○中曽根
委員 次に伺いますが、
敷地の件であります。今まで社会党の御議論を聞いてみると、
武山に非常に固執しておられるようである。また学者の一部も
武山をお
考えになっておるようであります。私はこれは必ずしも悪いことではないと思う。しかし海岸というものにあまり固執する
考えは、私は必ずしもいいとは思わぬ。現に各国の原子力の総合
研究所はみな内陸にあって、海岸にあるところは
一つもありません。たとえば米国のオークリッジにしても、あるいはアルゴンヌにしても、あるいはブルックヘヴンにしても、あるいはハンフォードの工場にしても、みな内陸にある。大西洋岸、太平洋岸、メキシコ湾岸にある
研究所は
一つもありません。どうぞお調べになって下さい。このことは、総合研究、
実験原子炉の段階においては、必ずしも海が必要でないということを
意味しておる。英国においてもハーウェルの
研究所はロンドンの近くにあります。あるいはフランスのサクレーもそうです。パリから一時間半ばかりのところにある。ノルウェーのキラーにしても、都市の中にある。ソ連のことは知りませんが、
藤岡さんの話だとモスコーの近辺にあるということで、これも海岸にはない。従って世界中のどの総合
研究所を見ても、海岸にあるというところはない。それは必須
条件ではないと思う。こういう具体的実証からしても、海岸というものにあまり固執される必要はないと私は思う。けさある学者の論文を
新聞で見ましたけれ
ども、
原子力研究所のリポートを読んでみますと、こういうことが書いてあります。これは
正力さん、よく読んでいただきたいと思いますが、「当初
土地選定のためいくつかの
条件が掲げられていたが、これを全部満足せしめるということは困難であるばかりでなく、相矛盾するばあいもあるので、最近では、例えばイギリスのハウエル
研究所とコールダホール発電所、フランスのサクレー
研究所とマルクール発電所のように基礎研究を行う処と、発電試験炉を置く処は、分離せざるを得ないかも知れないという
考え方に傾いて来た。大体実験炉程度のものであれば左程広大な
敷地でなくとも環境汚染を皆無に近く防止可能であり、水の所要量もそう大きな量ではないという見透しがついた。」こう書いてある。これは
研究所でいろいろ御研究になった学者の
結論であると思うのでありまして、分離することが
一つと、それから環境の汚染も科学技術によって防止が可能であるということ、それから水はそう大量のものは実験炉の場合は要らぬ、こういう
結論がこのリポートに出ております。これはやっぱり外国の総合
研究所をいろいろ御研究なさった
結論であるのであろうとは思う。発電原子炉は、英国では海岸にあります。これはコルダーホールやその他はそうであります。しかしフランスの場合は、ロアール川の渓谷にこれから作ると言っておる。これは内陸であります。あるいは、ソ連の場合はモスクワの近辺だとこれも文献に書いてある。これは必ずしも海岸でない。従って今までの情報というものは、
日本にはまだあまり来ておらぬのであって、一般に海岸や水が大量に必要とされるという
考えは何か誤解がある、これは研究不十分なのじゃないかと思う。そういう点から見て、
正力さんまたは
佐々木局長より、二つに分離するというこのことについて、まずあなた方のお
考えを承わりたい。