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1956-03-07 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月七日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 椎名悦三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 前田 正男君 理事 南  好雄君    理事 岡  良一君 理事 志村 茂治君       稻葉  修君    加藤 精三君       小平 久雄君    須磨彌吉郎君       橋本 龍伍君    山口 好一君       岡本 隆一君    佐々木良作君       田中 武夫君    原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君  委員外出席者         総理府事務官         (原子力局総務         課長)     島村 武久君         総理府技官         (原子力局管理         課長)     堀  純郎君         参  考  人         (財団法人原子         力研究所理事) 久布白致君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本原子力研究所法案内閣提出第九三号)     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  日本原子力研究所法案議題といたし、この際政府より資料説明を求めます。齋藤政務次官
  3. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 資料説明は詳細にわたりますので、堀説明員より説明を申し上げます。
  4. 堀純郎

    堀説明員 では、資料説明をさせていただきます。  お手元に参っております日本原子力研究所事業計画という大きいつづりがございますが、これから説明を始めます。これに、研究所目的その他書いてございますが、これは原子力基本法並びに日本原子力研究所法に定められたことを書いてあるものであります。設立の年月日は未定でございますが、近く設立される予定であります。  それから事業の概要といたしまして八項目ほど掲げてございますが、これは原子力研究所法に定められる事業を行う予定でございまして、原子力基礎研究応用研究原子炉設計建設及び操作技術者並び研究者養成訓練放射性同位元素輸入生産及び頒布、原子力に関するいろいろの資料の収集、それからこれらの研究その他の成果の普及、そのほかこれらに附帯する業務、こういう仕事を行う予定であります。  これを具体的に事業計画として御説明いたしますと、まず原子力をどういう目的開発するかということはすでに御承知の通りでありまして、最大の目標は、エネルギー需給の不足を打開するということでございまして、従って原子力研究所が行います原子力研究目標も、第一目標は、原子力発電というものに置いております。しかし原子力発電だけではなくて、これとあわせて、ラジオアイソトープ利用、その他の生産並びに利用研究を行うということを目途としております。それからこれらの研究を行います具体的な研究計画は、実は原子力委員会方針を決定する筋合いでございますが、ただいまのところまだその段階に手が回っておりませんので、一応昨年原子力利用準備調査会において決定いたしました原子炉築造計画に従って研究を進める予定に一応いたしております。しかしこれは原子力委員会方針の再検討があれば、当然計画が変るものでございます。それによりますと、三十三年度末に国産実験用原子炉を作るということと、三十四年度動力試験用原子炉を作るというようなことを目途といたしまして、自主的に原子力開発をするというような計画を立てております。  その原子炉設置計画をさらに具体的に申しますと、一ページの下の方の(b)に書いてございますように、三十一年度内にウォーターボイラー型一基を購入いたし、同年度内にCP5型一基を注文いたすということが先般の閣議で決定されておりまして、こういうことをまず手始めに着手することになっております。これに使います原子燃料といたしましては、濃縮ウランが必要でございまして、これは先般締結を見ました日米原子力協定によって貸与を受ける予定にいたしております。そのほか順次、国産炉動力試験炉を築造して参るのでございますが、これらの原子炉がどういう目的に使われるかということを簡単に御説明いたしますと、ここに書いてございますように、まず最初に備えますウォーターボイラーというきわめて小型の原子炉設置目的は、技術者訓練や、いろいろな制御測定に関する実験でございます。そういうものに関する基礎実験並びに放射性同位元素ラジオアイソトープ実験的な生産——経済的生産ではございませんで、研究的な生産、こういう三つをおもな目的にいたしておるのでございます。それから二番目に設置するCP5型実験用原子炉は、いろいろな原子炉に使う材料試験を行う。もう一つは、ラジオアイソトープを、研究的段階よりは多少実用的段階に至った生産を行う目的であります。それから三番目に作ります天然ウラン重水型実験用原子炉は、日本独自の、日本国内開発いたしました自分の技術原子炉を作るというものでありまして、そういう目的建設いたします。これによりまして、いろいろな原子炉に関する構造の試験とか材料試験とか、そういうものを行う予定であります。自主的に日本原子力開発をいたしますのに一番問題になるのは、この国産原子炉をいかにして作るかという問題でありますが、この国産原子炉に必要ないろいろな資材は、三ぺ−ジ目の上に表がございますが、こういう順序によって、一部は輸入によらなければなりませんが、一部は国産で間に合う予定にいたしております。それから四番目には動力試験炉を入れますが、これは三十三年度の初めに大体その計画を立てて、三十四年度じゆうに建設を完成する予定であります。これによりまして、三十四年度じゆうに日本で初めて原子力発電試験的に行われることになりますが、この電力は、もちろん一般の送電網に連繋して、需用に供することができると考えております。  それからこの表では多少前後いたしますが、今申しました四つの原子炉築造計画を表にいたしましたのが、第二ページ目に書いてありますような表でございます。これは左が原子炉の名称でありまして、出力それに必要な原子燃料の数量、それからそれの築造計画を各年次、上下両半期に分けて書いてございます。以上で原子炉築造計画説明を終ります。  次は、研究計画でございます。これにはいろいろな研究が必要でありまして、基礎的ないろいろな研究を必要といたします。さらに原子炉ができますと、この原子炉を中心にいたしまして、いろいろな研究並びに原子炉設計に必要なデータを得るというような研究を進めたいと思っております。その詳細は、そこに羅列してあるような内容でございます。  それからこれらの必要な人員をどういうふうにして得るかという問題でございますが、これは(b)というところに、人員充足計画といたしまして、毎年度百五十名程度充足して、各年ふやしていきたいというような計画であります。  それから次に、これらの研究に必要な金がどれくらい要るかということでございますが、これはまだ具体的な計画が立っておりませんので、ほんの試算で、ございます。まだ大蔵省に相談しておりませんが、四ページに掲げたような程度の金が要るのではないかと考えております。これは一応出資補助金に分けてございますが、そう厳格なものではありません。これを合日計いたしましたものが、初年度十億くらいになっております。このうち、一億は土地現物出資を金に換算しておりますが、実際の出資並びに補助金は九億、そのうち政府が出す金が七億、これは国立研究所として原子力研究所の予算に大体七億をさいておりますが、民間出資一億くらいを一応考えております。これも確たる数字ではありません。そのほかに国庫負担行為を見返りといたしまして、三億程度の借入金ができるのではないかと考えております。それを合せました十三億、これくらいの金が初年度事業量として要るのではないかと思っております。次年度以降は、非常な概算でありますが、ここに掲げましたように、昭和三十二年度は三十四億くらい、その次は八十億くらい、その次は五十億くらいの金がいるのじゃないかと考えております。それがどういうふうに固定費産になり、かつ流動資産になったりして消えていくかというこまかいことは、あとにいろいろ表がついておりますが、  この表の通りで、一応そういうごくおぼろげ数字を算定しております。  続いて、研究所内容について御説明いたします。お手元に「財団法人原子力研究所の現況について」というプリントが参っておると思います。これに書いてございますように、財団法人原子力研究所は、昨年十一月三十日に発足いたしまして、石川理事長以下そこに書いてあるような副理事長常務理事その他の役員で構成されておりまして、その内部組織は、二ページに出ております。ように、常務理事のもとに各部を置きまして、さらにいろいろな研究グループに分れております。現在のところ事務系統の要員が四十三名と技術系統が十七名、合計六十名の職員が奉職しております。これをさらに増員して参る計画で、この三月末には、百二十名程度になる予定でございます。  これまでいたしました仕事として一番大きいのは、まず建設計画を進めることでございまして、そのうち特に原子力研究施設を置く場所を選定いたしますために、土地選定委員会というのを作りまして、数度にわたって審議現地調査を行なって参っております。その結果は、原子力局に報告が出て参っております。  それから研究設備につきましては、先ほど全般の計画でも申し上げましたが、ウォーターボイラーという原子炉を近く発注する予定でございます。このために、先般職一具を渡米させまして、いろいろな設計その他について打ち合せを行なって参りました。近く契約を結ぶ段取りになっております。そのほか大きな研究施設としてヴアン・デ・グラフという機械がございますが、これは世界のおもな原子力研究所にはどこでも全部ついておりますが、これの購入についても、打ち合せを行なっております。  それから、建物その他につきましては、ただいまのところまだ土地がはっきりいたしませんので、建設には至っておりませんが、設計その他を進めております。  研究所で考えます研究項目といたしましては、もう一つプリントで、横書きで三十一年度研究部項目、下に財団法人原子力研究所と背いたのがございますが、これでは、第一年度で各グループがどういう研究を行うかということを、原子炉、物理及び計測、化学化学工学材料放射線障害、建一帥双等分の基礎研究動力炉基礎調査、こういう若干の項目に分けて記載してございます。その内容はごらんの通りでございます。  以上であります。
  5. 有田喜一

    有田委員長 以上をもって、資料説明は終了いたしました。質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。岡良一君。
  6. 岡良一

    岡委員 財団法人原子力研究所についてですが、これは昨年十一月三十日に財団法人として発足いたしております。ところで、新聞紙等で今年の春伝えられるところによれば、この財団法人原力研究所は、アメリカ国に対して、天然ウランあるいは重水等の買い入れについて、極秘のうちに交渉を開始した、返事が来て、天然ウランについては目下考慮中であるが、重水についてはその価格までも明示されて、引き渡す用意があるとして、その数字をも示されておったわけです。こういう事実はあったのでございますか。
  7. 正力松太郎

    正力国務大臣 今の点は、私はまだ何にも聞いておりませんから、事務当局から一つ……。
  8. 堀純郎

    堀説明員 お答えいたします。ただいまの重水天然ウランでございますが、これは原子力研究所研究計画に、専門言葉で申しますと、エクスポネンシアル・エクスペリメントという研究計画がございまして、これにはどうしても天然ウラン重水を必要といたしますので、そういうものを取得したいという希望がございまして、原子力付から、外務省を通じまして、向う政府意向を聞いてみたことはございますが、原子力研究所が直接向う交渉したことはございません。
  9. 岡良一

    岡委員 しかし、それにいたしましても、原子力研究所の運営上必要に迫られて交渉になったわけですね。それはいつなされたのでございますか。
  10. 堀純郎

    堀説明員 この一月でございます。
  11. 岡良一

    岡委員 その辺が私は非常にあいまいな気がいたすのであります。濃縮ウランの受け入れに関するアメリカ合衆国日本国政府との協定第四条には、「合衆国原子力委員会によって代表されるアメリカ合衆国政府は、供給が可能であることを条件として、かつ、相互間の合意によって、日本国政府又は同政府が授権するその管轄の下にある者に対し、市場で入手することができず、かつ、日本国における研究用原子炉建設及び操作に当り必要とされる原子炉用資材を適当と認める機関を通じて売却し、又は賃貸する。」云たとあるわけです。そこで、新聞紙では、財団法人原子力研究所市場で入手できないために、直接アメリカ政府交渉した、御工説明を聞けば、原子力局としてされたということなんですが、しかし、事実上はやはり原子力局研究所がされたと同様なことではないかと思うのです。そうすると、原子力研究所が、この協定のいわゆる授権された者とみなされているのかどうか。その点が、手続としては一応整っているようではあるが、事実上、少し行き過ぎているのじゃないかという感じが実はいたしたのです。その点はどういうことなんでしょう。
  12. 島村武久

    島村説明員 ただいま岡委員から引用されました日米間の原子力の非軍事的利用に関する協力のための協定でございますが、原子力研究所に使いますために、軍水あるいは金属ウランにつきまして、原子力研究所研究のために必要であるというところから、アメリカからこれを得たいという希望は前前からあったわけでございます。果してこの協定とどのような関係に立つものであるか、ただいまおっしゃいました市場で入手することができないものとして、この協定に従って購入あるいは貸与を受ける性質のものであるか、あるいはそうでなくて、協定外として重水等も売られておるような、あるいは売ることができるようなこともあるかもしらぬというようなことで、その間の事情を聞いておったわけであります。先ほどおっしゃいましたように、当然この協定に伴うものとしてやります場合に、原子力研究所が単独でアメリカ交渉するかというようなことがありますれば、これは少し行き過ぎということも考えられるわけでございますけれども、先ほど堀説明員からも申し上げました通り外務省を通じまして、正式に向う意向を尋ねておるわけでございます。原子力研究所として行き過ぎというふうには考えておりません。またその内容につきましては、一月に原子力委員会が発足いたしました後に、研究所からもその必要性につきまして委員会委員方々説明をして、原子力委員会におきましても、重水および金属が、研究上、原子炉購入に先だって必要であるということが認められておるわけでございます。先ほどの手続の問題と関連いたしまして、いずれから見ましても、原子力研究所行き過ぎたことを行なっておるというほどのことではないというふうに考えております。
  13. 岡良一

    岡委員 重水あるいは金属材料等については、自由な市場において取引がされるのでしょうが、天然ウランはなかなかそう容易にはいかないのじゃないですか。相当輸出等についてもアメリカの規制を受けておるのでしょう。
  14. 島村武久

    島村説明員 御説の通り天然ウランにつきましてはもちろんでございまして、その後確かめておるところによりましては、重水も同じように、この協定によって、アメリカとしては日本に供給したいという考えであることが、現在までにわかっております。
  15. 岡良一

    岡委員 そうすれば、今度われわれが審議をしておる原子力研究所が発足して、初めてこれが授権された相手方として、アメリカ国政府を代表するアメリカ国原子力委員会との間に、天然ウラン重水その他必要な資材等についての取引が開始される、こういうことになるわけですね。
  16. 島村武久

    島村説明員 ただいまおっしゃいましたように、この法律が成立いたしまして、現在の財団法人原子力研究所日本原子力研究所に移りかわりました際に、入手し、かつそこで使うものであることは間違いございません。しかしながら授権されたという協定言葉を引用せられましたが、成立していないうちでも、成立を見越して、原子力研究所に使わせるということでなしに、現在の財団法人原子力研究所に使わせたいがという趣旨で向うに話をいたしておるわけでございます。
  17. 岡良一

    岡委員 これは、使用される場合には、授権されたものでなくても使用するとこができる。しかし、それについては、アメリカに対していろいろな保障を与えなければならない、そういう手続になっているのじゃないですか。
  18. 島村武久

    島村説明員 御質問のように、まだ詳細判明いたしませんけれども、この協定に基いて行われます限り、最小限度保障ということが必要になって参りますことは当然でございまして、これは日本国政府責任において向うに約束するということになるわけでございます。
  19. 岡良一

    岡委員 そうすると、先ほどのお話では、日本原子力研究所が発足するということで、そのために国産的な原子炉築造等についても、いろいろ材料として天然ウラン重水その他が必要である。そういうかけ合いを一月以降なされたということになれば、当然原子力委員会発足後なされたことになる。この問題は、原子力委員会としては重大な案件ではないかと思うのです。原子力委員会は、この問題を正規な案件として取り上げられて御討議になり、その決定を待ってこのような手続をとられたのか、寡聞にして私はそういうことがあったことを知っておらないのですが、その間の事情を御説明願いたい。
  20. 島村武久

    島村説明員 アメリカに対しての金属ウランあるいは重水を供給してもらいたいという研究所希望は、原子力委員会としても検討されたわけでございまして、その結果、先ほど申し上げましたように、研究所が将来原子炉を築造してやって参りますのに先だちまして、そういうような研究材料が必要であるということが委員会によって認められておりますので、その結果を原子力局から外務省に通牒をいたしまして、外務省を通じて交渉してもらっておるということでございます。原子力委員会ができておりながら、原子力委員会を抜きにして、原子力川あるいは外務省だけでそういうことをやっておるということでは決してございません。
  21. 岡良一

    岡委員 財団法人原子力研究所が、人事問題で独走しているというような世の批判もございますので、まことに執拗な話でございますが、何日の原子力委員会においてこのような問題が議題として討議されたのか、議事録等も含めて明日でも御提出願いたい。  それからもう一つは、この財団法人原子力研究所について、いろいろ新聞等を通じますと、いわゆる独走というような批判があるようですが、たとえば原子力研究所研究員推薦についても、そういう批判が一部にあるようです。せっかく財団法人原子力研究所日本原子力研究所が引き継ぐわけですから、してみれば、やはり日本原子力研究所そのものへの批判にも相なろうと思うし、またそれらの批判が事実であるとすれば、日本原子力研究所の今後の運営、特に技術者整備等においてもいろいろ問題が起りはしないかと思う。要するに、批判というのは、たとえば各大学のそれぞれ信頼のできる教授の諸君に対して、その原子力研究所研究員と申しましょうか、その推薦を依頼する。一方ではまたそういう信頼し得るに足る人たちを通じて、適格であるかどうかを審査する機関を作る。ところが審査する機関は作ったけれども、事前にすでに人を委嘱し、推薦を待っている、また応募者を待っている、そして採用者も何十名かきめてしまうというようなことがあったので、せっかく委嘱されて、その審査に当ろうとする機関意向が無視された。ここにも一つ独走があるわけなんです。こういう人事の問題は、微妙であるだけに、周到にかまえなければならぬと思うのです。こういうような行き違いがあったのかどうかという点をまずお聞かせ願いたい。
  22. 島村武久

    島村説明員 研究所研究員人事につきまして、独走という傾向があるのではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、多分に誤解に基く点があるのではなかろうかと思うわけであります。研究所は、広く官民の協力によりまして、優秀な人材を集めなければならぬことは、たびたび国会でも御意見として伺っているところでございまして、研究所でも、研究員を集めます際には、各界の権威の方をお願いして選考委員になっていただいて、現在その選考が進められているというふうに承知いたしているわけでございます。何分にも昨年出発いたしまして以来、研究所の幹部になるような方々、あるいはその研究中核になられるような方々は、さような選考委員会を経て一般的に採用いたします以前においても、ある程度は必要なわけでございます。また特殊技術に属しまして、すでに学界あるいは技術界等におきまして定評のあるような専門方々は、そういう選考を待つひまもなく、すでに研究所職員として入っておられるわけでございますが、これはさような一般的な研究員の任用と区別して当然考えらるべきことでございまして、さような点があるいは一部に誤解を生んで、先生のお耳に入っているのかというふうにも考えるわけでございます。私どもといたしましては、人事の点でもきわめて公平に、優秀な人物を各方面から集ようとしておる研究所の行き方を認めておるわけでございまして、その点につきましては、きょう参考人として久布白さんも来ておられることでありますから、なんでございましたら、直接お聞き願ってもけっこうだと思うので、ございますけれども、私どもといたしましては、人平の点について、原子力研究所独走しているというふうには決して考えておりませんので、御了承願います。
  23. 岡良一

    岡委員 久布白さんは常務理事をしておられるわけなんですが、新聞紙にはこういう記半があります。昨年の十二月、理事長である石川一郎氏が、個人名で各大学学長あて研究所員推薦方を依頼したとありますが、こういう事実はありますか。
  24. 有田喜一

    有田委員長 この際お諮りいたします。財団法人原子力研究所常任理事久布白致君参考人といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 有田喜一

    有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。久布白参考人
  26. 久布白兼致

    久布白参考人 それでは、私から御説明申し上げます。これは研究所理事長として、各大学研究所及び財団法人を設立いたしますときに協力していただきました各関係会社の各部門に対して、推薦方をお願いしたわけであります。
  27. 岡良一

    岡委員 財団法人原子力研究所がその研究員を委嘱になることは、ちっとも悪いことではないと思うのです。ただ、すでに日本原子力研究所が発足するということは、既定の事実なんです。しかも十二月には、一月一日から原子力委員会が発足しようとすること、これも既定の事実だったのです。このようなほとんど確定的な事実を前にして、財団法人原子力研究所理事長が、個人であろうとなかろうと、そういうことをされるのはおかしい。当然原子力委員会は、原子力研究所人事に対しては重大な責任を持たなければならない性質のものなんです。原子力研究所の将来中核体となる所員を選ぶのですから、原子力研究所としても、当然重大な責任事項なんです。こういうすでに原子力委員会ができる、原子力研究所ができるという既定の事実を前にして、十二月も押し詰まってからこういうことを出されるということは、私は筋が通らないのじゃないかと思うのです。その点についてはどういうふうにお考えですか。
  28. 久布白兼致

    久布白参考人 御説明申し上げます。財団法人原子力研究所が正式に許可を得まして発足いたしましたのは、十二月二日でございます。それから事業計画研究計画、あらゆるものを急速に整備しようということでスタートしたわけでありまして、十二月の初めにスタートした財団法人研究計画につきましても、急速に準備すべく段取りをしたわけでございまして、あながち、委員会ができる前に、できることを想定しまして、そういうことを準備すべきではないということではなく、原子力研究所に対しまして、いち早く推進せよという至上命令によって、そういうことを準備したわけでございます。何もそういうものを無視して、独走したということではないのじゃないかと存じております。
  29. 岡良一

    岡委員 それでは、財団法人原子力研究所は、一体何名の会員で、どれだけの資金を持っておられますか。
  30. 久布白兼致

    久布白参考人 財団法人設立当初のもくろみといたしましては、民間の寄付が大体二千七百万円、それからそれの四倍の借入金、それから政府補助金としまして六千四百万円、約一億九千六百万円の想定のもとにスタートをしたわけでございます。
  31. 岡良一

    岡委員 それだけの予算では、原子力研究所として十分な御活動ができないことは申すまでもないので、その結果、どこの国でも、原子力研究に対しては大幅な国費の交付なり補助があるわけです。もちろんそれは期待されておられると思うのです。そういう予算の資金の範囲内において、原子力研究所が将来は日本原子力研究所として発足すべきものであり、またすることがほとんど確定された事実となっておるときに、その研究所の運営の重大な人事の問題が、特に急いで中核となる人間を選びたいというふうなことで、原子力研究所財団法人段階においてきめられるということは、やはり行き過ぎではありませんか。
  32. 久布白兼致

    久布白参考人 財団法人と申し上げましても、これはやっぱり一応の研究を進めると定款にもうたわれておるので、ございまして、研究項目は、多少の変更はあるかと思いますが、細目については、ほとんどが似たようなことをやるという建前で財団法人が設立されております。もしそういうことをやらない建前で仕事をしたとしますならば、財団法人設立の必要がないはずでございます。将来の変更は別といたしまして、どこまでも、財団法人としてはそういう研究をやるという建前で設立をされておるわけでございます。そういうつもりで準備が進められたわけでございます。
  33. 岡良一

    岡委員 これは、まさかそういうこともないと思いますが、新聞の記事を見ますと、財団法人原子力研究所の所員採用条件は、身体強健なること、協調性のあることの二点だけで、その人間の学術的な能力は問題にしておらないと書いてあるのです。もっと的確な採用条件があると思うのですが、こういう機会にはっきりと、どういうことをお示しになって採用になったか、お伺いしたい。
  34. 久布白兼致

    久布白参考人 今のお話は、研究員の問題だと存じますので、少し質問の範囲外にわたるかもしれませんが、今までにどういうことを考えておるかについて申し上げます。現在選考委員をもってやっております方法は、大体苦い研究員の方が主でございまして、学校卒業後の閲歴といたしましては、卒業後数年の研究をされて、十年程度までというのが現在のおもなものでございまして、五年以したった方につきましては、研究歴はあるわけでございます。一応研究歴をつけていただきたいということで、研究歴をつけていただいておりますけれども、まだ卒業後年数の短かい方は、研究歴だけでは選考のできない面がございますので、これは選考に当りまして、学術試験まで課す予定でございます。そういうことで、全部学校の成績及び研究の閲歴及び学術試験というものをあわせて用いる予定でございます。研究歴の非常に古い方は、その研究歴によって選考したいということで進めておるわけでございます。その結果を選考委員会にかけまして、選考委員会では、事務的に、主任研究グループに委託し、今、調査をいたしておるところでございます。そういう状態でございまして、もちろん健康状態は従業員として非常に大切でございますので、必ず健康診断をいたしまして、健康が悪ければ採用しないことにしております。もちろんそれも重要なフアクターでありますが、どこまでも研究と成績というものが問題になるわけであります。
  35. 岡良一

    岡委員 私どもいつも心配しておるのですが、私どもは若い研究者をできるだけ集めてもらいたい。ところが、その待遇が国家公務員ということで縛られてくると、なかなか思うにまかせない。もちろん若い人は、月給が別に高くなければならぬとは思わないと思うのです。十分に、思う存分に研究がしたいというりっぱな意欲が満たされるか満たされないかというところに、足踏みをするかそこへ入るかの大きなけじめがあるわけです。そこで、現在原子力研究所として、すでに雇用をされた所員はどういう処遇を与えられておるのか、そういう御計画に基いてすでに何名御採用になったのか、大ざっぱなものでいいのですが、私はそういうところに非常に関心を持っているので、その辺を聞かせてもらいたい。
  36. 久布白兼致

    久布白参考人 それは資料に古いて、ございます通り、現在技術屋として十七名採っております。その内訳を詳しく申し上げます。そのうちの五名は、主任研究員的ないわゆるヘッドで、これは設立当時の委員会でおきめ願いました設立の準備室という形で、各種の大学の先生方及び研究所の主任研究員のおもなる方にお集まり願いまして、現在も御協力願っておるわけでございます。その中で所員になってもよろしいという方、五名が所員になっておる。その十七名の中には、主任研究員程度のかが五名、最初にきまっておったわけです。あとの十三名は、その準備室におきまして、いろいろの研究計画及び設立に対しまして準備をしなければならない。機械を買いますについて仕様書を古くとか、いろいろの折衝をするとかいう問題がございます。大学の先生方だけで、手足なしでは仕事が進みませんので、主任研究員が、自分の手足として必要最小限の人を十二人ほど推薦していただきまして、それを採用したのが、新聞に伝えられておるようでございます。その方は、今は実際の研究でございませんで、研究所を作るための準備、いわゆる事務的の作業を依頼しておるのが実情でございます。今後入れますのは、だんだん研究員になるわけでございますが、今のところまだ研究段階までいかないのでございまして、事務的な問題を進めるために、主任研究員の下に、最小限度の助手的な若い方を入れたというのが実情でございます。これからの研究員は、御承知の通りどんどんふえますので、ほんの一部が、主任研究員の作業的な手伝いとして入れられたということでございます。
  37. 岡良一

    岡委員 原子力研究所で処遇条件を引き継がなければならぬと思うので、その点を実はお聞きしたわけなんです。それから、大学の教授の諸君も少し偏狭だと思うのですが、どうも少し越権じゃないか。他から推薦をされても出さないぞというようなへそ曲りな教室があるのですか。あればどことどこですか。
  38. 久布白兼致

    久布白参考人 実は、それと私らの考えは逆だと思います。実際これから四十人ぐらいを選考いたしますが、どんどん引き続き来ておりまして、いつまでもきりがございませんので、一応二月までで締め切っておりますが、三百四十四人ございます。非常に多いので選考にひまを食いまして、実は音を上げておるところでございます。処遇について先ほど申し忘れましたが、大体特殊法人という意味もございまして、財団法人としてもよそ並みというような気分がございまして、学校出は、電源開発と同じ処遇をいたしております。
  39. 岡良一

    岡委員 電源開発と同様な処遇を与えると、とにかく日本原子力研究所がこれをそのまま引き継がなければならぬ格好になるわけですが、そういうことになるわけですか。これは齋藤さんどうです。
  40. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 今回提案いたしました日本原子力研究所法案によりますと、現在あります財団法人原子力研究所職員はそのまま引き継ぐということになっておりますから、待遇その他もそのまま引き継ぐことが原則だ、そう考えます。
  41. 岡良一

    岡委員 いろいろ不審に思っておった点も一応氷解したわけです。とにかく慎重にお願いしたいのは、やはりアメリカとの間にちゃんと協定を結んでいる以上、協定に基いて、その資格のある者、受験された者が正規な手続を経ることが必要だと思う。あるいはまた学術会議関係等は、これまでもやはりいろいろと意見の疎隔があって、あの一月の正力国務大臣の動力協定なんかで、もう新年早々大もめをしたりしておるわけですから、そういう点は間隙のないよう、周到にやっていただくということから、少しこういうことをお尋ねしたのです。原子力研究所もいよいよ晴れて日本原子力研究所へ今度は大きく発展的な解消をされるので、その間を、万人ひとしく納得し得る形でぜひともやっていただくことを希望いたします。いろいろお騒がせいたしまして恐縮いたしました。
  42. 有田喜一

    有田委員長 志村茂治君。
  43. 志村茂治

    ○志村委員 政府提出の日本原子力研究所法案について、まず最初に役員の任命についてお尋ねしたいのです。「理事長は、原子力委員会の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」「副理事長及び理事は、理事長及び原子力委員会の意見をきいて、内閣総理大臣が任命する。」こういうことになっておりますが、原子力委員会ができました今日、なぜ原子力委員会推薦という形をとらなかったか、その理由をお尋ねしたいと思います。
  44. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、御承知の通り原子力に関します全般的な基本計画は、原子力委員会で立案決定をするのでございますから、当然原子力研究所も、原子力委員会の決定の線に基いて諸般の研究を進めていかなければならぬと思うのであります。従いまして、理事長はあくまでも原子力委員会と一体をなす形をとらなければ、なかなか将来の研究原子力委員会の決定が十分に反映できない、さような見地から、理事長原子力委員会の同意を得てという程度にした方がよくないか。御指摘のように、原子力委員会推薦という形になりますと、いろいろな問題が起るのではないか、それよりも、政府としては、これが適当であるという人を選んで、特に原子力委員会の同意を得るということにした方が、原子力研究所に対する責任上からも適当ではないかと考えて、さようにいたしたのであります。それから副理事長及び理事は、理事長及び原子力委員会の意見を聞いてこれを決定する。これも軽い意味の同意と考えてさしつかえない。副理事長及び理事は、これまた理事長及び原子力委員会と一体をなしていかなければならないので、「副理事長及び理事は、理事長及び原子力委員会の意見をきいて、内閣総理大臣が任命する。」まあこのくらいで、原子力研究所の連行は一体化ができるのではないか、そういうような観点から、かように決定いたした次第であります。
  45. 志村茂治

    ○志村委員 これの十二条の法文の解釈からは、役員の選出についてのイニシアチブは、あくまで政−府がとるというふうに解釈されるのですが、そういうふうに解釈されるか、あるいはどのように解釈されるか、その点を明らかにしてもらいたい。
  46. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 この原子力研究所は、もちろん原子力委員会の決定した線に沿うて研究を進めて参りますが、行政的処置といたしましては、総理大臣の監督下に属しますので、こういう形の方が適当であると考えたのであります。
  47. 志村茂治

    ○志村委員 もちろん原子力開発の基本的計画は、原子力委員会でこれを決定し、内閣総理大臣がこれを尊重しなければならないというふうな規定になっておるのですが、ただ事業計画だけではなくて、ほんとうに民主的に運営しようとしたならば、研究員となるべき、あるいはその指揮者となるべき人事についても、原子力委員会がむしろイニシアチブをとるような形にしなければならないと私たちは考えておるのであります。そう申しますことは、原子力基本法にも書いてあります通り原子力開発は民主的に行われなければならない、しかも民主的に行うためだからといって、われわれは超党派であらゆる準備を進めてきたのであります。政府がイニシアチブをとる、政府といえば、いずれ政党内閣においては、一つの政党に属しておるのでありますが、その政府がその研究一つの大きな部面、半面である人事についてイニシアチブをとるということは、大きな疑問がある。でありますからして、われわれが原子力開発のための、ほんとうに民主的であり、超党派的であるとして作りました原子力委員会に、人事の面についてもイニシアチブをとらすべきであって、一党一派に属しておる政府がこのイニシアチブをとるということは、果して基本法にいっている民主的な運営であると解釈できるかどうか、その点疑問があるのです。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  48. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 この原子力委員会を設けました趣旨は、ただいま志村委員から御指摘の通りであります。超党派的に原子力問題を取り扱って、時の政府の権力によって左右されないために原子力委員会を設ける。しかし、原子力研究所は、行政的には総理大臣の監督下に入るのであって、この原子力研究所人事までも原子力委員会にゆだねることには、私はならないと思う。大局において、原子力問題は原子力委員会において超党派でやる、その同意を得て理事長を任命することになりますれば、私はそれで態勢は十分である、さように考えております。
  49. 志村茂治

    ○志村委員 問題は、その任命についてのイニシアチブをどこでとるかということでございますが、一歩譲って、理事長の場合は原子力委員会の同意を得る、同意がなければ任命できぬということであれば、それは相当強度なものだと考えられるのでありますが、副理事長以下平理事の場合においては、原子力委員会の意見を聞いてということになっております。意見を聞いてということは、意見を聞いた事実があればよろしいのであって、必ずしもそれに従わなければならないということはないというのが普通の解釈である。そういうようなことで、もし政府原子力委員会の意見に反して、ただ聞いたという事実だけによって任命されるということがないか、これをお聞きしたい。
  50. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 それは、御承知の通り原子力委員会の決定は、内閣総理大臣は尊重しなければなりませんので、原子力委員会の同意を求める場合に、不同意であれば、総理大臣はそれを尊重する。結局総理大臣が尊重しなければならないというところに五点を置いて、これで十分だと考えたのであります。
  51. 志村茂治

    ○志村委員 あまり議論はしたくないのですが、この委員会の副理事長理事の場合は意見を聞いてということになっておる。こういう表現の仕方は、意見を聞いたという一実があればよろしいというのが通例の解釈でありまし、う。そうしますと、同意の場合はそれでよいですよ。しかし副理事長あるいは理事の場合は、同意はなくても任命できるということに解釈できるのではないでしょうか、どうでし院一うか。
  52. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 その意見を聞いてきめるのでございますが、その間に意見の食い遅いがあれば、これは意見の食い違いに対するところの内閣総理大臣の一つ責任が出てくるわけであります。しかしこの原子力委員会を設けまして、超党派的に原子力の問題を推進していこうという建前から考えますると、理事長原子力委員会の同意を得て、これを任命するのであって、その何事長と原子力委員会が賛成の意見を吐かない者に対して、内閣総理大臣がしいてこれを任命するというようなことは、これは異例のことであって、そういうことは私たちは起きないと思います。理事長を任命するに際しましては、原子力委員会の十分な了解、同意を得てこれを任命し、さらに理事長原子力委員会との意見を聞いて、副理事長理事を任命する程度で、十分この間の万全を期し得られるという観点で、かようにいたしておるわけであります。
  53. 志村茂治

    ○志村委員 それでは、この意見を聞いてというのは、内容は同意と解釈してよいのですか。
  54. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 意見を開いてということでございますから、副理事長及び理事の任命に当りましては、十分理事長及び原子力委員会の意見を聞くのでありまして、なるべくその意見に沿うように努力するという意味に解釈していただいてよいと思います。
  55. 志村茂治

    ○志村委員 どうもはっきりしませんが、その意見を尊重するということは、尊重しなくても、意見に従わなくてもよいということを考えられるわけであって、特に今の原子力研究所において、研究員の選任等に当っては、協調的な人物を選ぶというようなことで、原力委員会に、一つの方向によって着色されるということも、ある程度考えられないことではない。従って、こういうような法文の表現の仕方であって、役員の選任については政府がまずイニシアチブをとる、それで、第二項においては、はっきり意見を尊重しなければならないということも、何も書いてないというようなことになると、何か荘本法の根本が、この人事の面においてくずされてくるのではないかということも、われわれ心配されるわけです。ぜひそういうことがないように、あくまでも原子力開発の基本法の精神は守っていただきたい。その際に、私はこの条文が不満足であるということを述べておるのであります。  それから、次に監事の場合には、これは内閣総理大臣の任命でけっこうだと考えておりますが、第十九条に、顧問という条項があります。この顧問というのは役員であるのですか、ないのですか。
  56. 島村武久

    島村説明員 お答え申し上げます。この法律で顧問と申しておりますのは、役員及び職員と同じような格で、それに並ぶものとして規定したもので、ございまして、役員には入っておりません。
  57. 志村茂治

    ○志村委員 大へん意味が軽くなってくるのでありますが、第十九条第一項に「業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置く」とある。これは役員ではないが、重要事項に参画させる相当重い地位にあるものと思うのであります。その人たちの選任についても、やはり平理事の場合と同じく、原子力委員会の意見を聞いて内閣総理大臣が任命する、こういうことになっております。全体を通じて見ますと、この原子力研究所は、われわれの予想したほどいわゆる民主的であり超党派ではない。もしほんとうにそういうアイデアを持ってされるならは、こういうような規定でなく、もう少し原子力委員会意向を尊重したことが書かれてあればよろしいと思うのでありますが、政府が一貫したイニシアチブをとるというような態度が、ここにはっきり見えておるのであります。その点について何か特別に、やはり基本法の精神はあくまでも守っていくのだというふうな考えであるかどうか、その点をお尋ねしたい。
  58. 正力松太郎

    正力国務大臣 お答えいたします。これは、申すまでもなく基本法の精神をあくまで守っていきます。そして先ほど次長からお答えがありました通りに、内閣総理大臣は委員会の意見を尊重するとありまして、これはほかの条文にないのであります。これだけ特に書いてあります。ですから、委員会の意思に反するようなことはいたしません。従って民主的に運常できると信じております。
  59. 志村茂治

    ○志村委員 最後にはっきりさせておきたいのですが、一般の法律の解釈の、意見を聞いてということは、意見を聞いたという導火があればそれでよろしいということではなくして、やはり基本法に書いてある、その意見を尊重する1共本法は意見でない、決定だったですね。決定を旭市しなければならない、意見はあくまでも尊重ざれる、こういうことなんですか。
  60. 正力松太郎

    正力国務大臣 全くその通りです。普通の意見を聞くというものではありません。意見は尊重いたします。
  61. 志村茂治

    ○志村委員 それでは、次に第四条の資本金のことについてお尋ねしたいのであります。政府の資本金としての出資額は、二億五千万円ということに限定されておるのでありますが、この二億五千万円という資本額の根拠を一つ教えていただきたいと思います。
  62. 正力松太郎

    正力国務大臣 これについては、実は昨日もちょっと御質問がありましたが、最初はあまり金は要らぬのでありまして、民間から大体一億くらいの金が出るというあれがありましたから、そうすれば政府の方で二億五千万円、つまり四億五千万円あれば最初のうちはよろしいということで、二億五千万円ときまったのであります。民間からの比較上じゃないので、民間にとらわれずに、今要る金が大体四億五千万円だ。そういう意味において、今必要なる金の限度をきめて、民間から一億が出るということでありますから、三億五千万円という金額をきめたわけであります。今後もしなお金が要るようになりますと、現に予算もとってありますから、あとのふやすのは、全額政府でいくことになるかもしれぬと思います。
  63. 志村茂治

    ○志村委員 大体民間からは二億くらい出るだろう、そうして政府出資二億五千万円、総計資本金は四億五千万円、こういうことを言われておるのでありますが、本日御提出になりました日本原子力研究所事業計画によりますと、昭和三十一年四月一日から三十二年三月三十一日までの出資は、六億三千百八十二万二千円ということを予定されています。しかもその次の第一期決算における貸借対照表を見ますと、資本金として六億三千百八十二万二千円が計上されております。どうもその辺の数字が合いませんが、どういうふうに考えておりますか。
  64. 正力松太郎

    正力国務大臣 それはなお詳しい数字説明事務当局からいたさせますが、要するところ、初めのうちは四億五千万円、あとに五億何千万円あるのでありますが、あとの分を加えなかったわけであります。なお数字的な詳しいことは、事務当局からお答えいたさせます。
  65. 堀純郎

    堀説明員 説明を補足させていただきます。当初の資本金は二億五千万円でございますが、それが仕事を進めていきますに従って、増資を必要とするのじゃないかというような見込みのもとに、この数字を立てております。六億三千万円の出資になっておりますが、このうち一億は、かりに土地現物出資があった場合、これを一億と評価いたしまして、それを一億含んでおります。それからあとの五億三千万のうち、二億は民間出資があるものと予想いたしまして、これもきわめて不確定のことでございますが、かりにこれを二億といたしまして、二億入れてございます。あとが、二億五千万円から引きましたのが同一年度内の増資の分でございます。それから出資補助金との区別は、資本的支出に当りますものを出資といたしまして、消耗的な出資に当りますものを補助金と一応算定しております。
  66. 志村茂治

    ○志村委員 今のお話でも、当然本年度内に出資を必要とするということが予定されておるにもかかわらず、二億五千万円しか出資されないというところがおかしいじゃないですか。
  67. 島村武久

    島村説明員 本年度計画といたしましては、先ほど堀説明員から申し上げましたような数字出資金を必要とすると大体見込んでおりますけれども、同じ本年度でも、設立当初からそれだけのものをかかえておらなければ、仕事ができないという筋合いのものではございませんし、なおお手元に差し上げました資料につきましては、私どもで現在大ざっぱに考えておる見通し的なものとして差し上げましたので、精密な資金計画等は、この法案が成立いたしました後において、研究所の設立と同時に、その責任者によってもまた検討されて、正式なこの法律による手続を経ました固まった資金計画になる、こういうことになりますので、現在のところは、先ほど大臣から申し上げましたように、予算面での範囲内において、とりあえず必要とされる金額というところから、民間の二億ということも大体見当づけられますので、政府の方は二億五千万円も出せば、当面差しさわりないものという意味で、政府出資を設立当初において二億五千万円としてあるわけであります。従いまして、計画の進行に伴いまして、資金計画等もはっきりいたして参りましたならば、年度内におきましてもさらに増資を行なって、政府出資を求めるという形になることを予想しておるわけでございます。決してその資料面あるいは予算面で食い違いがあるというふうなものでは、ございませんので、御了承をお願いいたしたいと思います。
  68. 志村茂治

    ○志村委員 なるほど原子力研究所の予算は、政府の債務負担行為を合せて十九億ということは承知いたしておるのでありますが、二億五千万円の根拠がどうもおかしい。と申しますことは、大体資本金というものは、相当長期間の資金計画の対象にならなければならぬ、こう考えておるのでありますが、一年ももたない、半年先には増資しなければならないというようなこの資本計画をするということは、何か納得がいかぬのです。特殊な事情がそこにあるのでしょうか。それをお尋ねします。
  69. 島村武久

    島村説明員 何も特株な要素は全然ございません。特に予算面でも、これより多くの金額がとられて、御承認いただいておるわけでございますので、これより多くても一向差しつかえがないはずのもので、ございますけれども、何分にも先ほど申し上げましたように、この研究所の固まった意味での資金計画と申しますものは、この研究所法が成立いたしまして、その後において、その責任ある者の手によって作成せられ、かつまたこの研究所法で定める手続によりまして、内閣総理大臣の認可を得、さらにその際は大蔵大臣と協議いたしまして決定するというようなことになって、初めて確定する性質のものでございますので、従いまして、補助金との関係もございますし、どの分を補助金で出す、どの分を出資金で出すというようなことも、基本的には、先ほど堀説明員から申しましたように、出資に当然充てると考えられる固定資産的なものは、出資としてまかなうという原則はありますが、具体的にそれをはっきりいたさせますには、いま少し時日を要することかと考えておるわけでございます。とりあえず設立の当初は、この程度あれば十分であろうというところで、民間出資との関係も見まして二億五千万円という数字、合せて結局四億五千万円ですか、その程度のものになるという計算で出しましたわけでございます。決してその間に特別に、政府出資を予算で認められておるにかかわらず、出さないことにしたというような意味は全然ございませんので、御了承をお願いいたしたいと思います。
  70. 志村茂治

    ○志村委員 たとえば第四条の第五項に、「政府出資額は、常時、研究所の資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。」というように書いてありますが、ここにいろいろわれわれが考えなければならない点があると思うのであります。一方、民間で二億円出る。だから五〇%以上というので二億五千万円という数・字が出たのじゃないかとも考えられますし、もしそういうことになりますと、私どもが心配したように、大蔵省が、将来出資の場合には、民間出資の五〇%以上であればよろしいという根拠がここでもって足を出してきたのではないかというような感じがいたすのであります。これはもちろん感じでありますが、そういうようなことでないならばわれわれは幸いだと思うのですが、その点はいかがですか。
  71. 正力松太郎

    正力国務大臣 これは大蔵省ともよく話してありますので、最初はこうするけれども、あとは政府の方で全部出すようになるかもしれぬということを了解を得てあります。これは先ほど申し上げました通りに、最初金はたくさん要らぬから、四億五千万円だから、とりあえず民間で一億くらいできそうだから、二億五千万円にしておけということでありまして、将来は何もその範囲でということではありません。これはよく大蔵省とも打ち合してありますから、御懸念の点はありません。
  72. 志村茂治

    ○志村委員 それでは、次に民間出資の見込みについてお聞きしたいのでありますが、この出資金というのは出資証券でございまして、元来は何の権限もついていないものである。もちろんそうでなくてはならない。この研究原子力開発の性格上、そうでなければならないのでありまして、出資証券という形をとられたのはけっこうでありますが、しかし民間側から考えてみれば、何らの権限も持っていない、全額としても相当高額な二億円という金が出るということです。これについてはいろいろ考えられる点もあるのでありますが、この二億円の出資についての話し合いの経過がありましたら、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  73. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいま、民間から金を出す以上、そこに何らか利益がなければならないんじゃないかというような点も含むものと思ますが、実はこう考えていただきたのです 民間でも、原子力はどうしても産業開発上必要だ、また原子力によらなければ、ことに発電などはいかぬという考えがあります。従って、国家のために献身的にいこうという考えからきておって、必ずしもこれにもうけがなくてはならぬというものではありません。従って単なる証券でけっこうだ、それほど民間は熱心なのであります。民間というとすぐ金もうけのようにお考えになるが、これはそういう意味ではありませんから、どうぞその意味を含んでおいていただきたい。
  74. 志村茂治

    ○志村委員 もう一つそれに関連してお伺いしたいのでありますが、実は、民間で原子力研究所出資証券であるにいたしましても出資した場合には、それに対して税務署は課税をします。従って、民間の人たちは、こういう出資なんということよりも、むしろ寄付金の方が税金がかからないだけ楽である、同じ何の権限も何の配当もないというものであるならば、どうせ捨てるような金ならば、出資よりもむしろ寄付金の方がよい、こういうことを言っておるのであります。寄付金の形をとらないで、出資証券の形をとられたのはどういうわけでありますか。
  75. 正力松太郎

    正力国務大臣 それはさっき申し上げましたように、民間は寄付でもいいという考えを持っておるのであります。しかしこれをわれわれは特殊法人にしたい。政府の方では、全額政府でやりたかったのです。それを特殊法人にしたために、こういうことになったのであります。
  76. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、今度は大蔵省にお尋ねしたいのでありますが、さっき読み上げました第四条第五項には、「資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。」ということになっておりますが、最初の出資以降において、民間から出資があると見込まれておるかどうか、この点をお尋ねしたいのであります。
  77. 原純夫

    ○原政府委員 私どもは、極力多額の資金を動かすというために、また財政上の理由もございまして、民間からの出資が今もできるだけあることを希望いたしております。
  78. 志村茂治

    ○志村委員 希望はわかっておりますが、一体どのくらいの見込みを持っておられますか。どうも今後は出ないのじゃないかというふうにも考えられますが、どうでしょうか。
  79. 原純夫

    ○原政府委員 金額の見込みになりますると、一応見込みは本日出ておるのでございますが、失際のスケールの動きの中身というものは日進月歩です。そのときどきの新しい情勢を取り入れてやっていくことになると思いますので、もとがきまりませんと、またその後年度の財政状態あるいは民間からの費用の状況というようなことも見当がつきませんので、額について別段はっきりした計画を持っておるということは、ございません。
  80. 志村茂治

    ○志村委員 金額については全然見込みを持っておらない、こういうようなお話であります。そうしますと、われわれの期待している金額に非常に大きな不足という場合もありますし、また予想以上に大きいという場合もあります。大きいという場合を想定いたしますと、たとえば原子力研究所で五十億の金が要るようであるというときに、民間からたとえば三十億と出たという場合にはどうなのですか。この場合には二分の一以上をこえなければならないというと、不必要であっても、なお政府は三十億以上を出すということを考えられるのですか、どうなのですか。
  81. 原純夫

    ○原政府委員 非常に民間の方で出そう、出そうということになります時期は、おそらく研究所仕事がかなり企業的ものとの関係がついていく時期だと思います。そういう時期は、また今考えておる情勢と根本的に変って参ります。今は相当に援助をしなければならないというつもりで、二分の一以上に当るものでなければならないということを言っおりますけれども、そういう非常に企業的な分野にまで原子力研究所の活動が入ってくるという時期には、法律日体もまた考え直す事態があるかとも思いますが、五十億の資金がいる、それを出資で五十億を調弁するといいます場合には、半分以上ですから二十五億以上を政府が出すということに相なって、民間の方は、いわばその中で御遠慮願うというようなことに、この法律がある限りはなると思います。
  82. 志村茂治

    ○志村委員 要するに、われわれもその点は考えておるのでありますが、こういうような研究所の性格上、国家が責任を持たなければならぬ、従って特殊法人でやれば、ある。パーセンテージの株を持たなければならないということはわかっております。その意味で、二分の一以上ということが考えられるのであります。しかし、問題は、二分の一ということにあまり固定しおるような考え方でありますが、民間の出資があまり少い場合に、それを根拠にして、将来政府研究所に対する出資が考えられるというようなことはないということを私は希望するのであります。大蔵省は、民間の出資なんかには何ら拘泥せずに、この研究所に必要な経費は出すというお考えであるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  83. 原純夫

    ○原政府委員 先ほども希望は申し上げました。なお、この研究所が、当初その性格についていろいろ議論がございまして、私どもの方は実は国立研究所にしようという意見だったのであります。それを政府部内でいろいろ意見調整の結果、国立にはしない、特殊法人たるものにすることになりました。それはつまり純粋にオール国ではないということであって、民間資本な入れるのだということなのであります。従いまして、今後もやはり民間資本は入ってくるべきものというふうに考えております。同時に、そうかといって、この規定で、半分以上なんだから五一%出せばいいので、民間が一億出せば一億一千万出すという、いわばこれをたてにして予算を値切って参るというような角度であっては、原子力研究所の将来はいかぬと思っております。従いまして、ただいま申しました研究所の性格にかんがみて、民間にもその辺は十分御協力を願うと同時に、政府は単に民間と対々だけの気持でなくて、研究所の満足な発達のために、場合によっては半分でなくて、民間の倍になろうが三倍になろうがやるという場合もあるというふうに考えております。
  84. 志村茂治

    ○志村委員 先ほど正力国務大臣のお話にもありましたように、民間は、これに対する特別な反対給付は何も求めておらない。きわめてきれいな気持で出資をしていくのだというようなことであります。他方において、政府は、民間出資の額がどの程度外、あるかにかかわらず、原子力研究所の必要な経費は、国家としてこれを出すという二つの方針がこの場合確認されたようであります。そうなってくれば、まことにけっこうだと思います。ぜひそういうふうに将来の原子力研究所の予算面についてはお考え願いたいということを希望いたしておきます。  それから、次に業務の範囲であります。この業務の範囲というのは八項目を書き加えております。その中に、放射線障害の防止に関する研究がかつてはあったのですが、それが除外されております。その理由をお教え願いたいと思います。
  85. 島村武久

    島村説明員 法律的なことだと思いますので、私からお答え申し上げますが、当初の、志村委員にも御相談申し上げてお考え願っておりました案には、実ははっきりさせる意味で書いておいたのでございます。法律的にこれを見ますると、原子力研究所法案に書き並べました一と二に、「原子力に関する基礎的研究を行うこと。」それから「原子力に関する応用の研究を行うこと。」というのがございます。原子力という言葉自体は、原子力基本法で定義されておりまして、かなり広範なものを含んでおります。またそれに関するということでありますので、障害防止というふうに取り上げませんでも、一切が含まれるという法律的な解釈に基きまして、特掲することをやめたわけでございます。御指摘になりました障害防止等はきわめて重要なことでありますので、それの研究の態様によりまして、あるものは基礎的研究ということで読める、あるものは応用の研究ということで読めるわけでございまして、決してやらぬということではございません。当然にわれわれはやるということで考えておることに属するわけでございます。
  86. 志村茂治

    ○志村委員 これは見解の相違といえばそれまででありますが——二十二条に書いてあるいろいろな業務の範囲でありますが、その中で、特に日本はこの原子力の平和利用ということをうたっております。私たちが伺ったシカゴ大学の学長の話によりましても、平和利用という限りは、それに伴うところの放射線障害に対する防止ということは、兵器に関する場合の秘密に該当するほど大きな項目である、これを最も重視しなければならないということを言われておるのであって、平和利用の場合には、まさにその通りであるというふうに解釈しておったものであります。私たちは特にこれは重要な問題であると考えておるのであります。それを他の方面から類推して解釈されるからいいではないかと言われればそれまででありますが、しかし類推するにしては、あまりに大きな項目ではないか、こう思っております。それが特にこの場合において削除されたということになると、何かそこに理由があるのではないかと考えられる。何にも理由はないのですか。
  87. 島村武久

    島村説明員 ただいま申し上げましたように、原子力の障害に関する防止はきわめて重要なことでございまして何かあるのじゃないかとおっしゃる意味が、あるいはやらないのではないかというふうなお考えであるといたしますれは、全然そうでなく、先生のお考えのように当然やるということでございます。一からずっとお読みいただきまずとわかりますように、一あるいは二で読めるようなことが、重要であるからというので、抜き出されて、特別に掲げられておりますのは、しいて求めますと三くらいなものでございます。三は、原子炉設計建設操作というようなことで、これは基礎研究である場合もありますし、応用研究である場合もあるわけでございます。しかし応用の研究あるいは基礎的研究と言い切れない分がございますので、特にこういうことを掲げたわけでございまして、それ以外にはみな基礎的研究ということで読めるものでございます。読めないものばかりが並べてあるという次第でございますので、一及び二で読めるようなものは、重要でございましても、こういう一、二の書き方をとりました以上、重要だからといって特掲するということは重複するという意味でやめたわけでございます。決して御心配のようなことはございませず、当然研究いたすことでもございますし、また読めることでもご、ざいますので、その間に、特別な事情等は何もないというふうに御了承願いたいと思います。
  88. 志村茂治

    ○志村委員 実はこれはわれわれの考え方で、放射線医学総合研究所ができるから、そこにまかせるのじゃないかというふうにも考えたのでありますが、しかしただいまの御説明のように、法文を作る上についての技術上の問題としてそれが削除され、内容としては当然それが入っておるということならば、それでけっこうです。  それから、次にお聞きしたいことは、三十一年の二月十日に決定された要綱、私たちは日本原子力総合研究所法案と言っておりましたが、それの三十六条に、「研究所は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」というふうないわゆる給与規定が書かれておったのであります。今度のこの法案については、それが削除されておる。そうしますと、これは総理大臣の認可を経る必要がなくなったのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  89. 島村武久

    島村説明員 同じような法律的な問題でございますので、私からお答えさせていただきます。志村委員のお手元にございます以前の案におきましては、確かに給与準則あるいは退職手当の基準等につきまして、内閣総理大臣の認可にかからしめるような条文も入れてございましたが、これは実はこの研究所の性格が、公社というような形で考えられておりました時分のなごりが実はそこに現れておったということでございます。かように民間の出資を認めました特殊な法人という形になりました場合には、従来の立法例その他から考慮いたしましても、給与の準則、あるいは退職手当の基準等を、法律をもって、内閣総理大臣の認可にかからしめるということは、妥当を欠くという法律的な見解もございまして、削除することにいたしたわけでございます。
  90. 志村茂治

    ○志村委員 法律で書けないとすれば、それは当然定款をもって書かれるということになるだろうと思うのでありますが、定款にその給与規定が書かれるのかどうか、そしてその給与規定は内閣総理大臣あるいは大蔵大臣の承認を要するものであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  91. 島村武久

    島村説明員 定款にさような規定を挿入せしめますかどうかということは、まだ未定のことでございますので、はっきりと申し上、げかねることでございますけれども、何分にもこの研究所の所要資金は、志村委員も先ほど以来御指摘になりましたように、国家的に相当強力にバックしなければならぬということに相なりますと、ある程度の監督は必要ではないかというふうにも考えておりまして、全然野放しにするというわけにもいかぬのじゃなかろうかというふうに考えております。ただ、それを定款記載事項として、定款によって内閣総理大臣の認可とすることがいいかどうかというところまでは、まだはっきりとした結論を得ておりません。
  92. 志村茂治

    ○志村委員 この原子力研究所には、優秀な人材を網羅しなければならないという考え方から、今までの官吏の給与規定によっては、思うような手当が得られない。できれ、ば、民間の大会社の技術者の平均ということを実はわれわれは考えておったのでありますが、そういうふうな給与にしようということになった場合に、果して大蔵省がそれに承認を与えるかどうかということについて、大きな疑義を持っておったわけであります。ところが、このたびのものは、給与の規定は一体どこで取り扱うものかということが一向はっきりしないのでありますが、それについての一つ方針がございましたならば、たとえ、ば会社が独自にやるのか、あるいは政府の監督下にやらなければならないのかという点を、できるだけはっきりさせていただきたいと思います。
  93. 島村武久

    島村説明員 先ほども申し上げたことでありますれけども、相当多額の国家資金で強力に推進しなければならぬと抽象的に申しましたけれども、三十一年度あたりを具体的に考えてみました場合に、固定資産的なものを出資でまかなうといたしますと、当然に運営費は補助金でまかなわなければいかぬ。従いまして、補助金でまかなうと申しましても、運営費については、ほかに収入の道がございませんから、百パーセントの補助ということにもなりますので、人件費につきましてもまた補助金でやっていくというように相なるわけであります。従いまして、志村委員御指摘のように、優秀な研究者を集めるという上から、あまりにかた苦しい給与準則を作りました場合には、優秀な人が得にくいということも当然予想されますので、さような点は十分考慮いたさなければなりませんけれども、また一面、人件費全額が国の補助でまかなわれるというようなことになりますと、大事な国費のことでございますので、そこにやはり限度というものがおのずからできなくちゃならぬのじゃないか、そういうふうに考えておるわけであります。ただ、それをたとえば公務員のベースの一割増しにするとか、二割増しにするとかというようなことにつきましては、まだ固まったラインというものも考えておりませんし、これは大蔵省ともやはり十分内部的に相談もし、また研究所責任者がきまりました暁におきまして、十分に打ち合せて、国費を使って全額まかなっていくという一方の事情と、他方、優秀な技術者を迎え入れるという両方の条件を満たし得るような、妥当な線を考えなければならぬ、そういうふうに考えているわけでございます。
  94. 志村茂治

    ○志村委員 お話のように、人件費は全額国庫負担でやるのだ、従って、国家が厳重にこれを監督しなけれ、はならないということは、特に大蔵省の強い要求であるということを聞いておればこそ、私たちはいろいろ心配もしておるのであります。今のお話によると、その点については、はっきりした結論がまだ出ておらないということであります。さっき大蔵省がおいでになるときに、私はこの点についてお聞きしようと思ったのですが、すでにお帰りになったあとで、むしろもらう方の側と相談しても話にならぬから、私はこの問題は将来大蔵省がおいでになったときにもう一ぺんお聞きしたいので、これは保留しておくつもりであります。いずれにいたしましても、何か知らぬが、原子力研究所の超党派の線が、全体としてある程度破れてくるのではないか、さっきの役員の選任の問題にいたしましても、そのほか今の小さい問題でも、この人件費の問題にしましても、国家の支出が大きいから、従って国家の監督、同時に普通の政府の監督という線が非常に強まってくるのではないか、原子力基本法に書かれているところの民主的、自主的な運営ということについては、多少ひびが入るのではないかということがずいぶん心配されるわけです。しかし、話し合いによって解決の道はないわけではないと思うのでありまして、正力国務大臣はその点を十分御考慮の上、今後も各省間の折衝をしていただいて、われわれの希望いたしておりますような、原子力基本法に示された根本的な考え方によってこの開発が行われますよう、ぜひお願い申し上げておきます。
  95. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほど島村説明員説明しましたことについて、私からもう一言申し上げます。給与の問題につきましては、原子力委員会が非常に顧慮しておるわけであります。それで、大蔵省が国立でやろうとするものを、国立では給与の平均がこわれて因る、それで特に人材を入れる必要があるし、しかも民商から採るについては、給与規定では困るということで、それを認めた結果、特殊法人になっておるわけであります。さっきその点をはっきり私から申し上げたわけであります。特殊法人にした最も大きな理由は、人材を入れるために、普通の国立ではいかぬということで特殊法人にしたのであります。なお超党派の線がくずれやせぬかという御心配は、ごもっともでありますが、どこまでも超党派の線は尊重していきたいと思います。
  96. 有田喜一

    有田委員長 それでは、本日はこの程度にいたし、次会は、明日午前十時より開会いたし、質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会