○
岡委員 せっかくおいでを願ったのだから、少し謙虚な気持でお教えを願う、別に正力さんの陪審官としておいでを願っているのではないから、誤解しないように願います。
先般も
藤岡さんにお尋ねをしたのでありますが、これは
湯川さんも
御存じだと思います。実は
アメリカの
原子力の平和利用に関する専門
委員会の報告というものが、一月三十一日に
アメリカの上下両院で
通りました。これを見ますると、とにかくその
内容としては、百万キロワットの
発電を海外においてすべきである、そのためにブロック的な地域
会議を開くべきだ、そしてその原料というものは
アメリカもできるだけ保障してやれということで、引き続きアイゼンハワーは莫大な
濃縮ウランの放出を言明された。そこでその
勧告報告を見ますると、こういうことが書いてある。要するにウラニウム二三三とプルトニウム二三九は、
アメリカ国内において回収する。そこで今
アメリカのこの平和利用の影響に関する専門
委員会の報告を、すでにその第一段をアイゼンハワー大統領は
濃縮ウランの大量放出という形で実施しておる。次に来たるべきものは地域
会議であり、そして動力用の
原子炉あるいはその
実験炉というものを、これまで
アメリカと相互に
濃縮ウラン受け入れ協定を結んでおる国々に対して作れと言うことも必至だと私は思う。そういう
事態になったときに、専門
委員会の報告のように、プルトニウムとウラン二三三というものを米国内において回収する、こうなっております。そこで私はお伺いをいたしまするが、まず学問の進歩、特に
日本の
原子力の発展という観点から、私は
発電炉に関してはやはり増殖炉の問題が必要だと思う。それに不可欠な問題は、プルトニウムだと
承知している。あるいはウラニウム二三三、これを
アメリカ国内において回収されるということでは、
日本とすれば、今後
日本の
科学者の御
研究によって、国産的な、しかも能率的な
原子炉を作ろうとしても、この協定によっては、少くともプルトニウムなりウラニウム二三三を燃料とする増殖炉の
研究というものは、
アメリカ国内において回収されるというのであるから、これはほとんど不可能だということである。しかも一方においては、軍事的に見れば、プルトニウウは何といっても特殊分裂核物質として、
アメリカでも特別な
機密保護のもとに置かれておる。純粋に軍事的利用における不可欠な燃料となっている。これでは
日本で動力用の
実験炉を動かして、そこで生産されたものが
日本の学術の進歩のためにもならなくなる。一方またかえって
日本が、巨大なる資本を投じながら、
アメリカに核兵器の原料を供給するという結果になる。しかもそれが厳重なる
機密のもとにあるということならば、なおさらのこと、こういうようなことが起り得る。
アメリカの意思はもうそこまで来ている。これを受け入れるということになれば、今申しましたように、
日本は軍事的利用というものに——
日本自体においては軍事的な利用のために操作はしないにしても、事実上、結果においては軍事的利用に協力をするという形になっていく。プルトニウムを作ってあげる、しかも
日本の資本でそれを作る、一方
日本の学術的な
研究というものは、ウラニウム二三三やプルトニウムを全部
向うに移されてしまうということでは、何ら進まない。こういう
内容を含む
動力協定というものは、基本法にかんがみても断然拒絶すべきものだと私は思うのですが、この点についての御所見はいかかでしょう。