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1956-04-20 第24回国会 衆議院 運輸委員会観光に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十日(金曜日)     午後二時十七分開議  出席小委員    小委員長 濱野 清吾君       畠山 鶴吉君    堀内 一雄君       眞鍋 儀十君  早稻田柳右エ門君       青野 武一君    井岡 大治君       池田 禎治君  出席政府委員         調達庁次長   丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁不動         産部長)    大石 孝章君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         運輸事務官         (観光局長)  間島大治郎君  小委員外出席者         議     員 今松 治郎君         議     員 下平 正一君         議     員 横山 利秋君         外務事務官         (欧米局第二課         長)      安川  壯君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  観光行政に関する件     —————————————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 ただいまより運輸委員会観光に関する小委員会を開会いたします。  観光行政に関して調査を進めて参りますが、まず先般運輸委員会においてなされた決議について、外務大臣及び調達庁長官等に参考送付された次第でありますが、その取扱い及びその後の経過等についてそれぞれ政府より説明を求めたいと思いますが、まず質疑を行います。畠山君。
  3. 畠山鶴吉

    畠山委員 私はこの委員会に対する責任上二、三お尋ねしてみたいことと、自分が申し上げてみたいことがあるのですが、まず第一点に今委員長の言われたように、先般名古屋ホテル解除問題につきまして、現地に参りまして親しく調査をして参りました。その当時すぐにでもわれわれの調査に対して了承してくれ、同時にホテル明け渡してくれるような話でありましたが、まだ今日の委員会まで何らの方法がついてないということは、われわれは非公式ではありましたが、皆さんの御了解を得て視察に参った責任上からいたしましても、また今後のホテル解除問題が幾つもありますので、これらの点から考えましても、この問題は、ことに今の段階において重大である。調査に行ってから後にも名古屋にはホテルができているようですが、そういう工合にいたしますと、せっかくの昔からあるホテルがいつまでも接収されて解除されないということは、わが国があまりにもだらしがない。ところがアメリカでも軍の方では日本ホテルあたり接収して平然としておりますが、今国会にも観光小委員会等ができましていろいろその調査をしておりますが、昨年の暮れに岸幹事長アメリカに行かれたとき、また河野農林大臣アメリカに行かれたとき、日本はただ援助しろとか協力しろとかいうことを言ってくるが、日本にはもっとりっぱな資源があるじゃないか、観光というりっぱな資源があるのだから、それらの点に対してもなぜもう少し推進をしないか。もし日本がそういう方に真剣になってくるならば、アメリカとしてはできるだけの協力もできる。ということは、日本は特有の風光を持っておるのだからできるのだという工合に、教えられてきておるような関係でありまして、現在そのホテルを整備するということは非常に重大であり、また責任がある。そしてまず第一番にホテルは足りませんけれども、先般名古屋に参りましたときに、ホテル名古屋には一軒しかない。最近はできておるようですが、しかし名古屋ホテルだけの設備のあるところはなし、また資本も安い。また古くから知られておるホテルがもし開業すれば、名古屋地方といたしましては相当の経済的の復興もできるし、商業の発展もできるし、またもちろん外人がそこに行かれた場合に便利である、有効適切にこれを使用されることは明らかなのであります。私どもはそういう点をよく見て参りましたし、そして調達庁名古屋部長さんにも来ていただきましていろいろお願いをして了承してくれましたので、もうこの問題は解決しているだろうと思っているのですが、まだ何らの手配も、解決もしてないということは、どこに欠点があるかしれないが、とにかく関係当局で少し何だか輻湊しているような空気もあるようにしか思われないのですが、今日の段階でこの委員会としてもこの問題をしばしば取り上げて討議するということは、世相の関係から私もなかなか重大だと思うのです。これは先般の運輸委員会決議をいたしまして、この委員会が取り上げて、そうして調達庁お願いしたら解決するだろうという裏づけのもとにやっておりまして、私はその後いろいろ用がありまして欠席をさしていただいたのが多いのでまことに申しわけありませんが、本日は名古屋へ参りました責任から申し上げるわけですが、この問題はそんなぬるっこい政策ではとうていあけてくれそうもない。今風聞によれば、何だかまた話が変って居すわりをされるような傾向もないではない、こういうように伺っているのですが、私はこの名古屋の問題、また東京の第一ホテルの問題、その他にもありますが、まず名古屋ホテルは特にこれをあけてもらいたいということは、向うにはもうかえ地ができて、かえ家もできて、引っ越しているにもかかわらず、ただ一つ社交場みたいに使われている。この間も参りまして見たところが、売店なんかができている。東京の何といいますか、ちょうどアメリカの品物を売っているところみたいな設備もしているので、まあ遊び場所みたいな一つ民間的金もうけみたいな施設にも一部使われているような点もあるのです。食堂へ行ってみましても、都合によって、お客によっては表から食事も食べられるようにもできておるし、またクラブみたいなものになって、食事も食べられるような、私たちから見ればはなはだ不徹底な使い方をしているのですから、こういう点から推しても、かえ地ができており、かえ家ができているとすれば、調達庁の方としてはもっと強く即時明け渡しを要求する義務と権利があると私は思う。同時に、私ども聞いたところでは、今月か先月あたり約束の期限も切れているそうですから、何ら私はこだわる必要がないと思うのですが、これに対しまして、調達庁のその後の計画一つお伺いしてみたいと思います。
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 ただいま畠山君から質疑がございましたけれども、この質問内容は、先般運輸委員会において決議しましたこの内容を意味しておるわけであります。そこで畠山君の質疑お答えすることは当然でありますが、それと同時に、この前の決議役所側で執行したはずです。執行した経過並びに結果を一つこの場合詳細に御説明願いたいと思います。
  5. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 畠山先生からの御質問お答えする前に、委員長から御注意のあった点からお答えしたいと存じます。先般当運輸委員会におきまして、外人宿泊用ホテルを目下米軍接収中であるが、すみやかに返還するように、これについて政府において格段の努力をすべきであるという趣旨の御決議がありまして、委員長の命によって私ども長官あてにも送付されました。その取扱い方について御説明を申し上げます。  私ども観光上の宿泊用施設であるところのホテル返還問題につきまして、いろいろ米軍側折衝いたしておりました経過さきにもいろいろ御説明申し上げたわけですが、その折衝経過並びに今後の見通しとも関連する重大問題でありますので、関係各省、なかんずく外務省とも詳細に打ち合せいたしましてこの取扱い方をきめたわけでございます。その結果を申し上げますと、来たる四月二十四日に開催されます第九十回日米合同委員会施設特別委員会におきまして、日本側代表から以下のような趣旨を特別に申し入れを行う予定でございます。その申し入れの案文について申し上げます。衆議院運輸委員会は、四月六日委員会においで、現在米軍により接収されておる外人宿泊用の数ヵ所のホテル、特に名古屋観光ホテルの早急な返還を要望する特別決議をなし、日本政府に対し所定の手続を経てこの決議趣旨在日米軍に伝達するよう要求された。この決議の一部をここに引用する。「当面の緊急措置として現在外客接遇上最も支障を来たしている観光ホテル不足難を打開するため、現在駐留軍接収されている外人宿泊用ホテルであって契約満期のものは勿論、その他のホテル等についてはその返還方につき特段の努力をなすべきである。」前記決議趣旨はもっともであるので、さきに合意されたごとく、また一九五五年四月十九日の第六十四回施設特別委員会に提出された米側覚書により確約されたごとく、在日米軍名古屋観光ホテル及びその他のホテル解除を可及的すみやかに実施するようここに要請するものである。以上のような内容申し入れを来たる二十四日の第九十回施設特別委員会日本側代表から米側代表申し入れることに予定いたしております。  なお、ただいま畠山先生から御質問のございました去る一月二十七日及び二十八日、畠山委員木村委員、早稻田委員青野委員の四先生がわざわざ名古屋現地までおでかけになって、そうして名古屋観光ホテルはむろんのこと、米軍側の建造された代替施設等につきましても詳しく御調査になり、また米軍首脳部ともこの問題で御折衝になったという経緯のあと、どういうような交渉を継続したかという点でございますが、この点につきましては、去る二月二十七日及び四月六日の両回における当運輸委員会におきましていろいろ御説明申し上げた次第でございますが、その要点をかいつまんで申し上げますと、要は米軍側日本政府側におきまして、一つ約束された線がある。それでその約束に従って、早急にこれを返してもらいたいという交渉を継続したわけでございますが、具体的には、その後も三月八日の合同委員会におきまして、外務省欧米局長調達庁次長から、米軍側代表に対しましてこの点を強く交渉いたした次第でございます。なおその間調達庁におきますところの事務交渉は、空軍代表に対しまして、詳細に継続したわけでございますが、なお三月二十七日には空軍参謀長と強く交渉を持った結果、三月の二十九日、三十日、三十一日の三日間、現地におきまして空軍現地司令官及び首脳部とその打開策のために会議を開きまして、いろいろ討議し、向うの方でもいろろ具体的な計画を練っておるというような状況でございます。その後も四月五日にその件につきまして、空軍参謀長調達庁担当官といろいろしさいな打ち合せをいたしておりました。要は、当運輸委員会におきまして、現地調査をなされたあとも、この基本の線に従って種々の返還方についての厳重な交渉申し入れをいたしておるような次第でございます。
  6. 畠山鶴吉

    畠山委員 ただいまお答えをいただいたのですが、前の件につきましてはこれからやるということですが、これは申すまでもなく、話がまだよく進んでいないから、今度あらためて公文書か何かを出して、運輸委員会決議に対しておやりになるようですが、私が特に伺いたいことは、現地司令官がいろいろ事情等を知っていますが、言葉を左右にしてあけないのではないか。あける意思があるのかないのか。たびたび折衝されているようですが、今言ったように、使っていることが実際に軍の重要な部門に使われているのではないように思われる。それにもかかわらず、言を左右にしているということは、あける意思があるのかないのか。守山の施設も見て参りましたけれども、それはりっぱなものです。ちょうど名古屋市に遊びにくるような場所みたいにわれわれは考えられないのですが、こういう点について現地司令官ほんとうにあける意思があるかないか、その見通しはどうでしょうか。
  7. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 現在調達庁交渉いたしました印象等からいきまして、米軍側においても、現地司令官はむろんのこと、空軍司令部におきましても、これを何とかして早期明け渡しをしたいという熱意があるように存じております。
  8. 畠山鶴吉

    畠山委員 そこで、そういう意思があるとするならば、最近何だか居すわりをするような頃向があるということに対して、どういうふうに見ていられますか。
  9. 丸山佶

    丸山政府委員 実はそのホテル接収に関する実情並びに解除に対する調達庁を中心とする政府向う側との折衝状況は、当委員会で従来から不動産部長説明いたしました。まだ最近の模様も、今不動産部長からお話した通りでございます。特に名古屋観光ホテルの問題につきましては、私自身空軍司令部首脳部折衝を開始しておるのでございます。それで今の現地空軍自体が何とかかんとかいってがんばって居すわるような傾向にあるのか、そのつもりでおるのか、それとも何とか早期に引き渡すように考えておるのかという点の実情につきましては、私が直接空軍司令部首脳部との話し合いにおいては、必ず渡すのである。要はタイミング、時間というか、期日の問題である。私の方はいわばもう当然なことであって、その期日、時間というものを確定したいがために、私自身も出向いて交渉しておるのだ、こういうような話に今きめてきております。そういう事情でございますから、空軍司令部において何とかかんとか言って居すわるつもりであろうとは私は考えておりません。従ってそれを促進するために、こちらの委員会決議もございましたし、その決議に沿って話もする、また合同委員会あるいは特別施設委員会というような会議においても持ち出して、これを有効に促進される措置を講ずるということで、万全の策を講じておるわけでございます。
  10. 畠山鶴吉

    畠山委員 今お答えはいただいたのですが、どうも同じような御意見で、ただ向うの言う通りで、さっぱり進行するようなふうに見受けられないのです。私どもはかようなことをいつまでも繰り返しておることは、委員会としての面目もありますし、また今後幾多のホテル解除するにも、かようにいつもねばられて居すわりみたいにずるずるにされては、今後の問題にもかかってきますから、今日ここで取り上げておる名古屋ホテルの問題は、これからのホテル全体の解除に大きな影響を及ぼす関係上、これははっきり適切な方法をとってもらいたい。もちろんおやり願っておることはわかっておるけれども、もう少し待てよ、そうかなと言って、指をくわえておるような状態では、現状が許さない状況でありますし、今ホテルがなくて困っておる。何とか外客を呼んで、日本観光、貿易という点から、この問題を取り上げていこうという場合に、特に名古屋は中京の商業地帯でありまして、この間も伺ったとき、外人が来ても泊るところがない。名古屋は陶器とかいろいろな物資がたくさんできておるが、泊るところ一つないというので、こういうホテルくらい一つ早く解除してもらえという、外人側の要求も聞いておりますので、この問題はただ一名古屋ホテルの問題でなく、何らかの適切な方法を講じてもらいたいということが、私どもの希望するところなんです。また当委員会としても、今後観光行政をやっていく関係上、かようなことをいつまでもごちゃごちゃ同じことをつっついていたのでは、世間の笑いぐさにもなります。何だよく勘考しろと、それこそ笑われてしまうことになりますから、どうかこの点はもっとはっきりしたお答えを願いたいのです。
  11. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 お説の通り、幾ら折衝努力しておっても、さっぱりいつそれならばこっちに返るのだという結果を出さなければ、御納得いただけないということも、私ももっともだと思います。そこで直接交渉なり会議を通じてなり、あるいはその他の文書によるなり、いろいろ手を尽して、この時期にはこういう条件においてはっきりこうなるのだということを、早く申し上げることができるようにしたいと思いまして、いろいろ努力しておるわけでございます。なおこれらの折衝模様につきまして、私ども調達庁だけの手に負えないといいますか、はなはだ不十分な点があろう、と思いますので、外務省ともよく相談しまして、早く接収者の方はもちろん、委員会に対しましても、はっきりしたことが言えるようにしたいと思っておるところであります。御了承願います。
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 委員長からちょっと申し上げます。ただいま調達庁大石不動産部長説明されましたが、一九五五年の四月十五でありますか、施設特別委員会において合意された内容、これを一つ説明願っておくと、審査上非常に都合がよろしゅうございますから、合意された内容一つ皆さんに御説明を願います。
  13. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 第六十四回の施設特別委員会に対しまして、米軍側から覚書が出たのでございます。その大要は……
  14. 濱野清吾

    濱野委員長 全部読んで下さい。
  15. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 全文を用意して参りませんでした。
  16. 濱野清吾

    濱野委員長 重要なんだ。君の方で、丸山調達庁次長の言う通り押し問答されて、議員がほんろうされて、委員会権威を落すのじゃない、日本の国が権威を落すのだ。合意された内容一つ読み上げて下さい。
  17. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 全文を用意して参りませんでしたから、大要だけにしまして、あとお願いしたいと思います。
  18. 濱野清吾

    濱野委員長 それでは要点だけでもいいですから、あとで送って下さいませんか。
  19. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 施設特別委員会あて米軍側覚書によりますと、観光ホテル司令部の移転に伴って解除になる、こういう趣旨了解でございます。解除する予定であるという内容であります。
  20. 畠山鶴吉

    畠山委員 私ばかりしゃベったらしかられますが、一体現在の段階では、調達庁というものは米軍取次店みたいなものなのか、日本政府は根本的に米軍を支持するのが役目なのか、そこの点がよくわからないのです。ややもすれば押されぎみみたいな、ちょうど向うの御用承わり所みたいな感があるのですが、こういう点がどうかという点と、それから今接収されておりますホテルの問題を取り上げるには、ここに観光局長も来ておりますが、運輸省観光局権限がなく、また外務当局も見えているようですが、権限があるようなないようなものになっているように思うのです。そうしますと調達庁一本でもって御意見がきまるようにも思うのですが、これらの点について明確な御意見が承われれば、一つ伺っておきたいのです。
  21. 丸山佶

    丸山政府委員 接収物件の提供、解除事務調達庁がやっております。従って調達庁が、今の解除の問題につきましても軍側との折衝をいたすわけでございます。もちろん調達庁接収あるいは解除という問題で向う側とやりとりいたすにつきましても、国内的には大蔵省外務省あるいは運輸省等関係省十分相談の上きめて当るわけでございます。何と申しますか、直接の担当業務といたしましては、この接収解除というものは調達庁業務になっております。従って調達庁がその業務米軍等に対して行う場合に、決して米軍のものを取り次げばいいのだというものではございませんで、こちらの国内的意見でまとまったもので当る場合には、それを向うに承知させなければいけない。従って今部長が申しましたような、向う側との約束があるなら約束を履行すべしということは、十分に強力に折衝しなければならない立場にございまして、現に私はやっておるつもりでございます。その手段といたしまして施設委員会というものもございますし、また両国の合同委員会を通ずるという手段もございます。それから私ども自身向う首脳部に接触して談判する、こういう手段もございますので、できる限りの手段を尽して実効を上げたいと努力しておる次第でございます。
  22. 畠山鶴吉

    畠山委員 今の次長さんと部長さんの御意見は、何だかどうも納得できない。部長さんの御意見は、ホテルはさっそく解除する一つの原則ができておるにもかかわらず、いまだに一向はかがいきません。次長さんは、やっておるけれどもまだ一向らちがあかないと言われるが、私どももそう思っておるのです。終戦後十数年になるのですが、いまだに終戦直後、五、六年過ぎた程度の御用承わり所みたいな感が調達庁から抜けていないような感があるのですが、それらの点について現在はどうなんですか。やはり向うの御命令通り右向けと言えば右を向く、こうしろと言えばこうするというので、こっちはほとんど発言の権限等はないのですか、この点ちょっと伺いたいのですが……。
  23. 丸山佶

    丸山政府委員 御用承わり所以外の何ものでもないということは毛頭考えにはないのでありますが、いろいろ事態が思う通りいかないところにおきまして、これは役所におるわれわれ自体の無能力の点もあって、そういう御批評もこうむるかとも思いますが、そういうような意味合いは毛頭ございません。
  24. 畠山鶴吉

    畠山委員 今私どもは実際問題に当っておりまして、ホテルの問題でも幾種類にもなっております。一部は通産省が処理しておる、一部は大蔵省関係しておる、一部は運輸省観光局がやっておる、また一部は厚生省が担当しておるというように、非常にまちまちなんです。そこへ持ってきて接収ホテルというまた別個なものが生まれておる。一体だれに頼んだらいいかということが、接収された業者の一番大きな悩みなんです。それは計算的な点などいろいろ聞きますが、計算問題はともかくとしても——他委員からもいろいろ御意見があるようですが、結局それではいつまでも敗戦国で、何十年たってもこの問題は解決しないかというところにこの要点があるのです。一つ悪口を言えば、調達庁はどうも昔の癖がやまないで、まだどうもごきげん伺いばかりしておるのではないかというようなきらいがないのではないのです。ほんとうにあるのです。表なんかを歩いても、調達庁の仕事は米軍の使ったじゅうたんの古いのや、いすの古いのを、入札や競売にかける、あればかり商人相手にやかましく言ってやっておる。また御注文が出たらさっそく作るというようなことには非常に敏感でたけておるようですが、さてこっちの意見をいれさせることになると、どうも少しまずいことがあるのです。次長さんも大へんおとなしくやっておられますから、私もおとなしく伺っておるのですが、実際問題におきましては、そういう弁解を聞く段階を過ぎた。でありますから、この際断固たる処置をとって、この委員会の取り上げた問題がイエスかノーか、いけなければいけないと考えなければならない、いいならいいということに考えるような線を出していただきたいことを、私は特にお願い申し上げて、ほかの委員に譲ることにいたします。
  25. 濱野清吾

    濱野委員長 委員質問の前に、ただいま議題になっております件につきまして、外務省の考え方並びに委員会から書面が行っているはずでありますから、その書面についての措置を承わりたいと思います。
  26. 千葉皓

    千葉政府委員 当委員会の御決議につきましては、先般通報を受けまして、これが処置につきましては、先ほど調達庁不動産部長からお話がございましたように、相談いたしまして、これを合同委員会不動産特別委員会で、先方に申し出るということが最も適当であるということに一致いたしまして、調達庁にそういうふうに取り計らっていただくようにお願いをいたしておるのであります。さらに名古屋観光ホテルの問題につきましては、これも不動産部長からお話がございましたように、三月の合同委員会におきまして、その後の状況米側に問い合せをいたしました。それについてはまだ正式に回答はないのでありますけれども、たまたま最近私が空軍の幹部に会う機会がございまして、その点どうなっておるか、名古屋では非常にしびれを切らして待っておられるのであると申しましたところが、これは約束であるので必ず履行する。ただ軍の内部の事情がございまして、多少時間の問題を考えておる。しかしいずれにしてもこれは約束であるから、必ず履行するから、それは安心してもらいたい。先ほど丸山次長からお話がありましたのと大体同趣旨お話でございましたけれども、そういう言明を得ておりますので、御報告を申し上げます。
  27. 青野武一

    青野委員 今千葉さんからお話がございましたので、ちょっと順序が違いますけれども、私関連して質問さしていただきます。これは調達庁が主として御交渉になったと思いますが、一月の二十七日に私ども名古屋に参りまして、二十八日に守山の第五空軍司令部に参りましたと遂に、御案内をしていただく人から聞いたので、これはたしか運輸委員会で、大石さんに私は御質問してお答えを願ったと思うのです。というのは、まあ七分通りか八分通り司令部の建物は——調達庁交渉の結果、ある程度の予算を保証してくれ、司令部の建物を予算外に、別個に建ててくれる承認をすれば、直ちに移転を始める。これが代替条件で、調達庁の方は先方に予算を差し上げたということを承わりましたから、私はその次の運輸委員会で御質問して、確かにその通りでありますということを、これは会議録を見ればわかりますが、承わっておる。そこで二十八日に、今御質問いたしました畠山さんとそれからもう一人運輸委員会の理事の木村俊夫君と三人で、その他関係者大ぜい守山の第五空軍司令部に参りまして、その司令部の付属建物の建築中の状態も見て参りました。そのときに向うさんのお話を十分聞くこともできましたが、何さま話がとんちんかんの場合もありました。ただ国会を代表して、国民の代表の議員が来て見せないわけにはいかない。軍の機密に属しておるところを見せろというのではなく、問題は名古屋観光ホテルの代替施設が完了しておるかどうかということを見ればいい。こういうことで、私ども関係者の諸君の御案内で見て参りました。畠山さんや私が、いろいろ副司令官の人にお目にかかってお話をしました。最後には、気の毒にがたがたふるえて、コーヒーをすすめすすめ、右の手も左の手もがたがたふるえて、そうして多少ふるえ声で、お説ごもっとでございますから、代替施設もできていることであり、急速にお返しするつもりでありますという話を、そのときもされたのです。これは商工会議所の代表も行っており、市役所、県庁の代表、陸運局長、海運局長、交通公社あるいは国鉄関係者、観光事業に関するいろいろな団体の人が一緒に行って、全部の人が承わって帰っている。ところが最近、その司令部の建物が建て上るのじゃなくて、予算をくれればそれをきっかけにして移転を完了するということが、いまだに実行されないということなら、百枚の契約書を取りかわしておいても、第五空軍司令官あたりを相手にしておってはできないから、あなた方の出方によっては、私は社会党所属の議員ですが、ワシントン政府を相手にして、直接交渉をやらなければこれは片づかない、はなはだ失礼な言い分でありますが、私どもはそう思う。先月の十八日にダレス長官がおいでになって、十九日に総理官邸で鳩山さんあたりとお会いになったが、翌日の新聞を見ると、両院議員の満場一致の決議で、原水爆実験を太平洋のビキニ環礁でやってくれるな、こういう真心のこもった決議をした、それに対するダレス長官の意見が出ておりました。それは二年前に私どもはワシントンに、今防衛庁長官をしている船田中氏、あるいは田中龍夫氏、元山口県知事をし、今自民党の代議士で、有名な田中義一大将の長男です。そういう人々と大使館の諸君とワシントン政府に行って、まだ久保山さんは死んでおらなかったときですが、マーシャル群島のビキニ環礁で何のために原水爆実験をやるのだ。ワシントンの港かあるいはサンフランシスコ近海でやるならともかく、世界の公海のマーシャル群島までこそこそ出てきて、日本に向って十五メートルの台風が吹いているときに、何のために原水爆実験をするのだ。日本の民族は広島でやられ、長崎でやられ、そしてあなた方の原水爆実験によってまた三回目の打撃を受けている。こういうことはおやめなさい。こう言ってダレス長官の代理で、極東経済調整局長官ボールドウインに抗議を行なった。そのときには、競争相手であるソ連が実験しており、製造しているから、アメリカとしては国策上実験を中止するわけにいかないが、これからは万全の対策を準備して、日本の人に迷惑をかけない方針であるという答弁を承わった。それはちょうど先月の十九日に、総理官邸で鳩山さんやあるいは岸さんあたりが、ダレス長官にお目にかかってお話をしたその回答とほとんど同じなんです。そのように、とにかくはっきりすれば問題はあとへ残りません。われわれが要求して、衆議院も参議院も満場一致の決議で、原水爆の実験を太平洋まで出てきてしてもらっては困るということに対して、しかしやはり武力を背景にする平和態勢をとっているアメリカとしては、それはせっかくだが御希望に沿うわけにいかないという点はわかるのです。そのように、代替施設はできているが、諸般の事情でどうしてもここしばらくは移転ができないというならわかるのですよ。どういう事情か、それを調べればわかる。あしたにも、四、五日うちにも移転するようなことを回答しておいて、そしてじんぜんと日を送っているのは、私は誠意がないと思う。だから話がつかなければ——あなた方の失態とは私は申しませんけれども努力の足らない点も多少あろうし、アメリカの第五空軍関係者の諸君に誠意がないということになれば、ワシントン政府を相手にして、少くとも衆参の運輸委員会が中心になって交渉を始めなければ、これはどうしてもらちがあかない、解決がつかない、こう思っている。だからこの間あなた方のところに、満場一致運輸委員会で決定いたしました決議文を御送付いたしましたが、具体的に名古屋観光ホテル接収されて、妥当な家賃が払われておるかどうか。ホテル側の諸君から聞いてみますと、立ちのかれたあとさっそく困るのは修繕費だという。大蔵省として二億九千九百万円を見積りしておりますが、妥当な見積りができたらそれを全額払ってやる意思がありますか。おそらく私は全額払ってくれるとは思いません。十年間さんざん土足で荒して——ちょっと日本に類例のないような、おそらく帝国ホテル以外は使っておりますまい。機械織のじゅうたんじゃない、相当綿密な手織のじゅうたんでありまして、それが泥ぐつで踏みつけられて、これだけでも莫大な金です、少くとも三億円。あるいは米軍諸君のやり方によって水道の損害、ちょっと天井が焦げたり、雨漏りがしたり、一部屋は火事があった、そういうものはそこ一尺か二尺の焦げているところをペンキを塗っておいて修繕というわけにはいかない。やはり部屋全体の調和をとるためには、塗らないでいいところの壁も塗らなければならない、あるいは装飾も全部一つの部屋として一致したりっぱな、外人の好むような設備をするには相当な金がかかる、局部的な修繕というわけにはいかない。  私どもが行きましたのは一月の末でありましたが、今日はどうかと申しますと、大体私の調べた範囲では、観光ホテルに宿泊しておる軍人は一月十日でたしか百四十九名、百五十名に足りなかった。ところが五日たって一月の十五日、ことしですが、その日に守山第五空軍司令部へ転出した人が五十三名あった。百四十九名のうち五十三名が命令があってホテルから出ていって守山の方にかわられた。そしてその一月十五日は差引九十六名がホテルを使用しておった。その後今の名古屋観光ホテルをその九十六名が使用しておる。そんなわけで、これを使用する理由がかいもくないではないかと私どもが突っ込みますと、今にも戻すように言った司令官諸君は答弁に苦しんで、口をもぐもぐして、ほんとうに手をふるわしておる。これは私が言うのではない、全員の諸君、二十四、五名が行きましたがみな認めておる。それくらい窮地に立っておって、そして早急に皆さんの御期待に沿うように転出をいたしたいと言う。ところが最近はどうかと申しますと、この名古屋観光ホテルに病院関係の将校がさらに四十名また別に入ったのです。五十三名出て四十名また入った。そして女の教師が別に二十八名ここに入っている。そしていかにも関係者、われわれ日本人には宿舎が不足しているから、不自由を忍んで観光ホテルを使っているのだというように言っておりますけれども、この人たちがおった今までの日本の宿舎はあけたままになっている。守山空軍司令部には婦人の宿舎が現在ある。それは大石さん御存じのはずです。完成したときには婦人の宿舎は特別に作ってあるはずです。そういう連中までそこを使わずにあき家のようにしておいて、名古屋観光ホテルに入っている。病院関係の将校が四十名、女の教師、学校の先生か何かなんでしょう、女教師と書いてあるがそれが二十八名。五十三名出て六十八名また入ってきた。こういうことは幾ら戦争に負けたからといっても、日本人である限りは正義を愛するはずなんです。こういうことはどこから計算をしても不当であることに間違いない。今にもあけるようなことを言って、そして現在、宿舎をあき家にしておいて婦人がホテルに渡ってくる。ホテルは便利がいいですよ。飯を食ったりパーティをやったり、月に一回やったら相当な金が要る。将校諸君が金を出し合う。兵舎の方なら月一ぺんのところを、名古屋観光ホテルを利用すると四回くらい山海の珍味のごちそうが食える。名古屋観光ホテルになると、命令一下ホテル関係者でもコックでもその通りにして非常に値段が安い。そこにも一つの理由があるのです。現在の守山の宿舎は、不動産部長大石さんもよく御存じだと思いますが、部屋が二百六十一あります。そのうち休憩室が二十七部屋ある。どういう部屋か知りませんが個室が十八部屋ある。だから二百六十一部屋から休憩室の二十七部屋を差し引いて十八部屋を引きますと、実際は二百十六の部屋があるわけです。二百十六部屋を百八名の将校が使っているのです。ちょうど二部屋を一人で使っている。ここらからあなたが腰をかけておられるあたりの長方形の部屋が一つ、寝台が据えてある。隣はわれわれ議員の応接室よりはもう少し広いかあるいは同じくらいだと思います。それが二部屋続いてドア一つで行ったり来たりできる。一人の将校が一部屋を使うということで予算を組み、その目的で建築をしておいて、現在百八名で二百十六部屋、一人で二部屋使っているのです。一人一室が原則になって建築が進められ、予算が決定しているのに、一人で二部屋使っている。あとに残っている九十六名に四十名ふえ、二十八名ふえているが、ホテルを利用している者はそう大したものではない。この連中を全部連れてきたって部屋は実際余るのですよ。こういうところを私どもは追及したが、最近ちょっと情勢が変ったからお耳に入れておくのです。  こういうことをせんじ詰めますと、第五空軍司令部の幹部諸君に誠意がないということなのです。だから交渉の担当者である調達庁その他の人々がてこずったり、あるいは交渉が遅々として進まない点も十分わかるのですけれども——幾ら頭の悪い人間でも、自分の子供は適当な方法で教育しなければならない、他人とけんかをしない、迷惑をかけない、人の金を取ることはできない、親の言うことはよく聞くように、普通の子供よりはばかだと思われている子供でも、自分の子供であればやはり適当な教育をするのです。相手が手ごわい、誠意を持たない、約束を実行しないという人でも、交渉のやり方によっては私は効果を上げることができると思う。ましてや名古屋には有力なホテルがないために、この間も二百名も三百名もの外国人が名古屋をねらってきたのでありますが、京都へ素通りされました。少くとも二百四、五十万トン、三百万トンあるいは五百万トンに近い品物が名古屋港から輸出貿易の関係で出ているのです。それが陸上にホテルがないばかりに、名古屋の諸君は貿易上莫大な損害をしているのです。しかも都市計画が大きな障害になっている。名古屋の繁華街の中心にアメリカ村ができ上っている。これはどういうわけなのです。大体建てるときに調達庁の人々は、少くとも東京の八百数十万の人口に匹敵するような日本の中心都会が、とにかく海の方は別として、山から西、東に広がって一千万の人口の大都会でもできるときに、どうしてこういう都会のまん中に、アメリカの派手な住宅をばらばらと建てるのか。これはさあのけろといってみたってなかなかのけない。これは県庁も困っておれば市役所も困っておる。われわれが見ても不当だ。道路の計画にしても家を移転するにしても、都市計画が全然行き詰まってできない。こういう点も次の問題に移ってくるし、おそらくB52というようなジェット爆撃機がもし小牧の飛行場を活用することになれば、飛行場の大拡張工事も行われる。滑走路を三倍、里程にして約一里の長さに拡張する。そのときにはまた名古屋の人たちは産業上どんな打撃を受けるか。いざ一朝事あるときにはどうなるか。いきなり名古屋に向けて爆弾が向けられる。普通の爆弾ではない。原子爆弾、水素爆弾でやられるということは、名古屋の市民にとっては忍びがたいことです。こういうことを手っとり早くいえば、これは全国にたくさんありますけれども、こういうことを解決するためには自分たちの面子、ああいうことを言えばこうなる、こういうことを言えばアメリカの軍隊ににらまれる、一週間に一回なり、月に十回なり、向うさんのパーティに招待を受けてかたいことを一口も言えない、動きがとれない、ということはないでしょうけれども、私たちが行ってもホテルにおる人は、どうぞ用意してありますから、どうぞどうぞと言われるが、私は一ぺんにはね返した。向うに行けばコーヒーとお菓子を持ってきて、さあ一時間ばかりでもいいから全員いすに腰かけて、お菓子でも食べて下さい。そういうことも私どもははね返して帰ってきた。こういう因縁、情実をかりに作られると、なかなかこういうむずかしい問題解決のためには、腹では誠意を持って解決しようと思っておっても、事実上できない。そういうことがアメリカ人特有の性格であり、特に日本に来ているアメリカの軍人さんは、とにかくお追従家で、町芸者で、大鼓持ちのような性格を持っておる。言うたことはやらない。女のしりを追っかけることはさかりのついた男犬みたいにしてやりますけれども、しかし約束したことを平気でやりっぱなしにしていく。日本に子供を生みつけておいて、どんどん自分の娘や親のところ、あるいは奥さんのところに、帰っていく、アメリカの落し子がどれだけおりますか。そういうもののめんどうを見ないから、一時婦人の代議士が三十五、六名おったのがみんなばらばらと落された。この問題も重大です。そういう無責任な性格をアメリカ人は持っておる。そういうことを頭に置いて交渉しないと、同じ日本人同士が話し合うように簡単にはいかないのです。  私が千葉さんにお尋ね申し上げたいのは、もしおそまきながらアメリカ軍の好意で急速に移転が完了するような事態になりますれば、大体十年間二束三文と申しますと語弊がありまするが、あまりそう高い家賃で借りておるとは私ども常識的にみなされぬ。そういうものをも含んで昔の形のホテルに改造するには、関係者は一口に三億円程度要ると言っておる。迷惑をかけて、安い家賃で借り上げて、そうして出ていってしまったあとは、ともかく踏み荒されてしまって、修繕費に莫大なものが要る。そうするとホテル経営をしておっても、従業員に給料を払って、一部の税金を払って、借りた金利のためにホテルの営業が成り立たないという状態になると、これはやはり政府が補償してやらなければ、どこも補償してくれるところはありません。戦争に関係のない広島、長崎に原子爆弾を落して二十三万七千名殺した、長崎は七万名殺したが、政府から一銭でも金が出ましたか。アメリカの兵隊は、戦争に関係のない国民には危害を加えぬといって、原子爆弾で二十三万七千人と七万人殺したじゃないか。アメリカが弔慰金、見舞金を一銭でも出したか。こういうことを考えると、ホテルはなるほどわれわれの要求通り出た。守山の第五空軍司令部に移転してしまったあとはどうなるのですか。これを今から大蔵省の人たちは一つ頭の中に入れておいてもらいたい。そのときは調達庁の人とで十分です。事前に打ち合せをして、これ以上の迷惑をかけないという方針で進んでいかれるのが当然だと私は思います。これを一つお伺いしておきます。  それから今申しましたように、その後病院関係の将校が四十名、女教師が二十八名、合計六十八名入ってホテルを利用しておるというこの事実、これだけを見ても誠意がない。それからちょうどそこにあります専門員室の建物よりもう少し長いでしょう。あれくらいの建物で二階建です。もう少し高さが高よように思っておりますが、それが予算を調達庁がお出しになるのか、大蔵省からお出しになるのか知りませんが、ともかく調達庁を通じてお出しになった。この交渉の結果、その予算をくれれば名古屋観光ホテルはすぐ撤去しよう、接収解除しよう。ところがもうおそらくでき上っておるのです。一月の末には八分通りでき上っておったのですから、今ごろはでき上っておるのが常識でございましょう。そうしてその約束も実行しない。われわれに対して答弁したものも実行しない。あなた方が現地の調達局長を通じていろいろな折衝しておっても、やはり回答が同じです。そうして昭和二十七年であったか八年であったか、今書類を持っておりませんからよく記憶いたしませんが、大体昭和二十七年、それから去年の暮れまでに前後十三回の請願書が出ておる。商工会議所の会頭の名前、県知事の名前、市長の名前で、あるいはホテル関係責任者の名前で請願書を出しておる。そうすると代替施設ができ上ったときには直ちに移転の完了をいたしますという公文書が来ております。私は行って調べてきた。十三回のうち十回くらいまではずっと同じような内容で来ておる。名前も立場も、請願した人は違いますよ。市役所代表したり、あるいはホテル代表したり、あるいは商工会議所を代表した人がその請願書を出しておる。ところが去年の暮れごろになって、秋ごろにはもう代替施設ができ上っておるのに、暮れごろになったらどう言ったか。こういうものを持ってきてもらっては困るから、日米合同委員会にこの書類は提出するのが当然だといってはね返してしまったのです。十三回出したうちに二回ないし三回はね返して突き戻したのです。これもいかに誠意がないかということがわかる。それであったら前のものを九回も十回も何のために——代替施設ができたらいつでも移転いたします、あなた方の御期待に沿うように私ども努力しますという弁答をしなければいい。こういう点を考えると、私どもはもう少し努力をして、これはもう名古屋観光ホテルだけの接収解除の問題ではなくして、名古屋を含む名古屋地方の産業の将来の発展からいきましても、貿易の面からいきましても、とにかく重大な影響力を持っておる。外人というのは日本の旅館にはなかなか泊らない。よほどのことでなければ泊らないのですから、やはり名古屋観光ホテルのように、一部屋に必ず便所その他の設備が完備しておる、こういうものは名古屋の産業の将来の発展のために接収解除を一日も早く実現して、そうして外人とのいろいろな貿易上の取引とか、あるいはいろいろな名古屋それ自体の利益のために大きい見地に立って、日本の中心の大都会、そこに住んでおる市民と市の発展のために、産業の発展のために、このホテルは早く解除してやらなければならぬという観点に立って御努力していただければ、今の状態のように八方ふさがりにならなかったのではないかと考えます。こういう点についてちょうど次長がおいでになっておりまするので、こういうような事実もあるがということの御回答を願いたいと思います。  それからあと山王ホテル、軍人会館、第一ホテル名古屋ホテル解除の件については——名古屋観光ホテルについては調達庁はおきらいになって、それは困るといっておるそうでありますけれども、かまうことはないから、三月三十一日にお貸しすることは期限が切れたので、四月一日から私の方で使いますからお断わりいたしますとおやりなさい。私どもが相手になってあげましょう。おもしろいじゃないか。原子爆弾でも飛行機でも高射砲でも持ってこい、こういう調子で一つかかりなさい。政府政府が行政協定を結んだからといって、日本国民はその行政協定によって、個人あるいは会社の所有する民法上の権利を剥奪せられるということはありません。私が三十年間師事して、私の先生として尊敬をしてきた松本治一郎氏は、福岡の板付飛行場のどまん中に四千四百坪の土地を持っておる。その松本治一郎初め四人が持っておる四千四百坪の土地を、彼らは無断で使っていたのだ。裁判をやったのです。第一審が御承知の通りでしょう。米軍は直ちにこれを明け渡して、松本その他の諸君の原告にこれを返せ。私は言うたのです。金はかかります。訴訟費用も相当要ったのですが、一つ飛行場のまん中に橋をかけて、私たちの土地に行きましょうや。日本の裁判官にも骨のある人がおります。日本の国がどういう状態に置かれておるかということを知っておりながら、やはり個人の所有権というものを尊重して、第一審を通じてとにかく日本政府は——米軍は間接的になりますが、日本政府はこの土地を松本治一郎そのほか三人にすぐに土地を返還すべしという判決が下ったことは御承知の通りでしょう。新聞にも全国的に大大的に掲載された。このようにかなり無理なことが行われてきた。この問題についてもそうです。ホテル側がもうお貸ししないというものを、——個人の所有権をだれが一体どういう法律で縛るのです。私ども日本の自衛隊全部が向ってきて、高射砲だ、鉄砲だ、大砲だ、ピストルだと来てもびくともしません。私の持っておる家屋なら、接収は国家が相手でも断じてさせません。もうこりごりだから、期限が切れたからお貸しすることができないというのがホテル側の意見です。私はよろしい、おやりなさい、調達庁がいやがっても、政府側がきげんが悪くなってもかまわないでおやりなさい。あなた方が苦心して作ったホテルです。改装費その他は公費で、国民の納得する範囲ならあるいは補償してくれるでしょう。こう言って私は力づけておきました。こういう点についてもどのような対策あるいは具体的なお考えを持っておるかということを、質問にしては長いお話をしましたが、一つ承わっておきたい。
  28. 丸山佶

    丸山政府委員 お話通り守山の代替施設が完成している以上、すみやかに返還すべきものと考えておりますので、その実現のために一そうの努力をいたすつもりでございます。なお返還あとの補償でございますが、もちろん接収の間にこうむり、引き上げたあとがえらいことになっておるという事情になれば、当然大体の例において返還あとの原状回復という問題がございます。これに対しては適正な補償措置をとることになっております。
  29. 千葉皓

    千葉政府委員 名古屋におけるいろいろな施設返還することが、名古屋の今後の発展のために非常に重要であることは、私ども十分知っております。ただ先ほど米軍に誠意がないというお話がございました。私は別に米軍の弁解をするつもりはありませんけれども、私は米軍に誠意がないというふうにまだ断ずるわけに参らないと思うのであります。お話通り主張すべきをもっと強く主張する、その点において私ども幾分欠けておったという点はあるいはあるかと存じますけれども調達庁と十分御協議しまして、この問題の解決を一日も早くできますように、この上とも努力したいと思います。
  30. 青野武一

    青野委員 私は千葉さんの御答弁の中のお言葉に拘泥するわけではありませんが、それはあなたたちの立場で、米軍に端的に誠意がないというように考えておらないと言うことは、お立場上やむを得ないかわからないが、私は米軍に誠意がないという具体的な事例を三十くらいあげ得るのです。これは最近の話をしただけですが、第一、司令部の建物を増築する際の約束を無視している。去年の秋に代替施設ができ上っておるのを、今日まで漫然としてとにかく約束を実行しない。これが二つ。そうしてこのごろは御承知の通り一月十五日に五十三名が転出した。残留者九十六名、それに四十名と二十八名合計六十八名を入れた、出したよりよけい入れたのです。そうしてその入れた諸君の今まで利用しておった宿舎はあき家にしてある。あき家にしておいてホテルの方を利用さしておる。これはいかにインチキかですよ。不当なんです。これは日本にも百人寄るとずいぶん根性の悪い人もおりますけれども日本人の血が流れておる限り、こういう鉄面皮はおりはしません。ホテル接収解除してくれということが国会の問題になって、国会議員が三人、関係者が二十四、五人も第五空軍司令部に行って、そうして下げないでもいい頭をぺこぺこ下げて話をした。向うの方は御期待に沿うように一日も早く移転を完了いたします。しかも日本の方にもお世話になって代替施設もできましたから、何とか一つ早く移転をしたいと思うておりますというようなことを、言わなければよいが言うておる。それを実行しない。司令部の増築の建築ができ上った。そうして今度は宿舎が足らないような風を装うて、子供のあめ玉を取り上げるようにごまかして、そうしてまだホテル接収をやっておる。ただ外務省千葉さんにお願いしておきたいのは、こういうような粗末なものとか、普通の安ホテルのものとは違うのです。あすこの名古屋観光ホテルの一階から六階か七階までありますあのじゅうたんは、全部手織の非常に高価なものなんです。これをあのアメリカ人の遠慮なしに歩く土足のために、非常にいためられて、これはもうたとえば移転を完了せられたあとでも、このじゅうたんは使えない。普通のじゅうたんの価格のおそらく三倍から四倍程度かかるものです。これはホテル側のインチキで計算しておるのではない。専門家に見せたらすぐわかる。東京で申しますと帝国ホテルが使っているくらいと思います。この衆議院に敷いておる赤いじゅうたんなんというものは、これはちょっと他に類例がない。一尺角切っても目の玉が飛び出るような金がかかっておる。だから雨の降ったときなんかは、お上りさんが議会見物するときに初めての階段のところにはずっと布を張って、そこで土足で上ってもいたまないようにしてあるが、やはりいたむのです。この国会のものなんかは普通のじゅうたんと違って非常に高価なものですが、それよりまだ高価なものを名古屋観光ホテルや帝国ホテルは使っている。だからわれわれが考えている毛布の値段でしんぼうせぬかということは、それは越権だと思う。そういう点を専門家を中に立てていろいろ計算していくと、大体二億九千九百万円ほど修繕費、加工賃がかかる。私はこれらについてまだその段階にきておりませんけれども、予備的な折衝、いろいろな調査、そういうものを進めていただきたいということを希望申し上げるわけですが、そのほか山王ホテル、軍人会館の問題も、大体向うの横山君なり、井岡君が御質問する予定になっておる。そこを畠山さんの御質問内容が、偶然私のお尋ねしようとしたところに関連しておりましたので、それに関連して言いましたけれども、一応ここで終りますが、その点は十分一つ腰を入れて——私はもうアメリカの悪口を言うのでない。ことさらに攻撃するのでない。それはどういう性格の人種であるかということを頭に入れてもらわなければならぬ。  これは委員長にお許しを受けますが、埼玉県の金子村で綿雪のどんどん降っているときに、高圧線に飛行機がひっかかって、B29の搭乗員十三名が即死した。日本人も三名死んでおり、家が三十五軒焼けた。そのときに日本の厚生省が、厚生省規程をたてにとって、死んだ者は見舞金六万三千円を一ぺんに——毎日くれるわけじゃないのです。それも全国ではそういうような軍用機であるとか、トラックでひき殺したというようなときに大ていひき逃げをしておる。何万件というひき逃げをやっておるのですよ。そうしておいてもうのっぴきならぬものは新聞に出る。ラジオにやる。そうするとどうです。米軍と話をしておるのじゃない。当時の厚生省のお役人が、二十年前に牛小屋を建てたときには何十円かかったか、お前たちが今度家を焼いたが、その茶わんとかどんぶりとかはしとかは、買うたときは三銭か四銭か五銭だろうから、その値段をつけたと言っておる。厚生省の諸君はそういう頭なんです。私は現地に乗り込んで行って——兵隊さんはみんな爆弾と一緒に飛んだのです。それでもうへいとか屋根とかかわらとかに肉塊があっちにもこっちにも散らかっている。まだ爆弾が二、三発破裂しないで地中にもぐっているから、そこへ行っては危ないという米軍の兵隊をはねのけて、現地を視察して戻って、国会にも委員会を通じて報告をした。そういうやり方はいけないのです。やはり補償の点については、二十年前に買うた茶わんが一個五銭にしたって、貨幣価値は今どうなっているか。私たちが若いときに市会議員で、東京へ出るのに、汽車の三等で十円やって七銭つりがきよった。今は何ぼです。三百五十倍の貨幣価値でしょう。そういう点をやはり念頭に置いていただかぬと、補償金額に非常な隔たりが出てくるということを、外務省千葉さんあたりは十分に頭に入れておいていただきたい。
  31. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 関連してちょっと……。ただいま青野委員からるる質問がありました通りでございまして、この問題はただ単に名古屋観光ホテル接収解除ということだけでなく、国際信義を重んずる米軍のやり方としては、日本の国民感情に及ぼす影響が非常に大きい。従ってこれは今青野さんから要請されたように一つ強く交渉してもらいたいと思うが、さっき大石不動産部長は来たる二十四日の日米合同委員会申し入れをする、こうおっしゃって、その案文を読み上げられ、お聞きしたわけですが、どうも手ぬるいと思う。もう少し強く言ってもらいたい。すなわち少くとも代替施設を作ったらすぐ立ちのくということは、これははっきり言っておることなんですから、それが不履行に終っておる現在、ただ頼むといったようなことではなくて、何月何日までに立ちのいてもらいたい、これをはっきり通告してもらいたいと思うのですが、そういう措置をとる意思がおありかどうか、一言聞いておきたいと思うのです。
  32. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 前の委員会にも早稻田委員からの御質問お答えしたように、従前からいろいろな折衝経過があるわけでございます。そういうような関連からいきまして、ただいま外務省欧米局長からもいろいろお答えがあったように、向う側におきましてもいろいろ熱意を持ってこの問題の解決に当っておるわけでございますから、従いまして、すでに約束の期限から時点的にはもうはずれておるといったようなことは、双方において論議が尽されておりますので、当委員会の強い御決議のほどを向う側に率直にお伝えする、それからまた返還の問題については、それはそれとしていろいろ交渉を持つというふうに考えておる次第であります。
  33. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 お説ごもっともとは思いますが、もうこの段階においては、ただ国会においてこういう決議をしたからこれを通告するということだけでは、何だかなまぬるいと思います。少くとも国会においてはこうだ、国民世論はこうなっておる、従ってこれは何月何日までに立ちのいてもらいたい、それができぬ場合はどうするかというぐらいのことは言ってもらってもいいと思うのですが、その点どう考えられますか。やはりできませんか。
  34. 丸山佶

    丸山政府委員 お説ごもっともと存じます。今の案文についてももう少しなお再考慮をいたします。
  35. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 一つぜひしっかりやってもらいたいと思います。  そこで千葉欧米局長にちょっと伺っておきます。この種の事例はこれ以外にもあるように私ども聞いております。これは国と国との条約ではないわけですが、少くとも米軍がはっきり覚書を入れており、そしてこれを履行しないような場合、外交上、条約上何らかもう少し手きびしい措置をとる方途はございませんか。私どもしろうとでわからぬが、専門家としてそういうような方途があるならばこの際一つお教えをいただきたい。
  36. 千葉皓

    千葉政府委員 お答え申し上げます。米軍との間のいろいろな問題について、彼我の間でせっかく話し合いをいたしましても、なかなか初め予定した通りにいかないというような事例は他にないこともございませんが、こういうことにつきましては、お互いに話し合いをつけまして、時間が多少かかるのはやむを得ないと思いますが、努力をいたしておるわけであります。直接には、たとえば施設の問題でありますと調達庁の方でおやりになる。また問題によって、運輸省なりあるいは郵政省なり、関係の省でなされ、その直接のところで解決できない問題につきましては、外務省欧米局長が主宰しております合同委員会におきましてそういう問題を提起いたしまして、そこで話し合いをするわけです。そこでも話し合いがつかないというような問題はほとんどないのでありますが、そこでも話がつかないというような場合には、最後のときには外交交渉ということがあり得る。しかし私どもといたしまして、そこまで持っていかない段階におきまして最大の努力をいたしておるつもりでございます。
  37. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 日米合同委員会が窓口のようでございまして、それで話がつかぬ場合は外交交渉に移していただける、大へんけっこうでございます。そこで本件については、先ほども申し上げましたように、国民感情に及ぼすところが大きゅうございます。また他の施設に影響するところが大きいわけですから、二十四日の日米合同委員会で強くお申し入れをしていただいて、もしそれで話がまとまらない、早急に返さないという場合には、ぜひ一つこれは外交交渉に持ち込んで、大使館なり、あるいは米側の首脳に対して交渉を開始していただきたいと思います。そういう点について、日米合同委員会で誠意が認められぬ場合は外交交渉に移る、こういうことに願いたいと思いますが、一つここではっきり確約をしておいていただきたい。
  38. 千葉皓

    千葉政府委員 お答えいたします。二十四日は合同委員会の何といいますか、分科会と申しますか、その下部機構でやられるわけであります。この問題については何とかそこである程度見通しがつくのではないかと考えております。そこで話がつきませぬ場合は、合同委員会の本委員会と申しますか、合同委員会そのものでまたこの問題を取り上げる。私は外交交渉まで持っていかなくても、この問題は何とか話がつくというふうに考えております。
  39. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 ありがとうございました。ぜひ一つそういうように御配慮願いたいと思います。  大蔵省からたれか来ておりますか。
  40. 濱野清吾

    濱野委員長 来ておりません。きょうは呼びませんでした。
  41. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 大蔵省が見えたら関連して大蔵省に聞きたいと思っておりましたが……。
  42. 濱野清吾

    濱野委員長 それは補償の問題ですね。これはまず出さなければしようがないのですから、補償の問題はあとにいたしましょう。
  43. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田小委員 それでは委員長お願いしておきますが、この補償問題について大蔵省質問したいと思いますので、呼んでおいてもらうようにお願いいたします。
  44. 濱野清吾

    濱野委員長 承知いたしました。  それではこの際お諮りいたします。横山君から発言をしたいという旨の申し入れがございますので、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。それではこれを許可いたします。横山君。
  46. 横山利秋

    ○横山利秋君 最初に千葉さんにお伺いしたいのですが、もういろいろと質問もありましたから、重複を避けます。ただ一つお伺いしたいのは、あなたは先ほど米軍にも誠意がある、こういうふうに考えておるとおっしゃったのですが、少くともわれわれが考えて、今日の段階では誠意があるとは思えないのだが、その段階であなたが誠意があるとおっしゃるのは、返還の確たる見通しを持っておる、こういうふうな意味を含めてのお話でございますか。
  47. 千葉皓

    千葉政府委員 先ほど青野先生の御質問に私がお答えいたしました際に、私が空軍の中央の幹部に話をいたしましたことをちょっと申し上げました。そのと遂に受けました印象では、現地の第五空軍司令部ではこういうふうであったというお話もございましたが、空軍全体としては、やはりこれはとにかく返還することを約束したものである。従ってこれはどうしても、なるべく早い時期に返さなければならぬと考えておる。今せっかくそれをどう進めるかというようなことを先方で検討しておる、こう見ておりますので、まあ全然誠意がないというふうには私は考えておらないということを申し上げたのでございます。
  48. 横山利秋

    ○横山利秋君 率直に申しまして、そのお答えでしたら、人がいいにもほどがあるという感じを私は受けるのであります。なぜならば、もうかわりの宿舎ができたら返しますということは、累次にわたっておる。宿舎ができても、返すどころか、出たあとにまた人を入れておるのでありますから、この辺であなたがかんかんになって怒るというのが当りまえなところを、いや誠意がありますよと言って弁解をされるというのは、私は何かほかの理由があろうかと思うのであります。今日まで遷延をしておる根本的な理由は何であるか。それが解決をして、最近返す確たる見通上を持ったから、そう心配しなくてもいいというなら、私はわかるのですが、そうでなくて誠意があるということについて、具体的にお答えを願いたいと思います。
  49. 千葉皓

    千葉政府委員 先ほど申し上げた以上に申し上げることはないのでありますが、私は、なるほども期日におくれておるのですから、おくれている事実そのものは、それだけでも誠意がないではないかということであるならば、それはその通りであると申し上げるほかはないのであります。まあ向うの言いわけのようになりますけれども向うの内部事情も多少あると見えまして、おくれておるわけであります。しかし幹部におきましては、何とか早目にその返還の要求に応ずることを考えておる、そういうふうに見ておるのでございます。
  50. 横山利秋

    ○横山利秋君 それでは今契約がございませんで、無契約の状況になっているが、この無契約の状況における賃貸料その他は、どういうようなことに相なっておりますか。それからあなたのおっしゃる誠意があるから近き将来というのは、あなたは繰り返しておっしゃるけれども、いつごろ返還をされる見通しをもっていらっしゃるのであるか。その二点をお伺いしたいと思います。
  51. 千葉皓

    千葉政府委員 私としては、いつごろ返還になるかということについて、別に確たる見通しがあるわけではございません。しかしそう長くはかからないと考えております。  御質問の第一点の無契約の状態におけることにつきましては、調達庁の方からお答え願うことにいたすのが適当と存じます。
  52. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 所有主である名古屋観光ホテルの方と、国との間の契約が切れておるという問題の御質問だと思います。その点は、私どもとしましては以上のような状況で、なるほど返還が前々からお話しになっておるようなふうに、早期には実現はしていないことは事実であります。何とかこの際努力して返還の実現方について結果を見るように、目下努力中である。従ってその期間ぜひ御契約いただきたいというふうにお願い申し上げておる次第でございます。
  53. 横山利秋

    ○横山利秋君 私の聞いておりますのは、無契約状態になって、幾らでいつまでの期間貸すということについて、全然取りきめがございません。取りきめのない家賃はどうするのであるか、こういうことです。
  54. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 私どもの方では契約をお願いしたいという折衝中でございますので、その間どう扱うかという具体的の事例としましては、合意を見たときに、年度当初までさかのぼって御契約いただいて、そうしてその間契約がカバーされたということで、賃借料をお支払い申し上げるということにいたしたいと思います。
  55. 横山利秋

    ○横山利秋君 そうしますと、あなた方は片方においてはアメリカ返還しろと言っておいて、片方においては観光ホテルに対して契約しろ、こう言っておるわけですね。
  56. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 現実にアメリカの方には返せということを言っておるわけです。ただその期間、かりに今日現在を見れば、今日までの国内の所有者と国との間の賃貸借関係は成立し得るわけであります。今名古屋の調達局でいろいろ新年度の契約を御折衝申し上げておりますが、ただ契約が成立したという報告を承わっていないわけであります。従いましてむろんアメリカが即時返還してくれれば一番よろしいわけでございますが、アメリカが国の方に返還するまでは、先ほど御質問がありましたように、国内の問題として、所有権者と国との間の賃貸契約の問題が残るわけでございます。そのことを申し上げたのであります。
  57. 横山利秋

    ○横山利秋君 理屈を言えばそういうことのようです。しかしながらそこに私はあなた方が本腰になって、本気になってやっておるかどうか、疑わしいと思う。もしここで観光ホテルの当事者が、契約しません、これは不当占拠でございます、こう言って争ったら、あなたの方はどうするつもりですか、総理大臣に頼んで強制収用でもするつもりですか。
  58. 丸山佶

    丸山政府委員 その辺につきましては私からもお答えいたしますが、お説の通り、契約があるから使っておるということでなく、話が逆でありまして、予定通り返してくれないで使っておる。やむを得ずその使っておる期間非合法になるという意味で、そこに契約とかなんとかいう問題が出てくると思います。やはりこの問題は、何といっても一日も早く返還のめど実現をはかって、それでその辺のことも万事処理するのが、最も適当と考えておるわけであります。
  59. 横山利秋

    ○横山利秋君 そうしますと丸山さん、あなたは部下がやっております観光ホテルの当事者に契約をしてくれというやり方については、趣旨としては賛成をしておられぬわけですね。
  60. 丸山佶

    丸山政府委員 契約をしてくれという意味は、返すべきものを返さないで使っておるから、使っておる間の国の処置として、非合法であってはいかぬという意味で、やむを得ぬから、今の返すまでの間は契約をお願いしたい、こういう趣旨でございます。
  61. 横山利秋

    ○横山利秋君 そこが問題であります。そういうやり方というものが、今日の非合法な状態を合法化することによって、またずるずると問題を遷延化してしまう。私は国が不法占拠をしておる、進駐軍が不法占拠をしておる状態を、好ましい状況だとは思いません。けしからぬから、これはいち早く返してやるのだ、こっちでこういう立場で、国会もむきになって、全力をあげて鞭撻、督励をしておるわけです。鞭撻、督励をされているあなた方は前を見ているかと思うと、うしろを向いて、まあとにかく今の状態は悪いから契約をしてくれ、こういってずるずるべったりの方向にまた行こうとしておるおそれを多分に見受けるわけです。そんなことではいつのことやら話にならぬのであります。今日の状態を一刻も早く解決することは、現状を合法化することでなくして、返還をさせるべきである、これ一途にあなたはお進みになるべきである、こう考えますが、どうです。
  62. 丸山佶

    丸山政府委員 お説の通り、私もそのことを申し上げたつもりなんで、一日もすみやかに返還するということですべてが片づくであろう、それに一辺倒すべきであると考えております。
  63. 横山利秋

    ○横山利秋君 わかりました。それであなたのそのお話はわかりましたから、下の方で、当事者の方でもう一ぺん再契約をするのだということを今の段階において言わせることは、すみやかにやめさせていただきたい。第二番目に、二十四日に合同委員会の小委員会ですか、それに先ほどお読みになった申入書をお出しになるのですが、そこでどういうつもりであなた方はおいでになるのでございましょうか。つまりここで話をつける、こういうつもりなんでしょうか、それともとにかく一ぺん出してみる、こういうつもりでございましょうか。
  64. 丸山佶

    丸山政府委員 その場で即時確たる返事があるかどうかの見通しはございませんが、先ほど早稻田先生からもお話のありましたように、あの案文につきましてもう少し考慮をしまして、明確な答えが出るような方向の申し入れにいたしたいと考えております。
  65. 横山利秋

    ○横山利秋君 これが初めて出るのなら、初めて申し入れをすることであるならば、私もこうは強く申しません。しかし今日まで、先ほど御報告願ったところでも、ずいぶんと交渉経過を経てきておるのに、今さら国会の決議はこうでありましたからよろしくお願いいたしますというような文章でおやりになるのは、何たることかと、実は私はあきれ果てておったわけであります。事ここに至って、国会が決議してそうして最後の折衝を国会の総意を背景にしてやるならば、もう今からこれを出しておいて、そうして四月二十四日にはその御返事をもらいたい、こういうことで当りまえのことではございませんか。もうすでに国会が決議してから何日たっていますか。それを初めて委員会へ出して、国会の決議はこういうことでございますが、どんなものでございましょうかというがごときは、全く国会の決議というものを尊重しないもはなはだしいと私どもは存ずるわけですが、どうしてこういうような結果になっておりますか。
  66. 丸山佶

    丸山政府委員 今委員会の日取りのことをちょっと調べてみたのでございますが、もちろんお説の通りこの問題は前々からも交渉過程にあり、なお決議も最初に私から申し上げたと思いますが、空軍司令部には直接折衝を開始しておるわけであります。そこにおきましては先ほど申しましたようにタイミングの問題、時間の問題、それが明確にならぬでは困るということの話はすでにしてあるわけであります。今回二十四日の委員会の機会にまた正式に国会の決議の一文も引用いたしまして、私が直接向うとの折衝において明確ならざる点を、これによって明確にいたしたいという努力をいたします。
  67. 横山利秋

    ○横山利秋君 交渉の主体となりますものはあなたですから、国会の決議を引用してとおっしゃるのは一応もっともに思うのです。けれどもそんなに気力があり、熱意があり、努力があるということでやっておられるならば、何も国会はあらためて決議をしてあなた方に督励なんかしはしませんよ。先ほど三人の人から質問があったように、率直に言うと一体何をしておるのだ、こういう言葉に尽きるわけです。畠山さんのおっしゃるように、調達庁というところはどういうところですかという言葉なんかが、あなたは一片の良心があれば黙って聞いておれないと思うのです。それにもかかわらず何ら動揺されることなく、泰然自若として御答弁をされておるかのごとく見えるのは、いささかいかがかと思うのでありますが、調達庁全体の名誉のためにも、国会の権威にかけても、この際きっぱりとした立場、きっぱりとしたものの言い方、そうして最短期間において国会へその結論が出せるというふうな態度で今日お出になるべきだと思うので、いささか言葉が過ぎるかもしれませんけれども一つ明確に所信のほどを披瀝してもらいたい。
  68. 丸山佶

    丸山政府委員 従来の折衝経緯がいまだに明確なる答えとなっておらない。これらにつきまして調達庁と申しますか、特にただいま私の立場から申しましてはなはだ遺憾に存じます。これは私自身の無能のいたすところであろうかとも思いまして、まことに遺憾にたえませんが、しかし私はこの問題になお全力をあげて、一日もすみやかに解決するように決心いたしておる次第であります。
  69. 横山利秋

    ○横山利秋君 先ほどから二回もその言葉をおっしゃいましたが、最後の言葉を聞いて、この次にあなたがお出になるときにその言葉の裏づけがされるであろうことを、私は強く期待いたしたいのであります。もしもそういうような言葉でなくて——早稻田さんが御質問なさったように、この次の機会には補償額の問題だけが本委員会の爼上に上るというふうになることを、私どもは衷心希望いたしたいのであります。  最後に一つだけお伺いをしたいのは、先ほどからいろいろと経過がありましたが、経過だけでございます。何月何日これをやりました、それから何月何日こういう申し入れをいたしますということだけにとどまっておりまして、相手が何を言っておるのかということについて、いささかも触れるところがなかったわけであります。欧米局長は抽象的に相手は誠意があるとおっしゃる。あなたは自分が無能力だとおっしゃる。相手がどういうことを言っておるかということが何ら披瀝をされておりません。先ほどタイミングの問題があるということだけのお話がありましたが、どういうことを言っておるか、そうして言ったことについてあなた方が納得をしておられるのか、そういうことについて理論上正しいと思っておることがおありになるのか、その点だけ簡単にお伺いいたします。
  70. 丸山佶

    丸山政府委員 私どもが明確に納得できるような理由を、率直に申しまして受けておりません。従いましてタイミングの問題であるから、もうしばらく御猶予願いたいという向うの回答に対しまして、そういうことをいつまでも続けることはできない、いつというはっきりしたことに早くものを確定していただきたい、こういうことで話を進めておるのでありまして、今後の何もそれに集中したい。
  71. 横山利秋

    ○横山利秋君 よくわかりました。それでは私の質問はこれで終りますが、ぜひとも次回には明確に、早稻田さんのおっしゃったその質問だきが本委員会の議題となりますように、特に調達庁並びに外務省関係が全力をあげて、短時日の間にこの問題を処理されるように、先ほどの二十四日のものの言い方なりあるいは結論なりを強く期待をいたしまして、私の質問を終ります。
  72. 濱野清吾

    濱野委員長 井岡君。
  73. 井岡大治

    ○井岡小委員 きょう名古屋観光ホテルがおもに討議をされたわけですが、小委員会はひとり名古屋の問題だけを取り上げておるわけではございません。このことをまずお考えいただいて、自後の御答弁をいただきたいと思います。前々から名古屋の問題については、今皆さんからいろいろ御質問があり、あるいはまた御答弁がありましたので、私はあえて再びこの問題をお尋ねをしようとは思いませんが、先ほど千葉欧米局長が早稻田さんの質問の中で、約束の不履行になった場合どういうことができるか、こういう質問に対して政治折衝あるいは外交折衝にこれをゆだねるべきだ、こういうお話でした。私はこれは答弁になっておらないと思うのです。いついつまでにこれを明け渡す、またこういう代替施設をこしらえてくれるならば私の方はここを出ていきます、こういう約束をしたのです。従ってこの約束を不履行になった場合は外交交渉にゆだねるのだ、こういうことではないと思うのです。もっと私は具体的なものだと思うのです。たとえば先ほどのお話のように約束不履行としてのわれわれは訴訟ができるのかできないのか、こういう点について明確に御答弁を願いたいと思うのです。
  74. 千葉皓

    千葉政府委員 お答え申し上げます。不履行の場合どうするかという問題になりますが、とにかくただいま問題になっておりますことは、初めに必要があって米軍に提供しておりました施設につきまして、その必要がなくなったということで返還を求めておるわけであります。もちろんそのゆえにいつのいつかまでに返す、こういう約束があったわけであります。その期日までに返還をしてもらえないということは、先方の約束不履行であります。しかしどうしてそういう約束不履行になったかという先方の事情も、これは実を申しますとはっきりした説明はないわけでありますけれども向うの何らか内部の事情があるというふうに私どもとしては想像されるわけであります。しかしそれでは済まないのでありまして、とにかく強く早期返還を要求しておるわけであります。これがもし向う約束したにもかかわらず返す意思がないのだということになりましたら、これはまた何か別のことも考えられると思いますけれども向うの何らかの事情もあって返還の時期が多少約束よりもおくれているということであれば、私は外交折衝によりまして十分その目的が達せられるはずだと考えております。ただいまの事案につきましては、まだ外交折衝に至りまする前の幾つかの段階があるわけでありまして、その手段を尽した上で外交折衝のことを考えたい、こう考えます。
  75. 井岡大治

    ○井岡小委員 私の質問お答えにならないで、あなたのお考えになっておられることだけをお話しになっておると思うのです。今度の名古屋の問題は約束不履行といって、その不履行というものはただ単なる不履行ではないのです。代替施設をこしらえてくれるならば私たちは返還をいたしますと、こういう約束なんです。従ってその代替施設は国民の税金によって、しかも向うの設計通りにごしらえたわけなんです。いいですか、そうしてでき上ったのです。ところが行かない。むしろ逆に、一たん出したらまた入れてくる。これは単なる向う事情によって返さないということにはならないのです。明らかに約束不履行なんです。ですからこの約束不履行に対してどういう措置日本人としてとれるかということだ。ただ単に向うの何か御都合があってまた返せないだろう、こういうものではありません。もう少し明確なところを答弁して下さい。
  76. 千葉皓

    千葉政府委員 お答え申し上げます。向う期日通り返還してくれないことについては、しばしば苦情を申し入れております。
  77. 井岡大治

    ○井岡小委員 苦情を申し入れている、ただ単にそれだけで問題が解決をいたしますか、いたさないのじゃないですか。現実に今もって返してもらっておらないのです。この事実をどう見られるのですか。
  78. 千葉皓

    千葉政府委員 こちらが苦情を申し立てたことが、今のところあまり効果がなかったということは、お話通りであります。しかし先ほども申しましたように私、さらに調達庁次長も先方の空軍の幹部と話したところでは、向うは返す意思があると私どもは見ておるわけであります。その返還促進方をさらに今後折衝するつもりであります。
  79. 井岡大治

    ○井岡小委員 それは返すのは当りまえですよ。返す意思のあるのは当りまえなんです。日本の国民が持っておる財産なんです。これをアメリカがとるということになると、アメリカは強盗なんですよ。ですから返す意思のあることは当りまえな話だ。ところが約束不履行なんだ。その不履行に対して政府はどういう処置をとろうとしているのか、それを聞いているんです。
  80. 千葉皓

    千葉政府委員 この上とも強く返還を要求するほかにないと思っております。
  81. 井岡大治

    ○井岡小委員 それでは返還を要求するだけしかないのですか。法律的な手続をとって私たちは返してもらうというような、たとえばこれを裁判にかけるとかなんとか、そういうことはできないですか。
  82. 千葉皓

    千葉政府委員 お答え申し上げます。先ほどから申し上げておりますように最後は外交交渉の結果に待つほかにないと思います。
  83. 井岡大治

    ○井岡小委員 私は外交交渉というものはそういうものではないと思うのです。二つのお互いの利害が対立をしておって、そうして国と国との争いの問題で外交交渉というものがあり得るのだと思うのです。この問題は二つの利害が対立する、なるほどその通りです。しかしそれではないのです。日本人が持っておる、従って日本人の所有権の問題なんです。所有権の問題でありますから、当然所有権を主張し得ることができる、こういうことでなければならぬと思うのです。どうなんです。
  84. 千葉皓

    千葉政府委員 国民がその所有権を侵されております場合に、この所有権回復についていろいろ手続があるわけでございます。しかし現在の行政協定その他米軍のあり方を規律している協定に基きまして、国民は日本政府に対してその要求ができるだけでありまして、日本政府がさらに国民にかわって米側に当るわけであります。米側に当る方法としましては外交交渉によるほかはないと存じております。
  85. 井岡大治

    ○井岡小委員 おそらくそういうところに持ってこられるだろうと私は思っておりましたが、案の定そこへ持ってきました。そうなって参りますと、あなた方の外交はアメリカさんの御都合だけをうかがっておやりになっておる、こういうように了解していいのですか。
  86. 千葉皓

    千葉政府委員 政府委員といたしましてここで議論したいと存じませんけれども、私どもは決してアメリカ都合だけを代表して仕事をしているものではございません。不幸にして当面の問題は、私どもの思うように、皆さんの御期待のように参っておりません。この点はなはだ遺憾に存じますけれども、しかしわれわれのやっております中にもまた皆さんの御期待に沿うている面もあるであろうし、また米軍の方におきましてもわれわれの種々な要請にこたえて、いろいろその他の面において施設返還など進めてくれている事実もあるのであります。アメリカ都合ばかりで動いておる、アメリカの代弁ばかりしておるという話は、私といたしましても非常に残念に存じます。
  87. 井岡大治

    ○井岡小委員 あなたが私の言ったことで残念だと言って怒るほど日本人に幸福だと思うのです。問題はこういう問題を含めて日本人がアメリカに対して非常に感情的になってきている、少くとも外交を担当される方々としては、平常な姿に戻していく、むしろアメリカと親善のできるようにあなた方が努力されることが正しいのだと思うのです。それが行われておらないから、われわれはこういった言葉を使わなければならないのです。こういう点で大いに怒っていただくことを私は歓迎をいたします。  同時に調達庁丸山次長にお伺いしますが、すべて施設の問題は外交交渉にゆだねなければ、問題が解決しないような気がするのです。それでは先ほど畠山さんや横山君から言われましたように、調達庁という役所は一体何をしているのかと言いたくなる。ですからもっと、あなたとしては日本人の立場から、しかも今度の問題は私たちの税金で建てた建物、代替施設なんです。こういう点からもっと具体的に、しかも強い立場で要求をしてもらわなければならぬと思うのです。ひとり名古屋の問題だけでなしに、ここに載っておる四つのホテルというものは、この間から何回か同じことを言っておるのです。しかしながら毎回あなた方の答弁は、皆さんの御意向がわかりましたから、日米合同委員会に持ち込んで、そうして皆さんの御期待に沿うように努力をいたします——私が出てから一年余りになりますが、えんえん一年間同じことだけを私は聞かされました。ただ日米合同委員会の会合の回数が一回、二回と上ってきておるだけです。これでは全く日本の国民が要求しておる、あるいは国会が要求しておる観光施設あるいは観光事業というものは一向に発展をしない、これではまことに国民に対して申しわけがないと思うのです。ですからこの交渉に当って、二十四日の施設委員会においては十分この点を明らかにしてやっていただきたい。二十四日の委員会を終った後その経過を聞いて、再び私の質問を続けたいと思います。
  88. 青野武一

    青野委員 今井岡君の質問に関連いたしまして、もう一ぺんごく簡単に要点だけを質問をしてみたいと思います。これは過日ホテル側の人に面会を求められまして、東京で面会したときにいろいろな意見を聞いたのでありますが、もう調達庁がどんなに政府代表してごあっせんになりましても、大体腹がまえは、期限が切れておるからお貸しすることはできない、ホテル側は文書によってその由を伝えたいといったような意向を持っておるように私は推測したのですが、かりに私が名古屋観光ホテル代表者であったといたしましたら、器物にしても洋食に関係するいろいろな施設、食堂等について具体的に一々あげるわけにはいきませんが、そういうものをどこか別のところに移転をして、従業員を全部何ヵ月間か期限を切ってやめさせて、出入り口をくぎづけにして締めてしまう、そしてこれは日本国民として民法上所有権が保証されておるのであるから、何とおっしゃっても四月一日からお貸しするわけにはいかないというようにやります。そういうことになったときには、何ぼ使おうといっても、米国の軍人自身がコーヒーをわかしたりするくらいはやりましょうが、ハンを焼いたりあるいは器物を運んだりするわけにはいかぬと思います。そういうような強硬策をとらなければならないほど、非常に大きな損害と精神的な打撃を受けておると思うし、あまりじんぜんと日を送っておりますと、これはほかの団体がやるのではない、私個人ひそかに党の幹部に要求し、適当な機関を通して承認を求めて、名古屋全市に向って、とにかくホテル接収されておることが、このように市民生活と産業の発展を妨害しておる、貿易の面ではこういう程度だというように数字をあげて——俗にいうアメリカ村、アメリカの軍人が入っておるために都市計画に非常な支障を来たしておる範囲は相当広範囲にわたっておりますので、そういったものは名古屋都市建設のために至急に立ちのいてもらわなければならないといったような問題、今名古屋では二十くらい接収されておるということを現地で聞いてきたのですが、そういうものを一つ一つ名古屋市民の利益の問題、産業の問題、経済の問題、貿易の問題等に結びつけて、名古屋全市民的な運動、たとえば一つ手段として名古屋の市民諸君の賛成を求めるために、何百万というわけにはいかないが、百万なら百万の標準をきめて署名運動をやって、それを日本政府を素通りにしてワシントン政府に向って要請書を出す、請願書を出すというようなことも、全然そういうことはできないと見くびるわけにはいきません。私どもの腹がまえはできておる。これはホテル一軒の問題ではない、名古屋全体の将来の大きな問題であるから——私は福岡県の北九州に住んでおる者です。何ぼばたばたしても衆議院の選挙のときに一票にもなりはしないことでも、大きい国家的見地、大都市の発展のためにこうあるべきだという私どものかたい信念のもとにやっておるのです。これは仮説ですから御答弁はしないと言われればそれまでですが、そういう事態が起ったときに、調達庁の面目は一体どこにあるか、外交折衝もへちまもない、直接ワシントンに飛んで行ったらいい、飛行機賃くらいわずかなものです。合うも合わぬも——いろいろな方法がありましょうけれども、私ども会議代表で欧米を回りまして、ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、バッファローとずいぶん回りました。外務省の出先の人にも会って、それくらいのことはお取次していただけるという確信を持っておりますが、そこまで一ホテル解除の問題が燎原の火のごとくに国際的大問題になったときには、それぞれ責任の立場にある人が非常にお困りにねるのじゃないか。ですから横山君なり早稻田先生なり畠山さんがおっしゃったように、ほんとうに腰を入れておやり下さいと言っている。それはまあ責任のある地位に立っておる人が公開の席上で質問を受けて、そう割り切った答弁のできないことも私どもは長い経験からよく知っております。想像はできる。  そこでもう一つお尋ねしたいのは、これは調達庁次長さんにお尋ねした方が早いと思いますが、元海軍水交社、これは延べ坪三百六十八坪で、収容力が三十名です。これはどこにあるのですか。それからもう一つ、元海軍の人事部の建物、これは延べ坪にして五百八十三坪、少しこっちの方が大きいのです。これは一体どこにあるか、一つ簡単にお答え願いたい。
  89. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 海軍の水交社のお話は、東京都内の狸穴の角のところにございます。
  90. 青野武一

    青野委員 元海軍の人事部は。——場所はどうでもいいですが、元海軍水交社が延べ坪三百六十八坪で、収容力が三十名、それが宿舎の形になっていると思いますが、それが接収中で、現在使用していない。使用してないものが接収解除してもらってはいけないという規定があるのですか。私が聞いておる範囲では、これは接収をされている相当重要な関係者から、私のところに連絡があった内容の一節にある。それから実際に宿舎には使わずに、事務所に使っておるのが元海軍人事部の建物、これは五百八十三坪ある。こういうものは、第一ホテルあたりはともかくもうお貸しするわけにはいかないという訴訟を起しておるのを、とうとう三十一年の十月までの期限で、子供の手をねじ伏せるようなやり方でこれを承認させておる。実際はいやだと言っている。名古屋観光ホテルもいやだと言っている。第一ホテルもそう言っておる。ところがこういうように宿舎には事実上使ってない、事務所に使っておる、こういうところを少し改造するとかなんとかすれば、第一ホテルの諸君をこっちに持ってくることができる。元海軍水交社あたりでも、収容力三十名、名古屋の、蒲郡の洋館建のりっぱな山の上にあります蒲郡ホテルなんか、収容力は三十人ある。私は行って一晩泊った。朝目がさめて、緒方竹虎君が死んだという新聞を私はベッドの上で見たのですが、あのりっぱなホテルで三十名しか収容できない。二、三日前私は用事があって帝国ホテルに行った。ところが町を流しているタクシーの運転手をとっつかまえて——今東京に来ている外人は、とにかく外人用のホテルが一室もあきがない、おそらく四、五十人から百人ぐらいは夫人をかかえて、東京都内で泊る所がなくて困っている。そうしてハイヤー、タクシーにちょっと飛び乗って、肩をたたいて、君、英語がわかるか、幾らか話せると言うと、家内と僕を今晩ホテル代を出すから、君のうちに泊めてくれないかと言う、そういう状態を二、三日前に、これは専門員の諸君も関係しているから知っている、私は帝国ホテルへ行ってじきじき聞いている。そういうときに第一ホテル米軍のために使用されて、訴訟事件まで起して、これがまだ接収解除にならないが、接収解除になった帝国ホテルの方でも、接収中は非常な迷惑を受けていたのです。こういうものがざらにある。問題にしようとしたが、名古屋に問題が集中されて御質問がありましたが、軍人会館にしても、山王ホテルにしても、第一ホテルにしても、一日も早く接収解除してもらいたいはずなんです。ところが一方においては、接収されておるところがまるきり宿舎に使っていない。三十人の収容力のあるというホテルは相当大きいはずです。これが全然使用されていない。こういう点はあなた方がどういう言いわけをなさっても、私は失態だと思う。日米合同委員会なり、調査特別委員会なりに持ち出して、ここはどういうわけで御使用にねりませんか、外人を泊めるためのホテルは払底しております、こういう事情で非常に外国人の方が、東京に御用事があって来られても、部屋がなくてお困りになっておられるときに、一部の諸君が相当の部屋をあかして、余裕があるのに御使用にならない。使っておらなければ戻して下さい、こう言って交渉すれば、人間の言葉が通ずる動物なら、向うは承認するはずだと思う。上野の動物園へ行ってサルや馬を相手に人間の言葉でしゃべっても、これは通用しないけれども、人間である以上わかるはずです。こういうところは、よく委員会あたりで、質問の形式で、弾劾されるようなことでなしに、こういうところは、お忙しかろうけれども、よくお調べ願って、利用してないところはお返し願いたい。私の地元なんか、農民に無断で、玄海の荒波と潮風が来るから、神功皇后時代に植えたという防風林を、米軍が飛行場に発着する飛行機のじゃまになるというので片っ端から切ってしまった。そのために一年間三千万円の農作物の被害を受けた。その補償をだれがしたかと言うと、政府から金を出して払った、結局それは日本の国民が補償したのです。勝手なことをする、迷惑をかける。損害賠償は、結果においては国民全体の税金の中から支払っておる。傍若無人ですよ。徳川時代のさむらいの切り捨てごめんのやり方をやっている。だから日本の官庁の係の人はもう少し腰を入れてしっかりかまえて、われわれ日本国民たる者は、日本の再建と国民生活安定のためには、こうやるべきであるという信念を持ってやらなければならぬのでございます。私は、相手が人間である以上、わからぬはずはないと思う。こういう点についてはどうお考えですか。
  91. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 ただいま御質問のございました、目下米軍接収中の宿泊施設のあるもので、別な用途に使用している向きにつきましては、私帰りまして詳細に資料を調べますが、この前委員会に御提出いたしましたように、宿泊施設のあるこのようなビルディングは、資料に書いてございますように、第一ホテル、軍人会館の士官宿舎、山王ホテル、それから名古屋観光ホテル、甲子園ホテルというようなことになっております。その他は詳細調べますが、おそらく返還になりまして、それぞれ所有主の方あるいは関係者が他に売却するなり、他の用途に使っておるのではないかと思います。今青野委員からいろいろ強い折衝の態度なり材料の吟味なりの点については、御提出の資料でもわかるように、従前からもしさいに調べまして、余裕のある向きについてはそこに入るべきであるということで、いろいろやっておりますので、あまりそういった向きに対しての穴があいているというふうには考えられないと思います。ただ御指摘がありますから、よく調べてみます。
  92. 横山利秋

    ○横山利秋君 青野さんが何回も質問なさっていらっしゃる名古屋のまん中にありますアメリカ村については、どういう御見解か、一つ聞きたい。
  93. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 名古屋の市内にありますアメリカ村は、中区にある一区画の問題だと思います。私ども名古屋の都市の発展上その他からいきまして、これがあすこに存置されるということは、非常に遺憾なことだと思うのでございます。ただ私ども事務当局として申し上げますと、あすこには土地そのものは民有地と国有地と私有地とあるわけでございます。その上に百十棟ほどの建物施設があるわけでございますが、これは終戦処理費で建造した国有財産でございます。そういったような関係から、よほど適当なる代替施設の建造と、それから財政上の手当がなければ、言うべくして簡単に移転せしめるということは困難なものというふうに考えております。ただ御質問のように、どう考えるかということにつきましては、ああいったような施設が都市のどまん中にあるということは、あまり感心したものではないというように考えております。
  94. 横山利秋

    ○横山小委員 わかりました。今日までこの問題についてはどういうふうにするか検討なさったことがありますか。またその検討を何らかの形で現わしたことがございますか。
  95. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 中区にありますアメリカ村の問題は、従前ともあそこの関係者の方その他から、どういうような大体政府の考え方であるかというようなことと、それから適当なる移転先を考えることによって、その施策を進めたいと思うがどうかというようなことがありました。しかし今申し上げましたように、事務的にはなかなか困難な状況であるので、そう簡単には参らぬというふうに結論を出しております。
  96. 井岡大治

    ○井岡小委員 これは全く観光の問題ではないのですが、名古屋の西区那古野町に名古屋の交通局のバスの車庫がありますが、現在ほとんど使っておらないのです。ところが依然として接収されておる。そのために向うのバスが非常に困っておるのです。従って使っておらないのだったら、至急これを返してもらうようにしていただかないと、交通局としても困っている。もし永久に返されないのだったら、交通局としても別に修理工場を建てなければならぬ。だから実情を調べてもらって、もし使っていないのだったら至急に返していただくよう交渉していただきたいと思います。
  97. 大石孝章

    大石(孝)政府委員 名古屋の交通局の施設のあります車庫その他自動車の修理場の問題、これは名古屋の交通局長からもいろいろ御要望がありますので、すでに私ども具体的に調査いたしております。それでできるだけ御要望に沿いたいというふうに考えております。
  98. 青野武一

    青野委員 せっかく手持ちぶさたで観光局長の間島さんがおりますので、ちょっとお伺いしますが、私は生れつきアメリカがきらいで、アメリカ人の顔を見ると、丈夫な胃が一週間ほどうずくのです。私もアメリカを回ってきましたが、人間はくずだ。民族としては日本人の方がはるかに優秀だ。爆撃を受けたり何かしたので感情的になって言うのではありませんけれども、そういう考えのもとに立って私の大体の質問が行われている。これは死ぬまで直らない。そこで済まないけれども、私がさいぜんからいろいろずっと質問の形式をとってきましたが、あなたも大体運輸省日本観光行政を一本にして責任を持たれておる方です。近くはさきにインドにもおいでになったし、それから日本観光行政についても非常に専門的な知識を持っておられる方であるし、単なる観光ホテルの問題ではなく、観光行政の点について、先ほどから各委員質問に対して、また政府関係当局者の御答弁もありましたが、それについてたとえばホテル接収解除の問題にしても、名古屋のどまん中にあるアメリカ村にしてみても、あるいは都市計画について支障を来たしている。いろいろ施設その他私が最後に二つばかり申し上げましたようなことについて、何か御意見があれば観光委員にとって参考になることであれば、質疑応答の中からお感じになったことを一つお話を願いたいと思います。
  99. 間島大治郎

    ○間島政府委員 先ほどから各委員の方々からの御質問並びに政府側からの御答弁を拝聴いたしておりまして、接収ホテル解除問題につきましては、われわれ観光行政の仕事をしておりましても、いろいろ観光事業振興のために隘路の打開が一番大きな問題であるわけでございますが、その最たるものがやはり繁忙期と申しますか、シーズンにおきまする宿泊設備、入れものが足りないということが一番大きな悩みであります。これにつきましては私どもといたしましてはもちろんいろいろ各方面からくるホテルの新設あるいは増築というふうな計画につきましても、開発銀行からの資金のあっせん、その他民間資金のあっせんにつきまして努力はいたしておりますが、しかし国家資金の現状からいたしましても、なかなかそういった方面へ金が回らぬ。一番手っとり早い方法は現在ある接収ホテル解除、これは一番手っとり早い問題でございまして、この点につきましては主管の各省にいろいろお願いもかねがね申し上げておった。今日まで実現した問題が非常に少いのは残念でございます。本日各先生方から非常に熱心な御発言があり、また政府側としましても私の考えますところでは、調達庁側も、また外務省といたされましても、この点については従来と違って非常に腹をかまえておられることと、かように拝察いたした次第でございます。なおいろいろ日本施設接収その他についてトラブルがございますが、観光事業の見地からいえばできるだけこういったトラブルがないことが望ましいのでございます。また一般の外客としましては率直に申し上げまして、アメリカ人もアメリカ人の兵隊がわがもの顔に濶歩しておるところは見たくないというのが心理のようでございます。戦後外人アメリカからたくさん参りました際にも、同じホテルで軍服姿の者がわがもの顔にかまえておるということにつきましては、同じ国民としてもおもしろくないということを直接聞いたこともございます。おそらく来る人の心理からしましても、そういった日本に来ておりまする駐留軍の兵隊が、何と申しますか、あまり濶歩しておるということは好ましくないという気持を持つのじゃないか、かように存ずる次第でございまして、観光事業の見地からしましてもできるだけ、もちろん原則はそうでありますが、都心からはそういった軍事施設を遠ざけるという原則はきまっておるのでございまするから、それが実行されることが非常に望ましい、かように存じておる次第でございます。
  100. 濱野清吾

    濱野委員長 それでは質問もないようでありますから、委員長から一つ役所側申し入れをしておきます。委員の発言は御承知の通り観光関係、特に具体的にいえばホテル関係でありますが、そればかりにはとどまっておりません。特に外務省お願いしておきたいのでありますが、これは日本の民間人とアメリカの民間人との関係ではございません。アメリカの軍の関係日本の民間人との利害関係でございます。この点は外務省としては調達庁の職員よりはもう少し敏感に感じていらせられるであろうと私は思うのでございます。もう一つは、そういう関係を前提として見れば、わが国の国民感情が接収並びに解除等において、今日どういう方向に向っているかということも、外務省欧米局長は大臣とともに御推察ができていると思うので、この二点を抜いて、この問題をただ事務的に、畠山君の言葉でいえばあっせん業のような態度でやろうとするならば、大へんな問題が起きると思う。今日観光委員会において、こういう問題がホテルを中心として活発に出てきたゆえんのものも、やはりただいま申し上げました二つの条件と申しましょうか、事情がからみ合って出てきているということを、まず外務省としては十分そんたくしてもらわなければ困ります。  そこでもう一つ委員諸君のうちからも再々お話がありましたが、事実問題としてホテル解除の件については小さいように世間では考えております。しかしそうした意味からいくと、これは非常に大きな問題であります。そればかりではなしに、わが国として日本商品の輸出によるドルの獲得、ことに先ほどから論ぜられております名古屋地区の産業には、ホテル施設解除されたとされないとでは、相当な具体的な利害関係が起きてきているという証明がございます。さらにまた観光行政関係からいくならば、易外ドルの獲得という大きな問題が今日浮び上っております。日中貿易で三千万ドルをかせぐならば、観光事業で三十年度に四千五百万ドル、かせいだということは、実に大きい力ではないか。一億ドルかせぐのは何でもないといって、社会党もわが自民党も来年あたり法律案を出して、それに対する裏づけの予算が組まれるようでありますが、こういう日本がなくてはならないドルの獲得面から見ましても、本件はまことに重要な意義があると思うのです。  そこで両当局お願いしたいのでありますが、調達庁ほんとう約束を履行させるという態度で今後進んでもらいたい。そういう法律的なはっきりした態度を持たないで、あっせん業か周旋業のような態度でいくならば、何回決議しても、何回ここで経過の報告を受けても意味がない。国民にかわって議会でこの決議をしたのだ。あとどうするか。あと責任はあなた方が負ってもらう。はっきりした態度でこの次は臨んでもらいたい。  それから外務省に対しては、委員諸君からるる御意見があったので、ただいま私から申し上げましたような事情を十分そんたく下すって、日米合同委員会お話してわからなければ大臣と相談して、外交に移してもらいたい。これはホテルを中心としてやっておることだと考えれば、どうも外交などという大きな問題にとおっしやるかもしれぬが、そうでない。国民感情がだんだん悪化して参りますと、どうなるかわかりません。ことに日本アメリカの今日の関係において、そういうことの好ましからざることは、米軍も知っておるわけでありますし、米政府も百も承知であります。こんなことで国民感情を傷つけることは、両国にとって大きな不幸だと私は思います。これは局長さんの方の所管ですから、大臣としっかり御相談下さいまして、早急に本問題の解決を願いたいと思います。相当の期間を経てその経過並びに結末をまた承わりたいと思います。本委員会ホテルの問題について熱中しておるように見られますが、その影響するところはただいま申し上げましたように実に大きな意義があるのでありますから、委員会決議しっぱなしで、その結論をそのままにしておくというようなわけには参りませんから、どうぞ両当局においてもその点十分御了承を願いたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時四十六分散会