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1956-03-17 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年三月十七日(土曜日) 午前十一時十分
開議
出席委員
委員長
有田
喜一君
理事
小笠
公韶君
理事
椎名悦三郎
君
理事
長谷川四郎
君
理事
前田 正男君
理事
南 好雄君
理事
岡 良一君
理事
志村
茂治
君
赤澤
正道君 稻葉 修君 加藤 精三君
木崎
茂男
君 小平 久雄君 須磨彌吉郎君
中曽根康弘
君 橋本
龍伍
君 山口 好一君 田中 武夫君 福田 昌子君 小山 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣
正力松太郎
君 国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
総理府事務官
(
原子力局長
)
佐々木義武
君
総理府事務官
(
行政管理庁管
理部長
) 岡部 史郎君
防衛政務次官
永山 忠則君
防衛庁参事官
(
長官官房長
) 門叶 宗雄君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
通商産業政務次
官 川野
芳滿
君
通商産業事務
官 (
鉱山局長
) 松尾 金藏君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
原子力局総務
課長) 島村 武久君
通商産業技官
(
工業技術院地
質調査所鉱床部
長)
佐藤
源郎
君
—————————————
三月十七日
委員楢橋渡
君辞任につき、その補欠として
木崎
茂男
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
連合審査会開会
に関する件
原子燃料公社法案
(
内閣提出
第一一二号)
核原料物質開発促進臨時措置法案
(
内閣提出
第 一一三号)
—————————————
有田喜一
1
○
有田委員長
これより
会議
を開きます。 本日は、
原子燃料公社法案
及び
核原料物費開発促進臨時措置法案
の両案を
一括議題
といたし、
質疑
に入ります。
質疑
の通告がありますから、これを許します。
志村茂治
君。
志村茂治
2
○
志村委員
両
法案
の
質疑
に入る前に、前
会提出
を要求いたしておりました
資料
について、御
説明
を願いたいと思います。 まず第一に、
ウラン鉱
の
世界的分布
、それから
国内
の今までの
調査状況
について、御
説明
を願いたいと思います。
佐藤源郎
3
○
佐藤説明員
あらかじめ
資料
をお渡ししてあると思いますが、「
世界
の
ウラン
、
トリウム等
の
分布
」と、もう
一つ
は、「
わが国
内における
資源分布状況
と
探鉱
について」この
二つ
になっております。なお
参考
に地図を
二つ
つけております。その
一つ
は、
世界
の
ウラン
、
トリウム資源
の
分布
と、いま
一つ
は、
国内
の
ウラン
、
トリウム鉱主要分布地一覧図
の
二つ
が入っておるわけであります。すでにお読み下さってあることと存じますけれ
ども
、ざっと御
説明
申し上げます。
世界
の
ウラン
、
トリウム等
の
分布
につきましては、一口に申しますと、
世界
の
ウラン資源
の
所有国
は、現在たくさんできておりますけれ
ども
、
特大所有国
、それは大体
生産国
になっておりますが、現在、
世界
でザ・ビッグ・ファイヴというものがあるということが
定評
になっております。なお、その
一つ
のオーストラリアにつきましては、
調査
、
探鉱
、
開発
はごく最近の話題になっておりますので、大きな
資源
を持っておりますけれ
ども
、
生産量
は、
あと
の
四つ
にいささか劣っておるのであります。近い将来には、
生産
の
数字
も
あと
の
四つ
に近づくであろう、こういう
見通し
で、ビッグ・ファイヴとしております。人によりましては、ビッグ・フォアと言っている人もあるわけであります。なおそのほかに、それほど大きなものは持っておりませんけれ
ども
、第二級に属するものに、ポルトガル、
フランス
の
二つ
がございます。さらに、ややおくれて、最近イタリアがだんだん進んできておる
状態
であります。 こういうふうに、
世界
の一級ないし二級の
資源
の
所有国
もしくは
生産国
がありますが、これはどういう
事情
で、どういう
条件
で恵まれた
事情
になったかということの、
地質
学的な解釈をそこにちょっと御紹介してあります。これはいささか
専門
的になりますけれ
ども
、
シールド——楯状地
といっております
地質
学的に特殊な地帯がございますが、これは地球上で最も古い
変成岩類
、
花崗岩類
からできておりまして、また
地盤
が安定しておって、それほど高い山岳も形成していないという、
日本
にはちょっと縁の遠い存在であります。この中に
一流国
がずらりと並んでおる。その次の
二流国
は、
マシーフ——山塊
と訳しておりますが、それは
シールド
ほど大規模ではなく、それほど古い
地盤
ではありませんけれ
ども
、
シールド
に次いで古くもあり、またまとまった面積を持った
一つ
の山のかたまりであります。それの代表的な形は
南フランス
にあります
マシーフ・サントラール
、
中央山塊
といわれておるのがその適例でございます。
フランス
につきましては、かねて御承知のように、非常に国家的に積極的な
探査
が開始されまして、その開始後二年半ないし三年たちまして、その
マシーフ・サントラール地域
に初めて
資源
を発見しております。そういう
意味
で、
マシーフ・サントラール
と
ウラン資源
とは非常に縁の深い
関係
を、
実例
として最も顕著に示しておるところであります。なおチェコの方に入りますと、
世界
で一番古い、しかも戦前は
世界最大
の
ウラン鉱山
でありましたところの
ヨラヒムスタール鉱山
、これも今まで
マシーフ
の中に入っております。こういう
一流
、
二流
の大きな
資源
を持っております
地域
は、こういうような特殊な形があります。そのほかに、二ページのまん中ほどに書いてありますが、この
二つ
でないところに、
花崗岩類
、
変成岩類等
の
結晶質岩類
からなる高地があるのであります。その例として、今のところ
三つ
の
地域
があげられる。これは
東アフリカ
、中央
アフリカ
と
日本
、朝鮮と
南満州
、こういうものが
学者
の間に大体受け入れられている意見でございます。 つまり、
わが国
は、
一流
、
二流
にはむろん遠く及ばないけれ
ども
、大体三流どころの例に入るということになっております。現に、
日本国内
にはと申します
鉱床
が、
全国
的に相当存することが知られておりまして、その
ペグマタイト
の小さなものも数えますと、
全国
で九十カ所以上の
産地
が知られております。今後さらに
調査
が進みますれば、百カ所以上に優に及ぶであろうということが予測せられております。ただこの
ペグマタイト鉱床
に多少問題がありまして、大体
貧鉱
であるということと、それからその
ペグマタイト鉱床
から出る
鉱石
が、
選鉱
、
製練とも
にやや難点があるというので、これは後ほどまた御
説明
することもあると思いますが、
ペグマタイト
だけでは心細いのであります。そのほかに、
世界
的な
鉱床
の
タイプ
でありますところの
鉱脈
型、これは金、銀、銅、鉛、亜鉛など普通の
金属鉱脈
のあれと同じような
鉱脈
でありますが、その
鉱脈
型の
鉱床
が今後どのくらい発見されるかということが、今後の
日本
の
国内資源
のキーを握るわけでございます。なおそういった
シールド
とか、
マシーフ
とか、そういう
条件
のいい、図抜けた
地域
、こういう問題を一応忘れまして、一般の
岩石類
、
地質
の一般的な
条件
から
考え
ました場合は、これは明らかに
花崗岩質岩石——花崗岩
とかそれに近い
岩石
が、
ウラン鉱石
の保有に最も好ましい
母岩
であるということは全く
定評
のあるところでありまして
世界
的に見ましても、こういう
シールド
、
マシーフ
に入っていないところでも、
花崗岩
の続出しておるところには、ちょいちょい
ウラン鉱床
が新しく発見されておりまして、その著しい例は、
西アメリカ
の、つまり
太平洋岸
に近いところにそういう
実例
が続々と発見されております。この点は、
日本
の将来にとりまして、非常にわれわれ
専門家
の
参考
になるところであります。 その次のページの「
ウラン鉱主要産出国
の
供給先
について」、これをざっと御
説明
申し上げますと、非常に簡単で、ここに書いてある通りでございますが、ただ数量につきましては発表が全然ございませんので、よくわかりませんけれ
ども
、たとえば
アフリカ
の
ベルギー領コンゴー
なりあるいは南阿連邦なり、こういうところの
産出量
はずいぶん大きい
数字
でございましょうし、こういうふうに
アメリカ
なり
イギリスなり
の方に向けて売られておりますものは、相当の
数字
に達しておるはずでございます。 以上、
世界
の
状況
を一応終ります。次に
日本
の
状況
になりますが、
わが国
の現在までの
調査
によりますところの
資源
の種類と申しますか、実は私
ども
の
立場
から申しますと、
調査
を開始いたしましてから、まだほんのわずかな
仕事
しかしておらない。まだまだ今後
調査
しなければならぬという
重要事項
がたくさん残っておるのでありまして、現段階で結論づけたことを申し上げることはできないのでありまするけれ
ども
、しいて一応取りまとめてみましたのがこれなのでございます。
国内
の
資源
の
タイプ
と申しますか、
鉱床
の
タイプ
は、ここにあげました
三つ
の
タイプ
なのでありますが、その
一つ
は
ペグマタイト型鉱床
で、それは一部これに由来いたします
砂鉱
を含んでおります。三番目が
鉱脈
型の
鉱床
、三番目が
水成岩
型の
鉱床
であります。それで、ヘグマタイト型の
鉱床
は、先ほ
ども
ちょっと申し上げましたように、
全国
でたくさん
産地
が知られております。最近では、四国からもその
産地
が報ぜられておりますが、これは
ウラン
といたしましては相当低
品位
でございますが、そのほかに、
トリウム
、
ジルコニウム
、
ベリリウム
などの
原子力開発
にはぜひ必要なほしいものを
一緒
に含んでおります。またそのほか
ペグマタイト
を構成しておりまする
鉱物
は、いずれも
有用鉱物
でございますので、その
選鉱
、
製練
を上手にやりまして、きれいに処理することができますれば、いずれも全部がりっぱな生きた商品になり得る。 この
ぺグマタイト
を処理する問題でありますが、従来は
世界
的にも歓迎されていなかったのでございますけれ
ども
、
トリウム
がほしい、
ジルコニウム
がほしい、
ベリリウム
がほしい、むしろそっちの方から、
ペグマタイト
をぜひ
開発
しなければならぬという
世界
的な趨勢が
アメリカ
、カナダにまず起っておりまして、さらに
ペグマタイト
だけしか持っていないスカンジナヴィアの方の小さな国とか、あるいは聞くところによりますと、ソ連邦ではこういう
貧鉱
なりあるいは難物を堂々と処理してやっておるという情報も入っております。 二番目が
鉱脈型鉱床
でございますが、これが
世界
的に一番
ウラン鉱
をたくさん
生産
する
鉱床
の
タイプ
でありまして、これは従来
日本
には全くないとされておりまして、終戦後例の進駐軍の
天然資源局
の
専門家
が
国内
を相当探し回りました際も、遂に彼らの目をのがれておったのがこの
鉱脈
だそうでございます。これは
昭和
二十九年に初めて発見されまして、現在までに、貧弱ながら数カ所に存在することが知られております。なおその詳細は、今後の
調査
に待たなくちゃならないのでありますけれ
ども
、また現在見えておりますところでは、
地表
に近い
露頭
のところ、もしくは
地表
に近いところである
関係
もありまして、
品位
の高いところはきわめてわずかしか見えておりません。一応
ウラン鉱床
の特徴といたしまして、
露頭
近くではどうしても
品位
が下ってくるというようなこともありますし、もっと積極的な
調査
、
探査
ないし
探鉱
を行えばほんとうの姿がはっきりするであろうと思います。その
見通し
といたしましては、必ずしも悲観するには当らない、私
ども
は希望を持って
調査
を進めておる次第であります。 三番目は、
水成岩型鉱床
でありますが、これは最も最近に発見されました新しい
タイプ
のものでありまして、ただ三十年度の
予算
の残りでやりました
関係
もありまして、まだ
露頭調査
を終ったのみで終始しております。これは
露頭状況
だけでも
専門
的に見てかなりおもしろいと同時に、これはむしろ
予想外
のことだったのでありますけれ
ども
、今後の
調査
、
探査
の価値は十分にあるというふうに
考え
ております。 なお二十九年度から三十一年度の
地質調査所
の
調査
いたしましたもの、もしくはこれから
調査
しようとするところを
一覧表
においてごらん願います。一応これで御
説明
を終りたいと思います。
志村茂治
4
○
志村委員
もう
一つ
、やはり
提出
された
資料
で、
放射線障害防止
についての
資料
についても
説明
を求めたいのでありますが、特にこの問題については、
日本
で
原子力
を
開発
する場合に、一般的、社会的に
障害
を受け、あるいはその
研究所員
が
障害
を受けることに対する
防止
という
建前
からすれば、むしろ、
原子力
の
開発
に関する一連の
法案
が出る前に、まず第一に
放射線障害防止
についての
法案
が
提出
されなければならないはずであった。特に
平和利用
を
中心
とする
部面
においては、その点を留意しなければならなかったのであります。先般来の
質問
に対しまして、いろいろの困難な
条件
もあり、今
国会
には
放射線障害防止法
は
提出
されないだろうというような回答であります。それで、これについて、
放射線障害防止法
に対して、何か特別な
専門
の
立案者
といいますか、
専門
の
立場
におる人あるいは
立法
の
事務
に携わる人がきわめて少数であるということを聞いておりますし、きのうも一人の人が尋ねて参りましたが、私一人ではとてもそういうことはできないということで、これに割り当てられた人が一人だというようなことを聞いておりますが、これは
科学技術庁
の
予定人員
の
問題等
にもなるのでありますから、両
方面
から、これに対するお答えを願いたいと思いす。
佐々木義武
5
○
佐々木政府委員
この前の
委員会
でも御
質問
がございましたので、ただいまの
志村先生
の御
質問
と御要求のありました
資料
を
用意
してございますから、それとあわせて御
説明
申し上げたいと思います。 ただいま
お話
のございました
放射線
の
障害防止
に関する
法律
の件でありますが、これは実は
政令
にゆだねた
部面
が非常に多い
法律
でございまして、しかもその
政令
が
各省
にわたり、あるいはこの
政令
に盛るはずの、たとえばレントゲンのマキシマムの
障害
を
防止
する数等に関しましても、まだ
世界
的な
基準
あるいは
日本
人の体力に照らし合せて、どういう
基準
が妥当であるかといったような
問題等
も、検討を十分に遂げておりません。従いまして、この
障害防止法
に基いて、
各省
で基本的な
政令
をただいま
準備
しておるかと申しますと、まだそこまでいっておりませんので、
法案
を出す際には、当然
政令
の
内容いかん
という問題も出て参りますので、もう少しそういう点を検討いたしまして、その結果、これであれば大体よかろうじゃないかというところで、
準備
の
万般
の
用意
が整った際に
提出
したい、こういうふうに
考え
ておりまして、今
国会
では無理のようでございます。ただいませっかく
準備
中でありますから、できますればこの次の
国会
に
提出
することを御了承願いたいと申し上げた次第でございます。
専門家
がおるかおらぬかという問題でございますが、
エキス線
といったような問題に関しましては、これは長い
間日本
で使っておりまするから、この
方面
に対する
経験者
は相当多いわけでございまするが、新しい
原子炉
に伴っての
放射線
の、いわゆる
アイソトープ
的なものに対しましては、
分野
がまだ新しい
分野
でございまするので、それほどたくさんの
専門家
がおるとは申せないような現状でございます。従いまして、
原子力委員会
といたしましては、なおそういう学問的なあるいは技術的な
用意
が必要だというので、あらためて
学術会議
の方にもお願いをいたしまして、協力して、
一緒
にやっていただきたいということで、今後ともさらに
専門家
の御参集をいただきまして、
法案
の
内容
を深めたい
考え
でございます。それで
放射線防止
の
法案
が出ない間は、国としてはその危険な
状態
をどう
防止
するか、そのための
経過
的な
措置いかん
、これも最も重要でなかろうかという
お話
でございまして、どうするつもりか、
政府
としての
考え
をまとめて御報告願いたいという
お話
でございましたので、たただいまお手元に差し上げてございますように、「
放射線障害防止対策
について」、それから「
放射性物質
による
障害予防勧告
」、この
二つ
を
提出
したわけでございます。 この
防止対策
についてという方を初めごらんいただきたいと思いますけれ
ども
、これは、この
法案
が成立するまでの
経過
的な
措置
でありまして、まず
考え
ております点は、スタックで決定いたしました
放射性物質
による
障害予防勧告
と申すのは、単なる
政府
に対する
勧告
にすぎません。
法律
的な
拘束力
はもちろんないわけでございますが、しかしそれを一応
基準
にいたしまして、
アイソトープ
を扱っておるところには十分これを周知せしめるような方途を、
各省
を通じて操作をしてございます。また扱う
人自体訓練
が必要でございますから、
社団法人
の
日本アイソトープ協会
というものに取り
扱い
の
訓練
を、何回も分けまして行わせて、間違いのないようにいたしてございます。 第二点は、
アイソトープ
を輸入するに際しまして、その使用の
目的
がどういう
目的
か、あるいはその
扱い
に対して設備その他
万般
の
準備
ができておるかどうか、こういう点を吟味しませんと危険でございますので、そういう点を十分吟味した上で、その旨の許可を与えてやるというふうな事前の
予防措置
を講ずるわけでございます。 それから、第三といたしましては、もしこの
障害
か起きた場合にはどうするかという問題が次に起きて参りますので、
労働基準法
にあります
安全衛生規則
ということによりまして、この
規則
にのっとって、
労働者
が
障害
にかからないようにという
予防
を講じておるわけでございます。 なお、今年の一月三十一日に、
医療法施行規則
の一部を改正しまして、
診療用
の
放射線
の方も、従来の行き方を少し改定いたしまして、できるだけ万全の
措置
を講じたいというので、とりあえずの
措置
といたしましては、
根本法
はないのでございますが、従来の
施行規則
を変えまして、その保養を厚くしようというふうな
措置
を講じたわけでございます。 最後に、それでは
労働者
が
障害
を受けた場合はどうするかという点に関しましては、
労働基準法
による
補償
もございますし、
国家公務員
におきましては、
国家公務員災害補償法
というので
補償
を受ける道も講じております。
障害
を受けないように
予防
するのが一番重要でございまして、
予防
した
あと
に対する
措置
はもちろん好ましいものではありませんけれ
ども
、万一の場合を
考え
まして、そういう際でも、こういう法規の保護の
規定
があるという点を申し述べただけでございます。 以上がただいまとっております
経過措置
でございまして、もちろんこれのみをもってしては万全ではございません。たとえて申しますと、従来特に
エキス線等
に関しましては、その
扱い者
が、
規則
があるにもかかわりませず、ややもすると、従来の慣習と申しますか、あるいは多忙にまぎれまして、
基準量
を越す、越した場合には、休んで、ある程度回復してからまたその
仕事
に従事するというようなことが当然必要でございますけれ
ども
、必ずしもそういうふうになっておらぬといったような点もございます。これは、
基本法等
ができますれば、それに基いて、詳細な
予算
的な
裏打ち
あるいは技術的な
裏打ち等
が必要でございますけれ
ども
、もちろんまだ不十分でございます。しかしながら、
経過
的な
措置
で幾分でもそういう点を緩和いたしたいというので、
法案
の
提出方
を急ぐと同時に、
経過措置
もあわせて講ずる次第でございます。
志村茂治
6
○
志村委員
なお、
科学技術庁
の定員について聞きたいと思います。
有田喜一
7
○
有田委員長
志村
君、今、
行政管理庁
の方の人を呼びに行ってますから、ほかに……、
志村茂治
8
○
志村委員
それでは、定員問題は
あと回し
にいたしまして、同じく
放射線障害防止
の問題ですが、これについて、
大学教授
を
中心
とする
学者側
の
考え
ているところは、
エキス線
に対する問題を重視しておる、ところが
政府側
ではむしろ
原子力
による
放射線
という問題を重視して、その間の調整がうまくいかなかったのだというような話を聞いております。そんな話はあったのですか。
佐々木義武
9
○
佐々木政府委員
用意
してございます
法案
、もちろんまだ先ほど申しましたように
国会
に
提出
してはおりませんが、
立法
の
内容
は、
エキス線
といわゆる
アイソトープ
と両方合せた
法律
でございまして、決して
エキス線
の方は取りはずすというような原案にはなっておりません。
志村茂治
10
○
志村委員
それでは、
資料
についての
説明
はまだほかの
委員
からも
質問
があると思いますので、私は一応
説明
を聞くだけにいたしまして、さっそくこの
原子燃料公社
に関する
質問
に入りたいと思います。 この
原子燃料公社
を、いわゆる
公社
にするかあるいはその
性格
に多少の変更を加えて
公団
にするかということについて、この
法案
が
提出
されるまでの間にいろいろ問題があったように聞いております。しかし
公団
と
公社
の間のいわゆる概念的な区別というものは、はっきりしないんじゃないかと思うのです。一応この際、
原子燃料公社
というものの
性格
を明らかにするために、その点を明瞭にしていただきたいと思います。
佐々木義武
11
○
佐々木政府委員
公社
と
公団
の
相違
でございますが、
公社
と
公団
の最も基本的な
相違
は、
公社
は、従来の概念から申しますと、
一つ
は
内容
の問題と
経過
の問題があるように
考え
ます。
経過
的な問題からいたしますと、従来国が
特別会計
でこれを直営しておりまして、しかも非常に
公衆性
と申しますか、国民の生活に密着したもの、たとえば鉄道とか
電信電話
とか、あるいは
専売関係
の諸
物資等
でございますが、こういう、どうしても
公共
の利益を守るために、国でこれを直営するといったような
性格
のものを、その後、
経営
の
弾力性
と申しますか、その他を考慮して、国でやるよりは、
独立会計
の
一つ
の
事業
に移した方がいいのではなかろうかというので、いわゆる
公社
というものが生まれたのが
経過
のように
考え
ます。従いまして、この
経過
から
考え
ましても、非常に
公共性
の強いものであって、しかも
事業体
として
独立会計
的に
運営
が可能だということで
公社
にしたように聞き及んでおります。それから
内容
的に申し上げますと、
公社
の方はそういう
経過
から発生しておる
関係
上、準
国営
に近いものであります。一番のポイントは、役員の
任命等
の点はもちろんでございますが、その他におきましても、特に
予算面
で、必ず国の
予算
と同様に、款項目を作りまして、
国会
の
議決
を経るというふうな
規定
になってございます。
国会
の
議決
を経るという
根本
の
建前
から、おのずから
会計検査
あるいはその他の付帯した
事項
も出てくるわけでございまして、そういう
意味
で、この
公社
の
予算
は、
国家予算
と同じだというような
扱い
を受けておるわけでございます。その他
公社
にはいわゆる公労法の
適用
あるいは
恩給法
の
適用等
もございまして、
公団
とは
意味
合いの相当違ったものになってございます。一方
公団
の方はどうかと申しますと、どちらかといいますと、その
性格
上は、それほど国民的、公衆的なものに密着してはおらないけれ
ども
、しかしながら、民間のみにこれをゆだねては発達がなかなか望めない、しかし国としてはこれは伸ばしたいというふうな
事業
であって、
国営
というところまでやらなくても、まずまずこの
運営
は可能じゃなかろうかというふうなものを主たる対象にしているように
考え
られます。特に
公社
と違う点は、先ほどの話と裏返しにはなりまするけれ
ども
、
運営
の面で、この
予算
は、国の
予算
と同じような
扱い
をするのではなくて、あくまでも
業務計画
その他は
主務大臣
あるいは
大蔵大臣
と協議のもとにこれを許可するだけでありまして、特に濃度の強い
公団
に関してのみ
国会
に報告する義務を持つというふうな程度になっております。その間おのずから、監督の
理由等
は国の
予算
とは違いまするので、
経営
には
弾力性
を持てるようになっているという点が基本的な
相違
のように
考え
られます。
志村茂治
12
○
志村委員
大体
経過
的な
理由
と、そうして
予算
上の取
扱い
の
相違
によるということは知っておりますが、これは一時
公団
にしようかという話もあり、今度の
提出
の場合に
公社
となったことは、われわれの希望するところと合致して、きわめて喜ばしいことと
考え
ております。しかし、
公社
ということになれば、財務諸表等を
提出
して、至急に補正
予算
を組まなければならないと
考え
ております。大蔵省もそうした
理由
から
公団
を主張しておったのでありますが、今度の場合には、これの
公社
法
関係
の補正
予算
を組まれる予定であるかどうか、これを聞きたいと思います。
佐々木義武
13
○
佐々木政府委員
今度の場合には、
公社
という名の
公団
と申しまするか、
内容
は非常に
公団
に近いような
性格
も一部持っております。従いまして、一番問題になっております
予算
の
扱い
の問題でございまするが、
予算
の
扱い
に関しましては、先ほど申しましたような
公社
としての
予算
じゃなくて、むしろ
公団
的な
扱い
の
性格
のものでございますので、別途補正
予算
で新しい
予算
を組んで
国会
の
議決
を経る必要は、この
法案
ではございません。
志村茂治
14
○
志村委員
公団
に近い
公社
と、きわめてあいまいの形でございますが、そうしますと、一体その取
扱い
は、この法文上はどこで変っているのですか。
佐々木義武
15
○
佐々木政府委員
この
法案
によりますと、
公社
的な特色といたしましては、たとえて申しますと、経費と申しますか、費用のほとんど全部が国から支出されるという点が、非常に従来の
公団
等と違う点の
一つ
でございます。もう
一つ
は、
国会
に対する義務でありますが、これも業務報告あるいは決算報告等をはっきり
国会
に出すことになっておりますし、またその会計に関しましては、
会計検査
院の厳重な検査を経るというふうに、
公社
と同様の
扱い
を
考え
ているような次第でございます。
志村茂治
16
○
志村委員
公社
としての取
扱い
については今の御
説明
の通りでありますが、しかし
公団
に近い
公社
だというと、その
公団
的な取
扱い
を、一体どこの条項でしているかということをお尋ねしているのです。
佐々木義武
17
○
佐々木政府委員
公団
に近い
性格
を持たした最大のものは、先ほどから申し上げますように、
予算
の
扱い
の問題でございます。
予算
に対しましては、普通の
公社
では、国の
予算
と同様の
扱い
を受けるという
建前
になっておりまして、純然たる
公社
でありますれば、おそらく補正
予算
の問題が起きたに違いございません。しかしこれは先ほど申しましたように、
予算
に関しましては、一応資金計画あるいは
事業
計画あるいはその他に関しましても、
主務大臣
の許可を得ればよろしい、ただ
大蔵大臣
の協議は必要でございますが、そういう
規定
になっておりますので、その点が一番
根本
的な特色でございます。
志村茂治
18
○
志村委員
この
原子燃料公社
の
性格
というのは、いろいろの
法案
の条項にも明らかにしてあります通りに、非常に
公共
的、国家的
性格
の強いものである。たとえば、最後の製錬は一手にここで行う、あるいは輸出入、あるいは
国内
の配給等は、この
公団
の手を通じて一手に行うというふうな、強力な国家的な計画を実行する機関であるということにしておるのであれば、純然たる
公社
であるべきにかかわらず、
公団
的
性格
を何ゆえこれに加味しなければならなかったか、その
理由
をお尋ねいたします。
佐々木義武
19
○
佐々木政府委員
これにはいろいろの
理由
がございますが、先ほど申し上げましたように、
公社
という概念は、あまり従来の
公社
の概念から離脱しないようにというのが
根本
的な思想でございます。この燃料
公社
の
事業
的な
内容
等を見てみますと、もちろん
性格
といたしましては国の代行機関というふうな
性格
を持っておりますから、
公社
そのものであっても差しつかえないような
性格
を持っておるのは事実であります。しかし
運営
の面を見ますと、必ずしも
公社
同様の、純、国でこれを扱うというほどシビヤーな
扱い
をする要がありやいなやということに関しましては、いろいろ
考え
る節もございます。むしろ
内容
は、弾力的な
運営
をした方がかえって
公社
本来の面目にも沿う半面があるのじゃなかろうかという気もいたします。むしろ
公社
的な
性格
を打ち出しながら、そういう
公団
の長所と申しましては少し言葉が過ぎるかと思いまするが、
運営
の面を
考え
まして、
公団
的な
性格
も取り入れた方が、かえってこの
事業
を伸ばすゆえんではなかろうかというふうにも
考え
られましたので、こういうふうな
規定
になったわけであります。
志村茂治
20
○
志村委員
もう少し詳しく、
公団
的
性格
を持たした方が
運営
面上よろしいではないかということは、何か根拠がなければならないと思うのであります。その点を
一つ
明らかにしていただきたい。それからもう
一つ
は、何かわれわれとの相談の間で、
公団
ということについてわれわれが賛成しかねたということから
公社
という名前をとった、しかし大蔵省では依然として補正
予算
を組むことはきわめて困難であるという行政半務上の便宜から補正
予算
をやめたのだ、またやめるために
公団
的
性格
を持たしたのだというふうにも解釈されるのですが、そういうふうなことはなかったのですか。
佐々木義武
21
○
佐々木政府委員
政府
部内での、今、御指摘のございましたような理論的な過程はもちろんあったのでございまするが、最終的の結論といたしましては、先ほど来申し上げましたように、こういう
運営
の方がかえって
公社
よりも業務の
運営
上いいのじゃなかろうかというふうな結論に達しましたので、こういうふうにいたしたのでございます。たとえて申しますと、鉄道あるいは
電信電話
等におきましても、——まだ
法案
がどういうふうになるのか私寡聞にして知りませんが、ただいまの
状況
から推しても、そういうふうな
性格
を持ちたいというふうな、既存の
公社
自体がそういうふうな希望を持つやにも伺っております。ましてこれから作るものであり、しかもその方が
運営
上スムーズにいくのじゃなかろうかということでありますれば、かえってこの方がいいのじゃなかろうかというふうな結論に達したわけでございます。
志村茂治
22
○
志村委員
意地が悪いようですが、この方がスムーズにいくのではないかということは、それは結論だと思いますが、なぜそういうふうにスムーズにいくかという点をもう少し伺いたい。
佐々木義武
23
○
佐々木政府委員
一番問題は、さっき申しました
予算
の点、あるいは給与の問題、この二点が主たる
内容
でございますが、どういたしましても弾力的な
経営
方式にし、しかもその中には民間の有識者あるいは学界の有能な方々にもお入りいただく。新しい企業でございますから、たとえば精練とかその他にいたしましても、
日本
といたしましては全然未経験の
分野
でもございますので、広く人材を集めて、
予算
の使い方はもちろん、決算についても、あるいは年初めにおきまして厳重な査定が下されるわけでございますが、
運営
の過程におきましては弾力的な
経営
方法がいいのじゃなかろうかというふうに
考え
まして、
公社
の
性格
と
公団
的な
性格
を合わして持たした、こういう次第なのでございます。
志村茂治
24
○
志村委員
公社
とすれば
国会
の厳重な審議を経なければならない、これは
弾力性
を欠くんだというふうに言われているようにも
考え
られる。そうしますと、
公団
的
性格
を加味することによって、
大蔵大臣
との話し合いによって、
予算
についても、また
事業
の
運営
においても、
弾力性
が持てるのだというように今
お話
の順序から読み取れるのであります。そうなりますと、
大蔵大臣
は果してそういう気持でやってくれるのかどうか、いやとは言われないと思うのでありますが、そういうことを十分われわれの方で要求しなければならないと思っております。これは私の意見です。 次に、先ほど留保いたしておきました
科学技術庁
の定員のことについて御
説明
願いたい。
岡部史郎
25
○岡部
政府
委員
科学技術庁
の定員につきましてお答え申し上ぎます。
科学技術庁
を新設いたしますにつきましては、その定員を定員法において
規定
することに相なっておりまするので、先般
科学技術庁
の定員を含む定員法の改正を今
国会
に
提出
いたしまして、今内閣
委員会
におきまして御審議いただいております。その
内容
につきまして簡単に申し上げますと、
科学技術庁
の総定員は、特別職を除きまして二百九十三名の予定に相なっております。それに基いて御審議いただくことになっております。その内訳を申し上げますと、その定員をどこから出したかということに相なるわけでありますが、できるだけ
政府
職員全般の増員を避けるという
意味
におきまして、
関係
各省
から極力これを振りかえることに努めたわけであります。その結果、
科学技術庁
の新設によりまして、純増の職員といたしまして、次長、官房の課長及びその他の職員を合せまして六人、これが純増であります。それから総理府
原子力
局からは六十八人を移管いたします。これは
原子力
局が
科学技術庁
の
原子力
局になるわけでありまして、全部その職員になるわけであります。それから総理府の航空技術研究所から四十九人移管いたします。それからスタックはこれを廃止する予定に相なっておりまするので、その全員十五人をこれに持って参ります。また
資源
調査
会もこれを改組いたしまして、
科学技術庁
の中に取り込みまして
資源
局を作るわけでありますから、その職員といたしまして全員三十九人をこれに移管いたします。それから、通産省側でかねてより従来の機械試験所の一部、それに新たに増員いたしまして金属材料研究所を新設する予定で
準備
をしておりましたのを、この
科学技術庁
に移管をいたしますので、その定員四十人を持って参ります。これだけでは足りませんので、さらにこの
科学技術庁
をできるだけりっぱな役所にするということで、
関係
各省
の協力を求めまして、結局
行政管理庁
から二人、厚生省から三人、農林省から十三人、通商産業省から四十八人、運輸省から五人、郵政省から五人、こういうような供出を求めまして、これを定員法上振りかえることによりまして、計二百九十三人に相なります。これを
科学技術庁
の
関係
の各局、すなわち官房及び他の四局、それから各研究所にそれぞれ定員として配置したい、こう
考え
ております。
志村茂治
26
○
志村委員
もう時間も十二時になりましたから、
あと
一点お尋ねいたしますが、やはりこの前の
日本
原子力
研究所の場合と同じように、役員の選任についてであります。この役員の任命と解任、この両方ともに関連いたしますが、ここでも同じように、
理事
長は内閣総理大臣が
原子力委員会
の同意を得て任命するということになっております。しかし副
理事
長以下の
理事
、及び監事の任免権は、総理大臣が
原子力委員会
の意見を聞いてこれを行うということに
規定
されております。この前のときにも申し上げましたように、この
原子力開発
、特に
原子力
基本法の精神はすべて超党派でこれを行うということになっております。でき得るならば
政府
の支配下にはなるべく入れたくないというのがわれわれの
考え
方であったわけであります。しかるに最も重要な役員の任免権において、
原子力委員会
の発言権、発言力というものがきわめて弱められておるということについては、
日本
原子力
研究所の場合と同じようにきわめて遺憾に
考え
ておるのであります。従って、あの研究所
法案
の場合にはわれわれ付帯
条件
をつけて、なるべく
原子力
基本法の線に沿った趣旨で任免してもらいということをつけておりましたが、再びこの
公社
法案
においても同じようなことが出ておりますので、これの
扱い
について、
政府
の御意見を伺いたいと思います。
佐々木義武
27
○
佐々木政府委員
文面からいたしますと、同意を得てということと意見を聞いてということには確かに差異がございます。同意を得てということでありますと、まさしく同意を得ませんと無効になりますので非常に強いわけでございますが、意見を聞いてとございますと、意見を聞かないときには無効でございまするが、意見を聞いた際には、必ず意見通りやらなくても有効であるというふうになりますので、その間にもちろん差異はございます。ただ、しかしながら、現状の
運営
方式そのものを見ますと、必ずしも法の文面そのものが現実を拘束しておるか——と申しますと語弊がございますが、たとえてみますと、今の
原子力委員会
そのものの権限等に関しましても、あるいは諮問機関でありまするやら、あるいは本来の行政機関でありますやら、法的にはいろいろ疑義があろうと思います。しかし実際の
運営
といたしましては、
原子力
局とは全く一体の
運営
でありまするし、また
原子力
委員長
は大臣がこれを兼ねてございまするので、その間決して矛盾のないように運用をしてございます。従って法の文面そのものでも、精神は
運営
において十分生きていっているのじゃないかというふうに
考え
ておるわけでございます。従いまして、この十条の
規定
におきましても、同意という点と意見を聞いてという点には若干の法的な
相違
はございますが、しかし実際の
運営
におきましては、同意を得てあるいは意見を聞いてという点が差を生じて
運営
するかと申しますと、ただいまのところでは、そういう気持は毛頭ございません。しからばむしろいっそ同意を得てというふうにはっきりした方がいいのじゃなかろうかという議論が一方には成り立つようにも
考え
られるのでありますが、しかしあらゆる前例を見ましても、
理事
長はあくまでも
経営
の責任者でありまして、その
理事
長のもとに副
理事
長なりあるいは
理事
というものが一心同体の形で
運営
していくのが理の当然かと思いますので、まず
理事
長に関しましては、最も重大でありますから、同意を得てというふうに法的には固く縛っておきまして、その一心同体になるその下部の役員に関しましては、
理事
長の意見を聞いてということで、
理事
長の意見を尊重してこれをやっていく。その際、それではなぜ
原子力委員会
の同意を得てというふうに書かぬかという御議論がございまするが、これに関しましては、
理事
長が同意ということできまりまして、そしてその
理事
長の意見を極力尊重しながら各副
理事
長、
理事
というものをきめるのでありますから、その際には
原子力委員会
といたしましても、やはり
理事
長の意見というものを尊重してやるというのが筋ではなかろうか。そういうふうにいたしますと、副
理事
長あるいは
理事
の選任には、
理事
長の発言あるいは
原子力委員会
の発言は、将来の
運営
を
考え
ますと、同じように
考え
ていってもよいのじゃなかろうかという感じもいたしますので、
理事
長の場合の任命方式と、副
理事
長、
理事
の場合の任命方式とは、若干違えてはございまするが、
運営
におきましては、その間何ら差のないように
運営
していきたいという気持でございます。
志村茂治
28
○
志村委員
ただいまの局長の御意見は、私了といたしますが、法文に一応そういうふうにきめておいて
運営
にまかせるというよりも、本来そういうことが行われないように、いわゆる時の
政府
の権力によって役員の任免が行われるということがないように書いた方がいいじゃないかと私は
考え
るのでございます。しかし前田の
原子力
研究所の場合もありますので、私はただいまの
運営
の面において、基本法の線に沿ってやるという御意見で一応は満足いたします。私はこれだけでございます。
有田喜一
29
○
有田委員長
前田正男君。
前田正男
30
○前田(正)
委員
一点だけ大臣にお聞きしておきたいと思うのでございます。この
法案
の、
公社
の「業務の範囲」の第十九条の二号に、「核原料物質の輸入並びに買取及び売渡」とあります。第三号に「核燃料物質の
生産
及び加工」、第四号に「核燃料物質の輸入及び輸出並びに買取、売渡及び貸付」、こうある。これら核原料物質の輸入、買い取り、売渡し、
製練
の最終段階のこと、それから核燃料物質の輸入、輸出、買い取り、売り渡し、貸付というようなことは、
政府
で別に立案しておられます核原料物質及び核燃料物質の管理の
法案
と、先ほど局長の御
説明
がありました
放射線
障害
の
法案
でもって、
政府
が認可することになっておると思います。それで
公社
のこの
法案
から見ますと、これが独占的にやるとは何も書いてないのでありますけれ
ども
、
政府
が認可制でやられまして、これらの問題を独占的にやられるのではないか。この
公社
は、全額
政府
出資の
公社
としての
性格
を大きく打ち出しておる。これほどまた国民に
関係
の多い問題はないと思うのであります。将来は、この
公社
が、各地の発電所に全部原料を供給し、または輸入するというわけでありますから、今の国鉄よりももっと広く国民に接触する部門が多くなってきます。現在の国有鉄道よりももっと大きくなってくる
公社
として、国民の利害に
関係
してくるのじゃないか。そういう点からいって、今年はわずか一千万円の小さな
公社
でありますけれ
ども
、将来は国有鉄道をしのぐような、国民の利害に大きく
関係
する国民の動力エネルギーのもとになるところのものを握る
公社
でありますから、当然
公社
としての
性格
が持たれるのは私は当りまえだと思いますけれ
ども
、この法文から見てみますと、それは独占的にやるということは何も書いてない。そこで
政府
が将来そういう
法案
を作られて認可せられるときには、これを担当される大臣としては、この
公社
にそういう独占権を与えられる方針でおるかどうかということを明瞭にしないことには、これは
公社
にする必要はないと思うのですが、この際、明瞭な御答弁を願いたいと思います。
正力松太郎
31
○正力国務大臣 仰せの通り、燃料
公社
は非常に重大なる
仕事
をやるところでありますから、従って、実質的においては独占的にやるつもりでおります。いずれこれはもっとはっきりさせたいと
考え
ております。
有田喜一
32
○
有田委員長
小笠
公韶君
。
小笠公韶
33
○小笠
委員
ただいまの前田先生からの御
質問
に関連して伺いたいのであります。条文につきまして、第十九条の各号列記の
事項
につきましては、今のような疑問が出てくるのでありますが、第一条の「設立の
目的
」において、「核原料物質の
開発
及び核燃料物質の
生産
並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、」と書いてある。この
生産
、
開発
、管理を総合的、効率的に行うという
立法
の大精神を確保しておる条文がどこにあるか、これをまず伺いたい。
佐々木義武
34
○
佐々木政府委員
立法
の第一
目的
に相当する趣旨でございまするが、総合的と申しますのは、第十九条にもございまするように、いわば採掘から精練まで、あるいはよそから入ってくるもの、出すもの、そういうものまで全部一貫して
経営
するのでございまするから、これを総合的にこの機関で扱うという
意味
合いを持たせたわけでございます。効率的にと申しまするのは、その間、先ほどございましたように、
経営
の
弾力性
等も加味いたしまして、なるべく最小の犠牲で最大の効果を上げるような点を意図しているわけでございます。従いまして、総合的かつ効率的にという点は、ただいま前田先生からも御
質問
がありました独占という匂いが、法文の上においてあまり薄いのじゃなかろうかというふうな御懸念もあるいはないでもございませんが、しかしながら、これに関しましては、先ほど大臣からも
お話
がございましたように、別途管理法を
用意
いたしまして、ちょうど専売の
規定
は専売の管理の画でこれを
規定
していると同じような方式で、その管理法の方でこれを明確にうたう方が、法の形式としていいのじゃなかろうか、こういうふうに
考え
ておるわけであります。
小笠公韶
35
○小笠
委員
御
説明
によりますと、第十九条列記の各号、いわゆる
探鉱
か精練までやるということが総合だというなら、部分的総合と呼んでよろしいのですか。
佐々木義武
36
○
佐々木政府委員
部分的な総合という
意味
じゃなくて、核燃料物質あるいは核原料物質に関しましては、原料から燃料を精製いたしまして、さらにそれを加工いたしまして、使用者にこれを独占的に売り渡すというふうな格好にもなっておりますし、あるいは
国内
の
生産
あるいは海外の
生産
等の情勢を加味しながら、ときによっては輸入もいたし、あるいは、ものによってはかりに
国内
で消費いたしまして、全部使い切れずに残れば海外に輸出するといったような問題も起きてきましょうし、そういう点は、国際情勢あるいは団際経済の動向と
資源
の動向とをにらみ合せながら
運営
するという
建前
になっておりまするので、総合的にというふうに言葉を使ったわけでございます。
小笠公韶
37
○小笠
委員
政府
委員
の答弁は管理法があることを前提としての
説明
である。本法第一条の
目的
において、
開発
、
生産
及び管理を総合的に行うということについては、管理法を前提にしなければとれないと思う。その場合には部分的な総合だと思う。
探鉱
から精練までは可能でありましょう。しかし他の
経営
者がやることを何ら禁止しておらないのであります。他の多数の
経営
者の存立を認めながら、なおかつ総合的に行うということを書いてある以上、それを確保する
規定
がどこにあるかという純
法律
的に私は伺っておるのです。
島村武久
38
○島村
説明
員 まことにごもっともなお尋ねでございまして、第一条でうたっておる趣旨の総合的かつ効率的という言葉と、第十九条に掲げました業務の種類との間には、第一条を裏書きするような
意味
での
規定
は第十九条にはございません。しかしこれは小笠
委員
がよく御承知の通り入れものの
法律
でございまして、一手に行いますとか、あるいは独占をやりますとかいうような実体の
規定
は、実体法に譲るのが適当であろうという
考え
から、さようにいたしておるわけでございます。もちろん管理法と同時に
提出
いたしましたならば、その点は十分に御納得いただけたと思うのでありますが、ただ、管理法の方は、現実の問題といたしまして、まだ管理法の
適用
の対象となるものがきわめて少い、あるいはものによって全然ない段階でございます。それに比較いたしまして、この
公社
は早く、本年度中に少くとも相当な
事業
を行う必要がございまして、
立法
を取り急ぎました
関係
から、管理法と
公社
法が別個の機会に御審議を願わなければならぬようなことになっておるわけであります。 なお、総合的ということの
意味
でございますけれ
ども
、先生のおっしゃいましたような
意味
ではまさしく部分的でございまして、大臣からも答弁がございました独占的ということは、この十九条の全部にかかって独占を行うという趣旨ではないわけでございます。従いまして、先生のおっしゃる
意味
での独占と申しますか、部分的な
意味
での総合だということになるわけでございますが、これは、
探鉱
、採鉱、
選鉱
、精練というような過程でどんどん
仕事
が進んで参りますうち、特に精練の最終段階は少くともこの
公社
に一手にやらしめたいと
考え
ておりますので、
事項
別にいきますと部分的な総合ということになるわけでございますが、実質的には、ここは最後の締めくくりをつける
意味
におきましては、必ずしも部分的にすぎないということはいえないわけでございまして、十分、総合的という第一条の趣旨が生きてくると
考え
ておるわけであります。ちょっと補足して御
説明
申し上げました。
小笠公韶
39
○小笠
委員
そういう運用上の
説明
を伺っているのではないのであります。私は
法律
解釈を伺っているのでありますが、御趣旨はよくわかります。 ついででありますが、簡単なデフィニッションを伺いたい。第十二条の二号において、「政党の役員」というのが禁止
事項
の中にありますが、政党とは何でありますか、これをまず伺いたい。
佐々木義武
40
○
佐々木政府委員
政党の役員と申しますのは、必ずしも明確には
規定
できないのでありますが、名称のいかんにかかわらず、実質的な判断でこれは運用すべきじゃなかろうかと
考え
ております。
小笠公韶
41
○小笠
委員
法律
の用語におきまして、名称のいかんにかかわらず、実質的な判断で解釈するという
法律
用語が世の中にありますか。この用語はかくかくの
内容
を持ったものという前提のもとに
立法
化するのが普通だと思う。そういう
意味
において、ここに書いておる政党とは、いかなる
内容
を持つものであるか、まず伺いたい。
佐々木義武
42
○
佐々木政府委員
これは三
公社
とも全部こういうふうに書いてございまして、古くからなれた用語でございます。ただ、前例がそうだからといって、それでは何も
考え
ないのかといいますと、そうじゃないのでありまして、政党と申しますのは、申すまでもなく、やはり政党じゃなかろうかと思います。
小笠公韶
43
○小笠
委員
その点はわかったようでわかりませんが、ついでにもう
一つ
法文のことを伺います。第二十八条、「
公社
は、内閣総理大臣の認可を受けて、短期借入金をするごときがでる。」ということが第一項に書いてあり、第二項において完済不能のときには翌年借りかえするということがあります。この一年以内の短期資金の借り入れに当って、なぜ内閣総理大臣の認可を得なければならぬか、その
理由
をまず伺いたい。
佐々木義武
44
○
佐々木政府委員
この短期借入金と申しますのは、通常
意味
しておる銀行からの平常の借り入れという
意味
ではないのでございまして、たとえますれば、
予算
が不成立だといったような場合に、国の資金がその間若干ずれがあったという場合には、やむを得ず借りるというふうな事態も予想されますので、そういう不測の場合を予想いたしまして、そういう場合でも業務の
運営
に差しつかえのないようにという
意味
で念のために入れたわけであります。そういう際には
公社
で勝手に借り入れをして、かりに
予算
以上にこれを借りるといったようなことが起りますと大へんでございますから、こういう点は一応認可
事項
といたしまして、かりに
予算
等の不測の場合がありましても、
事業
の
運営
に差しつかえないようにというので、そういう点をにらみ合せて認可をすべきではなかろうかと
考え
ております。
小笠公韶
45
○小笠
委員
先ほど来るる御
説明
があったように、
公団
と
公社
の
相違
の
説明
と、なぜ
公団
的
公社
の制度をとったかの
説明
に経理の問題を強く主張しておられたようであります。そのことは、
事業
経営
体であるがゆえに、資金のやり繰りというものも、
予算
通り動きにくいのだということも当然予想しなければならない。しかも、短期資金においてそういうふうな場合が多多あるから、短期借り入れの制度を認めたものと思う。
予算
不成立の場合だけを予想して入れたと解釈することは、私は不適当だと思う。真に
予算
不成立のときだけの短期借り入れ資金であるか、この点を伺いたい。
佐々木義武
46
○
佐々木政府委員
これは、正常な場合にはこういうことはあり得ないわけでございまして、
国家予算
の補助金なり出資金なりが出まして、その範囲内で業務を
運営
しているわけでございますから、こういう必要はないわけでございます。しかし不慮の災害と申しますか、必ずしも
予算
の不成立ということのみに限らぬのでございまして、あるいは不測の災害等によって急激に資金の需要が起きた、しかもその
予算
の配賦
状況
等から見まして、なかなかつなぎ資金の方途がつかないといったような事態もあるいは起きてくるのではなかろうかというふうにも
考え
られますので、先ほど申しました
予算
の不成立等の場合のみに限らずに、そういう不慮の災害等の場合も考慮いたしまして、その際にはつなぎ資金的なものを認め得るような方途を講じた次第でございます。
小笠公韶
47
○小笠
委員
今の
説明
はわかったようでわからぬのでありますが、しからば、第二問として、内閣総理大臣の認可をなぜ受けなければならぬのか、その
理由
を
一つ
伺いたい。
島村武久
48
○島村
説明
員 短期借入金の問題でございますが、これはほかの
公団
でございますと、
政府
資金以外にも大ていの場合資金が入っているわけでございますが、今度のこの
公社
の場合には、資本金と補助金によってつまり全額国の金でまかなっていくということに相なっておりますので、そういう場合におきましても、なお
予算
との
関係
あるいは補助金との
関係
、結局国の支出の
関係
からやはり内閣総理大臣の認可
事項
にしておかなければならないという
考え
方で、かような
規定
にしたわけであります。
小笠公韶
49
○小笠
委員
どうもこの
事業体
の
説明
と、
あと
の
予算
の支出の
関係
とつじつまが合わぬような気がします。ただいまの答弁で納得いたしたのではありませんが、時間の
関係
もありますので、一応これで打ち切ります。
有田喜一
50
○
有田委員長
それでは、午前の
会議
はこの程度にいたし、午後一時より再開いたします。 これにて暫時休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分
開議
有田喜一
51
○
有田委員長
休憩前に引き続き、
会議
を開きます。
原子燃料公社法案
及び
核原料物質開発促進臨時措置法案
の両案を議題といたし、
質疑
を続行いたします。
質疑
の通告がありますから、これを許します。
志村茂治
君。
志村茂治
52
○
志村委員
午前中の
質疑
で、ある程度この問題は取り上げられておるのでありますが、なお
提出
になりました書類の「
原子燃料公社
事業
計画」について、
政府側
の
説明
をお願いします。
佐々木義武
53
○
佐々木政府委員
燃料
公社
の
事業
計画でございますが、これは第二年度以降に関しましては、今後の
調査
等の進捗を待ってさらに明確にいたしたいと思いまして、三十一年度の分のみをここに掲げておいたわけでございます。 この
資料
にもございますように、
公社
の
目的
は
公社
法に載っておりますので、大体それをそのままとりました。 それから
事業
の概要に関しても、ここに示した通りでございます。 方針でございますが、方針といたしましては、前々から御
説明
申し上げてありますように、この
公社
の
事業
を三十一年度当初からすぐどんどんやれるというような態勢にはなかなか参らぬのではなかろうかと思いますので、今年度の
予算
を請求の際には、
製練
等に関しましては、今年度は主として研究に重点を置いて、本格的な
製練
は、
探鉱
、採鉱、
選鉱
等の実績を待って、それに見合うようにテンポを合せたらどうだろうというような
考え
になっておりますので、具体的な
製練
設備等は、今年度は
考え
てございません。今年度は、
地質調査所
の方では、
ウラン資源
あるいは
トリウム資源
の概査をいたしまして、こちらの方ではそれに伴って、精査、採鉱、
選鉱
等を行なっていくということを主にいたしまして、三十二年度以降
製練
等にも着手いたしまして、三十三年度から予定される天然
ウラン
・重水型の
原子炉
に間に合せたいということを目標にしてございます。また核原料物質あるいは核燃料物質の輸出入、販売、買い取り等、こういう管理は今年度
公社
ができますれば、事態の発生に照らしまして実施に移るわけでございます。 問題は、三十一年度の
事業
計画でございますが、これはただいま申しましたように、
地質調査所
の方では概査いたしまして、
公社
の方では精査を主としてやるわけですが、その精査の中でも、問題は採鉱を主にして今年度は進みたいというふうに
考え
ております。それで、三十一年度に
公社
が精査する
地域
というのは、三十年一度に、午前中に
質疑
がございました
地質調査所
が概査した地区のうちで有望な地点を数カ所選びまして、ここに必要な溝切り千二百メートル、試錐千七百五十メートル、
探鉱
坑道千二百メートル程度の
事業
を行いたいという
事業
計画にしてございます。 二ページ目に資金計画が載っておりますが、本年度は御承知のように一億五千万円の資金がついてございます。そのうち一千万円は出資金でありまして、補助金が九千万円、それから
予算
外契約国庫負担分といたしまして五千万円を予定してございます。 その内訳でございますが、今年度は、先ほど申しましたように、主として採鉱等が主体でございますので、あまり固定設備等に金を使わぬ予定でございます。ただごく
探鉱
に必要な機械類、たとえてみますと、ガイガーとかあるいはトラックとかいったような
性格
のものは、
探鉱
用機械として一千万円の中に入ってございますが、その他は補助金の九千万円の中に入っております。一般管理費と申しますのは、統計費とか
事務
費でございますが、この
公社
は三十一年度には大体百四十二名くらいの人員でやりたいという目算で人件費をはじいたのでございます。残りは
探鉱
費、研究費等でございまして、こういうものを合せて九千万円、債務負担行為の五千万円に関しましては、建物、大きい機械類、それから予備費二百万円も入っておりますが、そういうものを合せて五千万円を見込みまして、これは三十二年度に支払いをするという
考え
でございます。従いまして、おもな
内容
は、主として実際の
探鉱
のためにそれぞれの人員が現地に出向きまして、いろいろ実際の
事業
的な採鉱の
準備
、あるいはその二部に取りかかるという費用がおもでございますので、補助金が主体になって、固定設備の方は今年度はあまりかけないという計算になったのでございます。
志村茂治
54
○
志村委員
今の方針の中で、三十三年度に建設される予定の天然
ウラン
・重水型
原子炉
に、国産天然
ウラン
の供給ができるように努力すると言っておられます。大体三十三年度の国産一号、あれに必要とする天然
ウラン
は十二トンと聞いておりますが、そのうち二トンだけは国産でやって、十トンは海外から輸入する、こういうようなことが言われております。これから三年先のことであり、ほとんど着手されておらない
日本
の金属
ウラン
の
生産
を二トンと見込まれておるということは、ずいぶん不確実だ、こういうふうに
考え
ておりますが、二トンという
数字
は、一体どこから出たのですか。
佐々木義武
55
○
佐々木政府委員
実は、
国内
で二トンの
製練
がその際までに可能であろうという
数字
の根拠は、あまり的確なものではないのであります。今まで見つかりました
ウラン鉱
というか、そういうものを
考え
たり、ただいま製錬の方法、たとえば燐
鉱石
からも
ウラン
をとる方法等を会社等に依頼しまして研究をさせておりますので、そういう成果のテンポ等をにらみ合せて、大体二トンぐらいじゃないかという見当をつけておるのでございまして、まだ正確な自信を持っているわけではございません。
志村茂治
56
○
志村委員
それでは、この二トンというのは、現在もうすでにはっきりしておる原
鉱石
、それから現在の
製練
方法、これによって、将来の不確定な
数字
を織り込まずして、
日本国内
で
生産
される、こういう
意味
でありますか。
佐々木義武
57
○
佐々木政府委員
先ほどの
数字
は、全部で十トン必要でございまして、うち七トンは輸入、三トンは
国内
生産
というふうに
考え
ておるのであります。できますればもっとふやしたいわけでございますけれ
ども
、まあかたく抑えてみて、このぐらいまでは三年間に何とかものになるのじゃなかろうか、こういう
数字
でございます。できるだけピッチを上げて、もう少し能率を上げたいと思っておりますけれ
ども
、いかんせん、
鉱石
そのものも必ずしも富鉱とは申せぬ
状況
でございますし、燐
鉱石
からとるのも完全に技術的に解決したというものでもございませんので、大体それを目標にしてがんばりたい、こういうことでございます。
志村茂治
58
○
志村委員
では、次に資金計画の方ですが、その中に二千万円の建物というのが入っております。直ちに大規模な工場等が設立されるということは
考え
ておりませんが、この建物というのは、一体どういう性質の建物をさしておるのですか。
佐々木義武
59
○
佐々木政府委員
この建物と申しますのは、現場で採鉱する際のバラック的なものもありましょうし、もう
一つ
は、
製練
加工のために、あるいは保安等のために、いろいろ研究を早急に進めなければならぬ問題もございますから、そういう点で、研究費用と申しましては語弊があるかもしれませんが、研究部のようなものを作りまして、そこでいろいろ具体的な研究をしたいというふうにも
考え
られますので、そういう建物を
考え
たわけでございます。
志村茂治
60
○
志村委員
それでは、
探査
の進捗
状態
についておきしたいのであります。先刻御配付になりました
資料
に、
ウラン
等放射性
鉱物
資源
の
調査
計画というのがあります。この中で、いろいろ順序を踏んで、エアボーン、カーボーン等を行うとなっておりますが、すでにほとんどその
資源
の所在が明瞭になっている地点も明らかになっております。たとえば小鴨であるとかあるいは三吉鉱山周辺、生野、明延というようなところは、
資源
の所在が相当はっきりしているのですが、それらについては近く採鉱の段階まで進み得るのであるか、その点をお聞きしたいと思います。
齋藤憲三
61
○齋藤(憲)
政府
委員
私、
地質調査所
につきまして、ただいま御指摘の点を
質問
したのでございますが、私の聞きましたところでは、まだ直ちに採鉱し得るという段階ではないと思います。私もよく実情を
調査
いたしませんからわかりませんが、今日、所々方々において発見せられておりますウラニウム
鉱床
は、ガイガー、カウンターによって大体有望であるという見当のつく個所もあるけれ
ども
、一体その本体がどこにあるかという点に関しましては、将来試錐をしていかなければならぬ。しかもその試錐が二百メーターでよいのか五百メーターでよいのか、適当な個所に相当の試錐を行なってみないと、その
鉱床
の実体を把握することができないという段階でありまして、一に三十一年度の採鉱によって、今、有望視されているところの実体が把握できる。そうすると、そこに対してさらに精査を加えて採掘するという段階に行くのではないか、さように
考え
ております。
志村茂治
62
○
志村委員
それでは、船田長官も見えておりますし、この問題は岡
委員
が
質問
する予定であり、私がするのは適当でないと存じますので、この程度にいたしますが、実は、
原子力
研究所の予定敷地として、武山が
原子力委員会
で決定になり、米軍との間の折衝も進み、
条件
次第によって米軍はこれの接収解除をするという段階まで来ており、昨月の閣議においてこれが何か問題にぶつかったようにも新聞報道等で聞いております。その間のいきさつについて、正力国務大臣から御報告願いたいと思います。
正力松太郎
63
○正力国務大臣 昨日の閣議で、私は今まで
原子力
研究所を選定するに至った
経過
をいろいろ
お話
いたしました、その
経過
を皆さんに御
参考
に申し上げてよいと思います。実は、
原子力
研究所の敷地問題は、大へん政治問題化したかのごとく思われております。実は、昨年の春までは、
原子力
研究所を置くことは、らい病患者のようにきらわれておったのだが、昨年の夏以来あっちからもこっちからも置いてくれ、置いてくれという運動が非常に盛んになりまして、現在は御承知の通り大へん問題になっている
状態
であります。私
ども
、この場所を作るについては慎重に実は進めたのでありまして、まず研究所のこれに対する
専門家
を選考
委員
に選びまして、その選考
委員
に、どういう標準で選んだらよいかと聞きました。ところが、選考
委員
としては、選考の標準としまして、まず研究所はなるべく東京に近いところ、交通の便のいいところということを主張しました。また第二には、
地質
がかたくて、なるたけ起伏の少いところということであります。それから第三には、水の供給が十分なるところ、これは御承知の通り
原子炉
については水がたくさんいるらしいのであります。これから第四には、非常に汚物が出るので、汚物を排除するによい場所ということ、そのほか二、三ありましたが、おもなる点は今のような標準で選びました。そういう散地として選定した場所が十五カ所あります。十五カ所のうち、選定
委員
で選考した結果、四カ所きめまして、それを
原子力委員会
の方へ持ってきました。そこで、
委員会
の方で慎重審議の結果、まず第一候補として武山を選んだわけであります。ただ武山は、御承知の通り進駐軍が接収しておるからして、この接収解除が可能であるかということを調べなくちゃならぬということで、それについては一応われわれの方で内交渉することにしまして、調達庁をして交渉を進めました。調達庁をして進めましたが、何分正式の交渉ではない以上、確固たることは言えない、しかし代替施設を提供するならば、二十万坪くらいの土地はよかろうという了解を得たのであります。しかしこれも確かぢゃありません。いずれにしても正式に交渉せよということでありましたので、これはひとり
原子力
だけの問題でない、国政全般にわたることであるから、閣議に諮りまして、私はそこを
原子力
研究所としては最もよいから
政府
として正式に交渉したいという話をしました。それに対して船田防衛庁長官な
ども
いろいろ意見がありましたが、結局は何もきまりませんで、いずれ
関係
閣僚だけでもう一ぺん懇談をしようというような
状態
になったわけであります。以上が大体それの
経過
であります。
志村茂治
64
○
志村委員
閣議はそのような未決定な
状態
に置かれたのでありますが、昨日の
原子力委員会
では、どういうふうにきまったのでしょうか。
正力松太郎
65
○正力国務大臣
委員会
ではその通り報告しまして、なお閣議の決定を見なくちゃならぬということであります。
志村茂治
66
○
志村委員
船田長官にお聞きしたいのですが、昨日、船田長官は、武山については、
日本
の自衛隊が以前からあの土地をほしいという希望を待っておる、これは国策上大きな
立場
から検討しなければならないというような御主張であったように新聞紙上で見ておりますが、自衛隊が以前要求されたのは、私の聞いておるところでは、防衛大学の敷地として要求されたということは聞いておるのですが、そのほかに要求されたことはあるのですか。
船田中
67
○船田国務大臣 武山につきましては、御承知の通り、あそこの土地柄及び施設は、かつてわが海兵団が持っており、将来自衛隊の水陸両用部隊といったようなものが施設をいたしますのには最も適当したところでありますので、数年来、防衛庁といたしましてはその希望を持ち続けておるのでありまして、今日もなお持ち続けております。しかしあの武山の施設を
アメリカ
軍が現在使っておりますが、それを解除してもらって、どこが使うかということにつきましては、ただいま正力大臣から御
説明
のございましたように、今、
政府
部内で協議をいたしておりますので、その協議が決定いたしましたならば、それに従って参りたいと存じます。
志村茂治
68
○
志村委員
私のお聞きしておるのは、自衛隊であの土地がほしいということについて
考え
ておられたということはわかりますが、具体的に米軍との間に折衝されたのは、防衛大学の敷地として要求されたことだけであるというふうに聞いておるのですが、それ以外のことについて、あるいは演習地、あるいはその他に自衛隊が使いたいということを、米軍に対して、あるいは閣議等で表明なさったことがおありになるかどうか、それをお聞きしているのです。
船田中
69
○船田国務大臣 自衛隊の施設として使いたいという希望は持っておりますが、
政府
機関を通じて正式に
アメリカ
軍に申し出ておるものではございません。
志村茂治
70
○
志村委員
米軍の方から
条件
次第によっては、正式に申し込めば解除してもいいということは——もちろん正式の交渉ではありません、サウンドではありましたが、その結果、正式のものではなくしても、
原子力
研究所の敷地としてこれを要求したということは、米軍ももちろん十分承知しているところであります。それで、そのようなことから、米軍の方から、要求があるなら接収解除してもいいということであるなら、かなり
原子力
研究所ということが向うの頭に入っていると思うのですが、その場合にでも、自衛隊としては自分の方にほしいというお
考え
を持ち続けておられるかどうか、それをお聞きします。
船田中
71
○船田国務大臣 防衛庁としては強い希望を持っております。しかし閣議において決定せられますれば、それに従って参ります。
志村茂治
72
○
志村委員
それでは、船川長官の個人の意見をお聞きいたしたいと思うのであります。これは国策上、再軍備が必要であるか——あるいは再軍備と言っては不適当かもしれませんが、自衛隊に使った方がいいか、あるいは
原子力
研究所に使った方がいいか、その点について個人の意見をお聞きしたいと思うのであります。と申しますことは、この
原子力
研究所は、この研究に直接携わるような
学者
たちが、いろいろな
条件
を満たすばかりでなく、あそこで自分たちが研究するのが最もよろしいと
考え
ており、どこにもある、あそこにもあるという土地ではないと思うのであります。
日本
中探して、あそこが最もよろしいと
考え
ておるにかかわらず、国全体として長官は自衛隊の用地として使うのがいいと個人としてお
考え
になっているかどうか、それをお尋ねいたします。
船田中
73
○船田国務大臣 私、防衛庁に
関係
いたします者として、個人的の意見を率直に申し上げることをお許しいただけるならば、私は
原子力
研究所というような未知のものにつきましては、やはり人家の少いもしくは大きないろいろな施設のあるようなところでなく、もっと山の中とかあるいは相当遠く離れたところがいいのではないかと存じます。防衛問題につきまして、今、
志村委員
と私は見解が異なるかもしれませんけれ
ども
、
わが国
の防衛態勢を整備する上から申しますれば、あの武山というところは、かつては海兵団が使っておったところであり、将来解除された後に自衛隊が使う、そして
訓練
をし、あるいはあそこに兵舎を置くというようなことは、きわめて適当であり、防衛的見地から申しますれば、ああいう平坦な繁華なところに
原子力
研究所のようなものを置かないでもいいじゃないか、もっと山の中か無害なところに置かれる方がいいじゃないか、私は率直に申しますれば、そういうような意見を持っております。
志村茂治
74
○
志村委員
それは、以前の放射能の危険を十分防除する科学的な知識のなかった当時におきましては、たとえば
アメリカ
とか
フランス
とかあるいはイギリス等におきましては、相当市街地から離れたところに置かれております。しかしながら、その後防除方法が進んでおります。その結果、
学者
があの武山でもよろしいということをもちろん
学者
は自分個人の
立場
を
考え
ておりません。
日本
で
原子力
を
開発
する場合には、放射能
障害
ということを十分考慮に入れての上のあの決定であります。ただいま防衛庁長官は、自分としてはそう
考え
ておられるということでございます。これは技術、科学の問題でありますが、しかし、ごく現象的に
考え
てみて、
学者
の意見を御尊重なさいますかどうですか、この点をお伺いしたい。
船田中
75
○船田国務大臣 私としては、もちろん
学者
の御意見を尊重するにやぶさかでございません。ただ防衛的の見地から申しますれば、あの武山の土地は、防衛
関係
の施設として使うことが、国家のために適当であろう、こういう意見を持っておるということを申し上げたわけであります。しかし、現在まだ
予算
的
措置
を講じておるものではございませんから、あれが
政府
の方針として
原子力
の方で使うということが御決定になりますならば、それに私らはもちろん従って参ります。
志村茂治
76
○
志村委員
ただいま防衛庁長官は、閣議で御決定になれば従うと言われる。これはもちろんその通りだろうと思います。そうなければならぬと思うのであります。先ほど長官個人の
考え
としては、あれは何か不適当であるというふうに言われておったのでありますが、しかし
学者
の意見は尊重されるということになったならば、われわれは
学者
の定職に従って、あの土地が不適当であるということは、長官の少し
考え
違いではなかったかと
考え
ておるのであります。依然として、あれは不適当とお
考え
になるか。
船田中
77
○船田国務大臣 重ねて個人の意見を御
質問
でございますから率直に申し上げますが、私といたしましては、どこまでもあれは防衛的の見地から、防衛
関係
で使用させていただくのが適当である、もし防衛
関係
で使わないといたしましても、
原子力
研究所というような、その作用がどういうところに及ぶか、まだ
日本
では未経験のものでございますから、
学者
の御意見は十分尊重はいたしますけれ
ども
、しかしやはり、なるべく近所に影響を及ぼすことのないようなところに持っていかれた方がよくはないか、そして将来相当やはり大きくなるものであろうと私は想像いたしておりますので、それで、私は、個人といたしましては、武山以外の地を選定されることがよくはないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
志村茂治
78
○
志村委員
お話
によりますと、そういうような今までの経験から、あるいは危惧の点から、長官は、個人の
考え
としてあそこは不適当ではなかろうかというくらいのところであろうと思います。科学的根拠は私伺うことはできませんでした。もちろん科学的根拠をお持ちになっておるとは私は
考え
ておりませんが、そういう感じで、そういうふうにお
考え
になるのならば、
学者
が従来のような危険はないものであるというふうに断定された場合には、長官はその
考え
を撤回になりますかどうですか。
船田中
79
○船田国務大臣 私個人の意見としては、先ほど来申し上げておる通りであります。これによりまして、私は武山をどこが使うかという
政府
の意思を決定せられる場合におきましては、もちろんその
政府
の決定に私は従うつもりであります。
志村茂治
80
○
志村委員
これは論議を重ねても仕方がないと思うのでありますが、私の希望を
一つ
申し上げますならば、あれは
学者
がほかのいずれの地よりも最もよろしいところであるということをきめておるのであります。もちろん防衛上の問題も長官としては当然
考え
られなければならないと思うのであります。しかし、防衛上の上陸用演習地として必要であるとは言われておりますが、武山が防衛上、上陸演習地として最も適当である、ほかにかえ地はないのだ、かえ地がないというよりも、これ以上のところがないのだというふうにお
考え
になるのであるかどうか、その点をお聞きしておきたい。
船田中
81
○船田国務大臣
日本
国中探しましたときに、絶対ほかにないとは言えないと思います。しかしきわめて適当なところである。武山は、将来解除された後に、自衛隊の使用する場所として、あるいは施設としてはきわめて適当なところであるという
考え
方は、私は変えられないと思います。
志村茂治
82
○
志村委員
防衛庁長官として、防衛上の
立場
からそうおっしゃることは、私は当然であると思っております。しかし一方におきまして、
世界
の新しい産業革命時代に直面して、
日本
がそれにどれだけ大きな努力を払わなければならないかということに、私は大きな関心を持っており、また
日本
国民も相当大きな関心を持っておると思うのであります。できれば、
学者
の希望するところになるべく満足を与えていただきたいということを私は希望いたしまして、私の
質問
を終ります。
有田喜一
83
○
有田委員長
小平久雄君。
小平久雄
84
○小平(久)
委員
簡単に数点だけ、
公社
法案
及び促進
法案
の両者について
質問
いたします。 第一の点は、
公社
法案
を通読しまして感ずることは、この
公社
の、一口に言えば監督というか、そういうことは、いずれも総理大臣がなさる、こういうように書いてあるわけです。それで、別に資金が小さいものを総理大臣がやるのはおかしいと言うわけではありませんが、
公社
の資金はわずかに一千万円、のみならず、先般
科学技術庁
が発足をし、その
科学技術庁
の組織法においては、第八条かによりますと、
原子力
局の所管が書いてあって、その中には、燃料
公社
のこともそこでやるのだということが明文化してあるわけです。あまつさえ、正力大臣が今度は
科学技術庁
の長官になられて、
原子力
関係
を担当なさって大いに振興をはかられる、こういうことになっておる際に、せっかく作った
科学技術庁
が何か影が薄くなってしまって、総理大臣、総理大臣とむやみに総理大臣ばかり出てきておるようですが、これは何か法制上こうしなければまずいのですか。
科学技術庁
というものは、なるほど総理府の外局かもしれませんが、せっかく技術庁ができて、しかも長官には国務大臣がなられるのですから、これほど総理大臣をここにかつぎ出さぬでも、
規定
上差しつかえないのではないかというしろうと
考え
が起るわけです。これはどうしても総理大臣というものが表に出てこなければまずいのかどうか、これをお伺いします。
佐々木義武
85
○
佐々木政府委員
今の行政法の
建前
、あるいは総理府の
性格
から申しまして、所管大臣と担当大臣と分かれておることは御承知の通りでございますが、これが
各省
と違うところでありまして、所管大臣はあくまでも総理大臣であります。ただその間、国務大臣にそれぞれの部門の担当をお願いいたしまして、
科学技術庁
であれば正力国務大臣が担当する、こういうことになっております。従いまして、法の
建前
からいきますと、どうしても所管大臣を主たる責任者にするのはやむを得ざる
事情
であります。ただ運用に際して、所管大臣が総理大臣であるから、総理大臣が必ず全部自分で一切の決裁その他をやらなければいかぬかと申しますと、そうではないのでありまして、委任
規定
等を設けまして、担当大臣にその任務の一部を委任するというふうな便法は当然できるわけであります。事実今まで総理府の
事務
の運用を見てみますと、大半のものは総理大臣という所管大臣が責任大臣ではありまするが、その責任の一半を担当大臣に季任いたしまして、そこで決裁その他は行政に支障のないようにというようなしきたりで
仕事
を進めておるのであります。
小平久雄
86
○小平(久)
委員
そういう法制上の
建前
ではやむを得ないかしれませんが、たとえば防衛庁の
関係
な
ども
、あれは総理府の外局なんでしょうが、防衛庁などの
規定
でも、こういった工合に総理大臣が表向きに出てやることになっておるのですか、少くとも
規定
上は……。
島村武久
87
○島村
説明
員 ただいまのお尋ねは、
日本
原子力
研究所
法案
を御審議になりました際に、前田
委員
からも全く同じお尋ねがございました。ごもっともだと思うのでございますけれ
ども
、先ほど局長からも申しましたように、この内閣総理大臣というのは、大体所管大臣の
意味
でございまして、一々内閣総理大臣をかつぎ出すという
意味
においての内閣総理大臣ではないわけであります。なお防衛庁長官のような場合には、防衛庁長官という言葉が
法律
にも出てくるじゃないかというお尋ね、これもごもっともでございますが、絶対にここに
科学技術庁
長官という言葉を当てはめちゃ工合が悪いという条文ばかりではございません。中には
科学技術庁
長官としてもいい程度のものも十分あるわけであります。たとえば、第十条でございますが、これをごらんになっていただきますとよくおわかりだろうと思います。「
原子力委員会
の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」となっておりますが、この
原子力委員会
は、内閣総理大臣についておるものでございます。
科学技術庁
設置法を御審議になっておられる際に御存じの通り、ほかにも
科学技術庁
所属の
委員会
、協議会等がありますけれ
ども
、
原子力委員会
だけは内閣総理大臣に直属いたしております。従いまして、このような場合に、
科学技術庁
長官が
原子力委員会
の意見を聞いてということは、ちょっと工合が悪いというような実際上の面もあるわけでありまして、一応従来の慣例に従いまして、所管大臣を出すのが通例でございますので、一応そういうふうに統一いたしておるわけでございます。この点は
日本
原子力
研究所法の場合と全く同様でございます。絶対にいかぬという条文ばかりではございませんが、一応そういうこともございまして、従来の慣例に従いまして所管大臣で統一した、そういうことになっております。
小平久雄
88
○小平(久)
委員
そうしますと、実際のことは、担当大臣ですか、担当大臣に委任してやる、こういうことですか。今の御
説明
からいいましても、大部分のことは担当大臣に総理大臣が委任をして、担当大臣の決裁だけで実際は
仕事
をやられる、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。その際における責任というものは、やはり担当大臣がどこまでも持つのだ、こう解してよろしゅうございますか。
島村武久
89
○島村
説明
員 ただいままでのところは、総理府
原子力
局となっておりまして、これは所管大臣が内閣総理大臣であり、担当大臣は正力国務大臣ということになっておりますが、
科学技術庁
ということになりました場合には、おそらく内部委任の形は、
科学技術庁
長官という形で内部委任せられるものと
考え
ております。
小平久雄
90
○小平(久)
委員
その点は、長官の決裁だけで万事
運営
ができるのかどうか、こういうことであります。
島村武久
91
○島村
説明
員 ただいまの実際上の問題といたしては、
科学技術庁
長官でほとんどおやりになるということなのでありますが、
任命等
の
法律
上きまっております内閣総理大臣の権限に属する
事項
は、内部手続におきましては、
科学技術庁
長官だけでやれることがほとんど多かろうと思いますけれ
ども
、外部的に現われます場合には、やはり内閣総理大臣という名前を使って現われるというふうに御了承願いたいと思います。
小平久雄
92
○小平(久)
委員
その点はそのくらいにしまして、第十二条の
関係
ですが、ここに役員となる者の欠格条項があります。その第三号には、「物品の製造若しくは販売」云々ということがあります。今度の
公社
は、その
性格
上、この役員には、たとえば鉱山業というか、そういう
方面
の
関係
者な
ども
非常に
関係
が深いので、あるいはそういう畑の人からその人を得る必要が起る場合もあるかと思うのですが、物品の製造、販売という中には、たとえば鉱山業などはどういう
関係
になるか、入りますか入りませんか、そういう
方面
から人を得ようという場合は、この法規からいうとだめなんでしょうか。
佐々木義武
93
○
佐々木政府委員
この物品の製造の解釈といたしまして、当然その中に含まれるものと解釈いたしております。
小平久雄
94
○小平(久)
委員
そういたしますと、そういう
方面
の会社なり何なりについて、非常にその
方面
の経験がある、適格者だといっても、そういう人は役員に引っぱることができないということなんですか、それともその会社なら会社をやめればよろしいということなんですか。
佐々木義武
95
○
佐々木政府委員
やめれば、当然その方に入るわけであります。そういう問題もありまして、かりにやめた場合でも、なおかつ個人の所有といったような問題があろうかと思いますので、第十五条の
規定
で、そういう際には代表権を制限いたしまして、自分の所有にかかるもの、要するに一人で
二つ
の判を押すといったことがないように、これを防いでおるわけであります。
小平久雄
96
○小平(久)
委員
次に移りまして、業務の
関係
ですが、われわれが聞き及んだところでは、特に精練の
関係
は、
公社
で一括してやるというふうに聞いておったわけであります。先ほど小笠君からも
質疑
があったようですが、第一条には、「核原料物質の
開発
及び核燃料物質の
生産
並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、」とうたっておるわけです。また基本法を見ると、「別に
法律
で定める」云々ということが、第九条、第十条あたりにうたってありますね。そこで、今度
公社
の
法案
を見ますと、ただずっと一読したところでは、少くとも精練であれば精練、あるいは輸入なり買い取りということですね、こういうことは
公社
だけにやれるのだということは、どこにもうたってないようです。また別の
法律
があって、そういうことをこれから
規定
するのかどうか知りませんが、その
法律
案もまだ出ない。こういうことですが、そこらの
関係
はどういうことに解釈したらよろしいですか。
島村武久
97
○島村
説明
員 午前中の小笠
委員
の御
質問
と大体同趣旨の御
質問
であると了解いたしますが、基本法を引用いたされましたので、特に基本法との
関係
で申し上げたいと思うのでございます。基本法では、第七条に、「核原料物質び核燃料物質の
探鉱
、採鉱、精練、管理等を行わしめるため
原子燃料公社
を置く。」とありまして、この
公社
法は、まさにこの
規定
に基いて置かれるものでございます。別におっしゃいました一手でやるとかいうようないわゆる実体的な
規定
は、基本法ではやはり別になっておるわけでございます。たとえば核原料物質については、基本法の第十条をごらんを願いますとわかりますように「核原料物質の輸入、輸出、譲渡、譲受及び精練は、別に
法律
で定めるところにより、
政府
の指定する者に限ってこれを行わしめるものとする。」とあります。つまり基本法のこの条文に基きます
法律
ができまして、ここで実体的なことを
規定
するのが適当でなかろうか。この
公社
法はちょうど入れものでございまして、その
事業
活動というものは、
公社
関係
のみならず、すべて動態的にこれをとらえるような、いわば午前中申し上げましたような核原料物質、核燃料物質等の管理法というものを作ってやっていくことが適当じゃなかろうか、そういう
考え
方であります。それは午前中も申し上げましたが、ちょうど専売
公社
法があり、別に専売法があるというふうな
関係
に立つものだろうと思うわけでございます。もちろんこの
法律
で特にそういうような
規定
を置くことが絶対いけないという善悪の問題ではございませんけれ
ども
、基本法の第十条のみならず、第十二条でございましたか、核燃料物質等についてもいろいろそういう
規定
を作らなければなりませんので、別途そういった管理法というものに譲ることが適当であるというふうに
考え
たわけであります。 もう
一つ
の
理由
は、ここに業務の範囲として並べましたことがみな独占という形でやられるわけではございませんで、
探鉱
、採鉱等は、一応独占というようなことは
考え
ておりません。また精練にいたしましても、ただいままで議論をし、また研究してきております段階では、この
ウラン鉱
は他の
鉱物
と非常にまざり合ってできておるものでございますしいたしますので、精練の最終段階を押える程度でよかろう、同じ精練でも、前段階程度は何も独占にする必要はないというようなこともございまして、
規定
の仕方が非常に困難な面もございますので、一応管理法というものを予定して、それに譲るということにいたしたわけでございます。
小平久雄
98
○小平(久)
委員
その点は了解しました。 それから
原子力委員会
との
関係
ですが、たとえば第二十条には、基本計画というものは、
原子力委員会
の
議決
を経て総理大臣がきめるのだ、こう書いてありますが、二十三条を見ると、毎年の
予算
あるいは
事業
計画とか資金計画というものは別に
原子力委員会
とは
関係
ないようです。これは
原子力委員会
には全然かまわずにやるということですか。
佐々木義武
99
○
佐々木政府委員
きのうの
原子力委員会
でもこの問題が出たのでありますが、この
法案
が通りますと、まず最初に定めなければならぬのは、この基本計画でありまして、
委員会
といたしましては、この二十条の
規定
にございます基本計画を当然定めます。そしてその基本計画に基きまして、
公社
はそれぞれの
事業
年度における
予算
、
事業
計画、あるいは資金計画等を作成いたしまして持ってくるわけでございます。その際には、もちろん定めました諸計画をそのまま生みっぱなしというのではなくて、総理大臣の認可を受ける前に、
委員会
にもお諮りいたしまして、そして基本計画にもとるか、もとらないかという点を十分検討の上、総理大臣が認可するというふうな運びになろうかと思うのであります。
小平久雄
100
○小平(久)
委員
その点は、実際の
運営
で、今の御
説明
のようになさればけっこうだと思うのです。 そこで、今の二十三条と関連して伺いたいのです。これによると、毎年の
予算
なり、
事業
計画あるいは資金計画を、
事業
年度開始前に内閣総理大臣の認可を受けなければならない、こううたってあるわけです。ところが
事業
年度というものは、これはやはり
政府
のあれと同じように、四月から翌年の三月、こうなっておるわけですね。そうしますと、
政府
の
予算
との
関係
というものは一体どうなるのか。これは例外でしょうが、極端な場合には、
予算
が三月一ぱいに成立しない場合もあるわけでありますが、そうすると、その時期的な
関係
はどういうことになるのか。これはほかの
公社
法にもうたってあるかもしれませんが、国の
予算
できまった範囲内での明細というか、そういうものをさらに認可するというような場合に、実際問題として、この
公社
の
予算
というものを、国の
予算
がきまらないうちに総理大臣の認可を受けるというようなことになりはしないかということを
考え
るのですが、いかがですか。
佐々木義武
101
○
佐々木政府委員
全額出資の
公社
でございますので、
予算
がきまらないうちに、
事業
計画あるいは資金計画等を作成いたしまして、そして総理大臣の認可を受けても、これは何の
意味
もないことでございますから、最終的に
予算
がきまります国
会提出
前の——例年でありますれば一月の二十日ごろになりますが、当然そのころまでは、事前に大蔵省との打ち合せも済みますので、そういう点も加味しながら、この基本計画に基きまして、二十三条にある諸計画を作成いたしまして、そうして
事業
年度の開始前でございますから、四月一日に開始する前には総理大臣の認可を受ける、こういうふうな手順になろうと思います。
有田喜一
102
○
有田委員長
小平君、ちょっと、制限するのではないですが、きょうは特に野党の
質問
ということで、午後の時間をとっておるのでありますから、そのつもりでお願いいたします。
小平久雄
103
○小平(久)
委員
その点も、たとえば
予算
が不成立の場合とかもう少し聞きたいのですが、急ぐようですからやめまして、補助金の
性格
についてちょっと聞きたいのです。二十九条は、「経費の一部を補助する」ということになっておりますね。ここに言う「経費」というのは、どういうことなのか。この
公社
は出資はわずか一千万でやる。そうしますと、
公社
の人件費だけでもそのくらいはかかるのじゃなかろうかと思うのだが、施設費というようなものは経費じゃないのだというように見ると、これは何もできないということになるのじゃないかと思うのです。この経費というのは、設備投資は経費とは見ない主義ですか、どうですか。
佐々木義武
104
○
佐々木政府委員
経費の
関係
でございますが、この
内容
は決して人件費とか
運営
費等のみを含んでおるのではございませんので、一部短期の償却でまかなえるような資材等は、この経費の中に含ませるというふうに解釈してございます。従いまして、いわゆる資本金で、出資という面で出すのは、長期の償却を要するような本来の
意味
の固定資産という
意味
で、この経費はもう少し広げた解釈で解釈するのがいいのじゃないかと私は思っております。
島村武久
105
○島村
説明
員 ただいま局長から申し上げましたが、ちょっと言葉の使い方の問題だろうと思いますけれ
ども
、短期の償却の分を含むと局長から申し上げましたのは、補助金という
意味
でございまして、ここにある経費は、この
公社
が
事業
をやって参ります上に必要な一切の経費を含むわけであります。従いまして、固定資産等を除きました分は、補助金で行なっていく、こういう趣旨でございます。一千万というように非常に少いのは、初年度におきまして固定資産的なものに多くを要しないから非常に少くなっておりますので、将来は、固定資産的なものは出資でまかない、
運営
費及び固定資産的なものでも短期償却の可能なものは、補助金でまかなうというような趣旨でございます。補足
説明
をいたします。
小平久雄
106
○小平(久)
委員
最後に、
開発
促進法の
関係
で一点だけ聞いておきたい。これは大体手続的なことですから問題ないと思うのですが、一番重要なものは、何といっても租鉱権の設定の
関係
だろうと思うのです。
ウラン鉱
あるいは
トリウム
鉱が、他の
鉱物
と競合しておるわけですね。そのときに、決定の
基準
があるししますが、
トリウム
鉱あるいは
ウラン鉱
が相当程度あって、それだけでも
事業
が成り立つという場合に、しかし
ウラン鉱
、
トリウム
鉱を
目的
としてやるよりも、むしろ他の
鉱物
の方が経済的だ、利益もあるというような場合の調節ですね、そういう点は実際問題としてどんなふうにおやりになるおつもりなのか、その一点だけ伺っておきたい。
松尾金藏
107
○松尾
政府
委員
ただいま御
質問
のございました点は、実際の問題にぶつかったときの事実認定の問題で、あるいはかなり判断も容易ではない場合も存するかと思いますが、
考え
方といたしましては、そのような
ウラン鉱
、
トリウム
鉱とそれ以外の
鉱物
が競合する場合は、国家経済的な見地から判断をいたしまして、特定の場合、
ウラン鉱
、
トリウム
鉱を採掘するよりも、それ以外の
鉱物
を採掘する方がさらに重要であり、また
事業
遂行の上からいってもその方が必要である、それを阻害してまでも、
ウラン鉱
、
トリウム
鉱を採掘することは全体経済の上から不合理であるというような認定がかりにつきますれば、その決定の
基準
に従いまして、そのような場合までも押して租鉱権の設定をすべきではないということになると思います。その判定は事実認定の問題でございますから、そういう
考え
方になっておるということで御了承願います。
有田喜一
108
○
有田委員長
岡良一君。
岡良一
109
○岡
委員
日本
原子力
研究所の敷地が武山にということに、
原子力委員会
の方でも御決定いたされました。私
ども
も心からその御決断に敬意を表しておりました。ところが、その後の
経過
、特に
政府
部内における
経過
を新聞を通じて察しまするに、
原子力委員会
の決定がなかなか容易に実現され得ないような憂いを抱かざるを得ないような事態になって参りました。そこで、特にこの問題に深い関心を寄せておられる防衛庁長官また官房長官、あるいはそれにかわる責任者の出席を求めまして、
政府
の明確な御所見、御方針を承わりたいと存じておったのでありまするが、防衛庁長官もお帰りになられたようでありまするし、官房長官の方では御出席が不可能ということでありまするので、私のただしたい
目的
は、結局不可能な
状態
になりました。そこで、いずれ次の機会にこの点を明らかにいたしたいと存じておるのでありまするが、それにつきましても、一応前提として、この問題についての正力国務大臣の御見解を承わっておきたいと思うのであります。新聞には、
原子力
研究所の敷地について、いろいろ
政府
部内においても御意見があるやに伝えられておるのでありまするが、その真相はいかがなものなのでありましょうか、その点を承わりたいと思います。
正力松太郎
110
○正力国務大臣 先刻、今までの
経過
を一通り申し上げましたが、われわれは
原子力
を
中心
にやっております。閣議では、国家的
立場
からいろいろ論議せられております。
原子力
としては適当かもしれませんが、もっと国家的な
立場
では、ほかの方に必要じゃないかという議論が出、まだ決定したわけじゃないのです。
岡良一
111
○岡
委員
それでは、前会の
委員会
等でも御報告願ったことでもありまするが、この際確かめておきたいことは、
原子力委員会
法の第三条に、内閣総理大臣が
原子力委員会
の決定について
委員会
から報告を受けたときは、これを尊重しなければならないとなっております。そこで
原子力
研究所の敷地は武山にという
委員会
の御決定は、正式に内閣総理大臣に御報告になったのでございますね。
正力松太郎
112
○正力国務大臣 その通り報告いたしました。
岡良一
113
○岡
委員
第四条には、「
委員会
は、
原子力
利用に関する
重要事項
について必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて
関係
行政機関の長に
勧告
することができる。」とある。そこで、
委員会
といたしましては、
原子力
の利用に関する重安
事項
、特に新たに発足しようとする
日本
原子力
研究所の敷地の問題は、ものがものだけに、きわめて重要なる
事項
だろうと私は思います。これが選考
委員会
等の議を経て、科学的に、技術的に、最適地として武山が選ばれた。そうして
委員会
は、武山を最適の敷地として内閣総理大臣に御報告になっておられる。とすれば、当然最適地としての武山に
日本
原子力
研究所を建設すべきである旨を、
関係
行政機関の長に
勧告
することができるわけです。この手続は、具体的におとりになったのでございますか。
正力松太郎
114
○正力国務大臣 それはもちろん話し合いをしてありますが、閣議の問題になったのは、
原子力
の
立場
からは最適地だが、国家全体から見ると、防衛庁の
立場
もあります、その他いろいろの
立場
もある、それで論議されたのであります。
岡良一
115
○岡
委員
私がお尋ねをしておるのは、閣議で問題になるとすれば、やはり
法律
の権限に基く
勧告
なり手続を経て、そこで閣議として問題になるのじゃないでしょうか。ただプライベートな懇談的な意見が閣議で出ている、そこで正規な手続以前に問題があいまいに残されてくるということは、私は筋が通らないと思うのです。従って私はこの手続は当然おとりになるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
正力松太郎
116
○正力国務大臣 別に書面ではやりませんけれ
ども
、話はしておいたわけであります。
岡良一
117
○岡
委員
書面でなさらなくても、少くとも閣議である以上、正力国務大臣は
原子力
委員長
として、この決定について正式に発育をなされたのでありますか。
正力松太郎
118
○正力国務大臣 もとより私は、
委員長
として閣議で申したわけであります。
岡良一
119
○岡
委員
そこでけさ新聞を拝見いたしますると、十六日の閣議では、
関係
閣僚のいろいろな御意見がありました。正力国務相の御意見は、われわれも大へんもろ手を上げて支持をいたしておるのです。船田防衛庁長官は、防衛庁としては数年前から武山をぜひほしいと
考え
て米側と交渉しておった、
原子力委員会
と争うわけではないが、この問題は、単に
原子力
だけでなく、国策的な見地から
考え
るべきであるという御意見を発表されておるわけであります。十六日の閣議におきまして、防衛庁長官から、このような御発言があったのでございますか。
正力松太郎
120
○正力国務大臣 先刻
志村委員
から話がありまして、防衛庁長官はすでにその通り答弁いたしております。
岡良一
121
○岡
委員
そこで私お尋ねをいたしたいのであります。これは正力国務大臣の御見解を承わりたいのでありますが、国策的な見地から
考え
るべきである、今、
原子力
委員長
もそう申されました。なるほどその通りだと思います。しかし私がお尋ねをいたしたいことは、防衛庁としては、やはり防衛庁の何らかの施設なりのために武山がほしいという
考え
から、武山を防衛庁の使用する土地として前々からこれを要求しておられた、米側に交渉して、三年の間に二回断わられておる、防衛大学あるいは術科学校ということで断わられておる、ところが今度いよいよ
日本
原子力
研究所を作ろう、それならば、半分をやってもいいという内意が伝えられた、ところが国策という言葉が最後に出てきておるのですが、防衛庁は何を根拠に国策と言われるのか、また国策と言われることをあなたは御承認になっておられる、何を根拠に国策ということを御承認になっておられるのですか。
正力松太郎
122
○正力国務大臣 ただいまの御
質問
には、防衛庁長官が返事すべきことでありまして、私は少しどうも……
岡良一
123
○岡
委員
いずれ防衛庁長官に御出席を願って確かめたいのは、今年の
予算
では、武山に防衛庁に関する敷地を設定する
予算
は一銭も計上してありません。すでに
予算
は
国会
を通過しておる。従って何年先のことかわからないが、必要であろうというそういう不確定な、きわめて非公式、権威のない意見というものが、
原子力委員会
の公的な決定に基いて内閣総理大臣にまで報告されておるという意見に対して、
拘束力
を加えるということは、私はあり得ないと思う。その点いかがでしょうか。
正力松太郎
124
○正力国務大臣 防衛庁長官の問題でありますから、あまり人のことを私は申し上げたくありません。
岡良一
125
○岡
委員
そうじゃないのです。そういう
予算
にも計上されておらない、いつそれが使用に供されるのかもわからないようなことを、しかも三年前から二度も断わられているものが、さて
アメリカ
側から、
日本
原子研究所の敷地としてならば、三十万坪程度は提供してもいいといううれしい内意があったわけですね。ところが、今度は横から出てきて、国策という看板を振りかざして、
原子力
だけの問題ではない——先ほどのあなたの御答弁によると、
原子力
だけじゃない、やはり国際的な点からも
考え
なければならぬというので、大きく譲歩されたということじゃありませんか。そういう
予算
にも計上されない、いつ執行されるかわからない不確定な事実をもって、しかも三年前から二度も断わられておるという事実もあなたはよく御存じのはずだと思う。にもかかわらず、国策という文字で——これは横車じゃありませんか。横車が出てきたときに、なるほど国策上はそれももっともかと納得されたようなことをさっき言われた。これではぼくは
原子力
委員長
はお勤まりにならぬと思うが、いかがでしょう。
正力松太郎
126
○正力国務大臣 防衛庁長官のしかられる分まで私がしかられまして、大へん恐縮です。とにかく防衛庁長官があのくらい主張なさるからには、何かかたく信ずるところがあると思いますから、どうか防衛庁長官にお聞き下さい。
岡良一
127
○岡
委員
どうも困りました。しかし防衛庁長官については、本年度の
予算
委員会
でも、昨年の
予算
委員会
でも、来年度の防衛計画、再来年のというように、すでにもう民間に公表されておる防衛年次計画の提示を求めているけれ
ども
、一向その提示がないのです。でありますから、防衛計画というものは、私
ども
はないと見るよりしようがない。そういうときですから、従って何らか確信があるなんていうことは、われわれ
考え
られない。そういう事実は、やはりよく
委員長
としてもおのみ込みでなければならぬ。それを何らか確信があるのだろうと言われると、どうも正力国務大臣は、
原子力委員会
の肩を持たれるのか、防衛庁長官の味方をされるのかわからないような格好になってくると思うのです。その点もう一ぺんはっきりした責任ある御所信を伺いたい。
正力松太郎
128
○正力国務大臣 私は
原子力
委員長
ですから、断じて防衛庁長官の肩は持ちません。私は私の信ずるところを言うだけであります。
岡良一
129
○岡
委員
いずれ防衛庁長官に御出席願って、はっきりいたさなければならぬと思いますが、そこで、それでは、ここに書いてあるように、正力
委員長
としては、武山をぜひ
一つ
原子力
研究所の敷地にしたいという
原子力委員会
の決定、その既定方針をあくまで責任を持って貫く、そう言明いただけますか。
正力松太郎
130
○正力国務大臣 むろんそのつもりであります。ただし、武山は今
アメリカ
の代替施設の問題がありますから、これが正式交渉をして、かりにわれわれの
予算
で出ないようなお金だとできませんから、それだけは申し上げておきます。
岡良一
131
○岡
委員
これはもっともなことなんです。そこで、
委員長
の御発言というものの中に、ただし米軍は、代替施設として百万ドル程度のものを要求するという情報があると言われた。百万ドルといえば、なかなか大した経費と言わなければなりません。一体こんな情報は、
アメリカ
のだれが、どこを通じて出したのですか。
正力松太郎
132
○正力国務大臣 私はただ内報と申したのであって、責任ある報道じゃありません。しかし、いずれにしても、そういうことがほんとうかうそかということは、正式交渉をすればわかるのです。それだから、私は正式交渉をしたい、こう言うておるのです。
岡良一
133
○岡
委員
それでは、これも従来ともしばしばお尋ねをし、お願いもしておったのですが、とにもかくにも、
原子力
委員長
としては、武山ということで、日米合同
委員会
の正式の議題としてもう提示するのだという既定方針はあくまでも曲げない、日米合同
委員会
が開かれれば、当然代替施設はいかなるものかという希望と金額もわかりましょうし、また向うから提示されたものをうのみにしなければならぬはずもない。それなればこそ、交渉の場としての日米合同
委員会
があるわけです。そこでわが方としては、わが方の要求は、掲げてここに持っていく。そこで、何としても前段は、やはり
委員長
は毅然として、たとえいかなる実力者が動こうとも、
原子力委員会
の決定をま一文字に掲げて
一つ
進んでいただくという御決意があるかを、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
正力松太郎
134
○正力国務大臣 それは当然のことであります。むろんそのつもりでおります。
岡良一
135
○岡
委員
とにかく
原子力局長
の先般の御報告によれば、
原子力
研究所を作るからということですが、やはり何といっても
政府
対
政府
の話し合いなんですから、おそらく
アメリカ
大使館だって、ワシントンの方に電報照会を全部しているでしょう、そして半分くらい譲ると言うてきておるのです。そこで
原子力委員会
が決定して、そして閣議に持ち出そうとしたら、いろいろな横やりが入ってきたということになっては、
日本
としても、
アメリカ
に対してもまことに不面目であり、
日本
の
原子力
行政の発足の門出に大きな黒星だと思う。そういう
意味
で、ぜひとも
一つ
そのことを貫いていただきたい。そういうわけで、この問題は防衛庁長官、特に官房の責任ある者にお出ましを願って、次会にもう一度
政府側
の所信というものをお開きもし、私
ども
の要求も強く訴えたい、こう思っておりますので、私の
質問
はこの程度で打ち切らしていただきます。
前田正男
136
○前田(正)
委員
ただいまの岡
委員
の
質問
に関連して、一言聞いておきたいのですが、現在閣議で相談されておる現段階というものは、総理大臣に
勧告
を
委員会
からした。その
勧告
に従って、
政府
としてはどう処理するかということであります。要するに、
勧告
に従って問題になってきますのは、代替施設の
内容
がはっきりしない。従って日米合同
委員会
に、正式に持ち出さなければならぬということから、合同
委員会
に持ち出して、
アメリカ
から返してもらうべきであるかどうかということを閣議で相談されておるのではないかと私は思っておるのです。何かさきの基本法によって
委員会
から
勧告
をした。その
勧告
に基いて、閣議では相談するという段階にまで至っていないのではないか。その前の、合同
委員会
に持ち出すべきであるかどうか、あるいは
アメリカ
に返還を求めるべきであるかどうか、こういうことについて、行政協定に基いて
政府
としての態度をきめて、そうして
アメリカ
に申し込みをしなければならぬ。その
政府
の態度をきめる閣議をしておられるのではないか、こう思うのですが、そういうように解釈してよろしいのですか。
正力松太郎
137
○正力国務大臣 その通りです。私先ほ
ども
申したように、岡
委員
から書面で手続したかどうかとのお尋ねでしたが、まだそんなことはしておりません。私は口頭で申しただけであります。
前田正男
138
○前田(正)
委員
そうしますと、要するに、返還を求めるべきかどうかということを
政府
としては協議した、こう解釈いたします。
有田喜一
139
○
有田委員長
他に御発言はありませんか。——御発言がなければ、この際、お諮りいたします。 ただいま審議いたしております
核原料物質開発促進臨時措置法案
に関し、商工
委員会
より連合審査会を開会いたしたい旨の申し入れがありました際は、商工
委員会
との連合審査会を開会いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
有田喜一
140
○
有田委員長
御異議がなければ、さよう決定いたします。 本日はこの程度にいたし、次会は、明後日十九日、午前十時より開会いたし、
質疑
を続行いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十八分散会、