおる。その次の二流国は、マシーフ——山塊と訳しておりますが、それはシールドほど大規模ではなく、それほど古い地盤ではありませんけれどもシールドに次いで古くもあり、またまとまった面積を持った一つの山のかたまりであります。それの代表的な形は南フランスにありますマシーフ・サントラール中央山塊といわれておるのがその適例でございます。フランスにつきましては、かねて御承知のように、非常に国家的に積極的な探査が開始されまして、その開始後二年半ないし三年たちまして、そのマシーフ・サントラール地域に初めて資源を発見しております。そういう意味で、マシーフ・サントラールウラン資源とは非常に縁の深い関係を、実例として最も顕著に示しておるところであります。なおチェコの方に入りますと、世界で一番古い、しかも戦前は世界最大ウラン鉱山でありましたところのヨラヒムスタール鉱山、これも今までマシーフの中に入っております。こういう一流二流の大きな資源を持っております地域は、こういうような特殊な形があります。そのほかに、二ページのまん中ほどに書いてありますが、この二つでないところに、花崗岩類変成岩類等結晶質岩類からなる高地があるのであります。その例として、今のところ三つ地域があげられる。これは東アフリカ、中央アフリカ日本、朝鮮と南満州、こういうものが学者の間に大体受け入れられている意見でございます。  つまり、わが国は、一流二流にはむろん遠く及ばないけれども、大体三流どころの例に入るということになっております。現に、日本国内にはと申します鉱床が、全国的に相当存することが知られておりまして、そのペグマタイトの小さなものも数えますと、全国で九十カ所以上の産地が知られております。今後さらに調査が進みますれば、百カ所以上に優に及ぶであろうということが予測せられております。ただこのペグマタイト鉱床に多少問題がありまして、大体貧鉱であるということと、それからそのペグマタイト鉱床から出る鉱石が、選鉱製練ともにやや難点があるというので、これは後ほどまた御説明することもあると思いますが、ペグマタイトだけでは心細いのであります。そのほかに、世界的な鉱床タイプでありますところの鉱脈型、これは金、銀、銅、鉛、亜鉛など普通の金属鉱脈のあれと同じような鉱脈でありますが、その鉱脈型の鉱床が今後どのくらい発見されるかということが、今後の日本国内資源のキーを握るわけでございます。なおそういったシールドとか、マシーフとか、そういう条件のいい、図抜けた地域、こういう問題を一応忘れまして、一般の岩石類地質の一般的な条件から考えました場合は、これは明らかに花崗岩質岩石——花崗岩とかそれに近い岩石が、ウラン鉱石の保有に最も好ましい母岩であるということは全く定評のあるところでありまして世界的に見ましても、こういうシールドマシーフに入っていないところでも、花崗岩の続出しておるところには、ちょいちょいウラン鉱床が新しく発見されておりまして、その著しい例は、西アメリカの、つまり太平洋岸に近いところにそういう実例が続々と発見されております。この点は、日本の将来にとりまして、非常にわれわれ専門家参考になるところであります。  その次のページの「ウラン鉱主要産出国供給先について」、これをざっと御説明申し上げますと、非常に簡単で、ここに書いてある通りでございますが、ただ数量につきましては発表が全然ございませんので、よくわかりませんけれども、たとえばアフリカベルギー領コンゴーなりあるいは南阿連邦なり、こういうところの産出量はずいぶん大きい数字でございましょうし、こういうふうにアメリカなりイギリスなりの方に向けて売られておりますものは、相当の数字に達しておるはずでございます。  以上、世界状況を一応終ります。次に日本状況になりますが、わが国の現在までの調査によりますところの資源の種類と申しますか、実は私ども立場から申しますと、調査を開始いたしましてから、まだほんのわずかな仕事しかしておらない。まだまだ今後調査しなければならぬという重要事項がたくさん残っておるのでありまして、現段階で結論づけたことを申し上げることはできないのでありまするけれども、しいて一応取りまとめてみましたのがこれなのでございます。国内資源タイプと申しますか、鉱床タイプは、ここにあげました三つタイプなのでありますが、その一つペグマタイト型鉱床で、それは一部これに由来いたします砂鉱を含んでおります。三番目が鉱脈型の鉱床、三番目が水成岩型の鉱床であります。それで、ヘグマタイト型の鉱床は、先ほどもちょっと申し上げましたように、全国でたくさん産地が知られております。最近では、四国からもその産地が報ぜられておりますが、これはウランといたしましては相当低品位でございますが、そのほかに、トリウムジルコニウムベリリウムなどの原子力開発にはぜひ必要なほしいものを一緒に含んでおります。またそのほかペグマタイトを構成しておりまする鉱物は、いずれも有用鉱物でございますので、その選鉱製練を上手にやりまして、きれいに処理することができますれば、いずれも全部がりっぱな生きた商品になり得る。  このぺグマタイトを処理する問題でありますが、従来は世界的にも歓迎されていなかったのでございますけれどもトリウムがほしい、ジルコニウムがほしい、ベリリウムがほしい、むしろそっちの方から、ペグマタイトをぜひ開発しなければならぬという世界的な趨勢がアメリカ、カナダにまず起っておりまして、さらにペグマタイトだけしか持っていないスカンジナヴィアの方の小さな国とか、あるいは聞くところによりますと、ソ連邦ではこういう貧鉱なりあるいは難物を堂々と処理してやっておるという情報も入っております。  二番目が鉱脈型鉱床でございますが、これが世界的に一番ウラン鉱をたくさん生産する鉱床タイプでありまして、これは従来日本には全くないとされておりまして、終戦後例の進駐軍の天然資源局専門家国内を相当探し回りました際も、遂に彼らの目をのがれておったのがこの鉱脈だそうでございます。これは昭和二十九年に初めて発見されまして、現在までに、貧弱ながら数カ所に存在することが知られております。なおその詳細は、今後の調査に待たなくちゃならないのでありますけれども、また現在見えておりますところでは、地表に近い露頭のところ、もしくは地表に近いところである関係もありまして、品位の高いところはきわめてわずかしか見えておりません。一応ウラン鉱床の特徴といたしまして、露頭近くではどうしても品位が下ってくるというようなこともありますし、もっと積極的な調査探査ないし探鉱を行えばほんとうの姿がはっきりするであろうと思います。その見通しといたしましては、必ずしも悲観するには当らない、私どもは希望を持って調査を進めておる次第であります。  三番目は、水成岩型鉱床でありますが、これは最も最近に発見されました新しいタイプのものでありまして、ただ三十年度の予算の残りでやりました関係もありまして、まだ露頭調査を終ったのみで終始しております。これは露頭状況だけでも専門的に見てかなりおもしろいと同時に、これはむしろ予想外のことだったのでありますけれども、今後の調査探査の価値は十分にあるというふうに考えております。  なお二十九年度から三十一年度の地質調査所調査いたしましたもの、もしくはこれから調査しようとするところを一覧表においてごらん願います。一応これで御説明を終りたいと思います。
  5. 志村茂治

    志村委員 もう一つ、やはり提出された資料で、放射線障害防止についての資料についても説明を求めたいのでありますが、特にこの問題については、日本原子力開発する場合に、一般的、社会的に障害を受け、あるいはその研究所員障害を受けることに対する防止という建前からすれば、むしろ、原子力開発に関する一連の法案が出る前に、まず第一に放射線障害防止についての法案提出されなければならないはずであった。特に平和利用中心とする部面においては、その点を留意しなければならなかったのであります。先般来の質問に対しまして、いろいろの困難な条件もあり、今国会には放射線障害防止法提出されないだろうというような回答であります。それで、これについて、放射線障害防止法に対して、何か特別な専門立案者といいますか、専門立場におる人あるいは立法事務に携わる人がきわめて少数であるということを聞いておりますし、きのうも一人の人が尋ねて参りましたが、私一人ではとてもそういうことはできないということで、これに割り当てられた人が一人だというようなことを聞いておりますが、これは科学技術庁予定人員問題等にもなるのでありますから、両方面から、これに対するお答えを願いたいと思いす。
  6. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この前の委員会でも御質問がございましたので、ただいまの志村先生の御質問と御要求のありました資料用意してございますから、それとあわせて御説明申し上げたいと思います。  ただいまお話のございました放射線障害防止に関する法律の件でありますが、これは実は政令にゆだねた部面が非常に多い法律でございまして、しかもその政令各省にわたり、あるいはこの政令に盛るはずの、たとえばレントゲンのマキシマムの障害防止する数等に関しましても、まだ世界的な基準あるいは日本人の体力に照らし合せて、どういう基準が妥当であるかといったような問題等も、検討を十分に遂げておりません。従いまして、この障害防止法に基いて、各省で基本的な政令をただいま準備しておるかと申しますと、まだそこまでいっておりませんので、法案を出す際には、当然政令内容いかんという問題も出て参りますので、もう少しそういう点を検討いたしまして、その結果、これであれば大体よかろうじゃないかというところで、準備万般用意が整った際に提出したい、こういうふうに考えておりまして、今国会では無理のようでございます。ただいませっかく準備中でありますから、できますればこの次の国会提出することを御了承願いたいと申し上げた次第でございます。  専門家がおるかおらぬかという問題でございますが、エキス線といったような問題に関しましては、これは長い間日本で使っておりまするから、この方面に対する経験者は相当多いわけでございまするが、新しい原子炉に伴っての放射線の、いわゆるアイソトープ的なものに対しましては、分野がまだ新しい分野でございまするので、それほどたくさんの専門家がおるとは申せないような現状でございます。従いまして、原子力委員会といたしましては、なおそういう学問的なあるいは技術的な用意が必要だというので、あらためて学術会議の方にもお願いをいたしまして、協力して、一緒にやっていただきたいということで、今後ともさらに専門家の御参集をいただきまして、法案内容を深めたい考えでございます。それで放射線防止法案が出ない間は、国としてはその危険な状態をどう防止するか、そのための経過的な措置いかん、これも最も重要でなかろうかというお話でございまして、どうするつもりか、政府としての考えをまとめて御報告願いたいというお話でございましたので、たただいまお手元に差し上げてございますように、「放射線障害防止対策について」、それから「放射性物質による障害予防勧告」、この二つ提出したわけでございます。  この防止対策についてという方を初めごらんいただきたいと思いますけれども、これは、この法案が成立するまでの経過的な措置でありまして、まず考えております点は、スタックで決定いたしました放射性物質による障害予防勧告と申すのは、単なる政府に対する勧告にすぎません。法律的な拘束力はもちろんないわけでございますが、しかしそれを一応基準にいたしまして、アイソトープを扱っておるところには十分これを周知せしめるような方途を、各省を通じて操作をしてございます。また扱う人自体訓練が必要でございますから、社団法人日本アイソトープ協会というものに取り扱い訓練を、何回も分けまして行わせて、間違いのないようにいたしてございます。  第二点は、アイソトープを輸入するに際しまして、その使用の目的がどういう目的か、あるいはその扱いに対して設備その他万般準備ができておるかどうか、こういう点を吟味しませんと危険でございますので、そういう点を十分吟味した上で、その旨の許可を与えてやるというふうな事前の予防措置を講ずるわけでございます。  それから、第三といたしましては、もしこの障害か起きた場合にはどうするかという問題が次に起きて参りますので、労働基準法にあります安全衛生規則ということによりまして、この規則にのっとって、労働者障害にかからないようにという予防を講じておるわけでございます。  なお、今年の一月三十一日に、医療法施行規則の一部を改正しまして、診療用放射線の方も、従来の行き方を少し改定いたしまして、できるだけ万全の措置を講じたいというので、とりあえずの措置といたしましては、根本法はないのでございますが、従来の施行規則を変えまして、その保養を厚くしようというふうな措置を講じたわけでございます。  最後に、それでは労働者障害を受けた場合はどうするかという点に関しましては、労働基準法による補償もございますし、国家公務員におきましては、国家公務員災害補償法というので補償を受ける道も講じております。障害を受けないように予防するのが一番重要でございまして、予防したあとに対する措置はもちろん好ましいものではありませんけれども、万一の場合を考えまして、そういう際でも、こういう法規の保護の規定があるという点を申し述べただけでございます。  以上がただいまとっております経過措置でございまして、もちろんこれのみをもってしては万全ではございません。たとえて申しますと、従来特にエキス線等に関しましては、その扱い者が、規則があるにもかかわりませず、ややもすると、従来の慣習と申しますか、あるいは多忙にまぎれまして、基準量を越す、越した場合には、休んで、ある程度回復してからまたその仕事に従事するというようなことが当然必要でございますけれども、必ずしもそういうふうになっておらぬといったような点もございます。これは、基本法等ができますれば、それに基いて、詳細な予算的な裏打ちあるいは技術的な裏打ち等が必要でございますけれども、もちろんまだ不十分でございます。しかしながら、経過的な措置で幾分でもそういう点を緩和いたしたいというので、法案提出方を急ぐと同時に、経過措置もあわせて講ずる次第でございます。
  7. 志村茂治

    志村委員 なお、科学技術庁の定員について聞きたいと思います。
  8. 有田喜一

    有田委員長 志村君、今、行政管理庁の方の人を呼びに行ってますから、ほかに……、
  9. 志村茂治

    志村委員 それでは、定員問題はあと回しにいたしまして、同じく放射線障害防止の問題ですが、これについて、大学教授中心とする学者側考えているところは、エキス線に対する問題を重視しておる、ところが政府側ではむしろ原子力による放射線という問題を重視して、その間の調整がうまくいかなかったのだというような話を聞いております。そんな話はあったのですか。
  10. 佐々木義武

    佐々木政府委員 用意してございます法案、もちろんまだ先ほど申しましたように国会提出してはおりませんが、立法内容は、エキス線といわゆるアイソトープと両方合せた法律でございまして、決してエキス線の方は取りはずすというような原案にはなっておりません。
  11. 志村茂治

    志村委員 それでは、資料についての説明はまだほかの委員からも質問があると思いますので、私は一応説明を聞くだけにいたしまして、さっそくこの原子燃料公社に関する質問に入りたいと思います。  この原子燃料公社を、いわゆる公社にするかあるいはその性格に多少の変更を加えて公団にするかということについて、この法案提出されるまでの間にいろいろ問題があったように聞いております。しかし公団公社の間のいわゆる概念的な区別というものは、はっきりしないんじゃないかと思うのです。一応この際、原子燃料公社というものの性格を明らかにするために、その点を明瞭にしていただきたいと思います。
  12. 佐々木義武

    佐々木政府委員 公社公団相違でございますが、公社公団の最も基本的な相違は、公社は、従来の概念から申しますと、一つ内容の問題と経過の問題があるように考えます。経過的な問題からいたしますと、従来国が特別会計でこれを直営しておりまして、しかも非常に公衆性と申しますか、国民の生活に密着したもの、たとえば鉄道とか電信電話とか、あるいは専売関係の諸物資等でございますが、こういう、どうしても公共の利益を守るために、国でこれを直営するといったような性格のものを、その後、経営弾力性と申しますか、その他を考慮して、国でやるよりは、独立会計一つ事業に移した方がいいのではなかろうかというので、いわゆる公社というものが生まれたのが経過のように考えます。従いまして、この経過から考えましても、非常に公共性の強いものであって、しかも事業体として独立会計的に運営が可能だということで公社にしたように聞き及んでおります。それから内容的に申し上げますと、公社の方はそういう経過から発生しておる関係上、準国営に近いものであります。一番のポイントは、役員の任命等の点はもちろんでございますが、その他におきましても、特に予算面で、必ず国の予算と同様に、款項目を作りまして、国会議決を経るというふうな規定になってございます。国会議決を経るという根本建前から、おのずから会計検査あるいはその他の付帯した事項も出てくるわけでございまして、そういう意味で、この公社予算は、国家予算と同じだというような扱いを受けておるわけでございます。その他公社にはいわゆる公労法の適用あるいは恩給法適用等もございまして、公団とは意味合いの相当違ったものになってございます。一方公団の方はどうかと申しますと、どちらかといいますと、その性格上は、それほど国民的、公衆的なものに密着してはおらないけれども、しかしながら、民間のみにこれをゆだねては発達がなかなか望めない、しかし国としてはこれは伸ばしたいというふうな事業であって、国営というところまでやらなくても、まずまずこの運営は可能じゃなかろうかというふうなものを主たる対象にしているように考えられます。特に公社と違う点は、先ほどの話と裏返しにはなりまするけれども運営の面で、この予算は、国の予算と同じような扱いをするのではなくて、あくまでも業務計画その他は主務大臣あるいは大蔵大臣と協議のもとにこれを許可するだけでありまして、特に濃度の強い公団に関してのみ国会に報告する義務を持つというふうな程度になっております。その間おのずから、監督の理由等は国の予算とは違いまするので、経営には弾力性を持てるようになっているという点が基本的な相違のように考えられます。
  13. 志村茂治

    志村委員 大体経過的な理由と、そうして予算上の取扱い相違によるということは知っておりますが、これは一時公団にしようかという話もあり、今度の提出の場合に公社となったことは、われわれの希望するところと合致して、きわめて喜ばしいことと考えております。しかし、公社ということになれば、財務諸表等を提出して、至急に補正予算を組まなければならないと考えております。大蔵省もそうした理由から公団を主張しておったのでありますが、今度の場合には、これの公社関係の補正予算を組まれる予定であるかどうか、これを聞きたいと思います。
  14. 佐々木義武

    佐々木政府委員 今度の場合には、公社という名の公団と申しまするか、内容は非常に公団に近いような性格も一部持っております。従いまして、一番問題になっております予算扱いの問題でございまするが、予算扱いに関しましては、先ほど申しましたような公社としての予算じゃなくて、むしろ公団的な扱い性格のものでございますので、別途補正予算で新しい予算を組んで国会議決を経る必要は、この法案ではございません。
  15. 志村茂治

    志村委員 公団に近い公社と、きわめてあいまいの形でございますが、そうしますと、一体その取扱いは、この法文上はどこで変っているのですか。
  16. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この法案によりますと、公社的な特色といたしましては、たとえて申しますと、経費と申しますか、費用のほとんど全部が国から支出されるという点が、非常に従来の公団等と違う点の一つでございます。もう一つは、国会に対する義務でありますが、これも業務報告あるいは決算報告等をはっきり国会に出すことになっておりますし、またその会計に関しましては、会計検査院の厳重な検査を経るというふうに、公社と同様の扱い考えているような次第でございます。
  17. 志村茂治

    志村委員 公社としての取扱いについては今の御説明の通りでありますが、しかし公団に近い公社だというと、その公団的な取扱いを、一体どこの条項でしているかということをお尋ねしているのです。
  18. 佐々木義武

    佐々木政府委員 公団に近い性格を持たした最大のものは、先ほどから申し上げますように、予算扱いの問題でございます。予算に対しましては、普通の公社では、国の予算と同様の扱いを受けるという建前になっておりまして、純然たる公社でありますれば、おそらく補正予算の問題が起きたに違いございません。しかしこれは先ほど申しましたように、予算に関しましては、一応資金計画あるいは事業計画あるいはその他に関しましても、主務大臣の許可を得ればよろしい、ただ大蔵大臣の協議は必要でございますが、そういう規定になっておりますので、その点が一番根本的な特色でございます。
  19. 志村茂治

    志村委員 この原子燃料公社性格というのは、いろいろの法案の条項にも明らかにしてあります通りに、非常に公共的、国家的性格の強いものである。たとえば、最後の製錬は一手にここで行う、あるいは輸出入、あるいは国内の配給等は、この公団の手を通じて一手に行うというふうな、強力な国家的な計画を実行する機関であるということにしておるのであれば、純然たる公社であるべきにかかわらず、公団性格を何ゆえこれに加味しなければならなかったか、その理由をお尋ねいたします。
  20. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これにはいろいろの理由がございますが、先ほど申し上げましたように、公社という概念は、あまり従来の公社の概念から離脱しないようにというのが根本的な思想でございます。この燃料公社事業的な内容等を見てみますと、もちろん性格といたしましては国の代行機関というふうな性格を持っておりますから、公社そのものであっても差しつかえないような性格を持っておるのは事実であります。しかし運営の面を見ますと、必ずしも公社同様の、純、国でこれを扱うというほどシビヤーな扱いをする要がありやいなやということに関しましては、いろいろ考える節もございます。むしろ内容は、弾力的な運営をした方がかえって公社本来の面目にも沿う半面があるのじゃなかろうかという気もいたします。むしろ公社的な性格を打ち出しながら、そういう公団の長所と申しましては少し言葉が過ぎるかと思いまするが、運営の面を考えまして、公団的な性格も取り入れた方が、かえってこの事業を伸ばすゆえんではなかろうかというふうにも考えられましたので、こういうふうな規定になったわけであります。
  21. 志村茂治

    志村委員 もう少し詳しく、公団性格を持たした方が運営面上よろしいではないかということは、何か根拠がなければならないと思うのであります。その点を一つ明らかにしていただきたい。それからもう一つは、何かわれわれとの相談の間で、公団ということについてわれわれが賛成しかねたということから公社という名前をとった、しかし大蔵省では依然として補正予算を組むことはきわめて困難であるという行政半務上の便宜から補正予算をやめたのだ、またやめるために公団性格を持たしたのだというふうにも解釈されるのですが、そういうふうなことはなかったのですか。
  22. 佐々木義武

    佐々木政府委員 政府部内での、今、御指摘のございましたような理論的な過程はもちろんあったのでございまするが、最終的の結論といたしましては、先ほど来申し上げましたように、こういう運営の方がかえって公社よりも業務の運営上いいのじゃなかろうかというふうな結論に達しましたので、こういうふうにいたしたのでございます。たとえて申しますと、鉄道あるいは電信電話等におきましても、——まだ法案がどういうふうになるのか私寡聞にして知りませんが、ただいまの状況から推しても、そういうふうな性格を持ちたいというふうな、既存の公社自体がそういうふうな希望を持つやにも伺っております。ましてこれから作るものであり、しかもその方が運営上スムーズにいくのじゃなかろうかということでありますれば、かえってこの方がいいのじゃなかろうかというふうな結論に達したわけでございます。
  23. 志村茂治

    志村委員 意地が悪いようですが、この方がスムーズにいくのではないかということは、それは結論だと思いますが、なぜそういうふうにスムーズにいくかという点をもう少し伺いたい。
  24. 佐々木義武

    佐々木政府委員 一番問題は、さっき申しました予算の点、あるいは給与の問題、この二点が主たる内容でございますが、どういたしましても弾力的な経営方式にし、しかもその中には民間の有識者あるいは学界の有能な方々にもお入りいただく。新しい企業でございますから、たとえば精練とかその他にいたしましても、日本といたしましては全然未経験の分野でもございますので、広く人材を集めて、予算の使い方はもちろん、決算についても、あるいは年初めにおきまして厳重な査定が下されるわけでございますが、運営の過程におきましては弾力的な経営方法がいいのじゃなかろうかというふうに考えまして、公社性格公団的な性格を合わして持たした、こういう次第なのでございます。
  25. 志村茂治

    志村委員 公社とすれば国会の厳重な審議を経なければならない、これは弾力性を欠くんだというふうに言われているようにも考えられる。そうしますと、公団性格を加味することによって、大蔵大臣との話し合いによって、予算についても、また事業運営においても、弾力性が持てるのだというように今お話の順序から読み取れるのであります。そうなりますと、大蔵大臣は果してそういう気持でやってくれるのかどうか、いやとは言われないと思うのでありますが、そういうことを十分われわれの方で要求しなければならないと思っております。これは私の意見です。  次に、先ほど留保いたしておきました科学技術庁の定員のことについて御説明願いたい。
  26. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 科学技術庁の定員につきましてお答え申し上ぎます。科学技術庁を新設いたしますにつきましては、その定員を定員法において規定することに相なっておりまするので、先般科学技術庁の定員を含む定員法の改正を今国会提出いたしまして、今内閣委員会におきまして御審議いただいております。その内容につきまして簡単に申し上げますと、科学技術庁の総定員は、特別職を除きまして二百九十三名の予定に相なっております。それに基いて御審議いただくことになっております。その内訳を申し上げますと、その定員をどこから出したかということに相なるわけでありますが、できるだけ政府職員全般の増員を避けるという意味におきまして、関係各省から極力これを振りかえることに努めたわけであります。その結果、科学技術庁の新設によりまして、純増の職員といたしまして、次長、官房の課長及びその他の職員を合せまして六人、これが純増であります。それから総理府原子力局からは六十八人を移管いたします。これは原子力局が科学技術庁原子力局になるわけでありまして、全部その職員になるわけであります。それから総理府の航空技術研究所から四十九人移管いたします。それからスタックはこれを廃止する予定に相なっておりまするので、その全員十五人をこれに持って参ります。また資源調査会もこれを改組いたしまして、科学技術庁の中に取り込みまして資源局を作るわけでありますから、その職員といたしまして全員三十九人をこれに移管いたします。それから、通産省側でかねてより従来の機械試験所の一部、それに新たに増員いたしまして金属材料研究所を新設する予定で準備をしておりましたのを、この科学技術庁に移管をいたしますので、その定員四十人を持って参ります。これだけでは足りませんので、さらにこの科学技術庁をできるだけりっぱな役所にするということで、関係各省の協力を求めまして、結局行政管理庁から二人、厚生省から三人、農林省から十三人、通商産業省から四十八人、運輸省から五人、郵政省から五人、こういうような供出を求めまして、これを定員法上振りかえることによりまして、計二百九十三人に相なります。これを科学技術庁関係の各局、すなわち官房及び他の四局、それから各研究所にそれぞれ定員として配置したい、こう考えております。
  27. 志村茂治

    志村委員 もう時間も十二時になりましたから、あと一点お尋ねいたしますが、やはりこの前の日本原子力研究所の場合と同じように、役員の選任についてであります。この役員の任命と解任、この両方ともに関連いたしますが、ここでも同じように、理事長は内閣総理大臣が原子力委員会の同意を得て任命するということになっております。しかし副理事長以下の理事、及び監事の任免権は、総理大臣が原子力委員会の意見を聞いてこれを行うということに規定されております。この前のときにも申し上げましたように、この原子力開発、特に原子力基本法の精神はすべて超党派でこれを行うということになっております。でき得るならば政府の支配下にはなるべく入れたくないというのがわれわれの考え方であったわけであります。しかるに最も重要な役員の任免権において、原子力委員会の発言権、発言力というものがきわめて弱められておるということについては、日本原子力研究所の場合と同じようにきわめて遺憾に考えておるのであります。従って、あの研究所法案の場合にはわれわれ付帯条件をつけて、なるべく原子力基本法の線に沿った趣旨で任免してもらいということをつけておりましたが、再びこの公社法案においても同じようなことが出ておりますので、これの扱いについて、政府の御意見を伺いたいと思います。
  28. 佐々木義武

    佐々木政府委員 文面からいたしますと、同意を得てということと意見を聞いてということには確かに差異がございます。同意を得てということでありますと、まさしく同意を得ませんと無効になりますので非常に強いわけでございますが、意見を聞いてとございますと、意見を聞かないときには無効でございまするが、意見を聞いた際には、必ず意見通りやらなくても有効であるというふうになりますので、その間にもちろん差異はございます。ただ、しかしながら、現状の運営方式そのものを見ますと、必ずしも法の文面そのものが現実を拘束しておるか——と申しますと語弊がございますが、たとえてみますと、今の原子力委員会そのものの権限等に関しましても、あるいは諮問機関でありまするやら、あるいは本来の行政機関でありますやら、法的にはいろいろ疑義があろうと思います。しかし実際の運営といたしましては、原子力局とは全く一体の運営でありまするし、また原子力委員長は大臣がこれを兼ねてございまするので、その間決して矛盾のないように運用をしてございます。従って法の文面そのものでも、精神は運営において十分生きていっているのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。従いまして、この十条の規定におきましても、同意という点と意見を聞いてという点には若干の法的な相違はございますが、しかし実際の運営におきましては、同意を得てあるいは意見を聞いてという点が差を生じて運営するかと申しますと、ただいまのところでは、そういう気持は毛頭ございません。しからばむしろいっそ同意を得てというふうにはっきりした方がいいのじゃなかろうかという議論が一方には成り立つようにも考えられるのでありますが、しかしあらゆる前例を見ましても、理事長はあくまでも経営の責任者でありまして、その理事長のもとに副理事長なりあるいは理事というものが一心同体の形で運営していくのが理の当然かと思いますので、まず理事長に関しましては、最も重大でありますから、同意を得てというふうに法的には固く縛っておきまして、その一心同体になるその下部の役員に関しましては、理事長の意見を聞いてということで、理事長の意見を尊重してこれをやっていく。その際、それではなぜ原子力委員会の同意を得てというふうに書かぬかという御議論がございまするが、これに関しましては、理事長が同意ということできまりまして、そしてその理事長の意見を極力尊重しながら各副理事長、理事というものをきめるのでありますから、その際には原子力委員会といたしましても、やはり理事長の意見というものを尊重してやるというのが筋ではなかろうか。そういうふうにいたしますと、副理事長あるいは理事の選任には、理事長の発言あるいは原子力委員会の発言は、将来の運営考えますと、同じように考えていってもよいのじゃなかろうかという感じもいたしますので、理事長の場合の任命方式と、副理事長、理事の場合の任命方式とは、若干違えてはございまするが、運営におきましては、その間何ら差のないように運営していきたいという気持でございます。
  29. 志村茂治

    志村委員 ただいまの局長の御意見は、私了といたしますが、法文に一応そういうふうにきめておいて運営にまかせるというよりも、本来そういうことが行われないように、いわゆる時の政府の権力によって役員の任免が行われるということがないように書いた方がいいじゃないかと私は考えるのでございます。しかし前田の原子力研究所の場合もありますので、私はただいまの運営の面において、基本法の線に沿ってやるという御意見で一応は満足いたします。私はこれだけでございます。
  30. 有田喜一

    有田委員長 前田正男君。
  31. 前田正男

    ○前田(正)委員 一点だけ大臣にお聞きしておきたいと思うのでございます。この法案の、公社の「業務の範囲」の第十九条の二号に、「核原料物質の輸入並びに買取及び売渡」とあります。第三号に「核燃料物質の生産及び加工」、第四号に「核燃料物質の輸入及び輸出並びに買取、売渡及び貸付」、こうある。これら核原料物質の輸入、買い取り、売渡し、製練の最終段階のこと、それから核燃料物質の輸入、輸出、買い取り、売り渡し、貸付というようなことは、政府で別に立案しておられます核原料物質及び核燃料物質の管理の法案と、先ほど局長の御説明がありました放射線障害法案でもって、政府が認可することになっておると思います。それで公社のこの法案から見ますと、これが独占的にやるとは何も書いてないのでありますけれども政府が認可制でやられまして、これらの問題を独占的にやられるのではないか。この公社は、全額政府出資の公社としての性格を大きく打ち出しておる。これほどまた国民に関係の多い問題はないと思うのであります。将来は、この公社が、各地の発電所に全部原料を供給し、または輸入するというわけでありますから、今の国鉄よりももっと広く国民に接触する部門が多くなってきます。現在の国有鉄道よりももっと大きくなってくる公社として、国民の利害に関係してくるのじゃないか。そういう点からいって、今年はわずか一千万円の小さな公社でありますけれども、将来は国有鉄道をしのぐような、国民の利害に大きく関係する国民の動力エネルギーのもとになるところのものを握る公社でありますから、当然公社としての性格が持たれるのは私は当りまえだと思いますけれども、この法文から見てみますと、それは独占的にやるということは何も書いてない。そこで政府が将来そういう法案を作られて認可せられるときには、これを担当される大臣としては、この公社にそういう独占権を与えられる方針でおるかどうかということを明瞭にしないことには、これは公社にする必要はないと思うのですが、この際、明瞭な御答弁を願いたいと思います。
  32. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 仰せの通り、燃料公社は非常に重大なる仕事をやるところでありますから、従って、実質的においては独占的にやるつもりでおります。いずれこれはもっとはっきりさせたいと考えております。
  33. 有田喜一

  34. 小笠公韶

    ○小笠委員 ただいまの前田先生からの御質問に関連して伺いたいのであります。条文につきまして、第十九条の各号列記の事項につきましては、今のような疑問が出てくるのでありますが、第一条の「設立の目的」において、「核原料物質の開発及び核燃料物質の生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、」と書いてある。この生産開発、管理を総合的、効率的に行うという立法の大精神を確保しておる条文がどこにあるか、これをまず伺いたい。
  35. 佐々木義武

    佐々木政府委員 立法の第一目的に相当する趣旨でございまするが、総合的と申しますのは、第十九条にもございまするように、いわば採掘から精練まで、あるいはよそから入ってくるもの、出すもの、そういうものまで全部一貫して経営するのでございまするから、これを総合的にこの機関で扱うという意味合いを持たせたわけでございます。効率的にと申しまするのは、その間、先ほどございましたように、経営弾力性等も加味いたしまして、なるべく最小の犠牲で最大の効果を上げるような点を意図しているわけでございます。従いまして、総合的かつ効率的にという点は、ただいま前田先生からも御質問がありました独占という匂いが、法文の上においてあまり薄いのじゃなかろうかというふうな御懸念もあるいはないでもございませんが、しかしながら、これに関しましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、別途管理法を用意いたしまして、ちょうど専売の規定は専売の管理の画でこれを規定していると同じような方式で、その管理法の方でこれを明確にうたう方が、法の形式としていいのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  36. 小笠公韶

    ○小笠委員 御説明によりますと、第十九条列記の各号、いわゆる探鉱か精練までやるということが総合だというなら、部分的総合と呼んでよろしいのですか。
  37. 佐々木義武

    佐々木政府委員 部分的な総合という意味じゃなくて、核燃料物質あるいは核原料物質に関しましては、原料から燃料を精製いたしまして、さらにそれを加工いたしまして、使用者にこれを独占的に売り渡すというふうな格好にもなっておりますし、あるいは国内生産あるいは海外の生産等の情勢を加味しながら、ときによっては輸入もいたし、あるいは、ものによってはかりに国内で消費いたしまして、全部使い切れずに残れば海外に輸出するといったような問題も起きてきましょうし、そういう点は、国際情勢あるいは団際経済の動向と資源の動向とをにらみ合せながら運営するという建前になっておりまするので、総合的にというふうに言葉を使ったわけでございます。
  38. 小笠公韶

    ○小笠委員 政府委員の答弁は管理法があることを前提としての説明である。本法第一条の目的において、開発生産及び管理を総合的に行うということについては、管理法を前提にしなければとれないと思う。その場合には部分的な総合だと思う。探鉱から精練までは可能でありましょう。しかし他の経営者がやることを何ら禁止しておらないのであります。他の多数の経営者の存立を認めながら、なおかつ総合的に行うということを書いてある以上、それを確保する規定がどこにあるかという純法律的に私は伺っておるのです。
  39. 島村武久

    ○島村説明員 まことにごもっともなお尋ねでございまして、第一条でうたっておる趣旨の総合的かつ効率的という言葉と、第十九条に掲げました業務の種類との間には、第一条を裏書きするような意味での規定は第十九条にはございません。しかしこれは小笠委員がよく御承知の通り入れものの法律でございまして、一手に行いますとか、あるいは独占をやりますとかいうような実体の規定は、実体法に譲るのが適当であろうという考えから、さようにいたしておるわけでございます。もちろん管理法と同時に提出いたしましたならば、その点は十分に御納得いただけたと思うのでありますが、ただ、管理法の方は、現実の問題といたしまして、まだ管理法の適用の対象となるものがきわめて少い、あるいはものによって全然ない段階でございます。それに比較いたしまして、この公社は早く、本年度中に少くとも相当な事業を行う必要がございまして、立法を取り急ぎました関係から、管理法と公社法が別個の機会に御審議を願わなければならぬようなことになっておるわけであります。  なお、総合的ということの意味でございますけれども、先生のおっしゃいましたような意味ではまさしく部分的でございまして、大臣からも答弁がございました独占的ということは、この十九条の全部にかかって独占を行うという趣旨ではないわけでございます。従いまして、先生のおっしゃる意味での独占と申しますか、部分的な意味での総合だということになるわけでございますが、これは、探鉱、採鉱、選鉱、精練というような過程でどんどん仕事が進んで参りますうち、特に精練の最終段階は少くともこの公社に一手にやらしめたいと考えておりますので、事項別にいきますと部分的な総合ということになるわけでございますが、実質的には、ここは最後の締めくくりをつける意味におきましては、必ずしも部分的にすぎないということはいえないわけでございまして、十分、総合的という第一条の趣旨が生きてくると考えておるわけであります。ちょっと補足して御説明申し上げました。
  40. 小笠公韶

    ○小笠委員 そういう運用上の説明を伺っているのではないのであります。私は法律解釈を伺っているのでありますが、御趣旨はよくわかります。  ついででありますが、簡単なデフィニッションを伺いたい。第十二条の二号において、「政党の役員」というのが禁止事項の中にありますが、政党とは何でありますか、これをまず伺いたい。
  41. 佐々木義武

    佐々木政府委員 政党の役員と申しますのは、必ずしも明確には規定できないのでありますが、名称のいかんにかかわらず、実質的な判断でこれは運用すべきじゃなかろうかと考えております。
  42. 小笠公韶

    ○小笠委員 法律の用語におきまして、名称のいかんにかかわらず、実質的な判断で解釈するという法律用語が世の中にありますか。この用語はかくかくの内容を持ったものという前提のもとに立法化するのが普通だと思う。そういう意味において、ここに書いておる政党とは、いかなる内容を持つものであるか、まず伺いたい。
  43. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これは三公社とも全部こういうふうに書いてございまして、古くからなれた用語でございます。ただ、前例がそうだからといって、それでは何も考えないのかといいますと、そうじゃないのでありまして、政党と申しますのは、申すまでもなく、やはり政党じゃなかろうかと思います。
  44. 小笠公韶

    ○小笠委員 その点はわかったようでわかりませんが、ついでにもう一つ法文のことを伺います。第二十八条、「公社は、内閣総理大臣の認可を受けて、短期借入金をするごときがでる。」ということが第一項に書いてあり、第二項において完済不能のときには翌年借りかえするということがあります。この一年以内の短期資金の借り入れに当って、なぜ内閣総理大臣の認可を得なければならぬか、その理由をまず伺いたい。
  45. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この短期借入金と申しますのは、通常意味しておる銀行からの平常の借り入れという意味ではないのでございまして、たとえますれば、予算が不成立だといったような場合に、国の資金がその間若干ずれがあったという場合には、やむを得ず借りるというふうな事態も予想されますので、そういう不測の場合を予想いたしまして、そういう場合でも業務の運営に差しつかえのないようにという意味で念のために入れたわけであります。そういう際には公社で勝手に借り入れをして、かりに予算以上にこれを借りるといったようなことが起りますと大へんでございますから、こういう点は一応認可事項といたしまして、かりに予算等の不測の場合がありましても、事業運営に差しつかえないようにというので、そういう点をにらみ合せて認可をすべきではなかろうかと考えております。
  46. 小笠公韶

    ○小笠委員 先ほど来るる御説明があったように、公団公社相違説明と、なぜ公団公社の制度をとったかの説明に経理の問題を強く主張しておられたようであります。そのことは、事業経営体であるがゆえに、資金のやり繰りというものも、予算通り動きにくいのだということも当然予想しなければならない。しかも、短期資金においてそういうふうな場合が多多あるから、短期借り入れの制度を認めたものと思う。予算不成立の場合だけを予想して入れたと解釈することは、私は不適当だと思う。真に予算不成立のときだけの短期借り入れ資金であるか、この点を伺いたい。
  47. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これは、正常な場合にはこういうことはあり得ないわけでございまして、国家予算の補助金なり出資金なりが出まして、その範囲内で業務を運営しているわけでございますから、こういう必要はないわけでございます。しかし不慮の災害と申しますか、必ずしも予算の不成立ということのみに限らぬのでございまして、あるいは不測の災害等によって急激に資金の需要が起きた、しかもその予算の配賦状況等から見まして、なかなかつなぎ資金の方途がつかないといったような事態もあるいは起きてくるのではなかろうかというふうにも考えられますので、先ほど申しました予算の不成立等の場合のみに限らずに、そういう不慮の災害等の場合も考慮いたしまして、その際にはつなぎ資金的なものを認め得るような方途を講じた次第でございます。
  48. 小笠公韶

    ○小笠委員 今の説明はわかったようでわからぬのでありますが、しからば、第二問として、内閣総理大臣の認可をなぜ受けなければならぬのか、その理由一つ伺いたい。
  49. 島村武久

    ○島村説明員 短期借入金の問題でございますが、これはほかの公団でございますと、政府資金以外にも大ていの場合資金が入っているわけでございますが、今度のこの公社の場合には、資本金と補助金によってつまり全額国の金でまかなっていくということに相なっておりますので、そういう場合におきましても、なお予算との関係あるいは補助金との関係、結局国の支出の関係からやはり内閣総理大臣の認可事項にしておかなければならないという考え方で、かような規定にしたわけであります。
  50. 小笠公韶

    ○小笠委員 どうもこの事業体説明と、あと予算の支出の関係とつじつまが合わぬような気がします。ただいまの答弁で納得いたしたのではありませんが、時間の関係もありますので、一応これで打ち切ります。
  51. 有田喜一

    有田委員長 それでは、午前の会議はこの程度にいたし、午後一時より再開いたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  52. 有田喜一

    有田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  原子燃料公社法案及び核原料物質開発促進臨時措置法案の両案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。志村茂治君。
  53. 志村茂治

    志村委員 午前中の質疑で、ある程度この問題は取り上げられておるのでありますが、なお提出になりました書類の「原子燃料公社事業計画」について、政府側説明をお願いします。
  54. 佐々木義武

    佐々木政府委員 燃料公社事業計画でございますが、これは第二年度以降に関しましては、今後の調査等の進捗を待ってさらに明確にいたしたいと思いまして、三十一年度の分のみをここに掲げておいたわけでございます。  この資料にもございますように、公社目的公社法に載っておりますので、大体それをそのままとりました。  それから事業の概要に関しても、ここに示した通りでございます。  方針でございますが、方針といたしましては、前々から御説明申し上げてありますように、この公社事業を三十一年度当初からすぐどんどんやれるというような態勢にはなかなか参らぬのではなかろうかと思いますので、今年度の予算を請求の際には、製練等に関しましては、今年度は主として研究に重点を置いて、本格的な製練は、探鉱、採鉱、選鉱等の実績を待って、それに見合うようにテンポを合せたらどうだろうというような考えになっておりますので、具体的な製練設備等は、今年度は考えてございません。今年度は、地質調査所の方では、ウラン資源あるいはトリウム資源の概査をいたしまして、こちらの方ではそれに伴って、精査、採鉱、選鉱等を行なっていくということを主にいたしまして、三十二年度以降製練等にも着手いたしまして、三十三年度から予定される天然ウラン・重水型の原子炉に間に合せたいということを目標にしてございます。また核原料物質あるいは核燃料物質の輸出入、販売、買い取り等、こういう管理は今年度公社ができますれば、事態の発生に照らしまして実施に移るわけでございます。  問題は、三十一年度の事業計画でございますが、これはただいま申しましたように、地質調査所の方では概査いたしまして、公社の方では精査を主としてやるわけですが、その精査の中でも、問題は採鉱を主にして今年度は進みたいというふうに考えております。それで、三十一年度に公社が精査する地域というのは、三十年一度に、午前中に質疑がございました地質調査所が概査した地区のうちで有望な地点を数カ所選びまして、ここに必要な溝切り千二百メートル、試錐千七百五十メートル、探鉱坑道千二百メートル程度の事業を行いたいという事業計画にしてございます。  二ページ目に資金計画が載っておりますが、本年度は御承知のように一億五千万円の資金がついてございます。そのうち一千万円は出資金でありまして、補助金が九千万円、それから予算外契約国庫負担分といたしまして五千万円を予定してございます。  その内訳でございますが、今年度は、先ほど申しましたように、主として採鉱等が主体でございますので、あまり固定設備等に金を使わぬ予定でございます。ただごく探鉱に必要な機械類、たとえてみますと、ガイガーとかあるいはトラックとかいったような性格のものは、探鉱用機械として一千万円の中に入ってございますが、その他は補助金の九千万円の中に入っております。一般管理費と申しますのは、統計費とか事務費でございますが、この公社は三十一年度には大体百四十二名くらいの人員でやりたいという目算で人件費をはじいたのでございます。残りは探鉱費、研究費等でございまして、こういうものを合せて九千万円、債務負担行為の五千万円に関しましては、建物、大きい機械類、それから予備費二百万円も入っておりますが、そういうものを合せて五千万円を見込みまして、これは三十二年度に支払いをするという考えでございます。従いまして、おもな内容は、主として実際の探鉱のためにそれぞれの人員が現地に出向きまして、いろいろ実際の事業的な採鉱の準備、あるいはその二部に取りかかるという費用がおもでございますので、補助金が主体になって、固定設備の方は今年度はあまりかけないという計算になったのでございます。
  55. 志村茂治

    志村委員 今の方針の中で、三十三年度に建設される予定の天然ウラン・重水型原子炉に、国産天然ウランの供給ができるように努力すると言っておられます。大体三十三年度の国産一号、あれに必要とする天然ウランは十二トンと聞いておりますが、そのうち二トンだけは国産でやって、十トンは海外から輸入する、こういうようなことが言われております。これから三年先のことであり、ほとんど着手されておらない日本の金属ウラン生産を二トンと見込まれておるということは、ずいぶん不確実だ、こういうふうに考えておりますが、二トンという数字は、一体どこから出たのですか。
  56. 佐々木義武

    佐々木政府委員 実は、国内で二トンの製練がその際までに可能であろうという数字の根拠は、あまり的確なものではないのであります。今まで見つかりましたウラン鉱というか、そういうものを考えたり、ただいま製錬の方法、たとえば燐鉱石からもウランをとる方法等を会社等に依頼しまして研究をさせておりますので、そういう成果のテンポ等をにらみ合せて、大体二トンぐらいじゃないかという見当をつけておるのでございまして、まだ正確な自信を持っているわけではございません。
  57. 志村茂治

    志村委員 それでは、この二トンというのは、現在もうすでにはっきりしておる原鉱石、それから現在の製練方法、これによって、将来の不確定な数字を織り込まずして、日本国内生産される、こういう意味でありますか。
  58. 佐々木義武

    佐々木政府委員 先ほどの数字は、全部で十トン必要でございまして、うち七トンは輸入、三トンは国内生産というふうに考えておるのであります。できますればもっとふやしたいわけでございますけれども、まあかたく抑えてみて、このぐらいまでは三年間に何とかものになるのじゃなかろうか、こういう数字でございます。できるだけピッチを上げて、もう少し能率を上げたいと思っておりますけれども、いかんせん、鉱石そのものも必ずしも富鉱とは申せぬ状況でございますし、燐鉱石からとるのも完全に技術的に解決したというものでもございませんので、大体それを目標にしてがんばりたい、こういうことでございます。
  59. 志村茂治

    志村委員 では、次に資金計画の方ですが、その中に二千万円の建物というのが入っております。直ちに大規模な工場等が設立されるということは考えておりませんが、この建物というのは、一体どういう性質の建物をさしておるのですか。
  60. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この建物と申しますのは、現場で採鉱する際のバラック的なものもありましょうし、もう一つは、製練加工のために、あるいは保安等のために、いろいろ研究を早急に進めなければならぬ問題もございますから、そういう点で、研究費用と申しましては語弊があるかもしれませんが、研究部のようなものを作りまして、そこでいろいろ具体的な研究をしたいというふうにも考えられますので、そういう建物を考えたわけでございます。
  61. 志村茂治

    志村委員 それでは、探査の進捗状態についておきしたいのであります。先刻御配付になりました資料に、ウラン等放射性鉱物資源調査計画というのがあります。この中で、いろいろ順序を踏んで、エアボーン、カーボーン等を行うとなっておりますが、すでにほとんどその資源の所在が明瞭になっている地点も明らかになっております。たとえば小鴨であるとかあるいは三吉鉱山周辺、生野、明延というようなところは、資源の所在が相当はっきりしているのですが、それらについては近く採鉱の段階まで進み得るのであるか、その点をお聞きしたいと思います。
  62. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)政府委員 私、地質調査所につきまして、ただいま御指摘の点を質問したのでございますが、私の聞きましたところでは、まだ直ちに採鉱し得るという段階ではないと思います。私もよく実情を調査いたしませんからわかりませんが、今日、所々方々において発見せられておりますウラニウム鉱床は、ガイガー、カウンターによって大体有望であるという見当のつく個所もあるけれども、一体その本体がどこにあるかという点に関しましては、将来試錐をしていかなければならぬ。しかもその試錐が二百メーターでよいのか五百メーターでよいのか、適当な個所に相当の試錐を行なってみないと、その鉱床の実体を把握することができないという段階でありまして、一に三十一年度の採鉱によって、今、有望視されているところの実体が把握できる。そうすると、そこに対してさらに精査を加えて採掘するという段階に行くのではないか、さように考えております。
  63. 志村茂治

    志村委員 それでは、船田長官も見えておりますし、この問題は岡委員質問する予定であり、私がするのは適当でないと存じますので、この程度にいたしますが、実は、原子力研究所の予定敷地として、武山が原子力委員会で決定になり、米軍との間の折衝も進み、条件次第によって米軍はこれの接収解除をするという段階まで来ており、昨月の閣議においてこれが何か問題にぶつかったようにも新聞報道等で聞いております。その間のいきさつについて、正力国務大臣から御報告願いたいと思います。
  64. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 昨日の閣議で、私は今まで原子力研究所を選定するに至った経過をいろいろお話いたしました、その経過を皆さんに御参考に申し上げてよいと思います。実は、原子力研究所の敷地問題は、大へん政治問題化したかのごとく思われております。実は、昨年の春までは、原子力研究所を置くことは、らい病患者のようにきらわれておったのだが、昨年の夏以来あっちからもこっちからも置いてくれ、置いてくれという運動が非常に盛んになりまして、現在は御承知の通り大へん問題になっている状態であります。私ども、この場所を作るについては慎重に実は進めたのでありまして、まず研究所のこれに対する専門家を選考委員に選びまして、その選考委員に、どういう標準で選んだらよいかと聞きました。ところが、選考委員としては、選考の標準としまして、まず研究所はなるべく東京に近いところ、交通の便のいいところということを主張しました。また第二には、地質がかたくて、なるたけ起伏の少いところということであります。それから第三には、水の供給が十分なるところ、これは御承知の通り原子炉については水がたくさんいるらしいのであります。これから第四には、非常に汚物が出るので、汚物を排除するによい場所ということ、そのほか二、三ありましたが、おもなる点は今のような標準で選びました。そういう散地として選定した場所が十五カ所あります。十五カ所のうち、選定委員で選考した結果、四カ所きめまして、それを原子力委員会の方へ持ってきました。そこで、委員会の方で慎重審議の結果、まず第一候補として武山を選んだわけであります。ただ武山は、御承知の通り進駐軍が接収しておるからして、この接収解除が可能であるかということを調べなくちゃならぬということで、それについては一応われわれの方で内交渉することにしまして、調達庁をして交渉を進めました。調達庁をして進めましたが、何分正式の交渉ではない以上、確固たることは言えない、しかし代替施設を提供するならば、二十万坪くらいの土地はよかろうという了解を得たのであります。しかしこれも確かぢゃありません。いずれにしても正式に交渉せよということでありましたので、これはひとり原子力だけの問題でない、国政全般にわたることであるから、閣議に諮りまして、私はそこを原子力研究所としては最もよいから政府として正式に交渉したいという話をしました。それに対して船田防衛庁長官などもいろいろ意見がありましたが、結局は何もきまりませんで、いずれ関係閣僚だけでもう一ぺん懇談をしようというような状態になったわけであります。以上が大体それの経過であります。
  65. 志村茂治

    志村委員 閣議はそのような未決定な状態に置かれたのでありますが、昨日の原子力委員会では、どういうふうにきまったのでしょうか。
  66. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 委員会ではその通り報告しまして、なお閣議の決定を見なくちゃならぬということであります。
  67. 志村茂治

    志村委員 船田長官にお聞きしたいのですが、昨日、船田長官は、武山については、日本の自衛隊が以前からあの土地をほしいという希望を待っておる、これは国策上大きな立場から検討しなければならないというような御主張であったように新聞紙上で見ておりますが、自衛隊が以前要求されたのは、私の聞いておるところでは、防衛大学の敷地として要求されたということは聞いておるのですが、そのほかに要求されたことはあるのですか。
  68. 船田中

    ○船田国務大臣 武山につきましては、御承知の通り、あそこの土地柄及び施設は、かつてわが海兵団が持っており、将来自衛隊の水陸両用部隊といったようなものが施設をいたしますのには最も適当したところでありますので、数年来、防衛庁といたしましてはその希望を持ち続けておるのでありまして、今日もなお持ち続けております。しかしあの武山の施設をアメリカ軍が現在使っておりますが、それを解除してもらって、どこが使うかということにつきましては、ただいま正力大臣から御説明のございましたように、今、政府部内で協議をいたしておりますので、その協議が決定いたしましたならば、それに従って参りたいと存じます。
  69. 志村茂治

    志村委員 私のお聞きしておるのは、自衛隊であの土地がほしいということについて考えておられたということはわかりますが、具体的に米軍との間に折衝されたのは、防衛大学の敷地として要求されたことだけであるというふうに聞いておるのですが、それ以外のことについて、あるいは演習地、あるいはその他に自衛隊が使いたいということを、米軍に対して、あるいは閣議等で表明なさったことがおありになるかどうか、それをお聞きしているのです。
  70. 船田中

    ○船田国務大臣 自衛隊の施設として使いたいという希望は持っておりますが、政府機関を通じて正式にアメリカ軍に申し出ておるものではございません。
  71. 志村茂治

    志村委員 米軍の方から条件次第によっては、正式に申し込めば解除してもいいということは——もちろん正式の交渉ではありません、サウンドではありましたが、その結果、正式のものではなくしても、原子力研究所の敷地としてこれを要求したということは、米軍ももちろん十分承知しているところであります。それで、そのようなことから、米軍の方から、要求があるなら接収解除してもいいということであるなら、かなり原子力研究所ということが向うの頭に入っていると思うのですが、その場合にでも、自衛隊としては自分の方にほしいというお考えを持ち続けておられるかどうか、それをお聞きします。
  72. 船田中

    ○船田国務大臣 防衛庁としては強い希望を持っております。しかし閣議において決定せられますれば、それに従って参ります。
  73. 志村茂治

    志村委員 それでは、船川長官の個人の意見をお聞きいたしたいと思うのであります。これは国策上、再軍備が必要であるか——あるいは再軍備と言っては不適当かもしれませんが、自衛隊に使った方がいいか、あるいは原子力研究所に使った方がいいか、その点について個人の意見をお聞きしたいと思うのであります。と申しますことは、この原子力研究所は、この研究に直接携わるような学者たちが、いろいろな条件を満たすばかりでなく、あそこで自分たちが研究するのが最もよろしいと考えており、どこにもある、あそこにもあるという土地ではないと思うのであります。日本中探して、あそこが最もよろしいと考えておるにかかわらず、国全体として長官は自衛隊の用地として使うのがいいと個人としてお考えになっているかどうか、それをお尋ねいたします。
  74. 船田中

    ○船田国務大臣 私、防衛庁に関係いたします者として、個人的の意見を率直に申し上げることをお許しいただけるならば、私は原子力研究所というような未知のものにつきましては、やはり人家の少いもしくは大きないろいろな施設のあるようなところでなく、もっと山の中とかあるいは相当遠く離れたところがいいのではないかと存じます。防衛問題につきまして、今、志村委員と私は見解が異なるかもしれませんけれどもわが国の防衛態勢を整備する上から申しますれば、あの武山というところは、かつては海兵団が使っておったところであり、将来解除された後に自衛隊が使う、そして訓練をし、あるいはあそこに兵舎を置くというようなことは、きわめて適当であり、防衛的見地から申しますれば、ああいう平坦な繁華なところに原子力研究所のようなものを置かないでもいいじゃないか、もっと山の中か無害なところに置かれる方がいいじゃないか、私は率直に申しますれば、そういうような意見を持っております。
  75. 志村茂治

    志村委員 それは、以前の放射能の危険を十分防除する科学的な知識のなかった当時におきましては、たとえばアメリカとかフランスとかあるいはイギリス等におきましては、相当市街地から離れたところに置かれております。しかしながら、その後防除方法が進んでおります。その結果、学者があの武山でもよろしいということをもちろん学者は自分個人の立場考えておりません。日本原子力開発する場合には、放射能障害ということを十分考慮に入れての上のあの決定であります。ただいま防衛庁長官は、自分としてはそう考えておられるということでございます。これは技術、科学の問題でありますが、しかし、ごく現象的に考えてみて、学者の意見を御尊重なさいますかどうですか、この点をお伺いしたい。
  76. 船田中

    ○船田国務大臣 私としては、もちろん学者の御意見を尊重するにやぶさかでございません。ただ防衛的の見地から申しますれば、あの武山の土地は、防衛関係の施設として使うことが、国家のために適当であろう、こういう意見を持っておるということを申し上げたわけであります。しかし、現在まだ予算措置を講じておるものではございませんから、あれが政府の方針として原子力の方で使うということが御決定になりますならば、それに私らはもちろん従って参ります。
  77. 志村茂治

    志村委員 ただいま防衛庁長官は、閣議で御決定になれば従うと言われる。これはもちろんその通りだろうと思います。そうなければならぬと思うのであります。先ほど長官個人の考えとしては、あれは何か不適当であるというふうに言われておったのでありますが、しかし学者の意見は尊重されるということになったならば、われわれは学者の定職に従って、あの土地が不適当であるということは、長官の少し考え違いではなかったかと考えておるのであります。依然として、あれは不適当とお考えになるか。
  78. 船田中

    ○船田国務大臣 重ねて個人の意見を御質問でございますから率直に申し上げますが、私といたしましては、どこまでもあれは防衛的の見地から、防衛関係で使用させていただくのが適当である、もし防衛関係で使わないといたしましても、原子力研究所というような、その作用がどういうところに及ぶか、まだ日本では未経験のものでございますから、学者の御意見は十分尊重はいたしますけれども、しかしやはり、なるべく近所に影響を及ぼすことのないようなところに持っていかれた方がよくはないか、そして将来相当やはり大きくなるものであろうと私は想像いたしておりますので、それで、私は、個人といたしましては、武山以外の地を選定されることがよくはないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  79. 志村茂治

    志村委員 お話によりますと、そういうような今までの経験から、あるいは危惧の点から、長官は、個人の考えとしてあそこは不適当ではなかろうかというくらいのところであろうと思います。科学的根拠は私伺うことはできませんでした。もちろん科学的根拠をお持ちになっておるとは私は考えておりませんが、そういう感じで、そういうふうにお考えになるのならば、学者が従来のような危険はないものであるというふうに断定された場合には、長官はその考えを撤回になりますかどうですか。
  80. 船田中

    ○船田国務大臣 私個人の意見としては、先ほど来申し上げておる通りであります。これによりまして、私は武山をどこが使うかという政府の意思を決定せられる場合におきましては、もちろんその政府の決定に私は従うつもりであります。
  81. 志村茂治

    志村委員 これは論議を重ねても仕方がないと思うのでありますが、私の希望を一つ申し上げますならば、あれは学者がほかのいずれの地よりも最もよろしいところであるということをきめておるのであります。もちろん防衛上の問題も長官としては当然考えられなければならないと思うのであります。しかし、防衛上の上陸用演習地として必要であるとは言われておりますが、武山が防衛上、上陸演習地として最も適当である、ほかにかえ地はないのだ、かえ地がないというよりも、これ以上のところがないのだというふうにお考えになるのであるかどうか、その点をお聞きしておきたい。
  82. 船田中

    ○船田国務大臣 日本国中探しましたときに、絶対ほかにないとは言えないと思います。しかしきわめて適当なところである。武山は、将来解除された後に、自衛隊の使用する場所として、あるいは施設としてはきわめて適当なところであるという考え方は、私は変えられないと思います。
  83. 志村茂治

    志村委員 防衛庁長官として、防衛上の立場からそうおっしゃることは、私は当然であると思っております。しかし一方におきまして、世界の新しい産業革命時代に直面して、日本がそれにどれだけ大きな努力を払わなければならないかということに、私は大きな関心を持っており、また日本国民も相当大きな関心を持っておると思うのであります。できれば、学者の希望するところになるべく満足を与えていただきたいということを私は希望いたしまして、私の質問を終ります。
  84. 有田喜一

    有田委員長 小平久雄君。
  85. 小平久雄

    ○小平(久)委員 簡単に数点だけ、公社法案及び促進法案の両者について質問いたします。  第一の点は、公社法案を通読しまして感ずることは、この公社の、一口に言えば監督というか、そういうことは、いずれも総理大臣がなさる、こういうように書いてあるわけです。それで、別に資金が小さいものを総理大臣がやるのはおかしいと言うわけではありませんが、公社の資金はわずかに一千万円、のみならず、先般科学技術庁が発足をし、その科学技術庁の組織法においては、第八条かによりますと、原子力局の所管が書いてあって、その中には、燃料公社のこともそこでやるのだということが明文化してあるわけです。あまつさえ、正力大臣が今度は科学技術庁の長官になられて、原子力関係を担当なさって大いに振興をはかられる、こういうことになっておる際に、せっかく作った科学技術庁が何か影が薄くなってしまって、総理大臣、総理大臣とむやみに総理大臣ばかり出てきておるようですが、これは何か法制上こうしなければまずいのですか。科学技術庁というものは、なるほど総理府の外局かもしれませんが、せっかく技術庁ができて、しかも長官には国務大臣がなられるのですから、これほど総理大臣をここにかつぎ出さぬでも、規定上差しつかえないのではないかというしろうと考えが起るわけです。これはどうしても総理大臣というものが表に出てこなければまずいのかどうか、これをお伺いします。
  86. 佐々木義武

    佐々木政府委員 今の行政法の建前、あるいは総理府の性格から申しまして、所管大臣と担当大臣と分かれておることは御承知の通りでございますが、これが各省と違うところでありまして、所管大臣はあくまでも総理大臣であります。ただその間、国務大臣にそれぞれの部門の担当をお願いいたしまして、科学技術庁であれば正力国務大臣が担当する、こういうことになっております。従いまして、法の建前からいきますと、どうしても所管大臣を主たる責任者にするのはやむを得ざる事情であります。ただ運用に際して、所管大臣が総理大臣であるから、総理大臣が必ず全部自分で一切の決裁その他をやらなければいかぬかと申しますと、そうではないのでありまして、委任規定等を設けまして、担当大臣にその任務の一部を委任するというふうな便法は当然できるわけであります。事実今まで総理府の事務の運用を見てみますと、大半のものは総理大臣という所管大臣が責任大臣ではありまするが、その責任の一半を担当大臣に季任いたしまして、そこで決裁その他は行政に支障のないようにというようなしきたりで仕事を進めておるのであります。
  87. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そういう法制上の建前ではやむを得ないかしれませんが、たとえば防衛庁の関係ども、あれは総理府の外局なんでしょうが、防衛庁などの規定でも、こういった工合に総理大臣が表向きに出てやることになっておるのですか、少くとも規定上は……。
  88. 島村武久

    ○島村説明員 ただいまのお尋ねは、日本原子力研究所法案を御審議になりました際に、前田委員からも全く同じお尋ねがございました。ごもっともだと思うのでございますけれども、先ほど局長からも申しましたように、この内閣総理大臣というのは、大体所管大臣の意味でございまして、一々内閣総理大臣をかつぎ出すという意味においての内閣総理大臣ではないわけであります。なお防衛庁長官のような場合には、防衛庁長官という言葉が法律にも出てくるじゃないかというお尋ね、これもごもっともでございますが、絶対にここに科学技術庁長官という言葉を当てはめちゃ工合が悪いという条文ばかりではございません。中には科学技術庁長官としてもいい程度のものも十分あるわけであります。たとえば、第十条でございますが、これをごらんになっていただきますとよくおわかりだろうと思います。「原子力委員会の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」となっておりますが、この原子力委員会は、内閣総理大臣についておるものでございます。科学技術庁設置法を御審議になっておられる際に御存じの通り、ほかにも科学技術庁所属の委員会、協議会等がありますけれども原子力委員会だけは内閣総理大臣に直属いたしております。従いまして、このような場合に、科学技術庁長官が原子力委員会の意見を聞いてということは、ちょっと工合が悪いというような実際上の面もあるわけでありまして、一応従来の慣例に従いまして、所管大臣を出すのが通例でございますので、一応そういうふうに統一いたしておるわけでございます。この点は日本原子力研究所法の場合と全く同様でございます。絶対にいかぬという条文ばかりではございませんが、一応そういうこともございまして、従来の慣例に従いまして所管大臣で統一した、そういうことになっております。
  89. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そうしますと、実際のことは、担当大臣ですか、担当大臣に委任してやる、こういうことですか。今の御説明からいいましても、大部分のことは担当大臣に総理大臣が委任をして、担当大臣の決裁だけで実際は仕事をやられる、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。その際における責任というものは、やはり担当大臣がどこまでも持つのだ、こう解してよろしゅうございますか。
  90. 島村武久

    ○島村説明員 ただいままでのところは、総理府原子力局となっておりまして、これは所管大臣が内閣総理大臣であり、担当大臣は正力国務大臣ということになっておりますが、科学技術庁ということになりました場合には、おそらく内部委任の形は、科学技術庁長官という形で内部委任せられるものと考えております。
  91. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点は、長官の決裁だけで万事運営ができるのかどうか、こういうことであります。
  92. 島村武久

    ○島村説明員 ただいまの実際上の問題といたしては、科学技術庁長官でほとんどおやりになるということなのでありますが、任命等法律上きまっております内閣総理大臣の権限に属する事項は、内部手続におきましては、科学技術庁長官だけでやれることがほとんど多かろうと思いますけれども、外部的に現われます場合には、やはり内閣総理大臣という名前を使って現われるというふうに御了承願いたいと思います。
  93. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点はそのくらいにしまして、第十二条の関係ですが、ここに役員となる者の欠格条項があります。その第三号には、「物品の製造若しくは販売」云々ということがあります。今度の公社は、その性格上、この役員には、たとえば鉱山業というか、そういう方面関係者なども非常に関係が深いので、あるいはそういう畑の人からその人を得る必要が起る場合もあるかと思うのですが、物品の製造、販売という中には、たとえば鉱山業などはどういう関係になるか、入りますか入りませんか、そういう方面から人を得ようという場合は、この法規からいうとだめなんでしょうか。
  94. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この物品の製造の解釈といたしまして、当然その中に含まれるものと解釈いたしております。
  95. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そういたしますと、そういう方面の会社なり何なりについて、非常にその方面の経験がある、適格者だといっても、そういう人は役員に引っぱることができないということなんですか、それともその会社なら会社をやめればよろしいということなんですか。
  96. 佐々木義武

    佐々木政府委員 やめれば、当然その方に入るわけであります。そういう問題もありまして、かりにやめた場合でも、なおかつ個人の所有といったような問題があろうかと思いますので、第十五条の規定で、そういう際には代表権を制限いたしまして、自分の所有にかかるもの、要するに一人で二つの判を押すといったことがないように、これを防いでおるわけであります。
  97. 小平久雄

    ○小平(久)委員 次に移りまして、業務の関係ですが、われわれが聞き及んだところでは、特に精練の関係は、公社で一括してやるというふうに聞いておったわけであります。先ほど小笠君からも質疑があったようですが、第一条には、「核原料物質の開発及び核燃料物質の生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、」とうたっておるわけです。また基本法を見ると、「別に法律で定める」云々ということが、第九条、第十条あたりにうたってありますね。そこで、今度公社法案を見ますと、ただずっと一読したところでは、少くとも精練であれば精練、あるいは輸入なり買い取りということですね、こういうことは公社だけにやれるのだということは、どこにもうたってないようです。また別の法律があって、そういうことをこれから規定するのかどうか知りませんが、その法律案もまだ出ない。こういうことですが、そこらの関係はどういうことに解釈したらよろしいですか。
  98. 島村武久

    ○島村説明員 午前中の小笠委員の御質問と大体同趣旨の御質問であると了解いたしますが、基本法を引用いたされましたので、特に基本法との関係で申し上げたいと思うのでございます。基本法では、第七条に、「核原料物質び核燃料物質の探鉱、採鉱、精練、管理等を行わしめるため原子燃料公社を置く。」とありまして、この公社法は、まさにこの規定に基いて置かれるものでございます。別におっしゃいました一手でやるとかいうようないわゆる実体的な規定は、基本法ではやはり別になっておるわけでございます。たとえば核原料物質については、基本法の第十条をごらんを願いますとわかりますように「核原料物質の輸入、輸出、譲渡、譲受及び精練は、別に法律で定めるところにより、政府の指定する者に限ってこれを行わしめるものとする。」とあります。つまり基本法のこの条文に基きます法律ができまして、ここで実体的なことを規定するのが適当でなかろうか。この公社法はちょうど入れものでございまして、その事業活動というものは、公社関係のみならず、すべて動態的にこれをとらえるような、いわば午前中申し上げましたような核原料物質、核燃料物質等の管理法というものを作ってやっていくことが適当じゃなかろうか、そういう考え方であります。それは午前中も申し上げましたが、ちょうど専売公社法があり、別に専売法があるというふうな関係に立つものだろうと思うわけでございます。もちろんこの法律で特にそういうような規定を置くことが絶対いけないという善悪の問題ではございませんけれども、基本法の第十条のみならず、第十二条でございましたか、核燃料物質等についてもいろいろそういう規定を作らなければなりませんので、別途そういった管理法というものに譲ることが適当であるというふうに考えたわけであります。  もう一つ理由は、ここに業務の範囲として並べましたことがみな独占という形でやられるわけではございませんで、探鉱、採鉱等は、一応独占というようなことは考えておりません。また精練にいたしましても、ただいままで議論をし、また研究してきております段階では、このウラン鉱は他の鉱物と非常にまざり合ってできておるものでございますしいたしますので、精練の最終段階を押える程度でよかろう、同じ精練でも、前段階程度は何も独占にする必要はないというようなこともございまして、規定の仕方が非常に困難な面もございますので、一応管理法というものを予定して、それに譲るということにいたしたわけでございます。
  99. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点は了解しました。  それから原子力委員会との関係ですが、たとえば第二十条には、基本計画というものは、原子力委員会議決を経て総理大臣がきめるのだ、こう書いてありますが、二十三条を見ると、毎年の予算あるいは事業計画とか資金計画というものは別に原子力委員会とは関係ないようです。これは原子力委員会には全然かまわずにやるということですか。
  100. 佐々木義武

    佐々木政府委員 きのうの原子力委員会でもこの問題が出たのでありますが、この法案が通りますと、まず最初に定めなければならぬのは、この基本計画でありまして、委員会といたしましては、この二十条の規定にございます基本計画を当然定めます。そしてその基本計画に基きまして、公社はそれぞれの事業年度における予算事業計画、あるいは資金計画等を作成いたしまして持ってくるわけでございます。その際には、もちろん定めました諸計画をそのまま生みっぱなしというのではなくて、総理大臣の認可を受ける前に、委員会にもお諮りいたしまして、そして基本計画にもとるか、もとらないかという点を十分検討の上、総理大臣が認可するというふうな運びになろうかと思うのであります。
  101. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点は、実際の運営で、今の御説明のようになさればけっこうだと思うのです。  そこで、今の二十三条と関連して伺いたいのです。これによると、毎年の予算なり、事業計画あるいは資金計画を、事業年度開始前に内閣総理大臣の認可を受けなければならない、こううたってあるわけです。ところが事業年度というものは、これはやはり政府のあれと同じように、四月から翌年の三月、こうなっておるわけですね。そうしますと、政府予算との関係というものは一体どうなるのか。これは例外でしょうが、極端な場合には、予算が三月一ぱいに成立しない場合もあるわけでありますが、そうすると、その時期的な関係はどういうことになるのか。これはほかの公社法にもうたってあるかもしれませんが、国の予算できまった範囲内での明細というか、そういうものをさらに認可するというような場合に、実際問題として、この公社予算というものを、国の予算がきまらないうちに総理大臣の認可を受けるというようなことになりはしないかということを考えるのですが、いかがですか。
  102. 佐々木義武

    佐々木政府委員 全額出資の公社でございますので、予算がきまらないうちに、事業計画あるいは資金計画等を作成いたしまして、そして総理大臣の認可を受けても、これは何の意味もないことでございますから、最終的に予算がきまります国会提出前の——例年でありますれば一月の二十日ごろになりますが、当然そのころまでは、事前に大蔵省との打ち合せも済みますので、そういう点も加味しながら、この基本計画に基きまして、二十三条にある諸計画を作成いたしまして、そうして事業年度の開始前でございますから、四月一日に開始する前には総理大臣の認可を受ける、こういうふうな手順になろうと思います。
  103. 有田喜一

    有田委員長 小平君、ちょっと、制限するのではないですが、きょうは特に野党の質問ということで、午後の時間をとっておるのでありますから、そのつもりでお願いいたします。
  104. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点も、たとえば予算が不成立の場合とかもう少し聞きたいのですが、急ぐようですからやめまして、補助金の性格についてちょっと聞きたいのです。二十九条は、「経費の一部を補助する」ということになっておりますね。ここに言う「経費」というのは、どういうことなのか。この公社は出資はわずか一千万でやる。そうしますと、公社の人件費だけでもそのくらいはかかるのじゃなかろうかと思うのだが、施設費というようなものは経費じゃないのだというように見ると、これは何もできないということになるのじゃないかと思うのです。この経費というのは、設備投資は経費とは見ない主義ですか、どうですか。
  105. 佐々木義武

    佐々木政府委員 経費の関係でございますが、この内容は決して人件費とか運営費等のみを含んでおるのではございませんので、一部短期の償却でまかなえるような資材等は、この経費の中に含ませるというふうに解釈してございます。従いまして、いわゆる資本金で、出資という面で出すのは、長期の償却を要するような本来の意味の固定資産という意味で、この経費はもう少し広げた解釈で解釈するのがいいのじゃないかと私は思っております。
  106. 島村武久

    ○島村説明員 ただいま局長から申し上げましたが、ちょっと言葉の使い方の問題だろうと思いますけれども、短期の償却の分を含むと局長から申し上げましたのは、補助金という意味でございまして、ここにある経費は、この公社事業をやって参ります上に必要な一切の経費を含むわけであります。従いまして、固定資産等を除きました分は、補助金で行なっていく、こういう趣旨でございます。一千万というように非常に少いのは、初年度におきまして固定資産的なものに多くを要しないから非常に少くなっておりますので、将来は、固定資産的なものは出資でまかない、運営費及び固定資産的なものでも短期償却の可能なものは、補助金でまかなうというような趣旨でございます。補足説明をいたします。
  107. 小平久雄

    ○小平(久)委員 最後に、開発促進法の関係で一点だけ聞いておきたい。これは大体手続的なことですから問題ないと思うのですが、一番重要なものは、何といっても租鉱権の設定の関係だろうと思うのです。ウラン鉱あるいはトリウム鉱が、他の鉱物と競合しておるわけですね。そのときに、決定の基準があるししますが、トリウム鉱あるいはウラン鉱が相当程度あって、それだけでも事業が成り立つという場合に、しかしウラン鉱トリウム鉱を目的としてやるよりも、むしろ他の鉱物の方が経済的だ、利益もあるというような場合の調節ですね、そういう点は実際問題としてどんなふうにおやりになるおつもりなのか、その一点だけ伺っておきたい。
  108. 松尾金藏

    ○松尾政府委員 ただいま御質問のございました点は、実際の問題にぶつかったときの事実認定の問題で、あるいはかなり判断も容易ではない場合も存するかと思いますが、考え方といたしましては、そのようなウラン鉱トリウム鉱とそれ以外の鉱物が競合する場合は、国家経済的な見地から判断をいたしまして、特定の場合、ウラン鉱トリウム鉱を採掘するよりも、それ以外の鉱物を採掘する方がさらに重要であり、また事業遂行の上からいってもその方が必要である、それを阻害してまでも、ウラン鉱トリウム鉱を採掘することは全体経済の上から不合理であるというような認定がかりにつきますれば、その決定の基準に従いまして、そのような場合までも押して租鉱権の設定をすべきではないということになると思います。その判定は事実認定の問題でございますから、そういう考え方になっておるということで御了承願います。
  109. 有田喜一

    有田委員長 岡良一君。
  110. 岡良一

    ○岡委員 日本原子力研究所の敷地が武山にということに、原子力委員会の方でも御決定いたされました。私どもも心からその御決断に敬意を表しておりました。ところが、その後の経過、特に政府部内における経過を新聞を通じて察しまするに、原子力委員会の決定がなかなか容易に実現され得ないような憂いを抱かざるを得ないような事態になって参りました。そこで、特にこの問題に深い関心を寄せておられる防衛庁長官また官房長官、あるいはそれにかわる責任者の出席を求めまして、政府の明確な御所見、御方針を承わりたいと存じておったのでありまするが、防衛庁長官もお帰りになられたようでありまするし、官房長官の方では御出席が不可能ということでありまするので、私のただしたい目的は、結局不可能な状態になりました。そこで、いずれ次の機会にこの点を明らかにいたしたいと存じておるのでありまするが、それにつきましても、一応前提として、この問題についての正力国務大臣の御見解を承わっておきたいと思うのであります。新聞には、原子力研究所の敷地について、いろいろ政府部内においても御意見があるやに伝えられておるのでありまするが、その真相はいかがなものなのでありましょうか、その点を承わりたいと思います。
  111. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先刻、今までの経過を一通り申し上げましたが、われわれは原子力中心にやっております。閣議では、国家的立場からいろいろ論議せられております。原子力としては適当かもしれませんが、もっと国家的な立場では、ほかの方に必要じゃないかという議論が出、まだ決定したわけじゃないのです。
  112. 岡良一

    ○岡委員 それでは、前会の委員会等でも御報告願ったことでもありまするが、この際確かめておきたいことは、原子力委員会法の第三条に、内閣総理大臣が原子力委員会の決定について委員会から報告を受けたときは、これを尊重しなければならないとなっております。そこで原子力研究所の敷地は武山にという委員会の御決定は、正式に内閣総理大臣に御報告になったのでございますね。
  113. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 その通り報告いたしました。
  114. 岡良一

    ○岡委員 第四条には、「委員会は、原子力利用に関する重要事項について必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができる。」とある。そこで、委員会といたしましては、原子力の利用に関する重安事項、特に新たに発足しようとする日本原子力研究所の敷地の問題は、ものがものだけに、きわめて重要なる事項だろうと私は思います。これが選考委員会等の議を経て、科学的に、技術的に、最適地として武山が選ばれた。そうして委員会は、武山を最適の敷地として内閣総理大臣に御報告になっておられる。とすれば、当然最適地としての武山に日本原子力研究所を建設すべきである旨を、関係行政機関の長に勧告することができるわけです。この手続は、具体的におとりになったのでございますか。
  115. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 それはもちろん話し合いをしてありますが、閣議の問題になったのは、原子力立場からは最適地だが、国家全体から見ると、防衛庁の立場もあります、その他いろいろの立場もある、それで論議されたのであります。
  116. 岡良一

    ○岡委員 私がお尋ねをしておるのは、閣議で問題になるとすれば、やはり法律の権限に基く勧告なり手続を経て、そこで閣議として問題になるのじゃないでしょうか。ただプライベートな懇談的な意見が閣議で出ている、そこで正規な手続以前に問題があいまいに残されてくるということは、私は筋が通らないと思うのです。従って私はこの手続は当然おとりになるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  117. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 別に書面ではやりませんけれども、話はしておいたわけであります。
  118. 岡良一

    ○岡委員 書面でなさらなくても、少くとも閣議である以上、正力国務大臣は原子力委員長として、この決定について正式に発育をなされたのでありますか。
  119. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 もとより私は、委員長として閣議で申したわけであります。
  120. 岡良一

    ○岡委員 そこでけさ新聞を拝見いたしますると、十六日の閣議では、関係閣僚のいろいろな御意見がありました。正力国務相の御意見は、われわれも大へんもろ手を上げて支持をいたしておるのです。船田防衛庁長官は、防衛庁としては数年前から武山をぜひほしいと考えて米側と交渉しておった、原子力委員会と争うわけではないが、この問題は、単に原子力だけでなく、国策的な見地から考えるべきであるという御意見を発表されておるわけであります。十六日の閣議におきまして、防衛庁長官から、このような御発言があったのでございますか。
  121. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先刻志村委員から話がありまして、防衛庁長官はすでにその通り答弁いたしております。
  122. 岡良一

    ○岡委員 そこで私お尋ねをいたしたいのであります。これは正力国務大臣の御見解を承わりたいのでありますが、国策的な見地から考えるべきである、今、原子力委員長もそう申されました。なるほどその通りだと思います。しかし私がお尋ねをいたしたいことは、防衛庁としては、やはり防衛庁の何らかの施設なりのために武山がほしいという考えから、武山を防衛庁の使用する土地として前々からこれを要求しておられた、米側に交渉して、三年の間に二回断わられておる、防衛大学あるいは術科学校ということで断わられておる、ところが今度いよいよ日本原子力研究所を作ろう、それならば、半分をやってもいいという内意が伝えられた、ところが国策という言葉が最後に出てきておるのですが、防衛庁は何を根拠に国策と言われるのか、また国策と言われることをあなたは御承認になっておられる、何を根拠に国策ということを御承認になっておられるのですか。
  123. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいまの御質問には、防衛庁長官が返事すべきことでありまして、私は少しどうも……
  124. 岡良一

    ○岡委員 いずれ防衛庁長官に御出席を願って確かめたいのは、今年の予算では、武山に防衛庁に関する敷地を設定する予算は一銭も計上してありません。すでに予算国会を通過しておる。従って何年先のことかわからないが、必要であろうというそういう不確定な、きわめて非公式、権威のない意見というものが、原子力委員会の公的な決定に基いて内閣総理大臣にまで報告されておるという意見に対して、拘束力を加えるということは、私はあり得ないと思う。その点いかがでしょうか。
  125. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 防衛庁長官の問題でありますから、あまり人のことを私は申し上げたくありません。
  126. 岡良一

    ○岡委員 そうじゃないのです。そういう予算にも計上されておらない、いつそれが使用に供されるのかもわからないようなことを、しかも三年前から二度も断わられているものが、さてアメリカ側から、日本原子研究所の敷地としてならば、三十万坪程度は提供してもいいといううれしい内意があったわけですね。ところが、今度は横から出てきて、国策という看板を振りかざして、原子力だけの問題ではない——先ほどのあなたの御答弁によると、原子力だけじゃない、やはり国際的な点からも考えなければならぬというので、大きく譲歩されたということじゃありませんか。そういう予算にも計上されない、いつ執行されるかわからない不確定な事実をもって、しかも三年前から二度も断わられておるという事実もあなたはよく御存じのはずだと思う。にもかかわらず、国策という文字で——これは横車じゃありませんか。横車が出てきたときに、なるほど国策上はそれももっともかと納得されたようなことをさっき言われた。これではぼくは原子力委員長はお勤まりにならぬと思うが、いかがでしょう。
  127. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 防衛庁長官のしかられる分まで私がしかられまして、大へん恐縮です。とにかく防衛庁長官があのくらい主張なさるからには、何かかたく信ずるところがあると思いますから、どうか防衛庁長官にお聞き下さい。
  128. 岡良一

    ○岡委員 どうも困りました。しかし防衛庁長官については、本年度の予算委員会でも、昨年の予算委員会でも、来年度の防衛計画、再来年のというように、すでにもう民間に公表されておる防衛年次計画の提示を求めているけれども、一向その提示がないのです。でありますから、防衛計画というものは、私どもはないと見るよりしようがない。そういうときですから、従って何らか確信があるなんていうことは、われわれ考えられない。そういう事実は、やはりよく委員長としてもおのみ込みでなければならぬ。それを何らか確信があるのだろうと言われると、どうも正力国務大臣は、原子力委員会の肩を持たれるのか、防衛庁長官の味方をされるのかわからないような格好になってくると思うのです。その点もう一ぺんはっきりした責任ある御所信を伺いたい。
  129. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私は原子力委員長ですから、断じて防衛庁長官の肩は持ちません。私は私の信ずるところを言うだけであります。
  130. 岡良一

    ○岡委員 いずれ防衛庁長官に御出席願って、はっきりいたさなければならぬと思いますが、そこで、それでは、ここに書いてあるように、正力委員長としては、武山をぜひ一つ原子力研究所の敷地にしたいという原子力委員会の決定、その既定方針をあくまで責任を持って貫く、そう言明いただけますか。
  131. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 むろんそのつもりであります。ただし、武山は今アメリカの代替施設の問題がありますから、これが正式交渉をして、かりにわれわれの予算で出ないようなお金だとできませんから、それだけは申し上げておきます。
  132. 岡良一

    ○岡委員 これはもっともなことなんです。そこで、委員長の御発言というものの中に、ただし米軍は、代替施設として百万ドル程度のものを要求するという情報があると言われた。百万ドルといえば、なかなか大した経費と言わなければなりません。一体こんな情報は、アメリカのだれが、どこを通じて出したのですか。
  133. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私はただ内報と申したのであって、責任ある報道じゃありません。しかし、いずれにしても、そういうことがほんとうかうそかということは、正式交渉をすればわかるのです。それだから、私は正式交渉をしたい、こう言うておるのです。
  134. 岡良一

    ○岡委員 それでは、これも従来ともしばしばお尋ねをし、お願いもしておったのですが、とにもかくにも、原子力委員長としては、武山ということで、日米合同委員会の正式の議題としてもう提示するのだという既定方針はあくまでも曲げない、日米合同委員会が開かれれば、当然代替施設はいかなるものかという希望と金額もわかりましょうし、また向うから提示されたものをうのみにしなければならぬはずもない。それなればこそ、交渉の場としての日米合同委員会があるわけです。そこでわが方としては、わが方の要求は、掲げてここに持っていく。そこで、何としても前段は、やはり委員長は毅然として、たとえいかなる実力者が動こうとも、原子力委員会の決定をま一文字に掲げて一つ進んでいただくという御決意があるかを、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  135. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 それは当然のことであります。むろんそのつもりでおります。
  136. 岡良一

    ○岡委員 とにかく原子力局長の先般の御報告によれば、原子力研究所を作るからということですが、やはり何といっても政府政府の話し合いなんですから、おそらくアメリカ大使館だって、ワシントンの方に電報照会を全部しているでしょう、そして半分くらい譲ると言うてきておるのです。そこで原子力委員会が決定して、そして閣議に持ち出そうとしたら、いろいろな横やりが入ってきたということになっては、日本としても、アメリカに対してもまことに不面目であり、日本原子力行政の発足の門出に大きな黒星だと思う。そういう意味で、ぜひとも一つそのことを貫いていただきたい。そういうわけで、この問題は防衛庁長官、特に官房の責任ある者にお出ましを願って、次会にもう一度政府側の所信というものをお開きもし、私どもの要求も強く訴えたい、こう思っておりますので、私の質問はこの程度で打ち切らしていただきます。
  137. 前田正男

    ○前田(正)委員 ただいまの岡委員質問に関連して、一言聞いておきたいのですが、現在閣議で相談されておる現段階というものは、総理大臣に勧告委員会からした。その勧告に従って、政府としてはどう処理するかということであります。要するに、勧告に従って問題になってきますのは、代替施設の内容がはっきりしない。従って日米合同委員会に、正式に持ち出さなければならぬということから、合同委員会に持ち出して、アメリカから返してもらうべきであるかどうかということを閣議で相談されておるのではないかと私は思っておるのです。何かさきの基本法によって委員会から勧告をした。その勧告に基いて、閣議では相談するという段階にまで至っていないのではないか。その前の、合同委員会に持ち出すべきであるかどうか、あるいはアメリカに返還を求めるべきであるかどうか、こういうことについて、行政協定に基いて政府としての態度をきめて、そうしてアメリカに申し込みをしなければならぬ。その政府の態度をきめる閣議をしておられるのではないか、こう思うのですが、そういうように解釈してよろしいのですか。
  138. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 その通りです。私先ほども申したように、岡委員から書面で手続したかどうかとのお尋ねでしたが、まだそんなことはしておりません。私は口頭で申しただけであります。
  139. 前田正男

    ○前田(正)委員 そうしますと、要するに、返還を求めるべきかどうかということを政府としては協議した、こう解釈いたします。
  140. 有田喜一

    有田委員長 他に御発言はありませんか。——御発言がなければ、この際、お諮りいたします。  ただいま審議いたしております核原料物質開発促進臨時措置法案に関し、商工委員会より連合審査会を開会いたしたい旨の申し入れがありました際は、商工委員会との連合審査会を開会いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 有田喜一

    有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  本日はこの程度にいたし、次会は、明後日十九日、午前十時より開会いたし、質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十八分散会、