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1956-02-23 第24回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十三日(木曜日)     午前十一時九分開歳  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 前田 正男君    理事 南  好雄君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       赤灘 正道君    小平 久雄君       須磨彌吉郎君    山口 好一君       岡本 隆一君    田中 武夫君       堂森 芳夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 賀屋 正雄君         総理府専務官         (原子力局長) 佐々木義武君         総理府事務官         (科学技術行政         協議会事務局         長)      鈴江 康平君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出席者         防衛庁課長         (装備局管理課         長)      竹田 達夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法案内閣提出第五一号)     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。小平久雄君。
  3. 小平久雄

    小平(久)委員 科学技術庁設置につきましては、長い間懸案でありましたことが、ここに具体的に現われましたことについて、われわれも非常に喜んでいるわけでありますが、われわれの間で、この科学技術に関しまする統一的な行政機構を作りたいと考えておった方向からいたしますと、今度の法案に盛られた点だけから考えますと、考えようによれば、やや後退をいたしておるような感がいたすのであります。そこでまず若干承わりたいのですが、今度の科学技術庁を設立するに当って、基本的にはどういう構想中心としてこの案をお作りになられたのか、今後の科学技術庁設置の基本的な構想とも称すべきものについて、この際あらためてお示しを願いたいと思います。
  4. 正力松太郎

    正力国務大臣 今度科学技術庁ができましたのは、実は御承知のごとく、今まで科学技術に対する尊重の念が薄かった。これを、どうしてもこの際振興をはからなければならぬ。それについては、各省一つなるべく統一してやろう。できれば省にまでしたいという考えを持ちましたが、いろいろ事情があって、そこまでいかなかった点ははなはだ遺憾に思っております。しかし、これは科学技術尊重意味において、また国政の上からいっても、将来は省にしなくてはならぬとわれわれは考えております。ただ御指摘の、ことく、今度のは、はなはだ不十分でありまして、見方によっては、後退々々と言われますが、そんなことはないので、十分でないことはわれわれも認めますけれども、今後はどうしても、もっと統合をやりまして、結局は、省にまで持っていきたいという考えではおります。
  5. 小平久雄

    小平(久)委員 将来、省にまで持っていくという御意向はよくわかりますが、かりに省にするにいたしましても、あるいは現在のままのげという形でいくにいたしましても、その際、その官庁が持つところの使命というものが、一体、企画的な面に重点を置くことがよろしいのか、あるいはまた、さらに実施官庁的な性格に持っていくのがよろしいのか、こういう点は、大いに研究を要する点だろうと思うのであります。今回のこの案を見ますと、一面一においては、企画官庁であるがごとく、一面においては実施庁であるがごとく、両者を無理のない程度で突き合せて作った、一言にして言えば、そういう感じを受けるのであります。将来の方向として、大臣のお考えとしては、企画官庁実施官庁という方向で省に持っていこうというのか。あるいは、より実権を持った企画官庁として省に持っていこうというのか。そういう点についてのお考え一つ承わっておきたい。
  6. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 私からお答え申し上げます。ただいまの御指摘ように、今回提案せられました科学技術庁設置法案は、一面、科学技術企画、立案、推進ということと、それから新しくこれから発展すべき航空技術研究所、あるいは金属材料研究所、その他将来御審議によりまして生まれるであろうところの原子力研究所、その他の機関をもちまして、やや不徹底な実施面をも兼ねておるのであります。しかし御承知通り科学技術は、あくまでも実験基礎として、科学技術実態を究明しなければ、科学技術あり方というものはわからぬと私は考えております。従いまして、今回、科学技術庁設置法案を御審議願いました根本は、第一に、まず日本科学技術実態世界科学技術実態というものを究明いたしまして、いろいろ科学並びに技術体系の整列をいたしまして、今後、国民経済発展に寄与すべき科学技術の軍点的、基本的なあり方を定めまして、そして、これの伸展に対して必要であるならば、将来必要なだけの実施面を作っていきたい、そういうことを考えております。その具体的な考え方といたしましては、既存の研究所実験所に再検討を加えて、どうしても将来の科学技術体系実施いたしまする点について必要なものであったならば、これを将来科学技術庁のもとへ持ってくるとか、あるいはまた総合科学研究所というようなものを重点的に打ち立てていくか、これは今後いろいろ構想を練って、皆さん方の御審議を願って決定いたしたい、さよう考えております。つけ加えて申し上げますが、政府考え方といたしましては、今日までの科学技術日本あり方というものは、ある一面から考えますと、何ら総合統一した形に置かれてなかった。それでまず第一段階として、この総合統一という点から、その実体を究明して、将来の実施面も拡大していきたい、かよう考えておる次第であります。
  7. 小平久雄

    小平(久)委員 政府の意のあるところは了解できるのであります。科学技術の統一的な振興、こういうことはよくわかるのでありますが、しかしまた考えようによりますと、科子技術というものが、それだけでいわゆる独走的なことはできない、やはり科学技術振興というものは、一国の科学技術レベル自体にもよりますが、しかしその国の力とのつり合いというものは当然考えなければならぬ。国の力に応じての振興ということが当然考えられると思うのです。それで、そういう点から見ますと、科学技術と一口に申しましても、もちろんその分野は非常に広い、そこで一体わが国科学技術振興と言う場合に、どういう面を中心として、今後わが国科学技術振興すべきか、またそれをわが国国力とマッチさせながら振興しなければならぬ。しかもまた、国力伸展のために振興しなければならぬ。こういうことになるんじゃないかと思うのであります。そういう観点からいたしますと、これは行政組織という立場から考えますれば、あまりに総合的なものだというきらいもありましょうが、私は今の経済企画庁と今度の科学技術庁との関係、あるいは経済企画庁科学技術庁といったようなものを、むしろ一体的な存在にしていくという方が、より科学技術振興になると思います。しかも、先ほどから申しますような制限というか条件を伴った振興という意味から言うと、その方がよろしいのじゃないかという気がいたすのであります。たとえば、われわれが問題にいたしております経済自立五カ年計画というようなものもありますが、今提示されておりますものは、そう科学技術の今後の進歩とか、そういうものの裏つけは、おそらくはないのじゃないかと私は考えておるのです。従って、今後わが国の最大の問題である経済自立ということを考えるにしても、その計画については、どこまでもやはり科学技術裏づけのある計画でなければ、おそらく意味のないものになってしまうのじゃないかと思うのです。そういう点から見ると、もちろん科学技術独自の組織というものも必要であるが、一面からすると、経済企画というものと一体的な科学技術振興、また従ってその両者を総合的に扱う役所というようなものも必要じゃないかという気も私はするのです。そういう点についての御所見を、この際承わっておきたい。
  8. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 科学技術を、経済企画と並行して考える必要があるのではないかというお説に対しましては、全く同感であります。私も経済企画庁におりまして、経済企画庁から出て参りました経済五カ年計画の案を検討した一員でございますが、全くお説の通り経済振興に対する科学技術裏づけは薄いと考えておるのであります。世界各国のいろいろな施策を見ましても、ほとんど全部科学技術裏づけがあって、実行可能な状態になっておるのでございます。そういう点から考えますと、日本経済計画というものは、科学技術裏づけが、世界各国よりは薄い。そこに私は経済計画脆弱点があるのじゃないかというふうに考えておるのであります。従いまして、もしも大きな行政機構でもできますれば、今お話のありましたように、一方では経済計画を立てる、一方では科学技術裏づけを担当するということが私はいいのではないかと思うのであります。と申しますのは、経済計画科学技術というものは、ちょうど事の両輪のようなものであって、すべて経済計画を立てる前提としてそれは日本でどのくらい実行可能であるかという裏づけがあってこそ初めて実施ができるのであって、それは全く両々相並行して、日本経済推進の全きを期し得られるのだ、こう思うのであります。ただ今日の行政改革の途上におきまして、大きな省を一つ設けて、一方では経済企画をやり、一方では科学技術をやるということも一つ考え方であると思うのでござ冷ますけれども、前国会で、科学技術庁設置ということは政府で約束をいたしたことでございますし、この際、科学技術庁設置いたしまして、十分科学技術総合統一日本経済計画に見合った線において推進して参りまして、この間、緊密な関係の上で、科学技術庁が、直接経済計画とマッチして、日本の進展に寄与するようにいたしたい、さように現在では考えておる次第であります。
  9. 小平久雄

    小平(久)委員 その点は、大体の構想としては同じ方向にあることを承知いたしましたが、もちろん一挙にそういう一大役所を作るというわけにも参らぬでありましょうから、今後運営の面において、特にその点は注意を願って、同じ経済計画を作るのにも、科学技術ほんとうに裏打ちのある、より正確味のある計画を作らせる。また逆にいえば、科学技術そのものも、経済状態からかけ離れた独走はおそらくできないと思いますので、そういう点に関しても、企画庁と今度できる科学技術庁との両々相まっての協調によった施策というものについて、十分御留意を願いたいと実は思うのであります。  それから、先ほどお話もありましたが、今度の科学技術庁が、科学技術行政について総合的な調整を行うということも一つの大きなねらいだと思うのですが、どうもこの法案内容を見ますと、これは後にも触れたいと思うのですが、たとえば予算関係等においても、きわめてあいまいなことになっておる。この程度内容で、果してねらいとしておる科学技術行政の統一的な施策というものが行い得る自信があるのかどうか、私は実は相当疑問を持つのです。ただ法案によりますと、「経費の見積の方針調整を行う」という文句がうたわれておりますが、この程度のことで、一体わざわざこの科学技術庁設置する本来の使命を逃し得る自伝があるのかどうか、大いに私は疑問に思っておるのです。その辺の確信について、お漏らしを願いたいと思います。
  10. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 御指摘の点につきましては、これは非常な困難性があろうと私も思うのです。しかし、何にいたしましても、まだ日本全般科学技術の体制というものは、各省に分属いたしておりまして、その実態がよくわからないのでございます。従いまして、科学技術庁というもののねらいといたしますところは、日本科学技術総合統一をはかって、適切なる科学行政を行なって、日本経済に寄与するということでございまして、これに近づきますのには、一体どうしたら一番いいかということが、この科学技術庁設置法案作成のときに、大いに論議がかわされたのであります。それで、まず原子力局は、閣議でも決定いたしておます。ように、原子力に関するところの予算は、総括してとってつけかえをやる。ただし、その他の科学技術各省に分属しておるから、まず予算調整見積りという点において、第一段階としては中央、地方の実験所及び研究所ないしは民間科学技術に関するところの実態を調査して、その調査した結果によって、関係官庁に対して報告を求めたり勧告をしたり、または総理大臣に対して、閣議決定の線に基く指示権を与えて、これを一ぺんはっきりした形に置いてから、さらに科学技術あり方というものに対して前進をする方がいいのではないかというよう考えで、今日の段階におきましては、予算見積り調整という線から、各省間に分属をしております試験研究あるいは試験所あり方民間研究あり方、あるいは参考的にも重点として考えなければならぬ各大学における付置機関基礎研究の価値、こういうものもよく調べて、将来の方向をきめていきたい、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、今、御指摘になりましたように、科学技術の何々を重点的に取り上げて、どういうふうな方針によってやっていくかということは今後の問題でありまして、まだその段階には至っておらぬのであります。
  11. 小平久雄

    小平(久)委員 これは、私見であります。先ほどちょっとお話がありましたが、今後、省的な組織を作ってだんだん付置研究所なども吸収していく、こういうことでございます。在来の地名にある試験場研究所というものは、ばらばらであるがために、いろいろ弊害があることも事実だと思う。しかし、一面からすれば、やはり存在すること自体それぞれの理由があって、すでに設置を見ておるわけであります。要は、これらの試験場研究所というものが、個々ばらばらで、その間に何らの調節もなくやっておる。そこに国費の浪費もある。これが一番一般指摘されておるところだと思う。その弊害を除去すればよろしいのじゃないか。しかも、そこに今度科学技術庁なるものができて、統一的な国の指心力が及ぶということになればよろしい。その目的を達するだけから考えますならば、ひとりこの原子力関係ばかりでなくして、その他の科学技術一般についても、少くとも各省にまたがっておるもろもろの試験場研究所予算については、最小限、新たなる組織においてこれを握っていく。そのことによって調整はできましょう。どの試験場をどこにくっつけるかというようなことは、むしろ第二義的なものになるのではないか。ほんとうに、科学技術庁予算的に実権を握っていくことによって、形式的にそれぞれの試験場なり研究所なりが、通産省にあろうが運輸省にあろうがどこにあろうが、そういうことは、それほど問題じゃなくなるのではないかという気がするのです。そういう点で、今度のこの法案内容は、はなはだ不徹底である。何かわれわれが一番願っておること、あるいは国民一般からも最も強く指摘されておる点、その点について歩前進と言いたいが、一歩までは行かぬで、半歩ぐらいのところにとどまったのじゃないかという気がするのであります。その点は、今後さらに御検討を願うことにいたしたいと思います。そこで、不十分ながら、このよう役所ができるわけでありますが、今後の考え方として、あるいは抱負として、日本科学技術のいろいろの分野において、さしあたりどういった方面重点を置いて施策を進めていかれようとしておるのか、齋藤政務次官は特に知識が該博ですから、そういう点について、この際お示しを願っておきたいと思うのです。
  12. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 私は、そういう方面に対しましては全然しろうとでございまして、あまり知識もないのでございます。科学技術庁ができまして、科学技術庁の実際の仕事として重点的に方向づけられるものは、やはり世界近代科学技術と目されるものではなかろうかと思うのであります。その中心となりますものは、あくまでも、原子力平和利用であると思うのであります。その他近代的な問題といたしますならば、これは、日本として直面いたしております基礎産業としての製鉄に対する技術、あるいは石炭利用方面石油化学方面化学繊維方面科学技術庁付置せられておる航空に関するもの、金属材料研究所、特に新しく金属材料研究所として付置せられる機関におきましては、日本科学技術の面において最も弱体とせられておる金属並びにこれに類似するものの品質の調整というようなこと、もう一つは、これはいろいろ食糧にも関係がございますが、発酵に関する研究、もっと進んで参りますならば、発酵研究から生じますいろいろな製造工業、並べますとたくさんあると思うのであります。ただ特に考えなければならぬことは、先ほども御指摘になりました日本経済力の伸長という点にかんがみまして、どうせ日本には原料資材の不足な国でありますので、これをどうしても海外から輸入をしなければなりません。輸出を伸張する前提として、多くの輸入をしなければならぬ。でありますから、日本経済力伸張の基本も、外国貿易伸張というところに大きなウェートがかかっておりますので、科学技術庁といたしましても、経済五カ年計画建前から、どういうものを作り上げていくことが、日本外国貿易伸張せしめる原動力になるかというようなところに特に重点を置いて、行政をやらなければならない、かよう考えております。
  13. 小平久雄

    小平(久)委員 今お示しように、この科学技術分野は非常に広範にわたっている。もちろん、どれもこれも必要なものに違いないのですが、ただ必要だからといって、漫然と手を広げるというのはどうかと私は考える。その間、今、最後にお話があったように、必要な中においても、わが国の現状として一体何を目標に最も重点を置いていくか、こういうやはり一つ中心目標というか、最高目標というか、なるべくそういうものによって統一した行政をやっていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  さて、方向を変えまして、先般同僚委員からも御質疑があったようでありますが、科学技術振興にとりまして一番必要なのは、何としても科学技術者、これの養成の問題だろうと思います。原子力委員会関係あるいは今度できる原子力局ですか、これの関係では、養成のことにもタッチしておるようですが、一般科学技術の面では、今度の法案を見ましても、別段技術者養成という面には何ら触れておらぬようであります。これはもちろん文部省教育計画とも関連があることと思いますが、これほど大きく科学技術の問題を国全体として取り上げていく以上は、今までの文部省のやり方だけに今後まかしておくのはどうかという気が、私はいたすのであります。どうしても、科学者技術者養成というものをもっと積極的に、しかも、計画的にやる必要があると思う。こういう面について、科学技術庁としては何かお考えがあるかどうか、これを一つ大臣から承わっておきたいと思う。
  14. 正力松太郎

    正力国務大臣 今度の科学技術庁ができたことについて、私ども最もねらいといたしておりますものは、従来、日本では法科万能でした。科学技術者というものは非常に尊重されなかった。従って、たとえ学校を出ても、法科を出た者は案外出世が早くて、科学技術をした者は出世がおそいという傾向があったのです。これではどうしてもいけない。これからは科学技術の時代になったのだから、それを尊重して、科学技術をやった者の待遇の点、出世というと語弊がありますが、昇進の道においても、法科の者にも決して負けないようなことにしなくちゃいかぬ。私が今度省にしなくちゃならないと言うのは、そこにねらいがある。問題は、科学技術者養成である。日本経済振興日本経済発展は、どうしても科学技術にたよらなければならないということは、みな承知しておる事実である。従って、科学技術者昇進の道がおそいのですが、この点については、われわれの最も深く考えておるところであります。そうして学校教育は、お話通り文部省であるが、文部省だけでなく、こちらからもやはり意見を述べる必要がある。そうして、国民に、もう少し広く科学技術研究をさして、科学技術学生研究者をふやすことにしなくちゃならぬ、こう思っております。
  15. 小平久雄

    小平(久)委員 大臣の御決意を承わって非常に力強く思うわけですが、具体的に、今度の法案に、科学技術研究の上で、重要事項については他の行政機関の長に対して勧告ができるという一項目があると思います。それは、今、大臣のおっしゃったよう技術者養成というようなことについて、どんどん文部省にも勧告ができるのだ、こう解してよろしゅうございますか。
  16. 野木新一

    野木政府委員 科学技術庁長官権限といたしまして、法案第十一条第三項にございますが、この場合におきまして、科学技術一般振興及び資源の総合的利用をはかるため特に必要があるとき、そういうふうに科学技術庁長官がお認めになりましたならは、文部省であろうと、その他の省庁であろうと、その長官に対して勧告することはできるわけであります。もし科学技術者海外に出るというようなことが重要である場合には、もちろんこの三項によって勧告できるものと思います。
  17. 小平久雄

    小平(久)委員 それは少し違う。私は海外に出ることの勧告を言うのではない。文部省の今までやっておる教育方針は、ことに先ほど大臣からもお話があった通り科学技術関係における学生収容定員というものも、今までは非常に少い。これが外国とは逆になっておるというような実情なんです。そういう点を定正していくのでなければ、ほんとうに、いうところの科学技術振興はできない。従って、今後、科学技術面学生もふやしていく、そういう面で、科学技術庁長官は、この法律に基いて、文部大臣に対してもどんどん勧告ができるのかと言うので、ただ海外に行くのをどうこうと、そんなことを私は聞いておるのではない。
  18. 野木新一

    野木政府委員 他のことと間違えて、質問をよく了解しませんで、失礼いたしました。  御質問の点は、結局第三条におきまして、「大学における研究」となっておりますので、そこに関連して、多少問題が生じてくる点があるということを御念頭に置かれての御質問かと存じます。これが、大学でなくて、小、中学校という方の学生を少しふやす方がいいじゃないかという点ならば、これは全く問題はないと存じます。大学学生をふやした方がいいかということになりますと、大学研究にかかわるという点に関連して多少問題になってきますが、一般に、学校における学生をふやしたがよいだろうという趣旨において、一般的に取り扱う限りにおいては、別に差しつかえないと思います。と申しますのは、「大学における研究に係る」と申しますのは、趣旨として、大学自治尊重するという建前に出た文言と考えておりますから、大学自治を犯すという趣旨でない限りは、一般的に、ただいま申し上げたように、学校における科学技術に関する学生をふやした方がいいだろうというような点は、文部大臣に対して勧告できると思います。
  19. 小平久雄

    小平(久)委員 今、御答弁のありましたように、第三条の規定というのは、もちろん研究内容というか、それに関してのことだろうと思います。お話通りですが、従って長官権限を規定した勧告権、それからいえば、当然積極的にそのくらいのことをやる、またそれくらいのことがやれなければ、この役所を作っても、ほんとうに表面に現われた目先のことだけをやっておるということに終るのではないか、こう思うのです。これは一つむしろ大臣に、大学の定員などについても、自分は勧告権限を持つのだというくらいの確信のある答弁をこの際得ておきたいと思うのですが、いかがですか。
  20. 正力松太郎

    正力国務大臣 御趣意のことはよくわかっておりますが、大学研究に対しては、大学自治にまかしております。しかし、御趣意の通りしなければならぬという点は、そうしなければ、科学技術振興ははかれません。ですから、政府委員から、大学以外のことは当然できると申し上げましたが、結局そういうことに持っていかなければならぬかと思っております。ただ、法文の少し足りない点は、まことに残念に思います。
  21. 小平久雄

    小平(久)委員 それでは、一つ大臣にしっかりやっていただくことにいたしまして、先に進みます。  防衛庁のことはわれわれもよく知らぬのですが、一体防衛庁で技術等の研究というのは今どんな機構で、またどんな方面のことをやっておるのですか。概略を一つ、簡潔でよろしゅうございますから、御説明を願います。
  22. 竹田達夫

    ○竹田説明員 防衛庁には、付置機関といたしまして、技術研究所が設けてございます。防衛庁におきます技術研究所は、他の省におきます技術研究所の性格と若干異なっておる点がございます。それは、一般技術研究をいたします際に、他の政府機関におきましては、主として基礎的な研究をされることになっていると思いますが、防衛庁の研究は、これを装備品に適用する際におきます応用研究と申しまするか、研究の面におきましては、応用研究の面に主眼がしかれておるわけでございます。そういたしまして、防衛庁におきましては、御承知ように、航空機でありますとか、艦艇その他の諸兵器、諸通信機械類を大量に調進しております。その装備品の技術水準は、防衛力の基礎をなすものでございますので、その装備品につきまして、新しい性能の高いものを調達、整備する必要がございまして、その装備品に採用いたします場合には、当初試作をいたすわけでございます。試作をいたしましたものが、技術試験と実用試験を受けまして、正式装備に採用して差しつかえないということになりますと、これが大量に発注されるという段階になりますので、防衛庁の技術研究所のおもなる仕事は、試作の段階にあると申して差しつかえないと存じます。そういうよう関係に相なっておりますので、研究所とは申しましても、他と違いまして、試作の面、あるいはその重要装備につきましては、それの性能検査という点に相当な力を注いでおる。こういう実情に相なっております。
  23. 小平久雄

    小平(久)委員 大体わかりましたが、防衛庁における研究所には、昔、軍でやったように、秘密的な研究などはもちろんないだろうと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  24. 竹田達夫

    ○竹田説明員 現在、防衛上の秘密は、相互防衛援助協定に基きまして、米側から秘密区分の連絡を受けたものは、研究所でありますとあるいは実際装備して使用いたします場合とを伺わず、これは秘密に相なっております。従いまして、研究所におきまして、その防衛秘密区分の指定を受けましたものを取り扱う場合は、秘密ということに相なっております。さらにこれを発展いたします場合におきましては、秘密区分の指定を受けましたものの発展をさせるという限度におきましては、やはり秘密の指定を受けておる次第でございます。
  25. 小平久雄

    小平(久)委員 それから、先般新聞記事で見たのですが、これは防衛庁直接の依頼ではなかったようですが、三菱か何かで、東大に潜水艦だか潜水船だか知らぬが、それの試験を依頼したところが、軍事目的だからと言って、ちょっとした物議をかもしたような新聞百花事が見えました。大体、防衛庁から大学付置機関などにそういう試験研究を頼むようなことを実際やっておられるのかどうか、これを承わっておきたい。  それと、ちょうど文部省からお見えになったようですから、あわせて承わりますが、今言う通り、先般新聞にちょっと見えましたように、大体、大学付置機関に防衛庁直接かあるいは防衛庁の発注に基いて民間会社がするのか知らぬが、いろいろ研究などを頼む、そうすると、時節柄すぐ軍事目的につながりがあるからどうだ、こうだといった問題が、現に起きたようであるし、おそらく今後そういうことが起きるのではないか。こういうことは、果して軍事目的であるのかないのか、そういう研究をすることがよいのか悪いのかというのは、一体どこがきめるのですか、それについては、文部省はなるたけタッチしない、大学研究は自由だからといって、大学のどういう機関か知らぬが、すべてそこにおまかせすると、いうことでやっておるのか、また今後もおやりになるのか、こういう点を承わっておきたい。
  26. 竹田達夫

    ○竹田説明員 現在 防衛庁におきまして、各大学研究機関研究を依頼しておりますのは 兵器に関するものにつきましては、相手方の研究機関に御迷惑をおかけする場合も多いのでございますから、原則として依頼しておりません。ただ、栄養でありますとか、繊維でありますとか、そういうようなものにつきましては、向うの方でも益するところがあるというので、さしつかえのないものについて若干依頼をしておるものがあったように記憶いたしております。
  27. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの御質疑の前段の問題でありますが、具体的問題として、東大工学部において何か問題があるように伝えられておりまするけれども、これは、工学部において、潜水性の船の研究委託を外部から受けてこれを研究しておるわけでありまして、この研究が、将来船舶工学の一般基礎科学に非常に益するところがあるという見解で今やっております。応用される場合には、あるいはタンカーとなり、あるいは貨物船となり、いろいろ各種の利益があろうということでやっておりまして、当該大学当局においては、別段何ら問題になっていないのであります。  次に、一般論でありますが、いかなる研究大学の教室が委託を受けるかということは、その教室自体が本来の研究のひまがあるかどうか、余裕があるかどうかということで、自主的な判断をするわけであります。あるいは教授会できめ、あるいはまた重要なものは協議会にかけるでございましょうけれども、現在の法制上、これは全くその大学におまかせいたしております。ただわれわれ常に見解を求められた場合には意見を申しまするけれども、要するに、研究の自由を束縛するような制約のあるものはいけない、たとえば、秘密を守れとか、あるいは特殊な利益を特殊な人だけに享有せしめなければならぬといったような制約を受けるよう研究でありますれば、これは本来の大学研究の自由公開性をそこなうようなものはいけないけれども、それ以外のものであれば、どういうところから御依頼を受けても、もとが基礎研究でありますから、応用すればどういうところに応用されるかわからない、基礎研究として有意義なものであるならは、依頼を受けてしかるべきであろうという見解は常に披瀝しております。
  28. 小平久雄

    小平(久)委員 われわれが懸念することは、その直接の研究項目というものが、これは見ようによれば一般的であり、見ようによればまた軍事目的とも見えるという場合が実際問題として非常に多いのじゃないか。そういう場合に、せっかくある研究機関が、軍事目的であるからということで、一がいに研究を拒否していくことはどうかというふうに感ずるのであります。そういう点について、ただいま御説明のあったよう趣旨で、一つなるべく広く——これはいろいろ考えはありましょうが、そう何もかも軍事目的というふうに偏見にとらわれずに、研究をやってもらうという方向でお進めを願いたいと思う。  それから、実は先ほど正力大臣とのお話なんですが、今度この科学技術庁ができまして、技術庁の長官は、科学技術研究に必要な重要事項各省勧告もできるという一条があるわけです。一面、またせっかく科学技術庁を作って、科学技術振興をはかろうというの大方針からすれば、どうも今までの大学——特に大学教育ですが、もちろんその下にある高等教育なり、あるいはさらに一般のいわゆる下級技術者養成というような問題ももちろん重要な問題で、これは労働省の即題だと思いますが、いずれにしても、国の大きな態勢からすれば、従来の大学における科学技術系統の学生の数が少い。たまたま指摘されますように、わが国では外国とまるで逆であって、文科ばかりたくさんおる。現に出ても就職もできないような者ばかりいる。技術系統は需要に満たない。こういった状況がまのあたりあるわけであります。今までの品の教育方針というものが、われわれからすれば、どうもはなはだ不満足なんです。せっかくこのよう技術庁まで作ろうという現段階においては、少くとも今までの文部省のやってきた方針というものは、私は即急に再検討さるべきだというふうに考えるのであります。文部省としては、今後の科学者技術者養成、そのための学校教育ということについて、ただいまどのよう考えを持っておられるか、これを一つこの際承わっておきたい。
  29. 稻田清助

    ○稻田政府委員 現在、大学に在籍いたしておりまする学生の推定については、いろいろな統計比率が世間でいわれておりまするけれども、文部省で調査いたしましたところによりますれば、国公私立全部を通じまして、いわゆる文科系、法経文の学生は四〇%でございます。ただ私立大学等におきましては、御承知通り、文科系の大学が比較的多いのでございますので、文部省におきましては、理科系の学部の充実拡張という点に極力をいたしております。現に、文部省の国立大学に毎年入学せしめます学生数は五万でございます。このうち二万三千は、中、小学校の義務教育職員の計画養成、次の一万七千が理工系、理・工・農・医・歯の系統でございます。最後の一万、五分の一が人文系でございます。この数でごらんになりますように、文部省といたしましては、人文系以外の学生の充実拡張を極力考えております。経済振興五カ年計画等とも照応いたしまして、将来とも第三次産業、第三次産業等の要員ということとにらみ合っていたしたいと思っております。ただ現在におきまして、就職の率は、人文系も理科系も、究極においては同様七〇%余に達しております。将来は産業計画とにらみ合って、極力計画したいと思っております。
  30. 小平久雄

    小平(久)委員 今ちょっと聞き落しましたが、文科系統が四〇%というのは、官公私立の大学を通じて文科系統が四〇%だ、こういう意味ですか。
  31. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話通りでございます。おそらく世間で言っておりますのは、教員養成あたりを全部人文系に勘定いたしましたり、あるいは家政学というものを全都人文に入れます場合には、六〇%ないし七〇%が非理科系である、こう申しますけれども、正確に法経部門をとりますと、四〇%でございます。
  32. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまお話のうちの家政科というようなものがどっちに入るか、私もよくわからぬが、そういうものまで入れて理工系統と言えば、だいぶ率が多くなるだろうと思います。少くも常識的に見て、科学技術というときに、家政科まで入れるのは……。(笑声)そういうことを言うと、しかしまた家政の方をやっておる人にしかられるかもしれない。(笑声)言うまでもなく、理科系統の教育というものは、費用もかかりましょうし、私立大学は、それでなくても非常に困難のようですから、私立の学校に理工科系統の教育拡充を求めることは、実際問題としてなかなかむずかしいのではないか。従って、特に官立、目立ですか、その場合においては、こういう面にもっと一そう力を入れていただきたい、こういうこと要望しておきたいと思います。  それから、ついでに、防衛庁から来ておるから、ちょっと聞きたいのですが、何か最近新聞によると、日米技術協定ですか、これの交渉をしておるというような話です。しかも、それは何かMSA協定に基いたものであるかのごとくでありますが、これはどんなようなことを交渉しておるのですか。
  33. 竹田達夫

    ○竹田説明員 日米の技術の交流の協定につきましては、MSA協定に基きまして、日米相互援助協定の第四条に、技術の援助をいたす規定が記載されております。これによりまして、技術援助を円滑にいたしますところの協定をするはずになっておりましたのが、その後、研究、交渉を持ちまして、近く協定締結の運びになる予定でございます。これが締結になりましたら、直ちに国会の審議をわずらわす段階に相なると存じます。
  34. 小平久雄

    小平(久)委員 私が尋ねておるのは、そんなことじゃない。協定ができれば、国会の審議をわずらわすのは当然なことなんで、一体どういう内容について交渉しておるのかという内容を聞いておるのです。
  35. 竹田達夫

    ○竹田説明員 米側から、いろいろ援助を受けました装備品その他わが国の自衛力を増強いたします際に、装備品の技術が高いということは当然必要でありますので、それらの装備品を国産化いたします段階になって参りますと、そこに特許権でありますとか、実用新案権というような問題も発生して参るわけでございます。そういう面におきまする技術導入と申しまするか、そういうものを円滑にいたしますためには、やはり個々のメーカーが米側の個々のメーカーと折衝をするということは、非常に繁雑でもございますので、その間に米側と日本側で委員会のようなものを作りまして、そこにおきまして技術の導入を円滑に話し合って参ろう、こういう点が大体の趣旨でございます。ただその際におきまして、米側に秘密の特許権がありますものにつきまして、それをわが国におきまして生産をいたしたいという場合におきましては、最小限度、米側におきまして秘密特許になっておりますものは、こちらにおきましても、その取扱いをいたして参りませんと、そういう高度の水準の装備品の国産化がスムーズに参らないということに相なりますので、この点におきましても、秘密を保護しよう、こういう規定が大体この協定の骨子でございます。
  36. 小平久雄

    小平(久)委員 この協定には、アメリカからの資金的な援助、そういうものも何か含まれるんですか。
  37. 竹田達夫

    ○竹田説明員 技術の交流の協定につきましては、資金的な援助云々は全然ございません。ただこちらで装備品をもらいましたり、あるいはスペシフィケーションを米側からもらいまして、それを国産化いたします場合に、どこのどういう部分が特許権になっておるかという問題は、必ずしも明確でない場合がございますので、そういう場合に、米側の特許権者の権利を侵害したようなことが起りますと、その間補償という問題が起って参りますので、その点におきまして、経費の問題については、若干触れることに相なっております。
  38. 小平久雄

    小平(久)委員 あと一、二点だけ簡単に、この法案自体について最後に承わって私は終りたいと思います。  この法案を通覧いたしまして私の受ける感じは、さきにできております原子力委員会と今度の科学技術庁との関係というものは、どうもはっきり私にはのみ込めないんです。さきにできておる原子力委員会というものは、委員会法によりますと、単に総理府に置くとありますが、国家行政組織法によると、委員会とか庁とかいうものは、府あるいは省の外局に置くんだということが明文にあるようです。原子力委員会というものは、総理府の内局であるのか外局なのか、いわゆる行政組織法でいう外局なのでし、一うか、私はよくわからないので、教えてもらいたい。
  39. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答えいたします。原子力委員会は、総理府の付属機関でございます。
  40. 小平久雄

    小平(久)委員 そうしますと、付属機関というものと外局というものとの性格が私にはよくわからぬのですが、さきの総理府設置法でしたか、それの改正によって原子力局というものを作りました。そのときには、原子力委員会の庶務は、総理府の原子力局で行うというのが委員会法の中にもあったようです。そうすると、総理府の外局たる科学技術庁原子力局が、総理府の付属機関たる原子力委員会の庶務を行う、こういうことになるわけですね。一体こういう例はほかにもあるんですか。
  41. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 こういう例はほかにもございます。たとえば、ただいま覚えておりますのは、国土総合開発審議会といったようなものがございまして、これは法律にのっとりまして設置された機関でありますが、総理府が所管いたしております。ただしその庶務は、総理府の外局である経済企画庁がこれを行うというふうになっておりまして、そういう点では、前例があります。
  42. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 今、思い出しましたが、同じように、総理府の外局に置かれております海外移住審議会、これも総理府の付属機関でございますが、これの庶務は大蔵省でやっております。というように、総理府本部の内部部局で必ず庶務をやらなければならないということではないのであります。
  43. 小平久雄

    小平(久)委員 そこで、今度できます科学技術庁原子力局、これは所管からいうと、もちろん科学技術庁の一内部部局ということははっきりしております。そこの局長なり勤める人は、一体科学技術庁長官の指揮監督を受けるのですか。原子力委員会の指揮監督を受けるのですか。これは両方から受けるのかもしれないが、どういうことですか。どうも頭が二つあるような感じがしてしょうがないのだが、そこのところを御説明願いたい。
  44. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 原子力委員会は、先ほど申しましたように、付属機関でございまして、行政実施権は持っておりません。従いまして、原子力局の、たとえば局長に対して監督権を持つというような、いわゆる指揮命令の権限はございません。原子力委員会権限といたしましては、あの法律にございますように、決定いたしまして、それを内閣総理大臣尊重するとか、あるいは委員会が原子力利用に関する重要な事項について、内閣総理大臣勧告をするということでございまして、いわゆる身分上の監督とか、そういったことは、原子力委員会にはございません。あくまでも、科学技術庁長官のもとにあるのであります。
  45. 小平久雄

    小平(久)委員 どうも私の了解に苦しむ点は、原子力委員会権限というものと、今度できる科学技術庁権限というものについて、明確にのみ込めないのですが、たとえば、本法案の第四条の第十一号と、それから委員会法の第二条の第一号との関係です。本法案の第四条の第十一号では、特に断わり書きまでして、科学技術という意味は、原子力利用までも含むのだということがはっきりしているのです。従って、科学技術庁としては、原子力利用についても、その基本的な政策を企画し、立案し、推進する。片方は企画し、審議し、決定するのですか、こういうことになっている。そうすると、実際問題として、一体科学技術庁というものと原子力委員会というものとは、性格的にどう違うのか、どうも私にははっきりしない。なるほど片方は基本的な政策といっているし、片方は単に政策といっている。それから片方は企画し、審議し、決定する。片方は企画し、立案し、推進する。こう言っている。多少言葉も違うので、何か違うところがあるのだろうと思うのですが、一体これはどう違うのですか。
  46. 野木新一

    野木政府委員 原子力に関しましては、原子力委員会設置法によりまして、原子力委員会権限に属せしめられた事項について企画し、審議し、決定して、それを内閣総理大臣の方に勧告する。内閣総理大臣の側といたしましては、別に科学技術庁設置法によりまして、科学技術庁の方におきましても同様に、基本的な政策を企画し、立案し、推進するということがありますが、行政的には科学技術庁の方でやるのでありまして、原子力委員会の方は、ただ決定して、これを内閣総理大臣勧告するというところの権限でとどまるわけであります。
  47. 小平久雄

    小平(久)委員 そうしますと、違うところは、要するに片方は決定まで、片方は推進するということで、そこのところが違うのだろうと思うのだが、企画し、立案するというのは、どっちも共通にやるわけですか。
  48. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 法文上の解釈につきましては、いろいろ御議論もあろうと思いますが、原子力委員会は、原子力基本法に制定せられてございます通り原子力に関します一切の問題を決定する権限をここで持つのであります。従いまして、科学技術庁においては、主として原子力委員会において決定した問題を行政面に移すというのが、本来のあり方であります。しかし科学技術庁におきましても、原子力委員会関係なく、やはり原子力問題についていろいろな企画、立案をいたしますけれども、これを推進するときには、基本問題に関しましては原子力委員会の承認を得なければできない。ですから、私たちの考えといたしましては、原子力の問題に関しましては、一切原子力委員会が決定まで行う、その決定をいたしたものを総理大臣尊重して、これを行政に移すというのが基本線であって、原子力問題の一切に関しましては、あくまでも原子力委員会の決定を待つ、こういうふうに考えます。
  49. 小平久雄

    小平(久)委員 どうも今の齊藤政務次官の答弁は、私にはちょっと納得いかないのです。推進するにあたっては、少くも原子力に関する問題は原子力委員会の決定を待たなければできないのだ、これは将来のために非常に市大なことではないかと思う。先ほどの御説明にも関連しますが、われわれが原子力委員会法を審議していたときの了解では、原子力委員会というものは、企画し、審議し、決定するのだ、しかしその決定したことを実行するかどうかは、内閣の責任においてやるのだということなのです。従って、今の御答弁からすると、少し違うのではないかという気がするのです。なるほどこれは審議し、決定されたものであっても、今度できる役所推進するというときには、何も必ずしも決定通りでなくても、極端に言えばよろしいのだ、一々原子力委員会の承認がなければ、何ら推進もできないのだというのは、ちょっと逢うのではないかという気がするのです。
  50. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 原子力委員会設置いたしました根本の考え方は、原子力研究、開発及び利用に関する行政の民主的な運営をはかるために、総理府にこれを置くということであります。それでございますから、原子力問題に関しましては、根本的な考え方として、原子力委員会で全部これを審議、決定する、決定せられたものを原子力局行政に移す、こういう基本線をはっきりしておきませんと、原子力委員会設置いたした意義をなさないのであります。それでございますから、事原子力に関しましては、その民主的な運営をはかる建前から、原子力委員会の決定を経なければいけない。その決定を経たものを、今度は行政面でやるかやらないかということに対しましては、総理大臣原子力委員会の意見を尊重するかしないかということになってくる。ある場合は、やらないようなものが出てくるかもしれない。しかしながら、やるという問題に対しましては、一切は原子力委員会審議、決定を経たものでないと、行政面に移せないというのが基本線である。それでなければ、原子力委員会設置した何らの意義を持たないことになります。
  51. 小平久雄

    小平(久)委員 一歩譲って、原子力委員会の決定を待ってやるのだとかりにしても、原子力委員会でやると決定したものを、今度は科学技術庁でやらぬということになると、原子力委員会の意思に反したことになると思うが、これはどうですか。
  52. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 これは、例に当るかどうかわかりませんが、原子力委員会で非常に大きな構想を打ち立てて、これをやれといっても、原子力局ではそれを実行する予算も何もない、技術も伴わないという場合には、やらぬ問題が出てくると思います。しかし、やり得る範囲内における原子力委員会の決定は、総理大臣尊重しなければならないのであります。ことに科学技術庁長官は、原子力委員会の一メンバーとして入っているのでございますから、ここで決定したやれるものをやらぬということは、出てこないと思う。しかし、原子力委員会において、平和利用の面で大きな問題をとらえて、これをやれといったって、現実にやる力がない場合には、やれない事態が出てくる。そういうふうに私は考えております。
  53. 小平久雄

    小平(久)委員 実際問題としては、齋藤政府委員のおっしゃる通りだろうと思いますが、これは、いやしくも組織法ですから、組織上も別に疑義のないようにしておくことが当然だろう。各組織権限にあいまいな点があってはどうかと思うので、御質問をしているわけです。同様な疑問は、第四条の第三号ないしは第八条で原子力局の事務を規定してありますが、このうちの三号と原子力委員会設置法の第二条の三号との関係も、私にはちょっと理解がいかぬ。原子力委員会設置法の第二条第三号には、こううたっております。「関係行政機関原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」とあります。ところが、今度の科学技術庁設置法の第四条の十三号には、もっとしぼって、「関係行政機関試験研究機関科学技術に関する経費及び関係行政機関科学技術に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費の見積の方針調整を行うこと。」とうたってあり、委員会法の方では、非常に広く書いてある。ところが今度だんだん狭まってしまって、委員会法では、「関係行政機関の」と、これだけで終っているのに、こっちの方には、さらにつけ加えて、「試験研究機関の」と、こうしぼってあるし、それから、「科学技術に関する経費及び関係行政機関科学技術に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費」としぼってある。しかも先ほどもちょっと触れましたが、今度の科学技術庁関係では、「経費の見積の方針調整を行うこと。」と、こううたってある。委員会法では、「経費の見積及び配分計画に関すること。」と、こうなっておる。そうすると、委員会法では、一般的に、関係行政機関原子力利用に関する経費一切、それの見積りと配分計画をやるのだ。しかも、今度、事務は科学技術庁原子力局でやるのだというならば、当然同じものをやらなければならぬと思うのだが、非常にしぼった狭いものになっちゃっているのです。これじゃ庶務も何もできなかろうと思う。こういう点は、一体どう理解したらいいのですか。
  54. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 ただいまの原子力委員会設置法の第二条の第三号に、「関係行政機関原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」と、それから科学技術庁設置法の第八条の「原子力局においては、次の事務をつかさどる。」という第三号に関する関連性の御質問ようでございまするが、これは相見合った条文でございまして、原子力局原子力に関する予算というものはつくわけでございます。しかし実際問題といたしましては、原子力局において、原子力一般に関する予算の総合的見積り、調整をやる。しかしながら、原子力委員会の承認しないものは要求することはできな一いと考えるのであります。従いまして、原子力局において、一般的な原子力に関する予算の総合見積りをやりましても、また原子力委員会においてどういう考えを持っておるか、これはまた別個の問題になると思うのであります。従いまして、原子力局において事務的にこの予算の見積りをやりましても、原子力委員会の承認するところとならなければ、それは、実際問題としては、予算の要求の形となってこないわけであります。あくまでも、原子力局においては、原子力に関する全部の予算見積り調整の仕事はやりますが、その予算に対しましては、原子力委員会の承認を経なければならない。結局原子力委員会においては、原子力全般の予算に関する決定権を持っておるというふうに考えております。
  55. 小平久雄

    小平(久)委員 どうも御説明がわかったような、わからないような気がするのです。実際問題としてはという前置きでの御説明だが、私は、先ほど言う通り、実際問題はどういうようになさるか、皆さんがおやりになるのだからよく知りませんが、少くともわれわれが組織法として審議する以上は、どうも明確を欠いているのではないかという気がするのです。原子力委員会の庶務というものは、今度できるこの科学技術庁原子力局が扱うのだという明文があるのです。しかも原子力委員会権限、任務というのですか、その範囲のことは——ですから少くとも庶務的なものは、全部原子力局がやるのだろう。それがどうも内容が違うというのは、われわれには解せない。これは齋藤政務次官の実際論はよく承わっておきますが、法律の専門家から一つ説明して下さいませんか。
  56. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 あるいは法制局からお答えを願うのが筋だと思いますが、私どもの法律を作りましたときの気持と申しますか、こういう考え方で書いたという考え方を御説明申し上げます。原子力委員会設置法の方の所掌事務としては、今、問題になっておる点は、第二条第三号に「関係行政機関原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」これは先ほど申しましたように、決定の段階までをやるわけでありますが、それを受けまして、従来、総理府の原子力局でやっておりましたのを、新しく科学技術庁の内局たる原子力局において実施をいたすわけであります。それが第八条の第三号に出てきておるわけであります。ここの書き方が多少変って参りましたが、原子力委員会設置法を作りますときにも、大体この原子力利用に関する経費について総合調整をしなければならない費目としては、こうした関係行政機関試験研究機関において直接使用いたします経費と、民間研究機関に対しまして補助金を出すとか、交付金を出すとか、委託をする場合の委託費、そういった種類のものが、実際上この原子力利用に関する経費として、総合調整を要する費目であろうということで、その後の研究によって新しく作ります場合には、これの内容を詳しく列記した、こういうふうにお読みをいただきたいと思うのであります。さらに、「経費の見積及び配分計画に関すること。」と書いてありまして、第八条には、「配分計画に関すること」という文字が抜けております。これは、第八条は、原子力関係以外の一般科学技術に関する予算の総合調整と実際はやり方が違うわけでございます。閣議決定によって、昭和三十二年度以降におきましては、御承知通り原子力法のここに掲げている経費については、原子力局に一括計上して、これを必要に応じて関係行政機関に移しかえをして支出をする、そういう方針をとるということは、内部的には決定をしておりますが、法文の書き方としては、技術的にいろいろ問題がありまして、検討いたしました結果、一般科学技術関係と同機の表し方をしたいということで、前の第七条第三号に出ておりますところと同様の書き方をいたしたわけであります。そういたしますと、一般科学技術について予算の総合調整をいたします場合と、原子力関係予算の総合調整をいたします場合に、両方共通して行います段階のところまでをこの法文に表わそうということで、それはどこまでかということを検討いたしました結果、この「経費の見積の方針調整」、ここまでは原子力利用についても、一般科学技術についても、つまり原子力利用関係の経費を一括計上いたします場合にも、経費の見積りの方針調整という段階は、必ずあるわけであります。そこまでは共通の面といたしまして法文に書き、あとはその他の条文なり閣議決定により、実行上は、原子力につきましては一括計上、移しかえをする、こういう考え方で法文を作ったわけであります。そこで、一括計上、移しかえは、そういった関係で、閣議決定の、要綱に従って、三十二年度から実施いたすわけでありますが、一括計上してそれを移しかえて、その移しかえを受けた関係行政機関が、配分をどういうふうな計画に従ってやるかといった配分の計画につきましては、原子力委員会の方は、先ほども読みました第二条第三号によりまして、そういった配分計画につきましても、企画、決定することが明文上できるわけであります。それを受けまして、原子力局が、配分の計画につきまして、実施をしなければならないという場合には、どうするかという点につきましては、私どもの考えといたしましては、第八条の原子力局の所掌事務の最後のところの十三号に、「前各号に掲げるもののほか、原子力利用に関し他の行政機関の所掌に属しない事務に関すること。」ということで、第一号から第十二号までで大体原子力局行政につきましての目ぼしいものをうたっておりますが、これに漏れしましたものは、広く第十三号で沈みまして、他の行政機関の所掌に属しないものをここでやるということで、配分計画につきまして、原子力委員会の決定いたしましたことを実行に移すことも、原子力局が、第三号に書いてないから絶対にできないという解釈にはならないのでございます。
  57. 小平久雄

    小平(久)委員 今の説明、詳しいことは、そういうことかもしれませんが、少くもこの設置法を通じて受ける印象は、先ほどお話がありましたが、原子力委員会というものは、とにかく実施機関じゃないのだ、こういう建前ですが、原子力委員会設置法においては、「経費の見積及び配分計画」、こうはっきりうたってある。ところが、今度の科学技術庁設置法では、経費の点、たけをとりましても、経費の見積りの単なる方針なんです。実施官庁である今度の科学技術庁の方は、単なる経費の見積りの方針というだけであって、配分の方は全然削ってしまっている。今の説明によると、配分の方はその他大ぜいの組、十三号に入るのだという御説明のようだが、配分計画をどうするかということが、もともと科学技術庁を作るときの一番大きなねらいである。配分がうまくいっていないということが大体いかぬ。配分を適正にやって、科学技術行政の全般を調整ようというのが、もともとの今度の役所を作るねらいだと思う。だから、予算の単なる方針ばかりでなく、予算そのもの、経費そのもの、配分そのものとは切っても切れないものだろうと思う。一番最重点ともいうべきものと思う。それを、その他大せい組で処理すればできるのだというようなことでは、ちょっといかがかと思うのです。重ねて御説明を願いたい。
  58. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 事柄としてはお説の通りでございましてきわめて重要な事柄であろうかと思いますが、今申しましたのは、法律を作りました考え方を申し上げたのでありまして、先ほど申しましたように、原子力関係の経費につききましては、ここに書いてございますように、各省が一応経費の見積りを作るわけでありますが、その方針調整いたします。そこまでを書いてあるわけでありますが、その段階にとどまらずに、閣議決定に基きまして、三十二年度以降は、現実に大蔵省に要求を出しますこと自体原子力局でいたします。その予算がつきますのは、原子力局につくわけであります。従いまして、原子力に関する限り、この予算の総合調整は、非常に強度の調整をやるということになっております。従いまして、予算の成立いたしましたあとの配分計画というものは、当然自分のところに予算をつけます際に、すなわち大蔵省に要求いたします際に頭に置いて、当然この要求が作られることであろうと思うのでございます。実際に大蔵省がそれを、原子力局予算につけましたあとは、総合調整をいたしましたときの頭でもって各省に移しかえるわけでありますから、配分に関する計画ということは、実質から申しますと、当然、今申しました予算の総合調整の中に、内容的に含まれておるというふうにも考えられるのであります。法律的に、それでは言葉が出てこないで不都合でないかというお説が出ますれば、それは十三号で拾ってあるから、法律的に絶対にできないのではないということを申し上げたのであります。当然、実質的に申し上げましても、自分のところに予算がつきまして、それを移しかえる。移しかえという行為を行いますときに、当然、配分の計画ということは頭に置いて移しかえることになろう、こう考えられますので、しいて、「配分計画に関する」という文字がなくても差しつかえないのではないか、こういうことであります。
  59. 小平久雄

    小平(久)委員 その点はこの程度やめますが、どうも今の御説明は納得できません。最も中心的なところを——むしろ方針などというものこそ委員会がやればいいのに、まるで逆で、事務局というべきものが方針をきめて、今度は最後の決定機関の方がむしろ予算そのもの経費そのもの、あるいは配分そのものを決定するところになって、まるで委員会と事務局との任務が逆にうたってあるような気がするのです。これは一つなお研究してみて下さい。私は非常にそういう感じがするわけであります。時間がたちましたから、もう一点だけでやめますが、今度の設置法を見ますと、科学研究機関科学研究官を置くことになっておる。大へんいい制度だと思うのですが、こういう制度は、他の役所にある研究機関、こういうものにも順次及ぼすお考えなのか。それからもう一点は、顧問、参与という制度もあるようですが、また科学技術審議会というものもある。さらに一方には、原子力委員会というものもある。この原子力委員会科学技術庁との権限についても、先ほど来私が申す通り、明確を欠く点があると思うのだが、科学技術審議会と原子力委員会というものがどういう関係になるのか、科学技術審議会という言葉の中に科学技術には、原子力を含まないのか、断わり書きはないが、ばく然とここだけを見ると、原子力までも含むようなふうにもとれるのですね。これまた屋上屋です。顧問はできるわ、参与はできるわ、原子力委員会はあるわ、利子技術審議会もあるわ、これでは、第一条に科学技術行政事務を能率的に遂行するために作るのだと冒頭にうたっておるが、どうも権限の明確ならざる役所があっちにもこっちにもあって、あまり能率的な運営ができないのではないかということを私はむしろ恐れるのです。その点についても、一つ御所見を承わっておきたい。これで私の質問は終ります。
  60. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 いろいろなむずかしい御質問で、私にうまくお答えできるかどうかわかりませんが、もしうまくいきませんでしたら、専門家にお答え願います。  この科学技術というものの範囲は、広義に解釈いたしますと、無限大の範囲を持っておりますが、とにかく行政といたしましては、先ほどお答えを申しました通り、なるべく国家緊急の問題にしぼっていくという構想でいかなければならなぬと思います。その際、先ほど申し上げました通り原子力委員会は、事、原子力平和利用重点として考えなければならない問題に対しましては、これは主となって決定をいたしますが、しかし原子力、平和利用と他の科学技術との関連におきましては、原子力委員会のわずかのメンバーだけでは、これを完全に考察し、遂行することができないかもしれないというおそれもございまするので、まず科学技術審議会というものを設けまして、これは一般の学識経験者とか、いろいろな人をここへ入れてもらって、原子力平和利用と他の一般産業との関連というようなものに対しても審議をしていただく必要があると思うのであります。と同時に、審議官等を特に設けました理由は、審議官をして、今日の各省に分散しておりまする科学技術試験所研究所実態を調査してもらうとか、または日本としてはいかなる科学技術行政重点的に行うのが正しいやり方であるかということの一つ審議をして、長官を助けてやってもらわなければならぬ。さらにその下に調査官というものを設けますのは、各部門別に分れた調査をやりまして、そうして審議の資料に資する。また各研究所には研究官というものを設けまして、その研究の動向の譲りなきように連絡をとって、全般的な視野から、その研究あり方を正当な道にあげていかなければならない、そういうふうに考えられるのであります。  さらにその上に、顧問、参与等、屋上屋を架するがごとき制度があるが、これは非常に複雑になりはせぬかということですが、この顧問、参与は、非常勤でございまして、国家の大勢から、最も練達堪能の士を常勤として、科学技術庁の職員として置くということもできないので、こういうところに、さらに万全を期する意味におい、て、非常勤制度による顧問、参与というものを設け、科学技術行政に万違算なきを期したい、こういう構想でおるのでございますから、一つ御了承を願いたいと思います。
  61. 小平久雄

    小平(久)委員 今の点で、明確にしておかなくてはならぬと思うのは、この科学技術審議会ですか、これは今の説明がよく聞き取れなかったが、原子力問題までも扱うんですか。
  62. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 もちろん科学技術審議会の審議の過程には、原子力出題も出てくると私は思います。それですから、原子力問題を除くということは、現実の問題としてこれはできないのであって、先ほども申し上げました通り原子力の平和利用という観点からは、原子力委員会が立案決定する権限を打っているのでございます。こういうものが、他の産業との関連においてどういう影響を持つかというような点に対しましては、科学技術審議会においても、これは審議機関でございますから、当然審議をしてもらう必要が生じてくる、さよう考えます。
  63. 小平久雄

    小平(久)委員 それは、そういう考え方もありましょうが、原子力委員会の方には、何か参与とか専門員とか、いろいろできるという話でした。そうすると、原子力は重要な問題だから、各方面の意見を漏れなく聞くことはけっこうですが、少くとも制度的に、科学技術庁関係ではこういう審議会もある。顧問もある、何もある、また委員会の関係においても、名前は何というか知らぬが、これまた同じような顧問とか参与とか、いろいろなものができてくるとなると、しかしあまりにも複雑で、それで一体運営ができますか。これは大臣が両方兼ねるのだから、むしろ大臣にお開きしますが、それほどまでにやることが、果して能率的な運営をするための組織かどうか、大いに疑問を持つが、どうですか。
  64. 正力松太郎

    正力国務大臣 今の説、これは全く同感であります。ほんとうにそうです。ただしかし、制度として万全を期するためにこういうものを置いただけですが、この点は、なおよく研究します。
  65. 有田喜一

    有田委員長 それでは、本日はこの程度といたし、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十七分散会