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1956-03-07 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年三月七日(水曜日) 午前十時四十九分
開議
出席委員
委員長
有田
喜一君
理事
椎名悦三郎
君
理事
長谷川四郎
君
理事
前田 正男君
理事
南 好雄君
理事
岡
良一
君
理事
志村 茂治君 稻葉 修君 加藤 精三君 小平 久雄君 須磨彌吉郎君 橋本
龍伍
君 山口 好一君 岡本 隆一君
佐々木良作
君 田中 武夫君 原 茂君
出席国務大臣
国 務 大 臣
正力松太郎
君
出席政府委員
検 事 (
法制局
第二部 長) 野木 新一君
経済企画政務次
官
齋藤
憲三君
大蔵事務官
(
主計局次長
) 原 純夫君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
原子力局総務
課長
)
島村
武久君
総理府技官
(
原子力局管理
課長
) 堀 純郎君 参 考 人 (
財団法人原子
力研究所理事
)
久布白
兼
致君
————————————— 本日の
会議
に付した
案件
日本原子力研究所法案
(
内閣提出
第九三号) —————————————
有田喜一
1
○
有田委員長
これより
会議
を開きます。
日本原子力研究所法案
を
議題
といたし、この際
政府
より
資料
の
説明
を求めます。
齋藤政務次官
。
齋藤憲三
2
○
齋藤
(憲)
政府委員
資料
の
説明
は詳細にわたりますので、
堀説明員
より
説明
を申し上げます。
堀純郎
3
○
堀説明員
では、
資料
の
説明
をさせていただきます。 お
手元
に参っております
日本原子力研究所事業計画
という大きいつづりがございますが、これから
説明
を始めます。これに、
研究所
の
目的
その他書いてございますが、これは
原子力基本法
並びに
日本原子力研究所法
に定められたことを書いてあるものであります。設立の年月日は未定でございますが、近く設立される
予定
であります。 それから
事業
の概要といたしまして八
項目
ほど掲げてございますが、これは
原子力研究所法
に定められる
事業
を行う
予定
でございまして、
原子力基礎研究
、
応用研究
、
原子炉
の
設計
、
建設
及び
操作
、
技術者並び
に
研究者
の
養成訓練
、
放射性同位元素
の
輸入
、
生産
及び頒布、
原子力
に関するいろいろの
資料
の収集、それからこれらの
研究
その他の成果の普及、そのほかこれらに附帯する業務、こういう
仕事
を行う
予定
であります。 これを具体的に
事業計画
として御
説明
いたしますと、まず
原子力
をどういう
目的
で
開発
するかということはすでに御承知の
通り
でありまして、最大の
目標
は、
エネルギー需給
の不足を打開するということでございまして、従って
原子力研究所
が行います
原子力研究
の
目標
も、第一
目標
は、
原子力発電
というものに置いております。しかし
原子力発電
だけではなくて、これとあわせて、
ラジオ
・
アイソトープ
の
利用
、その他の
生産
並びに
利用
の
研究
を行うということを
目途
としております。それからこれらの
研究
を行います具体的な
研究計画
は、実は
原子力委員会
で
方針
を決定する筋合いでございますが、ただいまのところまだその
段階
に手が回っておりませんので、一応昨年
原子力利用準備調査会
において決定いたしました
原子炉築造
一
計画
に従って
研究
を進める
予定
に一応いたしております。しかしこれは
原子力委員会
で
方針
の再検討があれば、当然
計画
が変るものでございます。それによりますと、三十三
年度
末に
国産
の
実験用原子炉
を作るということと、三十四
年度
に
動力試験用原子炉
を作るというようなことを
目途
といたしまして、自主的に
原子力
の
開発
をするというような
計画
を立てております。 その
原子炉設置
の
計画
をさらに具体的に申しますと、一ページの下の方の(b)に書いてございますように、三十一
年度
内に
ウォーター
・
ボイラー
型一基を
購入
いたし、同
年度
内に
CP
5型一基を注文いたすということが先般の閣議で決定されておりまして、こういうことをまず手始めに着手することになっております。これに使います
原子燃料
といたしましては、
濃縮ウラン
が必要でございまして、これは先般締結を見ました
日米原子力協定
によって
貸与
を受ける
予定
にいたしております。そのほか順次、
国産炉
、
動力試験炉
を築造して参るのでございますが、これらの
原子炉
がどういう
目的
に使われるかということを簡単に御
説明
いたしますと、ここに書いてございますように、まず最初に備えます
ウォーター
・
ボイラー
というきわめて小型の
原子炉設置
の
目的
は、
技術者
の
訓練
や、いろいろな
制御測定
に関する
実験
でございます。そういうものに関する
基礎実験
並びに
放射性同位元素
、
ラジオ
・
アイソトープ
の
実験
的な
生産——経済的生産
ではございませんで、
研究
的な
生産
、こういう三つをおもな
目的
にいたしておるのでございます。それから二番目に設置する
CP
5型
実験用原子炉
は、いろいろな
原子炉
に使う
材料
の
試験
を行う。もう
一つ
は、
ラジオ
・
アイソトープ
を、
研究的段階
よりは多少
実用的段階
に至った
生産
を行う
目的
であります。それから三番目に作ります
天然ウラン重水型実験用原子炉
は、
日本
独自の、
日本国内
で
開発
いたしました自分の
技術
で
原子炉
を作るというものでありまして、そういう
目的
で
建設
いたします。これによりまして、いろいろな
原子炉
に関する構造の
試験
とか
材料
の
試験
とか、そういうものを行う
予定
であります。自主的に
日本
で
原子力
の
開発
をいたしますのに一番問題になるのは、この
国産原子炉
をいかにして作るかという問題でありますが、この
国産原子炉
に必要ないろいろな
資材
は、三ぺ−
ジ目
の上に表がございますが、こういう順序によって、一部は
輸入
によらなければなりませんが、一部は
国産
で間に合う
予定
にいたしております。それから四番目には
動力試験炉
を入れますが、これは三十三
年度
の初めに大体その
計画
を立てて、三十四
年度
じゆうに
建設
を完成する
予定
であります。これによりまして、三十四
年度
じゆうに
日本
で初めて
原子力発電
が
試験
的に行われることになりますが、この電力は、もちろん一般の
送電網
に連繋して、需用に供することができると考えております。 それからこの表では多少前後いたしますが、今申しました四つの
原子炉
の
築造計画
を表にいたしましたのが、第二ペー
ジ目
に書いてありますような表でございます。これは左が
原子炉
の名称でありまして、出力それに必要な
原子燃料
の数量、それからそれの
築造計画
を各年次、上下両半期に分けて書いてございます。以上で
原子炉
の
築造計画
の
説明
を終ります。 次は、
研究計画
でございます。これにはいろいろな
研究
が必要でありまして、基礎的ないろいろな
研究
を必要といたします。さらに
原子炉
ができますと、この
原子炉
を中心にいたしまして、いろいろな
研究
並びに
原子炉
の
設計
に必要なデータを得るというような
研究
を進めたいと思っております。その詳細は、そこに羅列してあるような
内容
でございます。 それからこれらの必要な
人員
をどういうふうにして得るかという問題でございますが、これは(b)というところに、
人員充足計画
といたしまして、毎
年度
百五十名
程度
充足して、各年ふやしていきたいというような
計画
であります。 それから次に、これらの
研究
に必要な金がどれくらい要るかということでございますが、これはまだ具体的な
計画
が立っておりませんので、ほんの試算で、ございます。まだ大蔵省に相談しておりませんが、四ページに掲げたような
程度
の金が要るのではないかと考えております。これは一応
出資
と
補助金
に分けてございますが、そう厳格なものではありません。これを合日計いたしましたものが、
初年度
十億くらいになっております。このうち、一億は
土地
の
現物出資
を金に換算しておりますが、実際の
出資
並びに
補助金
は九億、そのうち
政府
が出す金が七億、これは
国立研究所
として
原子力研究所
の予算に大体七億をさいておりますが、
民間出資
一億くらいを一応考えております。これも確たる
数字
ではありません。そのほかに
国庫負担行為
を見返りといたしまして、三億
程度
の借入金ができるのではないかと考えております。それを合せました十三億、これくらいの金が
初年度
の
事業量
として要るのではないかと思っております。次
年度
以降は、非常な概算でありますが、ここに掲げましたように、
昭和
三十二
年度
は三十四億くらい、その次は八十億くらい、その次は五十億くらいの金がいるのじゃないかと考えております。それがどういうふうに
固定費
産になり、かつ
流動資産
になったりして消えていくかというこまかいことは、あとに
いろいろ表
がついておりますが、 この表の
通り
で、一応そういうごく
おぼろげ
な
数字
を算定しております。 続いて、
研究所
の
内容
について御
説明
いたします。お
手元
に「
財団法人原子力研究所
の現況について」という
プリント
が参っておると思います。これに書いてございますように、
財団法人原子力研究所
は、昨年十一月三十日に発足いたしまして、
石川理事長
以下そこに書いてあるような副
理事長
、
常務理事
その他の役員で構成されておりまして、その
内部組織
は、二ページに出ております。ように、
常務理事
のもとに各部を置きまして、さらにいろいろな
研究グループ
に分れております。現在のところ
事務系統
の要員が四十三名と
技術系統
が十七名、合計六十名の
職員
が奉職しております。これをさらに増員して参る
計画
で、この三月末には、百二十名
程度
になる
予定
でございます。 これまでいたしました
仕事
として一番大きいのは、まず
建設計画
を進めることでございまして、そのうち特に
原子力研究施設
を置く場所を選定いたしますために、
土地選定委員会
というのを作りまして、数度にわたって
審議
と
現地調査
を行なって参っております。その結果は、
原子力局
に報告が出て参っております。 それから
研究設備
につきましては、先ほど全般の
計画
でも申し上げましたが、
ウォーター
・
ボイラー
という
原子炉
を近く発注する
予定
でございます。このために、先般職一具を渡米させまして、いろいろな
設計
その他について打ち合せを行なって参りました。近く契約を結ぶ段取りになっております。そのほか大きな
研究施設
としてヴアン・デ・グラフという機械がございますが、これは世界のおもな
原子力研究所
にはどこでも全部ついておりますが、これの
購入
についても、打ち合せを行なっております。 それから、建物その他につきましては、ただいまのところまだ
土地
がはっきりいたしませんので、
建設
には至っておりませんが、
設計
その他を進めております。
研究所
で考えます
研究項目
といたしましては、もう
一つ
の
プリント
で、横書きで三十一
年度
研究部項目
、下に
財団法人原子力研究所
と背いたのがございますが、これでは、第一
年度
で各
グループ
がどういう
研究
を行うかということを、
原子炉
、物理及び計測、
化学
・
化学工学
・
材料
、
放射線障害
、建一帥双等分の
基礎研究
、
動力炉
の
基礎調査
、こういう若干の
項目
に分けて記載してございます。その
内容
はごらんの
通り
でございます。 以上であります。
有田喜一
4
○
有田委員長
以上をもって、
資料
の
説明
は終了いたしました。
質疑
を続行いたします。
質疑
の通告がありますから、これを許します。
岡良一
君。
岡良一
5
○
岡委員
財団法人原子力研究所
についてですが、これは昨年十一月三十日に
財団法人
として発足いたしております。ところで、
新聞紙等
で今年の春伝えられるところによれば、この
財団法人原力研究所
は、
アメリカ国
に対して、
天然ウラン
あるいは
重水等
の買い入れについて、極秘のうちに
交渉
を開始した、返事が来て、
天然ウラン
については目下考慮中であるが、
重水
についてはその価格までも明示されて、引き渡す用意があるとして、その
数字
をも示されておったわけです。こういう事実はあったのでございますか。
正力松太郎
6
○
正力国務大臣
今の点は、私はまだ何にも聞いておりませんから、
事務当局
から
一つ
……。
堀純郎
7
○
堀説明員
お答えいたします。ただいまの
重水
と
天然ウラン
でございますが、これは
原子力研究所
の
研究計画
に、
専門
の
言葉
で申しますと、エクスポネンシアル・エクスペリメントという
研究計画
がございまして、これにはどうしても
天然ウラン
と
重水
を必要といたしますので、そういうものを取得したいという
希望
がございまして、
原子力付
から、
外務省
を通じまして、
向う
の
政府
の
意向
を聞いてみたことはございますが、
原子力研究所
が直接
向う
へ
交渉
したことはございません。
岡良一
8
○
岡委員
しかし、それにいたしましても、
原子力研究所
の運営上必要に迫られて
交渉
になったわけですね。それはいつなされたのでございますか。
堀純郎
9
○
堀説明員
この一月でございます。
岡良一
10
○
岡委員
その辺が私は非常にあいまいな気がいたすのであります。
濃縮ウラン
の受け入れに関する
アメリカ合衆国
と
日本国政府
との
協定
第四条には、「
合衆国原子力委員会
によって代表される
アメリカ合衆国政府
は、供給が可能であることを条件として、かつ、相互間の合意によって、
日本国政府
又は同
政府
が授権するその管轄の下にある者に対し、
市場
で入手することができず、かつ、
日本国
における
研究用原子炉
の
建設
及び
操作
に当り必要とされる
原子炉用資材
を適当と認める
機関
を通じて売却し、又は賃貸する。」云たとあるわけです。そこで、
新聞紙
では、
財団法人原子力研究所
が
市場
で入手できないために、直接
アメリカ政府
に
交渉
した、御
工説明
を聞けば、
原子力局
としてされたということなんですが、しかし、事実上はやはり
原子力局研究所
がされたと同様なことではないかと思うのです。そうすると、
原子力研究所
が、この
協定
のいわゆる授権された者とみなされているのかどうか。その点が、
手続
としては一応整っているようではあるが、事実上、少し
行き過ぎ
ているのじゃないかという感じが実はいたしたのです。その点はどういうことなんでしょう。
島村武久
11
○
島村説明員
ただいま
岡委員
から引用されました
日米
間の
原子力
の非
軍事的利用
に関する
協力
のための
協定
でございますが、
原子力研究所
に使いますために、軍水あるいは
金属ウラン
につきまして、
原子力研究所
の
研究
のために必要であるというところから、
アメリカ
からこれを得たいという
希望
は前前からあったわけでございます。果してこの
協定
とどのような
関係
に立つものであるか、ただいまおっしゃいました
市場
で入手することができないものとして、この
協定
に従って
購入
あるいは
貸与
を受ける
性質
のものであるか、あるいはそうでなくて、
協定外
として
重水等
も売られておるような、あるいは売ることができるようなこともあるかもしらぬというようなことで、その間の
事情
を聞いておったわけであります。先ほどおっしゃいましたように、当然この
協定
に伴うものとしてやります場合に、
原子力研究所
が単独で
アメリカ
に
交渉
するかというようなことがありますれば、これは少し
行き過ぎ
ということも考えられるわけでございますけれ
ども
、先ほど
堀説明員
からも申し上げました
通り
、
外務省
を通じまして、正式に
向う
の
意向
を尋ねておるわけでございます。
原子力研究所
として
行き過ぎ
というふうには考えておりません。またその
内容
につきましては、一月に
原子力委員会
が発足いたしました後に、
研究所
からもその
必要性
につきまして
委員会
の
委員
の
方々
に
説明
をして、
原子力委員会
におきましても、
重水
および
金属
が、
研究
上、
原子炉
の
購入
に先だって必要であるということが認められておるわけでございます。先ほどの
手続
の問題と関連いたしまして、いずれから見ましても、
原子力研究所
は
行き過ぎ
たことを行なっておるというほどのことではないというふうに考えております。
岡良一
12
○
岡委員
重水
あるいは
金属材料等
については、自由な
市場
において
取引
がされるのでしょうが、
天然ウラン
はなかなかそう容易にはいかないのじゃないですか。
相当輸出等
についても
アメリカ
の規制を受けておるのでしょう。
島村武久
13
○
島村説明員
御説の
通り
、
天然ウラン
につきましてはもちろんでございまして、その後確かめておるところによりましては、
重水
も同じように、この
協定
によって、
アメリカ
としては
日本
に供給したいという考えであることが、現在までにわかっております。
岡良一
14
○
岡委員
そうすれば、今度われわれが
審議
をしておる
原子力研究所
が発足して、初めてこれが授権された相手方として、
アメリカ国政府
を代表する
アメリカ国
の
原子力委員会
との間に、
天然ウラン
、
重水
その他必要な
資材等
についての
取引
が開始される、こういうことになるわけですね。
島村武久
15
○
島村説明員
ただいまおっしゃいましたように、この法律が成立いたしまして、現在の
財団法人原子力研究所
が
日本原子力研究所
に移りかわりました際に、入手し、かつそこで使うものであることは間違いございません。しかしながら授権されたという
協定
の
言葉
を引用せられましたが、成立していないうちでも、成立を見越して、
原子力研究所
に使わせるということでなしに、現在の
財団法人原子力研究所
に使わせたいがという趣旨で
向う
に話をいたしておるわけでございます。
岡良一
16
○
岡委員
これは、使用される場合には、授権されたものでなくても使用するとこができる。しかし、それについては、
アメリカ
に対していろいろな
保障
を与えなければならない、そういう
手続
になっているのじゃないですか。
島村武久
17
○
島村説明員
御質問のように、まだ詳細判明いたしませんけれ
ども
、この
協定
に基いて行われます限り、
最小限度
の
保障
ということが必要になって参りますことは当然でございまして、これは
日本国政府
の
責任
において
向う
に約束するということになるわけでございます。
岡良一
18
○
岡委員
そうすると、先ほどのお話では、
日本原子力研究所
が発足するということで、そのために
国産
的な
原子炉
の
築造等
についても、いろいろ
材料
として
天然ウラン
や
重水
その他が必要である。そういうかけ合いを一月以降なされたということになれば、当然
原子力委員会発足
後なされたことになる。この問題は、
原子力委員会
としては重大な
案件
ではないかと思うのです。
原子力委員会
は、この問題を正規な
案件
として取り上げられて御討議になり、その決定を待ってこのような
手続
をとられたのか、寡聞にして私はそういうことがあったことを知っておらないのですが、その間の
事情
を御
説明
願いたい。
島村武久
19
○
島村説明員
アメリカ
に対しての
金属ウラン
あるいは
重水
を供給してもらいたいという
研究所
の
希望
は、
原子力委員会
としても検討されたわけでございまして、その結果、先ほど申し上げましたように、
研究所
が将来
原子炉
を築造してやって参りますのに先だちまして、そういうような
研究材料
が必要であるということが
委員会
によって認められておりますので、その結果を
原子力局
から
外務省
に通牒をいたしまして、
外務省
を通じて
交渉
してもらっておるということでございます。
原子力委員会
ができておりながら、
原子力委員会
を抜きにして、
原子力
川あるいは
外務省
だけでそういうことをやっておるということでは決してございません。
岡良一
20
○
岡委員
財団法人原子力研究所
が、
人事
問題で
独走
しているというような世の
批判
もございますので、まことに執拗な話でございますが、何日の
原子力委員会
においてこのような問題が
議題
として討議されたのか、
議事録等
も含めて明日でも御提出願いたい。 それからもう
一つ
は、この
財団法人原子力研究所
について、いろいろ
新聞等
を通じますと、いわゆる
独走
というような
批判
があるようですが、たとえば
原子力研究所
の
研究員
の
推薦
についても、そういう
批判
が一部にあるようです。せっかく
財団法人原子力研究所
を
日本原子力研究所
が引き継ぐわけですから、してみれば、やはり
日本原子力研究所そのもの
への
批判
にも相なろうと思うし、またそれらの
批判
が事実であるとすれば、
日本原子力研究所
の今後の運営、特に
技術者
の
整備等
においてもいろいろ問題が起りはしないかと思う。要するに、
批判
というのは、たとえば各
大学
のそれぞれ信頼のできる教授の諸君に対して、その
原子力研究所
の
研究員
と申しましょうか、その
推薦
を依頼する。一方ではまたそういう信頼し得るに足る
人たち
を通じて、適格であるかどうかを審査する
機関
を作る。ところが審査する
機関
は作ったけれ
ども
、事前にすでに人を委嘱し、
推薦
を待っている、また
応募者
を待っている、そして
採用者
も何十名かきめてしまうというようなことがあったので、せっかく委嘱されて、その審査に当ろうとする
機関
の
意向
が無視された。ここにも
一つ独走
があるわけなんです。こういう
人事
の問題は、微妙であるだけに、周到にかまえなければならぬと思うのです。こういうような行き違いがあったのかどうかという点をまずお聞かせ願いたい。
島村武久
21
○
島村説明員
研究所
の
研究員
の
人事
につきまして、
独走
という傾向があるのではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、多分に
誤解
に基く点があるのではなかろうかと思うわけであります。
研究所
は、広く官民の
協力
によりまして、優秀な人材を集めなければならぬことは、たびたび国会でも御意見として伺っているところでございまして、
研究所
でも、
研究員
を集めます際には、各界の権威の方をお願いして
選考委員
になっていただいて、現在その
選考
が進められているというふうに承知いたしているわけでございます。何分にも昨年出発いたしまして以来、
研究所
の幹部になるような
方々
、あるいはその
研究
の
中核
になられるような
方々
は、さような
選考委員会
を経て一般的に採用いたします以前においても、ある
程度
は必要なわけでございます。また
特殊技術
に属しまして、すでに学界あるいは
技術界等
におきまして定評のあるような
専門
の
方々
は、そういう
選考
を待つひまもなく、すでに
研究所
に
職員
として入っておられるわけでございますが、これはさような一般的な
研究員
の任用と区別して当然考えらるべきことでございまして、さような点があるいは一部に
誤解
を生んで、先生のお耳に入っているのかというふうにも考えるわけでございます。私
ども
といたしましては、
人事
の点でもきわめて公平に、優秀な人物を各方面から
集よう
としておる
研究所
の行き方を認めておるわけでございまして、その点につきましては、きょう
参考人
として
久布白
さんも来ておられることでありますから、なんでございましたら、直接お聞き願ってもけっこうだと思うので、ございますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、
人平
の点について、
原子力研究所
が
独走
しているというふうには決して考えておりませんので、御了承願います。
岡良一
22
○
岡委員
久布白
さんは
常務理事
をしておられるわけなんですが、
新聞紙
にはこういう
記半
があります。昨年の十二月、
理事長
である
石川一郎
氏が、
個人名
で各
大学学長あて研究所員
の
推薦方
を依頼したとありますが、こういう事実はありますか。
有田喜一
23
○
有田委員長
この際お諮りいたします。
財団法人原子力研究所常任理事久布白
兼
致君
を
参考人
といたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
有田喜一
24
○
有田委員長
御
異議
がなければ、さよう決定いたします。
久布白参考人
。
久布白兼致
25
○
久布白参考人
それでは、私から御
説明
申し上げます。これは
研究所
の
理事長
として、各
大学研究所
及び
財団法人
を設立いたしますときに
協力
していただきました各
関係会社
の各部門に対して、
推薦方
をお願いしたわけであります。
岡良一
26
○
岡委員
財団法人原子力研究所
がその
研究員
を委嘱になることは、ちっとも悪いことではないと思うのです。ただ、すでに
日本原子力研究所
が発足するということは、
既定
の事実なんです。しかも十二月には、一月一日から
原子力委員会
が発足しようとすること、これも
既定
の事実だったのです。このようなほとんど確定的な事実を前にして、
財団法人原子力研究所
の
理事長
が、
個人
であろうとなかろうと、そういうことをされるのはおかしい。当然
原子力委員会
は、
原子力研究所
の
人事
に対しては重大な
責任
を持たなければならない
性質
のものなんです。
原子力研究所
の将来
中核体
となる所員を選ぶのですから、
原子力研究所
としても、当然重大な
責任事項
なんです。こういうすでに
原子力委員会
ができる、
原子力研究所
ができるという
既定
の事実を前にして、十二月も押し詰まってからこういうことを出されるということは、私は筋が通らないのじゃないかと思うのです。その点についてはどういうふうにお考えですか。
久布白兼致
27
○
久布白参考人
御
説明
申し上げます。
財団法人原子力研究所
が正式に許可を得まして発足いたしましたのは、十二月二日でございます。それから
事業計画
、
研究計画
、あらゆるものを急速に整備しようということでスタートしたわけでありまして、十二月の初めにスタートした
財団法人
の
研究計画
につきましても、急速に準備すべく段取りをしたわけでございまして、あながち、
委員会
ができる前に、できることを想定しまして、そういうことを準備すべきではないということではなく、
原子力研究所
に対しまして、いち早く推進せよという至上命令によって、そういうことを準備したわけでございます。何もそういうものを無視して、
独走
したということではないのじゃないかと存じております。
岡良一
28
○
岡委員
それでは、
財団法人原子力研究所
は、一体何名の会員で、どれだけの資金を持っておられますか。
久布白兼致
29
○
久布白参考人
財団法人
設立当初のもくろみといたしましては、民間の寄付が大体二千七百万円、それからそれの四倍の借入金、それから
政府
の
補助金
としまして六千四百万円、約一億九千六百万円の想定のもとにスタートをしたわけでございます。
岡良一
30
○
岡委員
それだけの予算では、
原子力研究所
として十分な御活動ができないことは申すまでもないので、その結果、どこの国でも、
原子力
の
研究
に対しては大幅な国費の交付なり補助があるわけです。もちろんそれは期待されておられると思うのです。そういう予算の資金の範囲内において、
原子力研究所
が将来は
日本原子力研究所
として発足すべきものであり、またすることがほとんど確定された事実となっておるときに、その
研究所
の運営の重大な
人事
の問題が、特に急いで
中核
となる人間を選びたいというふうなことで、
原子力研究所
が
財団法人
の
段階
においてきめられるということは、やはり
行き過ぎ
ではありませんか。
久布白兼致
31
○
久布白参考人
財団法人
と申し上げましても、これはやっぱり一応の
研究
を進めると定款にもうたわれておるので、ございまして、
研究項目
は、多少の変更はあるかと思いますが、細目については、ほとんどが似たようなことをやるという建前で
財団法人
が設立されております。もしそういうことをやらない建前で
仕事
をしたとしますならば、
財団法人
設立の必要がないはずでございます。将来の変更は別といたしまして、どこまでも、
財団法人
としてはそういう
研究
をやるという建前で設立をされておるわけでございます。そういうつもりで準備が進められたわけでございます。
岡良一
32
○
岡委員
これは、まさかそういうこともないと思いますが、新聞の記事を見ますと、
財団法人原子力研究所
の所員採用条件は、身体強健なること、協調性のあることの二点だけで、その人間の学術的な能力は問題にしておらないと書いてあるのです。もっと的確な採用条件があると思うのですが、こういう機会にはっきりと、どういうことをお示しになって採用になったか、お伺いしたい。
久布白兼致
33
○
久布白参考人
今のお話は、
研究員
の問題だと存じますので、少し質問の範囲外にわたるかもしれませんが、今までにどういうことを考えておるかについて申し上げます。現在
選考委員
をもってやっております方法は、大体苦い
研究員
の方が主でございまして、学校卒業後の閲歴といたしましては、卒業後数年の
研究
をされて、十年
程度
までというのが現在のおもなものでございまして、五年以したった方につきましては、
研究
歴はあるわけでございます。一応
研究
歴をつけていただきたいということで、
研究
歴をつけていただいておりますけれ
ども
、まだ卒業後年数の短かい方は、
研究
歴だけでは
選考
のできない面がございますので、これは
選考
に当りまして、学術
試験
まで課す
予定
でございます。そういうことで、全部学校の成績及び
研究
の閲歴及び学術
試験
というものをあわせて用いる
予定
でございます。
研究
歴の非常に古い方は、その
研究
歴によって
選考
したいということで進めておるわけでございます。その結果を
選考委員会
にかけまして、
選考委員会
では、事務的に、主任
研究グループ
に委託し、今、調査をいたしておるところでございます。そういう状態でございまして、もちろん健康状態は従業員として非常に大切でございますので、必ず健康診断をいたしまして、健康が悪ければ採用しないことにしております。もちろんそれも重要なフアクターでありますが、どこまでも
研究
と成績というものが問題になるわけであります。
岡良一
34
○
岡委員
私
ども
いつも心配しておるのですが、私
ども
は若い
研究者
をできるだけ集めてもらいたい。ところが、その待遇が国家公務員ということで縛られてくると、なかなか思うにまかせない。もちろん若い人は、月給が別に高くなければならぬとは思わないと思うのです。十分に、思う存分に
研究
がしたいというりっぱな意欲が満たされるか満たされないかというところに、足踏みをするかそこへ入るかの大きなけじめがあるわけです。そこで、現在
原子力研究所
として、すでに雇用をされた所員はどういう処遇を与えられておるのか、そういう御
計画
に基いてすでに何名御採用になったのか、大ざっぱなものでいいのですが、私はそういうところに非常に関心を持っているので、その辺を聞かせてもらいたい。
久布白兼致
35
○
久布白参考人
それは
資料
に古いて、ございます
通り
、現在
技術
屋として十七名採っております。その内訳を詳しく申し上げます。そのうちの五名は、主任
研究員
的ないわゆるヘッドで、これは設立当時の
委員会
でおきめ願いました設立の準備室という形で、各種の
大学
の先生方及び
研究所
の主任
研究員
のおもなる方にお集まり願いまして、現在も御
協力
願っておるわけでございます。その中で所員になってもよろしいという方、五名が所員になっておる。その十七名の中には、主任
研究員
程度
のかが五名、最初にきまっておったわけです。あとの十三名は、その準備室におきまして、いろいろの
研究計画
及び設立に対しまして準備をしなければならない。機械を買いますについて仕様書を古くとか、いろいろの折衝をするとかいう問題がございます。
大学
の先生方だけで、手足なしでは
仕事
が進みませんので、主任
研究員
が、自分の手足として必要最小限の人を十二人ほど
推薦
していただきまして、それを採用したのが、新聞に伝えられておるようでございます。その方は、今は実際の
研究
でございませんで、
研究所
を作るための準備、いわゆる事務的の作業を依頼しておるのが実情でございます。今後入れますのは、だんだん
研究員
になるわけでございますが、今のところまだ
研究
段階
までいかないのでございまして、事務的な問題を進めるために、主任
研究員
の下に、
最小限度
の助手的な若い方を入れたというのが実情でございます。これからの
研究員
は、御承知の
通り
どんどんふえますので、ほんの一部が、主任
研究員
の作業的な手伝いとして入れられたということでございます。
岡良一
36
○
岡委員
原子力研究所
で処遇条件を引き継がなければならぬと思うので、その点を実はお聞きしたわけなんです。それから、
大学
の教授の諸君も少し偏狭だと思うのですが、どうも少し越権じゃないか。他から
推薦
をされても出さないぞというようなへそ曲りな教室があるのですか。あればどことどこですか。
久布白兼致
37
○
久布白参考人
実は、それと私らの考えは逆だと思います。実際これから四十人ぐらいを
選考
いたしますが、どんどん引き続き来ておりまして、いつまでもきりがございませんので、一応二月までで締め切っておりますが、三百四十四人ございます。非常に多いので
選考
にひまを食いまして、実は音を上げておるところでございます。処遇について先ほど申し忘れましたが、大体特殊法人という意味もございまして、
財団法人
としてもよそ並みというような気分がございまして、学校出は、電源
開発
と同じ処遇をいたしております。
岡良一
38
○
岡委員
電源
開発
と同様な処遇を与えると、とにかく
日本原子力研究所
がこれをそのまま引き継がなければならぬ格好になるわけですが、そういうことになるわけですか。これは
齋藤
さんどうです。
齋藤憲三
39
○
齋藤
(憲)
政府委員
今回提案いたしました
日本原子力研究所法案
によりますと、現在あります
財団法人原子力研究所
の
職員
はそのまま引き継ぐということになっておりますから、待遇その他もそのまま引き継ぐことが原則だ、そう考えます。
岡良一
40
○
岡委員
いろいろ不審に思っておった点も一応氷解したわけです。とにかく慎重にお願いしたいのは、やはり
アメリカ
との間にちゃんと
協定
を結んでいる以上、
協定
に基いて、その資格のある者、受験された者が正規な
手続
を経ることが必要だと思う。あるいはまた学術
会議
の
関係
等は、これまでもやはりいろいろと意見の疎隔があって、あの一月の
正力国務大臣
の動力
協定
なんかで、もう新年早々大もめをしたりしておるわけですから、そういう点は間隙のないよう、周到にやっていただくということから、少しこういうことをお尋ねしたのです。
原子力研究所
もいよいよ晴れて
日本原子力研究所
へ今度は大きく発展的な解消をされるので、その間を、万人ひとしく納得し得る形でぜひともやっていただくことを
希望
いたします。いろいろお騒がせいたしまして恐縮いたしました。
有田喜一
41
○
有田委員長
志村茂治君。
志村茂治
42
○志村
委員
政府
提出の
日本原子力研究所法案
について、まず最初に役員の任命についてお尋ねしたいのです。「
理事長
は、
原子力委員会
の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」「副
理事長
及び
理事
は、
理事長
及び
原子力委員会
の意見をきいて、内閣総理大臣が任命する。」こういうことになっておりますが、
原子力委員会
ができました今日、なぜ
原子力委員会
の
推薦
という形をとらなかったか、その理由をお尋ねしたいと思います。
齋藤憲三
43
○
齋藤
(憲)
政府委員
ただいま御指摘の点でございますが、御承知の
通り
、
原子力
に関します全般的な基本
計画
は、
原子力委員会
で立案決定をするのでございますから、当然
原子力研究所
も、
原子力委員会
の決定の線に基いて諸般の
研究
を進めていかなければならぬと思うのであります。従いまして、
理事長
はあくまでも
原子力委員会
と一体をなす形をとらなければ、なかなか将来の
研究
に
原子力委員会
の決定が十分に反映できない、さような見地から、
理事長
は
原子力委員会
の同意を得てという
程度
にした方がよくないか。御指摘のように、
原子力委員会
の
推薦
という形になりますと、いろいろな問題が起るのではないか、それよりも、
政府
としては、これが適当であるという人を選んで、特に
原子力委員会
の同意を得るということにした方が、
原子力研究所
に対する
責任
上からも適当ではないかと考えて、さようにいたしたのであります。それから副
理事長
及び
理事
は、
理事長
及び
原子力委員会
の意見を聞いてこれを決定する。これも軽い意味の同意と考えてさしつかえない。副
理事長
及び
理事
は、これまた
理事長
及び
原子力委員会
と一体をなしていかなければならないので、「副
理事長
及び
理事
は、
理事長
及び
原子力委員会
の意見をきいて、内閣総理大臣が任命する。」まあこのくらいで、
原子力研究所
の連行は一体化ができるのではないか、そういうような観点から、かように決定いたした次第であります。
志村茂治
44
○志村
委員
これの十二条の法文の解釈からは、役員の選出についてのイニシアチブは、あくまで政−府がとるというふうに解釈されるのですが、そういうふうに解釈されるか、あるいはどのように解釈されるか、その点を明らかにしてもらいたい。
齋藤憲三
45
○
齋藤
(憲)
政府委員
この
原子力研究所
は、もちろん
原子力委員会
の決定した線に沿うて
研究
を進めて参りますが、行政的処置といたしましては、総理大臣の監督下に属しますので、こういう形の方が適当であると考えたのであります。
志村茂治
46
○志村
委員
もちろん
原子力
開発
の基本的
計画
は、
原子力委員会
でこれを決定し、内閣総理大臣がこれを尊重しなければならないというふうな規定になっておるのですが、ただ
事業計画
だけではなくて、ほんとうに民主的に運営しようとしたならば、
研究員
となるべき、あるいはその指揮者となるべき
人事
についても、
原子力委員会
がむしろイニシアチブをとるような形にしなければならないと私たちは考えておるのであります。そう申しますことは、
原子力基本法
にも書いてあります
通り
、
原子力
開発
は民主的に行われなければならない、しかも民主的に行うためだからといって、われわれは超党派であらゆる準備を進めてきたのであります。
政府
がイニシアチブをとる、
政府
といえば、いずれ政党内閣においては、
一つ
の政党に属しておるのでありますが、その
政府
がその
研究
の
一つ
の大きな部面、半面である
人事
についてイニシアチブをとるということは、大きな疑問がある。でありますからして、われわれが
原子力
開発
のための、ほんとうに民主的であり、超党派的であるとして作りました
原子力委員会
に、
人事
の面についてもイニシアチブをとらすべきであって、一党一派に属しておる
政府
がこのイニシアチブをとるということは、果して基本法にいっている民主的な運営であると解釈できるかどうか、その点疑問があるのです。その点を明らかにしていただきたいと思います。
齋藤憲三
47
○
齋藤
(憲)
政府委員
この
原子力委員会
を設けました趣旨は、ただいま志村
委員
から御指摘の
通り
であります。超党派的に
原子力
問題を取り扱って、時の
政府
の権力によって左右されないために
原子力委員会
を設ける。しかし、
原子力研究所
は、行政的には総理大臣の監督下に入るのであって、この
原子力研究所
の
人事
までも
原子力委員会
にゆだねることには、私はならないと思う。大局において、
原子力
問題は
原子力委員会
において超党派でやる、その同意を得て
理事長
を任命することになりますれば、私はそれで態勢は十分である、さように考えております。
志村茂治
48
○志村
委員
問題は、その任命についてのイニシアチブをどこでとるかということでございますが、一歩譲って、
理事長
の場合は
原子力委員会
の同意を得る、同意がなければ任命できぬということであれば、それは相当強度なものだと考えられるのでありますが、副
理事長
以下平
理事
の場合においては、
原子力委員会
の意見を聞いてということになっております。意見を聞いてということは、意見を聞いた事実があればよろしいのであって、必ずしもそれに従わなければならないということはないというのが普通の解釈である。そういうようなことで、もし
政府
が
原子力委員会
の意見に反して、ただ聞いたという事実だけによって任命されるということがないか、これをお聞きしたい。
齋藤憲三
49
○
齋藤
(憲)
政府委員
それは、御承知の
通り
、
原子力委員会
の決定は、内閣総理大臣は尊重しなければなりませんので、
原子力委員会
の同意を求める場合に、不同意であれば、総理大臣はそれを尊重する。結局総理大臣が尊重しなければならないというところに五点を置いて、これで十分だと考えたのであります。
志村茂治
50
○志村
委員
あまり議論はしたくないのですが、この
委員会
の副
理事長
、
理事
の場合は意見を聞いてということになっておる。こういう表現の仕方は、意見を聞いたという一実があればよろしいというのが通例の解釈でありまし、う。そうしますと、同意の場合はそれでよいですよ。しかし副
理事長
あるいは
理事
の場合は、同意はなくても任命できるということに解釈できるのではないでしょうか、どうでし院一うか。
齋藤憲三
51
○
齋藤
(憲)
政府委員
その意見を聞いてきめるのでございますが、その間に意見の食い遅いがあれば、これは意見の食い違いに対するところの内閣総理大臣の
一つ
の
責任
が出てくるわけであります。しかしこの
原子力委員会
を設けまして、超党派的に
原子力
の問題を推進していこうという建前から考えますると、
理事長
は
原子力委員会
の同意を得て、これを任命するのであって、その何事長と
原子力委員会
が賛成の意見を吐かない者に対して、内閣総理大臣がしいてこれを任命するというようなことは、これは異例のことであって、そういうことは私たちは起きないと思います。
理事長
を任命するに際しましては、
原子力委員会
の十分な了解、同意を得てこれを任命し、さらに
理事長
と
原子力委員会
との意見を聞いて、副
理事長
、
理事
を任命する
程度
で、十分この間の万全を期し得られるという観点で、かようにいたしておるわけであります。
志村茂治
52
○志村
委員
それでは、この意見を聞いてというのは、
内容
は同意と解釈してよいのですか。
齋藤憲三
53
○
齋藤
(憲)
政府委員
意見を開いてということでございますから、副
理事長
及び
理事
の任命に当りましては、十分
理事長
及び
原子力委員会
の意見を聞くのでありまして、なるべくその意見に沿うように努力するという意味に解釈していただいてよいと思います。
志村茂治
54
○志村
委員
どうもはっきりしませんが、その意見を尊重するということは、尊重しなくても、意見に従わなくてもよいということを考えられるわけであって、特に今の
原子力研究所
において、
研究員
の選任等に当っては、協調的な人物を選ぶというようなことで、原力
委員会
に、
一つ
の方向によって着色されるということも、ある
程度
考えられないことではない。従って、こういうような法文の表現の仕方であって、役員の選任については
政府
がまずイニシアチブをとる、それで、第二項においては、はっきり意見を尊重しなければならないということも、何も書いてないというようなことになると、何か荘本法の根本が、この
人事
の面においてくずされてくるのではないかということも、われわれ心配されるわけです。ぜひそういうことがないように、あくまでも
原子力
開発
の基本法の精神は守っていただきたい。その際に、私はこの条文が不満足であるということを述べておるのであります。 それから、次に監事の場合には、これは内閣総理大臣の任命でけっこうだと考えておりますが、第十九条に、顧問という条項があります。この顧問というのは役員であるのですか、ないのですか。
島村武久
55
○
島村説明員
お答え申し上げます。この法律で顧問と申しておりますのは、役員及び
職員
と同じような格で、それに並ぶものとして規定したもので、ございまして、役員には入っておりません。
志村茂治
56
○志村
委員
大へん意味が軽くなってくるのでありますが、第十九条第一項に「業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置く」とある。これは役員ではないが、重要事項に参画させる相当重い地位にあるものと思うのであります。その
人たち
の選任についても、やはり平
理事
の場合と同じく、
原子力委員会
の意見を聞いて内閣総理大臣が任命する、こういうことになっております。全体を通じて見ますと、この
原子力研究所
は、われわれの予想したほどいわゆる民主的であり超党派ではない。もしほんとうにそういうアイデアを持ってされるならは、こういうような規定でなく、もう少し
原子力委員会
の
意向
を尊重したことが書かれてあればよろしいと思うのでありますが、
政府
が一貫したイニシアチブをとるというような態度が、ここにはっきり見えておるのであります。その点について何か特別に、やはり基本法の精神はあくまでも守っていくのだというふうな考えであるかどうか、その点をお尋ねしたい。
正力松太郎
57
○
正力国務大臣
お答えいたします。これは、申すまでもなく基本法の精神をあくまで守っていきます。そして先ほど次長からお答えがありました
通り
に、内閣総理大臣は
委員会
の意見を尊重するとありまして、これはほかの条文にないのであります。これだけ特に書いてあります。ですから、
委員会
の意思に反するようなことはいたしません。従って民主的に運常できると信じております。
志村茂治
58
○志村
委員
最後にはっきりさせておきたいのですが、一般の法律の解釈の、意見を聞いてということは、意見を聞いたという導火があればそれでよろしいということではなくして、やはり基本法に書いてある、その意見を尊重する1共本法は意見でない、決定だったですね。決定を旭市しなければならない、意見はあくまでも尊重ざれる、こういうことなんですか。
正力松太郎
59
○
正力国務大臣
全くその
通り
です。普通の意見を聞くというものではありません。意見は尊重いたします。
志村茂治
60
○志村
委員
それでは、次に第四条の資本金のことについてお尋ねしたいのであります。
政府
の資本金としての
出資
額は、二億五千万円ということに限定されておるのでありますが、この二億五千万円という資本額の根拠を
一つ
教えていただきたいと思います。
正力松太郎
61
○
正力国務大臣
これについては、実は昨日もちょっと御質問がありましたが、最初はあまり金は要らぬのでありまして、民間から大体一億くらいの金が出るというあれがありましたから、そうすれば
政府
の方で二億五千万円、つまり四億五千万円あれば最初のうちはよろしいということで、二億五千万円ときまったのであります。民間からの比較上じゃないので、民間にとらわれずに、今要る金が大体四億五千万円だ。そういう意味において、今必要なる金の限度をきめて、民間から一億が出るということでありますから、三億五千万円という金額をきめたわけであります。今後もしなお金が要るようになりますと、現に予算もとってありますから、あとのふやすのは、全額
政府
でいくことになるかもしれぬと思います。
志村茂治
62
○志村
委員
大体民間からは二億くらい出るだろう、そうして
政府
の
出資
二億五千万円、総計資本金は四億五千万円、こういうことを言われておるのでありますが、本日御提出になりました
日本原子力研究所事業計画
によりますと、
昭和
三十一年四月一日から三十二年三月三十一日までの
出資
は、六億三千百八十二万二千円ということを
予定
されています。しかもその次の第一期決算における貸借対照表を見ますと、資本金として六億三千百八十二万二千円が計上されております。どうもその辺の
数字
が合いませんが、どういうふうに考えておりますか。
正力松太郎
63
○
正力国務大臣
それはなお詳しい
数字
の
説明
を
事務当局
からいたさせますが、要するところ、初めのうちは四億五千万円、あとに五億何千万円あるのでありますが、あとの分を加えなかったわけであります。なお
数字
的な詳しいことは、
事務当局
からお答えいたさせます。
堀純郎
64
○
堀説明員
説明
を補足させていただきます。当初の資本金は二億五千万円でございますが、それが
仕事
を進めていきますに従って、増資を必要とするのじゃないかというような見込みのもとに、この
数字
を立てております。六億三千万円の
出資
になっておりますが、このうち一億は、かりに
土地
の
現物出資
があった場合、これを一億と評価いたしまして、それを一億含んでおります。それからあとの五億三千万のうち、二億は
民間出資
があるものと予想いたしまして、これもきわめて不確定のことでございますが、かりにこれを二億といたしまして、二億入れてございます。あとが、二億五千万円から引きましたのが同一
年度
内の増資の分でございます。それから
出資
と
補助金
との区別は、資本的支出に当りますものを
出資
といたしまして、消耗的な
出資
に当りますものを
補助金
と一応算定しております。
志村茂治
65
○志村
委員
今のお話でも、当然本
年度
内に
出資
を必要とするということが
予定
されておるにもかかわらず、二億五千万円しか
出資
されないというところがおかしいじゃないですか。
島村武久
66
○
島村説明員
本
年度
の
計画
といたしましては、先ほど
堀説明員
から申し上げましたような
数字
の
出資
金を必要とすると大体見込んでおりますけれ
ども
、同じ本
年度
でも、設立当初からそれだけのものをかかえておらなければ、
仕事
ができないという筋合いのものではございませんし、なおお
手元
に差し上げました
資料
につきましては、私
ども
で現在大ざっぱに考えておる見通し的なものとして差し上げましたので、精密な資金
計画
等は、この法案が成立いたしました後において、
研究所
の設立と同時に、その
責任
者によってもまた検討されて、正式なこの法律による
手続
を経ました固まった資金
計画
になる、こういうことになりますので、現在のところは、先ほど大臣から申し上げましたように、予算面での範囲内において、とりあえず必要とされる金額というところから、民間の二億ということも大体見当づけられますので、
政府
の方は二億五千万円も出せば、当面差しさわりないものという意味で、
政府
出資
を設立当初において二億五千万円としてあるわけであります。従いまして、
計画
の進行に伴いまして、資金
計画
等もはっきりいたして参りましたならば、
年度
内におきましてもさらに増資を行なって、
政府
出資
を求めるという形になることを予想しておるわけでございます。決してその
資料
面あるいは予算面で食い違いがあるというふうなものでは、ございませんので、御了承をお願いいたしたいと思います。
志村茂治
67
○志村
委員
なるほど
原子力研究所
の予算は、
政府
の債務負担行為を合せて十九億ということは承知いたしておるのでありますが、二億五千万円の根拠がどうもおかしい。と申しますことは、大体資本金というものは、相当長期間の資金
計画
の対象にならなければならぬ、こう考えておるのでありますが、一年ももたない、半年先には増資しなければならないというようなこの資本
計画
をするということは、何か納得がいかぬのです。特殊な
事情
がそこにあるのでしょうか。それをお尋ねします。
島村武久
68
○
島村説明員
何も特株な要素は全然ございません。特に予算面でも、これより多くの金額がとられて、御承認いただいておるわけでございますので、これより多くても一向差しつかえがないはずのもので、ございますけれ
ども
、何分にも先ほど申し上げましたように、この
研究所
の固まった意味での資金
計画
と申しますものは、この
研究所
法が成立いたしまして、その後において、その
責任
ある者の手によって作成せられ、かつまたこの
研究所
法で定める
手続
によりまして、内閣総理大臣の認可を得、さらにその際は大蔵大臣と協議いたしまして決定するというようなことになって、初めて確定する
性質
のものでございますので、従いまして、
補助金
との
関係
もございますし、どの分を
補助金
で出す、どの分を
出資
金で出すというようなことも、基本的には、先ほど
堀説明員
から申しましたように、
出資
に当然充てると考えられる固定資産的なものは、
出資
としてまかなうという原則はありますが、具体的にそれをはっきりいたさせますには、いま少し時日を要することかと考えておるわけでございます。とりあえず設立の当初は、この
程度
あれば十分であろうというところで、
民間出資
との
関係
も見まして二億五千万円という
数字
、合せて結局四億五千万円ですか、その
程度
のものになるという計算で出しましたわけでございます。決してその間に特別に、
政府
の
出資
を予算で認められておるにかかわらず、出さないことにしたというような意味は全然ございませんので、御了承をお願いいたしたいと思います。
志村茂治
69
○志村
委員
たとえば第四条の第五項に、「
政府
の
出資
額は、常時、
研究所
の資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。」というように書いてありますが、ここにいろいろわれわれが考えなければならない点があると思うのであります。一方、民間で二億円出る。だから五〇%以上というので二億五千万円という数・字が出たのじゃないかとも考えられますし、もしそういうことになりますと、私
ども
が心配したように、大蔵省が、将来
出資
の場合には、
民間出資
の五〇%以上であればよろしいという根拠がここでもって足を出してきたのではないかというような感じがいたすのであります。これはもちろん感じでありますが、そういうようなことでないならばわれわれは幸いだと思うのですが、その点はいかがですか。
正力松太郎
70
○
正力国務大臣
これは大蔵省ともよく話してありますので、最初はこうするけれ
ども
、あとは
政府
の方で全部出すようになるかもしれぬということを了解を得てあります。これは先ほど申し上げました
通り
に、最初金はたくさん要らぬから、四億五千万円だから、とりあえず民間で一億くらいできそうだから、二億五千万円にしておけということでありまして、将来は何もその範囲でということではありません。これはよく大蔵省とも打ち合してありますから、御懸念の点はありません。
志村茂治
71
○志村
委員
それでは、次に
民間出資
の見込みについてお聞きしたいのでありますが、この
出資
金というのは
出資
証券でございまして、元来は何の権限もついていないものである。もちろんそうでなくてはならない。この
研究
、
原子力
開発
の性格上、そうでなければならないのでありまして、
出資
証券という形をとられたのはけっこうでありますが、しかし民間側から考えてみれば、何らの権限も持っていない、全額としても相当高額な二億円という金が出るということです。これについてはいろいろ考えられる点もあるのでありますが、この二億円の
出資
についての話し合いの経過がありましたら、その点を明らかにしていただきたいと思います。
正力松太郎
72
○
正力国務大臣
ただいま、民間から金を出す以上、そこに何らか利益がなければならないんじゃないかというような点も含むものと思ますが、実はこう考えていただきたのです 民間でも、
原子力
はどうしても産業
開発
上必要だ、また
原子力
によらなければ、ことに発電などはいかぬという考えがあります。従って、国家のために献身的にいこうという考えからきておって、必ずしもこれにもうけがなくてはならぬというものではありません。従って単なる証券でけっこうだ、それほど民間は熱心なのであります。民間というとすぐ金もうけのようにお考えになるが、これはそういう意味ではありませんから、どうぞその意味を含んでおいていただきたい。
志村茂治
73
○志村
委員
もう
一つ
それに関連してお伺いしたいのでありますが、実は、民間で
原子力研究所
に
出資
証券であるにいたしましても
出資
した場合には、それに対して税務署は課税をします。従って、民間の
人たち
は、こういう
出資
なんということよりも、むしろ寄付金の方が税金がかからないだけ楽である、同じ何の権限も何の配当もないというものであるならば、どうせ捨てるような金ならば、
出資
よりもむしろ寄付金の方がよい、こういうことを言っておるのであります。寄付金の形をとらないで、
出資
証券の形をとられたのはどういうわけでありますか。
正力松太郎
74
○
正力国務大臣
それはさっき申し上げましたように、民間は寄付でもいいという考えを持っておるのであります。しかしこれをわれわれは特殊法人にしたい。
政府
の方では、全額
政府
でやりたかったのです。それを特殊法人にしたために、こういうことになったのであります。
志村茂治
75
○志村
委員
そうしますと、今度は大蔵省にお尋ねしたいのでありますが、さっき読み上げました第四条第五項には、「資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。」ということになっておりますが、最初の
出資
以降において、民間から
出資
があると見込まれておるかどうか、この点をお尋ねしたいのであります。
原純夫
76
○原
政府委員
私
ども
は、極力多額の資金を動かすというために、また財政上の理由もございまして、民間からの
出資
が今もできるだけあることを
希望
いたしております。
志村茂治
77
○志村
委員
希望
はわかっておりますが、一体どのくらいの見込みを持っておられますか。どうも今後は出ないのじゃないかというふうにも考えられますが、どうでしょうか。
原純夫
78
○原
政府委員
金額の見込みになりますると、一応見込みは本日出ておるのでございますが、失際のスケールの動きの中身というものは日進月歩です。そのときどきの新しい情勢を取り入れてやっていくことになると思いますので、もとがきまりませんと、またその後
年度
の財政状態あるいは民間からの費用の状況というようなことも見当がつきませんので、額について別段はっきりした
計画
を持っておるということは、ございません。
志村茂治
79
○志村
委員
金額については全然見込みを持っておらない、こういうようなお話であります。そうしますと、われわれの期待している金額に非常に大きな不足という場合もありますし、また予想以上に大きいという場合もあります。大きいという場合を想定いたしますと、たとえば
原子力研究所
で五十億の金が要るようであるというときに、民間からたとえば三十億と出たという場合にはどうなのですか。この場合には二分の一以上をこえなければならないというと、不必要であっても、なお
政府
は三十億以上を出すということを考えられるのですか、どうなのですか。
原純夫
80
○原
政府委員
非常に民間の方で出そう、出そうということになります時期は、おそらく
研究所
の
仕事
がかなり企業的ものとの
関係
がついていく時期だと思います。そういう時期は、また今考えておる情勢と根本的に変って参ります。今は相当に援助をしなければならないというつもりで、二分の一以上に当るものでなければならないということを言っおりますけれ
ども
、そういう非常に企業的な分野にまで
原子力研究所
の活動が入ってくるという時期には、法律日体もまた考え直す事態があるかとも思いますが、五十億の資金がいる、それを
出資
で五十億を調弁するといいます場合には、半分以上ですから二十五億以上を
政府
が出すということに相なって、民間の方は、いわばその中で御遠慮願うというようなことに、この法律がある限りはなると思います。
志村茂治
81
○志村
委員
要するに、われわれもその点は考えておるのでありますが、こういうような
研究所
の性格上、国家が
責任
を持たなければならぬ、従って特殊法人でやれば、ある。パーセンテージの株を持たなければならないということはわかっております。その意味で、二分の一以上ということが考えられるのであります。しかし、問題は、二分の一ということにあまり固定しおるような考え方でありますが、民間の
出資
があまり少い場合に、それを根拠にして、将来
政府
の
研究所
に対する
出資
が考えられるというようなことはないということを私は
希望
するのであります。大蔵省は、民間の
出資
なんかには何ら拘泥せずに、この
研究所
に必要な経費は出すというお考えであるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
原純夫
82
○原
政府委員
先ほ
ども
希望
は申し上げました。なお、この
研究所
が、当初その性格についていろいろ議論がございまして、私
ども
の方は実は
国立研究所
にしようという意見だったのであります。それを
政府
部内でいろいろ意見調整の結果、国立にはしない、特殊法人たるものにすることになりました。それはつまり純粋にオール国ではないということであって、民間資本な入れるのだということなのであります。従いまして、今後もやはり民間資本は入ってくるべきものというふうに考えております。同時に、そうかといって、この規定で、半分以上なんだから五一%出せばいいので、民間が一億出せば一億一千万出すという、いわばこれをたてにして予算を値切って参るというような角度であっては、
原子力研究所
の将来はいかぬと思っております。従いまして、ただいま申しました
研究所
の性格にかんがみて、民間にもその辺は十分御
協力
を願うと同時に、
政府
は単に民間と対々だけの気持でなくて、
研究所
の満足な発達のために、場合によっては半分でなくて、民間の倍になろうが三倍になろうがやるという場合もあるというふうに考えております。
志村茂治
83
○志村
委員
先ほど
正力国務大臣
のお話にもありましたように、民間は、これに対する特別な反対給付は何も求めておらない。きわめてきれいな気持で
出資
をしていくのだというようなことであります。他方において、
政府
は、
民間出資
の額がどの
程度
外、あるかにかかわらず、
原子力研究所
の必要な経費は、国家としてこれを出すという二つの
方針
がこの場合確認されたようであります。そうなってくれば、まことにけっこうだと思います。ぜひそういうふうに将来の
原子力研究所
の予算面についてはお考え願いたいということを
希望
いたしておきます。 それから、次に業務の範囲であります。この業務の範囲というのは八
項目
を書き加えております。その中に、
放射線障害
の防止に関する
研究
がかつてはあったのですが、それが除外されております。その理由をお教え願いたいと思います。
島村武久
84
○
島村説明員
法律的なことだと思いますので、私からお答え申し上げますが、当初の、志村
委員
にも御相談申し上げてお考え願っておりました案には、実ははっきりさせる意味で書いておいたのでございます。法律的にこれを見ますると、
原子力研究所法
案に書き並べました一と二に、「
原子力
に関する基礎的
研究
を行うこと。」それから「
原子力
に関する応用の
研究
を行うこと。」というのがございます。
原子力
という
言葉
自体は、
原子力基本法
で定義されておりまして、かなり広範なものを含んでおります。またそれに関するということでありますので、障害防止というふうに取り上げませんでも、一切が含まれるという法律的な解釈に基きまして、特掲することをやめたわけでございます。御指摘になりました障害防止等はきわめて重要なことでありますので、それの
研究
の態様によりまして、あるものは基礎的
研究
ということで読める、あるものは応用の
研究
ということで読めるわけでございまして、決してやらぬということではございません。当然にわれわれはやるということで考えておることに属するわけでございます。
志村茂治
85
○志村
委員
これは見解の相違といえばそれまででありますが——二十二条に書いてあるいろいろな業務の範囲でありますが、その中で、特に
日本
はこの
原子力
の平和
利用
ということをうたっております。私たちが伺ったシカゴ
大学
の学長の話によりましても、平和
利用
という限りは、それに伴うところの
放射線障害
に対する防止ということは、兵器に関する場合の秘密に該当するほど大きな
項目
である、これを最も重視しなければならないということを言われておるのであって、平和
利用
の場合には、まさにその
通り
であるというふうに解釈しておったものであります。私たちは特にこれは重要な問題であると考えておるのであります。それを他の方面から類推して解釈されるからいいではないかと言われればそれまででありますが、しかし類推するにしては、あまりに大きな
項目
ではないか、こう思っております。それが特にこの場合において削除されたということになると、何かそこに理由があるのではないかと考えられる。何にも理由はないのですか。
島村武久
86
○
島村説明員
ただいま申し上げましたように、
原子力
の障害に関する防止はきわめて重要なことでございまして何かあるのじゃないかとおっしゃる意味が、あるいはやらないのではないかというふうなお考えであるといたしますれは、全然そうでなく、先生のお考えのように当然やるということでございます。一からずっとお読みいただきまずとわかりますように、一あるいは二で読めるようなことが、重要であるからというので、抜き出されて、特別に掲げられておりますのは、しいて求めますと三くらいなものでございます。三は、
原子炉
の
設計
、
建設
、
操作
というようなことで、これは
基礎研究
である場合もありますし、
応用研究
である場合もあるわけでございます。しかし応用の
研究
あるいは基礎的
研究
と言い切れない分がございますので、特にこういうことを掲げたわけでございまして、それ以外にはみな基礎的
研究
ということで読めるものでございます。読めないものばかりが並べてあるという次第でございますので、一及び二で読めるようなものは、重要でございましても、こういう一、二の書き方をとりました以上、重要だからといって特掲するということは重複するという意味でやめたわけでございます。決して御心配のようなことはございませず、当然
研究
いたすことでもございますし、また読めることでもご、ざいますので、その間に、特別な
事情
等は何もないというふうに御了承願いたいと思います。
志村茂治
87
○志村
委員
実はこれはわれわれの考え方で、放射線医学総合
研究所
ができるから、そこにまかせるのじゃないかというふうにも考えたのでありますが、しかしただいまの御
説明
のように、法文を作る上についての
技術
上の問題としてそれが削除され、
内容
としては当然それが入っておるということならば、それでけっこうです。 それから、次にお聞きしたいことは、三十一年の二月十日に決定された要綱、私たちは
日本
原子力
総合
研究所
法案と言っておりましたが、それの三十六条に、「
研究所
は、その役員及び
職員
に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」というふうないわゆる給与規定が書かれておったのであります。今度のこの法案については、それが削除されておる。そうしますと、これは総理大臣の認可を経る必要がなくなったのかどうか、その点をお尋ねいたします。
島村武久
88
○
島村説明員
同じような法律的な問題でございますので、私からお答えさせていただきます。志村
委員
のお
手元
にございます以前の案におきましては、確かに給与準則あるいは退職手当の基準等につきまして、内閣総理大臣の認可にかからしめるような条文も入れてございましたが、これは実はこの
研究所
の性格が、公社というような形で考えられておりました時分のなごりが実はそこに現れておったということでございます。かように民間の
出資
を認めました特殊な法人という形になりました場合には、従来の立法例その他から考慮いたしましても、給与の準則、あるいは退職手当の基準等を、法律をもって、内閣総理大臣の認可にかからしめるということは、妥当を欠くという法律的な見解もございまして、削除することにいたしたわけでございます。
志村茂治
89
○志村
委員
法律で書けないとすれば、それは当然定款をもって書かれるということになるだろうと思うのでありますが、定款にその給与規定が書かれるのかどうか、そしてその給与規定は内閣総理大臣あるいは大蔵大臣の承認を要するものであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
島村武久
90
○
島村説明員
定款にさような規定を挿入せしめますかどうかということは、まだ未定のことでございますので、はっきりと申し上、げかねることでございますけれ
ども
、何分にもこの
研究所
の所要資金は、志村
委員
も先ほど以来御指摘になりましたように、国家的に相当強力にバックしなければならぬということに相なりますと、ある
程度
の監督は必要ではないかというふうにも考えておりまして、全然野放しにするというわけにもいかぬのじゃなかろうかというふうに考えております。ただ、それを定款記載事項として、定款によって内閣総理大臣の認可とすることがいいかどうかというところまでは、まだはっきりとした結論を得ておりません。
志村茂治
91
○志村
委員
この
原子力研究所
には、優秀な人材を網羅しなければならないという考え方から、今までの官吏の給与規定によっては、思うような手当が得られない。できれ、ば、民間の大会社の
技術者
の平均ということを実はわれわれは考えておったのでありますが、そういうふうな給与にしようということになった場合に、果して大蔵省がそれに承認を与えるかどうかということについて、大きな疑義を持っておったわけであります。ところが、このたびのものは、給与の規定は一体どこで取り扱うものかということが一向はっきりしないのでありますが、それについての
一つ
の
方針
がございましたならば、たとえ、ば会社が独自にやるのか、あるいは
政府
の監督下にやらなければならないのかという点を、できるだけはっきりさせていただきたいと思います。
島村武久
92
○
島村説明員
先ほ
ども
申し上げたことでありますれけ
ども
、相当多額の国家資金で強力に推進しなければならぬと抽象的に申しましたけれ
ども
、三十一
年度
あたりを具体的に考えてみました場合に、固定資産的なものを
出資
でまかなうといたしますと、当然に運営費は
補助金
でまかなわなければいかぬ。従いまして、
補助金
でまかなうと申しましても、運営費については、ほかに収入の道がございませんから、百パーセントの補助ということにもなりますので、人件費につきましてもまた
補助金
でやっていくというように相なるわけであります。従いまして、志村
委員
御指摘のように、優秀な
研究者
を集めるという上から、あまりにかた苦しい給与準則を作りました場合には、優秀な人が得にくいということも当然予想されますので、さような点は十分考慮いたさなければなりませんけれ
ども
、また一面、人件費全額が国の補助でまかなわれるというようなことになりますと、大事な国費のことでございますので、そこにやはり限度というものがおのずからできなくちゃならぬのじゃないか、そういうふうに考えておるわけであります。ただ、それをたとえば公務員のベースの一割増しにするとか、二割増しにするとかというようなことにつきましては、まだ固まったラインというものも考えておりませんし、これは大蔵省ともやはり十分内部的に相談もし、また
研究所
の
責任
者がきまりました暁におきまして、十分に打ち合せて、国費を使って全額まかなっていくという一方の
事情
と、他方、優秀な
技術者
を迎え入れるという両方の条件を満たし得るような、妥当な線を考えなければならぬ、そういうふうに考えているわけでございます。
志村茂治
93
○志村
委員
お話のように、人件費は全額国庫負担でやるのだ、従って、国家が厳重にこれを監督しなけれ、はならないということは、特に大蔵省の強い要求であるということを聞いておればこそ、私たちはいろいろ心配もしておるのであります。今のお話によると、その点については、はっきりした結論がまだ出ておらないということであります。さっき大蔵省がおいでになるときに、私はこの点についてお聞きしようと思ったのですが、すでにお帰りになったあとで、むしろもらう方の側と相談しても話にならぬから、私はこの問題は将来大蔵省がおいでになったときにもう一ぺんお聞きしたいので、これは保留しておくつもりであります。いずれにいたしましても、何か知らぬが、
原子力研究所
の超党派の線が、全体としてある
程度
破れてくるのではないか、さっきの役員の選任の問題にいたしましても、そのほか今の小さい問題でも、この人件費の問題にしましても、国家の支出が大きいから、従って国家の監督、同時に普通の
政府
の監督という線が非常に強まってくるのではないか、
原子力基本法
に書かれているところの民主的、自主的な運営ということについては、多少ひびが入るのではないかということがずいぶん心配されるわけです。しかし、話し合いによって解決の道はないわけではないと思うのでありまして、
正力国務大臣
はその点を十分御考慮の上、今後も各省間の折衝をしていただいて、われわれの
希望
いたしておりますような、
原子力基本法
に示された根本的な考え方によってこの
開発
が行われますよう、ぜひお願い申し上げておきます。
正力松太郎
94
○
正力国務大臣
先ほど
島村説明員
が
説明
しましたことについて、私からもう一言申し上げます。給与の問題につきましては、
原子力委員会
が非常に顧慮しておるわけであります。それで、大蔵省が国立でやろうとするものを、国立では給与の平均がこわれて因る、それで特に人材を入れる必要があるし、しかも民商から採るについては、給与規定では困るということで、それを認めた結果、特殊法人になっておるわけであります。さっきその点をはっきり私から申し上げたわけであります。特殊法人にした最も大きな理由は、人材を入れるために、普通の国立ではいかぬということで特殊法人にしたのであります。なお超党派の線がくずれやせぬかという御心配は、ごもっともでありますが、どこまでも超党派の線は尊重していきたいと思います。
有田喜一
95
○
有田委員長
それでは、本日はこの
程度
にいたし、次会は、明日午前十時より開会いたし、
質疑
を続行いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十九分散会